(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178851
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】LiDARシステム及び制御装置
(51)【国際特許分類】
G01S 17/66 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
G01S17/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097319
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】安齋 信幸
(72)【発明者】
【氏名】小倉 亮太
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA04
5J084AA05
5J084AA09
5J084AA14
5J084AB01
5J084EA23
(57)【要約】
【課題】移動体を適切に追跡し得るLiDARシステム及び制御装置を提供する。
【解決手段】
LiDARシステム1は、所定の測定領域Sにおいて物体までの距離を測定して得られる点群データに係る信号を供給するLiDAR装置20と、制御装置10と、を備え、前記制御装置10は、前記点群データから第1移動体を検出し、前記第1移動体に前記第1移動体を識別する第1識別情報を設定し、前記第1移動体が検出される第1フレーム以前のフレームにおける前記第1移動体の位置に基づいて、前記第1フレームより後であり前記第1移動体が消失している第2フレームにおける前記第1移動体の推定位置を算出し、前記第2フレームにおける前記推定位置に基づく所定の範囲に第2移動体を検出する場合、前記第2移動体に前記第1識別情報を設定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の測定領域において物体までの距離を測定して得られる点群データに係る信号を供給するLiDAR装置と、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記点群データから第1移動体を検出し、前記第1移動体に前記第1移動体を識別する第1識別情報を設定し、
前記第1移動体が検出される第1フレーム以前のフレームにおける前記第1移動体の位置に基づいて、前記第1フレームより後であり前記第1移動体が消失している第2フレームにおける前記第1移動体の推定位置を算出し、
前記第2フレームにおける前記推定位置に基づく所定の範囲に第2移動体を検出する場合、前記第2移動体に前記第1識別情報を設定する
LiDARシステム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記第1移動体の第1バウンディングボックスと前記第2移動体の第2バウンディングボックスとを設定し、
前記第2フレームにおいて、前記推定位置に前記第1バウンディングボックスに対応する推定ボックスを設定し、設定される前記推定ボックスと前記第2バウンディングボックスとが重なる面積が所定の閾値以上である場合、前記第2移動体に前記第1識別情報を設定する
請求項1に記載のLiDARシステム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第1フレームと前記第2フレームとの間の時間が長いほど前記第2フレームにおいて前記推定ボックスを拡大する
請求項2に記載のLiDARシステム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第2フレームにおいて前記所定の範囲に前記第2移動体を検出し、前記推定ボックスの面積と前記第2バウンディングボックスとの面積の差が所定の閾値以下である場合、前記第2移動体に前記第1識別情報を設定する
請求項2に記載のLiDARシステム。
【請求項5】
前記第2フレームに設定される前記推定ボックスは、複数のフレームにおける前記第1バウンディングボックスの中で最大のバウンディングボックスと概ね同一である
請求項4に記載のLiDARシステム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記第2フレームにおいて前記推定位置と前記第2移動体の位置との距離が所定の閾値以下である場合、前記第2移動体に前記第1識別情報を設定する
請求項1に記載のLiDARシステム。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記第1移動体が消失するフレームよりも2以上の所定の個数以前のフレームにおける前記第1移動体の位置に基づいて前記第1移動体の速度及び移動方向を算出し、
前記第1移動体の速度及び移動方向に基づいて前記推定位置を算出する
請求項1に記載のLiDARシステム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記第2フレームにおいて前記所定の範囲に前記第2移動体を検出し、前記第1移動体の速度と前記第2移動体の速度との差が所定の閾値以下である場合、前記第2移動体に前記第1識別情報を設定する
請求項1に記載のLiDARシステム。
【請求項9】
前記第2移動体の速度は、前記第2移動体が検出されたフレームよりも2以上の所定の個数以後のフレームにおける前記第2移動体の位置から算出される
請求項8に記載のLiDARシステム。
【請求項10】
前記制御装置は、前記第2フレームにおいて前記所定の範囲に第2移動体を検出し、前記第1移動体の移動方向と前記第2移動体の移動方向とがなす角が所定の閾値以下である場合、前記第2移動体に前記第1識別情報を設定する
請求項1に記載のLiDARシステム。
【請求項11】
前記制御装置は、
メモリを備え、
前記第2移動体を検出すると、前記第2移動体に第2識別情報を設定し、
前記第2フレームにおいて前記所定の範囲に前記第2移動体を検出した場合、前記第2識別情報と前記第1識別情報とを対応付けた登録情報を前記メモリに格納し、
前記登録情報に従って、前記第2移動体に前記第1識別情報を設定する
請求項1に記載のLiDARシステム。
【請求項12】
所定の測定領域において物体までの距離を測定して得られる点群データに係る信号を供給するLiDAR装置と、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記点群データから第1移動体を検出し、前記第1移動体を識別する第1識別情報をモニタに表示させ、
前記第1移動体が検出される第1フレームより後であり前記第1移動体が消失している第2フレームにおいて、前記第1移動体の速度及び移動方向が継続すると仮定された場合の前記第1移動体の位置に基づく所定の範囲に検出された移動体を識別する識別情報として前記第1識別情報を前記モニタに表示させる
LiDARシステム。
【請求項13】
所定の測定領域において物体までの距離を測定して得られる点群データに係る信号を供給するLiDAR装置に接続されるセンサインターフェースを備え、
前記点群データから第1移動体を検出し、前記第1移動体に前記第1移動体を識別する第1識別情報を設定し、
前記第1移動体が検出される第1フレーム以前のフレームにおける前記第1移動体の位置に基づいて、前記第1フレームより後であり前記第1移動体が消失している第2フレームにおける前記第1移動体の推定位置を算出し、
前記第2フレームにおける前記推定位置に基づく所定の範囲に第2移動体を検出する場合、前記第2移動体に前記第1識別情報を設定する
制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LiDARシステム及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LiDAR(Light Detection And Ranging)装置を用いて3次元的に検出された点群データを取得し、取得された点群データから移動体を検出するシステムが提供されている。そのようなシステムは、複数のフレームにおいて移動体を検出した場合、各フレームにおける移動体を特定し追跡する。下記特許文献1にはそのようなシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、移動体とLiDAR装置との間に存在する障害物や点群データのノイズの影響などにより、前のフレームで検出されていた移動体が後続する数フレームの間に消失することがある。移動体が再出現しても、消失前の移動体と再出現した移動体との距離が離れている場合などでは両者を同定することができず移動体の追跡に失敗する可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、移動体を適切に追跡し得るLiDARシステム及び制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的の達成のため、本発明のLiDARシステムは、所定の測定領域において物体までの距離を測定して得られる点群データに係る信号を供給するLiDAR装置と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記点群データから第1移動体を検出し、前記第1移動体に前記第1移動体を識別する第1識別情報を設定し、前記第1移動体が検出される第1フレーム以前のフレームにおける前記第1移動体の位置に基づいて、前記第1フレームより後であり前記第1移動体が消失している第2フレームにおける前記第1移動体の推定位置を算出し、前記第2フレームにおける前記推定位置に基づく所定の範囲に第2移動体を検出する場合、前記第2移動体に前記第1識別情報を設定する。
【0007】
上記LiDARシステムは、第1フレーム以前のフレームにおける第1移動体の位置に基づいて第2フレームにおける第1移動体の推定位置を算出する。また、上記LiDARシステムは、推定位置に基づく所定の範囲に検出された第2移動体に第1移動体の第1識別情報を設定する。そのため、上記LiDARシステムは、第1移動体が消失した後に第2移動体として再出現した第1移動体に第1識別情報を設定し得る。よって、上記LiDARシステムは、消失前の第1移動体と再出現した第1移動体とを適切に同定し第1移動体を適切に追跡し得る。
【0008】
また、上記LiDARシステムにおいて、前記制御装置は、前記第1移動体の第1バウンディングボックスと前記第2移動体の第2バウンディングボックスとを設定し、前記第2フレームにおいて、前記推定位置に前記第1バウンディングボックスに対応する推定ボックスを設定し、設定される前記推定ボックスと前記第2バウンディングボックスとが重なる面積が所定の閾値以上である場合、前記第2移動体に前記第1識別情報を設定してもよい。
【0009】
また、上記LiDARシステムにおいて、前記制御装置は、前記第1フレームと前記第2フレームとの間の時間が長いほど前記第2フレームにおいて前記推定ボックスを拡大してもよい。
【0010】
このような構成により、上記LiDARシステムは、第1移動体が消失してから時間が経過するほど推定ボックスを拡大する。したがって、時間が経過すると共に、所定の範囲は、拡大する。よって、現実の第1移動体の位置と推定位置とのずれが時間の経過と共に拡大しても、再出現した第1移動体が所定の範囲に第2移動体として含まれる。そのため、上記LiDARシステムは、現実の第1移動体の位置と推定位置とのずれが時間の経過により拡大しても、再出現した第1移動体を所定の範囲を第2移動体として検出し得る。ゆえに、上記LiDARシステムは、第1移動体の消失から再出現までの時間が長くとも、消失前の第1移動体と再出現した第1移動体とを適切に同定し第1移動体を適切に追跡し得る。
【0011】
また、上記LiDARシステムにおいて、前記制御装置は、前記第2フレームにおいて前記所定の範囲に前記第2移動体を検出し、前記推定ボックスの面積と前記第2バウンディングボックスとの面積の差が所定の閾値以下である場合、前記第2移動体に前記第1識別情報を設定してもよい。
【0012】
このような構成により、上記LiDARシステムは、推定ボックスの面積と同程度の面積を有する第2バウンディングボックスの第2移動体に第1識別情報を設定する。したがって、上記LiDARシステムは、第1移動体と大きさが異なる移動体が上記所定の領域に検出された場合において当該移動体に第1識別情報を設定してしまうことを抑制し得る。よって、上記LiDARシステムは、再出現した第1移動体に適切に第1識別情報を設定し、第1識別情報を適切に追跡し得る。
【0013】
また、上記LiDARシステムにおいて、前記第2フレームに設定される前記推定ボックスは、複数のフレームにおける前記第1バウンディングボックスの中で最大のバウンディングボックスと概ね同一であってもよい。
【0014】
障害物などに第1移動体の一部が隠れた場合、第1バウンディングボックスは、第1移動体の大きさを反映したバウンディングボックスよりも小さくなる。そのため、最大の第1バウンディングボックスは、現実の第1移動体の大きさを反映したバウンディングボックスであると考えられる。そのため、上記LiDARシステムは、第1移動体の大きさを反映した推定ボックスの面積と同程度の面積を有する第2バウンディングボックスの第2移動体に第1識別情報を設定する。よって、上記LiDARシステムは、第1移動体と大きさが異なる移動体が上記所定の領域に検出された場合において当該移動体に第1識別情報を設定してしまうことをより効果的に抑制し得る。よって、上記LiDARシステムは、再出現した第1移動体に適切に第1識別情報を設定し、第1識別情報を適切に追跡し得る。
【0015】
また、上記LiDARシステムにおいて、前記制御装置は、前記第2フレームにおいて前記推定位置と前記第2移動体の位置との距離が所定の閾値以下である場合、前記第2移動体に前記第1識別情報を設定してもよい。
【0016】
また、上記LiDARシステムにおいて、前記制御装置は、前記第1移動体が消失するフレームよりも2以上の所定の個数以前のフレームにおける前記第1移動体の位置に基づいて前記第1移動体の速度及び移動方向を算出し、前記第1移動体の速度及び移動方向に基づいて前記推定位置を算出してもよい。
【0017】
第1移動体が障害物などに隠れる場合、第1バウンディングボックスは、第1移動体の進行方向における前方又は後方から徐々に縮小して消失する。そのため、縮小中の第1バウンディングボックスの位置は、現実の第1移動体の位置とずれているおそれがある。上記LiDARシステムは、上記の構成により、第1移動体が消失するフレームの直前のフレームにおける第1バウンディングボックスよりも縮小前の第1バウンディングボックスに近い第1バウンディングボックスの位置に基づいて第1移動体の速度及び移動方向を取得し得る。そのため、上記LiDARシステムは、第1移動体の速度及び移動方向を適切に算出し得る。よって、上記LiDARシステムは、推定位置を適切に算出し、第1移動体を適切に追跡し得る。
【0018】
また、上記LiDARシステムにおいて、前記制御装置は、前記第2フレームにおいて前記所定の範囲に前記第2移動体を検出し、前記第1移動体の速度と前記第2移動体の速度との差が所定の閾値以下である場合、前記第2移動体に前記第1識別情報を設定してもよい。
【0019】
このような構成により、上記LiDARシステムは、消失前の第1移動体の速度と同程度の速度を有する第2移動体に第1識別情報を設定する。したがって、上記LiDARシステムは、第1移動体と速度が異なる移動体が上記所定の検出領域に検出された場合において当該移動体に第1識別情報を設定してしまうことを抑制し得る。よって、上記LiDARシステムは、再出現した第1移動体に適切に第1識別情報を設定し、第1識別情報を適切に追跡し得る。
【0020】
また、上記LiDARシステムにおいて、前記第2移動体の速度は、前記第2移動体が検出されたフレームよりも2以上の所定の個数以後のフレームにおける前記第2移動体の位置から算出されてもよい。
【0021】
第1移動体が第2移動体として障害物などから再度現れる場合、第2バウンディングボックスは、第2移動体の進行方向における前方又は後方から徐々に拡大して第2移動体の大きさとなる。そのため、拡大中の第2バウンディングボックスの位置は、現実の第2移動体の位置とずれているおそれがある。上記LiDARシステムは、上記の構成により、第2移動体が出現するフレームの直後のフレームにおける第2バウンディングボックスよりも拡大後の第2バウンディングボックスに近い第2バウンディングボックスの位置に基づいて第2移動体の速度を算出し得る。したがって、上記LiDARシステムは、第1移動体と速度が異なる移動体が上記所定の領域に検出された場合において当該移動体に第1識別情報を設定してしまうことをより適切に抑制し得る。よって、上記LiDARシステムは、再出現した第1移動体に適切に第1識別情報を設定し、第1識別情報を適切に追跡し得る。
【0022】
また、上記LiDARシステムにおいて、前記制御装置は、前記第2フレームにおいて前記所定の範囲に第2移動体を検出し、前記第1移動体の移動方向と前記第2移動体の移動方向とがなす角が所定の閾値以下である場合、前記第2移動体に前記第1識別情報を設定してもよい。
【0023】
このような構成により、上記LiDARシステムは、消失前の第1移動体の移動方向に近い移動方向を有する第2移動体に第1識別情報を設定する。よって、上記LiDARシステムは、第1移動体と移動方向が異なる移動体が上記所定の領域に検出された場合において当該移動体に第1識別情報を設定してしまうことを抑制し得る。
【0024】
また、上記LiDARシステムにおいて、前記制御装置は、メモリを備え、前記第2移動体を検出すると、前記第2移動体に第2識別情報を設定し、前記第2フレームにおいて前記所定の範囲に前記第2移動体を検出した場合、前記第2識別情報と前記第1識別情報とを対応付ける登録情報を前記メモリに格納し、前記登録情報に従って、前記第2移動体に前記第1識別情報を設定してもよい。
【0025】
本発明のLiDARシステムは、所定の測定領域において物体までの距離を測定して得られる点群データに係る信号を供給するLiDAR装置と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記点群データから第1移動体を検出し、前記第1移動体を識別する第1識別情報をモニタに表示させ、前記第1移動体が検出される第1フレームより後であり前記第1移動体が消失している第2フレームにおいて、前記第1移動体の速度及び移動方向が継続すると仮定された場合の前記第1移動体の位置に基づく所定の範囲に検出された移動体を識別する識別情報として前記第1識別情報を前記モニタに表示させる。
【0026】
上記LiDARシステムは、検出された第1移動体を示す情報を表示する。また、上記LiDARシステムは、第2フレームにおいて第1移動体の速度及び移動方向が維持すると仮定された場合の位置に基づく所定の範囲に検出された第2移動体を第1移動体として示す情報を表示する。そのため、上記LiDARシステムは、第1移動体を適切に同定し追跡し得、第1移動体が適切に追跡されたことを表示し得る。
【0027】
本発明の制御装置は、所定の測定領域において物体までの距離を測定して得られる点群データに係る信号を供給するLiDAR装置に接続されるセンサインターフェースを備え、前記点群データから第1移動体を検出し、前記第1移動体に前記第1移動体を識別する第1識別情報を設定し、前記第1移動体が検出される第1フレーム以前のフレームにおける前記第1移動体の位置に基づいて、前記第1フレームより後であり前記第1移動体が消失している第2フレームにおける前記第1移動体の推定位置を算出し、前記第2フレームにおける前記推定位置に基づく所定の範囲に第2移動体を検出する場合、前記第2移動体に前記第1識別情報を設定する。
【0028】
上記制御装置は、第1フレーム以前のフレームにおける第1移動体の位置に基づいて第2フレームにおける第1移動体の推定位置を算出する。また、上記制御装置は、推定位置に基づく所定の範囲に検出された第2移動体に第1移動体の第1識別情報を設定する。そのため、上記制御装置は、第1移動体が消失した後に第2移動体として再出現した第1移動体に第1識別情報を設定し得る。よって、上記制御装置は、消失前の第1移動体と再出現した第1移動体とを適切に同定し第1移動体を適切に追跡し得る。
【発明の効果】
【0029】
上記のように本発明によれば、移動体を適切に追跡し得るLiDARシステム及び制御装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施形態におけるLiDARシステムが設置状態を概略的に示す図である。
【
図2】
図1に示すLiDARシステムの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2に示す制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図4】
図2に示す制御装置がバウンディングボックスを設定する動作を示す図である。
【
図5】
図2に示す制御装置が推定ボックスを設定する動作を示す図である。
【
図6】
図2に示す制御装置が候補移動体を取得する動作を示す図である。
【
図7】
図2に示す制御装置が候補移動体に消失移動体の識別情報を設定する動作を示す図である。
【
図8】
図1に示すLiDARシステムが撮影する移動体の移動経路を示す図である。
【
図9】
図1に示すLiDARシステムが表示する画面を示す図である。
【
図10】
図1に示すLiDARシステムが表示する画面を示す図である。
【
図11】
図1に示すLiDARシステムが表示する画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができる。なお、以下で参照する図面では、理解を容易にするために、各部材の寸法を変えて示す場合がある。
【0032】
実施形態に係るLiDARシステムは、連続する複数のフレームにおいてLiDAR装置を用いて所定の測定領域をスキャンし当該測定領域における物体の3次元座標を示す点群データを取得する。LiDARシステムは、点群データから移動体を検出し、複数のフレームにおいて検出された移動体を特定し追跡する。
【0033】
図1は、本実施形態に係るLiDARシステム1の設置状態を示す。
図1が示すように、LiDARシステム1は、道路Rの脇に固定された状態で設置されている。道路Rには、複数の車線が設けられており、移動体Vが走行している。本実施形態では、移動体Vは、車両である。移動体Vは、概ね一定の速度で概ね一定の方向に進行する。
【0034】
LiDARシステム1は、測定領域Sをスキャンして点群データを取得する。LiDARシステム1は、測定領域Sに含まれる移動体Vを検出し追跡する。
【0035】
図2は、本実施形態に係るLiDARシステム1の構成を示す。
図2が示すように、LiDARシステム1は、制御装置10、LiDAR装置20及びモニタ30などを主な構成として備える。制御装置10は、メモリ11、センサインターフェース12及びモニタインターフェース13などを主な構成として備える。センサインターフェース12は、LiDAR装置20に電気的に接続される。モニタインターフェース13は、モニタ30に電気的に接続される。
【0036】
LiDAR装置20は、制御装置10からの制御信号に従って、測定領域Sに光を照射して測定領域Sにおいて検出される検出点の座標を取得する。本実施形態では、LiDAR装置20は、測定領域Sにおいて2次元的に光を走査して光が反射した検出点と自身との距離を測定する。LiDAR装置20は、測定された距離などに基づいて検出点の座標を算出する。LiDAR装置20は、測定領域Sを1回走査すると、測定結果としてフレームごとに検出点の座標を示す点群データに係る信号を生成し制御装置10に供給する。
【0037】
たとえば、LiDAR装置20は、光を出射する光源と検出点からの反射波を受光するセンサとを含む。なお、LiDAR装置20が備える光源及びセンサの個数、走査方式及び走査方向などは、特定の構成に限定されるものではない。また、LiDAR装置20は、測定領域Sの全体に一度に光を照射するものであってもよい。
【0038】
モニタ30は、制御装置10からの制御信号に従って、種々の情報を表示する。たとえば、モニタ30は、液晶モニタ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどを含む。
【0039】
センサインターフェース12は、LiDAR装置20に測定を開始又は終了させる制御信号を出力する。また、センサインターフェース12は、LiDAR装置20から点群データに係る信号をLiDAR装置20から取得する。
【0040】
モニタインターフェース13は、モニタ30に表示させる表示画像に係る信号をモニタ30に供給する。
【0041】
制御装置10は、例えば、マイクロコントローラ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large-scale Integrated Circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの集積回路やNC(Numerical Control)装置等を用いることができる。また、制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)等を用いてもよい。制御装置10は、メモリ11が格納するプログラムを実行して種々の機能を実現ずる。
【0042】
メモリ11は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の半導体記録媒体が好適であるが、光学式記録媒体や磁気記録媒体等の任意の形式の記録媒体を包含し得る。なお、「非一過性」の記録媒体とは、一過性の伝搬信号(transitory, propagating signal)を除く全てのコンピュータ読み取り可能な記録媒体を含み、揮発性の記録媒体を除外するものではない。
メモリ11は、種々の機能を制御装置10に実現させるプログラムを予め格納する。また、メモリ11は、プログラムの実行により生じたデータ及び他の装置から取得されたデータなどを一時的に格納する。
【0043】
次に、本実施形態のLiDARシステム1の動作について説明する。
図3は、本実施形態における制御装置10の動作を示すフローチャートである。制御装置10は、メモリ11が格納するプログラムを実行することで以下の動作を実現する。
図3に示すように、フローチャートは、ステップSP11~ステップSP19を含んでいる。
【0044】
(ステップSP11)
本ステップは、制御装置10がLiDAR装置20から点群データに係る信号を取得するステップである。たとえば、制御装置10は、不図示の外部装置からの制御信号又はオペレータによる操作に従って、センサインターフェース12を介して測定を開始させる制御信号をLiDAR装置20に送信する。なお、制御装置10は、2回目以降のステップSP11においては当該制御信号をLiDAR装置20に送信しなくともよい。
【0045】
LiDAR装置20は、制御装置10からの制御信号に従って、測定領域Sを走査して検出点と自身との距離を測定し、検出点の座標を取得する。LiDAR装置20は、1フレームにおける検出点の座標を示す点群データに係る信号を制御装置10に供給する。
【0046】
制御装置10は、LiDAR装置20から点群データに係る信号を取得すると、ステップSP12に進む。
【0047】
(ステップSP12)
本ステップは、制御装置10が点群データから移動体のバウンディングボックス、位置、速度及び移動方向を算出するステップである。
【0048】
制御装置10は、点群データから移動体を検出する。本実施形態では、制御装置10は、測定領域Sに存在する物体が投影される所定の投影平面において、現フレームの移動体が存在するバウンディングボックスを設定する。投影平面は、測定領域Sを所定の点から視た平面である。たとえば、制御装置10は、点群データとあらかじめ用意された背景を測定して得られる点群データとの差分を計算することによって移動体のバウンディングボックスを設定する。また、制御装置10は、クラスタリング処理によって移動体のバウンディングボックスを設定してもよい。制御装置10がバウンディングボックスを設定する方法は、特定の方法に限定されるものではない。
【0049】
図4は、制御装置10がバウンディングボックスを設定する動作を示す。
図4が示す例では、制御装置10は、第1フレームにおいて第1移動体を検出し、第1移動体が存在する第1バウンディングボックス40を投影平面90に設定する。制御装置10は、第1移動体に第1移動体を識別する第1識別情報を設定している。
図4では、第1移動体は、
図4において右方向に進行する。
【0050】
バウンディングボックスを設定すると、制御装置10は、設定されたバウンディングボックスに基づいて現フレームにおける移動体の位置を取得する。制御装置10は、移動体の位置として投影平面90における座標を取得する。本実施形態では、制御装置10は、バウンディングボックスの重心座標を移動体の位置として取得する。なお、制御装置10は、バウンディングボックスの一つの頂点座標を移動体の位置として取得してもよい。
【0051】
移動体の座標を取得すると、制御装置10は、移動体の追跡処理を行う。本実施形態では、メモリ11は、移動体の追跡情報を記憶する。追跡情報は、移動体を識別する識別情報と過去のフレームにおける当該移動体の位置とを対応付けて格納する。たとえば、識別情報は、文字、数値、記号又はこれらの組み合わせなどである。識別情報の構成は、特定の構成に限定されるものではない。また、追跡情報は、各フレームにおける移動体の速度及び移動方向を格納してもよい。
【0052】
制御装置10は、直前のフレームで検出された移動体の位置を追跡情報から取得する。直前のフレームで検出された移動体の位置を取得すると、制御装置10は、取得された移動体の位置と現フレームで検出された移動体の位置との間の距離を算出する。算出された距離が所定の閾値以下である場合、制御装置10は、直前のフレームで検出された移動体の識別情報と現フレームで検出された移動体の位置とを対応付けて追跡情報に追加する。制御装置10は、上記の動作により、現フレームで検出された移動体と直前のフレームで検出された移動体とを同定し移動体を追跡する。
【0053】
たとえば、所定の閾値は、現実の5mに対応する値である。この場合、制御装置10は、直前のフレームでの移動体の位置と現フレームでの移動体の位置との間が5m以下である場合に、直前のフレームでの移動体と現フレームの移動体とを同定し、直前のフレームでの移動体の識別情報と現フレームでの移動体の位置とを対応付けて追跡情報に追加する。
【0054】
算出された距離が所定の閾値より大きい場合、制御装置10は、新たな識別情報を発行し、発行された識別情報と現フレームで検出された移動体の位置とを対応付けて追跡情報に追加する。制御装置10は、現フレームで検出された移動体に新たな識別情報を設定する。
【0055】
なお、追跡情報が存在しない場合、制御装置10は、新たな識別情報を発行し、発行された識別情報と現フレームで検出された移動体の位置とを対応付けて格納する追跡情報を生成してもよい。
【0056】
また、制御装置10は、直前のフレームで移動体を検出していない場合、さらに前のフレームで検出された移動体と現フレームで検出された移動体との距離を算出してもよい。
【0057】
追跡処理を行うと、制御装置10は、複数のフレームにおける移動体の位置に基づいて移動体の速度を算出する。たとえば、制御装置10は、直前のフレームにおける当該移動体の位置と現フレームにおける当該移動体の位置との間の距離をフレーム間の時間で除算して速度を算出する。なお、制御装置10は、所定の個数前のフレームから現フレームまでの各フレームにおける当該移動体の位置から当該移動体の速度を算出してもよい。
【0058】
速度を算出すると、制御装置10は、複数のフレームにおける移動体の位置に基づいて移動体の移動方向を算出する。たとえば、制御装置10は、直前のフレームにおける当該移動体の位置から現フレームにおける当該移動体の位置に延びるベクトルを当該移動体の移動方向として算出する。なお、制御装置10は、所定の個数前のフレームから現フレームまでの各フレームにおける当該移動体の位置から当該移動体の移動方向を算出してもよい。
【0059】
制御装置10は、当該移動体の移動方向を算出すると、ステップSP13に進む。
【0060】
(ステップSP13)
本ステップは、制御装置10が過去のフレームにおいて検出されていた移動体の消失を検出するステップである。制御装置10は、過去のフレームにおいて検出された移動体を現フレームにおいて検出しない場合、ステップSP14に進み、過去のフレームにおいて検出された移動体を現フレームにおいても検出した場合、ステップSP19に進む。なお、制御装置10は、現フレームの直前のフレームにおいて検出された移動体の消失を検出してもよいし、所定の個数前のフレームから現フレームまでの間で連続する移動体の消失を検出してもよい。以下では、過去のフレームにおいて検出されており現フレームにおいて消失した移動体を消失移動体と呼称する。
【0061】
(ステップSP14)
本ステップは、制御装置10が消失移動体の速度及び移動方向を取得するステップである。たとえば、制御装置10は、消失移動体が消失した直前のフレームにおける消失移動体の速度及び移動方向を追跡情報などから取得する。
【0062】
また、制御装置10は、消失移動体が消失するフレームよりも2以上の所定の個数前のフレームにおける消失移動体を速度及び移動方向を取得してもよい。この場合、消失移動体の速度及び移動方向は、消失移動体が消失するフレームよりも当該所定の個数以前のフレームにおける消失移動体の位置から算出される。
【0063】
移動体が障害物などに隠れる場合、移動体のバウンディングボックスは、移動体の進行方向における前方又は後方から徐々に縮小して消失する。そのため、縮小中のバウンディングボックスの位置は、現実の移動体の位置とずれているおそれがある。よって、縮小中のバウンディングボックスから算出された速度及び移動方向は、現実の移動体の速度及び移動方向と異なっているそれがある。ゆえに、消失移動体が消失したフレームよりも2以上の所定の個数前のフレームにおける速度及び移動方向は、消失移動体が消失したフレームの直前のフレームにおける速度及び移動方向よりも現実の速度及び移動方向に近いと考えられる。したがって、制御装置10は、消失移動体が消失したフレームよりも2以上の所定の個数前のフレームにおける消失移動体を速度及び移動方向を取得することで、より正確な速度及び移動方向を取得し得る。
【0064】
また、制御装置10は、当該所定の個数を消失移動体のバウンディングボックスの大きさ及び速度から算出してもよい。たとえば、制御装置10は、消失移動体の最大のバウンディングボックスの進行方向における長さを所定のフレームにおける消失移動体の速度で除算して、消失移動体が障害物に隠れ始めてから隠れ終わるまでに掛かる時間を算出する。当該時間を算出すると、制御装置10は、当該時間をフレーム間の時間で除算して、当該時間に含まれるフレーム数を算出する。制御装置10は、算出されたフレーム数以上の値を当該所定の個数として取得する。消失移動体が消失したフレームから当該所定の個数前のフレームにおける消失移動体の速度及び移動方向は、消失移動体が障害物に隠れ始める前の速度及び移動方向である。制御装置10は、上記の通り算出された当該所定の個数を用いれば、消失移動体が障害物に隠れ始める前の速度及び移動方向を取得し得る。
【0065】
また、制御装置10は、消失移動体が消失したフレームよりも前の複数のフレームにおける速度及び移動方向を平均して消失移動体の速度及び移動方向を算出してもよい。制御装置10が消失移動体の速度及び移動方向を取得する方法は、特定の方法に限定されるものではない。
【0066】
制御装置10は、消失移動体の速度及び移動方向を取得すると、ステップSP15に進む。
【0067】
(ステップSP15)
本ステップは、制御装置10が現フレームにおいて消失移動体が存在すると推定される推定ボックスを投影平面に設定するステップである。
【0068】
たとえば、制御装置10は、ステップSP14で取得された消失移動体の速度及び移動方向が維持されると仮定された場合、現フレームにおける消失移動体の位置を推定する。以下では、現フレームにおいて推定される消失移動体の位置を推定位置と呼称する。制御装置10は、消失移動体が消失した時刻と現フレームの時刻との間の時間を消失移動体の速度に乗算して、消失移動体が消失してから現フレームまでの間に移動した距離を算出する。当該距離を算出すると、制御装置10は、消失移動体が消失したフレームの直前のフレームにおける消失移動体の位置から消失移動体の移動方向に向かって当該距離、移動した位置を推定位置として算出する。
【0069】
推定位置を算出すると、制御装置10は、推定位置に、消失移動体のバウンディングボックスに対応する推定ボックスを設定する。本実施形態では、制御装置10は、推定ボックスの重心が推定位置に重なるように推定ボックスを設定する。
【0070】
たとえば、推定ボックスは、複数のフレームにおける消失移動体のバウンディングボックスの中で最大のバウンディングボックスと同一又は概ね同一である。また、推定ボックスは、消失移動体が消失したフレームよりも2以上の所定の個数前のフレームにおけるバウンディングボックスと同一又は概ね同一であってもよい。また、推定ボックスは、消失移動体が消失したフレームよりも前の複数のフレームにおけるバウンディングボックスの平均でもよい。
【0071】
図5は、制御装置10が第1フレームに後続する第1後続フレームにおいて推定ボックス50Aを投影平面90に設定する動作を示す。前述の通り、制御装置10は、第1フレームにおいて第1移動体を検出する。また、第1後続フレームにおいて第1移動体は、消失する。第1移動体は、消失移動体である。制御装置10は、第1後続フレームにおいて、第1移動体が存在すると推定される推定ボックス50Aを設定する。
【0072】
制御装置10は、推定ボックスを投影平面に設定すると、ステップSP16に進む。
【0073】
(ステップSP16)
本ステップは、制御装置10が推定位置に基づく所定の範囲に検出された移動体を取得するステップである。以下では、当該所定の範囲に検出された移動体を候補移動体と呼称する。たとえば、制御装置10は、当該所定の範囲に検出された移動体を識別する識別情報を候補移動体の識別情報としてメモリ11に格納する。
【0074】
たとえば、制御装置10は、ステップSP12で移動体を検出した場合、当該移動体のバウンディングボックスと推定ボックスとが重なる面積を算出する。算出された面積が所定の閾値以下である場合、制御装置10は、当該移動体を、候補移動体として取得する。
【0075】
なお、制御装置10は、消失移動体が消失したフレームと現フレームとの間の時間が長いほど推定ボックスを拡大してもよい。この場合、時間が経過すると共に、所定の範囲は、拡大する。よって、現実の消失移動体の位置と推定位置とのずれが時間の経過と共に拡大しても、再出現した移動体が所定の範囲に含まれ得る。そのため、制御装置10は、現実の消失移動体の位置と推定位置とのずれが時間の経過により拡大しても、再出現した移動体を所定の範囲に検出し得る。
【0076】
また、制御装置10は、ステップSP12で検出された移動体の位置と推定位置との距離が所定の閾値以下である場合、当該移動体を候補移動体として取得してもよい。また、制御装置10は、当該移動体の位置と推定ボックスの縁との距離が所定の閾値以下である場合、当該移動体を候補移動体として取得してもよい。
【0077】
なお、制御装置10は、ステップSP12で検出された移動体が消失移動体の検出よりも前に検出されている場合、当該移動体を候補移動体として取得しなくともよい。
【0078】
図6は、第1後続フレームにさらに後続する第2フレームにおいて、制御装置10が候補移動体を取得する動作を示す。制御装置10は、第2フレームにおいても第1後続フレームと同様に、第1移動体が存在すると推定される推定ボックス50Bを設定する。
【0079】
第2フレームにおいて、制御装置10は、第2移動体を検出し、第2移動体の第2バウンディングボックス60を設定する。制御装置10は、第2移動体に第2移動体を識別する第2識別情報を設定している。
図6が示す例では、推定ボックス50Bと第2バウンディングボックス60とが重なる面積が所定の閾値以上であるため、制御装置10は、第2移動体を候補移動体として取得する。
【0080】
制御装置10は、候補移動体を取得した場合、ステップSP17に進み、候補移動体を取得しない場合、ステップSP19に進む。
【0081】
(ステップSP17)
本ステップは、候補移動体の特徴と消失移動体の特徴とが整合する場合、制御装置10が候補移動体の識別情報と消失移動体の識別情報とを対応付ける登録情報をメモリ11に格納するステップである。
【0082】
たとえば、制御装置10は、候補移動体の速度を取得する。制御装置は、候補移動体の速度とステップSP14で算出された消失移動体の速度との差が所定の閾値以下である場合、候補移動体の識別情報と消失移動体の識別情報とを対応付けた登録情報をメモリ11に格納する。
【0083】
また、制御装置10は、候補移動体が出現したフレームよりも2以上の所定の個数後のフレームにおける候補移動体の速度を取得してもよい。この場合、候補移動体の速度は、候補移動体が検出されたフレームよりも当該所定の個数以後のフレームにおける候補移動体の位置から算出される。
【0084】
移動体が障害物などから現れる場合、移動体のバウンディングボックスは、移動体の進行方向における前方又は後方から徐々に拡大する。そのため、拡大中のバウンディングボックスの位置は、現実の移動体の位置とずれているおそれがある。よって、拡大中のバウンディングボックスから算出された速度は、現実の移動体の速度と異なっているそれがある。ゆえに、候補移動体が出現したフレームよりも2以上の所定の個数以後のフレームにおける速度は、候補移動体が出現したフレームでの位置と直後のフレームでの位置とから算出される速度よりも現実の速度に近いと考えられる。したがって、制御装置10は、候補移動体が出現したフレームよりも2以上の所定の個数後のフレームにおける候補移動体の速度を取得することで、候補移動体のより正確な速度を取得し得る。
【0085】
また、制御装置10は、候補移動体の移動方向を取得する。制御装置は、候補移動体の移動方向とステップSP14で算出された移動方向とのなす角が所定の閾値以下である場合、候補移動体の識別情報と消失移動体の識別情報とを対応付けた登録情報をメモリ11に格納してもよい。
【0086】
また、制御装置10は、候補移動体が出現したフレームよりも2以上の所定の個数前のフレームにおける候補移動体の移動方向を取得してもよい。前述の通り、拡大中のバウンディングボックスの位置は、現実の移動体の位置とずれているおそれがある。よって、拡大中のバウンディングボックスから算出された移動方向は、現実の移動体の移動方向と異なっているそれがある。ゆえに、候補移動体が出現したフレームよりも2以上の所定の個数以後のフレームにおける移動方向は、候補移動体が出現したフレームでの位置と直後のフレームでの位置から算出される移動方向よりも現実の移動方向に近いと考えられる。したがって、制御装置10は、候補移動体が出現したフレームよりも2以上の所定の個数前のフレームにおける候補移動体の移動方向を取得することで、候補移動体のより正確な移動方向を取得し得る。
【0087】
また、制御装置10は、候補移動体のバウンディングボックスの面積と推定ボックスの面積との差が所定の閾値以下である場合、候補移動体の識別情報と消失移動体の識別情報とを対応付けた登録情報をメモリ11に格納してもよい。
【0088】
また、制御装置10は、所定のアルゴリズムに従って、候補移動体の速度、移動方向、及びバウンディングボックスの面積と、消失移動体の速度並びに移動方向、及び推定ボックスの面積と、の類似度を算出してもよい。制御装置10は、類似度が所定の閾値以上である場合、候補移動体の識別情報と消失移動体の識別情報とを対応付けた登録情報をメモリ11に格納してもよい。
【0089】
候補移動体の特徴と消失移動体の特徴とが整合するか否かを判断する方法は、特定の方法に限定されるものではない。
【0090】
候補移動体が複数存在する場合、制御装置10は、特徴が消失移動体の特徴と整合する候補移動体の識別情報と消失移動体の識別情報とを対応付けた登録情報をメモリ11に格納してもよい。また、特徴が消失移動体の特徴と整合する候補移動体が複数存在する場合、制御装置10は、エラーをモニタ30に表示してもよい。
【0091】
制御装置10は、候補移動体の識別情報と消失移動体の識別情報とを対応付けた登録情報に格納すると、ステップSP18に進む。なお、候補移動体の特徴と消失移動体の特徴とが整合しない場合、制御装置10は、ステップSP19に進んでもよい。
【0092】
(ステップSP18)
本ステップは、制御装置10が登録情報に基づいて候補移動体に消失移動体の識別情報を設定するステップである。
【0093】
制御装置10は、ステップSP12で移動体を検出した場合、当該移動体の識別情報を登録情報から検索する。登録情報に当該移動体の識別情報が存在する場合、制御装置10は、当該移動体の元の識別情報に、登録情報において当該識別情報に対応付けられている識別情報を上書きする。
【0094】
図7は、第2フレームに後続する第2後続フレームにおいて制御装置10が候補移動体に消失移動体の識別情報を設定する動作を示す。
図7が示す例では、制御装置10は、ステップSP12で第2移動体に第2識別情報を設定し第2バウンディングボックス60を投影平面90に設定する。制御装置10は、第2後続フレームにおいて、制御装置10は、登録情報に基づいて第2移動体の元の識別情報に第1識別情報を上書きする。制御装置10は、第2後続フレーム以後においても同様に登録情報に基づいて第2移動体の元の識別情報に第1識別情報を上書きする。
【0095】
なお、制御装置10は、第2フレームにおいて、候補移動体の特徴と消失移動体の特徴とが整合してれば、第2識別情報と第1識別情報とを対応付けた登録情報を格納し、第2移動体の元の識別情報に第1識別情報を上書きしてもよい。
【0096】
制御装置10は、候補移動体に消失移動体の識別情報を設定すると、ステップSP19に進む。
【0097】
(ステップSP19)
本ステップは、制御装置10が検出された移動体に関する情報をモニタ30に表示するステップである。制御装置10は、バウンディングボックス及び識別情報などを含む投影平面90をモニタ30に表示する。制御装置10は、移動体のバウンディングボックスと、ステップSP12又はステップSP18で当該移動体に設定された識別情報とをモニタ30に表示する。制御装置10は、移動体の速度及び移動方向をモニタ30に表示してもよい。
【0098】
バウンディングボックス及び識別情報などをモニタ30に表示すると、制御装置10は、ステップSP11に戻る。なお、制御装置10は、ステップSP19を完了してから所定の時間が経過した後にステップSP11に戻ってもよい。
【0099】
次に、制御装置10がステップSP19においてモニタ30に表示する表示画面について説明する。
図8は、測定領域Sにおける移動体の動きを示す。以下の説明では、
図8に示すように移動体が移動した場合においてモニタ30に表示される表示画面について説明する。
【0100】
図8では、測定領域Sにおいて移動体Vが存在する。移動体Vは、
図8において右から左に移動する。また、移動体Vは、障害物70の左側から障害物70の背後に進行する。移動体Vは、一時的に障害物70の背後に隠れ、再び障害物70の右から現れる。
【0101】
図9から
図11は、制御装置10がモニタ30に表示ずる表示画面100を示す。
図9は、移動体Vが障害物70に隠れる前における表示画面100を示す。移動体Vが障害物70に隠れるまでは、制御装置10は、移動体Vを検出し、移動体Vのバウンディングボックス110を表示画面100に表示する。また、制御装置10は、バウンディングボックス110の近傍に移動体Vに関する情報を表示する表示領域111を設定する。制御装置10は、表示領域111に、移動体Vの識別情報及び速度を表示する。
図9では、制御装置10は、移動体Vの識別情報として「001」、及び、速度として「15km/h」を表示する。また、制御装置10は、移動体Vの移動方向を示す矢印112を表示する。
【0102】
図10は、移動体Vが障害物70の背後に隠れている場合における表示画面100を示す。移動体Vが障害物70の背後に隠れると、制御装置10は、移動体Vを検出せず、バウンディングボックス110、表示領域111及び矢印112を表示しない。
【0103】
図11は、移動体Vが障害物70から現れた後における表示画面100を示す。移動体Vが障害物70から現れると、制御装置10は、移動体Vを再び検出する。前述の通り、制御装置10は、当該移動体Vに、障害物70に隠れる前の移動体Vの識別情報を設定する。当該移動体Vに当該識別情報を設定すると、制御装置10は、移動体Vのバウンディングボックス110を表示画面100に表示する。また、上記と同様に、制御装置10は、バウンディングボックス110の近傍に移動体Vに関する情報を表示する表示領域111を設定する。制御装置10は、表示領域111に、移動体Vの識別情報及び速度を表示する。
図11では、制御装置10は、移動体Vの識別情報として「001」、及び、速度として「15.5km/h」を表示する。また、制御装置10は、移動体Vの移動方向を示す矢印112を表示する。
【0104】
上記の通り、制御装置10は、移動体Vが検出されたフレームより後であり移動体Vが消失しているフレームにおいて、移動体Vの速度及び移動方向が継続すると仮定された場合の移動体Vの位置に基づく所定の範囲に検出された移動体を識別する識別情報として移動体Vの識別情報をモニタ30に表示する。
【0105】
なお、
図9から
図11において、制御装置10は、障害物70を検出した場合、障害物70のバウンディングボックスなどを表示してもよい。
【0106】
また、制御装置10は、識別情報を色として表示してもよい。たとえば、制御装置10は、バウンディングボックスの色を識別情報に応じて変更してもよい。
【0107】
また、制御装置10は、移動体Vの種類を示す情報を表示画面100に表示してもよい。たとえば、制御装置10は、「セダン」、「トラック」などの文字列を表示領域111などに表示してもよい。
【0108】
また、制御装置10は、移動体Vが検出されたフレーム以前のフレームにおける移動体Vの位置から推定位置を算出してもよい。たとえば、制御装置は、当該位置に基づいて回帰曲線を算出し、回帰曲線に基づいて推定位置を算出してもよい。制御装置10が推定位置を算出する方法は、特定の方法に限定されるものではない。
【0109】
また、移動体Vは、航空機、船舶、人、動物などであってもよい。この場合、制御装置10は、移動体の種類を示す情報として、「航空機」、「船舶」、「人」、「動物」などの文字列を表示してもよい。
【0110】
また、制御装置10は、複数のバウンディングボックス間の距離が所定の閾値以下である場合、複数のバウンディングボックスを1つのバウンディングボックスとして設定しなおしてもよい。
【0111】
また、制御装置10は、ドップラー効果などを用いて移動体の速度を測定する測定装置から移動体Vの速度を取得してもよい。
【0112】
また、制御装置10は、推定位置が投影平面90から外れる場合には推定ボックスを設定しなくともよい。また、制御装置10は、候補移動体の識別情報と消失移動体の識別情報とを対応付けた登録情報をメモリ11に格納してから所定の時間が経過した場合、当該登録情報をメモリ11から削除してもよい。
【0113】
また、制御装置10は、移動体の識別情報と移動体の位置とを対応付けた情報をメモリ11に格納してもよい。また、制御装置10は、当該情報を外部装置に送信してもよい。
【0114】
また、LiDARシステム1は、モニタ30を備えなくともよい。この場合、LiDARシステム1は、表示画面100を表示させる制御信号を外部のモニタなどに送信してもよい。
また、LiDARシステム1は、移動体に設置されるものであってもよい。
【0115】
以上の構成を有するLiDARシステム1は、消失した移動体の速度及び移動方法から、消失後のフレームにおける当該移動体の推定位置を算出する。LiDARシステム1は、推定位置に基づく所定の範囲に移動体を検出した場合、検出された移動体に消失した移動体の識別情報を設定する。そのため、LiDARシステム1は、移動体が消失した場合であっても、消失した移動体と再出現した移動体とに同一の識別情報を設定し得る。よって、LiDARシステム1は、移動体を適切に同定し追跡し得る。
【0116】
また、LiDARシステム1は、所定の範囲に検出された移動体の特徴と消失した移動体の特徴とが整合する場合、所定の範囲に検出された移動体に消失した移動体の識別情報を設定する。そのため、LiDARシステム1は、所定の範囲に消失した移動体と異なる移動体を検出した場合、異なる移動体に消失した移動体の識別情報を設定してしまうことを抑制し得る。よって、LiDARシステム1は、所定の範囲に消失した移動体と異なる移動体を検出した場合であっても、消失した移動体と再出現した移動体とを適切に同定し追跡し得る。なお、上記の動作は、必須でない。LiDARシステム1は、所定の範囲に移動体を検出した場合、上記の動作を行うことなく、検出された移動体に消失した移動体の識別情報を設定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明によれば、移動体が消失した場合であっても消失した移動体と再出現した移動体とを適切に同定し追跡し得るLiDARシステム及び制御装置が提供され、車両などの移動体を検出する分野などにおいて利用可能である。
【符号の説明】
【0118】
1・・・LiDARシステム
10・・・制御装置
11・・・メモリ
12・・・センサインターフェース
13・・・モニタインターフェース
20・・・LiDAR装置
30・・・モニタ
40・・・第1バウンディングボックス
50A・・・推定ボックス
50B・・・推定ボックス
60・・・第2バウンディングボックス