(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178861
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
F24F 5/00 20060101AFI20241218BHJP
F24F 11/65 20180101ALI20241218BHJP
【FI】
F24F5/00 101A
F24F5/00 102Z
F24F11/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097341
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】399040106
【氏名又は名称】ゼネラルヒートポンプ工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514209375
【氏名又は名称】株式会社エナジア
(74)【代理人】
【識別番号】100180552
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 旭洋
(72)【発明者】
【氏名】柴 芳郎
(72)【発明者】
【氏名】津谷 駿介
(72)【発明者】
【氏名】谷藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 澂雄
(72)【発明者】
【氏名】木下 琢也
(72)【発明者】
【氏名】正木 一郎
(72)【発明者】
【氏名】白石 昇央
【テーマコード(参考)】
3L054
3L260
【Fターム(参考)】
3L054BF10
3L054BF11
3L054BG08
3L054BH04
3L054BH07
3L260AB01
3L260AB06
3L260AB20
3L260BA46
3L260CA12
3L260CA32
3L260CB06
3L260CB81
3L260EA06
3L260FA02
3L260FB21
(57)【要約】
【課題】空調が行われる場合の運転方式を切り替えることが可能な空調システムを提供する。
【解決手段】空調システム1Aは、蓄熱槽15、温度センサ232、及び空調機161を備えている。蓄熱槽15は、第一熱媒体30を貯留する。温度センサ232は、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度である第一熱媒体温度を検出する。空調機161は、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30に由来する熱を利用して、暖房運転を行うことができる。空調機161が暖房運転する場合に、温度センサ232によって検出された、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度に応じて、複数の暖房運転の方式を切り替えることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一熱媒体を貯留する貯留部と、
前記貯留部に貯留された前記第一熱媒体の温度である第一熱媒体温度を検出する第一温度検出部と、
少なくとも前記第一熱媒体に由来する熱を利用して、暖房運転を行うことが可能であり、空調室内の温度を調整する空調部と、
前記空調部が暖房運転する場合に、前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度に応じて、複数の暖房運転の方式を切り替える暖房運転切替手段と
を備えたことを特徴とする空調システム。
【請求項2】
ヒートポンプ方式によって熱交換を行うヒートポンプ部を備え、
前記暖房運転切替手段は、
前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度が、第一温度より高い場合に、第一液体に由来する熱が、前記ヒートポンプ部が存在する経路とは異なる経路で前記空調部に供給され、前記空調部において第一暖房運転を行う第一暖房運転手段と、
前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度が、前記第一温度以下である場合に、前記第一液体に由来する熱を利用して、前記ヒートポンプ部において第二液体を加熱し、前記空調部において前記第二液体を熱源として第二暖房運転を行う第二暖房運転手段と
を備え、
前記第一液体は、前記第一熱媒体そのもの、又は、前記貯留部の前記第一熱媒体によって加熱される液体であり、
前記第二液体は、前記ヒートポンプ部と前記空調部との間の液体であることを特徴とする請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記第一暖房運転手段は、
前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度が、前記第一温度より高い場合に、前記貯留部から前記空調部に前記第一液体を送り、前記空調部にて前記第一液体を熱源として前記第一暖房運転を行い、
前記第二暖房運転手段は、
前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度が、前記第一温度以下である場合に、前記貯留部から前記ヒートポンプ部に前記第一液体を送り、前記ヒートポンプ部において、前記第一液体と前記第二液体との間で熱交換して、前記第二液体を加熱し、前記空調部において前記第二液体を熱源として前記第二暖房運転を行うことを特徴とする請求項2に記載の空調システム。
【請求項4】
熱交換によって前記第一液体から採熱する第一熱交換部を備え、
前記第一暖房運転手段は、
前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度が、前記第一温度より高い場合に、前記第一熱交換部において前記第一液体と第五液体との間で熱交換して前記第五液体を加熱し、前記空調部において前記第五液体を熱源として前記第一暖房運転を行い、
前記第二暖房運転手段は、
前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度が、前記第一温度以下である場合に、前記第一熱交換部において前記第一液体と第六液体との間で熱交換して前記第六液体を加熱し、前記ヒートポンプ部において前記第六液体と前記第二液体との間で熱交換して前記第二液体を加熱し、前記空調部において前記第二液体を熱源として前記第二暖房運転を行い、
前記第五液体は、前記第一熱交換部と前記空調部との間の液体であり、
前記第六液体は、前記第一熱交換部と前記ヒートポンプ部との間の液体であることを特徴とする請求項2に記載の空調システム。
【請求項5】
前記第二暖房運転手段は、前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度が、前記第一温度より低い第二温度より高く、且つ、前記第一温度以下である場合に、前記第二暖房運転を行い、
前記暖房運転切替手段は、
前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度が、前記第二温度以下である場合に、第二熱媒体に由来する熱を利用して、前記ヒートポンプ部において前記第二液体を加熱し、前記空調部において前記第二液体を熱源として第三暖房運転を行う第三暖房運転手段を備え、
前記第二熱媒体は、地中熱と熱交換される媒体、又は、井戸水であることを特徴とする請求項3又は4に記載の空調システム。
【請求項6】
前記第二熱媒体の温度である第二熱媒体温度を検出する第二温度検出部と、
前記空調室の室内温度を検出する室内温度検出部と
を備え、
前記室内温度検出部によって検出された前記室内温度が、前記第二温度検出部によって検出された前記第二熱媒体温度より高い状態において、前記室内温度と前記第二熱媒体温度との温度差に応じて、複数の冷房運転の方式を切り替える冷房運転切替手段を備えたことを特徴とする請求項5に記載の空調システム。
【請求項7】
前記冷房運転切替手段は、
前記室内温度検出部によって検出された前記室内温度が、前記第二温度検出部によって検出された前記第二熱媒体温度より高い状態において、前記室内温度と前記第二熱媒体温度との前記温度差が所定温度差より大きい場合に、前記第二熱媒体に由来する冷熱が、前記ヒートポンプ部が存在する経路とは異なる経路で前記空調部に供給され、前記空調部において第一冷房運転を行う第一冷房運転手段と、
前記室内温度検出部によって検出された前記室内温度が、前記第二温度検出部によって検出された前記第二熱媒体温度より高い状態において、前記室内温度と前記第二熱媒体温度との前記温度差が前記所定温度差以下の場合に、前記第二熱媒体に由来する冷熱を利用して、前記ヒートポンプ部において前記第二液体を冷却し、前記空調部において前記第二液体を熱源として第二冷房運転を行う第二冷房運転手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の空調システム。
【請求項8】
前記空調部の運転における前記空調室の室温の目標温度である室内設定温度を設定する室内温度設定部と、
外気温度を検出する外気温度検出部と
を備え、
前記第一冷房運転手段による前記第一冷房運転、又は、前記第二冷房運転手段による前記第二冷房運転が実行される場合において、前記外気温度検出部によって検出された前記外気温度が、前記室内温度設定部によって設定された前記室内設定温度より低い場合、又は前記室内設定温度より高く、前記室内温度より低い場合に、前記空調室の換気を行う換気手段を備えたことを特徴とする請求項7に記載の空調システム。
【請求項9】
前記貯留部に貯留された前記第一熱媒体を加熱する加熱部と、
前記加熱部によって前記第一熱媒体を加熱する加熱制御手段と
を備え、
前記暖房運転切替手段は、
前記第二暖房運転手段による前記第二暖房運転が行われている場合において、前記加熱制御手段によって前記第一熱媒体が加熱され、前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度が前記第一温度より高い第三温度以上となった場合に、前記第一暖房運転手段による前記第一暖房運転に切り替える第一切替手段を備えたことを特徴とする請求項8に記載の空調システム。
【請求項10】
前記暖房運転切替手段は、
前記第三暖房運転手段による前記第三暖房運転が行われている場合において、前記加熱制御手段によって前記第一熱媒体が加熱され、前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度が前記第二温度より高い第四温度以上となった場合に、前記第二暖房運転手段による前記第二暖房運転に切り替える第二切替手段を備えたことを特徴とする請求項9に記載の空調システム。
【請求項11】
熱交換によって前記第二熱媒体から採熱する第二熱交換部を備え、
前記第三暖房運転手段は、前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度が、前記第二温度以下である場合に、前記第二熱交換部において前記第二熱媒体と第三液体との間で熱交換して前記第三液体を加熱し、前記ヒートポンプ部において前記第三液体と前記第二液体との間で熱交換して前記第二液体を加熱し、前記空調部において前記第二液体を熱源として前記第三暖房運転を行い、
前記第三液体は、前記第二熱交換部と前記ヒートポンプ部との間の液体であることを特徴とする請求項10に記載の空調システム。
【請求項12】
前記第一冷房運転手段は、
前記室内温度検出部によって検出された前記室内温度が、前記第二温度検出部によって検出された前記第二熱媒体温度より高い状態において、前記室内温度と前記第二熱媒体温度との前記温度差が前記所定温度差より大きい場合に、前記第二熱交換部において前記第二熱媒体と第四液体との間で熱交換して前記第四液体を冷却し、前記空調部において前記第四液体を熱源として前記第一冷房運転を行い、
前記第二冷房運転手段は、
前記室内温度検出部によって検出された前記室内温度が、前記第二温度検出部によって検出された前記第二熱媒体温度より高い状態において、前記室内温度と前記第二熱媒体温度との前記温度差が前記所定温度差以下の場合に、前記第二熱交換部において前記第二熱媒体と前記第三液体との間で熱交換して前記第三液体を冷却し、前記ヒートポンプ部において前記第三液体と前記第二液体との間で熱交換して前記第二液体を冷却し、前記空調部において前記第二液体を熱源として前記第二冷房運転を行い、
前記第四液体は、前記第二熱交換部と前記空調部との間の液体であることを特徴とする請求項11に記載の空調システム。
【請求項13】
前記空調室に設けられ、前記空調室に給水を行う給水部と、
前記第二熱媒体を前記給水部に供給する給水制御手段と
を備え、
前記第二熱媒体は、前記井戸水であることを特徴とする請求項12に記載の空調システム。
【請求項14】
前記地中熱と前記媒体との間で熱交換する地中熱交換部を備え、
前記第二熱媒体は、前記地中熱と熱交換される前記媒体であり、
前記第三暖房運転手段は、前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度が、前記第二温度以下である場合に、前記地中熱交換部において前記地中熱と前記第二熱媒体との間で熱交換して前記第二熱媒体を加熱し、前記ヒートポンプ部において前記第二熱媒体と前記第二液体との間で熱交換して前記第二液体を加熱し、前記空調部において前記第二液体を熱源として前記第三暖房運転を行うことを特徴とする請求項10に記載の空調システム。
【請求項15】
前記第一冷房運転手段は、
前記室内温度検出部によって検出された前記室内温度が、前記第二温度検出部によって検出された前記第二熱媒体温度より高い状態において、前記室内温度と前記第二熱媒体温度との前記温度差が前記所定温度差より大きい場合に、前記地中熱交換部において前記地中熱と前記第二熱媒体との間で熱交換して前記第二熱媒体を冷却し、前記空調部において前記第二熱媒体を熱源として前記第一冷房運転を行い、
前記第二冷房運転手段は、
前記室内温度検出部によって検出された前記室内温度が、前記第二温度検出部によって検出された前記第二熱媒体温度より高い状態において、前記室内温度と前記第二熱媒体温度との前記温度差が前記所定温度差以下の場合に、前記地中熱交換部において前記地中熱と前記第二熱媒体との間で熱交換して前記第二熱媒体を冷却し、前記ヒートポンプ部において前記第二熱媒体と前記第二液体との間で熱交換して前記第二液体を冷却し、前記空調部において前記第二液体を熱源として前記第二冷房運転を行うことを特徴とする請求項14に記載の空調システム。
【請求項16】
前記第二熱媒体は、井戸水であり、
前記第三暖房運転手段は、前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度が、前記第二温度以下である場合に、前記ヒートポンプ部において前記第二熱媒体と前記第二液体との間で熱交換して前記第二液体を加熱し、前記空調部において前記第二液体を熱源として前記第三暖房運転を行うことを特徴とする請求項10に記載の空調システム。
【請求項17】
前記第一冷房運転手段は、
前記室内温度検出部によって検出された前記室内温度が、前記第二温度検出部によって検出された前記第二熱媒体温度より高い状態において、前記室内温度と前記第二熱媒体温度との前記温度差が前記所定温度差より大きい場合に、前記空調部において前記第二熱媒体を熱源として前記第一冷房運転を行い、
前記第二冷房運転手段は、
前記室内温度検出部によって検出された前記室内温度が、前記第二温度検出部によって検出された前記第二熱媒体温度より高い状態において、前記室内温度と前記第二熱媒体温度との前記温度差が前記所定温度差以下の場合に、前記ヒートポンプ部において前記第二熱媒体と前記第二液体との間で熱交換して前記第二液体を冷却し、前記空調部において前記第二液体を熱源として前記第二冷房運転を行うことを特徴とする請求項16に記載の空調システム。
【請求項18】
前記空調室に設けられ、前記空調室に給水を行う給水部と、
前記第二熱媒体を前記給水部に供給する給水制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項17に記載の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調室の空調を行う空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空調室の空調を行う空調システムが知られている。例えば、特許文献1に記載の空調システムは、日射集熱手段と空調機とを備えている。日射集熱手段は、日射を集める太陽熱集熱パネルを含む太陽集熱器と、貯湯槽とを備える。太陽熱集熱パネルによって得られた熱は、管路を介して貯湯槽に集められる。日射集熱手段によって集められた熱は、貯湯槽及び熱交換器を経由して、空調機のコイルに伝達される。空調機によって部屋の空気が温められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記空調システムでは、空調機が使用される運転方式について、貯湯槽から、熱交換器を介して、空調機のコイルに熱を伝達する運転方式しかない。このため、空調機の運転方式を変更することができず、貯湯槽に蓄えられた熱を効率的に使用しているとは言い難い側面があった。
【0005】
本発明の目的は、空調が行われる場合の運転方式を切り替えることが可能な空調システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る空調システムは、第一熱媒体を貯留する貯留部と、前記貯留部に貯留された前記第一熱媒体の温度である第一熱媒体温度を検出する第一温度検出部と、少なくとも前記第一熱媒体に由来する熱を利用して、暖房運転を行うことが可能であり、空調室内の温度を調整する空調部と、前記空調部が暖房運転する場合に、前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度に応じて、複数の暖房運転の方式を切り替える暖房運転切替手段とを備えている。この場合、空調システムは、第一熱媒体温度に応じて、複数の暖房運転の方式を切り替えることができる。このため、暖房運転の方式が切り替えられない場合に比べて、貯留部に蓄えられた熱を効率的に使用することができる。
【0007】
前記空調システムは、ヒートポンプ方式によって熱交換を行うヒートポンプ部を備え、前記暖房運転切替手段は、前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度が、第一温度より高い場合に、第一液体に由来する熱が、前記ヒートポンプ部が存在する経路とは異なる経路で前記空調部に供給され、前記空調部において第一暖房運転を行う第一暖房運転手段と、前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度が、前記第一温度以下である場合に、前記第一液体に由来する熱を利用して、前記ヒートポンプ部において第二液体を加熱し、前記空調部において前記第二液体を熱源として第二暖房運転を行う第二暖房運転手段とを備え、前記第一液体は、前記第一熱媒体そのもの、又は、前記貯留部の前記第一熱媒体によって加熱される液体であり、前記第二液体は、前記ヒートポンプ部と前記空調部との間の液体であってもよい。
【0008】
この場合、第一熱媒体温度が、第一温度より高い場合には、第一暖房運転が実行される。これによって、第一液体に由来する熱が、ヒートポンプ部が存在する経路とは異なる経路で空調部に供給され、空調部において暖房の熱源として利用される。これによって、暖房のためにヒートポンプ部が使用される場合に比べて、空調システムの消費電力が小さくなり、効率が向上する。空調部によって第一液体から採熱されることで、第一熱媒体温度が下がって第一温度以下となると、第一暖房運転から第二暖房運転に切り替わる。これによって、ヒートポンプ部が使用された暖房運転である第二暖房運転に切り替わり、第一液体に由来する熱を利用して、ヒートポンプ部において第二液体を加熱し、空調部において第二液体を熱源として暖房が行われる。よって、ヒートポンプ部が使用されない場合に比べて、空調部に送られる熱媒体(すなわち、第二液体)の温度は高くなる。このため、ヒートポンプ部が使用されない場合に比べて、貯留部に貯留された第一熱媒体の第一熱媒体温度がより低い温度となるまで、第一熱媒体の熱を暖房運転に使用できる。よって、貯留部に貯留された第一熱媒体の熱をより効率的に使用できる。
【0009】
前記空調システムにおいて、前記第一暖房運転手段は、前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度が、前記第一温度より高い場合に、前記貯留部から前記空調部に前記第一液体を送り、前記空調部にて前記第一液体を熱源として前記第一暖房運転を行い、前記第二暖房運転手段は、前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度が、前記第一温度以下である場合に、前記貯留部から前記ヒートポンプ部に前記第一液体を送り、前記ヒートポンプ部において、前記第一液体と前記第二液体との間で熱交換して、前記第二液体を加熱し、前記空調部において前記第二液体を熱源として前記第二暖房運転を行ってもよい。この場合、第一暖房運転では、第一液体が貯留部から空調部に直接送られ、空調室の暖房が行われる。これによって、第一熱媒体に由来する熱が使用され、暖房が行われる。第二暖房運転が行われる場合には、第一熱媒体に由来する熱が、ヒートポンプ部を介して空調部に供給され、空調室の暖房が行われる。このため、例えば、熱交換部とヒートポンプ部との両方が設けられる場合より、空調システムのコストを低減することができる。また、第一暖房運転では、第一液体が直接空調部に供給されて空調が行われる。このため、貯留部と空調部との間に熱交換部が設けられる場合に比べて、熱交換部で熱エネルギーが消費されることがなく、熱を空調部に伝達する効率が向上する。また、第二暖房運転では、第一液体が直接ヒートポンプ部に供給されて熱交換される。このため、貯留部とヒートポンプ部との間に熱交換部が設けられる場合に比べて、熱交換部で熱エネルギーが消費されることがなく、熱を空調部に伝達する効率が向上する。
【0010】
前記空調システムにおいて、熱交換によって前記第一液体から採熱する第一熱交換部を備え、前記第一暖房運転手段は、前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度が、前記第一温度より高い場合に、前記第一熱交換部において前記第一液体と第五液体との間で熱交換して前記第五液体を加熱し、前記空調部において前記第五液体を熱源として前記第一暖房運転を行い、前記第二暖房運転手段は、前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度が、前記第一温度以下である場合に、前記第一熱交換部において前記第一液体と第六液体との間で熱交換して前記第六液体を加熱し、前記ヒートポンプ部において前記第六液体と前記第二液体との間で熱交換して前記第二液体を加熱し、前記空調部において前記第二液体を熱源として前記第二暖房運転を行い、前記第五液体は、前記第一熱交換部と前記空調部との間の液体であり、前記第六液体は、前記第一熱交換部と前記ヒートポンプ部との間の液体であってもよい。この場合、第一暖房運転が行われる場合には、第一熱媒体に由来する熱が、第一熱交換部を介して、空調部に供給され、空調室の暖房が行われる。第二暖房運転が行われる場合には、第一熱媒体に由来する熱が、第一熱交換部とヒートポンプ部とを介して空調部に供給され、空調室の暖房が行われる。第一熱交換部が設けられているので、第一液体が直接ヒートポンプ部に供給されない。このため、例えば、第一液体に不純物が含まれていた場合でも、ヒートポンプ部が不純物の影響によって故障する可能性を低減できる。
【0011】
前記空調システムにおいて、前記第二暖房運転手段は、前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度が、前記第一温度より低い第二温度より高く、且つ、前記第一温度以下である場合に、前記第二暖房運転を行い、前記暖房運転切替手段は、前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度が、前記第二温度以下である場合に、第二熱媒体に由来する熱を利用して、前記ヒートポンプ部において前記第二液体を加熱し、前記空調部において前記第二液体を熱源として第三暖房運転を行う第三暖房運転手段を備え、前記第二熱媒体は、地中熱と熱交換される媒体、又は、井戸水であってもよい。
【0012】
この場合、第一熱媒体温度が、第二温度より高く、且つ、第一温度以下である場合には、第一液体が貯留部からヒートポンプ部に送られ、ヒートポンプ部を使用した第二暖房運転が行われる。ヒートポンプ部によって第一液体から採熱されることで、貯留部に貯留された第一熱媒体の第一熱媒体温度が下がり、第二温度以下となると、第二暖房運転から第三暖房運転に切り替わる。これによって、第二熱媒体が熱源として使用される暖房運転に切り替わり、貯留部に貯留された第一熱媒体から熱が採熱されなくなる。このため、第一熱媒体の温度が下がりすぎて暖房に使用できなくなる可能性を低減できる。一方、第二熱媒体は、地中熱と熱交換される媒体、又は、井戸水であるため、温度は変化しにくい。このため、空調部による暖房を継続することができる。また、第一熱媒体温度が低すぎるにもかかわらず、ヒートポンプ部によって採熱され、ヒートポンプ部の消費電力が大きくなる場合に比べて、空調システムの消費電力が小さくなり、効率が向上する。
【0013】
前記空調システムは、前記第二熱媒体の温度である第二熱媒体温度を検出する第二温度検出部と、前記空調室の室内温度を検出する室内温度検出部とを備え、前記室内温度検出部によって検出された前記室内温度が、前記第二温度検出部によって検出された前記第二熱媒体温度より高い状態において、前記室内温度と前記第二熱媒体温度との温度差に応じて、複数の冷房運転の方式を切り替える冷房運転切替手段を備えてもよい。この場合、室内温度と第二熱媒体温度との温度差に応じて、複数の冷房運転の方式を切り替えることができる。このため、空調室の熱負荷が変動しているにもかかわらず、冷房運転の方式が切り替えられない場合に比べて、空調システムの消費電力を小さくなり、効率が向上する。
【0014】
前記空調システムにおいて、前記冷房運転切替手段は、前記室内温度検出部によって検出された前記室内温度が、前記第二温度検出部によって検出された前記第二熱媒体温度より高い状態において、前記室内温度と前記第二熱媒体温度との前記温度差が所定温度差より大きい場合に、前記第二熱媒体に由来する冷熱が、前記ヒートポンプ部が存在する経路とは異なる経路で前記空調部に供給され、前記空調部において第一冷房運転を行う第一冷房運転手段と、前記室内温度検出部によって検出された前記室内温度が、前記第二温度検出部によって検出された前記第二熱媒体温度より高い状態において、前記室内温度と前記第二熱媒体温度との前記温度差が前記所定温度差以下の場合に、前記第二熱媒体に由来する冷熱を利用して、前記ヒートポンプ部において前記第二液体を冷却し、前記空調部において前記第二液体を熱源として第二冷房運転を行う第二冷房運転手段を備えてもよい。
【0015】
この場合、室内温度と第二熱媒体温度との温度差が、所定温度差より大きい場合には、第二熱媒体に由来する冷熱が、ヒートポンプ部が存在する経路とは異なる経路で空調部に供給され、空調部において冷房の熱源として利用される。これによって、冷房のためにヒートポンプ部が使用される場合に比べて、空調システムの消費電力が小さくなり、効率が向上する。室内温度が変わったり、季節等によって第二熱媒体の温度が変わったりして、温度差が、所定温度差以下となった場合には、第一冷房運転から第二冷房運転に切り替わる。これによって、ヒートポンプ部が使用された冷房運転に切り替わる。よって、ヒートポンプ部が使用されない場合に比べて、空調部に送られる熱媒体(すなわち、第二液体)の温度は低くなる。このため、温度差が、所定温度差以下の場合に、ヒートポンプ部が使用されない場合に比べて、空調部によって空調室を冷却しやすくなる。
【0016】
前記空調システムは、前記空調部の運転における前記空調室の室温の目標温度である室内設定温度を設定する室内温度設定部と、外気温度を検出する外気温度検出部とを備え、前記第一冷房運転手段による前記第一冷房運転、又は、前記第二冷房運転手段による前記第二冷房運転が実行される場合において、前記外気温度検出部によって検出された前記外気温度が、前記室内温度設定部によって設定された前記室内設定温度より低い場合、又は前記室内設定温度より高く、前記室内温度より低い場合に、前記空調室の換気を行う換気手段を備えてもよい。この場合、空調部の冷房運転が行われる場合に、空調室の換気が行われるので、換気が行われない場合に比べて、空調室の温度が下がるのが早くなる。よって、冷房の第一冷房運転のみ、又は、第二冷房運転のみが行われ、空調室の換気が行われない場合に比べて、空調システムの消費電力が小さくなり、効率が向上する。
【0017】
前記空調システムは、前記貯留部に貯留された前記第一熱媒体を加熱する加熱部と、前記加熱部によって前記第一熱媒体を加熱する加熱制御手段とを備え、前記暖房運転切替手段は、前記第二暖房運転手段による前記第二暖房運転が行われている場合において、前記加熱制御手段によって前記第一熱媒体が加熱され、前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度が前記第一温度より高い第三温度以上となった場合に、前記第一暖房運転手段による前記第一暖房運転に切り替える第一切替手段を備えてもよい。この場合、加熱部によって第一熱媒体が加熱されたうえで、ヒートポンプ部を使用しない第一暖房運転に切り替えられるので、加熱部が設けられていない場合に比べて、第一暖房運転を長い時間、実行することができる。また、ヒートポンプ部を使用する第二暖房運転から、ヒートポンプ部を使用しない第一暖房運転に切り替えられるので、空調システムの消費電力が小さくなり、効率が向上する。
【0018】
前記空調システムにおいて、前記暖房運転切替手段は、前記第三暖房運転手段による前記第三暖房運転が行われている場合において、前記加熱制御手段によって前記第一熱媒体が加熱され、前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度が前記第二温度より高い第四温度以上となった場合に、前記第二暖房運転手段による前記第二暖房運転に切り替える第二切替手段を備えてもよい。この場合、加熱部によって第一熱媒体が加熱されたうえで、第三暖房運転から第二暖房運転に切り替えられるので、加熱部が設けられていない場合に比べて、第二暖房運転を長い時間、実行することができる。また、第二熱媒体を使用する第三暖房運転から、第一熱媒体を使用する第二暖房運転に切り替えられる。第二暖房運転において加熱部によって加熱された第一熱媒体が、熱源として使用されるので、加熱されていない第二熱媒体が熱源として使用されるより、暖房時の空調システムの消費電力が小さくなり、効率が向上する。
【0019】
前記空調システムは、熱交換によって前記第二熱媒体から採熱する第二熱交換部を備え、前記第三暖房運転手段は、前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度が、前記第二温度以下である場合に、前記第二熱交換部において前記第二熱媒体と第三液体との間で熱交換して前記第三液体を加熱し、前記ヒートポンプ部において前記第三液体と前記第二液体との間で熱交換して前記第二液体を加熱し、前記空調部において前記第二液体を熱源として前記第三暖房運転を行い、前記第三液体は、前記第二熱交換部と前記ヒートポンプ部との間の液体であってもよい。この場合、第三暖房運転が行われる場合には、第二熱媒体に由来する熱が、第二熱交換部及びヒートポンプ部を介して空調部に供給され、空調室の暖房が行われる。第二熱交換部が設けられているので、第二熱媒体が直接ヒートポンプ部に供給されない。このため、例えば、第二熱媒体に不純物が含まれていた場合でも、ヒートポンプ部が不純物の影響によって故障する可能性を低減できる。
【0020】
前記空調システムにおいて、前記第一冷房運転手段は、前記室内温度検出部によって検出された前記室内温度が、前記第二温度検出部によって検出された前記第二熱媒体温度より高い状態において、前記室内温度と前記第二熱媒体温度との前記温度差が前記所定温度差より大きい場合に、前記第二熱交換部において前記第二熱媒体と第四液体との間で熱交換して前記第四液体を冷却し、前記空調部において前記第四液体を熱源として前記第一冷房運転を行い、前記第二冷房運転手段は、前記室内温度検出部によって検出された前記室内温度が、前記第二温度検出部によって検出された前記第二熱媒体温度より高い状態において、前記室内温度と前記第二熱媒体温度との前記温度差が前記所定温度差以下の場合に、前記第二熱交換部において前記第二熱媒体と前記第三液体との間で熱交換して前記第三液体を冷却し、前記ヒートポンプ部において前記第三液体と前記第二液体との間で熱交換して前記第二液体を冷却し、前記空調部において前記第二液体を熱源として前記第二冷房運転を行い、前記第四液体は、前記第二熱交換部と前記空調部との間の液体であってもよい。この場合、第一冷房運転では、第二熱媒体に由来する冷熱が、第二熱交換部を介して空調部に供給され、空調室の冷房が行われる。第二冷房運転では、第二熱媒体に由来する冷熱が、第二熱交換部及びヒートポンプ部を介して空調部に供給され、空調室の冷房が行われる。第二熱交換部が設けられているので、第一冷房運転及び第二冷房運転が行われる場合に、第二熱媒体が直接ヒートポンプ部に供給されない。このため、例えば、第二熱媒体に不純物が含まれていた場合でも、ヒートポンプ部が不純物の影響によって故障する可能性を低減できる。
【0021】
前記空調システムは、前記空調室に設けられ、前記空調室に給水を行う給水部と、前記第二熱媒体を前記給水部に供給する給水制御手段とを備え、前記第二熱媒体は、前記井戸水であってもよい。この場合、空調室に給水を行うことできる。
【0022】
前記空調システムは、前記地中熱と前記媒体との間で熱交換する地中熱交換部を備え、前記第二熱媒体は、前記地中熱と熱交換される前記媒体であり、前記第三暖房運転手段は、前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度が、前記第二温度以下である場合に、前記地中熱交換部において前記地中熱と前記第二熱媒体との間で熱交換して前記第二熱媒体を加熱し、前記ヒートポンプ部において前記第二熱媒体と前記第二液体との間で熱交換して前記第二液体を加熱し、前記空調部において前記第二液体を熱源として前記第三暖房運転を行ってもよい。
【0023】
この場合、第三暖房運転が行われる場合には、第二熱媒体に由来する熱が、ヒートポンプ部を介して空調部に供給され、空調室の暖房が行われる。このため、例えば、熱交換部とヒートポンプ部との両方が設けられる場合より、空調システムのコストを低減することができる。また、第二熱媒体が直接ヒートポンプ部に供給されて熱交換される。このため、地中熱交換部とヒートポンプ部との間に熱交換部が設けられる場合に比べて、熱交換部で熱エネルギーが消費されることがなく、熱を空調部に伝達する効率が向上する。
【0024】
前記空調システムにおいて、前記第一冷房運転手段は、前記室内温度検出部によって検出された前記室内温度が、前記第二温度検出部によって検出された前記第二熱媒体温度より高い状態において、前記室内温度と前記第二熱媒体温度との前記温度差が前記所定温度差より大きい場合に、前記地中熱交換部において前記地中熱と前記第二熱媒体との間で熱交換して前記第二熱媒体を冷却し、前記空調部において前記第二熱媒体を熱源として前記第一冷房運転を行い、前記第二冷房運転手段は、前記室内温度検出部によって検出された前記室内温度が、前記第二温度検出部によって検出された前記第二熱媒体温度より高い状態において、前記室内温度と前記第二熱媒体温度との前記温度差が前記所定温度差以下の場合に、前記地中熱交換部において前記地中熱と前記第二熱媒体との間で熱交換して前記第二熱媒体を冷却し、前記ヒートポンプ部において前記第二熱媒体と前記第二液体との間で熱交換して前記第二液体を冷却し、前記空調部において前記第二液体を熱源として前記第二冷房運転を行ってもよい。
【0025】
この場合、第一冷房運転では、第二熱媒体に由来する冷熱が、直接空調部に供給され、空調室の冷房が行われる。第二冷房運転では、第二熱媒体に由来する冷熱が、ヒートポンプ部を介して空調部に供給され、空調室の冷房が行われる。このため、例えば、熱交換部とヒートポンプ部との両方が設けられる場合より、空調システムのコストを低減することができる。また、第一冷房運転では、第二熱媒体が直接空調部に供給されて空調が行われる。このため、地中熱交換部と空調部との間に熱交換部が設けられる場合に比べて、熱交換部で熱エネルギーが消費されることがなく、熱を空調部に伝達する効率が向上する。また、第二冷房運転では、第二熱媒体が直接ヒートポンプ部に供給されて熱交換される。このため、地中熱交換部とヒートポンプ部との間に熱交換部が設けられる場合に比べて、熱交換部で熱エネルギーが消費されることがなく、熱を空調部に伝達する効率が向上する。
【0026】
前記空調システムにおいて、前記第二熱媒体は、井戸水であり、前記第三暖房運転手段は、前記第一温度検出部によって検出された前記第一熱媒体温度が、前記第二温度以下である場合に、前記ヒートポンプ部において前記第二熱媒体と前記第二液体との間で熱交換して前記第二液体を加熱し、前記空調部において前記第二液体を熱源として前記第三暖房運転を行ってもよい。この場合、第三暖房運転が行われる場合には、第二熱媒体である井戸水に由来する熱が、ヒートポンプ部を介して空調部に供給され、空調室の暖房が行われる。このため、例えば、熱交換部とヒートポンプ部との両方が設けられる場合より、空調システムのコストを低減することができる。また、第二熱媒体が直接ヒートポンプ部に供給されて熱交換される。このため、井戸水の供給源となる井戸と、ヒートポンプ部との間に熱交換部が設けられる場合に比べて、熱交換部で熱エネルギーが消費されることがなく、熱を空調部に伝達する効率が向上する。
【0027】
前記空調システムにおいて、前記第一冷房運転手段は、前記室内温度検出部によって検出された前記室内温度が、前記第二温度検出部によって検出された前記第二熱媒体温度より高い状態において、前記室内温度と前記第二熱媒体温度との前記温度差が前記所定温度差より大きい場合に、前記空調部において前記第二熱媒体を熱源として前記第一冷房運転を行い、前記第二冷房運転手段は、前記室内温度検出部によって検出された前記室内温度が、前記第二温度検出部によって検出された前記第二熱媒体温度より高い状態において、前記室内温度と前記第二熱媒体温度との前記温度差が前記所定温度差以下の場合に、前記ヒートポンプ部において前記第二熱媒体と前記第二液体との間で熱交換して前記第二液体を冷却し、前記空調部において前記第二液体を熱源として前記第二冷房運転を行ってもよい。
【0028】
この場合、第一冷房運転では、第二熱媒体である井戸水の冷熱が、直接空調部に供給され、空調室の冷房が行われる。第二冷房運転では、第二熱媒体である井戸水に由来する冷熱が、ヒートポンプ部を介して空調部に供給され、空調室の冷房が行われる。このため、例えば、熱交換部とヒートポンプ部との両方が設けられる場合より、空調システムのコストを低減することができる。また、第一冷房運転では、第二熱媒体が直接空調部に供給されて空調が行われる。このため、井戸水の供給源となる井戸と、空調部との間に熱交換部が設けられる場合に比べて、熱交換部で熱エネルギーが消費されることがなく、熱を空調部に伝達する効率が向上する。また、第二冷房運転では、第二熱媒体が直接ヒートポンプ部に供給されて熱交換される。このため、井戸水の供給源となる井戸と、ヒートポンプ部との間に熱交換部が設けられる場合に比べて、熱交換部で熱エネルギーが消費されることがなく、熱を空調部に伝達する効率が向上する。
【0029】
前記空調システムは、前記空調室に設けられ、前記空調室に給水を行う給水部と、前記第二熱媒体を前記給水部に供給する給水制御手段とを備えてもよい。この場合、空調室に給水を行うことできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図2】空調システム1Aの電気的構成を示す図である。
【
図3】太陽熱を集熱する運転パターンAを実行する空調システム1Aを示す図である。
【
図4】暖房の運転パターンBを実行する空調システム1Aを示す図である。
【
図5】暖房の運転パターンCを実行する空調システム1Aを示す図である。
【
図6】暖房の運転パターンDを実行する空調システム1Aを示す図である。
【
図7】冷房の運転パターンFを実行する空調システム1Aを示す図である。
【
図8】冷房の運転パターンGを実行する空調システム1Aを示す図である。
【
図9】給水の運転パターンHを実行する空調システム1Aを示す図である。
【
図16】変形例に係る空調システム1Bの構成を示す図であって、運転パターンAと運転パターンBとを実行する空調システム1Bを示す図である。
【
図17】変形例に係る空調システム1Cの構成を示す図であって、運転パターンFを実行する空調システム1Cを示す図である。
【
図18】変形例に係る空調システム1Dの構成を示す図であって、冷房の運転パターンFを実行する空調システム1Dを示す図である。
【
図19】暖房の運転パターンD又は冷房の運転パターンGを実行する空調システム1Dを示す図である。
【
図20】変形例に係る空調システム1Eの構成を示す図であって、冷房の運転パターンFを実行する空調システム1Eを示す図である。
【
図21】暖房の運転パターンD又は冷房の運転パターンGを実行する空調システム1Eを示す図である。
【
図22】変形例に係る空調システム1Fの構成を示す図であって、暖房の運転パターンBを実行する空調システム1Fを示す図である。
【
図23】暖房の運転パターンCを実行する空調システム1Fを示す図である。
【
図24】冷房の運転パターンFを実行する空調システム1Fを示す図である。
【
図25】変形例に係る空調システム1Gの構成を示す図であって、暖房の運転パターンFを実行する空調システム1Fを示す図である。
【
図26】変形例に係る空調システム1Hの構成を示す図であって、暖房の運転パターンFを実行する空調システム1Fを示す図である。
【
図27】変形例に係る空調システム1Jの構成を示す図であって、暖房の運転パターンFを実行する空調システム1Fを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を具現化した空調システム1Aについて、図面を参照して説明する。
図1に示すように、空調システム1Aは、ヒートポンプ12、間接熱交換器13、太陽集熱器14、蓄熱槽15、空調室16、換気装置17、揚水井戸181、及び還元井戸182を備えている。
【0032】
ヒートポンプ12は、ヒートポンプ方式によって熱交換を行う。ヒートポンプ12は、一般的に、零次側熱交換器、一次側熱交換器、圧縮機、膨張弁、及び中間冷媒配管を備えている。中間冷媒配管は、冷媒が通流する循環配管である。ヒートポンプ12は、零時側熱交換器を流れる液体から採熱し、一次側熱交換器を流れる液体を、加熱又は冷却する。間接熱交換器13は、内部の2つの流路を流れる液体同士で、熱交換を行う。
【0033】
蓄熱槽15には、第一熱媒体30が貯留されている。本実施形態においては、第一熱媒体30と、後述する第一液体301、第二液体302、第三液体303、第四液体304は、同じ媒体であり、一例として、不凍液(例えば、エチレングリコール水溶液、プロピレングリコール水溶液)である。蓄熱槽15の第一熱媒体30の中には、温度センサ232が設けられている。温度センサ232は、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度を検出する。
【0034】
また、本実施形態では、一例として、空調室16は、農作物を栽培するビニルハウスであるとする。空調室16は、例えば、住居及びビルなどの部屋であってもよい。
【0035】
揚水井戸181及び還元井戸182は、夫々、地表105から下側(すなわち、深度方向)に向けて設けられている。揚水井戸181及び還元井戸182には、第二熱媒体である井戸水191が溜まっている。揚水井戸181の井戸水191の中には、温度センサ231が設けられている。温度センサ231は、井戸水191の温度を検出する。
【0036】
流路701の一端は、揚水井戸181の井戸水191の中に配置されたポンプ950に接続されている。流路701の他端は、分岐部801に接続されている。流路702の一端は、分岐部801に接続され、他端は、間接熱交換器13に接続されている。流路702には、開閉弁914が設けられている。流路702は、間接熱交換器13内の流路を介して、流路703の一端に接続されている。流路703の他端は、還元井戸182の井戸水191の中に配置されている。
【0037】
流路704の一端は、分岐部801に接続され、他端は、空調室16に配置された給水装置163に接続されている。流路704には、開閉弁901が設けられている。
【0038】
流路711の一端は、間接熱交換器13に接続されており、他端は、分岐部802に接続されている。流路711には、開閉弁902が設けられている。流路711において、開閉弁901と間接熱交換器13との間には、ポンプ951が設けられている。流路712の一端は、分岐部802に接続され、他端は、ヒートポンプ12に接続されている。流路712には、開閉弁910が設けられている。
【0039】
流路711は、間接熱交換器13内の流路を介して流路713の一端に接続されている。流路713の他端は分岐部803に接続されている。流路713には、開閉弁903が設けられている。流路714の一端は、分岐部803に接続され、他端はヒートポンプ12に接続されている。流路712と流路714とは、ヒートポンプ12内の零次側熱交換器を介して、接続されている。流路714には、開閉弁911が設けられている。
【0040】
流路721の一端は、分岐部802に接続され、他端は、分岐部804に接続されている。流路721には、開閉弁904が設けられている。流路722の一端は、分岐部803に接続され、他端は、分岐部805に接続されている。流路722には、開閉弁905が設けられている。
【0041】
流路731の一端は、蓄熱槽15に接続されており、他端は、分岐部804に接続されている。流路731には、開閉弁912が設けられている。流路732の一端は、分岐部804に接続されており、他端は、分岐部806に接続されている。流路732には、開閉弁906が設けられている。流路733の一端は、分岐部806に接続されており、他端は、空調室16に配置された空調機161に接続されている。空調機161は、例えば、ファンコイルユニットである。
【0042】
流路734の一端は、蓄熱槽15に接続されており、他端は、分岐部805に接続されている。流路734には、ポンプ952が設けられている。流路734において、ポンプ952と分岐部805の間には、開閉弁913が設けられている。流路735の一端は、分岐部805に接続されており、他端は、分岐部807に接続されている。流路735には、開閉弁907が設けられている。流路736の一端は、分岐部807に接続されており、他端は、空調機161に接続されている。
【0043】
流路741の一端は、ヒートポンプ12に接続されており、他端は、分岐部806に接続されている。流路741には、開閉弁908が設けられている。流路742の一端は、ヒートポンプ12に接続されており、他端は、分岐部807に接続されている。流路742には、開閉弁909が設けられている。流路742おいて、開閉弁909とヒートポンプ12との間には、ポンプ953が設けられている。流路741と流路742とは、ヒートポンプ12内の一次側熱交換器を介して接続されている。
【0044】
流路751の一端は、蓄熱槽15に接続されており、他端は、太陽集熱器14に接続されている。流路751には、ポンプ954が設けられている。流路752の一端は、太陽集熱器14に接続され、他端は、蓄熱槽15に接続されている。流路751と流路752とは、太陽集熱器14を介して接続されている。
【0045】
ヒートポンプ12の外側には、温度センサ234が設けられている。温度センサ234は、空調システム1Aの外側の外気の温度を検出する。
【0046】
空調室16には、換気装置17及び温度センサ235が設けられている。換気装置17は、空調室16の換気を行う。本実施形態では、一例として、換気装置17は、換気扇及び開閉部であるとする。換気扇は、空調室16内の空気を外部に排出することで、外気を空調室16に取り入れる。開閉部は、例えば、空調室16の出入口、又は、窓などを開閉する装置である。開いた出入口、又は、窓から、外気が空調室16に取り入れられる。温度センサ235は、空調室16の室内温度を検出する。
【0047】
図2を参照して、空調システム1Aの電気的構成について説明する。空調システム1Aは、ヒートポンプ12、ポンプ950,951,952,953,954、換気装置17、給水装置163、及び空調機161を備えている。ヒートポンプ12には、制御盤60が設けられている。制御盤60は、CPU601、ROM602、及びRAM603を備えている。
【0048】
CPU601は、空調システム1Aの制御を行う。CPU601は、ROM602とRAM603とに電気的に接続されている。ROM602には、後述する太陽熱集熱処理及び運転切替処理のプログラム等、種々のプログラムデータが記憶されている。RAM603には、種々の一時データが記憶される。なお、フラッシュメモリを設け、各種のデータをフラッシュメモリに記憶してもよい。
【0049】
CPU601は、ヒートポンプ12を制御し、ヒートポンプ方式により熱交換を行う。CPU601は、ポンプ950およびポンプ951を制御して液体を間接熱交換器13に流し、間接熱交換器13において一方の液体から採熱して他の液体を加熱又は冷却する。CPU601は、ポンプ954を制御して太陽集熱器14に第一熱媒体30を流し、太陽集熱器14において太陽光の熱によって第一熱媒体30を加熱する。
【0050】
CPU601は、温度センサ231,232,234,235に電気的に接続されている。温度センサ231は、井戸水191の温度に対応する信号を、CPU601に出力する。CPU601は、温度センサ231の出力に基づき、揚水井戸181の井戸水191の温度を検出する。温度センサ232は、蓄熱槽15の第一熱媒体30の温度に対応する信号を、CPU601に出力する。CPU601は、温度センサ232の出力に基づき、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度を検出する。温度センサ234は、外気の温度に対応する信号を、CPU601に出力する。CPU601は、温度センサ234の出力に基づき、外気の温度を検出する。温度センサ235は、空調室16の室内温度に対応する信号を、CPU601に出力する。CPU601は、温度センサ235の出力に基づき、空調室16の室内温度を検出する。
【0051】
CPU601は、空調機161に電気的に接続されている。また、CPU601は、空調機161に設けられた操作部165に電気的に接続されている。CPU601は、空調機161の制御を行う。CPU601は、操作部165から入力されたユーザからの指示に基づいて、空調機161の冷房及び暖房の制御を行う。
【0052】
CPU601は、換気装置17に電気的に接続されている。CPU601は、換気装置17を制御し、空調室16の換気を行う。CPU601は、給水装置163に電気的に接続されている。CPU601は、給水装置163を制御し、空調室16内に給水する。本実施形態では、一例として、空調室16の農作物への給水が行われる。CPU601は、開閉弁901~914に電気的に接続されている。CPU601は、開閉弁901~914を制御して、流路の開閉を行う。
【0053】
CPU601は、ポンプ950,951,952,953,954に電気的に接続されている。ポンプ950、951、952、953、954は、一例として、液体の流量を調整可能なポンプ(例えば、インバータポンプ)であるとする。本実施形態においては、CPU601は、ポンプ950,951,952,953,954から出力される液体の流量に対応する信号に基づき、流路を流れる液体の流量を検出可能であるとする。CPU601は、検出された流量に基づき、流路を流れる液体の流量を制御してもよい。なお、流路を流れる液体の流量を検出可能な流量センサを別途設けてもよい。
【0054】
また、図示しないが、流路712,714,741,742に温度センサが設けられてもよい。そして、CPU601は、該温度センサからの信号に基づき、流路712,714,741,742を流れる液体の温度を検出し、流路712,714,741,742を流れる液体の流量を調整しながら、ヒートポンプ12を駆動してもよい。
【0055】
また、図示しないが、流路702,703,711,713に温度センサが設けられてもよい。そして、CPU601は、該温度センサからの信号に基づき、流路702,703,711,713を流れる液体の温度を検出し、流路702,703,711,713を流れる液体の流量を調整しながら、間接熱交換器13による熱交換を実施してもよい。また、CPU601は、時間及び時刻を測定可能であるとする。
【0056】
図3~
図9を参照し、空調システム1Aにおいて行われる暖房運転及び冷房運転の運転パターンについて説明する。まず、
図3を参照し、運転パターンAについて説明する。運転パターンAは、太陽集熱器14によって加熱された第一熱媒体30を蓄熱槽15に送ることで、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度を上げる運転方式である。
【0057】
運転パターンAを行う場合、CPU601は、開閉弁901~914を閉じる。CPU601は、ポンプ954を駆動する。これによって、蓄熱槽15と太陽集熱器14との間で、第一熱媒体30が循環する(
図3の矢印511)。より詳細には、蓄熱槽15内の第一熱媒体30は、蓄熱槽15から、流路751を介して、太陽集熱器14に流れる。太陽集熱器14において、太陽熱によって、第一熱媒体30が加熱される。加熱された第一熱媒体30は、流路752を介して、蓄熱槽15に流れる。これによって、蓄熱槽15内の第一熱媒体30の温度が上がる。
【0058】
図4を参照し、暖房を行う運転パターンBについて説明する。以下の説明において、第一液体301は、第一熱媒体30そのものである。運転パターンBは、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30である第一液体301を、蓄熱槽15から空調機161に送り、空調機161において第一液体301を熱源として暖房運転を行う運転方式である。
【0059】
運転パターンBを行う場合、CPU601は、開閉弁906,907,912,913を開き、他の開閉弁901,902,903,904,905,908,909,910,911,914を閉じる。CPU601は、ポンプ952を駆動する。これによって、蓄熱槽15と空調機161との間で第一液体301が循環する(
図4の矢印521参照)。より詳細には、蓄熱槽15内の第一液体301は、流路734、流路735、及び流路736を介して、空調機161に流れる。空調機161において、第一液体301の熱を利用して、暖房運転が行われる。第一液体301は、空調機161から、流路733、流路732、及び流路731を介して、蓄熱槽15に流れる。
【0060】
図5を参照し、暖房を行う運転パターンCについて説明する。運転パターンCは、蓄熱槽15からヒートポンプ12に第一液体301を送り、ヒートポンプ12において、第一液体301と第二液体302との間で熱交換して、第二液体302を加熱し、空調機161において第二液体302を熱源として暖房運転を行う運転方式である。第二液体302は、ヒートポンプ12と空調機161との間の液体である。
【0061】
運転パターンCを行う場合、CPU601は、開閉弁904,905,908,909,910,911,912,913を開き、他の開閉弁901,902,903,906,907,914を閉じる。CPU601は、ポンプ952,953を駆動する。これによって、蓄熱槽15とヒートポンプ12の間で、第一液体301が循環し(矢印531参照)、ヒートポンプ12と空調機161との間で第二液体302が循環し(矢印532参照)、空調機161において空調室16の暖房が行われる。
【0062】
より詳細には、第一液体301は、蓄熱槽15から、流路734、流路722、及び流路714を介して、ヒートポンプ12に流れる。ヒートポンプ12において熱交換に使用された第一液体301は、流路712、流路721、及び流路731を介して蓄熱槽15に流れる(矢印531参照)。第二液体302は、ヒートポンプ12から、流路742及び流路736を介して、空調機161に流れる。第二液体302は、空調機161から、流路733及び流路741を介して、ヒートポンプ12に流れる(矢印532参照)。
【0063】
ヒートポンプ12において、ヒートポンプ方式により、第一液体301から採熱され、第二液体302が加熱される。加熱された第二液体302を熱が利用され、空調機161において、空調室16の暖房が行われる。
【0064】
図6を参照し、暖房を行う運転パターンDについて説明する。運転パターンDは、井戸水191(すなわち、第二熱媒体)に由来する熱が利用され、ヒートポンプ12において第二液体302が加熱され。空調機161において第二液体302を熱源として、暖房が行われる暖房方式である。より詳細には、運転パターンDは、間接熱交換器13において井戸水191と第三液体303との間で熱交換して第三液体303を加熱し、ヒートポンプ12において第三液体303と第二液体302との間で熱交換して第二液体302を加熱し、空調機161において第二液体302を熱源として暖房運転を行う。第三液体303は、間接熱交換器13とヒートポンプ12との間の液体である。
【0065】
運転パターンDを行う場合、CPU601は、開閉弁902,903,908,909,910,911,914を開き、他の開閉弁901,904,905,906,907,912,913を閉じる。CPU601は、ポンプ950,951,953を駆動する。これによって、揚水井戸181の井戸水191は、流路701、流路702、間接熱交換器13、及び流路703を介して、還元井戸182に流れる(矢印541参照)。間接熱交換器13とヒートポンプ12との間の第三液体303は、間接熱交換器13、流路711、流路712、ヒートポンプ12、流路714、流路713、及び間接熱交換器13を循環する(矢印542参照)。第二液体302は、ヒートポンプ12、流路742、流路736、空調機161、流路733、流路741、及びヒートポンプ12を循環する(矢印543参照)。
【0066】
間接熱交換器13において、間接的な熱交換により、井戸水191から採熱され、第三液体303が加熱される。ヒートポンプ12において、ヒートポンプ方式により、第三液体303から採熱され、第二液体302が加熱される。加熱された第二液体302の熱が利用され、空調機161において、空調室16の暖房が行われる。
【0067】
次に、運転パターンEについて説明する。運転パターンEは、後述する運転パターンF(
図7参照)及び運転パターンG(
図8参照)が行われている場合に実行される場合がある。運転パターンEは、換気運転である。換気運転は、空調室16の換気を行う運転である。運転パターンEを行う場合、CPU601は、換気装置17を制御して、空調室16の換気を行う。
【0068】
図7を参照し、冷房を行う運転パターンFについて説明する。運転パターンFは、井戸水191(すなわち、第二熱媒体)に由来する冷熱が、ヒートポンプ12が存在する経路とは異なる経路で空調機161に供給され、空調機161において冷房が行われる運転方式である。より詳細には、運転パターンFは、間接熱交換器13において井戸水191と第四液体304との間で熱交換して第四液体304を冷却し、空調機161において第四液体304を熱源として冷房運転を行う。第四液体304は、間接熱交換器13と空調機161との間の液体である。
【0069】
運転パターンFを行う場合、CPU601は、開閉弁902,903,904,905,906,907,914を開き、他の開閉弁901,908,909,910,911,912,913を閉じる。CPU601は、ポンプ950,951を駆動する。これによって、揚水井戸181の井戸水191は、流路701、流路702、間接熱交換器13、流路703を介して、還元井戸182に流れる(矢印561参照)。間接熱交換器13と空調機161との間の第四液体304は、間接熱交換器13、流路711、流路721、流路732、流路733、空調機161、流路736、流路735、流路722、流路713、及び間接熱交換器13を循環する(矢印562参照)。
【0070】
間接熱交換器13において、間接的な熱交換により、井戸水191の冷熱によって、第四液体304が冷却される。冷却された第四液体304の冷熱が利用され、空調機161において、空調室16の冷房が行われる。
【0071】
図8を参照し、冷房を行う運転パターンGについて説明する。運転パターンGは、井戸水191(すなわち、第二熱媒体)に由来する冷熱が利用され、ヒートポンプ12において第二液体302が冷却され、空調機161において第二液体302を熱源として、冷房が行われる運転方式である。より詳細には、運転パターンGは、間接熱交換器13において井戸水191と第三液体303との間で熱交換して第三液体303を冷却し、ヒートポンプ12において第三液体303と第二液体302との間で熱交換して第二液体302を冷却し、空調機161において第二液体302を熱源として冷房運転を行う。
【0072】
運転パターンGを行う場合、CPU601は、開閉弁902,903,908,909,910,911,914を開き、他の開閉弁901,904,905,906,907,912,913を閉じる。CPU601は、ポンプ950,951,953を駆動する。これによって、揚水井戸181の井戸水191は、流路701、流路702、間接熱交換器13、流路703を介して、還元井戸182に流れる(矢印571参照)。間接熱交換器13とヒートポンプ12との間の第三液体303は、間接熱交換器13、流路711、流路712、ヒートポンプ12、流路714、流路713、間接熱交換器13を循環する(矢印572参照)。第二液体302は、ヒートポンプ12、流路742、流路736、空調機161、流路733、流路741、及びヒートポンプ12を循環する(矢印573参照)。
【0073】
間接熱交換器13において、間接的な熱交換により、井戸水191から冷熱が採熱され、第三液体303が冷却される。ヒートポンプ12において、ヒートポンプ方式により、第三液体303から冷熱が採熱され、第二液体302が冷却される。冷却された第二液体302の冷熱が利用され、空調機161において、空調室16の冷房が行われる。
【0074】
図9を参照し、空調室16への給水を行う運転パターンHについて説明する。運転パターンHは、井戸水191を給水装置163に供給する運転方式である。
【0075】
運転パターンHを行う場合、CPU601は、開閉弁901を開き、他の開閉弁902~914を閉じる。CPU601は、ポンプ950を駆動する。これによって、揚水井戸181の井戸水191は、流路701及び流路704を介して、空調室16の給水装置163に流れる(矢印581参照)。これによって、給水装置163から空調室16内に井戸水191が供給される。供給された井戸水191は、例えば、農作物への水まき等に利用される。
【0076】
図10~
図15を参照し、CPU601によって実行される太陽熱集熱処理及び運転切替処理について説明する。太陽熱集熱処理及び運転切替処理は、例えば、空調システム1Aの電源がONされた場合に、実行される。CPU601は、ROM602から太陽熱集熱処理及び運転切替処理のプログラムを読み出し、RAM603に展開する。CPU601は、太陽熱集熱処理及び運転切替処理のプログラムに従って、太陽熱集熱処理及び運転切替処理を行う。なお、太陽熱集熱処理と運転切替処理とは、並列で実行される。すなわち、太陽熱集熱処理は、運転切替処理が実行されている最中に実行される。
【0077】
太陽熱集熱処理は、運転パターンAの実行を制御する処理である。
図10に示すように、太陽熱集熱処理では、まず、現在の時刻が、日照時間内であるか否かが判断される(S101)。日照時間は、予め設定され、例えば、ROM602に記憶されている。日照時間の設定は、例えば、9:00~16:00である。なお、日付及び季節に応じて、日照時間の設定が変更されてもよい。また、日射量を検出する日射量検出部を設け、CPU601は日射量検出部の出力に応じて、日照時間内であるか否かを判断してもよい。
【0078】
現在の時刻が、日照時間内でない場合(S101:NO)、S101の処理が繰り返される。現在の時刻が、日照時間内である場合(S101:YES)、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、所定温度以上であるか否かが判断される(S102)。所定温度は、例えば、85℃である。蓄熱槽15内の第一熱媒体30の温度Tが、所定温度以上である場合(S102:YES)、処理はS101に戻る。
【0079】
蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、所定温度以上でない場合(S102:NO)、運転パターンA(
図3参照)の運転が開始される(S103)。前述したように、蓄熱槽15と太陽集熱器14との間で、第一熱媒体30が循環され、太陽熱によって蓄熱槽15内の第一熱媒体30の温度が上がる。なお、運転パターンAは、後述する処理で実行される運転パターンB,C,D,E,F,G,Hが行われている間も実行される。運転パターンB,Cが行われている場合は、蓄熱槽15の第一熱媒体30が、空調室16の暖房の熱源として使用される。このため、太陽光の日射量及び空調機161の暖房の負荷によって、運転パターンAが実行されていても、蓄熱槽15内の第一熱媒体30の温度Tが下がる場合もあるし、温度Tが上がる場合もある。
【0080】
次いで、S101と同様に、現在の時刻が、日照時間内であるか否かが判断される(S104)。日照時間内である場合(S104:YES)、S102と同様に、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、所定温度以上であるか否かが判断される(S105)。蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、所定温度以上でない場合(S105:NO)、処理はS104に戻る。すなわち運転パターンAが継続される。
【0081】
時間が経過し、日照時間内でなくなると、現在の時刻が、日射時間内でないと判断され(S104:NO)、CPU601は、ポンプ954を停止し、運転パターンAの運転を終了する(S106)。また、運転パターンAが実行されている間に、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが所定温度以上になった場合(S105:YES)、CPU601は、運転パターンAの運転が終了する(S106)。次いで、処理はS101に戻る。
【0082】
図11~
図15を参照して、運転切替処理について説明する。運転切替処理では、まず、給水装置163を使用した給水を行うか否かが判断される(S200)。例えば、給水装置163による給水を行う時刻になった場合に、給水を行うと判断される。給水を行う時刻は、予め設定され、例えば、ROM602又はRAM603に記憶されている。また、ユーザによって給水装置163の操作部が操作され、給水を実行する指示が入力された場合、給水を行うと判断されてもよい。
【0083】
給水を行わない場合(S200:NO)、空調機161による暖房を実行するか否かが判断される(S201)。例えば、ユーザによって空調機161の操作部165が操作され、暖房を行う指示が入力された場合、暖房を実行すると判断される。
【0084】
暖房を実行しない場合(S201:NO)、空調機161による冷房を実行するか否かが判断される(S202)。例えば、ユーザによって空調機161の操作部165が操作され、冷房を行う指示が入力された場合、冷房を実行すると判断される。冷房を実行しない場合(S202:NO)、処理はS200に戻る。
【0085】
S201において、暖房を実行すると判断された場合(S201:YES)、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第一温度T1より高いか否かが判断される(S203)。本実施形態では、一例として、第一温度T1は40℃であるとする。
【0086】
蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第一温度T1より高い場合(S203:YES)、暖房の運転パターンB(
図4参照)が実行される(S204)。前述したように、蓄熱槽15と空調機161との間で第一液体301が循環し、空調機161によって空調室16の暖房が行われる。
【0087】
次いで、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第一温度T1以下であるか否かが判断される(S205)。蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第一温度T1以下でない場合(S205:NO)、暖房を停止するか否かが判断される(S206)。暖房を停止しない場合(S206:NO)、処理はS205に戻る。
【0088】
例えば、ユーザによって空調機161の操作部165が操作され、暖房を停止する指示が入力された場合、暖房を停止すると判断される。また、例えば、給水装置163による給水を行うと判断された場合、暖房を停止すると判断される。暖房を停止すると判断された場合(S206:YES)、運転パターンBによる暖房が停止される(S207)。S207においては、ポンプ952の駆動が停止される。次いで、処理は、S200に戻る。
【0089】
S204で開始された運転パターンBが継続されると、空調機161において、第一液体301から採熱され続ける。このため、太陽熱を集熱する運転パターンA(
図3参照)が行われていない場合には、蓄熱槽15に貯留された第一液体301である第一熱媒体30の温度Tが徐々に下がっていく。また、運転パターンAが行われていても、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが徐々に下がっていく場合もある。蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが第一温度T1以下になった場合(S205:YES)、後述するS302の処理(
図12参照)に移行し、暖房の運転パターンC(
図5参照)に切り替わる。
【0090】
S203の処理において、温度Tが、第一温度T1より高くない場合(S203:NO)、
図12に示すように、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第二温度T2より高く、且つ、第一温度T1以下であるか否かが判断される(S301)。第二温度T2は、第一温度T1より低い温度である。本実施形態では、一例として、第二温度T2は20℃であるとする。
【0091】
蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第二温度T2より高く、且つ、第一温度T1以下である場合(S301:YES)、暖房の運転パターンC(
図5参照)が実行される(S302)。前述したように、蓄熱槽15とヒートポンプ12の間で、第一液体301が循環し、ヒートポンプ12と空調機161との間で第二液体302が循環し、空調機161において空調室16の暖房が行われる。
【0092】
次いで、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第三温度T3以上であるか否かが判断される(S303)。第三温度T3は、第一温度T1よりも高い温度である。第三温度T3は、一例として60℃である。蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第三温度T3以上でない場合(S303:NO)、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第二温度T2以下であるか否かが判断される(S304)。
【0093】
蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第二温度T2以下でない場合(S304:NO)、S206(
図11参照)と同様に、暖房を停止するか否かが判断される(S305)。暖房を停止しない場合(S305:NO)、処理はS303に戻る。
【0094】
暖房を停止すると判断された場合(S206:YES)、運転パターンCによる暖房が停止される(S306)。S306においては、ポンプ952,953の駆動が停止される。次いで、処理は、S200(
図11参照)に戻る。
【0095】
S302で開始された運転パターンCが継続されると、ヒートポンプ12において、第一液体301から採熱され続ける。このため、運転パターンA(
図3参照)が行われていない場合には、蓄熱槽15に貯留された第一液体301である第一熱媒体30の温度Tが徐々に下がっていく。また、運転パターンAが行われていても、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが徐々に下がっていく場合もある。蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが第二温度T2以下になった場合(S304:YES)、後述するS402の処理(
図13参照)に移行し、運転パターンD(
図6参照)に切り替わる。
【0096】
また、運転パターンCが行われていても、運転パターンAによって太陽熱によって第一熱媒体30が加熱され、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが徐々に上がっていく場合もある。蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが第三温度T3以上になった場合(S303:YES)、処理はS204(
図11参照)に移行し、運転パターンB(
図4参照)に切り替わる。
【0097】
蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第二温度T2以下の場合は、S203:NO、S301:NOと判断される。蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第二温度T2以下の場合(S301:NO)、
図13に示すように、暖房の運転パターンD(
図6参照)が実行される(S402)。前述したように、揚水井戸181の井戸水191は、間接熱交換器13を介して還元井戸182に流れる。また、間接熱交換器13とヒートポンプ12との間で、第三液体303が循環する。ヒートポンプ12と空調機161との間で第二液体302が循環し、空調機161において空調室16の暖房が行われる。
【0098】
次いで、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第四温度T4以上であるか否かが判断される(S403)。第四温度T4は、第二温度T2よりも高い温度である。本実施形態では、第四温度T4は、一例として40℃である。蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第四温度T4以上でない場合(S403:NO)、S206と同様に、暖房を停止するか否かが判断される(S404)。暖房を停止しない場合(S404:NO)、処理はS402に戻る。
【0099】
暖房を停止すると判断された場合(S404:YES)、運転パターンDによる暖房が停止される(S405)。S405においては、ポンプ950,951,953の駆動が停止される。次いで、処理は、S200(
図11参照)に戻る。
【0100】
揚水井戸181の井戸水191は、図示しない帯水層から常に、揚水井戸181に供給されている。このため、揚水井戸181の温度は変化し難い。よって、CPU601は、S402で開始した運転パターンDを継続することができる。
【0101】
また、運転パターンD(
図6参照)が行われつつ、運転パターンA(
図3参照)が行われる場合がある。運転パターンDでは、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の熱が、空調機161による暖房のために使用されない。このため、運転パターンAが実行されていると、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度が上がる。蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第四温度T4以上になった場合(S403:YES)、処理はS302(
図12参照)に移行し、運転パターンC(
図5参照)に切り替わる。
【0102】
以上のように、運転パターンB、運転パターンC、及び運転パターンDの間で、運転パターンが変化しながら、空調システム1Aの暖房運転が行われる。また、運転パターンAが実行される場合がある。
【0103】
S202(
図11参照)において、空調機161による冷房を実行すると判断されると(S202:YES)、処理は、
図14に示すS501に進む。以下の説明において、空調室16の室温を、室内温度T80という。空調機161の運転における空調室16の室温の目標温度を、室内設定温度T81という。なお、室内設定温度T81は、一例として、ユーザによって操作部165が操作されることによって入力され、CPU601に取得される。
【0104】
また、第二熱媒体(本実施形態では、井戸水191)の温度を第二熱媒体温度T82という。室内温度T80と第二熱媒体温度T82との差を、温度差T90という。CPU601は、温度センサ235の出力に基づき、空調室16の室内温度T80を検出する。CPU601は、温度センサ231の出力に基づき、第二熱媒体温度T82を検出する。
【0105】
S501においては、室内温度T80が第二熱媒体温度T82よりも高い状態において、温度差T90が所定温度差T91より大きいか否かが判断される(S501)。所定温度差T91は、一例として、10℃である。
【0106】
温度差T90が、所定温度差T91より大きい場合(S501:YES)、冷房の運転パターンF(
図7参照)が実行される(S502)。前述したように、揚水井戸181の井戸水191は、間接熱交換器13を介して還元井戸182に流れる。また、間接熱交換器13と空調機161との間で第四液体304が循環し、空調機161において空調室16の冷房が行われる。
【0107】
次いで、外気温度T95が、室内設定温度T81より低い、又は室内設定温度T81よりは高く室内温度T80よりは低いか否かが判断される(S503)。なお、
図14では、図面のスペースの関係上、「外気温度T95が所定条件?」と記載している(後述するS506、S509、
図15のS603、S606、及びS609も同様)。CPU601は、温度センサ234に出力に基づき、外気温度T95を検出する。外気温度T95が、室内設定温度T81より低くなく、且つ、室内温度T80より低くない場合(S503:NO)、処理は、後述するS505に進む。
【0108】
外気温度T95が、室内設定温度T81より低い、又は室内設定温度T81よりは高く室内温度T80よりは低い場合(S503:YES)、換気の運転パターンEが実行される(S504)。前述したように、CPU601は、換気装置17を駆動し、空調室16の換気を行う。
【0109】
次いで、換気の運転パターンEが動作中であるか否かが判断される(S505)。運転パターンEが動作中である場合(S505:YES)、S503と同様に、外気温度T95が、室内設定温度T81より低い、又は室内設定温度T81よりは高く室内温度T80よりは低いか否かが判断される(S506)。外気温度T95が、室内設定温度T81より低い、又は室内設定温度T81よりは高く室内温度T80よりは低い場合(S506:YES)、S501と同様に、室内温度T80が、第二熱媒体温度T82よりも高い状態において、温度差T90が所定温度差T91より大きいか否かが判断される(S507)。
【0110】
温度差T90が所定温度差T91より大きい場合(S507:YES)、冷房を停止するか否かが判断される(S511)。冷房を停止しない場合(S511:NO)、処理はS505に戻る。
【0111】
例えば、ユーザによって空調機161の操作部165が操作され、冷房を停止する指示が入力された場合、冷房を停止すると判断される。また、例えば、給水装置163による給水を行うと判断された場合、冷房を停止すると判断される。冷房を停止すると判断された場合(S511:YES)、運転パターンFによる冷房が停止される(S512)。S512においては、ポンプ950,951の駆動が停止される。また、運転パターンEによる換気が行われている場合には、換気が停止される(S512)。次いで、処理は、S200(
図11参照)に戻る。
【0112】
S506において、外気温度T95が、室内設定温度T81より低くなく、且つ、室内温度T80より低くない場合(S506:NO)、運転パターンEが停止される(S508)。すなわち、換気装置17を使用した空調室16の換気が停止される。なお、運転パターンFによる空調室16の冷房は、継続される。次いで、処理は、S507に進む。
【0113】
S505において、運転パターンEが動作中でない場合(S505:NO)、S503と同様に、外気温度T95が、室内設定温度T81より低い、又は室内設定温度T81よりは高く室内温度T80よりは低いか否かが判断される(S509)。外気温度T95が、室内設定温度T81より低くなく、且つ、室内温度T80より低くない場合(S509:NO)、処理はS507に進む。
【0114】
外気温度T95が、室内設定温度T81より低い、又は室内設定温度T81よりは高く室内温度T80よりは低い場合(S509:YES)、S504と同様に、運転パターンEが行われる(S510)。これによって、換気装置17を使用した空調室16の換気が開始される。次いで、処理はS507に進む。
【0115】
S507において、温度差T90が所定温度差T91より大きくない場合(S507:NO)、処理は後述するS602(
図15参照)に移行し、運転パターンFから運転パターンGに切り替わる。
【0116】
S501において、温度差T90が、所定温度差T91より大きくない場合(S501:NO)、
図15に示すように、冷房の運転パターンG(
図8参照)が実行される(S602)。前述したように、揚水井戸181の井戸水191は、間接熱交換器13を介して還元井戸182に流れる。また、間接熱交換器13とヒートポンプ12との間で、第三液体303が循環する。ヒートポンプ12と空調機161との間で第二液体302が循環し、空調機161において空調室16の冷房が行われる。
【0117】
次いで、S503と同様に、外気温度T95が、室内設定温度T81より低い、又は室内設定温度T81よりは高く室内温度T80よりは低いか否かが判断される(S603)。なお、CPU601は、温度センサ234に出力に基づき、外気温度T95を検出する。外気温度T95が、室内設定温度T81より低くなく、且つ、室内温度T80より低くない場合(S603:NO)、処理は、後述するS605に進む。
【0118】
外気温度T95が、室内設定温度T81より低い、又は室内設定温度T81よりは高く室内温度T80よりは低い場合(S603:YES)、換気の運転パターンEが実行される(S604)。
【0119】
次いで、換気の運転パターンEが動作中であるか否かが判断される(S605)。運転パターンEが動作中である場合(S605:YES)、S603と同様に、外気温度T95が、室内設定温度T81より低い、又は室内設定温度T81よりは高く室内温度T80よりは低いか否かが判断される(S606)。外気温度T95が、室内設定温度T81より低い、又は室内設定温度T81よりは高く室内温度T80よりは低い場合(S606:YES)、S501(
図14参照)と同様に、室内温度T80が、第二熱媒体温度T82よりも高い状態において、温度差T90が所定温度差T91より大きいか否かが判断される(S607)。温度差T90が所定温度差T91より大きくない場合(S607:NO)、S511と同様に、冷房を停止するか否かが判断される(S611)。冷房を停止しない場合(S611:NO)、処理はS605に戻る。
【0120】
冷房を停止すると判断された場合(S611:YES)、運転パターンGによる冷房が停止される(S612)。S612においては、ポンプ950,951,953の駆動が停止される。また、運転パターンEによる換気が行われている場合には、換気が停止される(S612)。次いで、処理は、S200(
図11参照)に戻る。
【0121】
S606において、外気温度T95が、室内設定温度T81より低くなく、且つ、室内温度T80より低くない場合(S606:NO)、運転パターンEが停止される(S608)。すなわち、換気装置17を使用した空調室16の換気が停止される。なお、運転パターンGによる空調室16の冷房は、継続される。次いで、処理は、S607に進む。
【0122】
S605において、運転パターンEが動作中でない場合(S605:NO)、S603と同様に、外気温度T95が、室内設定温度T81より低い、又は室内設定温度T81よりは高く室内温度T80よりは低いか否かが判断される(S609)。外気温度T95が、室内設定温度T81より低くなく、且つ、室内温度T80より低くない場合(S609:NO)、処理はS607に進む。
【0123】
外気温度T95が、室内設定温度T81より低い、又は室内設定温度T81よりは高く室内温度T80よりは低い場合(S609:YES)、S604と同様に、運転パターンEが行われる(S610)。これによって、換気装置17を使用した空調室16の換気が開始される。次いで、処理はS607に進む。
【0124】
S607において、温度差T90が所定温度差T91より大きい場合(S607:YES)、処理はS502(
図14参照)に移行し、運転パターンGから運転パターンFに切り替わる。
【0125】
図11に示すS200において、給水装置163を使用した給水を行う場合(S200:YES)、運転パターンH(
図9参照)が実行される(S701)。前述したように、井戸水191が給水装置163に送られ、給水装置163から空調室16内に井戸水191が供給される。
【0126】
次いで、給水装置163を使用した給水を停止するか否かが判断される(S702)。給水を停止しない場合(S702:NO)、S702の処理が繰り返される。例えば、所定時間(例えば、3分間)、給水が行われた場合に、給水を停止すると判断される。
【0127】
給水を停止する場合(S702:YES)、運転パターンHが停止される(S703)。S703において、CPU601は、ポンプ950を停止する。次いで、処理は、S200に戻る。
【0128】
以上のように、運転パターンFと運転パターンGの間で、運転パターンが切り替えられながら、空調システム1Aの冷房運転が行われる。また、換気の運転パターンEが実行される場合がある。また、給水の運転パターンHが実行される場合がある。また、運転パターンAが実行される場合がある。なお、冷房が行われている間は、太陽熱集熱処理(
図10参照)が実行されなくてもよい。この場合、冷房中に運転パターンAが実行されないので、空調システム1Aの消費電力を低減することができる。
【0129】
以上のように、本実施形態における処理が実行される。本実施形態においては、空調機161は、少なくとも蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30に由来する熱を利用して、暖房運転を行うことができる(
図4及び
図5参照)。空調機161が暖房運転する場合に、温度センサ232によって検出された、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tに応じて、複数の暖房運転の方式を切り替えることができる。このため、暖房運転の方式が切り替えられない場合に比べて、蓄熱槽15に蓄えられた熱を効率的に使用することができる。
【0130】
また、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第一温度T1より高い場合(
図11のS203:YES)、暖房の運転パターンBが実行される(
図11のS204)。蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第一温度T1以下である場合(
図11のS203:NO、又は、
図11のS205:YES)、暖房の運転パターンCが実行される(
図12のS302)。この場合、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tに応じて、運転パターンB(
図4参照)と運転パターンC(
図5参照)との間で運転パターンが切り替わる。
【0131】
より詳細には、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第一温度T1より高い場合には、運転パターンBが実行され、第一液体301に由来する熱が、ヒートポンプ12とは異なる経路で空調機161に供給され、空調機161において暖房の熱源として利用される(
図4参照)。これによって、暖房のためにヒートポンプ12が使用される場合に比べて、空調システム1Aの消費電力が小さくなり、効率が向上する空調機161によって第一液体301から採熱されることで、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが下がり、第一温度T1以下となると、運転パターンBから運転パターンC(
図5参照)に切り替わる。これによって、ヒートポンプ12が使用された暖房運転に切り替わり、第一液体301に由来する熱を利用して、ヒートポンプ12において第二液体302を加熱し、空調機161において第二液体302を熱源として暖房が行われる(
図5参照)。よって、ヒートポンプ12が使用されない場合に比べて、空調機161に送られる熱媒体(すなわち、第二液体302)の温度は高くなる。このため、ヒートポンプ12が使用されない場合に比べて、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tがより低い温度となるまで、第一熱媒体30の熱を暖房運転に使用できる。よって、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の熱をより効率的に使用できる。
【0132】
また、運転パターンBでは、蓄熱槽15から空調機161に第一液体301を送り、空調機161にて第一液体301を熱源として暖房を行う(
図4参照)。運転パターンCでは、蓄熱槽15からヒートポンプ12に第一液体301を送り、ヒートポンプ12において、第一液体301と第二液体302との間で熱交換して、第二液体302を加熱し、空調機161において第二液体302を熱源として暖房を行う(
図5参照)。
【0133】
このように、運転パターンBにおいては、第一液体301が蓄熱槽15から空調機161に直接送られ、空調室16の暖房が行われる。これによって、第一熱媒体30に由来する熱が使用され、暖房が行われる。運転パターンCが行われる場合には、第一熱媒体30に由来する熱が、ヒートポンプ12を介して空調機161に供給され、空調室16の暖房が行われる。このため、例えば、熱交換器とヒートポンプ12との両方が設けられる場合より、空調システムのコストを低減することができる。また、運転パターンBでは、第一液体301が直接空調機161に供給されて空調が行われるので、蓄熱槽15と空調機161との間に熱交換部(例えば、後述する間接熱交換器131(
図22参照))が設けられる場合に比べて、熱交換部で熱エネルギーが消費されることがなく、熱を空調機161に伝達する効率が向上する。また、運転パターンCでは、第一液体301が直接ヒートポンプ12に供給されて熱交換される。このため、蓄熱槽15とヒートポンプ12との間に熱交換部が設けられる場合に比べて、熱交換部で熱エネルギーが消費されることがなく、熱を空調機161に伝達する効率が向上する。
【0134】
また、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第二温度T2より高く、且つ、第一温度T1以下である場合(
図12のS301:YES、又は、
図11のS205:YES)、暖房の運転パターンC(
図5参照)が実行される(
図12のS302)。蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第二温度T2以下である場合(
図12のS301:NO、又は、
図12のS304:YES)、暖房の運転パターンD(
図6参照)が実行される(
図13のS402)。運転パターンDでは、井戸水191(すなわち、第二熱媒体)に由来する熱が利用され、ヒートポンプ12において第二液体302を加熱する。空調機161において第二液体302を熱源として、暖房運転が行われる。このように、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tに応じて、運転パターンC(
図5参照)と運転パターンD(
図6参照)との間で運転パターンが切り替わる。
【0135】
より詳細には、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第二温度T2より高く、且つ、第一温度T1以下である場合には、運転パターンCが実行され、第一液体301が蓄熱槽15からヒートポンプ12に送られ、ヒートポンプ12を使用した暖房運転が行われる。ヒートポンプ12によって第一液体301から採熱されることで、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが下がり、第二温度T2以下となると、運転パターンCから運転パターンDに切り替わる。これによって、井戸水191(すなわち、第二熱媒体)が熱源として使用される暖房運転に切り替わり、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30から熱が採熱されなくなる。このため、第一熱媒体30の温度Tが下がりすぎて暖房に使用できなくなる可能性を低減できる。一方、第二熱媒体である井戸水191は、図示しない帯水層から供給されつづけるため、温度は変化しにくい。このため、空調機161による暖房を継続することができる。また、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが低すぎるにもかかわらず、ヒートポンプ12によって採熱され、ヒートポンプ部の消費電力が大きくなる場合に比べて、空調システム1Aの消費電力が小さくなり、効率が向上する。
【0136】
また、本実施形態では、間接熱交換器13が設けられている。蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第二温度T2以下である場合(
図12のS301:NO、又は、
図12のS304:YES)、間接熱交換器13において、井戸水191(すなわち、第二熱媒体)と第三液体303との間で熱交換され、第三液体303が加熱される。ヒートポンプ12において第三液体303と第二液体302との間で熱交換され、第二液体302が加熱される。空調機161において第二液体302を熱源として、運転パターンD(
図6参照)の暖房運転が行われる。このように、運転パターンDが行われる場合には、井戸水191(すなわち、第二熱媒体)に由来する熱が、間接熱交換器13及びヒートポンプ12を介して空調機161に供給され、空調室16の暖房が行われる。間接熱交換器13が設けられているので、井戸水191(すなわち、第二熱媒体)が直接ヒートポンプ12に供給されない。このため、例えば、井戸水191(すなわち、第二熱媒体)に不純物が含まれていた場合でも、ヒートポンプ12が不純物の影響によって故障する可能性を低減できる。
【0137】
また、室内温度T80が、第二熱媒体温度T82より高い状態において、室内温度T80と第二熱媒体温度T82との差である温度差T90が、所定温度差T91より大きい場合(
図14のS501:YES、又は、
図15のS607:YES)、冷房の運転パターンF(
図7参照)が実行される(
図14のS502)。これによって、井戸水191(すなわち、第二熱媒体)に由来する冷熱が、ヒートポンプ12が存在する経路とは異なる経路で空調機161に供給され、空調機161において冷房が行われる。室内温度T80が、第二熱媒体温度T82より高い状態において、温度差T90が、所定温度差T91以下の場合(
図14のS501:NO、又は、S507:NO)、冷房の運転パターンG(
図8参照)が実行される(
図15のS602)。これによって、井戸水191(すなわち、第二熱媒体)に由来する冷熱が利用され、ヒートポンプ12において第二液体302が冷却される。空調機161において第二液体302を熱源として、冷房が行われる。この場合、温度差T90が、所定温度差T91に応じて、運転パターンF(
図7参照)と運転パターンG(
図8参照)との間で運転パターンが切り替わる。
【0138】
このように、室内温度T80と第二熱媒体温度T82との温度差T90が、所定温度差T91より大きい場合には、井戸水191(すなわち、第二熱媒体)に由来する冷熱が、ヒートポンプ12が存在する経路とは異なる経路で空調機161に供給され、空調機161において冷房の熱源として利用される。これによって、冷房のためにヒートポンプ12が使用される場合に比べて、空調システムの消費電力が小さくなり、効率が向上する。室内温度T80が変わったり、季節等によって井戸水191(すなわち、第二熱媒体)の温度が変わったりして、温度差T90が、所定温度差T91以下となった場合には、運転パターンFから運転パターンG(
図8参照)に切り替わる。これによって、ヒートポンプ12が使用された冷房運転に切り替わる。よって、ヒートポンプ12が使用されない場合に比べて、空調機161に送られる熱媒体(すなわち、第二液体302)の温度は低くなる。このため、温度差T90が、所定温度差T91以下の場合に、ヒートポンプ12が使用されない場合に比べて、空調機161によって空調室16を冷却しやすくなる。
【0139】
また、本実施形態では、間接熱交換器13が設けられている。室内温度T80が、第二熱媒体温度T82より高い状態において、温度差T90が、所定温度差T91より大きい場合には(
図14のS501:YES、又は、
図15のS607:YES)、間接熱交換器13において井戸水191(すなわち、第二熱媒体)と第四液体304との間で熱交換され、第四液体304が冷却される。空調機161において前記第四液体304を熱源として、運転パターンF(
図7参照)の冷房運転が行われる(
図14のS502)。室内温度T80が、第二熱媒体温度T82より高い状態において、温度差T90が、所定温度差T91以下の場合には(
図14のS501:NO、又は、S507:NO)、間接熱交換器13において井戸水191(すなわち、第二熱媒体)と第三液体との間で熱交換され、第三液体303が冷却される。ヒートポンプ12において第三液体303と第二液体302との間で熱交換され、第二液体302が冷却される。空調機161において第二液体302を熱源として、運転パターンG(
図8参照)の冷房運転が行われる(
図15のS602)。
【0140】
このように、運転パターンF(
図7参照)では、井戸水191(すなわち、第二熱媒体)に由来する冷熱が、間接熱交換器13を介して空調機161に供給され、空調室16の冷房が行われる。第二冷房運転では、井戸水191(すなわち、第二熱媒体)に由来する冷熱が、間接熱交換器13及びヒートポンプ12を介して空調機161に供給され、空調室16の冷房が行われる。間接熱交換器13が設けられているので、運転パターンF及び運転パターンGが行われる場合に、井戸水191(すなわち、第二熱媒体)が直接ヒートポンプ12に供給されない。このため、例えば、井戸水191(すなわち、第二熱媒体)に不純物が含まれていた場合でも、ヒートポンプ12が不純物の影響によって故障する可能性を低減できる。
【0141】
このように、本実施形態では、室内温度T80と第二熱媒体温度T82との差である温度差T90に応じて、複数の冷房運転の方式を切り替えることができる(
図7及び
図8参照)。このため、空調室16の熱負荷が変動しているにもかかわらず、冷房運転の方式が切り替えられない場合に比べて、空調システム1Aの消費電力が小さくなり、効率が向上する。
【0142】
また、冷房の運転パターンF(
図7参照)が実行される場合において(
図14のS502)、外気温度T95が、室内設定温度T81より低い、又は室内設定温度T81よりは高く室内温度T80よりは低い場合(
図14のS503:YES、又はS509:YES)、換気の運転パターンEが行われる(
図14のS504、又はS510)。また、運転パターンG(
図8参照)が実行される場合において(
図15のS602)、外気温度T95が、室内設定温度T81より低い、又は室内設定温度よりは高く室内温度T80よりは低い場合(
図15のS603:YES、又はS609:YES)、換気の運転パターンEが行われる(
図15のS604、又はS610)。空調機161の冷房運転が行われる場合に、空調室16の換気が行われるので、換気が行われない場合に比べて、空調室16の温度が下がるのが早くなる。よって、冷房の運転パターンF,Gのみが行われ、空調室16の換気が行われない場合に比べて、空調システム1Aの消費電力が小さくなり、効率が向上する。
【0143】
また、井戸水191が給水装置163に供給される、給水の運転パターンH(
図9参照)が実行される(
図11のS702)。これによって、空調室16に給水を行うことができる。
【0144】
また、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30を加熱する加熱部である太陽集熱器14が設けられている。そして、暖房の運転パターンC(
図5参照)が行われている場合において(
図12のS302)、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30が、太陽集熱器14によって加熱され、第三温度T3以上となった場合に(
図12のS303:YES)、運転パターンB(
図11のS204)に切り替えられる。太陽集熱器14によって第一熱媒体30が加熱されたうえで、ヒートポンプ12を使用しない運転パターンBに切り替えられるので、太陽集熱器14が設けられていない場合に比べて、運転パターンBを長い時間、実行することができる。また、ヒートポンプ12を使用する運転パターンCから、ヒートポンプ12を使用しない運転パターンBに切り替えられるので、空調システム1Aの消費電力が小さくなり、効率が向上する。
【0145】
また、暖房の運転パターンD(
図6参照)が行われている場合において(
図13のS402)、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30が、太陽集熱器14によって加熱され、第四温度T4以上となった場合に(
図13のS403:YES)、運転パターンC(
図12のS302)に切り替えられる。太陽集熱器14によって第一熱媒体30が加熱されたうえで、運転パターンDから運転パターンCに切り替えられるので、太陽集熱器14が設けられていない場合に比べて、運転パターンCを長い時間、実行することができる。また、第二熱媒体である井戸水191を使用する運転パターンDから、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30を使用する運転パターンCに切り替えられる。運転パターンCにおいて太陽集熱器14によって加熱された第一熱媒体30が、熱源として使用されるので、加熱されていない井戸水191が熱源として使用されるより、暖房時の空調システム1Aの消費電力が小さくなり、効率が向上する。
【0146】
本実施形態において、第一熱媒体30を加熱する運転パターンAを実行するS103の処理を行うCPU601は「加熱制御手段」の一例である。運転パターンB(
図4参照)において行われる暖房運転は本発明の「第一暖房運転」の一例である。S204の処理を行うCPU601は本発明の「第一暖房運転手段」の一例である。運転パターンC(
図5参照)において行われる暖房運転は本発明の「第二暖房運転」の一例である。S302の処理を行うCPU601は本発明の「第二暖房運転手段」の一例である。運転パターンD(
図6参照)において行われる暖房運転は本発明の「第三暖房運転」の一例である。S402の処理を行うCPU601は本発明の「第三暖房運転手段」の一例である。運転パターンF(
図7参照)において行われる冷房運転は本発明の「第一冷房運転」の一例である。S502の処理を行うCPU601は本発明の「第一冷房運転手段」の一例である。運転パターンG(
図8参照)において行われる冷房運転は本発明の「第二冷房運転」の一例である。S602の処理を行うCPU601は本発明の「第二冷房運転手段」の一例である。運転パターンEを実行する504、S510、S604、及びS610の処理を行うCPU601は本発明の「換気手段」の一例である。給水を行う運転パターンHを実行するS701の処理を行うCPU601は本発明の「給水制御手段」の一例である。
【0147】
蓄熱槽15は本発明の「貯留部」の一例である。温度センサ232は本発明の「第一温度検出部」の一例である。蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tは本発明の「第一熱媒体温度」の一例である。空調機161は本発明の「空調部」の一例である。S203、S204、S205、S301、S302、S303、S304、S402、及びS403の処理を行うCPU601は、本発明の「暖房運転切替手段」の一例である。ヒートポンプ12は本発明の「ヒートポンプ部」の一例である。間接熱交換器13は本発明の「第二熱交換部」の一例である。井戸水191は本発明の「第二熱媒体」及び「井戸水」の一例である。温度センサ231は本発明の「第二温度検出部」の一例である。S501、S502、S507、S602、及びS607の処理を行うCPU601は本発明の「冷房運転切替手段」の一例である。温度センサ234は本発明の「外気温度検出部」の一例である。給水装置163は本発明の「給水部」の一例である。太陽集熱器14は本発明の「加熱部」の一例である。S303及びS204の処理を行うCPU601は、本発明の「第一切替手段」の一例である。S403及びS302の処理を行うCPU601は、本発明の「第二切替手段」の一例である。空調機161の操作部165は本発明の「室内温度設定部」の一例である。温度センサ235は本発明の「室内温度検出部」の一例である。
【0148】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、暖房の運転パターンD(
図6参照)が行われている場合において(
図13のS402)、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30が、太陽集熱器14によって加熱され、第四温度T4以上となった場合に(
図13のS403:YES)、運転パターンC(
図5参照)に切り替えられていたが(
図12のS302)、これに限定されない。例えば、運転パターンDから運転パターンCに切り替えられなくてもよい。
【0149】
また、暖房の運転パターンC(
図5参照)が行われている場合において(
図12のS302)、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30が、太陽集熱器14によって加熱され、第三温度T3以上となった場合に(
図12のS303:YES)、運転パターンB(
図4参照)に切り替えられていたが(
図11のS204)、これに限定されない。例えば、運転パターンCから運転パターンBに切り替えられなくてもよい。
【0150】
また、空調室16への給水が行われる場合は、運転パターンB,C,D,E,F,Gによる冷房又は暖房が停止され、運転パターンHが実行され(
図11のS701)、給水が行われていたが、これに限定されない。例えば、給水装置163に供給する給水量が所定量以下の場合は、運転パターンB,C,D,E,F,Gによる暖房又は冷房と同時に、給水が行われてもよい。所定量は、例えば、運転パターンB,C,D,E,F,Gによる冷房又は暖房が実行可能な範囲で設定される。所定量は、一例として、揚水井戸181からの井戸水191の揚水可能量と、ヒートポンプ12が動作するために間接熱交換器13に供給する必要のある水量との差であり、例えば、10L/minである。揚水井戸181からの井戸水191の揚水可能量は、例えば、予め設定され、ROM602、又は、RAM603に記憶されている。また、ヒートポンプ12が動作するために間接熱交換器13に供給する必要のある水量は、例えば、予め設定され、ROM602、又は、RAM603に記憶されていてもよいし、ヒートポンプ12の負荷に応じて算出されてもよい。例えば、流路704に流量センサを設ける。CPU601は、流路704の流量センサの出力を参照し、給水装置163に供給する給水量を検出する。検出した給水量が、所定量以下の場合に、運転パターンB,C,D,E,F,Gによる暖房又は冷房と同時に、給水が行われてもよい。
【0151】
CPU601は、給水装置163に供給する給水量が所定量以下の場合、運転パターンA,B,C,D,E,F,Gを行いつつ、開閉弁901を開き、ポンプ950を駆動する。これによって、運転パターンB,C,D,E,F,Gによる冷房又は暖房が行われつつ、空調室16への給水が行われる。また、給水装置163に供給する給水量が所定量より多い場合には、CPU601は、運転パターンB,C,D,E,F,Gによる冷房又は暖房を停止すると判断し、運転パターンB,C,D,E,F,Gを停止する(
図11のS206:YES、S207)(
図12のS305:YES、S306)(
図13のS404:YES、S405)(
図14のS511:YES、S512)(
図15のS611:YES、S612)。そして、CPU601は、給水を行うと判断し(
図11のS200:YES)、運転パターンHを実行する(
図11のS701)。なお、井戸水191を熱交換に使用しない運転パターンB,Cが実行されている場合には、給水量が所定量より多い場合にも、運転パターンB,Cが実行されつつ、空調室16への給水が行われてもよい。
【0152】
また、給水の運転パターンH(
図9参照)が実行されていたが、運転パターンHが実行されなくてもよい。井戸水191が給水装置163に供給されなくてもよい。
【0153】
また、冷房の運転パターンF,Gが行われる場合に、換気の運転パターンEが行われる場合があったが、換気の運転パターンEは行われなくてもよい。また、運転パターンEによる換気が行われる場合に使用される換気装置17は、換気扇及び開閉部であったが、これに限定されない。換気装置17は、換気扇及び開閉部のうちの一方であってもよい。また、換気装置17が設けられなくてもよい。
【0154】
また、空調システム1Aは、室内温度T80と第二熱媒体温度T82との差である温度差T90に応じて、複数の冷房運転の方式を切り替えることができたが、これに限定されない。冷房の運転方式が切り替えできなくてもよい。例えば、冷房の運転パターンF及び運転パターンGのいずれか一方のみが実行されてもよい。また、冷房の運転方式が実行されなくてもよい。
【0155】
また、暖房の運転パターンB、運転パターンC、及び運転パターンDのうち、いずれか1つが実行されなくてもよい。この場合、残りの2つの運転パターンが切り替えられて、暖房が実施されてもよい。
【0156】
また、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30を加熱するのは、太陽集熱器14であったが、これに限定されない。例えば、第一熱媒体は温泉水であり、温泉水が蓄熱槽に新たに供給されることで、蓄熱槽内の温泉水が温められ(すなわち、加熱され)てもよい。以下、
図16を参照して、本変形例について説明する。以下の説明において、
図3と同じ構成は、同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0157】
図16に示すように、変形例に係る空調システム1Bは、蓄熱槽15(
図3参照)に代えて、蓄熱槽15Bを備えている。蓄熱槽15Bには、温泉水である第一熱媒体30Bが貯留されている。蓄熱槽15Bには、流路791の一端及び流路792の一端が接続されている。流路791の他端は、図示しない温泉に接続されている。流路792の他端は、温泉水である第一熱媒体30Bを排出する排出口に接続されている。流路791には、ポンプ965が設けられている。
【0158】
蓄熱槽15Bの第一熱媒体30Bの中には、熱交換部155が設けられている。流路731と流路734は、熱交換部155に接続されている。本実施形態の第一液体301は、一例として、水または前述した不凍液(例えば、エチレングリコール水溶液、又はプロピレングリコール水溶液)である。第一液体301は、第一熱媒体30Bである温泉水とは異なる。本実施形態の第一液体301は、熱交換部155の内側を流れる。熱交換部155は、蓄熱槽15Bの第一熱媒体30Bと第一液体301とを熱交換し、第一液体301を加熱する。すなわち、第一液体301は蓄熱槽15Bの第一熱媒体30Bに加熱される液体である。
【0159】
本変形例において、S103(
図10参照)により実行される、蓄熱槽15Bの第一熱媒体30Bを加熱する運転パターンAを行う場合、CPU601は、ポンプ965を駆動する。これによって、温泉水である第一熱媒体30Bが、流路791を介して蓄熱槽15Bに流入し、流路792を介して蓄熱槽15Bの外部に排出される(矢印592参照)。温泉水である第一熱媒体30Bが、新たに蓄熱槽15Bに供給されることで、蓄熱槽15Bに貯留されている第一熱媒体30Bの温度が上がる。すなわち、蓄熱槽15Bに貯留されている第一熱媒体30Bが加熱される。これによって、第一液体301が加熱される。
【0160】
本変形例において、S204(
図11参照)によって実行される、暖房の運転パターンBが行われる場合、CPU601は、開閉弁906,907,912,913を開き、他の開閉弁901,902,903,904,908,909,910,911,914を閉じる。CPU601は、ポンプ952を駆動する。これによって、第一液体301が、蓄熱槽15Bの中の熱交換部155、流路734、流路735、流路736、空調機161、流路733、流路732、流路731、及び熱交換部155を循環する(矢印591参照)。熱交換部155において第一液体301が加熱され、空調機161において第一液体301から採熱されて、暖房に利用される。
【0161】
図示しないが、S302(
図12参照)によって実行される、暖房の運転パターンCが行われる場合、CPU601は、開閉弁904,905,908,909,910,911,912,913を開き、他の開閉弁901,902,903,906,907,914を閉じる。CPU601は、ポンプ952,953を駆動する。これによって、第一液体301が、蓄熱槽15Bの中の熱交換部155、流路734、流路722、流路714、ヒートポンプ12、流路712、流路721、流路731、及び熱交換部155を循環する。熱交換部155において第一液体301が加熱され、ヒートポンプ12において第一液体301から採熱され、第二液体302が加熱される。第二液体302は、ヒートポンプ12と空調機161との間で循環し、空調機161による暖房に利用される。
【0162】
このように、空調システム1Bにおいては、温泉水である第一熱媒体30Bに由来する熱が利用され、暖房運転を行うことができる。本変形例の空調システム1Bは、空調システム1Aと同様の効果を奏する。
【0163】
本変形例において、温泉水である第一熱媒体30Bを蓄熱槽15Bに送って、蓄熱槽15Bに貯留された第一熱媒体30Bを加熱するポンプ952は、本発明の「加熱部」の一例である。
【0164】
また、間接熱交換器13には、井戸水191が送られ、冷熱が採熱されていたが、これに限定されない。例えば、地中熱交換器によって冷却された媒体が、間接熱交換器13に送られ、冷熱が採熱されてもよい。この場合でも、井戸水191と同様に、地中熱交換器によって冷却された媒体の温度は変化しにくいので、空調システム1A,1Bと同様の効果を奏する。以下、
図17を参照して、本変形例について説明する。以下の説明において、
図3と同じ構成は、同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0165】
図17に示すように、変形例に係る空調システム1Cは、揚水井戸181及び還元井戸182(
図3参照)に代えて、地中熱交換器196を備えている。地中熱交換器196は、地表105の下側に向けて設けられている。地中熱交換器196の一端は、間接熱交換器13に接続された流路798に接続されている。地中熱交換器196の他端は、間接熱交換器13に接続された流路799に接続されている。流路798には、ポンプ966及び温度センサ239が設けられている。地中熱交換器196、流路798、間接熱交換器13、及び流路799においては、第二熱媒体197が循環する。本実施形態における第二熱媒体197は、地中熱交換器196において地中熱と熱交換される媒体である。第二熱媒体197は、例えば、水または冷媒である。冷媒は、例えば、不凍液(例えば、エチレングリコール水溶液、プロピレングリコール水溶液)である。
【0166】
温度センサ239は、流路798の第二熱媒体197の温度を検出する。CPU601は、温度センサ239から出力される信号に基づき、流路798の第二熱媒体197の温度を検出する。検出された流路798の第二熱媒体197の温度が、上述の実施形態の第二熱媒体温度T82となる。第二熱媒体温度T82は、S501(
図14参照)、S507(
図14参照)、及びS607(
図15参照)において、室内温度T80と第二熱媒体温度T82との差である温度差T90が求められる場合に使用される。
【0167】
なお、空調システム1Cにおいては、流路704及び給水装置163(
図1参照)は設けられていない。このため、S200、S701~S703の処理(
図11参照)は実行されなくてもよい。S200、S701~S703が実行されない場合、運転切替処理が開始されると、まずS201の処理が行われてもよい。また、S200に戻る処理は、全て、S201に戻ってもよい。また、開閉弁914(
図1参照)は設けられていない。
【0168】
本変形例において、S502(
図14参照)によって実行される、冷房の運転パターンFが行われる場合、CPU601は、開閉弁902,903,904,905,906,907を開き、他の開閉弁908,909,910,911,912,913を閉じる。CPU601は、ポンプ951,996を駆動する。これによって、第二熱媒体197が、地中熱交換器196、流路798、間接熱交換器13、流路799、及び地中熱交換器196を循環する(矢印595参照)。地中熱交換器196において、地中熱と第二熱媒体197との熱交換により第二熱媒体197が冷却される。冷却された第二熱媒体197は、間接熱交換器13に送られ、冷熱が採熱され、第四液体304が冷却される。第四液体304は間接熱交換器13と空調機161との間で循環し(矢印596参照)、空調機161による冷房に利用される。
【0169】
図示しないが、S602(
図15参照)によって実行される、冷房の運転パターンGが行われる場合、CPU601は、開閉弁902,903,908,909,910,911を開き、他の開閉弁904,905,906,907,912,913を閉じる。CPU601は、ポンプ951,953,966を駆動する。これによって、第二熱媒体197が、地中熱交換器196、流路798、間接熱交換器13、流路799、及び地中熱交換器196を循環する。地中熱交換器196において、地中熱と第二熱媒体197との熱交換により第二熱媒体197が冷却される。間接熱交換器13において第二熱媒体197から冷熱が採熱され、第三液体303(
図8と同様)が冷却される。第三液体303は、間接熱交換器13とヒートポンプ12との間で循環する(
図8の矢印572と同様)。
【0170】
ヒートポンプ12において第三液体303から、冷熱が採熱され、第二液体302が冷却される。第二液体302は、ヒートポンプ12と空調機161との間で循環し、空調機161による冷房に利用される。このように地中熱と熱交換される媒体である第二熱媒体197に由来する冷熱が使用され、暖房が行われる。
【0171】
図示しないが、S402(
図13参照)によって実行される、暖房の運転パターンDが行われる場合、CPU601は、開閉弁902,903,908,909,910,911を開き、他の開閉弁904,905,906,907,912,913を閉じる。CPU601は、ポンプ951,953,966を駆動する。これによって、第二熱媒体197が、地中熱交換器196、流路798、間接熱交換器13、流路799、及び地中熱交換器196を循環する。地中熱交換器196において、地中熱と第二熱媒体197との熱交換により第二熱媒体197が加熱される。間接熱交換器13において第二熱媒体197から採熱され、第三液体303(
図6と同様)が加熱される。第三液体303は、間接熱交換器13とヒートポンプ12との間で循環する(
図6の矢印542と同様)。
【0172】
ヒートポンプ12において第三液体303から採熱され、第二液体302(
図6と同様)が加熱される。第二液体302は、ヒートポンプ12と空調機161との間で循環し、空調機161による暖房に利用される。このように、地中熱と熱交換される媒体である第二熱媒体197に由来する熱が使用され、暖房が行われる。なお、運転パターンA,B,Cも、空調システム1A,1Bと同様に実行される。本変形例の空調システム1Cは、空調システム1A,1Bと同様の効果を奏する。また、本変形例においても、蓄熱槽15を蓄熱槽15B(
図16参照)とし、熱交換部155を設けてもよい。
【0173】
本変形例において、温度センサ239は本発明の「第二温度検出部」の一例である。地中熱と熱交換される媒体である第二熱媒体197は本発明の「第二熱媒体」の一例である。
【0174】
また、地中熱交換器196を設ける場合、
図18に示す変形例に係る空調システム1Dのように、間接熱交換器13(
図17参照)は設けなくてもよい。地中熱交換器196を用いる場合、井戸水191に比べて、不純物が混入する可能性が低いので、第二熱媒体197を直接ヒートポンプ12及び空調機161に供給しても、ヒートポンプ12及び空調機161が不純物によって故障する可能性は低いからである。この場合、ポンプ951(
図17参照)は不要となる。流路711は、地中熱交換器196の一端に接続され、流路713は、地中熱交換器196の他端に接続されている。ポンプ966及び温度センサ239は、流路711に設けられている。本変形例においては、第二熱媒体197は、地中熱と熱交換される媒体である。第二熱媒体197は、例えば、水または冷媒である。冷媒は、例えば、不凍液(例えば、エチレングリコール水溶液、プロピレングリコール水溶液)である。また、第二熱媒体197と、蓄熱槽15の貯留された第一熱媒体30及び第一液体301とは、同じ媒体である。
【0175】
本変形例では、室内温度T80が、第二熱媒体温度T82より高い状態において、室内温度T80と第二熱媒体温度T82との差である温度差T90が、所定温度差T91より大きい場合(
図14のS501:YES、又は、
図15のS607:YES)、冷房の運転パターンFが実行される(
図14のS502)。本変形例において、運転パターンFが行われる場合、
図18に示すように、CPU601は、開閉弁902,903,904,905,906,907を開き、他の開閉弁908,909,910,911,912,913を閉じる。CPU601は、ポンプ966を駆動する。これによって、第二熱媒体197が、地中熱交換器196、流路711、流路721、流路732、流路733、空調機161、流路736、流路735、流路722、流路713、及び地中熱交換器196を循環する(矢印597参照)。地中熱交換器196において、地中熱と第二熱媒体197との熱交換により第二熱媒体197が冷却される。冷却された第二熱媒体197は、空調機161に送られる。空調機161において第二熱媒体197が熱源として使用され、冷房が行われる。
【0176】
また、本変形例では、室内温度T80が、第二熱媒体温度T82より高い状態において、室内温度T80と第二熱媒体温度T82との差である温度差T90が、所定温度差T91以下の場合(
図14のS501:NO、又は、S507:NO)、冷房の運転パターンGが実行される(
図15のS602)。本変形例において、運転パターンGが行われる場合、
図19に示すように、CPU601は、開閉弁902,903,908,909,910,911を開き、他の開閉弁904,905,906,907,912,913を閉じる。CPU601は、ポンプ953,966を駆動する。これによって、第二熱媒体197が、地中熱交換器196、流路711、流路712、ヒートポンプ12、流路714、流路713、及び地中熱交換器196を循環する(矢印598参照)。第二液体302は、ヒートポンプ12と空調機161との間で循環する(矢印599参照)。
【0177】
地中熱交換器196において地中熱と第二熱媒体197との間で熱交換され、第二熱媒体197が冷却される。ヒートポンプ12において第二熱媒体197と第二液体302との間で熱交換され、第二液体302が冷却される。冷却された第二液体302は、空調機161に送られる。空調機161において第二液体302が熱源として使用され、冷房が行われる。
【0178】
本変形例において冷房の運転パターンF(
図18参照)が行われる場合には、第二熱媒体197に由来する冷熱が、直接空調機161に供給され、空調室16の冷房が行われる。冷房の運転パターンG(
図19参照)では、第二熱媒体197に由来する冷熱が、ヒートポンプ12を介して空調機161に供給され、空調室16の冷房が行われる。このため、冷房に間接熱交換器13は使用されない。よって、例えば、間接熱交換器13とヒートポンプ12との両方が設けられる場合より、空調システム1Dのコストを低減することができる。
【0179】
また、冷房の運転パターンF(
図18参照)が行われる場合には、第二熱媒体197が直接空調機161に供給されて空調が行われる。このため、地中熱交換器196と空調機161との間に間接熱交換器13が設けられる場合に比べて、間接熱交換器13で熱エネルギーが消費されることがなく、熱を空調機161に伝達する効率が向上する。また、冷房の運転パターンG(
図19参照)が行われる場合には、第二熱媒体197が直接ヒートポンプ12に供給されて熱交換される。このため、地中熱交換器196とヒートポンプ12との間に間接熱交換器13が設けられる場合に比べて、間接熱交換器13で熱エネルギーが消費されることがなく、熱を空調機161部に伝達する効率が向上する。
【0180】
また、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第二温度T2以下である場合(
図12のS301:NO、又は、
図12のS304:YES)、暖房の運転パターンDが実行される(
図13のS402)。
図19に示すように、運転パターンDが行われる場合、CPU601は、開閉弁902,903,908,909,910,911を開き、他の開閉弁904,905,906,907,912,913を閉じる。CPU601は、ポンプ953,966を駆動する。これによって、冷房の運転パターンGと同様に、第二熱媒体197が、地中熱交換器196とヒートポンプ12との間で循環する(矢印598参照)。第二液体302は、ヒートポンプ12と空調機161との間で循環する(矢印599参照)。
【0181】
地中熱交換器196において地中熱と第二熱媒体197との間で熱交換され、第二熱媒体197が加熱される。ヒートポンプ12において第二熱媒体197と第二液体302との間で熱交換され、第二液体302が加熱される。加熱された第二液体302は、空調機161に送られる。空調機161において第二液体302が熱源として使用され、暖房が行われる。このように、本変形例において運転パターンDが行われる場合には、第二熱媒体197に由来する熱が、ヒートポンプ12を介して空調機161に供給され、空調室16の暖房が行われる。このため、暖房に間接熱交換器13は使用されない。よって、例えば、間接熱交換器13とヒートポンプ12との両方が設けられる場合より、空調システム1Dのコストを低減することができる。また、第二熱媒体197が直接ヒートポンプ12に供給されて熱交換される。このため、地中熱交換器196とヒートポンプ12との間に間接熱交換器13が設けられる場合に比べて、間接熱交換器13で熱エネルギーが消費されることがなく、熱を空調機161に伝達する効率が向上する。
【0182】
なお、運転パターンA,B,C,Eも、空調システム1A,1B,1Cと同様に実行される。また、本変形例の空調システム1Dは、空調システム1A,1B,1Cと同様の効果を奏する。また、本変形例においても、蓄熱槽15を、蓄熱槽15B(
図16参照)とし、熱交換部155を設けてもよい。
【0183】
本変形例において、地中熱交換器196は、本発明の「地中熱交換部」の一例である。
【0184】
また、井戸水191の不純物が少なければ、
図20に示す空調システム1Eのように、井戸水191をヒートポンプ12に供給してもよい。不純物が少ないとは、例えば、井戸水191の水質が、日本冷凍空調工業会標準規格JRA-GL-02-1994の基準をクリアした場合である。
【0185】
図20において、
図1と同じ構成は、同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。空調システム1Eにおいては、間接熱交換器13(
図1参照)及びポンプ951(
図1参照)は設けられていない。流路788の一端は分岐部801に接続され、他端は分岐部802に接続されている。流路789の一端は分岐部803に接続され、他端は還元井戸182の井戸水191の中に配置されている。開閉弁902は流路788に設けられ、開閉弁903は流路789に設けられている。開閉弁914(
図1参照)は設けられていない。
【0186】
空調システム1Eにおける第一熱媒体30、第一液体301、及び第二液体302は、井戸水191と同じ液体である。また、本実施形態においては、井戸水191が第二熱媒体である。
【0187】
本変形例では、室内温度T80が、第二熱媒体温度T82より高い状態において、室内温度T80と第二熱媒体温度T82との差である温度差T90が、所定温度差T91より大きい場合(
図14のS501:YES、又は、
図15のS607:YES)、冷房の運転パターンFが実行される(
図14のS502)。本変形例において、運転パターンFが行われる場合、
図20に示すように、CPU601は、開閉弁902,903,904,905,906,907を開き、他の開閉弁901,908,909,910,911,912,913を閉じる。CPU601は、ポンプ950を駆動する。これによって、第二熱媒体である井戸水191が、揚水井戸181、流路701、流路788、流路721、流路732、流路733、空調機161、流路736、流路735、流路722、流路789を介して、還元井戸182に流れる(矢印997参照)。空調機161において第二熱媒体である井戸水191が熱源として使用され、冷房が行われる。
【0188】
また、本変形例では、室内温度T80が、第二熱媒体温度T82より高い状態において、室内温度T80と第二熱媒体温度T82との差である温度差T90が、所定温度差T91以下の場合(
図14のS501:NO、又は、S507:NO)、冷房の運転パターンGが実行される(
図15のS602)。本変形例において、運転パターンGが行われる場合、
図21に示すように、CPU601は、開閉弁902,903,908,909,910,911を開き、他の開閉弁901,904,905,906,907,912,913を閉じる。CPU601は、ポンプ950,953を駆動する。これによって、第二熱媒体である井戸水191が、揚水井戸181、流路701、流路788、流路712、ヒートポンプ12、流路714、流路789を介して、還元井戸182に流れる(矢印998参照)。第二液体302は、ヒートポンプ12と空調機161との間で循環する(矢印999参照)。
【0189】
ヒートポンプ12において第二熱媒体である井戸水191と第二液体302との間で熱交換され、第二液体302が冷却される。冷却された第二液体302は、空調機161に送られる。空調機161において第二液体302が熱源として使用され、冷房が行われる。
【0190】
本変形例において冷房の運転パターンF(
図20参照)が行われる場合には、第二熱媒体である井戸水191に由来する冷熱が、直接空調機161に供給され、空調室16の冷房が行われる。冷房の運転パターンG(
図21参照)では、第二熱媒体である井戸水191に由来する冷熱が、ヒートポンプ12を介して空調機161に供給され、空調室16の冷房が行われる。このため、冷房に間接熱交換器13は使用されない。よって、例えば、間接熱交換器13とヒートポンプ12との両方が設けられる場合より、空調システム1Eのコストを低減することができる。
【0191】
また、冷房の運転パターンF(
図20参照)が行われる場合には、第二熱媒体である井戸水191が直接空調機161に供給されて空調が行われる。このため、井戸水191の供給源となる揚水井戸181と、空調機161との間に間接熱交換器13が設けられる場合に比べて、間接熱交換器13で熱エネルギーが消費されることがなく、熱を空調機161に伝達する効率が向上する。また、冷房の運転パターンG(
図21参照)が行われる場合には、第二熱媒体である井戸水191が直接ヒートポンプ12に供給されて熱交換される。このため、井戸水191の供給源となる揚水井戸181と、ヒートポンプ12との間に間接熱交換器13が設けられる場合に比べて、間接熱交換器13で熱エネルギーが消費されることがなく、熱を空調機161部に伝達する効率が向上する。
【0192】
また、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第二温度T2以下である場合(
図12のS301:NO、又は、
図12のS304:YES)、暖房の運転パターンDが実行される(
図13のS402)。
図19に示すように、運転パターンDが行われる場合、CPU601は、開閉弁902,903,908,909,910、911を開き、他の開閉弁901,904,905,906,907,912,913を閉じる。CPU601は、ポンプ950,953を駆動する。これによって、冷房の運転パターンGと同様に、第二熱媒体である井戸水191が、揚水井戸181からヒートポンプ12を介して、還元井戸182に流れる(矢印998参照)。第二液体302は、ヒートポンプ12と空調機161との間で循環する(矢印999参照)。
【0193】
ヒートポンプ12において第二熱媒体である井戸水191と第二液体302との間で熱交換され、第二液体302が加熱される。加熱された第二液体302は、空調機161に送られる。空調機161において第二液体302が熱源として使用され、暖房が行われる。このように、本変形例において運転パターンDが行われる場合には、第二熱媒体である井戸水191に由来する熱が、ヒートポンプ12を介して空調機161に供給され、空調室16の暖房が行われる。このため、暖房に間接熱交換器13は使用されない。よって、例えば、間接熱交換器13とヒートポンプ12との両方が設けられる場合より、空調システム1Eのコストを低減することができる。また、第二熱媒体である井戸水191が直接ヒートポンプ12に供給されて熱交換される。このため、井戸水191の供給源となる揚水井戸181と、ヒートポンプ12との間に間接熱交換器13が設けられる場合に比べて、間接熱交換器13で熱エネルギーが消費されることがなく、熱を空調機161に伝達する効率が向上する。
【0194】
なお、運転パターンA,B,C,Eも、空調システム1A,1B,1C,1Dと同様に実行される。運転パターンHも、空調システム1A,1Bと同様に実行される。運転パターンHが行われることで、空調室16に井戸水191の給水を行うことできる。また、本変形例の空調システム1Eは、空調システム1A,1B,1C,1Dと同様の効果を奏する。また、本変形例においても、蓄熱槽15を、蓄熱槽15B(
図16参照)とし、熱交換部155を設けてもよい。
【0195】
また、空調室16への給水が行われる場合は、運転パターンB,C,D,E,F,Gによる冷房又は暖房が停止され、運転パターンHが実行され(
図11のS701)、給水が行われていたが、本変形例においても、これに限定されない。例えば、給水装置163に供給する給水量が所定量以下の場合は、運転パターンB,C,D,E,F,Gによる暖房又は冷房と同時に、給水が行われてもよい。所定量は、例えば、運転パターンB,C,D,E,F,Gによる冷房又は暖房が実行可能な範囲で設定される。所定量は、一例として、揚水井戸181からの井戸水191の揚水可能量と、ヒートポンプ12が動作するためにヒートポンプ12に供給する必要のある水量との差であり、例えば、10L/minである。揚水井戸181からの井戸水191の揚水可能量は、例えば、予め設定され、ROM602、又は、RAM603に記憶されている。また、ヒートポンプ12が動作するためにヒートポンプ12に供給する必要のある水量は、例えば、予め設定され、ROM602、又は、RAM603に記憶されていてもよいし、ヒートポンプ12の負荷に応じて算出されてもよい。例えば、流路704に流量センサを設ける。CPU601は、流路704の流量センサの出力を参照し、給水装置163に供給する給水量を検出する。検出した給水量が、所定量以下の場合に、運転パターンB,C,D,E,F,Gによる暖房又は冷房と同時に、給水が行われてもよい。
【0196】
また、
図22に示す空調システム1Fのように、間接熱交換器131を設けてもよい。
図22において、
図1と同じ構成は、同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。空調システム1Fにおいては、ポンプ951及びポンプ953(
図1参照)は設けられていない。空調システム1Fは、ポンプ954,955を備えている。流路712において、開閉弁910とヒートポンプ12との間には、ポンプ954が設けられている。ポンプ955は、流路736に設けられている。
【0197】
流路771の一端は、蓄熱槽15に接続され、他端は、間接熱交換器131に接続されている。流路771は、間接熱交換器131内の流路を介して、流路772の一端に接続されている。流路772の他端は、蓄熱槽15に接続されている。ポンプ952は、流路772に設けられている。流路773の一端は、分岐部804に接続され、他端は、間接熱交換器131に接続されている。流路773は、間接熱交換器131内の流路を介して、流路774の一端に接続されている。流路774の他端は、分岐部805に接続されている。開閉弁912は流路773に設けられ、開閉弁913は流路774に設けられている。
【0198】
本変形例では、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第一温度T1より高い場合(
図11のS203:YES)、暖房の運転パターンBが実行される(
図11のS204)。蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第一温度T1以下である場合(
図11のS203:NO、又は、
図11のS205:YES)、暖房の運転パターンCが実行される(
図12のS302)。この場合、蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tに応じて、運転パターンB(
図22参照)と運転パターンC(
図23参照)との間で運転パターンが切り替わる。
【0199】
以下の説明において、第一液体301は、第一熱媒体30そのものである。また、第五液体305は、間接熱交換器131と空調機161との間の液体である。第六液体306は、間接熱交換器131とヒートポンプ12との間の液体である。また、第一熱媒体30と、第一液体301、第二液体302、第三液体303、第四液体304,第五液体305,及び第六液体306は、同じ媒体であり、一例として、不凍液(例えば、エチレングリコール水溶液、プロピレングリコール水溶液)である。なお、第一熱媒体30と第一液体301とが、第二液体302、第三液体303、第四液体304,第五液体305,及び第六液体306とは異なる液体であってもよい。
【0200】
本変形例において、暖房の運転パターンBが行われる場合、
図22に示すように、CPU601は、開閉弁906,907,912,913を開き、他の開閉弁901,902,903,904,905,908,909,910,911,914を閉じる。CPU601は、ポンプ952,955を駆動する。これによって、第一液体301は、蓄熱槽15から、流路772、間接熱交換器131、流路771を介して、蓄熱槽15に流れる(矢印981参照)。第五液体305は、間接熱交換器131、流路774、流路735、流路736、空調機161、流路733、流路732、流路773、及び間接熱交換器131を循環する(矢印982参照)。
【0201】
間接熱交換器131において、間接的な熱交換により、第一液体301から採熱され、第五液体305が加熱される。加熱された第五液体305の熱が使用され、空調機161において、空調室16の暖房が行われる。
【0202】
本変形例において、暖房の運転パターンCが行われる場合、
図23に示すように、CPU601は、開閉弁904,905,908,909,910,911,912,913を開き、他の開閉弁901,902,903,906,907,914を閉じる。CPU601は、ポンプ952,954,955を駆動する。これによって、第一液体301は、蓄熱槽15から、流路772、間接熱交換器131、流路771を介して、蓄熱槽15に流れる(矢印983参照)。第六液体306は、間接熱交換器131、流路774、流路722、流路714、ヒートポンプ12、流路712、流路721、流路773、及び間接熱交換器131を循環する(矢印984参照)。第二液体302は、ヒートポンプ12、流路742、流路736、空調機161、流路733、流路741、及びヒートポンプ12を循環する(矢印985参照)。
【0203】
間接熱交換器131において、間接的な熱交換により、第一液体301から採熱され、第六液体306が加熱される。ヒートポンプ12において、ヒートポンプ方式により、第六液体306から採熱され、第二液体302が加熱される。加熱された第二液体302の熱が利用され、空調機161において、空調室16の暖房が行われる。
【0204】
図示しないが、空調システム1Fにおいて、暖房の運転パターンDが行われる場合、CPU601は、開閉弁902,903,908,909,910,911,914を開き、他の開閉弁901,904,905,906,907,912,913を閉じる。CPU601は、ポンプ950,954,955を駆動する。
図6に示す場合と同様に、井戸水191は、揚水井戸181から、間接熱交換器13を介して、還元井戸182に流れる。第三液体303は、間接熱交換器13とヒートポンプ12との間を循環する。第二液体302は、ヒートポンプ12と空調機161との間を循環する。間接熱交換器13において、間接的な熱交換により、井戸水191から採熱され、第三液体303が加熱される。ヒートポンプ12において、第三液体303から採熱され、第二液体302が加熱される。加熱された第二液体302の熱が利用され、空調機161において、空調室16の暖房が行われる。
【0205】
図24に示すように、冷房の運転パターンFが行われる場合、CPU601は、開閉弁902,903,904,905,906,907,914を開き、他の開閉弁901,908,909,910,911,912,913を閉じる。CPU601は、ポンプ950,955を駆動する。これによって、井戸水191は、揚水井戸181から、間接熱交換器13を介して、還元井戸182に流れる(矢印986参照)。第四液体304は、間接熱交換器13、流路713、流路722、流路735、流路736、空調機161、流路733、流路732、流路721、流路711、及び間接熱交換器13を循環する(矢印987参照)。間接熱交換器13において、間接的な熱交換により、井戸水191から冷熱が採熱され、第四液体304が冷却される。冷却された第四液体304の冷熱が利用され、空調機161において、空調室16の冷房が行われる。
【0206】
図示しないが、空調システム1Fにおいて、冷房の運転パターンGが行われる場合、CPU601は、開閉弁902,903,908,909,910,911,914を開き、他の開閉弁901,904,905,906,907,912,913を閉じる。CPU601は、ポンプ950,954,955を駆動する。
図8に示す場合と同様に、井戸水191は、揚水井戸181から、間接熱交換器13を介して、還元井戸182に流れる。第三液体303は、間接熱交換器13とヒートポンプ12との間を循環する。第二液体302は、ヒートポンプ12と空調機161との間を循環する。間接熱交換器13において、間接的な熱交換により、井戸水191から冷熱が採熱され、第三液体303が冷却される。ヒートポンプ12において、第三液体303から冷熱が採熱され、第二液体302が冷却される。冷却された第二液体302の冷熱が利用され、空調機161において、空調室16の冷房が行われる。
【0207】
本変形例においては、熱交換によって第一液体301から採熱する間接熱交換器131が設けられている。蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第一温度T1より高い場合(
図11のS203:YES)、暖房の運転パターンBが実行される(
図11のS204)。蓄熱槽15に貯留された第一熱媒体30の温度Tが、第一温度T1以下である場合(
図11のS203:NO、又は、
図11のS205:YES)、暖房の運転パターンCが実行される(
図12のS302)。運転パターンBでは、間接熱交換器131において第一液体301と第五液体305との間で熱交換して第五液体305を加熱し、空調機161において第五液体305を熱源として暖房が行われる(
図22参照)。運転パターンCでは、間接熱交換器131において第一液体301と第六液体306との間で熱交換して第六液体306を加熱し、ヒートポンプ12において第六液体306と第二液体302との間で熱交換して第二液体302を加熱し、空調機161において第二液体302を熱源として暖房を行う(
図23参照)。
【0208】
このように、運転パターンBが行われる場合には、第一熱媒体30に由来する熱が、間接熱交換器131を介して、空調機161に供給され、空調室16の暖房が行われる。運転パターンCが行われる場合には、第一熱媒体30に由来する熱が、間接熱交換器131とヒートポンプ12とを介して空調機161に供給され、空調室16の暖房が行われる。間接熱交換器131が設けられているので、第一液体301が直接ヒートポンプ12に供給されない。このため、例えば、第一液体301に不純物が含まれていた場合でも、ヒートポンプ12が不純物の影響によって故障する可能性を低減できる。
【0209】
なお、運転パターンA,Eも、空調システム1A,1B,1C,1D,1Eと同様に実行される。運転パターンHも、空調システム1A,1B,1Eと同様に実行される。運転パターンHが行われることで、空調室16に井戸水191の給水を行うことできる。また、本変形例の空調システム1Fは、空調システム1A,1B,1C,1D,1Eと同様の効果を奏する。また、本変形例においても、蓄熱槽15を、蓄熱槽15B(
図16参照)とし、熱交換部155を設けてもよい。
【0210】
また、
図24に示すように、冷房の運転パターンFが行われる場合、間接熱交換器13において、井戸水191と第四液体304とが同じ方向(紙面の下側から上側に向かう方向)に流れる並行流となっていたが、これに限定されない。例えば、ポンプ955を、一方向、及び、該一方向とは反対方向に、液体を流すことが可能なポンプにする。そして、冷房の運転パターンFを行う場合に、ポンプ955が第四液体304を流す方向を、矢印987とは逆方向にする、この場合、間接熱交換器13において、第四液体304は、紙面の上側から下側に向かう方向に流れ、井戸水191は、紙面の下側から上側に向かう方向に流れる。すなわち、間接熱交換器13において、井戸水191と第四液体304とが互いに逆方向に流れる対向流となる。対向流の場合、並行流に比べて、井戸水191から第四液体304への冷熱を伝達する効率が向上する。よって、冷房が行われる場合の効率が向上する。なお、全ての実施形態において、間接熱交換器13,131が使用される場合、対向流にしてもよいし、並行流にしてもよい。全てのポンプ950,951,952,953,954,955は、一方向、及び、該一方向とは反対方向に、液体を流すことが可能なポンプにしてもよい。そして、運転パターンB,C,D,F,Gが実行される場合において、間接熱交換器13,131が使用される場合に、対向流にしてもよい。
【0211】
本変形例において、間接熱交換器131は本発明の「第一熱交換部」の一例である。
【0212】
なお、間接熱交換器131を使用する場合においても、上述した各種の変形を加えてもよい。
図25に示す空調システム1Gは、空調システム1F(
図24参照)の揚水井戸181及び還元井戸182に代えて、
図17と同様に、地中熱交換器196を備えたものである。上述の実施形態と同じ構成は、同じ符号で示し、詳細の説明は省略する(後述する空調システム1H,1Jも同様)。
【0213】
図25に示すように、空調システム1Gにおいて、運転パターンFが実行される場合、CPU601は、開閉弁902,903,904,905,906,907を開き、他の開閉弁908,909,910,911,912,913を閉じる。CPU601は、ポンプ955,966を駆動する。これによって、第二熱媒体197は、地中熱交換器196と間接熱交換器13との間を循環する(矢印971参照)。第四液体304は、間接熱交換器13と空調機161との間を循環する(矢印972参照)。間接熱交換器13において、間接的な熱交換により、第二熱媒体197から冷熱が採熱され、第四液体304が冷却される。冷却された第四液体304の冷熱が利用され、空調機161において、空調室16の冷房が行われる。なお、ポンプ955が第四液体304を流す方向は、
図24の場合と逆になっているが、
図24と同じ方向でもよい。
【0214】
運転パターンA,B,C,D,E,Gも、空調システム1C,1F等と同様に実行される。図示しないが、運転パターンBが実行される場合には、
図22と同様に、第一液体301が、蓄熱槽15と間接熱交換器131との間を循環する。第五液体305が間接熱交換器131と空調機161との間を循環する。運転パターンCが実行される場合には、
図23と同様に、第一液体301が、蓄熱槽15と間接熱交換器131との間を循環する。第六液体306が間接熱交換器131とヒートポンプ12との間を循環する。第二液体302がヒートポンプ12と空調機161との間を循環する。運転パターンD又は運転パターンGが実行される場合には、第二熱媒体197は、地中熱交換器196と間接熱交換器13との間を循環する。第三液体303は、間接熱交換器13とヒートポンプ12との間を循環する。第二液体302は、ヒートポンプ12と空調機161との間を循環する。
【0215】
図26に示す空調システム1Hは、空調システム1F(
図24参照)の揚水井戸181及び還元井戸182に代えて、
図18と同様に地中熱交換器196を設け、間接熱交換器13を削除したものである。ポンプ966は、地中に向けて設けられた地中熱交換器196から第二熱媒体197を引き上げる。高低差のある地中熱交換器196から第二熱媒体197を引き上げるので、ポンプ966は、ポンプ954,955より、揚程が大きい。
【0216】
図26に示すように、空調システム1Hにおいて、運転パターンFが実行される場合、CPU601は、開閉弁902,903,904,905,906,907を開き、他の開閉弁908,909,910,911,912,913を閉じる。CPU601は、ポンプ951を駆動する。これによって、第二熱媒体197は、地中熱交換器196と空調機161との間を循環する(矢印973参照)。第二熱媒体197の冷熱が利用され、空調機161において、空調室16の冷房が行われる。ポンプ966の駆動によって第二熱媒体197が循環するので、ポンプ955を駆動させなくてもよい。なお、ポンプ955,966の両方を駆動させ、第二熱媒体197を循環させてもよい。
【0217】
運転パターンA,B,C,D,E,Gも、空調システム1D,1F等と同様に実行される。図示しないが、運転パターンBが実行される場合には、
図22と同様に、第一液体301が、蓄熱槽15と間接熱交換器131との間を循環する。第五液体305が間接熱交換器131と空調機161との間を循環する。運転パターンCが実行される場合には、
図23と同様に、第一液体301が、蓄熱槽15と間接熱交換器131との間を循環する。第六液体306が間接熱交換器131とヒートポンプ12との間を循環する。第二液体302がヒートポンプ12と空調機161との間を循環する。運転パターンD又は運転パターンGが実行される場合には、第二熱媒体197は、ポンプ954の駆動によって、
図19と同様に、地中熱交換器196とヒートポンプ12との間を循環する。第二液体302は、ヒートポンプ12と空調機161との間を循環する。運転パターンD,Gが実行される場合、ポンプ966の駆動によって第二熱媒体197が循環するので、ポンプ954を駆動させなくてもよい。なお、ポンプ954,966の両方を駆動させ、第二熱媒体197を循環させてもよい。
【0218】
図27に示す空調システム1Jは、空調システム1Fの間接熱交換器13を、
図20と同様に、削除したものである。ポンプ950は、地中に向けて設けられた揚水井戸181から井戸水191を引き上げる。高低差のある揚水井戸181から井戸水191を引き上げるので、ポンプ950は、ポンプ954,955より、揚程が大きい。
【0219】
図27に示すように、空調システム1Jにおいて、運転パターンFが実行される場合、CPU601は、開閉弁902,903,904,905,906,907を開き、他の開閉弁901,908,909,910,911,912,913を閉じる。CPU601は、ポンプ950を駆動する。これによって、井戸水191が揚水井戸181から、空調機161を介して、還元井戸182に流れる(矢印974参照)。井戸水191の冷熱が利用され、空調機161において、空調室16の冷房が行われる。ポンプ950の駆動によって井戸水191が循環するので、ポンプ955を駆動させなくてもよい。なお、ポンプ950,954の両方を駆動させ、第二熱媒体197を循環させてもよい。
【0220】
運転パターンA,B,C,D,E,G,Hも、空調システム1E,1F等と同様に実行される。図示しないが、運転パターンBが実行される場合には、
図22と同様に、第一液体301が、蓄熱槽15と間接熱交換器131との間を循環する。第五液体305が間接熱交換器131と空調機161との間を循環する。運転パターンCが実行される場合には、
図23と同様に、第一液体301が、蓄熱槽15と間接熱交換器131との間を循環する。第六液体306が間接熱交換器131とヒートポンプ12との間を循環する。第二液体302がヒートポンプ12と空調機161との間を循環する。運転パターンD又は運転パターンGが実行される場合には、ポンプ950の駆動によって、
図21と同様に、井戸水191が揚水井戸181から揚水され、ヒートポンプ12を介して、還元井戸182に流れる。第二液体302は、ヒートポンプ12と空調機161との間を循環する。運転パターンD,Gが実行される場合、ポンプ950の駆動によって井戸水191が循環するので、ポンプ954を駆動させなくてもよい。なお、ポンプ950,954の両方を駆動させ、第二熱媒体197を循環させてもよい。
【0221】
空調システム1G,1H,1Jは、空調システム1A,1B,1C,1D,1E,1Fと同様の効果を奏する。また、空調システム1G,1H,1Jにおいても、蓄熱槽15を、蓄熱槽15B(
図16参照)とし、熱交換部155を設けてもよい。
【符号の説明】
【0222】
1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1J 空調システム
12 ヒートポンプ
13,131 間接熱交換器
14 太陽集熱器
15,15B 蓄熱槽
16 空調室
17 換気装置
30,30B 第一熱媒体
161 空調機
163 給水装置
191 井戸水
196 地中熱交換器
197 第二熱媒体
231,232,234,235,239 温度センサ
301 第一液体
302 第二液体
303 第三液体
304 第四液体
305 第五液体
306 第六液体
601 CPU