(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178875
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】構造架構生成装置、構造架構生成方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/13 20200101AFI20241218BHJP
G06F 30/10 20200101ALI20241218BHJP
G06F 30/20 20200101ALI20241218BHJP
【FI】
G06F30/13
G06F30/10 100
G06F30/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104845
(22)【出願日】2023-06-27
(31)【優先権主張番号】P 2023097017
(32)【優先日】2023-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】黒木 光博
(72)【発明者】
【氏名】横山 一智
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 泰志
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA04
5B146DC04
5B146DJ02
5B146DJ14
5B146EA10
5B146EA15
(57)【要約】
【課題】、建物ボリュームに内包させる代表的な構造架構及び基準を満たす部材断面を短期間に得る。
【解決手段】構造架構生成装置は、入力されたスパン長さ、スパン数、階高、及び階数に基づいて、設定された形状の建物ボリュームに内包される構造架構を生成する構造架構生成部であって、前記スパン長さ及び前記スパン数に基づいて、基準階の水平面上の平面構造架構を生成し、前記平面構造架構を前記階高及び前記階数に基づいて、鉛直方向に複製し、前記建物ボリュームの境界面からはみ出る柱及大梁を削除した前記構造架構を生成する構造架構生成部と、前記構造架構生成部が生成した前記構造架構に基づいて、構造解析を実行し、設計目標を満たす部材断面情報を生成する構造解析処理部と、前記構造架構と、前記構造解析処理部が生成した前記部材断面情報とを出力する出力処理部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたスパン長さ、スパン数、階高、及び階数に基づいて、設定された形状の建物ボリュームに内包される構造架構を生成する構造架構生成部であって、前記スパン長さ及び前記スパン数に基づいて、基準階の水平面上の平面構造架構を生成し、前記平面構造架構を前記階高及び前記階数に基づいて、鉛直方向に複製し、前記建物ボリュームの境界面からはみ出る柱及大梁を削除した前記構造架構を生成する構造架構生成部と、
前記構造架構生成部が生成した前記構造架構に基づいて、構造解析を実行し、設計目標を満たす部材断面情報を生成する構造解析処理部と、
前記構造架構と、前記構造解析処理部が生成した前記部材断面情報とを出力する出力処理部と
を備える構造架構生成装置。
【請求項2】
前記構造架構生成部は、前記平面構造架構を鉛直方向に複製した際に、鉛直方向の前記境界面からはみ出ている柱を削除するとともに、複製した前記平面構造架構において、水平面の前記境界面からはみ出ている大梁を削除する
請求項1に記載の構造架構生成装置。
【請求項3】
前記構造解析処理部は、前記部材断面情報の候補と、前記構造架構の解析条件とに基づいて、前記構造架構の構造解析処理を実行し、前記設計目標を満たしていない場合に、前記部材断面情報の候補を変更して、前記構造解析処理を繰り返して実行し、前記設計目標を満たす前記部材断面情報を決定する
請求項1に記載の構造架構生成装置。
【請求項4】
前記構造解析処理部は、前記構造架構に含まれる部材長及び部材端部の接合部形状に基づいて、類似性を有する前記部材断面情報を、識別情報を付与して集約する処理を実行する
請求項3に記載の構造架構生成装置。
【請求項5】
前記出力処理部は、前記構造架構及び前記部材断面情報を、2次元又は3次元の表示情報として出力するとともに、前記構造架構及び前記部材断面情報のデータを出力する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の構造架構生成装置。
【請求項6】
入力されたスパン長さ、スパン数、階高、及び階数に基づいて、設定された形状の建物ボリュームに内包される構造架構を生成する構造架構生成部と、
前記構造架構生成部が生成した前記構造架構に基づいて、構造解析を実行し、設計目標を満たす部材断面情報を生成する構造解析処理部であって、前記部材断面情報の候補と、前記構造架構の解析条件とに基づいて、前記構造架構の構造解析処理を実行し、前記設計目標を満たしていない場合に、前記部材断面情報の候補を変更して、前記構造解析処理を繰り返して実行し、前記設計目標を満たす前記部材断面情報を決定する構造解析処理部と、
前記構造架構と、前記構造解析処理部が生成した前記部材断面情報とを出力する出力処理部と
を備える構造架構生成装置。
【請求項7】
構造架構生成部が、入力されたスパン長さ、スパン数、階高、及び階数に基づいて、設定された形状の建物ボリュームに内包される構造架構を生成する構造架構生成ステップであって、前記スパン長さ及び前記スパン数に基づいて、基準階の水平面上の平面構造架構を生成し、前記平面構造架構を前記階高及び前記階数に基づいて、鉛直方向に複製し、前記建物ボリュームの境界面からはみ出る柱及大梁を削除した前記構造架構を生成する構造架構生成ステップと、
構造解析処理部が、前記構造架構生成ステップによって生成された前記構造架構に基づいて、構造解析を実行し、設計目標を満たす部材断面情報を生成する構造解析処理ステップと、
出力処理部が、前記構造架構と、前記構造解析処理ステップによって生成された前記部材断面情報とを出力する出力処理ステップと
を含む構造架構生成方法。
【請求項8】
構造架構生成部が、入力されたスパン長さ、スパン数、階高、及び階数に基づいて、設定された形状の建物ボリュームに内包される構造架構を生成する構造架構生成ステップと、
構造解析処理部が、前記構造架構生成ステップによって生成された前記構造架構に基づいて、構造解析を実行し、設計目標を満たす部材断面情報を生成する構造解析処理ステップであって、前記部材断面情報の候補と、前記構造架構の解析条件とに基づいて、前記構造架構の構造解析処理を実行し、前記設計目標を満たしていない場合に、前記部材断面情報の候補を変更して、前記構造解析処理を繰り返して実行し、前記設計目標を満たす前記部材断面情報を決定する構造解析処理ステップと、
出力処理部が、前記構造架構と、前記構造解析処理ステップによって生成された前記部材断面情報とを出力する出力処理ステップと
を含む構造架構生成方法。
【請求項9】
コンピュータに、
入力されたスパン長さ、スパン数、階高、及び階数に基づいて、設定された形状の建物ボリュームに内包される構造架構を生成する構造架構生成ステップであって、前記スパン長さ及び前記スパン数に基づいて、基準階の水平面上の平面構造架構を生成し、前記平面構造架構を前記階高及び前記階数に基づいて、鉛直方向に複製し、前記建物ボリュームの境界面からはみ出る柱及大梁を削除した前記構造架構を生成する構造架構生成ステップと、
前記構造架構生成ステップによって生成された前記構造架構に基づいて、構造解析を実行し、設計目標を満たす部材断面情報を生成する構造解析処理ステップと、
前記構造架構と、前記構造解析処理ステップによって生成された前記部材断面情報とを出力する出力処理ステップと
を実行させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
入力されたスパン長さ、スパン数、階高、及び階数に基づいて、設定された形状の建物ボリュームに内包される構造架構を生成する構造架構生成ステップと、
前記構造架構生成ステップによって生成された前記構造架構に基づいて、構造解析を実行し、設計目標を満たす部材断面情報を生成する構造解析処理ステップであって、前記部材断面情報の候補と、前記構造架構の解析条件とに基づいて、前記構造架構の構造解析処理を実行し、前記設計目標を満たしていない場合に、前記部材断面情報の候補を変更して、前記構造解析処理を繰り返して実行し、前記設計目標を満たす前記部材断面情報を決定する構造解析処理ステップと、
前記構造架構と、前記構造解析処理ステップによって生成された前記部材断面情報とを出力する出力処理ステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造架構生成装置、構造架構生成方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の構造設計の初期段階において、設計与条件である建物ボリュームから構造架構及び部材断面を決定する構造計画を立案する際には、設計担当者が、過去の経験や知見、過去の類似案件、等に基づいて、工学的判断を盛り込みながら個別に行っていた。なお、構造架構を設計する技術としては、特許文献1に記載の技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、例えば、設計担当者の経験の浅い場合には、過去の経験や知見が不足しているため、設計の次工程において手戻りが発生してしまう等、構造架構・部材断面の設計精度がばらついてしまう場合があり、設計与条件である建物ボリュームに内包させる代表的な構造架構及び基準を満たす部材断面を短期間に得ることが困難であった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、建物ボリュームに内包させる代表的な構造架構及び基準を満たす部材断面を短期間に得ることができる構造架構生成装置、構造架構生成方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、入力されたスパン長さ、スパン数、階高、及び階数に基づいて、設定された形状の建物ボリュームに内包される構造架構を生成する構造架構生成部であって、前記スパン長さ及び前記スパン数に基づいて、基準階の水平面上の平面構造架構を生成し、前記平面構造架構を前記階高及び前記階数に基づいて、鉛直方向に複製し、前記建物ボリュームの境界面からはみ出る柱及大梁を削除した前記構造架構を生成する構造架構生成部と、前記構造架構生成部が生成した前記構造架構に基づいて、構造解析を実行し、設計目標を満たす部材断面情報を生成する構造解析処理部と、前記構造架構と、前記構造解析処理部が生成した前記部材断面情報とを出力する出力処理部とを備える構造架構生成装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、入力されたスパン長さ、スパン数、階高、及び階数に基づいて、設定された形状の建物ボリュームに内包される構造架構を生成する構造架構生成部と、前記構造架構生成部が生成した前記構造架構に基づいて、構造解析を実行し、設計目標を満たす部材断面情報を生成する構造解析処理部であって、前記部材断面情報の候補と、前記構造架構の解析条件とに基づいて、前記構造架構の構造解析処理を実行し、前記設計目標を満たしていない場合に、前記部材断面情報の候補を変更して、前記構造解析処理を繰り返して実行し、前記設計目標を満たす前記部材断面情報を決定する構造解析処理部と、前記構造架構と、前記構造解析処理部が生成した前記部材断面情報とを出力する出力処理部とを備える構造架構生成装置である。
【0008】
また、本発明の一態様は、構造架構生成部が、入力されたスパン長さ、スパン数、階高、及び階数に基づいて、設定された形状の建物ボリュームに内包される構造架構を生成する構造架構生成ステップであって、前記スパン長さ及び前記スパン数に基づいて、基準階の水平面上の平面構造架構を生成し、前記平面構造架構を前記階高及び前記階数に基づいて、鉛直方向に複製し、前記建物ボリュームの境界面からはみ出る柱及大梁を削除した前記構造架構を生成する構造架構生成ステップと、構造解析処理部が、前記構造架構生成ステップによって生成された前記構造架構に基づいて、構造解析を実行し、設計目標を満たす部材断面情報を生成する構造解析処理ステップと、出力処理部が、前記構造架構と、前記構造解析処理ステップによって生成された前記部材断面情報とを出力する出力処理ステップとを含む構造架構生成方法である。
【0009】
また、本発明の一態様は、構造架構生成部が、入力されたスパン長さ、スパン数、階高、及び階数に基づいて、設定された形状の建物ボリュームに内包される構造架構を生成する構造架構生成ステップと、構造解析処理部が、前記構造架構生成ステップによって生成された前記構造架構に基づいて、構造解析を実行し、設計目標を満たす部材断面情報を生成する構造解析処理ステップであって、前記部材断面情報の候補と、前記構造架構の解析条件とに基づいて、前記構造架構の構造解析処理を実行し、前記設計目標を満たしていない場合に、前記部材断面情報の候補を変更して、前記構造解析処理を繰り返して実行し、前記設計目標を満たす前記部材断面情報を決定する構造解析処理ステップと、出力処理部が、前記構造架構と、前記構造解析処理ステップによって生成された前記部材断面情報とを出力する出力処理ステップとを含む構造架構生成方法である。
【0010】
また、本発明の一態様は、コンピュータに、入力されたスパン長さ、スパン数、階高、及び階数に基づいて、設定された形状の建物ボリュームに内包される構造架構を生成する構造架構生成ステップであって、前記スパン長さ及び前記スパン数に基づいて、基準階の水平面上の平面構造架構を生成し、前記平面構造架構を前記階高及び前記階数に基づいて、鉛直方向に複製し、前記建物ボリュームの境界面からはみ出る柱及大梁を削除した前記構造架構を生成する構造架構生成ステップと、前記構造架構生成ステップによって生成された前記構造架構に基づいて、構造解析を実行し、設計目標を満たす部材断面情報を生成する構造解析処理ステップと、
前記構造架構と、前記構造解析処理ステップによって生成された前記部材断面情報とを出力する出力処理ステップとを実行させるためのプログラムである。
【0011】
また、本発明の一態様は、コンピュータに、入力されたスパン長さ、スパン数、階高、及び階数に基づいて、設定された形状の建物ボリュームに内包される構造架構を生成する構造架構生成ステップと、前記構造架構生成ステップによって生成された前記構造架構に基づいて、構造解析を実行し、設計目標を満たす部材断面情報を生成する構造解析処理ステップであって、前記部材断面情報の候補と、前記構造架構の解析条件とに基づいて、前記構造架構の構造解析処理を実行し、前記設計目標を満たしていない場合に、前記部材断面情報の候補を変更して、前記構造解析処理を繰り返して実行し、前記設計目標を満たす前記部材断面情報を決定する構造解析処理ステップと、前記構造架構と、前記構造解析処理ステップによって生成された前記部材断面情報とを出力する出力処理ステップとを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、建物ボリュームに内包させる代表的な構造架構及び基準を満たす部材断面を短期間に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態による構造架構生成装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態における断面情報リスト記憶部のデータ例を示す図である。
【
図3】本実施形態における構造架構の生成例を示す図である。
【
図4】本実施形態の構造架構の生成における建物ボリュームに内包されない部分の削除処理の一例を示す第1の図である。
【
図5】本実施形態の構造架構の生成における建物ボリュームに内包されない部分の削除処理の一例を示す第2の図である。
【
図6】本実施形態による構造架構生成装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態による構造架構生成装置、及び構造架構生成方法について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本実施形態による構造架構生成装置1の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、構造架構生成装置1は、入力部11と、表示部12と、記憶部13と、制御部14とを備える。
【0016】
構造架構生成装置1は、例えば、パーソナルコンピュータやサーバ装置などのコンピュータ装置である。構造架構生成装置1は、スパン数、スパン長さ、階高、建物の階数、及び設定された形状の建物ボリューム(3次元領域)を入力データとして、設計目標(構造設計諸条件)を満たす構造架構及び部材断面情報を出力する。ここで、部材断面情報は、構造架構を構成する部材(例えば、柱、梁、等)の断面情報である。
【0017】
入力部11は、例えば、キーボードやマウスなどの入力装置である。入力部11は、例えば、入力データなどの各種情報を受け付けて、制御部14に出力する。
表示部12は、例えば、液晶ディスプレイなどの表示装置であり、例えば、出力データ(出力情報)である建物の建物架構及び部材断面情報などの各種情報を表示する。なお、表示部12は、出力情報を出力する出力部の一例である。なお、ソフトウェアを使用する場合には、構造架構生成装置1は、3次元モデリングツール等を利用して、表示部12に建物の建物架構の2次元又は3次元の表示情報(例えば、3次元モデル)を表示する。
【0018】
記憶部13は、構造架構生成装置1が利用する各種情報を記憶する。記憶部13は、入力データ記憶部131と、構造架構記憶部132と、断面情報リスト記憶部133と、解析データ記憶部134と、部材断面情報記憶部135と、出力情報記憶部136とを備える。
【0019】
入力データ記憶部131は、入力部11が受け付けた入力データを記憶する。入力データには、例えば、スパン数、スパン長さ、階高、建物の階数、及び設定された形状の建物ボリューム、等が含まれる。また、入力データには、荷重情報などの構造設計条件、等が含まれてもよい。
【0020】
構造架構記憶部132は、後述する構造架構生成部142が生成した建物の構造架構を記憶する。
断面情報リスト記憶部133は、使用可能な部材の部材断面情報のリスト(一覧)を記憶する。断面情報リスト記憶部133は、複数の部材断面情報を、断面積が小さいものから順番にリスト化して記憶している。ここで、
図2を参照して、断面情報リスト記憶部133のデータ例について説明する。
【0021】
図2は、本実施形態における断面情報リスト記憶部133のデータ例を示す図である。
図2に示すように、断面情報リスト記憶部133は、断面番号と、部材断面情報とを対応付けて記憶する。
【0022】
図2において、断面番号は、部材断面情報の識別情報である。
図2に示す例では、断面番号が“1”の部材断面情報が“H1×B1×t11×t21×r1”であることを示している。また、断面番号が“2”の部材断面情報が“H2×B2×t12×t22×r2”であることを示している。ここでの部材断面情報は、例えば、H形鋼の断面寸法を示している。また、部材断面情報は、使用可能な部材のうちの断面積が小さいものから大きいものの順に断面番号が付与されて記憶されている。
【0023】
図1の説明に戻り、解析データ記憶部134は、構造架構の構造解析処理に使用する解析データを記憶する。なお、解析データは、後述する解析データ生成部154によって生成される。
【0024】
部材断面情報記憶部135は、構造解析処理によって、設計目標を満たすように決定された部材断面情報であり、構造解析結果である部材断面情報を記憶する。
出力情報記憶部136は、例えば、表示部12に出力する出力情報を記憶する。ここで、出力情報には、例えば、構造架構の3次元モデルデータ、等が含まれる。
【0025】
制御部14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含むプロセッサであり、構造架構生成装置1を統括的に制御する。制御部14は、構造架構の生成処理と、構造解析により、設計目標を満たす部材断面情報を生成する断面収れん計算処理と、を出力する出力処理とを実行する。制御部14は、データ取得部141と、構造架構生成部142と、出力処理部143と、構造解析処理部150とを備える。
【0026】
データ取得部141は、入力部11を介して、入力データ(例えば、スパン数、スパン長さ、階高、建物の階数、及び設定された形状の建物ボリューム)を取得し、取得した入力データを入力データ記憶部131に記憶させる。
【0027】
構造架構生成部142は、入力されたスパン長さ、スパン数、階高、及び建物の階数に基づいて、設定された形状の建物ボリュームに内包される構造架構を生成する。構造架構生成部142は、スパン長さ及びスパン数に基づいて、基準階の水平面上の平面構造架構を生成し、平面構造架構を階高及び階数に基づいて、鉛直方向に複製し、建物ボリュームの境界面からはみ出る柱及大梁を削除した構造架構を生成する。ここで、
図3~
図5を参照して、構造架構生成部142による不整形な建物ボリュームに対する構造架構の生成処理について説明する。
【0028】
図3は、本実施形態における構造架構の生成例を示す図である。
構造架構生成部142は、構造架構を生成する場合に、まず、
図3(a)に示すように、スパン長、及びスパン長さに基づいて、XY平面上(水平平面上)で、平面構造架構を生成する。
【0029】
また、構造架構生成部142は、階高及び階数に基づいて、生成した平面構造架構を鉛直方向に複製して、建物ボリュームの境界面からはみ出る柱及大梁を削除して、
図3(b)に示すような不整形な建物ボリュームに対する構造架構を生成する。
【0030】
また、
図4は、本実施形態の構造架構の生成における建物ボリュームに内包されない部分の削除処理の一例を示す第1の図である。
図4では、鉛直平面における建物ボリュームの境界面からはみ出る柱及大梁を削除する一例を示している。
【0031】
図4において、縦軸は、Z軸方向(鉛直方向)を示し、横軸は、X軸又はY軸方向(水平方向)を示している。また、フロア高さz
iは、i階の床F-iまでの高さを示し、H
iは、階高を示している。また、曲面Sは、建物ボリュームの境界面を示している。
【0032】
構造架構生成部142は、建物ボリュームの境界面(曲面S)からはみ出ている柱及大梁を削除する。ここで、座標X(x
i,y
i,z
i)を柱脚とする柱が建物ボリュームに内包される条件は、z
i+H
i≦z
c、且つ、柱の中心線が直線であることになる。
なお、
図4において、構造架構生成部142は、柱PR1~柱PR4と、大梁OH1~大梁OH4を、構造架構から削除する。
【0033】
また、
図5は、本実施形態の構造架構の生成における建物ボリュームに内包されない部分の削除処理の一例を示す第2の図である。
図5では、水平平面における建物ボリュームの境界面からはみ出る大梁を削除する一例を示している。
【0034】
図5において、縦軸は、Y軸方向を示し、横軸は、X軸方向を示している。また、平面Aは、建物ボリュームの境界面を示している。
【0035】
構造架構生成部142は、建物ボリュームの境界面(平面A)からはみ出ている柱及大梁を削除する。ここで、座標X1と座標X2とを端点とする大梁が建物ボリュームに内包される条件は、座標X1(x1,y1,zi)∈A、且つ、 座標X2(x2,y2,zi)∈A、且つ、大梁の中心線が直線であることになる。
【0036】
なお、
図5において、構造架構生成部142は、大梁OH21~大梁OH31を、構造架構から削除する。
構造架構生成部142は、生成した構造架構を、構造架構記憶部132に記憶させる。
【0037】
なお、構造架構生成部142は、構造架構を生成した後に、建物ボリュームに内包する構造架構自体の体積を最大化(削除部材の数を最小化)するように、構造架構全体を建物ボリューム内で移動調整する処理を追加してもよい。
【0038】
再び、
図1の説明に戻り、構造解析処理部150は、構造架構生成部142が生成した構造架構に基づいて、構造解析を実行し、設計目標を満たす部材断面情報を生成する。構造解析処理部150は、例えば、断面収れん計算処理として、部材断面情報の候補と、構造架構の解析条件とに基づいて、構造架構の構造解析処理を実行し、設計目標を満たしていない場合に、部材断面情報の候補を変更して、構造解析処理を繰り返して実行し、設計目標を満たす部材断面情報を決定する。
【0039】
ここで、構造解析処理部150は、部材断面情報の候補を変更(更新)する際に、断面情報リスト記憶部133から、部材断面の断面積のより大きい部材断面情報の候補を取得して、変更(更新)する。
【0040】
また、構造解析処理部150は、構造架構に含まれる部材長及び部材端部の接合部形状に基づいて、類似性を有する部材断面情報を、識別情報を付与して集約する処理を実行する。すなわち、構造解析処理部150は、類似する部材断面情報にラベル付けを行う。
【0041】
また、構造解析処理部150は、解析条件設定部151と、部材剛性設定部152と、部材断面設定部153と、解析データ生成部154と、構造解析実行部155と、構造解析制御部156と、部材符号設定部157とを備える。
【0042】
解析条件設定部151は、構造解析処理を行う上で必要となる荷重条件や境界条件、等の解析条件を設定する。解析条件設定部151は、例えば、入力部11を介して、解析条件を取得し、解析条件を入力データ記憶部131に記憶させる。
【0043】
部材剛性設定部152は、建物の各階の水平変形量が設計目標値に達成すると仮定した際の構造架構の層剛性分布を実現する部材断面情報の設定条件(ガイドライン、ルール、等)を設定する。部材剛性設定部152は、部材断面情報の設定条件(ガイドライン、ルール、等)を、入力データ記憶部131に記憶させる。
【0044】
部材断面設定部153は、構造解析処理を行う上での初期条件として、部材断面情報の候補を設定するとともに、設計目標が満たされない場合に、さらに、部材断面情報の候補を変更(更新)する。部材断面設定部153は、例えば、断面情報リスト記憶部133が記憶する部材断面情報をリストの順番に取得することで、部材断面情報を更新する。部材断面設定部153は、設定する部材断面情報の候補を、部材断面情報記憶部135に記憶させる。
【0045】
解析データ生成部154は、上述した入力データ、構造架構、構造解析条件、部材剛性設定、及び部材断面情報の候補に基づいて、構造解析処理を実行するための解析データを生成する。解析データ生成部154は、生成した解析データを解析データ記憶部134に記憶させる。
【0046】
構造解析実行部155は、解析データ生成部154が生成した解析データを用いて、構造架構、及び部材断面の構造解析処理を実行する。すなわち、構造解析実行部155は、解析データ記憶部134が記憶する解析データを用いて、構造解析処理を実行する。
【0047】
構造解析制御部156は、構造解析実行部155が実行した構造解析処理の結果、部材断面情報が設計目標(構造設計諸条件)を満たす解析結果が得られたか否かを判定し、設計目標を満たす解析結果が得られなかった場合に、部材断面設定部153に部材断面情報の候補を更新させて、解析データ生成部154及び構造解析実行部155により、再度、構造解析処理を実行させる制御を行う。すなわち、構造解析制御部156は、部材断面情報が設計目標を満たすまで、部材断面情報を変更(更新)して構造解析処理を繰り返す断面収れん計算処理を制御する。
【0048】
構造解析制御部156は、部材断面情報を断面積が大きくなるように設定変更して、再度、構造解析処理を実行させる。なお、断面情報リスト記憶部133は、部材断面積が小さいものから大きいものに順番に記憶しており、構造解析制御部156は、断面番号に“1”を加算して更新させて、部材断面設定部153に断面情報リスト記憶部133から取得した部材断面情報を設定させる。
また、構造解析制御部156は、部材断面情報が設計目標を満した場合に、設定された部材断面情報の候補を、部材断面情報に決定し、断面収れん計算処理を終了する。
【0049】
部材符号設定部157は、構造解析処理の解析結果において、部材長や部材端部の接合部形状を基に、類似度評価を行い、類似性を有する部材断面情報を集約する。部材符号設定部157は、類似性を有する部材断面情報にラベリングして部材符号を付与する。
【0050】
出力処理部143は、構造架構生成部142が生成した構造架構と、構造解析処理部150が生成した部材断面情報とを出力する。また、出力処理部143は、構造架構及び部材断面情報を、2次元又は3次元の表示情報として出力するとともに、構造架構及び部材断面情報のデータを出力する。出力処理部143は、生成した2次元又は3次元の表示情報を、出力情報記憶部136に記憶させるとともに、表示部12に表示させる。
【0051】
次に、図面を参照して、本実施形態による構造架構生成装置1の動作について説明する。
図6は、本実施形態による構造架構生成装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0052】
図6に示すように、構造架構生成装置1は、まず、入力データを取得する(ステップS101)。構造架構生成装置1のデータ取得部141は、入力部11を介して、入力データ(例えば、スパン数、スパン長さ、階高、建物の階数、及び設定された形状の建物ボリューム)を取得し、取得した入力データを入力データ記憶部131に記憶させる。
【0053】
次に、構造架構生成装置1の構造架構生成部142は、入力データに基づいて、建物ボリュームに内包される構造架構を生成する(ステップS102)。構造架構生成部142は、
図4及び
図5に示すように、平面構造架構を鉛直方向に複製した際に、鉛直方向の境界面からはみ出ている柱を削除するとともに、複製した平面構造架構において、水平面の境界面からはみ出ている大梁を削除して、不整形な建物ボリュームの構造架構を生成する。構造架構生成部142は、
図3(b)に示すような構造架構を生成し、生成した構造架構を構造架構記憶部132に記憶させる。
【0054】
次に、構造解析条件を設定する構造架構生成装置1の構造解析処理部150は、構造解析条件を設定する(ステップS103)。構造解析処理部150の解析条件設定部151は、例えば、入力部11を介して、解析条件を取得し、解析条件を入力データ記憶部131に記憶させる。
【0055】
次に、構造解析処理部150の部材剛性設定部152は、各階の水平変形量が設計目標値を達成すると仮定した際の層剛性分布を実現する部材断面の条件を設定する(ステップS104)。部材剛性設定部152は、部材断面情報の設定条件(例えば、ガイドライン、ルール、等)を、入力データ記憶部131に記憶させる。
【0056】
次に、構造解析処理部150の部材断面設定部153は、構造解析用として、部材断面情報の候補を設定する(ステップS105)。部材断面設定部153は、例えば、断面情報リスト記憶部133が記憶する部材断面情報をリストの順番に取得することで、部材断面情報の候補を設定する。
【0057】
次に、構造解析処理部150の解析データ生成部154は、設定に基づく構造解析データを生成する(ステップS106)。解析データ生成部154は、入力データ記憶部131が記憶する各データ及び設定と、構造架構記憶部132が記憶する構造架構と、部材断面設定部153が設定した部材断面情報の候補とから、構造解析データを生成する。解析データ生成部154は、生成した構造解析データを解析データ記憶部134に記憶させる。
【0058】
次に、構造解析処理部150の構造解析実行部155は、構造解析を実行する(ステップS107)。構造解析実行部155は、解析データ記憶部134が記憶する解析データを用いて、構造架構、及び部材断面の構造解析処理を実行する。
【0059】
次に、構造解析処理部150の構造解析制御部156は、設計目標を達成したか否かを判定する(ステップS108)。構造解析制御部156は、構造解析実行部155が実行した構造解析処理の結果、部材断面情報が設計目標(構造設計諸条件)を満たす解析結果が得られたか否かを判定する。構造解析制御部156は、設計目標を達成した場合(ステップS108:YES)に、処理をステップS110に進める。また、構造解析制御部156は、設計目標を達成していない場合(ステップS108:NO)に、処理をステップS109に進める。
【0060】
ステップS109において、構造解析制御部156は、部材断面情報の候補の変更を指示する。構造解析制御部156は、断面番号に“1”を加算して更新させて、処理をステップS105に進め、部材断面設定部153に断面情報リスト記憶部133から、部材断面積がより大きい部材断面情報を設定させる。これにより、部材断面情報の候補が更新されて、ステップS105からステップS108の処理が繰り返される。
【0061】
また、ステップS110において、構造解析処理部150の部材符号設定部157は、類似性を有する部材断面情報を集約する。部材符号設定部157は、類似性を有する部材断面情報にラベリングして部材符号を付与する。
【0062】
次に、出力処理部143は、構造架構及び部材断面情報に基づく出力情報を出力する(ステップS111)。出力処理部143は、構造解析の結果、設計目標を満たした構造架構及び部材断面情報のデータを出力するとともに、例えば、3次元モデリングした構造架構を、表示部12に表示させる。ステップS111の処理後に、構造架構生成装置1は、処理を終了する。
【0063】
以上説明したように、本実施形態による構造架構生成装置1は、構造架構生成部142と、構造解析処理部150と、出力処理部143とを備える。構造架構生成部142は、入力されたスパン長さ、スパン数、階高、及び階数に基づいて、設定された形状の建物ボリュームに内包される構造架構を生成する構造架構生成部であって、スパン長さ及びスパン数に基づいて、基準階の水平面上の平面構造架構を生成し、平面構造架構を階高及び階数に基づいて、鉛直方向に複製し、建物ボリュームの境界面からはみ出る柱及大梁を削除した構造架構を生成する。構造解析処理部150は、構造架構生成部142が生成した構造架構に基づいて、構造解析を実行し、設計目標を満たす部材断面情報を生成する。出力処理部143は、構造架構と、構造解析処理部150が生成した部材断面情報とを表示部12に出力する。
【0064】
これにより、本実施形態による構造架構生成装置1は、例えば、建物が単純な直方体形状の建物ボリュームや、単純な直方体形状でない複雑な形状の不整形な建物ボリュームに対して、建物ボリュームに内包させる適切な構造架構を生成することができる。よって、本実施形態による構造架構生成装置1は、建物ボリュームに内包させる代表的な構造架構及び基準(設計目標)を満たす部材断面を短期間に得ることができる。
また、本実施形態による構造架構生成装置1は、例えば、機械学習処理に使用する学習データである構造架構及び部材断面情報を、短期間に大量に生成することができる。
【0065】
また、本実施形態では、構造架構生成部142は、平面構造架構を鉛直方向に複製した際に、鉛直方向の境界面からはみ出ている柱を削除するとともに、複製した平面構造架構において、水平面の境界面からはみ出ている大梁を削除する。
【0066】
これにより、本実施形態による構造架構生成装置1は、簡易な手法により、整形・不整形な建物ボリュームに対して、より適切な構造架構を生成することができる。
【0067】
また、本実施形態では、構造解析処理部150は、部材断面情報の候補と、構造架構の解析条件とに基づいて、構造架構の構造解析処理を実行し、設計目標を満たしていない場合に、部材断面情報の候補を変更して、構造解析処理を繰り返して実行し、設計目標を満たす部材断面情報を決定する。
【0068】
これにより、本実施形態による構造架構生成装置1は、部材断面情報の候補を変更して、繰り返し構造解析処理を実行することにより、設計目標を満たす構造架構及び適切な部材断面情報を得ることができる。
【0069】
また、本実施形態では、構造解析処理部150は、構造架構に含まれる部材長及び部材端部の接合部形状に基づいて、類似性を有する部材断面情報を、識別情報を付与して集約する処理を実行する。
【0070】
これにより、本実施形態による構造架構生成装置1は、類似性を有する部材断面情報を集約して管理することができる。本実施形態による構造架構生成装置1は、集約により使用する部材断面情報の種類を低減できる。
【0071】
また、本実施形態では、出力処理部143は、構造架構及び部材断面情報を、2次元又は3次元の表示情報として出力するとともに、構造架構及び部材断面情報のデータを出力する。
【0072】
これにより、本実施形態による構造架構生成装置1では、構造架構及び部材断面情報が表示情報として出力されるため、構造架構を比較し易くなり、利便性を向上させることができる。
【0073】
また、本実施形態による構造架構生成装置1は、構造架構生成部142と、構造解析処理部150と、出力処理部143とを備える。構造架構生成部142は、入力されたスパン長さ、スパン数、階高、及び階数に基づいて、設定された形状の建物ボリュームに内包される構造架構を生成する。構造解析処理部150は、構造架構生成部142が生成した構造架構に基づいて、構造解析を実行し、設計目標を満たす部材断面情報を生成する構造解析処理部150であって、部材断面情報の候補と、構造架構の解析条件とに基づいて、構造架構の構造解析処理を実行し、設計目標を満たしていない場合に、部材断面情報の候補を変更して、構造解析処理を繰り返して実行し、設計目標を満たす部材断面情報を決定する。出力処理部143は、構造架構と、構造解析処理部150が生成した部材断面情報とを出力する。
【0074】
これにより、本実施形態による構造架構生成装置1は、部材断面情報の候補を変更して、繰り返し構造解析処理を実行することにより、設計目標を満たす構造架構及び適切な部材断面情報を得ることができる。よって、本実施形態による構造架構生成装置1は、建物ボリュームに内包させる代表的な構造架構及び基準(設計目標)を満たす部材断面を短期間に得ることができる。
また、本実施形態による構造架構生成装置1は、例えば、機械学習処理に使用する学習データである構造架構及び部材断面情報を、短期間に大量に生成することができる。
【0075】
また、本実施形態による構造架構生成方法は、構造架構生成ステップと、構造解析処理ステップと、出力処理ステップとを含む。入力されたスパン長さ、スパン数、階高、及び階数に基づいて、設定された形状の建物ボリュームに内包される構造架構を生成する構造架構生成ステップにおいて、構造架構生成部142が、スパン長さ及びスパン数に基づいて、基準階の水平面上の平面構造架構を生成し、平面構造架構を階高及び階数に基づいて、鉛直方向に複製し、建物ボリュームの境界面からはみ出る柱及大梁を削除した構造架構を生成する。構造解析処理ステップにおいて、構造解析処理部150が、構造架構生成ステップによって生成された構造架構に基づいて、構造解析を実行し、設計目標を満たす部材断面情報を生成する。出力処理ステップにおいて、出力処理部143が、構造架構と、構造解析処理ステップによって生成された部材断面情報とを出力する。
【0076】
これにより、本実施形態による構造架構生成方法は、上述した構造架構生成装置1と同様の効果を奏し、建物ボリュームに内包させる代表的な構造架構及び基準(設計目標)を満たす部材断面を短期間に得ることができる。
【0077】
また、本実施形態による構造架構生成方法は、構造架構生成ステップと、構造解析処理ステップと、出力処理ステップとを含む。構造架構生成ステップにおいて、構造架構生成部142が、入力されたスパン長さ、スパン数、階高、及び階数に基づいて、設定された形状の建物ボリュームに内包される構造架構を生成する。構造架構生成ステップによって生成された構造架構に基づいて、構造解析を実行し、設計目標を満たす部材断面情報を生成する構造解析処理ステップにおいて、構造解析処理部150が、部材断面情報の候補と、構造架構の解析条件とに基づいて、構造架構の構造解析処理を実行し、設計目標を満たしていない場合に、部材断面情報の候補を変更して、構造解析処理を繰り返して実行し、設計目標を満たす部材断面情報を決定する。出力処理ステップにおいて、出力処理部143が、構造架構と、構造解析処理ステップによって生成された部材断面情報とを出力する。
【0078】
これにより、本実施形態による構造架構生成方法は、上述した構造架構生成装置1と同様の効果を奏し、建物ボリュームに内包させる代表的な構造架構及び基準(設計目標)を満たす部材断面を短期間に得ることができる。
【0079】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の実施形態において、構造架構生成装置1が、入力部11及び表示部12を備える例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、構造架構生成装置1が、ネットワークに接続されたサーバ装置である場合には、ネットワークを介して構造架構生成装置1に接続可能な端末装置が、入力部11及び表示部12を備えるようにしてもよい。
【0080】
また、上記の実施形態において、構造架構生成装置1が、1台の装置で実現される例を説明したが、これに限定されるものではなく、複数の装置(例えば、複数のサーバ装置など)により実現されてもよい。
また、上記の実施形態において、構造架構生成装置1が備える記憶部13の一部又は全部を外部の記憶装置が備えるようにしてもよい。
【0081】
また、上記の実施形態において、出力部の一例として、表示部12に、構造架構及び部材断面情報を出力する例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、プリンタやファイルサーバ、等に出力するようにしてもよい。
【0082】
なお、上述した構造架構生成装置1が備える各構成は、内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した構造架構生成装置1が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した構造架構生成装置1が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0083】
また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線、仮想デスクトップの通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0084】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に構造架構生成装置1が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0085】
また、上述した機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1…構造架構生成装置、11…入力部、12…表示部、13…記憶部、14…制御部、131…入力データ記憶部、132…構造架構記憶部、133…断面情報リスト記憶部、134…解析データ記憶部、135…部材断面情報記憶部、136…出力情報記憶部、141…データ取得部、142…構造架構生成部、143…出力処理部、150…構造解析処理部、151…解析条件設定部、152…部材剛性設定部、153…部材断面設定部、154…解析データ生成部、155…構造解析実行部、156…構造解析制御部、157…部材符号設定部