(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178881
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】強化学習ベースのクラウス工程制御方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20241218BHJP
G05D 21/02 20060101ALI20241218BHJP
G05D 11/13 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
G05B23/02 T
G05D21/02
G05D11/13 Z
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023149338
(22)【出願日】2023-09-14
(31)【優先権主張番号】10-2023-0075592
(32)【優先日】2023-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】515312427
【氏名又は名称】ポステック・リサーチ・アンド・ビジネス・ディベロップメント・ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】POSTECH RESEARCH AND BUSINESS DEVELOPMENT FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】ソ, ヨン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】キム, ドン ドク
【テーマコード(参考)】
3C223
5H309
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223FF02
3C223FF12
3C223FF22
3C223FF26
3C223FF42
3C223FF43
3C223FF52
3C223FF53
3C223GG01
3C223HH02
5H309AA01
5H309AA11
5H309CC05
5H309CC06
5H309DD02
5H309DD04
5H309DD06
5H309DD08
5H309DD12
5H309DD38
5H309EE04
5H309GG03
5H309HH25
5H309KK04
(57)【要約】
【課題】クラウス工程内の様々な情報と強化学習モデルを用いてクラウス工程の運転条件を制御することにより、テールガス中の適正レベルのH
2S/SO
2の比率を保つ方法を提供する。
【解決手段】本発明の強化学習ベースのクラウス工程制御方法は、制御装置がクラウス工程の状態値の入力を受けるステップと、前記制御装置がクラウス工程の状態値を強化学習モデルに入力するステップと、前記制御装置が、前記強化学習モデルが出力する行動値に基づいてクラウス工程を制御するステップと、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置がクラウス工程の状態値の入力を受けるステップと、
前記制御装置がクラウス工程の状態値を強化学習モデルに入力するステップと、
前記制御装置が、前記強化学習モデルが出力する行動値に基づいてクラウス工程を制御するステップと、を含み、
前記強化学習モデルは、入力されたクラウス工程の状態値に基づいて最大の補償値を受けるための行動値を出力するモデルであり、
前記状態値は、前記クラウス工程内の酸性ガスに関連する情報、触媒オーブン反応器に関連する情報、廃熱ボイラーに関連する情報、クラウス反応器に関連する情報、凝縮器に関連する情報、及びテールガスに関連する情報のうちの少なくとも一つを含み、
前記補償値は、前記クラウス工程のテールガス中のH2S/SO2の比率が所定の値に近づくほど大きくなり、
前記行動値は、前記クラウス工程を制御するための情報を含む、強化学習ベースのクラウス工程制御方法。
【請求項2】
前記酸性ガスに関連する情報は、酸性ガスの圧力、流量、温度、及びH2S濃度のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の強化学習ベースのクラウス工程制御方法。
【請求項3】
前記触媒オーブン反応器に関連する情報は、触媒オーブン反応器の一次空気注入量、二次空気注入量、COG流量、上部温度、中部温度及び下部温度のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の強化学習ベースのクラウス工程制御方法。
【請求項4】
前記廃熱ボイラーに関連する情報は、廃熱ボイラーの出口温度、給水流量及び蒸気流量のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の強化学習ベースのクラウス工程制御方法。
【請求項5】
前記クラウス反応器に関連する情報は、クラウス反応器の入口温度及び出口温度のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の強化学習ベースのクラウス工程制御方法。
【請求項6】
前記凝縮器に関連する情報は、凝縮器の圧力及び給水流量のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の強化学習ベースのクラウス工程制御方法。
【請求項7】
前記テールガスに関連する情報は、テールガスの圧力、テールガス中のH2S濃度、SO2濃度を含む、請求項1に記載の強化学習ベースのクラウス工程制御方法。
【請求項8】
前記行動値は、触媒オーブン反応器に装入する一次空気注入量、二次空気注入量、及びCOG流量のうちの少なくとも一つを制御するための情報を含む、請求項1に記載の強化学習ベースのクラウス工程制御方法。
【請求項9】
クラウス工程の状態値の入力を受ける入力装置と、
クラウス工程の状態値を強化学習モデルに入力し、前記強化学習モデルが出力する行動値に基づいてクラウス工程を制御する制御信号を生成する演算装置と、
前記強化学習モデルを記憶する記憶装置と、を含み、
前記強化学習モデルは、入力されたクラウス工程の状態値に基づいて最大の補償値を受けるための行動値を出力するモデルであり、
前記状態値は、前記クラウス工程内の酸性ガスに関連する情報、触媒オーブン反応器に関連する情報、廃熱ボイラーに関連する情報、クラウス反応器に関連する情報、凝縮器に関連する情報、及びテールガスに関連する情報のうちの少なくとも一つを含み、
前記補償値は、前記クラウス工程のテールガス中のH2S/SO2の比率が所定の値に近づくほど大きくなり、
前記行動値は、前記クラウス工程を制御するための情報を含む、強化学習ベースのクラウス工程制御装置。
【請求項10】
前記酸性ガスに関連する情報は、酸性ガスの圧力、流量、温度、及びH2S濃度のうちの少なくとも一つを含む、請求項9に記載の強化学習ベースのクラウス工程制御装置。
【請求項11】
前記触媒オーブン反応器に関連する情報は、触媒オーブン反応器の一次空気注入量、二次空気注入量、COG流量、上部温度、中部温度及び下部温度のうちの少なくとも一つを含む、請求項9に記載の強化学習ベースのクラウス工程制御装置。
【請求項12】
前記廃熱ボイラーに関連する情報は、廃熱ボイラーの出口温度、給水流量及び蒸気流量のうちの少なくとも一つを含む、請求項9に記載の強化学習ベースのクラウス工程制御装置。
【請求項13】
前記クラウス反応器に関連する情報は、クラウス反応器の入口温度及び出口温度のうちの少なくとも一つを含む、請求項9に記載の強化学習ベースのクラウス工程制御装置。
【請求項14】
前記凝縮器に関連する情報は、凝縮器の圧力及び給水流量のうちの少なくとも一つを含む、請求項9に記載の強化学習ベースのクラウス工程制御装置。
【請求項15】
前記テールガスに関連する情報は、テールガスの圧力、テールガス中のH2S濃度、SO2濃度を含む、請求項9に記載の強化学習ベースのクラウス工程制御装置。
【請求項16】
前記行動値は、触媒オーブン反応器に装入する一次空気注入量、二次空気注入量、及びCOG流量のうちの少なくとも一つを制御するための情報を含む、請求項9に記載の強化学習ベースのクラウス工程制御装置。
【請求項17】
請求項1に記載のクラウス工程制御方法を実行するためのプログラムを記録したコンピュータ可読記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に説明する技術は、強化学習を用いてクラウス工程を制御する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コークス生産過程で発生する副生ガスであるコークオーブンガス(Coke Oven Gas、COG)は、製鉄所内で発電用に使用されるか、或いは工程に燃料として注入される。しかし、COGは、アンモニア(NH3)、硫化水素(H2S)、BTX(ベンゼン、トルエン、キシレン)などの不純物を含んでいるため、使用前に精製されなければならない。
【0003】
COGを精製するために、製鉄所には、COGの不純物を除去するための化成工程が存在する。化成工程は、H2S吸収塔、NH3吸収塔、BTX吸収塔などの設備が含まれている。これらの吸収塔は、COGに含まれているH2S、NH3、BTXなどを除去する。化成工程を通過したCOGは、不純物が除去されて発電用や燃料などとして使用することができる。
【0004】
化成工程中の脱硫工程は、濃安水を用いた吸収塔でH2Sを捕集する捕集過程と、H2Sが溶けた濃安水からH2Sを分離する分離過程と、分離されたH2Sガスから硫黄を生産する回収過程とから構成されている。この中でも、H2Sから硫黄を生産する過程は、クラウス工程で主に構成されている。
【0005】
クラウス工程を経ると、テールガスが排出される。テールガスにはH2S/SO2が含まれているが、両者の比率は適正レベルに保たれるべきである。なぜなら、H2S濃度が過剰であれば、排出規制に違反することになり、SO2が過剰であれば、微生物を活用する廃水処理の効率を減少させることになり得るからである。また、テールガス中のH2S/SO2の比率は、経時的に急激に変わらないように安定的に保つようにすることが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国登録特許第10-2209400号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-2484968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のクラウス工程のテールガス中のH2S/SO2の比率を一定に保つために、触媒オーブン反応器の運転条件をPID制御によって調節するか、或いは運転者の経験に応じて調節してきた。PID制御又は運転者の経験による調節は、テールガス中のH2S/SO2の比率を設定値に精度よく保つことができず、工程状況の変化に敏感に対処することができないため、H2S/SO2の比率が急激に変わり得るという問題があった。
【0008】
以下に説明する技術は、クラウス工程内の様々な情報と強化学習モデルを用いてクラウス工程の運転条件を制御することにより、テールガス中の適正レベルのH2S/SO2の比率を保つ方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下に説明する技術は、前述した課題を解決するために、強化学習ベースのクラウス工程制御方法及び装置を提供する。
【0010】
強化学習ベースのクラウス工程制御方法は、制御装置がクラウス工程の状態値の入力を受けるステップと、前記制御装置がクラウス工程の状態値を強化学習モデルに入力するステップと、前記制御装置が、前記強化学習モデルが出力する行動値に基づいてクラウス工程を制御するステップと、を含む。
【0011】
強化学習ベースのクラウス工程制御装置は、クラウス工程の状態値の入力を受ける入力装置と、クラウス工程の状態値を強化学習モデルに入力し、前記強化学習モデルが出力する行動値に基づいてクラウス工程を制御する制御信号を生成する演算装置と、前記強化学習モデルを記憶する記憶装置と、を含む。
【0012】
前記強化学習モデルは、入力されたクラウス工程の状態値に基づいて最大の補償値を受けるための行動値を出力するモデルであってもよい。
【0013】
前記状態値は、前記クラウス工程内の酸性ガスに関連する情報、触媒オーブン反応器に関連する情報、廃熱ボイラーに関連する情報、クラウス反応器に関連する情報、凝縮器に関連する情報、及びテールガスに関連する情報のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0014】
前記補償値は、前記クラウス工程のテールガス中のH2S/SO2の比率が所定の値に近づくほど大きくなってもよい。
【0015】
前記行動値は、前記クラウス工程を制御するための情報を含んでもよい。
【発明の効果】
【0016】
以下に説明する技術を用いると、クラウス工程を自動的に制御することができる。以下に説明する技術を用いると、クラウス工程内の触媒オーブン反応器の運転条件を自動的に調節することができる。これにより、テールガス中のH2S/SO2の比率を設定値に保つことができる。また、過剰なH2S排出による環境規制問題を低減することができ、SO2の過剰な排出による廃水処理工程の効率低減を防止することができる。また、テールガス中のH2S/SO2の比率の急激な変化も防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】制御装置200が強化学習に基づいてクラウス工程100を制御する一実施形態である。
【
図3】強化学習ベースのクラウス工程制御方法の一実施形態のフローチャート300である。
【
図4】強化学習ベースのクラウス工程制御装置400の構成の一実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に説明する技術は、様々な変更を加えることができ、様々な実施形態を有することができる。明細書の図面に、以下に説明する技術の特定の実施形態が記載できる。しかし、これは、以下に説明する技術の説明のためのものであり、以下に説明する技術を特定の実施形態に対して限定するものではない。よって、以下に説明する技術の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更物、均等物又は代替物が、以下に説明する技術に含まれるものと理解されるべきである。
【0019】
以下で使用される用語における単数の表現は、文脈上、明確に異なる意味で解釈されない限り、複数の表現を含むと理解されるべきであり、「含む」などの用語は、記載されている特徴、個数、ステップ、動作、構成要素、部分品又はこれらの組み合わせが存在することを意味するものであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や個数、ステップ、動作、構成要素、部分品又はこれらの組み合わせの存在又は付加可能性を排除しないと理解されるべきである。
【0020】
図面についての詳細な説明を行う前に、本明細書における構成部に対する区分は、各構成部が担当する主機能別に区分したものに過ぎないことを明確にしたい。すなわち、以下で説明する2つ以上の構成部が1つの構成部にまとめられるか、或いは1つの構成部がより細分化された機能別に2つ以上に分化されて備えられてもよい。そして、以下で説明する構成部のそれぞれは、自分が担当する主機能以外にも、他の構成部が担当する機能の一部又は全部の機能をさらに行うこともでき、構成部それぞれが担当する主機能の一部の機能が他の構成部によって専担されて行われてもよいのは言うまでもない。
【0021】
また、方法又は動作方法を行うにあたり、前記方法をなす各過程は、文脈上明らかに特定の順序を記載していない限り、明記された順序とは異なって起こり得る。すなわち、各過程は、明記された順序と同じく行われてもよく、実質的に同時に行われてもよく、逆の順序で行われてもよい。
【0022】
まず、以下に説明する技術におけるクラウス工程について検討する。
【0023】
【0024】
クラウス工程100は、硫黄を除去又は回収する工程を意味することができる。
【0025】
クラウス工程100に装入される酸性ガスは、H2Sを含んでいる。酸性ガスは、触媒オーブン反応器で燃焼して下記(1)及び(2)の反応を引き起こす。
(1)2H2S+3O2→2SO2+2H2O
(2)2H2S+O2→2S+2H2O
【0026】
触媒オーブン反応器110での反応の後、廃熱ボイラー120を介して硫黄Sの一部が凝縮して液体硫黄が回収される。
【0027】
クラウス反応器130には、(1)によって生成されたSO2と未反応のH2Sが装入される。
【0028】
クラウス反応器130では、下記(3)のような化学反応が起こる。
(3)2H2S+SO2→3S+2H2O
【0029】
この反応により発生した硫黄(S)は、凝縮器140を介して凝縮して液体硫黄となる。
【0030】
前記(3)の反応は、熱力学的平衡反応である。このため、1つのクラウス反応器130の工程のみでは、H2Sを全て除去することができない。このように未反応のH2Sからさらに硫黄を回収するために、クラウス反応器130及び凝縮器140過程を再び行うことができる。すなわち、凝縮器140で硫黄が一部凝縮した後の物質は、再びクラウス反応器130に装入されてもよい。
【0031】
クラウス工程100での未反応のH2SとSO2を含むテールガス(Tail Gas)は、再び化成工程に再投入できる。
【0032】
クラウス工程の各構成には、データを測定するためのセンサーなどが含まれていてもよい。
【0033】
以下、制御装置が行う強化学習ベースのクラウス工程制御方法を行う全体的な過程を説明する。
【0034】
図2は、制御装置200が強化学習に基づいてクラウス工程100を制御する一実施形態である。
【0035】
制御装置200は、クラウス工程100の状態値の入力を受けることができる。制御装置200は、クラウス工程100の状態値を強化学習モデルに入力することができる。制御装置200は、強化学習モデルが出力する行動値に基づいてクラウス工程100を制御することができる。
【0036】
強化学習モデルは、入力されたクラウス工程100の状態値に基づいて最大の補償値を受けるための行動値を出力するモデルであり得る。補償値は、クラウス工程100のテールガス中のH2S/SO2の比率が所定の値に近づくほど大きくなり得る。行動値は、クラウス工程を制御するための情報を含むことができる。
【0037】
以下、制御装置が強化学習ベースのクラウス工程制御方法を行う過程を具体的に説明する。
【0038】
図3は、強化学習ベースのクラウス工程制御方法の一実施形態のフローチャート300である。
【0039】
制御装置は、クラウス工程の状態値の入力を受けることができる(310)。
【0040】
クラウス工程内の状態値は、クラウス工程内で把握できる様々な情報を含むことができる。強化学習モデルは、クラウス工程内の状態値の入力を受けて行動値を出力することができる。
【0041】
クラウス工程内の状態値は、酸性ガスに関連する情報と、触媒オーブン反応器110に関連する情報、廃熱ボイラー120に関連する情報、クラウス反応器130に関連する情報、凝縮器140に関連する情報、及びテールガスに関連する情報のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0042】
一実施形態において、酸性ガスに関連する情報は、酸性ガスの圧力、流量、温度、及びH2S濃度のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0043】
一実施形態において、触媒オーブン反応器110に関連する情報は、触媒オーブン反応器の一次空気注入量、二次空気注入量、COG流量、上部温度、中部温度及び下部温度のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0044】
一実施形態において、廃熱ボイラー120に関連する情報は、廃熱ボイラー120の出口温度、給水流量、及び蒸気流量のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0045】
一実施形態において、クラウス反応器130に関連する情報は、クラウス反応器の入口温度及び出口温度のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0046】
一実施形態において、凝縮器140に関連する情報は、凝縮器140の圧力及び給水流量のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0047】
一実施形態において、テールガスに関連する情報は、テールガスの圧力、テールガス中のH2S濃度、SO2濃度を含むことができる。
【0048】
制御装置は、クラウス工程の状態値を強化学習モデルに入力することができる(320)。
【0049】
強化学習モデルは、入力されたクラウス工程の状態値に基づいて最大の補償値を受けるための行動値を出力するモデルであり得る。
【0050】
強化学習モデルは、一定期間運転されたクラウス工程に対する累積工程データ、及びデータ累積期間中に行われた制御行動に対する補償情報を総合して構築されたデータセットを用いて強化学習されたモデルであり得る。
【0051】
強化学習モデルは、オフライン強化学習で学習されたモデルであり得る。つまり、リアルタイムでクラウス工程と相互作用せず、従来のクラウス工程の結果として累積されたデータセットを活用して強化学習を行うことができる。よって、試行錯誤を経ない。また、強化学習モデルは、運転中のクラウス工程の生産性と安全性に悪影響を及ぼすことなく学習できる。
【0052】
強化学習モデルは、学習が完了した後、リアルタイムでクラウス工程と相互作用し、最適化されたファインチューニング(Fine-Tuning)済みのモデルであり得る。具体的には、現在のクラウス工程に対する状態値を受け取り、行動値を計算してクラウス工程を制御した後、それに応じた補償値を計算し、計算された補償値に基づいてモデルのパラメータを更新することができる。
【0053】
補償値は、クラウス工程のテールガス中のH2S/SO2の比率が所定の値に近づくほど大きくなり得る。具体的には、補償値は、行動値によるクラウス工程制御後のH2S/SO2の比率と所定のH2S/SO2の比率との間の平均二乗誤差(Mean Square Error)の負数値に設定されるか、或いはそれに基づいて設計された値であり得る。
【0054】
行動値は、クラウス工程を制御するための情報を含むことができる。
【0055】
一実施形態において、行動値は、触媒オーブン反応器に装入する一次空気注入量、二次空気注入量、及びCOG流量のうちの少なくとも一つを制御するための情報を含むことができる。
【0056】
制御装置は、強化学習モデルが出力する行動値情報に基づいてクラウス工程を制御することができる(330)。
【0057】
一実施形態において、制御装置は、行動値に基づいて触媒オーブン反応器110を制御することができる。例えば、行動値が触媒オーブン反応器に装入される一次空気注入量に対するものであれば、触媒オーブン反応器に注入される一次空気の量を当該行動値に合うように注入することができる。
【0058】
以下、制御装置について説明する。
【0059】
【0060】
制御装置400は、
図2で説明した制御装置200に該当することができる。言い換えれば、制御装置400は、前述した強化学習ベースのクラウス工程制御方法を実行する装置であり得る。
【0061】
制御装置400は、物理的に様々な形態で実現できる。例えば、制御装置400は、PC、ノートブック、スマート機器、サーバー、又はデータ処理専用チップセットなどの形態を有することができる。
【0062】
制御装置400は、入力装置410、記憶装置420、演算装置430、出力装置440、インターフェース装置450、及び通信装置460を含むことができる。
【0063】
入力装置410は、一定の命令又はデータの入力を受けるインターフェース装置(キーボード、マウス、タッチスクリーンなど)を含むこともできる。入力装置410は、別個の記憶装置(USB、CD、ハードディスクなど)を介して情報の入力を受ける構成を含むこともできる。入力装置410は、入力されるべきデータの入力を別個の測定装置を介して受けることも、別個のDBを介して受けることもできる。入力装置410は、有線又は無線通信を介してデータの入力を受けることができる。
【0064】
入力装置410は、強化学習ベースのクラウス工程制御方法を実行するのに必要な情報及びモデルの入力を受けることができる。入力装置410は、クラウス工程の状態値の入力を受けることができる。入力装置410は、強化学習モデルの入力を受けることができる。
【0065】
記憶装置420は、入力装置410を介して入力された情報を記憶することができる。記憶装置420は、演算装置430が演算する過程で生成される情報を記憶することができる。すなわち、記憶装置420はメモリーを含むことができる。記憶装置420は、演算装置430が計算した結果を記憶することができる。
【0066】
記憶装置420は、強化学習ベースのクラウス工程制御方法を実行するのに必要な情報及びモデルを記憶することができる。記憶装置420は、クラウス工程の状態値を記憶することができる。記憶装置420は、強化学習モデルを記憶することができる。
【0067】
演算装置430は、データを処理し、一定の演算を処理するプロセッサ、AP、プログラムが組み込まれたチップなどの装置であり得る。演算装置430は、制御装置を制御する制御信号を生成することができる。
【0068】
演算装置430は、強化学習ベースのクラウス工程制御方法を実行するのに必要な演算を行うことができる。演算装置430は、クラウス工程100の状態値を強化学習モデルに入力することができる。演算装置430は、強化学習モデルが出力する行動値に基づいてクラウス工程100を制御することができる。
【0069】
出力装置440は、一定の情報を出力する装置であってもよい。出力装置440は、データ過程に必要なインターフェース、入力されたデータ、分析結果などを出力することもできる。出力装置440は、ディスプレイや、文書を出力する装置など、物理的に様々な形態で実現されてもよい。出力装置440は、演算装置430が演算した結果を出力することができる。
【0070】
インターフェース装置450は、外部から一定の命令及びデータの入力を受ける装置であり得る。インターフェース装置450は、物理的に接続された入力装置又は外部記憶装置からクラウス工程100の状態値の入力を受けることができる。インターフェース装置450は、制御装置400を制御するための制御信号の入力を受けることができる。インターフェース装置450は、制御装置400が分析した結果を出力することができる。
【0071】
通信装置460は、有線又は無線ネットワークを介して一定の情報を受信及び伝送する構成を意味することができる。通信装置460は、制御装置400を制御するのに必要な制御信号を受信することができる。通信装置460は、制御装置400が分析した結果を伝送することができる。
【0072】
前述した強化学習ベースのクラウス工程制御方法は、コンピュータ上で実行できる実行可能なアルゴリズムを含むプログラム(又はアプリケーション)で実現できる。
【0073】
前記プログラムは、一時的又は非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computerreadable medium)に記憶されて提供できる。
【0074】
非一時的コンピュータ可読媒体は、レジスタ、キャッシュ、メモリーなどのように短い瞬間にデータを記憶する媒体ではなく、半永久的にデータを記憶し、機器によって読み取ることが可能な媒体を意味する。具体的には、上述した様々なアプリケーション又はプログラムは、CD、DVD、ハードディスク、ブルーレイディスク、USB、メモリーカード、ROM(read-only memory)、PROM(programmable read only memory)、EPROM(Erasable PROM、EPROM)又はEEPROM(Electrically EPROM)、フラッシュメモリーなどの非一時的コンピュータ可読媒体に記憶されて提供できる。
【0075】
一時的コンピュータ可読媒体は、SRAM(Static RAM)、DRAM(Dynamic RAM)、SDRAM(Synchronous DRAM)、DDR SDRAM(Double Data Rate SDRAM)、ESDRAM(Enhanced SDRAM)、SLDRAM(Synclink DRAM)、DRRAM(Direct Rambus RAM)などの様々なRAMを意味する。
【0076】
本実施形態及び本明細書に添付された図面は、前述した技術に含まれる技術的思想の一部を明確に示しているものに過ぎず、前述した技術の明細書及び図面に含まれている技術的思想の範囲内で当業者が容易に類推することが可能な変形例と具体的な実施形態は、いずれも前述した技術の権利範囲に含まれることが自明であるというべきである。