(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178888
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】真空ポンプ用のポンプスタンド
(51)【国際特許分類】
F04B 37/16 20060101AFI20241218BHJP
F04C 25/02 20060101ALI20241218BHJP
F04C 29/06 20060101ALI20241218BHJP
F04C 29/00 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
F04B37/16 G
F04C25/02 A
F04C29/06 A
F04C29/00 B
F04C29/00 U
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023210075
(22)【出願日】2023-12-13
(31)【優先権主張番号】23178938
(32)【優先日】2023-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520415627
【氏名又は名称】プファイファー・ヴァキューム・テクノロジー・アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】ミルコ・メコタ
(72)【発明者】
【氏名】ゼンケ・ギルブリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク・ハーン
【テーマコード(参考)】
3H076
3H129
【Fターム(参考)】
3H076AA14
3H076AA21
3H076BB01
3H076CC35
3H076CC39
3H076CC47
3H129AA04
3H129AA05
3H129AA18
3H129AA23
3H129AB02
3H129AB06
3H129BB21
3H129BB32
3H129BB44
3H129CC09
3H129CC10
3H129CC28
3H129CC30
3H129CC39
(57)【要約】
【課題】真空ポンプスタンドにおいて、真空ポンプ、特に予備真空ポンプから出発する振動がポンプスタンドへと伝達されず、これと同様にポンプスタンドの真空ポンプ、特に予備真空ポンプへと外部の衝撃が伝達され得ないようにする。
【解決手段】ポンプスタンド10は、ベース要素22を有し、ベース要素22に、ポンプスタンドから真空ポンプ14を振動技術的に分離する支承ユニットが設けられていて、支承ユニットは、真空ポンプを少なくとも間接的に支持するキャリア要素16と、少なくとも1つのばね要素20と、軸部26を有する取付要素24と、スペーサスリーブ32と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空ポンプ(14)、特に補助真空ポンプ用のポンプスタンド(10)であって、
前記ポンプスタンド(10)は、ベース要素(22)を有し、前記ベース要素(22)に、前記ポンプスタンド(10)から真空ポンプ(14)、特に補助真空ポンプを振動技術的に分離する支承ユニットが設けられていて、
前記支承ユニットは、
真空ポンプ(14)を少なくとも間接的に支持するキャリア要素(16)と、
少なくとも1つのばね要素(20)であって、前記ばね要素(20)を介して、前記キャリア要素(16)は、前記ベース要素(22)に支持されていて、そのために、前記ばね要素(20)は、前記キャリア要素(16)と前記ベース要素(22)との互いに向き合う側の間に延在する、ばね要素(20)と、
特にねじの形態の、軸部(26)を有する取付要素(24)であって、前記取付要素(24)によって、前記キャリア要素(16)は、前記ベース要素(22)に緊締されている、取付要素(24)と、
スペーサスリーブ(32)であって、前記スペーサスリーブ(32)は、前記ばね要素(20)によって取り囲まれていて、前記スペーサスリーブ(32)自体は、前記取付要素(24)の前記軸部(26)を、前記ベース要素(22)と前記キャリア要素(16)との締め付けの結果として伸長する延伸長さにわたって取り囲む、スペーサスリーブ(32)と、
を有する、ポンプスタンド(10)。
【請求項2】
前記スペーサスリーブ(32)の軸方向の長さは、前記支承ユニットの無負荷状態で、前記取付要素(24)の前記軸部(26)が専ら前記取付要素(24)の締付けモーメントに基づいて締め付けられるような大きさに選択されている、請求項1に記載のポンプスタンド(10)。
【請求項3】
前記ばね要素(20)は、前記支承ユニットの無負荷状態では、前記キャリア要素(16)の荷重だけを受けている、請求項1又は2に記載のポンプスタンド(10)。
【請求項4】
前記ばね要素(20)は、圧縮コイルばね(20)である、請求項1から3のいずれか一項に記載のポンプスタンド(10)。
【請求項5】
前記キャリア要素(16)及び/又は前記ベース要素(22)に、前記ばね要素(20)用の少なくとも1つのガイドが形成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のポンプスタンド(10)。
【請求項6】
前記ガイドは、前記ベース要素(22)及び/又は前記キャリア要素(16)に形成されたドーム(38)であり、前記ドーム(38)を、前記ばね要素(20)が取り囲み、前記ドーム(38)上に、前記スペーサスリーブ(32)の端部が立設されていて、
特に、前記取付要素(24)の前記軸部(26)が、前記ドーム(38)に螺入されていることが想定されている、請求項5に記載のポンプスタンド(10)。
【請求項7】
前記ガイドは、前記ベース要素(22)及び/又は前記キャリア要素(16)に形成された凹部(36)であり、前記凹部(36)は、前記ばね要素(20)のそれぞれの端部を収容する、請求項5に記載のポンプスタンド(10)。
【請求項8】
前記スペーサスリーブ(32)は、プラスチック材料から製作されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のポンプスタンド(10)。
【請求項9】
前記キャリア要素(16)は、少なくとも1つの曲げビーム(18)を有し、前記曲げビーム(18)は、複数の端部で、それぞれ1つの前記ばね要素(20)を介して前記ベース要素(22)に支持されていて、かつ取付要素(24)によって、前記ベース要素(22)に緊締されていて、前記取付要素(24)の前記軸部(26)は、前記スペーサスリーブ(32)を通って延在する、請求項1から8のいずれか一項に記載のポンプスタンド(10)。
【請求項10】
前記キャリア要素(16)は、互いに平行に延在する2つの曲げビーム(18)を有する、請求項9に記載のポンプスタンド(10)。
【請求項11】
2つの前記曲げビーム(18)上に、2つの前記曲げビーム(18)の間の間隔をブリッジする真空ポンプ(14)、特にダイヤフラム真空ポンプ(14)又はロータリベーンポンプが取り付けられている、請求項10に記載のポンプスタンド(10)。
【請求項12】
前記ばね要素(20)は、前記ばね要素(20)が前記真空ポンプ(14)の運転中に密着しないように選択されたばね定数を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載のポンプスタンド(10)。
【請求項13】
前記ポンプスタンド(10)は、少なくとも2つの支承ユニットを有し、これらの支承ユニットのばね要素、スペーサスリーブ(32)及び取付要素(24)は、互いに垂直に配向されている、請求項1から12のいずれか一項に記載のポンプスタンド(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプ用、特にダイヤフラム真空ポンプ用のポンプスタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
真空ポンプスタンドは、複数の真空ポンプを収容するために用いられる。これらの真空ポンプは、流れ技術的に互いに接続されていて、特に相前後して接続されていて、これにより、そうして達成可能な圧力段に関して補足している。例えば、真空ポンプスタンドは、補助真空ポンプとしてのダイヤフラム真空ポンプと高真空ポンプとしてのターボ分子ポンプとを有してよい。この場合、ダイヤフラム真空ポンプが、ダイヤフラム真空ポンプを収容するためのポンプスタンド又はポンプスタンドのベース要素に固く取り付けられると、場合によっては、ダイヤフラム真空ポンプの運転中、ダイヤフラム真空ポンプから出発する振動が望ましくない形でターボ分子真空ポンプへと伝達され得、このことがターボ分子ポンプの機能トラブルを引き起こしてしまうおそれがある。
【0003】
さらに、ポンプスタンドの搬送中、搬送に起因する衝撃が、例えば、ダイヤフラム真空ポンプとして又はロータリベーンポンプとして構成された予備真空ポンプがポンプスタンドに固く取り付けられていると、予備真空ポンプへと伝達され得、このことが予備真空ポンプの損傷を招いてしまうおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発の基礎をなす課題は、真空ポンプスタンドにおいて、真空ポンプ、特に予備真空ポンプから出発する振動がポンプスタンドへと伝達されず、これと同様にポンプスタンドの真空ポンプ、特に予備真空ポンプへと外部の衝撃が伝達され得ないようにすることである。さらに、真空ポンプのための付加的な搬送ロックが不要となるようにするべきである。そうでない場合、搬送ロックは、ポンプスタンドの始動時にわざわざ解除しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴を有するポンプスタンドによって、特にポンプスタンドが少なくとも1つの支承ユニットを有し、支承ユニットを介して、ポンプスタンドからの真空ポンプの振動技術的な分離を達成できることによって解決される。
【0006】
支承ユニットは、この場合、真空ポンプを支持するキャリア要素を有し、この場合、キャリア要素は、例えば真空ポンプを支持する平らなプレート又は1つ若しくは複数の曲げビームであってよい。さらに、支承ユニットは、例えば圧縮コイルばねの形態の少なくとも1つのばね要素を有し、ばね要素を介して、キャリア要素は、ポンプスタンドのベース要素にばね弾性的に支持されていて、そのために、ばね要素は、キャリア要素とベース要素との互いに向き合う側の間に延在する。キャリア要素が、たとえば矩形のキャリアプレートであると、キャリアプレートは、その四隅で、そこに存在するばね要素を介してばね弾性的にポンプスタンドのベース要素に支持されてよい。
【0007】
キャリア要素を、ベース要素に紛失しないように保持し、ポンプスタンドの搬送中に持ち上がる力に対して確保できるようにするために、支承ユニットは、さらに例えば軸部を有するねじの形態の少なくとも1つの取付要素を有し、軸部は、ばね要素を通って延在し、取付要素によって、キャリア要素は、ベース要素に緊締されていて、この場合、特に、キャリア要素は、取付要素によって、ばね要素のプリロードに対抗してベース要素に緊締されている、ことが想定され得る。
【0008】
少なくとも1つのばね要素は、支承ユニットの無負荷状態では、プリロードをキャリア要素に及ぼさない又は力を掛けていないはずであり、これにより、さらに全ての取付要素(取付要素を介してキャリア要素はポンプスタンドのベース要素に支持されている)を同じ強さで締め付けることができるので、支承ユニットは、スペーサスリーブをさらに有し、スペーサスリーブは、ばね要素によって取り囲まれていて、スペーサスリーブ自体は、取付要素の軸部を、ベース要素とキャリア要素との緊締の結果として伸長する延伸長さにわたって取り囲む。
【0009】
したがって、取付要素の軸部とスペーサスリーブとばね要素とは、本質的に互いに同心に配置されていて、この場合、スペーサスリーブは、キャリア要素とベース要素との緊締の結果として伸長する取付要素の締付け長さひいては軸部の長さに相当する延伸長さを有する。換言すると、スペーサリーブの長さは、キャリア要素とベース要素との緊締の結果として伸長する軸部の部分に相当する。そのために、スペーサスリーブの軸方向の長さは、取付要素の軸部が既に支承ユニットの無負荷状態で締め付けられるような大きさに選択しなければならない。同様に、スペーサスリーブの軸方向の長さは、ばね要素が、支承ユニットの無負荷状態で、すなわちキャリア要素上に真空ポンプが存在しない状態で力を掛けない、又はプリロードを及ぼさないように、ばね要素の軸方向の延伸長さに合わせて調整されるべきである。
【0010】
したがって、スペーサスリーブによって、支承ユニットの無負荷状態で、キャリア要素とベース要素との間の相互間隔が設定され、これにより、ばね要素が支承ユニットの無負荷状態でプリロードを及ぼさないことが同様に保証される。換言すると、要するに取付要素は、キャリア要素とベース要素との間の所定の間隔が生じるまで締め付けることができる。
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態について述べる。別の実施形態は、従属請求項、図面の説明及び図面自体から明らかであってよい。
【0012】
したがって、一実施形態によれば、キャリア要素及び/又はベース要素に、ばね要素のための少なくとも1つのガイドが形成されていて、ガイドによって、ばね要素がポンプの運転中に純粋に軸方向に圧縮されることを保証できる。したがって、ガイドによって、ばね要素の、場合によっては生じる横方向の変位を防止できる。同様に、このようなガイドは、ばね要素のための位置固定部として用いられ、これにより、ばね要素は、取付要素と、取付要素の軸部を取り囲むスペーサスリーブとに対するその同心の位置を保持する。これにより、ばね要素がスペーサスリーブに接触することを防止できる。そうでないときには、接触によって、真空ポンプの運転中に望ましくないがたつき音を招いてしまうおそれがある。
【0013】
一実施形態によれば、ここで言及しているガイドは、例えばベース要素及び/又はキャリア要素に形成されたドームであってよく、ドームを、ばね要素が取り囲み、ドームに、スペーサスリーブのそれぞれの端部が接触する。この場合、特に、取付要素の軸部の端部がドームに螺入されていて、そのために、ドームに、対応する雌ねじ山を有する中空空間が形成されてよい、ことが想定され得る。
【0014】
ばね要素がドームを取り囲むことによって、ドーム上に立設されているスペーサスリーブに対するばね要素の半径方向の位置取りが固定されるので、ばね要素は、望ましくはスペーサスリーブに接触しない。そうしないと、所望されないがたつき音の原因となり得る。
【0015】
前述の実施形態に対して付加的又は代替的に、ガイドは、ベース要素及び/又はキャリア要素に形成された、袋穴の形態の凹部であってもよく、凹部は、ばね要素のそれぞれの端部を収容する。これによっても、スペーサスリーブに対するばね要素の整列エラーを防止でき、これにより、望ましくないがたつき音が防止される。そうしないと、ばね要素がスペーサスリーブに当接するとがたつき音が生じてしまうおそれがある。
【0016】
さらに別の一実施形態によれば、スペーサスリーブを案内するためにベース要素にドームが形成されていて、ドームを、ばね要素が取り囲み、ドーム上にスペーサスリーブの一端が立設されている一方、キャリア要素には、対応する凹部が形成されていて、凹部は、ばね要素の別の一端を収容する。しかも、これに対して代替的に、ドームがキャリア要素に、そして凹部がベース要素に形成されてもよい。
【0017】
さらに別の一実施形態によれば、スペーサスリーブは、プラスチック材料から製造されていることが想定されてよい。というのも、これにより、たとえ振動が厳密には軸方向に経過しない場合にばね要素とスペーサ部材との間に接触生じたとしても、これにより望ましくないがたつき音が引き起こされないことを保証できるからである。これと同様に、スペーサスリーブがプラスチック材料から構成されていることによって、スペーサスリーブと取付要素の軸部とキャリア要素との接触に基づく望ましくないがたつき音を防止できる。スペーサスリーブをプラスチック材料から構成することは、ばね要素のためのガイドが設けられていないときに有利であると証明できる。というのも、この場合、ばね要素とスペーサスリーブとが接触したとしても、望ましくないがたつき音を防止できるからである。
【0018】
既に簡単に前述したように、キャリア要素は、例えばその上に真空ポンプを取り付けることができるキャリアプレートであってよい。これに対して代替的に、別の一実施形態によれば、キャリア要素は、少なくとも1つの曲げビームを有し、曲げビームは、その一端で、それぞればね要素を介してベース要素に支持されていて、取付要素によって、スペーサスリーブを通って延在するばね要素の軸部は、ベース要素に緊締されている。したがって、曲げビームは、その両端で、支承ユニットによって前述したように支承されているので、曲げビームは、静的な意味で単純梁を形成する。好ましくは、キャリア要素は、互いに略平行に延在するそのような2つの曲げビームを有する。この場合、2つの曲げビーム上に真空ポンプが取り付けられてよく、真空ポンプは、2つの曲げビームの間の間隔をブリッジする。したがって、2つの曲げビームは、振動技術的には互いに分離されているので、一方の曲げビームの振れが他方の曲げビームの振れへの影響を有さず、またその逆もいえる。
【0019】
たとえばね要素の変位が極めて大きくてもポンプスタンドに伝達が行われないように、好適な一実施形態によれば、各支承ユニットのそれぞれのばね要素が、真空ポンプの運転中にばね要素が密着しないような大きさに選択されたばね定数を有する、ことが想定され得る。
【0020】
鉛直方向と水平方向との両方で真空ポンプとポンプスタンドとの間の振動技術的な分離をもたらすために、別の一実施形態によれば、ポンプスタンドが、少なくとも2つの支承ユニットを有し、支承ユニットのばね要素、スペーサスリーブ及び取付要素が、互いに垂直に配向されていることがさらに想定され得る。
【0021】
以下、本発明を、ここで単なる例として、図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係るポンプスタンドの一部を一観察方向から示す。
【
図2】本発明による支承ユニットの第1の実施形態を示す。
【
図3】本発明による支承ユニットの第2の実施形態を示す。
【
図4】本発明による支承ユニットの第3の実施形態を示す。
【
図5】本発明による支承ユニットの第4の実施形態を示す。
【
図6】互いに垂直に配向された2つの支承ユニットを有する一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明に係るポンプスタンド10の一部を一観察方向から示す。特に、
図1は、ポンプスタンド10のハウジング12の一部を示す。ハウジング12内に、ダイヤフラム真空ポンプの形態の予備真空ポンプ14が収容されている。ポンプスタンド10によって、特にポンプスタンド10のハウジング12によって支持された、例えばターボ分子ポンプの形態の高真空ポンプは、図示されていない。高真空ポンプは、流れ方向で予備真空ポンプ14の上流側に接続されている。
【0024】
図1から看取できるように、補助真空ポンプ14は、キャリア要素16上に位置し、キャリア要素16は、その上に補助真空ポンプ14が立設されたキャリアプレートであってよい。これに対して代替的に、キャリア要素16は、図平面に対して垂直に互いに間隔を置いてかつ互いに平行に延在する2つの曲げビーム18を有してよく、曲げビーム18上に、予備真空ポンプ14が、2つの曲げビーム18の間の間隔をブリッジするように取り付けられている。
【0025】
既に
図1から看取できるように、それぞれの曲げビーム18は、その両端で、それぞればね要素20によって、ハウジング12のベース要素22に弾性的に支持されていて、これにより、予備真空ポンプ14の、運転に起因する振動がハウジング12へ伝達され、そこからハウジング12に支承されたターボ分子真空ポンプ(図示されていない)へと伝達され得ることを防止できる。
【0026】
図2の拡大図から看取されるように、キャリア要素16又は曲げビーム18は、ベース要素22に、圧縮コイルばね20の形態のばね要素20を介して支持されていて、そのために、ばね要素20は、キャリア要素16とベース要素22との、互いに向き合う2つの面の間に延在する。ポンプスタンド10の搬送中に持ち上がる力に対してキャリア要素16又は曲げビーム18を確保できるようにするために、キャリア要素16は、ボルト24の形態の取付要素24によって、ベース要素22に緊締されていて、その際、ボルト24の軸部26は、圧縮コイルばね20を通して延在する。キャリア要素16をベース要素22に緊締するために、ボルト24の軸部26の自由端は、ベース要素22に形成された雌ねじ山に、又はベース要素22の下方でベース要素22に接して位置するナットに螺入できる。図示の実施形態では、これに対して、ねじ頭28は、ワッシャ30を介してキャリア要素16の上面に当接するので、キャリア要素16は、持ち上がる力に対抗してベース要素22に確保されている。ただし、ワッシャ30は、キャリア要素16の孔34が小さくてねじ頭28が通過しない又はフランジヘッドねじが使用されるときには必ずしも必要ではない。したがって、取付要素24によって、搬送ロックが提供され、搬送ロックによって、ポンプスタンド10の搬送中にキャリア要素16がばね要素20から跳ね落ち得ることを防止できる。したがって、キャリア要素16を、搬送のために、ばね要素20が密着するまでベース要素22に緊締できる別個の搬送ロックは不要となる。このような別個の搬送ロックの場合、搬送後に、搬送ロックの解除を忘れてしまうことが起こり得、これにより、運転中に高真空ポンプへの望ましくない振動伝達を招いてしまうことがある。したがって、本発明による支承ユニットの取付要素24は、ポンプスタンド10の搬送後に取り外す必要がないので、誤使用が発生しにくい搬送ロックが提供される。
【0027】
ばね要素20から出発するプリロードは、キャリア要素16が取付要素24によってベース要素22に締め付けられるほど大きくなるので、取付要素24の軸部26は、スペーサスリーブ32によって取り囲まれている。スペーサスリーブ32は、好ましくはプラスチック材料から製造されてよい。この場合、具体的には、スペーサスリーブ32は、ワッシャ30の下面とベース要素22の、キャリア要素16に向いた側との間に延在する。特に、スペーサスリーブ32は、キャリア要素16に形成された開口34を通って延在し、取付要素24の軸部26もこの開口34を通って延在する。したがって、スペーサスリーブ32の軸方向の延伸長さによって、キャリア要素16とベース要素22との間の最大間隔が設定される。これにより、取付要素24を、ばね要素20が事前に決定された大きさのプリロード力を及ぼすまで正確に締め付けることができる、ことが保証される。
【0028】
したがって、スペーサスリーブ32は、ワッシャ30の下面とベース要素22の、キャリア要素16に向いた側との間に延在するので、スペーサスリーブ32の軸方向の延伸長さによって、ねじ軸部26の、応力下で伸長する長さが設定される。ねじ軸部の、応力下で伸長する長さは、通常、締付け長さと称され、締付け長さとは、技術的な機構学では、場合によっては存在するワッシャを含む、結合しようとする部品の厚みを意味する。
【0029】
この場合、スペーサスリーブ32の軸方向の長さは、まだポンプがキャリア要素16上に置かれていない支承ユニットの無負荷状態では、ばね要素20がプリロードを及ぼさず、したがって、取付要素24の軸部26が専ら取付要素24の締付けモーメントによって締め付けられるような大きさに、選択されるべきである。これに対して、ばね要素20のばね定数は、キャリア要素16に取り付けられた補助真空ポンプの運転中であってもばね要素20が密着しないような大きさに、選択されるべきである。
【0030】
前述のように、スペーサスリーブ32をプラスチック材料から製造することが推奨される。というのも、これにより、ばね要素20とスペーサスリーブ32との接触時に不都合ながたつき音が生じないことを保証できるからである。
【0031】
しかし、ばね要素20とスペーサスリーブ32とのこのような接触を最初から排除できるように、
図3に示された実施形態では、キャリア要素16の、ベース要素22に向いた側に、中空円筒形の凹部36が形成されていて、凹部36は、ばね要素20の対応する端部を収容するともに、キャリア要素16に設けられた開口34と同軸に整列されていることが想定されている。したがって、ばね要素20は、凹部36に半径方向で保持され、これにより、ばね要素20とスペーサスリーブ32と取付要素24との同軸の配置が持続的に保持される。
【0032】
図3に示された実施形態に対して代替的に、
図4に示された実施形態では、ベース要素22の、キャリア要素16に向いた側に、中空円筒形の隆起部の形態のドーム38が形成されていることが想定されていて、この場合、圧縮コイルばね20がドーム38を包囲するので、圧縮コイルばね20は、半径方向で所定の位置に保持される。さらに、
図4に示された実施形態では、ここでもプラスチック材料からなるスペーサスリーブ32の下端は、ドーム38上に立設されている。このことは、ベース要素22とのキャリア要素20の緊締の結果として伸長する取付要素24の軸部26の長さ部分と、ドーム38の軸方向の延伸高さとが、
図2の実施形態のときよりも小さいことを意味する。
【0033】
図4の実施形態では、ドーム38に雌ねじ山(図示されていない)が設けられていて、雌ねじ山には、軸部26の自由端が螺入されていて、しかも、これに対して代替的に、ドーム38は、軸部26が貫通して延在する貫通開口だけを画定してもよく、この場合、ベース要素22の下方又はキャリア要素16の上方に、ベース要素22又はキャリア要素16に当接するナットが設けられてよく、ナットに、軸部26の自由端が螺入されている。
【0034】
図5の実施形態は、ある意味
図3の実施形態と
図4の実施形態との組合わせである。というのも、
図5の実施形態によれば、ベース要素22にドーム38が形成されていて、キャリア要素16にそれぞれのばね端を確保するための凹部36が形成されているからである。
【0035】
したがって、前述の支承ユニットによって、鉛直方向の真空ポンプ14とポンプスタンド10との間の振動技術的な分離をもたらすことができる。しかも水平のポンプ振動も抑制又は少なくとも減衰できるように、
図6に示された実施形態によれば、キャリア要素16は、アングル状の断面を有する曲げビーム18であり、この場合、鉛直のアングル脚片40が、ばね要素20とスペーサスリーブ32と取付要素24とからなる支承ユニット用の水平のアングル脚片に相応する形で、鉛直のベース要素部分22’に確保されている。
【符号の説明】
【0036】
10 ポンプスタンド
12 ハウジング
14 補助真空ポンプ
16 キャリア要素
18 曲げビーム
20 ばね要素
22 ベース要素
22’ ベース要素部分
24 取付要素/ねじ山付きボルト
26 軸部
28 ねじ頭
30 ワッシャ
32 スペーサスリーブ
34 開口
36 凹部
38 ドーム
40 鉛直のアングル脚片
42 水平のアングル脚片
【手続補正書】
【提出日】2024-02-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空ポンプ(14)、特に補助真空ポンプ用のポンプスタンド(10)であって、
前記ポンプスタンド(10)は、ベース要素(22)を有し、前記ベース要素(22)に、前記ポンプスタンド(10)から真空ポンプ(14)、特に補助真空ポンプを振動技術的に分離する支承ユニットが設けられていて、
前記支承ユニットは、
真空ポンプ(14)を少なくとも間接的に支持するキャリア要素(16)と、
少なくとも1つのばね要素(20)であって、前記ばね要素(20)を介して、前記キャリア要素(16)は、前記ベース要素(22)に支持されていて、そのために、前記ばね要素(20)は、前記キャリア要素(16)と前記ベース要素(22)との互いに向き合う側の間に延在する、ばね要素(20)と、
特にねじの形態の、軸部(26)を有する取付要素(24)であって、前記取付要素(24)によって、前記キャリア要素(16)は、前記ベース要素(22)に緊締されている、取付要素(24)と、
スペーサスリーブ(32)であって、前記スペーサスリーブ(32)は、前記ばね要素(20)によって取り囲まれていて、前記スペーサスリーブ(32)自体は、前記取付要素(24)の前記軸部(26)を、前記ベース要素(22)と前記キャリア要素(16)との締め付けの結果として伸長する延伸長さにわたって取り囲む、スペーサスリーブ(32)と、
を有する、ポンプスタンド(10)。
【請求項2】
前記スペーサスリーブ(32)の軸方向の長さは、前記支承ユニットの無負荷状態で、前記取付要素(24)の前記軸部(26)が専ら前記取付要素(24)の締付けモーメントに基づいて締め付けられるような大きさに選択されている、請求項1に記載のポンプスタンド(10)。
【請求項3】
前記ばね要素(20)は、前記支承ユニットの無負荷状態では、前記キャリア要素(16)の荷重だけを受けている、請求項1又は2に記載のポンプスタンド(10)。
【請求項4】
前記ばね要素(20)は、圧縮コイルばね(20)である、請求項1又は2に記載のポンプスタンド(10)。
【請求項5】
前記キャリア要素(16)及び/又は前記ベース要素(22)に、前記ばね要素(20)用の少なくとも1つのガイドが形成されている、請求項1又は2に記載のポンプスタンド(10)。
【請求項6】
前記ガイドは、前記ベース要素(22)及び/又は前記キャリア要素(16)に形成されたドーム(38)であり、前記ドーム(38)を、前記ばね要素(20)が取り囲み、前記ドーム(38)上に、前記スペーサスリーブ(32)の端部が立設されていて、
特に、前記取付要素(24)の前記軸部(26)が、前記ドーム(38)に螺入されていることが想定されている、請求項5に記載のポンプスタンド(10)。
【請求項7】
前記ガイドは、前記ベース要素(22)及び/又は前記キャリア要素(16)に形成された凹部(36)であり、前記凹部(36)は、前記ばね要素(20)のそれぞれの端部を収容する、請求項5に記載のポンプスタンド(10)。
【請求項8】
前記スペーサスリーブ(32)は、プラスチック材料から製作されている、請求項1又は2に記載のポンプスタンド(10)。
【請求項9】
前記キャリア要素(16)は、少なくとも1つの曲げビーム(18)を有し、前記曲げビーム(18)は、複数の端部で、それぞれ1つの前記ばね要素(20)を介して前記ベース要素(22)に支持されていて、かつ取付要素(24)によって、前記ベース要素(22)に緊締されていて、前記取付要素(24)の前記軸部(26)は、前記スペーサスリーブ(32)を通って延在する、請求項1又は2に記載のポンプスタンド(10)。
【請求項10】
前記キャリア要素(16)は、互いに平行に延在する2つの曲げビーム(18)を有する、請求項9に記載のポンプスタンド(10)。
【請求項11】
2つの前記曲げビーム(18)上に、2つの前記曲げビーム(18)の間の間隔をブリッジする真空ポンプ(14)、特にダイヤフラム真空ポンプ(14)又はロータリベーンポンプが取り付けられている、請求項10に記載のポンプスタンド(10)。
【請求項12】
前記ばね要素(20)は、前記ばね要素(20)が前記真空ポンプ(14)の運転中に密着しないように選択されたばね定数を有する、請求項1又は2に記載のポンプスタンド(10)。
【請求項13】
前記ポンプスタンド(10)は、少なくとも2つの支承ユニットを有し、これらの支承ユニットのばね要素、スペーサスリーブ(32)及び取付要素(24)は、互いに垂直に配向されている、請求項1又は2に記載のポンプスタンド(10)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
したがって、前述の支承ユニットによって、鉛直方向の真空ポンプ14とポンプスタンド10との間の振動技術的な分離をもたらすことができる。しかも水平のポンプ振動も抑制又は少なくとも減衰できるように、
図6に示された実施形態によれば、キャリア要素16は、アングル状の断面を有する曲げビーム18であり、この場合、鉛直のアングル脚片40が、ばね要素20とスペーサスリーブ32と取付要素24とからなる支承ユニット用の水平のアングル脚片に相応する形で、鉛直のベース要素部分22’に確保されている。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の観点として以下を含む。
1.
真空ポンプ(14)、特に補助真空ポンプ用のポンプスタンド(10)であって、
前記ポンプスタンド(10)は、ベース要素(22)を有し、前記ベース要素(22)に、前記ポンプスタンド(10)から真空ポンプ(14)、特に補助真空ポンプを振動技術的に分離する支承ユニットが設けられていて、
前記支承ユニットは、
真空ポンプ(14)を少なくとも間接的に支持するキャリア要素(16)と、
少なくとも1つのばね要素(20)であって、前記ばね要素(20)を介して、前記キャリア要素(16)は、前記ベース要素(22)に支持されていて、そのために、前記ばね要素(20)は、前記キャリア要素(16)と前記ベース要素(22)との互いに向き合う側の間に延在する、ばね要素(20)と、
特にねじの形態の、軸部(26)を有する取付要素(24)であって、前記取付要素(24)によって、前記キャリア要素(16)は、前記ベース要素(22)に緊締されている、取付要素(24)と、
スペーサスリーブ(32)であって、前記スペーサスリーブ(32)は、前記ばね要素(20)によって取り囲まれていて、前記スペーサスリーブ(32)自体は、前記取付要素(24)の前記軸部(26)を、前記ベース要素(22)と前記キャリア要素(16)との締め付けの結果として伸長する延伸長さにわたって取り囲む、スペーサスリーブ(32)と、
を有する、ポンプスタンド(10)。
2.
前記スペーサスリーブ(32)の軸方向の長さは、前記支承ユニットの無負荷状態で、前記取付要素(24)の前記軸部(26)が専ら前記取付要素(24)の締付けモーメントに基づいて締め付けられるような大きさに選択されている、上記1のポンプスタンド(10)。
3.
前記ばね要素(20)は、前記支承ユニットの無負荷状態では、前記キャリア要素(16)の荷重だけを受けている、上記1又は2のポンプスタンド(10)。
4.
前記ばね要素(20)は、圧縮コイルばね(20)である、上記1から3のいずれか一つのポンプスタンド(10)。
5.
前記キャリア要素(16)及び/又は前記ベース要素(22)に、前記ばね要素(20)用の少なくとも1つのガイドが形成されている、上記1から4のいずれか一つのポンプスタンド(10)。
6.
前記ガイドは、前記ベース要素(22)及び/又は前記キャリア要素(16)に形成されたドーム(38)であり、前記ドーム(38)を、前記ばね要素(20)が取り囲み、前記ドーム(38)上に、前記スペーサスリーブ(32)の端部が立設されていて、
特に、前記取付要素(24)の前記軸部(26)が、前記ドーム(38)に螺入されていることが想定されている、上記5のポンプスタンド(10)。
7.
前記ガイドは、前記ベース要素(22)及び/又は前記キャリア要素(16)に形成された凹部(36)であり、前記凹部(36)は、前記ばね要素(20)のそれぞれの端部を収容する、上記5のポンプスタンド(10)。
8.
前記スペーサスリーブ(32)は、プラスチック材料から製作されている、上記1から7のいずれか一つのポンプスタンド(10)。
9.
前記キャリア要素(16)は、少なくとも1つの曲げビーム(18)を有し、前記曲げビーム(18)は、複数の端部で、それぞれ1つの前記ばね要素(20)を介して前記ベース要素(22)に支持されていて、かつ取付要素(24)によって、前記ベース要素(22)に緊締されていて、前記取付要素(24)の前記軸部(26)は、前記スペーサスリーブ(32)を通って延在する、上記1から8のいずれか一つのポンプスタンド(10)。
10.
前記キャリア要素(16)は、互いに平行に延在する2つの曲げビーム(18)を有する、上記9のポンプスタンド(10)。
11.
2つの前記曲げビーム(18)上に、2つの前記曲げビーム(18)の間の間隔をブリッジする真空ポンプ(14)、特にダイヤフラム真空ポンプ(14)又はロータリベーンポンプが取り付けられている、上記10のポンプスタンド(10)。
12.
前記ばね要素(20)は、前記ばね要素(20)が前記真空ポンプ(14)の運転中に密着しないように選択されたばね定数を有する、上記1から11のいずれか一つのポンプスタンド(10)。
13.
前記ポンプスタンド(10)は、少なくとも2つの支承ユニットを有し、これらの支承ユニットのばね要素、スペーサスリーブ(32)及び取付要素(24)は、互いに垂直に配向されている、上記1から12のいずれか一つのポンプスタンド(10)。
【外国語明細書】