(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178907
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】構造体
(51)【国際特許分類】
E04B 1/343 20060101AFI20241218BHJP
E04H 6/02 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
E04B1/343 U
E04B1/343 Y
E04H6/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024078537
(22)【出願日】2024-05-14
(31)【優先権主張番号】P 2023097127
(32)【優先日】2023-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】利根川 勝
(72)【発明者】
【氏名】山口 洋平
(72)【発明者】
【氏名】隈元 友樹
(72)【発明者】
【氏名】緒方 亮介
(57)【要約】
【課題】 施工を簡略化できる構造体の提供。
【解決手段】 横樋19とたて樋10と集水器27とを備え、横樋19は、水抜き孔21を有し、集水器27は、横樋19の水抜き孔21が設けてある位置の下面に取付けてあり、下縁がたて樋10の内面から離間した傾斜面30を有し、水抜き孔21から落ちた雨水をたて樋10の内面に沿うように導く排水経路35を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横樋とたて樋と集水器とを備え、横樋は、水抜き孔を有し、集水器は、横樋の水抜き孔が設けてある位置の下面に取付けてあり、下縁がたて樋の内面から離間した傾斜面を有し、水抜き孔から落ちた雨水をたて樋の内面に沿うように導く排水経路を有することを特徴とする構造体。
【請求項2】
横樋とたて樋と集水器とを備え、横樋は、水抜き孔を有し、集水器は、横樋の水抜き孔が設けてある位置の下面に取付けてあり、水抜き孔から落ちた雨水を真下に導く排水経路と、下縁がたて樋の内面から離間した傾斜面を有し、水抜き孔から落ちた雨水をたて樋の内面に沿うように導く排水経路とを有することを特徴とする構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーポート等の構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、住宅の敷地に設置されるカーポート等の構造体が知られている。かかる構造体においては、施工の簡略化が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、施工を簡略化できる構造体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による構造体は、横樋とたて樋と集水器とを備え、横樋は、水抜き孔を有し、集水器は、横樋の水抜き孔が設けてある位置の下面に取付けてあり、下縁がたて樋の内面から離間した傾斜面を有し、水抜き孔から落ちた雨水をたて樋の内面に沿うように導く排水経路を有することを特徴とする。
【0005】
請求項2記載の発明による構造体は、横樋とたて樋と集水器とを備え、横樋は、水抜き孔を有し、集水器は、横樋の水抜き孔が設けてある位置の下面に取付けてあり、水抜き孔から落ちた雨水を真下に導く排水経路と、下縁がたて樋の内面から離間した傾斜面を有し、水抜き孔から落ちた雨水をたて樋の内面に沿うように導く排水経路とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明による構造体は、横樋とたて樋と集水器とを備え、横樋は、水抜き孔を有し、集水器は、横樋の水抜き孔が設けてある位置の下面に取付けてあり、下縁がたて樋の内面から離間した傾斜面を有し、水抜き孔から落ちた雨水をたて樋の内面に沿うように導く排水経路を有することで、雨樋の施工が容易で、施工を簡略化することができ、且つ排水音の発生を防ぐことができる。
【0007】
請求項2記載の発明による構造体は、横樋とたて樋と集水器とを備え、横樋は、水抜き孔を有し、集水器は、横樋の水抜き孔が設けてある位置の下面に取付けてあり、水抜き孔から落ちた雨水を真下に導く排水経路と、下縁がたて樋の内面から離間した傾斜面を有し、水抜き孔から落ちた雨水をたて樋の内面に沿うように導く排水経路とを有することで、雨樋の施工が容易で、施工を簡略化することができ、且つ排水音の発生を防ぐことができる。集水器に水抜き孔から落ちた雨水を真下に導く排水経路を有していることで、雨水をたて樋にスムーズに流すことができ、排水性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の構造体の第1実施形態を示す正面図である。
【
図7】集水器の周辺を拡大して示す縦断面図である。
【
図8】集水器の周辺を左側から見た縦断面図である。
【
図12】(a)は集水器の左側側面図、(b)は同正面図、(c)は同平面図、(d)はD-D断面図である。
【
図14-1】(a)は同構造体の天井の結露が発生していないときの写真であり、(b)はそのX部を拡大した写真である。
【
図14-2】(a)は同構造体の天井の結露が発生しているときの写真であり、(b)はそのY部を拡大した写真である。
【
図15】比較例として、凹凸が形成されていない天井に結露が発生したときの状態を示す写真である。
【
図16】本発明の第2実施形態に係る構造体の集水器の周辺を拡大して示す縦断面図である。
【
図17】同構造体の集水器の周辺を左側から見た縦断面図である。
【
図18】(a)は同集水器の左側側面図、(b)は同正面図、(c)は同平面図、(d)はE-E断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~11は、本発明の構造体の第1実施形態を示している。本構造体は、住宅の敷地に設置される乗用車1台用のカーポートに適用したものである。
本構造体は、
図1~5に示すように、正面から見て左側に前後方向に間隔をあけて立設した2本の柱1,1と、各柱1,1の上端部にそれぞれ支持された2本の梁2,2と、梁2,2に支持された屋根3とを備えている。屋根3は、柱1のある左側が低くなるように傾斜している。
【0010】
柱1は、アルミニウム合金の押出形材で形成したものであり、
図11に示すように、略矩形断面の中空状に形成されている。柱1は、前後の見付面1a,1bが外側(左側)の見込面1cよりも外側に張り出しており、その端縁部間に目板9を嵌合取付けすることで、屋根3の雨水を地上に流すためのたて樋10が柱1と一体で形成されている。
柱1は、
図1に示すように、下部を地面に形成した基礎穴11に挿入し、柱1の周りをコンクリート12で固めてある。本構造体を隣地境界13近傍に設置するために、基礎穴11は、隣地境界13のすぐそばに設けられ、柱1は隣地境界13側に偏心して配置されている。柱1と基礎穴11との間には所定寸法A(具体的には80mm程度)間隔を設けてある。
梁2も、
図9に示すように、アルミニウム合金の押出形材で略矩形断面の中空状に形成してある。
柱1と梁2は、
図6に示すように、柱1と梁2の中空部内にL字形の柱梁連結金具14を挿入してボルト15で固定することで、柱1と梁2が連結されている。梁2は、水下側(左側)端が柱1よりも外側に飛び出している。
【0011】
屋根3は、
図2に示すように、前枠4と後枠5と左右の側枠6a,6bとを矩形に枠組みした保持枠7と、保持枠7の内側に左右方向の向きで配置され、前後方向に並べて取付けた複数の屋根材8,8,…とを有している。
水上側に位置する右側の側枠6aは、
図6に示すように、前後の梁2の水上側端部にL形の金具16で固定して取付けてある。水上側の側枠6aは、アルミニウム合金の押出形材で形成したものであり、上面が屋根3の外周側に向かって下向きに傾斜した略直角三角形状の断面になっている。
【0012】
前枠4と後枠5は、
図9に示すように、水上側の側枠6aとほぼ同じ略直角三角形断面のアルミ形材で形成してある。水上側の側枠6aの長手方向の両端部、前枠4及び後枠5の水上側端部は、
図2に示すように、それぞれ斜め45°に切断され、斜めに切断された小口同士を突き合せて連結してある。
【0013】
水下側に位置する左側の側枠6bは、
図6に示すように、前後の梁2の水下側端部にL形の金具17で固定して取付けてある。水下側の側枠6bは、アルミニウム合金の押出形材で形成したものであり、梁2と金具17で連結された略矩形断面の本体部18と、本体部18の外周側面の下部にねじ止めして取付けた横樋19を有している。柱1は、前後の見付面1a,1bの見込面1cから張り出した部分の上端部が切り欠かれており、横樋19はその切欠き20に呑み込ませてあって、内周側面が柱1の見込面1cに当接している。したがって水下側の側枠6bは、本体部18と横樋19を含めた全体が柱1の見込面1cより外側に位置している。このように、水下側の側枠6bは全体が柱1の見込面1cより外側に位置していることで、屋根3の柱1からの出っ張り寸法B(
図1参照)が大きくなっている。具体的には、屋根3の柱1からの出っ張り寸法Bは、柱1と基礎穴11との間の所定寸法Aとほぼ同じかそれ以上の寸法となっている。これにより本構造体は、隣地境界13近傍に設置する場合に、隣地境界13ぎりぎりまで屋根3を容易にのばすことができる(
図1参照)。
【0014】
横樋19は、
図6に示すように、柱1の切欠き20に呑み込ませた部分に水抜き孔21が形成してあり、横樋19に入った雨水はその水抜き孔21から柱1の外側に設けられたたて樋10へと流れ、たて樋10の下端部に外側に向けて開口して設けた排水口22(
図1参照)より地上へと排水される。たて樋10は、上端を横樋19の下面に突き当ててある。
【0015】
図7,8に示すように、横樋19の水抜き孔21が設けてある位置の下面には、排水音の発生を防ぐために集水器27が取付けてある。集水器27は、樹脂で形成してあり、
図12,13に示すように、上面が開口しており、前側及び後側の側面に水抜き孔28aが形成してあり、外側(左側)及び内側(右側)の側面にも水抜き孔28b,28cが形成してある。外側の側面の上部には、板状の止水部29が垂下して設けてある。
集水器27の底面は、外側に向かうにつれて下方に傾斜した傾斜面30となっている。傾斜面30は、
図12(a)に示すように、前側と後側に分かれており、その間に断面逆U字型で上方に膨らむ膨らみ部31が形成されている。集水器27は、このように膨らみ部31が形成してあることで、柱梁連結金具14を柱1に固定しているボルト15の頭を逃がしある。
集水器27は、
図7,8に示すように、上面を横樋19の水抜き孔21が設けてある位置の下面に当接し、下方からのねじ32でねじ止めして取付けてある。集水器27の底部に形成された傾斜面30の下縁30aは、たて樋10の外側の壁の内面から離間している。傾斜面30の下縁30aとたて樋10の外側の壁の内面との隙間33の大きさは、2~3mm、具体的には2.3mmとしてある。
【0016】
横樋19に入った雨水は、
図7,8に示すように、横樋19の水抜き孔21から集水器27の膨らみ部31上に落ちて前側と後側に分かれ、大部分の雨水は図中の矢印34に示すように集水器27の前側と後側の側面に形成された水抜き孔28aよりたて樋10内に流れる。一部の雨水は、図中の矢印35に示すように、集水器27の底部に形成された傾斜面30からたて樋10の外側の壁の内面を伝うように流れる(雨水をたて樋10の内面に沿うように導く排水経路)。雨量が少ないときや雨が上がった直後は、もっぱら矢印35の排水経路で雨水が流れる。
【0017】
雨量が少ないときや雨が上がった直後において、仮に上記のような集水器27が設置されていなかったとすると、横樋19の水抜き孔21から落ちた水滴がたて樋10下部に設けられた排水口22に衝突することで、ポトン、ポトンと音が発生する。本構造体は、上記のとおり、雨水を集水器27の底部に形成された傾斜面30からたて樋10の外側の壁の内面を伝うように導く排水経路35を有することで、そのような排水音の発生を防ぐことができる。
集水器27は、傾斜面30の下縁30a側に位置する外側の側面に水抜き孔28bが形成してある他、前側と後側と内側の側面に水抜き孔28a,28cが形成してあることで、これらの水抜き孔28a,28b,28cを通じてたて樋10に雨水を排水できるので、雨量が多いときでもスムーズに雨水を横樋19からたて樋10に流すことができる。
さらに集水器27は、外側の側面の上部に止水部29が形成してあることで、膨らみ部31に当たって跳ね返った水等がたて樋10の上端から外に出るのを防ぐことができる。
また、集水器27は、柱梁連結金具14を柱1に固定するボルト15の頭を逃がす部分(膨らみ部31)を有しているので、ボルト15の頭が柱1の外に出ていても容易に設置することができる。
【0018】
屋根材8は、
図2,9に示すように、アルミニウム合金の押出形材で板状に形成してあり、前枠4と梁2の間と、梁2同士の間と、梁2と後枠5との間とに前後方向に並べて取付けてある。隣り合う屋根材8同士の連結部23には、略矩形断面の中空部24が形成されており(
図9参照)、これにより屋根3に強度を持たせている。
各屋根材8は、
図6に示すように、水上側の端部を水上側の側枠6aに金具25aで連結し、水下側の端部を水下側の側枠6bに金具25bで連結して、両側枠6a,6b間に架設してある。屋根材8の水下側の端部は、柱1の見込面1cよりも外側までのび、水下側の側枠6bに呑み込ませてあって、屋根材8の上面を伝って流下した雨水は側枠6bの横樋19に落ちるようになっている。
【0019】
各屋根材8は、
図10に示すように、下面全体に断面略円弧状の山と谷が交互に連なる波形の微細な凹凸36が、押出方向である左右方向に連続して形成されている。
本構造体は、
図9に示すように、梁2の下にも屋根材26が取付けてあり、屋根材26の下面は他の屋根材8,8,…の下面と同面になっており、屋根材26の下面には、屋根材8と同様に、押出方向である左右方向に向かって連続する微細な凹凸36が全面に形成されている。
本構造体は、このように各屋根材8,8,…及び屋根材26の下面全体に一方向(左右方向)に向かって連続する微細な凹凸36が形成されていることで、保持枠7の内側に屋根材8,8,…及び屋根材26を並べて貼るだけで、屋根3の下面に凹凸模様の意匠面を有し且つフラットな天井37が形成される。
【0020】
さらに本構造体は、
図6,9に示すように、保持枠7を構成する前枠4、後枠5及び水上側の側枠6aの下面も屋根材8,8,…の下面と同面になっており、前枠4、後枠5及び水上側の側枠6aの下面には、屋根材8の下面と同様に、押出方向(前枠4及び後枠5については左右方向、水上側の側枠6aについては前後方向)に向かって連続する微細な凹凸36が全面に形成されている。
【0021】
屋根材8等の下面に形成された微細な凹凸36は、ピッチPが0.6mm~2.5mm、深さdが0.09mm~2.0mmであることが好ましい。
【0022】
天井37には、気象条件によっては結露が発生することがある。
図14-1、
図14-2は、本構造体の天井37の写真であって、
図14-1は結露が発生していないときの状態、
図14-2は結露が発生しているときの状態を示している。天井37に形成されている微細な凹凸36は、ピッチPが0.6mm、深さdが0.09mmとしてある。
図15は、比較例として凹凸が形成されていないアルミ製の天井100の写真であって、結露が発生しているときの状態を示している。
【0023】
図15に示すように、凹凸が形成されていない天井100では、結露が発生すると結露の水の粒がまとまって大きな水滴101となり、水滴101はそのうちに重力により滴下し、水滴が屋根の下に停めた車のボンネット等に落ちると、そこに跡が付く。
本構造体の天井37は、
図14-2(b)に示すように、微細な凹凸36が形成されていることによって、結露によって生じた細かい水の粒がまとまって大きくなることがなく、天井37に付着したままで乾燥して消滅し、天井37から結露の水滴が滴下するのを防ぐことができる。
【0024】
また本構造体の天井37は、一方向に向かって連続する微細な凹凸36が全面に形成されていることによって、眩しさが軽減される、表面積が大きくなることによる放熱効果により屋根下空間が熱くならない効果がある。さらには、ダイスラインが見えない、形材同士の色違いが目立たない、傷が目立たないといった効果もある。
【0025】
図16~19は、本発明の構造体の第2実施形態を示しており、第1実施形態とは集水器27の形態が異なっている。
本実施形態の集水器27は、
図16,18に示すように、横樋19の水抜き孔21の周囲を囲むように垂下壁40が上下に抜けた筒状に形成され、垂下壁40により水抜き孔21から落ちた雨水を真下に導く排水経路41が形成されている。
さらに本集水器27は、
図16に示すように、左側の垂下壁40aの下方に左側に向かうにつれて下方に傾斜した傾斜面42aが形成してあり、右側の垂下壁40bの下方に右側に向かうにつれて下方に傾斜した傾斜面42bが形成してある。左側の傾斜面42aは、右側の傾斜面42bよりも低い位置に位置している。両傾斜面42a,42bの下縁とたて樋10の内面との間には隙間33が形成されている。本集水器27は、このように傾斜面42a,42bを設けることで、水抜き孔21から落ちた雨水をたて樋10の内面に沿うように導く排水経路43a,43bが形成されている。
【0026】
雨量が多いとき、横樋19に入った雨水は、
図16,17に示すように、横樋19の水抜き孔21から集水器27の排水経路41を通じてまっすぐ下に流れる。これにより、雨量が多いときでもスムーズに雨水を排水することができる。
雨量が少ないときや雨が上がった直後は、
図16に示すように、雨水は集水器27の垂下壁40を伝って傾斜面42a,42bに落ち、傾斜面42a,42bからたて樋10の内面に沿うように導かれる排水経路43a,43bを通じて下方に流れる。これにより、排水音の発生を防ぐことができる。
【0027】
以上に述べたように本構造体(第1,2実施形態)は、横樋19とたて樋10と集水器27とを備え、横樋19は、水抜き孔21を有し、集水器27は、横樋19の水抜き孔21が設けてある位置の下面に取付けてあり、下縁がたて樋10の内面から離間した傾斜面30,42a,42bを有し、水抜き孔21から落ちた雨水をたて樋10の内面に沿うように導く排水経路35,43a,43bを有することで(
図7,16参照)、雨樋の施工が容易で、施工を簡略化することができ、且つ排水音の発生を防ぐことができる。
本構造体(第2実施形態)は、横樋19とたて樋10と集水器27とを備え、横樋19は、水抜き孔21を有し、集水器27は、横樋19の水抜き孔21が設けてある位置の下面に取付けてあり、水抜き孔21から落ちた雨水を真下に導く排水経路41と、下縁がたて樋10の内面から離間した傾斜面42a,42bを有し、水抜き孔21から落ちた雨水をたて樋10の内面に沿うように導く排水経路43a,43bとを有することで(
図16参照)、雨樋の施工が容易で、施工を簡略化することができ、且つ排水音の発生を防ぐことができる。集水器27に水抜き孔21から落ちた雨水を真下に導く排水経路41を有していることで、雨水をたて樋10にスムーズに流すことができ、排水性が向上する。
第2実施形態の集水器27は、水抜き孔21から下方に垂下した垂下壁40を有し、垂下壁40の下方に傾斜面42a,42bが設けてあることで(
図16参照)、雨量が多いときに雨水をスムーズに真下に流すことができ、雨量が少ないときには垂下壁40と傾斜面42a,42bを通じて雨水を確実にたて樋10の内面に沿うように導くことができる。
第1実施形態の集水器27は、傾斜面30の下縁30a側の側面以外の少なくとも一つの側面に水抜き孔28a,28cが形成してあることで(
図7,13参照)、その水抜き孔28a,28cを通じてたて樋10に雨水を排水できるので、雨量が多いときでもスムーズに雨水を横樋19からたて樋10に流すことができる。
第1実施形態の集水器27は、上部に雨水がたて樋10の上端から外に出るのを防ぐ止水部29を有することで(
図7参照)、たて樋10と横樋19の突き当て部分から雨水が漏れるのを防ぐことができる。
第1,2実施形態の集水器27は、柱梁連結金具14を柱1に固定するボルト15の頭を避ける部分(膨らみ部31)を有するので(
図8,18参照)、ボルト15の頭が柱1の外に出ていても集水器27を容易に設置することができる。
【0028】
本構造体は、天井37を備え、天井37は、一方向に向かって連続する微細な凹凸36が全面に形成してあることで(
図10参照)、屋根材8,8,…と別に天井材を貼らなくても、屋根材8,8,…を貼るだけで天井37を形成することができるので、施工を簡略化できる。
また、一方向に向かって連続する微細な凹凸36が天井37の全面に形成してあることで、結露の水滴が大きくなって滴下するのを防止できる、眩しさが軽減される、表面積が大きくなることによる放熱効果により屋根下空間が熱くならないといった効果がある。
天井37の微細な凹凸36は、ピッチPが0.6mm~2.5mm、深さdが0.09mm~2.0mmであることで、結露の水滴が大きくなって滴下するのを防止する効果が確実に得られ、且つ意匠低下や材料費の無駄を防ぐことができる。
本構造体は、天井37を保持する保持枠7を有し、保持枠7の天井37と同面の下面(前枠4、後枠5及び水上側の側枠6aの下面)にも微細な凹凸36が形成してあることで、意匠性が高められると同時に、保持枠7の下面からの結露水の滴下も防止できる。
【0029】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。横樋及びたて樋の断面形状、材質は、適宜変更することができる。たて樋は、柱と別体で形成したものであってもよい。集水器の形状、材質は、適宜変更することができる。屋根の構造は問わない。本発明は、カーポートに限らず、サイクルポート、通路シェルター、テラス屋根など、屋根を有するあらゆる構造体に適用することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 柱
2 梁
3 屋根
10 たて樋
19 横樋
21 水抜き孔
27 集水器
30 傾斜面
35 排水経路
36 凹凸
37 天井
41 排水経路
42a,42b 傾斜面
43a,43b 排水経路