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特開2024-178908放射線撮影装置、無線給電装置、及び放射線撮影システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178908
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】放射線撮影装置、無線給電装置、及び放射線撮影システム
(51)【国際特許分類】
   G01T 7/00 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
G01T7/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024078892
(22)【出願日】2024-05-14
(31)【優先権主張番号】P 2023097148
(32)【優先日】2023-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023191072
(32)【優先日】2023-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2024051814
(32)【優先日】2024-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】福島 隆史
(72)【発明者】
【氏名】吉村 友里
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 博史
【テーマコード(参考)】
2G188
【Fターム(参考)】
2G188AA03
2G188BB02
2G188BB04
2G188BB05
2G188BB06
2G188CC22
2G188CC32
2G188DD12
2G188DD13
2G188DD14
2G188DD47
2G188FF13
(57)【要約】
【課題】放射線検出器の厚みを薄くした場合に適合する受電部の好適な構成や配置を実現した放射線撮影装置を提供する。
【解決手段】放射線撮影装置100は、入射した放射線を放射線画像に関する電気信号に変換する放射線検出器と、外部との間で受電可能とされた少なくとも1つの受電部110と、放射線検出器及び受電部110を内包する筐体8と、を備えており、筐体8は、内部空間で一体化された厚肉部8a及び薄肉部8bを有しており、放射線検出器のパネル部分1及び受電部110は、薄肉部8bに配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を検出する放射線検出器と、
前記放射線検出器に電力を供給する電源部と、
前記放射線検出器を薄肉部に収容し、前記電源部を厚肉部に収容する筐体と、
外部からの電力供給を受け付けるための受電部であって前記薄肉部に設けられた受電部と、
を有することを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項2】
前記放射線検出器のパネル部分は、前記薄肉部に配置されている、
請求項1に記載の放射線撮影装置。
【請求項3】
前記受電部は、外部との間において無線で受電が行われる無線受電部である、
請求項1に記載の放射線撮影装置。
【請求項4】
前記受電部は、外部との間において有線で受電が行われる有線受電部である、
請求項1に記載の放射線撮影装置。
【請求項5】
前記無線受電部は無線コイルを有しており、電磁誘導方式により電磁エネルギーを受電する、
請求項3に記載の放射線撮影装置。
【請求項6】
前記無線受電部は、少なくとも一部が前記放射線検出器のパネル部分と平面視で重なるように、前記放射線検出器のパネル部分の放射線入射面と逆側の面に配置されている、
請求項3に記載の放射線撮影装置。
【請求項7】
前記無線コイルは、一端が平面視で前記放射線検出器の有効撮影領域の外周を超えて前記厚肉部の端部に位置するように配置されている、
請求項5に記載の放射線撮影装置。
【請求項8】
前記無線受電部を制御する第1制御部を有し、
前記第1制御部は、前記厚肉部に配置されている、
請求項3に記載の放射線撮影装置。
【請求項9】
前記放射線検出器のパネル部分と前記無線受電部との間に、前記無線受電部からの放射ノイズを抑制するシールド材が配置されている、
請求項3に記載の放射線撮影装置。
【請求項10】
前記放射線検出器のパネル部分と前記無線受電部との間に、前記無線受電部からの発熱による温度伝搬を抑制する断熱材が配置されている、
請求項3に記載の放射線撮影装置。
【請求項11】
前記放射線検出器を支える支持基台を有し、
前記支持基台のうち、前記無線受電部が配置されている部分には電磁界の透過材が配置されている、
請求項3に記載の放射線撮影装置。
【請求項12】
前記厚肉部に他の有線受電部が配置されている、
請求項3に記載の放射線撮影装置。
【請求項13】
前記他の有線受電部は受電コネクタである、
請求項12に記載の放射線撮影装置。
【請求項14】
前記無線受電部または前記他の有線受電部を用いた受電を制御する第2制御部を有し、
前記第2制御部は、前記無線受電部または前記他の有線受電部の受電状態に基づいて、前記無線受電部及び前記有線受電部の一方から他方へ使用を切り替える、
請求項12に記載の放射線撮影装置。
【請求項15】
前記有線受電部はUSBのコネクタである、
請求項4に記載の放射線撮影装置。
【請求項16】
前記有線受電部は、少なくとも一部が前記放射線検出器のパネル部分と平面視で重なるように、前記放射線検出器のパネル部分の放射線入射面と逆側の面に配置されている、
請求項4に記載の放射線撮影装置。
【請求項17】
前記有線受電部は、前記放射線検出器のパネル部分と平面視で重ならない位置に配置されている、
請求項4に記載の放射線撮影装置。
【請求項18】
所定の情報を通知する通知部と、
前記受電部の近傍に配置される温度センサと、
を有しており、
前記温度センサによる検知温度が閾値以上、且つ、前記受電部が受電する電力が前記放射線撮影装置の動作に使用されている場合には、
前記通知部は、注意情報を通知する、
請求項1に記載の放射線撮影装置。
【請求項19】
所定の情報を通知する通知部と、
前記受電部の近傍に配置される温度センサと、
を有しており、
前記受電部が受電する電力が前記放射線撮影装置の動作に使用されていない場合には、
前記通知部は、送電側に送電停止情報を通知する、
請求項1に記載の放射線撮影装置。
【請求項20】
受電中の経過時間または受電終了からの経過時間を計測する計測部と、
所定の情報を通知する通知部と、
を有しており、
前記放射線撮影装置が受電中、且つ受電中の経過時間が閾値以上の場合には、
前記通知部は、注意情報を通知する、
請求項1に記載の放射線撮影装置。
【請求項21】
受電中の経過時間または受電終了からの経過時間を計測する計測部と、
所定の情報を通知する通知部と、
を有しており、
前記放射線撮影装置が受電しておらず、且つ受電中の経過時間が閾値未満の場合には、
前記通知部は、注意情報を通知する、
請求項1に記載の放射線撮影装置。
【請求項22】
放射線を検出する放射線検出器と、
前記放射線検出器に電力を供給する電源部と、
前記放射線検出器を薄肉部に収容し、前記電源部を厚肉部に収容する筐体と、
外部からの電力供給を受けつけるための受電部であって前記厚肉部に設けられた受電部と、を有することを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項23】
無線給電を受け付ける無線受電部を備える放射線撮影装置に無線給電が可能な無線給電装置であって、
前記放射線撮影装置を収容可能な収容部と、
前記無線受電部に対して無線給電が可能な無線送電部と、
前記放射線撮影装置が前記収容部に収容された際に、前記無線給電を実行可能な位置関係となるように前記放射線撮影装置の位置を調整する調整機構と、
を有することを特徴とする無線給電装置。
【請求項24】
被写体に放射線を照射する放射線発生装置と、
請求項1~22のいずれか1項に記載の放射線撮影装置と、
前記放射線撮影装置で取得された情報に基づいて所定の演算処理を行う演算処理装置と、
を含むことを特徴とする放射線撮影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放射線撮影装置、無線給電装置、及び放射線撮影システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療診断の場では、対象物を透過した放射線の強度分布を検出して放射線画像を得る放射線撮影装置が広く一般に利用されている。
放射線撮影装置は、迅速且つ広範囲な部位の撮影を可能にするため、薄型で取り回しや操作性の良い放射線撮影装置が求められている。このような課題に対応するために、特許文献1では、放射線撮影装置の放射線検出器の厚さを薄くした構成が記載されている。また、放射線撮影装置は、内蔵したバッテリの充電等のために外部電源等との接続コネクタを初めとした受電部が配置されることが多いところ、特許文献2では放射線検出器外の領域の厚みを厚くし、その部分にコネクタの受電部を配置して、厚い部分と薄い部分とを別体として着脱可能とされた構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7031014号公報
【特許文献2】特許第5638372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
放射線検出器外の領域に受電部を設けた場合、放射線撮影装置が従来とは異なるサイズとなる。特に、放射線検出器の外部領域が従来の放射線撮影装置よりも厚みが増加する可能性がある。その場合、従来の放射線撮影装置の厚みを前提に設計された回診車の収容ボックスに対して、放射線撮影装置が収納できなくなってしまう可能性がある。また、回診車の収容ボックス等に内蔵された充電用プラグと放射線撮影装置側に設けられたコネクタが勘合しなくなるという問題がある。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、放射線検出器の厚みを薄くした場合に適合する受電部の好適な構成や配置を実現した放射線撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の放射線撮影装置は、放射線を検出する放射線検出器と、前記放射線検出器に電力を供給する電源部と、前記放射線検出器を薄肉部に収容し、前記電源部を厚肉部に収容する筐体と、外部からの電力供給を受けつけるための受電部であって前記薄肉部に設けられた受電部と、を有する。
【0007】
本開示の放射線撮影装置は、放射線を検出する放射線検出器と、前記放射線検出器に電力を供給する電源部と、前記放射線検出器を薄肉部に収容し、前記電源部を厚肉部に収容する筐体と、外部からの電力供給を受けつけるための受電部であって前記厚肉部に設けられた受電部と、を有する。
【0008】
本開示の無線給電装置は、無線給電を受け付ける無線受電部を備える放射線撮影装置に無線給電が可能な無線給電装置であって、前記放射線撮影装置を収容可能な収容部と、前記無線受電部に対して無線給電が可能な無線送電部と、前記放射線撮影装置が前記収容部に収容された際に、前記無線給電を実行可能な位置関係となるように前記放射線撮影装置の位置を調整する調整機構と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、放射線検出器の厚みを薄くした場合に適合する受電部の好適な構成や配置を実現した放射線撮影装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態による放射線撮影装置を示す斜視図である。
図2図1の破線B-Bに沿った一部省略断面図である。
図3】第1の実施形態に変形例1による放射線撮影装置の図2と同様の一部省略断面図である。
図4】第1の実施形態に変形例2による放射線撮影装置の図2と同様の一部省略断面図である。
図5】第1の実施形態に変形例3による放射線撮影装置の図2と同様の一部省略断面図である。
図6】第1の実施形態に変形例4による放射線撮影装置の図2と同様の一部省略断面図である。
図7】第2の実施形態による放射線撮影装置を示す斜視図である。
図8】第2の実施形態による放射線撮影装置の構成を示すブロック図である。
図9】第3の実施形態による放射線撮影装置を示す斜視図である。
図10】第3の実施形態による放射線撮影装置の図2と同様の一部省略断面図である。
図11】第4の実施形態による放射線撮影装置の図2と同様の一部省略断面図である。
図12】第4の実施形態による放射線撮影装置の構成を示すブロック図である。
図13】第4の実施形態における温度に応じた制御の一例を示すフローチャートである。
図14】第5の実施形態による放射線撮影装置の構成を示すブロック図である。
図15】第5の実施形態における温度に応じた制御の一例を示すフローチャートである。
図16】放射線撮影システムを示す模式図である。
図17】第6の実施形態に係る放射線撮影装置を示す斜視図である。
図18図17(a)の一点鎖線A-A’に沿った断面図である。
図19】第6の実施形態に係る放射線撮影装置の内部構成を示す裏面側の平面図である。
図20】第6の実施形態に係る放射線撮影装置が落下したときの様子を示す側面図である。
図21】第6の実施形態に係る放射線撮影装置の収容ボックスを備えた回診車を示す斜視図である。
図22図21の一点鎖線B-B’に沿った収容ボックスの断面図である。
図23】第6の実施形態に係る放射線撮影装置の収容ボックスを備えた回診車の他の例を示す側面図である。
図24】第6の実施形態の変形例に係る放射線撮影装置を示す断面図である。
図25】第6の実施形態の変形例に係る放射線撮影装置の収容ボックスを備えた回診車を示す斜視図である。
図26】第7の実施形態に係る放射線撮影装置を示す模式図である。
図27】第7の実施形態に係る放射線撮影装置の受電コネクタの周辺部分を拡大して示す模式図である。
図28】第7の実施形態に係る放射線撮影装置が落下したときの様子を示す側面図である。
図29】第7の実施形態に係る放射線撮影装置の収容ボックスを備えた回診車を示す斜視図である。
図30】第7の実施形態に係る放射線撮影装置の収容ボックスを図13のS方向から見た部分を示す一部切欠の側面図である。
図31】第7の実施形態に係る収容ボックスを示す模式図である。
図32】第8の実施形態に係る放射線撮影装置を示す模式図である。
図33図32の一点鎖線D-D’に沿った断面図である。
図34】第8の実施形態に係る放射線撮影装置が落下したときの様子を示す側面図である。
図35】第9の実施形態におけるカセッテの上面斜視図である。
図36】第9の実施形態におけるカセッテの下面斜視図である。
図37図35における一点鎖線B-B方向に沿った断面図である。
図38】第9の実施形態におけるカセッテの上面斜視図である。
図39】第9の実施形態におけるカセッテの下面斜視図である。
図40図38における一点鎖線C-C方向に沿った断面図である。
図41】第9の実施形態における充電装置の斜視図である。
図42】第9の実施形態における充電装置の上面図である。
図43】第9の実施形態における充電装置にカセッテを収容する際の一連の挙動を示す斜視図である。
図44】第9の実施形態における充電装置にカセッテを収容した状態を示す斜視図である。
図45】第10の実施形態における充電装置の斜視図である。
図46】第10の実施形態における充電装置の側面図である。
図47】第10の実施形態における充電装置にカセッテを収容する際の一連の挙動を示す斜視図である。
図48】第10の実施形態における充電装置に収容想定カセッテ類のうち最も高さが小さいカセッテを収容した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示を適用できる好適な諸実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、複数の図面に亘って共通する構成部材については共通の符号を付している。そのため、複数の図面を相互に参照して共通する構成部材を説明し、共通の符号を付した構成部材については適宜説明を省略する。諸実施形態における放射線には、放射線崩壊によって放出される粒子(光子を含む)で形成されるビームであるα線、β線、γ線等の他に、同程度以上のエネルギーを有するビーム、例えばX線や粒子線、宇宙線等も含み得る。
【0012】
-第1の実施形態-
以下、第1の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
[本実施形態による放射線撮影装置]
図1は、本実施形態による放射線撮影装置を示す斜視図である。図2は、図1の破線B-Bに沿った一部省略断面図である。
【0014】
放射線撮影装置100は、不図示の放射線発生装置によって発せられて被写体を透過した放射線を放射線検出パネル5によって検出するものである。この放射線撮影装置100で取得された画像の情報は、外部に転送され、所定の表示モニタ上等に表示されて、診断等に使用される。
【0015】
放射線検出パネル1は、上部に多数の光電変換素子(センサ)が配置されたセンサ基板と、センサ基板の上に配置された蛍光体層(シンチレータ層)と、蛍光体保護膜等を有している、いわゆる間接変換方式のものである。放射線検出パネル1では、光電変換素子(センサ)の一部、または全てを有効撮影領域とする。有効撮影領域は、放射線撮影が可能で実際に画像が生成される領域である。本実施形態では、有効撮影領域は、放射線入射方向(図1のA側)から見たときに、略矩形をしているが、これに限らない。蛍光体保護膜は透湿性の低いものからなり、蛍光体を保護するために用いられる。放射線検出パネル1は、フレキシブル回路基板4aの一端と電気的に接続されている。更に、放射線検出パネル1から検出信号を読み出し、読み出した検出信号を処理する、第1制御部である制御基板5がフレキシブル回路基板4aの他端と電気的に接続されている。制御基板5は不図示の制御部や記憶部を有する。後述する無線受電部110は、接続ケーブル4bを介して無線受電部110の充電動作を制御する、第2制御部である充電回路基板7と電気的に接続されている。
【0016】
また、放射線撮影装置100は放射線検出パネル1を内包する筐体(外装)8を有している。放射線検出パネル1は、a-Se等からなる変換素子及びTFT等の電気素子が二次元に配置されている変換素子部からなる、いわゆる直接変換型でも良いし、これに限ることもない。また、放射線検出パネル1のセンサ基板の材質はガラスや可撓性の高い樹脂等が考えられるが、それらに限定しない。放射線検出パネル1に、フレキシブル回路基板4a、制御基板5、及び不図示の駆動基板等が接続されて放射線検出器が構成される。即ち、放射線検出器のパネル部分が放射線検出パネル1に相当する。
【0017】
筐体8は、外形が放射線入射方向に厚い厚肉部8aと、厚肉部8aより薄い薄肉部8bとを有している。厚肉部8aと薄肉部8bとは、筐体8の内部空間で一体化されている。薄肉部8bには、放射線入射方向Aからみたときに、放射線検出パネル1の有効撮影領域が配置されている。また、制御基板5の少なくとも一部は厚肉部8aに配置されている。
【0018】
従来、放射線撮影装置100は、ISO(International Organization for Standardization)4090:2001に準拠した大きさで提供されることが多く、厚みが15mm~16mm程度で構成されることが多かった。しかし、本実施形態では、薄肉部8bの筐体の厚みは例えば8.0mm程度としている。そのため、撮影時に、放射線撮影装置100の厚みによって生じる段差が少なくなるため、患者と放射線撮影装置100の端部とで生じる反力を和らげることができる。これらの効果を得るには、薄肉部8bの筐体の厚みは8.0mm程度に限定することはなく、より薄くても良い。特に10.0mm程度より薄いと効果が得られることが確認されている。
【0019】
また、筐体8は可搬性と強度を両立するために、マグネシウム合金、アルミニウム合金、繊維強化樹脂、樹脂等で構成すると良いが、それ以外でも良い。特に、有効撮影領域が配置される、薄肉部8bの放射線が入射する面は、放射線の透過率の高さと軽量性に優れた炭素繊維強化樹脂等で構成すると良いが、それ以外でも良い。また、放射線検出パネル1と筐体8の入射面の間には、緩衝材2が配置され、放射線検出パネル1を外力等から保護している。緩衝材2は発泡樹脂やゲル等で構成すると良いが、それ以外でも良い。また、放射線検出パネル1を支持するための、支持基台3を有している。支持基台3は軽量性に優れた、マグネシウム合金、アルミニウム合金、繊維強化樹脂、樹脂等で構成すると良いが、それ以外でも良い。
【0020】
薄肉部8bの入射面側表面には、有効撮影領域及びその中心点を示すための指標9が設けられており、ユーザは、指標9によって有効撮影領域を目視確認することができる。指標9は、例えば薄肉部8bへの塗装、印刷、シボやブラスト等の表面処理、窪み等の形状形成や、あるいはそれらの組み合わせによって形成される。
【0021】
厚肉部8aの中央部の表裏には、凹形状からなる把持部10a,10bがそれぞれ形成されている。ユーザは把持部10aに第1指を添え、把持部10bの段差部にそれ以外の指を引掛けるように添えることで、安定してカセッテ100を把持することが可能である。ここで把持部10aは図のような連続した1つの凹面ではなく、リブやドット等の形状であっても良いし、凸形状であっても良い。また形状は付与せず、部分的にラバー素材等摩擦性の高い素材を用いたり、高摩擦塗装やシボ等の表面処理を用いたりすることによって把持性を向上するものでも良いし、それら形状・素材・表面処理等を適宜組み合わせたものであっても良い。把持部10bにおいても、種々の形状や素材等であって良い。また把持部10aと10bが逆の配置であっても良いし、把持部10aと10bが繋がり、厚肉部8aを貫通した形態であっても良い。
【0022】
放射線撮影装置100は、必要な電力を供給するための電源部であるバッテリ6を有しており、バッテリ6は厚肉部8aに配置されている。バッテリ6は、一例として、リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ、全固体電池等が用いられるが、それ以外でも良い。
【0023】
放射線撮影装置100は、外部との間で無線により送受電可能とされた無線送受電部を有している。本実施形態において、「送受電部」とは、放射線撮影装置と外部(外部電源やコンピュータ、後述する支持部材等)との間で電力供給や充電、撮影動作や画像情報のやり取り等を行う部材をいう。なお、本実施形態で主に想定される状況が放射線撮影装置100に対して外部から充電等を行う場合であることを考慮して、以下、無線送受電部として無線受電部110が設けられた場合を説明する。
【0024】
無線受電部110は、無線コイル(受信側コイル)を有しており、不図示の充電装置の無線送電によって供給される電力を受電する。受電した電力は充電回路基板7を介して整流後に所定の電圧で供給され、バッテリ6への充電または制御基板5の駆動に使用される。無線受電部110は、筐体8に内包され、薄肉部8a内の放射線検出パネル1の裏面(放射線入射面と逆側の面)側に、放射線検出器パネル1と平面視で重なるように配置される。充電回路基板7は、厚肉部8aに配置しても薄肉部8bに配置しても良いが、放射線の後方散乱線(バックスキャタ)による映り込みを防止することを考慮し、図1図2のように厚肉部8aに配置することが望ましい。
【0025】
放射線撮影装置100では、無線充電の方式の一例として、電磁誘導方式によって電磁エネルギー(電力)の送受電を行う。特に電磁誘導方式の場合には、送電側コイルの中心軸と受電側コイルの中心軸とが極力近接して究極的には一致した場合、且つコイルの面同士が極力近接した場合に、充電効率が高くなる。この近接要求精度はコイルの種類やコイル周囲の状況によって様々であるが、中心軸間距離または面直距離が各々約5mm以下である場合が多い。本実施形態における無線受電部110は、図1,2のように1つの円形コイルとしているが、これに限られるものではなく、装置内での配置や充電電力に合わせてコイルの数や形状を変更しても良い。例えば、楕円形や長方形の形状のコイルであっても良い。また、無線充電の他の方式として、電波受信型、共鳴型を用いても良い。
【0026】
支持基台3は、その入射面側に放射線検出パネル1を支持し、裏面側に無線受電部110を支持する。筐体8は更に、スピーカ乃至はLED等からなる不図示の通知部、有線ケーブルまたは無線LAN等によってPC等と通信を行う不図示の通信部を有する。
【0027】
以上説明したように、本実施形態では、厚みを薄くした放射線撮影装置100において、無線受電部110が薄肉部8aの放射線検出パネル1の裏面側に配置されている。放射線撮影装置100は、無線受電部110を薄肉部8aに配置することで、従来の放射線撮影装置に対応した回診車にも適合するように、無線受電部110を設けることによるサイズの拡大が抑止される。また、薄肉部8aを放射線検出パネル1の裏面側に配置することにより、無線受電部110が放射線検出パネル1で保護されて強度が向上し、またユーザが無線受電部110に触れてしまう可能性も低減する。
【0028】
-変形例-
以下、本実施形態の諸変形例について説明する。
【0029】
[変形例1]
図3は、本実施形態の変形例1による放射線撮影装置の図2と同様の一部省略断面図である。
【0030】
無線受電部110と充電回路基板7とはケーブル等によって接続される。無線受電部110またはケーブルからの放射ノイズが放射線検出パネル1伝わることにより、放射線検出パネルの制御に不具合が発生したり、撮影画像にアーチファクトが重畳したりする可能性がある。
【0031】
変形例1では、上記の問題に鑑みて、無線受電部110またはケーブルと放射線検出パネル1との間に、シールド材111を配置する。シールド材は、シート状またはフィルム状ものが好適に用いられる。また、無線受給電で好適に用いられる数十kHz~数百kHzの周波数を持つ放射ノイズに対してシールド性能を発揮するシールド材が好適に用いられる。シールド材111は支持基台3に貼り付け、または内包することが望ましい。これにより、無線受電部110ないしはケーブルからの放射ノイズによる誤検知(アーチファクト)の発生を軽減することができる。
【0032】
[変形例2]
図4は、本実施形態の変形例2による放射線撮影装置の図2と同様の一部省略断面図である。
【0033】
無線受電部110またはケーブルは、数W~数十Wの電力伝送を行う。そのため、無線受電部110またはケーブルのインピーダンスによって発熱が発生する。その熱が放射線検出パネル1に伝わることで、放射線検出パネル1の中で不均一な温度分布が生じる虞がある。不均一な温度分布によっても、撮影画像にアーチファクトが重畳し得る。
【0034】
変形例2では、上記の問題に鑑みて、無線受電部110またはケーブルと放射線検出パネル1との間に、無線受電部110またはケーブルからの発熱による温度伝搬を抑制する断熱材112を配置する。断熱材112としては、シート状またはフィルム状ものが好適に用いられる。また、断熱材112は、支持基台3に貼り付けられ、または支持基台3に内包されることが望ましい。これにより、無線受電部110またはケーブルの発熱に起因するアーチファクトの発生を軽減することができる。
【0035】
[変形例3]
図5は、本実施形態の変形例3による放射線撮影装置の図2と同様の一部省略断面図である。
【0036】
無線受電部110及び充電回路基板7では、接続ケーブル4bのインピーダンスによる電力ロスが発生する虞がある。そのため、接続ケーブル4bによる無線受電部110と充電回路基板7との接続は、できるだけ短距離で行うことが望ましい。一方、充電回路基板7は、前述のように厚肉部8aに配置することが望ましい。
【0037】
変形例3では、上記の点に鑑みて、無線受電部110の無線コイルを、その一端が平面視で放射線検出器1の有効撮影領域の外周を超えて厚肉部8aの端部に位置するように配置する。無線コイルを当該位置に配置すれば、放射線撮影装置100を回診車の収容ボックスに収容したときに無線コイルの一端が収容ボックスの挿入口と略一致した箇所に位置することになる。変形例3では、無線受電部110と充電回路基板7の距離を極力短くし、アーチファクトや電力ロスを軽減することができる。
【0038】
[変形例4]
図6は、本実施形態の変形例4による放射線撮影装置の図2と同様の一部省略断面図である。
【0039】
無線受電部110は、支持基台3の材料によって、電力の受信効率が変化することが知られている。特に、支持基台3の材料に金属やその他の導電材(電磁界の遮蔽材)が含まれる場合、電力効率が低下する。そのため、無線受電部110は金属やその他の導電材以外の電磁界の透過材で支持することが望ましい。
【0040】
変形例4では、上記の点に鑑みて、支持基台3の無線受電部110を支持する部分は電磁界の透過材、例えば樹脂材113によって成形される。また、材料は電磁界の透過材であれば良く、例えば発泡剤でも良い。また、支持基台3の一部を肉抜きしても良い。これにより、電力効率の低下を軽減することができる。
【0041】
-第2の実施形態-
以下、第2の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。第1の実施形態と説明が重複する点については、適宜説明を省略する。第1の実施形態では、薄肉部8bに無線送受電部(具体的には無線受電部110)を設ける例を説明したが、無線受電部110に加えて、有線による送受電部(他の有線送受電部)、ここでは有線受電部を設けることができる。本実施形態では、無線受電部に加えて、有線受電部を更に備える点で第1の実施形態とは異なる。
【0042】
図7は、本実施形態による放射線撮影装置を示す斜視図である。図8は、本実施形態による放射線撮影装置の構成を示すブロック図である。
本実施形態による放射線撮影装置200では、第1の実施形態と同様に薄肉部8aに配置された無線受電部110に加えて、厚肉部8bの一側面に有線受電部210が配置されている。有線受電部210には、送受電コネクタ、ここでは汎用または専用のコネクタ等が好適に用いられる。また、有線受電部210は、不図示の充電装置から有線によって電力を受電する。
【0043】
無線受電部110及び有線受電部210は、充電回路基板7においてスイッチ部801を介して充電回路802に接続される。充電回路802において、受信した電力は整流後に所定の電圧で供給され、バッテリ6への充電または制御基板5の駆動に使用される。制御基板5は、スイッチ部801への無線受電部110及び有線受電部210の送受電状態、ここでは受電状態を監視し、所定の条件で充電回路802へ接続する受電部を無線受電部110及び有線受電部210の一方から他方へ切り替える。所定の条件は予め定めて、制御基板5に記憶しておくことが望ましい。所定の条件は任意で良いが、例えば、無線受電部110から給電可能な場合は無線受電部110を接続し、無線受電部110からの給電が途絶した場合に有線受電部210に切り替えるといった優先順位を付けて接続状態で切り替えるような条件が好適に用いられる。
【0044】
-第3の実施形態-
以下、第3の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。第1の実施形態と説明が重複する点については、適宜説明を省略する。第1の実施形態では、薄肉部8bに無線送受電部(具体的には無線受電部110)を設ける例を説明したが、無線受電部1の代わりに有線による送受電部(有線送受電部)、ここでは有線受電部を設けることができる。本実施形態では、無線受電部に代えて、有線受電部を更に備える点で第1の実施形態とは異なる。
【0045】
図9は、本実施形態による放射線撮影装置を示す斜視図である。
本実施形態による放射線撮影装置300では、第1の実施形態の放射線撮影装置100における無線受電部110に代わって、薄肉部8bにおける厚肉部8bの長手方向と対向する側面に有線受電部310が配置されている。有線受電部310は、不図示の充電装置から有線によって電力を受電する。
【0046】
有線受電部310は、薄肉部8bの厚みへの影響を鑑みて、薄い厚みで数W~数十Wの電力伝送が可能なコネクタが好適に用いられる。例えば、USBコネクタ等が好適に用いられるが、特に厚さが数mm程度のUSB-TypeCコネクタが好適に用いられる。また、有線受電部310は、有線送電装置及びケーブルの取り回しを考量して、放射線検出器パネル1と平面視で重ならない位置、例えば薄肉部8bの側面に配置することが望ましい。有線受電部310は、薄肉部8aの放射線検出パネル1の裏面(放射線入射面と逆側の面)側に、放射線検出器パネル1と平面視で重なるように配置するようにしても良い。
【0047】
図10は、本実施形態による放射線撮影装置の図2と同様の一部省略断面図である。
図10において、有線受電部310は、いわゆるUSB-TypeCコネクタである。有線受電部310は、その開口部が薄肉部8bに位置するように配置される。図10(a)において、有線受電部310は、少なくともその筐体の一部が放射線検出パネル1の裏面側に配置される。これにより、有線受電部310を設けたことによる放射線撮影装置300の外形サイズの拡大の抑制と、筐体8の強度の向上が期待できる。また、図10(b)においては、有線受電部310は、その筐体が放射線検出パネル1の外側に配置される。これにより、有線受電部310を設けたことによる薄肉部8bの厚みの増加を抑制することができる。
【0048】
-第4の実施形態-
以下、第4の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。第1の実施形態と説明が重複する点については、適宜説明を省略する。第1の実施形態の変形例2において、温度影響の対策として断熱材の設置による対応の例を説明したが、別の方策も考えられる。第4の実施形態では、温度センサを用いて充電の制御を行う点において、第1の実施形態の変形例2と異なる。
【0049】
図11は、本実施形態による放射線撮影装置の図2と同様の一部省略断面図である。図12は、本実施形態による放射線撮影装置の構成を示すブロック図である。
本実施形態による放射線撮影装置400では、無線受電部110の近傍に温度センサ410が配置されている。制御基板5は、温度センサ410で計測される充電に伴う温度変化を監視し、温度に応じた制御を行う。通知部11は、制御基板5による温度監視で生じた情報を外部に通知する。
【0050】
図13は、本実施形態における温度に応じた制御の一例を示すフローチャートである。
ステップS1301において、放射線撮影装置300の動作が開始される。ステップS1302において、制御基板5は温度センサ401による温度監視を開始する。
【0051】
ステップS1303において、制御基板5は、温度センサ401による検知温度が閾値を超えているか否かを判定する。閾値は予め定めて、制御基板5に搭載された不図示の記憶部等に記憶しておくことが望ましい。検知温度が閾値を超えている場合には、ステップS1304に移行する。検知温度が閾値を超えていない場合には、ステップS1302に戻り、温度の監視と判定を継続する。
【0052】
ステップS1304において、制御基板5は、無線受電部110からの給電によって動作している状態か否かを判定する。無線受電部110からの給電が放射線撮影装置400の動作に使用されている場合には、ステップS1305に移行し、通知部11は温度によるアーチファクト等についての注意情報を通知する。放射線撮影装置400の動作に使用されていない場合には、ステップS1306に移行する。
【0053】
ステップS1306において、制御基板5は、バッテリ6の残容量が閾値以上あるか否かを確認する。閾値は予め定めて、制御基板5に搭載された不図示の記憶部等に記憶しておくことが望ましい。また、閾値としては一定時間電源を維持できる容量や一定枚数を撮影可能な容量等が好適に用いられる。バッテリ6の残容量が閾値以上ある場合には、ステップS1307に移行する。
【0054】
ステップS1307において、制御基板5は、無線受電部110を介して無線送電部に送電停止情報を通知する。これにより、無線送受電部での送受電を停止し、温度上昇を抑制する。バッテリ6の残容量が閾値以上でない場合には、ステップS1308に移行し、通知部11は温度によるアーチファクト等についての注意情報を通知する。
【0055】
以上説明したように、本実施形態では、温度センサ410を設けて温度監視を行うことにより、無線受電部110またはケーブルの発熱に起因するアーチファクトの発生を軽減することができる。
【0056】
-第5の実施形態-
以下、第5の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。第1の実施形態と説明が重複する点については、適宜説明を省略する。第4の実施形態において、温度センサを用いて温度の影響に対応する方法の例を説明したが、別の方策も考えられる。第5の実施形態では、時間情報を用いて温度の影響に対応する点において、第4の実施形態と異なる。
【0057】
図14は、本実施形態による放射線撮影装置の構成を示すブロック図である。
本実施形態における放射線撮影装置500では、制御基板5に、受電中の経過時間(無線受電部110からの給電時間)や受電終了(バッテリ充電完了)からの経過時間を計測する時間計測部1401が設けられている。通知部11は、制御基板5による時間計測で生じた情報を外部に通知する。
【0058】
図15は、本実施形態における時間に応じた制御の一例を示すフローチャートである。
ステップS1501において、無線受電部110からの給電が開始すると、制御基板5は、時間計測部1401による時間計測を開始する。ステップS1502において、制御基板5は、無線受電部110に送電する無線送電部が取り外されたりしたか否か、バッテリ充電が完了して給電が停止したか否かの給電状態の確認を行う。給電が継続している場合には、ステップS1503に移行する。給電が停止した場合には、ステップS1504に移行する。
【0059】
ステップS1503において、制御基板5は、給電継続時間が閾値を超えているか否かの判定を行う。閾値としては、給電やバッテリの充電に伴う温度上昇及びアーチファクト等への影響を予め確認し、定めておくことが望ましい。また、閾値は制御基板5に搭載された不図示の記憶部等に記憶しておくことが望ましい。閾値を超えている場合には、ステップS1505に移行し、通知部11は温度によるアーチファクト等についての注意情報を通知する。閾値を超えていない場合には、ステップS1502に戻り、制御基板5は監視を継続する。
【0060】
ステップS1504において、制御基板5は、給電終了からの時間が閾値を超えているか否かの判定を行う。閾値としては、給電中の温度上昇量及び給電終了からの温度低下量等を予め確認し、定めておくことが望ましい。また、閾値は制御基板5に搭載された不図示の記憶部等に記憶しておくことが望ましい。
【0061】
給電終了からの経過時間が閾値を超えている場合には、アーチファクト等の懸念がないと判断して監視を終了する(S1506)。閾値を超えていない(閾値未満の)場合には、ステップS1507に移行し、通知部11は温度によるアーチファクト等についての注意情報を通知する。その後、ステップS1504に戻り、制御基板5は、給電終了からの時間が閾値を超えるまで判定を継続する。
【0062】
以上説明したように、本実施形態では、時間計測部1401を設けて計測時間により温度監視を行うことにより、無線受電部110またはケーブルの発熱に起因するアーチファクトの発生を軽減することができる。
【0063】
-その他の実施形態-
上述した第1~第5の実施形態及び諸変形例による放射線検出装置は、例えば図16に示すような放射線撮影システムに適用することができる。
【0064】
この放射線撮影システムは、上述した第1~第5の実施形態及び諸変形例のうちの1つの放射線撮影装置1601、放射線発生装置1602、及び制御及び演算処理部1603を備えている。放射線撮影装置1601及び放射線発生装置1602は、制御及び演算処理部1603と接続されている。制御及び演算処理部1603からの制御により、放射線発生装置1602から被検者1600に放射線が照射される。放射線撮影装置1601は、被検者1600を透過した放射線を検出する。放射線撮影装置1601で検出された情報は、電気信号として制御及び演算処理部1603に読み込まれる。制御及び演算処理部1603で所望の演算処理を行い、診断が行われる。
【0065】
-第6の実施形態-
本実施形態では、本開示を適用した放射線撮影装置、放射線撮影装置用の収容部材、及び放射線撮影装置の受給電システムの一例について説明する。
【0066】
[本実施形態による放射線撮影装置]
図17は、本実施形態に係る放射線撮影装置を示す斜視図であり、(a)が表面側、(b)が裏面側を表している。図18は、図17(a)の一点鎖線A-A’に沿った断面図である。図19は、本実施形態に係る放射線撮影装置の内部構成を示す裏面側の平面図である。なお、以下の説明では、放射線撮影装置において、放射線が照射される側の面(照射面)を表面601、照射面とは反対側の面を背面602としている。
【0067】
放射線撮影装置600は、不図示の放射線発生装置によって発せられて被写体を透過した放射線を放射線検出パネル65によって検出するものである。この放射線撮影装置600で取得された画像は、外部に転送され、モニタ上等に表示され、診断等に使用される。
【0068】
放射線検出パネル65は、入射した放射線を放射線画像に関する電気信号に変換する多数の光電変換素子(光電変換センサ)が配置されたセンサ基板と、センサ基板上に配置された蛍光体層(シンチレータ層)と、蛍光体保護膜等を有している。放射線検出パネル65は、いわゆる間接変換方式が採用されたものである。放射線検出パネル65では、光電変換素子の一部、または全ての領域が有効撮影領域とされている。有効撮影領域とは、放射線撮影が可能であり実際に画像が生成される領域である。蛍光体保護膜は透湿性の低いものからなり、蛍光体を保護するために用いる。放射線検出パネル65は、フレキシブル回路基板68と接続されている。更に、放射線検出パネル65から検出信号を読み出し、読み出した検出信号を処理する制御基板69がフレキシブル回路基板68と接続されている。また制御基板69と交差する辺に駆動回路を有する駆動基板70が放射線検出パネル65と接続されている。放射線検出パネル65に回路基板68、制御基板69、及び駆動基板70が接続されて放射線検出器が構成される。放射線検出器のパネル部分が放射線検出パネル65に相当する。
【0069】
従来の放射線撮影装置では、制御基板と駆動基板とが放射線検出パネルの背面側に折り畳まれて設置されている。これに対して、本実施形態の放射線撮影装置600では、極めて薄い形状を達成するため、制御基板69と駆動基板70とが背面側に折り畳まれることなく放射線検出パネル65に並設されている。駆動基板70は放射線検出パネル65と略同一平面に配置されている。制御基板69も放射線検出パネル65と略同一平面に配置することもできるが、後述する背面602に配置した把持部64と干渉してしまうため、制御基板69は把持部64を避けるように厚肉部61内に配置している。
【0070】
放射線検出パネル65のセンサ基板の材質としては、ガラスや可撓性の高い樹脂等の様々なものが使用可能であるが、樹脂フィルムで形成された基材を用いるのが好ましい。本実施形態の放射線撮影装置600は、従来のものよりも薄いために基本的に強度が低く、外部からの衝撃等の影響を受け易い。そのため、ガラス基材よりも衝撃や曲げに強い樹脂フィルムが適している。
【0071】
放射線撮影装置600は、放射線検出パネル65、回路基板68、制御基板69、及び駆動基板70を備えた放射線検出器を内包する筐体67を有している。筐体67の内部空間には、放射線検出パネル65を支持する支持基台(不図示)、衝撃を緩和するための衝撃吸収シート66等が配置されている。筐体67の材質としては、可搬性と強度を両立するためにマグネシウム合金や繊維強化樹脂、樹脂等で構成すると良いが、これら限定されるものではない。衝撃吸収シート66の材質としては、発泡樹脂やゲル等で構成すると良いが、これら限定されるものではない。本実施形態においては、支持基台を用いているが、支持基台を使用せずに放射線検出パネル65を配置しても構わない。筐体67は複数の部品を結合して構成しても良いし、一部品で構成しても良い。
【0072】
放射線撮影装置600において、筐体67は、図17に示すように、内部空間で一体化された厚肉部61及び薄肉部62を有している。厚肉部61は、図18に示すように、X-Y平面に設置した状態で、薄肉部62の厚みよりも厚い部位である。厚肉部61は薄肉部62の端部から最も厚い面までの傾斜部分も含む。筐体67の内部空間に放射線検出器が内包されており、厚肉部61の内部空間に回路基板68及び制御基板69の部分が、薄肉部62の内部空間にパネル部分(放射線検出パネル65の部分)が配置される。
【0073】
本実施形態では、筐体67内に収容された放射線検出器は、薄肉部62における放射線検出パネル65に厚肉部61における回路基板68及び制御基板69が接続(接合)されている。この構成により、放射線検出パネル65と制御基板69等を別体で構成する場合と比べて、放射線撮影装置600を所定の収容部材に収容する際に衝撃を受けても接合部位で破損等が生じ難い。
【0074】
通常、放射線撮影装置は、ISO(International Organization for Standardization)4090:2001に準拠した大きさで提供されることが多く、厚みが約15mm程度~16mm程度に規定されている。これに対して本実施形態では、薄肉部62の厚みが8.0mm程度とされている。そのため、放射線撮影装置と接地面との段差による厚みが薄くなるため、患者と放射線撮影装置端部とで生じる反力を和らげることができる。これらの効果を得るには、薄肉部62の厚みを8.0mm程度に限定することはなく、より薄くても良い。特に10.0程度mmより薄いと有意な効果が得られることが確認されている。本実施形態では、不図示の基板類、バッテリ等のある程度の厚みを有する内部部品を厚肉部1に可能な限り集約することにより、薄肉化を達成している。
【0075】
放射線撮影装置600では、厚肉部61に持ち運び等のための凹状の把持部64が設けられている。把持部64は、筐体67の厚肉部61の例えば背面602側の部分に凹部を設けることで形成されている。厚肉部61に把持部64を設けることで、ユーザは臥位の被検者の直下に放射線撮影装置600を挿抜する作業等を行う際の取扱いが容易になり、放射線撮影を迅速に行うことができる。上述の作業性の観点から、把持部64は背面602に形成されることが好ましい。把持部64の形状は図示した形状には限定されないが、ユーザが指をかけることを想定して例えば把持部64の幅Wを60mm程度以上、深さhを5mm程度以上とすることが好ましい。
【0076】
放射線撮影装置600では、厚肉部61に外部との間で受給電可能とされた受給電部が設けられている。ここでは、例えば放射線検出器に外部から給電可能とする受電部として受電コネクタ63が配置されている。受電コネクタ63が外部の給電コネクタと接続されることにより、放射線撮影装置600に電力供給や充電を行うことができる。本実施形態において、「受給電部」とは、放射線撮影装置と外部(外部電源やコンピュータ、後述する支持部材等)との間で電力供給や充電、撮影動作や画像情報のやり取り等を行う部材をいう。なお、本実施形態で主に想定される状況が放射線撮影装置600に対して外部から充電等を行う場合であることを考慮して、便宜上、放射線撮影装置に設けられた受給電部を受電部、外部に設けられた受給電部を給電部と呼ぶことにする。
【0077】
受電コネクタ63は、厚肉部61における筐体67の層内に埋め込まれて配置されており、給電コネクタとの接続部分が筐体67の表面から外部に露出している。本実施形態では、受電コネクタ63は、厚肉部61の薄肉部62との境界部位である傾斜部分に配置されている。図17の例では、受電コネクタ63は厚肉部61の傾斜部分の略中央部位に配置されているが、例えば使い勝手を考慮して、平面視で背面602の把持部64と重ならないように、傾斜部分の中央部位からずれた位置に配置するようにしても良い。
【0078】
従来のISO4090に準じた放射線撮影装置では、厚み15mm程度~16mm程度の側面に受電コネクタが設けられている。しかしながら、本実施形態の放射線撮影装置600では、薄肉部62の厚みが8.0mm程度と薄いため、側面に受電コネクタを配置することが困難である。無理に受電コネクタを配置できたとしても、薄肉部62に配置した受電コネクタは破損する可能性が高い。特に薄肉部62は強度が低いため、曲げ応力に受電コネクタと給電コネクタとの接続部が耐え切れずに破損する虞がある。そこで本実施形態では、受電コネクタ3を厚肉部61に配置する。厚肉部61は薄肉部62に比して剛性が高く、受電コネクタ63が破損する危険性を低減することができる。具体的に、受電コネクタ63は、厚肉部61の傾斜部分に配置される。受電コネクタ63を当該傾斜部分に配置することにより、図20に示すように、放射線撮影装置600を不意に床613に落下させた場合でも、受電コネクタ3は床613と非接触の状態となるため、受電コネクタ603の破損が回避される。
【0079】
本実施形態によれば、持ち運び時等において衝撃を受けても破損が生じ難く、筐体67の厚肉部61に配置された受電コネクタ63で外部の給電コネクタと電気的に接続することにより容易且つ確実に信頼性の高い受給電を行うことが可能な放射線撮影装置が実現する。
【0080】
[本実施形態による支持部材]
本実施形態の放射線撮影装置は、例えば回診車の収容ボックスに収容して運ぶことができる。その際、回診車に搭載している間に放射線撮影装置を給電することが可能である。また回診車だけでなく、給電専用の給電スタンドに放射線撮影装置を入れて給電をすることもできる。更には、ブッキースタンド等に入れて、給電しながら放射線撮影することも考えられる。いずれの場合でも放射線撮影装置を収容部に出し入れする動作を行うが、本実施形態の放射線撮影装置は薄肉部及び厚肉部を有し、受電コネクタの位置も従来の放射線撮影装置と大きく異なるため、収容部材の構成も従来構成と大きく変えることが必要となる。
【0081】
本開示の放射線撮影装置を収容する収容部材の一例として、回診車の収容ボックスを例に採って説明する。図21は、本実施形態に係る放射線撮影装置の収容ボックスを備えた回診車を示す斜視図である。図22は、図21の一点鎖線B-B’に沿った収容ボックスの断面図であり、(a)は収容ボックスに放射線撮影装置が収容された状態、(b)は(a)の破線の矩形枠内を拡大したもの、(c)は(b)で放射線撮影装置が収容部に収容されていない状態を示している。ここでは、収容部材である収容ボックス等の内部構造のことを収容部と呼ぶことにする。
【0082】
収容ボックス605に収容される放射線撮影装置600において、筐体67内に収容された放射線検出器は、薄肉部62における放射線検出パネル65に厚肉部61における回路基板68及び制御基板69が接続(接合)されている。そのため、放射線検出パネル65と制御基板69等を別体で構成する放射線撮影装置と比べて、放射線撮影装置600が収容ボックス605への収容時に衝撃を受けても上記の接合部位で破損等が生じ難い。
【0083】
回診車603の収容ボックス605に放射線撮影装置600を出し入れする場合、ユーザは厚肉部61に設けられた把持部64を持って作業する。したがって、放射線撮影装置600は、収容部71へ薄肉部62から挿入されることになる。仮に収容部71のサイズが過度に大きいと薄肉部62が収容部71の底面74に衝突してしまい、放射線撮影装置600の薄肉部2が落下衝撃のようなダメージを受けることになる。上述のように接合部位の強度の確保を考慮した本実施形態の放射線検出器を備えた放射線撮影装置600であっても、薄肉部62は強度が弱く、衝撃によって破損する虞がある。そのため、放射線撮影装置600の収容部71としては厚肉部61に突き当たるような構成が好ましい。そこで本実施形態では、放射線撮影装置600を収容する収容部71には、少なくとも厚肉部61を支持可能な支持部として支持面73が設けられている。
【0084】
収容部71は、厚肉領域75及び薄肉領域76を有しており、厚肉領域75が射線撮影装置600の厚肉部61が収容されるように、薄肉領域76が放射線撮影装置600の薄肉部62が収容されるように、それぞれ対応している。収容ボックス605においては、放射線撮影装置600の厚肉部61における傾斜部と厚肉領域75の支持面73で接触する。放射線撮影装置600を収容ボックス605に収容する際に、厚肉部61の傾斜部を、当該傾斜部に対応する斜面である支持面73で受けることでより、衝撃が緩和される構成とされている。ここで、収容ボックス605は、厚肉部61の傾斜部を支持する構成に限定されるものではなく、厚肉部61の側面を支えるように支持面を設けても良い。更には、収容ボックス605は、例えば放射線撮影装置600の背面側で把持部64を支える構成としても良い。
【0085】
本実施形態では、放射線撮影装置600の厚肉部61の傾斜部に受電コネクタ63が設けられている。回診車603の収容部71の支持面73には受給電部、例えば収容時に充電等ができる給電部として給電コネクタ72が設けられている。放射線撮影装置600を回診車603の収容部71に入れると、放射線撮影装置600の厚肉部61の傾斜部が収容部71の支持面73に当接して、放射線撮影装置600が収容部71内で支持される。ここで、当該当接の際に、厚肉部61の傾斜部に配置された受電コネクタ63と、収容部71の支持面73に配置された給電コネクタ72とが電気的に接続され、収容ボックス605と放射線撮影装置600との間で受給電が行われる。
【0086】
図23は、本実施形態に係る放射線撮影装置の収容ボックスを備えた回診車の他の例を示す側面図である。
回診車604の収容ボックス605では、放射線撮影装置600を収容部71に入れた際に、放射線撮影装置600の厚肉部61における4つの側面のうち、薄肉部62側とは反対側に位置する側面に突き当たるように、支持面73が配置されている。ここで、支持面73側において収容部71が下方に傾斜しているため、放射線撮影装置600が支持面73に自然と突き当たるように構成されている。また、支持面73及び支持面73に対応する放射線撮影装置の筐体の強度を上げるため、材質を金属で構成したり、部分的に肉厚にしたり所定のリブを設けたりすることで衝撃に対してより強くなる。
【0087】
図23に示す回診車604では、放射線撮影装置600の厚肉部61における4つの側面のうち、薄肉部62側とは反対側に位置する側面に受電コネクタ63が設けられている。回診車604の収容部71の支持面73には、装着時に給電等ができるように給電コネクタ72が設けられている。放射線撮影装置600を回診車603の収容部71に入れると、放射線撮影装置600の厚肉部61の当該側面が収容部71の支持面73に当接して、放射線撮影装置600が収容部71内で支持される。ここで、当該当接の際に、厚肉部61の当該側面に配置された受電コネクタ63と、収容部71の支持面73に配置された給電コネクタ72とが電気的に接続され、受給電が行われる。受給電としては、収容ボックス605から放射線撮影装置600に対する電力供給や充電、または放射線撮影装置600と回診車604との間における撮影動作や画像情報のやり取り等が行われる。
【0088】
このように、放射線撮影装置600の厚肉部61が支持される支持面73において受電コネクタ63と給電コネクタ72とが接続されるため、受電コネクタ63と給電コネクタ72との位置ずれによる接触不良の危険性が低減される。一方で、本実施形態の構成とは異なり、例えば放射線撮影装置600を図22(a)に示す収容部71の底面74に突き当てる場合を考える。このとき、収容部71の底面74から放射線撮影装置600の厚肉部61の給電コネクタ72までの距離が長いため、寸法公差が大きくなり、受電コネクタ63と給電コネクタ72との位置合わせが困難となる。
【0089】
コネクタ同士を正確に接続するには、寸法精度が極めて重要であるため、本実施形態のように、収容部71に厚肉部61が突き当たる支持面73が設けられている構成は好ましい。上述した強度の観点と位置合わせの観点とからも厚肉部61に受電コネクタ63を配置し、収容部71に支持面73が設けられていることは重要である。
【0090】
本実施形態によれば、放射線撮影装置を収容する際に、放射線撮影装置に与える衝撃を緩和して放射線撮影装置の破損を防止すると共に、給電コネクタ72に受電コネクタ63を確実に接続させ、信頼性の高い受給電を行うことが可能な収容ボックスが実現する。
【0091】
本実施形態では、上述した放射線撮影装置600と、上述した回診車603または回診車604の収容ボックス605とにより、受給電システムが構成される。この受給電システムでは、上述のように、放射線撮影装置600を収容ボックス605に入れたときに、給電が行われる。具体的には、厚肉部61が支持される支持面73において、放射線撮影装置600の第1の受給電部である受電コネクタ63と、収容ボックス605の第2の受給電部である給電コネクタ72とが電気的に接続され、両者間で受給電が行われる。受給電としては、回診車603,604から放射線撮影装置600に対する電力供給や充電、または放射線撮影装置600と回診車603または回診車604との間における撮影動作や画像情報のやり取り等がある。
【0092】
本実施形態によれば、放射線撮影装置を収容部材に収容する際に、放射線撮影装置の受ける衝撃を緩和して放射線撮影装置の破損を防止すると共に、給電コネクタ72に受電コネクタ63を確実に接続させて受給電を行うことが可能な受給電システムが実現する。
【0093】
-第6の実施形態の変形例-
ここで、第6の実施形態の変形例について説明する。図24は、本実施形態の変形例に係る放射線撮影装置を示す断面図であり、本実施形態の図18に対応している。図25は、本実施形態の変形例に係る放射線撮影装置の収容ボックスを備えた回診車を示す斜視図であり、本実施形態の図22(b)に対応している。
【0094】
本変形例では、図24のように、放射線撮影装置600において、受給電部として、厚肉部61に、放射線検出器に外部と受給電可能とする受電コネクタ63に代わって、外部と無線受給電を行うことが可能な無線受電部91が配置されている。無線受電部91は、電磁波エネルギーの授受を行うための無線コイルを有している。無線受電部91は、厚肉部61における筐体67の内側に配置されている。ここで、筐体67がマグネシウム合金等の金属材料で形成されている場合には、筐体67の無線受電部91が配置された部分に開口が形成され、当該開口を閉塞する樹脂等の絶縁膜93が設けられる。
【0095】
本変形例では、無線受電部91は、厚肉部61の薄肉部62との境界部位である傾斜部分に配置されている。例えば、無線受電部91は厚肉部61の傾斜部分の略中央部位に配置されているが、例えば使い勝手を考慮して、平面視で背面102の把持部64と重ならないように、傾斜部分の中央部位からずれた位置に配置するようにしても良い。本変形例の放射線撮影装置600は、その他の構成については本実施形態の放射線撮影装置600と同様である。
【0096】
また、図25のように、回診車の収容部71の支持面73には受給電部、例えば装着時に充電等ができる給電コネクタ72に代わって、外部と無線受給電を行うことが可能な無線給電部92が配置されている。無線給電部92は、電磁波エネルギーの授受を行うための無線コイルを有している。本変形例の支持部材は、その他の構成については本実施形態の支持部材と同様である。
【0097】
放射線撮影装置600を回診車の収容部71に入れると、放射線撮影装置600の厚肉部61の傾斜部が収容部71の支持面73に当接して、放射線撮影装置600が収容部71内で支持される。ここで、当該当接の際に、厚肉部61の傾斜部に配置された無線受電部91の無線コイルと、収容部71の支持面73に配置された無線給電部92の無線コイルとが対向して近接又は接触し、無線コイル同士が磁界結合する。これにより、収容ボックス605と放射線撮影装置600との間で受給電が行われる。受給電としては、収容ボックス605から放射線撮影装置600に対する電力供給や充電、または放射線撮影装置600と回診車との間における撮影動作や画像情報のやり取り等が行われる。
【0098】
本変形例では、無線受電部91と無線給電部92との間で無線受給電を行うため、ある程度広い領域で受給電可能となり、支持面73において無線受電部91と無線給電部92との間で若干の位置的ずれが生じても、確実に給電を行うことができる。また、無線受電部91は、筐体67の内側に配置され、無線を利用するために筐体67からの露出部位を要さないため、無線給電部92との電気的接続時や、放射線撮影装置600を落下させた時でも破損等が生じ難い。
【0099】
-第7の実施形態-
本実施形態では、本開示を適用した放射線撮影装置、放射線撮影装置用の収容部材、及び放射線撮影装置の受給電システムの他の例について説明する。
【0100】
[本実施形態による放射線撮影装置]
図26は、本実施形態に係る放射線撮影装置を示す模式図であり、中央部分が平面図、左部分がX方向から見た側面図、上部分がY方向から見た側面図である。図27は、放射線撮影装置の受電コネクタの周辺部分を拡大して示す模式図であり、(a)が図26でX方向から見た側面図、(b)が平面図である。
【0101】
放射線撮影装置606において、筐体67は、第6の実施形態と同様に、内部空間で一体化された厚肉部77及び薄肉部78を有している。筐体67の内部空間に放射線検出器が収められており、厚肉77の内部空間に回路基板68及び制御基板69の部分が、薄肉部78の内部空間に放射線検出パネル65の部分が配置される。
【0102】
本実施形態において、厚肉部77は、その長手方向に沿った幅(X方向に沿った幅)は、薄肉部78のX方向に沿った幅よりも狭く形成されている。放射線撮影装置606では、厚肉部77の短手方向(Y方向)に沿った側面は放射線撮影装置606の最外形において内側に入り込んだ状態とされており、当該側面に受電コネクタ79が配置されている。なお、厚肉部77の頂点部分、薄肉部78の頂点部分、及び厚肉部77の薄肉部78との接続部分(傾斜部分)は、エッジ状でなくても良く、例えば図27(b)のように曲面状(R形状)とされていても良い。
【0103】
厚肉部77のX方向に沿った幅は、放射線検出パネル65の有効撮影領域(不図示)の幅と同等とされている。本実施形態では、駆動基板70を放射線検出パネル65に対して折り曲げることなく広げた状態にしているため、有効撮影領域から薄肉部78の筐体表面までのX方向の幅が例えば20mm以上に広がっている。厚肉部77の幅を有効撮影領域の幅と同等に合わせることで、厚肉部77の側面位置を目安にユーザが有効撮影領域を認識することが容易になる。特に、回診時等に照射面に設けられた指標が見え難い作業をする際に有効である。
【0104】
ここで、図27のように、放射線撮影装置606の最外形において、厚肉部77の頂点を80a、頂点80aと近接する薄肉部78の頂点を80bとする。受電コネクタ79は、頂点80aと頂点80bとを結ぶ、図27(b)において一点鎖線で示す仮想直線Lの内側(放射線撮影装置606の側)に位置するように配置されている。放射線撮影装置606を持ち運ぶ際に、放射線撮影装置606を不意に落下させた場合でも、図28に示すように、受電コネクタ79が直接的に床613に接触することがない。そのため、受電コネクタ79の破損の危険性を減らすことができる。厚肉部77は薄肉部78と比較して重いため、落下時に厚肉部77から落ち易く、厚肉部77に設置した受電コネクタ79の破損の危険性が高くなるため、上記の構成は受電コネクタ79の破損防止に有効である。したがって、図27(b)に示す仮想直線Lの内側に受電コネクタ79を配置することで、放射線撮影装置606を落下させた場合でも、受電コネクタ79の破損を抑止することが可能となる。
【0105】
なお、厚肉部77における上記の側面に、受電コネクタ79と共に(或いは受電コネクタ79に代わって)、種々のスイッチ類やコネクタ類のように衝撃によって破損や誤作動を起こす可能性が高い部品を配置することも考えられる。この場合も、放射線撮影装置606を落下させた場合でも、上記と同様に、これらの部品の破損を抑止することが可能となる。
【0106】
本実施形態によれば、持ち運び時等において衝撃を受けても破損が生じ難く、筐体67の厚肉部77に配置された受電コネクタ79で外部の給電コネクタと電気的に接続することにより容易且つ確実に信頼性の高い受給電が可能な放射線撮影装置が実現する。
【0107】
[本実施形態による支持部材]
放射線撮影装置を収容する収容部としては、従来の厚みが均一で通常のサイズの放射線撮影装置と、本実施形態の放射線撮影装置とを共通で使用できる方が、収容部を2つ設けるよりもサイズや部品点数の観点から好ましい。しかしながら、単に収容部を大きくして2種の放射線撮影装置を出し入れ可能とするようにしても、放射線撮影装置の固定や給電コネクタとの接続ができない。本実施形態の収容ボックス608では、1つの収容ボックス608により上記の2種の放射線撮影装置を使用可能にしている。具体的には、1つの収容部において、厚み方向に幅の異なる収容領域を有することで共通化を可能としている。
【0108】
その一方で、収容部には充電可能な給電コネクタが設けられているところ、1つの給電コネクタで上記の2種の放射線撮影装置と共通して接続できることが好ましい。そこで、本実施形態の収容ボックスにおいては、収容部の背面から従来の放射線撮影装置の厚み以下の領域に給電コネクタを配置することで、上記の2種の放射線撮影装置の受電コネクタと位置を合わせることを可能としている。
【0109】
図29は、本実施形態に係る放射線撮影装置の収容ボックスを備えた回診車を示す斜視図である。
回診車607には、放射線撮影装置の収容ボックス608が設けられており、収容ボックス608に対して矢印614の向きに放射線撮影装置が出し入れされる。
【0110】
図30は、収容ボックスを図29のS方向から見た部分を示す一部切欠の側面図であり、(a)が従来の放射線撮影装置が収容された状態を、(b)が本実施形態の放射線撮影装置が収容された状態をそれぞれ示している。
従来の放射線撮影装置609の側面には、受電コネクタ610が配置されている。本実施形態の放射線撮影装置606の厚肉部607における側面には、上述のように受電コネクタ79が配置されている。本実施形態の収容ボックス608の収容部に放射線撮影装置606,609を入れると、収容部内で同一の位置、ここでは収容部の背面Bから上方への距離Dで示す範囲内の同じ位置に、受電コネクタ610,79が位置する。ここで、距離Dは、従来の放射線撮影装置609の厚みに相当しており、例えば15mm程度~16mm程度の範囲内の値である。図30(a)のように、従来の放射線撮影装置609を収容ボックス608の収容部に入れると、側面に設けられた受電コネクタ610が収容ボックス608に配置された給電コネクタと対向して電気的に接続される。図30(b)のように、本実施形態の放射線撮影装置606を収容ボックス608の収容部に入れると、厚肉部607の側面に設けられた受電コネクタ79が収容ボックス608に配置された給電コネクタ79と対向して電気的に接続される。
【0111】
図31は、本実施形態に係る収容ボックスを示す模式図であり、(a)が平面図及び側面図、(b)~(d)が(a)の一点鎖線C-C’に沿った断面図である。ここで、(b)が何も収容していない状態、(c)が従来の放射線撮影装置を収容した状態、(d)が本実施形態の放射線撮影装置を収容した状態をそれぞれ示している。
収容部84は、第1の領域である厚肉領域81、第2の領域である薄肉領域83、及び第3の領域である通常領域82を有している。厚肉領域81は、本実施形態の放射線撮影装置606の厚肉部77の厚みに対応しており、最も幅広とされている。薄肉領域83は、本実施形態の放射線撮影装置606の薄肉部78の厚みに対応しており、最も幅狭とされている。通常領域82は、従来の放射線撮影装置609の厚みに対応しており、厚肉領域81よりも幅狭で薄肉領域83よりも幅広とされている。
【0112】
図31(c)のように、従来の放射線撮影装置609を収容ボックス608の収容部84に入れる。このとき、放射線撮影装置609は薄肉領域83の幅よりも厚い(15mm程度~16mm程度)ため、薄肉領域83に入ることはできず、通常領域82の底部に突き当たって停止する。放射線撮影装置609の受電コネクタ610は、上述のように収容部84の背面Bを基準として規定された所定箇所に位置し、収容ボックス608の給電コネクタと正確に接続される。
【0113】
図31(d)のように、本実施形態の放射線撮影装置606を収容ボックス608の収容部84に入れる。このとき、放射線撮影装置606は薄肉領域83の幅に対応した厚みであるために薄肉領域83に入り、厚肉部77が厚肉領域81の支持面73に突き当たって停止する。放射線撮影装置606の受電コネクタ79、上述のように収容部84の背面Bを基準として規定された所定箇所に位置し、収容ボックス608の給電コネクタと正確に接続される。
【0114】
放射線撮影装置606を収容部84に入れる場合には、厚肉部77で放射線撮影装置606を固定するため、放射線撮影装置606のサイズによっては薄肉領域83を使用しなくても固定できる場合がある。しかしながら、放射線撮影装置606では、放射線検出器が駆動基板70を放射線検出パネル65に対して折り返さずに広げた構成であるため、従来の放射線撮影装置よりも薄肉部608の外形が大きくなっている。そのため、収容部84に薄肉領域83を設けることが好ましい。また、薄肉領域83を薄肉部78の厚みに近づけることで、収容部84に放射線撮影装置606を挿入する際、厚み方向に傾いた状態で挿入されることがなくなり、いわゆる半差し状態等のような不具合の発生を抑制できるといった利点もある。
【0115】
本実施形態によれば、放射線撮影装置を収容する際に、放射線撮影装置に与える衝撃を緩和して放射線撮影装置の破損を防止すると共に、給電コネクタに受電コネクタ79を確実に接続させることが可能な信頼性の高い収容ボックスが実現する。
【0116】
本実施形態では、上述した放射線撮影装置609と、上述した回診車607の収容ボックス608とにより、受給電システムが構成される。この受給電システムでは、上述のように、放射線撮影装置600を収容ボックス608に入れたときに、給電が行われる。具体的には、厚肉部61が支持される支持面73において、放射線撮影装置606の第1の受給電部である受電コネクタ79と、収容ボックス608の第2の受給電部である給電コネクタとが電気的に接続され、両者間で受給電が行われる。受給電としては、回診車607から放射線撮影装置606に対する電力供給や充電、または放射線撮影装置606と回診車607との間における撮影動作や画像情報のやり取り等がある。
【0117】
本実施形態によれば、放射線撮影装置を収容部材に収容する際に、放射線撮影装置の受ける衝撃を緩和して放射線撮影装置の破損を防止すると共に、給電コネクタに受電コネクタ79を確実に接続させて受給電を行うことが可能な受給電システムが実現する。
【0118】
なお、本実施形態においても、第6の実施形態の変形例と同様に、放射線撮影装置606の受電コネクタ79の代わりに無線受電部を、収容ボックス608の給電コネクタの代わりに無線給電部を配置するようにしても良い。
【0119】
-第8の実施形態-
本実施形態では、本開示を適用した放射線撮影装置の他の例について説明する。
【0120】
図32は、本実施形態に係る放射線撮影装置を示す模式図であり、中央部分が平面図、右部分が右側面図、上部分が上側面図である。図33は、図32の一点鎖線D-D’に沿った断面図である。
放射線撮影装置611において、筐体67は、第6の実施形態と同様に、内部空間で一体化された厚肉部645及び薄肉部646を有している。筐体67の内部空間に放射線検出器が収められており、厚肉部645の内部空間に回路基板68及び制御基板69の部分が、薄肉部646の内部空間に放射線検出パネル65の部分が配置される。
【0121】
本実施形態において、放射線撮影装置611の厚肉部645における背面の端部に窪み641が設けられ、この窪み641の最外形部位には、筐体67の背面との間における段差642が形成されている。窪み641の側壁面643には、受電コネクタ644が配置されている。放射線撮影装置611において、段差642の最表面における頂点を640a、側壁面643の頂点を640bとする。受電コネクタ644は、頂点640aと頂点640bとを結ぶ、図33において破線で示す仮想直線Lの内側(放射線撮影装置611の側)に位置するように配置されている。
【0122】
放射線撮影装置611を持ち運ぶ際に、放射線撮影装置611を不意に落下させた場合でも、図34に示すように、段差641の存在により受電コネクタ644が直接的に床613に接触することがない。そのため、受電コネクタ644の破損の危険性を減らすことができる。厚肉部645は薄肉部646と比較して重いため、落下時に厚肉部645から落ち易く、厚肉部645に設置した受電コネクタ644の破損の危険性が高くなるため、上記の構成は受電コネクタ644の破損防止に有効である。したがって、図33に示す仮想直線Lの内側に受電コネクタ644を配置することで、放射線撮影装置611を落下させた場合でも、受電コネクタ644の破損を抑止することが可能となる。
【0123】
本実施形態においても、第6の実施形態と同様に、収容時に射線撮影装置611の受電コネクタ644と電気的に接続される給電コネクタを有する収容ボックスが提供される。また、射線撮影装置611と当該収容ボックスとを備えてなる受給電システムが提供される。
【0124】
なお、本実施形態においても、第7の実施形態の変形例と同様に、放射線撮影装置611の受電コネクタ644の代わりに無線受電部を、収容ボックスの給電コネクタの代わりに無線給電部を配置するようにしても良い。
【0125】
また、その他の実施形態で図16を用いて説明した放射線撮影システムについて。第6の実施形態及びその変形例、第7の実施形態、並びに第8の実施形態のうちの1つの放射線撮影装置も、放射線撮影システムの放射線撮影装置1601に適用することができる。
【0126】
-本開示を適用した送受電装置の基本構成-
続いて、第9及び第10の実施形態について説明する。第9及び第10の実施形態について説明するにあたり、本開示を適用した送受電装置の基本構成について述べる。
【0127】
本開示の送受電装置は、外部と無線により送受電する第1の無線送受電手段を有する放射線撮影装置を収容可能とするものである。放射線撮影装置は、被写体を透過した放射線を電気信号に変換する放射線検出パネルを有している。送受電装置は、第1の無線送受電手段と無線により送受電する第2の無線送受電手段と、放射線撮影装置が収容された際に、第1の無線送受電手段と第2の無線送受電手段とが近接し、無線給電を実行可能な位置関係となるように放射線撮影装置の位置を調整する位置調整手段である調整機構とを備えている。第1の無線送受電手段及び第2の無線送受電手段は、電磁波エネルギーの授受を行うための無線コイルを有しており、無線コイル同士が対向して近接し、電磁界結合する。これにより、放射線撮影装置と送受電装置との間で送受電が行われる。放射線撮影装置には厚み等が異なる様々なものがあるところ、放射線撮影装置が送受電装置に収容された際に、第1の無線送受電手段と第2の無線送受電手段とが離間している場合がある。このようなときでも、調整機構により放射線撮影装置が移動して第1の無線送受電手段が第2の無線送受電手段に近接する。これにより、充電等の無線送受電を安定して効率良く行うことができる。
【0128】
放射線撮影装置及び送受電装置においては、第2の無線送受電手段と第1の無線送受電手段とを介して、送受電装置が放射線撮影装置に電力供給や充電を行ったり、両装置間で撮影動作や画像情報のやり取りをしたりすることができる。本開示の送受電装置としては、主に放射線撮影装置に充電する充電装置が想定されており、後述する諸実施形態では、第1の無線送受電手段は充電のために受電する無線受電部であり、第2の無線送受電手段は充電のために送電する無線送電部である場合を例示する。
【0129】
調整機構は、例えば主面押さえ部材を有している。主面押さえ部材は、第1の無線送受電手段が第2の無線送受電手段に向かって近接するように、収容された放射線撮影装置の主面をその厚み方向に押圧する。また、調整機構は、例えば側面押さえ部材を有している。側面押さえ部材は、第1の無線送受電手段が第2の無線送受電手段に向かって近接するように、収容された前記放射線撮影装置の側面を厚み方向と交差する方向に押圧する。主面押さえ部材や側面押さえ部材により、第1の無線送受電手段が第2の無線送受電手段に近接し、充電等の送受電を効率良く行うことができる。
【0130】
調整機構は、例えば傾斜コロ部材を有している。傾斜コロ部材は、収容された放射線撮影装置の自重を受ける箇所に配置されており、自身の回転によって、第1の無線送受電手段が第2の無線送受電手段に向かって近接するように、収容された放射線撮影装置の位置を調整する。傾斜コロ部材を設けることにより、複雑で大きな駆動装置等を設けることなく、重力を利用して容易且つ確実に収容された放射線撮影装置の第1の無線送受電手段を第2の無線送受電手段に近接させることができる。
【0131】
送受電装置は、放射線撮影装置が収容されるスロットを有する収容手段を備えている。収容手段では、スロットを形成する面のうち、収容された放射線撮影装置の自重を受ける少なくとも1つの面が水平又は鉛直から傾斜している。具体的には、スロットを形成する底面は、短手方向の一辺が対向する短手方向の他辺よりも低くなるように水平から傾斜している。これにより、スロットに挿入された放射線撮影装置が自重により底面を短手方向の一辺に向かって摺動して第1の無線送受電手段が第2の無線送受電手段に近接する。また、他の具体例では、スロットを形成する底面及び少なくとも1つの主面は、互いに垂直状態を保ちながら、長手方向の一辺が対向する長手方向の他辺よりも低くなるように水平及び垂直から傾斜している。これにより、放射線撮影装置をスロットに挿入したときに第1の無線送受電手段が第2の無線送受電手段に近接して配置される。
【0132】
本開示の送受電装置では、厚み等が異なる放射線撮影装置をそれぞれ収容可能とされており、調整機構は、放射線撮影装置の厚み等に依らず第1の無線送受電手段と第2の無線送受電手段とを近接させる。このように送受電装置は、従来の規格から外れた放射線撮影装置であっても収容可能とされており、収容された様々な放射線撮影装置について、自動的に第1の無線送受電手段を第2の無線送受電手段に近接させる。
【0133】
送受電装置に収容可能な放射線撮影装置の具体例としては、以下のような放射線撮影装置が想定されている。
(1)装置の厚み方向から見たときに有効撮影領域と一部又は全部が重なる薄肉部と、記薄肉部よりも厚い厚肉部とを有する放射線撮影装置。ここで、第1の無線送受電手段は薄肉部に配置され、第1の無線送受電手段を制御するための制御手段が厚肉部に配置される。
(2)カバーが装着された放射線撮影装置。種々のカバーとしては、例えば所定の放射線を低減するためのグリッドカバー、装置の被写体との接触状態を調整するための撮影補助カバー、汚染及び浸水から保護するための防護カバー等から選択された少なくとも一種が考えられる。
【0134】
本開示の送受電装置の態様としては、例えば、以下の第1態様及び第2態様が考えられる。第1態様は後述する第9の実施形態で、第2態様は後述する第10の実施形態でそれぞれ詳述する。
【0135】
(1)第1態様
この送受電装置は、スロットを有する収容手段を備えている。第1の無線送受電手段は、放射線撮影装置の第1の主面に配置されており、第2の無線送受電手段は、スロットの第2の主面に配置されている。収容手段に放射線撮影装置が収容されると、放射線撮影装置は自重によりスロットの底面と摺接して移動して第1の無線送受電手段が前記第2の無線送受電手段と対向する。調整機構は、第1の無線送受電手段と第2の無線送受電手段とが対向した状態で、第1の主面を第2の主面に向かって押し付けるように前記放射線撮影装置の位置を調整する。
【0136】
(2)第2態様
この送受電装置は、スロットを有する収容手段を備えている。第1の無線送受電手段は、放射線撮影装置の第1の主面に配置されている。第2の無線送受電手段は、スロットの第2の主面に配置されている。収容手段に放射線撮影装置が収容されると、第1の無線送受電手段が第2の無線送受電手段と対向する。調整機構は、第1の無線送受電手段と第2の無線送受電手段とが対向した状態で、第1の主面を第2の主面に向かって押し付けるように放射線撮影装置の位置を調整する。
【0137】
第1態様及び第2態様において、具体的には、第1の主面は、放射線撮影装置の主面のうち放射線撮影装置の厚み方向から見て裏側の面である。調整機構は、第1の無線送受電手段と第2の無線送受電手段との放射線撮影装置の厚み方向の対向距離が5mm以下になるように、第1の主面を第2の主面に向かって押し付けることが好ましい。
【0138】
以下、本開示を適用できる好適な諸実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。諸実施形態による送受電装置としては、放射線撮影装置であるカセッテに無線充電する充電装置を例示する。
【0139】
-第9の実施形態-
(カセッテ100)
図35図48を用いて、第9の実施形態におけるカセッテ700について説明する。図35は、第9の実施形態におけるカセッテ700の上面斜視図、図36は下面斜視図である。図37は、図35における一点鎖線B-B方向に沿った断面図であり、中間部分を一部省略している。なお、ここでは本実施形態における充電装置と組み合わせて使用可能な種々のカセッテのうち、特徴的な形態のカセッテ700について説明するが、従来の略一様の厚みからなる平板様カセッテ711も当該充電装置に適用することができる。平板様カセッテ711については後述する。
【0140】
カセッテ700は、放射線発生装置(不図示)によって照射され、被写体を透過した放射線に応じた放射線画像を生成する。カセッテ700は生成した放射線画像を外部装置に転送し、転送された放射線画像は外部の表示装置等に表示される。カセッテ700は、放射線を電気信号に変換するための放射線検出パネル701を有する。放射線検出パネル701は、A側(以降これを入射面側とし、対向する面を裏面側とする)から入射した図35中矢印で示す放射線を電気信号に変換する機能を有する。放射線検出パネル701は、ガラス基板上に複数の光電変換素子(センサ)が二次元状に配置されたセンサ基板と、センサ基板上に配置された蛍光体層と、蛍光体層の上に配置された蛍光体保護膜を有して構成される。蛍光体保護膜は、防湿性が比較的高い材料からなり、蛍光体層を保護するために用いられる。
【0141】
上述の構成により放射線検出パネル701において、入射した放射線によって蛍光体層が発光し、当該発光した光をセンサ基板上に配置された光電変換素子によって電気信号に変換する。また放射線検出パネル701は、光電変換素子の一部若しくは全てを有効撮影領域とする。有効撮影領域は、放射線撮影が可能で実際に画像が生成される領域である。ただし、放射線検出パネル701はここで説明した構成に限らず、蛍光体層が複数設けられても良いし、蛍光体層と光電変換素子の代わりに、放射線を直接電気信号に変換する直接変換型の変換素子を使用しても良い。また、放射線検出パネル701のセンサ基板の材質もガラスに限定されず、より屈曲性の高い樹脂素材等であっても良い。
【0142】
放射線検出パネル701は、フレキシブル回路基板704を介して制御基板705と電気的に接続される。制御基板705は、放射線検出パネル701によって変換された電気信号を読み出し、種々の処理を行う。例えば制御基板705は、当該電気信号をデジタル信号に変換し、放射線画像データを生成する。また制御基板705は、当該生成した放射線画像データを外部装置に転送する。
【0143】
また、カセッテ700は、放射線検出パネル701及び制御基板705に電力を供給する二次電池706を備えている。二次電池706は、例えばリチウムイオン電池、電気二重層キャパシタや全固体電池などである。また二次電池6は、カセッテ700に対して着脱可能であっても、固定であっても良い。
【0144】
第1の無線送受電手段である無線受電部710は、後述の充電装置800内の無線送電部810から供給される電力を受電する。受電した電力は、無線受電部710を制御する制御手段を有する充電回路基板707を介して整流され、所定の電圧で二次電池706に充電される。カセッテ700及び充電装置800は、無線充電の方式の一例として、電磁誘導方式によって送受電を行う。特に電磁誘導方式の場合には、送電側コイルと受電側コイルの中心軸が極力近接、究極には一致した場合、かつコイルの面同士が極力近接した場合に充電効率が高くなる。この近接要求精度はコイルの種類やコイル周囲の状況によって様々であるが、本実施形態においては、中心軸間距離及び面直距離が各々約5mm以下であることを想定している。本実施形態における無線受電部710及び後述する無線送電部810は、1つの円形コイルとしているが、これに限られるものではなく、カセッテ700や充電装置800内における配置や充電電力に合わせてコイルの数や形状は適宜変更される。例えば楕円形や長方形の形状のコイルであっても良い。また無線受電部710の面方向は、放射線検出パネル701の面と平行になるように配置されているが、必要に応じて交差するように配置しても良い。また無線充電の他の方式として、電波受信型、共鳴型を用いても良い。
支持基台703は、その入射面側に放射線検出パネル701を支持し、裏面側に無線受電部710を支持する。
【0145】
筐体708は、上述した各構成部材を内包する。筐体708は、薄肉部708aと厚肉部708bとを有している。薄肉部708aは、主に放射線検出パネル701、無線受電部710と、その近接部品とを内包する。一方、厚肉部708bは、主に制御基板705、二次電池706及び充電回路基板707等の電装部品を内包する。薄肉部708aと放射線検出パネル701との間には、放射線検出パネル701を外力から保護する緩衝材702が備えられている。また薄肉部708aの入射面側は、より鮮明な放射線画像データを得るため、放射線透過率が比較的高い素材であることが好ましい。
【0146】
上述の通り二次電池6などの厚みがある構成物を、放射線検出パネル701の一辺に沿った厚肉部708bに配置することで、有効撮影領域を薄肉部708aのように従来カセッテより薄くすることが可能である。即ち、撮影時に臥位患者と臥台との間にカセッテ700を挿入する際の挿入部の厚みを抑えられ、患者の痛み低減が可能になる。同時に、挿入抵抗など撮影作業者が感じる物理的負担の低減も可能になる。この撮影時、厚肉部708bは、主に臥位患者の脇に背骨と略平行した配置になる。そのため、薄肉部708aの厚肉部708bと直交方向の寸法(図35においてLで示す)は、患者の胴体幅を画像に収めるために十分な幅であることが好ましい。例えば380mm~500mmなど、従来のカセッテ規格のうち中型から大型に相当する寸法が想定される。
【0147】
ここで、無線受電部710は、薄肉部708aの放射線検出パネル701の裏面側に配置される場合を例示しているが、厚肉部708bに配置しても良い。特に第9の実施形態においては、無線受電部710が薄肉部708a、厚肉部708bいずれにあってもユーザの充電作業への影響差異はないが、後述の第10の実施形態の場合には薄肉部708aに無線受電部710があることが望ましく、その理由については後述する。
【0148】
薄肉部708aの入射面側表面には、有効撮影領域及びその中心点を示すための指標709が設けられており、ユーザは、指標709によって有効撮影領域を目視確認することができる。指標709は、例えば薄肉部708aへの塗装、印刷、シボやブラスト等の表面処理、窪み等の形状形成や、あるいはそれらの組み合わせによって形成される。
【0149】
厚肉部708bの略中央部の表裏には、凹形状からなる把持部810a,810bがそれぞれ形成されている。ユーザは把持部810aに第1指を添え、把持部810bの段差部にそれ以外の指を引掛けるように添えることで、安定してカセッテ700を把持することが可能である。ここで把持部810aは、図示のような連続した一つの凹面ではなく、リブやドット等の形状であっても良いし、凸形状であっても良い。また形状は付与せず、部分的にラバー素材など摩擦性の高い素材を用いたり、高摩擦塗装やシボなどの表面処理を用いたりすることによって把持性を向上するものでも良いし、これら形状、素材、表面処理等を適宜組み合わせたものであっても良い。把持部810bにおいても、種々の形状や素材等であって良い。また把持部810aと把持部810bとが逆の配置であっても良いし、把持部810aと把持部810bとが繋がり、厚肉部708bを貫通した形態であっても良い。
【0150】
(カセッテ701)
図38図40を用いて、第9の実施形態におけるカセッテ711について説明する。図38は、第9の実施形態におけるカセッテ711の上面斜視図、図39は下面斜視図である。図40は、図38における一点鎖線C-C方向に沿った断面図であり、中間部分を一部省略している。図38図40において、前述のカセッテ700と同様の対象についてはカセッテ700と同符号を用いており、説明を省略する。
【0151】
カセッテ711は、薄肉部708a及び厚肉部708bを有するカセッテ700とは異なり、略一様の厚みからなる従来主流の平板様カセッテである。カセッテ711の基本厚みMは、規格に準じた15mm±2mm程度の他にも、10mmや8mmなど13mm以下であっても良いし、20mmや30mmなど17mm以上であっても良い。一方、厚み方向と直交する平面のサイズは、各辺300mm~500mm程度である。
【0152】
カセッテ711においては、無線受電部710に加え、制御基板705、二次電池706及び充電回路基板707等の電装部品も放射線検出パネル701の裏面側に配置される。また緩衝材702は放射線検出パネル701の入射面側にのみ存在し、把持部810は筐体708の裏面側の面にのみ存在する。
【0153】
(充電装置800)
次に、図41図44を用いて、第9の実施形態における充電装置800について説明する。図41は、第9の実施形態における充電装置800の斜視図、図42は上面図である。図44は、第9の実施形態における充電装置800にカセッテ711を収容した状態を示す斜視図である。ここで充電装置800において、図41におけるX方向を幅方向、Y方向を厚み方向、Z方向を高さ又は上下方向とする。
【0154】
充電装置800にはスロット721が形成されている。スロット721は、カセッテ類を収容するための凹部である。以降でカセッテ類とは、カセッテ単体と、種々のカバー等が装着された状態のカセッテの総称である。スロット721の厚み(幅)Sは、収容が想定されるカセッテ類の最大厚みより大きい。また、スロット721内の底面722及び側面723は、互いの直交を保ったまま、図中Y軸周りに回転するように傾斜している。前面724(一方の主面)、後面725(他方の主面)はそれぞれ、スロット721内の厚み方向手前側の側面、奥側の側面である。
【0155】
カセッテ700等の位置調整手段である傾斜コロ726は、スロット721内の底面部に設けられた複数のコロで、その回転軸は図示のように底面722と平行な面内で、Y軸に対して傾斜している。本実施形態では8個の傾斜コロ726を例示しているが、2個以上の任意の数であって良い。カセッテ700等の位置調整手段である主面押さえ部材727は、前面724からその一部が突出して設けられ、後面725に向かってバネ728(図41では不図示)で付勢されている。外力が加わっていない時の主面押さえ部材727と後面725との隙間Tは、収容想定カセッテ類の最小厚みより小さいか等しい。スロット721にカセッテ類が挿入され、主面押さえ部材727に略-Y方向の力が掛かった時は、バネ728は圧縮され、隙間Tが、収容想定カセッテ類の最大厚みより大きくなる位置まで面押さえ部材727が退避する。カセッテ類が挿入される時、カセッテ類と摺動する面押さえ部材727、側面723や後面725の摺動部は、滑り性が良い素材や表面性であることが好ましい。あるいは、リブやドット形状を設けて摺動面積を削減したり、カセッテ類と摺動する部分にコロやボール等の転がり部材を設けたりして、カセッテ類との摺動性を向上するものであっても良い。また、本実施形態で主面押さえ部材727は幅方向に沿って2か所に設けているが、これは収容されるカセッテ類を後面725に向かって押圧する際に、カセッテ類と後面725の平行性を向上するためであり、その数、サイズや形状は適宜変更して良い。またバネによる押圧ではなく、クッション性や弾性のある部材を用いて押圧する構成であっても良い。
【0156】
第2の無線送受電手段である無線送電部810は、後面725側に設けられ、カセッテに無線で電力を送電するためのコイルを有している。以下では、充電装置800に、カセッテ類の一例として前述のカセッテ700を収容する時の挙動について説明する。
【0157】
図43(a)のように、ユーザがカセッテ700をスロット721に、裏面側を後面725に向けて収容しようとする時、カセッテ700は面押さえ部材727によって後面725側に押圧される。更に、収容が図43(b)まで進んでユーザによる保持から解放され、カセッテ700が傾斜コロ726上に乗った状態になった時、カセッテ700はその自重により、底面722の傾斜に沿って側面723に突き当たる方向(図中の矢印Dの方向)に動く。その動きにより受動回転する傾斜コロ726の軸が傾斜していることにより、カセッテ700の下端部は後面725側に移動し、よりカセッテ700の裏面と後面725が接しようとする。主面押さえ部材727の押圧に加えて傾斜コロ726の傾斜により、カセッテ700の裏面はより確実に後面725側に押し付けられることになる。以上の挙動により、収容されるカセッテ700は、側面723及び後面725に突き当たった図43(c)の状態に位置案内され、保持される。図43(c)の状態にある時、コイル同士の中心及び面方向距離が極力近接するように、特にここでは約5mm以下になるように無線受電部710及び無線送電部810はそれぞれの装置内に配置されている。カセッテ700が図43(c)の状態、即ち無線受電部710が無線送電部810に向かって押し付けられるような位置に保持されることで、高い無線充電効率を保持することが可能である。
【0158】
上記の挙動はカセッテ711を収容した場合も同様であり、図43(c)の状態に相当する図が図44である。
また、カセッテ711に前述の種々のカバーが装着されたものを充電装置800に収容する場合についても説明する。カバーが装着されると被収容物の厚みは増すが、特に厚みを大きく増すものとしては、グリッドカバーやクッションカバー等が想定される。それらはいずれもカセッテ711の入射面側の厚みを主に増すものであり、裏面側の厚み増大は小さい。具体的には、入射面側に最大で+約10mm程度、裏面側には最大で+約1mm程度と想定される。なお、上述のビニールカバーにおいては、入射面側及び裏面側のいずれも厚み増大は最大でも+約1mm以下と考えられる。そのため、上述のカセッテ700の時と同様に、無線受電部710をカセッテ711の裏面側に設け、スロット721内でカセッテ711裏面と後面725が近接する方向にカセッテ711を押さえる構成とする。これにより、無線受電部が無線送電部810に向かって押し付けられ、高い無線充電効率を保持することが可能である。ただし、裏面側への厚み増大もゼロでは無いため、その分を考慮し、無線受電部710及び無線送電部810はそれぞれの装置内で、極力装置外面に近づけて配置されていることが好ましい。
【0159】
-第10の実施形態-
図45図48を用いて、第10の実施形態における充電装置について説明する。なお、以下の説明において、上述の第9の実施形態と同様の対象については第9の実施形態と同符号を用いており、詳しい説明を省略する。
【0160】
図45は、第10の実施形態における充電装置900の斜視図である。図46は、第10の実施形態における充電装置900の側面図である。図47は、第10の実施形態における充電装置900にカセッテ700を収容する際の一連の挙動を示す斜視図である。本実施形態では、主に回診車と呼ばれる可動型X線発生装置に一体的に設けられた充電装置を想定しており、図46中の破線は回診車の部分概形を表している。図中の破線円は回診車のタイヤであり、回診車は主に図46における左を前方として左右方向に走行し、ユーザは図中右上方からカセッテ類を充電装置900に出し入れする。そのカセッテ類の挿抜の作業性を向上させるため、充電装置900の全体は、図46における右回転方向に傾斜して配置される。以降では、図46中右側を充電装置900の手前側、左側を奥側と呼び、図45におけるX方向を幅方向、Y方向を厚み方向、Z方向を高さ及び上下方向とする。
【0161】
充電装置900には、スロット731が形成されている。スロット731は、本実施形態におけるカセッテ類を収容するための凹部であり、その内部は底面732、側面733、側面734、手前側の前面735(一方の主面)及び前面735と対向する後面736(他方の主面)からなる。前面735には、切り欠き737が形成されている。切り欠き737の下端から底面732までの高さHは、収容想定カセッテ類の最小高さより小さく、ユーザがカセッテ類を出し入れする際に、カセッテ類を上方から把持するスペースを確保する。
【0162】
本実施形態において、無線送電部810は前面735側に、また面押さえ部材727及びバネ728(不図示)は後面736側にそれぞれ設けられており、主面押さえ部材727は一例として4個としている。
【0163】
一つの側面733からは、カセッテ700等の位置調整手段である側面押さえ部材738が突出している。側面押さえ部材738は一端を中心に回動可能であり、その根本部には非図示のネジリコイルバネを備えている。また、反対側端部にはコロ739を備えており、このコロ739が側面733から離間する方向に、側面押さえ部材738はネジリコイルバネにより付勢されている。側面押さえ部材738に外力が加わっていない時、コロ739から対向する側面734までの距離Wは、収容想定カセッテ類の最小幅より小さいか等しい。一方、ネジリコイルバネ巻き込み方向に外力が加わった場合には、距離Wが収容想定カセッテ類の最大幅より大きくなる位置まで、側面押さえ部材738は回動退避することが可能である。コロ739は、カセッテ類挿抜の際のカセッテ類と側面押さえ部材738との摺動抵抗を抑える目的で設けており、コロを設ける以外にも、ボールチップを用いたり、摺動抵抗が低い素材を用いたりしても良い。また、本実施形態において、側面押さえ部材738は高さ方向に沿って2か所に設けているが、上述の面押さえ部材727と同様に、その数、サイズや形状は適宜変更しても良い。バネによる押圧ではなく、クッション性や弾性のある部材を用いて押圧する構成であっても良い。またここでは一側面にのみ側面押さえ部材を設けているが、側面733、側面734いずれにも側面押さえ部材を設け、収容されるカセッテ類を装置中央に向けて押圧するものであっても良い。
【0164】
以下、図47を用いて、充電装置900に、カセッテ700を収容する時の挙動について説明する。
図47(a)のように、ユーザがカセッテ700をスロット731に収容しようとする時、カセッテ700は側面押さえ部材738に当接し、側面734側に案内される。続いて、収容状態が図47(b)まで進んだ時、カセッテ700は面押さえ部材727に当接し、前面735側に押圧される。最終的にユーザによる保持から解放され、底面732上に乗った状態になった時、カセッテ700は、側面734及び前面735に突き当たった図47(c)の状態に位置案内され、保持される。この時、底面732、側面734及び前面735とカセッテ700は摺動するため、これらは摺動性の高い素材であることが好ましい。あるいは、リブやドット形状を設けて摺動面積を削減したり、コロやボール等の転がり部材を設け、カセッテ700との摺動性を向上したりするものであっても良い。また、カセッテ700が前面735に押圧される前に側面を押圧した方が、側面押さえ力が小さくすむため、カセッテ700が面押さえ部材727より側面押さえ部材738に先に当接するような位置関係であることが好ましい。
【0165】
図47(c)の状態にある時、コイル同士の中心及び面方向距離が極力近接するように、無線受電部710及び無線送電部810はそれぞれの装置内で配置されている。カセッテ700が図47(c)の状態、即ち無線受電部710が無線送電部810に向かって押し付けられるような位置に保持されることにより、高い無線充電効率を保持することが可能である。特に充電装置900が回診車に搭載される場合、走行時の振動によってスロット内でのカセッテ類の位置は不安定になるところ、本実施形態の位置保持手段を設けることにより、走行中であっても無線充電効率を向上することが可能である。
【0166】
上述の通り、充電装置900にカセッテ700を挿抜する際、ユーザは撮影時からの一連動作としてカセッテ700の厚肉部708bを把持しているとするのが最も自然である。そのため、本実施形態においては、厚肉部708bを上方に、また薄肉部708aと厚肉部708bとの間の段差がスロット731の入り口に引掛からないようカセッテ700の裏面を手前側にして、スロット731にカセッテ700を挿入することを前提としている。一方で、充電装置900に収容想定カセッテ類のうち最も高さが小さいカセッテ711’(高さをIとする)を収容した時(図48)とカセッテ700の収容時とで、共通する無線送電部810から送電しようとするときを考える。この場合、無線送電部810は底面732から高さIの範囲に配置する必要がある。このような配置の無線送電部810と相対させるため、カセッテ700における無線受電部710は、薄肉部708aにあるものとした。上述の通り、様々な厚みだけでなく、様々な幅や高さのカセッテ類を想定した上で無線充電部を配置することで、様々なカセッテ類を所有するユーザであっても共通の充電装置を使用可能である。また、装置を製造提供する側においても、用意する充電装置の種類を削減することが可能になる。
【0167】
上述では、1つの無線受電部710及び1つの無線送電部810によって充電のための送受電が行われるとしているが、カセッテ及び充電装置のいずれか一方又は双方が無線受電部710及び無線送電部810のいずれか一方又は双方を複数有していても良い。この場合、複数の無線送受電部710,810のいずれか又は全てを用いて送受電を行うことになる。カセッテ類の幅や高さ方向の位置調整は省略可能であり、厚み方向の位置調整のみを行えば良い。例えば、カバー類のうち、グリッドカバー等はカセッテ本体よりも幅が20mm~50mm程度大きいものもある。このようなグリッドカバー付カセッテを、カバー無しカセッテに合わせて無線送電部が1つだけ設けられた充電装置に収容しても、コイル同士の中心位置を5mm以下等に近付けることは困難である。そのような場合でも、コイルが複数あれば、いずれかのコイルからの無線充電効率を確保することが可能である。
【0168】
また、上述の諸実施形態に加え、充電装置にカセッテにおける充電効率を確認する充電確認機構を設けるようにしても良い。充電確認機構は、例えば、検知手段、確認手段、及び通知手段を有している。検知手段は、充電装置に対するカセッテの収容の有無を検知する。確認手段は、検知手段でカセッテの収容を検知した場合、充電時においてカセッテが所期の規定された充電効率に達しているか否かを確認する。通知手段は、検知手段でカセッテの収容を検知したにも関わらず、確認手段で所望の充電効率が確認できない場合に、ユーザにカセッテ類の収容状態の修正を促すための通知を行う。通知手段としては、カセッテ、充電装置、または外部装置に、所定の音声発生、発光、グラフィック表示を行うもの等が考えられる。このような充電確認機構を設けることにより、ユーザはより確実に充電作業を行うことが可能になる。
【0169】
以上、いずれの実施形態においても、位置調整手段はカセッテの無線受電部がある面を、充電装置の無線送電部がある面に押し付ける方向に押圧を行う。これにより、各種のカセッテについて対応可能となる。1つの充電装置においてカセッテ700のような厚みに変化があるカセッテや、カセッテ711のような略一様厚のカセッテ、カバーで覆われたカセッテ等のいずれであっても良い。このような各種のカセッテにおいて、無線受電部と無線送電部との厚み方向の位置ずれや所定以上の離間を抑え、無線充電の効率が向上する。
【0170】
以上説明したように、本実施形態によれば、カセッテの厚みが薄い、厚い、双方からなるなど様々であっても充電装置における無線充電の安定性が向上する。これによって様々なカセッテで共通の充電装置を使用可能になる。また、カバー等カセッテと用いられる付属品の着脱の手間を省き、充電にかかる作業効率が向上する。
【0171】
諸実施形態では、充電装置と、当該充電装置に収容可能な各種のカセッテとを備えて充電システム(送受電システム)が構成される。これにより、充電装置から各種のカセッテに無線による充電を安定して効率良く行うことができる。
【0172】
また、その他の実施形態で図16を用いて説明した放射線撮影システムについて。第9の実施形態及び第10の実施形態のうちの1つの放射線撮影装置も、放射線撮影システムの放射線撮影装置1601に適用することができる。
【0173】
以上、本開示の好ましい諸実施形態及び諸変形例について説明したが、本開示はこれらの実施形態及び変形例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。また、上述した諸実施形態及び諸変形例を適宜、組み合せても良い。
【0174】
諸実施形態及び諸変形例の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)
放射線を検出する放射線検出器と、
前記放射線検出器に電力を供給する電源部と、
前記放射線検出器を薄肉部に収容し、前記電源部を厚肉部に収容する筐体と、
外部からの電力供給を受け付けるための受電部であって前記薄肉部に設けられた受電部と、
を有することを特徴とする放射線撮影装置。
(構成2)
前記放射線検出器のパネル部分は、前記薄肉部に配置されている、
構成1に記載の放射線撮影装置。
(構成3)
前記受電部は、外部との間において無線で受電が行われる無線受電部である、
構成1または2に記載の放射線撮影装置。
(構成4)
前記受電部は、外部との間において有線で受電が行われる有線受電部である、
構成1または2に記載の放射線撮影装置。
(構成5)
前記無線受電部は無線コイルを有しており、電磁誘導方式により電磁エネルギーを受電する、
構成3に記載の放射線撮影装置。
(構成6)
前記無線受電部は、少なくとも一部が前記放射線検出器のパネル部分と平面視で重なるように、前記放射線検出器のパネル部分の放射線入射面と逆側の面に配置されている、
構成3または5に記載の放射線撮影装置。
(構成7)
前記無線コイルは、一端が平面視で前記放射線検出器の有効撮影領域の外周を超えて前記厚肉部の端部に位置するように配置されている、
構成5に記載の放射線撮影装置。
(構成8)
前記無線受電部を制御する第1制御部を有し、
前記第1制御部は、前記厚肉部に配置されている、
構成3に記載の放射線撮影装置。
(構成9)
前記放射線検出器のパネル部分と前記無線受電部との間に、前記無線受電部からの放射ノイズを抑制するシールド材が配置されている、
構成3に記載の放射線撮影装置。
(構成10)
前記放射線検出器のパネル部分と前記無線受電部との間に、前記無線受電部からの発熱による温度伝搬を抑制する断熱材が配置されている、
構成3に記載の放射線撮影装置。
(構成11)
前記放射線検出器を支える支持基台を有し、
前記支持基台のうち、前記無線受電部が配置されている部分には電磁界の透過材が配置されている、
構成3に記載の放射線撮影装置。
(構成12)
前記厚肉部に他の有線受電部が配置されている、
構成3に記載の放射線撮影装置。
(構成13)
前記他の有線受電部は受電コネクタである、
構成12に記載の放射線撮影装置。
(構成14)
前記無線受電部または前記他の有線受電部を用いた受電を制御する第2制御部を有し、
前記第2制御部は、前記無線受電部または前記他の有線受電部の受電状態に基づいて、前記無線受電部及び前記有線受電部の一方から他方へ使用を切り替える、
構成12または13に記載の放射線撮影装置。
(構成15)
前記有線受電部はUSBのコネクタである、
構成4に記載の放射線撮影装置。
(構成16)
前記有線受電部は、少なくとも一部が前記放射線検出器のパネル部分と平面視で重なるように、前記放射線検出器のパネル部分の放射線入射面と逆側の面に配置されている、
構成4に記載の放射線撮影装置。
(構成17)
前記有線受電部は、前記放射線検出器のパネル部分と平面視で重ならない位置に配置されている、
構成4に記載の放射線撮影装置。
(構成18)
所定の情報を通知する通知部と、
前記受電部の近傍に配置される温度センサと、
を有しており、
前記温度センサによる検知温度が閾値以上、且つ、前記受電部が受電する電力が前記放射線撮影装置の動作に使用されている場合には、
前記通知部は、注意情報を通知する、
構成1に記載の放射線撮影装置。
(構成19)
所定の情報を通知する通知部と、
前記受電部の近傍に配置される温度センサと、
を有しており、
前記受電部が受電する電力が前記放射線撮影装置の動作に使用されていない場合には、
前記通知部は、送電側に送電停止情報を通知する、
構成1に記載の放射線撮影装置。
(構成20)
受電中の経過時間または受電終了からの経過時間を計測する計測部と、
所定の情報を通知する通知部と、
を有しており、
前記放射線撮影装置が受電中、且つ受電中の経過時間が閾値以上の場合には、
前記通知部は、注意情報を通知する、
構成1に記載の放射線撮影装置。
(構成21)
受電中の経過時間または受電終了からの経過時間を計測する計測部と、
所定の情報を通知する通知部と、
を有しており、
前記放射線撮影装置が受電しておらず、且つ受電中の経過時間が閾値未満の場合には、
前記通知部は、注意情報を通知する、
構成1に記載の放射線撮影装置。
(構成22)
放射線を検出する放射線検出器と、
前記放射線検出器に電力を供給する電源部と、
前記放射線検出器を薄肉部に収容し、前記電源部を厚肉部に収容する筐体と、
外部からの電力供給を受けつけるための受電部であって前記厚肉部に設けられた受電部と、
を有することを特徴とする放射線撮影装置。
(構成23)
前記厚肉部は、放射線の照射面において前記薄肉部より厚くなっており、前記照射面とは反対側の背面に凹状の把持部が設けられている、
構成22に記載の放射線撮影装置。
(構成24)
前記受電部は、放射線の照射面において前記厚肉部の前記薄肉部との間における傾斜部に設けられている、
構成22または23に記載の放射線撮影装置。
(構成25)
平面視において、前記厚肉部の長手方向に沿った幅は、前記薄肉部の前記長手方向に沿った幅よりも狭い、
構成22または23に記載の放射線撮影装置。
(構成26)
平面視において、前記受電部は、前記厚肉部の頂点と、前記頂点と近接する前記薄肉部の頂点とを結ぶ仮想直線の内側に配置されている、
構成25に記載の放射線撮影装置。
(構成27)
前記受電部は、前記厚肉部の短手方向に沿った側面に配置されている、
構成25または26に記載の放射線撮影装置。
(構成28)
前記受電部は、放射線の照射面とは反対側の背面から前記照射面に向かって15mm~16mmの範囲内の領域に配置されている、
構成27に記載の放射線撮影装置。
(構成29)
前記受電部は受電コネクタである、
構成22~28のいずれか1つに記載の放射線撮影装置。
(構成30)
前記受電部は、外部と無線受給電を行うことが可能な無線受電部である、
構成22~28のいずれか1つに記載の放射線撮影装置。
(構成31)
前記厚肉部の放射線の照射面とは反対側の背面の端部に窪みが形成されており、
前記窪みの最外形部位には前記背面との段差が形成されており、
前記受電部は、前記窪みの側壁面に配置されている、
構成22に記載の放射線撮影装置。
(構成32)
前記受電部は、前記段差の最表面における頂点と、前記側壁面の頂点とを結ぶ仮想直線の内側に配置されている、
構成31に記載の放射線撮影装置。
(構成33)
放射線を検出する放射線検出器を有する放射線撮影装置を収容する収容部材であって、
前記放射線撮影装置の収容部を形成する空間は、少なくとも第1の領域及び前記第1の領域よりも幅狭の第2の領域を有しており、
前記第1の領域は、前記放射線撮影装置との間で受給電可能とされた給電部を有している、
ことを特徴とする収容部材。
(構成34)
前記給電部は給電コネクタである、
構成33に記載の収容部材。
(構成35)
前記給電部は、前記放射線撮影装置と無線受給電を行うことが可能な無線給電部である、
構成33に記載の収容部材。
(構成36)
前記第1の領域は、前記放射線撮影装置を支持可能な支持部を有する、
構成33~35のいずれか1つに記載の収容部材。
(構成37)
前記収容部を形成する空間は、前記第1の領域よりも幅狭で前記第2の領域よりも幅広の第3の領域を有している、
構成33~36のいずれか1つに記載の収容部材。
(構成38)
回診車、給電スタンド、ブッキースタンドのうちの何れかに設けられている、
構成33~37のいずれか1つに記載の収容部材。
(構成39)
放射線撮影装置を収容部材に収容し、前記放射線撮影装置と前記収容部材との間で受給電を行う受給電システムであって、
前記放射線撮影装置は、
放射線を検出する放射線検出器と、
前記放射線検出器に電力を供給する電源部と、
前記放射線検出器を薄肉部に収容し、前記電源部を厚肉部に収容する筐体と、
外部からの電力供給を受けつけるための受電部であって前記厚肉部に設けられた受電部と、
を備え、
前記収容部材は、
前記放射線撮影装置の収容部を形成する空間は、少なくとも第1の領域及び前記第1の領域よりも幅狭の第2の領域を有しており、
前記第1の領域は、前記放射線撮影装置との間で受給電可能とされた給電部を有している、
ことを特徴とする受給電システム。
(構成40)
無線給電を受け付ける無線受電部を備える放射線撮影装置に無線給電が可能な無線給電装置であって、
前記放射線撮影装置を収容可能な収容部と、
前記無線受電部に対して無線給電が可能な無線送電部と、
前記放射線撮影装置が前記収容部に収容された際に、前記無線給電を実行可能な位置関係となるように前記放射線撮影装置の位置を調整する調整機構と、
を有することを特徴とする無線給電装置。
(構成41)
前記無線受電部は充電のために受電する無線受電手段であり、前記無線送電部は充電のために送電する無線送電手段である、
構成40に記載の無線給電装置。
(構成42)
前記放射線撮影装置は、被写体を透過した放射線を電気信号に変換する放射線検出パネルを有する、
構成40または41に記載の無線給電装置。
(構成43)
前記調整機構は主面押さえ部材を有し、
前記主面押さえ部材は、前記無線受電部が前記無線送電部に向かって近接するように、収容された前記放射線撮影装置の主面を厚み方向に押圧する、
構成40~42のいずれか1つに記載の無線給電装置。
(構成44)
前記調整機構は側面押さえ部材を有し、
前記側面押さえ部材は、前記無線受電部が前記無線送電部に向かって近接するように、収容された前記放射線撮影装置の側面を厚み方向と交差する方向に押圧する、
構成40~43のいずれか1つに記載の無線給電装置。
(構成45)
前記調整機構は傾斜コロ部材を有し、
前記傾斜コロ部材は、収容された前記放射線撮影装置の自重を受ける箇所に配置されており、自身の回転によって、前記無線受電部が前記無線送電部に向かって近接するように、収容された前記放射線撮影装置の位置を調整する、
構成40~44のいずれか1つに記載の無線給電装置。
(構成46)
前記放射線撮影装置が収容されるスロットを有する収容部を備えている、
構成40~45のいずれか1つに記載の無線給電装置。
(構成47)
前記収容部は、前記スロットを形成する面のうち、収容された前記放射線撮影装置の自重を受ける少なくとも1つの面が水平又は鉛直から傾斜している、
構成46に記載の無線給電装置。
(構成48)
前記スロットを形成する底面は、短手方向の一辺が対向する短手方向の他辺よりも低くなるように水平から傾斜している、
構成47に記載の無線給電装置。
(構成49)
前記スロットを形成する底面及び少なくとも1つの主面は、互いに垂直状態を保ちながら、長手方向の一辺が対向する長手方向の他辺よりも低くなるように水平及び垂直から傾斜している、
構成47に記載の無線給電装置。
(構成50)
前記放射線撮影装置を収容するためのスロットを有する収容手段を備え、
前記無線受電部は、前記放射線撮影装置の第1の主面に配置されており、
前記無線送電部は、前記スロットの第2の主面に配置されており、
前記収容部に前記放射線撮影装置が収容されると、前記放射線撮影装置は自重により前記スロットの底面と摺接して移動し、前記無線受電部が前記無線送電部と対向し、
前記調整機構は、前記無線受電部と前記無線送電部とが対向した状態で、前記第1の主面を前記第2の主面に向かって押し付けるように前記放射線撮影装置の位置を調整する、
構成40~45のいずれか1つに記載の無線給電装置。
(構成51)
前記放射線撮影装置を収容するためのスロットを有する収容手段を備え、
前記無線受電部は、前記放射線撮影装置の第1の主面に配置されており、
前記無線送電部は、前記スロットの第2の主面に配置されており、
前記収容部に前記放射線撮影装置が収容されると、前記無線受電部が前記無線送電部と対向し、
前記調整機構は、前記無線受電部と前記無線送電部とが対向した状態で、前記第1の主面を前記第2の主面に向かって押し付けるように前記放射線撮影装置の位置を調整する、
構成40~45のいずれか1つに記載の無線給電装置。
(構成52)
前記第1の主面は、前記放射線撮影装置の主面のうち前記放射線撮影装置の厚み方向から見て裏側の面である、
構成51に記載の無線給電装置。
(構成53)
前記位置調整手段は、前記第1の無線送受電手段と前記第2の無線送受電手段との前記放射線撮影装置の厚み方向の対向距離が5mm以下になるように、前記第1の主面を前記第2の主面に向かって押し付ける、
構成50~52のいずれか1つに記載の無線給電装置。
(構成54)
厚み及び幅の少なくとも一方が異なる前記放射線撮影装置をそれぞれ収容可能とされており、
前記調整機構は、前記放射線撮影装置の厚み及び幅に依らず前記無線受電部と前記無線送電部とを近接させる、
構成40~53のいずれか1つに記載の無線給電装置。
(構成55)
無線給電を受け付ける無線受電部を備える放射線撮影装置と、
前記放射線撮影装置を収容可能な無線給電装置と、
を備え、
前記無線給電装置は、
前記無線受電部に対して無線給電が可能な無線送電部と、
前記放射線撮影装置が収容された際に、前記無線給電を実行可能な位置関係となるように前記放射線撮影装置の位置を調整する調整機構と、
を有することを特徴とする送受電システム。
(構成56)
前記放射線撮影装置は、
前記放射線撮影装置の厚み方向から見たときに有効撮影領域と一部又は全部が重なる薄肉部と、
前記薄肉部よりも厚い厚肉部と、
を有する、
構成55に記載の送受電システム。
(構成57)
前記無線受電部は前記薄肉部に配置され、
前記無線受電部を制御するための制御手段が前記厚肉部に配置される、
構成56に記載の送受電システム。
(構成58)
前記放射線撮影装置はカバーが装着されており、
前記調整機構は、前記放射線撮影装置の前記カバーの装着の有無に依らず前記無線受電部と前記無線受電部とを近接させる、
構成55~57のいずれか1つに記載の送受電システム。
(構成59)
前記カバーは、
所定の放射線を低減するためのグリッドカバーと、
前記放射線撮影装置と被写体との接触状態を調整するための撮影補助カバーと、
前記放射線撮影装置を汚染及び浸水から保護するための防護カバーと、
から選択された少なくとも一種である、
構成58に記載の送受電システム。
(構成60)
前記放射線撮影装置及び前記無線給電装置の一方又は双方は、前記無線受電部及び前記無線送電部の一方又は双方を複数有している、
構成55~59のいずれか1つに記載の送受電システム。
(構成61)
被写体に放射線を照射する放射線発生装置と、
請求項1~32のいずれか1つに記載の放射線撮影装置と、
前記放射線撮影装置で取得された情報に基づいて所定の演算処理を行う演算処理装置と、
を含むことを特徴とする放射線撮影システム。
【符号の説明】
【0175】
1:放射線検出パネル
2:緩衝材
3:支持基台
4a:フレキシブル回路基板
4b:接続ケーブル
5:制御基板
6:バッテリ
7:充電回路基板
8:筐体
9:指標
10:把持部
11:通知部
100,200,300:放射線撮影装置
110:無線受電部
111:シールド材
112:断熱材
113:樹脂材
200:放射線撮影装置
210,310:有線受電部
300:放射線撮影装置
400:放射線撮影装置
410:温度センサ
500:放射線撮影装置
801:スイッチ部
802:充電回路
1401:時間計測部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
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