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特開2024-178909金属圧延機のためのモデルベースの多変量予測制御
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178909
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】金属圧延機のためのモデルベースの多変量予測制御
(51)【国際特許分類】
   B21B 37/18 20060101AFI20241218BHJP
   B21B 37/58 20060101ALI20241218BHJP
   B21B 37/38 20060101ALI20241218BHJP
   B21B 38/02 20060101ALI20241218BHJP
   B21B 38/04 20060101ALI20241218BHJP
   B21C 51/00 20060101ALI20241218BHJP
   B21B 37/32 20060101ALN20241218BHJP
【FI】
B21B37/18 110A
B21B37/58 B
B21B37/38 Z
B21B38/02
B21B38/04 B
B21C51/00 K
B21C51/00 L
B21B37/32 C
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024079848
(22)【出願日】2024-05-16
(31)【優先権主張番号】18/209,147
(32)【優先日】2023-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MATLAB
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【弁理士】
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】ダッタラージ バート
(72)【発明者】
【氏名】シャイレンドラ クマール グプタ
【テーマコード(参考)】
4E124
【Fターム(参考)】
4E124AA02
4E124AA07
4E124BB03
4E124CC01
4E124CC02
4E124CC03
4E124DD02
4E124EE16
4E124FF01
(57)【要約】      (修正有)
【解決手段】制御システムにより、冷間圧延機のためのモデルベースの多変量予測制御を利用して、平坦度の仕様を満たすかあるいは上回るようにシート厚さ均一性を改善する。制御システムは、4-hi非可逆単スタンド金属圧延機の制御に特に適している。ミルスタンドは、第1のバックアップロールと第2のバックアップロールとの間にそれぞれ配置された第1の作業ロールおよび第2の作業ロールを有する。複数のセンサが、材料シートの特性データを測定および取得する。モデル予測コントローラは、アクチュエータを操作して厚さおよび平坦度を管理する。コントローラは、メタルシートが圧延されるにつれて、自動ゲージ制御と、自動平坦度制御と、を実行する。
【効果】PIDベースの閉ループ制御を使用する従来の制御手法と比較して、標準要件からのシートメタルの厚さおよび平坦度の偏差が大幅に低減され、それに伴って制御精度が改善される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のバックアップロールと第2のバックアップロールとの間にそれぞれ位置決めされた第1の作業ロールと第2の作業ロールとを備えるロールスタンドを出るミル内のシートメタルの厚さおよび平坦度を制御するためのコントローラであって、前記コントローラは、プロセッサと、前記シートメタルの厚さを制御するために前記プロセッサによって読み取り可能な媒体上に記憶されたコードと、を備え、前記コントローラは、
前記シートメタルの前記厚さおよび前記平坦度を含む入力と、
前記ロールスタンドのモデルと、
前記モデルに基づくフィルタと、
前記第1の作業ロールと前記第2の作業ロールとの間のギロールャップ、ロール力、ミル速度および/またはストリップ張力を制御して前記シートメタルを生産するように結合されたコントローラ出力と、を備える、コントローラ。
【請求項2】
前記モデルは、ロールギャップ、ロール力、入口張力、ミル速度、スプレーパラメータ、チルト制御、および曲げ制御を含む、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
ロールスタンドによって生産されるシートメタルの厚さおよび平坦度を自動制御するためのコントローラをプログラミングする方法であって、
前記ロールスタンドのモデルを生成するステップであって、前記モデルは多変数かつ予測的である、モデルを生成するステップと、
前記シートメタルの前記厚さおよび前記平坦度の変動を含む入力を受信するステップと、
前記モデルに基づいてフィルタを生成するステップと、
前記ロールスタンドによって生産される前記シート金属の前記厚さおよび前記平坦度を制御するために、前記入力に基づいて前記フィルタのパラメータを自動的に調節するステップと、を含む、方法。
【請求項4】
第1の作業ロールと第2の作業ロールとを有するロールスタンドを出るシートメタルの厚さおよび平坦度を制御するためのコントローラであって、
プロセッサと、
前記ロールスタンドを出る前記シートメタルの前記厚さを測定する手段と、
前記ロールスタンドを出る前記シートメタルの前記平坦度を測定する手段と、
前記プロセッサに結合されたメモリデバイスであって、
前記シート金属の前記厚さおよび前記平坦度の変動を含む入力を受信することと、
前記ロールスタンドのモデルを生成することと、
前記モデルに基づいてフィルタを実行することと、
前記第1の作業ロールと前記第2の作業ロールとの間のロールギャップ、ロール力、ミル速度、および/またはストリップ張力を制御するように結合された出力を提供することと、を行うために前記プロセッサによって実行される読み取り可能なプログラムを含む、メモリデバイスと、を備える、コントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属圧延機の制御に関し、特に、4-hi非可逆単スタンド金属圧延機などの自動ゲージ制御および自動平坦度制御のためのモデルベースの多変数予測制御に関する。
【背景技術】
【0002】
冷間圧延では、金属材料のシートは、加圧下で圧延円筒表面間に金属ストリップを通過させることによってゲージまたは厚さが減少される。典型的な単スタンド圧延機は、材料を巻出しリールから巻戻しリールに供給する。金属ストリップは、それぞれのバックアップロールの作用を受ける作業ロールの間を通される。バックアップロールの少なくとも1つに力が加えられる。その場合、圧延機は、より薄く一定のゲージでシートのコイルを生産する。
【0003】
中心線厚さ(ゲージ)偏差は、金属圧延用途において重要な性能指標(key performance indicator、KPI)である。ロバストでありながらも高性能である厚さ制御戦略の設計には多くの課題が存在する。課題は、ミルスタンドと測定デバイスとの間の変動する時間遅延の存在から、動作範囲にわたる著しい非線形性にまで及ぶ。さらに、入口厚さおよび入口速度などの測定される外乱、またはロール偏心、熱成長、および作業ロールの熱機械的摩耗などの測定されない内部外乱の高速外乱除去の要件は、進行中の課題を提示する。
【0004】
アルミニウム圧延における現在のゲージおよび平坦度には、比例積分微分(proportional-integral-derivative、PID)ベースの閉ループ制御が採用され得る。許容可能な結果を達成するのに必要な製品最適化時間は比較的長い。圧延の加速/減速状態中のゲージおよび平坦度制御もまた、安定走行状態中のものと同じではない。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、冷間圧延機のためのモデルベースの多変量予測制御を利用して、平坦度の仕様を満たすかあるいは上回るようにシート厚さ均一性を改善する制御システムの開発に基づくものである。PIDベースの閉ループ制御を使用する従来の制御手法と比較して、標準要件からのシートメタルの厚さおよび平坦度の偏差が大幅に低減され、それに伴って制御精度が改善され得る。本発明は、4-hi非可逆単スタンド金属圧延機の制御に適している。
【0006】
一実施形態では、第1のバックアップロールと第2のバックアップロールとの間にそれぞれ配置された第1の作業ロールと第2の作業ロールとを備えるスタンドを出るミル内のシート金属の厚さおよび平坦度を制御するシステムを対象とする。シートメタルは機械方向に移動する。複数のセンサが、材料シートの特性データを測定および取得する。モデル予測コントローラ(model predictive controller、MPC)は、アクチュエータを操作して厚さおよび平坦度を管理する。コントローラは、金属シートが圧延されるときに、自動ゲージ制御(AGC)および自動平坦度制御(AFC)を実行する。AGCは機械方向の金属シート制御を指し、AFCは機械方向に名目上垂直な横方向の金属シート制御を指す。
【0007】
一態様では、本発明は、第1のバックアップロールと第2のバックアップロールとの間にそれぞれ位置決めされた第1の作業ロールと第2の作業ロールとを備えるロールスタンドを出るミル内のシート金属の厚さおよび平坦度を制御するためのコントローラを対象とし、コントローラは、プロセッサと、シート金属の厚さを制御するためにプロセッサによって読み取り可能な媒体上に記憶されたコードと、を備え、コントローラは、
シートメタルの厚さおよび平坦度を含む入力と、
ロールスタンドのモデルと、
モデルに基づくフィルタと、
第1の作業ロールと第2の作業ロールとの間のロールギャップ、ロール力、ミル速度および/またはストリップ張力を制御してシート金属を生産するように結合されたコントローラ出力と、を備える。
【0008】
別の態様では、本発明は、ロールスタンドによって生産されるシートメタルの厚さおよび平坦度を自動制御するためのコントローラをプログラミングする方法を対象とし、方法は、
ロールスタンドのモデルを生成するステップであって、モデルは多変数かつ予測的である、モデルを生成するステップと、
シート金属の厚さおよび平坦度の変動を含む入力を受信するステップと、
モデルに基づいてフィルタを生成するステップと、
ロールスタンドによって生産されるシートメタルの厚さおよび平坦度を制御するために、入力に基づいてフィルタのパラメータを自動的に調整するステップと、を含む。
【0009】
更なる態様では、本発明は、第1の作業ロールと第2の作業ロールとを有するロールスタンドを出るシートメタルの厚さおよび平坦度を制御するためのコントローラを対象とし、コントローラは、
プロセッサと、
ロールスタンドを出るシートメタルの厚さを測定する手段と、
ロールスタンドを出るシートメタルの記平坦度を測定する手段と、
プロセッサに結合されたメモリデバイスであって、
シートメタルの厚さおよび平坦度の変動を含む入力を受信することと、
ロールスタンドのモデルを生成することと、
モデルに基づいてフィルタを実行することと
第1の作業ロールと第2の作業ロールとの間のロールギャップ、ロール力、ミル速度、および/またはストリップ張力を制御するように結合された出力を提供することと、を行うためにプロセッサによって実行される読み取り可能なプログラムを含む、メモリデバイスと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】シートメタル冷間圧延機システムを示す。
図2】自動ゲージ制御を備えたシートメタル冷間圧延機を示す図である。
図3】自動平坦度制御を備えたシートメタル冷間圧延機を示す図である。
図4】シートメタル圧延機システムの斜視図である。
図5】ミルの断面図である。
図6】コントローラの動作を示すブロック図である。
図7】閉ループMPCシステムのブロック図である。
図8】コントローラを実装するためのコンピュータシステムを示す図である。
図9】本発明の方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
基本基準として採用される4-hiスタンド冷間圧延機(4-hi-mill)において生産されるような、シートメタルの厚さおよび平坦度を制御するための金属圧延機システムの装置および方法の特許請求に記載の本発明の様々な実施形態が説明される。しかしながら、本発明は、他の冷間圧延機構成に適用可能であることが理解される。
【0012】
図1は、厚さ制御を提供する金属圧延機システム2を例示する。圧延機スタンドは、垂直に積み重ねられ取り付けられた4つ以上のロール、例えば、各々が別個に取り付けられたより大きい直径のバックアップロール4,6と接触している2つのより小さい直径の作業ロール8、10を含んでもよい。流入する金属ストリップまたはワークピース1は、上部バックアップロール4、上部作業ロール8、下部作業ロール10、および下部バックアップロール6(これらは集合的に4-hiスタンド5と称される)を含む複数のロール4、8、10、および6を通してある厚さに低減される材料の巻出し(ペイオフ)スタンド12によって提供される。金属ストリップ1は、鋼、アルミニウムなどの鉄および/または非鉄であってもよい。金属ストリップは、アンコイラおよびコイラのそれぞれの速度を管理することによって制御される入口張力を有する。金属ストリップ1は、一対の作業ロール8、10の間のロールギャップを通過し、するストリップ速度を伴ってストリップ3としてロールギャップを出る。平均ゲージは、2つの作業ロール810間のストリップ3の平均厚さである。ロールスリップは、上部作業ロール8と下部作業ロール10との間の速度の差を指す。ミル速度は、作業ロールに接続された主ミルモータの速度である。Cフレーム/X線厚さセンサ16は、巻戻しスタンド14によって回収される前に、4-hiスタンドから出るストリップ3の厚さを測定する。自動ゲージ制御(automatic gauge control、AGC)システム18は、厚さ測定値(X線センサ16から)および厚さ目標(オペレータなどから)を受信し、ギャップ出力、速度出力、およびペイオフ張力出力の別々の信号を送信する。
【0013】
図2は、ギャップ位置決め機構を示す金属圧延システム22を示し、左リール32から供給される流入する金属ストリップ11は、上部バックアップロール24、上部作業ロール28、下部作業ロール30、および下部バックアップロール26を含む4-hiスタンド15のロールギャップを通過する。厚さゲージ40および厚さゲージ36は、出口ストリップ13が右リール34に回収される前に、入口ストリップ11および出口ストリップ13の厚さをそれぞれ測定する。リールモータ電流制御部44およびリールモータ電流制御部42は、それぞれ、左リール32および右リール34を管理する。4-hiスタンドはギャップ位置決めシステム46を備えており、ギャップ位置決めシステム26は、機械式、油圧式、または両方の組み合わせであり得る。ギャップ位置決めシステム46は、作業ロールギャップを変化させ得るシステムであり、それぞれバックアップロール24、26の対向する端部に対してクランプして作業ロール28、30にロール力(圧力)を加えるねじ下げ部またはねじを各々が備える1対のねじ下げモータまたは油圧シリンダを含む。中心線などにおけるストリップ13の送出厚さは、目標厚さにできるだけ近く適切に管理される。自動ゲージ制御システム38は、ストリップ厚さセンサ40、36から厚さ測定値を受信し、油圧ねじ下げシリンダ46に信号を送信する。
【0014】
特許請求に記載の本発明のモデルベースの多変数予測コントローラ(MPC)は、(1)ロールギャップ、(2)ロール力、(3)入口張力、および(4)ミル速度を管理する自動ゲージ制御(AGC)のための4つのアクチュエータを操作する多変数コントローラを含む。多変数コントローラはまた、(5)クーラントまたはオイルスプレー、(6)チルト制御(差動ギャップまたは差動負荷)、および(7)自動平坦度制御(automatic flatness control、AFC)のための曲げ制御を管理するための3つのアクチュエータを操作する。差動ギャップは、駆動側ロールギャップと非駆動側ロールギャップとの間の差である。差動負荷/力は、駆動側ロール力と非駆動側ロール力との間の差である。曲げ制御は、(例えば3つの)アクチュエータ間の平坦度を調整する。
【0015】
自動ゲージ制御(AGC)用語「AGC」または「ゲージ制御」は、金属における機械方向の厚さの制御を指す。フィードバックは、1つ以上の固定小数点センサによって供給される。
【0016】
作業ロールの位置決めは、軽箔圧延の場合のようにロールの端部が接触しないより重いパスにおいて有効である。特定のコイルの動作範囲内では、出口ストリップ厚さはロールギャップ開口度に直接関係する。より軽いパスでは、ロールの端部が接触するので、ロールギャップ開口度を容易に変更することができない。
【0017】
ミル速度は、箔フィルム厚さ(速度が増加するにつれて減少する)がストリップ厚さに実質的に影響し得る箔パスのためのAGC作動に有効である。ミル速度はミルオペレータによって設定され、作業ロール角速度に変換される。ペイオフ張力は、箔および薄いシートに対して最も効果的である。制御モードは、ミルローリングを開始する前に(ミルオペレータなどによって)選択される。
【0018】
ロールギャップおよび力制御:ロールギャップおよび力制御設定点を介したゲージまたは厚さの閉ループ制御であり、ロール位置および圧力フィードバックを備えた閉ループロール位置決めシステムを有するミルにおけるより重いパスで使用される。この制御は、ギャップ制御システム(油圧システムなど)への出力を行って、ミルスタックにおけるロール位置および力制御を調整する。
【0019】
張力制御:ペイオフストリップ(入口)張力による厚さの閉ループ制御。この制御により、ミル駆動システムへの出力が行われ、ペイオフモータへの電機子電流が調整される。実際のストリップ張力は、特定の張力単位(例えば、psi、kN/m)で測定または計算することができるが、場合によっては、電機子電流は、絶対張力(アンペア)に正比例するかのように扱われる。
【0020】
ミル速度およびロール速度制御:出力はミル駆動システムに供給されて、ミル速度が調整され、ミルの作業ロール28、30の速度が制御される。
【0021】
図3は、平坦度制御部を含む金属圧延システム52を示し、左リール62から流入する金属ストリップ21は、上部バックアップロール54、上部作業ロール58、下部作業ロール60、および下部バックアップロール56を含む4-hiスタンド25を通過する。厚さゲージ66は、右リール64に回収される前のストリップ23の厚さを測定する。リールモータ電流制御部44、42(図示せず)はそれぞれ、左および右リール62、64の駆動を管理する。4-hiスタンドは、ギャップ位置決めシステム76を装備しており、ギャップ位置決めシステム76は、機械式、油圧式、または両方の組み合わせであり得る。ギャップ位置決めシステム76は、作業ロールギャップを変化させ得るシステムであり、それぞれ2つのバックアップロール54、56の対向する端部に対してクランプして作業ロール58、60にロール力(圧力)を加えるねじ下げ部またはねじを各々が備える2つのねじ下げモータ(図示せず)を含む。ねじ位置によってロールギャップが能動的に調整される。複数のノズル74が作業ロール58上に冷却剤または油をスプレーし、複数のノズル82が作業ロール60上に冷却剤または油をスプレーする。平坦度センサロール80は、出口ストリップ23の平坦度を測定し、平坦度取得信号を生成する。自動平坦度制御部84は、ヒューマンマシンインターフェース(Human-Machine Interface、HMI)などからの目標70と、オペレータ(図示せず)などからのプリセット条件72と、を含む入力を受け取り、比較する。
【0022】
図4は、上部バックアップロール112、上部作業ロール116、下部作業ロール118、および下部バックアップロール114を備える4-hiスタンド110を示す。細長い上部および下部冷却剤またはオイル分配システム120、122は、それぞれ、上部作業ロール116および下部作業ロール118に隣接して配置される。各分配システムは、作業ロールの長さに沿って冷却剤または油をスプレーするために、4-hiスタンドに面する内側に複数のノズルを有する。典型的には、各分配システム120、122は、その長さに沿って20~60個のアクティブノズルを有し、これらのノズルは、それぞれ作業ロール116、118の安定した温度制御のためのスプレー冷却剤またはオイルを提供することができる。加えて、スプレーノズルは、作業ロール116、118の長さに沿ってゾーン化された選択的冷却を提供する。4-hiスタンドは、典型的には20~60個のアクティブロータの範囲にある複数のアクティブロータを備える平坦度センサロール124を備える。
【0023】
特に、形状計(個々のセンサまたはロータを含む)およびスプレーバー分配システム120、122(個々のスプレーノズルを含む)には、全数のゾーンが存在する。その特定のパスで実際に圧延されるシートの実際のストリップ幅に基づいて、ある数のロータおよびスプレーノズルのみがシートによってカバーされる。特定のパスにおいて圧延ストリップによってカバーされるこれらのロータおよびスプレーゾーンは、M個の冷却スプレーノズルを有するN個のアクティブ/使用ロータ/ゾーンと呼ばれる。これらのアクティブ/使用ゾーンのみが平坦度制御に使用される。典型的には、NはMに等しい。
【0024】
一例として、50mmの個々の幅ゾーン幅を有する圧延機にそれぞれ30個のロータ(形状計内)およびスプレーノズルがある場合、この特定のミルで圧延され得る金属ストリップの最大幅は、30×50=1500mmである。金属ストリップ幅が1200mmである場合のパスについては、ロータ(形状計において)およびスプレーノズルの24ゾーンのみがアクティブにカバーされる。したがって、ロータおよびスプレーノズルの最初のゾーン3および最後のゾーン3は、ストリップの外側にあるか、あるいはカバーされていない。この例では、M個の冷却スプレーノズルを有するN個のアクティブ/使用ロータ/ゾーンは、24個のゾーンである。
【0025】
特許請求に記載の本発明は、多くの実施形態を想定している。システムは冷却または加熱することができる。スプレー冷却剤は、油性であっても水性であってもよい。この構成は、スプレーノズルの複数のゾーンまたは列を含むことができる。スプレーノズルまたは弁は、単一、二重、または三重の重複するかあるいは千鳥状にされた列に配列されてもよい。スプレー冷却剤は、連続(例えば、一定流量)モードまたはパルスモードを含んでもよい。形状計は、プロファイル入力を提供するために含まれてもよく、あるいは除外されてもよい。25mm以上などのスプレーゾーン幅は、衝撃、スプレー角度、および液滴サイズの調整を可能にすることができる。
【0026】
図5は、上部バックアップロール90、上部作業ロール94、下部作業ロール96、および下部バックアップロール92を含む4-hiスタンドの構成配置を示す。作業ロール94、96は、金属ストリップが一対の作業ロール94、96の間にあるロールギャップを通過する際に、主駆動ギアボックスから駆動される。ロール曲げジャッキ98および油圧シリンダ100は、熱アクチュエータと機械アクチュエータ(図示せず)の組合せを使用してロールギャップおよびロール力に関与する。
【0027】
自動平坦度制御(AFC):自動平坦度制御(または形状制御)は、金属ストリップ平坦度の横方向測定および制御を指す。平坦度(または形状)の測定は、金属の任意の部分上のストリップ厚さの減少がシートにわたって1つの点から別の点まで変動するときに生じ得る長さの変動の表現を提供する。ストリップ平坦度の制御は、熱アクチュエータと機械アクチュエータとの組み合わせによって達成される。
【0028】
スプレーまたはノズル制御:冷却スプレーは、ストリップにわたる局所的な平坦度誤差の微調整のために使用される。この効果は、作業ロールの入口側の活性圧延表面にわたって(例えば、規則的または周期的な)間隔でスプレーされる圧延油または水による熱の除去に起因して作業ロール内で生じる冷却の結果である。冷却スプレーは、上部および下部作業ロール用のスプレーノズルの別個のバンクを有する。これらの各々は、次に、異なるサイズの1つ、2つ、または3つのノズルを有し得る。
【0029】
曲げ:ミルにおける曲げは、ミルの両側に存在する油圧アクチュエータによって制御される。アクチュエータは、作業ロール用の軸受ブロックの間で作用する。アクチュエータが作業ロール軸受ブロック間で移動されるとき、正の曲げが達成される。これは、作業ロールクラウンを増加させ、すなわち、ロールギャップ設定の同じエッジに対して、ミルの中心における作業ロール間の距離を減少させる。負の曲げは、作業ロールクラウンを減少させ、これは、ロールギャップ設定の同じエッジに対して、ミルの中心における作業ロール間の距離を増加させる。
【0030】
チルト:チルト制御は、形状プロファイルにおける任意の左右の差異を排除するように動作する。ストリップ平坦度の線形成分を制御するために使用されるロールギャップまたは圧延荷重の横方向(左右、横方向)の差。
【0031】
図6は、特許請求に記載の本発明の様々な実施形態におけるモデルベースの多変数予測コントローラを備える装置を示す。オブザーバ144は、ミル142の最新の入力および最新の出力を監視(比較など)して、最新の外乱の存在、サイズ、および結果を検出する。そして、オブザーバ144は、最新の状態/情報をコントローラ140に供給する。コントローラ140は、関数f(x,u,d)の最新モデルと、指定されたx最小値と指定されたx最大値との間の最新制約条件とを使用して、最大合計生産性の最新目標を達成する。次いで、コントローラ140は、必要に応じて、最新の外乱を補償して最新の出力を達成するために、最新の入力をミル142に供給する。フィードバックは継続する。例えば、オブザーバ144は、コントローラ140によって供給された最新の入力の有効性を確認または否定するために、最新の状態/情報を供給する。
【0032】
図7は、特許請求に記載の本発明の様々な実施形態におけるモデルベースの多変量予測制御(AGC)を含む方法を示す。出口厚さ目標、入口厚さ、および制約条件はすべて、モデルベースの多変数予測制御部(AGC)130に供給される。AGC130は、最新のロールギャップ/ロール力および最新のミル速度/ストリップ張力を圧延機132に供給する。外乱は圧延機132に影響を及ぼす可能性がある。最新の出口厚さフィードバックは、出口厚さ目標と比較され、新しい出口厚さ誤差が計算され、これは、後に、入口厚さおよび制約条件とともに、AGC130に供給される。
【0033】
本発明のMPCは、コントローラ設計のために様々なモデルを使用する。モデルは、バンプテストから導出される。ミルは、選択されたアクチュエータを意図的に妨害し、典型的には開ループの制御システムを用いてそれらの応答を検出することによって、バンプ試験を受けることができる。バンプ試験という用語は、ミルのアクチュエータ設定値などのミルの動作パラメータが変更され、そこから生じるある従属変数の変化が測定される手順を指す。ミルが定常状態または安定動作に達した後、特定の動作パラメータが測定され、記録される。バンプ試験に対する応答の代表的なデータを提供するために、ある長さの時間にわたる十分な数の測定が行われる。
【0034】
例えば、ロールギャップ/位置におけるバンプ試験は、その特定のシステム/フィールドデバイスに関するこれら2つの変数間の応答/関係を導出することができるシート厚さを変更する場合がある。同様に、スプレーまたはロール曲げにおけるバンプ試験は、シートの平坦度に影響を与える。
【0035】
自動ゲージ制御のためのMPC
このセクションでは、自動ゲージ制御(AGC)のためのモデルベースの多変数予測コントローラMPCについて説明する。以下のモデルが、本発明の実施形態によるコントローラ設計に使用される。ロールギャップ、全負荷(圧延力)、ストリップ張力、およびミル速度のモデルは、バンプ試験データから導出され、バンプ試験データと同調される。
【0036】
【数1】
【0037】
純粋な時間遅延に対する伝達関数はe-qsであり、ここでqは時間遅延である。いくつかの制御システム設計技法は、動的挙動のための有理伝達関数を必要とし、その場合、不感時間のためのパデ近似が使用され得る。
【0038】
一次近似は、単一の正の0を有する逆応答を有する。二次近似は、分子伝達関数の2つの正の複素共役ゼロを有する二重逆応答を有する。
【0039】
ほとんどの常微分方程式数値積分器は、時間遅延のない純粋な微分方程式を必要とする。時間遅延を有する微分方程式系では、パデ近似を使用して、それらを遅延のない微分方程式に変換することができ、したがって、それらを数値的に積分することができる。
【0040】
第1に、遅延は、有理伝達関数を得るために2次のパデの式によって近似される。次に、この連続時間伝達関数は離散時間伝達関数に変換され、その後、以下の形式の状態空間モデルに変換される。
【0041】
【数2】

ここで、kは離散時間サンプリング時点であり、u(k)は操作可能な入力のベクトルであり、d(k)は外乱入力のベクトルである。実際のミルの応答は、このモデルに正確に従わない場合もある。このプラント/モデルミスマッチを組み込むために、イノベーションバイアスアプローチが使用される。イノベーション信号(e(k))は、実際の出力と予測された出力との間の差として計算される。このイノベーション信号のフィルタリングされたバージョン(e(k))は、以下のように予測式を補正するために使用される。
【0042】
【数3】

ここで、yact(k)は実際の出力であり、Lはカルマン予測器の利得であり、Φはフィルタ定数行列(各値が0と1との間の対角行列)である。Iは単位行列である。
【0043】
カルマンフィルタは最適なフィルタであるので、推定分散を最小化するカルマン利得が望まれる。推定分散を最小化するために、共分散行列の主対角線(左上から右下へ)を最小化する。
【0044】
この予測モデルに基づいて、状態フィードバックMPCコントローラが設計される。まず、このモデルを差分形式で表現する。x(k)u(k)d(k)およびe(k)をそれぞれ、状態、入力、外乱、およびイノベーションとして使用する代わりに、Δx(k+1)=x(k+1)-x(k)、Δu(k)=u(k)-u(k-1)、Δd(k)=d(k)-d(k-1)およびΔe(k)=e(k)-e(k-1)をそれぞれ、状態、入力、外乱、およびイノベーションとして使用する。この変換を使用すると、我々のモデルは以下のようになる。
【0045】
【数4】

これは、式(7)の拡張状態系であり、以下のように表すことができる。
【0046】
【数5】
【0047】
MPCは、状態の予測のためにこのモデルを使用する。ここでは、2つの重要なコントローラパラメータがある。予測範囲(Np)は、コントローラが予測を行う将来の時間インスタンスの数を指定する。予測範囲が大きければ大きいほど、閉ループ結果は良好である。しかしながら、これは、より大きな計算時間をもたらす。同様に、制御範囲(Nc)は、コントローラ性能基準を最適化するために使用される将来の入力の数を指定する。典型的には、NcはNpよりもはるかに小さい。これらの2つのパラメータと、開始状態x(ki)、外乱d(ki)、および実際の出力yact(ki)とを使用して、出力予測は以下のように表すことができる。
=Fx(ki)+ΦΔU+ΓΔd(ki)+ΓΔe(ki) (11)
式中、
【0048】
【数6】

は、現在の状態X(ki)に基づく将来のNp個の出力予測である。
【0049】
【数7】

は、計画された次のNc制御移動である。したがって、
【0050】
【数8】
【0051】
MPC目的関数Jを制御誤差と制御動作の組合せとして考える。具体的には、以下のとおりである。
【0052】
【数9】

ここで、Rは予測範囲に沿った設定点軌道であり、Rは入力変化に対する重みを捕捉するベクトルであり、チューニングパラメータである。R内の要素の高い値は、入力移動に対する強いペナルティを意味し、したがって、ある時点から次の時点に移動するにつれて入力が徐々に変化することになる。一方、R→0であれば、コントローラは単にエラーに焦点を合わせる。式(11)からYを代入すると、Jを以下の二次形式で表すことができる。
【0053】
【数10】
【0054】
MPCは、制約を受けるこの目的関数を最小化し、入力移動ベクトルΔUを計算する。定数項は、最適解に影響を与えないので無視することができる。実際の入力ならびに入力変化に対して制約を設けることができる。後退する水平のMPCは第1の入力u(ki)のみを使用するので、他の将来の(Nc-1)個の入力値は破棄される。したがって、第1の移動のみに制約を含めることができる。これは、計算労力を低減することになる。したがって、合計4つの制約、すなわち、minおよびmax入力値制約(umin≦u(ki≦umax)、minおよびmax入力変化制約(Δumin≦Δu(ki)≦Δumax)が存在する。任意の時間インスタンスkiにおいて、これらは次のように表される。
【0055】
【数11】
【0056】
最初の2つの制約は、前の入力値に依存し、したがって、時間に沿って移動するにつれて更新されることに留意されたい。これらの制約は、以下の行列形式で書くことができる。
conΔU≦b (24)
【0057】
したがって、任意の時間インスタンスkiにおいて、MPCは、以下の制約付き最適化問題を解くことになる。
【0058】
【数12】

conΔU≦b であることを前提とする(25)
これは二次計画問題である。これは、Hildrethの二次計画法アルゴリズムを用いて解くことができる。最適解ΔUoptは、現在の状態x(ki)、外乱測定値d(ki)、およびイノベーション信号e(ki)に依存することに留意されたい。この最適解から、第1のエントリΔuopt(ki)のみがプロセスに送信される。次いで、コントローラは、次の時間インスタンス(ki+1)まで待機し、更新された状態フィードバックベクトルx(ki+1)、外乱d(ki+1)、およびシステムからの実際の出力yact(ki+1)に基づいて、これらすべての計算を繰り返す。
【0059】
MPCは、状態フィードバックコントローラである。しかしながら、これらの状態の全てが測定可能である必要はない。本発明の場合、遅延のパデ近似のために、架空の、したがって測定不可能な状態が導入される。したがって、出力測定値からこれらの状態を再構築する状態推定器(オブザーバとしても知られている)が必要である。ここでは、カルマンフィルタベースのオブザーバを使用した。オブザーバモデルは、以下に示すように、プロセスモデルから構築することができる。
x^(k+1)=Ax^(k)+Bu(k)+Bd(k)+Kob(yact(k)-Cx^(k)) (26)
ここで、x^(k+1)は、実際の状態x(k+1)の推定値である。オブザーバモデルの第1の部分は、式(7)で与えられるプロセスモデルと同じであることが分かる。第2の部分は、これらの推定値を実際の状態値に収束させるために必要とされる、実際の測定値yact(k)に基づくフィードバック補正項である。オブザーバゲインKobは、定常カルマンフィルタ公式に基づいて選択される。具体的には、i番目の外乱の分散がσ(i)であり、j番目の出力の分散がσ(j)である場合、次式が得られる。
【0060】
【数13】
【0061】
オブザーバゲインKob=Lは、以下の陰方程式(リカッチ方程式としても知られている)を解くことによって計算される。
【0062】
【数14】

ここで、Pは推定誤差の共分散を表す。
【0063】
リカッチ方程式は、二次の同次常微分方程式に関連するので、興味深い一次の非線形常微分方程式である。
【0064】
上記は、自動ゲージ制御(AGC)のための多変数モデルベースのコントローラMPCの設計を説明している。コントローラは、より良い制御を達成するために、4つのアクチュエータ(ロールギャップ、ロール力、入口張力、およびミル速度)のすべてを同時に使用することができる。外乱測定を使用するAGC MPCは、モデル予測を改善し、したがって、より良好な厚さ制御をもたらす。
【0065】
自動平坦度制御のためのMPC
AFCのためのMPCコントローラは、同様の方針に従って導出される。シートがN個のアクティブな/使用ロータ/ゾーンを有すると考える。したがって、N個の冷却スプレーノズルが存在する。合計(N+2)個のアクチュエータが存在する。各スプレーノズルについて、差分ギャップの目標値(チルト制御)、正と負の曲がりPV間の差(曲がり制御)、およびスプレーデューティサイクルが存在する。平坦度プロファイルの動的応答をモデル化するために、瞬時平坦度プロファイルが線形成分と二次成分とに分解される。対応するチルトモデルを以下に示す。
【0066】
【数15】

ここで、出力aは線形成分の係数の偏差を表し、uは差分ギャップの偏差を表す。同様の方針に従って、曲げモデルを以下に示す。
【0067】
【数16】

ここで、出力aは二次成分の係数の偏差を表し、uは正と負の曲がりPV間の差の偏差を表す。曲げおよびチルトモデルはシート全体にわたる効果を捕捉するが、ノズルモデルは局所的であり、以下に与えられる。
【0068】
【数17】

ここで、rは、i番目の位置における形状-I値の偏差を捕捉し、un,iは、その位置についてのスプレーデューティサイクルの偏差を表す。この同じモデルが全てのアクティブゾーンに対して使用される。AGCの場合と同様に、チルトおよびノズルモデルにおける不感時間は、パデの式を用いて近似される。次に、モデルを離散化し、状態空間形式に変換する。次に、これらの(N+2)個の状態空間モデルを互いに組み合わせて、式(7)の形式のマスタ状態空間モデルを得る。uはAGCにおいてスカラー(1次元ベクトル)であったが、ここでは、(N+2)個の入力を有するベクトルであることに留意されたい。したがって、x、A、B、Cの次元も異なる。コントローラ設計手順の残りは、AGCと同様である。4(N+2)の制約すなわち各入力に対して4つの制約があり、AGCと同様に構成される。
【0069】
ミルデータ、例えば、使用される(アクティブなまたはシートによってカバーされた)ロータの数、ならびに秒単位のデューティサイクルが指定される。前者は問題の次元を設定するが、後者はコントローラ実行頻度として使用される。所望の/目標の形状は、線形成分および二次成分に関して入力することができる。例えば、平坦なプロファイルの場合、これらの成分は0に設定される。開始/初期プロファイル(Shape-I値)は、実際のデータから考慮される必要がある。これは生データと呼ばれる。これは0平均データに変換され、これが目標形状(これも0平均である)と比較されて、AFCシステムから必要とされる全体的な制御努力を計算する。次に、この必要とされる制御努力は、線形成分および二次成分に分解される。デフォルト設定では、線形成分制御はチルト制御を介して対処され、二次成分制御は曲げ制御を介して対処され、残りの努力はノズル制御を介して管理される。しかしながら、これを修正するための2つの設定がある。チルトおよび/または曲げ制御動作を完全にオフにするオプションがある。この設定では、制御努力のその部分がノズル制御に移される。第二に、チルト、曲げまたはノズル制御努力の各々は、下限(不感帯)および上限(クランピング)を有する。これらに基づいて、最終的なチルト、曲げ、およびノズル目標(各ノズルについて)が計算され、設定点RとしてMPCに渡される。MPCの計算はデューティサイクル中に1回だけ実行され、入力はこの時間を通じて一定に保持されることに留意されたい。
【0070】
本発明のプロセスは、生産されるシートの厚さおよび平坦度の精度を改善するために、自動ゲージおよび平坦度制御並びに油圧ギャップ制御(hydraulic gap control、HGC)コントローラを有するものを含む、冷間圧延機システムなどのプラントに組み込まれてもよい。ミルは、コントローラからの出力を含んでもよい。コントローラは、センサからの入力と、MATLABスクリプトまたは別の適切なプログラムなどの本発明の方法をコントローラ環境に統合することによって様々なモデルを含み得るフィルタとを含むことができる。
【0071】
図8は、以下のような材料の圧延プロセスの内部ミルモデル800を含む特許請求に記載の本発明の一実施形態を示す。
【0072】
ブロック810において、ミルモデルは、測定を行うことによって圧延中のプロセスパラメータを推定する。
【0073】
ブロック820において、ミルモデルは、圧延プロセスをエミュレートし、ロールギャップにおける材料の厚さおよび平坦度を予測する。
【0074】
ブロック830において、ミルモデルは、プロセスにおける不感時間および動的遅延に依存しない、操作変数と呼ばれる最適なコントローラ出力を決定する。
【0075】
ブロック840において、ミルモデルは、プロセスモデルを使用し、制約を条件として、将来の時間間隔にわたって予測される性能目標を最適化する操作変数プロファイルを計算する。
【0076】
図9は、例示的実施形態によるモデルベースの多変数予測コントローラおよび方法を備える装置を実装するためのコンピュータシステム150のブロック概略図である。全ての構成要素が様々な実施形態において使用される必要はない。コンピュータシステム150の形態の1つの例示的なコンピューティングデバイスは、処理ユニット152と、メモリ154と、リムーバブルストレージ162と、非リムーバブルストレージ164と、を含むことができる。例示的なコンピューティングデバイスがコンピュータシステム150として例示され、説明されているが、コンピューティングデバイスは、異なる実施形態において異なる形態であってもよい。例えば、コンピューティングデバイスは、代わりに、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、または他のコンピューティングデバイスであってもよい。スマートフォン、タブレット、およびスマートウォッチなどのデバイスは、一般に、モバイルデバイスと総称される。更に、様々なデータストレージ素子がコンピュータシステム150の一部として例示されているが、ストレージは、追加的にあるいは代替的に、インターネットなどのネットワークを介してアクセス可能なクラウドベースのストレージを含んでもよい。
【0077】
メモリ154は、揮発性メモリ158と、不揮発性メモリ160と、を含んでもよい。コンピュータシステム150は、揮発性メモリ158および不揮発性メモリ160、リムーバブルストレージ162および非リムーバブルストレージ164などの様々なコンピュータ可読媒体を含むか、あるいはそれらを含むコンピューティング環境へのアクセスを有することができる。コンピュータストレージは、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、リードオンリーメモリ(read only memory、ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(erasable programmable read-only memory、EPROM)および電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(electrically erasable programmable read-only memory、EEPROM)、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(compact disc read-only memory、CD ROM)、デジタル多用途ディスク(Digital Versatile Disk、DVD)または他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ、または本明細書で説明される機能を実行するためのコンピュータ可読命令を記憶することが可能な他の磁気ストレージデバイスを含む。
【0078】
コンピュータシステム150は、入力168と、出力170と、通信インターフェース164とを含むコンピューティング環境を含むか、あるいはそのようなコンピューティング環境にアクセスすることができる。出力170は、入力デバイスとしても機能し得るタッチスクリーンなどのディスプレイデバイスを含み得る。入力168は、タッチスクリーン、タッチパッド、マウス、キーボード、カメラ、1つ以上のデバイス固有ボタン、コンピュータシステム150内に統合された、または有線若しくは無線データ接続を介して結合された1つ以上のセンサ、および他の入力デバイス168のうちの1つ以上を含むことができる。コンピュータシステム150は、クラウドベースのサーバおよびストレージを含むデータベースサーバなどの1つ以上のリモートコンピュータに接続するために通信接続を使用してネットワーク化された環境で動作することができる。リモートコンピュータは、パーソナルコンピュータ(personal computer、PC)と、サーバと、ルータと、ネットワークPCと、ピアデバイスまたは他の共通ネットワークノードなどと、を含むことができる。通信接続は、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network、LAN)、広域ネットワーク(Wide Area Network、WAN)、セルラー、WiFi、Bluetooth、または他のネットワークを含んでもよい。
【0079】
コンピュータ可読ストレージデバイスに記憶されたコンピュータ可読命令は、コンピュータシステム150の処理ユニット152によって実行可能である。ハードドライブ。CD-ROMおよびRAMは、ストレージデバイスなどの非一時的コンピュータ可読媒体を含む物品のいくつかの例である。コンピュータ可読媒体およびストレージデバイスという用語は、搬送波を含まない。例えば、コンピュータプログラム156を使用して、処理ユニット152に、本明細書で説明する1つ以上の方法またはを実行させることができる。
【0080】
上記は、本発明の原理、好ましい実施形態、および動作モードを説明してきた。しかしながら、本発明は、考察される特定の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。したがって、上で説明した実施形態は、制限的なものではなく、例示的なものとみなされるべきであり、以下の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によってそうした実施形態に対して様々な変形が行われ得ることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】