(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178918
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】実装システム、実装支援装置および実装支援方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024088915
(22)【出願日】2024-05-31
(31)【優先権主張番号】P 2023097233
(32)【優先日】2023-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】熊川 正啓
(72)【発明者】
【氏名】住田 寛人
(72)【発明者】
【氏名】羽場 直也
(72)【発明者】
【氏名】綴木 邦巳
(72)【発明者】
【氏名】高橋 淳一
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC04
5E353CC25
5E353EE23
5E353EE32
5E353HH40
5E353HH72
5E353NN18
5E353QQ21
(57)【要約】
【課題】タグの情報を読み取るための構成要素を省スペース化することができる実装システム等を提供する。
【解決手段】部品実装システム10は、部品を収容するケース315およびケース315が装着されるフィーダの少なくとも一方を所定の方向に複数並べて配置可能な配置部(例えば、フィーダ支持部75)と、配置部に配置された複数のフィーダ(例えば、カセットフィーダ311)、または、配置部に配置された複数のケース315を含む複数の対象物に設けられたタグと通信可能に構成される1以上のアンテナ314と、1以上のアンテナ314が複数の対象物それぞれのタグ315tから受信した電波に基づいて、複数の対象物の所定の方向における位置を特定する第1処理部(例えば、設備制御部26)とを備える。そして、1以上のアンテナ314の数は、配置部に配置可能な対象物の数より少ない。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を収容する部品収容体および前記部品収容体が装着されるフィーダの少なくとも一方を所定の方向に複数並べて配置可能な配置部と、
前記配置部に配置された複数の前記フィーダ、または、前記配置部に配置された複数の前記部品収容体を含む複数の対象物に設けられたタグと通信可能に構成される1以上のアンテナと、
前記1以上のアンテナが複数の前記対象物それぞれの前記タグから受信した電波に基づいて、複数の前記対象物の前記所定の方向における位置を特定する第1処理部と、を備え、
前記1以上のアンテナの数は、前記配置部に配置可能な前記対象物の数より少ない、
実装システム。
【請求項2】
前記第1処理部は、前記1以上のアンテナの各々が複数の前記対象物それぞれの前記タグから受信した電波の信号強度を示す第1受信信号強度に基づく情報を入力情報とし、当該タグが設けられる前記対象物の前記所定の方向における位置に関する情報を正解データとして学習された第1学習モデルを用いて、前記対象物の前記所定の方向における位置を特定する、
請求項1に記載の実装システム。
【請求項3】
前記第1処理部は、前記配置部のタイプに応じて異なる前記第1学習モデルを用いて、前記対象物の前記所定の方向における位置を特定する、
請求項2に記載の実装システム。
【請求項4】
前記対象物は、前記部品収容体であり、
第2学習モデルは、前記部品収容体に収容されている部品の数量が前記第1受信信号強度の電波を受信したときと異なる数量であるときに受信した電波の信号強度を示す第2受信信号強度に基づく情報を入力情報として学習されており、
前記第1処理部は、前記配置部に配置された2以上の前記フィーダに装着された前記部品収容体に収容される部品の数量に応じて、前記第1学習モデルと前記第2学習モデルとを切り替える、
請求項2に記載の実装システム。
【請求項5】
第3学習モデルは、前記配置部に配置された複数の前記対象物の数および位置の少なくとも一方が前記第1受信信号強度の電波を受信したときと異なる数および位置の少なくとも一方であるときに受信した電波の信号強度を示す第3受信信号強度に基づく情報を入力情報として学習されており、
前記第1処理部は、前記配置部に配置された前記対象物の数および位置の少なくとも一方に応じて、前記第1学習モデルと前記第3学習モデルとを切り替える、
請求項2に記載の実装システム。
【請求項6】
前記対象物は、前記フィーダを介して前記配置部に配置されており、
第4学習モデルは、前記配置部に配置された前記フィーダの数および位置の少なくとも一方が前記第1受信信号強度を受信したときと異なる数および位置の少なくとも一方であるときに受信した電波の信号強度を示す第4受信信号強度に基づく情報を入力情報として学習されており、
前記第1処理部は、前記配置部に配置された前記フィーダの数および位置の少なくとも一方に応じて、前記第1学習モデルと前記第4学習モデルとを切り替える、
請求項2に記載の実装システム。
【請求項7】
前記配置部は、第1部品収容体および第2部品収容体のそれぞれを複数並べて配置可能であり、前記第1部品収容体に設けられた第1タグと前記第2部品収容体に設けられた第2タグとが鉛直方向において異なる位置に配置されるように前記第1部品収容体および前記第2部品収容体を配置し、
前記第1処理部は、前記1以上のアンテナが前記第1タグおよび前記第2タグのそれぞれから受信した電波に基づいて、前記配置部に配置された前記第1部品収容体および前記第2部品収容体の位置を特定する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の実装システム。
【請求項8】
前記配置部は、前記フィーダを介して前記第1部品収容体を前記所定の方向に複数並べて配置可能なフィーダ支持部と、前記フィーダ支持部より下方に前記第2部品収容体を前記所定の方向に複数並べて配置可能な第1テープカセット支持部を備える、
請求項7に記載の実装システム。
【請求項9】
前記第1タグは、前記第1部品収容体の第1側面に設けられ、
前記第2タグは、前記第2部品収容体の第2側面に設けられ、
前記配置部は、前記第1部品収容体と前記第2部品収容体とを前記所定の方向に並べて配置可能であり、前記第1側面および前記第2側面の前記鉛直方向の位置が異なるように、前記第1部品収容体および前記第2部品収容体を配置可能に構成される、
請求項7に記載の実装システム。
【請求項10】
前記配置部は、複数の前記第1部品収容体を配置可能な第1配置部と、複数の前記第2部品収容体を配置可能な第2配置部とを有し、
前記1以上のアンテナは、前記第1配置部に設けられる1以上の第1アンテナと、前記第2配置部に設けられる1以上の第2アンテナとを有し、
前記1以上の第1アンテナの数は、前記第1配置部に配置可能な前記第1部品収容体の数より少なく、
前記1以上の第2アンテナの数は、前記第2配置部に配置可能な前記第2部品収容体の数より少ない、
請求項9に記載の実装システム。
【請求項11】
前記配置部は、複数の前記フィーダを一括して保持するとともに、装置本体の所定位置に着台可能な台車部に設けられ、
前記1以上のアンテナは、前記台車部に設けられる、
請求項1~6のいずれか1項に記載の実装システム。
【請求項12】
前記フィーダおよび前記部品収容体の少なくとも一方を実装装置に供給する供給装置をさらに備え、
前記配置部と前記1以上のアンテナとは、前記供給装置に設けられる、
請求項1~6のいずれか1項に記載の実装システム。
【請求項13】
前記フィーダおよび前記部品収容体の少なくとも一方を実装装置に供給する供給装置をさらに備え、
前記供給装置は、前記フィーダおよび前記部品収容体の少なくとも一方を仮置き場に移載可能に構成され、
前記配置部と前記1以上のアンテナとは、前記仮置き場に設けられる、
請求項1~6のいずれか1項に記載の実装システム。
【請求項14】
前記第1処理部は、前記部品を実装対象に実装する実装装置に設けられる、
請求項1~6のいずれか1項に記載の実装システム。
【請求項15】
前記第1処理部により特定された複数の前記対象物それぞれの位置に基づいて、当該位置に対応する適正な対象物が当該位置に配置されているか否かを判定する第2処理部をさらに備える、
請求項1~6のいずれか1項に記載の実装システム。
【請求項16】
前記第1処理部および前記第2処理部の一方は、前記部品を実装対象に実装する実装装置に設けられ、
前記第1処理部および前記第2処理部の他方は、前記実装装置が設置されるフロアとは異なる領域に配置された装置に設けられる、
請求項15に記載の実装システム。
【請求項17】
前記1以上のアンテナは、2以上のアンテナを含み、
複数の前記対象物は所定の間隔で並んで配置され、
前記2以上のアンテナのうち隣り合う2つのアンテナは、前記所定の間隔より大きな間隔で並んで配置される、
請求項1~6のいずれか1項に記載の実装システム。
【請求項18】
前記1以上のアンテナは、1つの基板に形成される、
請求項1~6のいずれか1項に記載の実装システム。
【請求項19】
前記1以上のアンテナとして、複数のアンテナを備え、
前記実装システムは、
発信用信号を発生する回路を有し、前記発信用信号の位相を調整する位相器を通過した前記発信用信号に応じた電波を前記複数のアンテナのそれぞれから発信させるための制御装置をさらに備える、
請求項1~6のいずれか1項に記載の実装システム。
【請求項20】
前記制御装置は、前記発信用信号の位相を前記複数のアンテナそれぞれについて示す第1の位相情報と、前記発信用信号の位相を前記複数のアンテナそれぞれについて示す第2の位相情報であって、前記第1の位相情報と異なる第2の位相情報とに基づいて、前記複数のアンテナのそれぞれに対して位相が調整された前記発信用信号を伝送し、
前記第1処理部は、前記第1の位相情報に基づく電波を発信したときに複数の前記対象物それぞれの前記タグから受信した電波と、前記第2の位相情報に基づく電波を発信したときに複数の前記対象物それぞれの前記タグから受信した電波とに基づいて、複数の前記対象物の前記所定の方向における前記位置を特定する、
請求項19に記載の実装システム。
【請求項21】
前記アンテナは、アレイアンテナを構成するアンテナ素子であり、
前記制御装置は、前記発信用信号の位相を前記アンテナ素子毎に示す第3の位相情報と、前記発信用信号の位相を前記アンテナ素子毎に示す第4の位相情報であって、前記第3の位相情報と異なる第4の位相情報とを前記発信用信号とともに、前記アレイアンテナに伝送し、
前記第1処理部は、前記第3の位相情報に基づく電波を発信したときに複数の前記対象物それぞれの前記タグから受信した電波と、前記第4の位相情報に基づく電波を発信したときに複数の前記対象物それぞれの前記タグから受信した電波とに基づいて、複数の前記対象物の前記所定の方向における前記位置を特定する、
請求項19に記載の実装システム。
【請求項22】
部品を収容する部品収容体および前記部品収容体が装着されるフィーダの少なくとも一方を所定の方向に複数並べて配置可能な配置部と、前記配置部に配置された複数の前記フィーダ、または、前記配置部に配置された複数の前記部品収容体を含む複数の対象物に設けられたタグと通信可能に構成される1以上のアンテナとを備える実装システムにおける複数の前記対象物の前記所定の方向における位置を特定する実装支援装置であって、
前記1以上のアンテナの数は、前記配置部に配置可能な前記対象物の数より少なく、
前記1以上のアンテナが複数の前記対象物それぞれの前記タグから受信した電波の信号強度に基づいて、複数の前記対象物それぞれの前記所定の方向における位置を特定する処理部を備える、
実装支援装置。
【請求項23】
部品を収容する部品収容体および前記部品収容体が装着されるフィーダの少なくとも一方を所定の方向に複数並べて配置可能な配置部と、前記配置部に配置された複数の前記フィーダ、または、前記配置部に配置された複数の前記部品収容体を含む複数の対象物に設けられたタグと通信可能に構成される1以上のアンテナとを備える実装システムにおける複数の前記対象物の前記所定の方向における位置を特定する実装支援方法であって、
前記1以上のアンテナの数は、前記配置部に配置可能な前記対象物の数より少なく、
前記1以上のアンテナが複数の前記対象物それぞれの前記タグから受信した電波の信号強度に基づいて、複数の前記対象物それぞれの前記所定の方向における位置を特定する、
実装支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、実装システム、実装支援装置および実装支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、部品供給部における複数のフィーダの取付け位置にわたる全範囲にアンテナ集合体が埋め込まれる表面実装機が開示されている。このアンテナ集合体は、1つのプリント基板に複数のアンテナが部品供給部におけるフィーダの配列ピッチに対応する間隔で形成されている。これにより、フィーダが装着されたときにフィーダの無線タグ(タグ)とアンテナとが対向し、無線タグに記録されている情報を読み取ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、フィーダの配列ピッチに対応する間隔でアンテナが形成されるので、アンテナの数が多くなる。そのため、複数のアンテナが接続されるリーダ装置には複数の接続端子が必要となりリーダ装置が大型化する、またアンテナとリーダ装置との間の配線が複雑化するので、タグの情報を読み取るための構成要素の配置スペースが多くなるという課題が生じる。
【0005】
そこで、本開示は、タグの情報を読み取るための構成要素を省スペース化することができる実装システム、実装支援装置および実装支援方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る実装システムは、部品を収容する部品収容体および前記部品収容体が装着されるフィーダの少なくとも一方を所定の方向に複数並べて配置可能な配置部と、前記配置部に配置された複数の前記フィーダ、または、前記配置部に配置された複数の前記部品収容体を含む複数の対象物に設けられたタグと通信可能に構成される1以上のアンテナと、前記1以上のアンテナが複数の前記対象物それぞれの前記タグから受信した電波に基づいて、複数の前記対象物の前記所定の方向における位置を特定する第1処理部と、を備え、前記1以上のアンテナの数は、前記配置部に配置可能な前記対象物の数より少ない。
【0007】
本開示の一態様に係る実装支援装置は、部品を収容する部品収容体および前記部品収容体が装着されるフィーダの少なくとも一方を所定の方向に複数並べて配置可能な配置部と、前記配置部に配置された複数の前記フィーダ、または、前記配置部に配置された複数の前記部品収容体を含む複数の対象物に設けられたタグと通信可能に構成される1以上のアンテナとを備える実装システムにおける複数の前記対象物の前記所定の方向における位置を特定する実装支援装置であって、前記1以上のアンテナの数は、前記配置部に配置可能な前記対象物の数より少なく、前記1以上のアンテナが複数の前記対象物それぞれの前記タグから受信した電波の信号強度に基づいて、複数の前記対象物それぞれの前記所定の方向における位置を特定する処理部とを備える。
【0008】
本開示の一態様に係る実装支援方法は、部品を収容する部品収容体および前記部品収容体が装着されるフィーダの少なくとも一方を所定の方向に複数並べて配置可能な配置部と、前記配置部に配置された複数の前記フィーダ、または、前記配置部に配置された複数の前記部品収容体を含む複数の対象物に設けられたタグと通信可能に構成される1以上のアンテナとを備える実装システムにおける複数の前記対象物の前記所定の方向における位置を特定する実装支援方法であって、前記1以上のアンテナの数は、前記配置部に配置可能な前記対象物の数より少なく、前記1以上のアンテナが複数の前記対象物それぞれの前記タグから受信した電波の信号強度に基づいて、複数の前記対象物それぞれの前記所定の方向における位置を特定する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、タグの情報を読み取るための構成要素を省スペース化することができる実装システム等を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】
図1Aは、実施の形態1に係る部品実装ラインの概略構成を示す図である。
【
図1B】
図1Bは、実施の形態1に係る部品実装システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る台車を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る仮置き場におけるテープカセットの配置例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係るフィーダを示す側面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1に係る複数の対象物に設けられたタグとアンテナとの配置の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1に係るテープカセットの一部を分解した分解斜視図である。
【
図7】
図7は、実施の形態1に係るテープカセット供給装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、実施の形態1に係る部品実装システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、実施の形態1に係る検証に用いたアンテナおよびタグの配置を示す図である。
【
図10】
図10は、実施の形態1に係るアンテナ別の電波の受信強度分布を示す図である。
【
図11】
図11は、実施の形態1に係る部品実装システムの動作を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、実施の形態1の変形例に係るアンテナを模式的に示す図である。
【
図13】
図13は、実施の形態2に係る部品実装装置の概略構成を示す図である。
【
図14】
図14は、実施の形態2に係る台車およびその周辺を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、実施の形態2の変形例に係る台車を模式的に示す断面図である。
【
図16】
図16は、実施の形態3に係るRFID読取部の構成を示す図である。
【
図17A】
図17Aは、実施の形態3に係る、左方向へビームを振った場合のアンテナ別の電波の受信強度分布を示す図である。
【
図17B】
図17Bは、実施の形態3に係る、右方向へビームを振った場合のアンテナ別の電波の受信強度分布を示す図である。
【
図18】
図18は、実施の形態3に係る部品実装システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、実施の形態3に係る部品実装システムの動作の他の一例を示すフローチャートである。
【
図20】
図20は、実施の形態4に係る実装支援装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図21】
図21は、実施の形態4に係る実装支援装置の動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示に至った経緯)
本開示の実施の形態等の説明に先立ち、本開示に至った経緯について説明する。
【0012】
「背景技術」でも記載したように、特許文献1は、複数のフィーダそれぞれが備える記録部(タグ)に対応して配置された複数のアンテナを用いて、各フィーダの記録部の情報がリーダ装置により読み取られるものである。
【0013】
しかしながら、部品供給部には多数のフィーダが装着されるため、特許文献1のような構造でフィーダのタグから情報を読み取る場合、以下のような課題が生じる。
【0014】
(i)複数のアンテナに接続されるリーダ装置には複数の接続端子(入力ポート)が必要となるため、アンテナとリーダ装置との間の配線の複雑化およびリーダ装置が大型化するため、配置スペースが多く必要となるという課題が生じる。
【0015】
(ii)上記(i)の課題に鑑みて複数のアンテナが接続され、複数のアンテナより少ない数の中継点にリーダ装置を接続する構成とした場合、リーダ装置による読み取りの制御が複雑化する。
【0016】
(iii)複数のアンテナに対応して複数のリーダ装置を配置する構成とした場合、リーダ装置の数が多くコスト面での問題が生じる。
【0017】
このように、従来の技術では、アンテナとリーダ装置との間の配線の簡素化およびリーダ装置の配置スペースの削減といった点に改善の余地がある。
【0018】
そこで、本開示は、管理対象となる複数の部品収容体またはフィーダに設けられたRFID(Radio Frequency Identification)タグと通信可能に構成されたアンテナであって、複数の部品収容体またはフィーダより少ない数のアンテナを用いて、複数の部品収容体又はフィーダそれぞれの配置部(後述する)における位置を特定する実装システム等を提供する。
【0019】
本開示の第1態様に係る実装システムは、部品を収容する部品収容体および前記部品収容体が装着されるフィーダの少なくとも一方を所定の方向に複数並べて配置可能な配置部と、前記配置部に配置された複数の前記フィーダ、または、前記配置部に配置された複数の前記部品収容体を含む複数の対象物に設けられたタグと通信可能に構成される1以上のアンテナと、前記1以上のアンテナが複数の前記対象物それぞれの前記タグから受信した電波に基づいて、複数の前記対象物の前記所定の方向における位置を特定する第1処理部と、を備え、前記1以上のアンテナの数は、前記配置部に配置可能な前記対象物の数より少ない。
【0020】
これにより、1以上のアンテナの数が配置部に配置可能な対象物の数より少ないので、1以上のアンテナの数が配置可能な対象物の数と同数である場合に比べて、1以上のアンテナと接続される装置(例えば、RFID読取部)の接続端子数を減らすことができ、かつ、1以上のアンテナと当該装置とを接続する配線数を減らすことができる。よって、実装システムによれば、当該装置の小型化、および、配線スペースを減らすことができるので、タグの情報を読み取るための構成要素を省スペース化することができる。
【0021】
また、例えば、本開示の第2態様に係る実装システムは、第1態様に係る実装システムであって、前記第1処理部は、前記1以上のアンテナの各々が複数の前記対象物それぞれの前記タグから受信した電波の信号強度を示す第1受信信号強度に基づく情報を入力情報とし、当該タグが設けられる前記対象物の前記所定の方向における位置に関する情報を正解データとして学習された第1学習モデルを用いて、前記対象物の前記所定の方向における位置を特定してもよい。
【0022】
これにより、複数の対象物それぞれの配置部における位置が特定されるので、当該位置の情報を用いて生産が行われることで、適切に生産が行われることを支援することができる。
【0023】
また、例えば、本開示の第3態様に係る実装システムは、第2態様に係る実装システムであって、前記第1処理部は、前記配置部のタイプに応じて異なる前記第1学習モデルを用いて、前記対象物の前記所定の方向における位置を特定してもよい。
【0024】
これにより、配置部のタイプが変わった場合でも、複数の対象物それぞれの配置部における位置をより精度よく特定することができる。
【0025】
また、例えば、本開示の第4態様に係る実装システムは、第2態様または第3態様に係る実装システムであって、前記対象物は、前記部品収容体であり、第2学習モデルは、前記部品収容体に収容されている部品の数量が前記第1受信信号強度の電波を受信したときと異なる数量であるときに受信した電波の信号強度を示す第2受信信号強度に基づく情報を入力情報として学習されており、前記第1処理部は、前記配置部に配置された2以上の前記フィーダに装着された前記部品収容体に収容される部品の数量に応じて、前記第1学習モデルと前記第2学習モデルとを切り替えてもよい。
【0026】
これにより、部品収容体に収容されている部品の数によらず、複数の対象物それぞれの配置部における位置を精度よく特定することができる。
【0027】
また、例えば、本開示の第5態様に係る実装システムは、第2態様~第4態様のいずれかに係る実装システムであって、第3学習モデルは、前記配置部に配置された複数の前記対象物の数および位置の少なくとも一方が前記第1受信信号強度の電波を受信したときと異なる数および位置の少なくとも一方であるときに受信した電波の信号強度を示す第3受信信号強度に基づく情報を入力情報として学習されており、前記第1処理部は、前記配置部に配置された前記対象物の数および位置の少なくとも一方に応じて、前記第1学習モデルと前記第3学習モデルとを切り替えてもよい。
【0028】
これにより、配置部に配置された複数の対象物の数および位置の少なくとも一方によらず、複数の対象物それぞれの配置部における位置を精度よく特定することができる。
【0029】
また、例えば、本開示の第6態様に係る実装システムは、第2態様~第5態様のいずれかに係る実装システムであって、前記対象物は、前記フィーダを介して前記配置部に配置されており、第4学習モデルは、前記配置部に配置された前記フィーダの数および位置の少なくとも一方が前記第1受信信号強度を受信したときと異なる数および位置の少なくとも一方であるときに受信した電波の信号強度を示す第4受信信号強度に基づく情報を入力情報として学習されており、前記第1処理部は、前記配置部に配置された前記フィーダの数および位置の少なくとも一方に応じて、前記第1学習モデルと前記第4学習モデルとを切り替えてもよい。
【0030】
これにより、配置部に配置されたフィーダの数および位置の少なくとも一方によらず、複数の部品収容体それぞれの配置部における位置を精度よく特定することができる。
【0031】
また、例えば、本開示の第7態様に係る実装システムは、第1態様~第6態様のいずれかに係る実装システムであって、前記配置部は、第1部品収容体および第2部品収容体のそれぞれを複数並べて配置可能であり、前記第1部品収容体に設けられた第1タグと前記第2部品収容体に設けられた第2タグとが鉛直方向において異なる位置に配置されるように前記第1部品収容体および前記第2部品収容体を配置し、前記第1処理部は、前記1以上のアンテナが前記第1タグおよび前記第2タグのそれぞれから受信する電波に基づいて、前記配置部に配置された前記第1部品収容体および前記第2部品収容体の位置を特定してもよい。
【0032】
これにより、鉛直方向の異なる位置に配置された部品収容体からの電波により、鉛直方向の異なる位置に配置された部品収容体それぞれの所定の方向の位置を特定することができる。
【0033】
また、例えば、本開示の第8態様に係る実装システムは、第7態様に係る実装システムであって、前記配置部は、前記フィーダを介して前記第1部品収容体を前記所定の方向に複数並べて配置可能なフィーダ支持部と、前記フィーダ支持部より下方に前記第2部品収容体を前記所定の方向に複数並べて配置可能な第1テープカセット支持部を備えてもよい。
【0034】
これにより、フィーダ指示部と第1テープカセット指示部とを備える配置部を備える実装システムにおいて、タグの情報を読み取るための構成要素を省スペース化することができる。
【0035】
また、例えば、本開示の第9態様に係る実装システムは、第7態様に係る実装システムであって、前記第1タグは、前記第1部品収容体の第1側面に設けられ、前記第2タグは、前記第2部品収容体の第2側面に設けられ、前記配置部は、前記第1部品収容体と前記第2部品収容体とを前記所定の方向に並べて配置可能であり、前記第1側面および前記第2側面の前記鉛直方向の位置が異なるように、前記第1部品収容体および前記第2部品収容体を配置可能に構成されてもよい。
【0036】
これにより、タグの鉛直方向における位置が異なるように配置された部品収容体それぞれの位置を特定することができる。
【0037】
また、例えば、本開示の第10態様に係る実装システムは、第5態様~第9態様のいずれかに係る実装システムであって、前記配置部は、複数の前記第1部品収容体を配置可能な第1配置部と、複数の前記第2部品収容体を配置可能な第2配置部とを有し、前記1以上のアンテナは、前記第1配置部に設けられる1以上の第1アンテナと、前記第2配置部に設けられる1以上の第2アンテナとを有し、前記1以上の第1アンテナの数は、前記第1配置部に配置可能な前記第1部品収容体の数より少なく、前記1以上の第2アンテナの数は、前記第2配置部に配置可能な前記第2部品収容体の数より少なくてもよい。
【0038】
これにより、フィーダの上下それぞれに配置された部品収容体のタグからの電波を異なるアンテナを用いて受信する場合、それぞれのアンテナの数を減らすことができるので、より効果的に省スペース化することができる。
【0039】
また、例えば、本開示の第11態様に係る実装システムは、第1態様~第10態様のいずれかに係る実装システムであって、前記配置部は、複数の前記フィーダを一括して保持するとともに、装置本体の所定位置に着台可能な台車部に設けられ、前記1以上のアンテナは、前記台車部に設けられてもよい。
【0040】
これにより、台車部におけるタグの情報を読み取るための構成要素を省スペース化することができる。
【0041】
また、例えば、本開示の第12態様に係る実装システムは、第1態様~第10態様のいずれかに係る実装システムであって、前記フィーダおよび前記部品収容体の少なくとも一方を実装装置に供給する供給装置をさらに備え、前記配置部と前記1以上のアンテナとは、前記供給装置に設けられてもよい。
【0042】
これにより、供給装置におけるタグの情報を読み取るための構成要素を省スペース化することができる。
【0043】
また、例えば、本開示の第13態様に係る実装システムは、第1態様~第12態様のいずれかに係る実装システムであって、前記フィーダおよび前記部品収容体の少なくとも一方を実装装置に供給する供給装置をさらに備え、前記供給装置は、前記フィーダおよび前記部品収容体の少なくとも一方を仮置き場に移載可能に構成され、前記配置部と前記1以上のアンテナとは、前記仮置き場に設けられてもよい。
【0044】
これにより、仮置き場においても、フィーダおよび部品収容体の少なくとも一方の位置を特定することができる。
【0045】
また、例えば、本開示の第14態様に係る実装システムは、第1態様~第13態様のいずれかに係る実装システムであって、前記第1処理部は、前記部品を実装対象に実装する実装装置に設けられてもよい。
【0046】
これにより、実装装置により対象物の位置を特定するための処理が実行されるので、実装装置と他の装置との当該処理のための通信量を削減することができる。
【0047】
また、例えば、本開示の第15態様に係る実装システムは、第1態様~第14態様のいずれかに係る実装システムであって、前記第1処理部により特定された複数の前記対象物それぞれの位置に基づいて、当該位置に対応する適正な対象物が当該位置に配置されているか否かを判定する第2処理部をさらに備えてもよい。
【0048】
これにより、配置された対象物が異なるか否かを判定されるので、誤った部品が実装されることを抑制することができる。
【0049】
また、例えば、本開示の第16態様に係る実装システムは、第15態様に係る実装システムであって、前記第1処理部および前記第2処理部の一方は、前記部品を実装対象に実装する実装装置に設けられ、前記第1処理部および前記第2処理部の他方は、前記実装装置が設置されるフロアとは異なる領域に配置された装置に設けられてもよい。
【0050】
これにより、第1処理部および第2処理部が異なる装置に設けられるので、処理負担を分散させることができる。
【0051】
また、例えば、本開示の第17態様に係る実装システムは、第1態様~第16態様のいずれかに係る実装システムであって、前記1以上のアンテナは、2以上のアンテナを含み、複数の前記対象物は所定の間隔で並んで配置され、前記2以上のアンテナのうち隣り合う2つのアンテナは、前記所定の間隔より大きな間隔で並んで配置されてもよい。
【0052】
これにより、配置間隔を広げることで、1以上のアンテナの数を減らすことができる。
【0053】
また、例えば、本開示の第18態様に係る実装システムは、第1態様~第17態様のいずれかに係る実装システムであって、前記1以上のアンテナは、1つの基板に形成されてもよい。
【0054】
これにより、より低コストで1以上のアンテナを実現することができる。
【0055】
また、例えば、本開示の第19態様に係る実装システムは、第1態様~第18態様のいずれかに係る実装システムであって、前記1以上のアンテナとして、複数のアンテナを備え、前記実装システムは、発信用信号を発生する回路を有し、前記発信用信号の位相を調整する位相器を通過した前記発信用信号に応じた電波を前記複数のアンテナのそれぞれから発信させるための制御装置をさらに備えてもよい。
【0056】
これにより、複数のアンテナから発信される電波の指向性を、発信用信号の位相により変更することができるので、タグの検出範囲を広げることができる。よって、タグの情報を読み取るためのアンテナの数をさらに減らすことができるので、タグの情報を読み取るための構成要素をさらに省スペース化することができる実装システムを実現することができる。
【0057】
また、例えば、本開示の第20態様に係る実装システムは、第19態様に係る実装システムであって、前記制御装置は、前記発信用信号の位相を前記複数のアンテナそれぞれについて示す第1の位相情報と、前記発信用信号の位相を前記複数のアンテナそれぞれについて示す第2の位相情報であって、前記第1の位相情報と異なる第2の位相情報とに基づいて、前記複数のアンテナのそれぞれに対して位相が調整された前記発信用信号を伝送し、前記第1処理部は、前記第1の位相情報に基づく電波を発信したときに複数の前記対象物それぞれの前記タグから受信した電波と、前記第2の位相情報に基づく電波を発信したときに複数の前記対象物それぞれの前記タグから受信した電波とに基づいて、複数の前記対象物の前記所定の方向における前記位置を特定してもよい。
【0058】
これにより、複数あるアンテナの構成を複雑化することなく、第1の位相情報および第2の位相情報それぞれの受信強度分布により、タグの検出範囲を広げることができる。また、第1の位相情報および第2の位相情報それぞれの受信強度分布が学習モデルの学習に用いられる場合、学習用のデータが増えるので、機械学習を用いた位置判定の精度を向上させることができる。
【0059】
また、例えば、本開示の第21態様に係る実装システムは、第19態様に係る実装システムであって、前記アンテナは、アレイアンテナを構成するアンテナ素子であり、前記制御装置は、前記発信用信号の位相を前記アンテナ素子毎に示す第3の位相情報と、前記発信用信号の位相を前記アンテナ素子毎に示す第4の位相情報であって、前記第3の位相情報と異なる第4の位相情報とを前記発信用信号とともに、前記アレイアンテナに伝送し、前記第1処理部は、前記第3の位相情報に基づく電波を発信したときに複数の前記対象物それぞれの前記タグから受信した電波と、前記第4の位相情報に基づく電波を発信したときに複数の前記対象物それぞれの前記タグから受信した電波とに基づいて、複数の前記対象物の前記所定の方向における前記位置を特定してもよい。
【0060】
これにより、制御装置の構成を複雑化することなく、第3の位相情報および第4の位相情報それぞれの受信強度分布により、タグの検出範囲を広げることができる。また、第3の位相情報および第4の位相情報それぞれの受信強度分布が学習モデルの学習に用いられる場合、学習用のデータが増えるので、機械学習を用いた位置判定の精度を向上させることができる。
【0061】
また、本開示の第22態様に係る実装支援装置は、部品を収容する部品収容体および前記部品収容体が装着されるフィーダの少なくとも一方を所定の方向に複数並べて配置可能な配置部と、前記配置部に配置された複数の前記フィーダ、または、前記配置部に配置された複数の前記部品収容体を含む複数の対象物に設けられたタグと通信可能に構成される1以上のアンテナとを備える実装システムにおける複数の前記対象物の前記所定の方向における位置を特定する実装支援装置であって、前記1以上のアンテナの数は、前記配置部に配置可能な前記対象物の数より少なく、前記1以上のアンテナが複数の前記対象物それぞれの前記タグから受信した電波の信号強度に基づいて、複数の前記対象物それぞれの前記所定の方向における位置を特定する処理部とを備える。また、本開示の第23態様に係る実装支援方法は、部品を収容する部品収容体および前記部品収容体が装着されるフィーダの少なくとも一方を所定の方向に複数並べて配置可能な配置部と、前記配置部に配置された複数の前記フィーダ、または、前記配置部に配置された複数の前記部品収容体を含む複数の対象物に設けられたタグと通信可能に構成される1以上のアンテナとを備える実装システムにおける複数の前記対象物の前記所定の方向における位置を特定する実装支援方法であって、前記1以上のアンテナの数は、前記配置部に配置可能な前記対象物の数より少なく、前記1以上のアンテナが複数の前記対象物それぞれの前記タグから受信した電波の信号強度に基づいて、複数の前記対象物それぞれの前記所定の方向における位置を特定する。
【0062】
これにより、上記の実装システムと同様の効果を奏する。
【0063】
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータで読み取り可能なCD-ROM等の非一時的記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。プログラムは、記録媒体に予め記憶されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0064】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0065】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0066】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0067】
また、本明細書および図面において、X軸、Y軸およびZ軸は、右手系の三次元直交座標系の三軸を示している。Z軸方向は、部品実装システムの高さ方向と平行な方向である。
【0068】
また、本明細書において、同じなどの要素間の関係性を示す用語、および、U字、L字などの要素の形状を示す用語、並びに、数値、および、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度(あるいは、10%程度)の差異をも含むことを意味する表現である。
【0069】
また、本明細書において、「第1」、「第2」などの序数詞は、特に断りの無い限り、構成要素の数または順序を意味するものではなく、同種の構成要素の混同を避け、区別する目的で用いられている。
【0070】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態に係る部品実装システムについて、
図1A~
図11を参照しながら説明する。
【0071】
[1-1.部品実装システムの構成]
まず、本実施の形態に係る部品実装システムの構成について、
図1A~
図8を参照しながら説明する。
図1Aは、本実施の形態に係る部品実装ラインの概略構成を示す図である。
図1Bは、本実施の形態に係る部品実装システム10の概略構成を示す図である。
【0072】
図1Aに示すように、部品実装システム10は、部品実装ラインを構成する複数の生産装置(M1~M7)を備える。複数の生産装置は、少なくともひとつの部品実装装置20(
図1Bを参照)を備える。部品実装ラインは基板等の実装対象に部品を実装し、回路基板(部品が実装された基板)を生産する。具体的には、部品実装ラインは、基板供給装置M1と、基板受渡装置M2と、印刷装置M3と、部品実装装置M4、M5(部品実装装置20が2台直列に連結されている)と、リフロー装置M6と、基板回収装置M7を備え、これらの複数の生産装置(M1~M7)が直列に連結されている。複数の生産装置(M1~M7)の各装置は、管理装置に通信ネットワークを介して接続されている。複数の生産装置(M1~M7)は公知の部品実装ラインに用いられる公知の設備を用いることができる。
【0073】
部品実装ラインが回路基板の生産を開始すると、基板に実装される部品などの部材を補充する必要がある。また、生産装置(M1~M7)で使用される作業ユニットを変更することがある。このため、部品実装システム10は、生産装置(M1~M7)に作業ユニットまたは部材のいずれかを供給する供給装置を備える。
図1Bに示すように、部品実装システム10はテープカセット供給装置40を備える。テープカセット供給装置40は供給装置の一例である。部品実装システム10は、実装システムの一例である。
【0074】
部品実装装置20は、台車30が備える部品供給ユニット31によって供給された部品を基板50等の実装対象に実装する装置である。具体的には、部品実装装置20は、部品実装装置本体20a(装置本体)と、台車30とを備える。部品実装装置本体20aは、台車30の部品供給ユニット31上の部品(図示しない)(部品供給ユニット31から供給された部品)を取り出して基板50に移送搭載するヘッド21と、ヘッド21により部品が搭載された基板50を、後段のリフロー装置(例えば、
図1Aに示すリフロー装置M6)まで搬送する基板搬送部22と、台車30の位置決めを行う位置決め装置23とを備える。部品実装装置20は、実装装置の一例である。部品供給ユニット31は作業ユニットの一例である。
【0075】
台車30は、位置決め装置23で位置決めされることで、部品実装装置本体20aと連結される台車である。台車30は、後述するフィーダ(
図2および
図4を参照)などを有する部品供給ユニット31と、キャリアテープのロール体を格納する複数のテープカセット60を着脱自在に保持する第1テープカセット支持部70(
図2を参照)と、フィーダ(
図2および
図4を参照)を着脱自在に保持するフィーダ支持部75(
図2を参照)とを備える。各フィーダ支持部75は、各第1テープカセット支持部70と対となるようにX軸方向に配列される。台車30は、部品を収容する部品収容体(ケース315またはテープカセット60(例えば、
図6に示すロール体80))が装着されるフィーダをX軸方向に複数並べて配置可能な構成を有する。
【0076】
なお、X軸方向は、所定の方向の一例であり、台車30は台車部の一例であり、フィーダ支持部75および第1テープカセット支持部70は、配置部の一例である。
【0077】
テープカセット供給装置40は、テープカセット60を台車30の第1テープカセット支持部70に供給する、または、テープカセット60を第1テープカセット支持部70から回収する供給装置の一例である。つまり、テープカセット60は、供給装置に供給される部材の一例であり、テープカセット供給装置40に設けられるテープカセット60を保持する保持部は、配置部の一例である。また、テープカセット供給装置40は、例えば、部品実装装置20と離間して配置される。
【0078】
また、テープカセット供給装置40は、テープカセット供給装置40から仮置き場にテープカセット60を移載することができる。
図3は、本実施の形態に係る仮置き場700におけるテープカセット60の配置例を示す図である。なお、
図3では、便宜上、タグ615tを実線で図示している。また、仮置き場700は、例えば、部品実装装置20が配置される生産フロア(フロア)に配置され、テープカセット60等を一時的に並べて配置する配置部を含んで構成される。
【0079】
例えば、
図3に示すように、仮置き場700には、アンテナ台701が配置され、アンテナ台701は生産装置(M1~M7)に供給する部材または生産装置(M1~M7)から回収した部材を保持可能な構成を有する。具体的には、アンテナ台701はテープカセット60を保持可能である。また、アンテナ台701には、複数のテープカセット60に設けられたタグ615tからの無線信号を受信可能に構成される1以上のアンテナ702が設けられる。アンテナ台701は、アンテナ702上にテープカセット60のタグ615tが位置するように、テープカセット60を保持してもよい。アンテナ702上(例えば、アンテナ702と、保持されたテープカセット60との間)には、カバーが設けられてもよい。当該カバーは、金属材料を含まずに構成されるとよい。アンテナ台701は、配置部の一例であり、アンテナ702は、1以上のアンテナの一例である。
【0080】
なお、供給装置(テープカセット供給装置40)は、テープカセット60に替えて、または、テープカセット60とともに、ケース315、カセットフィーダ311(または後述するバルクフィーダ)などの少なくとも1つを供給または回収可能であってもよい。印刷装置M3は複数の開口が形成されたパターン形成領域を備える印刷用のマスクを使用して、基板等の実装対象にはんだをパターン印刷する。例えば、供給装置は、印刷用のマスク(図示しない)を供給または回収可能であってもよい。この場合、供給装置は、ケース315、カセットフィーダ311(または後述するバルクフィーダ)および印刷用のマスク(図示しない)などの少なくとも1つを仮置き場700に移載可能に構成される。このように、仮置き場700に移載される物体は、テープカセット60に限定されず、ケース315であってもよいし、カセットフィーダ311(または後述するバルクフィーダ)であってもよいし、印刷用のマスク、部品が実装される前の基板50、回路基板(完成品、仕掛け品いずれでもよい)、フィーダにテープ部品をセットするための自動化アイテム318(
図2を参照)などであってもよい。また、仮置き場700が設けられる場所は、部品実装ライン内(例えば、部品実装ラインを構成する保管する機能を有する装置)であってもよいし、部品実装ライン外(例えば、部品実装ラインとは物理的に連結されていない保管する機能を有する装置)であってもよい。仮置き場700が部品実装ライン内に設けられる場合、供給装置が生産装置(M1~M7)に部材を供給する際の移動距離が短いため、部材の供給にかかる時間が短縮される。
【0081】
次に、台車30の詳細について、
図2を参照しながら説明する。
図2は、本実施の形態に係る台車30を示す斜視図である。なお、
図2では、複数のカセットフィーダ311のうちX軸方向の両端部のカセットフィーダ311のみを図示しており、複数のテープカセット60うちX軸方向の両端部のテープカセット60のみを図示している。
【0082】
図2に示すように、台車30は、部品供給ユニット31と、複数の第1テープカセット支持部70と、複数のフィーダ支持部75と、これらを支持する台車本体32とを有する。部品供給ユニット31は、テープカセット60に収容される部品を供給するカセットフィーダ311を備える。また、部品実装装置20では、カセットフィーダ311と同様にフィーダ支持部75に保持され、ケース315に収容されたバルク状の部品を供給するバルクフィーダ(
図4を参照)も使用可能となっている。
【0083】
図2に示すように、カセットフィーダ311は、カセットフィーダ311にキャリアテープをセットするための自動化アイテム318を保持している。
【0084】
なお、キャリアテープをカセットフィーダ311に引き込むことは、テープカセット60(部品収容体)をフィーダに装着することの一例である。また、以降において、カセットフィーダ311およびバルクフィーダを、単にフィーダとも記載する。
【0085】
なお、フィーダには、フィーダに関する情報を記憶するタグ(例えば
図4の317tRFIDタグ)が配置されていてもよい。
【0086】
図4は、本実施の形態に係るバルクフィーダ317を示す側面図である。
【0087】
図4に示すように、バルクフィーダ317には、バルク状態の部品を収容するケース315が装着される。ケース315は、バルクフィーダ317の上面に保持される。ケース315には、ケース315を収容する部品に関する情報を記憶するタグ315tが設けられる。部品に関する情報は、例えば、ケース315を収容された部品の種類、大きさ、形状など含む。バルクフィーダ317には、フィーダに関する情報を記憶するタグ317tが設けられる。また、タグ315tには、当該ケース315が装着されたフィーダに関する情報を含んでいてもよい。フィーダに関する情報は、当該フィーダの種類、フィーダを固有に識別する識別情報、大きさなどを含む。ケース315は、部品収容体の一例である。
【0088】
なお、
図4に示すバルクフィーダ317が配置部に配置された状態で、タグ317tの直下にアンテナ314が配置されているとよい。
【0089】
次に、こうして構成された部品実装システム10において、複数の対象物に設けられたタグからの無線信号を受信するアンテナについて説明する。
図5は、本実施の形態に係る複数の対象物に設けられたタグとアンテナとの配置の一例を示す図である。タグ(例えばタグ315t)は所定の方向に並んで配置されている。アンテナ(例えばアンテナ314)の数は、複数の対象物に設けられたタグの数より少ない。
【0090】
ここで、フィーダ支持部75に保持されているフィーダは対象物の一例である。テープカセット供給装置40または第1テープカセット支持部70に配置されているテープカセット60は対象物の一例である。仮置き場が備えるアンテナ台に配置されている部材は対象物の一例である。バルクフィーダ317を介してフィーダ支持部75に保持されているケース315は、対象物の一例である。
【0091】
図2を再び参照して、本実施の形態では、フィーダ支持部75には
図4に示すタグ(例えば、タグ315tおよび317tの少なくとも一方)の情報を読み取るためのアンテナ314が配置される。アンテナ314は、フィーダをX軸方向に複数並べて保持する保持領域75aに配置された複数のケース315および複数のフィーダの少なくとも一方を含む複数の対象物のタグと通信可能に構成される。アンテナ314は、フィーダの下方から当該情報を読み取り可能に配置される。アンテナ314は、1以上配置される。なお、ここでの複数のフィーダとは、カセットフィーダ311およびバルクフィーダ317のいずれか一方を複数含んでいてもよいし、カセットフィーダ311およびバルクフィーダ317の両方を含んでいてもよい。
【0092】
本実施の形態では、アンテナ314の数は、フィーダまたはケース315が保持領域75aに配置可能な数より少ない。アンテナ314の数は、保持領域75aに配置されるスロット(例えばフィーダ支持部75)の数より少ないとも言える。なお、保持領域75aは、複数のフィーダ支持部75が設けられる領域である。
【0093】
また、本実施の形態では、第1テープカセット支持部70には
図6に示すタグ615tの情報を読み取るためのアンテナ614が配置される。アンテナ614は、保持領域70aに配置された複数のテープカセット60である複数の対象物のタグと通信可能に構成される。アンテナ614の数は、テープカセット60が保持領域70aに配置可能な数より少ない。アンテナ614の数は、保持領域70aに配置されるスロット(例えば第1テープカセット支持部70)の数より少ないとも言える。
【0094】
アンテナ314は、板状の基板314aを有する。また、基板314a上には、配線であるアンテナパターン314bが形成されている。アンテナパターン314bは、ミアンダ状に蛇行する導体パターンであるがこれに限定されない。
図2の例では、1つのアンテナ314に1つのアンテナパターン314bが形成されている。これにより、基板314a内での信号の干渉が発生することを抑制することができるので、通信品質が向上する。アンテナパターン314bまたはアンテナ314は、アンテナの一例である。
【0095】
また、アンテナ614は、板状の基板614aを有する。また、基板614a上には、配線であるアンテナパターン614bが形成されている。アンテナパターン614bは、ミアンダ状に蛇行する導体パターンであるがこれに限定されない。アンテナパターン614bまたはアンテナ614は、アンテナの一例である。
【0096】
なお、アンテナ314は、ケース315に設けられたタグ315tおよびバルクフィーダ317に設けられたタグ317tの少なくとも一方のタグと通信可能であればよい。また、アンテナ314は、カセットフィーダ311に設けられたタグ(図示しない)、カセットフィーダ311に保持された自動化アイテム318に設けられたタグ(図示しない)と通信可能であってもよい。また、アンテナ614は、カセットフィーダ311に保持された自動化アイテム318に設けられたタグ(図示しない)と通信可能であってもよい。以下では、アンテナ314がケース315に設けられたタグ315tと通信する例を主に説明する。
【0097】
図5に示すように、隣り合うアンテナ314の配置間隔P1は、タグ315tの配置間隔P2より大きい。なお、カセットフィーダ311の配置間隔およびケース315の配置間隔は、タグ315tの配置間隔P2と同じ間隔である。また、複数のアンテナ314は、例えば等間隔に配置されるが、これに限定されない。
【0098】
なお、配置間隔P1およびP2が等間隔ではない場合、配置間隔P1およびP2は、複数の配置間隔の平均値であってもよいし、中央値、最頻値、最大値、最小値などであってもよい。
【0099】
RFID読取部24は、複数のアンテナ314のそれぞれと接続され、複数のアンテナ314を介してタグ315tとの間で無線通信を行う。RFID読取部24は、例えば、無線電波をタグ315tに発信する。当該無線電波は、複数のタグ315tのそれぞれで受信される。また、RFID読取部24は、複数のタグ315tのそれぞれからの電波を受信可能である。RFID読取部24は、リーダ装置により実現される。RFID読取部24は、受信信号を伝送する回路を有し、アンテナ314によって電波を受信すると、当該電波の受信により生成される電気信号としての受信信号を伝送し、受信信号の強度を取得する。RFID読取部24は、制御装置の一例である。
【0100】
このように、アンテナ314の数がタグ315tの数より少ないので、アンテナ314とタグ315tとが同数である場合に比べて、RFID読取部24に必要となる接続端子の数を減らすことができる。これにより、RFID読取部24が大型化することが抑制される。また、さらにアンテナ314とRFID読取部24とを接続する配線の数を減らすことができるので、配線が複雑化することが抑制される。
【0101】
なお、アンテナ314の数が保持領域75aに配置可能なケース315の数より少ない場合、1以上のアンテナ314が受信した電波がどの位置に配置されたケース315(タグ315t)から発信されたかを特定する必要がある。例えば、装着されたケース315に収容されている部品が、当該装着された位置に対応する部品であるか否かを判定する必要があるためである。各ケース315の位置の特定については、後述する。
【0102】
図2を再び参照して、カセットフィーダ311は、第1テープカセット支持部70で保持されたテープカセット60(第1テープカセット61または第2テープカセット65)からキャリアテープを引き出して、当該キャリアテープに収納されている部品を、ヘッド21による取り出し位置まで搬送する。
【0103】
第1テープカセット61は、保持領域70aに形成される第1テープカセット支持部70に支持される。第1テープカセット61のロール体80は、第1部品収容体の一例である。
【0104】
第2テープカセット65は、保持領域70aより上方の(Z軸プラス側)に形成される第1テープカセット支持部70に支持される。第2テープカセット65のロール体80は、第2部品収容体の一例である。
【0105】
図2の例では、第1テープカセット61および第2テープカセット65は、カセットフィーダ311に対して下方に保持されるがこれに限定されない。
【0106】
本実施の形態では、アンテナ614は、第1テープカセット61をX軸方向に複数並べて保持する保持領域70aと、第2テープカセット65をX軸方向に複数並べて保持する保持領域70bとの両方に配置される。保持領域70aに配置されたアンテナ614は、後述する
図6に示す第1テープカセット61のタグ615tと通信可能に構成される。保持領域70bに配置されたアンテナ614は、
図6に示す第2テープカセット65のタグ615tと通信可能に構成される。アンテナ614は、テープカセット60の下方から当該情報を読み取り可能に配置されるが、テープカセット60の上方から当該情報を読み取り可能に配置されてもよい。例えば、アンテナ614は、テープカセット60に対して下方に配置されてもよいし、テープカセット60の上方に配置されてもよい。
【0107】
保持領域70aに設けられる第1テープカセット支持部70(第1配置部の一例)と、保持領域70bに設けられる第1テープカセット支持部70(第2配置部の一例)とは、第1テープカセット61に設けられたタグ615t(第1タグ)と第2テープカセット65に設けられたタグ615t(第2タグ)とが、鉛直方向(Z軸方向)において互いに異なる位置に配置されるように第1テープカセット61および第2テープカセット65を保持する。第1タグは、第1テープカセット61の下面(第1側面)に設けられ、第2タグは、第2テープカセット65の下面(第2側面)に設けられる。例えば、保持領域70aに設けられる第1テープカセット支持部70と、保持領域70bに設けられる第1テープカセット支持部70とは、第1側面および第2側面の鉛直方向の位置が互いに異なるように、第1テープカセット61および第2テープカセット65を配置可能に構成される。例えば、部品収容体(例えば、テープカセット60)の側面にタグ615tが設けられ、第1部品収容体(例えば、第1テープカセット61)と第2部品収容体(例えば、第2テープカセット65)は、当該側面の位置が異なるように第1配置部および第2配置部に保持されるとも言える。
【0108】
この場合、1以上のアンテナ614が第1タグおよび第2タグのそれぞれから受信する電波を介した無線信号に基づいて(以降において、単に電波に基づいてとも記載する)、第1テープカセット61(例えば、ロール体80)および第2テープカセット65(例えば、ロール体80)のX軸方向における位置が特定されてもよい。具体的には、保持領域70aに設けられる1以上のアンテナ614(第1アンテナの一例)が第1タグのそれぞれから受信する電波に基づいて、第1テープカセット61(例えば、ロール体80)のX軸方向における位置が特定され、保持領域70bに設けられる1以上のアンテナ614(第2アンテナの一例)が第2タグのそれぞれから受信する電波に基づいて、第2テープカセット65(例えば、ロール体80)のX軸方向における位置が特定されてもよい。また、1以上のアンテナ614のそれぞれは、保持領域75aに配置された1以上のフィーダ(例えば、バルクフィーダ317)それぞれに装着されたケース315のタグ315tと通信可能に設けられていてもよい。1以上のアンテナ614が1以上のケース315のタグ315tから取得する電波の受信強度分布に基づいて、ケース315のX軸方向における位置が特定されてもよい。
【0109】
なお、例えば、1以上の第1アンテナの数は、第1配置部に配置可能な第1部品収容体の数より少なく、1以上の第2アンテナの数は、第2配置部に配置可能な第2部品収容体の数より少ない。例えば、テープカセット60(例えば、ロール体80)を保持する保持領域70a、70bは、複数の区域(例えば、保持領域70aおよび70b)に区分されて、各区域に対応して個別にアンテナ614が設けられ、区域内に保持可能なテープカセット60の数より少ない数のアンテナ614が設けられるとも言える。
【0110】
なお、アンテナ314および614の配置位置は、
図2に示す位置に限定されず、例えば、カセットフィーダ311およびテープカセット60の鉛直方向における間の位置に配置されていてもよい。
【0111】
ここで、第1テープカセット61と第2テープカセット65とを比較すると、基本的な構造は概ね同様であり、大きさが異なる。第2テープカセット65は、第1テープカセット61より小さい。以下では、第1テープカセット61および第2テープカセット65の構造について、
図6を参照しながら説明する。
図6は、本実施の形態に係るテープカセット60の一部を分解した分解斜視図である。
図6では、カバー体622(
図2を参照)を外した状態のテープカセット60を示している。
【0112】
図6に示すように、テープカセット60は、格納部62と、テープ送り部63とを備える。テープ送り部63は、格納部62に格納されたキャリアテープの先端部を部品供給ユニット31へと送り出す部位である。
【0113】
テープカセット60は、X軸方向を厚み方向とした偏平な外形を有する。テープカセット60において上面611は、XY平面に平行に形成されており、Y軸マイナス方向の基端面612は、XZ平面に平行に形成されている。
【0114】
格納部62は、キャリアテープが巻きまわされたロール体80を格納する。具体的には、格納部62は、ロール体80がセットされるフレーム体621と、一対のカバー体622(
図2を参照)とを有しており、一対のカバー体622は、X軸方向でフレーム体621を挟むようにフレーム体621に取り付けられている。格納部62の側面にタグ615tが設けられている。格納部62は、カセットとも称される。
【0115】
フレーム体621の上方には、テープ送り部63を介して、被把持部625が設けられている。
【0116】
被把持部625は、テープカセット供給装置40により把持される部位である。つまり、テープカセット供給装置40によってテープカセット60が第1テープカセット支持部70に供給される際や、第1テープカセット支持部70から取り外される際には、被把持部625がテープカセット供給装置40の保持部43(
図7を参照)によって把持される。被把持部625は、Y軸方向の両側にL字状の切欠が形成されており、この切欠内にテープカセット供給装置40の保持部43が挿入されるようになっている。
【0117】
フレーム体621の上面611には、種々の情報を記憶するタグ626が設けられている。タグ626が記憶する情報は、ロール体80をなすキャリアテープに格納された部品に関する情報またはテープカセット60に関する情報を含む。部品に関する情報は、当該部品の種類、大きさなどを含む。テープカセット60に関する情報は、当該テープカセット60の種類、大きさなどを含む。タグ626は、保持部43に設けられるアンテナ423(
図7を参照)で情報が読み取られるようになっている。タグ626に記憶されて情報は、タグ615tに記憶されている情報と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0118】
次に、テープカセット供給装置40について、
図7を参照しながら説明する。
図7は、本実施の形態に係るテープカセット供給装置40の概略構成を示す斜視図である。
図7の(a)は、本実施の形態に係るテープカセット供給装置40の概略構成を示し、
図7の(b)は、テープカセット供給装置40に収容されている状態のテープカセット60を拡大して示している。なお、
図7では、保持部43も図示している。
【0119】
図7の(a)に示すように、テープカセット供給装置40は、例えばAGV(Automatic Guided Vehicle)からなる搬送車490により床面上を搬送される移動自在な装置であり、部品実装装置20に対してテープカセット60を供給および回収する装置である。つまり、テープカセット供給装置40は、搬送車490によって複数の部品実装装置20間を移動し、各部品実装装置20に対してテープカセット60を移載する装置である。
【0120】
テープカセット供給装置40は、搬送車490により搬送されることで、部品実装装置20のY軸マイナス方向の端部に接続される(
図1Bを参照)。このため、接続状態においては、テープカセット供給装置40と部品実装装置20とは、Y軸方向に並んで配置されている。テープカセット供給装置40は、ロール体80を格納する格納部62を部品実装装置20に供給する。
【0121】
テープカセット供給装置40の内部には、テープカセット60を支持する支持部42と、支持部42で支持されたテープカセット60を保持する保持部43と、支持部42を移動させる支持部移動機構(図示しない)とが配置される。
【0122】
支持部42は、各テープカセット60を個別に支持する複数の第2テープカセット支持部421と、複数の第2テープカセット支持部421が載置された載置台422とを有する。各第2テープカセット支持部421は、Y軸方向に延びたスロットであり、載置台422に対してX軸方向に沿って配列されている。接続状態において、各第2テープカセット支持部421は、台車30の各第1テープカセット支持部70に対してY軸方向で対向している。つまりY軸方向は、対向方向の一例である。
【0123】
また、保持部43には、保持部43により保持されたテープカセット60のタグ626から情報を読み取るためのアンテナ423が設けられる。アンテナ423の数は、保持部43に保持可能なテープカセット60(つまりタグ626)の数より少ない。
【0124】
なお、保持部43が設けられる領域は、配置部の一例である。つまり、配置部とアンテナ423とは、テープカセット供給装置40に設けられてもよい。また、アンテナ423とともに、または、アンテナ423に替えて、テープカセット60のタグ615tから情報を読み取るためのアンテナがテープカセット供給装置40または搬送車490に設けられていてもよい。
【0125】
なお、上記では、部品実装システム10が部品実装装置20に対してテープカセット60を供給および回収するテープカセット供給装置40を備える例について説明したがこれに限定されず、テープカセット供給装置40とともに、または、テープカセット供給装置40に替えて、部品実装装置20に対してカセットフィーダ311(もしくは、バルクフィーダ317)またはケース315を供給および回収する供給装置を備えていてもよい。このような供給装置においても、テープカセット供給装置40と同様、当該供給装置が保持可能なカセットフィーダ311(もしくは、バルクフィーダ317)またはケース315の数より少ない1以上のアンテナが配置されており、当該1以上のアンテナにより、アンテナの数より多いカセットフィーダ311(もしくは、バルクフィーダ317)またはケース315のタグの全てから情報を読み取り可能である。また、このような供給装置は、仮置き場にカセットフィーダ311(もしくは、バルクフィーダ317)またはケース315を移載可能に構成される。つまり、仮置き場に設けられるアンテナは、カセットフィーダ311またはケース315のタグから情報を読み取り可能である。また、仮置き場700に設けられるアンテナ702は、カセットフィーダ311に保持された自動化アイテム318に設けられたタグ(図示しない)から情報を読み取り可能であってもよい。
【0126】
次に、部品実装システム10の機能構成について、
図8を参照しながら説明する。
図8は、本実施の形態に係る部品実装システム10の機能構成を示すブロック図である。
【0127】
図8に示すように、部品実装システム10は、部品実装装置20と、フロア制御装置11と、上位システム12とを備える。なお、
図10では、フィーダとしてカセットフィーダ311のみを備える場合のブロック図を示す。
【0128】
部品実装装置20は、アンテナ314と接続されるRFID読取部24と、台車制御部25と、設備制御部26(NCIO:Numerical Control Input/Output)とを有する。なお、
図8では、RFID読取部24に接続されるアンテナ614は図示を省略している。
【0129】
台車制御部25は、部品実装装置20の部品実装装置本体20aに連結された台車30の各構成要素を制御する制御装置である。台車制御部25は、例えば、部品供給ユニット31を制御して部品の供給を行わせてもよい。台車制御部25は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリなどを有し、メモリに記憶されたプログラムをCPUが実行することにより各機能が実現される。
【0130】
設備制御部26は、部品実装装置20の各構成要素を制御する制御装置である。設備制御部26は、例えば、部品実装装置20のうち台車30を除く各構成要素を制御する。部品実装装置20は、ヘッド21、基板搬送部22などの動作を制御する。設備制御部26は、CPUおよびメモリなどを有し、メモリに記憶されたプログラムをCPUが実行することにより各機能が実現される。
【0131】
なお、本実施の形態に係る実装支援装置は、設備制御部26を含んで構成されていてもよいし、さらにRFID読取部24を含んで構成されていてもよい。
【0132】
フロア制御装置11は、部品実装装置20と同一のフロアに配置される、部品実装装置20とは別体の制御装置である。フロアには複数の部品実装装置20があり、フロア制御装置11は複数の部品実装システム10の監視、制御等を実行する。フロア制御装置11は、部品実装装置20(例えば、設備制御部26)と通信可能に接続される。上位システム12は、CPUおよびメモリなどを有し、メモリに記憶されたプログラムをCPUが実行することにより各機能が実現される。
【0133】
上位システム12は、部品実装装置20が配置されるフロアとは異なる場所に配置される制御装置である。上位システム12は、例えば、部品実装装置20が配置される建物(例えば、工場)とは異なる遠隔地に配置され、フロア制御装置11と通信可能(例えば、無線通信可能)に接続される。上位システム12は、CPUおよびメモリなどを有し、メモリに記憶されたプログラムをCPUが実行することにより各機能が実現される。
【0134】
上記の制御装置いずれかにより、保持領域70aなどに保持された複数の対象物のX軸方向における位置の特定(第1処理)が実行される。また、さらに、上記の制御装置いずれかにより、位置が特定されたタグ315t等の情報に基づいて、第1テープカセット支持部70、フィーダ支持部75などに配置された対象物(カセットフィーダ311またはテープカセット60)に対応する適正な部品収容体が保持領域70a等に保持されているか否かの判定(第2処理)が実行される。第1処理を実行する処理部を第1処理部とし、第2処理を実行する処理部を第2処理部とすると、第1処理部の機能は部品実装装置20に設けられてもよい。また、第1処理部の機能は、部品実装装置20に設けられ、第2処理部の機能は、部品実装装置20の外部に設けられてもよい。第2処理部の機能は、例えば、部品実装装置20が設置されるフロアとは異なる領域に配置される装置(例えば、上位システム12)に設けられてもよい。なお、以下では、設備制御部26が第1処理部および第2処理部として機能する例について説明する。
【0135】
[1-2.対象物の位置の特定方法]
次に、タグ315t等のそれぞれから受信した電波により、対象物のX軸方向における位置を特定する例について、
図9および
図10を参照しながら説明する。
図9は、本実施の形態に係る検証に用いたアンテナ314およびタグ315tの配置を示す図である。
【0136】
図9に示すように、アンテナ314を4つ(ant1~4)配置し、その上方に、スペーサ315sを介してアンテナ314と所定の間隔をあけて15個のタグ315tを配置している。
【0137】
このような条件において、4つのアンテナ314から順次、電波を用いて信号が出力され、タグ315tは電波信号を受信した場合、アンテナ314を介してRFID読取部24に電波信号を返す。
【0138】
図10は、本実施の形態に係るアンテナ314別の電波の受信強度(受信信号強度:RSSI)分布を示す図である。
図10は、
図9に示す条件において受信された電波の受信強度分布を示し、横軸は、タグ315tの番号(1~15)を示しており、縦軸がRSSIを示している。なお、受信信号強度は、タグ315tからの電波を受信したときにRFID読取り部24に流れる電気信号(当該電波に対応する電気信号)の信号強度を示す。
【0139】
タグ315tからの電波にはタグ315tを識別するための識別情報が含まれている。そのため、
図10に示すように、RFID読取部24は、タグ315tから受信した電波により、どの識別情報(例えば、どの番号)を有するタグ315tからの電波がどの程度の受信強度であるかを示す情報が取得可能である。なお、この時点で、どの識別情報を有するタグ315tがスロットのどの位置に配置されているかまではわからない。
【0140】
そこで、設備制御部26は、第1学習モデルを用いてX軸方向におけるケース315の位置(つまり、どのスロットにどの識別情報のタグ315tが配置されているか)を特定する。第1学習モデルは、1以上のアンテナ314(ここでは、4つのアンテナ314)の各々が対象物(ここではケース315)のタグ315tから受信した電波の受信強度を入力情報とし、当該タグ315tが設けられる管理対象のX軸方向(所定の方向)における位置に関する情報を正解データとして学習された機械学習モデルである。X軸方向における位置に関する情報は、例えば、スロットの位置を示す情報(例えば、アドレス)を含む。
【0141】
設備制御部26は、
図10に示す受信強度分布をもとにアンテナ314が受信した無線信号が複数のフィーダ支持部75のうちどのフィーダ支持部75(どのスロット)に装着されたケース315から発信されたかを特定する。設備制御部26は、フィーダ支持部75の位置を正解データとして教師有り学習により学習された学習済みモデルに、
図10に示す受信強度分布を入力することで得られる出力を、当該無線信号を発信したケース315の位置として特定する。
図10に示す受信強度分布は、信号強度に基づく情報の一例である。
【0142】
なお、学習済みモデルでは、アンテナ314が受信した無線信号の受信強度分布と、当該無線信号を発信した対象物(例えば、ケース315)がセットされるスロット位置とを対応付けるための位置判定閾値、重みパラメータなどが学習により設定され得る。
【0143】
上記の方法により、アンテナ314の数がケース315の数より少なくても、精度よくケース315が装着されている位置が特定可能である。
【0144】
なお、学習済みモデルは、1つ生成されてもよいが、より好ましくは保持領域75aのタイプに応じて複数生成されるとよい。保持領域75aのタイプは、スロット数であるが、例えば、保持領域75aのX軸方向の長さ、スロットの幅などであってもよい。この場合、例えば、スロット数ごとに
図10に示す受信強度分布を取得し、スロット数ごとに学習済みモデルを生成する。設備制御部26は、保持領域75aのスロット数を示す情報を取得し、取得したスロット数を示す情報に応じて1つの学習済みモデルを決定し、決定された学習済みモデルを用いてタグ315tの位置(ケース315の位置)を特定する。
【0145】
なお、
図2の例では、アンテナ314は、カセットフィーダ311の下方に設けられる例について説明したが、カセットフィーダ311の上方に設けられてもよい。また、フィーダがバルクフィーダ317である場合、アンテナ314は、バルクフィーダ317の下方に設けられてもよいし、ケース315の上方に設けられてもよい。この場合、ケース315のタグ315tの電波を受信する場合、学習済みモデルは、ケース315内の部品数に応じて複数生成されてもよい。ケース315が収容する部品に金属が含まれる場合、ケース315内の部品数に応じてアンテナ314が受信する電波の信号強度が変化するためである。
【0146】
例えば、ケース315内の部品の部品数が第1個数(例えば、最大個数)である場合にタグ315tから取得された電波の受信強度分布に基づいて、上記で説明した方法により学習済みモデルである第1学習モデルが生成され、ケース315内の部品の部品数が第1個数より少ない第2個数(例えば、最大個数の半分)である場合にタグ315tから取得された電波の受信強度分布に基づいて、上記で説明した方法により学習済みモデルである第2学習モデルが生成されてもよい。第1学習モデルおよび第2学習モデルの生成は、例えば、設備制御部26により実行される。第2学習済みモデルは、例えば、部品収容体に収容されている部品の数量が第1受信信号強度の電波を受信したときと異なる数量であるときに受信した電波の信号強度を示す第2受信信号強度に基づく情報を入力情報とし、そのときの当該タグ315tが設けられる管理対象のX軸方向(所定の方向)における位置に関する情報を正解データとして機械学習により学習されている。
【0147】
そして、設備制御部26は、配置部に配置されたバルクフィーダ317に装着されたケース315に収容される部品の数量に応じて、第1学習モデルと第2学習モデルとを切り替えてもよい。なお、学習済みモデルは、ケース315内の部品の部品数に応じて、3つ以上生成されてもよい。また、ケース315に収容される部品の数量は、例えば、未使用時の部品の数量と、当該ケース315を用いた生産数(部品実装数)とに基づいて、特定可能である。例えば、当該ケース315のタグ315tに、現在収容されている部品の数量が記憶されていてもよい。
【0148】
なお、学習済みモデル(第3学習済みモデル)は、配置部(保持領域75a、保持領域70aおよび70b、保持部43が設けられる領域、支持部42、仮置き場700のアンテナ台701)に配置されている対象物の数および当該対象物が取り付けられた位置の少なくとも一方に応じて複数生成されるとよい。具体的には、保持領域75aに配置されているケース315の数および当該ケース315が取り付けられた位置の少なくとも一方に応じて複数生成されるとよい。保持領域75aに対するケース315により占有される領域の割合が変化したり、ケース315により占有される領域の位置が変化とすると、アンテナ314が受信する電波の信号強度が変化するためである。この場合、設備制御部26は、配置部に配置された複数のバルクフィーダ317に保持されているケース315の数および位置の少なくとも一方に応じて、第1学習モデルと第3学習モデルとを切り替えてもよい。ここで、第3学習済みモデルは、配置部に配置された複数のバルクフィーダ317に保持されているケース315の数および位置の少なくとも一方が、第1学習モデルを学習するときに用いられた入力情報に含まれる受信強度の電波を受信したときの数および位置の少なくとも一方と異なるときに取得された電波の受信強度(第3受信信号強度)に基づく情報を入力情報とし、そのときの当該タグ315tが設けられる管理対象のX軸方向(所定の方向)における位置に関する情報を正解データとして機械学習により学習されている。なお、ケース315の数および位置は、例えば、配置部を撮像した画像の画像解析、または、配置部(又はバルクフィーダ317)に配置されたセンサにより特定可能である。
【0149】
また、例えば、学習済みモデル(第4学習済みモデル)は、配置部(保持領域75aまたは仮置き場700のアンテナ台701)に配置されるフィーダ(カセットフィーダ311またはバルクフィーダ317)の数および位置の少なくとも一方に応じて複数生成されるとよい。具体的には、保持領域75aに配置されているバルクフィーダ317の数および位置の少なくとも一方に応じて複数生成されるとよい。保持領域75aに対する作業ユニットにより占有される領域の割合またはフィーダにより占有される領域の位置が変化すると、アンテナ314が受信する電波の信号強度が変化するためである。この場合、設備制御部26は、配置部に配置された複数の作業ユニットの数および位置の少なくとも一方に応じて、第1学習モデルと第4学習モデルとを切り替えてもよい。ここで、第4学習済みモデルは、配置部に配置された作業ユニットの数および位置の少なくとも一方が、第1学習モデルを学習するときに用いられた入力情報に含まれる受信強度の電波を受信したときの数および位置の少なくとも一方と異なるときに取得された電波の受信強度(第4受信信号強度)に基づく情報を入力情報とし、そのときの当該タグ315tが設けられる管理対象のX軸方向(所定の方向)における位置に関する情報を正解データとして機械学習により学習されている。なお、作業ユニットの数および位置は、例えば、配置部を撮像した画像の画像解析、または、配置部に配置されたセンサにより特定可能である。
【0150】
[1-3.部品実装システムの動作]
続いて、上記のように構成される部品実装システム10の動作について、
図11を参照しながら説明する。
図11は、本実施の形態に係る部品実装システム10の動作(実装支援方法)を示すフローチャートである。
【0151】
図11に示すように、RFID読取部24は、タグ検出を開始する(S10)。具体的には、RFID読取部24は、アンテナ314ごとに順次電波を発信し、当該電波に応じてタグ315tから発信された電波を受信する。
【0152】
次に、RFID読取部24は、受信した電波から、アンテナ314別の受信強度(RSSI)を取得する(S20)。RFID読取部24は、アンテナ314ごとおよびタグ315tごとに受信強度を取得する。例えば、アンテナ314が4つあり、タグ315tが15個ある場合、60個の受信強度が取得される。RFID読取部24は、取得した受信強度を、台車制御部25を介して設備制御部26に出力する。
【0153】
次に、設備制御部26は、機械学習モデルを用いてタグ位置を判定する(S30)。設備制御部26は、上記で説明したように、予め学習された学習済みモデルを読み出し、読み出したが学習済みモデルに受信強度に対応する主成分分析の3座標軸の座標を入力することで得られた当該学習済みモデルの出力を、当該タグ315tのタグ位置であると判定する。タグ位置は、保持領域75a内のX軸方向の位置(スロット位置)である。
【0154】
次に、設備制御部26は、タグ315tからの電波に含まれるタグ情報と保持領域75a内のX軸方向の位置(スロット位置)とを紐づける(S40)。これにより、タグ315tがどの位置(どのスロット)に装着されたケース315から発信されたものであるかが特定される。
【0155】
次に、設備制御部26は、ステップS30で特定されたケース315の位置に基づいて、当該位置に対応する適切なケース315が保持領域75aに保持されているか否かを判定する。つまり、設備制御部26は、ステップS30で特定されたケース315のタグ315tのタグ情報に示される部品の種類と、当該位置に本来配置されるべきである部品の種類とが一致するか否かの部品照合を実行する(S50)。本来配置されるべきである部品の種類を示す情報は、例えば、フロア制御装置11または上位システム12から取得されてもよいし、部品実装装置20に記憶されていてもよい。また、当該情報は、例えば、生産計画などから取得可能である。
【0156】
次に、設備制御部26は、生産を開始するか否かの生産判定を実行する(S60)。つまり、ステップS50までの間、生産は行われておらず、ステップS60の判定結果により生産が開始される。設備制御部26は、例えば、部品照合において部品の種類が一致した場合、生産開始すると判定し、部品照合において部品の種類が一致しないと判定した場合、生産開始しないと判定する。
【0157】
次に、設備制御部26は、ステップS60の判定結果を上位システム12へ通知する(S70)。また、設備制御部26は、ステップS60の判定結果に応じた報知を行ってもよい。これにより、フロアの作業者などに部品の種類が一致しないことを知らせることができるので、誤ってケース315が装着されている場合に、迅速な対応が可能となる。
【0158】
なお、実施の形態1に係る部品照合(S50)および生産判定(S60)は、上位システム12で行われてもよい。この場合、設備制御部26は、ステップS40の結果を上位システム12へ通知する。位置の判定(S30)および判定された位置とタグ情報を紐づける(S40)処理部と、部品照合(S50)および生産判定(S60)処理を実行する処理部とを分離することにより、それぞれの処理部における負荷が低減される。そのため、設備制御部26のコストを低減可能となり、結果として部品実装装置20のコスト低減が可能となる。ここでの分離するとは、複数の処理を、互いに異なる情報処理装置を用いて分散処理することを意味する。
【0159】
(実施の形態1の変形例)
以下では、本変形例に係る部品実装システムについて、
図12を参照しながら説明する。なお、以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一または類似の内容については説明を省略または簡略化する。
【0160】
図12は、本変形例に係るアンテナ316を模式的に示す図である。
図12では、台車30aのうち上部の部分のみを図示している。
【0161】
図12に示すように、本変形例に係る部品実装システムは、アンテナ316の形状が実施の形態1に係るアンテナ314と異なる。
【0162】
アンテナ316は、X軸方向に長尺状の基板316aを有する。また、基板316a上には、配線であるアンテナパターン316bが複数形成されている。つまり、複数のアンテナパターン316bは、1つの基板316aに形成されている。
【0163】
これにより、1つの基板に1つのアンテナが形成される場合に比べて、アンテナ316のコストを低減することができる。
【0164】
なお、基板316a上にスイッチが設けられ、当該スイッチにより複数のアンテナパターン316bとRFID読取部24との間の接続が切り替えられてもよい。これにより、アンテナ316とRFID読取部24とを接続する配線を少なくすることができる。
【0165】
なお、実施の形態1に係るアンテナ423、614においても同様である。つまり、アンテナ423および614は、複数のミアンダ状に蛇行するアンテナパターンが形成された1枚の基板により実現されてもよい。
【0166】
(実施の形態2)
[2-1.部品実装装置の構成]
本実施の形態に係る部品実装装置の構成について、
図13および
図14を参照しながら説明する。なお、以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
図13は、本実施の形態に係る部品実装装置1020の概略構成を示す図である。本実施の形態に係る部品実装装置1020は、アンテナ314がケース315の上方側に配置される点において、実施の形態1に係る部品実装装置20と相違する。なお、実施の形態1に係る部品実装システム10は、部品実装装置20に替えて部品実装装置1020を備えていてもよい。
【0167】
図13に示すように、部品実装装置1020は、部品実装装置本体1110(装置本体)と、基板搬送部1120と、台車1130と、X軸移動機構1140と、Y軸移動機構1150と、ヘッド1160と、保護カバー部1170と、アンテナ314とを備える。
【0168】
基板搬送部1120は、部品実装装置本体1110の中央付近にX軸に沿って(基板1200の搬送方向に沿って)に配設されている。基板搬送部1120は、上流側から搬入された基板1200をX軸に沿った方向に搬送し、部品実装作業を実行するために設定された実装ステージに位置決めして保持する。
【0169】
台車1130は、部品実装装置1020の部品実装装置本体1110と連結される台車である。台車1130は、例えば、部品実装装置本体1110の所定位置に着脱自在である。台車1130は、ケース315に収容されたバルク状の部品を整列させて供給するバルクフィーダ317を有する部品供給ユニット31を備える。部品供給ユニット31は、バルクフィーダ317を所定の方向(X軸方向)に複数並べて配置する。例えば、台車1130は、複数のバルクフィーダ317を一括して保持可能である。台車1130は、部品を収容する部品収容体であるケース315をX軸方向に複数並べて配置可能な構成を有する。台車1130は、ケース315をX軸方向に複数並べて配置可能な配置部を有するとも言える。なお、台車1130は、カセットフィーダ311およびテープカセット60をX軸方向に複数並べて配置可能な構成を有していてもよい。ここでの着脱自在とは、部品実装装置本体1110および台車1130を破壊することなく、部品実装装置本体1110に台車1130を連結すること、かつ、部品実装装置本体1110と台車1130との連結を解除することが可能であることを意味する。
【0170】
部品実装装置本体1110の上面においてX軸プラス方向の端部には、リニア駆動機構を備えたY軸移動機構1150がY軸方向に配設されており、Y軸移動機構1150には、同様にリニア駆動機構を備えた2基のX軸移動機構1140が、Y軸方向に移動自在に結合されている。2基のX軸移動機構1140には、それぞれヘッド1160がX軸方向に移動自在に装着されている。
【0171】
ヘッド1160は、台車1130に配置されたバルクフィーダ317から供給された部品を基板1200に搭載(実装)する。
【0172】
ヘッド1160には、部品を吸着して保持し個別に昇降可能な部品吸着ノズル1160aが装着されている。ヘッド1160は、部品吸着ノズル1160aを昇降させるZ軸昇降機構および部品吸着ノズル1160aをノズル軸廻りに回転させるθ軸回転機構を有する。
【0173】
保護カバー部1170は、作業者が作業中にヘッド1160などの可動部と接触しないように、作業時の作業者の安全を確保するために設けられるカバーである。保護カバー部1170は、部品供給ユニット31の上方に設けられ、ヘッド1160の可動範囲と部品供給ユニット31とを隔てるように設けられる。
【0174】
保護カバー部1170は、ケース315が装着されたバルクフィーダ317に沿った形状を有する。具体的には、保護カバー部1170は、バルクフィーダ317のヘッド1160側を覆う第1部分1170aと、バルクフィーダ317を覆い、第1部分1170aよりZ軸プラス側に設けられる第2部分1170bとを有する。第2部分1170bは、例えば、ケース315の上面に沿って傾斜している。第2部分1170bは、ケース315の上面と対向するように傾斜している。第2部分1170bにアンテナ314が設けられる。
【0175】
また、ケース315におけるタグ315tが設けられる一側面315bとの結合面となるバルクフィーダ317の一側面317aは、平面視において保護カバー部1170から突出した位置に設けられる。例えば、ケース315は、平面視において、第2部分1170bと重なる部分より、第2部分1170bと重ならない部分の方が、平面視における面積が大きい。また、例えば、平面視において、アンテナ314とタグ315tとは、互いに重ならない位置に配置されてもよい。
【0176】
図14は、本実施の形態に係る台車1130およびその周辺を示す斜視図である。なお、
図14では、バルクフィーダ317が1つ装着されている図を示す。
【0177】
図14に示すように、保護カバー部1170は、X軸方向に沿って延在する板状の部分を有し、ケース315の上方に設けられる。また、アンテナ314は、例えば、保護カバー部1170の下面(Z軸マイナス側の面)に配置される。
【0178】
図13を再び参照して、ケース315は、バルクフィーダ317の上部に設けられる。
【0179】
アンテナ314は、部品供給ユニット31の上方に設けられる。本実施の形態では、アンテナ314は、保護カバー部1170に取り付けられている。例えば、アンテナ314とケース315との間には、バルクフィーダ317等の金属製の部材が配置されない。また、アンテナ314は、RFID読取部24(
図8を参照)と接続される。
【0180】
アンテナ314は、タグ315t等から情報を読み取るためにタグ315t等と通信するためのアンテナである。アンテナ314は、1以上設けられる。本実施の形態では、アンテナ314は、複数設けられる。隣り合うアンテナ314の配置間隔(実施の形態1の配置間隔P2に対応)と、タグ315tの配置間隔(実施の形態1の配置間隔P1に対応)とは同じであってもよいし、アンテナ314の配置間隔の方が大きくてもよい。例えば、1以上のアンテナ314の数は、部品供給ユニット31に配置可能なケース315の数(つまり、バルクフィーダ317の数)と同数であってもよいし、ケース315の数より少なくてもよい。
【0181】
なお、部品供給ユニット31の下方にはテープカセット60を保持する保持領域(例えば、
図2に示す保持領域70a)が設けられていてもよい。そして、1以上のアンテナ314は、当該保持領域に保持されたテープカセット60のタグ615tと通信可能に構成されてもよい。つまり、タグ315tおよび615tはそれぞれ、上方に設けられたアンテナ314と通信可能であってもよい。
【0182】
なお、アンテナ314は、ケース315のタグ315tに替えて、または、タグ315tとともに、バルクフィーダ317に設けられたタグの情報も読み出し可能であってもよい。
【0183】
なお、本実施の形態に係る部品実装装置1020を備える部品実装システムの動作(実装支援方法)は、実施の形態1に係る部品実装装置20と同じであってもよい。例えば、アンテナ314の数がケース315と同数である場合に、実施の形態1の
図11で示した方法でケース315の位置を特定してもよい。例えば、部品実装装置1020において、1以上のアンテナ314が部品供給ユニット31の上方に設けられ、実装支援方法は、部品供給ユニット31の上方に設けられた1以上のアンテナ314がタグ315tから受信した電波の受信強度を取得し、取得された対象物(例えば、ケース315またはバルクフィーダ317)それぞれの受信強度に基づいて、対象物それぞれの所定の方向における位置を特定してもよい。
【0184】
(実施の形態2の変形例)
以下では、本変形例に係る部品実装システムについて、
図15を参照しながら説明する。なお、以下では、実施の形態2との相違点を中心に説明し、実施の形態2と同一または類似の内容については説明を省略または簡略化する。
【0185】
図15は、本変形例に係る台車1130aを模式的に示す断面図である。
【0186】
図15に示すように、台車1130aは、アンテナ314を保持する保持部1180を備えてもよい。保持部1180は、ケース315の上方からタグ315tの電波を受信可能なようにアンテナ314を保持する。保持部1180は、例えば、平面視において、アンテナ314とケース315との少なくとも一部が重なるように、アンテナ314を保持する。
【0187】
このように、1以上のアンテナ314は、台車1130aに設けられる。また、保持部1180は、台車1130aに設けられる。なお、
図15では、図示を省略しているが、台車1130aには、保持部1180を台車1130aの本体部に対して固定するための固定機構が設けられる。
【0188】
(実施の形態3)
部品実装装置に配置されるフィーダ(例えば、カセットフィーダ311又はバルクフィーダ317)が増えることで読取対象のRFIDも増えて並ぶ幅が広がる場合、各アンテナ314の指向性には制約があるので、アンテナ数を増やす必要がある。しかしながら、RFID読取部が有することができるアンテナ数には制限があり、アンテナ数が増やせない場合がある。また、アンテナ数を増やせたとしても、コストが増加してしまう。
【0189】
そこで、本実施の形態では、読取対象のRFIDが増えた場合でも、アンテナ数を増やすことなく(又はアンテナ数を増やす場合により少ない増加数で)増えた分のRFIDを含むRFIDの全てを検出することができる部品実装装置について説明する。
【0190】
[3-1.部品実装装置の構成]
本実施の形態に係る部品実装装置の構成について、
図16を参照しながら説明する。なお、以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明する。本実施の形態に係る部品実装装置は、実施の形態1に係る部品実装装置20のRFID読取部24に替えてRFID読取部24aを備える。
図16は、本実施の形態に係るRFID読取部24aの構成を示す図である。
【0191】
RFID読取部24aは、アンテナ314から発信される電波を制御するための発信用信号を発生する回路(例えば、無線回路1210)を有し、発信用信号の位相を調整する位相器1230を通過した発信用信号を複数のアンテナ314に伝送し、複数のアンテナ314のそれぞれから位相制御された発信用信号に応じた電波を発信させるための制御装置である。RFID読取部24aは、例えば、各アンテナ314から発信される電波の位相を個々に制御することで、電波の指向性(発信される電波において信号強度が強い方向)を変化させる。これにより、例えば、両端に配置されたRFIDからの受信信号の信号強度を高めることができるので、アンテナ314の数を増やさずに、RFIDの検出範囲を広げることができる。
【0192】
図16に示すように、RFID読取部24aは、無線回路1210と、分配回路1220と、位相器1230と、位相制御回路1240とを備える。
【0193】
無線回路1210は、アンテナ314に伝送される発信用信号(電気信号)を生成する回路である。無線回路1210は、予め定められた周波数および振幅を有する発信用信号を生成する。発信用信号の生成には、公知のいかなる技術が用いられてもよい。
【0194】
分配回路1220は、入力端子から入力された信号を、各出力端子に分配する。入力端子は、無線回路1210と電気的に接続されており、各出力端子は、互いに異なる位相器1230と電気的に接続されている。出力端子と、位相器1230とは、一対一に設けられる。本実施の形態では、分配回路1220は、無線回路1210が生成した発信用信号を各位相器1230に分配して、強度と位相とが共通の信号を出力する。
【0195】
位相器1230は、アンテナ314に一対一に設けられ、分配回路1220から取得した信号の位相を、位相制御回路1240からの制御信号(例えば、後述する第1の位相情報および第2の位相情報)に基づいて調整する。制御信号(例えば、第1の位相情報および第2の位相情報)は、位相器1230を介してアンテナ314に送信される信号の位相を示す情報である。位相器1230は、例えば、通過する信号の位相を変化させるためのキャパシタ、インダクタ(図示しない)などを有するが、これに限定されない。
【0196】
位相器1230を通過した発信用信号、つまり位相制御された発信用信号が、RFID読取部24aからアンテナ314に伝送される。伝送された信号は、複数のアンテナ314のそれぞれから同時に出力される。
【0197】
位相制御回路1240は、無線回路1210が生成した発信用信号における位相を制御するための制御信号を各位相器1230に出力する。位相制御回路1240は、例えば、複数のアンテナ314それぞれから発信される電波の位相を示す情報に基づいて、発信用信号の位相を各アンテナ314で異ならせる。位相制御回路1240は、例えば、複数のアンテナ314それぞれから発信される電波の位相と、発信用信号の位相とが対応付けられたテーブルを記憶しており、当該テーブルに基づいて、制御信号を生成し、出力する。位相制御回路1240は、例えば、発信用信号の位相を複数のアンテナ314それぞれについて示す第1の位相情報と、発信用信号の位相を複数のアンテナ314それぞれについて示す第2の位相情報であって、第1の位相情報と異なる第2の位相情報とを生成する。すなわち、第1の位相情報と第2の位相情報とはそれぞれ、複数のアンテナ314に対して伝送される複数の発信用信号の位相の組み合わせを示す情報であって、複数の発信用信号の位相は互いに異なっている。位相制御回路1240は、例えば、複数のアンテナ314から発信される電波の指向性を異ならせるための第1の位相情報および第2の位相情報を生成するとも言える。第1の位相情報に基づいて複数のアンテナ314から発信される電波の指向性および第2の位相情報に基づいて複数のアンテナ314から発信される電波の指向性は互いに異なる。複数のアンテナ314から発信される電波において信号強度が強い方向が異なることは、電波の指向性が異なることの一例である。のそれぞれは、複数のアンテナ314それぞれの位相の調整量を示す情報を含む。複数のアンテナ314それぞれの位相の調整量は、互いに異なり得る。
【0198】
なお、発信される電波において信号強度が強い方向は、2方向以上あれば数は特に限定されない。また、発信される電波において信号強度が強い方向は、予め設定されていてもよいし、当該生産に用いるフィーダ数およびフィーダ配置に基づいて、都度調整されてもよい。
【0199】
このように、RFID読取部24aは、第1の位相情報および第2の位相情報に基づいて、複数のアンテナ314のそれぞれに対して位相が調整された発信用信号を伝送可能に構成される。
【0200】
また、本実施の形態では、部品実装システムは、複数のアンテナ314を備える。
【0201】
ここで、電波指向性を変化させたときのアンテナ314別の電波の受信強度(RSSI)について、
図17Aおよび
図17Bを参照しながら説明する。
図17Aは、本実施の形態に係る、左方向へビームを振った場合のアンテナ314別の電波の受信強度分布を示す図である。
図17Bは、本実施の形態3に係る、右方向へビームを振った場合のアンテナ314別の電波の受信強度分布を示す図である。ビームとは、例えば、発信される電波において信号強度が強められる方向を意味する。なお、ant1、ant2、ant3およびant4はこの順に配置されており、RFIDは、タグ番号1~16の順に配置されており、タグ番号1のRFIDがant1側に配置されており、タグ番号16のRFIDがant4側に配置されているとする。
【0202】
図17Aに示すように、左方向へビームを振った場合には、左側に配置されているアンテナ314であるant1および2では右側のRFID(例えば、タグ番号11~15のRFID)を検出できていないものの、右側に配置されているアンテナ314であるant3および4では全てのRFIDを検出できている。
【0203】
図17Bに示すように、右方向へビームを振った場合には、右側に配置されているアンテナ314であるant3および4では左側のRFID(例えば、タグ番号1~5のRFID)を検出できていないものの、左側に配置されているアンテナ314であるant1および2では全てのRFIDを検出できている。
【0204】
また、4つのアンテナ314を、電波の指向性を左方向と右方向とで2パターン変化させているので、受信強度分布として8個のデータを得ることができる。つまり、4つのアンテナ314を、電波の指向性を変化させない(1パターンである)場合に比べて、より多くの受信強度分布のデータを得ることができる。よって、機械学習モデルを学習するための学習用のデータを増やすことができる。このようなデータを用いて学習された機械学習モデルの位置判定の精度を向上させることができる。
【0205】
なお、位相制御回路1240は、電波の指向性を3パターン以上に変化させてもよい。この場合、パターン数と等しい位相情報が位相制御回路1240により生成される。
【0206】
[3-2.部品実装システムの動作]
続いて、上記のように構成される部品実装システムの動作について、
図18および
図19を参照しながら説明する。
図18は、本実施の形態に係る部品実装システムの動作(実装支援方法)の一例を示すフローチャートである。
図18では、ステップS10とステップS30との間にステップS110~S130が実行される。
【0207】
図18に示すように、RFID読取部24aの位相制御回路1240は、タグ検出が開始される(S10)と、無線回路1210が生成した発信用信号の位相を制御する(S110)。位相制御回路1240は、各位相器1230に制御信号を出力することで、発信用信号の位相を各位相器1230で変化させる。具体的には、RFID読取部24aは、アンテナ314別に位相を制御し、位相制御された発信用信号が各アンテナ314に伝送される。各アンテナ314は、当該アンテナ314に応じて位相制御された発信用信号に基づく電波(無線信号)を同時に発信し、当該電波に応じてタグ315tから発信された電波(無線信号)を受信する。ここでは、第1の位相情報に基づいて位相制御された電波が発信されたとする。
【0208】
次に、RFID読取部24aは、受信した電波からアンテナ314別の受信強度(RSSI)を取得する(S20)。
【0209】
次に、RFID読取部24aは、全ての位相条件(例えば、第1の位相情報および第2の位相情報)に対してRSSIを取得したか否かを判定する(S130)。RFID読取部24aは、全ての位相条件に対してRSSIを取得している場合(S130でYes)、ステップS30に進み、全ての位相条件に対してRSSIを取得していない場合(S130でNo)、ステップS110に進み、残りの位相条件に対してステップS110~S130の処理を実行する。ここでは、第2の位相情報を用いたRSSIが未取得であるので、ステップS130でNoと判定され、第2の位相情報を用いたRSSIの取得が行われる。
【0210】
このように、RFID読取部24aは、位相制御の条件別にアンテナ314毎およびタグ315t毎に受信強度を取得する。例えば位相条件が3つあり、アンテナが4つありタグが15個ある場合、180個の受信強度が取得される。RFID読取部24aは、取得した受信強度を台車制御部25を介して設備制御部26に出力する。
【0211】
次に、設備制御部26は、機械学習モデルを用いてタグ位置を判定する(S30)。設備制御部26は、第1の位相情報に基づく電波を発信したときに複数のフィーダそれぞれのタグ315tから受信した無線信号と、第2の位相情報に基づく電波を発信したときに複数のフィーダそれぞれのタグ315tから受信した無線信号とに基づいて、複数のフィーダのX軸方向における位置を特定する。具体的には、設備制御部26は、第1の位相情報に基づく電波を発信したときに複数のフィーダそれぞれのタグ315tから受信した無線信号の信号強度(受信強度分布)と、第2の位相情報に基づく電波を発信したときに複数のフィーダそれぞれのタグ315tから受信した無線信号の信号強度(受信強度分布)とを機械学習モデルに入力し、その出力として複数のフィーダのX軸方向における位置を取得する。
【0212】
ここで用いられる機械学習モデルは、第1の位相情報に基づいて複数のタグ315tから電波を発信したときに各タグ315tから受信した無線信号の信号強度(受信強度分布)と、第1の位相情報とは異なる第2の位相情報に基づいて複数のタグ315tから電波を発信したときに各タグ315tから受信した無線信号の信号強度(受信強度分布)とを入力データとし、そのときの複数のフィーダの所定の方向における位置を正解データとして機械学習により予め学習されている。第1の位相情報と第2の位相情報とが異なるとは、位相の調整量が異なることを意味する。つまり、第1の位相情報に基づいて複数のアンテナ314から発信される電波の指向性と第2の位相情報に基づいて複数のアンテナ314から発信される電波の指向性とは互いに異なる。
【0213】
なお、上記では、RFID読取部24aが位相を制御する例について説明したが、これに限定されない。例えば、各アンテナ素子が位相制御器を有するアレイアンテナに発信用信号を供給し、アレイアンテナが発信する電波の電波指向性を変更してもよい。この場合、各アンテナには共通の信号(共通の発信用信号)がRFID読取部から伝送される。また、RFID読取部が位相を制御しない場合、部品実装装置20は、RFID読取部24を備えていてもよい。以下では、部品実装装置20がRFID読取部24を備えるものとして説明する。
【0214】
アレイアンテナは、1つの入力端子と、複数の出力端子とを有している。入力端子は、RFID読取部24と電気的に接続されており、各出力端子のそれぞれは、当該出力端子に対応するアンテナ素子の入力端子と電気的に接続されている。出力端子とアンテナ素子(例えば、アンテナ素子に対応する位相制御器)の入力端子とは、一対一に設けられる。アンテナ素子は、アンテナの一例である。
【0215】
位相制御器は、取得した発信用信号の位相を調整する。位相制御器は、通過する信号の位相を変化させるための構成を有する。位相制御器は、RFID読取部24が生成する、発信用信号の位相をアンテナ素子毎に示す第3の位相情報と、発信用信号の位相をアンテナ素子毎に示す第4の位相情報であって、第3の位相情報と異なる第4の位相情報とに基づいて、発信用信号の位相を制御する。位相制御器とアンテナ素子とは、一対一に設けられる。
【0216】
RFID読取部24は、アレイアンテナに発信用信号を伝送するとともに、第3の位相情報および第4の位相情報を生成し、生成した第3の位相情報および第4の位相情報をアレイアンテナに伝送する。第3の位相情報および第4の位相情報のそれぞれは、複数のアンテナ素子それぞれの位相の調整量を示す情報を含む。複数のアンテナ素子それぞれの位相の調整量は、互いに異なり得る。
【0217】
このようなアレイアンテナを備える部品実装システムの動作について、
図19を参照しながら説明する。
図19は、本実施の形態に係る部品実装システムの動作(部品実装方法)の他の一例を示すフローチャートである。
【0218】
図19に示すように、アレイアンテナは、タグ検出が開始される(S10)と、位相制御器が供給された発信用信号の位相を制御する(S110a)。RFID読取部24は、アンテナ毎(アンテナ素子毎)に順次(又は同時に)電波を発信し、当該電波に応じたタグ315tから発信された電波(無線信号)を受信する。なお、順次電波を発信する場合、複数のアンテナ素子における電波を発信する順序は特に限定されない。
【0219】
次に、RFID読取部24は、受信した電波からアンテナ(アンテナ素子)の受信強度(RSSI)を取得する(S120)。RFID読取部24は、位相制御の条件別にアンテナ(アンテナ素子)毎およびタグ315t毎に受信強度を取得する。ここでは、第3の位相情報に基づいて位相制御された電波が発信されたとする。
【0220】
次に、RFID読取部24は、全ての位相条件に対してRSSIを取得したか否かを判定する(S130)。RFID読取部24aは、全ての位相条件に対してRSSIを取得している場合(S130でYes)、ステップS30に進み、全ての位相条件に対してRSSIを取得していない場合(S130でNo)、ステップS110aに進み、残りの位相条件に対してステップS110a~S130の処理を実行する。ここでは、第4の位相情報を用いたRSSIが未取得であるので、ステップS130でNoと判定され、第4の位相情報を用いたRSSIの取得が行われる。
【0221】
このように、RFID読取部24は、位相制御の条件別にアンテナ素子毎およびタグ315t毎に受信強度を取得する。例えば位相条件が3つあり、アンテナ素子が4つありタグが15個ある場合、180個の受信強度が取得される。RFID読取部24は、取得した受信強度を台車制御部25を介して設備制御部26に出力する。
【0222】
次に、設備制御部26は、機械学習モデルを用いてタグ位置を判定する(S30)。設備制御部26は、第3の位相情報に基づく電波を発信したときに複数のフィーダそれぞれのタグ315tから受信した無線信号と、第4の位相情報に基づく電波を発信したときに複数のフィーダそれぞれのタグ315tから受信した無線信号とに基づいて、複数のフィーダのX軸方向における位置を特定する。具体的には、設備制御部26は、第3の位相情報に基づく電波を発信したときに複数のフィーダそれぞれのタグ315tから受信した無線信号の信号強度(受信強度分布)と、第4の位相情報に基づく電波を発信したときに複数のフィーダそれぞれのタグ315tから受信した無線信号の信号強度(受信強度分布)とを機械学習モデルに入力し、その出力として複数のフィーダのX軸方向における位置を取得する。
【0223】
これにより、部品実装装置20においてタグ315tを検出することが可能な検出範囲を広げることができるとともに、アンテナ数×位相制御の組み合わせで受信強度分布のデータが得られるので、機械学習モデルの学習に使用できる受信強度分布のデータが増加するため、機械学習モデルを用いたタグ315tの位置判定の精度を向上させることができる。
【0224】
(実施の形態4)
[4-1.実装支援装置の構成]
配置部に配置されたフィーダの位置を特定する実装支援装置について、
図20および
図21を参照しながら説明する。
図20は、本実施の形態に係る実装支援装置1300の機能構成を示すブロック図である。
【0225】
図20に示すように、実装支援装置1300は、取得部1310と、処理部1320と、出力部1330とを備える。実装支援装置1300は、例えば、サーバ装置(つまり、部品実装装置とは別の装置)により実現されてもよいし、
図8に示す設備制御部26(つまり、部品実装装置20に内蔵された装置)により実現されてもよい。
【0226】
取得部1310は、複数のフィーダそれぞれのタグ315tから受信した無線信号の信号強度のデータを取得する通信インタフェースである。取得部1310は、例えば、RFID読取部24から信号強度のデータを、通信を介して取得する。取得部1310は、例えば、通信回路(又は、通信モジュール)を含んで構成される。
【0227】
処理部1320は、取得部1310が取得した信号強度のデータに基づいて、上記で説明した第1処理を実行する。具体的には、処理部1320は、保持領域70aなどに保持された複数のフィーダのX軸方向における位置を特定する。
【0228】
出力部1330は、処理部1320による第1処理の結果、つまり複数のフィーダのX軸方向における位置を示す情報を出力する通信インタフェースである。出力部1330は、例えば、第1処理の結果を外部の装置に通信により送信する。出力部1330は、例えば、通信回路(又は、通信モジュール)を含んで構成される。
【0229】
なお、実装支援装置1300は、少なくとも処理部1320を備えていればよい。
【0230】
[4-2.実装支援装置の動作]
続いて、上記のように構成される実装支援装置1300の動作について、
図21を参照しながら説明する。
図21は、本実施の形態に係る実装支援装置1300の動作(実装支援方法)を示すフローチャートである。
【0231】
図21に示すように、取得部1310は、RFID読取部24により取得されたアンテナ314別のRSSI(信号強度のデータ)を通信を介して取得する(S210)。取得部1310は、定期的にアンテナ314別のRSSI(信号強度のデータ)を取得する。
【0232】
ステップS30以降の処理は、
図11に示すステップS30以降の処理と同様であり、説明を省略する。
【0233】
(その他の実施の形態)
以上、一つまたは複数の態様に係る部品実装システム等について、実施の形態等に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態等に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示に含まれてもよい。
【0234】
例えば、上記実施の形態等では、第1テープカセット61および第2テープカセット65の大きさが異なる例について説明したがこれに限定されず、大きさは同じであってもよい。
【0235】
また、上記実施の形態2に係るアンテナ314が、実施の形態1に係る台車30に適用されてもよい。例えば、アンテナ314は、バルクフィーダ317またはケース315のタグと、テープカセット60のタグ615tまたは626とのそれぞれの電波を受信し、バルクフィーダ317またはケース315およびテープカセット60のX軸方向の位置を特定してもよい。
【0236】
また、上記実施の形態等において、第1テープカセット61および第2テープカセット65の大きさが異なる例について説明したがこれに限定されず、大きさは同じであってもよい。
【0237】
また、本明細書において、バルクフィーダ317を介してケース315が台車30等に配置されることも、対象物が配置部に配置されることに含まれる。
【0238】
また、上記実施の形態等では、実装対象が基板である例について説明したが、これに限定されず、部品を実装可能な物体であればよく、例えば、部品が実装可能な他の部品であってもよい。
【0239】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0240】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が他のステップと同時(並列)に実行されてもよいし、上記ステップの一部は実行されなくてもよい。
【0241】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェアまたはソフトウェアが並列または時分割に処理してもよい。
【0242】
また、上記実施の形態等に係る各制御装置は、単一の装置として実現されてもよいし、複数の装置により実現されてもよい。各制御装置が複数の装置によって実現される場合、当該各制御装置が有する各構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。各制御装置が複数の装置で実現される場合、当該複数の装置間の通信方法は、特に限定されず、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。また、装置間では、無線通信および有線通信が組み合わされてもよい。
【0243】
また、これらの全般的または具体的な態様は、システムで実現されてもよい。
【0244】
また、本開示の一態様は、
図11に示される実装支援方法に含まれる特徴的な各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであってもよい。
【0245】
また、例えば、プログラムは、コンピュータに実行させるためのプログラムであってもよい。また、本開示の一態様は、そのようなプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体であってもよい。例えば、そのようなプログラムを記録媒体に記録して頒布または流通させてもよい。例えば、頒布されたプログラムを、他のプロセッサを有する装置にインストールして、そのプログラムをそのプロセッサに実行させることで、その装置に、上記各処理を行わせることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0246】
本開示は、部品を基板に装着することによって実装基板を生産するための部品実装装置または部品実装装置に対象物を供給する供給装置などに有用である。
【符号の説明】
【0247】
10 部品実装システム(実装システム)
11 フロア制御装置
12 上位システム
20、1020、M4、M5 部品実装装置(実装装置)
20a、1110 部品実装装置本体(装置本体)
21、1160 ヘッド
22、1120 基板搬送部
23 位置決め装置
24、24a RFID読取部(制御装置)
25 台車制御部
26 設備制御部(第1処理部、第2処理部)
30、30a、1130、1130a 台車(台車部)
31 部品供給ユニット
32 台車本体
40 テープカセット供給装置(供給装置)
42 支持部
43、1180 保持部
50、314a、316a、614a、1200 基板
60 テープカセット(部品収容体)
61 第1テープカセット
62 格納部
63 テープ送り部
65 第2テープカセット
70 第1テープカセット支持部(配置部)
70a、70b、75a 保持領域
75 フィーダ支持部
80 ロール体
311 カセットフィーダ
314、316、423、614、702 アンテナ
314b、316b、614b アンテナパターン(アンテナ)
315 ケース(部品収容体)
315b、317a 一側面
315s スペーサ
315t、317t、615t、626 タグ
317 バルクフィーダ
318 自動化アイテム
421 第2テープカセット支持部
422 載置台
490 搬送車
611 上面
612 基端面
621 フレーム体
622 カバー体
625 被把持部
700 仮置き場
701 アンテナ台
1140 X軸移動機構
1150 Y軸移動機構
1160a 部品吸着ノズル
1170 保護カバー部
1170a 第1部分
1170b 第2部分
1210 無線回路
1220 分配回路
1230 位相器
1240 位相制御回路
1300 実装支援装置
1310 取得部
1320 処理部
1330 出力部
M1 基板供給装置
M2 基板受渡装置
M3 印刷装置
M6 リフロー装置
M7 基板回収装置
P1、P2 配置間隔