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特開2024-178926半導体デバイスを製造するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178926
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】半導体デバイスを製造するための装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20241218BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20241218BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
C23C16/455
H01L21/205
H01L21/31 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024093628
(22)【出願日】2024-06-10
(31)【優先権主張番号】102023000012138
(32)【優先日】2023-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】524075076
【氏名又は名称】エルピーイー・エッセ・ピ・ア
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フランチェスコ・コレア
(72)【発明者】
【氏名】ステファノ・ポッリ
(72)【発明者】
【氏名】シルヴィオ・ロベルト・マーリオ・プレーティ
(72)【発明者】
【氏名】ダニーロ・クリッパ
(72)【発明者】
【氏名】ジアンルカ・ヴァレンテ
(72)【発明者】
【氏名】ルーネ・ベルゲ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030EA05
4K030EA06
4K030EA11
4K030GA02
4K030KA04
4K030KA12
4K030KA23
4K030KA45
5F045AA03
5F045AA06
5F045AD14
5F045AD15
5F045AD16
5F045AD17
5F045AD18
5F045AF02
5F045AF03
5F045BB01
5F045DP19
5F045DP28
5F045DQ05
5F045EF13
5F045EJ09
5F045EK06
5F045EM02
5F045EM10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】半導体デバイスを製造するための装置を提供する。
【解決手段】基材101と、化学蒸着(CVD)プロセスによって前記基材上に適用された膜とを含むタイプの半導体デバイスを製造するための装置であって、
-プロセスチャンバ2の第一の基準軸Zに沿って、かつ基材が第一の基準軸に対して直交している平行な平面内に存在する配向に従って、基材を配置するプロセスチャンバと、
-プロセスチャンバを所定の内部温度に加熱するための加熱システムと、
-プロセスガスをプロセスチャンバに送達するための送達ユニット4と、
-プロセスチャンバからプロセス排気ガスを抽出するための排気ガス抽出ユニット6と、を備える、装置である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材(101)と、化学蒸着(CVD)プロセスによって前記基材上に適用された膜とを含むタイプの半導体デバイスを製造するための装置(10)であって、
- 基材(101)(101’)を第一の基準軸(Z)に沿って配置するプロセスチャンバ(2)であって、前記基材(101)が、前記第一の基準軸(Z)に実質的に直交している平行平面内に存在している、プロセスチャンバ(2)と、
- 前記プロセスチャンバ(2)を所定の内部温度に加熱するための加熱システムと、
- プロセスガスを前記プロセスチャンバ(2)に送達するための送達ユニット(4)と、
- 前記プロセスチャンバ(2)からプロセス排気ガスを抽出するための排気ガス抽出ユニット(6)と、を備え、
前記装置が、前記プロセスチャンバ(2)を封入し、かつ前記送達ユニット(4)によって排出される前記プロセスガスを受け入れる入口(8A)と、前記プロセス排気ガスを前記排気ガス抽出ユニット(6)に向かって方向付ける出口(8B)とを有するケース(8)を備え、前記装置(10)が、前記入口(8A)から前記出口(8B)へ、かつ前記プロセスチャンバ(2)内に配置された前記基材(101’)を横切って前記ケース(8)を横断するガス流を生成する、前記入口(8A)と前記出口(8B)との間の圧力差を構築するように構成され、
- 前記ケース(8)を囲み、かつ外側から前記ケース(8)を分離するように構成されているハウジング構造(14)と、
- 前記ハウジング構造(14)の内側と流体連通している入口(74)および出口(76)と、
- 前記入口(74)を介して、前記ハウジング構造(14)の内側に不活性ガスを供給し、かつ前記ハウジング構造(14)内に不活性ガスの制御された雰囲気(80)を作り出すための供給ユニット(78)と、を備える、装置(10)。
【請求項2】
前記ケース(8)が、第二の基準軸に沿って連続して配置されている、
- 前記入口(8A)を含む入口セクション(8C)と、
- 前記プロセスチャンバ(2)を囲む中央セクション(8D)と、
- 前記出口(2B)を含む出口セクション(8E)と、を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ケース(8)が、前記中央セクション(8D)内の前記ガス流の速度が前記入口セクションおよび前記出口セクション(8C、8E)内よりも低くなるように、前記入口セクションおよび前記出口セクション(8C、8E)に対して前記中央セクション(8D)で拡大されている断面流れ面積を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ケース(8)が、前記第一の基準軸(Z)に沿った寸法が、前記入口セクション、前記中央セクション、および前記出口セクション(8C、8D、8E)全体にわたって均一かつ一定である断面流れ面積を有する、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記入口セクション(8C)が、前記第一の基準軸(Z)に沿って延びているフィン(8F)の線状シリーズを含み、前記フィンが、前記入口(8a)に面し、かつ前記ケース入口(8A)に入る前記ガス流を、リニア構成(101’)内の前記基材(101)の位置に対応する複数の位置に均一に分配するように、前記第一の基準軸(Z)に沿って均等に離隔している、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記ケース(8)が、前記第二の基準軸(Y)に沿って共に概して延びている一対の向かい合っている壁(81)と、前記第一の基準軸(Z)に沿って互いに向かい合っている前記一対の壁(81)のエッジに取り付けられている一対の端部閉鎖部(82)と、を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第二の基準軸(Y)を基準として、
前記一対の向かい合っている壁(81)の各々が、上流端の平坦な部分(81C)と、下流端の平坦な部分(81E)と、前記ケース(8)の外側に面している凸側を有する中央の凹状円筒部分(81D)とを有し、
前記一対の端部閉鎖部(82)のそれぞれが、上流端の平坦な部分(82C)、下流端の平坦な部分(82E)、および中央の平坦な部分(82D)を有し、
前記一対の壁(81)および前記一対の端部閉鎖部(82)が:
前記一対の向かい合っている壁(81)の前記上流端の平坦な部分(81C)および前記一対の端部閉鎖部(82)の前記上流端の平坦な部分(82C)が、前記入口(8A)を含む前記ケース(8)の入口セクション(8C)を一緒に形成し、
前記一対の向かい合っている壁(81)の前記中央部分(81D)および前記一対の端部閉鎖部(82)の前記中央部分(82D)が、前記プロセスチャンバ(2)を囲んでいる前記ケース(8)の中央セクション(8D)を一緒に形成し、
前記一対の向かい合っている壁(81)の前記下流端の平坦な部分(81E)および前記一対の端部閉鎖部(82)の前記下流端の平坦な部分(82E)が、前記出口(8B)を含む前記ケース(8)の出口セクション(8E)を一緒に形成するように、一緒に組み立てられている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ケース(8)が、熱伝導性材料、好ましくは黒鉛または炭化ケイ素で作製され、前記加熱システムが、前記ケースを加熱するように配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記加熱システムが、前記ケース(8)を加熱するための熱放射を発生するヒーター(3)を備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記加熱システムが、前記ケース(8)の一対の向かい合っている壁(81)に面して、かつそれに沿って走行するように、前記ケース(8)の外側に配置された熱放射ヒーター(3)の2つのシリーズ(3A、3B)を備え、前記一対の向かい合っている壁(81)が、前記第二の基準軸(Y)に沿って概して延びている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
ヒーター(3)の各シリーズ(3A、3B)が、前記第二の基準軸(Y)に沿って、前記それぞれのケース壁(81)の輪郭と一致する線(M)に従っている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記加熱システムが、前記ケース(8)の前記入口セクション(8C)を、前記ケース(8)の前記中央セクションおよび出口セクション(8D、8E)よりも高い温度に加熱するように構成されている、請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
前記送達ユニット(4)が、前記プロセスガスが排出される複数のオリフィスを有するバッフルプレート(42A)を備え、前記バッフルプレート(42A)が、前記ケースの前記入口(8A)に対して平行に、かつ前記第二の基準軸(Y)に対して直交するように設定されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記排気ガス抽出ユニット(6)が、前記排気ガスが抜かれる複数のオリフィスを有するバッフルプレート(62A)を備え、前記バッフルプレート(62A)が、前記ケース(8)の前記出口(8B)に対して平行に、かつ前記第二の基準軸(Y)に対して直交するように設定されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記送達ユニット(4)が、送達されている前記プロセスガスを冷却するための冷却管を備え、かつ/または前記排気ガス抽出ユニット(6)が、抽出されている前記プロセス排気ガスを冷却するための冷却管を備える、請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
- 前記送達ユニット(4)を、前記ケース(8)の前記入口(8A)に流体接続し、同時に、前記後者から前記前者を空間的に分離する中間ダクト(15)、および/または
- 前記排気ガス抽出ユニット(6)を、前記ケース(8)の前記出口(8B)に流体接続し、同時に、前記後者から前記前者を空間的に分離する、中間ダクト(16)、
を備える、請求項1~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記第一の基準軸(Z)が、垂直であり、前記第二の基準軸(Y)が、水平である、請求項1~16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記装置が、前記排気ガス抽出ユニット(6)および前記出口(76)に流体接続され、かつ、作動時に、前記ケース(8)を横断する前記ガス流の前記圧力を下回る、前記ハウジング構造(14)内の前記制御された雰囲気(80)内の所定の最小圧力を決定するように構成されている、減圧発生器(70、72)をさらに備える、
請求項1~17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記ケース(8)、前記送達ユニット(4)、および前記排気ガス抽出ユニット(6)を支持する基部(12)を備え、
前記ハウジング構造(14)が、前記ハウジング構造(14)と前記基部(12)とが一緒に結合され、前記ケース(8)を前記外側から分離する第一の位置と、前記ハウジング構造(14)が前記基部(12)から取り外され、前記ケース(8)が前記外側からアクセスすることができる第二の位置との間で、前記基部(12)に対して、前記第一の基準軸(Z)に沿って、移動可能である、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
基材(101)と、化学蒸着(CVD)プロセスによって前記基材上に適用された膜とを備えるタイプの半導体デバイスを製造するための方法であって、
- プロセスチャンバ(2)の第一の基準軸(Z)に沿って、かつ前記基材(101)が前記第一の基準軸(Z)に対して直交している平行な平面内に存在する配向に従って、リニア構成(101’)において基材(101)を配置することと、
- 加熱システムによって、前記プロセスチャンバ(2)を所定の内部温度に加熱することと、
- 送達ユニット(4)によって、プロセスガスを前記プロセスチャンバ(2)に送達することであって、
前記プロセスチャンバ(2)内で、前記プロセスガスがCVDプロセスを受けて、前記リニア構成(101’)の各基材(101)上に膜を形成し、プロセス排気ガスが生成される、送達することと、
- 排気ガス抽出ユニット(6)によって、前記プロセスチャンバ(2)において生成された前記プロセス排気ガスを抽出することと、を含み、
前記方法が、前記プロセスチャンバ(2)を囲み、かつ前記送達ユニット(4)によって排出された前記プロセスガスを受け入れる入口(2A)と、前記プロセス排気ガスを前記排気ガス抽出ユニット(6)に向かって方向付ける出口(2B)とを有するケース(8)を提供することを含み、かつ、前記第一の基準軸(Z)に対して横方向に第二の基準軸(Y)に沿って移動し、かつ前記プロセスチャンバ(2)内に配置された前記基材リニア構成(101’)を横切って移動することによって、前記入口(2A)から前記出口(2B)へと前記ケース(8)を横断し、前記リニア構成(101’)で配置されたすべての前記基材(101)を覆うガス流を生成することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、基材と、化学蒸着(CVD)プロセスによって基材上に適用される膜とを含むタイプの半導体デバイスを製造するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの装置は、複数の基材を配置し、プロセスチャンバに供給されるプロセスガスがCVDプロセスを受けて複数の基材上に膜を形成するプロセスチャンバを備える。
【0003】
このような装置によって実行される製造プロセスの一態様は、CVDプロセスが、プロセスチャンバ内に配置されたすべての基材上に実質的に同一の膜(例えば、実質的に同じ厚さを有する)の形成につながることであり得る。
【0004】
これは、プロセスチャンバ内で、温度、ガス流量、および圧力などの均一な条件が、複数の基材によって占められるすべての位置で確立され得る場合に達成され得る。
【0005】
特開第2014123616号、特許第5783859号、および特許第2550024号は、特定の先行技術の装置を開示している。
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
本発明は、半導体デバイスを製造するための装置を提案する
【0007】
本発明は、概して、請求項1に記載の装置に関する。
【0008】
本発明はまた、請求項20に記載の方法にも関する。
【0009】
特許請求の範囲は、本明細書に提供される教示の不可欠な部分を形成する。
【0010】
図面の簡単な説明および本発明の一つ以上の実施形態の詳細な説明
本発明のさらなる特徴および利点は、非限定的な例としてのみ提供される添付の図面を参照する以下の説明から明らかになるであろう。それにおいて、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本明細書に記載の装置の好ましい実施形態を示す。
図2図1の装置の内側ハウジングを示す。
図3】その内側領域を示すために異なる部品において切断された図1の装置を示す。
図4図1の装置のケースを示す。
図5】部分的に分解された図4のケースを示す。
図6図1の装置に実装されたCVDプロセスによって膜を堆積させる基材リニア構成(linear formation)を示す。
図7】組み立てられた状態における図1の装置の送達ユニットを示す。
図7A】分解された状態における図1の装置の送達ユニットを示す。
図7B図7の送達ユニットの側面図である。
図7C図7Bに示した平面I-Iにおける送達ユニットの断面を示す。
図8】組み立てられた状態における図1の装置の排気ガス抽出ユニットを示す。
図8A】分解された状態における図1の装置の排気ガス抽出ユニットを示す。
図8B図8の排気ガス抽出ユニットの側面図である。
図8C図8Bに示した平面II-IIにおける排気ガス抽出ユニットの断面を示す。
図9図1の装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明では、実施形態のより深い理解を提供することを目的とした様々な具体的な詳細を例示する。実施形態は、具体的な詳細の一つ以上なしで、または他の方法、構成要素、もしくは材料などで実現され得る。他の場合では、実施形態の様々な態様が不明瞭になるのを避けるために、知られている構造、材料、または操作については、詳細に示さず、または説明しない。
【0013】
本明細書で使用される参考文献は、単に便宜上使用され、したがって、保護の範囲または実施形態の範囲を規定しない。
【0014】
上述のように、本明細書に記載の装置は、化学蒸着(CVD)プロセスまたは低圧化学蒸着(LPCVD)プロセスによって、基材上に適用(例えば、堆積)された基材および膜を含むタイプの半導体デバイスを製造するための装置である。例えば、堆積した膜は、炭化ケイ素を含んでもよく、または炭化ケイ素からなってもよい。
【0015】
図1図8を参照すると、参照番号10によって全体的に示される装置は、
CVDプロセスを受ける基材101(例えば、ケイ素または黒鉛ウエハ)を配置するプロセスチャンバ2と、
プロセスガスをプロセスチャンバに送達するための送達ユニット4と、
プロセスチャンバからプロセス排気ガスを抽出するための排気ガス抽出ユニット6と、を備える。
【0016】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態(図4図6を参照)では、装置10は、プロセスチャンバ2を囲み、かつ、送達ユニット4によって排出されたプロセスガスを受け入れる入口8Aと、プロセス排気ガスを排気ガス抽出ユニット6に向かって方向付ける出口8Bとを有する、ケース8を備える。
【0017】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態では、ケース8は、基準軸Yに沿って連続して配置されている、入口セクション8C、中央セクション8D、および出口セクション8Eを備える。
【0018】
中央セクション8Dは、プロセスチャンバ2を囲む。一方で、入口セクション8Cは入口8Aを含み、出口セクション8Eは出口8Bを含み、入口8Aおよび出口8Bは両方とも、中央セクション8Dによって囲まれたプロセスチャンバ2と流体連通している。
【0019】
中央セクション8Dは、基準軸Yに直交する基準軸Zに沿って、かつ、基材101が基準軸Zに対して直交している平行な平面に存在する配向に従って、リニア構成101’に配置された複数の基材101を受け入れるように構成される。
【0020】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態では、基準軸Zは垂直であり、一方、基準軸Yは水平である。
【0021】
代替的な実施形態では、基準軸Zは水平であり、基準軸Yは垂直である。さらなる代替的な実施形態では、基準軸ZおよびYの両方が水平である。
【0022】
基材101は、好ましくは、上述のリニア構成101’に従って基材を保持かつ支持するように構成されているラック7(または任意の他の同等のフレーム)上に装填される。
【0023】
図示した例では、ラック7は、120°の一定の往復角距離で二つの端部7Aの周縁エッジ(peripheral edge)上に位置付けられた三つの長軸方向のポスト7Bによって互いに接続された二つの向かい合っているディスク形状の端部7Aを備える。
【0024】
ポスト7Bは、リニア構成101’の配置に従って平行な横たわる平面上に基材101を支持できる内部突出ピンのそれぞれ長軸方向のシリーズ(図示せず)を有する。
【0025】
好ましくは、ラック7は、CVDプロセス中に、ラック7およびそれによって運ばれる基材101を作製するための回転機構(図示せず)が取り付けられ、基準軸Zに対して平行な回転軸を中心に回転する。
【0026】
ケース8は、入口8Aと出口8Bとの間に圧力差を構築するように構成され、入口8Aから出口8Bへとケース8を横断するガス流を発生させる。特に、発生したガス流は、基準軸Yに沿って直列に、入口セクション8C、中央セクション8D、および出口セクション8Eを通過して移動し、中央セクション8Dでは、ガス流は、基材リニア構成101’を横切って通過し、すべての基材101上を流れる。
【0027】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態では、ケース8は、断面流れ面積を有し、基準軸Zに沿った寸法Hは、入口セクション、中央セクション、および出口セクション8C、8D、8E全体にわたって均一かつ一定である。
【0028】
一方で、一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態では、ケース8の断面流れ面積は、基準軸Zに対して直交する方向に、入口および出口セクション8C、8Eに対して中央セクション8Dで拡大される寸法Lを有し、この特徴の結果として、中央セクション8Dのガス流速は、入口および出口セクション8C、8Eよりも低い。
【0029】
ケース8は、好ましくは、熱伝導性であり、かつ高温に対して耐性のある材料で作製され、なお、「高温」とは、CVDプロセス中にプロセスチャンバで通常必要とされる温度の範囲を表す1000℃を超えかつ最大1400℃の温度を意味することに留意する。好ましくは、ケース8は、黒鉛で作製される。
【0030】
上記を考慮して、ケース8は、プロセスチャンバ2を囲み、かつ、プロセスチャンバ2へのプロセスガスの供給と、同じプロセスチャンバからのプロセス排気ガスの除去とを制御する流体動的システムを作り出す成形ダクトとして構成される。
【0031】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態では、入口セクション8Cは、基準軸Zに対して平行なリニア構成で延びていて、かつ入口8Aに面しているフィン8Fのシリーズを含み、各フィン8Fは、基準軸Zに対して直交して存在し、すべてのフィン8Fは、ケース入口8Aに入るガス流を、リニア構成101’において基材101の位置に対応する複数の位置に均一に分配かつ案内するように、軸Zに沿って均等に離隔させ、かつ位置付けられている。好ましくは、フィン8Fは、黒鉛で作製される。
【0032】
構造上の観点から、ケース8は、特定の用途のニーズに従って異なる方法で実現することができる。
【0033】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態では、ケース8は、両方とも基準軸Yに沿って概して延びている一対の向かい合っている壁81と、基準軸Zに沿って互いに向かい合っている一対の壁81のエッジ81’に取り付けられている一対の端部閉鎖部82とを備える。
【0034】
基準軸Yを参照すると、一対の向かい合っている壁81の各々は、上流端の平坦な部分81Cと、下流端の平坦な部分81Eと、ケース8の外側に面している凸面を有する中央の凹状(例えば、円筒形)部分81Dとを有する。
【0035】
同様に、基準軸Yを参照すると、一対の端部閉鎖部82の各々は、上流端の平坦な部分82C、下流端の平坦な部分82E、および中央の平坦な部分82Dを有する。
【0036】
一対の壁81および一対の端部閉鎖部82は、特に、以下のような手法で一緒に組み立てられてケース8を形成する:
一対の向かい合っている壁81の上流端の平坦な部分81Cおよび一対の端部閉鎖部82の上流端の平坦な部分82Cは、ケース8の入口セクション8Cを一緒に形成し、
- 一対の向かい合っている壁81の中央部分81Dおよび一対の端部閉鎖部82の中央部分82Dは、ケース8の中央セクション8Dを一緒に形成し、
- 一対の向かい合っている壁81の下流端の平坦な部分81Eおよび一対の端部閉鎖部82の下流端の平坦な部分82Eは、ケース8の出口セクション8Eを一緒に形成している。
【0037】
さらに、装置10は、プロセスチャンバ2を所定の内部温度に加熱するための加熱システムを備え、その温度は、通常、上述の1000℃~1400℃の温度の範囲内である。
【0038】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態(図3を参照)では、加熱システムは、ケース8の外側に位置付けられ、かつケース8を加熱するための熱放射を発生させる複数のヒーター3を備える。
【0039】
放射加熱されるケース8は、その回転に伴い、プロセスチャンバ2およびその中に含有される基材を所定の内部温度に加熱する、「高温壁」を構成する。
【0040】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態では、ヒーター3は、基準軸Zに対して平行に、かつ同じ軸Zに沿ってケース8の寸法(すなわち、図示した例における高さ)と実質的に等しい長さだけ長軸方向に延びている。
【0041】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態では、加熱システムは、ケースの外側に配置され、一対の向かい合っている壁81に面して、かつそれらに沿って走る熱放射ヒーター3の2つのシリーズ3A、3Bを備え、特に、一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態では、ヒーター3の各シリーズは、基準軸Yに沿ってそれぞれの面している壁81の輪郭に一致する線Mに従っている。好ましくは、各シリーズのヒーター3は、互いに均等に離隔している。
【0042】
一つ以上の実施形態では、例えば、例示した実施形態では、各シリーズ3Aまたは3Bは、それぞれの壁81の上流端部分81Cの開始から、その中央部分81Dの終わりまでほぼ延びている。
【0043】
したがって、ヒーター3は、主にかつ支配的にケース8の入口および中央セクション8C、8Dを加熱するように配置されている。
【0044】
好ましくは、加熱システムは、入口セクション8Cを中央セクション8Dよりも高い温度に加熱するように構成される。
【0045】
この目的のために、一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態では、ヒーター3の各シリーズは、入口セクション8Dの領域に追加のヒーター3’を有し、これは、線Mの後ろ(すなわち、線Mよりもケース8からさらに離れている)、好ましくは、1つのヒーター3と、シリーズの次のヒーターとの間の中間位置に配置される。
【0046】
このようにして、加熱システムは、ケース8の入口セクション8Cを通って流れるプロセスガスの温度のより急激な上昇を決めることができる。
【0047】
送達ユニット4および排気ガス抽出ユニット6は両方とも、ケース8の外側に配置され、ケース8に流体接続され(以下でより詳細に説明される)、その結果、送達ユニット4によって排出されるプロセスガスはケース8の入口8Aに到達することができ、出口8Bを介してケース8から流れ出るプロセス排気ガスは抽出ユニット6に到達することができる。
【0048】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態(図1~3を参照)では、装置10は、ケース8、送達ユニット4、および排気ガス抽出ユニット6を支持する固定基部12を備える。
【0049】
基部12は、送達ユニット4を受容するための第一のシート12Bと、排気ガス抽出ユニット6を受け入れるための第二のシート12Cとを有する、プレート12A、例えば、鋼で作製されたプレート12Aを備える。
【0050】
断熱ブロック12Dは、プレート12A上において、第一のシート12Bと第二のシート12Cとの間に配置され、プレート12Aから分離してケース8をそれ自体の上に受け入れるように構成される。断熱ブロック12Dは、好ましくは、発泡体で作製され、よりさらに好ましくは、黒鉛発泡体で作製される。
【0051】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態(図7、7A、7B、および7Cを参照)では、送達ユニット4には、送達ユニットによって排出される前にプロセスガスを冷却するための内側冷却管44(図7Cを参照)が設けられている。冷却管44は、冷却媒体(例えば、水)を熱調整し、冷却管44を通して循環させるためのシステムに接続されている。
【0052】
冷却管44を通って循環する冷却媒体によって及ぼされる冷却作用は、プロセスガスの反応が早期に活性化されることを避けるために、ケース8に到達するまでプロセスガスの温度を所定の閾値未満に維持する機能を有する。これは、プロセスガスが早期に消費され、それ故に無駄になることを防止し、またプロセスガスの反応の結果として生成される粒子による送達ユニット4の詰まりのリスクも防止する。
【0053】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態(図7図7A図7B、および図7Cを参照)では、送達ユニット4は、その下端に接続部分41が設けられている送達パイロン42を備える。
【0054】
接続部分41は、プレート12Aのシート12Bにおいて受け入れられ、例えば、ネジによってプレート12Aに送達ユニットを固定するための外側フランジ41Aが設けられている。
【0055】
さらに、送達パイロン42は、基部12の断熱ブロック12Dに固定され、基準軸Zに対して平行に延びる一対の向かい合っているポスト11(図2および図3を参照)の間の空間内に受け入れられ、送達パイロン42は、例えば、ねじによって二つのポスト11に固定される。
【0056】
接続部分41は、プロセスガスが送達ユニット4に入る入口41Cと、送達ユニット4内に設けられた冷却管44の一部を形成する入口41Dおよび出口41Eとを有する。
【0057】
入口41Cは、プロセスガスの供給に流体接続される。一方で、入口41Dおよび出口41Eは、冷却媒体の熱調整および循環のために上記のシステムに接続される。
【0058】
図3図7図7A図7B、および図7Cを参照すると、送達パイロン42は、接続部分41から開始して基準軸Zに対して平行に延び、かつ後者の入口41Cと内部的に流体連通している閉じたハウジング42Bを有する。
【0059】
ハウジング42Bは、バッフルプレート42Aによって区切られ、ケース8の入口8Aに向かって方向付けられている片側を備える。
【0060】
バッフルプレート42Aは、入口ダクト41Cを介して送達ユニット4に供給されるプロセスガスがそれを通って、ケース8の入口8Aに向かって送達ユニットから排出される、複数のオリフィス42’を有する。
【0061】
上述の複数のオリフィス42’は、バッフルプレート42Aにおいて、その延長領域のほぼ全域にわたって作製される。
【0062】
バッフルプレート42Aは、基準軸Zおよびそれと直交する方向に沿って、入口8Aの対応する寸法とほぼ等しい寸法を有する。
【0063】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態では、送達パイロン42は、バッフルプレート42Aに隣接し、かつ平行である内側バッフルプレート42A’をさらに備える。
【0064】
内側バッフルプレート42A’は、好ましくは、バッフルプレート42Aよりも大きい幅(基準軸Zに対して直交する方向に沿って)を有し、かつバッフルプレート42Aのオリフィスに対してずらされた配置に従って位置付けられる複数のオリフィスを有する。
【0065】
バッフルプレート42Aに対して向かい合っているハウジング42Bの側面は、カバー42Cによって閉じられ、プロセスガスの漏れを回避するために、第一のシール42Dは、カバー42Cと内側バッフルプレート42A’との間に取り付けられ、第二のシール42Eは、内側バッフルプレート42A’とバッフルプレート42Aとの間に取り付けられ、第三のシール42Fは、バッフルプレート42Aとハウジング42Bの周縁エッジ(perimetral edge)42Gとの間に取り付けられている。
【0066】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態(図7図7A図7B、および図7Cを参照)では、バッフルプレート42Aは、ハウジング42Bのバッフルプレート42Aと同じ側に位置していて、かつバッフルプレート42Aを囲んでいるハウジング42Bの端部分42Hに対して、内側にずれた位置に配置されている。
【0067】
端部分42Hは、バッフルプレート42Aを越えてケース8に向かう方向に突出し、バッフルプレート42Aを介してハウジング42Bの内側から流れ出るプロセスガスによって横断される中央導管セクション42Iを形成する。
【0068】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態(図7図7A図7B、および図7Cを参照)では、冷却管44は、ハウジング42Bの壁および接続部分41の壁に作製された空洞として実現される。
【0069】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態(図7図7A図7B、および図7Cを参照)では、冷却管44は、ハウジング42Bの端部分42Hに作製され、導管セクション42Iを取り囲むように配置され、バッフルプレート42Aに平行な平面に含有される軌道に沿って走り、後者の輪郭、具体的には、その2つの垂直セグメントおよびその上部の水平セグメントに沿って走っている。
【0070】
以上のことから、冷却管44のそのような配置により、プロセスガスの流れが、加熱されたケース8に対して既に触れていて、また送達ユニット4に対しても触れている場合でも、冷却媒体が、その冷却作用を発揮できることに留意することができる。このようにして、冷却媒体によって発揮される冷却作用は、プロセスガスの温度を所定の閾値未満に維持することについて最大の有効性を実証し、また送達ユニット4を、加熱されたケース8の高温から保護する。
【0071】
送達ユニット4と同様に、一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態(図3図8図8A図8B、および図8Cを参照)では、排気ガス抽出ユニット6には、ケース8から受け入れたプロセス排気ガスを冷却するための冷却管64が設けられている。冷却管64は、冷却媒体(例えば、水)を熱調整し、それを、冷却管44を通して循環させるためのシステムに接続されている。
【0072】
冷却管64を通って循環する冷却媒体によって作動する冷却作用は、排気ガス中に残留している可能性のあるプロセスガス残留物がプロセス反応を開始し、抽出ユニットの詰まりにつながる可能性のある粒子を生成するのを防止するために、排気ガスの温度を所定の閾値未満に低下させる機能を有する。
【0073】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態(図3図8図8A図8B、および図8Cを参照)では、排気ガス抽出ユニット6は、その下端に接続部分61が設けられている抽出パイロン62を備える。
【0074】
接続部分61は、プレート12Aのシート12C内に受け入れられ、接続部分61には、抽出ユニット6をプレート12Aに対して、例えば、ねじによって固定するための外側フランジ61Aが設けられている。
【0075】
一方で、抽出パイロン62は、基部12の断熱ブロック12Dに固定され、基準軸Zに対して平行に延びている一対の向かい合っているポスト13(図2および図3を参照)の間の空間内に受け入れられ、抽出パイロン62は、例えば、ねじによって、二つのポスト13に固定されている。
【0076】
接続部分61は、出口管61C(そこを通って、抽出パイロン62によって吸引された排気ガスは抽出ユニット6から流出する)を有し、また、抽出ユニット6内に設けられた冷却管64の一部を形成する入口61Dおよび出口61Eを有する。入口61Dおよび出口61Eは、冷却媒体の熱調整および循環のために上記のシステムに接続される。
【0077】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態では、抽出パイロン62は、基準軸Zに対して平行に延びていて、かつ接続部分61の出口ダクト62Cと内部的に流体連通している閉じたハウジング62Bを有する。
【0078】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態では、ハウジング62Bは、バッフルプレート62Aによって区切られ、ケース8の出口8Bに向かって方向付けられている片側を備える。
【0079】
バッフルプレート62Aは、基準軸Zに対して平行に延びているオリフィス62’の単一の列を有し、それを通して出口8Bから来るプロセス排気ガスが抽出ユニット6内に吸引される。
【0080】
好ましくは、バッフルプレート62Aは、基準軸Zに沿って出口8Bの寸法にほぼ等しい長さだけ、基準軸Zに対して平行に延びている。
【0081】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態では、抽出パイロン62および出口管61Cは両方とも、高温に耐性のある材料で作製された内側ライナー63(図8Aを参照)を有し、それのみとプロセス排気ガスが接触し、抽出パイロン62の他の部分および容器本体61Bの他の部分を排気ガスの高温から保護することを意図している。好ましくは、内側ライナーは黒鉛で作製される。ハウジング62Bに含有されるライナー63は、バッフルプレート62Aのオリフィス62’の列と整列される穴63’のそれぞれの列を有する。
【0082】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態(図8Aおよび8Cを参照)では、冷却管64は、ハウジング62Bの壁に作製された空洞として実現され、バッフルプレート62Aを囲むように配置され、バッフルプレート42Aに対して平行な平面に含有され、かつ後者の輪郭、具体的には、その2つの垂直セグメントと上部の水平セグメントに従う軌道に沿って走行している。
【0083】
上記を考慮して、冷却管64のそのような配置により、冷却媒体の冷却作用を、加熱されたケース8に曝露される抽出ユニット6の領域に集中させることができることに留意することができる。このようにして、排気ガスは、抽出ユニット6に入るとすぐに冷却され、後者は、加熱されたケース8の高温から効果的に保護される。
【0084】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態(図3を参照)では、装置10は、ケース8の入口8Aと送達パイロン42との間に、およびケース8の出口8Bと抽出パイロン62との間にそれぞれ位置付けられ、かつ、送達パイロン42を入口8Aに、および抽出パイロン62を出口8Bに、それぞれ流体接続する中間ダクトセクション15、16をさらに備える。
【0085】
このようにして、ダクトセクション15、16は、二つのパイロン42、62をケース8から空間的に分離し、それ故に対応する移行領域を作り出し、それによって温度勾配がガス流内に確立され、次いで二つのパイロン42、62は、より低温のガス流にさらされるようになる。二つのセクション15、16は両方とも、好ましくは、高温に対して耐性のある材料、例えば、黒鉛で作製される。
【0086】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態(図1図3を参照)では、装置10は、第一の位置(図1に示した)であって、そこでは、ハウジング構造14と基部が一緒に結合され、ケース8を外側から分離している、第一の位置と、第二の位置(図3に示した)であって、そこでは、ハウジング構造14が基部12から取り外され、ケース8が外側からアクセスすることができる、第二の位置との間を、基部12に対して基準軸Zに沿って移動可能なハウジング構造14を備える。
【0087】
図1を参照すると、装置10は、上述の第一の位置と第二の位置との間でハウジング構造14を移動させるための駆動システムを備える。
【0088】
駆動システムは、ハウジング構造14の示された動きを実現するように適合された従来の手段を備えることができる。
【0089】
例示した実施例では、装置10は、ハウジング構造14の二つの向かい合っている側に配置され、かつハウジング構造を支持する二対の駆動ユニット20を備える。各駆動ユニット20は、基準軸Zに対して平行な一対のガイド22と、ハウジング構造14が接続されるスライダー24とを備える。さらに、各駆動ユニット20は、基準軸Zに対して平行なシャフト26を備え、それは、モーター27によって回転駆動され、シャフト26の回転が基準軸Zに沿ったスライダーの対応する移動を決定するように、スライダー24の内部ねじ穴と係合する。
【0090】
作動中、四つの駆動ユニット20は、基準軸Zに沿ったハウジング構造14の移動を一緒に駆動するように同期制御される。
【0091】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態(図2および図3を参照)では、ハウジング構造14は、断熱材で作製された内側ハウジング141を備える。好ましくは、内側ハウジング141は、発泡体で作製され、さらに好ましくは、黒鉛発泡体で作製される。
【0092】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態では、内側ハウジング141は、基準軸Zの周りに延びている横壁141Aと、横壁141Aの上部に置かれたカバー141Bとを備える。
【0093】
横壁141Aは、基準軸Zに対して平行に走る二つの向かい合っている開口部141C、141Dを含む。
【0094】
ハウジング構造14の上述の第一の位置では、内側ハウジング141は、その横壁141Aが基部12のブロック12D上に載置され、ケース8および中間ダクト15、16を内部に受け入れるように置かれる。同時に、開口部141C、141Dは、各開口部がそれぞれのポストおよびパイロンによって外側に対して閉じられるような形状結合(shape coupling)によって、関連するパイロン42を有するポスト11および関連するパイロン62を有するポスト13をそれぞれ受け入れる。
【0095】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態(図3を参照)では、ハウジング構造14はまた、外側ハウジング142も備え、その外側ハウジング142は、内側ハウジング141を囲み、かつそれを運ぶ。好ましくは、外側ハウジングは、鋼で作製される。
【0096】
外側ハウジング142は、基準軸Zの周りに延びる閉じた横壁142Aと、閉じた横壁142の上部に置かれたカバー142Bとを備える。横壁142Aは、二つのハウジング間に空の空間を作り出すように、ある距離を保つ内側ハウジング141の横壁141Aを囲む。
【0097】
ハウジング構造14の上述の第一の位置では、外側ハウジング142は、その横壁142Aが基部12のプレート12A上に載置された状態で置かれ、ポスト11、13およびパイロン42、62の内側ハウジング141から突出している部分を、内側ハウジング141を囲むその内部空間内に受け入れる。
【0098】
外側ハウジング142は、外側に対して、それが基部12と一緒に区切る内側空間を密封して閉じるように構成されている。以下に記載されるように、作動中、外側ハウジング142は、実際には、内側ハウジング141の内側、および外側ハウジング142と内側ハウジング141との間に備えられた内側空間の両方を充填している不活性ガスの制御された雰囲気を含有することが意図される。
【0099】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態では、加熱システムの上述のヒーター3は、ハウジング構造14と一緒に移動するように、ハウジング構造14が第一の位置から第二の位置へと移動する時、およびその逆に移動する時に、外側ハウジング142のカバー142B上に取り付けられる。
【0100】
特に、ヒーター3は、カバー142Bに吊るされていて、基準軸Zに対して平行に延び、かつ、内側ハウジング141のカバー141B上に作製された開口部141Dを通過する内側ハウジング141の内側まで延び、ヒーター3は、ハウジング構造14がその第一の位置にある時に、上述の二つのシリーズ3A、3Bに従って、かつケース8の向かい合っている壁81に対して上述の相対位置に見いだされるように、相互に配置される。
【0101】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態(図3を参照)では、外側ハウジング142のカバー142B上にはまた、そのカバー141B上に作製された対応する開口部141Eを通して内側ハウジング141の内側内へ突出する温度プローブ5も取り付けられる。
【0102】
ここで図9を参照すると、上述のように、送達ユニット4は、プロセスガスを送達ユニット4に供給するために、その入口41Cを経由して供給ユニット7に流体接続される。
【0103】
好ましくは、供給ユニット7は、プロセスガスの所定の流量を送達ユニット4に供給するように構成されるのであり、例えば、供給ユニット7は、供給ユニット7が送達ユニット4に供給するプロセスガスの流量を調節する流れセンサーを含んでもよい。
【0104】
一方で、抽出ユニット6は、その出口ダクト61Cを経由して、圧力制御弁72の介在を介して、例えば、スロットル弁の介在を介して、ポンプ70に流体接続される。一方、ポンプ70は、プロセス排気ガスを処理するためのシステムに流体接続される。ポンプ70および圧力制御弁72は共に、作動時に、装置内の所定の最小圧力を決定する傾向がある減圧発生器または真空発生器を形成する。例えば、最小圧力は、10~600mbarの範囲であり得る。
【0105】
一つ以上の好ましい実施形態では、装置10はまた、ハウジング構造14の内側に、制御された雰囲気80を、生成するための手段も備える。
【0106】
特に、一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態(図3を参照)では、プレート12Aは、外側ハウジング142の内側と、より具体的には、外側ハウジング142と内側ハウジング141との間に備えられた内側空間と、流体連通する少なくとも入口74を備える。
【0107】
入口74は、入口74を介してハウジング構造14の内部に不活性ガスを供給して、ハウジング構造14の内側に不活性ガスの制御された雰囲気80を形成し、かつ維持する供給ユニット78に接続される。供給ユニット78は、加圧タンクによって供給される不活性ガスの流量を制御するための流れ制御弁に関連付けられている、不活性ガスを含有する加圧タンクを備え得る。
【0108】
不活性ガスは、例えば、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、またはキセノン(Xe)などの希ガスであり得る。好ましくは、希ガスは、大気中に比較的豊富であるため、アルゴンガスであり得る。別の方法として、不活性ガスは、窒素であってもよい。不活性ガスは、供給ユニット78の加圧タンクにおいて提供され得る。
【0109】
さらに、プレート12Aは、ハウジング構造14から制御された雰囲気の不活性ガスを抽出するための少なくとも出口76を備え、これは、ハウジング構造14の内側と、より具体的には、外側ハウジング142と内側ハウジング141との間に備えられた内側空間と流体連通している。
【0110】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態では、出口76は、具体的には、同じ出口ダクト61C上に設けられた管継手61Fを介して、抽出ユニット6の出口ダクト61Cに流体接続される。
【0111】
一つ以上の好ましい実施形態では、例えば、例示した実施形態では、出口76は、内側ハウジング141に対して入口74の反対側に位置付けられ、例えば、図3および図9に示したように、入口74は、送達ユニット4に近接して位置付けることができ、一方、出口76は、抽出ユニット6に近接して位置付けることができる。
【0112】
入口74を介してハウジング構造14内へ流れる不活性ガスは、外側ハウジング142と内側ハウジング141との間の内側空間、ならびにケース8の周りの内側ハウジング141の内側の空間を充填し、内側ハウジング141は密封して閉じられていない。
【0113】
これは、作動時に、二つのハウジング141および142の内側空間の両方が、制御された雰囲気80を含有し、同じ圧力にあることを意味する。
【0114】
上記を考慮すると、ここで、ポンプ70は、スロットル弁72と協働して作動して、抽出ユニット6の下流に所定の最小圧力を確立し、また、ハウジング構造14内の制御された雰囲気に関しても、ハウジング構造14内の領域と、抽出ユニット6の下流の領域との間の流体連通のために、実質的に同じ圧力が確立される、ことに留意することができる。
【0115】
逆に、送達ユニット4、ケース8、および抽出ユニット6を通る流路に沿って、プロセスガスは、同じ流路に沿って、かつ抽出ユニット6の下流の上記領域まで、プロセスガスの流れを決定する傾向がある圧力差に起因して、より高い圧力を維持する。
【0116】
これは、最終的なガス漏れが、プロセスガスの流路から制御された雰囲気80まででのみ起こる可能性があり、その逆はないことを意味する。
【0117】
次いで、制御された雰囲気80へと漏れたガスは、出口76を介して不活性ガスと一緒に除去される。
【0118】
この点に関して、ケース8および内側ハウジング141がさらされる高温および大きな温度範囲の両方により、これらの二つの構造に漏れ防止密封閉鎖を設けることが技術的に非常に難しくなることに留意することが重要である。ここで説明する解決策では、この問題は、いずれの場合でも、ハウジング構造14内に作り出された制御された雰囲気80によって回避されており、これは、可能性のあるガス漏れを包含し、出口76を介してそれらをパージするように作動する。
【0119】
反対に、制御された雰囲気80を収容する必要がある外側ハウジング142は、ケース8および内側ハウジング141よりも低温にさらされるため、密封閉鎖を容易に設けることができる。
【0120】
ガス漏れの問題を解決することに加えて、制御された雰囲気80はまた、装置の構成要素を早期劣化から保護するように機能する。
【0121】
明らかに、本発明の原理が保持されることを条件として、構成の詳細および実施形態の態様は、添付の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲から逸脱することなく、単に非限定的な例として本明細書に例示したものから、かなりの程度まで変化させることができる。例えば、添付の図面において例示した好ましい実施形態による装置10は、基準軸Yおよび基準軸Zの両方が水平であるように、または基準軸Yが垂直であり、基準軸Zが水平であるように、異なる配向に従って設置することができる。
【符号の説明】
【0122】
2 プロセスチャンバ
2A 入口
2B 出口
3 熱放射ヒーター
3A シリーズ
3B シリーズ
4 送達ユニット
5 温度プローブ
6 抽出ユニット
7 供給ユニット
7A 端部
7B ポスト
8 ケース
8A 入口
8B 出口
8C 出口セクション
8C 入口セクション
8D 中央セクション
8E 出口セクション
8F フィン
10 装置
11 ポスト
12 基部
12A プレート
12B 第一のシート
12C 第二のシート
12D 断熱ブロック
13 ポスト
14 ハウジング構造
15 中間ダクトセクション
16 中間ダクトセクション
20 駆動ユニット
22 ガイド
24 スライダー
26 シャフト
27 モーター
41 接続部分
41A 外側フランジ
41C 入口
41D 入口
41E 出口
42 送達パイロン
42A バッフルプレート
42B ハウジング
42C カバー
42D 第一のシール
42E 第二のシール
42F 第三のシール
42G 周縁エッジ
42H 端部分
42I 導管セクション
44 冷却管
44 内側冷却管
61 接続部分
61A 外側フランジ
61B 容器本体
61C 出口管
61D 入口
61E 出口
61F 管継手
62 抽出パイロン
62A バッフルプレート
62B ハウジング
62C 出口ダクト
63 内側ライナー
63’ 穴
64 冷却管
70 ポンプ
72 圧力制御弁
74 入口
76 出口
78 供給ユニット
80 雰囲気
81 壁
81C 上流端部分
81D 凹状円筒部分
81E 部分
82 端部閉鎖部
82C 部分
82D 中央部分
101 基材
141 内側ハウジング
141A 横壁
141B カバー
141C 開口部
141D 開口部
141E 開口部
142 外側ハウジング
142A 横壁
142B カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図7A
図7B
図7C
図8
図8A
図8B
図8C
図9
【外国語明細書】