(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178930
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】シリンダを制御するために流出流量の調節機能を有する液圧装置
(51)【国際特許分類】
F15B 11/044 20060101AFI20241218BHJP
F15B 11/042 20060101ALI20241218BHJP
F15B 11/08 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
F15B11/044
F15B11/042
F15B11/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024094921
(22)【出願日】2024-06-12
(31)【優先権主張番号】FR2305955
(32)【優先日】2023-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シモーネ ギオ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァランタン ブラッシアノ
【テーマコード(参考)】
3H089
【Fターム(参考)】
3H089AA22
3H089AA23
3H089AA25
3H089AA60
3H089BB02
3H089CC01
3H089DA02
3H089DB43
3H089EE05
3H089EE36
3H089FF07
3H089FF09
3H089GG02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シリンダに連結している液圧装置であって、装置の能力及び効率を低下させずに圧媒液が戻る際の損失を抑制することにより動作効率を上げることを可能にする液圧装置を開発する。
【解決手段】2つの電気液圧ユニット(UA,UB)がチャンバ(VA,VB)に連結され、各電気液圧ユニットが、調節可能な断面の絞り(SeA,SeB)を有する。レバー(Mn)に接続されている制御ユニット(UC)は、パラメータである、シリンダ(V)の出口の設定背圧(Pcp)、タンクの設定圧力(PT)、シリンダ(V)への流入流量(Qin)に応じて、シリンダ(V)からの流出流量を受け入れるユニットの出口断面を制御する電気信号(ΣEA,ΣEB)を生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストン(VP)により分離された2つのチャンバ(VA,VB)を有するシリンダ(V)に接続されている液圧装置(100)であって、前記チャンバ(VA,VB)の一方(VB)を貫通するロッド(VT)が、負荷(CH)を受ける設備(O)に接続され、
前記液圧装置(100)は、
前記シリンダ(V)を用いて前記設備(O)を運転するためにオペレータにより操作されるレバー(Mn)に接続された制御ユニット(UC)と、
供給ライン(LP)を介して前記シリンダの前記チャンバ(VA,VB)に供給するポンプ(P)と、
タンクライン(LT)を介して前記シリンダ(V)から戻る圧媒液を受け入れるタンク(T)と、
を備える、液圧装置(100)において、
前記液圧装置(100)は、
2つの電気液圧ユニット(UA,UB)であって、チャンバライン(LEA,LEB)を介して対応するチャンバ(VA,VB)に連結され、前記供給ライン(LP)及び前記タンクライン(LT)に接続され、各電気液圧ユニット(UA,UB)が、
-独立して制御される調節可能な断面の絞り(SeA,SeB)であって、前記チャンバライン(LEA,LEB)を前記ポンプライン(LP)及び前記戻りライン(LT)に接続する絞り(SeA,SeB)と、
-前記レバー(Mn)に接続されている制御ユニット(UC)であって、パラメータである
-前記シリンダ(V)の出口の設定背圧(Pcp)、
-前記タンク(PT)の設定圧力、
-前記シリンダ(V)への流入流量(Qin)
に応じて、
-前記シリンダ(V)の流入流量(Qin)を供給するユニット(UA,UB)の入口断面(SE)、
-シリンダ(V)からの流出流量(Qout)を受け入れるユニット(UA,UB)の出口断面(Ses)
を制御する電気信号(ΣEA)及び(ΣEB)を生成する、制御ユニット(UC)と、
を有する2つの電気液圧ユニット(UA,UB)をさらに備える、
ことを特徴とする液圧装置(100)。
【請求項2】
前記流出流量(Qout)の前記絞り(Se)の前記調節可能な断面(Ses)は、簡略化したベルヌーイの式
【数1】
によって求められ、
式中、
K=Cd√ρ
Cdは、断面係数であり、(ρ)は、流体の密度であり、
ΔP=Pcp-PT
である、ことを特徴とする、請求項1に記載の液圧装置(100)。
【請求項3】
前記設定圧力(Pcp)は、
-所定の固定値、
-前記レバー(Mn)の操作に応じた可変値(C)、
-圧力センサの測定値から得た値
から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の液圧装置(100)。
【請求項4】
前記設定圧力(Pcp)を生み出す関数は、
-前記レバー(Mn)の休止位置の圧力(Po)から大幅に増加し(C1,C2)、前記レバーの操作に応じて安定値に向かって減少する関数であり、逆方向では、
-前記休止位置の前記圧力(Po)から大幅に減少し、前記レバー(Mn)の操作に応じて前記休止位置から安定値に向かって減少する関数である
ことを特徴とする、請求項3に記載の液圧装置(100)。
【請求項5】
前記タンクの圧力は、
-所定の固定値、
-圧力センサによって提供された圧力から得た値
から選択される圧力であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の液圧装置(100)。
【請求項6】
前記2つの電気液圧ユニット(UA,UB)はそれぞれ、調節可能な断面の絞り(SeA,SeB)を有し、各絞り(SeA,SeB)は、
-前記チャンバ管(LEA,LEB)を前記ポンプライン(LP)及び前記戻りライン(LT)に接続する比例式の液圧主滑り弁(1)と、
前記主滑り弁(1)を動作させるパイロットバルブ(11)と、
前記ポンプライン(LP)を前記パイロットバルブ(11)に接続して前記制御ユニット(UC)から前記制御信号を受信する比例式の電気液圧制御滑り弁(2)と
により実現されることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液圧装置(100)。
【請求項7】
前記制御ユニット(UC)は、台形曲線の形態で前記断面(ΣEA,ΣEB)を制御する電気信号を生成し、前記台形曲線では、
-傾斜上昇(Σ1)又は減衰上昇(Σ11)に沿って高レベル値(PA)に達し、
-比例している傾斜下降(Σ2)又は減衰下降(Σ21)によってゼロ値に戻り、
-前記減衰上昇及び前記減衰下降はそれぞれ、上昇時間と下降時間とを延長する
ことを特徴とする、請求項1に記載の液圧装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダを制御するための流出流量の調節機能を有する液圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
現在、シリンダ、すなわち、奥側のシリンダ室及びロッド側のシリンダ室に供給する液圧装置は、同等の滑り弁で作製されているため、シリンダの出口断面は、滑り弁のストローク及び入口断面によって変化する。シリンダの流出流量は、流入流量のみに左右されるわけではないため、出口断面は、装置を正常に使用する場合に寸法が大きくなったり小さくなったりすることがあるということである。
【0003】
言い換えれば、流出流量の制御は、現在、流出流と流入流との間の機械的接続部で行われている。出口流量は、シリンダにかかる負荷又は傾斜によって生じる利用可能な量にも左右されるため、生じる背圧は一定ではなく、そのため、負荷状態での移動速度は、運転者からの同等の入力信号及び様々な負荷(制御レバーの動き)に対して一定ではない。断面を制限すると動作の安定性が高まるが、その結果、エネルギー損失が増大する。出口断面は、原則として、動きが最悪の場合に負荷を制御することができるような寸法になっている。それによって、いくつかの用途で制限が生じるため、エネルギー損失が増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明の目的
本発明は、シリンダに連結している液圧装置であって、装置の能力及び効率を低下させずに圧媒液が戻る際の損失を抑制することにより動作効率を上げることを可能にする液圧装置を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の開示及び利点
そのために、本発明は、ピストンにより分離された2つのチャンバを有するシリンダに接続されている液圧装置であって、チャンバの一方を貫通するロッドが、負荷を受ける設備に接続されている、液圧装置を提供することを目的とし、本装置は、シリンダを用いて設備を運転するためにオペレータにより操作されるレバーに接続された制御ユニットと、供給ラインを介してシリンダのチャンバに供給するポンプと、タンクラインを介してシリンダから戻る圧媒液を受け入れるタンクとを備え、本装置は、2つの電気液圧ユニットであって、チャンバラインを介して対応するチャンバに連結され、かつ、供給ライン及びタンクラインに接続され、各電気液圧ユニットが、制御される調節可能な断面の絞りであって、チャンバラインをポンプライン及び戻りラインに接続する絞りと、レバーに接続されている制御ユニットであって、パラメータであるシリンダの出口の設定背圧、タンクの設定圧力、シリンダへの流入流量に応じて、シリンダの流入流量を供給するユニットの入口断面、シリンダからの流出流量を受け入れるユニットの出口断面を制御する電気信号を生成する、制御ユニットとを有する、2つの電気液圧ユニットをさらに備えることを特徴とする。
【0006】
シリンダの各チャンバに連結している液圧ユニットを有する本発明に係る液圧装置により、入口断面の制御及び出口断面の制御を独立させることが可能になる。それにより、縮小によるエネルギー損失を抑制することが可能になる。入口断面と出口断面が異なっていることにより、背圧を直接制御することができ、システムの剛性を規定することが可能になる。背圧は、開ループの制御ロジックによって制御される。全体的な構想は、設定背圧に基づいており、この設定背圧から、制御ユニットは、シリンダからの流出流量に応じて出口の開口断面を計算する。この機能により、以下の様々な可能性が生じる。
-動的断面の勾配を動的に調節することにより慣性の剛性の機能に影響を与える。
-レバーによって管理する背圧を介して、運転者の意図に応じて液圧回路の目的を調整する。
-特徴的なフローティング機能を実行する、すなわち、出口断面を完全に開いた状態に維持する。
-センサによって流出流量の計算の精度を上げる。
【0007】
要約すると、本発明は、損失を効果的に低減するためにシリンダの出口断面の管理を規定することを可能にする。
【0008】
背圧の制御モジュールは、出口を過度に制限することなくシステムの剛性を確保し、それによって制御能力に悪影響を及ぼすことなくエネルギー損失を低減する。
【0009】
システムの剛性は、背圧によって変化する。
【0010】
背圧が高くなるほど、システムの剛性は増加し、すなわち、背圧に対して迅速に反応する。
【0011】
特に有利には、流出流の絞りの調節可能な断面は、簡略化されたベルヌーイの式
Ses=kQout/√ΔP
によって求められ、式中、Sesは、出口断面であり、Qoutは、流出流量であり、Δpは、設定圧力とタンク圧力との差である。係数Cは、導管の断面係数Cd(長さ、内部粗さ、負荷損失など)と密度によって変化する係数である。この「断面係数Cd」は、水力学においては一般的な概念である。
【0012】
他の特徴によれば、設定圧力は、所定の固定値又はレバーの操作に応じた可変値から選択される。
【0013】
特に有利には、設定圧力を生み出す関数は、レバーの休止位置の圧力から大幅に増加し、レバーの操作に応じて安定値に向かって減少する関数であり、逆方向では、休止位置の圧力から大幅に減少し、レバーの操作に応じて休止位置から安定値に向かって減少する関数である。
【0014】
他の有利な特徴によれば、2つの電気液圧ユニットはそれぞれ、調節可能な断面の絞りを有し、各絞りは、チャンバの導管をポンプライン及び戻りラインに接続する比例式の液圧主滑り弁と、主滑り弁を動作させるパイロットバルブと、ポンプラインをパイロットバルブに接続して制御ユニットから制御信号を受信する比例式の電気液圧制御滑り弁とにより実現される。
【0015】
添付の図面に示した液圧装置の実施形態を用いて、以下に本発明をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】シリンダの制御に適用される液圧装置の図である。
【
図2】本発明に係る装置の液圧ユニットの図である。
【
図3】レバーの動きに応じた設定背圧の変化曲線の図である。
【
図4】レバーが発信した制御信号に対する応答の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の実施形態の説明
図1によれば、本発明の目的は、負荷CHを運転する設備Oに接続するシリンダVに連結された電気液圧装置100である。シリンダVは、設備Oに接続されたシリンダロッドVTと連動するピストンVPにより分離された2つのチャンバVA,VBを有する。
【0018】
ピストンVPは、シリンダを2つのチャンバVA,VBに分割し、チャンバの容積は、2つのチャンバの自由断面SA,SBの比率に従ったピストンの動きに応じて変化し、シリンダの奥のチャンバVAの断面は、シリンダのボアの断面であり、ロッドVTが貫通しているチャンバVBの断面SBは、ロッドVTの断面分が減少したボアの断面である。
【0019】
シリンダVに対して命令された操作に従って、チャンバVA,VBのいずれか一方が流入流量Qinを受け入れ、もう一方のチャンバVB、VAが流出流量Qoutを供給する。流量の比、すなわち、ピストンのストロークΔLに対するチャンバの容積の変化は、
QA=ΔL・SA
QB=ΔL・SB
であり、よってQA/QB=SA/SBである。
【0020】
一方のチャンバの(流出又は流入する)代数流量は、もう一方のチャンバの(流入-流出)代数流量に応じて変化するため、
QB=QA・SB/SA かつ QA=QB・SA/SB
である。
【0021】
例えば、ポンプPがチャンバVA又はVBに供給する圧媒液によって負荷CHを持ち上げる方向へのピストンVPの動きが、シリンダから出て行く圧媒液の流量を過剰に絞ることによるもう一方のチャンバVB又はVAの圧媒液の反応によって減速してはならない。
【0022】
逆に、負荷CHが一方のチャンバ内に圧力を生み出すことによるピストン駆動の逆の動きは、様々な理由で減速する必要があり、特に、もう一方のチャンバが減圧して空洞ができないようにする必要がある。シリンダVに加えられる作用の方向に応じた2つのチャンバVA,VBのこの液圧バランスは、本発明に従って、2つのチャンバVA,VBに出入りする流量を電気液圧装置100で電気液圧によって制御することにより調節される。
【0023】
電気液圧装置100は、制御ユニットUCによって独立して制御される2つの異なる電気液圧ユニットUA,UBにより構成され、これらのユニットは、シリンダのチャンバVA,VBに連結し、それぞれのユニットが一方のチャンバともう一方のチャンバを、ポンプPに接続するポンプ管LP及びタンクTへの戻り管LTに接続している。
【0024】
各モジュールUA,UBは、調節可能な絞り断面SeA,SeBを有し、この絞り断面は、運転者が操作するレバーMmの信号Smを受信する制御ユニットUCが生成する電気信号ΣeA,ΣeB、及び、以下のパラメータ
-出力チャンバの設定背圧PCP、
-タンクの圧力PT
-流入流量Qin
によって別々に制御される。
【0025】
既に述べたように、一方のチャンバの代数流量(流入流量又は流出流量)は、もう一方のチャンバの流量に対するチャンバの自由表面SA,SBの逆比になる。
QA=QB・SA/SB 又は QB=QA・SBxSA
【0026】
シリンダVによって行われる操作に応じて、一方のチャンバは、流入流量Qinを受け入れる入口チャンバであり、もう一方のチャンバは、流出流量Qoutを供給する出口チャンバである。ピストンが設備Oを引くか又は押すかによってこの動作が交互に起こる。
【0027】
これらのパラメータにより、制御ユニットUCは、シリンダVで起きている作用に関した、流出流量Qoutに対する絞りΣEA,ΣEBの出口断面Sesを計算することができ、これが、ユニットUA又はUBの流出流量Qoutに対する絞りΣEA又はΣEBの信号を提供する。
【0028】
中央ユニットUCは、簡略化されたベルヌーイ方程式を適用して、流出流量Qoutに対する絞りの設定出口断面Sesを取得する。
【0029】
【数1】
ΔP=PCP-PT
式中、
K=Cd√ρ
Cd=断面係数
P=流体密度
PCP=設定圧力
PT=タンクの圧力
【0030】
流出流量Qoutのユニットの設定出口断面は、中央ユニットUCによって制御電気信号ΣEA,ΣEBの形態で発信される。
【0031】
出口断面Ses(A又はB)は、固定パラメータ又は可変パラメータによって変化する値であり、この値は、シリンダの操作開始時に調節される。パラメータPcp及びPTは、液圧装置とその設備に応じて設定される。
【0032】
例として、
出口の背圧Pcpは、約20乃至250バールである。
タンクの圧力PTは、約5バールである。
【0033】
要約すると、ピストンVPにより分離された2つのチャンバVA,VBを有するシリンダVに接続されている液圧装置100であって、チャンバVA,VBの一方VBを貫通するロッドVTが、負荷CHを受ける設備Oに接続され、装置は、シリンダVを用いて設備Oを運転するためにオペレータにより操作されるレバーMnに接続された制御ユニットUCと、供給ラインLPを介してシリンダのチャンバVA,VBに供給するポンプPと、タンクラインLTを介してシリンダから戻る圧媒液を受け入れるタンクTとを有し、装置は、2つの電気液圧ユニットUA,UBであって、チャンバラインLEA,LEBを介して対応するチャンバVA,VBに連結され、供給ラインLP及びタンクラインLT)に接続され、各電気液圧ユニットが、独立して制御される調節可能な断面の絞りSeA,SeBであって、チャンバラインLEA,LEBをポンプラインLP及び戻りラインLTに接続する絞りSeA,SeBと、
-レバーMnに接続されている制御ユニットUCであって、パラメータであるシリンダVの出口の設定背圧Pcp、タンクの設定圧力PT、シリンダVへの流入流量Qinに応じて、シリンダVの流量Qinを受け入れるユニットUA,UBの入口断面Ses、及び、シリンダ(V)からの流出流量Qoutを受け入れるユニットUA,UBの出口断面Sesを制御する電気信号ΣEA及びΣEBを生成する制御ユニットUCと、
を有する2つの電気液圧ユニットUA,UBをさらに備えることを特徴とする液圧装置100である。
【0034】
本装置100には、圧媒液が戻ることにより供給されたタンクT内の圧媒液を取って制御されるポンプPによって、圧力を調節した状態で圧媒液が供給される。ポンプの出口は、ラインLPに接続され、このラインには、モジュールMA,MBが接続され、このモジュールの出口は、タンクラインLTに接続されている。
【0035】
図2によれば、ユニットUA又はユニットUBを表すユニットUXは、パイロットチャンバ11が滑り弁1を
図2に示した休止位置から移動させることによって制御される、比例式の主分配滑り弁1を有し、ユニットUXは、シリンダのチャンバVA又はVB及びタンクラインLTに接続されたラインLEA,LEBを有する。滑り弁1は、タンクラインLTに接続している休止位置S11にある様子が示されている。なぜなら、滑り弁1の制御が切断されると、ばね12が滑り弁1を、区画S11がタンクTのラインLTに接続されている(図面の慣例で示した)休止位置に戻すからである。
【0036】
制御滑り弁2によって供給される圧媒液によって制御されるパイロットチャンバ11は、供給区画S13が導管LPとLEX(LEA,LEB)との間に来るように主滑り弁1を移動させて、圧媒液をチャンバVA又はVBに供給する。
【0037】
2つの区画S11とS13は、滑り弁1を通過する通信を遮断する中間区画S12により分離されている。
【0038】
主滑り弁1と合体しているパイロットチャンバ11は、制御滑り弁2によって制御される。この制御滑り弁は、比例式の滑り弁であり、制御ユニットUCから制御信号ΣSを受信する電気制御装置21によって動作する。制御滑り弁2は、ばね22によって休止位置に戻り、この休止位置では、パイロットチャンバ11に接続されているラインがタンクラインLTに接続される。
【0039】
流入流量Qinを調節するために、制御滑り弁2は、制御ユニットUCから信号ΣSを受信し、ポンプラインLPに既に接続されている入口を、パイロットチャンバ11に向かう出口に接続する。したがって、制御滑り弁2は、圧媒液の比例信号をパイロットチャンバ11に印加し、パイロットチャンバは、信号ΣEA,ΣEBに応じて絞りの断面を調節しながら主滑り弁1を比例的に動作させる。
【0040】
シリンダVのアクティブチャンバは、主滑り弁が開いている区画があり、流量は、運転者により操作されるレバーによって制御される。
【0041】
シリンダの入口断面を調節する機能の入力ユニットとして前述したユニットUXは、出力ユニットの機能の場合と同様に機能するが、上記で述べたような簡略化されたベルヌーイ方程式を適用して出口断面を計算する。
【0042】
設定背圧Pcpは、所定の曲線Cに従って固定背圧でも可変背圧でもよい。
【0043】
図3は、中立位置Mnoから一方向又は休止位置Mnoからもう一方の方向の偏移の最大振幅までのレバーMnの操作に応じて液圧装置100にかかった設定背圧又は目標反応圧力の変化の曲線Cを示している。
【0044】
曲線Cは、レバー休止時の背圧P0から始まる右部分が4つの線分C1,C2,C3,C4で構成されている。曲線は、急勾配の線分Clから始まり、最大圧力Pmaxに向かって減衰勾配の線分C2が続き、次いで最小圧力Pminまで低下勾配C3があり、次に一定レベルの線分C4が続く。この曲線は、単なる代表例である。
【0045】
レバーMnの逆方向の動きは、線分C1の延長上の線分C5で小さくなり、続いてわずかに低下している線分C6につながっている。
【0046】
分母の√Δp=√Pcp-PTによって断面Seの計算に背圧が介入するため、曲線Cは、出口の絞り断面Seが変化することを指しており、PTは一定と仮定されるため、分母は圧力Pcpmaxまで増加した後に減少して一定になるが、断面Seは、背圧Pcmaxまで縮小した後に増加し、その後一定になる。曲線の負の側では、断面は最初に急激に増加した後、実際に安定する。
【0047】
図4は、制御ユニットUCによって適用される、レバーからの制御信号に対する時間tに応じた応答信号の極めて概略的な図である。
【0048】
ある瞬間からレバーが動作することにより設定断面に対して要求される制御信号の最終レベルPAは、信号レベル(曲線Σ1)が値PA(実線の曲線)まで比例して上昇することによって瞬間R1で到達される。
【0049】
本発明によれば、この上昇は、液圧システムのハードウェア及び必要性によって強いられる最小レベルminSと最大レベルmaxSとの間の実線の曲線の勾配を修正して破線の形Σ11に沿って減衰する上昇曲線を強いることにより減衰される。
【0050】
最終レベルPAには瞬間t2で到達する。瞬間t3でレバーが停止を命令した後、信号レベルは、実線の曲線に沿って低下し、瞬間t4でゼロ値に達する。曲線Σ21に沿って緩やかになる場合、下降はゆっくりと起こり、瞬間t5でレベル0に達する。
【0051】
要約すると、制御ユニットUCは、台形曲線の形で断面ΣEA,ΣEBを制御する電気信号を生成し、この台形曲線では、傾斜上昇Σ1又は減衰上昇Σ11に沿って高レベル値PAに達し、比例している傾斜下降Σ2又は減衰下降Σ21によってゼロ値に戻り、減衰上昇及び減衰下降はそれぞれ、上昇時間と下降時間とを延長する。
【符号の説明】
【0052】
100 液圧装置
1 主滑り弁
11 パイロットチャンバ
12 ばね
2 制御滑り弁
21 電気機械式操縦装置
22 戻りばね
VA,VB シリンダのチャンバ
VP ピストン
VT ピストンロッド
O 負荷のかかった設備
UC 制御ユニット
Mn レバー
Sm レバーからの信号
P ポンプ
LP ポンプライン/供給ライン
T タンク
LT タンクへの戻りライン
UA 電気液圧ユニット
UB 電気液圧ユニット
UA,UB 電気液圧ユニット
LEA,LEB チャンバライン
Ses 設定出口断面
ΣEA,ΣEB 制御電気信号
Qin 流入流量
Qout 流出流量
【外国語明細書】