(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178931
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】回生機能を備えた液圧装置
(51)【国際特許分類】
F15B 11/024 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
F15B11/024 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024094925
(22)【出願日】2024-06-12
(31)【優先権主張番号】FR2306014
(32)【優先日】2023-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム フレミオ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-セバスチャン ゴーダン
(72)【発明者】
【氏名】シモーネ ギオ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァランタン ブラッシアノ
【テーマコード(参考)】
3H089
【Fターム(参考)】
3H089AA33
3H089AA60
3H089BB02
3H089CC01
3H089DA03
3H089DB03
3H089DB43
3H089DB46
3H089DB54
3H089EE05
3H089EE36
3H089FF06
3H089FF07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】回生の効率を最大にすることができる液圧装置を開発する
【解決手段】ピストン(VP)で隔てられた2つのチャンバ(C1,C2)を有するシリンダ(V)に接続されている液圧装置(100)であって、2つの独立した電気液圧モジュール(M1,M2)であって、対応する方のチャンバ(C1,C2)に接続され、各電気液圧モジュールが、制御滑り弁(2)によって制御される主滑り弁(1,1’)を有する方向制御滑り弁を有する、2つの独立した電気液圧モジュール(M1,M2)を有する、液圧装置(100)。回生ライン(LR)は、モジュール(M1,M2)の一方(M2)の方向制御滑り弁(1’)を介してチャンバライン(L1,L2)を接続する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストン(VP)で隔てられた2つのチャンバ(C1,C2)を有するシリンダ(V)に接続されている液圧装置(100)であって、前記チャンバ(C1,C2)の一方(C2)を通るロッド(VT)が機材に接続され、
装置は、
前記シリンダ(V)を用いて機材(O)を操作するためにオペレータが作動させるレバー(Mn)に接続された制御ユニット(UC)と、
ポンプライン(LP)を介して前記シリンダの前記チャンバ(C1,C2)に供給するポンプ(P)と、タンクライン(LT)を介して前記シリンダ(V)から戻る圧媒液を受け入れるタンク(T)と
を有し、
装置は、
2つの独立した電気液圧モジュール(M1,M2)であって、チャンバライン(L1,L2)を介して対応する方のチャンバ(C1,C2)、前記ポンプライン(LP)および前記タンクライン(LT)に接続され、各電気液圧モジュールが、
方向制御滑り弁(1D,1’D)であって、それぞれが、
チャンバの前記導管(L1,L2)を前記ポンプライン(LP)および前記戻りライン(LT)に接続している比例式の液圧主滑り弁(1,1’)、
前記主滑り弁(1)を液圧接続によって作動させるパイロットチャンバ(11)、ならびに
前記ポンプライン(LP)を前記パイロットチャンバ(11)に接続し、前記制御ユニット(UC)からの制御信号(ΣSec)を受信する、比例式の電気液圧制御滑り弁(2)
を用いて制御される、方向制御滑り弁(1D,1’D)と、
前記モジュール(M1,M2)の一方(M2)の前記方向制御滑り弁(1’)を介して前記チャンバライン(L1,L2)を接続する回生ライン(LR)と
を有する、2つの独立した電気液圧モジュール(M1,M2)
を有することを特徴とする、液圧装置(100)。
【請求項2】
前記チャンバライン(L1,L2)を接続する可能性がある比例式の前記方向制御滑り弁の前記滑り弁(1’)は、区画(114)を有し、前記区画は、前記ライン(L1,L2)のポートを接続し、前記ポンプラインのポート(PLP)を閉じ、タンク(LT)の前記ポート(PLT)にアクセスできるようにすることを特徴とする、請求項1記載の液圧装置(100)。
【請求項3】
前記方向制御滑り弁(1,1’D)の滑り弁(1’)は、チャンバライン(L2)、回生ライン(LR)、ポンプライン(LP)およびタンクライン(LT)の4つのポート(PL2)、(PLR)、(PLP)、(PLT)を閉じる区画(112’)を有することを特徴とする、請求項1記載の液圧装置(100)。
【請求項4】
前記制御ユニット(UC)は、前記レバー(Mn)に接続されて、パラメータ、
前記シリンダ(V)の出口の設定背圧(Pcp)、
前記タンク(PT)の設定圧力、
前記シリンダ(V)の流入流量(Qin)
に応じて、
前記シリンダ(V)の前記流入流(Qin)を受け入れる前記ユニット(M1,M2)の前記入口断面(Se)、
前記シリンダ(V)の前記流出流(Qout)を受け入れる前記ユニット(M1,M2)の前記出口断面(Sec)
を制御する電気信号(ΣE)および(ΣS)を生成する
ことを特徴とする、請求項1記載の液圧装置(100)。
【請求項5】
流出流(Qout)が通る絞りの設定断面(Sec)は、簡略化されたベルヌーイの式、
【数1】
ΔP=Pcp-PT
によって求められ、式中、
Kは、断面係数Cdおよび液体の密度(ρ)によって変化する係数であるK=CT√ρであることを特徴とする、請求項4記載の液圧装置(100)。
【請求項6】
前記設定圧力(Pcp)は、
所定の固定値、
前記レバー(Mn)の操作に応じた可変値、
圧力センサの測定値から得た値
から選択されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の液圧装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切り離された方向制御弁を有する回生機能を備えた液圧装置に関する。
【0002】
発明の背景
米国特許出願公開第2010/0180761号明細書に記載されているように、液圧装置によって供給されるシリンダの入口の流量を調節する断面、および出口の流量を調節する断面が互いに対して制御される液圧装置が既に知られている。しかしながら、流出流量を少なくするための装置は制御が難しく、動作が不規則になる。
【0003】
独国特許出願公開第102008064064号明細書の装置の場合、流出流量を調節している2つの滑り弁が、装置の他の部分の主滑り弁から来るパイロット圧力信号を受信する。
【0004】
これでは方向制御弁の構想が複雑になり、装置のこの2つの部分を分離できず、一方の部分はシリンダの一方のチャンバに連結され、もう一方の部分はシリンダのもう一方のチャンバに連結されているが、これは、2つの主方向制御弁を接続するパイロット液圧ラインが新たに2つ必要になるからである。
【0005】
言い換えれば、現在、シリンダに供給する、すなわちシリンダの奥側のチャンバとシリンダのロッド側のチャンバに供給する液圧装置は、同じ方向制御滑り弁を備えているため、シリンダの出口断面は、入口断面と同様に滑り弁のストロークによって変化する。シリンダの流出流量は、流入流量のみに左右されるわけではないため、これはつまり、出口断面は、装置を正常に使用する場合に寸法が大きくなったり小さくなったりすることがあるということである。
【0006】
出口流量は、シリンダにかかる負荷にも左右され、ポンプによって供給される利用可能な流量に関係しているため、生じる背圧は一定ではなく、そのため、負荷状態での移動速度は、様々な負荷がかかった状態での運転者からの同じ入力信号(制御レバーの動き)に対して一定ではない。断面を制限すると動作の安定性が高まるが、エネルギー損失も大きくなる。出口断面は、原則として、動きが最悪の場合に負荷を制御できるような寸法になっている。それによっていくつかの用途で制限が生じるため、エネルギー損失が増大し、戻り流が直接タンクの導管に達し、エネルギーの損失となる。
【0007】
発明の目的
本発明は、シリンダに連結された液圧装置であって、シリンダの2つのチャンバの各々の入口断面と出口断面とを独立して分散させることができ、回生の効率を最大にすることができる液圧装置を開発することを目的とする。
【0008】
発明の開示および利点
そのために、本発明は、ピストンで隔てられた2つのチャンバを有するシリンダに接続されている液圧装置であって、チャンバの一方を通るロッドが機材に接続され、この装置は、シリンダを用いて機材を操作するためにオペレータが作動させるレバーに接続された制御ユニットと、ポンプラインを介してシリンダのチャンバに供給するポンプと、タンクラインを介してシリンダから戻る圧媒液を受け入れるタンクとを有することを特徴とし、装置は、2つの独立した電気液圧モジュールであって、チャンバラインを介して対応する方のチャンバ、ポンプラインおよびタンクラインに接続され、各電気液圧モジュールが、方向制御滑り弁であって、それぞれが、チャンバの導管をポンプラインおよび戻りラインに接続している比例式の液圧主滑り弁、主滑り弁を液圧接続によって作動させるパイロットチャンバ、ならびにポンプラインをパイロットチャンバに接続し、制御ユニットからの制御信号を受信する、比例式の電気液圧制御滑り弁を用いて制御される、方向制御滑り弁と、モジュールの一方の方向制御滑り弁を介してチャンバラインを接続する回生ラインとを有する、電気液圧モジュールを有することを特徴とする、液圧装置を目的とする。
【0009】
この液圧装置により、ロッドが通るシリンダのチャンバから回生が行われる場合は回生が完全であるため、回生をより効率にすることが可能になり、シリンダヘッドのチャンバから回生が行われる場合は、回生は部分的である。
【0010】
1つの特徴によれば、チャンバラインを接続する可能性がある比例式の方向制御滑り弁の滑り弁は、ラインのポートを接続する区画を有し、この区画は、ポンプラインのポートを閉じ、タンクのポートにアクセスできるようにする。
【0011】
別の有利な特徴によれば、方向制御滑り弁の滑り弁は、チャンバライン、回生ライン、ポンプラインおよびタンクラインの4つのポートを閉じる区画を有する。
【0012】
この液圧装置では、制御ユニットは、レバーに接続されて、
*シリンダの流入流を受け入れるユニットの入口断面、
*シリンダの流出流を受け入れるユニットの出口断面
を制御する電気信号を生成する。
【0013】
特に、流出流が通る絞りの設定断面は、簡略化されたベルヌーイの式、
【数1】
ΔP=Pcp-PT
によって求められ、式中、
Kは、断面係数Cdおよび液体の密度(ρ)によって変化する係数である。
【0014】
設定圧力Pcpは、
-所定の固定値、
-レバーの操作に応じた可変値、
-圧力センサの測定値から得た値
から選択される。
【0015】
本発明は、添付の図面に示した液圧機械の動作を管理するための液圧装置を目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】シリンダなどの液圧機械を装備するための本装置の液圧機構の図である。
【
図2】本液圧装置の2つのモジュールの一方の詳細な液圧機構の図である。
【
図3】完全回生モードで動作している本発明による装置の液圧機構の図である。
【
図4】部分回生モードで動作している本発明による装置の液圧機構の図である。
【0017】
発明の実施形態の説明
慣例として、特許請求の範囲の記載で使用している「ライン」および「導管」という表現は同義であり、流体接続を表している。
【0018】
図1によれば、本発明の目的は、負荷を操作する機材に接続しているシリンダVに連結された電気液圧装置100である。シリンダVは、機材に接続されたシリンダロッドVTと連動するピストンVPで隔てられた2つのチャンバC1,C2を有する。
【0019】
2つのチャンバC1,C2の容積は、2つのチャンバの自由断面S1,S2の比率に従ったピストンの動きに応じて変化し、ロッドVTが通っているチャンバVBの断面SBは、ボアの断面であり、ロッドVTが通っているチャンバC2の断面S2は、ロッドVTの断面分が減少したボアの断面である。
【0020】
シリンダVに対して命令された操作に従って、チャンバC1,C2のいずれか一方が流入流Qinを受け入れ、もう一方のチャンバC2、C1が流出流Qoutを供給する。流量は、チャンバの容積の変化のように、チャンバの断面の面積の比になっている:Ql/Q2=Sl/S2。
【0021】
シリンダVに連結している電気液圧装置100は、制御ユニットUCによって独立して制御される2つの別々の電気液圧モジュールM1,M2で構成され、これらのモジュールは、連結され、それぞれが一方のチャンバともう一方のチャンバを、ポンプPから来るポンプ管LPおよび圧媒液をタンクTに戻すためのタンク管LTに接続している。
【0022】
各モジュールM1,M2は、絞り断面を独立して調節できる方向制御滑り弁1,1’を有し、この断面は、運転者が操作するレバーMnの信号Smを受信する制御ユニットUCが生成する電気信号Σ(Ses)、および以下のパラメータ、
-出力チャンバに割り当てられた固定または可変の設定背圧PCP
-タンクの圧力PT
-入力チャンバ(C1またはC2)への流入流量Qin
によって各モジュールで別々に制御される。
【0023】
これらのパラメータにより、制御ユニットUCは、流出流量Qoutに対する絞りの出口断面Sesを計算でき、よってこの流出流量は、レバーMnの位置に関係する理論上の流入流量によって定まる。
【0024】
中央ユニットUCは、簡略化されたベルヌーイ方程式を適用して、流出流量Qoutに対する出口断面Sesを取得する。
【0025】
【数2】
ΔP=PCP-PT
k:一定係数
係数は、断面係数Cdおよび液体の密度(ρ)によって変化する。
【0026】
この装置では、設定圧力は、
-所定の固定値、
-該レバーの操作に応じた可変値、
-圧力センサの測定値から得た値
から選択される。
【0027】
定められた流量の出口断面は、流出流Qoutを受け入れるモジュールの設定出口断面Secであり、この断面は、中央ユニットUCによって制御電気信号Σ(Sec)の形態で発信される。
【0028】
流入流量Qinは、とりわけレバーの位置によって決まる流量である。この設定流入流量は、設定出口断面Secを計算するのに使用される流出流量Qoutを割り出す。
【0029】
装置100には、特定の供給圧力を基に調節されたポンプPによって加圧した圧媒液が供給され、この液体は、圧媒液が戻ることによって供給されるタンクTの液体である。ポンプの出力ラインLPは、2つのモジュールM1,M2の入口に接続され、このモジュールの出口はタンクラインLTに接続されている。
【0030】
図1によれば、モジュールM1は、比例式の方向制御主滑り弁を有する方向制御弁を含み、滑り弁は、
図1に示した休止位置から滑り弁1を移動させるパイロットチャンバ11によって制御され、モジュールM1は、チャンバC1のラインL1、ポンプラインLPおよびタンクラインLTに接続され、タンクラインには、バネ12によって戻る休止位置で接続される。
【0031】
制御滑り弁2によって供給される圧媒液で制御されるパイロットチャンバ11は、主滑り弁1を移動させて供給区画113を導管LPとL1の間に配置し、チャンバClに圧媒液(流入流Qin)を供給する。逆の動作では、区画111は、ラインL1をチャンバC1からの流出流QoutのタンクラインLTに接続する。
【0032】
2つの区画111および113は、滑り弁1を通る通信を遮断する中間区画112で隔てられている。
【0033】
主滑り弁1と合体しているパイロットチャンバ11は、制御滑り弁2によって制御される。この制御滑り弁は、比例式の滑り弁であり、制御ユニットUCから制御信号Σ(Se)を受信する電気制御装置21によって作動する。制御滑り弁2は、バネ22によって休止位置に戻り、この休止位置では、パイロットチャンバ11のラインはタンクラインLTに接続されている。
【0034】
流入流量Qinを調節するために、制御滑り弁2は、制御ユニットUCから信号Σ(Se)を受信し、ポンプラインLPをパイロットチャンバ11に向かう出口に接続し、パイロットチャンバは、信号Σ(Se)に応じて絞りの断面Seを調節しながら主滑り弁1を比例的に作動させる。
【0035】
シリンダの入口断面を調節する機能の入力ユニットとして前述したモジュールM1は、出力モジュールと同じように機能するが、出口断面の計算を逆にすることで機能する。制御信号Σ(Se)Σ(Sec)は逆になる。
【0036】
モジュールM2は、パイロットチャンバ11が滑り弁1’を
図1に示した休止位置から移動させることによって制御される、比例式の主方向制御滑り弁1’を有する方向制御弁を含み、モジュールM2は、チャンバC2のラインL2、ポンプラインLPおよびタンクラインLTに接続されている。滑り弁1’は、タンクラインLTに接続されている区画111の位置にバネ12によって配置される。この位置では、ラインL2は遮断されている。
【0037】
制御滑り弁2からの圧媒液で制御されるパイロットチャンバ11は、主滑り弁1を移動させて、導管LPとL2とを供給区画113を介して接続し、チャンバC2に圧媒液(流入流Qin)を供給する。逆の動作では、区画111は、ラインL2をチャンバC2からの流出流QoutのタンクラインLTに接続する。
【0038】
さらに詳細には、
図1と併せて
図2によれば、モジュールM2は、回生導管LRを介してモジュールM1のラインL1に接続され、この回生導管により、滑り弁1’の区画114を通して導管L2を導管L1に接続でき、チャンバC2からの流出流Qoutの一部または全部をチャンバC1に再送給でき、この流れは、ポンプラインLPから到達する流れと合流する。
【0039】
区画114は、滑り弁1’のラインL2およびLRのポートPL2とPLRとの間の接続部と併せて示され、ラインLPおよびLTのポートPLPとPLTとのつながりは、切断されて示されている。
【0040】
ただし、この図では、滑り弁1’の比例運動によって、ラインL2の流出流Qoutを回生ラインLRとラインLTとの間に分配してポートPLTによる部分的な回生が可能になるが、ポートPLPは、ラインL2からラインLRへ向かう流出流Qoutが全部であっても一部であっても遮断されたままである。
【0041】
2つの区画111および113は、ラインL2,LRのポートPL2、PLRと、ラインLP,LTのポートPLP,PLTとの間の滑り弁1’を介する通信を遮断する中間区画112’で隔てられている。
【0042】
モジュールM1と同じように、主滑り弁1と合体しているパイロットチャンバ11は、比例式の制御滑り弁2によって制御され、この制御滑り弁は、制御ユニットUCから制御信号ΣSecを受信する電気制御装置21によって作動する。制御滑り弁2は、バネ22によって休止位置に戻り、この休止位置では、パイロットチャンバ11に接続されたラインは、タンクラインLTに接続されている。
【0043】
装置100の独立した2つのモジュールM1,M2は、各々がインターフェースA1,A2を介してラインLP,LTに接続され、これらのインターフェースは、2つのラインLP,LTに直列に接続されている。インターフェースA1,A2は、いずれか一方のモジュールM1,M2に直接合体している。
【0044】
モジュールM1,M2には、ラインL1,L2が加圧された場合に開く安全弁3と、主滑り弁1との間で逆流を防止する機能(区画41)と通過させる機能(区画42)とを合わせた開閉弁4とが補足されている。弁4は、滑り弁1,1’の制御とは独立してユニットUCからの電気信号によって制御される。
【0045】
モジュールM2がモジュールM1と異なっているのは、方向制御滑り弁1’である。2つのモジュールがこのように非対称であるのは、シリンダのチャンバC1,C2が非対称構造であることによるものであり、ピストンの移動によるチャンバの容積の変化は、チャンバの自由断面の比による(ピストンのロッド以外の断面およびピストンのロッドが通る断面)。
【0046】
図3は、シリンダのチャンバC2とチャンバC1との間が、モジュールM2の滑り弁1’の区画114を通るラインL2,LR,L1を介して完全回生モードにある、モジュールM1,M2の液圧回路図である。チャンバC2からの流出流量Qoutは、チャンバC1への流入流量より少ないため、ラインLRを通る回生の量には、モジュールM1を通るポンプラインLPからの量が補足される。そのため、モジュールM1の滑り弁1の区画111は、ポンプラインLPをチャンバラインL1に接続して、チャンバC1に入る回生の流量を補足する。
【0047】
図4は、部分回生モードで動作している液圧装置を示している。この部分的な回生は、シリンダのチャンバC1からチャンバC2への回生である。チャンバC1からの流出流量は、チャンバC2への流入流量より多いため、チャンバC2へ向かうラインLRで回生されない流出流量の超過分は、タンクラインLTで排出される。
【0048】
図3および
図4の2つの動作モードでは、モジュールM2は、流出流を供給するシリンダのチャンバに応じて完全または部分的な回生を実行する回生モジュールを構成する。
【0049】
したがって、流出流のチャンバと流入流のチャンバとの間で回生を可能にする液圧装置は、回生区画114を有する滑り弁1’を含む回生モジュールを1つしか必要としない。
【0050】
結論として要約すると、本発明は、ピストンVPで隔てられた2つのチャンバC1,C2を有するシリンダVに接続されている液圧装置100であって、チャンバC1,C2の一方C2を通るロッドVTが機材に接続され、
装置は、
-シリンダVを用いて機材Oを操作するためにオペレータが作動させるレバーMnに接続された制御ユニットUCと、
-ポンプラインLPを介してシリンダのチャンバC1,C2に供給するポンプPと、タンクラインLTを介してシリンダVから戻る圧媒液を受け入れるタンクTと
を有し、
装置は、
*2つの独立した電気液圧モジュールM1,M2であって、チャンバラインL1,L2を介して対応する方のチャンバC1,C2、ポンプラインLPおよびタンクラインLTに接続され、各電気液圧モジュールが、
-方向制御滑り弁1D,1’Dであって、それぞれが、
*チャンバの導管L1,L2をポンプラインLPおよび戻りラインLTに接続している比例式の液圧主滑り弁1,1’、
*主滑り弁1を液圧接続によって作動させるパイロットチャンバ11、ならびに
*ポンプラインLPをパイロットチャンバ11に接続し、制御ユニットUCからの制御信号ΣSecを受信する、比例式の電気液圧制御滑り弁2
を用いて制御される、方向制御滑り弁1D,1’Dと、
-モジュールM1,M2の一方M2の方向制御滑り弁1’を介してチャンバラインL1,L2を接続する回生ラインLRと
を有する、2つの独立した電気液圧モジュールM1,M2
を有することを特徴とする、液圧装置100を目的とする。
【0051】
1つの特徴によれば、チャンバラインL1,L2を接続する可能性がある比例式の方向制御滑り弁1’の滑り弁は、区画114を有し、この区画は、ラインL1,L2のポートを接続し、ポンプラインのポートPLPを閉じ、タンクLTのポートPLTにアクセスできるようにする。
【0052】
別の特徴によれば、方向制御滑り弁1,1’Dの滑り弁1’は、チャンバラインL2、回生ラインLR、ポンプラインLPおよびタンクラインLTの4つのポートPL2、PLR、PLP、PLTを閉じる区画112’を有する。
【0053】
別の特徴によれば、制御ユニットUCは、レバーMnに接続されて、パラメータ、
-シリンダVの出口の設定背圧Pcp、
-タンクPTの設定圧力、
-シリンダVの流入流量Qin
に応じて、
*シリンダVの流入流Qinを受け入れるユニットM1,M2の入口断面Se、
*シリンダVの流出流Qoutを受け入れるユニットM1,M2の出口断面Sec
を制御する電気信号ΣEおよびΣSを生成する。
【0054】
別の特徴によれば、流出流(Qout)が通る絞りの設定断面(Sec)は、簡略化されたベルヌーイの式、
【数3】
ΔP=Pcp-PT
によって求められ、式中、
Kは、断面係数Cdおよび液体の密度(ρ)によって変化する係数であるK=CT√ρ。
【0055】
別の特徴によれば、設定圧力Pcpは、
-所定の固定値、
-レバーMnの操作に応じた可変値、
-圧力センサの測定値から得た値
から選択される。
【符号の説明】
【0056】
1,1’ 主滑り弁
11 パイロットチャンバ
111 戻り区画
112 停止区画
112’ 中間区画
113 供給区画
114 回生区画
12 バネ
2 制御滑り弁
21 電気機械式操縦装置
22 戻りバネ
3 過圧弁
4 開閉弁
41 逆流防止機能区画
42 通過機能区画
5 緩衝器
51 拡張セル
52 作動滑り弁
6 圧力センサ
7 逆流防止弁
C1,C2 シリンダのチャンバ
VP ピストン
VT ピストンロッド
O 負荷のかかった機材
UC 制御ユニット
Mn レバー
Sm レバーからの信号
P ポンプ
LP ポンプライン
T タンク
LT タンクライン
LR 回生ライン
UA 電気液圧ユニット
M1,M2 電気液圧モジュール
L1,L2 チャンバライン
S1,S2 チャンバ断面
Se 入口断面
Sec 設定出口断面
Ses 出口断面
Σ(Se) 入口断面の制御電気信号
Σ(Ses) 出口断面の制御電気信号
Σ(Sec) 設定断面の制御電気信号
Qin 流入流量
Qout 流出流量
Al モジュールM1のインターフェース
A2 モジュールM2のインターフェース
LR 回生ライン
【外国語明細書】