(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178932
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】連結していない方向制御弁を有する液圧装置
(51)【国際特許分類】
F15B 11/044 20060101AFI20241218BHJP
F15B 11/08 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
F15B11/044
F15B11/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024094926
(22)【出願日】2024-06-12
(31)【優先権主張番号】FR2305985
(32)【優先日】2023-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム フレミオ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァランタン ブラッシアノ
(72)【発明者】
【氏名】イヴ シュリックマン
【テーマコード(参考)】
3H089
【Fターム(参考)】
3H089AA23
3H089AA59
3H089AA60
3H089BB01
3H089BB27
3H089CC01
3H089DA03
3H089DB03
3H089DB34
3H089DB43
3H089DC02
3H089EE05
3H089FF07
3H089JJ02
(57)【要約】
【課題】連結していない方向制御弁を有する液圧装置に関する。
【解決手段】液圧装置(100)は、2つのチャンバ(C1,C2)を有するシリンダ(V)に接続され、レバー(Mn)に接続された制御ユニット(UC)、ポンプ(P)、供給ライン(LP)、タンク(T)及びタンクライン(LT)並びに2つの独立した電気液圧モジュール(M1,M2)を備え、電気液圧モジュールは、チャンバ(C1,C2)の一方に連結され、各々が、調節可能な断面の絞りを有する。制御ユニット(UC)は、レバー(Mn)に接続され、レバーは、シリンダ(V)に接続されたモジュール(M1,M2)の入口断面及び出口断面を制御する電気信号(ΣS)を生成する。モジュール(M1,M2)は、各々がインタフェース(Al,A2)を介してポンプライン(LP)及びタンクライン(LT)に接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストン(VP)により分離された2つのチャンバ(C1,C2)を有するシリンダ(V)に接続されている液圧装置(100)であって、前記チャンバ(C1,C2)の一方(C2)を貫通するロッド(VT)が、負荷を受ける設備(O)に接続され、
前記液圧装置(100)は、
前記シリンダ(V)を用いて前記設備(O)を運転するためにオペレータにより操作されるレバー(Mn)に接続された制御ユニット(UC)と、
ポンプライン(LP)を介して前記シリンダの前記チャンバ(C1,C2)に供給するポンプ(P)と、
タンクライン(LT)を介して前記シリンダ(V)から戻る圧媒液を受け入れるタンク(T)と、
を備える、液圧装置(100)において、
前記液圧装置(100)は、
2つの独立したオフセットの電気液圧モジュール(M1,M2)であって、チャンバライン(L1,L2)を介して対応するチャンバ(C1,C2)に連結され、前記ポンプライン(LP)及び前記タンクライン(LT)に接続され、各電気液圧モジュール(M1,M2)が、
前記チャンバ(L1,L2)の導管を前記ポンプライン(LP)及び前記戻りライン(LT)に接続する比例式の液圧主滑り弁(1)と、
前記主滑り弁(1)を液圧接続によって動作させるパイロットチャンバ(11)と、
前記ポンプライン(LP)を前記パイロットチャンバ(11)に接続し、前記制御ユニット(UC)からの制御信号(ΣS)を受信する、比例式の電気液圧制御滑り弁(2)と、
を有する電気液圧モジュール(M1,M2)
をさらに備え、
前記液圧装置(100)の前記モジュール(M1,M2)は、各々がインタフェース(A1,A2)を介して前記ポンプライン(LP)及び前記タンクライン(LT)に接続される
ことを特徴とする、液圧装置(100)。
【請求項2】
前記インタフェース(Al,A2)は、2つの入口接続点(EPi1、EPi2)及び2つの出口接続点(STi1,STi2)を介して、並びに、供給接続部(Api1,Api2)と、対応する前記モジュール(M1,M2)の入口接続点(MPi1,MPi2)及び出口接続点(MTi1,MTi2)への戻り接続部(Ati1,Ati2)とを介して、前記ライン(LP,LT)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の液圧装置(100)。
【請求項3】
2つの前記モジュール(M1,M2)の前記入口接続点(MP1,MP2)及び前記出口接続点(MTi1,MTi2)は、前記モジュール(M1,M2)の一方の面の、前記インタフェース(A1,A2)の前記出口接続点(AP1,AP2)又は(AT1,AT2)の対応する位置に、前記インタフェース(A1,A2)の組立て面に対向して連結されるように(M1/A1)、(M2/A2)、かつ、2つのオフセットのアセンブリ(E1)及びアセンブリ(E2)を形成するように設けられ、各々が、動作する前記シリンダ(V)の前記チャンバ(C1,C2)への接続部の近傍に設置されるように設計されていることを特徴とする、請求項2に記載の液圧装置(100)。
【請求項4】
前記制御ユニット(UC)は、前記レバー(Mn)に接続されて、パラメータとしての
-前記シリンダ(V)の出口の設定背圧(Pcp)、
-前記タンク(PT)の設定圧力、
-前記シリンダ(V)の流入流量(Qin)
に応じて、前記シリンダの流入流を供給する前記ユニットの入口断面、及び、前記シリンダの流出流を受け入れる前記ユニットの前記出口断面を制御する電気信号を生成することを特徴とする、請求項1に記載の液圧装置(100)。
【請求項5】
前記流出流(Qout)が通過する前記絞り(Se)の前記設定断面(Sec)は、簡略化されたベルヌーイの式
【数1】
ΔP=Pcp-PT
によって求められ、
ここで、Kは、導管(断面係数Cd)及び液体の密度(ρ)に依存して変化する係数であり、K=CT√ρである、
ことを特徴とする、請求項4に記載の液圧装置(100)。
【請求項6】
前記設定圧力(PcP)は、
-所定の固定値、
-レバー(Mn)の操作に応じた可変値、
-圧力センサの測定値から得た値
から選択されることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液圧装置(100)。
【請求項7】
ピストン(VP)により分離された2つのチャンバ(C1,C2)を有するシリンダ(V)に接続されている液圧装置(100)であって、前記チャンバ(C1,C2)の一方を貫通するロッド(VT)が、負荷を受ける設備(O)に接続され、
前記液圧装置(100)は、
前記シリンダ(V)を用いて前記設備(O)を運転するためにオペレータにより操作されるレバー(Mn)に接続された制御ユニット(UC)と、
ポンプライン(LP)を介して前記シリンダの前記チャンバ(C1,C2)に供給するポンプ(P)と、
タンクライン(LT)を介して前記シリンダ(V)から戻る圧媒液を受け入れるタンク(T)と、
を備える、液圧装置(100)において、
前記液圧装置(100)は、
2つの独立したオフセットの電気液圧モジュール(M1,M2)であって、チャンバライン(L1,L2)を介して対応するチャンバ(C1,C2)に連結され、前記ポンプライン(LP)及び前記タンクライン(LT)に接続され、各電気液圧モジュール(M1,M2)が、
前記チャンバ(L1,L2)の導管を前記ポンプライン(LP)及び前記戻りライン(LT)に接続する比例式の液圧主滑り弁(1)と、
前記主滑り弁(1)を液圧接続によって動作させるパイロットチャンバ(11)と、
前記ポンプライン(LP)を前記パイロットチャンバ(11)に接続し、前記制御ユニット(UC)からの制御信号(ΣS)を受信する、比例式の電気液圧制御滑り弁(2)と、
を有する電気液圧モジュール(M1,M2)
をさらに備え、
前記電気液圧モジュール(M1,M2)の少なくとも一方は、前記チャンバ(C1,C2)と前記主滑り弁(1)との間の前記チャンバライン(L1,L2)に保持滑り弁(4)を有し、
前記保持滑り弁(4)は、対応する前記チャンバから流出して逆方向に通過する流れを遮断する区画(41)、及び、通過区画(42)を有する保持弁として機能し、
前記保持滑り弁(4)は、前記電気液圧モジュール(M1,M2)の前記主滑り弁(1)の制御とは独立して前記中央ユニット(UC)によって直接制御される電気液圧アクチュエータ(43)を有する
ことを特徴とする、液圧装置(100)。
【請求項8】
前記液圧装置(100)の前記2つの電気液圧モジュール(M1,M2)は、それぞれ保持滑り弁(4)を備えている、請求項7に記載の液圧装置(100)。
【請求項9】
前記電気液圧モジュール(M1,M2)の一方と前記シリンダ(V)との間で前記ライン(L1)に接続された緩衝器(5)であって、前記中央ユニット(UC)によって電気制御される滑り弁(52)を介して前記ライン(L1)に接続される拡張セル(51)により構成される緩衝器(5)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の液圧装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結していない方向制御弁を有する液圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
米国特許出願公開第2010/0180761号明細書に記載されているように、液圧装置によって物質を供給されるシリンダの入口の流量を調節する断面と、出口の流量を調節する断面とが互いに対して制御される液圧装置が既に知られている。しかしながら、この装置は、流出流量を下げるように制御することは困難であり、それによって動作が不規則になる。
【0003】
独国特許出願公開第102008064064号明細書の装置の場合、流出流量を調節している2つの滑り弁が、装置の他の部分の主滑り弁から来るパイロット圧力信号を受信する。
【0004】
これでは方向制御弁の構想が複雑になり、装置のこの2つの部分を分離することができず、一方の部分は、シリンダの一方のチャンバに連結され、もう一方の部分は、シリンダのもう一方のチャンバに連結されているが、これは、2つの主方向制御弁を接続するパイロット液圧ラインが新たに2つ必要になるからである。
【0005】
言い換えれば、現在、シリンダに供給する、すなわち、シリンダの奥側のチャンバとシリンダのロッド側のチャンバに供給する液圧装置は、同等の方向制御滑り弁で作製されているため、シリンダの出口断面は、滑り弁のストローク及び入口断面によって変化する。シリンダの流出流量は、流入流量のみに左右されるわけではないため、これはつまり、出口断面は、装置を正常に使用する場合に寸法が大きくなったり小さくなったりすることがあるということである。
【0006】
出口流量は、シリンダにかかる負荷、又は、ポンプによって供給される利用可能な流量にも左右されるため、生じる背圧は一定ではなく、そのため、負荷状態での移動速度は、運転者からの同等の入力信号及び様々な負荷(制御レバーの動き)に対して一定ではない。断面を制限すると動作の安定性が高まるが、エネルギー損失も大きくなる。出口断面は、原則として、動きが最悪の場合に負荷を制御することができるような寸法になっている。それによっていくつかの用途で制限が生じるため、エネルギー損失が増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0180761号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102008064064号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明の目的
本発明は、シリンダに連結され、シリンダの2つのチャンバの入口断面と出口断面とを独立して分散させることができる液圧装置を開発することを目的とする。本発明は、特に、同一のシリンダのロッド側及びヘッド側でシリンダから要求される流量に合わせて方向制御弁の寸法を設定することができるようにし、それによって動きの正確な要件に従って方向制御弁の機能上の必要性を適応させられる柔軟な設計を開発することを目的とする。
【0009】
さらに、全体として、本発明は、液圧装置の動作の柔軟性及びこの装置を建設機械の構造に組み入れる可能性を広げることを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の開示及び利点
そのために、本発明は、ピストンにより分離された2つのチャンバを有するシリンダに接続されている液圧装置であって、チャンバの一方を貫通するロッドが、負荷を受ける設備に接続されている、液圧装置を提供することを目的とし、本装置は、シリンダを用いて設備を運転するためにオペレータにより操作されるレバーに接続された制御ユニットと、ポンプラインを介してシリンダのチャンバに供給するポンプと、タンクラインを介してシリンダから戻る圧媒液を受け入れるタンクと、を備え、本装置は、2つの独立したオフセットの電気液圧モジュールであって、チャンバラインを介して対応するチャンバに連結され、ポンプライン及びタンクラインに接続され、各電気液圧モジュールが、チャンバの導管をポンプライン及び戻りラインに接続する比例式の液圧主滑り弁と、主滑り弁を液圧接続によって動作させるパイロットチャンバと、ポンプラインをパイロットチャンバに接続し、制御ユニットからの制御信号を受信する、比例式の電気液圧制御滑り弁2と、を有する電気液圧モジュールをさらに備え、本装置のモジュールは、各々がインタフェースを介してポンプライン及びタンクラインに接続されることを特徴とする、液圧装置を目的とする。
【0011】
本発明に係る液圧装置により、同一のシリンダの2つのチャンバの入口断面と出口断面とを分散させ、両者を独立させて柔軟な設計を開発することが可能になる。この設計により、シリンダの各部分から要求される流量に合わせて方向制御弁の寸法を設定することが可能になる。それにより、液圧装置の動作の柔軟性を広げ、建設機械の様々な種類の構造に本装置を組み入れるように展開することも可能になる。
【0012】
インタフェースにより、様々な種類の電気液圧モジュールを受け入れることが可能になる。インタフェースは、いずれも同等の構造を有しており、制御されるシリンダの側部近辺に固定されている。そのため、これらのインタフェースにより、単純に設置するだけで、適応した電気液圧モジュールをシリンダに、特にシリンダの側部に適応させることが可能になる。
【0013】
他の有利な特徴によれば、インタフェースは、2つの入口接続点及び2つの出口接続点を介して、並びに、供給接続部と、対応するモジュールの入口接続点及び出口接続点への戻り接続部とを介して、ラインに接続される。
【0014】
特に有利には、2つのモジュールの入口接続点及び出口点は、モジュールの一方の面の、インタフェースの出口接続点の対応する位置に、インタフェースの組立て面に設けられて対向するように連結され、かつ、2つのオフセットのアセンブリを形成し、各々がシリンダのチャンバへの接続部の近傍に設置されるようになっている。
【0015】
モジュールのこれらの入口接続点及び出口接続点は、すべてがインタフェースの接続点に適応している所定の位置にある。
【0016】
他の有利な特徴によれば、制御ユニットは、レバーに接続されて、パラメータとしてのシリンダの出口の設定背圧、タンクの設定圧力、シリンダの流入流量に応じて、シリンダの流出流を受け入れるモジュールの出口断面を制御する電気信号を生成する。
【0017】
他の有利な特徴によれば、流出流Qoutが通過する絞りの設定断面Secは、簡略化されたベルヌーイの式
【数1】
ΔP=Pcp-PT
によって求められ、式中、
Kは、導管(断面係数Cd)及び液体の密度(ρ)によって変化する係数である。
【0018】
他の有利な特徴によれば、設定圧力は、所定の固定値、レバーの操作に応じた可変値から選択される。
【0019】
本発明は、ピストンにより分離された2つのチャンバを有するシリンダに接続されている液圧装置であって、チャンバの一方を貫通するロッドが、負荷を受ける設備に接続され、装置は、シリンダを用いて設備を運転するためにオペレータにより操作されるレバーに接続された制御ユニットと、ポンプラインを介してシリンダのチャンバに供給するポンプと、タンクラインを介してシリンダから戻る圧媒液を受け入れるタンクとを有し、装置は、2つの独立したオフセットの電気液圧モジュールであって、チャンバラインを介して対応するチャンバに連結され、ポンプライン及びタンクラインに接続され、各電気液圧モジュールが、チャンバの導管をポンプライン及び戻りラインに接続する比例式の液圧主滑り弁と、主滑り弁を液圧接続によって動作させるパイロットチャンバと、ポンプラインをパイロットチャンバに接続し、制御ユニットからの制御信号を受信する、比例式の電気液圧制御滑り弁と、を有する電気液圧モジュールをさらに備え、モジュールの少なくとも一方は、チャンバと主滑り弁との間のチャンバラインに保持滑り弁を有し、保持滑り弁は、対応するチャンバから流出して逆方向に通過する流れを遮断する区画、及び、通過区画を有する保持弁として機能し、この保持滑り弁は、このモジュールの主滑り弁の制御とは独立して中央ユニットによって直接制御される電気液圧アクチュエータを有することを特徴とする、液圧装置を目的とする。
【0020】
この液圧装置の場合、本発明は、2つのモジュールそれぞれが保持滑り弁を備えることを想定している。
【0021】
本発明は、例として挙げ、添付の図面に示した液圧機械の動作を管理するための液圧装置を目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】シリンダなどの液圧機械を装備するための本装置のオフセットの液圧機構の図である。
【
図1A】
図1のシリンダの動作を管理する2つのモジュールの一方の構造の詳細図である。
【
図2】シリンダに供給する液圧装置の2つのモジュールの詳細な液圧機構の図である。
【
図2A】液圧装置の一変形例の液圧機構の図である。
【
図3】本発明に係る装置の一変形例の液圧機構の図である。
【
図4】シリンダに連結しているオフセットの液圧装置の基本図である。
【
図5】本発明に係る、シリンダに連結された電気液圧装置の接続の分解図である。
【
図6】シリンダを制御するためのオフセットの液圧装置を含む液圧設備の例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態の詳細な説明
図1によれば、本発明の目的は、負荷を運転する設備Oに接続するシリンダVに連結された電気液圧装置100である。シリンダVは、設備Oに接続されたシリンダロッドVTと連動するピストンVPにより分離された2つのチャンバC1,C2を有する。
【0024】
慣例として、特許請求の範囲の記載で使用している「ライン」及び「導管」という表現は同義であり、要素間の流体接続を表している。
【0025】
2つのチャンバC1,C2の容積は、2つのチャンバの自由断面S1,S2の比率に従ったピストンの動きに応じて変化し、シリンダの奥のチャンバC1の断面は、シリンダのボアの断面であり、ロッドVTが貫通しているチャンバVBの断面SBは、ボアの断面であり、ロッドVTが貫通しているチャンバC2の断面S2は、ロッドVTの断面分が減少したボアの断面である。
【0026】
シリンダVに対して命令された操作に従って、チャンバC1,C2のいずれか一方が流入流Qinを受け入れ、もう一方のチャンバC2、C1が流出流Qoutを供給する。流量、すなわち、ピストンのストロークΔLに対するチャンバの容積の変化は、
Ql=ΔL・Sl
Q2=ΔL・S2
である。
【0027】
よって流量は、チャンバの断面の面積の比になっている。
Ql/Q2=Sl/S2
【0028】
シリンダVに連結している電気液圧装置100は、制御ユニットUCによって独立して制御される2つの別々の電気液圧モジュールM1,M2により構成され、これらのモジュールは、シリンダのチャンバC1,C2に連結され、それぞれが一方のチャンバともう一方のチャンバを、ポンプPから来るポンプ管LPとタンクTに向かう戻り管LTに接続している。
【0029】
各モジュールM1,M2は、調節可能な絞り断面を有する方向制御滑り弁を有し、この断面は、運転者が操作するレバーMnの信号Smを受信する制御ユニットUCが生成する電気信号、及び、以下のパラメータ
-出力チャンバ(C2又はCl)に割り当てられた設定背圧PCP
-タンクの圧力PT
-入力チャンバ(C1又はC2)への流入流量Qin
によって別々に制御される。
【0030】
シリンダVによって行われる操作に従って、チャンバの一方は、流入流Qinを受け入れる入力チャンバであり、もう一方のチャンバは、流出流Qoutを送給する出力チャンバである。ピストンが設備Oを引くか又は押すかによってこの動作が交互に起こる。
【0031】
これらのパラメータにより、制御ユニットUCは、流出流量Qoutに対する絞りSeの出口断面Sesを計算することができ、この流出流量は、レバーMnの位置に関係する理論上の流入流量によって定まる。
【0032】
中央ユニットUCは、簡略化されたベルヌーイ方程式を適用して、流出流量Qoutに対する設定出口断面Secを取得する。
【0033】
【数2】
ΔP=PCP-PT
k’:一定係数
係数kは、導管の断面係数Cdによって、すなわち、導管の構造(長さ、内部粗さ、負荷損失など)及び液体の密度(ρ)によって変化する。
【0034】
流出流Qoutを受け入れるモジュールの設定出口断面Secは、中央ユニットUCによって電気制御信号(ΣS)の形態で発信される。
【0035】
固定パラメータ又は可変パラメータによって変化する値である出口断面は、シリンダの操作開始時に調節される。
【0036】
本発明によれば、パラメータPcp及びパラメータPTは、液圧装置とその設備に応じて設定される。
【0037】
設定背圧Pcpは、所定の曲線又は測定した圧力から得られた曲線に応じて固定背圧でも可変背圧でもよい。
【0038】
流入流量Qinは、レバーの位置によって決まる流量である。この設定流入流量は、設定出口断面Secを計算するために使用される流出流量Qoutを割り出す。
【0039】
装置100には、供給圧力を基に調節されたポンプPによって加圧した圧媒液が供給され、圧媒液が戻ることによって補給されたタンクT内の液体を取る。ポンプの出口は、ラインLPに接続され、このラインに2つのモジュールM1,M2の入口が接続され、両モジュールの出口は、タンクラインLTに接続されている。
【0040】
2つのモジュールM1,M2は、対称又はほぼ対称なため、モジュールの説明は、シリンダのチャンバC1に接続されたモジュールM1のみにとどめておく。
【0041】
図1及び
図1Aによれば、モジュールM1は、本明細書においては対称であることからモジュールM2のことでもあり、比例式の方向制御主滑り弁1を有し、滑り弁は、
図1に示した休止位置から滑り弁1を移動させるパイロットチャンバ11によって制御され、モジュールM1は、チャンバC1のラインL1、ポンプラインLP及びタンクラインLTに接続されている。滑り弁1は、タンクラインLTに接続している休止位置111にある様子が示されている。なぜなら、滑り弁1の制御が切断されると、ばね12が滑り弁1を休止位置に戻すからである。この位置では、ラインL1は遮断されている。
【0042】
制御滑り弁2によって供給される圧媒液に制御されるパイロットチャンバ11は、主滑り弁1を移動させて供給区画113を導管LPと導管L1の間に配置し、チャンバClに圧媒液(流入流Qin)を供給する。逆の動作では、区画111は、ラインL1をチャンバC1からの流出流QoutのタンクラインLTに接続する。
【0043】
2つの区画111及び区画113は、滑り弁1を通過する通信を遮断する中間区画112により分離されている。
【0044】
主滑り弁1と合体しているパイロットチャンバ11は、制御滑り弁2によって制御される。この制御滑り弁は、比例式の滑り弁であり、制御ユニットUCから制御信号ΣSを受信する電気制御装置21によって動作する。制御滑り弁2は、ばね22によって休止位置に戻り、この休止位置では、パイロットチャンバ11に接続されているラインは、タンクラインLTに接続されている。
【0045】
流入流量Qinを調節するために、制御滑り弁2は、制御ユニットUCから電気信号ΣSを受信し、ポンプラインLPに既に接続されている入口をパイロットチャンバ11に向かう出口に接続する。それによって制御滑り弁2は、信号ΣSに応じて絞りの断面を調節しながら、主滑り弁1を比例的に動作させるパイロットチャンバ11に比例液圧信号を印加する。
【0046】
シリンダVのアクティブチャンバは、運転者により操作されるレバーによって制御される流れに対して主滑り弁が開いている区画を有する。
【0047】
シリンダの入口断面を調節する機能の入力ユニットとして前述したモジュールM1は、出力モジュールと同様に機能するが、もう一方のチャンバC2への流入流量を基に、上記で述べたような簡略化されたベルヌーイ方程式を適用して出口断面を計算する。なぜなら、この流入流量がピストンを動かし、それが2つのチャンバC1,C2の断面の逆比に従って流出流量を生み出すからである。
【0048】
パラメータ及びオペレータがレバーを用いて要求した流入流量に応じてシリンダVの操作を開始した時に計算される設定出口断面Secは、流出流量Qoutを決定し、この流出流量は、戻る際に実際の流入流量Qinを決定する。
【0049】
装置100の独立した2つのモジュールM1,M2は、各々がインタフェースA1,A2を介してラインLP,LTに接続され、これらのインタフェースは、2つのラインLP,LTに直列に接続されている。インタフェースA1,A2は、それぞれのモジュールM1,M2に直接組み込まれ、シリンダVを受け入れる構造体に設置された別々の液圧要素E1,E2を形成して、各液圧要素がチャンバC1又はC2の接続部に可能な限り近接するようにし、各モジュールをそのチャンバに接続しているラインL1,L2の長さを最短まで短縮し、かつ、同様のツールのシリンダの様々な液体装置を1つの機械に別々に接続するために必要となるラインLP,LTの数を最小に抑制するようにする。したがって、要素E1,E2は、液圧装置のオフセットの部分を構成し、信号ΣSを送信する電気線を介して中央ユニットUCに接続されている。
【0050】
モジュールM1,M2は、ラインL1,L2を加圧した場合に開く安全弁3で補完される。
【0051】
図2は、液圧装置100aの一変形例を示しており、シリンダVの奥のチャンバC1に連結されているモジュールM1には、主滑り弁1との間で逆流を防止する機能(区画41)と通過させる機能(区画42)とを合わせた補助滑り弁4が補足されている。滑り弁4は、ユニットUCからの電気信号ΣSで制御される。
【0052】
このモジュールM1の変形例は、シリンダVの所望の動作に応じてモジュールM2にも想定することができるものである。
【0053】
図2Aは、対称に表した同等の2つのモジュールM1,M2で構成された装置の一変形例100bを示しており、説明はモジュールM1のみに限定する。
【0054】
図2Aによれば、モジュールM1は、パイロットチャンバ11が滑り弁1を
図2Aに示した休止位置から移動させて制御する比例式の方向制御主滑り弁1を有し、モジュールM1は、チャンバC1のラインL1、ポンプラインLP及びタンクラインLTに接続されている。
【0055】
制御滑り弁2によって供給される圧媒液に制御されるパイロットチャンバ11は、主滑り弁1を移動させて供給区画113を導管LPと導管L1の間に配置し、チャンバClに圧媒液を供給する。逆の動作では、区画111は、ラインL1をチャンバC1からの流出流QoutのタンクラインLTに接続する。
【0056】
2つの区画111及び区画113は、滑り弁1を介する通信を遮断する中間区画112により分離されている。
【0057】
主滑り弁1と合体しているパイロットチャンバ11は、制御滑り弁2によって制御され、この制御滑り弁は、制御ユニットUCから制御信号ΣSを受信する電気制御装置21によって動作する。制御滑り弁2は、ばね22によって休止位置に戻り、この休止位置では、パイロットチャンバ11に接続されたラインは、タンクラインLTに接続されている。
【0058】
流入流量Qinを調節するために、制御滑り弁2は、制御ユニットUCから信号ΣSを受信し、ポンプラインLPに既に接続されている入口を、パイロットチャンバ11に向かう出口に接続する。したがって、制御滑り弁2は、圧媒液の比例信号をパイロットチャンバ11に印加し、パイロットチャンバは、信号ΣSに応じて絞りの断面Seを調節しながら主滑り弁1を比例的に動作させる。
【0059】
シリンダVのアクティブチャンバは、運転者により操作されるレバーによって制御される流れに対して主滑り弁が開いている区画を有する。
【0060】
液圧装置のこの変形例100bにおいては、シリンダVの奥のチャンバC1に連結されているモジュールM1は、主滑り弁1とシリンダとの間の保持滑り弁4が補足されており、保持滑り弁は、区画41の逆流防止機能と区画42の通過機能とを併せ持っている。滑り弁4は、主滑り弁1とは独立して中央ユニットUCからの信号ΣA1,ΣA2によって直接制御される。保持滑り弁は、チャンバC1の出口の流れを遮断したり通過を解放したりする弁として非比例式に動作する。
【0061】
したがって、保持滑り弁は、チャンバC1の流出流を主滑り弁1の上流で密閉して遮断する。
【0062】
モジュールM1の保持滑り弁4の動作は、モジュールM1に関して前述したものと同様である。
【0063】
両モジュールの各滑り弁4は、中央ユニットUCからの電気信号ΣAl,ΣA2によって制御される。
【0064】
図3は、液圧装置100aの他の変形例100cを示しており、
図2の装置に、モジュールM1の出口とシリンダVとの間でラインL1に接続された緩衝器5が補足されている。
【0065】
この緩衝器5は、例えば、負荷が動いている間、又は、負荷を抱えている機械が動いている間にチャンバC1内の圧力が変動している場合に、要求に応じて、又は、シリンダの動作モードに応じて自動で、中央ユニットUCによって電気制御される供給滑り弁52を介してラインL1に接続された拡張セル51で構成される。圧力の変動は、圧力センサ6で検知することができ、圧力センサは、チャンバC1の入口でラインL1に設置され、信号を中央ユニットUCに送信する。
【0066】
図4は、シリンダVの液圧要素E1,E2をポンプP及びタンクTのラインLP及びラインLTに接続している図である。
【0067】
要素E1,E2は、各々がモジュールM1,M2とインタフェースAl,A2とで構成される。
【0068】
図示していない機械は、例えば
図6に示したアームのようなバケットを有する関節アームを備えており、ラインLP,LTは、複数の液圧装置100に直列に接続されているため、
図4の装置l00iの表記は、英数字の符号に添字i(i=l,2,3)を付して一般化した符号で表記されている。
【0069】
符号は、以下に説明する
図5を読み取りやすいように、モジュールとインタフェースとの接続点に付した。
【0070】
図4の図解によれば、モジュールMi1は、以下の3つの接続点
-チャンバC1に接続されたラインLi1との接続点MVi1、
-インタフェースAi1の出口APi1との接続点MPi1、
-インタフェースAi1の入口ATi1との接続点MTi1
を有する。
【0071】
インタフェースAi1は、ポンプ又は上流のインタフェースAi-1,2から来るラインLP(LPi1)に入口EPi1を介して接続され、出口STi1を介して中間ラインSgPiに接続される。
【0072】
インタフェースAi1は、タンクT又は上流のインタフェースAi-1,2へ行くラインLTiに出口STi1を介して接続され、入口ETi1は、中間ラインSgTiに接続される。
【0073】
同様に、モジュールMi2は、以下の3つの接続点
-チャンバC2に接続されたラインLi2との接続点MVi2、
-インタフェースAi2の出口APi2との接続点MPi2、
-インタフェースAi2の入口ATi2との接続点MTi2
を有する。
【0074】
インタフェースAi2は、上流のインタフェースAi-1から来るラインLP(SgPi)に入口EPi2を介して接続され、出口SPi2を介してラインLPi+1に接続される。インタフェースAi2は、インタフェースAi,51を通過してタンクTに行くラインLT(SgTi)に接続されるか、入口ETi2を介して下流のインタフェースAi+1,1(図示せず)から来るラインLTi+1に接続される。
【0075】
図5のシリンダViに連結された液圧装置100iの概略分解図は、液圧接続図と要素E1,E2の分解図とを合わせたものである。実際には、インタフェースAi1,Ai2は、モジュールMi1、Mi2のそれぞれのブロックに連結されている。一実施形態によれば、モジュールM1,M2は、接続点(MPi1,MTi1)又は接続点(MPi2,MTi2)を形成するオリフィスが開いている平面を含む平行六面体形状のケースを有し、インタフェースは、モジュールM1,M2の接続点の位置に相当する位置に、(
図5においては見えていない)上面に接続点(APi1,ATi1)及び接続点(APi2,ATi2)を形成する2つのオリフィスがあるケース内に2つの平行なチャネルを連装して形成される。
【0076】
したがって、モジュール(M1,M2)及びそのインタフェース(Al,A2)は、接続点同士を通信させるために、その面を介して直接連結される。モジュールとそのインタフェースとは、例えば、ねじ締めによって組み立てられて1つの要素(E1,E2)になる。
【0077】
インタフェースA1,A2等は、様々な流量で動作する様々なシリンダに適合したモジュールM1,M2等を受け入れるように標準化することができ、それによって液圧装置の製造及び設置が簡易になる。
【0078】
モジュールは、ケースの形態である緩衝器5などの特定の構成要素を受け入れることもでき、この構成要素は、単純にモジュールMi1に固定されて、モジュールM1内でラインL1と通信するオリフィスに接続される。
【0079】
実際、インタフェースのチャネルの変位により、その組立て位置において2つのチャネルLP,LTを区別することが可能になり、それによって、シリンダの接続部の可能な限り近傍にオフセットを設置し得るように設置場所を最小に抑制しながら、ラインLP,LTを構成している導管を接続しやすくなる。
【0080】
ラインLP,LTは、インタフェースAi1,Ai2によって中断され、要素E1,E2のインタフェース間のラインSgPi,SgTiの区画、及び、上流インタフェースAi-1,2を含むラインLPi-1,LTi-1又は下流インタフェースAi+1,1を含むラインLPi+1,LTi+1に代えられる。ただし、ポンプP及びタンクT(この2つの要素は互いにつながっている)から最初のインタフェース、液圧要素の後のラインの終点を除く。
【0081】
モジュールとそのインタフェースとの間の液圧接続は、液圧要素E1,E2のこの2つの構成要素を単純に連結することによって行われ、モジュールMi1のオリフィスMPi1,MTi1がインタフェースAi1の面のオリフィスAPi1,ATi1に当接するようになっている。同様のことがモジュールMi2とそのインタフェースAi2との接合にも当てはまる。モジュールMi1の出口MVi1は、このモジュールの導管で表された導管Li1を、シリンダViに接続し、同様に、モジュールMi2の出口MVi2は、導管Li2を介してシリンダViのもう一方のチャンバCi2に接続される。
【0082】
図6は、液圧装置100-1,1002,100-3が連結されている3つのシリンダV1,V2,V3の接続例を示しており、液圧装置の連結していない要素E1,E2は、場合によっては例えばシリンダV2、V3の要素として現れる。ラインLP,LTは、要素を互いに直列に接続する区画で構成される。
【0083】
要約すると、本発明は、ピストン(VP)により分離された2つのチャンバC1,C2を有するシリンダVに接続されている液圧装置100であって、チャンバC1,C2の一方C2を貫通するロッドVTが、負荷を受ける設備Oに接続され、装置は、シリンダVを用いて設備Oを運転するためにオペレータにより操作されるレバーMnに接続された制御ユニットUCと、ポンプラインLPを介してシリンダのチャンバC1,C2に供給するポンプPと、タンクラインLTを介してシリンダVから戻る圧媒液を受け入れるタンクTとを有し、装置は、独立したオフセットの2つの電気液圧モジュールM1,M2であって、チャンバラインL1,L2を介して対応するチャンバC1,C2に連結され、ポンプラインLP及びタンクラインLTに接続され、各電気液圧モジュールが、チャンバL1,L2の導管をポンプラインLP及び戻りラインLTに接続する比例式の液圧主滑り弁1と、主滑り弁1を液圧接続によって動作させるパイロットチャンバ11と、ポンプラインLPをパイロットチャンバ11に接続し、制御ユニットUCからの制御信号ΣSを受信する、比例式の電気液圧制御滑り弁2と、を有する電気液圧モジュールをさらに備え、装置のモジュールM1,M2は、各々がインタフェースAl,A2を介してポンプラインLP及びタンクラインLTに接続されることを特徴とする、液圧装置を目的とする。
【0084】
一特徴によれば、インタフェースA1,A2は、2つの入口接続点EPi1、EPi2及び2つの出口接続点STi1、STi2を介して、並びに、供給接続部Api1、Api2と、対応するモジュールM1,M2の入口接続点MPi1、MPi2及び出口接続点MTi1、MTi2への戻り接続部Ati1、Ati2とを介して、ラインLP,LTに接続される。
【0085】
一特徴によれば、2つのモジュールM1,M2の入口接続点MP1,MP2及び出口点MTi1,MTi2は、モジュールM1,M2の一方の面の、インタフェースA1,A2の出口接続点AP1,AP2又はAT1,AT2の対応する位置に、インタフェースA1,A2の組立て面に設けられて、M1とA1、M2とA2が対向するように連結され、かつ、2つのオフセットのアセンブリE1及びアセンブリE2を成し、各々がシリンダVのチャンバC1,C2への接続部の近傍に設置されるようになっている。
【0086】
一特徴によれば、制御ユニットUCは、レバーMnに接続されて、パラメータとしてのシリンダVの出口の設定背圧Pcp、タンクの設定圧力PT、シリンダVの流入流量Qinに応じて、シリンダVの流出流Qoutを受け入れるモジュールM1,M2の出口断面Secを制御する電気信号ΣSを生成する。
【0087】
一特徴によれば、流出流Qoutが通過する絞りの設定断面Secは、簡略化されたベルヌーイの式
【数3】
ΔP=Pcp-PT
によって求められ、式中、
Kは、導管(断面係数Cd)及び液体の密度(ρ)によって変化する係数である。
K=cd√p
【0088】
一特徴によれば、設定圧力PcPは、所定の固定値、レバーMnの操作に応じた可変値、及び、圧力センサの測定値から得た値から選択される。
【0089】
特に有利には、本発明は、ピストンVPにより分離された2つのチャンバC1,C2を有するシリンダVに接続されている液圧装置100であって、チャンバC1,C2の一方C2を貫通するロッドVTが、負荷を受ける設備Oに接続される、液圧装置を目的とする。この装置は、シリンダVを用いて設備Oを運転するためにオペレータにより操作されるレバーMnに接続された制御ユニットUCと、ポンプラインLPを介してシリンダのチャンバC1,C2に供給するポンプPと、タンクラインLTを介してシリンダVから戻る圧媒液を受け入れるタンクTとを有し、装置は、独立した2つのオフセットの電気液圧モジュールM1,M2であって、チャンバラインL1,L2を介して対応するチャンバC1,C2に連結され、ポンプラインLP及びタンクラインLTに接続され、各電気液圧モジュールが、チャンバL1,L2の導管をポンプラインLP及び戻りラインLTに接続する比例式の液圧主滑り弁1と、主滑り弁1を液圧接続によって動作させるパイロットチャンバ11と、ポンプラインLPをパイロットチャンバ11に接続し、制御ユニットUCからの制御信号ΣSを受信する、比例式の電気液圧制御滑り弁2と、を有する電気液圧モジュールをさらに備え、モジュールM1,M2の少なくとも一方は、チャンバC1,C2と主滑り弁1との間のチャンバラインL1,L2に保持滑り弁4を有し、保持滑り弁4は、対応するチャンバから流出して逆方向に通過する流れを遮断する区画41、及び、通過区画42を有する保持弁として機能し、この保持滑り弁4は、このモジュールM1,M2の主滑り弁1の制御とは独立して中央ユニットUCによって直接制御される電気液圧アクチュエータ43を有することを特徴とする、液圧装置を目的とする。
【0090】
この装置の場合、2つのモジュールM1,M2は、それぞれ保持滑り弁4を備えている。
【符号の説明】
【0091】
100 液圧装置
1 主滑り弁
11 パイロットチャンバ
111 戻り区画
112 中間区画
113 供給区画
114 停止区画
12 ばね
2 制御滑り弁
21 電気機械式操縦装置
22 戻りばね
3 過圧弁
4 補助滑り弁
41 逆流防止機能区画
42 通過機能区画
43 電気液圧アクチュエータ
5 緩衝器
51 拡張セル
52 動作滑り弁
6 圧力センサ
7 逆流防止弁
C1,C2 シリンダのチャンバ
VP ピストン
VT ピストンロッド
O 負荷のかかった設備
UC 制御ユニット
Mn レバー
Sm レバーの信号
P ポンプ
LP ポンプライン
T タンク
LT タンクライン
UA 電気液圧ユニット
M1,M2 電気液圧モジュール
L1,L2 チャンバライン
S1,S2 チャンバの断面
Sec 設定出口断面
ΣS 制御電気信号
Qin 流入流(量)
Qout 流出流(量)
Vi シリンダ
Cil チャンバ1
Li1 チャンバCi1とモジュールMI1との接続部
Mi1 チャンバCi1との接続断面を制御するモジュール
MVi1 モジュールMi1のシリンダの入口
MPi1 モジュールMi1のポンプの入口
MTi1 モジュールMi1のタンクの出口
Ai1 モジュールMi1のインタフェース
APi1 ポンプとモジュールMi1の接続部
ATi1 タンクとモジュールMi1の接続部
EPi1 ポンプのインタフェースの入口
ETi1 タンクのインタフェースの入口
SPi1 ポンプのインタフェース出口
STi1 タンクのインタフェース出口
SgPi1 2つのインタフェースAi1,Ai2の間のポンプライン区画
SgTi 2つのタンクAi1,Ai2の間のポンプライン区画
LPi Viの上流のポンプライン
LTi Viの上流のタンクライン
LPi+1 Viの下流のポンプライン
LTi+1 Viの下流のタンクライン
Ai1 モジュールMi1のインタフェース
【外国語明細書】