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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178946
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】プレート式熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/08 20060101AFI20241218BHJP
   F28F 3/00 20060101ALI20241218BHJP
   F28D 9/00 20060101ALI20241218BHJP
   F28F 21/08 20060101ALI20241218BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
F28F3/08 311
F28F3/00 311
F28D9/00
F28F21/08 A
F25B1/00 396D
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024096290
(22)【出願日】2024-06-13
(31)【優先権主張番号】10 2023 115 332.3
(32)【優先日】2023-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2024 109 696.9
(32)【優先日】2024-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス エメリッヒン
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス ギルムシャイト
(72)【発明者】
【氏名】トーレン ネルティング
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA11
3L103BB37
(57)【要約】
【課題】高い作動圧力に耐えるコンパクトで安定したプレート式熱交換器を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の冷媒回路用のプレート式熱交換器は、チャネル形成用用切り込みを有するチャネルプレートを有し、そのうちの少なくとも2つのチャネルプレートが、それぞれの場合、チャネルプレートスタックに配置され、少なくとも1つのチャネルを形成し、第1の流体用の第1のチャネルプレートスタックと第2の流体用の第2のチャネルプレートスタックが、2つのカバープレートは、対向するチャネルを分離するためにその間に配置された分離プレートを有し、そのカバープレートの少なくとも1つは、第1の流体および/または第2の流体用の流体接続部を有し、各場合において少なくとも1つのチャネルプレートのチャネル形成用切り欠きは、チャネルに対して横方向に配向された少なくとも1つの安定ブリッジを有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒回路用のプレート式熱交換器(7)、車両の冷媒回路用のプレート式熱交換器(7)であって、チャネル形成用用切り込み(3)を有するチャネルプレート(1.1、1.2、2.1、2.2)を有し、そのうちの少なくとも2つのチャネルプレート(1.1、1.2、2.1、2.2)が、それぞれの場合、チャネルプレートスタック(1、2)に配置され、少なくとも1つのチャネル(3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7)を形成し、第1の流体用の第1のチャネルプレートスタック(1)と第2の流体用の第2のチャネルプレートスタック(2)が、2つのカバープレート(9.1、9.2)は、対向するチャネル(3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7)を分離するためにその間に配置された分離プレート(8)を有し、そのカバープレート(9.1、9.2)の少なくとも1つは、第1の流体および/または第2の流体用の流体接続部を有し、各場合において少なくとも1つのチャネルプレート(1.1、2、2、2.1、2.2)のチャネル形成用切り欠き(3)は、チャネル(3.1、3.2、3.3、4、3.5、3.6、3.7)に対して横方向に配向された少なくとも1つの安定ブリッジ(5)を有することを特徴とするプレート式熱交換器(7)。
【請求項2】
前記チャネルプレート(1.1、1.2、2.1、2.2)がアルミニウムから形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプレート式熱交換器(7)。
【請求項3】
前記分離プレート(8)及び/又はカバープレート(9.1、9.2)が、第1及び第2のチャネルプレートスタック(1、2)のチャネルプレート(1.1、1.2、2.1、2.2)よりも大きな材料厚さを有することを特徴とする請求項1又は2の1つに記載のプレート式熱交換器(7)。
【請求項4】
前記第1および第2のチャネルプレートスタック(1、2)がそれぞれ、積層された複数のチャネルプレート(1.1、1.2、2.1、2.2)で形成され、各各の第2のチャネルプレート(1.2、2.2)が、チャネル(3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7)に対して横方向に配向された少なくとも1つの安定化ブリッジ(5)を有することを特徴とする請求項1から3の1つに記載のプレート式熱交換器(7)。
【請求項5】
前記第1のチャネルプレートスタック(1)および第2のチャネルプレートスタック(2)の各各のチャネルプレート(1.1、1.2、2.1、2.2)が、少なくとも1つのチャネル(3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7)に対して横向きに配向された安定化ブリッジ(5)を有し、互いに積層されたチャネルプレート(1.1、1.2、2.1、2.2)の安定化ブリッジ(5)は、少なくとも1つのチャネル(3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7)のコースに沿ってオフセットされていることを特徴とする請求項1から4の1つに記載のプレート式熱交換器(7)。
【請求項6】
前記チャネルプレート(1.1、1.2、2.1、2.2)のチャネル形成用切り込み(3)の少なくとも1つの安定化ブリッジ(5)が形成されるチャネル(3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7)の幅に少なくとも対応する幅を有することを特徴とする請求項1から5の1つに記載のプレート式熱交換器(7)。
【請求項7】
前記チャネルプレート(1.1、1.2、2.1、2.2)がそれぞれ複数のチャネル形成用切り込み(3)を有し、前記チャネルプレート(1.1、1.2、2.1、2.2)がそれぞれ複数の個別チャネル(3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7)を有し、各個別チャネル(3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7)は、個別チャネル(3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7)に対して横方向に向けられた少なくとも1つの安定化ブリッジ(5)を有することを特徴とする請求項1から6の1つに記載のプレート式熱交換器(7)。
【請求項8】
前記チャネル構造の個々のチャネル(3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7)は、平行に間隔を置いて配置されていることを特徴とする請求項7に記載のプレート式熱交換器(7)。
【請求項9】
前記複数のチャネル形成用切欠き(3)がリング状に同心状に配置され、隣接するリング状のチャネル形成用切欠き(3)の安定化ブリッジ(5)が放射状にオフセットされていることを特徴とする請求項7または8の1つに記載のプレート式熱交換器(7)。
【請求項10】
前記リング状のチャネル形成用切欠き(3)の幅が外側から内側に向かって小さくなっていることを特徴とする請求項9に記載のプレート式熱交換器(7)。
【請求項11】
前記チャネルプレート(1.1、1.2、2.1、2.2)、前記分離プレート(8)及び前記カバープレート(9.1、9.2)がそれぞれ、ねじ又はボルト用の複数のブッシュ(13)を有することを特徴とする請求項1から10の1つに記載のプレート式熱交換器(7)。
【請求項12】
前記チャネル形成用切り込み(3)は、少なくとも部分的に蛇行したコースを有する少なくとも1つのチャネル(3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7)を形成する形状を有することを特徴とする請求項1から11の1つに記載のプレート式熱交換器(7)。
【請求項13】
前記カバープレート(9.1、9.2)、前記第1および第2のチャネルプレートスタック(1、2)、ならびにその間に配置された分離プレート(8)が、実質的に円形の基本形状を有することを特徴とする請求項1から12の1つに記載のプレート式熱交換器(7)。
【請求項14】
第1の貫通孔(4.1)が、第1の流体のための流体入口としてカバープレート(9.2)に形成され、さらに第1の貫通孔(4.2)が、第1の流体のための流体出口としてカバープレート(9.1)に形成されていることを特徴とする請求項1から13の1つに記載のプレート式熱交換器(7)。
【請求項15】
前記チャネルプレート(1.1、1.2、2.1、2.2)のチャネル形成用切り込み(3)が、打ち抜き加工によって形成されていることを特徴とする請求項1から14の1つに記載のプレート式熱交換器(7)。
【請求項16】
前記第1のチャネルプレートスタック(1)と、そこから流体的に分離された第2のチャネルプレートスタック(2)とが、直列または並列に流体的に接続されていることを特徴とする請求項1から15の1つに記載のプレート式熱交換器(7)。
【請求項17】
冷媒回路における冷媒R744を用いることを特徴とする請求項1から16の1つに記載のプレート式熱交換器(7)の使用方法。
【請求項18】
冷媒圧縮機、車両の冷媒圧縮機における統合ガス冷却器として用いることを特徴とする請求項1から16の1つに記載のプレート式熱交換器(7)の使用方法。
【請求項19】
前記プレート式熱交換器(7)は、圧縮段の下流に配置され、冷媒圧縮機にねじ止めされていることを特徴とする請求項18に記載のプレート式熱交換器(7)の使用方法。
【請求項20】
前記プレート式熱交換器(7)がマフラーとして使用されることを特徴とする請求項17から19の1つに記載のプレート式熱交換器(7)の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの流体間、特に冷却剤と冷媒との間で熱を伝達するためのプレート式熱交換器に関する。プレート式熱交換器は、冷媒回路、特に車両の冷媒回路に使用するために提供される。さらに、本発明は、プレート式熱交換器を冷媒圧縮機の統合ガス冷却器として使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
プレート式熱交換器は、様々な技術分野で熱交換に使用されている。プレート式熱交換器は、冷媒回路を持つ空調システム、特に車両用空調システムにおいて、比較的小さなスペースで済むことから重要な役割を果たしている。プレート式熱交換器は、そのコンパクトな設計により、プレート式熱交換器内を物質的に分離して流れる2つの流体間の効率的な熱伝達を可能にする。流体のチャネルが形成される個々のプレートは、異なる材料で構成することができる。個々のプレートの接続とシーリングは、例えば溶接、ろう付け、接着剤による接着などの接合方法によって行われる。プレートおよび接続材料の選択は、使用される流体、温度範囲、使用圧力、および空調システム内の主な材料に依存する。プレート式熱交換器の材料を使用する場合、長寿命を確保するために、空調システムの流体回路の主材料と使用するろう材に関して、腐食が重要な接続は避けるべきである。
【0003】
深絞り加工またはプレス加工されたアルミニウムまたは鋼板からなるプレート式熱交換器が知られており、個々のプレートの材料厚は0.6mm未満である。チャネルプレートの板厚が小さいと、チャネルのチャネル構造をプレス加工で簡単に形成できるので有利である。しかし、材料厚さが小さすぎると内圧抵抗が低くなるため、プレート厚さが小さいプレート式熱交換器の運転は、特定の冷媒にのみ適している。このようなプレート式熱交換器の安定性および耐外圧性は、外力の影響によっても制限される。なぜなら、プレス加工または深絞り加工されたチャネルは、より強い負荷がかかると圧縮され、チャネルを通る体積流量が確保されなくなるからである。そのため、例えばコンプレッサーへのねじ止めによる固定は、制限されるか、あるいは追加的な安定化プレートによってのみ確保される。
【0004】
今後、冷媒R744が従来の冷媒に取って代わることが予想されるため、それに対応した自動車分野向けの耐圧プレート式熱交換器の需要が増加すると考えられる。そのため、軽量化の利点と耐圧性向上の利点を兼ね備え、自動車の冷媒回路に組み込むことができるプレート式熱交換器が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-63870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、軽量で高い作動圧力に耐えるコンパクトで安定したプレート式熱交換器を提案することを目的とする。このプレート式熱交換器は、特に冷媒R744を使用し、車両用空調システムに組み込むために設計される。さらに、このプレート式熱交換器は、冷媒コンプレッサーの1体型ガス冷却器としても使用可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有するプレート式熱交換器によって達成される。開発内容は従属請求項に明記されている。
【0008】
本発明の第1の態様は、プレート式熱交換器に関し、このプレート式熱交換器は、チャネルを形成する切り込みを有するチャネルプレートを有し、そのうちの少なくとも2つのチャネルプレートは、それぞれの場合、チャネルプレートスタックに配置され、少なくとも1つのチャネルを形成する。これらのチャネルプレートスタックは、第1流体用の第1チャネルプレートスタックと、第2流体用の第2チャネルプレートスタックに分けられる。第1の流体用の第1のチャネルプレートスタックと第2の流体用の第2のチャネルプレートスタックは、対向するチャネルを分離するためにその間に配置された分離プレートを有する2つのカバープレートの間に交互に積層される。カバープレートの少なくとも1つは、第1の流体および/または第2の流体用の流体接続部を有する。本発明によれば、第1および第2のチャネルプレートスタックの少なくとも1つのチャネルプレートのそれぞれの場合のチャネル形成用切り込みは、チャネルに対して横方向に配向された少なくとも1つの安定化ブリッジを有する。
【0009】
本発明によるプレート式熱交換器では、第1のチャネルプレートスタックと第2のチャネルプレートスタックが、2枚のカバープレートの間に分離プレートを挟んで、互いに流体的に分離された状態で交互に積層されている。各チャネル板スタックは少なくとも1つのチャネルを有し、このチャネルは分離板または2つのカバー板のうちの1つによって覆われている。さらに、第1および第2のチャネルプレートスタックの各々は、第1および第2の貫通孔を有する。第2チャネルプレートスタックの第1の貫通穴は、第1チャネルプレートスタックの第1の貫通穴と対応し、したがって第1チャネルプレートスタックのチャネルと対応し、その結果、第1チャネルプレートスタックは互いに接続される。このようにして、第1の貫通孔は、第1の流体が第1のチャネルプレートスタックの平面に通過できるように、第1の流体のための分配チャネルまたは収集チャネルを形成する。
【0010】
第1のチャネル板スタックの第2の貫通孔は、第2のチャネル板スタックの第2の貫通孔と対応し、従って、第2のチャネル板スタックが互いに流体的に接続されるように、第2のチャネル板スタックのチャネルを接続する。このようにして、第2の貫通穴は、第2の流体が第2のチャネルプレートスタックの平面に通過できるように、第2の流体の分配チャネルまたは収集チャネルを形成する。このようにして、第1のチャネルプレートスタックは、第1の流体のための第1のチャネルを形成し、第2のチャネルプレートスタックは、第2の流体のための、第1のチャネルとは別の第2のチャネルを形成する。いずれの場合も、流体入口としての少なくとも1つの流体接続部と、流体出口としてのさらなる流体接続部が、各チャネルに設けられている。流体接続部は、ねじ山を有するか、ろう付けまたは溶接によって取り付けることができる。
【0011】
本発明によれば、チャネルプレートの積み重ねは、互いに積み重ねられた少なくとも2つのチャネルプレートから形成され、それぞれが少なくとも1つのチャネルを形成するためのチャネル形成用切り欠きを有する。それぞれの場合において、少なくとも1つのチャネルプレートは、チャネル形成用切り込みのコースに沿って、チャネルに対して横方向に向けられ、チャネル形成用切り込みの対向する側面を互いに接続する少なくとも1つの安定化ブリッジを有する。
【0012】
本発明の意味において、「チャネルを形成する切り抜き」という用語は、チャネルプレートに設けられた、通常細長い、トラック状または軌道状の貫通孔を表す。互いに積み重ねられた少なくとも2つのチャネルプレートは、結果として生じるチャネルプレートの積み重ねが2つの分離プレートの間、または分離プレートとカバープレートの間に配置されるとき、第1または第2の流体の貫通流のための少なくとも1つのチャネルを形成する対応する切り込みを形成する。従って、第1のチャネルプレートスタックのチャネル形成用切り抜きから形成されるチャネルは、第2のチャネルプレートスタックの第1の貫通孔に流体連通しており、第2のチャネルプレートスタックのチャネル形成用切り抜きから形成されるチャネルは、第1のチャネルプレートスタックの第2の貫通孔に流体連通している。流体を導くために、分離プレートも同様に、それぞれ対応する貫通孔を有する。
【0013】
チャネルプレート、チャネル形成用切り抜き、第1および第2の貫通穴は、パンチング、レーザー切断、ウォータージェット切断などの製造方法を用いて形成することができる。
【0014】
本発明によれば、第1の流体およびそこから分離された第2の流体の貫流用のチャネルは、それぞれ、少なくとも2つのチャネルプレートのスタックに形成され、各場合において、チャネルプレートのスタックの少なくとも1つのチャネルプレートは、当該チャネルプレートのチャネル形成用切り込みのコースに沿って、チャネルに対して横方向に配向された少なくとも1つの安定化ブリッジを有する。この安定化ブリッジは、チャネルプレートのチャネル形成用切り込みの中断部を形成する。有利なことに、この中断部は、そこに形成されたチャネル形成用切り込みを有するチャネル板を安定させ、例えば打ち抜きによる製造を容易にする支持構造プレートとして作用する。このようにして、特にデリケートな構造を安定させることができ、これは特に材料の厚さが小さい場合に有利である。
【0015】
個々の第1および第2のチャネルプレートスタックは、それぞれ分離プレートによって分離されるか、またはカバープレートによって流体密に覆われ、分離プレートまたはカバープレートは、チャネルプレートスタックの対向する外側を覆う。その結果、チャネルプレートスタックの少なくとも1つのチャネルは、分離プレートによって、または分離プレートとカバーエレメントによって、両側が流体密に覆われる。
【0016】
チャネルプレートは、スチールまたはアルミニウムまたはアルミニウム合金から形成することができ、アルミニウムは、より低い重量のために好ましい材料である。有利なことに、アルミニウムからなる薄いチャネルプレートの使用は、必要な耐圧性を必要とすることなく、対応する寸法のセパレートプレートとカバープレートで重量を減らすのに役立つ。分離プレートおよびカバープレートも同様にアルミニウムから形成することができ、第1および第2チャネルプレートスタックのチャネルプレートよりも大きな材料厚を有する。分離プレートおよびカバープレートの材料厚を必要な耐圧性に適合させることができるため、プレート式熱交換器内で耐圧性を向上させることができる。セパレートプレートとカバープレートには、第1チャネルプレートスタックの流体接続に必要な第1の貫通穴と、第2チャネルプレートスタックの流体接続に必要な第2の貫通穴が設けられている。したがって、各第1のチャネル板スタックは、第2の流体を直接導通させるための第2の貫通孔を有し、各第2のチャネル板スタックは、第1の流体を直接導通させるための第1の貫通孔を有する。第1の貫通孔の全体は、第1の流体のための分配チャネルまたは収集チャネルを形成し、第2の貫通孔の全体は、第2の流体のための分配チャネルまたは収集チャネルを形成する。
【0017】
チャネルプレートが打ち抜かれるシートの厚さが1mmから0.6mmの範囲である場合、打ち抜きによるチャネルプレートの製造が製造上簡素化されることが判明した。従って、第1および第2チャネルプレートスタックの個々のチャネルプレートは、1mmから0.6mmの範囲の厚さを有することができる。
【0018】
各チャネルプレート相互の接続、セパレートプレートおよび/またはカバープレートとの接続は、ろう付け、溶接、接着剤による接着などの接合方法によって行うことができる。ろう付けの場合、腐食しやすい接続を避けるため、適切なろう材を使用しなければならない。
【0019】
個々のチャネルプレート、分離プレート、カバープレート、およびプレート間の接続部は、プレート式熱交換器が200バールの作動圧力に耐えられるような寸法にすることができる。
【0020】
第1および第2のチャネルプレートスタックの少なくとも1つのチャネルのチャネルの高さは、チャネルプレートの数とチャネルプレートの材料厚さによって定義される。チャネルの高さは、2枚のセパレートプレート、またはセパレートプレートとカバープレートによって制限される。チャネルの高さは、チャネルプレートスタックのチャネルプレートの1つのチャネル形成用切り込みが安定化ブリッジを有する位置にのみ影響される。少なくとも1つのチャネルに沿って存在する安定化ブリッジは、形成されたチャネルのチャネル断面を局所的に減少させ、その結果、流速と乱流が有利に増加し、その結果、熱伝達が改善される。複数の平行な個々のチャネルがある場合、熱伝達を確実に改善するために、流れる流体の分布は、安定化ブリッジの数および個々の安定化ブリッジの長さによって有利に影響を受けることができる。
【0021】
プレート式熱交換器の好ましい実施形態によれば、第1および第2のチャネルプレートスタックがそれぞれ複数の積層チャネルプレートから形成され、各第2のチャネルプレートがチャネルに対して横方向に向けられた少なくとも1つの安定化ブリッジを有するように設けることができる。この場合、安定化ブリッジを有するチャネルプレートと、チャネル形成用用切り込みに安定化ブリッジを有しないチャネルプレートを交互に配置することができる。安定化ブリッジを有するチャネルプレートAと安定化ブリッジを有しないチャネルプレートBは、A-B-A-Bの積層順序で配置することができる。
【0022】
プレート式熱交換器のさらなる実施形態によれば、第1のチャネルプレートスタックの各チャネルプレートおよび第2のチャネルプレートスタックの各チャネルプレートは、少なくとも1つのチャネルに対して横方向に配向された安定化ブリッジを有し、ここで、互いに積み重ねられたチャネルプレートの安定化ブリッジは、少なくとも1つのチャネルのコースに沿ってオフセットされる。言い換えれば、形成されたチャネルを通る流体の流れが妨げられないように、安定化ブリッジはオフセットされている。安定化ブリッジを有するチャネルプレートAと、安定化ブリッジがチャネル形成用切り欠きの異なる位置に形成されているチャネルプレートCとは、A-C-A-Cの積層順序で配置することができる。また、安定化ブリッジを持たないチャネルプレートBとの組み合わせ積層も可能である。A-B-C-A-B-Cのような積層順序や、さらなる組み合わせも可能である。
【0023】
本発明によれば、チャネルプレートのチャネル形成用切り込みは、少なくとも1つの安定化ブリッジによって安定化され、チャネルプレートのスタック内に長いチャネルを形成するチャネル形成用切り込みは、1つ以上の安定化ブリッジを有する。これは意味する:チャネルが長ければ長いほど、チャネル形成切抜きの安定化ブリッジの数は多くなる。従って、チャネルプレートのチャネル形成用切り出しは、複数の安定化ブリッジを有することができる。
【0024】
チャネルプレートのチャネル形成用切り込みの少なくとも1つの安定化ブリッジの寸法は、チャネル形成用切り込みによって形成されるチャネルの幅に依存することができる。したがって、少なくとも1つの安定化ブリッジは、少なくとも形成された少なくとも1つのチャネルの幅に対応する幅を有することができる。しかしながら、既に上述したように、安定化ブリッジは、当該チャネルを通る流れに影響を与えるために、チャネルの幅よりもはるかに広くすることもできる。
【0025】
チャネルプレートはそれぞれ、複数のチャネル形成用切り込みを有することができ、これらの切り込みはそれぞれ、複数の個別チャネルを有するチャネル構造を形成し、各個別チャネルは、個別チャネルに対して横方向に配向された少なくとも1つの安定化ブリッジを有する。複数の個別チャネルは、規則的または不規則的に配置することができる。好ましくは、チャネル構造体の個々のチャネルは、互いに距離をおいて隣接して平行に配置される。チャネル構造体の個々のチャネルは、共通のチャネルスタック入口から発生し、共通のチャネルスタック出口につながることができる。チャネルプレートスタックのチャネルスタック入口およびチャネルスタック出口は、分離プレートに形成された貫通孔、すなわちそれぞれの第1および第2貫通孔に対応する。
【0026】
チャネルプレートの好ましい実施形態によれば、複数のチャネル形成用切り込みが同心円状に配置されるように形成され、積み重ねられたチャネルプレートが複数の間隔をあけたリング状の個別チャネルを形成するようにすることができる。この場合、隣接するリング状のチャネル形成用切り込みの安定化ブリッジを半径方向にオフセットすることができる。安定化ブリッジの半径方向オフセット配置により、製造が単純化されることが判明している。安定化ブリッジの半径方向オフセット配置は、チャネル形成切抜きの繊細な構造の安定性にも有利である。この実施形態においても、チャネル形成用切り欠きの安定化ブリッジは、流体の貫流が確保されるように、積層されたチャネルプレートの形成されたチャネルに沿ってオフセットされている。このようにして形成されたチャネルプレートは、第1のチャネルプレートスタックおよび/または第2のチャネルプレートスタックとして配置することができる。リング状の個々のチャネルは、共通の入口および共通の出口を有することができ、共通の入口および共通の出口には、それぞれ第1の貫通孔および第2の貫通孔が形成される。
【0027】
また、この実施形態のチャネルプレートでは、リング状のチャネル形成用切り欠きの幅が外側から内側に向かって小さくなるように設けることもできる。これは、リング状の切り抜きによって形成される複数の同心円状のリングが異なる幅を有することを意味し、リング状の切り抜きの幅は、外側のリングから内側のリングに向かって減少する。そのため、チャネルプレートが積層されたときに形成されるリング状の個々のチャネルは、外側のリング状の個々のチャネルから内側のリング状の個々のチャネルに向かって減少するチャネル断面を有する。形成された個々のチャネルは、それぞれ異なる幅と断面を有する。この対策により、流れる流体の分布が改善され、熱伝達性能がさらに向上することが判明している。
【0028】
個々のチャネルプレート、分離プレートおよびカバープレートの表面接触は、プレート式熱交換器の特にコンパクトで安定した設計を可能にする。改善された安定性により、追加の安定化プレートを必要とすることなく、冷媒回路の構成部品、特に冷媒回路の冷媒コンプレッサーにねじ止めすることができる。チャネルプレート、セパレートプレート、およびカバープレートは、それぞれ、ねじまたはボルト用の複数の対応するブッシュを有することができる。これらのネジ用ブッシュまたはボルト用ブッシュは、例えば、プレート式熱交換器を冷媒圧縮機に直接ねじ込むために設けられる。ネジまたはボルト用のブッシュは、ネジ止め時に均1な力配分を達成するために、端部に配置され、できるだけ均等に配置されることが好ましい。プレート式熱交換器がコンパクトに設計されているおかげで、形成されたチャネルは、ねじ止めの際に発生し得る外力の影響下でも、漏れ防止と寸法安定性を維持する。
【0029】
チャネル形成用切り込みは、少なくとも部分的に蛇行したコースを有する少なくとも1つのチャネルを形成する形状を有することができる。この点で、互いに隣り合って走る複数の個々のチャネルが少なくとも部分的に蛇行したコースを有するチャネル構造も提供することができる。
【0030】
本発明によるプレート式熱交換器の1実施形態によれば、カバープレート、第1および第2のチャネルプレートスタック、ならびにその間に配置された分離プレートは、実質的に円形の基本形状を有することができ、第1の流体用および/または第2の流体用の流体接続部は、プレート式熱交換器の半径方向の円周上に形成される。この実施形態では、プレート式熱交換器は円筒形状を有し、第1の流体用の流体接続部は、円筒形状の円周から突出する突出部に形成される。第2の流体用の流体接続部は、カバープレートに形成することができる。第1の流体接続部は、第1のカバープレートにおける第1の流体用の流体入口として設計することができ、第2の流体接続部は、第2のカバープレートにおける第1の流体用の流体出口として設計することができる。プレート式熱交換器のこの実施形態は、特に冷媒回路の冷媒圧縮機に組み込むのに適している。
【0031】
本発明によるプレート式熱交換器は、複数のチャネルプレートスタックを通る流体の並列流または直列流の配置を可能にする。第1のチャネルプレートスタックと、そこから流体的に分離された第2のチャネルプレートスタックは、このように直列または並列に流体的に接続することができる。
【0032】
本発明により、高耐圧でコンパクトなプレート式熱交換器が提供される。打ち抜き加工に適し、チャネルプレートスタックを形成するように配置された堅牢なチャネルプレートの繊細なチャネル構造により、製造コストを低く抑えながら高い伝熱性能を得ることができる。本発明のさらなる態様は、冷媒R744を有する冷媒回路における上述のプレート式熱交換器の使用である。
【0033】
本発明のさらなる態様は、冷媒圧縮機、特に車両の冷媒圧縮機における統合ガス冷却器としてのプレート式熱交換器の使用である。プレート式熱交換器は、多段圧縮の場合に内部熱交換器の機能を担うことができる。プレート式熱交換器のこの用途によれば、プレート式熱交換器を圧縮段の下流側に配置し、プレート式熱交換器が冷媒圧縮機の冷媒出口側に位置するように冷媒圧縮機にねじ止めすることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によるプレート式熱交換器には、さらに多くの利点がある。例えば、冷媒圧縮機の冷媒出口側の脈動は、冷媒圧縮機における圧縮段の下流側のプレート式熱交換器の内部追加容積によって減衰され、その結果、車両における冷媒圧縮機の騒音放出の低減が達成される。プレート式熱交換器の内部容積による脈動減衰に加えて、安定化ブリッジを有するチャネル形成用切欠きの内部構造は、並列する個々のチャネル内の脈動が、異なるチャネル長によって破壊的に干渉し、その結果、冷媒圧縮機によって発生する脈動の減少をもたらすように形成される。この結果、冷媒圧縮機の騒音も低減される。したがって、本発明によるプレート式熱交換器は、マフラーとして追加的に使用することができる。したがって、プレート式熱交換器が冷媒回路、例えば冷媒圧縮機、具体的には車両の冷媒圧縮機の統合ガス冷却器として使用される場合、プレート式熱交換器によって騒音放出の減衰および低減が確保されるため、追加のマフラーは必要ない。従って、プレート式熱交換器は、冷媒圧縮機を有する空調システムにおいてマフラーとして使用することができる。
【0035】
本発明の実施形態のさらなる詳細、特徴および利点は、関連する図面を参照しながら、以下の例示的な実施形態の説明において見出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1a】本発明によるプレート式熱交換器のチャネルプレートの例示的な実施形態の概略図である。
図1b】本発明によるプレート式熱交換器のチャネルプレートの例示的な実施形態の概略図である、
図1c】本発明によるプレート式熱交換器のチャネルプレートの例示的な実施形態の概略図である、
図1d】本発明によるプレート式熱交換器のチャネルプレートの例示的な実施形態の概略図である、
図2a】本発明によるプレート式熱交換器の例示的な実施形態の概略図である。
図2b】本発明によるプレート式熱交換器の例示的な実施形態の概略図である。
図2c】本発明によるプレート式熱交換器の例示的な実施形態の概略図である。
図2d】本発明によるプレート式熱交換器の例示的な実施形態の概略図である。
図3a】プレート式熱交換器の1実施形態のチャネルプレートの概略図である。
図3b】プレート式熱交換器の1実施形態のチャネルプレートの概略図である。
図3c】プレート式熱交換器の1実施形態のチャネルプレートの概略図である。
図3d】プレート式熱交換器の1実施形態のチャネルプレートの概略図である。
図3e】プレート式熱交換器のチャネルプレートの代替実施形態の概略図を示す。
図4a】プレート式熱交換器のチャネルプレートスタックの概略詳細図である。
図4b】プレート式熱交換器のチャネルプレートスタックの概略詳細図である。
図4c】プレート式熱交換器のチャネルプレートスタックの概略詳細図である。
図4d】プレート式熱交換器のチャネルプレートスタックの概略詳細図である。
図4e】分離プレートの図を伴う、プレート式熱交換器の例示的な実施形態の概略詳細図を示す。
図5a】組み立てられた状態のプレート式熱交換器の1実施形態の概略図である。
図5b】組み立てられた状態のプレート式熱交換器の1実施形態の概略図である。
図6】本発明によるプレート式熱交換器の1実施形態の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図中、繰り返し現れる特徴には同じ参照符号を付している。
【0038】
図1aから図1dは、本発明によるプレート式熱交換器のチャネルプレートの例示的な実施形態の概略図である。図1aは、アルミニウムから形成され、互いに積み重ねられて第1のチャネルプレートスタック1を形成する2つのチャネルプレート1.1および1.2の透視図である。両チャネルプレート1.1および1.2は、対応するチャネル形成用切り込み3を有し、これらの切り込み3は、第1のチャネルプレートスタック1内を蛇行しながら隣接して互いに距離をおいて走る3つの個別チャネル3.1、3.2および3.3を形成する。平面において、個々のチャネル3.1、3.2、3.3は、第1の貫通孔4に対応している。2枚のチャネルプレート1.1、1.2のチャネル形成用切り欠き3はそれぞれ、個々のチャネル3.1、3.2、3.3のコースに沿って、個々のチャネル3.1、3.2、3.3に対して横方向に向いた安定化ブリッジ5を有する。3つの安定化ブリッジ5がチャネルプレート1.1のチャネル形成用切り込み3のコースに沿って形成され、2つの安定化ブリッジ5がチャネルプレート1.2のチャネル形成用切り込み3のコースに沿って形成されている。チャネルプレート1.1とチャネルプレート1.2の対応するチャネル形成用切り込み3の安定化ブリッジ5は、形成された個々のチャネル3.1、3.2、3.3のコースに沿ってオフセットされている。互いに積み重ねられたチャネルプレート1.1および1.2の安定化ブリッジ5がオフセットされているため、形成された個々のチャネル3.1、3.2および3.3を通る流体の流れが確保される。安定化ブリッジ5はそれぞれ、チャネルプレート1.1および1.2のチャネル形成用切り込み3のコースの中断部を形成する。
【0039】
チャネルプレート1.1および1.2はまた、対応する第2の貫通穴6を有し、これは図示されていない第2のチャネルプレートスタック2の流体接続のために役立つ。
【0040】
図1bは、図1aの詳細を示す。この詳細図を見ると、互いに積み重ねられたチャネルプレート1.1および1.2のチャネル形成用切り込み3を安定させる安定化ブリッジ5が、形成される個々のチャネル3.1、3.2および3.3の過程で異なる位置に配置されていることがわかる。そのため、安定化ブリッジ5は、形成された個々のチャネル3.1、3.2、3.3の途中でオフセットしている。形成された個々のチャネル3.1、3.2、3.3が安定化ブリッジ5を有する位置において、当該個々のチャネル3.1、3.2、3.3のチャネル高さは、アルミニウムから形成されたチャネルプレート1.1または1.2の厚さに等しい。図示の例では、チャネルプレートの厚さは0.8mmであり、したがって、安定化ブリッジ5がない領域のチャネル高さは1.6mmである。チャネル形成用切り抜き3が安定ブリッジ5を有する位置では、チャネル高さはそれに応じて0.8mmである。個々のチャネル3.1、3.2、3.3の幅は3mmであり、個々のチャネル3.1、3.2、3.3に対して横方向に向けられた安定化ブリッジ5も同様に3mmの幅を有する。1実施形態によれば、個々のチャネル3.1、3.2および3.3が異なる幅を有するように設けることができる。この場合、安定化ブリッジ5も個々のチャネル3.1、3.2、3.3の幅に適合させることができ、したがって隣接する個々のチャネルとは異なる幅を有する。
【0041】
図1cは、アルミニウムから形成されたチャネルプレート1.1を示し、第1のチャネルプレートスタック(図1a)のチャネルプレート1.1は、その中に形成されたチャネル形成用切り込み3、第1の貫通穴4、および第2の貫通穴6を個別に備える。3つのチャネル形成用切り込み3は、隣接して互いに等間隔で蛇行する細長い形状を有し、3つの位置で安定化ブリッジ5によって中断されている。安定化ブリッジ5のおかげで、チャネル形成用切り抜き3の繊細な構造を簡単に打ち抜くことができる。さらに、安定化ブリッジ5により、チャネル形成構造全体の安定性が向上し、その結果、チャネルプレート1.1の取り扱いが改善される。
【0042】
図1dは、アルミニウムから形成された、第1のチャネルプレートスタック(図1a)のチャネルプレート1.2を、その中に形成されたチャネル形成用切り込み3、第1の貫通孔4、および第2の貫通孔6と別々に示しており、これらは、チャネルプレート1.1に形成された第1の貫通孔4および第2の貫通孔6に対応している。第1の貫通孔4は、第1の流体のチャネルスタック入口またはチャネルスタック出口として機能する。
【0043】
図2aから図2dは、本発明によるプレート式熱交換器7の例示的な実施形態の概略図である。図2aから図2dは、それぞれ上方からの透視図である。
【0044】
図2aは、組み立て状態のプレート式熱交換器7を示しており、第1の流体用の第1のチャネルプレートスタック1と第2の流体用の第2のチャネルプレートスタック2が、対向するチャネルを分離するためにその間に配置された分離プレート8を有する2枚のカバープレート9.1および9.2の間に交互に積層されている。第1のチャネル板スタック1、第2のチャネル板スタック2、分離板8、およびカバー板9.1、9.2はアルミニウムから形成され、互いに液密にろう付けされている。上部カバープレート9.1は、第1および第2チャネルプレートスタック1、2に形成された第1の貫通穴4に対応する第1の貫通穴4を有する。カバープレート9.1はまた、2つの第2の貫通穴6を有し、これらは第1および第2チャネルプレートスタック1および2に形成された第2の貫通穴6に対応する。第1の貫通孔4は第1の流体のための流体接続として機能し、第2の貫通孔6は第2の流体のための流体接続を形成する。積層配置により、第1の貫通孔4は、第1のチャネルプレートスタック1のプレート面において第1の流体のための分配チャネルを形成し、第1の流体は、プレート式熱交換器7の斜め対向面において第1の貫通孔4によって形成された収集チャネルに至る前に、それぞれの個別のチャネル3.1、3.2、3.3に通過することができる。
【0045】
積層配置では、第1チャネルプレートスタック1は、第1流体のための第1チャネルが形成されるように、対応する第1貫通孔4によって互いに接続される。対応する第2の貫通孔6は、第2のチャネル板スタック2を互いに接続し、第1の流体のための第1のチャネルとは別の第2の流体のための第2のチャネルが形成される。第2の貫通穴6は、第2の第1のチャネルプレートスタック2のプレート面内に第2の流体のための分配チャネルを形成し(図2d参照)、第2の流体が、プレート式熱交換器7の対角線反対側の第2の貫通穴6によって形成された収集チャネルに至る前に、第2のチャネルプレートスタック2のそれぞれの個別チャネル3.1、3.2、3.3に通過できるようにする。本実施例では、プレート式熱交換器7は実質的に長方形の基本形状を有している。
【0046】
図2bは、図2aに示すプレート式熱交換器7を示し、第1のチャネルプレートスタック1の1つを見ることができるように上部カバープレート9.1が省略されている。見ることができる第1のチャネルプレートスタック1は、図1aに示されるチャネルプレートスタック1の実施形態に対応し、2つの積層されたチャネルプレート1.1および1.2から形成される(図1a~図1d参照)。省略された上部カバープレート9.1が個々のチャネル3.1、3.2、3.3の上部境界を形成するか、または個々のチャネル3.1、3.2、3.3をカバーする1方、個々のチャネル3.1、3.2、3.3の下部境界またはカバーは分離プレート8によって確保される。分離板8は、連続する第1および第2チャネル板スタック1、2を分離する。個々のチャネル3.1、3.2、3.3内の安定化ブリッジ5によって減少したチャネル高さは、有利なことに、流れる流体を局所的に加速するのに役立ち、その結果、乱流が発生し、熱伝達が促進される。並列する個々のチャネル内の流体分布は、安定化ブリッジ5の数と長さによって影響を受ける。
【0047】
図2cは、図2bに示したプレート式熱交換器7を示す。この図では、第1および第2のチャネルプレートスタック1、2を分離する分離プレート8を見ることができる。図示の図では、分離プレート8は第2のチャネルプレートスタック2を覆っている。アルミニウムで形成された分離板8は、対応する第1の貫通穴4と第2の貫通穴6を有する。
【0048】
図2dも同様に、図2aから図2cに示すプレート式熱交換器7を示しており、第2のチャネルプレートスタック2が見える。第2チャネルプレートスタック2は、同様に、互いに積み重ねられたチャネルプレート2.1および2.2から構成されている。第2のチャネルプレートスタック2のチャネル・プレート2.1および2.2は、第1のチャネルプレートスタック1のチャネル・プレート1.1および1.2に対して鏡面対称に形成されている。両チャネルプレート2.1、2.2のチャネル形成用切り込み3は、安定ブリッジ5を有し、形成された個々のチャネル3.1、3.2、3.3は、第2の貫通穴6に対応している。形成された個々のチャネル3.1、3.2、3.3は、第2の流体を流すために使用される。第2のチャネル板スタック2にも第1の貫通孔4があり、第1の流体を通すことができる。チャネルプレートスタック2は、チャネルプレート1.2とともに分離プレート8上にあり、この分離プレート8が個々のチャネル3.1、3.2、3.3の下部境界を形成する。
【0049】
図3aから図3dは、本発明によるプレート式熱交換器7の更なる実施形態のチャネルプレート1.1、1.2及び2.1、2.2の概略図であり、このチャネルプレート1.1、1.2及び2.2は、圧縮機にねじ止めするための1体型ガス冷却器として提供される。チャネルプレート1.1.図3a~図3dに示す1.1.2および2.1.2.2は、アルミニウムから形成され、それぞれ実質的に円形の形状を有し、その外周には突出部9が形成され、突出部9には、第2の流体を導通させるために、内側に向けられた第2の貫通孔6が形成されている。図3aは、第1のチャネルプレートスタック1のチャネルプレート1.1を示し、図3bは、第1のチャネルプレートスタック1のさらなるチャネルプレート1.2を示す。両チャネルプレート1.1、1.2は、対応するチャネル形成用切り込み3を有する。両チャネルプレート1.1および1.2のチャネル形成用切り込み3はそれぞれ、そのコースに沿って横方向に配向した安定化ブリッジ5を備えています。チャネルプレート1.1および1.2の対応するチャネル形成用開口部3における安定化ブリッジ5の位置は異なっており、その結果、積み重ねられたチャネルプレート1.1および1.2の安定化ブリッジ5は、個々のチャネル3.1から3.7においてオフセットしている(図4aおよび4c参照)。チャネル板1.1、1.2の中央には、中央の第1の貫通孔4.1と、半径方向に間隔をあけた複数の小さな第1の貫通孔4.2がある。第1の貫通孔4.1および4.2は、第1の流体を導くために使用される。チャネル形成用切り込み3は、蛇行した部分を有する。
【0050】
図3cは、第2のチャネルプレートスタック2(図5参照)のチャネルプレート2.1を示し、図3dは、第2のチャネルプレートスタック2のさらなるチャネルプレート2.2を示す。両チャネルプレート2.1、2.2には対応するチャネル形成用切り込み3があります。チャネル形成用切り込み3は、チャネルプレート1.1および1.2のチャネル形成用切り込み3とは幾何学的に異なる形状である。チャネルプレート2.1および2.2のチャネル形成用切り込み3は、このようにリング状に互いに間隔をあけて配置されており、各リング状のチャネル形成用切り込み3は、そのコースに沿って複数の横方向の安定化ブリッジ5を有している。安定化ブリッジ5はそれぞれ放射状に配置されている。安定化ブリッジ5のおかげで、チャネルプレート2.1および2.2のリング状のチャネル形成用切り込み3は中断され、チャネル形成用切り込み3はそれぞれ、第1の貫通孔4.1の周囲に同心状に配置された複数の円形リング部分から形成される。チャネル板2.1および2.2のチャネル形成用切り込み3における安定化ブリッジ5の位置は異なっており、その結果、積層されたチャネル板2.1および2.2の安定化ブリッジ5は、第2の流体用の個々のチャネル3.1から3.7(図4aおよび4c参照)においてオフセットされ、これにより第2の流体が流れる。チャネルプレート2.1、2.2の中央には、中央の第1の貫通孔4.1と、半径方向に間隔を置いた複数の小さな第1の貫通孔4.2がある。これらの第1の貫通孔4.1および4.2はそれぞれ、チャネルプレート2.1および2.2の第1の貫通孔4.1および4.2に対応しており、第1の流体を通すために使用される。
【0051】
図3aから図3dの個々のチャネルプレート1.1、1.2および2.1、2.2はそれぞれ、ねじまたはボルト用の14個のブッシュ13を有し、これらは、組み立てられたプレート式熱交換器7(図5aおよび図5b参照)を、ブッシュ13を通して供給されるねじまたはボルトによって冷媒圧縮機にねじ止めすることができるように、積み重ねられた状態で互いに対応している。ブッシュ13はそれぞれ、中心に形成された第1の貫通孔4.2から等しい距離に配置されている。したがって、図5a、図5bおよび図6に見られるように、分離板8およびカバー板9.1、9.2も同様に、対応するブッシュ13を有する。
【0052】
図3eは、第1のチャネルプレートスタック1または第2のチャネルプレートスタック2を形成するためのチャネルプレートの好ましい代替実施形態の概略図である。チャネルプレートのこの好ましい設計によれば、複数のチャネル形成用切り込み3が同心円状にリング状に形成されており、このチャネルプレートの実施形態の隣接するリング状のチャネル形成用切り込み3の安定化ブリッジ5は半径方向にオフセットされている。図3cおよび図3dに示すチャネルプレート2.1および2.2の実施形態とは異なり、隣接するリング形状のチャネル形成用切り込み3の安定化ブリッジ5は、半径方向に1直線上にない。この実施形態の積み重ねられたチャネルプレートのリング状チャネル形成切り抜き3における安定化ブリッジ5の位置も同様に異なっており、その結果、積み重ねられたチャネルプレートの安定化ブリッジ5が個々のチャネル内でオフセットされ、流体が流れることができる。また、図3cおよび図3dに示す実施形態とは対照的に、ブリッジ4.3によって互いに分離された2つの半月形の第1の貫通孔4.1および4.2が、チャネルプレート2.1の中央に位置している。本発明の概念によれば、これらのチャネルプレートは、その間に分離プレート8が配置された第1のチャネルプレートスタック1および第2のチャネルプレートスタック2を形成するように積み重ねることもでき、半月形の貫通孔4.1および4.2はそれぞれ、第1の貫通孔4.1は、第1の流体をプレート式熱交換器7の第1のチャネルプレートスタック1の個々のプレート面に分配するための分配チャネルを形成し、第1の貫通孔4.2は、第1の流体がプレート式熱交換器7の個々の第1のチャネルプレートスタック1から逆流するための回収チャネルを形成する。この実施形態でも同様に、ねじ止めを可能にするために、ねじまたはボルト用の14個のブッシュ13が設けられている。
【0053】
図4aから図4dは、プレート式熱交換器7のチャネルプレートスタック1および2の概略詳細図である。図4aは、交互に積層された複数の第1および第2のチャネルプレートスタック1および2を示し、これらは分離プレート8によって互いに流体的に分離されている。図4aの図は、チャネルプレート1.1(図3s)とチャネルプレート1.2(図3b)とで形成される第1のチャネルプレートスタック1を見ることができる。図4bは、チャネルプレート1.1および1.2から形成され、第1の流体のための個々のチャネル3.1から3.7が形成される第1のチャネルプレートスタック1の詳細図を示す。矢印10は、第1の貫通孔4.1および4.2間のチャネル形成貫通孔3によって形成された個々のチャネル3.1から3.7を通る第1の流体の流れの経過を示している。形成されたプレート式熱交換器のスタックは、ねじまたはボルト用の複数のブッシュ13を備えている。ブッシュ13は、以下の図においても同じ参照符号が付されている。
【0054】
図4cは、交互に積層された複数の第1および第2のチャネルプレートスタック1および2を示し、これらのチャネルプレートスタック1および2は、分離プレート8によって互いに流体的に分離されている。図4cの図は、チャネルプレート2.1(図3c)とチャネルプレート2.2(図3d)とで形成される第2のチャネルプレートスタック2の図を可能にする。図4dは、チャネルプレート2.1および2.2から形成された第2のチャネルプレートスタック2の詳細図である。矢印11は、第2の貫通孔6間のチャネル形成貫通孔3によって形成された個々のチャネル3.1から3.7を通る第2の流体の流れの経過を示している。
【0055】
図4eは、プレート式熱交換器7の例示的な実施形態の概略詳細図であり、分離プレート8を示す図であり、分離プレート8は、第1及び第2のチャネルプレートスタック1及び2の間に、各場合において第1及び第2のチャネルプレートスタック1及び2と共にスタック状に複数配置されている。分離板8は、第1の貫通孔4.1、4.2と第2の貫通孔6を有する。第1の貫通穴4.1、4.2および第2の貫通穴6は、チャネルプレートスタック1、2およびそれぞれのチャネルプレート1.1、1.2および2.1、2.2に形成された第1の貫通穴4.1、4.2および第2の貫通穴6に対応している。
【0056】
図5aおよび図5bは、個々のプレートが互いにろう付けされた、組み立て形態のプレート式熱交換器7の実施形態の概略図である。図5aは、プレート式熱交換器7のカバープレート9.1の斜視図である。チャネルプレートスタック1および2は、その間に配置された分離プレート8と交互に重ねられている。分離プレート8はそれぞれ、第1および第2チャネルスタック1、2に形成された第1貫通孔4.1、4.2および第2貫通孔6に対応する第1貫通孔4.1、4.2および第2貫通孔6(カバー付き)を有する。第1および第2チャネル板スタック1、2の積層配置は、カバープレート9.1、9.2によって区切られている。カバープレート9.1は、第1の流体の流体出口として機能する複数の第1の貫通孔4.2を有する。カバープレート9.1の突出部9に形成された第2の貫通孔6は、第2の流体用の流体接続部12.1および12.2を有する。流体接続部12.1は流体入口として機能し、流体接続部12.2は第2の流体用の流体出口として機能する。この実施形態のプレート式熱交換器7は、冷媒圧縮機の1体型流体冷却ガス冷却器としての使用に適している。対応する使用において、第1の流体は冷媒、例えばR744であり、水-グリコール混合物のような冷却剤が第2の流体として使用される。
【0057】
図5bは、カバープレート9.2を見ることができるように、図5aに示すプレート式熱交換器7の下側を示している。カバープレート9.2の中央には中央第1貫通孔4.1があり、これはチャネルプレートスタック1、2のチャネルプレート1.1、1.2、2.1、2.2に形成された中央第1貫通孔4.1に対応している。この中央の第1の貫通孔4.1は、冷媒R744とすることができる第1の流体の流体入口として機能する。
【0058】
図6は、図4及び図5で説明したプレート式熱交換器7の実施形態をより詳細に説明するための分解斜視図である。この実施形態のプレート式熱交換器7は、特に、冷媒圧縮機の内部熱交換器または1体型ガス冷却器として組み込むのに適している。この実施形態によれば、図3aによる2つのチャネルプレート1.1と図3bによる1.2が配置されて第1のチャネルプレートスタック1が形成され、図3cによる2つの更なるチャネルプレート2.1と図3dによる2.2が配置されて第2のチャネルプレートスタック2が形成される。第1のチャネルプレートスタック1と第2のチャネルプレートスタック2は、2つのカバープレート9.1と9.2の間に配置され、分離プレート8によって分離され、第1と第2のチャネルプレートスタック1、2に形成された対向するチャネルが互いに分離され、カバーされるようになっています。カバープレート9.2には、第1の流体の流体入口として設けられた中央の第1の貫通孔4.1が形成され、対向するカバープレート9.1には、第1の流体の流体出口として設けられた7つの第1の貫通孔4.2が形成されている。突出部9に挿入されろう付けされた流体接続部12.1および12.2は、第2の流体用の第2の貫通穴6に割り当てられている。
【符号の説明】
【0059】
1 第1のチャネルプレートスタック
1.1 チャネルプレート
1.2 チャネルプレート
2 第2のチャネルプレートスタック
2.1 チャネルプレート
2.2 チャネルプレート
3 チャネル形成用切り込み
3.1~3.7 チャネル/個別チャネル
4、4.1、4.2 第1の貫通孔
4.3 ブリッジ
5 スタビライジング・ブリッジ
6 第2の貫通孔
7 プレート式熱交換器
8 分離プレート
9 突出
9.1 カバープレート
9.2 カバープレート
10 矢
11 矢
12.1 流体接続
12.2 流体接続
13 ブッシング
図1a
図1b
図1c
図1d
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図5a
図5b
図6