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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178951
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20241218BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241218BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
G03G15/16 103
G03G15/00 303
G03G15/01 114
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024159651
(22)【出願日】2024-09-13
(62)【分割の表示】P 2020008790の分割
【原出願日】2020-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169155
【弁理士】
【氏名又は名称】倉橋 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075638
【弁理士】
【氏名又は名称】倉橋 暎
(72)【発明者】
【氏名】谷口 公一
(57)【要約】
【課題】生産性の低下を抑制しつつ、混載ジョブにおいて複数の種類の記録材のそれぞれに対する転写性の向上を図ることのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、制御部150が、複数の記録材Sに画像を形成して出力するジョブの実行中の、先行する記録材Sが転写部N2を通過した後かつ後続の記録材Sが転写部N2に到達するまでの期間に、内ローラ32の周方向に関する内ローラ32と外部材41との相対位置を変更する場合、外部材41がベルト31に当接している状態で上記相対位置を変更するように、位置変更機構1を制御する構成とする。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を搬送する回転可能な無端状のベルトと、
前記ベルトを張架する複数の張架ローラと、
前記ベルトを回転駆動する駆動装置と、
前記複数の張架ローラのうちの内ローラと対向して配置され、前記ベルトの外周面に当接して、前記ベルトから記録材へトナー像を転写する転写部を形成する外部材と、
前記内ローラ又は前記外部材の少なくとも一方の位置を変更して、前記内ローラの周方向に関する前記内ローラと前記外部材との相対位置を変更させて、前記転写部の位置を変更可能な位置変更機構と、
前記外部材を前記ベルトに対して離間及び当接させる離接機構と、
前記位置変更機構と前記離接機構を制御する制御部と、
を有する画像形成装置において、
前記制御部は、複数の記録材に画像を形成して出力するジョブの実行中の、先行する記録材が前記転写部を通過した後かつ後続の記録材が前記転写部に到達するまでの期間に、前記相対位置を変更する場合、前記外部材が前記ベルトに当接している状態で前記相対位置を変更するように、前記位置変更機構を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ジョブが終了する際に前記外部材を前記ベルトから離間させるように、前記離接機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記期間に前記相対位置を変更する場合、像担持体から前記ベルトにトナー像が転写される期間に前記相対位置の変更が行われないように、前記位置変更機構を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記期間に前記相対位置を変更する場合、前記相対位置の変更が完了した後に、前記後続の記録材に対するプリント動作を開始するように、画像形成動作を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記期間に前記相対位置を変更する場合、前記駆動装置が前記ベルトの駆動速度を、前記転写を行う際の第1の速度から前記第1の速度よりも小さい第2の速度に変更してから、前記相対位置を変更するように、前記位置変更機構を制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ベルトの駆動速度が前記第2の速度に到達した時以降に、前記相対位置の変更を開始するように、前記位置変更機構を制御することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記期間に前記相対位置を変更する場合、前記相対位置を変更してから、前記第2の速度から前記第1の速度への前記ベルトの駆動速度の変更を行うように、前記駆動装置を制御することを特徴とする請求項5又は6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記相対位置の変更が完了した時以降に、前記第2の速度から前記第1の速度への前記ベルトの駆動速度の変更を開始するように、前記駆動装置を制御することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記期間に前記相対位置を変更する場合、前記駆動装置が前記ベルトの駆動を停止してから、前記相対位置を変更するように、前記位置変更機構を制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記ベルトの回転が停止した時以降に、前記相対位置の変更を開始するように、前記位置変更機構を制御することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記期間に前記相対位置を変更する場合、前記相対位置を変更してから、前記ベルトの駆動を開始するように、前記駆動装置を制御することを特徴とする請求項9又は10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記相対位置の変更が完了した時以降に、前記ベルトの回転が開始するように、前記駆動装置を制御することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記外部材は、前記ベルトの外周面に直接当接する外ローラ、又は無端状の別のベルトと該別のベルトを介して前記ベルトの外周面に当接する外ローラとを有して構成され、
前記複数の張架ローラは、前記ベルトの回転方向に関して前記内ローラよりも上流において前記内ローラに隣接して配置された上流ローラを含み、
前記内ローラの回転軸線方向と略直交する断面において、前記ベルトが掛け回される側の前記内ローラと前記上流ローラとの共通の接線を基準線L1、前記内ローラの回転中心を通り前記基準線L1と略直交する直線を内ローラ中心線L2、前記外ローラの回転中心を通り前記基準線L1と略直交する直線を外ローラ中心線L3、前記内ローラ中心線L2と前記外ローラ中心線L3との間の距離をオフセット量X(ただし、前記外ローラ中心線L3が前記内ローラ中心線L2よりも前記ベルトの回転方向の上流側にあるとき正の値)としたとき、
前記位置変更機構は、前記内ローラ又は前記外ローラの少なくとも一方の位置を変更して前記オフセット量Xを変更することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記位置変更機構は、前記内ローラの位置を変更することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
記録材の搬送方向に関して前記転写部よりも上流に、前記転写部に記録材を案内するガイド部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記ベルトは、像担持体から1次転写されたトナー像を前記転写部で記録材に2次転写するために搬送する中間転写体であることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式や静電記録方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式などを用いた画像形成装置には、トナー像を担持する像担持体としての無端状のベルト(以下、単に「ベルト」ともいう。)を有するものがある。このようなベルトとしては、例えば、第1の像担持体としての感光体などから1次転写されたトナー像を紙などのシート状の記録材に2次転写するために搬送する、第2の像担持体としての中間転写ベルトがある。以下、主に、中間転写ベルトを有する中間転写方式を採用した画像形成装置を例に説明する。
【0003】
中間転写方式の画像形成装置では、画像形成部において感光体などに形成されたトナー像が、1次転写部において中間転写ベルトに1次転写される。また、中間転写ベルトに1次転写されたトナー像は、2次転写部で記録材に2次転写される。2次転写ベルトの内周面側に設けられた内部材(2次転写内部材)と、2次転写ベルトの外周面側に設けられた外部材(2次転写外部材)とによって、中間転写ベルトと外部材との接触部である、2次転写部としての2次転写ニップが形成される。内部材としては、中間転写ベルトを張架する複数の張架ローラのうちの1つである内ローラが用いられる。外部材としては、中間転写ベルトを挟んで内ローラと対向する位置に配置された外ローラが用いられることが多い。そして、例えば、外ローラにトナーの帯電極性とは逆極性の2次転写電圧が印加されることで、2次転写ニップにおいて中間転写ベルト上のトナー像が記録材上に2次転写される。一般に、記録材の搬送方向に関して2次転写ニップよりも上流には、2次転写ニップに記録材を案内する搬送ガイドが設けられている。
【0004】
ここで、2次転写ニップの形状によって、記録材の搬送方向に関して2次転写ニップの上流近傍や下流近傍での記録材の挙動が変わる。また、近年では、厚さや表面性の違いにより剛度が異なる様々な記録材への対応が求められているが、記録材の剛度によっても、記録材の搬送方向に関して2次転写ニップの上流近傍や下流近傍での記録材の挙動が変わる。例えば、記録材が、剛度の小さい記録材の一例である「薄紙」の場合に、記録材の搬送方向に関して2次転写ニップの下流近傍で中間転写ベルトと記録材とが貼り付いて、中間転写ベルトからの記録材の分離不良によりジャム(紙詰まり)が発生することがある。この現象は、記録材のコシが弱いことによって記録材が中間転写ベルトに貼り付きやすくなるため、記録材の剛度が小さい場合に顕著となる。
【0005】
一方、例えば、記録材が、剛度の大きい記録材の一例である「厚紙」の場合に、記録材の搬送方向の後端が搬送ガイドを抜けた際に、記録材の搬送方向の後端部が中間転写ベルトに衝突することがある。そして、記録材の搬送方向に関して2次転写ニップの上流近傍の中間転写ベルトの姿勢が乱れ、記録材の搬送方向の後端部に画像不良(記録材の搬送方向と略直交する方向に伸びるスジ状の画像乱れなど)が発生することがある。この現象は、記録材のコシが強いことによって記録材の搬送方向の後端部が強い勢いで中間転写ベルトに衝突しやすくなるため、記録材の剛度が大きい場合に顕著となる。
【0006】
このような課題に対して、記録材の種類に応じて中間転写ベルトの回転方向に関する2次転写ニップの幅を変更する構成が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014-134718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、中間転写ベルトからの記録材の分離性の向上、記録材の搬送方向の後端部の中間転写ベルトへの衝突による画像不良の抑制のためには、記録材の種類に応じて中間転写ベルトの回転方向に関する2次転写ニップの幅(2次転写ニップの位置)を変更することが有効である。この2次転写ニップの幅の変更は、内ローラ又は外ローラを2次転写ニップの押圧方向と交差する方向に移動させて、内ローラの周方向に関する内ローラと外ローラとの相対位置を変更させて、2次転写ニップの位置を変更することで行うことができる。
【0009】
ここで、電子写真方式などを用いた画像形成装置では、例えば製本印刷などのために、複数の種類の記録材に画像を形成するジョブ(ここでは、「混載ジョブ」と呼ぶ。)が実行されることがある。混載ジョブにおいて、剛度の異なる複数の種類の記録材のそれぞれに対して良好な転写性を得るためには、ジョブの途中で内ローラと外ローラとの相対位置を変更することが有効であると考えられる。しかし、ジョブの途中でこのような動作を行うことは、例えば紙間の延長が必要となるなど、生産性の低下につながる可能性がある。したがって、生産性の低下を抑制しつつ上記動作を行うことが重要である。例えば、内ローラ又は外ローラを移動するために、内ローラと外ローラとの押圧状態を解消する動作を行ったりすると、そのためにかかる時間が余分に生じることで、生産性を大きく低下させてしまう要因となる。
【0010】
なお、以上では中間転写ベルトから記録材へのトナー像の転写部である2次転写部を例として従来の課題について説明したが、感光体などの他のベルト状の像担持体から記録材へのトナー像の転写部に関しても同様の課題がある。
【0011】
したがって、本発明の目的は、生産性の低下を抑制しつつ、混載ジョブにおいて複数の種類の記録材のそれぞれに対する転写性の向上を図ることのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、トナー像を搬送する回転可能な無端状のベルトと、前記ベルトを張架する複数の張架ローラと、前記ベルトを回転駆動する駆動装置と、前記複数の張架ローラのうちの内ローラと対向して配置され、前記ベルトの外周面に当接して、前記ベルトから記録材へトナー像を転写する転写部を形成する外部材と、前記内ローラ又は前記外部材の少なくとも一方の位置を変更して、前記内ローラの周方向に関する前記内ローラと前記外部材との相対位置を変更させて、前記転写部の位置を変更可能な位置変更機構と、前記外部材を前記ベルトに対して離間及び当接させる離接機構と、前記位置変更機構と前記離接機構を制御する制御部と、を有する画像形成装置において、前記制御部は、複数の記録材に画像を形成して出力するジョブの実行中の、先行する記録材が前記転写部を通過した後かつ後続の記録材が前記転写部に到達するまでの期間に、前記相対位置を変更する場合、前記外部材が前記ベルトに当接している状態で前記相対位置を変更するように、前記位置変更機構を制御することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、生産性の低下を抑制しつつ、混載ジョブにおいて複数の種類の記録材のそれぞれに対する転写性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】画像形成装置の概略断面図である。
図2】寄り制御を説明するための中間転写ベルトの周辺の概略斜視図である。
図3】オフセット量を説明するための概略断面図である。
図4】オフセット機構を示す概略側面図である。
図5】オフセット機構の一部を示す概略側面図である。
図6】内ローラホルダの回動軸の配置を説明するための模式図である。
図7】離接機構を示す概略側面図である。
図8】画像形成装置の要部の制御態様を示す概略ブロック図である。
図9】ジョブの動作の手順の概略を示すフローチャート図である。
図10】ジョブの動作の手順の他の例の概略を示すフローチャート図である。
図11】他の例のオフセット機構を示す概略側面図である。
図12】外部材の他の例を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0016】
[実施例1]
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本実施例の画像形成装置100の概略断面図である。本実施例の画像形成装置100は、中間転写方式を採用したタンデム型の複合機(複写機、プリンタ、ファクシミリ装置の機能を有する。)である。画像形成装置100は、例えば、外部装置から送信された画像信号に応じて、電子写真方式を用いて紙などのシート状の記録材(転写材、シート材)Sにフルカラー画像を形成することができる。
【0017】
画像形成装置100は、複数の画像形成部(ステーション)として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像を形成する4つの画像形成部10Y、10M、10C、10Kを有する。これらの画像形成部10Y、10M、10C、10Kは、後述する中間転写ベルト31の略水平に配置される画像転写面の移動方向に沿って直列状に配置されている。各画像形成部10Y、10M、10C、10Kにおける同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、いずれかの色用の要素であることを示す符号の末尾のY、M、C、Kを省略して総括的に説明することがある。本実施例では、画像形成部10は、後述する感光ドラム11(11Y、11M、11C、11K)、帯電器12(12Y、12M、12C、12K)、露光装置13(13Y、13M、13C、13K)、現像器14(14Y、14M、14C、14K)、1次転写ローラ35(35Y、35M、35C、35K)、クリーニング装置15(15Y、15M、15C、15K)などを有して構成される。
【0018】
トナー像を担持する第1の像担持体としての、回転可能なドラム型(円筒形)の感光体(電子写真感光体)である感光ドラム11は、駆動源としてのドラム駆動モータ111(図8)から駆動力が伝達されて、図中矢印R1方向(反時計回り)に回転駆動される。回転する感光ドラム11の表面は、帯電手段としての帯電器12によって所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に一様に帯電処理される。帯電処理時に、帯電器12には、帯電電源(図示せず)により所定の帯電電圧が印加される。帯電処理された感光ドラム11の表面は、露光手段(静電像形成手段)としての露光装置13によって画像信号に応じて走査露光され、感光ドラム11上に静電像(静電潜像)が形成される。本実施例では、露光装置13は、画像信号に応じて変調されたレーザ光を感光ドラム11上に照射するレーザスキャナー装置で構成されている。感光ドラム11上に形成された静電像は、現像手段としての現像器14によって現像剤としてのトナーが供給されて現像(可視化)され、感光ドラム11上にトナー像(現像剤像)が形成される。本実施例では、一様に帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光ドラム11上の露光部(イメージ部)に、感光ドラム11の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーが付着する(反転現像)。現像器14は、現像剤を担持して感光ドラム11との対向部である現像位置に搬送する、回転可能な現像剤担持体である現像ローラを有している。現像ローラは、駆動源としての現像モータ113(図8)から駆動力が伝達されることによって回転駆動される。また、現像時に、現像ローラには、現像電源(図示せず)により所定の現像電圧が印加される。
【0019】
4つの感光ドラム11Y、11M、11C、11Kと対向するように、トナー像を担持する第2の像担持体としての、無端状のベルトで構成された回転可能な中間転写体である中間転写ベルト31が配置されている。中間転写ベルト31は、複数の張架ローラ(支持ローラ)としての駆動ローラ33、テンションローラ34、2次転写前ローラ37、及び内ローラ(2次転写対向ローラ、内部材)32に掛け回されて、所定の張力で張架されている。駆動ローラ33は、中間転写ベルト31に駆動力を伝達する。テンションローラ34は、中間転写ベルト31に所定の張力(テンション)を付与する。2次転写前ローラ37は、中間転写ベルト31の回転方向(走行方向)に関して2次転写ニップN2(後述)の上流近傍の中間転写ベルト31の面を形成する。内ローラ32は、外ローラ41(後述)の対向部材(対向電極)として機能する。中間転写ベルト31は、駆動源(駆動装置)としてのベルト駆動モータ112(図8)から駆動力が伝達されることによって駆動ローラ33が回転駆動されることで、図中矢印R2方向(時計回り)に回転(周回移動)する。本実施例では、中間転写ベルト31は、一例として、周速度が400mm/secとなるように回転駆動される。複数の支持ローラのうち駆動ローラ33以外の支持ローラは、中間転写ベルト31の回転に伴って従動して回転する。中間転写ベルト31の内周面側には、各感光ドラム11Y、11M、11C、11Kに対応して、1次転写手段としてのローラ状の1次転写部材である1次転写ローラ35Y、35M、35C、35Kが配置されている。1次転写ローラ35は、中間転写ベルト31を感光ドラム11に向けて押圧して、感光ドラム11と中間転写ベルト31との接触部である1次転写部としての1次転写ニップN1を形成する。なお、本実施例では、テンションローラ34は、ステアリングローラを兼ねている。つまり、本実施例では、テンションローラ34は、中間転写ベルト31に所定の張力を付与すると共に、傾動することで中間転写ベルト31の寄り(中間転写ベルト31の表面の移動方向と略直交する幅方向の走行位置の片寄り)を補正する。
【0020】
上述のように感光ドラム11上に形成されたトナー像は、1次転写ニップN1において、1次転写ローラ35の作用によって、回転している中間転写ベルト31上に1次転写される。1次転写時に、1次転写ローラ35には、1次転写電源(図示せず)により、トナーの正規の帯電極性(現像時のトナーの帯電極性)とは逆極性の直流電圧である1次転写電圧が印加される。例えば、フルカラー画像の形成時には、各感光ドラム11上に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が、中間転写ベルト31上の同一画像形成領域に重ね合わされるようにして順次1次転写される。本実施例では、1次転写ニップN1が、中間転写ベルト31にトナー像を形成する画像形成位置である。そして、中間転写ベルト31は、画像形成位置で担持されたトナー像を搬送する回転可能な無端状のベルトの一例である。
【0021】
中間転写ベルト31の外周面側において、内ローラ32と対向する位置には、2次転写手段としてのローラ状の2次転写部材である外ローラ(2次転写ローラ、外部材)41が配置されている。外ローラ41は、中間転写ベルト31を介して内ローラ32に向けて押圧され、中間転写ベルト31と外ローラ41との接触部である2次転写部としての2次転写ニップN2を形成する。上述のように中間転写ベルト31上に形成されたトナー像は、2次転写ニップN2において、外ローラ41の作用によって、中間転写ベルト31と外ローラ41とに挟持されて搬送されている記録材S上に2次転写される。本実施例では、2次転写時に、外ローラ41には、2次転写電源(図示せず)により、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の直流電圧である2次転写電圧が印加される。本実施例では、内ローラ32は、電気的に接地(グランドに接続)されている。なお、内ローラ32を2次転写部材として用いてこれにトナーの正規の帯電極性と同極性の2次転写電圧を印加し、外ローラ41を対向電極として用いてこれを電気的に接地してもよい。
【0022】
記録材Sは、中間転写ベルト31上のトナー像とタイミングが合わされて2次転写ニップN2へと搬送されてくる。つまり、記録材カセット61、62、63に格納された記録材Sは、給送ローラ71、72、73のいずれかが回転することで送り出される。この記録材Sは、給送搬送路81を通って、搬送手段としての搬送部材であるレジストローラ(レジストローラ対)74まで搬送され、一旦停止させられる。そして、この記録材Sは、2次転写ニップN2において中間転写ベルト31上のトナー像と記録材S上の所望の画像形成領域とが一致するようにレジストローラ74が回転駆動されることで、2次転写ニップN2に送り込まれる。記録材Sの搬送方向に関して、レジストローラ74よりも下流かつ2次転写ニップN2よりも上流には、2次転写ニップN2に記録材Sを案内する搬送ガイド83が設けられている。搬送ガイド83は、記録材Sのオモテ面(搬送ガイド83を通過した直後にトナー像が転写される面)に接触可能な第1のガイド部材83aと、記録材Sのウラ面(オモテ面とは反対側の面)に接触可能な第2のガイド部材83bと、を有して構成される。第1のガイド部材83aと第2のガイド部材83bとは対向して配置され、これら両部材の間を記録材Sが通過する。第1のガイド部材83aは、記録材Sの中間転写ベルト31に近づく方向への移動を規制する。第2のガイド部材83bは、記録材Sの中間転写ベルト31から遠ざかる方向への移動を規制する。
【0023】
トナー像が転写された記録材Sは、搬送ベルト42により定着手段としての定着装置50へと搬送される。定着装置50は、未定着のトナー像を担持した記録材Sを加熱及び加圧することでトナー像を記録材Sの表面に定着(溶融、固着)させる。その後、トナー像が定着された記録材Sは、排出搬送経路82を通って、画像形成装置100の装置本体100aの外部に設けられた排出トレイ64へと排出(出力)される。
【0024】
一方、1次転写後に感光ドラム11上に残留したトナー(1次転写残トナー)は、クリーニング手段としてのクリーニング装置15によって感光ドラム11上から除去されて回収される。また、2次転写後に中間転写ベルト31上に残留したトナー(2次転写残トナー)や記録材Sから付着した紙粉などの付着物は、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置36によって中間転写ベルト31上から除去されて回収される。
【0025】
なお、本実施例では、複数の張架ローラに張架された中間転写ベルト31、各1次転写ローラ35、ベルトクリーニング装置36、これらを支持するフレームなどを有して、ベルト搬送装置としての中間転写ベルトユニット30が構成されている。中間転写ベルトユニット30は、メンテナンス又は交換のために装置本体100aに対して着脱可能とされている。
【0026】
ここで、中間転写ベルト31としては、単層又は多層構造の樹脂系材料で構成されたものを使用することができる。また、中間転写ベルト31としては、厚さが40μm以上、ヤング率が1.0GPa以上、表面抵抗率が1.0×10~5.0×1013Ω/□であるものを好ましく用いることができる。
【0027】
また、本実施例では、内ローラ32は、金属製の芯金(基材)の外周に、弾性材料としてのゴム材料で形成された弾性層(ゴム層)が設けられて構成されている。この弾性層は、例えば、EPDMゴム(導電剤を含有していてよい。)などで形成することができる。本実施例では、内ローラ32は、その外径が20mm、弾性層の厚さが0.5mmとなるように形成されている。また、本実施例では、内ローラ32の弾性層の硬度は、例えば70°(JIS-A)に設定されている。なお、内ローラ32は、SUMあるいはSUSなどの金属材料で形成された金属ローラで構成されていてもよい。なお、2次転写前ローラ37は、内ローラ32と同様の構成とすることができる。
【0028】
また、本実施例では、外ローラ41は、金属製の芯金(基材)の外周に、導電性の弾性材料としての導電性のゴム材料で形成された導電性の弾性層(ソリッドゴム層あるいはスポンジ層(発泡弾性体層)であってよい。)が設けられて構成されている。この弾性層は、例えば、金属錯体、カーボンなどの導電剤を含有したNBRゴムやEPDMゴムなどで形成することができる。本実施例では、外ローラ41は、芯金の外径が12mm、弾性層の厚さが6mmとされ、外ローラ41の外径が24mmとなるように形成されている。また、本実施例では、外ローラ41の弾性層の硬度は、例えば28°(アスカーC)に設定されている。また、本実施例では、外ローラ41は、付勢手段としての付勢部材(弾性部材)である押圧ばね44(図4)によって、中間転写ベルト31を挟んで内ローラ32に対して所定の圧力で当接するように付勢されている。
【0029】
なお、本実施例では、内ローラ32を含む中間転写ベルト31の張架ローラ、外ローラ41のそれぞれの回転軸線方向は互いに略平行である。内ローラ32、外ローラ41の支持構成については後述して更に説明する。
【0030】
2.中間転写ベルトの寄り制御
中間転写ベルト31は、張架ローラの位置(アライメント)や加圧力のアンバランスなどによって寄りが発生する。中間転写ベルト31の寄りは、複数の張架ローラのうち少なくとも1つをステアリングローラとし、その回転軸線を他の支持ローラの回転軸線に対して傾斜させるように傾動させて中間転写ベルトの走行方向を変えることで制御することができる。
【0031】
本実施例では、画像形成装置100は、中間転写ベルト31の寄りを制御する寄り制御手段としてのステアリング機構を有している。本実施例では、ステアリング機構は、中間転写ベルト31の幅方向の端部に設けられたセンサの信号を用い、該センサの検出値が略一定となるようにテンションローラ(兼ステアリングローラ)34のアライメントを変化させて寄りの制御を行う。以下更に詳しく説明する。
【0032】
図2は、本実施例におけるステアリング機構90を説明するための概略斜視図である。上述のように、本実施例では、テンションローラ34がステアリングローラを兼ねている。本実施例では、テンションローラ34は、中間転写ベルト31の回転方向に関して1次転写ニップN1(最下流の1次転写ニップN1K)よりも下流側かつ2次転写ニップN2よりも上流側に配置されている。なお、図2に示すように、複数の張架ローラは、本実施例では略水平に配置される画像転写面を形成する補助ローラ54、55などの他の張架ローラを更に含んでいてもよい。図2に示す例では、中間転写ベルト31の回転方向に関して1次転写ニップN1(最下流の1次転写ニップN1K)よりも下流側かつテンションローラ34よりも上流側に、下流側補助ローラ54が配置されている。また、中間転写ベルト31の回転方向に関して駆動ローラ33よりも下流側かつ1次転写ニップN1(最上流の1次転写ニップN1Y)よりも上流側に、上流側補助ローラ55が配置されている。これら補助ローラ54、55は、例えばテンションローラ34の傾動に伴う中間転写ベルト31の傾きの変化を遮断して画像転写面を略水平に維持するなどのために設けることができる。
【0033】
テンションローラ34は、その回転軸線方向の両端部において、軸受部材(図示せず)を介して回転可能に中間転写ベルトユニット30に支持されている。テンションローラ34の回転軸線方向の両端部の軸受部材は、それぞれ中間転写ベルト31の内周面側から外周面側に向かう方向及びその逆方向にスライド移動可能なように支持されている。また、その両端部の軸受部材は、それぞれ付勢手段としての付勢部材(弾性部材)である圧縮ばねなどの付勢力によって、中間転写ベルト31の内周面側から外周面側に向かう方向に加圧(付勢)されている。これにより、テンションローラ34は、中間転写ベルト31に所定の張力を付与している。また、テンションローラ34の回転軸線方向の一端部(図2中の紙面奥側)の軸受部材は、テンションローラ34の回転軸線方向と略直交する回動軸線の周りに回動可能とされている。また、テンションローラ34の回転軸線方向の他端部(図2中の紙面手前側)の軸受部材は、寄り補正アーム94を介して中間転写ベルトユニット30のフレームに支持されている。この寄り補正アーム94は、テンションローラ34の回転軸線方向と略平行な回動軸の周りに回動可能(揺動可能)とされている。これによって、テンションローラ34は、図2中の手前側端部を図2中の上下方向に移動させるように回動させることができるようになっている。このようにテンションローラ34を回動させることで、テンションローラ34の回転軸線が駆動ローラ33などの他の支持ローラの回転軸線に対して傾斜するように、テンションローラ34を傾動させることができる。
【0034】
中間転写ベルト31が図2中の手前側又は奥側に寄ると、中間転写ベルト31の幅方向の端部によって、寄り検知センサ93が図2中の矢印IF方向又は矢印IR方向に動く。寄り検知センサ93の検知結果を示す信号は後述する制御部150(図8)に入力される。制御部150は、寄り検知センサ93によって検知された中間転写ベルト31の幅方向の走行位置に応じて、駆動源としての寄り補正モータ91を駆動させる。寄り補正モータ91が駆動されると、寄り補正カム95が回転して、寄り補正アーム94を揺動させる。これにより、テンションローラ34の図2中の手前側端部が上下(矢印SF方向又は矢印SR方向)に移動して、テンションローラ34が傾動する。このようにテンションローラ34が傾動することで、中間転写ベルト31が図2中の矢印IF方向又は矢印IR方向に移動する。これらの動作を続けることにより、中間転写ベルト31の寄りが補正される。
【0035】
テンションローラ34の傾斜位置は、寄り補正カム95の回転軸と同軸上に設けられたHP(ホームポジション)センサ92によって検知される。また、寄り検知センサ93は、例えば、中間転写ベルト31の幅方向の端部に接触するフラグと、発光部としてのLEDと、受光部としての2つのフォトダイオードと、を有して構成される。寄り検知センサ93のフラグの位置により、2つのフォトダイオードの受光量が変化する。この受光量を検知することで、中間転写ベルト31の幅方向の走行位置を把握することができるようになっている。
【0036】
本実施例では、寄り補正モータ91、HPセンサ92、寄り検知センサ93、寄り補正アーム94、寄り補正カム95などを有して、ステアリング機構90が構成される。
【0037】
なお、中間転写ベルト31の寄りを制御するための構成は、本実施例のものに限定されず、例えば公知のものを適宜用いることができる。例えば、センサを用いず、摩擦力を用いて、自動的に寄りを制御する自動調心という方法を用いているものもある。
【0038】
3.オフセット
図3は、2次転写ニップN2の近傍での記録材Sの挙動を説明するための模式的な断面図(内ローラ32の回転軸線方向と略直交する断面)である。なお、図3において、本実施例の画像形成装置100のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については同一の符号を付している。
【0039】
前述のように、2次転写ニップN2の形状(2次転写ニップN2の位置)や記録材Sの剛度によって、記録材Sの搬送方向に関して2次転写ニップN2の上流近傍や下流近傍での記録材Sの挙動が変わる。そして、例えば、記録材Sが、剛度の小さい記録材Sの一例である「薄紙」の場合に、中間転写ベルト31からの記録材Sの分離不良によりジャム(紙詰まり)が発生することがある。この現象は、記録材Sのコシが弱いことによって記録材Sが中間転写ベルト31に貼り付きやすくなるため、記録材Sの剛度が小さい場合に顕著となる。
【0040】
つまり、図3に示す断面において、内ローラ32と2次転写前ローラ37とで張架されて形成される中間転写ベルト31の張架面を示す線をニップ前張架線Tとする。なお、2次転写前ローラ37は、複数の張架ローラのうち内ローラ32よりも中間転写ベルト31の回転方向に関して上流で内ローラ32に隣接して配置された上流ローラの一例である。また、同断面において、内ローラ32の回転中心と外ローラ41の回転中心とを通る直線をニップ中心線Lcとする。また、同断面において、ニップ中心線Lcと略直交する線をニップ線Lnとする。なお、図3は、ニップ前張架線Tに沿う方向に関して内ローラ32の回転中心よりも外ローラ41の回転中心の方が中間転写ベルト31の回転方向の上流側にオフセットされて配置された状態を示している。
【0041】
このとき、記録材Sは、2次転写ニップN2で内ローラ32と外ローラ41との間に挟持された状態では、ほぼニップ線Lnに沿って姿勢を保とうとする傾向がある。そのため、概して、ニップ前張架線Tに沿う方向に関して内ローラ32の回転中心と外ローラ41の回転中心とが近い場合には、図3中の破線Aで示すように、記録材Sの排出角度θが小さくなる。つまり、記録材Sの搬送方向の先端は、2次転写ニップN2から排出される際に、中間転写ベルト31の近くに排出されるような姿勢となる。これにより、記録材Sが中間転写ベルト31に貼り付きやすくなる。これに対して、概して、ニップ前張架線Tに沿う方向に関して内ローラ32の回転中心よりも外ローラ41の回転中心の方が中間転写ベルト31の回転方向の上流側に配置されるほど、図3中の実線で示すように、記録材Sの排出角度θが大きくなる。つまり、記録材Sの搬送方向の先端は、2次転写ニップN2から排出される際に、中間転写ベルト31から離れる方向に排出されるような姿勢となる。これにより、記録材Sは中間転写ベルト31に貼り付きにくくなる。
【0042】
一方、前述のように、例えば、記録材Sが、剛度の大きい記録材Sの一例である「厚紙」の場合には、記録材Sの搬送方向の後端が搬送ガイド83を抜けた際に、記録材Sの搬送方向の後端部が中間転写ベルトに衝突することがある。これにより、記録材Sの搬送方向の後端部に画像不良が発生することがある。この現象は、記録材Sのコシが強いことによって記録材Sの搬送方向の後端部が強い勢いで中間転写ベルト31に衝突しやすくなるため、記録材Sの剛度が大きい場合に顕著となる。
【0043】
つまり、上述のように、図3に示す断面において、記録材Sは、2次転写ニップN2で内ローラ32と外ローラ41との間に挟持された状態では、ほぼニップ線Lnに沿って姿勢を保とうとする傾向がある。そのため、概して、ニップ前張架線Tに沿う方向に関して内ローラ32の回転中心よりも外ローラ41の回転中心の方が中間転写ベルト31の回転方向の上流側に配置されるほど、ニップ線Lnはニップ前張架線Tに食い込むような形となる。その結果、記録材Sの搬送方向の後端が搬送ガイド83を抜けた際に、図3中の破線Bで示すように、記録材Sの搬送方向の後端部が中間転写ベルト31に衝突するようになり、記録材Sの搬送方向の後端部に画像不良が発生しやすくなる。これに対して、概して、ニップ前張架線Tに沿う方向に関して内ローラ32の回転中心と外ローラ41の回転中心とを近くすれば、記録材Sの搬送方向の後端が搬送ガイド83から抜けた際に中間転写ベルト31に衝突することは抑制される。これにより、記録材Sの搬送方向の後端部の画像不良は発生しにくくなる。
【0044】
このような課題の対策として、記録材Sの種類に応じて、内ローラ32の周方向(中間転写ベルト31の回転方向)に関する内ローラ32と外ローラ41との相対位置を変更することが有効である。図3を参照して、この内ローラ32と外ローラ41との相対位置の定義について説明する。図3に示す断面において、中間転写ベルト31が掛け回される側の内ローラ32と2次転写前ローラ37との共通の接線を基準線L1とする。基準線L1は、上記ニップ前張架線Tに対応する。また、同断面において、内ローラ32の回転中心を通り基準線L1と略直交する直線を内ローラ中心線L2とする。また、同断面において、外ローラ41の回転中心を通り基準線L1と略直交する直線を外ローラ中心線L3とする。このとき、内ローラ中心線L2と外ローラ中心線L3との間の距離(垂直距離)をオフセット量X(ただし、外ローラ中心線L3が内ローラ中心線L2よりも中間転写ベルト31の回転方向の上流側にあるとき正の値)と定義する。オフセット量Xは、負の値、0、正の値をとることができる。オフセット量Xを大きくすることで、中間転写ベルト31の回転方向に関する2次転写ニップN2の幅が中間転写ベルト31の回転方向の上流側に広がる。つまり、内ローラ32と中間転写ベルト31との接触領域の中間転写ベルト31の回転方向の上流側の端部よりも、外ローラ41と中間転写ベルト31との接触領域の中間転写ベルト31の回転方向の上流側の端部の方がより上流側に位置するようになる。このように、内ローラ32又は外ローラ41の少なくとも一方の位置を変更して、内ローラ32の周方向に関する内ローラ32と外ローラ41との相対位置を変更させて、2次転写ニップ(転写部)N2の位置を変更可能である。
【0045】
図3において、外ローラ41は仮想的に基準線L1(ニップ前張架線T)に対して変形せずに接するように表されている。しかし、外ローラ41の最外層の材質はゴムやスポンジなどの弾性体であり、実際には押圧ばね44によって内ローラ32に向かう方向に押圧されて変形している。外ローラ41が、内ローラ32に対して中間転写ベルト31の回転方向の上流側にオフセットされて配置され、内ローラ32との間で中間転写ベルト31を挟持するように押圧ばね44によって押圧されると、略S字形状の2次転写ニップN2が形成される。そして、搬送ガイド83にガイドされて送られてくる記録材Sの姿勢もその2次転写ニップN2の形状にならって決定される。オフセット量Xが大きくなるほど、記録材Sを屈曲させることになる。そのため、上述のように、例えば記録材Sが「薄紙」の場合には、オフセット量Xを大きくすることで、2次転写ニップN2を通過した後の記録材Sの中間転写ベルト31からの分離性を向上させることができる。しかし、オフセット量Xが大きいと、上述のように、例えば記録材Sが「厚紙」の場合には、記録材Sの搬送方向の後端が搬送ガイド83を抜けた際に記録材Sの搬送方向の後端部が中間転写ベルト31に衝突することになる。これにより、記録材Sの搬送方向の後端部の画質を低下させる要因となる。そのため、この場合にはオフセット量Xを小さくすればよい。
【0046】
本実施例では、画像形成装置100は、内ローラ32又は外ローラ41の少なくとも一方の位置を変更してオフセット量Xを変更する。特に、本実施例では、画像形成装置100は、内ローラ32の位置を変更してオフセット量Xを変更する。また、本実施例では、画像形成装置100は、記録材Sの剛度と関連する記録材Sの種類に関する情報に基づいて、オフセット量Xを変更する。例えば記録材Sが「厚紙」の場合には、オフセット量Xが第1のオフセット量X1となる第1の内ローラ位置に内ローラ32を配置する。そして、例えば記録材Sが「薄紙」の場合には、オフセット量Xが第1のオフセット量X1よりも大きい第2のオフセット量X2となる第2の内ローラ位置に内ローラ32を配置する。第1のオフセット量X1は、正の値、0、負の値であってよく、第2のオフセット量X2は、典型的には正の値である。
【0047】
4.2次転写に関する構成
本実施例における2次転写に関する構成について更に詳しく説明する。ここでは、簡単のため、主に記録材Sの剛度と関連する記録材Sの種類に関する情報として、記録材Sとしての紙の坪量の情報を用いる場合を例として説明する。そして、剛度の小さい記録材Sの一例として「薄紙」、剛度の大きい記録材Sの一例として「厚紙」を用いるものとする。ただし、後述するように、記録材Sの剛度と関連する記録材Sの種類に関する情報は、記録材Sの坪量の情報に限定されるものではない。
【0048】
図4(a)、(b)は、本実施例における2次転写ニップN2の近傍を内ローラ32の回転軸線方向の一端部側(図1の紙面手前側)から該回転軸線方向と略平行に見た要部の概略側面図である。図4(a)は「厚紙」の場合、図4(b)は「薄紙」の場合の状態を示している。なお、例えば、記録材Sが「薄紙」、「厚紙」の場合とは、より詳細には、それぞれ「薄紙」、「厚紙」が2次転写ニップN2を通される場合のことをいう。
【0049】
4-1.オフセット機構
図4(a)、(b)に示すように、本実施例では、画像形成装置100は、外ローラ41に対する内ローラ32の相対位置を変更してオフセット量Xを変更する、位置変更機構としてのオフセット機構(オフセット量変更手段)1を有する。図4(a)、(b)には、内ローラ32の回転軸線方向の一端部の構成を示しているが、他端部の構成も同様(内ローラ32の回転軸線方向の中央に対して略対称)である。
【0050】
内ローラ32の回転軸線方向の両端部は、支持部材としての内ローラホルダ38によって回転可能に支持されている。内ローラホルダ38は、回動軸38aを中心に回動可能なように、中間転写ベルトユニット30のフレームなどに支持されている。このように、内ローラホルダ38を回動軸38aの周りに回動させ、内ローラ32を回動軸38aの周りに回動させることで、外ローラ41に対する内ローラ32の相対位置を変更してオフセット量Xを変更することができるようになっている。
【0051】
内ローラホルダ38は、作動部材としてのオフセットカム39の作用により回動するように構成されている。オフセットカム39は、オフセットカム回転軸39aを中心に回転可能なように、中間転写ベルトユニット30のフレームなどに支持されている。オフセットカム39は、駆動源としてのオフセットモータ110からの駆動を受けてオフセットカム回転軸39aを中心に回転可能である。また、オフセットカム39は、内ローラホルダ38に設けられたオフセットカムフォロワ(アーム部)38cと接触している。また、内ローラホルダ38は、オフセットカムフォロワ38cがオフセットカム39と係合する方向に回動するように、後述するように本実施例では中間転写ベルト31のテンションによって付勢されている。ただし、これに限定されるものではなく、内ローラホルダ38は、オフセットカムフォロワ38cがオフセットカム39と係合する方向に回動するように、付勢手段としての付勢部材(弾性部材)であるばねなどで付勢されてもよい。
【0052】
このように、本実施例では、内ローラホルダ38、オフセットカム39、オフセットモータ110などを有してオフセット機構1が構成されている。
【0053】
図4(a)に示すように、「厚紙」の場合には、オフセットカム39がオフセットモータ110によって駆動されて例えば時計回りに回転する。これにより、回動軸38aを中心に反時計回りに内ローラホルダ38が回動して、外ローラ41に対する内ローラ32の相対位置が決められる。これにより、オフセット量Xが相対的に小さい第1のオフセット量X1である第1の内ローラ位置に、内ローラ32が配置された状態となる。その結果、前述のように、「厚紙」の搬送方向の後端部の画質の低下を抑制することができる。
【0054】
また、図4(b)に示すように、「薄紙」の場合には、オフセットカム39がオフセットモータ110によって駆動されて例えば反時計回りに回転する。これにより、回動軸38aを中心に時計回りに内ローラホルダ38が回動して、外ローラ41に対する内ローラ32の相対位置が決められる。これにより、オフセット量Xが相対的に大きい第2のオフセット量X2である第2の内ローラ位置に、内ローラ32が配置された状態となる。その結果、前述のように2次転写ニップN2を通過した後の「薄紙」の中間転写ベルト31からの分離性が向上する。
【0055】
図5は、内ローラホルダ38の近傍を内ローラ32の回転軸線方向の一端部側(図1の紙面手前側)から該回転軸線方向と略平行に見た概略側面図である。上述のように、「厚紙」の場合には、内ローラホルダ38は、回動軸38aを中心に反時計回りに回動する(実線)。そして、内ローラホルダ38に設けられた、内ローラ32と同軸円筒状の突き当て部38bが第1の位置決め部40aに突き当たる。これにより、内ローラ32の位置は第1の内ローラ位置(第1のオフセット量X1)に位置決めされる。また、上述のように、「薄紙」の場合には、内ローラホルダ38は、回動軸38aを中心に時計回りに回動する(二点鎖線)。そして、内ローラホルダ38に設けられた突き当て部38bが第2の位置決め部40bに突き当たる。これにより、内ローラ32の位置は第2の内ローラ位置(第2のオフセット量X2)に位置決めされる。第1、第2の位置決め部40a、40bは、中間転写ベルトユニット30のフレームなどに設けられている。
【0056】
本実施例では、記録材Sの坪量Mに基づいて、オフセット量X(X1、X2)が、例えば次のような2パターンとなるように設定されている。なお、gsmはg/mを意味する。
(a)M≧52gsm:X1=1.0mm
(b)M<52gsm:X2=2.5mm
【0057】
本実施例では、図4(a)に示す上記設定(a)の内ローラ32の位置の状態がホームポジションである。ここで、ホームポジションとは、画像形成装置100がスリープ状態(後述)又は主電源がOFFされた状態のときの位置のことをいう。ただし、これに限定されるものではなく、図4(b)に示す上記設定(b)の内ローラ32の位置の状態をホームポジションとしてもよい。
【0058】
オフセット量X、及び各オフセット量Xに割り当てる記録材Sの種類(ここでは、記録材Sの坪量)は、上述の具体例に限定されるものではない。これらは、前述したような記録材Sの中間転写ベルト31からの分離性の向上や2次転写ニップN2の近傍で発生する画像不良の抑制の観点から、実験などを通して適宜設定することができる。これに限定されるものではないが、オフセット量Xは、-3mm~+3mm程度が好適である。このような設定により、良好な転写性を得ることができる。
【0059】
また、オフセット量Xのパターンは2パターンであることに限定されるものではなく、3パターン以上が設定されていてもよい。そして、本実施例に準じて、記録材Sの剛度と関連する記録材Sの種類に関する情報に基づいて、3パターン以上の設定から適切な設定を選択するようにすることができる。
【0060】
ここで、本実施例では、図4に示す断面において、内ローラホルダ38は、中間転写ベルト31のテンションによって、回動軸38aを中心に反時計周りのモーメントが常に加えられている。つまり、本実施例では、内ローラホルダ38は、中間転写ベルト31のテンションによって、オフセットカムフォロワ38cがオフセットカム39と係合するように回動する方向のモーメントが常に加えられている。また、本実施例では、図4に示す断面において、回動軸38aは、内ローラ32の回転中心と外ローラ41の回転中心とを結んだ直線(ニップ中心線)Lcに対して、記録材Sの搬送方向の下流側に配置されている。これにより、外ローラ41が中間転写ベルト31を介して内ローラ32に当接させられている場合、内ローラホルダ38が外ローラ41から受ける反力も、図4中の反時計回りのモーメントとなる。このような構成により、別途ばねなどの付勢部材を用いることなく、カム機構を構成することができる。
【0061】
また、中間転写ベルト31の交換などのために、中間転写ベルトユニット30に対して中間転写ベルト31を装着する又は取り外す操作の作業性を阻害しないように、内ローラホルダ38は中間転写ベルト31の張架面の内側に配置することが望ましい。そのため、図4に示す断面において、回動軸38aは、上記直線(ニップ中心線)Lcと、ニップ後張架線Uとの間の領域Aに配置することが望ましい。ここで、ニップ後張架線Uは、図4に示す断面において、内ローラ32と駆動ローラ33(図1参照)とで張架されて形成される中間転写ベルト31の張架面を示す線を張架線である。なお、駆動ローラ33は、複数の張架ローラのうち内ローラ32よりも中間転写ベルト31の回転方向に関して下流で内ローラ32に隣接して配置された下流ローラの一例である。
【0062】
回動軸38aを領域Aに配置することが望ましい理由について、図6を用いて更に詳しく説明する。図6(a)、(b)は、回動軸38aの配置の違いによる効果を説明するための2次転写ニップN2の近傍の模式的な断面図(内ローラ32の回転軸線方向と略直交する断面)である。図6(a)、(b)において、中間転写ベルト31のテンションから受ける反力の方向を直線Lp、外ローラ41から受ける反力の方向を直線Lcで表している。
【0063】
図6(a)に示すように、本実施例では、回動軸38aは、ニップ後張架線Uと直線Lcとの間の領域Aに配置されている。内ローラ32の位置が軌跡aに沿って変更されるのに伴ってニップ前張架線Tの張り角も二点鎖線T’で示すように変更される。ここで、図6に示す断面において、ニップ前張架線Tの張り角は、2次転写前ローラ37と中間転写ベルト31との接触位置に対して、ニップ前張架面Tが基準の直線(例えば重力方向)となす角度で代表できる。
【0064】
図6(b)に示すように、仮に回動軸38aが直線Lpとニップ前張架線Tとの間の領域Cに配置された場合(実線)、中間転写ベルト31のテンション及び外ローラ41から受ける反力によるモーメントは共に時計回りに受けることになる。この場合、オフセットカム39の配置を変更するなどすれば、別途付勢部材を追加する必要なく、カム機構を構成することができる。しかし、内ローラ32の位置が軌跡cに沿って変更されるのに伴ってニップ前張架線Tの張り角も二点鎖線T’で示すように変更され、その変化量は領域Aに回動軸38aが配置される場合よりも大きくなる。ニップ前張架線Tの張り角は、2次転写ニップN2に侵入する前の記録材Sとの間での放電を起因とする画質低下を発生させないために適切に設定する必要がある。そのため、オフセット量Xを変更することによってニップ前張架線Tの張り角が大きく変化しないことが望ましい。そのため、回動軸38aは、領域Cよりも領域Aに配置する方が好ましい。
【0065】
また、図6(b)に示すように、仮に回動軸38aが直線Lcと直線Lpとの間の領域Bに配置された場合(点線)について考える。この場合、中間転写ベルト31のテンションによる反力が反時計回りのモーメントを発生させるのに対し、外ローラ41による反力は時計回りのモーメントを発生させることになる。そのため、安定してどちらか一方にモーメントを付加してカム機構を構成するためには、別途ばねなどの付勢部材を追加する必要がある。
【0066】
したがって、本実施例では、回動軸38aを領域Aに配置している。
【0067】
4-2.離接機構
本実施例における外ローラ41の離接機構2について説明する。図7は、離接機構2の概略構成を示す模式図である。図7には、内ローラ32の回転軸線方向の一端部の構成を示しているが、他端部の構成も同様(内ローラ32の回転軸線方向の中央に対して略対称)である。
【0068】
外ローラ41の回転軸線方向の両端部は、軸受43によって回転可能に支持されている。軸受43は、所定方向(例えば前述の基準線L1と略直交する方向)に沿って内ローラ32に向かう方向及びその反対方向にスライド移動可能なように、装置本体100aのフレームなどに支持されている。軸受43は、付勢手段としての付勢部材(弾性部材)である圧縮ばねで構成された押圧ばね44によって内ローラ32に向かって押圧される。これにより、外ローラ41は、中間転写ベルト31を挟んで内ローラ32に当接し、2次転写ニップN2を形成する。
【0069】
そして、本実施例では、画像形成装置100は、外ローラ41を中間転写ベルト31に対して離間及び当接させるための離接機構(離接手段)2を有する。図7に示すように、離接機構2は、離接アーム122、離接カム121、離接モータ123などを有して構成される。離接アーム122は、回動軸122aを中心に回動可能なように、装置本体100aのフレームなどに支持されており、軸受43と係合している。また、離接アーム122は、作動部材としての離接カム121の作用により回動するように構成されている。離接カム121は、離接カム回転軸120を中心に回転可能なように、装置本体100aのフレームなどに支持されている。離接カム121は、駆動源としての離接モータ123からの駆動を受けて離接カム回転軸120を中心に回転可能である。また、離接カム121は、離接アーム122に設けられた離接カムフォロワ122bと接触している。また、離接アーム122は、押圧ばね44によって離接カムフォロワ122bが離接カム121と係合する方向に回動するように付勢されている。
【0070】
離接機構2は、外ローラ41を内ローラ32に対して遠ざかる方向及び近づく方向に移動させる。図7中の実線で示すように、外ローラ41を中間転写ベルト31から離間させる際には、離接モータ123によって駆動されて離接カム121が例えば反時計回りに回転することで、離接アーム122が時計回りに回動する。これにより、離接アーム122が軸受43を内ローラ32から遠ざかる方向(下方)に押圧ばね44の付勢力に抗して移動させ、外ローラ41を中間転写ベルト31から離間させる。一方、図7中の二点鎖線で示すように、外ローラ41を中間転写ベルト31に接触させる際には、離接モータ123によって駆動されて離接カム121が例えば時計回りに回転することで、離接アーム122が押圧ばね44の付勢力によって反時計回りに回動する。これにより、離接アーム122が軸受部材43を内ローラ32に近づく方向(上方)に移動させ、外ローラ41を中間転写ベルト31に当接させる。
【0071】
本実施例では、離接機構2は、中間転写ベルト31上に形成された画像濃度補正用や色ずれ補正用の試験画像(パッチ)などの記録材Sへ転写しないトナーが外ローラ41の表面に付着するのを避けるために、外ローラ41を中間転写ベルト31から離間させる。また、ジャム(紙詰まり)の処理が行われる際にも、離接機構2は外ローラ41を中間転写ベルト31から離間させる。また、ジョブ(後述)が終了した後に外ローラ41が内ローラ32に向けて押圧され続けると内ローラ32や外ローラ41が変形してしまう場合がある。そこで、本実施例では、離接機構2は、ジョブが終了して画像形成装置100が次のジョブを待機するスタンバイ状態となる際に、外ローラ41を中間転写ベルト31から離間させる。画像形成装置100がスリープ状態又は主電源がOFFされた状態のときも、外ローラ41は中間転写ベルト31から離間された状態に維持される。
【0072】
なお、オフセット機構1は、オフセット量Xを変更する動作を、外ローラ41が中間転写ベルト31に接触した状態、外ローラ41が中間転写ベルト31から離間された状態のいずれで行うこともできるようになっていてよい。ただし、詳しくは後述するように、本実施例では、混載ジョブの実行中にオフセット量Xを変更する場合、内ローラ32が移動する際に外ローラ41は中間転写ベルト31に当接している。また、オフセット機構1は、オフセット量Xを変更する動作を、中間転写ベルト31が停止している状態、中間転写ベルト31が回転している状態のいずれで行うこともできるようになっていてよい。ただし、詳しくは後述するように、本実施例では、混載ジョブの実行中にオフセット量Xを変更する場合、内ローラ32が移動する際に中間転写ベルト31は通常の画像形成時の駆動速度(周速度)で回転している。
【0073】
5.課題及び本実施例の構成の概要
前述のように、画像形成装置100では、例えば製本印刷などのために、複数の種類の記録材Sに画像を形成するジョブ(「混載ジョブ」)が実行されることがある。混載ジョブにおいて、例えば、「薄紙」、「厚紙」といった剛度の異なる複数の種類の記録材Sのそれぞれに対して良好な転写性を得るためには、ジョブの途中でオフセット量Xを変更することが有効である。しかし、この場合に、内ローラ32又は外ローラ41を移動するために、内ローラ32と外ローラ41との押圧状態を解消する動作を行ったりすると、そのためにかかる時間が余分に生じることで、生産性を大きく低下させてしまう要因となる。
【0074】
そこで、本実施例では、混載ジョブの実行中にオフセット量Xを変更する場合、外ローラ41が中間転写ベルト31に当接している状態(すなわち、2次転写ニップN2を形成している状態)で、オフセット機構1が内ローラ32又は外ローラ41の少なくとも一方(特に、本実施例では内ローラ32)の位置を変更する動作(ここでは、「オフセット動作」あるいは「位置変更動作」ともいう。)を行う。
【0075】
なお、同一の種類の記録材Sに対する連続画像形成のジョブにおける通常の紙間ではオフセット動作に不十分な場合は、該オフセット動作に十分なだけ紙間を延長する。ここで、紙間とは、先行する記録材Sが2次転写ニップN2を通過した後かつ後続の記録材Sが2次転写ニップN2に到達するまでの期間である。
【0076】
6.制御態様
図8は、本実施例の画像形成装置100の要部の制御態様を示す概略ブロック図である。制御手段としての制御部(コントローラ)150は、演算処理を行う中心的素子である演算制御手段としてのCPU151、記憶手段としてのROM、RAMなどのメモリ(記憶媒体)152、インターフェース部153などを有して構成される。書き換え可能なメモリであるRAMには、制御部150に入力された情報、検知された情報、演算結果などが格納され、ROMには制御プログラム、予め求められたデータテーブルなどが格納されている。CPU151とメモリ152とは互いにデータの転送や読込みが可能となっている。インターフェース部153は、制御部150とこれに接続された機器との間の信号の入出力(通信)を制御する。
【0077】
制御部150には、画像形成装置100の各部(画像形成部10、中間転写ベルト31及び記録材Sの搬送に関する部材の駆動装置、各種電源など)が接続されている。本実施例との関係では、特に、制御部150には、オフセット機構1の駆動源であるオフセットモータ110、離接機構2の駆動源である離接モータ123などが接続されている。また、制御部150には、ドラム駆動モータ111、ベルト駆動モータ112、現像モータ113、ステアリング機構90、各種高圧電源(帯電電圧、現像電圧、1次転写電圧、2次転写電圧)などが接続されている。また、制御部150には、画像形成装置100に設けられた操作部(操作パネル)160が接続されている。操作部160は、制御部150の制御によって情報を表示する表示手段としての表示部、及びユーザやサービス担当者などの操作者による操作によって制御部150に情報を入力する入力手段としての入力部を有する。操作部160は、表示部及び入力部の機能を有するタッチパネルを有して構成されていてよい。また、制御部150には、画像形成装置100に設けられるか又は画像形成装置100に接続された画像読取装置(図示せず)や、画像形成装置100に接続されたパーソナルコンピュータなどの外部装置200が接続されていてよい。
【0078】
制御部150は、ジョブの情報に基づいて画像形成装置100の各部を制御して画像形成を行なわせる。ジョブの情報は、操作部160や外部装置200から入力される開始指示(開始信号)、記録材Sの種類などの画像形成条件に関する情報(指令信号)を含む。また、ジョブの情報は、画像読取装置や外部装置200から入力される画像情報(画像信号)を含む。なお、記録材の種類に関する情報(単に「記録材に関する情報」ともいう。)とは、普通紙、上質紙、光沢紙、コート紙、エンボス紙、厚紙、薄紙などの一般的な特徴に基づく属性(いわゆる、紙種カテゴリー)、坪量、厚さ、サイズなどの数値や数値範囲、あるいは銘柄(メーカー、品番などを含む。)などの、記録材を区別可能な任意の情報を包含するものである。本実施例では、記録材Sの種類に関する情報は、記録材Sの剛度と関連する記録材Sの種類に関する情報、特に、一例として記録材Sの坪量の情報を含むものとする。
【0079】
ここで、画像形成装置100は、1つの開始指示により開始される、単一又は複数の記録材Sに画像を形成して出力する一連の動作であるジョブを実行する。ジョブは、一般に、画像形成工程(プリント動作、画像形成動作)、前回転工程、複数の記録材Sに画像を形成する場合の紙間工程、及び後回転工程を有する。画像形成工程は、実際に記録材Sに形成して出力する画像の静電像の形成、トナー像の形成、トナー像の1次転写、2次転写を行う期間であり、画像形成時(画像形成期間)とはこの期間のことをいう。より詳細には、これら静電像の形成、トナー像の形成、トナー像の1次転写、2次転写の各工程を行う位置で、画像形成時のタイミングは異なる。前回転工程は、開始指示が入力されてから実際に画像を形成し始めるまでの、画像形成工程の前の準備動作を行う期間である。紙間工程は、複数の記録材Sに対する画像形成を連続して行う際(連続画像形成)の記録材Sと記録材Sとの間に対応する期間である。後回転工程は、画像形成工程の後の整理動作(準備動作)を行う期間である。非画像形成時(非画像形成期間)とは、画像形成時以外の期間であって、上記前回転工程、紙間工程、後回転工程、更には画像形成装置100の電源投入時又はスリープ状態からの復帰時の準備動作である前多回転工程などが含まれる。なお、スリープ状態(休止状態)とは、例えば制御部150(又はその一部)以外の画像形成装置100の各部への電力の供給が停止され、スタンバイ状態よりも電力消費量が少なくされた状態である。本実施例では、非画像形成時として、特に、紙間工程において、前述の「オフセット動作」が実行される場合について説明する。
【0080】
7.制御手順
図9は、本実施例におけるジョブの制御手順の一例の概略を示すフローチャート図である。ここでは、記録材Sとして「薄紙」と「厚紙」とが用いられる混載ジョブを例として説明する。より詳細には、ホームポジションの状態からジョブが開始され、先に「厚紙」へのプリント動作が行われ、ジョブの途中で記録材Sが「厚紙」から「薄紙」に切り替わる場合について説明する。ただし、例えばジョブの途中で「薄紙」から「厚紙」に切り替わる場合でも、オフセット動作の前後の内ローラ32の位置が異なるが、手順は以下に説明する手順と同様である。また、ここでは、操作者が外部装置200から画像形成装置100にジョブを実行させる場合を例として説明する。なお、図9には、オフセット動作に注目した制御手順の概略が示されており、ジョブを実行して画像を出力するために通常必要となる他の多くの動作は省略されている。
【0081】
まず、制御部150に、外部装置200からジョブの情報(画像情報、画像形成条件の情報、開始指示)が入力される(S101)。制御部150は、ジョブの情報が入力されると、ジョブの情報に含まれる各ページの記録材Sの種類に関する情報を取得する。本実施例では、記録材Sの種類に関する情報は、少なくとも記録材Sの坪量の情報を含む。なお、制御部150は、操作者の操作により外部装置200(あるいは操作部160)から直接的に入力(複数の選択肢から選択することも含む。)された記録材Sの種類に関する情報を取得することができる。また、制御部150は、操作者の操作により外部装置200(あるいは操作部160)から入力された、当該ジョブで記録材Sを送出するカセット61、62、63の情報に基づいて、記録材Sの種類に関する情報を取得することもできる。この場合、制御部150は、予め各カセット61、62、63と関係付けられてメモリ152に記憶されている各カセット61、62、63に収納された記録材Sの種類に関する情報から、記録材Sの種類に関する情報を取得することができる。ここで、記録材Sの種類に関する情報を登録する際には、予めメモリ152やネットワークを通じて制御部150と接続された記憶装置に記憶されている記録材Sの種類のリストの中から該当するものを選択するようになっていてよい。
【0082】
次に、制御部150は、離接機構2(より詳細には離接モータ123)に制御信号を送り、外ローラ41を中間転写ベルト31に当接させ、プリント動作の準備を行う(S102)。次に、制御部150は、ジョブの情報に基づいて各画像形成部10などに画像形成信号を送り、プリント動作を行わせる(S103)。制御部150は、1ページごとにジョブが継続するか否かを判断する(S104)。制御部150は、S104でジョブが継続しないと判断した場合は、ジョブを終了させる。一方、制御部150は、S104でジョブが継続すると判断した場合は、次のページのプリント動作で、前のページのプリント動作からの記録材Sの種類の変更があるか否かを判断する(S105)。制御部150は、S105で記録材Sの種類の変更がないと判断した場合は、S103の処理に進み、次のページのプリント動作を行わせる。一方、制御部150は、S105で記録材Sの種類の変更があると判断した場合は、内ローラ32の位置の変更が必要か否かを判断する(S106)。つまり、制御部150は、現在の内ローラ32の位置と、変更後の記録材Sの種類に対応する内ローラ32の位置とから、内ローラ32の位置の変更が必要か否かを判断する。ここでは、「厚紙」に対応するホームポジションの状態からジョブが開始され、先に「厚紙」へのプリント動作が行われて、ジョブの途中で記録材Sが「厚紙」から「薄紙」に切り替わる場合を例としている。そのため、次のページの記録材Sが「薄紙」である場合には、内ローラ32の位置の変更が必要であると判断される。制御部150は、現在の内ローラ32の位置の情報を、例えば内ローラ32の位置が変更されるごとにメモリ152に記憶される内ローラ32の位置を示す情報、あるいはスリープ状態となったか否かの情報などから取得することができる。なお、より具体的には、制御部150は、ページごとに、次のようにして内ローラ32の位置を決定してもよい。つまり、記録材Sの坪量の所定の閾値(一例として前述の52g/m)の情報がメモリ152に記憶されている。そして、制御部150は、坪量が該閾値以上の記録材Sに対するプリント動作時には、オフセット量Xが相対的に小さい第1のオフセット量X1である第1の内ローラ位置とするように決定する。また、制御部150は、坪量が該閾値未満の記録材Sに対するプリント動作時には、オフセット量Xが相対的に大きい第2のオフセット量X2である第2の内ローラ位置とするように決定する。なお、前述のように、3パターン以上の内ローラ32の位置が設定されている場合には、各パターンに対応する坪量の範囲を規定するように、複数の閾値の情報が設定されていてよい。
【0083】
制御部150は、S106で位置の変更が必要ないと判断した場合は、S103の処理に進み、次のページのプリント動作を行わせる。一方、制御部150は、S106で位置の変更が必要であると判断した場合は、前のページと次のページとの間の紙間工程で内ローラ32の位置を変更してオフセット量Xを変更する。つまり、制御部150は、オフセット機構1(より詳細にはオフセットモータ110)に制御信号を送り、内ローラ32の位置を変更させる(S107)。このとき、先行する記録材S(「薄紙」)が2次転写ニップN2を抜けてから、後続の記録材S(「厚紙」)が2次転写ニップN2に到達するまでの間に、内ローラ32の位置の変更を完了する必要がある。制御部150は、通常の紙間でこの動作の完了が不可能な場合は、紙間を広げることを行う。具体的には、制御部150は、後続する記録材Sの搬送タイミング、画像形成開始タイミングを制御することで紙間を調整することができる。次に、制御部150は、記録材Sが変更されたことで、高圧条件などの画像形成条件に変更が必要な場合は、その画像形成条件の変更を行う(S108)。これにより、作像可能な状態となるため、制御部150は、S103の処理に戻り、次のページのプリント動作を行わせる。
【0084】
ここで、次のページのプリント動作とは、次のページの画像の形成を行うべく、感光ドラム11に潜像形成を行う動作を含む。本実施例では、前のページと次のページとの間の紙間工程で内ローラ32の位置を変更する必要がある場合(S107)は、内ローラの位置変更が完了してから、次のページのプリント動作(次のページの画像形成のための感光ドラム11への潜像形成)を開始するようにしている。これは、内ローラ32の移動によって中間転写ベルト31の表面速度を乱してしまうおそれがあり、その結果、1次転写ニップN1における画像の乱れが発生する可能性があるからである。
【0085】
但し、内ローラ32の位置変更による中間転写ベルト31の表面速度への影響が少ない場合には、内ローラ32の位置変更中に次のページの画像形成のための感光ドラム11への潜像形成を開始しても良い。しかし、画質の観点から、少なくとも次のページの画像が1次転写ニップN1で一次転写される期間は、内ローラ32の位置の変更が行われないように構成することが好ましい。
【0086】
なお、本実施例では、制御部150は、ジョブが終了して画像形成装置100が次のジョブを待機するスタンバイ状態となる際に、離接機構2に制御信号を送り、外ローラ41を中間転写ベルト31から離間させる。このとき、離接機構2は、より具体的には、ジョブの最後の記録材Sが2次転写ニップN2を通過し終えた時以降に、外ローラ41を中間転写ベルト31から離間させる動作(離間動作)を開始する。
【0087】
8.効果
以上説明したように、本実施例では、混載ジョブの実行中の紙間工程でオフセット量Xを変更する。つまり、本実施例では、複数の記録材Sに画像を形成して出力するジョブの実行中の、先行する記録材Sが2次転写ニップN2を通過した後かつ後続の記録材Sが2次転写ニップN2に到達するまでの期間(紙間)に、内ローラ32の周方向に関する内ローラ32と外ローラ41との相対位置を変更する。これにより、2次転写ニップN2の形状(2次転写ニップN2の位置)を変更する。そして、本実施例では、この場合に、内ローラ32が移動する際に外ローラ41は中間転写ベルト31に当接している(すなわち、2次転写ニップN2を形成している。)。このように、内ローラ32と外ローラ41とが画像形成時と実質的に同じ押圧状態のまま内ローラ32の位置の変更を行う。これにより、内ローラ32の位置の変更にかかる時間以外の余分な時間をかけることがないため、生産性の低下を抑制することが可能となる。したがって、本実施例によれば、ダウンタイム(画像を出力できない期間)が発生することを抑制して生産性の低下を抑制しつつ、混載ジョブにおいて複数の種類の記録材Sのそれぞれに対する転写性の向上を図ることができる。
【0088】
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1のものと同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
【0089】
実施例1では、混載ジョブの実行中にオフセット量Xを変更する場合、内ローラ32が移動する際に中間転写ベルト31は通常の画像形成時の駆動速度(周速度)で回転していた。
【0090】
しかし、オフセット動作において移動させる内ローラ32は中間転写ベルト31を張架している複数のローラの一つであるため、内ローラ32の移動によって中間転写ベルト31の走行に影響を与える場合がある。例えば、内ローラ32の移動によって中間転写ベルト31の表面速度を乱してしまう場合、1次転写ニップN1における画像の乱れが発生する可能性がある。また、前述したような中間転写ベルト31の寄り制御を行っている場合、内ローラ32の移動によって寄り量の変化が大きくなることがある。そして、寄り量の変化(波形)が安定しない状態で画像形成が行われると、例えば色ずれといった画像不良を引き起こす可能性がある。そのため、混載ジョブの実行中にオフセット量Xを変更する場合、内ローラ32が移動する際に中間転写ベルト31は通常の画像形成時の駆動速度(第1の速度)よりも小さい駆動速度(第2の速度)に減速するか、又は停止していることが望ましい場合がある。
【0091】
表面速度の乱れや寄り制御への影響は、中間転写ベルト31の走行距離に比例する。そのため、中間転写ベルト31の駆動速度を遅くすることで、単位時間当たりの走行距離を短くして、中間転写ベルト31の走行中に内ローラ32を移動させた際の表面速度の乱れや寄り制御への影響を鈍らせることが可能である。減速後の中間転写ベルト31の駆動速度は、中間転写ベルト31の駆動制御特性、内ローラ32の位置変更にかかる時間、あるいは表面速度の乱れや寄り制御への影響などに応じて、適宜設定することができる。これに限定されるものではないが、表面速度の乱れや寄り制御への影響の抑制の観点からは、減速後の中間転写ベルト31の駆動速度は、通常の画像形成時の1/2以下程度が好適であり、中間転写ベルト31を停止させてもよい。ただし、中間転写ベルト31の駆動速度を戻すのにかかる時間の低減の観点からは、減速後の中間転写ベルト31の駆動速度は、通常の画像形成時の中間転写ベルト31の駆動速度の1/5以上程度が好適である。例えば、本実施例では、通常の画像形成時の中間転写ベルト31の駆動速度(第1の速度)は400mm/secである。そして、混載ジョブの実行中にオフセット量Xを変更する場合、例えば内ローラ32が移動する際の中間転写ベルト31の駆動速度(第2の速度)はその半分の200mm/secに減速したり、停止させたりすることができる。
【0092】
図10は、本実施例におけるジョブの制御手順の一例の概略を示すフローチャート図である。実施例1で説明した図9の手順と同様、ここでは、ホームポジションの状態からジョブが開始され、先に「厚紙」へのプリント動作が行われ、ジョブの途中で記録材Sが「厚紙」から「薄紙」に切り替わる場合について説明する。実施例1で説明した図9の手順と同様の処理については適宜説明を省略する。
【0093】
図10のS201~S206の処理は、図9のS101~S106の処理と同じである。次に、制御部150は、オフセット動作の準備として、まず、各画像形成部10などの作像系の各種高圧電源(帯電電圧、現像電圧、1次転写電圧、2次転写電圧)に制御信号を送り、作像系に入力されている高圧をすべてOFFにする(S207)。次に、制御部150は、現像モータ113に制御信号を送り、現像器14の現像ローラの駆動を停止させる(S208)。次に、制御部150は、ベルト駆動モータ112及びドラム駆動モータ111に制御信号を送り、中間転写ベルト31及び感光ドラム11の駆動速度を通常の画像形成時の半速まで低下させるか、又は中間転写ベルト31及び感光ドラム11の駆動を停止させる(S209)。次に、制御部150は、中間転写ベルト31及び感光ドラム11の駆動速度が上記半速まで減速した後、又は中間転写ベルト31又は感光ドラム11の回転が停止した後に、オフセット機構1(より詳細にはオフセットモータ110)に制御信号を送り、内ローラ32の位置を変更させる(S210)。
【0094】
内ローラ32の位置を変更した後は、上記変更前とは逆の手順でプリント動作へと復帰することになる。つまり、制御部150は、ドラム駆動モータ111及びベルト駆動モータ112に制御信号を送り、感光ドラム11及び中間転写ベルト31の駆動速度を通常の画像形成時の駆動速度まで増加させる(S211)。このとき、S209で感光ドラム11及び中間転写ベルト31の駆動を停止した場合は、感光ドラム11及び中間転写ベルト31の駆動を開始させて、感光ドラム11及び中間転写ベルト31の駆動速度を通常の画像形成時の駆動速度まで増加させる。次に、制御部150は、現像モータ113に制御信号を送り、現像器14の現像ローラの駆動を開始させる(S212)。次に、制御部150は、各画像形成部10などの作像系の各種高圧電源(帯電電圧、現像電圧、1次転写電圧、2次転写電圧)に制御信号を送り、作像系に入力する高圧を立ち上げる(S213)。このとき、制御部150は、記録材Sが変更されたことで、高圧条件などの画像形成条件に変更が必要な場合は、その画像形成条件の変更を行う。これにより、作像可能な状態となるため、制御部150は、S103の処理に戻り、次のページのプリント動作を行わせる。
【0095】
このように、本実施例では、混載ジョブの実行中にオフセット量Xを変更する場合、ベルト駆動モータ112が中間転写ベルト31の駆動速度を、転写を行う際の第1の速度から該第1の速度よりも小さい第2の速度に変更してから、オフセット機構1がオフセット動作を行う。そして、オフセット機構1がオフセット動作を行ってから、ベルト駆動モータ112が上記第2の速度から上記第1の速度への中間転写ベルト31の駆動速度の変更を行う。あるいは、本実施例では、混載ジョブの実行中にオフセット量Xを変更する場合、ベルト駆動モータ112が中間転写ベルト31の駆動を停止してから、オフセット機構1がオフセット動作を行う。そして、オフセット機構1がオフセット動作を行ってから、ベルト駆動モータ112が中間転写ベルト31の駆動を開始する。
【0096】
ここで、中間転写ベルト31の駆動速度を変更してからオフセット動作を行うとは、より具体的には、中間転写ベルト31の駆動速度が上記第2の速度(変更後の一定速度)に到達した時以降に、オフセット機構1がオフセット動作を開始することをいう。典型的には、上記第2の速度への到達よりもオフセット動作の開始の方が後であるが、上記第2の速度への到達とオフセット動作の開始とは略同時でもよい。上記第2の速度へ到達するタイミングは、中間転写ベルト31の駆動速度が実際に上記第2の速度に到達するタイミングの他、制御部150からベルト駆動装置112に入力される駆動信号が変化するタイミングなどに基づいて判断することができる。オフセット動作が開始するタイミングは、内ローラ32又は外ローラ41の移動が実際に開始するタイミングの他、制御部150からオフセット機構1(より詳細にはオフセットモータ110)への駆動信号の入力が開始するタイミング、制御部150からオフセット機構1へ駆動開始信号が入力されるタイミングなどに基づいて判断することができる。
【0097】
また、オフセット動作を行ってから中間転写ベルト31の駆動速度の変更を行うとは、より具体的には、オフセット機構1がオフセット動作を完了した時以降に、ベルト駆動モータ112が上記第2の速度から上記第1の速度への中間転写ベルト31の駆動速度の変更を開始することをいう。典型的には、オフセット動作の完了よりも駆動速度の変更の開始の方が後であるが、オフセット動作の完了と駆動速度の変更の開始とは略同時でもよい。オフセット動作が完了するタイミングは、内ローラ32又は外ローラ41の移動が実際に終了するタイミングの他、制御部150からオフセット機構1への駆動信号の入力が停止するタイミング、制御部150からオフセット機構1へ駆動停止信号が入力されるタイミングなどに基づいて判断することができる。また、駆動速度の変更の開始タイミングは、中間転写ベルト31の駆動速度が実際に変化し始めるタイミングの他、制御部150からベルト駆動装置112に入力される駆動信号が変化するタイミングなどに基づいて判断することができる。
【0098】
同様に、中間転写ベルト31の駆動を停止してからオフセット動作を行うとは、より具体的には、中間転写ベルト31の回転が停止した時以降に、オフセット機構1がオフセット動作を開始することをいう。典型的には、中間転写ベルト31の回転の停止よりもオフセット動作の開始の方が後であるが、中間転写ベルト31の回転の停止とオフセット動作の開始とは略同時でもよい。中間転写ベルト31の回転が停止するタイミングは、中間転写ベルト31が実際に停止するタイミングの他、制御部150からベルト駆動装置112への駆動信号の入力が停止するタイミング、制御部150からベルト駆動モータ112へ駆動停止信号が入力されるタイミングなどに基づいて判断することができる。また、オフセット動作が開始するタイミングは、前述のように判断することができる。
【0099】
また、オフセット動作を行ってから中間転写ベルト31の駆動を開始するとは、より具体的には、オフセット機構1がオフセット動作を完了した時以降に、中間転写ベルト31の回転が開始することをいう。典型的には、オフセット動作の完了よりも中間転写ベルト31の回転の開始の方が後であるが、オフセット動作の完了と中間転写ベルト31の回転の開始とは略同時でもよい。オフセット動作が完了するタイミングは、前述のように判断することができる。また、中間転写ベルト31の回転が開始するタイミングは、中間転写ベルト31が実際に回転し始めるタイミングの他、制御部150からベルト駆動装置112への駆動信号の入力が開始するタイミング、制御部150からベルト駆動モータ112へ駆動開始信号が入力されるタイミングなどに基づいて判断することができる。
【0100】
以上説明したように、本実施例によれば、内ローラ32の位置の変更によって中間転写ベルト31の表面速度を乱してしまったり、寄り量の変化を大きくしてしまったりすることを抑制することができる。また、本実施例によれば、実施例1と比べると中間転写ベルト31の駆動速度の変更の分だけ時間がかかるが、外ローラ41を中間転写ベルト41から離間させてからオフセット動作を行う場合と比べると生産性の低下を抑制することができる。したがって、本実施例によれば、実施例1と同様、生産性の低下を抑制しつつ、混載ジョブにおいて複数の種類の記録材Sのそれぞれに対する転写性の向上を図ることができる。
【0101】
[実施例3]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1のものと同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
【0102】
実施例1では、内ローラ32の位置を変更することでオフセット量Xを変更する場合について説明した。本実施例では、外ローラ41の位置を変更することでオフセット量Xを変更する場合について説明する。実施例1において「厚紙」の場合に内ローラ32を外ローラ41に対して中間転写ベルト31の回転方向の上流側に移動させたのに対応して、外ローラ41を内ローラ32に対して中間転写ベルト31の回転方向の下流側に移動させればよい。同様に、実施例1において「薄紙」の場合に内ローラ32を外ローラ41に対して中間転写ベルト31の回転方向の下流側に移動させたのに対応して、外ローラ41を内ローラ32に対して中間転写ベルト31の回転方向の上流側に移動させればよい。外ローラ41と内ローラ32とによって形成される2次転写ニップN2の形状(2次転写ニップN2の位置)は同様となることから、実施例1で説明したのと同様の効果を得ることができる。
【0103】
図11は、本実施例における2次転写ニップN2の近傍を内ローラ32の回転軸線方向の一端部側(図1の紙面手前側)から該回転軸線方向と略平行に見た要部の概略側面図である。図11には、内ローラ32の回転軸線方向の一端部の構成を示しているが、他端部の構成も同様(内ローラ32の回転軸線方向の中央に対して略対称)である。本実施例では、外ローラ41は、実施例1と同様に所定の第1の方向(例えば前述の基準線L1と略直交する方向)に沿って内ローラ32に向かう方向及びその反対方向(図11中白矢印方向)にスライド移動可能とされている。また、本実施例では、外ローラ41は、上記第1の方向とは独立して、該第1の方向と交差する所定の第2の方向(例えば前述の基準線L1と略平行な方向)に沿って記録材Sの搬送方向の下流側に向かう方向及びその反対方向(図11中黒矢印方向)にスライド移動可能とされている。
【0104】
本実施例では、外ローラ41の軸受43を上記第1の方向に沿ってスライド移動可能なように支持する支持部材132が、上記第2の方向にスライド移動可能なように装置本体100aのフレームなどに支持されている。また、支持部材132は、作動部材としてのオフセットカム131の作用によりスライド移動するように構成されている。オフセットカム131は、オフセットカム回転軸130を中心に回転可能なように、装置本体100aのフレームなどに支持されている。オフセットカム131は、駆動源としてのオフセットモータ133からの駆動を受けてオフセットカム回転軸130を中心に回転可能である。また、オフセットカム131は、支持部材132に設けられたオフセットカムフォロワ132aと接触している。また、支持部材132は、オフセットカムフォロワ132aがオフセットカム131と係合する方向にスライド移動するように、付勢手段としての付勢部材(弾性部材)である圧縮ばねなどで構成されたオフセットばね134によって付勢されている。このように、本実施例では、支持部材134、オフセットカム131、オフセットモータ133、オフセットばね134などを有してオフセット機構1が構成されている。
【0105】
「厚紙」の場合には、オフセットカム131がオフセットモータ133によって駆動されて例えば反時計回りに回転する。そして、支持部材132がオフセットばね134の付勢力によって記録材Sの搬送方向の下流側に向かう方向にスライド移動して、内ローラ32に対する外ローラ41の相対位置が決められる。これにより、オフセット量Xが相対的に小さい第1のオフセット量X1である第1の外ローラ位置に、外ローラ41が配置された状態となる。その結果、実施例1で説明したように、「厚紙」の搬送方向の後端部の画質の低下を抑制することができる。また、「薄紙」の場合には、オフセットカム131がオフセットモータ133によって駆動されて例えば時計回りに回転する。そして、支持部材132がオフセットばね134の付勢力に抗して記録材Sの搬送方向の上流側に向かう方向にスライド移動して、内ローラ32に対する外ローラ41の相対位置が決められる。これにより、オフセット量Xが相対的に大きい第2のオフセット量X2である第2の外ローラ位置に、外ローラ41が配置された状態となる。その結果、実施例1で説明したように、2次転写ニップN2を通過した後の「薄紙」の中間転写ベルト31からの分離性が向上する。
【0106】
なお、本実施例においても、離接機構2は、実施例1と同様の構成とされている。また、本実施例の構成は、実施例1、実施例2のいずれで説明した動作に対しても適用することができる。
【0107】
以上説明したように、本実施例の構成によっても、実施例1、2と同様の効果を得ることができる。ただし、本実施例では、外ローラ41を2方向に移動可能とする必要があるため、本実施例の構成と比較すると実施例1の構成の方が装置の構成の簡易化、小型化に有利であると言える。
【0108】
[実施例4]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1のものと同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
【0109】
実施例1では、内部材としての内ローラ32と共に2次転写ニップN2を形成する外部材として、中間転写ベルト31の外周面に直接当接する外ローラ41が用いられていた。これに対して、本実施例では、外部材として外ローラ及び該外ローラと他のローラとに張架された2次転写ベルトが用いられる。
【0110】
図12は、本実施例における2次転写ニップN2の近傍を内ローラ32の回転軸線方向の一端部側(図1の紙面手前側)から該回転軸線方向と略平行に見た要部の概略側面図である。本実施例では、画像形成装置100は、外部材として、張架ローラ46と、外ローラ41と、これらのローラ間に張架された2次転写ベルト45と、を有する。そして、外ローラ41が2次転写ベルト45を介して中間転写ベルト31の外周面に当接する。つまり、中間転写ベルト31の内周面に接触する内ローラ32と、2次転写ベルト45の内周面に接触する外ローラ41とで、中間転写ベルト31及び2次転写ベルト45を挟持することによって2次転写ニップN2を形成している。本実施例では、中間転写ベルト31と2次転写ベルト45との接触部が2次転写部としての2次転写ニップN2である。
【0111】
なお、本実施例においても、オフセット量Xは、実施例1と同様に、内ローラ32と外ローラ41との相対位置によって定義される。また、本実施例においても、離接機構2は、実施例1と同様の構成とされている。本実施例では、離接機構2は、実施例1と同様に外ローラ41を内ローラ32に対して離れる方向及び近づく方向に移動させて2次転写ベルト45を中間転写ベルト31に対して離間及び当接させる。また、本実施例の構成は、実施例1、実施例2のいずれで説明した動作に対しても適用することができる。また、本実施例のように外部材として外ローラ及び該外ローラと他のローラとに張架された2次転写ベルトが用いられる場合も、実施例3と同様に内ローラ32に対して外部材の位置を変更することでオフセット量Xを変更することができる。
【0112】
以上説明したように、本実施例の構成によっても、実施例1、2と同様の効果を得ることができる。また、本実施例では、2次転写ニップN2を通過する記録材Sの搬送性の向上を図ることができる。
【0113】
[その他]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
【0114】
上述の実施例では、記録材の剛度と関連する記録材の種類に関する情報として記録材の坪量の情報を用いたが、これに限定されるものではない。紙種カテゴリー(例えば、普通紙、コート紙などの表面性に基づく紙種カテゴリーなど)あるいは銘柄(メーカー、品番などを含む。)が同じである場合、記録材の坪量と記録材の厚さとは略比例関係にあることが多い(厚さが大きいほど坪量が大きい。)。また、紙種カテゴリーあるいは銘柄が同じである場合、記録材の剛度と、記録材の坪量あるいは厚さと、は略比例関係にあることが多い(坪量あるいは厚さが大きいほど剛度が大きい。)。したがって、例えば、紙種カテゴリーごと、銘柄ごと、あるいは紙種カテゴリーと銘柄との組み合わせごとに、記録材の坪量、厚さ、あるいは剛度に基づいて、オフセット量を設定することができる。そして、制御部は、操作部や外部装置から入力された、紙種カテゴリー、銘柄などの情報と、記録材の坪量、厚さ、剛度などの情報と、に基づいて、当該記録材に応じたオフセット量となるようにオフセット機構を動作させることができる。また、記録材の種類に関する情報として、例えば、記録材の坪量、厚さ、あるいは剛度といった定量的な情報を用いることに限定されるものではない。記録材の種類に関する情報として、例えば、紙種カテゴリー、銘柄、あるいは紙種カテゴリーと銘柄との組み合わせといった定性的な情報のみを用いることもできる。例えば、紙種カテゴリー、銘柄、あるいは紙種カテゴリーと銘柄との組み合わせに応じてオフセット量を設定しておき、制御部が操作部や外部装置などから入力された紙種カテゴリー、銘柄などの情報に応じてオフセット量を決定するようにすることができる。この場合も、それぞれの記録材の剛度の違いに基づいて、オフセット量を割り当てておくことになる。なお、記録材の剛度は、ガーレー剛度(MD/縦目)[mN]で代表することができ、市販のガーレー剛度試験機で測定することができる。例えば、上述の実施例における坪量の閾値52g/m未満の記録材としての、「薄紙」の一例のガーレー剛度(MD)は0.3mN程度であることがある。また、上述の実施例における坪量の閾値52g/m以上の記録材としての、「普通紙」(坪量80g/m程度)の一例のガーレー剛度(MD)は2mN程度、「厚紙」(坪量200g/m程度)の一例のガーレー剛度(MD)は20mN程度であることがある。
【0115】
また、上述の実施例では、制御部は、記録材の種類に関する情報を、操作者の操作による操作部や外部装置からの入力に基づいて取得するものとして説明したが、記録材の種類に関する情報を検知する検知手段の検知結果の入力に基づいて取得してもよい。例えば、記録材の坪量と相関する指標値を検知する坪量検知手段として坪量センサを用いることができる。坪量センサとしては、例えば、超音波の減衰を利用した坪量センサが知られている。この坪量センサは、記録材の搬送路を挟むように配置された、超音波発生部と、超音波受信部と、を有する。そして、坪量センサは、超音波発生部から発生され、記録材を透過することで減衰した超音波を超音波受信部で受信して、その超音波の減衰量に基づいて記録材の坪量と相関する指標値を検知する。なお、坪量検知手段は、記録材の坪量と相関する指標値を検知できるものであればよく、超音波を利用したものに限定されるものではなく、例えば光を利用したものであってもよい。また、記録材の坪量と相関する指標値は、坪量自体に限定されず、坪量に対応する厚さであってもよい。また、紙種カテゴリーの検知に利用できる記録材の表面の平滑性と相関する指標値を検知する平滑性検知手段としての表面性センサを用いることができる。表面性センサとしては、記録材に光を照射し、正反射光、乱反射光の強さを光量センサで読み取る正乱反射光センサが知られている。記録材の表面が平滑である場合、正反射光が強くなり、粗いと乱反射光が強くなる。そのため、表面性センサは、正反射光量と乱反射光量とを測定することで、記録材の表面の平滑性と相関する指標値を検知することができる。なお、平滑性検知手段は、記録材の表面の平滑性と相関する指標値を検知できるものであればよく、上記の光量センサを用いたものに限定されるものではなく、例えば撮像素子を用いたものであってもよい。記録材の表面の平滑性と相関する指標値は、ベック平滑度などの所定の規格に従う値に換算された値に限定されるものではなく、記録材の表面の平滑性と相関性を有する値であればよい。これらの検知手段は、例えば、記録材の搬送方向に関してレジストローラよりも上流の記録材の搬送路に隣接して配置することができる。また、例えば上記坪量センサ、表面性センサなどが1つのユニットとして構成されたもの(メディアセンサ)を用いてもよい。
【0116】
また、上述の実施例では、オフセット機構、離接機構として、カムにより可動部を作動させるアクチュエータを用いたが、これに限定されるものではない。オフセット機構、離接機構は、それぞれ上述の実施例に準じた動作を実現できるものであればよく、例えば、ソレノイドを用いて可動部を作動させるアクチュエータを用いてもよい。
【0117】
また、上述の実施例では、内ローラ又は外ローラのいずれかを移動させる構成について説明したが、内ローラと外ローラとの両方を移動させてオフセット量を変更するようにしてもよい。
【0118】
また、上述の実施例では、ベルト状の像担持体が中間転写ベルトである場合について説明したが、画像形成位置で担持されたトナー像を搬送する無端状のベルトで構成された像担持体であれば、本発明を適用することができる。このようなベルト状の像担持体としては、上述の実施例における中間転写ベルトの他、感光体ベルトや静電記録誘電体ベルトが例示できる。
【0119】
また、本発明は、上述の実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。したがって、ベルト状の像担持体を用いる画像形成装置であれば、タンデム型/1ドラム型、帯電方式、静電像形成方式、現像方式、転写方式、定着方式の区別無く実施できる。上述の実施例では、トナー像の形成/転写に係る主要部を中心に説明したが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機など、種々の用途で実施できる。
【符号の説明】
【0120】
1 オフセット機構(位置変更機構)
2 離接機構
31 中間転写ベルト
32 内ローラ
37 2次転写前ローラ
41 外ローラ
44 押圧ばね
83 搬送ガイド
S 記録材
X オフセット量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-10-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体との間で転写ニップを形成し、前記トナー像を転写する転写ローラと、
前記像担持体の回転方向に関する前記転写ニップの位置を変更する第1の位置変更機構と、
第2の位置変更機構であって、前記転写ローラが前記像担持体を押圧して前記転写ニップを形成する第1の位置と、前記転写ローラが前記像担持体を押圧しない第2の位置と、の間で前記転写ローラの位置を変更する第2の位置変更機構と、
前記第1の位置変更機構及び前記第2の位置変更機構を制御する制御部と、
を有し、
複数の記録材に画像を形成して出力する連続画像形成ジョブの実行中における、第1の画像領域の後端が前記転写ニップに到達した後、かつ、前記第1の画像領域の次の第2の画像領域の先端が前記転写ニップに到達する前の期間に、前記像担持体の前記回転方向に関する前記転写ニップの位置が変更される動作が実行される場合に、前記期間において、前記制御部は、
(i)前記転写ローラが前記像担持体を押圧した状態で、前記像担持体の前記回転方向に関する前記転写ニップの位置を変更するように、前記第1の位置変更機構及び前記第2の位置変更機構を制御し、
(ii)前記転写ニップの位置の変更が完了した後に、前記第2の画像領域のための潜像の形成が開始されるように、画像形成動作を制御する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記記録材の種類に基づいて、前記第1の位置変更機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ジョブの終了に伴って、前記転写ローラの位置を前記第1の位置から前記第2の位置に変更するように、前記第2の位置変更機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記記録材の種類に基づいて、前記転写ニップの位置を第1の転写ニップ位置及び第2の転写ニップ位置のうちの1つに変更するように、前記第1の位置変更機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体との間で転写ニップを形成し、前記トナー像を転写する転写ローラと、
前記像担持体の回転方向に関する前記転写ニップの位置を変更するように前記転写ローラの位置を変更する位置変更機構であって、前記転写ローラが前記像担持体を押圧して前記転写ニップを形成する第1の位置と、前記転写ローラが前記像担持体を押圧しない第2の位置と、の間で前記転写ローラの位置を変更する位置変更機構と、
前記位置変更機構を制御する制御部と、
を有し、
複数の記録材に画像を形成して出力する連続画像形成ジョブの実行中における、第1の画像領域の後端が前記転写ニップに到達した後、かつ、前記第1の画像領域の次の第2の画像領域の先端が前記転写ニップに到達する前の期間に、前記像担持体の前記回転方向に関する前記転写ニップの位置が変更される動作が実行される場合に、前記期間において、前記制御部は、
(i)前記転写ローラが前記像担持体を押圧した状態で、前記像担持体の前記回転方向に関する前記転写ニップの位置を変更するように、前記位置変更機構を制御し、
(ii)前記転写ニップの位置の変更が完了した後に、前記第2の画像領域のための潜像の形成が開始されるように、画像形成動作を制御する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記期間において前記動作が実行される場合に、前記制御部は、前記ジョブの終了に伴って、前記転写ローラの位置を前記第1の位置から前記第2の位置に変更するように、前記位置変更機構を制御することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記記録材の種類に基づいて、前記位置変更機構を制御することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記記録材の種類に基づいて、前記転写ニップの位置を第1の転写ニップ位置及び第2の転写ニップ位置のうちの1つに変更するように、前記位置変更機構を制御することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体との間で転写ニップを形成し、前記トナー像を転写する転写ローラと、前記像担持体の回転方向に関する前記転写ニップの位置を変更する第1の位置変更機構と、第2の位置変更機構であって、前記転写ローラが前記像担持体を押圧して前記転写ニップを形成する第1の位置と、前記転写ローラが前記像担持体を押圧しない第2の位置と、の間で前記転写ローラの位置を変更する第2の位置変更機構と、前記第1の位置変更機構及び前記第2の位置変更機構を制御する制御部と、を有し、複数の記録材に画像を形成して出力する連続画像形成ジョブの実行中における、第1の画像領域の後端が前記転写ニップに到達した後、かつ、前記第1の画像領域の次の第2の画像領域の先端が前記転写ニップに到達する前の期間に、前記像担持体の前記回転方向に関する前記転写ニップの位置が変更される動作が実行される場合に、前記期間において、前記制御部は、(i)前記転写ローラが前記像担持体を押圧した状態で、前記像担持体の前記回転方向に関する前記転写ニップの位置を変更するように、前記第1の位置変更機構及び前記第2の位置変更機構を制御し、(ii)前記転写ニップの位置の変更が完了した後に、前記第2の画像領域のための潜像の形成が開始されるように、画像形成動作を制御する、ことを特徴とする画像形成装置である。
本発明の他の態様によると、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体との間で転写ニップを形成し、前記トナー像を転写する転写ローラと、前記像担持体の回転方向に関する前記転写ニップの位置を変更するように前記転写ローラの位置を変更する位置変更機構であって、前記転写ローラが前記像担持体を押圧して前記転写ニップを形成する第1の位置と、前記転写ローラが前記像担持体を押圧しない第2の位置と、の間で前記転写ローラの位置を変更する位置変更機構と、前記位置変更機構を制御する制御部と、を有し、複数の記録材に画像を形成して出力する連続画像形成ジョブの実行中における、第1の画像領域の後端が前記転写ニップに到達した後、かつ、前記第1の画像領域の次の第2の画像領域の先端が前記転写ニップに到達する前の期間に、前記像担持体の前記回転方向に関する前記転写ニップの位置が変更される動作が実行される場合に、前記期間において、前記制御部は、(i)前記転写ローラが前記像担持体を押圧した状態で、前記像担持体の前記回転方向に関する前記転写ニップの位置を変更するように、前記位置変更機構を制御し、(ii)前記転写ニップの位置の変更が完了した後に、前記第2の画像領域のための潜像の形成が開始されるように、画像形成動作を制御する、ことを特徴とする画像形成装置が提供される。