(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178963
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】薬剤登録システム、薬剤登録プログラム、及び薬剤登録方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20241219BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097388
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】593129342
【氏名又は名称】株式会社タカゾノ
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】弘永 雅之
(72)【発明者】
【氏名】合屋 正昭
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】区画内の収納エリアの数や収納エリアの大きさが変更された場合にも容易に対応可能な薬剤登録システムを提供する。
【解決手段】薬剤登録システム1は、読取装置10と、管理装置20と、を備える。読取装置10は、薬剤棚を水平方向又は鉛直方向に区切った1区画ごとに設けられる区画コードを読み取るとともに、区画に並べて配置されている薬剤のGS1コードを読み取る。管理装置20は、少なくとも、読取装置10が読み取った区画コードと、読取装置10が区画の一方側の端から他方側の端に向けて順番に読み取ったGS1コードと、に基づいて、区画と、区画内に順番に設定された収納エリアと、収納エリアに収納される薬剤と、を対応付けて、薬剤位置データベースとして登録する。以上の処理は、管理装置20の制御部21が薬剤登録プログラムを実行することで行われる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤棚を水平方向又は鉛直方向に区切った1区画ごとに設けられる区画コードを読み取るとともに、当該区画に並べて配置されている薬剤の薬剤コードを読み取る読取装置と、
少なくとも、前記読取装置が読み取った前記区画コードと、前記読取装置が前記区画の一方側の端から他方側の端に向けて順番に読み取った前記薬剤コードと、に基づいて、前記区画と、当該区画内に順番に設定された収納エリアと、当該収納エリアに収納される薬剤と、を対応付けて、薬剤位置データベースとして登録する管理装置と、
を備えることを特徴とする薬剤登録システム。
【請求項2】
請求項1に記載の薬剤登録システムであって、
前記読取装置は、前記収納エリアごとに設けられるエリアコードを読み取り、
前記管理装置は、前記読取装置が読み取ったエリアコードと、当該エリアコードの読取りの直前又は直後に読み取った前記薬剤コードと、を対応付けて、前記薬剤位置データベースとして登録することを特徴とする薬剤登録システム。
【請求項3】
請求項2に記載の薬剤登録システムであって、
前記薬剤位置データベースの更新時において、
収納される薬剤が変更された前記収納エリアの前記エリアコードと、当該収納エリアに収納される薬剤の前記薬剤コードと、の前記読取装置による読取結果に基づいて、前記管理装置は、前記薬剤位置データベースを更新することを特徴とする薬剤登録システム。
【請求項4】
請求項1に記載の薬剤登録システムであって、
前記薬剤棚に水平方向に平行に設けられた棚板により区切られることで区画が形成され、当該棚板には前記区画コードとしての棚板コードが設けられており、
前記読取装置は、前記棚板に設けられた前記棚板コードを読み取ることを特徴とする薬剤登録システム。
【請求項5】
請求項1に記載の薬剤登録システムであって、
前記管理装置は、薬剤に関する処理を行う薬剤管理システムと通信可能であり、
前記管理装置は、新たに作成した前記薬剤位置データベース又は更新した前記薬剤位置データベースを前記薬剤管理システムに送信することを特徴とする薬剤登録システム。
【請求項6】
薬剤棚を水平方向又は鉛直方向に区切った1区画ごとに設けられる区画コードの読取結果と、当該区画に並べて配置されている薬剤の薬剤コードを、前記区画の一方側の端から他方側の端に向けて順番に読み取って得られる読取結果と、を受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信した前記読取結果に基づいて、前記区画と、当該区画内に順番に設定された収納エリアと、当該収納エリアに収納される薬剤と、を対応付けて、薬剤位置データベースとして登録する登録ステップと、
をコンピュータに実行させるための薬剤登録プログラム。
【請求項7】
薬剤棚を水平方向又は鉛直方向に区切った1区画ごとに設けられる区画コードを読み取るとともに、当該区画に並べて配置されている薬剤の薬剤コードを、前記区画の一方側の端から他方側の端に向けて順番に読み取る読取工程と、
前記読取工程で読み取った前記区画コードと、前記読取工程で読み取った前記薬剤コードと、に基づいて、前記区画と、当該区画内に順番に設定された収納エリアと、当該収納エリアに収納される薬剤と、を対応付けて、薬剤位置データベースとして登録する登録工程と、
を含むことを特徴とする薬剤登録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤と収納エリアとを対応付けて薬剤位置データベースとして登録する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、コードリーダと端末装置を備える医薬品入庫業務支援システムを開示する。コードリーダは、医薬品の包装に付されているコードを読み取る。端末装置は、医薬品の収納場所の候補を提示して、ユーザの操作を受け付ける。端末装置は、ユーザの操作により選択された収納場所と医薬品とを関連付けてデータベースを登録し直す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、収納場所とは、薬剤棚等を特定する情報と、薬剤棚にある収納庫等を特定する情報である。しかし、特許文献1では、収納庫の位置や大きさを変更した場合の処理について記載されていない。例えば、収納エリア(収納庫を配置する場所)ごとにIDが付されている場合、収納エリアの大きさや数が変わった場合に容易に対応できない。なお、この課題は、収納庫を用いずに薬剤を収納する場合においても発生し得る。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、区画内の収納エリアの数や収納エリアの大きさが変更された場合にも容易に対応可能な薬剤登録システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の薬剤登録システムが提供される。即ち、薬剤登録システムは、読取装置と、管理装置と、を備える。前記読取装置は、薬剤棚を水平方向又は鉛直方向に区切った1区画ごとに設けられる区画コードを読み取るとともに、当該区画に並べて配置されている薬剤の薬剤コードを読み取る。前記管理装置は、少なくとも、前記読取装置が読み取った前記区画コードと、前記読取装置が前記区画の一方側の端から他方側の端に向けて順番に読み取った前記薬剤コードと、に基づいて、前記区画と、当該区画内に順番に設定された収納エリアと、当該収納エリアに収納される薬剤と、を対応付けて、薬剤位置データベースとして登録する。
【0008】
区画ごとに区画コードが設定され、かつ、収納エリアは区画内の順番で定められるため、仮に区画内の収納エリアの数や収納エリアの大きさが変更された場合にも容易に対応可能である。
【0009】
前記の薬剤登録システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記読取装置は、前記収納エリアごとに設けられるエリアコードを読み取る。前記管理装置は、前記読取装置が読み取ったエリアコードと、当該エリアコードの読取りの直前又は直後に読み取った前記薬剤コードと、を対応付けて、前記薬剤位置データベースとして登録する。
【0010】
これにより、エリアコードと薬剤コードを交互に読み取り、適当なタイミングで区画コードを読み取るだけで、薬剤の位置を登録できる。
【0011】
前記の薬剤登録システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記薬剤位置データベースの更新時において、収納される薬剤が変更された前記収納エリアの前記エリアコードと、当該収納エリアに収納される薬剤の前記薬剤コードと、の前記読取装置による読取結果に基づいて、前記管理装置は、前記薬剤位置データベースを更新する。
【0012】
薬剤位置データベースの更新時に全ての薬剤コードを読み直す必要がないため、作業者の手間を小さくできる。
【0013】
前記の薬剤登録システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記薬剤棚に水平方向に平行に設けられた棚板により区切られることで区画が形成され、当該棚板には前記区画コードとしての棚板コードが設けられている。前記読取装置は、前記棚板に設けられた前記棚板コードを読み取る。
【0014】
これにより、棚板ごとに区画を区切って薬剤を管理できる。
【0015】
前記の薬剤登録システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記管理装置は、薬剤に関する処理を行う薬剤管理システムと通信可能である。前記管理装置は、新たに作成した前記薬剤位置データベース又は更新した前記薬剤位置データベースを前記薬剤管理システムに送信する。
【0016】
これにより、薬剤登録システムが作成した薬剤位置データベースを別のシステムにも活用させることができる。
【0017】
本発明の第2の観点によれば、以下の薬剤登録プログラムが提供される。即ち、薬剤登録プログラムは、受信ステップと、登録ステップと、をコンピュータに実行させる。前記受信ステップでは、薬剤棚を水平方向又は鉛直方向に区切った1区画ごとに設けられる区画コードの読取結果と、当該区画に並べて配置されている薬剤の薬剤コードを、前記区画の一方側の端から他方側の端に向けて順番に読み取って得られる読取結果と、を受信する。前記登録ステップでは、前記受信ステップで受信した前記読取結果に基づいて、前記区画と、当該区画内に順番に設定された収納エリアと、当該収納エリアに収納される薬剤と、を対応付けて、薬剤位置データベースとして登録する。
【0018】
本発明の第3の観点によれば、以下の薬剤登録方法が提供される。即ち、薬剤登録方法は、読取工程と、登録工程と、を含む。前記読取工程では、薬剤棚を水平方向又は鉛直方向に区切った1区画ごとに設けられる区画コードを読み取るとともに、当該区画に並べて配置されている薬剤の薬剤コードを、前記区画の一方側の端から他方側の端に向けて順番に読み取る。前記登録工程では、前記読取工程で読み取った前記区画コードと、前記読取工程で読み取った前記薬剤コードと、に基づいて、前記区画と、当該区画内に順番に設定された収納エリアと、当該収納エリアに収納される薬剤と、を対応付けて、薬剤位置データベースとして登録する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る薬剤登録システムのブロック図。
【
図4】コードの読取時に読取装置が行う処理を示すフローチャート。
【
図6】読取情報に基づいて管理装置が薬剤位置データベースの新規登録又は更新を行う処理を示すフローチャート。
【
図7】管理装置に記憶される薬剤位置データベースを示す図。
【
図8】鉛直方向に区切られた1区画ごとに区画コードが設けられる薬剤棚の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。初めに、
図1及び
図2を参照して、薬剤登録システム1の概要について説明する。
【0021】
図1に示す薬剤登録システム1は、薬局又は病院で使用される。薬局又は病院には、
図2に示すような薬剤棚30が複数設けられている。それぞれの薬剤棚30には、様々な種類の薬剤が収納されている。薬剤登録システム1は、薬剤の位置を登録して管理する。薬剤登録システム1は、例えば、調剤の補助に用いられる。調剤とは、薬剤師又は調剤補助員が処方箋に記載された情報に基づいて薬剤を準備して揃えることである。薬剤登録システム1を用いることにより、必要な薬剤の位置が分かるため、薬剤師又は調剤補助員は、短い時間で調剤を完了させることができる。
【0022】
図1に示すように、薬剤登録システム1は、読取装置10と、管理装置20と、を備える。以下、読取装置10と管理装置20の構成について説明する。
【0023】
読取装置10は、作業者が手に持って用いる携帯型のバーコードリーダである。本実施形態の読取装置10は、バーコードを読み取るタイプであるが、バーコード以外のコード(例えばマトリックス型の2次元コード)を読み取るタイプであってもよい。読取装置10は、制御部11と、記憶部12と、表示部13と、操作部14と、通信部15と、読取部16と、を備える。
【0024】
制御部11は、CPU等の演算装置である。記憶部12は、フラッシュメモリ等のストレージである。記憶部12には読取装置10の処理に用いるプログラムが記憶されている。制御部11は、記憶部12に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、読取装置10に関する様々な処理を行う。
【0025】
表示部13は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等であり、情報を表示可能である。表示部13には、作業者がバーコードを読み取る作業を補助するための情報が表示される。操作部14は、装置の表面に配置されたハードウェアキーである。作業者は操作部14を操作することにより、読取装置10に対して指示を行う。操作部14は、ハードウェアキーに限られず、タッチパネルであってもよい。
【0026】
通信部15は、通信用基板等であり、バーコードを読み取って得られたデータを管理装置20へ送信する処理を行う。通信部15は、例えば通信用基板に設けられたコネクタを含む。通信ケーブルの一端は読取装置10のコネクタに接続され、通信ケーブルの他端は管理装置20に接続される。これにより、通信部15は、データを管理装置20に送信可能である。
【0027】
読取部16は、検査光又は自然光がバーコードで反射した光を検出する光センサである。読取部16の検出結果は制御部11へ出力される。制御部11は、読取部16の検出結果に基づいてバーコードが示す情報(数字列、文字列)を特定して、記憶部12に記憶する。なお、読取部16が読み取る対象のバーコードの詳細は後述する。
【0028】
管理装置20は、病院又は薬局に配置されるデスクトップPC、ノートPC、又はタブレットPC等である。管理装置20は、制御部21と、記憶部22と、表示部23と、操作部24と、通信部25と、を備える。
【0029】
制御部21は、CPU等の演算装置である。記憶部22は、HDD、SSD、又はフラッシュメモリ等のストレージである。記憶部22には管理装置20の処理に用いるプログラムが記憶されている。制御部21は、記憶部22に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、読取装置10から受信した情報に対して様々な処理を行う。
【0030】
表示部23は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等であり、情報を表示可能である。操作部24は、キーボード、マウス、又はタッチパネル等である。作業者が操作部24を操作して管理装置20に指示を行うことにより、記憶部22が記憶する情報を表示部23に表示させることができる。
【0031】
通信部25は、通信用基板等であり、上述した通信部15と通信ケーブルを介して通信可能である。更に、通信部25は、LANを介して、薬剤管理システム100と通信可能である。
【0032】
薬剤管理システム100は、薬剤の管理に関する処理を行うシステムである。薬剤管理システム100は、例えば、調剤システム、在庫管理システム、発注システム及びレセコンを含む。調剤システムは、患者から受領した処方箋に基づいて、調剤を行うためのデータである調剤データを作成する。在庫管理システムは、病院又は薬局の薬剤の在庫を管理する。発注システムは、薬剤の発注を行う。レセコンは、調剤作業に応じて診療報酬明細書を作成する。これらのシステムは、個別のコンピュータにより実現されてもよいし、共通のコンピュータにより実現されてもよい。また、薬剤管理システム100を実現するコンピュータが管理装置20と共通であってもよい。薬剤管理システム100は、上述した全てのシステムを有する必要はなく、少なくとも1つを含んでいればよい。
【0033】
図2に示すように、薬剤棚30は、複数の棚板31を備える。棚板31は、水平方向に設けられている。言い換えれば、棚板31の長手方向は、水平面に平行である。これにより、薬剤棚30は、棚板31により水平方向に区切られる。上下に平行に配置された2つの棚板で囲まれる領域は、薬剤を収納するための領域である。また、棚板31の側板には、鉛直方向に所定のピッチで取付孔34が形成されている。取付孔34に挿入された支持棒35によって、棚板31が支持される。支持棒35を挿入する取付孔34を変更することにより、棚板31の高さを変更可能である。これにより、薬剤を収納する領域の高さを変更可能である。
【0034】
棚板31には、仕切り32を配置可能である。仕切り32は、薬剤を収納するための領域を鉛直方向に仕切る。仕切り32は、水平方向の位置を変更可能である。これにより、薬剤を収納する領域の幅(水平方向の長さ)を変更可能である。
【0035】
薬剤箱33は、薬剤が収納される箱である。薬剤箱33は、薬剤の包装パッケージであってもよいし、包装パッケージから取り出した薬剤を整理して収納するための別の箱であってもよい。
【0036】
本実施形態では、2枚の棚板31で囲まれる領域を、複数の収納エリアに分けて管理する。1つの収納エリアには、同一種類の薬剤が収納される。収納エリアは、仕切り32で区分される他、薬剤箱33同士の間隔を空けることで区分されてもよい。本実施形態の薬剤棚30では、収納エリアの大きさを容易に変更可能である。
【0037】
図3に示すように、棚板31には、区画コード41(棚板コード)が設けられている。区画コード41は、棚板31毎に設けられており、棚板31毎の固有の文字列を示すコードが記述されている。区画コード41は、同じ薬剤棚30内で重複しないだけでなく、病院又は薬局内で重複がないように作成される。詳細には、区画コード41は、薬剤棚30を特定する情報(
図3の例では「A」)と、薬剤棚30の棚板31を特定する情報(
図3の例では「2」)と、が含まれている。
【0038】
棚板31には、更に、エリアコード42が設けられている。エリアコード42は、収納エリア毎に設けられる。エリアコード42は、同じ棚板31内では重複しないが、異なる棚板31同士では重複してもよい。エリアコード42は、収納エリアを特定する情報(
図3の例では「001」又は「002」)が含まれている。収納エリアは、一方側(本実施形態では左側)から順番に設定される。従って、収納エリアを特定する情報は、順番が分かり易いように数字又はアルファベットを含むことが好ましい。
【0039】
区画コード41及びエリアコード42は、例えばシールであり、棚板31に貼り付けられる。あるいは、区画コード41及びエリアコード42を差し込むための部材を棚板31に設けてもよい。上述したように、棚板31の高さを変更可能である。区画コード41は棚板31に固定されているため、棚板31の高さを変更しても区画コード41を貼り直す必要はない。一方、収納エリアの幅を変更した場合、収納エリアの幅の変更に合わせてエリアコード42の位置を変更する必要がある。例えば、エリアコード42がシールである場合は、エリアコード42を新たに発行して貼り付けるか、エリアコード42を貼り直す。エリアコード42を差し込む部材が設けられている場合は、エリアコード42を差し込む位置を変更する。
【0040】
薬剤箱33には、GS1コード(薬剤コード)43が設けられている。GS1コード43は、薬剤を特定するためのコードである。詳細には、GS1コード43は、調剤包装単位で付されるコードである。なお、薬剤コードはGS1コードに限られず、他の規格のコードであってもよい。
【0041】
次に、
図4及び
図5を参照して、各種コード(区画コード41、エリアコード42、GS1コード43)を読取装置10で読み取る処理(読取工程)について説明する。
図4に示すフローチャートは、読取装置10の制御部11によって実行される。
【0042】
作業者が行う作業は、以下のとおりである。即ち、作業者は、読取装置10を手に持って、初めに区画コード41を読み取り、その後は棚板31の一方側から順番に、エリアコード42とGS1コード43を交互に読み取る。作業者は、1つの棚板31の全てのエリアコード42を読み取った後に、操作部14の完了ボタンを押下することにより、作業が完了した旨を読取装置10に知らせる。
【0043】
制御部11は、初めに、区画コード41を読み取ったか否かを判定する(S101)。制御部11は、区画コード41を読み取ったと判定した場合、読み取った区画コード41を記憶部12に記憶するとともに、エリアコードを読み取ったか否かを判定する(S102)。制御部11は、エリアコード42を読み取ったと判定した場合、読み取ったエリアコード42を記憶部12に記憶するとともに、GS1コード43を読み取ったか否かを判定する(S103)。
【0044】
制御部11は、GS1コード43を読み取ったと判定した場合、読み取ったGS1コード43を記憶部12に記憶するとともに、完了ボタンが操作されたか否かを判定する(S104)。制御部11は、完了ボタンが操作されていない場合、再びステップS102の処理に戻り、エリアコード42とGS1コード43の読取りを継続する。制御部11は、完了ボタンが操作されたと判定した場合、対象の棚板31に関する読取りが完了したため、取得した各種コードを対応付ける。以上により、1つの棚板31に対する各種コードの読取りが完了する。
【0045】
薬剤位置データベースを新規に作成する場合、作業者は、全ての区画コード41(全ての棚板31)に対して、
図4のフローチャートに示す処理を行う。薬剤位置データベースを更新する場合、作業者は、薬剤の収納に関して変更があった区画コード41(棚板31)に対して、
図4のフローチャートに示す処理を行う。
【0046】
必要な棚板31に対して
図4に示す処理が完了することにより、読取装置10の記憶部12には、
図5に示す読取情報が記憶される。読取情報は、区画コード41について、エリアコード42とGS1コード43とを対応付けた情報である。対応付けられるエリアコード42とGS1コード43は、ステップS102とステップS103で連続して読み取られたコードである。
【0047】
次に、
図6及び
図7を参照して、読取装置10が生成した読取情報に基づいて薬剤位置データベースの新規登録又は更新を行う処理について説明する。
図6に示すフローチャートは、管理装置20の制御部21によって実行される。
【0048】
作業者は、各種コードを読み取った読取装置10と管理装置20を接続し、管理装置20の操作部24を操作して、薬剤位置データベースの新規登録又は更新を指示する。これにより、制御部21は、プログラムを実行することにより読取情報を受信する(受信ステップ)。
【0049】
制御部21は、読取装置10から読取情報を受信したか否かを判定し(S201)、読取情報を受信したと判定した場合、読み取った区画コードに対応する項目を、読取情報を用いて書き替えて、薬剤位置データベースを作成又は更新する(S202、登録工程、登録ステップ)。
【0050】
薬剤位置データベースを新規登録する場合、制御部21は、読取装置10から受信した読取情報に基づいて、新たに薬剤位置データベースを作成する。薬剤位置データベースを更新する場合、制御部21は、読取装置10から受信した読取情報(即ち、更新する分の読取情報)に基づいて、薬剤位置データベースを更新する。
【0051】
図7には、薬剤位置データベースの内容が示されている。薬剤位置データベースは、薬剤ID、薬剤名、YJコード、GS1コード43、区画コード41、及びエリアコード42を対応付けたデータベースである。薬剤IDは、薬剤位置データベースを管理するための固有のIDである。薬剤名は薬剤の名称である。YJコードは、個別医薬品コードであり、成分及び含有量が同じであっても商品名が異なれば違うコードが付される。GS1コード43が特定されることにより、別のデータベースを参照して、薬剤名及びYJコードを特定できる。なお、薬剤名及びYJコードは作業者が別途入力してもよい。
【0052】
薬剤位置データベースには、区画コード41及びエリアコード42が含まれている。従って、管理装置20は、指定されたYJコード又はGS1コード43に対応する、区画コード41及びエリアコード42を出力できる。これにより、薬剤位置データベースを用いて、調剤を補助することができる。
【0053】
上述した薬剤位置データベースは一例であり、例えば薬剤名を省略してもよい。また、YJコードとGS1コード43の何れか一方を省略してもよい。また、在庫状況、薬剤の区分(種類)等の情報を付加してもよい。
【0054】
次に、制御部21は、ステップS202で登録した薬剤が別のエリアコードに登録済みか否かを判定する(S203)。薬剤登録システム1では、同一の薬剤は1箇所に収容することを前提としている。そのため、登録した薬剤が別のエリアコードに登録されている場合、薬剤の位置が変更になったと推測される。そのため、記憶部12は、登録した薬剤が別のエリアコードに登録済みと判定した場合、別のエリアコードに登録済みのデータを削除する。これにより、同一の薬剤が複数のエリアコードに対応付けられることを防止できる。なお、ステップS203及びS204の処理は補助的なものであり、省略可能である。あるいは、別のエリアコードに登録済みのデータを削除する前に、削除の要否を作業者に問い合わせてもよい。
【0055】
次に、制御部21は、作成又は更新した薬剤位置データベースを薬剤管理システム100に送信する(S205)。薬剤管理システム100は薬剤の管理を行うため、薬剤位置データベースが供給されることにより、より良好な機能を実現できる。例えば、調剤システムが薬剤位置データベースを用いることにより、上述したように調剤で必要な薬剤の位置を指示できる。在庫管理システムが薬剤位置データベースを用いることにより、薬剤の位置と薬剤の在庫を一括して管理できる。発注システムが薬剤位置データベースを用いることにより、同じ薬剤棚30に収納される薬剤が同じ段ボール箱で届く、又は、到着した段ボール箱の伝票に収容先の薬剤棚30の位置を示す等の処理を実現できる。
【0056】
次に、区画コード41を利用するメリットについて説明する。
【0057】
薬剤の位置の管理方法としては、薬剤棚30の収納エリア毎に個別のエリアコード42を設定し、区画コード41を用いない方法も考えられる。しかし、この管理方法では、収納エリアの数を変更した場合の処理が煩雑となる。つまり、収納エリアの数が減った場合は収納エリアの番号が飛んでしまい、収納エリアの数が増えた場合は収納エリアの番号が足りなくなる。その結果、薬剤師又は調剤補助者が収納エリアを見つける際に手間が掛かる。一方で、収納エリアの番号を振り直した場合は、再登録に多大な手間が掛かる。
【0058】
この点、本実施形態では、収納エリアは区画コード41毎に連番であるだけで良い。そのため、収納エリアの数を変更しても1つの区画コード41に対する収納エリアを再登録するだけでよい。そのため、本実施形態では、収納エリアの連番を維持しつつ、再登録の手間も殆ど掛からない。
【0059】
次に、本実施形態の様々な変形例について説明する。
【0060】
本実施形態の薬剤棚30は、2つの棚板31で挟まれる領域(即ち、薬剤棚30を水平方向で区切った領域)を1つの区画とする。これに対し、
図8に示す薬剤棚30は、2つの棚仕切り38で挟まれる領域(即ち、薬剤棚30を鉛直方向に区切った領域)を1つの区画とする。棚仕切り38の長手方向は鉛直方向と平行である。
【0061】
エリアコード42は必須の構成要素ではなく省略可能である。この場合、コードの読取時において、予め定めた方向から順にGS1コード43を読み込む。読取装置10又は管理装置20は、読み込んだ順番を、収納エリアを特定する情報として取り扱う。例えば、区画コード41がA1であり、3番目にGS1コード43を読み取った薬剤がある場合、このGS1コード43に対応する薬剤は、区画コード41の3番目のエリアに位置するとして登録する。
【0062】
本実施形態では、エリアコード42及びGS1コード43の読取前に区画コード41を読み取る。これに代えて、エリアコード42及びGS1コード43の読取後に区画コード41を読み取ってもよい。あるいは、区画コード41のコード形態が、エリアコード42及びGS1コード43のコード形態とは異なる場合、任意のタイミングで区画コード41を読み取ってもよい。
【0063】
本実施形態では、更新時においても、1つの区画(棚板31)の全ての収納エリアについて、エリアコード42とGS1コード43を読み取る。これに代えて、1つの区画(棚板31)のうち変更した収納エリアのみ、エリアコード42とGS1コード43を読み取ってもよい。この場合、管理装置20における登録時において、読み取られたエリアコード42とGS1コード43に対応するデータのみが更新され、他のエリアコード42に対応するデータは更新されない。
【0064】
あるいは、読取装置10の操作部14にスキップボタンを設定してもよい。作業者は、収納する薬剤に変更がない収納エリアに対しては、スキップボタンを押すことでエリアコード42とGS1コード43の読取りを省略する。管理装置20は、スキップボタンが押されたことを特定し、スキップボタンが押された収納エリアについては薬剤位置データベースの更新を行わない。
【0065】
読取装置10の操作部14に空ボタンを設定してもよい。作業者は、薬剤が収納されていない収納エリアについては、GS1コード43を読み取る代わりに空ボタンを押す。管理装置20は、空ボタンが押された収納エリアについては薬剤の情報を登録しない。
【0066】
以上に説明したように、本実施形態の薬剤登録システム1は、読取装置10と、管理装置20と、を備える。読取装置10は、薬剤棚30を水平方向又は鉛直方向に区切った1区画ごとに設けられる区画コード41を読み取るとともに、区画に並べて配置されている薬剤のGS1コード43を読み取る。管理装置20は、少なくとも、読取装置10が読み取った区画コード41と、読取装置10が区画の一方側の端から他方側の端に向けて順番に読み取ったGS1コード43と、に基づいて、区画と、区画内に順番に設定された収納エリアと、収納エリアに収納される薬剤と、を対応付けて、薬剤位置データベースとして登録する。以上の処理は、管理装置20の制御部21が薬剤登録プログラムを実行することで行われる。
【0067】
区画ごとに区画コード41が設定され、かつ、収納エリアは区画内の順番で定められるため、仮に区画内の収納エリアの数や収納エリアの大きさが変更された場合にも容易に対応可能である。
【0068】
本実施形態の薬剤登録システム1において、読取装置10は、収納エリアごとに設けられるエリアコード42を読み取る。管理装置20は、読取装置10が読み取ったエリアコード42と、エリアコード42の読取りの直前又は直後に読み取ったGS1コード43と、を対応付けて、薬剤位置データベースとして登録する。
【0069】
これにより、エリアコード42とGS1コード43を交互に読み取り、適当なタイミングで区画コード41を読み取るだけで、薬剤の位置を登録できる。
【0070】
本実施形態の薬剤登録システム1において、薬剤位置データベースの更新時において、収納される薬剤が変更された収納エリアのエリアコード42と、収納エリアに収納される薬剤のGS1コード43と、の読取装置10による読取結果に基づいて、管理装置20は、薬剤位置データベースを更新する。
【0071】
薬剤位置データベースの更新時に全てのGS1コード43を読み直す必要がないため、作業者の手間を小さくできる。
【0072】
本実施形態の薬剤登録システム1において、薬剤棚30に水平方向に平行に設けられた棚板31により区切られることで区画が形成され、棚板31には区画コード41としての棚板コードが設けられている。読取装置10は、棚板31に設けられた棚板コードを読み取る。
【0073】
これにより、棚板31ごとに区画を区切って薬剤を管理できる。
【0074】
本実施形態の薬剤登録システム1において、管理装置20は、薬剤に関する処理を行う薬剤管理システム100と通信可能である。管理装置20は、新たに作成した薬剤位置データベース又は更新した薬剤位置データベースを薬剤管理システム100に送信する。
【0075】
これにより、薬剤登録システム1が作成した薬剤位置データベースを別のシステム(薬剤管理システム100)にも活用させることができる。
【符号の説明】
【0076】
1 薬剤登録システム
10 読取装置
20 管理装置
41 区画コード
42 エリアコード
43 GS1コード(薬剤コード)