(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178967
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】加湿装置
(51)【国際特許分類】
F24F 6/08 20060101AFI20241219BHJP
F24F 6/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
F24F6/08
F24F6/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097400
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 敦史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕悦
(72)【発明者】
【氏名】水越 悠介
【テーマコード(参考)】
3L055
【Fターム(参考)】
3L055BA01
3L055BA03
3L055CA04
3L055DA05
(57)【要約】
【課題】加湿効率の低下を抑えることが可能な加湿装置を提供する。
【解決手段】フィルタケース31は、上部と下部にトレイ5の水を吸った加湿フィルタ30を支持する部材を補強する補強手段を設けた。これにより、室内を加湿する運転時、加湿フィルタ30がトレイ5の水を吸うことで重量が増加し、加湿フィルタ30を支持するフィルタケース31の部材への荷重が増えても、補強手段により加湿フィルタ30を支持する部材の強度が高まり、加湿フィルタ30の重みによるフィルタケース31を構成する部材の撓みを抑えることができるため、加湿フィルタ30とフィルタケース31との間にできる隙間が大きくなることによる加湿効率の低下を抑えることができ、製品性が向上する。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
当該筐体に配置され、前記筐体外の空気を吸い込む吸込口と、
前記筐体に収容され、前記吸込口から吸い込んだ空気を加湿する加湿部と、
前記筐体に配置され、前記加湿部へ付与する水を貯めるトレイと、
前記筐体に収容され、空気を送風するファンと、
前記筐体に配置され、前記加湿部で加湿された空気を前記ファンにより前記筐体外へ吹き出す吹出口と、を備えたもので、
前記加湿部は、
前記トレイの水中に下部が浸漬する加湿フィルタと、
当該加湿フィルタの周囲を保持し上下方向に回転するフィルタケースと、で構成され、
前記フィルタケースは、上部と下部に前記トレイの水を吸った前記加湿フィルタを支持する部材を補強する補強手段を設けたことを特徴とした加湿装置。
【請求項2】
前記加湿フィルタは、第1加湿フィルタと、第2加湿フィルタとで分割して構成され、
前記フィルタケースは、前記第1加湿フィルタを保持する第1ケースと、前記第2加湿フィルタを保持する第2ケースと、が互いに対向して一体化する構成であり、
前記補強手段は、前記フィルタケースの内側に設けたことを特徴とした請求項1記載の加湿装置。
【請求項3】
前記第1ケースには、上部に前記第2ケース側へ延びる第1突起が形成され、下部に前記第1ケースの内側方向へ延びる第1リブと、当該第1リブを貫通する第1係止穴が形成され、
前記第2ケースには、上部に前記第2ケースの内側方向へ延びる第2リブと、当該第2リブを貫通する第2係止穴が形成され、下部に前記第1ケース側へ延びる第2突起が形成され、
前記第1ケースと前記第2ケースとが一体化するとき、前記第1突起が前記第2係止穴に挿入され、前記第2突起が前記第1係止穴に挿入されるもので、
前記補強手段は、前記第1ケースと前記第2ケースとが一体化するときの前記第1リブ、又は前記第2リブであることを特徴とした請求項2記載の加湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、室内の空気を加湿する加湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは、水を貯めたトレイの水中に下部が浸漬する加湿フィルタの周囲を保持するフィルタケースを内部に収容した加湿装置において、所定の周期でフィルタケースが上下方向に回転し加湿フィルタが浸漬する部分を変えることで、加湿フィルタを通過する空気を効率よく加湿し、室内へ加湿空気を送風するものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、下部がトレイの水中に浸漬した加湿フィルタは水を含むことで重量が増加するので、加湿フィルタを支持するフィルタケースの部材に対する荷重が大きくなる。これにより、加湿フィルタを支持するフィルタケースの構成部材が撓み、フィルタケースの上部において加湿フィルタとフィルタケースとの間に隙間が生じ、加湿フィルタを通過しない空気が室内へ送風されてしまい加湿効率が低下することから、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、筐体と、
当該筐体に配置され、前記筐体外の空気を吸い込む吸込口と、
前記筐体に収容され、前記吸込口から吸い込んだ空気を加湿する加湿部と、
前記筐体に配置され、前記加湿部へ付与する水を貯めるトレイと、
前記筐体に収容され、空気を送風するファンと、
前記筐体に配置され、前記加湿部で加湿された空気を前記ファンにより前記筐体外へ吹き出す吹出口と、を備えたもので、
前記加湿部は、
前記トレイの水中に下部が浸漬する加湿フィルタと、
当該加湿フィルタの周囲を保持し上下方向に回転するフィルタケースと、で構成され、
前記フィルタケースは、上部と下部に前記トレイの水を吸った前記加湿フィルタを支持する部材を補強する補強手段を設けたことを特徴とした。
【0006】
また、請求項2では、前記加湿フィルタは、第1加湿フィルタと、第2加湿フィルタとで分割して構成され、
前記フィルタケースは、前記第1加湿フィルタを保持する第1ケースと、前記第2加湿フィルタを保持する第2ケースと、が互いに対向して一体化する構成であり、
前記補強手段は、前記フィルタケースの内側に設けたことを特徴とした。
【0007】
また、請求項3では、前記第1ケースには、上部に前記第2ケース側へ延びる第1突起が形成され、下部に前記第1ケースの内側方向へ延びる第1リブと、当該第1リブを貫通する第1係止穴が形成され、
前記第2ケースには、上部に前記第2ケースの内側方向へ延びる第2リブと、当該第2リブを貫通する第2係止穴が形成され、下部に前記第1ケース側へ延びる第2突起が形成され、
前記第1ケースと前記第2ケースとが一体化するとき、前記第1突起が前記第2係止穴に挿入され、前記第2突起が前記第1係止穴に挿入されるもので、
前記補強手段は、前記第1ケースと前記第2ケースとが一体化するときの前記第1リブ、又は前記第2リブであることを特徴とした。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、フィルタケースは、上部と下部にトレイの水を吸った加湿フィルタを支持する部材を補強する補強手段を設けたので、加湿フィルタが水を含むことで加湿フィルタを支持するフィルタケースの構成部材に係る荷重が大きくなったときにおける撓みを抑制し、フィルタケースの上部おける加湿フィルタとフィルタケースとの間の隙間が大きくなることを防ぐことができるため、加湿効率の低下が抑制されるため製品性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に加湿装置の構成を示す図。
【
図2】同上実施形態に係る加湿装置から前パネル及び梁部を外した状態の斜視図。
【
図4】同上実施形態に係る筐体に対するトレイホルダの挿入を示す図。
【
図7】同上実施形態に係るトレイ及びトレイが載置されたトレイホルダの断面図。
【
図8】同上実施形態に係る給水タンク等の概略断面図であり、(a)はトレイ有状態を示し、(b)はトレイ無状態を示す図。
【
図9】同上実施形態に係る仕切板等の部分斜視図であり、(a)はトレイ有状態を示し、(b)はトレイ無状態を示す図。
【
図10】同上実施形態に係る加湿部、仕切構造部、トレイ及びトレイホルダの分解斜視図。
【
図11】同上実施形態に係る仕切構造部を軸受け側から見た斜視図。
【
図12】同上実施形態に係る水位検知用フロートと磁気センサの関係を説明するための概略断面図。
【
図13】同実施形態に係る加湿装置において加湿フィルタを取り外した状態のフィルタケースを説明する斜視図。
【
図14】同実施形態に係る加湿装置において加湿フィルタを取り外した状態のフィルタケースを説明する斜視図。
【
図15】同実施形態に係る加湿装置において加湿フィルタを取り外してフィルタケースを開放した状態を説明する図。
【
図16】同実施形態に係る加湿装置において加湿フィルタを装着してフィルタケースを開放した状態を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
加湿装置100は、
図1から
図12の適宜の図に示すように、筐体1と、ファン2と、加湿部3と、紫外線照射部4と、トレイ5と、トレイホルダ6と、給水タンク7と、仕切構造部8と、制御部9と、磁気センサSと、を備える。
【0012】
以下では、加湿装置100の方向として、
図2に示すように規定した、上下、前後、左右の各方向を用いて説明を行う。他の図では、
図2に規定した各方向に対応する方向を示している。なお、上下方向は使用時の加湿装置100の方向として規定され得るが、前後と左右の各方向は説明の理解を容易にするための相対的な方向であることに留意されたい。
【0013】
筐体1は、前パネル1F、後パネル1B、左パネル1L、右パネル1R及び上パネル1Uと、これらパネルに囲まれるケーシング10と、を備える。
【0014】
上パネル1Uと繋がる左パネル1Lは、ケーシング10の底部10Dまで到る。一方で、上パネル1Uと繋がる右パネル1Rは、左パネル1Lよりも上下方向の長さが短い。これにより、筐体1の右パネル1Rと、底部10Dとの間には、トレイホルダ6が挿入される挿入口1aが形成される。
図4に示すように、トレイホルダ6が挿入口1aから挿入されて、
図2に示すように、筐体1にトレイホルダ6が装着された状態(以下、「ホルダ装着状態」と言う。)において、挿入口1aは、トレイホルダ6に固定されるホルダパネル6Rに塞がれた状態になる。ホルダ装着状態では、ホルダパネル6R及び右パネル1Rの各々の外面は概ね面一となる。そして、ホルダ装着状態における筐体1の外形は、概ね直方体状になる。
【0015】
ケーシング10は、
図2に示すように、トレイホルダ6を収容するホルダ収容部11と、ホルダ収容部11に対して立設され、左右方向において右パネル1Rと対向する側壁部12と、ホルダ収容部11の上方に位置してファン2を収容するファン収容部13と、を備える。
【0016】
ホルダ収容部11は、前述の底部10Dを有する。筐体1内部の底部10Dの上方には、側壁部12より左側には加湿部3が収容される加湿部収容室R3が形成され、側壁部12より右側には給水タンク7が収容されるタンク収容室R7が形成される。側壁部12には、加湿部収容室R3とタンク収容室R7とを連通する連通孔12aが形成されている。連通孔12aは、仕切構造部8が配置されたトレイホルダ6がホルダ装着状態の場合に、後述の仕切板81によって塞がれた状態になる。
【0017】
図2に示すように、上パネル1Uにおけるタンク収容室R7の上方には、開閉可能な蓋17が取り付けられている。この蓋17により、筐体1の上方から給水タンク7をタンク収容室R7に格納することができる。なお、給水タンク7は、トレイホルダ6上にトレイ5を介して仕切構造部8が設置された状態において用いられる。ケーシング10は、例えば、前後方向に分割可能で、互いに組み合わされる2つの部材により構成される。
【0018】
図1に示すように、後パネル1Bには、外気を吸い込む吸込口P1が形成されている。ケーシング10のファン収容部13には、加湿部3で発生した加湿空気をファン2が吸うための吸気口Q1と、ファン2が加湿空気を排出するための排気口Q2と、が形成されている。上パネル1Uには、排気口Q2から排出された加湿空気を筐体1の外部に出すための吹出口P2が形成されている。ファン2が回転すると、吸込口P1、加湿部3、吸気口Q1、排気口Q2、吹出口P2の順に進む流路Wで空気が通過し、加湿部3で発生した加湿空気が吹出口P2から筐体1の外部に吹き出る。なお、流路Wにおける吸込口P1と加湿部3の間には、条件に応じて作動して温風を送るためのヒータTが設けられている。
【0019】
ファン2は、遠心ファンであり、例えばシロッコファンである。ファン2は、ケーシング10に取り付けられたファンモータ2aの回転に伴い回転する。
【0020】
加湿部3は、筐体1の内部に位置し、加湿空気を発生させる構成である。加湿部3は、
図2に示すように、加湿フィルタ30(気化フィルタ)と、加湿フィルタ30を保持するフィルタケース31と、を備える。つまり、加湿装置100は、加湿フィルタ30により加湿空気を発生させる気化式である。
【0021】
加湿フィルタ30は、第1加湿フィルタ301と第2加湿フィルタ302とで分割して構成される。第1加湿フィルタ301と第2加湿フィルタ302は、フィルタケース31を構成する第1ケース311と第2ケース312とで互いに対向して保持され、第1ケース311と第2ケース312とが一体化してフィルタケース31を構成する。
そして、第1加湿フィルタ301と第2加湿フィルタ302は、第1ケース311、及び第2ケース312から着脱自在である。フィルタケース31による加湿フィルタ30の保持に係る構成、及び加湿フィルタ30がトレイ5内の水に浸漬されたことでの重量増加に対し支持する部材の補強手段については後述する。
【0022】
加湿部3は、
図1に示す軸線AXを中心に、筐体1内で回転可能に設けられている。軸線AXは、
図1の紙面の垂直方向に延びる(つまり、筐体1の左右方向に延びる)。
図10に示すように、フィルタケース31には一対の軸部31R,31Lが設けられ、加湿部3は、一方の軸部31Rが仕切構造部8(詳しくは後述の軸受け8R)に支持され、他方の軸部31Lがトレイホルダ6(詳しくは後述の軸受け6L)に支持される。加湿部3は、ケーシング10に取り付けられたターンモータ(図示せず)によって軸部31Lが回転駆動されることで、軸線AXを中心に回転可能である。
【0023】
加湿部3は、軸線AXが延びる方向に長尺の概ね直方体状をなし、直方体を構成する6面のうち、最も大きい面積を有する一対の面に相当する部分が、空気を通す第1通気部3a及び第2通気部3bとして機能する。なお、加湿部3のうち、軸線AXの径方向に位置し、第1通気部3a及び第2通気部3bを繋ぐ2つの側面は、加湿部3の回転を妨げないように曲面状に形成されている。
【0024】
図1に示すように、加湿部3の第1通気部3a及び第2通気部3bが前後方向に向く状態は、加湿フィルタ30がトレイ5の中の水を吸うことが可能な「吸水可能状態」である。
図1は、第2通気部3bから加湿フィルタ30に入った空気が、第1通気部3aから加湿空気として出る態様(以下、第1態様)を示しているが、第1態様から加湿部3が180°回転して、第1通気部3aから加湿フィルタ30に入った空気が、第2通気部3bから加湿空気として出る態様(以下、第2態様)も吸水可能状態である。つまり、吸水可能状態を実現する加湿部3の態様としては、第1態様及び第2態様の2つの態様がある。加湿装置100の動作中、制御部9の制御の下で、加湿部3は、第1態様及び第2態様の一方から他方へ、所定の周期で変化する。
【0025】
一方、制御部9は、加湿装置100の動作停止指示を受け付けると、加湿部3を、第1通気部3a及び第2通気部3bが上下方向に向く状態とする(つまり、第1態様又は第2態様の加湿部3を90°回転させた状態とする)。この状態は、加湿フィルタ30がトレイ5の中の水から離れる「離間状態」である。この離間状態により、加湿フィルタ30がトレイ5の中の水に常時浸っていることを防ぎ、雑菌の繁殖を抑えることができる。
【0026】
紫外線照射部4は、筐体1の内部に紫外線を照射する。具体的に、紫外線照射部4は、高い除菌、殺菌効果がある深紫外線(UV-C)を発する深紫外線LEDが実装されたLEDモジュールから構成される。
【0027】
紫外線照射部4は、ケーシング10の前側に固定される梁部14に取り付けられる。
図3に示すように、梁部14は、側壁部12、及び、側壁部12と対向する壁部15の間に位置し、ケーシング10に対して左右方向に延びる梁構造を付与する。つまり、梁部14は、一端(右端)が側壁部12に固定され、他端(左端)が壁部15に固定される。このように設けられる梁部14は、
図1に示すように、前パネル1Fの後方に位置して、前パネル1Fに接触する。これにより、組み立て時などに生じた前パネル1Fの歪みを抑えることができる。
【0028】
図1に示すように、梁部14は、前パネル1Fの背後に位置する。梁部14には、紫外線照射部4を収めるモジュールケース14aが形成されている。モジュールケース14aに収められた紫外線照射部4は、軸線AXよりも高い位置に位置し、加湿部3(加湿フィルタ30)に向けて紫外線U(深紫外線)を照射する。具体的に、紫外線照射部4は、加湿部3の軸線AXに向けて紫外線Uを照射する。前述のように、加湿装置100の動作中、加湿部3は、第1態様及び第2態様の一方から他方へ所定の周期で変化するため、第1通気部3a及び第2通気部3bの双方に対して偏りなく紫外線Uを照射することができる。
【0029】
トレイ5は、加湿空気を発生させるための水を貯える。トレイホルダ6に載せられたトレイ5は、ホルダ装着状態において筐体1の内部に位置する。以下では、トレイホルダ6にトレイ5が載置された状態を「トレイ有状態」と言い、トレイホルダ6からトレイ5が取り外された状態を「トレイ無状態」と言う。
【0030】
トレイ5は、ステンレス鋼で形成されており、紫外線Uを受けたとしても、その劣化が抑制される。トレイ5の材質については、後に詳述する。
【0031】
トレイ5は、
図5に示すように、縁部50と、縁部50の下方に位置する、主水槽部51、タンク対向部52及びフロート水槽部53と、を有する。主水槽部51は、加湿部3の下方に位置し、加湿部3が吸う水が貯えられる部分である。タンク対向部52は、上下方向において、後述の受け部材80を挟んで給水タンク7と対向する平板状の部分である。フロート水槽部53は、タンク対向部52よりも下方に窪んだ部分であり、後述の水位検知用フロート83が浮く水が貯えられる部分である。フロート水槽部53は、平板状の底である平底部53aを有する。
【0032】
トレイホルダ6は、
図6に示すように、トレイ5が収容されるトレイ収容部60と、トレイ収容部60を囲んで立設された立壁部61と、立壁部61を囲んで立設された外周壁部62と、を備える。
【0033】
図7は、トレイ5、及び、トレイ5が載置されたトレイホルダ6の断面図である。当該断面図は、主水槽部51に相当する部分を、前後方向に延びる軸と上下方向に延びる軸とによって定まる仮想平面に沿った断面を示す。なお、
図7と、後述の
図8、
図12では、図面の見易さを考慮して断面を示すハッチングを適宜省略した。
【0034】
図7に示すように、トレイ5の縁部50は、トレイホルダ6の立壁部61に支持される。縁部50は、トレイホルダ6にトレイ5が載置された状態で、立壁部61と当接して立壁部61に支持される被支持部50aと、被支持部50aと繋がり立壁部61の外面に沿う沿設部50bと、を有する。
【0035】
トレイホルダ6のトレイ収容部60には、トレイ5の下面の一部を覗かせる、2つの開口部6a,6bが設けられている。開口部6a,6bは、前後方向(第1の方向)に間隔を空けて設けられている。ユーザは、開口部6a,6bからトレイ5の下面を押し上げることによって、トレイホルダ6からトレイ5を容易に取り外すことができる。
【0036】
トレイ収容部60は、2つの開口部6a,6bの間に、受け皿部601を有する。トレイ5の主水槽部51は、受け皿部601に向かって膨らむ曲板状に形成されている。具体的に、主水槽部51は、
図1に示すように、中央部が下に膨らみ、且つ、加湿部3が軸線AX周りに回転する際に加湿部3の外周が描く円弧状の軌跡に沿う曲板状に形成されている。この主水槽部51の形状により、トレイ5に貯める水を極力少なくすることができる。本実施形態の主水槽部51は、前後で対称の曲板状に形成されている。主水槽部51は、上下方向において、受け皿部601と対向する底板部51aを有する。
【0037】
受け皿部601は、前後方向(第1の方向)における一端と他端に底板部51aに向かって突起する桟601aを有する。
図6に示すように、桟601aは、左右方向(第2の方向)に延びて設けられている。この桟601aにより、トレイ5の下面に結露が生じた場合に滴る水滴を、受け皿部601に溜めることができる。また、
図7に示すように、トレイホルダ6にトレイ5が載置されたトレイ有状態では、桟601aと底板部51aの間には隙間が生じる。この隙間により、トレイ5の下面の水滴を受け皿部601に向けて良好に通すことができる。
【0038】
給水タンク7は、
図2に示すように、筐体1内のタンク収容室R7に収容され、トレイ5に供給するための水を貯える。
図8(a)、(b)に示すように、給水タンク7は、タンク本体70と、タンク本体70の下端に取り付けられたタンクキャップ71と、を備える。タンクキャップ71は、給水口71aと、給水口71aを開閉する弁機構72と、を有する。
【0039】
仕切構造部8は、
図10に示すように、一体に形成された、受け部材80、仕切板81及びフロート支持部82を備える。仕切構造部8は、トレイ5及びトレイホルダ6とは別体の構成である。仕切構造部8(つまり、一体の受け部材80、仕切板81及びフロート支持部82)は、トレイ5に対して着脱可能である。
【0040】
受け部材80は、
図8(a)に示すように、給水タンク7を受ける受け皿状の部材である。受け部材80は、その縁で給水タンク7のタンクキャップ71を受けると共に、縁から凹んで形成される底面から弁機構72に向かって突起するピン状部80aを有する。
【0041】
給水タンク7は、タンク収容室R7に収容されると、タンクキャップ71が受け部材80に受けられる(支持される)格好となる。この際、給水タンク7の弁機構72がピン状部80aに相対的に押し上げられる。これにより、弁機構72が開状態となり、給水口71aから受け部材80への流路が開放され、給水タンク7から受け部材80を経て、トレイ5に水が供給される。トレイ5の水面が給水口71aの下端まで達すると、外気が給水口71aからタンク本体70へ入らなくなるため、給水タンク7からトレイ5への水の供給が止まる。そして、トレイ5の水が減り、その水面が給水口71aの下端よりも低くなると、外気が給水口71aからタンク本体70に入ると共に、給水口71aから水が出る。この機構により、トレイ5における水位は一定に保たれる。なお、仕切板81には、受け部材80に溜まった水を加湿部3の側へ通過させる通水孔81a(
図10、
図11参照)が形成されている。
【0042】
仕切板81は、
図2に示すように、加湿部3と給水タンク7を仕切る板状の部材である。ここで、トレイホルダ6の立壁部61には、
図6に示すように、切り欠き61aが形成されている。
図6では示されていないが、切り欠き61aは、前後方向に互いに対向して、一対設けられている。一対の切り欠き61aは、トレイホルダ6に載置されたトレイ5上に仕切構造部8がさらに載置された状態で、トレイ5の縁部50を挟んで仕切板81の下方に位置する。また、トレイホルダ6の外周壁部62には、仕切板81の左右の端部が挿入される一対の仕切板ガイド62aが設けられている。仕切板ガイド62aは、外周壁部62の外周に向かって凹み、且つ、上下方向に延びる溝状の部分である。
【0043】
仕切板81は、
図10、
図11に示すように、切り欠き61aと嵌合可能な嵌合可能部81bと、仕切板ガイド62aに挿入される挿入リブ81cと、を有する。挿入リブ81cは、嵌合可能部81bよりも仕切板81の外側に位置する。嵌合可能部81bは、一対の切り欠き61aに対応して一対ある。挿入リブ81cも、一対の仕切板ガイド62aに対応して一対ある。仕切構造部8は、仕切板ガイド62aに挿入リブ81cを挿入することで、トレイホルダ6に対して仕切板81が立つ格好でトレイホルダ6に取り付けられる。
【0044】
図8(a)、
図9(a)は、「トレイ有状態」の各部の関係を示す。トレイ有状態では、
図9(a)に示すように、切り欠き61aがトレイ5の縁部50に覆われて嵌合可能部81bとは嵌合しない。そして、
図8(a)に示すように、給水タンク7が受け部材80に受けられて弁機構72がピン状部80aに押された状態になる。これにより、前述の通り、給水タンク7からトレイ5への給水が可能である。
【0045】
図8(b)、
図9(b)は、「トレイ無状態」の各部の関係を示す。トレイ無状態では、
図9(b)に示すように、トレイ5及び縁部50が無いことで、嵌合可能部81bが切り欠き61aに嵌合する。そして、
図8(b)に示すように、受け部材80及びピン状部80aがトレイ有状態の時よりも下がる(つまり、仕切構造部8全体がトレイ有状態の時よりも下がる)ことにより、ピン状部80aが弁機構72から離れる。したがって、弁機構72が閉状態となり、給水口71aから受け部材80への流路が閉塞され、給水タンク7からの給水が停止される。これにより、ユーザがトレイホルダ6にトレイ5を装着し忘れて、仕切構造部8を載せたトレイホルダ6を筐体1に装着してしまった場合であっても、給水タンク7からトレイホルダ6に水が流れ出ることを防止することができる。
【0046】
ここで、給水タンク7のタンク本体70は、上下方向において立壁部61と対向する対向部70aを有する。
図8(a)に示すように、トレイ有状態では、給水タンク7は、タンクキャップ71が受け部材80に支持されると共に、対向部70aがトレイ5の縁部50に支持される。一方、
図8(b)に示すように、トレイ無状態では、給水タンク7は、タンクキャップ71が受け部材80から離れ、対向部70aが立壁部61に直接支持される。これにより、トレイ無状態では、給水タンク7は、トレイ5の縁部50の厚さ分だけトレイ有状態よりも僅かに下がる。一方で、
図8(a)及び
図8(b)を比較して分かるように、トレイ無状態では、嵌合可能部81b(つまり、仕切構造部8全体)が、縁部50の厚さと、切り欠き61aの深さ(上下方向の長さ)の合計分だけ下がる。したがって、トレイ無状態では、この切り欠き61aの深さに応じた距離だけ、給水タンク7の弁機構72からピン状部80aを離すことができる。
【0047】
図8(a)に示すように、トレイホルダ6は、トレイ有状態でトレイ5における受け部材80と対向する部分(前述のトレイ5のタンク対向部52)に当接する台部602と、台部602よりも低い位置にある低床部603と、台部602を囲むリブ604と、を有する。
図6に示すように、低床部603は、受け皿部601の底と繋がる。台部602は、低床部603から上方に隆起し、本実施形態では円状に形成されている。台部602により、トレイ5及びトレイ5上に位置する仕切構造部8を安定させることができる。リブ604は、一部が間欠したリング状に形成されている。リブ604の間欠した部分により、通気を確保することができ、リブ604と台部602の間に溜まってしまった水が乾燥し易い。
【0048】
受け部材80は、
図8(a)に示すトレイ有状態でトレイ5(具体的にはタンク対向部52)に支持される脚部80bを有する。脚部80bは、
図10に示すように、概ね円盤状に形成された受け部材80の外周の下端部に相当する。これにより、脚部80bの下端はリング状をなし、トレイ無状態では、
図6に示す台部602とリブ604の間に嵌め合わされる。つまり、
図8(b)に示すトレイ無状態では、前述のように、トレイ有状態の時よりも位置が低下する仕切構造部8の脚部80bが低床部603に支持される。これにより、仕切構造部8は、トレイ有状態では脚部80bにおいてトレイ5に確実に支持される一方で、トレイ無状態ではトレイホルダ6の低床部603に確実に支持される。
【0049】
また、トレイホルダ6のリブ604は、
図8(a)に示すトレイ有状態で、トレイ5における受け部材80と対向しない部分に当接する。そして、
図8(b)に示すトレイ無状態では、脚部80bが、台部602とリブ604の間の低床部603に支持される。ここで、トレイ有状態では、トレイ5は、受け部材80の脚部80bを介して給水タンク7の荷重を受けるが、リブ604があることによって、トレイ5の台部602に支持されている部分の周囲もリブ604で支持することができる。つまり、リブ604により、トレイ5の局所に給水タンク7の荷重が集中することを抑制でき、トレイ5が変形してしまうことを抑制できる。
【0050】
図10に示すフロート支持部82は、トレイ5に貯えられた水に浮く水位検知用フロート83を、当該水の変位に応じて変位可能に支持する。具体的に、水位検知用フロート83は、前述のフロート水槽部53の中の水に浮く。本実施形態のフロート支持部82は、水位検知用フロート83を前後方向に延びる軸線BXを中心に回転可能に支持する。したがって、トレイ5内の水が変位すると、水位検知用フロート83は、軸線BXを中心として円弧状に変位する。
【0051】
図12に示すように、水位検知用フロート83は、その下端部において磁石Mを保持している。また、トレイ5におけるフロート水槽部53の平底部53aを挟んで磁石Mの反対側には、磁石Mによる磁場(磁束密度)を検出する磁気センサSが設けられている。磁気センサSは、例えば、ケーシング10の底部10Dの内部に埋設されている。磁気センサSは、リードスイッチ、ホール素子、MR(Magneto Resistive Sensor)素子などから構成され、水位検知用フロート83の変位によって、磁石Mが磁気センサSに近づくことで、変化する磁石Mの磁束を検出する。制御部9は、磁気センサSが出力した検出信号に基づき、トレイ5内の水位を検知する。
【0052】
ここで、本実施形態のトレイ5は、オーステナイト系のステンレス鋼であるSUS304に対し、冷間加工を行うことで成形される。また、トレイ5は、SUS301、SUS316等で形成されていてもよい。
【0053】
図2に示す制御部9は、加湿装置100の全体動作を制御するマイクロコンピュータから構成され、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。制御部9は、図示しないPCB(Printed Circuit Board)に実装されている。当該PCBは、例えば、上パネル1Uとケーシング10の間に設けられる。制御部9は、加湿装置100が備える種々の電子部品と電気的に接続される。制御部9は、上パネル1Uに設けられた操作パネル(図示せず)に対してなされたユーザによる操作を受け付け、受け付けた操作内容に応じて、加湿装置100の各部を制御する。制御部9は、ヒータT、ファンモータ2a、加湿部3を回転駆動するターンモータ(図示せず)、及び、紫外線照射部4の各々の動作を制御する。また、制御部9は、磁気センサSの出力に基づき、トレイ5内の水位を検知する。
【0054】
次に、本実施形態におけるフィルタケース31の構造について
図13から
図16に基づいて詳述する。
【0055】
図13は、加湿フィルタ30を取り外した状態のフィルタケース31について左前方向視点での斜視図である。
図14は、加湿フィルタ30を取り外した状態のフィルタケース31について右後ろ方向視点での斜視図である。
図15は、加湿フィルタ30を取り外してフィルタケース31を開放した状態を説明する図である。
図16は、加湿フィルタ30を装着してフィルタケース31を開放した状態を説明する図である。
【0056】
フィルタケース31は、第1ケース311と第2ケース312とで構成され、第1ケース311で第1加湿フィルタ301が保持され、第2ケース312で第2加湿フィルタ302が保持される。すなわち、第1ケース311と第2ケース312とが互いに対向して一体化することでフィルタケース31が構成される。
【0057】
第1ケース311は、上部にあり左右方向に延びる上枠311aと、下部にあり左右方向に延びる下枠311bと、前方に2つあり左右方向に延びる前枠311cと、が左枠311dと右枠311eとに架け渡すように形成される。
また、第2ケース312は、上部にあり左右方向に延びる上枠312aと、下部にあり左右方向に延びる下枠312bと、後方に2つあり左右方向に延びる後枠312cと、が左枠312dと右枠312eとに架け渡すように形成される。
【0058】
第1ケース311には、左枠311dに後方へ延び後端に左方へ膨出する膨出部311d2を備え左右方向に撓む係止片311d1が上下方向の所定位置に2つ形成されており、右枠311eに押え部311e1が上下方向の所定位置に2つ形成されている。
また、第2ケース312には、左枠312dに前後方向へ貫通する係止穴312d1が係止片311d1に対応するよう上下方向の所定位置に2つ形成されており、右枠312eにポール部312e1が押え部311e1に対応するよう上下方向の所定位置に2つ形成されている。
【0059】
フィルタケース31の右側において、ポール部312e1を押え部311e1に嵌め込むことで第1ケース311が第2ケース312に組付けられ、一体化したフィルタケース31となる。そして、押え部311e1に嵌め込まれたポール部312e1部分がヒンジとして作用するので、フィルタケース31が左側で開閉自在となる。
また、フィルタケース31の左側において、第1ケース311が第2ケース312に近づくと、係止片311d1の膨出部311d2が撓んで係止穴312d2に挿入され、第1ケース311の左枠311dが第2ケース312の左枠312dに接した状態(フィルタケース31が閉じた状態)になると、係止片311d1の撓みが解消し、膨出部311d2の前側端面が係止穴312d2の後ろ側端面に引っ掛かるので、フィルタケース31を閉じた状態で固定することができる。
【0060】
第1ケース311には、上枠311aに後方にある第2ケース312側へ延びる第1突起311a1が形成され、下枠311bに第1ケース311の内側である上方向へ水平方向に垂直となるように延びる補強手段としての第1リブ311b1と、当該第1リブ311b1を貫通する第1係止穴311b2が形成されている。
また、第2ケース312には、上枠312aに第2ケース312の内側である下方向へ水平方向に垂直となるように延びる補強手段としての第2リブ312a1と、当該第2リブ312a1を貫通する第2係止穴312a2が形成され、下枠312bに前方にある第1ケース311側へ延びる第2突起312b1が形成されている。
【0061】
第1リブ311b1、及び第2リブ312a1が形成されたことで、第1ケース311の上枠311a、及び第2ケース312の下枠312bの強度が向上する。すなわち、第1リブ311b1、及び第2リブ312a1は補強手段として機能する。
【0062】
以上のように構成されたフィルタケース31を閉止するとき、第1ケース311の上枠311aに形成された第1突起311a1が第2ケース312の上枠312aに形成された第2係止穴312a2に挿入されると共に、第2ケース312の下枠312bに形成された第2突起312b1が第1ケース311の下枠311bに形成された第1係止穴311b2に挿入される。
【0063】
第1突起311a1が第2係止穴312a2に挿入されることで、第1ケース311の上枠311aを第2ケース312の上枠312aが支持する関係になり、第2リブ312a1により第1ケース311の上枠311aが補強される。
また、第2突起312b1が第1係止穴311b2に挿入されることで、第2ケース312の下枠312bを第1ケース311の下枠311bが支持する関係になり、第1リブ311b1により第2ケース312の下枠312bが補強される。
これにより、加湿運転時に加湿フィルタ30の下方に位置するフィルタケース31の枠部が補強されるため、水分を含むことで重量が増加した加湿フィルタ30の荷重に対し、十分に支持して下方に位置する枠部の撓みを抑えることができる。
【0064】
次に、加湿空気を送風する運転時において加湿フィルタ30がトレイ5の中の水を吸うことが可能な吸水可能状態になることでの重量増加と、加湿フィルタ30を支持するフィルタケース31の関係について説明する。
【0065】
加湿装置100による加湿量を増加させるため、加湿フィルタ30のサイズを大きくし、加湿フィルタ30で吸い上げる水量を増加させる方法が考えられる。このとき、単一の加湿フィルタ30のサイズを大きくすると、フィルタケース31への着脱が難しくなることから、第1加湿フィルタ301、及び第2加湿フィルタ302の2つに分割し、第1加湿フィルタ301を保持する第1ケース311と、第2加湿フィルタ302を保持する第2ケース312とが互いに対向し一体化することでフィルタケース31が構成されるようにする。これにより、加湿フィルタ30のサイズアップによる加湿量増加と、ユーザによるフィルタケース31からの加湿フィルタ30の着脱性とを両立させることができる。
【0066】
加湿フィルタ30のサイズが大きくなると、加湿フィルタ30が吸水可能状態となったときに吸い上げる水量が増加するので、加湿量が増加すると共に重量も増加する。加湿フィルタ30の重量が増加すると、吸水可能状態時に加湿フィルタ30を支持する部材であるフィルタケース31の下部に位置する枠部に係る負荷が大きくなり、フィルタケース31の下部に位置する枠部の下方向への撓みが大きくなる。これにより、フィルタケース31内で保持される加湿フィルタ30が下方向へ沈み、フィルタケース31の上部において加湿フィルタ30の上端とフィルタケース31の上部に位置する枠部との間に隙間が生じる。当該隙間を通過する空気は加湿されないことから、加湿された空気を送風する運転時における加湿量が低下してしまい、加湿装置100の加湿効率が低下することで製品性が低下する。
【0067】
本実施形態では、室内を加湿する運転時に加湿フィルタ30を支持する部材であるフィルタケース31の下部に位置する枠部において、補強手段としての第1リブ311b1、及び第2リブ312a1を備えた。
これにより、第1ケース311の下枠311bと第2ケース312の下枠312bとがフィルタケース31の下部に位置する第1態様時において、第2ケース312の第2突起312b1が第1ケース311の第1係止穴311b2に挿入されたことで、第1リブ311b1により第1ケース311の下枠311bと第2ケース312の下枠312bとを補強することができ、第1態様時において水を吸うことで重量が増加した加湿フィルタ30による下枠311b、及び下枠312bの下方への撓みを抑えることができる。
【0068】
また、第1ケース311の上枠311aと第2ケース312の上枠312aとがフィルタケース31の下部に位置する第2態様時において、第1ケース311の第1突起311a1が第2ケース312の第2係止穴312a2に挿入されたことで、第2リブ312a1により第1ケース311の上枠311aと第2ケース312の上枠312aとを補強することができ、第2態様時において水を吸うことで重量が増加した加湿フィルタ30による上枠312a、及び上枠312aの下方への撓みを抑えることができる。
【0069】
以上のように、第1態様時、及び第2態様時においてフィルタケース31の下部に位置する枠部の下方への撓みが抑えられることで、フィルタケース31の上部における加湿フィルタ30とフィルタケース31の上部に位置する枠部との間の隙間が小さくなる。これにより、加湿空気を室内へ送風する運転時、加湿フィルタ30とフィルタケース31との間の隙間を通過する空気量が減るので加湿量低下を抑えることができ、加湿装置100の加湿効率が低下することによる製品性低下を阻止することができる。
【0070】
また、本実施形態では、第1ケース311は、第1リブ311b1を下枠311bにのみに形成し、第2ケース312は、第2リブ312a1を上枠312aにのみ形成した。
仮に、本構成に加えて第1ケース311の上枠311a、及び第2ケース312の下枠312bにもリブを形成すると、第1加湿フィルタ301、及び第2加湿フィルタ302を第1ケース311、及び第2ケース312から着脱するとき、リブに引っ掛かり着脱し難くなるため製品の使い勝手が低下する。
本実施形態のように、第1ケース311の下部、及び第2ケース312の上部にのみ補強手段としてのリブを形成したことで、フィルタケース31の下部に位置する枠の下方への撓みを抑えることによる加湿量の低下阻止と共に、ユーザによる第1ケース311における第1加湿フィルタ301の着脱、及び第2ケース312における第2加湿フィルタ302の着脱の容易性を両立させることができ、製品性が向上する。
【0071】
また、本実施形態では、第1リブ311b1が第1ケース311の内側である水平方向と垂直な上方に向かって延びており、第2リブ312a1が第2ケース312の内側である水平方向と垂直な下方に向かって延びている。フィルタケース31の補強手段であるリブについて、フィルタケース31の外側に向かって延びる構成も考えられるが、室内を加湿する運転時にフィルタケース31が回転するとき、外側に延びるリブがフィルタケース31の周囲に位置する構成部材に衝突し、フィルタケース31の回転が妨げられエラー停止のリスクが増える共に、衝突した構成部材の故障リスクが増える。
本実施形態のように、フィルタケース31の内側に向かって延びるリブのみを備えた構成としたので、リブがフィルタケース31の周囲に位置する構成部材に衝突することがなく、構成部材の故障リスク増加を防ぐことができ、また、フィルタケース31がスムーズに回転可能でありエラーによる運転停止のリスク発生を阻止することができる。
【0072】
なお、本実施形態では、第1ケース311の下枠311bに第1リブ311b1を形成し、第2ケース312の上枠312aに第2リブ312a1を形成したが、これに限られない。例えば、第1ケース311の上枠311aに第1係止穴を有した第1リブ、下枠311bに後方へ延びる第1突起を形成し、第2ケース312の下枠312bに第2係止穴を有した第2リブ、上枠312aに前方へ延びる第2突起を形成した構成であってもよい。これにより、フィルタケース31閉止時、第1ケース311の第1係止穴に第2突起が挿入し、第2ケース312の第2係止穴に第1突起が挿入することで、室内を加湿する運転時においてフィルタケース31の下部に位置する枠部を補強することができるため、本発明の実施形態と同様の作用効果を有する。
【0073】
また、本実施形態では、第1リブ311b1及び第2リブ312a1を補強手段として説明したが、これに限られない。例えば、室内を加湿する運転時にフィルタケース31の下部に位置する部分の肉厚について、他の箇所を構成する部分の肉厚よりも大きくすることで強度を上げるものであってもよい。水を吸い上げて重量が増加する加湿フィルタ30により、フィルタケース31の下部に位置する部材が撓まないよう補強した構成であれば、本発明の範疇に入る。
【0074】
次に、本発明の効果を説明する。
【0075】
フィルタケース31は、上部と下部にトレイ5の水を吸った加湿フィルタ30を支持する部材を補強する補強手段を設けた。これにより、室内を加湿する運転時、加湿フィルタ30がトレイ5の水を吸うことで重量が増加し、加湿フィルタ30を支持するフィルタケース31の部材への荷重が増えても、補強手段により加湿フィルタ30を支持する部材の強度が高まり、加湿フィルタ30の重みによるフィルタケース31を構成する部材の撓みを抑えることができるため、加湿フィルタ30とフィルタケース31との間にできる隙間が大きくなることによる加湿効率の低下を抑えることができ、製品性が向上する。
【0076】
また、加湿フィルタ30は、第1加湿フィルタ301と、第2加湿フィルタ302とで分割して構成され、フィルタケース31は、第1加湿フィルタ301を保持する第1ケース311と、第2加湿フィルタ302を保持する第2ケース312と、が互いに対向して一体化する構成であり、補強手段は、フィルタケース31の内側に設けた。これにより、フィルタケース31の外側に補強手段が設けた場合において、フィルタケース31の回転時にフィルタケース31周囲の部材と補強手段とが衝突する事態を未然に阻止することができ、スムーズにフィルタケース31が回転することから、室内を加湿する運転を支障なく行うことができる。
【0077】
また、第1ケース311には、上部に第2ケース312側へ延びる第1突起311a1が形成され、下部に第1ケース311の内側方向へ延びる第1リブ311b1と、当該第1リブ311b1を貫通する第1係止穴311b2が形成され、第2ケース312には、上部に第2ケース312の内側方向へ延びる第2リブ312a1と、当該第2リブ312a1を貫通する第2係止穴312a2が形成され、下部に第1ケース311側へ延びる第2突起312b1が形成され、第1ケース311と第2ケース312とが一体化するとき、第1突起311a1が第2係止穴312a2に挿入され、第2突起312b1が第1係止穴311b2に挿入されるもので、補強手段は、第1ケース311と第2ケース312とが一体化するときの第1リブ311b1、又は第2リブ312a1である。これにより、ユーザによる第1ケース311への第1加湿フィルタ301の着脱性、及び第2ケース312への第2加湿フィルタ302の着脱性を確保しつつ、加湿フィルタ30の重みによるフィルタケース31の下部に位置する枠部の撓みを抑え、加湿量の低下を抑えることができるため、製品性が向上する。
【0078】
以上、本実施形態に基づき説明したが、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0079】
例えば、紫外線照射部4は、紫外線領域の光を発するものであれば任意であり、深紫外線(UV-C)を発するものに限られない。また、加湿部3は、筐体1に対して回転可能な構成に限られない。また、嵌合可能部81bは、仕切板81の一部である例に限られず、少なくとも受け部材80と一体に形成された構成であればよい。
【符号の説明】
【0080】
100 加湿装置
1 筐体
P1 吸込口
P2 吹出口
2 ファン
3 加湿部
30 加湿フィルタ
301 第1加湿フィルタ
302 第2加湿フィルタ
31 フィルタケース
311 第1ケース
311a1 第1突起
311b1 第1リブ
311b2 第1係止穴
312 第2ケース
312a1 第2リブ
312a2 第2係止穴
312b1 第2突起
5 トレイ