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特開2024-178972導波管型電力分配器、導波管型電力合成器、アンテナ装置、及びレーダー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178972
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】導波管型電力分配器、導波管型電力合成器、アンテナ装置、及びレーダー
(51)【国際特許分類】
H01P 5/12 20060101AFI20241219BHJP
【ＦＩ】
H01P5/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2023097410
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000166247
【氏名又は名称】古野電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】飯尾 憲一
(57)【要約】
【課題】設計性に優れた導波管型電力分配器を提供する。
【解決手段】導波管型電力分配器は、入力用導波管型線路と、入力用導波管型線路に接続された第１導波管型共振器と、第１導波管型共振器に接続された第１出力用導波管型線路と、第１導波管型共振器に接続された第１導波管型移相器と、第１導波管型移相器に接続された第２導波管型共振器と、第２導波管型共振器に接続された第２出力用導波管型線路と、を備える。
【選択図】図２
【解決手段】導波管型電力分配器は、入力用導波管型線路と、入力用導波管型線路に接続された第１導波管型共振器と、第１導波管型共振器に接続された第１出力用導波管型線路と、第１導波管型共振器に接続された第１導波管型移相器と、第１導波管型移相器に接続された第２導波管型共振器と、第２導波管型共振器に接続された第２出力用導波管型線路と、を備える。
【選択図】図２
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力用導波管型線路と、
前記入力用導波管型線路に接続された第１導波管型共振器と、
前記第１導波管型共振器に接続された第１出力用導波管型線路と、
前記第１導波管型共振器に接続された第１導波管型移相器と、
前記第１導波管型移相器に接続された第２導波管型共振器と、
前記第２導波管型共振器に接続された第２出力用導波管型線路と、
を備える、導波管型電力分配器。
前記入力用導波管型線路に接続された第１導波管型共振器と、
前記第１導波管型共振器に接続された第１出力用導波管型線路と、
前記第１導波管型共振器に接続された第１導波管型移相器と、
前記第１導波管型移相器に接続された第２導波管型共振器と、
前記第２導波管型共振器に接続された第２出力用導波管型線路と、
を備える、導波管型電力分配器。
【請求項2】
前記第２導波管型共振器に接続された第２導波管型移相器と、
前記第２導波管型移相器に接続された第３導波管型共振器と、
前記第３導波管型共振器に接続された第３出力用導波管型線路と、
をさらに備える、
請求項１に記載の導波管型電力分配器。
前記第２導波管型移相器に接続された第３導波管型共振器と、
前記第３導波管型共振器に接続された第３出力用導波管型線路と、
をさらに備える、
請求項１に記載の導波管型電力分配器。
【請求項3】
前記入力用導波管型線路、前記第１導波管型共振器、前記第１出力用導波管型線路、前記第１導波管型移相器、前記第２導波管型共振器、及び前記第２出力用導波管型線路は、共通のＥ面を有する、
請求項１に記載の導波管型電力分配器。
請求項１に記載の導波管型電力分配器。
【請求項4】
前記入力用導波管型線路、前記第１導波管型共振器、前記第１出力用導波管型線路、前記第１導波管型移相器、前記第２導波管型共振器、及び前記第２出力用導波管型線路は、Ｈ面に形成されたアイリスを通じて互いに接続される、
請求項１に記載の導波管型電力分配器。
請求項１に記載の導波管型電力分配器。
【請求項5】
前記入力用導波管型線路、前記第１導波管型共振器、前記第１出力用導波管型線路、前記第１導波管型移相器、前記第２導波管型共振器、及び前記第２出力用導波管型線路となる凹部が一の面に形成されたブロックと、
前記ブロックの前記一の面と接触して前記凹部を覆うカバーと、
をさらに備える、
請求項１に記載の導波管型電力分配器。
前記ブロックの前記一の面と接触して前記凹部を覆うカバーと、
をさらに備える、
請求項１に記載の導波管型電力分配器。
【請求項6】
前記第１導波管型共振器は、前記入力用導波管型線路に接続された入力側共振部と、前記第１出力用導波管型線路に接続された出力側共振部と、を有し、
前記第２導波管型共振器は、前記第１導波管型移相器に接続された入力側共振部と、前記第２出力用導波管型線路に接続された出力側共振部と、を有する、
請求項１に記載の導波管型電力分配器。
前記第２導波管型共振器は、前記第１導波管型移相器に接続された入力側共振部と、前記第２出力用導波管型線路に接続された出力側共振部と、を有する、
請求項１に記載の導波管型電力分配器。
【請求項7】
前記第１出力用導波管型線路は、前記第１導波管型共振器のＥ面に接続され、
前記第２出力用導波管型線路は、前記第２導波管型共振器のＥ面に接続される、
請求項１に記載の導波管型電力分配器。
前記第２出力用導波管型線路は、前記第２導波管型共振器のＥ面に接続される、
請求項１に記載の導波管型電力分配器。
【請求項8】
前記第１出力用導波管型線路及び前記第２出力用導波管型線路は、ホーン形状を有する、
請求項１に記載の導波管型電力分配器。
請求項１に記載の導波管型電力分配器。
【請求項9】
前記入力用導波管型線路、前記第１導波管型共振器、前記第１導波管型移相器、及び前記第２導波管型共振器となる凹部が一の面に形成されたブロックと、
前記ブロックの前記一の面と接触して前記凹部を覆うカバーと、
をさらに備え、
前記カバーに、前記第１出力用導波管型線路及び前記第２出力用導波管型線路に接続するためのアイリスが形成される、
請求項１に記載の導波管型電力分配器。
前記ブロックの前記一の面と接触して前記凹部を覆うカバーと、
をさらに備え、
前記カバーに、前記第１出力用導波管型線路及び前記第２出力用導波管型線路に接続するためのアイリスが形成される、
請求項１に記載の導波管型電力分配器。
【請求項10】
前記カバーに、前記第１出力用導波管型線路及び前記第２出力用導波管型線路が形成される、
請求項９に記載の導波管型電力合成器。
請求項９に記載の導波管型電力合成器。
【請求項11】
出力用導波管型線路と、
前記出力用導波管型線路に接続された第１導波管型共振器と、
前記第１導波管型共振器に接続された第１入力用導波管型線路と、
前記第１導波管型共振器に接続された第１導波管型移相器と、
前記第１導波管型移相器に接続された第２導波管型共振器と、
前記第２導波管型共振器に接続された第２入力用導波管型線路と、
を備える、導波管型電力合成器。
前記出力用導波管型線路に接続された第１導波管型共振器と、
前記第１導波管型共振器に接続された第１入力用導波管型線路と、
前記第１導波管型共振器に接続された第１導波管型移相器と、
前記第１導波管型移相器に接続された第２導波管型共振器と、
前記第２導波管型共振器に接続された第２入力用導波管型線路と、
を備える、導波管型電力合成器。
【請求項12】
請求項１に記載の導波管型電力分配器または請求項１１に記載の導波管型電力合成器を備えるアンテナ装置。
【請求項13】
請求項１２に記載のアンテナ装置を備えるレーダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導波管型電力分配器、導波管型電力合成器、アンテナ装置、及びレーダーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献１には、導波管型ウィルキンソン電力分配器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第５７５５５４６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力分配器及び電力合成器には、設計性のさらなる向上が望まれている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、設計性に優れた導波管型電力分配器、導波管型電力合成器、アンテナ装置、及びレーダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一の態様の導波管型電力分配器は、入力用導波管型線路と、前記入力用導波管型線路に接続された第１導波管型共振器と、前記第１導波管型共振器に接続された第１出力用導波管型線路と、前記第１導波管型共振器に接続された第１導波管型移相器と、前記第１導波管型移相器に接続された第２導波管型共振器と、前記第２導波管型共振器に接続された第２出力用導波管型線路と、を備える。これによれば、導波管型共振器と導波管型移相器を交互に配置することで、設計性に優れた導波管型電力分配器を実現することが可能となる。
【0007】
上記態様において、前記第２導波管型共振器に接続された第２導波管型移相器と、前記第２導波管型移相器に接続された第３導波管型共振器と、前記第３導波管型共振器に接続された第３出力用導波管型線路と、をさらに備えてもよい。これによれば、導波管型共振器と導波管型移相器を交互に配置することで、設計性に優れた導波管型電力分配器を実現することが可能となる。
【0008】
上記態様において、前記入力用導波管型線路、前記第１導波管型共振器、前記第１出力用導波管型線路、前記第１導波管型移相器、前記第２導波管型共振器、及び前記第２出力用導波管型線路は、共通のＥ面を有してもよい。これによれば、構造の簡易化及び小型化が可能となる。
【0009】
上記態様において、前記入力用導波管型線路、前記第１導波管型共振器、前記第１出力用導波管型線路、前記第１導波管型移相器、前記第２導波管型共振器、及び前記第２出力用導波管型線路は、Ｈ面に形成されたアイリスを通じて互いに接続されてもよい。これによれば、構造の簡易化及び小型化が可能となる。
【0010】
上記態様において、前記入力用導波管型線路、前記第１導波管型共振器、前記第１出力用導波管型線路、前記第１導波管型移相器、前記第２導波管型共振器、及び前記第２出力用導波管型線路となる凹部が一の面に形成されたブロックと、前記ブロックの前記一の面と接触して前記凹部を覆うカバーと、をさらに備えてもよい。これによれば、構造の簡易化及び小型化が可能となる。
【0011】
上記態様において、前記第１導波管型共振器は、前記入力用導波管型線路に接続された入力側共振部と、前記第１出力用導波管型線路に接続された出力側共振部と、を有し、前記第２導波管型共振器は、前記第１導波管型移相器に接続された入力側共振部と、前記第２出力用導波管型線路に接続された出力側共振部と、を有してもよい。これによれば、特性の広帯域化を図ることが可能となる。
【0012】
上記態様において、前記第１出力用導波管型線路は、前記第１導波管型共振器のＥ面に接続され、前記第２出力用導波管型線路は、前記第２導波管型共振器のＥ面に接続されてもよい。これによれば、導波管型共振器の過度な小型化を抑制することが可能となる。
【0013】
上記態様において、前記第１出力用導波管型線路及び前記第２出力用導波管型線路は、ホーン形状を有してもよい。これによれば、出射される電波の指向性を向上させることが可能となる。
【0014】
上記態様において、前記入力用導波管型線路、前記第１導波管型共振器、前記第１導波管型移相器、及び前記第２導波管型共振器となる凹部が一の面に形成されたブロックと、前記ブロックの前記一の面と接触して前記凹部を覆うカバーと、をさらに備え、前記カバーに、前記第１出力用導波管型線路及び前記第２出力用導波管型線路に接続するためのアイリスが形成されてもよい。これによれば、構造の簡易化及び小型化が可能となる。
【0015】
上記態様において、前記カバーに、前記第１出力用導波管型線路及び前記第２出力用導波管型線路が形成されてもよい。これによれば、構造の簡易化及び小型化が可能となる。
【0016】
また、本発明の他の態様の導波管型電力合成器は、出力用導波管型線路と、前記出力用導波管型線路に接続された第１導波管型共振器と、前記第１導波管型共振器に接続された第１入力用導波管型線路と、前記第１導波管型共振器に接続された第１導波管型移相器と、前記第１導波管型移相器に接続された第２導波管型共振器と、前記第２導波管型共振器に接続された第２入力用導波管型線路と、を備える。これによれば、導波管型共振器と導波管型移相器を交互に配置することで、設計性に優れた導波管型電力合成器を実現することが可能となる。
【0017】
また、本発明の他の態様のアンテナ装置は、上記の導波管型電力分配器または上記の導波管型電力合成器を備える。これによれば、設計性に優れたアンテナ装置を実現することが可能となる。
【0018】
また、本発明の他の態様の上記のアンテナ装置を備えるレーダー。これによれば、設計性に優れたアンテナ装置を備えるレーダーを実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】レーダーの例を示す図である。
【図2】導波管型電力分配器の例を示す分解斜視図である。
【図3】ブロックの例を示す平面図である。
【図4】導波管型電力分配器の例を示す平面図である。
【図5】導波管型電力分配器の例を示す平面図である。
【図6】導波管型電力分配器の例を示す斜視図である。
【図7】導波管型電力分配器の例を示す平面図である。
【図8】導波管型電力分配器の例を示す分解斜視図である。
【図9】ブロックの例を示す平面図である。
【図10】カバーの例を示す平面図である。
【図11】導波管型電力分配器の例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0021】
［レーダー］
図１は、実施形態に係るレーダー１００の構成例を示すブロック図である。レーダー１００は、実施形態に係るアンテナ装置１０を備えている。レーダー１００は、アンテナ装置１０の他に、送受信部１１、信号処理部１２、及び制御部１３をさらに備えている。
図１は、実施形態に係るレーダー１００の構成例を示すブロック図である。レーダー１００は、実施形態に係るアンテナ装置１０を備えている。レーダー１００は、アンテナ装置１０の他に、送受信部１１、信号処理部１２、及び制御部１３をさらに備えている。
【0022】
送受信部１１は、変調部及びマグネトロンを含み、信号処理部１２からのトリガー信号に応じて変調部で生成されたパルス電圧でマグネトロンを間欠駆動し、送信信号を生成する。アンテナ装置１０は、送受信部１１からの送信信号を電波パルスとして送信する。
【0023】
また、アンテナ装置１０は、受信した反射波を受信信号に変換する。アンテナ装置１０からの受信信号は、送受信部１１に含まれる周波数変換・増幅回路及び検波回路などを経て、信号処理部１２で信号処理され、デジタル信号として制御部１３に送り込まれる。
【0024】
レーダー１００は、例えばマイクロ波を送受信する船舶用レーダーである。これに限らず、レーダー１００は、例えばミリ波を送受信する障害物検知又は衝突防止用の車載レーダー等であってもよい。
【0025】
アンテナ装置１０は、以下に説明する実施形態に係る導波管型電力分配器１を備えている。なお、導波管型電力分配器１は、実施形態に係る導波管型電力合成器を兼ねている。すなわち、入出力関係を入れ替えることが可能である。
【0026】
［第１実施形態］
図２は、第１実施形態に係る導波管型電力分配器１Ａの例を示す分解斜視図である。図３は、導波管型電力分配器１Ａに含まれるブロック２の例を示す平面図である。図３では、ブロック２の上面２５にハッチングを付している。
図２は、第１実施形態に係る導波管型電力分配器１Ａの例を示す分解斜視図である。図３は、導波管型電力分配器１Ａに含まれるブロック２の例を示す平面図である。図３では、ブロック２の上面２５にハッチングを付している。
【0027】
図２中の矢印Ｅは、導波管型電力分配器１Ａ内を伝搬する電波の電界方向を示している。電波は、ＴＥモードで伝搬する。以下の説明では、電界方向と直交する面を「Ｅ面」といい、Ｅ面と直交する面を「Ｈ面」という。
【0028】
導波管型電力分配器１Ａは、上面２５に凹部２０が掲載されたブロック２と、ブロック２の上面２５と接触して凹部２０を覆うカバー３と、を備えている。ブロック２及びカバー３は、例えばアルミニウム等の導電性を有する金属材料で形成されている。
【0029】
導波管型電力分配器１Ａは、入力用導波管型線路４０、第１導波管型共振器５１、第１出力用導波管型線路７１、第１導波管型移相器６１、第２導波管型共振器５２、及び第２出力用導波管型線路７２を備えている。
【0030】
ブロック２に形成された凹部２０が、入力用導波管型線路４０、第１導波管型共振器５１、第１出力用導波管型線路７１、第１導波管型移相器６１、第２導波管型共振器５２、及び第２出力用導波管型線路７２となる。
【0031】
入力用導波管型線路４０（以下、単に「入力用線路４０」ともいう）には、送受信部１１（図１参照）からの電波が入力される。
【0032】
入力用線路４０は、アイリス５ａを通じて第１導波管型共振器５１（以下、単に「第１共振器５１」ともいう）に接続されている。
【0033】
第１共振器５１は、アイリス７ａを通じて第１出力用導波管型線路７１（以下、単に「第１出力用線路７１」ともいう）に接続されている。
【0034】
また、第１共振器５１は、アイリス６ａを通じて第１導波管型移相器６１（以下、単に「第１移相器６１」ともいう）にも接続されている。
【0035】
第１移相器６１は、アイリス５ｂを通じて第２導波管型共振器５２（以下、単に「第２共振器５２」ともいう）に接続されている。
【0036】
第２共振器５２は、アイリス７ｂを通じて第２出力用導波管型線路７２（以下、単に「第２出力用線路７２」ともいう）に接続されている。
【0037】
第１及び第２出力用線路７１，７２は、アンテナ装置１０（図１参照）の複数のアンテナエレメントに電波を出力する。これに限らず、第１及び第２出力用線路７１，７２自身が、複数のアンテナエレメントとして構成されてもよい。
【0038】
なお、導波管型電力分配器１Ａを導波管型電力合成器として使用する場合には、入力用線路４０が出力用線路として使用され、第１及び第２出力用線路７１，７２が入力用線路として使用される。
【0039】
入力用線路４０、第１共振器５１、第１出力用線路７１、第１移相器６１、第２共振器５２、及び第２出力用線路７２は、共通のＥ面を有している。すなわち、それぞれのＥ面が同一平面に含まれている。共通のＥ面は、凹部２０の底面及びカバー３の下面で構成される。
【0040】
また、入力用線路４０、第１共振器５１、第１出力用線路７１、第１移相器６１、第２共振器５２、及び第２出力用線路７２は、Ｈ面に形成されたアイリス５ａ，５ｂ，６ａ，７ａ，７ｂを通じて互いに接続されている。
【0041】
このように、Ｈ面に形成されたアイリスにより接続された複数の導波管を含む平面状の回路、すなわちＥ面の面内方向に配列した複数の導波管を含む平面状の回路を「Ｈ面導波管回路」という。
【0042】
入力用線路４０からの入力は、第１移相器６１の長さによって決まる位相差及び分配比をもって第１及び第２出力用線路７１，７２に出力される。また、入力用線路４０からの入力はアイリス５ａ，５ｂ，６ａ，７ａ，７ｂの開口量ないし突出量を所望の値に選ぶことによって整合される。
【0043】
本実施形態によれば、入力用線路４０から入力された電波を、所望の位相差及び分配比で分配出力することができ、特に高周波において設計性に優れ、小型、低損失性、高アイソレーション性を同時に得ることができる。
【0044】
また、本実施形態では、入力された電波を全て吸収する役割を有する終端器を用いず、他部品に比べて損失の大きい共振器を一部に用いることで、導波管型でありながら平面状に構成でき、且つ対称性を有することで同相分配でき、分配ポート間のアイソレーションを確保できる。
【0045】
［第２実施形態］
図４は、第２実施形態に係る導波管型電力分配器１Ｂの例を示す平面図である。導波管型電力分配器１Ｂは、上記導波管型電力分配器１Ａの構成に加えて、第２導波管型移相器６２、第３導波管型共振器５３、及び第３出力用導波管型線路７３をさらに備えている。
図４は、第２実施形態に係る導波管型電力分配器１Ｂの例を示す平面図である。導波管型電力分配器１Ｂは、上記導波管型電力分配器１Ａの構成に加えて、第２導波管型移相器６２、第３導波管型共振器５３、及び第３出力用導波管型線路７３をさらに備えている。
【0046】
第２共振器５２は、アイリス６ｂを通じて第２導波管型移相器６２（以下、単に「第２移相器６２」ともいう）に接続されている。
【0047】
第２移相器６２は、アイリス５ｃを通じて第３導波管型共振器５３（以下、単に「第３共振器５３」ともいう）に接続されている。
【0048】
第３共振器５３は、アイリス７ｃを通じて第３出力用導波管型線路７３（以下、単に「第３出力用線路７３」ともいう）に接続されている。
【0049】
入力用線路４０からの入力は、第１及び第２移相器６１，６２の長さによって決まる位相差及び分配比をもって第１ないし第３出力用線路７１－７３に出力される。
【0050】
同様に、移相器、共振器、及び出力用線路の組をさらに連結すること、すなわち、移相器と共振器とを直列に交互に配置し、共振器に出力用線路を接続することで、４以上の出力用線路に電力を分配することも可能である。
【0051】
［第３実施形態］
図５は、第３実施形態に係る導波管型電力分配器１Ｃの例を示す平面図である。導波管型電力分配器１Ｃでは、第１ないし第３共振器５１－５３のそれぞれが複数の共振部５１１－５３２を有している。
図５は、第３実施形態に係る導波管型電力分配器１Ｃの例を示す平面図である。導波管型電力分配器１Ｃでは、第１ないし第３共振器５１－５３のそれぞれが複数の共振部５１１－５３２を有している。
【0052】
第１共振器５１は、入力用線路４０に接続された入力側共振部５１１と、第１出力用線路７１に接続された出力側共振部５１２と、を有している。
【0053】
第２共振器５２は、第１移相器６１に接続された入力側共振部５２１と、第２出力用線路７２に接続された出力側共振部５２２と、を有している。
【0054】
第３共振器５３は、第２移相器６２に接続された入力側共振部５３１と、第３出力用線路７３に接続された出力側共振部５３２と、を有している。
【0055】
このように複数の共振部５１１－５３２を設けることによって、分配及び整合の特性の広帯域化が可能となる。
【0056】
出力側共振部５１２，５２２，５３２の大きさは、入力側共振部５１１，５２１，５３１よりも小さい。これは、出力側共振部５１２，５２２，５３２に接続される端子の数が入力側共振部５１１，５２１，５３１よりも多く、磁界結合により電波が減りやすいためである。
【0057】
入力側共振部５１１と出力側共振部５１２、入力側共振部５２１と出力側共振部５２２、並びに入力側共振部５３１と出力側共振部５３２は、それぞれ同じ共振周波数を有している。
【0058】
［第４実施形態］
図６は、第４実施形態に係る導波管型電力分配器１Ｄの例を示す斜視図である。導波管型電力分配器１Ｄでは、第１及び第２出力用線路７１，７２が第１及び第２共振器５１，５２のＥ面５８に接続されている。
図６は、第４実施形態に係る導波管型電力分配器１Ｄの例を示す斜視図である。導波管型電力分配器１Ｄでは、第１及び第２出力用線路７１，７２が第１及び第２共振器５１，５２のＥ面５８に接続されている。
【0059】
図中の矢印Ｅ４は、入力用線路４０、第１共振器５１、第１移相器６１、及び第２共振器５２を伝搬する電波の電界方向を示している。図中の矢印Ｅ７は、第１及び第２出力用線路７１，７２を伝搬する電波の電界方向を示している。
【0060】
入力用線路４０、第１共振器５１、第１移相器６１、及び第２共振器５２は、共通のＥ面を有しており、Ｈ面に形成されたアイリスにより互いに接続されている。
【0061】
第１及び第２共振器５１，５２のＥ面５８に第１及び第２出力用線路７１，７２が接続されることで、第１及び第２共振器５１，５２から第１及び第２出力用線路７１，７２へ伝搬する電波は、電界方向が９０度変化する。
【0062】
また、第１及び第２共振器５１，５２のＥ面５８の中心は電界強度が高く、放電が生じやすいため、第１及び第２出力用線路７１，７２は、第１及び第２共振器５１，５２のＥ面５８の中心から離れた位置に接続されている。
【0063】
このような構造のブロック２Ｄは、例えば電界方向Ｅ４，Ｅ７を含む面と直交する方向（図中上下方向）の中央で２つに分割されたブロックを組み合わせることにより、実現することが可能である。
【0064】
本実施形態によれば、第１及び第２共振器５１，５２の過度な小型化を防ぐことが可能である。すなわち、第１及び第２共振器５１，５２が第１及び第２出力用線路７１，７２と電界結合するため、上記第１実施形態のように第１及び第２共振器５１，５２が３点で磁界結合する例と比較して、共振器サイズを過度に小型化せずに所望の特性を得ることができる。
【0065】
［第５実施形態］
図７は、第５実施形態に係る導波管型電力分配器１Ｅの例を示す平面図である。同図では、ブロック２Ｅの上面２５にハッチングを付している。図中のＸＹ平面は、導波管型電力分配器１Ｅ内を伝搬する電波の電界方向と直交する平面である。
図７は、第５実施形態に係る導波管型電力分配器１Ｅの例を示す平面図である。同図では、ブロック２Ｅの上面２５にハッチングを付している。図中のＸＹ平面は、導波管型電力分配器１Ｅ内を伝搬する電波の電界方向と直交する平面である。
【0066】
以下の説明では、第１共振器５１及び第２共振器５２等を総称して「共振器５」ともいい、第１移相器６１及び第２移相器６２等を総称して「移相器６」ともいい、第１出力用線路７１及び第２出力用線路７２等を総称して「出力用線路７」ともいう。
【0067】
導波管型電力分配器１Ｅでは、共振器５と移相器６がＸ方向に交互に配置されている。出力用線路７は、共振器５からＹ方向に延出している。Ｘ方向に隣り合う２つの出力用線路７は、分離壁２７によって隔てられている。
【0068】
出力用線路７は、ホーン形状を有している。すなわち、出力用線路７は、ホーンアンテナのアンテナエレメントとして構成されている。このため、導波管型電力分配器１Ｅは、Ｘ方向にアンテナエレメントが配列したアレイアンテナとして構成される。
【0069】
具体的には、出力用線路７は、対向する一対のＨ面２ｈの間隔が共振器５から離れるに従って徐々に広がるホーン形状を有している。言い換えると、分離壁２７を構成する互いに逆向きの一対のＨ面２ｈの間隔が移相器６から離れるに従って徐々に狭まっている。
【0070】
一方、出力用線路７の対向する一対のＥ面２ｅの間隔は一定である。これに限らず、対向する一対のＥ面２ｅの間隔も、共振器５から離れるに従って徐々に広がってもよい。
【0071】
［第６実施形態］
図８は、第６実施形態に係る導波管型電力分配器１Ｆの例を示す分解斜視図である。図９は、導波管型電力分配器１Ｆに含まれるブロック２Ｆの例を示す平面図である。図１０は、導波管型電力分配器１Ｆに含まれるカバー３Ｆの例を示す平面図である。
図８は、第６実施形態に係る導波管型電力分配器１Ｆの例を示す分解斜視図である。図９は、導波管型電力分配器１Ｆに含まれるブロック２Ｆの例を示す平面図である。図１０は、導波管型電力分配器１Ｆに含まれるカバー３Ｆの例を示す平面図である。
【0072】
導波管型電力分配器１Ｆのブロック２Ｆには、入力用線路４０、共振器５、及び移相器６となる凹部２０が形成されている。入力用線路４０、共振器５、及び移相器６は、一方向に配列している。これらは、共通のＥ面を有しており、Ｈ面に形成されたアイリスにより互いに接続されている。
【0073】
導波管型電力分配器１Ｆのカバー３Ｆには、出力用線路７及びアイリス７ｘが形成されている。出力用線路７は、共振器５に対応する位置に凹部状に形成されている。アイリス７ｘは、出力用線路７の底部を貫通している。アイリス７ｘは、角括弧状に折れ曲がった形状を有している。
【0074】
ブロック２Ｆ上にカバー３Ｆが配置されると、出力用線路７は、アイリス７ｘを通じて共振器５に接続される。出力用線路７は、共振器５のＥ面に接続されている。また、出力用線路７は、共振器５から離れるに従って四方に広がるホーン形状を有している。
【0075】
なお、図１１に示す変形例に係る導波管型電力分配器１Ｇのように、カバー３Ｇには、アイリス７ｘのみが形成されてもよく、アイリス７ｘの位置に別体の出力用線路（不図示）が連結されるようにしてもよい。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が当業者にとって可能であることはもちろんである。
【0077】
上記導波管型電力分配器１Ａ－１Ｇを用いて実現されるアンテナ装置（アレーアンテナ）は、その給電箇所（センターフィード若しくはエンドフィード）又は励振方法（進行波励振方式若しくは定在波励振方式）に制約を受けるものではない。
【0078】
以下、本発明の代表的な実施形態を列挙する。
【0079】
（１）
入力用導波管型線路と、
前記入力用導波管型線路に接続された第１導波管型共振器と、
前記第１導波管型共振器に接続された第１出力用導波管型線路と、
前記第１導波管型共振器に接続された第１導波管型移相器と、
前記第１導波管型移相器に接続された第２導波管型共振器と、
前記第２導波管型共振器に接続された第２出力用導波管型線路と、
を備える、導波管型電力分配器。
入力用導波管型線路と、
前記入力用導波管型線路に接続された第１導波管型共振器と、
前記第１導波管型共振器に接続された第１出力用導波管型線路と、
前記第１導波管型共振器に接続された第１導波管型移相器と、
前記第１導波管型移相器に接続された第２導波管型共振器と、
前記第２導波管型共振器に接続された第２出力用導波管型線路と、
を備える、導波管型電力分配器。
【0080】
（２）
前記第２導波管型共振器に接続された第２導波管型移相器と、
前記第２導波管型移相器に接続された第３導波管型共振器と、
前記第３導波管型共振器に接続された第３出力用導波管型線路と、
をさらに備える、
（１）に記載の導波管型電力分配器。
前記第２導波管型共振器に接続された第２導波管型移相器と、
前記第２導波管型移相器に接続された第３導波管型共振器と、
前記第３導波管型共振器に接続された第３出力用導波管型線路と、
をさらに備える、
（１）に記載の導波管型電力分配器。
【0081】
（３）
前記入力用導波管型線路、前記第１導波管型共振器、前記第１出力用導波管型線路、前記第１導波管型移相器、前記第２導波管型共振器、及び前記第２出力用導波管型線路は、共通のＥ面を有する、
（１）または（２）に記載の導波管型電力分配器。
前記入力用導波管型線路、前記第１導波管型共振器、前記第１出力用導波管型線路、前記第１導波管型移相器、前記第２導波管型共振器、及び前記第２出力用導波管型線路は、共通のＥ面を有する、
（１）または（２）に記載の導波管型電力分配器。
【0082】
（４）
前記入力用導波管型線路、前記第１導波管型共振器、前記第１出力用導波管型線路、前記第１導波管型移相器、前記第２導波管型共振器、及び前記第２出力用導波管型線路は、Ｈ面に形成されたアイリスを通じて互いに接続される、
（１）ないし（３）の何れかに記載の導波管型電力分配器。
前記入力用導波管型線路、前記第１導波管型共振器、前記第１出力用導波管型線路、前記第１導波管型移相器、前記第２導波管型共振器、及び前記第２出力用導波管型線路は、Ｈ面に形成されたアイリスを通じて互いに接続される、
（１）ないし（３）の何れかに記載の導波管型電力分配器。
【0083】
（５）
前記入力用導波管型線路、前記第１導波管型共振器、前記第１出力用導波管型線路、前記第１導波管型移相器、前記第２導波管型共振器、及び前記第２出力用導波管型線路となる凹部が一の面に形成されたブロックと、
前記ブロックの前記一の面と接触して前記凹部を覆うカバーと、
をさらに備える、
（１）ないし（４）の何れかに記載の導波管型電力分配器。
前記入力用導波管型線路、前記第１導波管型共振器、前記第１出力用導波管型線路、前記第１導波管型移相器、前記第２導波管型共振器、及び前記第２出力用導波管型線路となる凹部が一の面に形成されたブロックと、
前記ブロックの前記一の面と接触して前記凹部を覆うカバーと、
をさらに備える、
（１）ないし（４）の何れかに記載の導波管型電力分配器。
【0084】
（６）
前記第１導波管型共振器は、前記入力用導波管型線路に接続された入力側共振部と、前記第１出力用導波管型線路に接続された出力側共振部と、を有し、
前記第２導波管型共振器は、前記第１導波管型移相器に接続された入力側共振部と、前記第２出力用導波管型線路に接続された出力側共振部と、を有する、
（１）ないし（５）の何れかに記載の導波管型電力分配器。
前記第１導波管型共振器は、前記入力用導波管型線路に接続された入力側共振部と、前記第１出力用導波管型線路に接続された出力側共振部と、を有し、
前記第２導波管型共振器は、前記第１導波管型移相器に接続された入力側共振部と、前記第２出力用導波管型線路に接続された出力側共振部と、を有する、
（１）ないし（５）の何れかに記載の導波管型電力分配器。
【0085】
（７）
前記第１出力用導波管型線路は、前記第１導波管型共振器のＥ面に接続され、
前記第２出力用導波管型線路は、前記第２導波管型共振器のＥ面に接続される、
（１）または（２）に記載の導波管型電力分配器。
前記第１出力用導波管型線路は、前記第１導波管型共振器のＥ面に接続され、
前記第２出力用導波管型線路は、前記第２導波管型共振器のＥ面に接続される、
（１）または（２）に記載の導波管型電力分配器。
【0086】
（８）
前記第１出力用導波管型線路及び前記第２出力用導波管型線路は、ホーン形状を有する、
（１）ないし（７）の何れかに記載の導波管型電力分配器。
前記第１出力用導波管型線路及び前記第２出力用導波管型線路は、ホーン形状を有する、
（１）ないし（７）の何れかに記載の導波管型電力分配器。
【0087】
（９）
前記入力用導波管型線路、前記第１導波管型共振器、前記第１導波管型移相器、及び前記第２導波管型共振器となる凹部が一の面に形成されたブロックと、
前記ブロックの前記一の面と接触して前記凹部を覆うカバーと、
をさらに備え、
前記カバーに、前記第１出力用導波管型線路及び前記第２出力用導波管型線路に接続するためのアイリスが形成される、
（１）または（２）に記載の導波管型電力分配器。
前記入力用導波管型線路、前記第１導波管型共振器、前記第１導波管型移相器、及び前記第２導波管型共振器となる凹部が一の面に形成されたブロックと、
前記ブロックの前記一の面と接触して前記凹部を覆うカバーと、
をさらに備え、
前記カバーに、前記第１出力用導波管型線路及び前記第２出力用導波管型線路に接続するためのアイリスが形成される、
（１）または（２）に記載の導波管型電力分配器。
【0088】
（１０）
前記カバーに、前記第１出力用導波管型線路及び前記第２出力用導波管型線路が形成される、
（９）に記載の導波管型電力合成器。
前記カバーに、前記第１出力用導波管型線路及び前記第２出力用導波管型線路が形成される、
（９）に記載の導波管型電力合成器。
【0089】
（１１）
出力用導波管型線路と、
前記出力用導波管型線路に接続された第１導波管型共振器と、
前記第１導波管型共振器に接続された第１入力用導波管型線路と、
前記第１導波管型共振器に接続された第１導波管型移相器と、
前記第１導波管型移相器に接続された第２導波管型共振器と、
前記第２導波管型共振器に接続された第２入力用導波管型線路と、
を備える、導波管型電力合成器。
出力用導波管型線路と、
前記出力用導波管型線路に接続された第１導波管型共振器と、
前記第１導波管型共振器に接続された第１入力用導波管型線路と、
前記第１導波管型共振器に接続された第１導波管型移相器と、
前記第１導波管型移相器に接続された第２導波管型共振器と、
前記第２導波管型共振器に接続された第２入力用導波管型線路と、
を備える、導波管型電力合成器。
【0090】
（１２）
（１）ないし（１０）の何れかに記載の導波管型電力分配器または（１１）に記載の導波管型電力合成器を備えるアンテナ装置。
（１）ないし（１０）の何れかに記載の導波管型電力分配器または（１１）に記載の導波管型電力合成器を備えるアンテナ装置。
【0091】
（１３）
（１２）に記載のアンテナ装置を備えるレーダー。
（１２）に記載のアンテナ装置を備えるレーダー。
【符号の説明】
【0092】
１ 導波管型電力分配器（導波管型電力合成器）、２ ブロック、２０ 凹部、２５ 上面、２７ 分離壁、２ｅ Ｅ面、２ｈ Ｈ面、３ カバー、４０ 入力用導波管型線路、５，５１－５３ 導波管型共振器、５８ Ｅ面、５ａ－５ｃ アイリス、５１１－５３２ 共振部、６，６１，６２ 導波管型移相器、６ａ，６ｂ アイリス、７，７１－７３ 出力用導波管型線路、７ａ－７ｃ，７ｘ アイリス、１０ アンテナ装置、１１ 送受信部、１２ 信号処理部、１３ 制御部、１００ レーダー
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】