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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178973
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13357 20060101AFI20241219BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20241219BHJP
   F21V 9/38 20180101ALI20241219BHJP
   F21V 3/08 20180101ALI20241219BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241219BHJP
【FI】
G02F1/13357
F21S2/00 481
F21V9/38
F21V3/08
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097411
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】矢島 利浩
(72)【発明者】
【氏名】柴田 倫秀
(72)【発明者】
【氏名】大田 隆
【テーマコード(参考)】
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H391AA03
2H391AB04
2H391AB06
2H391AB21
2H391AB34
2H391AB40
2H391AB43
2H391AC13
2H391AC25
3K244AA01
3K244BA03
3K244BA48
3K244CA02
3K244DA01
3K244DA14
3K244GA01
3K244GA02
3K244GA03
3K244GA04
3K244GA05
3K244GA10
3K244GA20
(57)【要約】
【課題】紫外線LEDとQDシートを用いたバックライトにおいて平面で視て、紫外線LED周辺における色シフトを軽減する。
【解決手段】
表示パネルとバックライトを有する表示装置であって、前記バックライトは、紫外線LED31が平面状に、かつ、第1の間隔をもってマトリクス状に配置した光源と、前記光源を覆ってQDシート40が配置した構成であり、前記QDシートには、紫外光を受けて赤色を発光する赤量子ドットと、紫外光を受けて緑色を発光する緑量子ドットと、紫外光を受けて青色を発光する青量子ドットとが分散されており、前記QDシートは、平面で視て、第1の領域44と、前記紫外線LEDを囲むように、リング状に配置した第2の領域45が形成され、前記第2の領域においては、前記赤量子ドット、前記緑量子ドット、前記青量子ドットのいずれかが、前記第1の領域よりも多く分散されていることを特徴とする表示装置。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルとバックライトを有する表示装置であって、
前記バックライトは、紫外線LEDが平面状に、かつ、第1の間隔をもってマトリクス状に配置した光源と、前記光源を覆って色変換シートが配置した構成であり、
前記色変換シートには、紫外光を受けて赤色を発光する赤量子ドットと、紫外光を受けて緑色を発光する緑量子ドットと、紫外光を受けて青色を発光する青量子ドットとが分散されており、
前記色変換シートは、平面で視て、第1の領域と、前記紫外線LEDを囲むように、リング状に配置した第2の領域が形成され、
前記第2の領域においては、前記赤量子ドット、前記緑量子ドット、前記青量子ドットのいずれかが、前記第1の領域よりも多く分散されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第2の領域においては、前記赤量子ドットが、前記第1の領域よりも多く分散されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第2の領域においては、前記緑量子ドットが、前記第1の領域よりも多く分散されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第2の領域においては、前記青量子ドットが、前記第1の領域よりも多く分散されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記リングの外側の半径は、前記第1の間隔の1/4以下であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第2の領域における、前記赤量子ドット、前記緑量子ドット、前記青量子ドットのいずれかは分布を有し、前記分布のピークは、前記リングの幅の中心よりも外側に存在していることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
表示パネルとバックライトを有する表示装置であって、
前記バックライトは、紫外線LEDが平面状に、かつ、第1の間隔をもってマトリクス状に配置した光源と、前記光源を覆って色変換シートが配置した構成であり、
前記色変換シートには、紫外光を受けて赤色を発光する赤量子ドットと、紫外光を受けて緑色を発光する緑量子ドットと、紫外光を受けて青色を発光する青量子ドットとが分散されており、
前記色変換シートは、平面で視て、第1の領域と、前記紫外線LEDを覆うように円状に配置した第2の領域が形成され、
前記第2の領域においては、前記赤量子ドット、前記緑量子ドット、前記青量子ドットのいずれかが、前記第1の領域よりも多く分散されていることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
前記第2の領域においては、前記赤量子ドットが、前記第1の領域よりも多く分散されていることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第2の領域においては、前記緑量子ドットが、前記第1の領域よりも多く分散されていることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第2の領域においては、前記青量子ドットが、前記第1の領域よりも多く分散されていることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項11】
前記円の半径は、前記第1の間隔の1/4以下であることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第2の領域における、前記赤量子ドット、前記緑量子ドット、前記青量子ドットのいずれかは分布を有し、前記分布のピークは、前記円の半径の1/2よりも外側に存在していることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のLEDを平面上に配置した直下型のバックライト、及び、これを用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等の表示領域のバックライトとして、多数の単色のLED、または、紫外線LEDを平面上に配置し、これを覆って色変換シートを配置することによって白色光を得る構成が多く用いられている。以下に液晶表示装置の例を示す。
【0003】
液晶表示装置では画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)等がマトリクス状に形成されたTFT基板と、TFT基板に対向して、対向基板が配置され、TFT基板と対向基板の間に液晶層が挟持されている。そして液晶分子による光の透過率を画素毎に制御することによって画像を形成している。
【0004】
液晶表示パネル自身は発光しないので、バックライトが必要である。LED(発光ダイオード)を平面上に配置した直下型のLEDは輝度を大きくとることが出来る。LEDは特定の波長の光を発光する。一方、バックライトには白色光が必要である。そこで、3色のLEDから発光される光をミックスして白色光を得る方式と、1色のLEDからの光を、光変換シートを用いて白色に変換する方式が存在している。いずれの方式でも、光を完全にミックスして白色を得るという課題が存在している。
【0005】
特許文献1では、単色のLEDを多数平面上に配置し、LED毎に、内壁にQDシートを有し、上方に光を放射する開口を有するQDボックスを配置する構成が記載されている。特許文献1の構成では、QDシートによってLEDからの光を変換し、LEDからの光と変換された光をQDボックス内において十分にミックスして、白色光を開口から放出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-198187
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
バックライトにおける白色を得る手段としては、単色のLEDを用いて色変換シートによって白色を得る方法と、紫外線LEDを用い、例えば、QDシート(Quantum Dot Sheet)等の色変換シートによって白色の可視光を得る方法がある。
【0008】
単色のLEDとしては、青色LEDが使用される。例えば、青色と黄色をミックスすると疑似的に白色を得ることが出来る。そこで、青色LEDの出射方向に青色を黄色に変換する色変換シートを配置すると、青色と黄色のミックスされた白色光が色変換シートから放出される。この方式の場合、LEDからの光の方向によって、色変換シートを出射する光において、青色光と黄色光の割合が変化することがある。そうすると、色むらが発生する。
【0009】
一方紫外線LEDを用いる場合、色変換シート内に例えば、紫外線を受けて、赤色、緑色、青色の光を放射する量子ドット(QD(Quantum Dot))を分散させておく。3色のQDの割合を調整することによって、必要な色温度の白色を得ることが出来る。しかし、同一紫外線に対して、赤色、緑色、青色の量子ドットの変換効率が異なるために、QDシートを通過する光路差によって、白色にむらが生ずる場合がある。
【0010】
本発明の課題は、紫外線LEDを光源とし、QDシート等の色変換シートを用いた構成において、光源からの出射方向の差による色むらを軽減し、均一な白色を得ることが出来るバックライトを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記課題を解決するものであり、主な具体的な手段は次のとおりである。
【0012】
(1)表示パネルとバックライトを有する表示装置であって、前記バックライトは、紫外線LEDが平面状に、かつ、第1の間隔をもってマトリクス状に配置した光源と、前記光源を覆って色変換シートが配置した構成であり、前記色変換シートには、紫外光を受けて赤色を発光する赤量子ドットと、紫外光を受けて緑色を発光する緑量子ドットと、紫外光を受けて青色を発光する青量子ドットとが分散されており、前記色変換シートは、平面で視て、第1の領域と、前記紫外線LEDを囲むように、リング状に配置した第2の領域が形成され、前記第2の領域においては、前記赤量子ドット、前記緑量子ドット、前記青量子ドットのいずれかが、前記第1の領域よりも多く分散されていることを特徴とする表示装置。
【0013】
(2)前記第2の領域においては、前記赤量子ドットが、前記第1の領域よりも多く分散されていることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0014】
(3)前記第2の領域においては、前記緑量子ドットが、前記第1の領域よりも多く分散されていることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0015】
(4)前記第2の領域においては、前記青量子ドットが、前記第1の領域よりも多く分散されていることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0016】
(5)前記リングの外側の半径は、前記第1の間隔の1/4以下であることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0017】
(6)前記第2の領域における、前記赤量子ドット、前記緑量子ドット、前記青量子ドットのいずれかは分布を有し、前記分布のピークは、前記リングの幅の中心よりも外側に存在していることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0018】
(7)表示パネルとバックライトを有する表示装置であって、前記バックライトは、紫外線LEDが平面状に、かつ、第1の間隔をもってマトリクス状に配置した光源と、前記光源を覆って色変換シートが配置した構成であり、前記色変換シートには、紫外光を受けて赤色を発光する赤量子ドットと、紫外光を受けて緑色を発光する緑量子ドットと、紫外光を受けて青色を発光する青量子ドットとが分散されており、前記色変換シートは、平面で視て、第1の領域と、前記紫外線LEDを覆うように円状に配置した第2の領域が形成され、前記第2の領域においては、前記赤量子ドット、前記緑量子ドット、前記青量子ドットのいずれかが、前記第1の領域よりも多く分散されていることを特徴とする表示装置。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】液晶表示装置の平面図である。
図2】液晶表示装置の断面図である。
図3】液晶表示装置におけるセグメントの例を示す平面図である。
図4】バックライトにおける4個のセグメントを示す平面図である。
図5図4のA-A断面図である。
図6】量子ドットの例である。
図7】黄色シフトを説明する平面図である。
図8】黄色シフトを説明する断面図である。
図9】マゼンダシフトを説明する平面図である。
図10】マゼンダシフトを説明する断面図である。
図11】シアンシフトを説明する平面図である。
図12】シアンシフトを説明する断面図である。
図13】実施例1で黄色シフトを対策する平面図である。
図14】実施例1で黄色シフトを対策する断面図である。
図15】実施例1でマゼンダシフトを対策する平面図である。
図16】実施例1でマゼンダシフトを対策する断面図である。
図17】実施例1でシアンシフトを対策する平面図である。
図18】実施例1でシアンシフトを対策する断面図である。
図19】実施例2で黄色シフトを対策する平面図である。
図20】実施例2で黄色シフトを対策する断面図である。
図21】実施例2でマゼンダシフトを対策する平面図である。
図22】実施例2でマゼンダシフトを対策する断面図である。
図23】実施例2でシアンシフトを対策する平面図である。
図24】実施例2でシアンシフトを対策する断面図である。
図25】バックライト他の例の断面図である。
図26】バックライトのさらに他の例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係るバックライトは種々の表示装置について使用することが出来る。バックライトを用いる表示装置の中でも、液晶表示装置はその代表的なものであるので、以下に液晶表示装置に即して、実施例により、本発明を説明する。
【実施例0021】
図1は液晶表示装置の1例を示す平面図である。図1において、TFT基板100と対向基板200がシール材16によって接着し、内部に液晶が挟持されている。TFT基板100と対向基板200がオーバーラップした部分に表示領域14が形成されている。表示領域14には、走査線11が横方向(x方向)に延在し、縦方向(y方向)に配列している。また、映像信号線12が縦方向に延在して横方向に配列している。走査線11と映像信号線12で囲まれた領域に画素13が形成されている。
【0022】
図1において、TFT基板100が対向基板200とオーバーラップしていない部分は端子領域15となっている。端子領域15には、液晶表示パネルに電源や信号を供給するためにフレキシブル配線基板17が接続している。液晶表示パネルを駆動するドライバICはフレキシブル配線基板17に搭載されている。TFTの背面には、図2に示すようにバックライトが配置している。
【0023】
図2は液晶表示装置の断面図である。図2において、液晶表示パネル10の背面にバックライト20が配置している。液晶表示パネル10は次のような構成になっている。すなわち、画素電極、コモン電極、TFT、走査線、映像信号線等が形成されたTFT基板100に対向して、ブラックマトリクスやカラーフィルタが形成された対向基板200が配置している。TFT基板100と対向基板200は周辺において、シール材16によって接着し、内部に液晶300が封入されている。
【0024】
液晶分子は、TFT基板100及び対向基板200に形成された配向膜によって、初期配向している。画素電極とコモン電極の間に電圧が印加されると、液晶分子が回転し、画素毎にバックライト20からの光を制御することによって画像を形成する。液晶300は、偏向光のみ制御することが出来るので、TFT基板100の下に下偏光板101を配置して、偏向光のみを液晶300に入射する。液晶300で変調された光は、上偏光板201において、検光され、画像が視認される。
【0025】
図2において、液晶表示パネル10の背面にバックライト20が配置している。バックライト20は光源部30の上に色変換シート40が配置し、その上に光学シート群50が配置している構成である。表示装置のバックライト20には、LED等の光源が導光板等の側面に配置するサイドライト方式と、LED等の光源が色変換シート40等の下面に配置する直下型とが存在するが、本発明では、直下型方式のバックライトを使用する。
【0026】
図2において、光源部30の上には色変換シート40が配置している。色変換シート40の構成は後で説明する。色変換シート40の上には光学シート群50が配置している。光学シート群50には、プリズムシート、拡散シート等が用いられる。また、バックライト20からの光の利用効率を向上させるために、偏向反射シートが用いられることもある。どのような光学シートを用いるか、あるいは、どのような光学シートを何枚用いるかは表示装置によって決められる。
【0027】
図3は、液晶表示パネル10の表示領域をセグメント141に分けた場合の平面図である。セグメント141毎にバックライトにおいてLEDが配置している。図3は模式図であり、実際には、図3よりも多くのセグメントに分かれている。各セグメントの大きさは、4mm以下、多くの場合は2mm程度である。図3におけるセグメントを示す点線は架空の線であり、表示領域にこのような線があるわけではない。
【0028】
図3において、光源であるLEDは、各セグメントの中心に配置される。つまり、LEDは平面で視て、回路基板上に、x方向、y方向に等間隔でマトリクス状に配置している。
【0029】
図4は、図3に示すセグメント141を4個分描いた平面図である。図4において、セグメント141の中央にはLED31が配置している。LED31は、ミニLEDを使用した場合、100μm乃至300μm程度の大きさである。図4ではLED31は正方形であるが、長方形の場合もありうる。LED31の中心間隔は、セグメントと同じ大きさの2mmである。
【0030】
LED31を覆って色変換シート40が配置している。色変換シート40としては表示領域共通に1枚のシートが使用される。図4の点線は、セグメント141の境界を示す架空の線である。色変換シート内には、図5で説明するように、赤QD411、緑QD412及び青QD413が混合したQD41が分散している。
【0031】
図5は、バックライトの構成を示す断面図であり、図4のA-A断面図に相当する。図5において、バックライト用回路基板33の上にLED31が載置されている。LED31は紫外線発光ダイオード(以後紫外線LEDとも言う)が使用されている。LED31は透明樹脂32によって覆われている。透明樹脂32には、例えばアクリル樹脂あるいはシリコーン樹脂が使用される。
【0032】
図5において、LED31を覆う透明樹脂32の上に色変換シート40が載置されている。色変換シート40は、色変換材料41として、蛍光体粒子を分散させた蛍光体シートを使用する場合とQD(Quantum Dot、以後、量子ドットともいう)を分散させたQDシート(以後、量子ドットシートともいう)を使用する場合がある。図5では、QDシートを使用している。
【0033】
色変換シート(QDシート)40は、図5に示すように、透明バインダ42中に量子ドット41が分散されたものが、バリア層を兼ねた薄い透明樹脂フィルム43にサンドイッチされたものである。バリア層としての薄い透明樹脂フィルム43には、アクリル、ポリカーボネイト、あるいは、PET(ポリエチレンテレフタレート)等が用いられる。色変換シート40の厚さは全体として80ミクロン乃至300ミクロンである。
【0034】
図6図5で使用される量子ドット41の模式図である。量子ドット41は、半導体の微粒子であり、粒子径の大きさによって、変換されて出射する光の波長が異なる。量子ドット41の径ddは一般には、20nm以下である。図6において、P1およびP2は半導体である。P1は例えば球状のCdSeであり、P1の周りをZnSであるP2が覆っている。
【0035】
量子ドット41は、入射した光を閉じ込め、入射した光よりも長波長の光を出射する。入射光はLED31からの光であるが、本実施例では紫外光である。図6の量子ドット41におけるLはリガンド(Ligand)と呼ばれるものであり、量子ドット41が樹脂中に分散されやすくするものである。図6に示す量子ドット41は、バインダとよばれる透明樹脂42内に分散されている。バインダ42として使用される樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることが出来る。
【0036】
図7及び図8は、図4及び図5に示すバックライトにおける問題点を示す図である。図7は、図4と同じ4個のセグメントにおいて、LED31を点灯した場合のQDシート40からの出光パターンである。図7の構成は図4と同じであり、LED31の上に色変換シート40が配置している。LED31からは紫外光が放射し、一部は、QDシート40内で、分散された量子ドットによって、赤色光、緑色光、青色光に変換され、全体としては白色光となり、QDシートから出射する。
【0037】
しかし、実際には、紫外線を吸収して赤色光を発光する赤量子ドット411、紫外線を吸収して緑色光を発光する緑量子ドット412、紫外線を吸収して青色光を発光する青量子ドット413によって、紫外線の吸収率、及び、紫外光から、赤色光、緑色光、青色光に変換される変換効率が異なる。したがって、一般には、LEDの直上に出射する光が白色になるように、赤量子ドット411、緑量子ドット412、青量子ドット413の量が調整される。
【0038】
しかし、各量子ドットによって、紫外線の吸収率、紫外線の可視光への変換効率が異なるということは、紫外線の光路差によって、赤、緑、青の出射光のバランスが異なってくるということである。例えば、青量子ドットの変換効率が他の量子ドットの変換効率よりも低い場合、図7に示すように、LED31の周辺において、Yで示す黄色い領域が生ずる。この領域は、例えば、図7におけるハッチングを施したリング状である。
【0039】
図7は模式図であり、黄色シフト領域は、はっきりした境界が存在するわけではない。図7の点線で示すリングは、黄色シフトの生ずるおおよその領域を示すものである。つまり、図7では、LED31に対応する部分は白色であり、ハッチングを施した領域は黄色シフトをおこしており、ハッチングのさらに外側は再び白色となっている。
【0040】
図8は、バックライトの1セグメント分の断面図である。図8では、光学シート群は省略されている。図8において、回路基板33の上に紫外線LED31が配置し、紫外線LED31を透明樹脂32が覆っている。透明樹脂32の上にQDシート40が配置している。QDシート40は、バインダ42内に量子ドット41が分散し、これを透明バリア層43でサンドイッチした構成である。
【0041】
図8に示すように、LED31からQDシート40の法線方向に進む光と、法線方向と角度θをもって進む光とでは、QDシート40内を進む距離が異なる。法線方向に進む光がQDシート40内を進む距離はd1であり、法線方向と角度θをもって進む光がQDシート40内を進む距離はd2であり、d2>d1である。
【0042】
つまり、法線方向と角度θをもって進む光のほうが、量子ドット41に取り込まれる確率が大きく、したがって、紫外光が各色光に変換される確率の差が大きくなる。図8に示すように、LED31の直上に対応する部分を所望の色温度の白色光Wに設定すると、例えば、青量子ドットの変換効率が、他の量子ドットよりも低い場合、図8のハッチング領域を通過する光Yは黄色シフトをおこすことになる。なお、図8において、矢印Wは白色光であり、Yは黄色シフトした光である。
【0043】
この現象は角度θの大きさによって異なるが、人間の眼に目立つようになるのは、角度θがある値よりも大きくなったときである。一方、角度θが非常に大きくなると、紫外光の量が小さくなり、各色のアンバランスが目立たなくなる。したがって、出射光が白色に戻るという現象が生ずる。つまり、LED31からの光が、QDシート40の法線方向と角度θをもって進む光のうち、ある範囲の角度θを持つ光が、黄色がかるということになる。
【0044】
図7及び図8は、青の量子ドット413の発光効率が、赤量子ドット411、緑量子ドット412の発光効率よりも低い場合である。図9及び図10は、緑量子ドット412の発光効率が、赤量子ドット411、青量子ドット413の発光効率よりも低い場合である。この場合は、図9に示すように、紫外線LED31の周辺領域が、マゼンダがかるマゼンダシフトを生ずる。図9では、この領域をMで示している。
【0045】
図10は、図9の断面図である。図10において、LED31の直上は矢印Wで示す白色光であるのに対し、LED31から角度θで出射する光は、矢印Mで示すように、マゼンダシフトを生じている。図10ではこの光をMで表している。
【0046】
図11及び図12は、赤量子ドット411の発光効率が、緑量子ドット412、青量子ドット413の発光効率よりも低い場合である。この場合は、図11に示すように、紫外線LED31の周辺領域が、シアンがかるシアンシフトを生ずる。図11では、この領域をCで示している。
【0047】
図12は、図11の断面図である。図12において、LED31の直上は矢印Wで示す白色光であるのに対し、LED31から角度θで出射する光は、矢印Cで示すように、シアンシフトを生じている。図12ではこの光をCで表している。
【0048】
本発明は以上のような問題点を解決するものである。図13は、図7及び図8に示す、LED31の周辺が黄色シフトを生ずる場合を対策する構成であり、実施例1の特徴を示す平面図である。図13は、図7に対応する4個のセグメントの平面図である。図13においても、紫外線LED31がセグメントの中央に位置し、紫外線LED31を覆ってQDシート40が配置している。QDシート40内には、赤、緑、青の量子ドット41(411、412、413)が所定の濃度で分散している領域44と、青量子ドット413の割合を、領域44におけるよりも多くした領域45が存在している。この領域45は、平面で視て、紫外線LED31を囲むようにリング状に形成されている。
【0049】
図13における領域45は、図7に示すリング状のハッチング領域、つまり、黄色シフトを生じさせる領域に対応している。すなわち、黄色シフトは、青色光が少ないために生ずる現象であるから、この領域で青色量子ドット413を多くすることによって、この現象を軽減することが出来る。
【0050】
図14は、図13の断面図である。図14において、QDシート40は、領域44と、ハッチングが施された領域45で構成されているが、領域44と45は図13で説明したとおりである。領域45は、青量子ドット413が他の量子ドットよりも多く分散されている領域である。領域45における青量子ドット413の増分は、領域45内で一定としてもよいが、分布を持たせたほうが良い場合もある。
【0051】
図14の上側の分布図は、ハッチングで示す領域45における、青量子ドット413の量の増分を示すグラフである。図14に示すように、青量子ドット413の増分は、領域45内において、滑らかに変化しているが、ピークは、リング状の領域45の幅方向の中心よりも外側に存在している。青量子ドット413の増分に変化を持たせることによって、黄色シフトの補正をより正確におこなうことが出来る。
【0052】
ただし、図14に示す分布は、単なる例であり、他に色々な分布とすることが出来る。なお、青量子ドット413の割合が他の部分よりも大きい範囲45は、青色LED31と青色LED31の間隔をdとした場合、半径で、d/4以下である。すなわち、d/4以上の領域では、図7に示す黄色シフトの現象は顕著ではなくなるからである。以上で説明した分布は、図15乃至18においても同様である。
【0053】
図15は、図9及び図10に示す、LED31の周辺がマゼンダシフトを生ずる場合を対策する構成である。図15は、図13で説明した構成とほぼ同じである。図15図13と異なる点は、ハッチングで示したリング状の領域46において、緑量子ドット412が他の領域44よりも多くなっていることである。図15の動作は、図13で説明したのと同じである。
【0054】
図16は、図15の断面図である。図16において、QDシート40は、領域44と、ハッチングが施された領域46で構成されている。図16図14と異なる点は、領域46、すなわち、緑量子ドット412の多い領域46が存在するということである。領域46の存在によって、マゼンダシフトを軽減することが出来る。緑量子ドット412の分布についても、図14で説明したとおりである。図16におけるその他の動作も図14で説明したのと同じである。
【0055】
図17は、図11及び図12に示す、LED31の周辺がシアンシフトを生ずる場合を対策する構成である。図17は、図13で説明した構成とほぼ同じである。図17図13と異なる点は、ハッチングで示したリング状の領域47において、赤量子ドット411が他の領域44よりも多くなっていることである。図17の動作は、図13で説明したのと同じである。
【0056】
図18は、図17の断面図である。図18において、QDシート40は、領域44と、ハッチングが施された領域46で構成されている。図18図14と異なる点は、領域46、すなわち、赤量子ドット411の多い領域47が存在するということである。領域47の存在によって、シアンシフトを軽減することが出来る。赤量子ドット411の分布についても、図14で説明したとおりである。図18におけるその他の動作も図14で説明したのと同じである。
【実施例0057】
実施例1においては、黄色シフト、マゼンダシフト、シアンシフトを生じている部分に青量子ドット413、緑量子ドット412、または、赤量子ドット411の多い領域を形成した構成である。すなわち、中心からLED31が存在する境界までは、各量子ドットの多い領域は形成しない分布である。しかし、量子ドットをこのような領域に限定することは、プロセス上難しい場合がある。実施例2では、量子ドットの多い領域を、LED31に対応する部分においてもゼロにするのではなく、ごく少量存在させることによって、量子ドットの分布を滑らかにしたものである。実質的な作用は、実施例1で説明したのと同じである。
【0058】
例えば、図19及び図20において、円形の領域451は、青量子ドット413が多くなっている領域である。この円形の領域451の半径は、紫外線LED31と紫外線LED31との間隔の1/4以下である。また、領域451における青量子ドット413の分布のピークは、円形領域の半径の半分よりも外側に存在している。図21図22、及び、図23図24においても同様である。
【0059】
図19及び図20は、図13及び図14の変形例である。図19及び図20が、図13及び図14と異なる点は、QDシート40において、平面で視て、紫外線LED31に対応する部分にも、増分は極めてわずかであるが、青量子ドット413が増分されている領域452が存在していることである。ただし、この違いは、量子ドットの分散プロセスを容易にするためであり、作用は、図13及び図14で説明したのと、実質的には同じである。
【0060】
図21及び図22は、図15及び図16の変形例である。図21及び図22が、図15及び図16と異なる点は、QDシート40において、平面で視て、紫外線LED31に対応する部分にも、増分は極めてわずかであるが、緑量子ドット412が増分されている領域461が存在していることである。ただし、この違いは、量子ドットの分散プロセスを容易にするためであり、作用は、図15及び図16で説明したのと、実質的には同じである。
【0061】
図23及び図24は、図17及び図18の変形例である。図23及び図24が、図17及び図18と異なる点は、QDシート40において、平面で視て、紫外線LED31に対応する部分にも、増分は極めてわずかであるが、赤量子ドット411が増分されている領域471が存在していることである。ただし、この違いは、量子ドットの分散プロセスを容易にするためであり、作用は、図17及び図18で説明したのと、実質的には同じである。
【0062】
このように、実施例1と実施例2とでは、量子ドット41の分布が若干異なるだけであり、いずれの構成であっても、黄色シフト、マゼンダシフト、シアンシフトを同様に軽減することが出来る。
【0063】
実施例1及び実施例2は、図2に示すバックライト20の構成について説明した。しかし、本発明は、図2に示すバックライト以外にも種々のバックライトに適用することが出来る。図25のバックライトは、図2のバックライトの構成に加えて、光源30とQDシート40の間に、ダイクロイックシート60を配置した例である。図26のバックライトは、図25の構成に加えて、光源30とダイクロイックシート60の間に、ポリカーボネイト板70を配置した例である。ポリカーボネイト板70は非常に透過率が高いので、光源とダイクロイックシート、あるいは、他のシートとの間に空間を配置する代わりに使用することが出来る。
【0064】
なお、以上の説明では、QDシート40は量子ドット41を用いているが、QDシート40の代わりに、蛍光体を用いた色変換シートでもよい。この場合は、赤蛍光体が赤量子ドットに対応し、緑蛍光体が緑量子ドットに対応し、青蛍光体が青量子ドットに対応する。
【符号の説明】
【0065】
10…表示パネル、 11…走査線、 12…映像信号線、 13…画素、 14…表示領域、 15…端子領域、 16…シール材、 17…フレキシブル配線基板、 20…バックライト、 30…光源部、 31…青色LED、 32…透明樹脂、 33…回路基板、 40…色変換シート、QDシート、 41…量子ドット、 42…バインダ、 43…バリア層、透明樹脂フィルム、 41…量子ドット、 42…透明バインダ、 43…透明樹脂フィルム、 44…通常の量子ドットの分散領域、 45…青量子ドットが多い領域、 46…緑量子ドットが多い領域、 赤量子ドットが多い領域、 50…光学シート群、 60…ダイクロイックシート、 70…ポリカーボネイト板、 100…TFT基板、 101…下偏光板、 141…セグメント、 200…対向基板、 201…上偏光板、 300…液晶層、 311…紫外線LED、 411…赤量子ドット、 412…緑量子ドット、 413…青量子ドット、 451…青量子ドットが多い領域、 461…緑量子ドットが多い領域、 471…赤量子ドットが多い領域、 P1…半導体、 P2…半導体、 L…リガンド
図1
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