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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178974
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】コネクタおよびコネクタ組立体
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/00 20060101AFI20241219BHJP
   H01R 12/63 20110101ALI20241219BHJP
【FI】
H01R4/00 Z
H01R12/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097412
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(72)【発明者】
【氏名】橋口 徹
【テーマコード(参考)】
5E085
5E223
【Fターム(参考)】
5E085BB01
5E085BB09
5E085CC03
5E085DD07
5E085EE12
5E085FF11
5E085GG33
5E085GG38
5E085HH29
5E085JJ06
5E085JJ13
5E223AA14
5E223AA30
5E223AB01
5E223AB20
5E223AC21
5E223BA58
5E223BA60
5E223BB12
5E223CA15
5E223CD02
5E223DA33
5E223EA33
5E223EA36
(57)【要約】
【課題】シート状導電部材のフレキシブル導体に電線の導体部を信頼性よく接続しながらも小型化を図ることができるコネクタを提供する。
【解決手段】第1インシュレータ14が、第1保持面14Bに形成された凹部14Cと、凹部14Cに形成され且つ第1保持面14Bよりも高く突出する突起14Dを有し、第2インシュレータ15が、第2保持面15Bに形成された凸部15Cと、凸部15Cに形成され且つ第2保持面15Bよりも深い凹状の突起収容部15Dとを有し、突起14Dの少なくとも一部が突起収容部15Dに収容されることにより突起14Dの外側面と突起収容部15Dの内側面との間において電線13の導体部13Aがシート状導電部材12のフレキシブル導体12Aに電気的に接続される。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有するシート状導電部材の少なくとも一方の面に露出しているフレキシブル導体に電線の導体部を接続するコネクタであって、
第1保持面と、前記第1保持面に形成された凹部と、前記凹部に形成され且つ前記第1保持面よりも高く突出する突起とを有する第1インシュレータと、
前記第1保持面に対向する第2保持面と、前記第2保持面に形成され且つ前記凹部に対向する凸部と、前記凸部に形成され且つ前記第2保持面よりも深い凹状の突起収容部とを有する第2インシュレータと
を備え、
前記突起が前記シート状導電部材の前記開口部に挿入され且つ前記第1保持面と前記第2保持面との間に前記シート状導電部材および前記電線がそれぞれ挟まれ且つ前記凹部と前記凸部との間に前記シート状導電部材および前記電線が互いに重なって配置されるように前記第1インシュレータおよび前記第2インシュレータが互いに連結され、
前記突起の少なくとも一部が前記突起収容部に収容されることにより前記突起の外側面と前記突起収容部の内側面との間において前記電線の前記導体部が前記シート状導電部材の前記フレキシブル導体に電気的に接続されるコネクタ。
【請求項2】
前記シート状導電部材は、前記第1保持面および前記第2保持面に沿って前記第1インシュレータおよび前記第2インシュレータから所定の方向に延び、
前記電線は、前記第1保持面および前記第2保持面に沿って前記第1インシュレータおよび前記第2インシュレータから前記所定の方向とは反対の方向に延びる請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1インシュレータおよび前記第2インシュレータは、直接、または、前記シート状導電部材を介して互いに接着されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記突起収容部内において互いに接触する前記導体部および前記フレキシブル導体の外側に配置され且つ前記導体部と前記フレキシブル導体との間の接触力を確保する接触力確保部材を備える請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記接触力確保部材は、屈曲された金属板から形成され、前記第1インシュレータの前記突起が貫通する突起貫通孔と、前記突起貫通孔を挟んで互いに対向する一対の押し付け部を有する請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第1インシュレータおよび前記第2インシュレータの一方は、前記電線の前記導体部の先端を保持する先端保持部を有する請求項1に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記先端保持部は、前記導体部の前記先端が挿入されるスリットを有する請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記電線は、前記導体部の外周部を覆う絶縁被覆部を有し、
前記第1インシュレータおよび前記第2インシュレータは、前記電線の前記絶縁被覆部を保持する絶縁被覆保持部を有する請求項6に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記第1インシュレータおよび前記第2インシュレータの一方は、ボスを有し、
前記第1インシュレータおよび前記第2インシュレータの他方は、前記ボスが貫通するボス貫通孔を有し、
前記ボス貫通孔を貫通した前記ボスの頭部が熱変形されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の前記コネクタと、
前記シート状導電部材と、
前記電線と
を備え、前記コネクタにより前記電線の前記導体部が前記シート状導電部材の前記フレキシブル導体に電気的に接続されたコネクタ組立体。
【請求項11】
前記シート状導電部材は、H形状の前記開口部と、前記開口部の互いに対向する縁部から前記開口部内に突出し且つ前記フレキシブル導体が露出している一対の突出部を有し、
前記コネクタの前記突起収容部の内側面と前記突起の外側面との間において前記電線の前記導体部が前記一対の突出部の前記フレキシブル導体に電気的に接続される請求項10に記載のコネクタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コネクタに係り、特に、シート状導電部材のフレキシブル導体に電線の導体部を接続するコネクタに関する。
また、この発明は、このようなコネクタによりシート状導電部材のフレキシブル導体に電線の導体部が接続されたコネクタ組立体にも関している。
【背景技術】
【0002】
近年、着用するだけで心拍数、体温等のユーザの生体情報を取得することができる、いわゆるスマート衣料が注目を浴びている。このスマート衣料は、計測箇所に配置され且つフレキシブル導体からなる電極を備え、電極に計測機器としてのウエアラブルデバイスを電気的に接続することで、生体情報をウエアラブルデバイスに伝送することが可能となる。
電極とウエアラブルデバイスとの接続は、例えばフレキシブル導体に接続されるコネクタを用いることにより行うことができる。
【0003】
ただし、ウエアラブルデバイスが計測箇所から離れている場合には、計測箇所に配置された電極からコネクタの取付位置まで電路を構成する必要があり、このような電路をフレキシブル導体により形成すると、電気抵抗が高くなり、また、費用が嵩んでしまう。
そこで、フレキシブル導体からなる電極とウエアラブルデバイスとの間を、電気抵抗が低く且つ安価な電線により接続するために、衣服に配置されたフレキシブル導体に電線を接続するような小型のコネクタの開発が望まれている。
【0004】
フレキシブル導体に電線を接続するためのコネクタとして、例えば、特許文献1に、図19に示されるようなコネクタが開示されている。このコネクタは、シート状導電部材1の端部に接続された第1コネクタ2と、電線3の先端に取り付けられた第2コネクタ4を有し、第1コネクタ2に第2コネクタ4を嵌合することにより、シート状導電部材1のフレキシブル導体に電線3を接続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-214087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、シート状導電部材1のフレキシブル導体に電線3を接続するために、互いに嵌合する第1コネクタ2および第2コネクタ4を必要とするため、装置が大型化すると共に、第1コネクタ2と第2コネクタ4との間において切り離し可能な接続箇所が存在することから、電気的接続の信頼性が低下するという問題がある。
【0007】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、シート状導電部材のフレキシブル導体に電線の導体部を信頼性よく接続しながらも小型化を図ることができるコネクタおよびコネクタ組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るコネクタは、
開口部を有するシート状導電部材の少なくとも一方の面に露出しているフレキシブル導体に電線の導体部を接続するコネクタであって、
第1保持面と、第1保持面に形成された凹部と、凹部に形成され且つ第1保持面よりも高く突出する突起とを有する第1インシュレータと、
第1保持面に対向する第2保持面と、第2保持面に形成され且つ凹部に対向する凸部と、凸部に形成され且つ第2保持面よりも深い凹状の突起収容部とを有する第2インシュレータと
を備え、
突起がシート状導電部材の開口部に挿入され且つ第1保持面と第2保持面との間にシート状導電部材および電線がそれぞれ挟まれ且つ凹部と凸部との間にシート状導電部材および電線が互いに重なって配置されるように第1インシュレータおよび第2インシュレータが互いに連結され、
突起の少なくとも一部が突起収容部に収容されることにより突起の外側面と突起収容部の内側面との間において電線の導体部がシート状導電部材のフレキシブル導体に電気的に接続されるものである。
【0009】
シート状導電部材は、第1保持面および第2保持面に沿って第1インシュレータおよび第2インシュレータから所定の方向に延び、電線は、第1保持面および第2保持面に沿って第1インシュレータおよび第2インシュレータから所定の方向とは反対の方向に延びるように構成することができる。
第1インシュレータおよび第2インシュレータは、直接、または、シート状導電部材を介して互いに接着されていることが好ましい。
【0010】
突起収容部内において互いに接触する導体部およびフレキシブル導体の外側に配置され且つ導体部とフレキシブル導体との間の接触力を確保する接触力確保部材を備えることができる。
接触力確保部材は、屈曲された金属板から形成され、第1インシュレータの突起が貫通する突起貫通孔と、突起貫通孔を挟んで互いに対向する一対の押し付け部を有することが好ましい。
【0011】
第1インシュレータおよび第2インシュレータの一方は、電線の導体部の先端を保持する先端保持部を有することが好ましい。
先端保持部は、導体部の先端が挿入されるスリットを有することができる。
また、電線は、導体部の外周部を覆う絶縁被覆部を有し、第1インシュレータおよび第2インシュレータは、電線の絶縁被覆部を保持する絶縁被覆保持部を有することが好ましい。
【0012】
第1インシュレータおよび第2インシュレータの一方は、ボスを有し、第1インシュレータおよび第2インシュレータの他方は、ボスが貫通するボス貫通孔を有し、ボス貫通孔を貫通したボスの頭部が熱変形されていることが好ましい。
【0013】
この発明に係るコネクタ組立体は、
上記のコネクタと、
シート状導電部材と、
電線と
を備え、コネクタにより電線の導体部がシート状導電部材のフレキシブル導体に電気的に接続されたものである。
【0014】
シート状導電部材は、H形状の開口部と、開口部の互いに対向する縁部から開口部内に突出し且つフレキシブル導体が露出している一対の突出部を有し、
コネクタの突起収容部の内側面と突起の外側面との間において電線の導体部が一対の突出部のフレキシブル導体に電気的に接続されるように構成することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、第1インシュレータが、第1保持面に形成された凹部と、凹部に形成され且つ第1保持面よりも高く突出する突起とを有し、第2インシュレータが、第2保持面に形成された凸部と、凸部に形成され且つ第2保持面よりも深い凹状の突起収容部とを有し、第1保持面と第2保持面との間にシート状導電部材および電線がそれぞれ挟まれ且つ凹部と凸部との間にシート状導電部材および電線が互いに重なって配置されるように第1インシュレータおよび第2インシュレータが互いに連結され、突起の少なくとも一部が突起収容部に収容されることにより突起の外側面と突起収容部の内側面との間において電線の導体部がシート状導電部材のフレキシブル導体に電気的に接続されるので、シート状導電部材のフレキシブル導体に電線の導体部を信頼性よく接続しながらも小型化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態に係るコネクタ組立体を示す平面図である。
図2】実施の形態に係るコネクタ組立体を示す底面図である。
図3】実施の形態に係るコネクタ組立体を示す側面図である。
図4】実施の形態に係るコネクタ組立体を示す正面図である。
図5】実施の形態に係るコネクタ組立体を斜め上方から見た組立図である。
図6】実施の形態に係るコネクタ組立体を斜め下方から見た組立図である。
図7】実施の形態に係るコネクタ組立体に用いられる第1インシュレータを示す斜視図である。
図8】実施の形態に係るコネクタ組立体に用いられる第2インシュレータを斜め下方から見た斜視図である。
図9】実施の形態に係るコネクタ組立体に用いられる接触力確保部材を示す斜視図である。
図10】実施の形態に係るコネクタ組立体に用いられるシート状導電部材を示す斜視図である。
図11】第2インシュレータに第2接着シートと接触力確保部材と電線の導体部を配置した状態を示す斜視図である。
図12】第2インシュレータの上にシート状導電部材を配置した状態を示す斜視図である。
図13】シート状導電部材の上に第1接着シートを配置した状態を示す斜視図である。
図14】シート状導電部材の上に第1接着シートを配置した状態を示す断面図である。
図15】第2インシュレータの上に第1インシュレータを配置した状態を示す斜視図である。
図16】第2インシュレータの上に第1インシュレータを配置した状態を示す断面図である。
図17図2のA-A線断面図である。
図18図3のB-B線断面図である。
図19】従来のコネクタを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1図4に実施の形態に係るコネクタ組立体を示す。このコネクタ組立体は、コネクタ11を用いてシート状導電部材12に被覆電線13を接続したものである。
【0018】
シート状導電部材12は、互いに反対方向を向いた表面および裏面を有し、少なくとも表面上にフレキシブル導体12Aが露出している。シート状導電部材12としては、例えば、銀等の導電性の糸を用いて織られた導電生地を用いることができる。このような導電生地を用いる場合には、シート状導電部材12の表面だけでなく裏面にもフレキシブル導体12Aが露出することとなる。また、導電性を有しない布地の表面に印刷等により導電性インクを塗布することで表面上にフレキシブル導体12Aを形成したものをシート状導電部材12として用いることもできる。さらに、樹脂フィルム等の絶縁性のシート本体の表面上に導電パターンからなるフレキシブル導体12Aが形成された部材をシート状導電部材12として用いてもよい。
シート状導電部材12は、所定の方向に延びる帯形状を有している。
【0019】
被覆電線13は、後述する導体部の外周が絶縁被覆部により覆われた構造を有している。コネクタ11により、被覆電線13の導体部が、シート状導電部材12のフレキシブル導体12Aに電気的に接続される。
被覆電線13は、帯形状のシート状導電部材12と同一の方向に延びている。
【0020】
ここで、便宜上、シート状導電部材12がコネクタ11に向かって延びる所定の方向を-Y方向、帯形状のシート状導電部材12の幅方向をX方向、XY面に直交する方向をZ方向と呼ぶことにする。
【0021】
図5および図6に、コネクタ組立体の組立図を示す。コネクタ組立体は、第1インシュレータ14および第2インシュレータ15を有している。
第1インシュレータ14の+Z方向側に第1接着シート16を介してシート状導電部材12が配置され、シート状導電部材12の+Z方向側に被覆電線13の絶縁被覆部13Bから露出する導体部13Aが配置されている。なお、被覆電線13の導体部13Aは、1本の導体により構成される、いわゆる単線と、複数本の導体を撚り合わせて構成される、いわゆる撚り線のいずれであってもよい。
【0022】
さらに、被覆電線13の導体部13Aの+Z方向側に第2接着シート17を介して接触力確保部材18が配置され、接触力確保部材18の+Z方向側に第2インシュレータ15が配置されている。
第1インシュレータ14、第1接着シート16、第2接着シート17、接触力確保部材18および第2インシュレータ15により、コネクタ11が構成されている。
【0023】
図7に示されるように、第1インシュレータ14は、XY面に沿って延びるほぼ矩形の平板部14Aを有しており、平板部14Aの+Z方向側の表面により平面形状の第1保持面14Bが形成されている。第1保持面14Bの中央には、-Z方向に窪んだ凹部14Cが形成され、さらに、凹部14Cの中央には、+Z方向に向かって突出するほぼ角柱形状の突起14Dが形成されている。突起14Dは、第1保持面14Bよりも+Z方向に高く突出している。
【0024】
また、第1保持面14Bには、凹部14Cから-Y方向に延びる挿入溝14Eが形成され、挿入溝14Eの-Y方向端部に、挿入溝14Eよりも大きい溝幅を有する挿入溝14Fが形成されている。
凹部14Cの+Y方向端部には、凹部14Cに連通する凹状の挿入孔14Gが形成されている。
【0025】
平板部14Aは、X方向における挿入溝14Eの両側および挿入孔14Gの+Y方向側にそれぞれ形成され且つ平板部14AをZ方向に貫通する3つの貫通孔14Hを有している。
また、平板部14AのX方向の両側面には、それぞれ、Y方向に延びる段差部14Jが形成されている。
【0026】
図8に示されるように、第2インシュレータ15は、XY面に沿って延びるほぼ矩形の平板部15Aを有しており、平板部15Aの-Z方向側の表面により平面形状の第2保持面15Bが形成されている。第2保持面15Bの中央には、-Z方向に隆起した凸部15Cが形成され、さらに、凸部15Cの中央には、+Z方向に向かって窪み且つ第2保持面15Bよりも深い凹状の突起収容部15Dが形成されている。
【0027】
突起収容部15Dの-Y方向側には、-Y方向に延びる挿入溝15Eが形成され、挿入溝15Eの-Y方向端部に、挿入溝15Eよりも大きい溝幅を有する挿入溝15Fが形成されている。
凸部15Cの+Y方向側には、第2保持面15Bから-Z方向に突出する円柱形状の先端保持部15Gが形成され、先端保持部15GをX方向に二分するようにY方向に延びるスリット15Hが先端保持部15Gに形成されている。先端保持部15Gは、被覆電線13の導体部13Aの先端を保持するためのもので、スリット15Hは、被覆電線13の導体部13Aの径よりもわずかに狭いスリット幅を有し、導体部13Aを挿入し得るように構成されている。
【0028】
平板部15Aは、X方向における挿入溝15Eの両側および先端保持部15Gの+Y方向側にそれぞれ形成され且つ-Z方向に突出する3つのボス15Jを有している。
また、平板部15AのX方向の両側部には、それぞれ、-Z方向に突出し且つY方向に延びる側板15Kが形成されている。
【0029】
第1インシュレータ14と第2インシュレータ15が互いに連結された場合に、第1インシュレータ14の挿入溝14Eおよび第2インシュレータ15の挿入溝15Eは、互いに協働して被覆電線13の導体部13Aを保持するものであり、第1インシュレータ14の挿入溝14Fおよび第2インシュレータ15の挿入溝15Fは、互いに協働して被覆電線13の絶縁被覆部13Bを保持する絶縁被覆保持部となる。
【0030】
接触力確保部材18は、被覆電線13の導体部13Aとシート状導電部材12のフレキシブル導体12Aとの間の接触力を確保するためのものである。図9に示されるように、接触力確保部材18は、屈曲された金属板から形成され、第1インシュレータ14の突起14Dが貫通する突起貫通孔18Aと、突起貫通孔18Aを挟んで互いにY方向に対向し且つそれぞれ+Z方向に突出する一対の押し付け部18Bを有している。
【0031】
図10に示されるように、シート状導電部材12は、シート状導電部材12をZ方向に貫通するH形状の開口部12Bを有しており、開口部12BのY方向の両縁部から開口部12B内に突出し且つ互いにY方向に対向する一対の突出部12Cが形成されている。
さらに、シート状導電部材12には、第2インシュレータ15の先端保持部15Gおよび+Y方向側のボス15Jに対応して、それぞれシート状導電部材12をZ方向に貫通する貫通孔12Dおよび12Eが形成されている。
【0032】
コネクタ11を組み立ててコネクタ組立体を作製する際には、まず、図11に示されるように、第2インシュレータ15の第2保持面15Bの上に第2接着シート17が配置される。第2接着シート17は、第2インシュレータ15の凸部15Cおよび先端保持部15Gに対応する開口部と、3つのボス15Jに対応する3つの開口部を有しており、これらの開口部に凸部15Cと先端保持部15Gと3つのボス15Jを通した状態で第2保持面15B上に配置される。
【0033】
また、第2インシュレータ15の凸部15Cの上に接触力確保部材18が配置され、接触力確保部材18の一対の押し付け部18Bが第2インシュレータ15の突起収容部15DのY方向の内側面に沿って挿入される。
さらに、被覆電線13の+Y方向端部における絶縁被覆部13Bを除去して露出された導体部13Aが、接触力確保部材18の上に配置され、導体部13Aの先端が、第2インシュレータ15の先端保持部15Gに形成されているスリット15Hに圧入されることにより先端保持部15Gに仮保持される。
【0034】
次に、図12に示されるように、シート状導電部材12の貫通孔12Eに第2インシュレータ15の+Y方向側のボス15Jを貫通させつつ、第2インシュレータ15の上にシート状導電部材12が配置される。
【0035】
さらに、図13に示されるように、シート状導電部材12の上に第1接着シート16が配置される。第1接着シート16は、シート状導電部材12の開口部12Bおよび貫通孔12Dに対応する開口部と、第2インシュレータ15の3つのボス15Jに対応する3つの開口部を有しており、3つのボス15Jを対応する開口部に通した状態でシート状導電部材12の上に配置される。
【0036】
このとき、図14に示されるように、被覆電線13の導体部13Aは、第2インシュレータ15の突起収容部15Dの上をY方向に延び、導体部13Aの+Y方向の先端が第2インシュレータ15の先端保持部15Gのスリット15Hに圧入されている。さらに、第2インシュレータ15の突起収容部15Dの上をY方向に延びる導体部13Aの上に、シート状導電部材12のH形状の開口部12Bが位置している。シート状導電部材12の開口部12Bは、第1接着シート16の対応する開口部を通して-Z方向に露出している。
【0037】
この状態で、第1インシュレータ14を第2インシュレータ15に向けて相対的に+Z方向に押し付けることにより、図15に示されるように、第1インシュレータ14の3つの貫通孔14Hに第2インシュレータ15の3つのボス15Jを貫通させながら、第1インシュレータ14が第2インシュレータ15の上に配置される。これにより、シート状導電部材12および被覆電線13の導体部13Aは、それぞれ、第1インシュレータ14の第1保持面14Bと第2インシュレータ15の第2保持面15Bの間に挟まれる。
【0038】
このとき、図16に示されるように、第1インシュレータ14の凹部14Cに突出形成されている突起14Dが、シート状導電部材12のH形状の開口部12Bに挿入され、突起14Dの+Z方向端部が、シート状導電部材12の一対の突出部12Cおよび被覆電線13の導体部13Aを押し込みながら第2インシュレータ15の突起収容部15Dに収容される。
第2インシュレータ15の3つのボス15Jは、第1インシュレータ14の3つの貫通孔14Hを貫通して第1インシュレータ14から-Z方向側に突出した状態となる。
【0039】
第1インシュレータ14を第2インシュレータ15に向けて押し付けたまま、加熱処理を施して第1接着シート16および第2接着シート17を溶融することにより、第1インシュレータ14と第2インシュレータ15とが、直接、または、シート状導電部材12を介して互いに接着され、第1インシュレータ14および第2インシュレータ15の間がシールされる。さらに、第1インシュレータ14の-Z方向側に突出する3つのボス15Jの先端を熱変形させることにより、第1インシュレータ14と第2インシュレータ15が互いに固定され、コネクタ11の組み立てが完了する。
【0040】
このようにして作製されたコネクタ組立体を図17に示す。第1インシュレータ14の突起14Dの+Z方向端部がシート状導電部材12の一対の突出部12Cおよび被覆電線13の導体部13Aを押し込みながら第2インシュレータ15の突起収容部15Dに収容されるが、突起収容部15Dには、接触力確保部材18の一対の押し付け部18Bが挿入されている。このため、シート状導電部材12の突出部12Cは、突起14Dの表面に沿うように変形し、被覆電線13の導体部13Aは、シート状導電部材12の突出部12Cの表面と接触力確保部材18の押し付け部18Bとの間に挟み込まれ、変形したシート状導電部材12の突出部12Cの表面に沿って屈曲する。
【0041】
突起14Dは、ほぼ角柱形状を有しているため、突起14Dの表面に沿うように変形したシート状導電部材12の突出部12Cと被覆電線13の導体部13Aは、突起収容部15DのY方向の内側面に沿って延びる接触力確保部材18の押し付け部18Bと突起14DのY方向の外側面との間に挟まれ、被覆電線13の導体部13Aは、Y方向において、シート状導電部材12の突出部12Cの表面に露出しているフレキシブル導体12Aに所定の接触力で接触し、電気的に接続される。
【0042】
なお、コネクタ11の-Y方向部分において、被覆電線13の導体部13Aは、第1インシュレータ14の挿入溝14Eおよび第2インシュレータ15の挿入溝15Eにより保持され、被覆電線13の絶縁被覆部13Bは、第1インシュレータ14の挿入溝14Fおよび第2インシュレータ15の挿入溝15Fにより保持される。
【0043】
また、被覆電線13の導体部13Aが、変形したシート状導電部材12の突出部12Cの表面に沿って屈曲することで、第2インシュレータ15の先端保持部15Gのスリット15Hに仮保持されていた導体部13Aの先端は、スリット15Hから引き抜かれた状態となる。
さらに、図18に示されるように、第2インシュレータ15の一対の側板15Kが第1インシュレータ14の一対の段差部14Jに嵌め込まれる。
【0044】
このように、実施の形態に係るコネクタ11によれば、第1インシュレータ14の突起14Dが、シート状導電部材12および被覆電線13の導体部13Aを押し込みながら、第2インシュレータ15の突起収容部15Cに挿入されている接触力確保部材18の内部に挿入されることで、シート状導電部材12の表面に露出しているフレキシブル導体12Aと被覆電線13の導体部13Aが電気的に接続されるので、フレキシブル導体12Aと導体部13Aの電気的接続の信頼性を向上しながらも、コネクタの小型化を図ることが可能となる。
【0045】
特に、第1インシュレータ14の突起14Dがシート状導電部材12の開口部12Bに挿入され、シート状導電部材12の突出部12Cが第2インシュレータ15の突起収容部15Dの内側面と突起14Dの外側面との間において被覆電線13の導体部13Aに接触するので、突起14Dの+Z方向の頂部と突起収容部15Dの底部との間には、シート状導電部材12は存在せずに被覆電線13の導体部13Aのみが配置される。さらに、突起収容部15Dには、接触力確保部材18の一対の押し付け部18Bが挿入されているが、これらの押し付け部18Bは、突起14Dの+Z方向の頂部と突起収容部15Dの底部との間には延びていない。従って、コネクタ11の薄型化を図ることができる。
【0046】
また、第1インシュレータ14は、第1保持面14Bに形成された凹部14Cと、凹部14Cに形成され且つ第1保持面14Bよりも+Z方向に向かって高く突出する突起14Dを有し、第2インシュレータ15は、第2保持面15Bに形成された凸部15Cと、凸部15Cに形成され且つ第2保持面15Bよりも深い凹状の突起収容部15Dを有している。このため、突起14D以外の部分の第1インシュレータ14をすべて薄肉化することなく、凹部14Cの形成範囲内で且つ突起14Dを除いた部分の第1インシュレータ14を薄肉化し、さらに、第2インシュレータ15の突起収容部15Dが形成された部分を薄肉化することで、薄型のコネクタ11を実現することができる。
【0047】
このように、第1インシュレータ14および第2インシュレータ15において薄肉化を要する部分が限られることにより、成形型内の溶融樹脂の流動性を損なうことなく、第1インシュレータ14および第2インシュレータ15を絶縁性樹脂により成形することが可能になる。
また、薄肉化を要する部分が限られることにより、第1インシュレータ14および第2インシュレータ15の強度を確保することができ、被覆電線13またはシート状導電部材12を介してコネクタ11に外力が作用しても、破損等の発生を回避することができる。
【0048】
また、第1接着シート16および第2接着シート17を用いて第1インシュレータ14と第2インシュレータ15の間がシールされるので、シート状導電部材12のフレキシブル導体12Aおよび被覆電線13の導体部13Aの電気的接続部位への水の浸入を阻止することができる。
【0049】
実施の形態のコネクタ11をスマート衣料に適用し、シート状導電部材12のフレキシブル導体12Aに図示しない電極を接続すれば、電気抵抗が低く且つ安価な被覆電線13を用いて、計測箇所に配置された電極とウエアラブルデバイスとを接続することができる。
【0050】
上記の実施の形態では、被覆電線13の導体部13Aの先端を保持する先端保持部15Gが第2インシュレータ15に形成されているが、第1インシュレータ14に先端保持部を形成することもできる。
また、上記の実施の形態では、第2インシュレータ15の3つのボス15Jが第1インシュレータ14の3つの貫通孔14Hを貫通しているが、逆に、第1インシュレータ14に形成された複数のボスが第2インシュレータ15に形成された複数の貫通孔を貫通するように構成することもできる。
【0051】
上記の実施の形態では、接触力確保部材18の一対の押し付け部18Bが第2インシュレータ15の突起収容部15Dに挿入され、シート状導電部材12の突出部12Cと被覆電線13の導体部13Aが、突起14Dの外側面と接触力確保部材18の押し付け部18Bの間に挟まれているが、これに限るものではない。
接触力確保部材18を用いずに、突起14Dの外側面と突起収容部15Dの内側面との間に、シート状導電部材12の突出部12Cと被覆電線13の導体部13Aが直接挟まれるように構成しても、被覆電線13の導体部13Aをシート状導電部材12の突出部12Cの表面に露出しているフレキシブル導体12Aに接触させて電気的に接続することができる。ただし、接触力確保部材18を用いれば、被覆電線13の導体部13Aとシート状導電部材12のフレキシブル導体12Aとの間の接触力が確実に確保されるので、望ましい。
【0052】
なお、上記の実施の形態では、シート状導電部材12に接続される電線として、被覆電線13が用いられているが、外周が絶縁体からなる絶縁被覆部13Bにより覆われていない導体部13Aのみの電線をシート状導電部材12に接続することもできる。
さらに、上記の実施の形態では、第2インシュレータ15に形成されている1つの突起収容部15Dに第1インシュレータ14に形成された1つの突起14Dを収容させることにより、1つのシート状導電部材12のフレキシブル導体12Aに1本の被覆電線13の導体部13Aを接続しているが、同様にして、複数の突起を有する第1インシュレータと複数の突起収容部を有する第2インシュレータを用いて複数のシート状導電部材のフレキシブル導体に複数の電線の導体部を接続するように構成することもできる。
【符号の説明】
【0053】
1 シート状導電部材、2 第1コネクタ、3 電線、4 第2コネクタ、11 コネクタ、12 シート状導電部材、12A フレキシブル導体、12B 開口部、12C 突出部、12D,12E,14H 貫通孔、13 被覆電線、13A 導体部、13B 絶縁被覆部、14 第1インシュレータ、14A,15A 平板部、14B 第1保持面、14C 凹部、14D 突起、14E,14F,15E,15F 挿入溝、14G 挿入孔、14J 段差部、15 第2インシュレータ、15B 第2保持面、15C 凸部、15D 突起収容部、15G 先端保持部、15H スリット、15J ボス、15K 側板、16 第1接着シート、17 第2接着シート、18 接触力確保部材、18A 突起貫通孔、18B 押し付け部。
図1
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