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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178977
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/02 20060101AFI20241219BHJP
   D06F 39/08 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
D06F58/02 Z
D06F39/08 331
D06F39/08 321
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097419
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 諒
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】額賀 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】飛田 達成
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 祐広
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA02
3B166AA04
3B166AB03
3B166AB22
3B166AB23
3B166AB32
3B166AB33
3B166AE01
3B166AE02
3B166AE04
3B166AE07
3B166BA37
3B166BA52
3B166BA58
3B166BA83
3B166BA86
3B166CA01
3B166CA02
3B166CA03
3B166CA04
3B166CA08
3B166CA11
3B166CA17
3B166CB01
3B166CB02
3B166CB11
3B166CB12
3B166CB13
3B166CC05
3B166CD02
3B166CD15
3B166DA04
3B166DB03
3B166DB17
3B166DB18
3B166DC45
3B166DC47
3B166DD06
3B166DE01
3B166DE02
3B166EA03
3B166EB17
3B166EC37
3B166EC44
3B166FB01
3B166GA06
3B166JM02
3B166JM03
(57)【要約】
【課題】泡を衣類に安定して効率よく供給することが可能な洗濯機を提供する。
【解決手段】筐体1と、筐体1に収容される外槽2と、外槽2内に回転可能に支持されるドラム3と、ドラム3に風を送る送風ファン30と、洗剤水W中に空気を供給し気泡83を発生させる吐出ノズル82と、を備え、吐出ノズル82は、水面Sより下方に位置し、気泡83をドラム3内に送る気泡吐出口26は水面Sの上方に位置する。吐出ノズル82と気泡吐出口26とを連通する気泡流路85を外槽2の前部に設ける。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に収容される外槽と、
前記外槽内に回転可能に支持される内槽と、
前記内槽に風を送る送風部と、
洗剤水中に空気を供給し気泡を発生させる気泡発生部と、を備え、
前記気泡発生部は、水面より下方に位置し、気泡を前記内槽内に送る吐出口は前記水面の上方に位置することを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機であって、
前記気泡発生部と前記吐出口とを連通する流路を前記外槽の前部に設けることを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項2に記載の洗濯機であって、
前記外槽の内側には、気泡流路カバーが設けられ、前記外槽と前記気泡流路カバーとによって前記流路が構成されていることを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項3に記載の洗濯機であって、
前記吐出口は、前記内槽の開口部に向けて設けられていることを特徴とするとする洗濯機。
【請求項5】
請求項2に記載の洗濯機であって、
前記気泡発生部は、前記流路と一体に形成されていることを特徴とする洗濯機。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の洗濯機であって、
前記内槽内に乾燥風を吐出する乾燥用吐出口を備え、
前記吐出口は、前記乾燥用吐出口に隣接して設けられていることを特徴とする洗濯機。
【請求項7】
請求項6に記載の洗濯機であって、
前記吐出口は、前記乾燥用吐出口の上方に設けたことを特徴とする洗濯機。
【請求項8】
請求項1に記載の洗濯機であって、
洗剤水を循環させる循環ポンプを備え、
前記吐出口から気泡を吐出させるとともに、前記循環ポンプを駆動して洗剤水を循環させることを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水槽と、水槽内に回転可能に設けられたドラムと、ドラムを回転駆動させるドラムモータと、水槽内に貯めた洗濯水に空気を供給することで水中に気泡を発生させることが可能な気泡発生部と、気泡発生部に空気を供給するファンと、ファンで発生した風を気泡発生部に供給する状態とドラムに供給する状態と、を択一的に切替可能なダンパを備えた洗濯機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-97965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の洗濯機では、洗濯中、発生した気泡がドラム壁面に沿って上昇するため、ドラム内部に十分流入しないことが懸念される。
【0005】
本発明は、前記した従来の課題を解決するものであり、泡を衣類に安定して効率よく供給することが可能な洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、筐体と、前記筐体に収容される外槽と、前記外槽内に回転可能に支持される内槽と、前記内槽に風を送る送風部と、洗剤水中に空気を供給し気泡を発生させる気泡発生部と、を備え、前記気泡発生部は、水面より下方に位置し、気泡を前記内槽内に送る吐出口は前記水面の上方に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、泡を衣類に安定して効率よく供給することが可能な洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の洗濯機を示す外観斜視図である。
図2】第1実施形態の洗濯機の内部を示す斜視図である。
図3】第1実施形態の洗濯機の内部を示す概略構成図である。
図4】吐出ダクトにダンパ装置を取り付けた状態を示す斜視図である。
図5】気泡発生装置を示す模式図である。
図6】気泡発生装置の先端の吐出ノズルを示す斜視図である。
図7】槽カバーを内側から見た図である。
図8】第1実施形態の洗濯機の洗濯動作を示すフローチャートである。
図9】第2実施形態の洗濯機に係る気泡発生装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例もその範囲に含むものである。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の洗濯機を示す外観斜視図である。
図1に示すように、洗濯機100は、ドラム式の洗濯乾燥機であり、合成樹脂製のベース1hの上部に、主に鋼板で形成された左右側と背側に設けられる側板1a及び補強材1b(図2参照)などを組み合わせて骨格を構成し、さらにその上に樹脂成形品で作られた前面カバー1c、下部前面カバー1f、上面カバー1eを取り付けることで筐体1を構成している。また、前面カバー1cには、洗濯物を出し入れする際に開閉されるドア9が設けられている。ドア9は、ドア枠9bにドアガラス9aを固定したものであり、ヒンジ9cによって筐体1に取り付けられている。
【0010】
図2は、第1実施形態の洗濯機の内部を示す斜視図である。なお、図2では、前面カバー1c、上面カバー1e、給水ユニット70(図3参照)、洗剤ケース(不図示)などを取り外した状態を示している。
図2に示すように、筐体1の内部には、ほぼ中央部に外槽2を備えている。この外槽2は、有底円筒状に形成され、複数個のダンパ(不図示)などによって支持されている。また、外槽2は、外槽本体2aと、槽カバー2bとを備え、外槽本体2aの前面開口2a1に槽カバー2bが取り付けられることで構成されている。槽カバー2bは、後側が外槽本体2aの前面開口2a1と接続され、前側に洗濯物が出し入れされる円形の開口部2b1が形成されている。
【0011】
槽カバー2bには、弾性体からなるゴム製のベローズ10が取り付けられている。このベローズ10は、奥側(後側)の開口縁部が開口部2b1に取り付けられ、手前側の開口縁部がドア枠9b(図1参照)の裏側の筐体1に取り付けられている。ドア9を閉じることで、ドア9がベローズ10に密着し、外槽2内とドア9との水密性を維持する役割をしている。これにより、洗い、すすぎ及び脱水時の水漏れの防止が図られている。
【0012】
図3は、第1実施形態の洗濯機の内部を示す概略構成図である。
図3に示すように、外槽2の内側には、回転可能に支持されたドラム3(内槽)が設けられている。ドラム3は、有底円筒状に形成され、前側に開口部3aが位置するように配置されている。また、ドラム3の回転軸は、前側が後側よりも高くなるように傾斜している。なお、ドラム3の回転軸は、略水平となるように構成されていてもよい。
【0013】
ドラム3の側壁である円筒部の内壁には、洗濯物を持ち上げる複数個のリフタ(不図示)が設けられている。また、ドラム3は、円筒部に遠心脱水および通風用の多数の貫通孔3bを有している。さらに、ドラム3の開口部3aの外周には制振部材であるバランスリング3cが設けられている。
【0014】
筐体1内には、ドラム3内の洗濯物に気流を導く送風ダクト20が設けられている。この送風ダクト20には、送風ファン30(送風部)とヒートポンプユニット40が設けられている。ヒートポンプユニット40の下流側には送風ファン30が位置している。また、送風ダクト20は、外槽2の背部とヒートポンプユニット40とを接続する吸込ダクト21と、外槽2と送風ファン30とを接続する吐出ダクト22と、を備えている。吐出ダクト22は、送風ファン30と乾燥用吐出口25とを接続する風路を有している。また、外槽2と吸込ダクト21との間には、乾燥用フィルタ6a,6bが設けられている。
【0015】
ヒートポンプユニット40は、乾燥運転時に、洗濯物を通過して外槽2から排出された高温、高湿の空気を除湿、加熱して高温、低湿にするものであり、除湿、加熱された温風(乾燥風)は、送風ファン30によって吐出ダクト22を通り、外槽2の上部に設けられた乾燥用吐出口25からドラム3内の洗濯物に吹き付けられる。洗濯物に吹き付けられた温風は、高温高湿の空気となって、吸込ダクト21を通って、ヒートポンプユニット40に戻る。なお、ヒートポンプユニット40に替えて水冷除湿機構を用いて、高温高湿の空気を冷却除湿する方式のものであってもよい。
【0016】
また、洗濯機100は、外槽2内に給水する給水ユニット70(給水手段)、外槽2内の水位を検出する水位センサ(図示せず)、給水ユニット70、送風ファン30などを制御する制御装置90(制御部)を備えている。
【0017】
給水ユニット70は、給水電磁弁を含む複数の電磁弁を備え、第1の電磁弁を開くことにより給水管を介して洗剤ケースの粉末洗剤投入室および液体洗剤投入室に給水し、第2の電磁弁を開くことにより給水管を介して柔軟仕上剤投入室に給水し、第3の電磁弁を開くことにより給水管を介して外槽2の給水口2c(図2参照)に直接給水する。
【0018】
外槽2の鉛直直下の内底部には、窪み部2d(水受け部)が設けられている。この窪み部2dは、略凹状かつドラム3の軸方向に延在するように設けられている。窪み部2dの底面2d1には、排水口2d2が設けられている。
【0019】
また、外槽2の下方には、循環ポンプ11が設けられている。この循環ポンプ11は、外槽2内の洗濯水を排水口2d2からホース11aを通して吸い込み、ホース11bを通して外槽2の上部までくみ上げて、ドラム3内の洗濯物に散布する機能を有する。また、洗濯水は、外槽2の窪み部2dの排水口2d2から、糸屑フィルタ13を通して循環ポンプ11の吸込口側に入り、循環ポンプ11で昇圧されたのち、散水ノズル15(図7参照)からドラム3内に向けて散水される。また、窪み部2dの排水口2d2は、糸屑フィルタ13と排水弁12を介して、排水ホース12aに通じており、窪み部2d内の水を機外に排出できるようになっている。
【0020】
制御装置90は、図示は省略するが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成されている。そして、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。また、制御装置90は、給水ユニット70およびダンパ装置50を制御するとともに、水位センサ(不図示)によって検知された検出値を取得する。ダンパ装置50(風路切替部)は、吐出ダクト22に設けられ、送風ファン30からの乾燥風を、乾燥用吐出口25に流す状態と、気泡発生装置80に流す状態と、乾燥用吐出口25と気泡発生装置80の双方に流す状態に切り替えることができるフラップ51を備えている。
【0021】
ヒートポンプユニット40は、外槽2の下部、筐体1の後方のベース1h(図2参照)上に固定されている。また、ヒートポンプユニット40において除湿及び加熱された循環空気は、送風ファン30を通り、吐出ダクト22を外槽2の下部から上部に向けて通り、外槽2(槽カバー2b)の上部に設けられた乾燥用吐出口25からドラム3内の洗濯物に吹き付けられる。
【0022】
図4は、吐出ダクトにダンパ装置を取り付けた状態を示す斜視図である。
図4に示すように、吐出ダクト22は、外槽2(図3参照)の背面側を上下方向に延びる後側ダクト22aと、外槽2の上部を前後方向に延びる上側ダクト22bと、を有し、略L字状に形成されている。また、上側ダクト22bには、後記する気泡発生装置80に風路を切り替えるためのダンパ装置50が設けられている。ダンパ装置50は、上側ダクト22bの後寄りに位置している。また、上側ダクト22bは、ダンパ装置50の下流側の端部に、蛇腹管24(図3参照)と接続される接続口22eが形成されている。また、後側ダクト22aは、ダンパ装置50の上流側の端部に、蛇腹管27(図3参照)と接続される接続口22fが形成されている。
【0023】
図5は、気泡発生装置を示す模式図である。図5において、白抜き矢印は、気泡を発生させた場合の空気の流れを示し、1点鎖線は洗剤水W(洗濯水、洗剤液)の水面を示している。
図5に示すように、気泡発生装置80は、外槽2の下部に空気を送り込んで気泡を発生させる装置であり、吐出ダクト22から分岐して設けられる送風管81と、送風管81と接続されて外槽2の内部の下部に設けられる吐出ノズル82(気泡発生部)と、を備えて構成されている。
【0024】
送風管81の上流側の端部は、吐出ダクト22のダンパ装置50(図3参照)と送風ファン30(図3参照)との間に接続されている。また、送風管81の下流側の端部は、槽カバー2bの下部を貫通し、吐出ノズル82と接続されている。槽カバー2bには、送風管81が挿入されて接続される接続口2sが槽カバー2bを貫通して形成されている。なお、接続口2sと送風管81とは図示しないシール材を介して接続され、外槽2内の洗剤水Wが接続口2sから外槽2の外部に漏れ出ないようになっている。
【0025】
また、槽カバー2bの内側には、気泡流路カバー84が設けられている。この気泡流路カバー84と、槽カバー2b(外槽2の前部)との間に空間を形成することによって、気泡を上部まで上昇させる気泡流路85(流路)を構成している。また、気泡流路カバー84は、吐出ノズル82の周囲を覆う位置まで形成されている。また、吐出ノズル82は、外槽2の底に溜められた洗剤水W(洗剤液)の水面Sより低い位置に配置されている。
【0026】
気泡流路85の下流側の端部は、槽カバー2bに形成された気泡吐出口26(図3参照)に接続されている。換言すると、気泡吐出口26は、水面Sの上方に位置している。なお、図示していないが、気泡流路カバー84と槽カバー2bとの間には吐出ノズル82の近傍(水面Sより低い位置)において隙間(不図示)が形成され、この隙間から気泡流路85内に洗剤水Wが入り込むようになっている。これにより、吐出ノズル82の位置まで洗剤水Wによって満たされる。
【0027】
このように構成された気泡発生装置80では、ダンパ装置50(図4参照)が閉じられることで(フラップ51が乾燥用吐出口25に通じる風路を閉じることで)、送風ファン30によって昇圧された空気が吐出ダクト22から送風管81を通り、吐出ノズル82から、外槽2の底部に溜められた洗剤水W(洗濯水)に空気が送り込まれる。洗剤水W内の空気は、水面Sにて洗剤液の膜によって形成された気泡83となる。送風管81から連続して送り込まれる空気によって、気泡83が連続して発生する。発生した気泡83は、合体と破泡を繰り返しながら、徐々に押し出され、気泡流路85を上昇して気泡吐出口26から吐出される。気泡吐出口26から吐出された気泡83は、ドラム3(図3参照)内の衣類に散布されながら、衣類を洗濯する。このような気泡発生装置80を設けて気泡83を発生させることで、ドラム3内の洗濯物に対して洗浄力を高めることができる。
【0028】
また、乾燥工程時は、ダンパ装置50が開いて(フラップ51が乾燥用吐出口25に通じる風路を開いて)、送風ファン30から吐出された空気が、後側ダクト22a(図4参照)および上側ダクト22b(図4参照)を通って、乾燥用吐出口25(図3参照)からドラム3(図3参照)内の洗濯物に高温低湿の空気が吹き付けられる。
【0029】
また、送風ファン30は、遠心型の送風機である。これにより、圧力を出し易くなり、送風ファン30における昇圧力を高めることができ、ドラム3内に気泡を安定して供給できる。
【0030】
次に、吐出ノズル82の位置と水面の関係について説明する。
洗濯機100は、外槽2に給水する給水ユニット70と、外槽2内の水位を検知する水位センサ(不図示)と、水位センサの検出値によって給水ユニット70からの給水を制御する制御装置90と、を備える。吐出ノズル82は、制御装置90が制御する最低水位より低い位置に配置される。これによれば、気泡発生装置80に送風した際、吐出ノズル82が水中(洗剤水W中)にあるため、確実に気泡を発生させることができる。
【0031】
また、洗剤水Wの最高水位はドア9の最下部より低く設定している。これにより、洗濯中にドア9から水漏れすることを抑止している。
【0032】
図6は、気泡発生装置の先端の吐出ノズルを示す斜視図である。
図6に示すように、吐出ノズル82は、筒体82aと、筒体82aを貫通して形成される複数の吐出口82bとを備えている。また、筒体82aの軸方向の両端は壁面によって閉塞されている。送風管81(図5参照)と接続される導入口82dから筒体82a内に向けて空気が送り込まれる。筒体82aの内壁82a1は、筒体82aの軸方向から見たときの形状が円形状である。吐出口82bは、複数形成され、内壁82a1の軸方向に一列に並んで形成されている。なお、吐出口82bの個数は、5個に限定されるものではなく、4個以下であっても、6個以上であってもよい。また、吐出口82bの径は、すべてが同じ径である必要はなく、異なる径であってもよい。また、吐出口82bは、丸形状に限定されるものではなく、長孔、四角、三角など他の形状であってもよい。これにより、送風管81(図5参照)から筒体82aに導入された空気は、白抜き矢印で示すように、各吐出口82bから略水平方向の前方に向けて吐出(水中に吐出)される。なお、吐出ノズル82の開口は、開口の全てが水面Sより下にあること(水没していること)が好ましいが、発明の効果を阻害しない範囲で、開口の一部が水面Sよりも上にあっても(完全に水没していなくても)よい。
【0033】
図7は槽カバーを内側から見た図である。
図7に示すように、槽カバー2bの内壁面には、循環ポンプ11(図3参照)にて昇圧された洗剤水W(洗剤液)が流れる循環シャワー流路カバー16が設けられ、循環流路を構成している。また、槽カバー2bには、持ち上げた洗剤水Wをドラム3内に散水する散水ノズル15が形成されている。また、槽カバー2bには、洗濯中に発生させた気泡が流れる気泡流路カバー84が設けられ、気泡流路85を構成している。この気泡流路85は、吐出ノズル82の位置から鉛直方向上方に延び、その後にドラム3の開口部内縁3Aに沿って湾曲するように延び、吐出ダクト22と前後に重なる位置において斜め下向きに延びるようにして形成されている。
【0034】
また、槽カバー2bには、乾燥工程において乾燥風を吹き出す乾燥用吐出口25と、気泡流路85からドラム3内に気泡83を吐出する気泡吐出口26と、が形成されている。乾燥用吐出口25は、槽カバー2bの外面側に設けられる吐出ダクト22と接続される。また、気泡流路カバー84の内部には、気泡発生装置80の吐出ノズル82が内包されている。気泡吐出口26は、ドラム3の開口部3a(図3参照)に向けて設けられている。
【0035】
なお、図7において、ドラム3の開口部内縁3Aを破線で示している。散水ノズル15と乾燥用吐出口25と気泡吐出口26は、いずれも開口部内縁3Aより内側となるように設けられている。これにより、ドラム3内に洗剤水Wや乾燥風および気泡83を確実に散布させることができる。
【0036】
また、気泡吐出口26の流路断面積は、気泡流路85の流路断面積より大きい。これにより、気泡流路85を上昇した気泡83が気泡吐出口26で詰まることなく、ドラム3内へ散布されるため、泡残りによる乾燥不良を防止できる。
【0037】
ところで、気泡83は水面S(図5参照)から発生するため、気泡吐出口26は、水面Sより上部である必要がある。水面Sの最高水位はドア9の最下部より低く設定しているため、気泡吐出口26はドア9の最下部より上部に配置するのが望ましい。さらに、気泡83を極力広い範囲で散布するため、気泡吐出口26はドラム3の開口部内縁3Aの中で極力上部に位置させるのが望ましい。そこで、本実施形態では、気泡吐出口26を乾燥用吐出口25に隣接させて配置した。また、気泡吐出口26は、乾燥用吐出口25の鉛直方向の上方に位置している。これにより、洗濯中に気泡83の発生(図3の矢印A参照)とともに乾燥用吐出口25から空気を送風(図3の矢印B参照)することで、吐出した気泡83を風に乗せてドラム3の奥部まで散布することが可能となる。
【0038】
なお、気泡吐出口26は、乾燥用吐出口25の上部にあることが望ましい(図3参照)。これにより、吐出された気泡83が落ちたときに確実に風に乗せることができる。
【0039】
気泡発生装置80(吐出ノズル82)で発生した気泡83は、空気を沢山含んでいるので密度が小さく、吐出ノズル82が外槽2の下部にあって気泡吐出口26が外槽2の上部にあっても、即ち、吐出ノズル82と気泡吐出口26の高さ位置に大きな差があっても、発生した気泡を容易に気泡吐出口26に向けて上昇させることができる。
【0040】
また、気泡吐出口26は、ドラム3の開口部内縁3Aの中心Oより上側に配置し、気泡吐出口26を下向きにしている。これにより、気泡吐出口26への異物混入を防止できる。
【0041】
また、吐出ノズル82の空気を送る手段としては、送風ファン30を利用する場合を例に挙げて説明したが、送風ファン30と別個の送風ファンを設けて、吐出ノズル82に空気を送るようにしてもよい。これにより、風路を切り替えるためダンパ装置50を不要にできる。
【0042】
図8は、第1実施形態の洗濯機の洗濯動作を示すフローチャートである。
図8に示すように、制御装置90は、ステップS10において、布量センシングを実行する。この布量センシングは、洗濯機100に投入された洗濯物の重量(布量)を検出する工程である。具体的には、ドラム駆動用のモータ(不図示)を駆動してドラム3を回転させて、モータの回転速度とモータ電流値に基づいて算出する。例えば、洗濯物の重量が増加することによりドラム3を回転させるための負荷が大きくなり、モータに流れるモータ電流が多く必要になることから、モータのモータ電流と回転速度により洗濯物の重量を算出することができる。
【0043】
ステップS20において、制御装置90は、給水1工程(第一の給水)を実行する。すなわち、制御装置90は、給水ユニット70の給水電磁弁(不図示)を開いて、外槽2内への給水を開始して、外槽2内の水位を上昇させるとともに、モータを駆動してドラム3を所定の回転速度で正逆方向に回転させ、洗濯物の入れ替えを行う。また、制御装置90は、循環ポンプ11を所定の回転速度になるように制御して、外槽2から吸い込んだ洗剤水W(洗剤液)を外槽2の上部に設けられた散水ノズル15(図7参照)からシャワー状に散布し、洗剤水W(洗剤液)を衣類に浸み込ませる。そして、制御装置90は、水位センサ(不図示)によって所定水位に到達したと判定した場合、給水ユニット70の給水電磁弁を閉じて、給水を停止する。このように、給水1工程では、給水を開始して、水と衣類が触れたら直ちに含水するものではなく、一定の時間差が生じて含水する。
【0044】
ステップS30において、制御装置90は、高濃度洗浄工程を実行する。すなわち、制御装置90は、モータを制御して、ドラム3を所定の回転速度で正逆方向に回転させ、衣類の入れ替えを行う。また、制御装置90は、循環ポンプ11を所定の回転速度になるように制御して、外槽2から吸い込んだ洗剤液を外槽2の上部に設けられた散水ノズル15からシャワー状に散布し、洗剤液を衣類に浸み込ませる。そして、制御装置90は、高濃度洗浄工程を所定時間が経過するまで実行する。このように、高濃度洗浄工程は、水が衣類に浸み込むのを待つ工程(含水までの時間差を補う工程)でもある。
【0045】
ステップS40において、制御装置90は、給水2工程(第二の給水)を実行する。すなわち、制御装置90は、給水ユニット70の給水電磁弁(不図示)を開弁して外槽2に給水を開始する。そして、制御装置90は、水位センサによって所定水位に到達したと判定した場合、給水ユニット70の給水電磁弁を閉じて、給水を停止する。この給水2工程では、衣類の状況によっては水位が下がっている場合もある。このように、給水2工程を実行することで、給水1工程において求めている水位に到達しているかを確認するとともに、求めている水位に到達していなかった場合には求めている水位まで給水する。なお、給水2工程では、ドラム3を回転させながら給水を実行してもよい。
【0046】
ステップS50において、制御装置90は、泡沫洗浄工程を実行する。すなわち、制御装置90は、ダンパ装置50を制御してダンパ装置50に設けられたフラップ51(図3参照)を動作させて、乾燥用吐出口25側への吐出ダクト22の風路を閉塞する。そして、制御装置90は、送風ファン30を制御して、外槽2内への送風を開始する。このとき、乾燥用吐出口25への吐出ダクト22の開口面積(流路断面積)がダンパ装置50のフラップ51によって狭くなっているので、吐出ノズル82の吐出口82b側の流路(送風管81)に高圧状態で送風される。これにより、外槽2内の洗剤液は、送風ファン30によって送られた空気によって泡沫(気泡83)を形成する。生成された泡沫(気泡83)は、気泡流路85(図7参照)を通って押し上げられ、外槽2の上部に設けられた気泡吐出口26(図3図7参照)からドラム3内に散布される。そして、ドラム3を正逆方向に回転させることで衣類表面に泡を付着させながら洗浄する。
【0047】
このように、ドラム3内の洗濯物に対して、気泡83(泡沫)を発生させて接触させることで、洗浄力を高めることができる。これは、泡同士が密着した界面(プラトー境界)は洗剤濃度が高く、泡が破裂することで洗濯物に高濃度の洗剤液を与えるとともに、破泡時(泡が破裂するときの)の衝撃によって機械力が洗濯物に作用して、洗浄効果を高めることができるためである。また、気泡83による潤滑作用によって衣類同士の摩擦による布傷みを抑制することができる。
【0048】
なお、泡沫洗浄工程では、ダンパ装置50のフラップ51を完全に閉塞させるのではなく、吐出ダクト22の風路面積を小さくして、風を吐出ノズル82と乾燥用吐出口25とに分岐させて流してもよい。これにより、洗濯運転中に気泡83を発生させるとともに乾燥用吐出口25から風を吹き出して、気泡83を風に乗せてドラム3内へ届けることができる。この場合、発生させた気泡83が広くドラム3内の衣類に吹き付けられるため、前記した気泡83の洗浄効果および布傷み低減効果を最大限得ることができる。
【0049】
また、泡沫洗浄工程では、気泡吐出口26から気泡83を発生させつつ、循環ポンプ11を駆動して外槽2の底の洗剤水を循環させるようにしてもよい。これにより、衣類が自重で水が抜けて乾いた状態になるのを抑制でき、洗浄効果を高めることができる。
【0050】
ステップS60において、制御装置90は、すすぎ工程を実行する。すなわち、制御装置90は、排水弁12を開いて外槽2内の水を排出し、外槽2内の水位が水位センサによって所定水位を下回ったことが検知されると、排水弁12を開いたままドラム3を高速回転させ、衣類に含まれる洗濯水を脱水する。そして、制御装置90は、所定時間が経過したことを判断すると、脱水を終了し、排水弁12を閉じて、給水ユニット70の給水電磁弁を開いて外槽2に給水する。そして、制御装置90は、水位センサによって所定水位まで給水されたことを検知すると、給水を停止し、モータを制御してドラム3を正逆方向に回転させ、衣類の入れ替えを行いながらすすぎを実行する。
【0051】
ステップS70において、制御装置90は、脱水工程を実行する。すなわち、制御装置90は、排水弁12を開いて外槽2内の水を排出し、外槽2の水位が水位センサによって所定水位を下回ったことが検知されると、排水弁12を開いたままドラム3を高速回転させ、衣類に含まれる洗濯水を脱水する。そして、制御装置90は、所定時間が経過したことを判断すると、脱水を終了する。
【0052】
このように構成された第1実施形態の洗濯機100は、筐体1と、筐体1に収容される外槽2と、外槽2内に回転可能に支持されるドラム3と、ドラム3に風を送る送風ファン30と、洗剤水W中に空気を供給し気泡を発生させる吐出ノズル82と、を備える。吐出ノズル82は、水面Sより下方に位置し、気泡をドラム内に送る気泡吐出口26は水面Sの上方に位置する。これによれば、発生した気泡83をすべて気泡吐出口26から吐出させることができるので、気泡83を衣類(洗濯物)に安定して効率よく供給することができる。
【0053】
また、第1実施形態は、吐出ノズル82と気泡吐出口26とを連通する気泡流路85を外槽2の前部に設ける。これによれば、気泡83をドラム3内に投入し易くなり、気泡83を衣類に安定して供給できる。
【0054】
また、第1実施形態は、外槽2の内側(槽カバー2b)には、気泡流路カバー84が設けられ、外槽2と気泡流路カバー84とによって気泡流路85が構成されている(図5参照)。これによれば、気泡流路85の出っ張りを、気泡流路85を別個に構成した場合よりも、低く抑えることができるので、ドラム3とのクリアランスを広く確保する必要がなくなる。
【0055】
また、第1実施形態は、気泡吐出口26は、ドラム3の開口部3aに向けて設けられている。これによれば、気泡83をドラム3内に入れ易くなる。
【0056】
また、第1実施形態は、ドラム3内に乾燥風を吐出する乾燥用吐出口25を備え、気泡吐出口26は、乾燥用吐出口25に隣接して設けられている(図7参照)。これによれば、気泡吐出口26から吐出された気泡83が乾燥用吐出口25から吐出した風(空気)に乗って、気泡83をドラム3の奥まで届けることが可能になる。なお、乾燥用吐出口25から吐出させる風は、乾燥している必要もなく、温度を高くする必要もない。
【0057】
第1実施形態は、気泡吐出口26は、乾燥用吐出口25の上方に設けた(図3参照)。これによれば、気泡吐出口26から吐出されて落ちた気泡83を乾燥用吐出口25から吐出される風によってドラム3内に送ることができる。
【0058】
(第2実施形態)
図9は第2実施形態の洗濯機に係る気泡発生装置を示す模式図である。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図9に示すように、気泡発生装置80Aは、気泡流路カバー84に一体に形成されたものである。槽カバー2bの内壁面2tには、気泡流路カバー84Aの縁部(不図示)が嵌合する溝形状の嵌合部2b3が形成されている。また、図示していないが、嵌合部2b3には、シール材を介して気泡流路カバー84Aが嵌合している。また、気泡流路カバー84Aの内側には、吐出ノズル82A(気泡発生部)が、気泡流路カバー84Aと一体に形成されている。気泡流路カバー84Aを槽カバー2bの内壁面2tに取り付けることで、気泡流路カバー84Aと槽カバー2bとの間に気泡流路85となる空間が形成される。また、槽カバー2bの下面には、送風管81が接続される接続口2b2が形成されている。これにより、槽カバー2bを連通させていた送風管81を外槽2の外部に取り付けることができ、水漏れを抑止するととともに、組立性向上につながる。さらに、吐出ノズル82が不要になるため、継手部からの空気漏れを抑制し、気泡83の生成量を増やすことができる。また、部品点数削減と組立性向上にもつながる。
【0059】
なお、前記した実施形態では、ドラム式の洗濯乾燥機を例に挙げて説明したが、乾燥機能を備えていないドラム式の洗濯機に適用してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 筐体
2 外槽
2a 外槽本体
2b 槽カバー
3 ドラム(内槽)
3a 開口部
3A 開口部内縁
11 循環ポンプ
21 吸込ダクト
22 吐出ダクト
22a 後側ダクト
22b 上側ダクト
25 乾燥用吐出口
26 気泡吐出口(吐出口)
30 送風ファン(送風部)
40 ヒートポンプユニット
50 ダンパ装置
70 給水ユニット
80 気泡発生装置
81 送風管
82,82A 吐出ノズル(気泡発生部)
82a 筒体
82b 吐出口(発泡用吐出口)
83 気泡
84 気泡流路カバー
85 気泡流路(流路)
100 洗濯機
S 水面
W 洗剤水
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9