(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178984
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】目地処理構造
(51)【国際特許分類】
E04F 15/14 20060101AFI20241219BHJP
E04F 15/16 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
E04F15/14
E04F15/16 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097439
(22)【出願日】2023-06-14
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ガルバリウム鋼板
(71)【出願人】
【識別番号】000217365
【氏名又は名称】田島ルーフィング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東海林 隆史
(72)【発明者】
【氏名】冨澤 貴志
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA25
2E220AA33
2E220AA51
2E220AB04
2E220AB24
2E220AC01
2E220BA01
2E220BA19
2E220BB01
2E220BB05
2E220DA02
2E220DB09
2E220EA11
2E220FA11
2E220GA24X
2E220GA27X
2E220GA28X
2E220GA32X
2E220GA32Y
2E220GB02Y
2E220GB05Y
2E220GB22Y
2E220GB28X
2E220GB33X
2E220GB34X
2E220GB37Z
2E220GB39Z
(57)【要約】
【課題】目地部分を目地処理材で覆い、その上に樹脂シートを施工することにより、美観を良好にするとともに、樹脂シートの目地部分の膨れや剥がれを抑制でき、目地処理材の施工箇所が目立たない目地処理構造を提供する。
【解決手段】コンクリートの構造体間の隙間を覆う目地処理構造は、前記隙間を跨いで前記コンクリートの構造体に掛け渡されるように配置された薄板状の目地処理材と、前記目地処理材の上面と前記コンクリートの構造体の上面にわたって配置された樹脂シートと、を有し、前記目地処理材と、前記コンクリートの構造体との間に付与された第1接着剤を介して接着が行われ、前記目地処理材の外縁と前記コンクリートの構造体との境界を含み、前記樹脂シートと、前記コンクリートの構造体および前記目地処理材との間に付与された第2接着剤を介して接着が行われる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートの構造体間の隙間を覆う目地処理構造において、
前記隙間を跨いで前記コンクリートの構造体に掛け渡されるように配置された薄板状の目地処理材と、
前記目地処理材の上面と前記コンクリートの構造体の上面にわたって配置された樹脂シートと、を有し、
前記目地処理材と、前記コンクリートの構造体との間に付与された第1接着剤を介して接着が行われ、
前記目地処理材の外縁と前記コンクリートの構造体との境界を含み、前記樹脂シートと、前記コンクリートの構造体および前記目地処理材との間に付与された第2接着剤を介して接着が行われる、
ことを特徴とする目地処理構造。
【請求項2】
前記目地処理材は、厚みが0.1mm以上、0.4mm以下である帯状の薄板の鋼板から形成され、また前記コンクリートの構造体の上面に対して平らか、もしくは山折りに屈曲していることを特徴とする請求項1に記載の目地処理構造。
【請求項3】
前記目地処理材と、前記コンクリートの構造体とを接着する前記第1接着剤が、ニトリルゴム系樹脂、クロロプレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂のいずれかから選ばれることを特徴とする請求項1又は請求項2の目地処理構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目地処理構造に関する。
【背景技術】
【0002】
マンションのルーフバルコニーや、廊下、プール等のコンクリート構造においては、コンクリートが外気温や日射により膨張/収縮した際のひび割れ等を抑制すべく、コンクリートを複数の構造体に分けて配設しているが、構造体間の処理が課題である。例えばルーフバルコニーでは、コンクリート製の構造体間をシーリング材等の目地材で充填しているケースが多く、目地部分は通常コンクリート表面から凹んでいる。
【0003】
一方、美観向上のために、合成樹脂製シートをコンクリート構造上に施工する場合がある。このようなコンクリート製の構造体に対して、目地を跨いで合成樹脂製シートを施工すると、目地部分が凹んでいるため、構造体間にまたがった床材は浮いた状態となり、目地を覆ったシート部分で膨れやしわが入りやすいという問題がある。
【0004】
また、施工から長期間経過すると、シート部分の膨れが増大し、合成樹脂製シートがコンクリート下地から剥がれる恐れもある。さらに、直射日光の当たるコンクリートに床材を施工した場合、コンクリートに加えて、床材や接着剤が経年で伸縮や膨張を繰り返し、ひずみが大きくなると、その場所で破壊がおこり、床材の剥がれを起こりやすく、例えば耐水性のエポキシ系接着剤で施工しても、床材が剥離することがあった。これに対し、目地部を被覆しないようにして、コンクリートの上面に床材を敷設した場合、床材の剥離等は防止できるが、施工の手間が増え、さらには床上の歩行性や美観も悪化するという問題がある。
【0005】
これに対し、特許文献1においては、伸縮目地が形成されたコンクリート床の下地面に合成樹脂製の床材を敷設する床材の敷設方法であって、上記伸縮目地を跨ぐように帯体を載置し、上記伸縮目地を跨いでコンクリート床の下地面に合成樹脂製の床材を接着固定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術によれば、コンクリート床の下地面と床材裏面の間であって、上記帯体両側の外縁外側に接し、且つ、帯体の全長に亘ってコンクリート床の下地面と床材裏面とを接着しない非接着領域を設けているために、非接着領域上の床材が下地面から浮いてしまい、凹部が生じるなどの恐れがある。また、帯体が比較的厚いため、帯体がある部分とない部分とで床材に高低差が生じ、床上を歩行する高齢者等が躓く恐れもある。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、目地部分を目地処理材で覆い、その上に樹脂シートを施工することにより、美観を良好にするとともに、樹脂シートの目地部分の膨れや剥がれを抑制でき、目地処理材の施工箇所が目立たない目地処理構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目地処理構造は、
コンクリートの構造体間の隙間を覆う目地処理構造において、
前記隙間を跨いで前記コンクリートの構造体に掛け渡されるように配置された薄板状の目地処理材と、
前記目地処理材の上面と前記コンクリートの構造体の上面にわたって配置された樹脂シートと、を有し、
前記目地処理材と、前記コンクリートの構造体との間に付与された第1接着剤を介して接着が行われ、
前記目地処理材の外縁と前記コンクリートの構造体との境界を含み、前記樹脂シートと、前記コンクリートの構造体および前記目地処理材との間に付与された第2接着剤を介して接着が行われる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、目地部分を目地処理材で覆い、その上に樹脂シートを施工することにより、美観を良好にするとともに、樹脂シートの目地部分の膨れや剥がれを抑制でき、目地処理材の施工箇所が目立たない目地処理構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本実施形態の目地処理構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本実施形態の目地処理構造の断面図であり、
図2は、目地処理材の斜視図であるが、実際の形状や寸法比と異なる場合がある。本実施形態の目地処理構造は、目地処理材3と樹脂シート1とを積層してなる。
【0013】
図1において、隣接するコンクリートの構造体6の間の隙間(目地ともいう)Sの両側面に接するように目地材5が配置されている。また構造体6の上面には隙間Sに跨がり掛け渡されるようにして、薄板状の目地処理材3が配置され、構造体6および目地材5の上面に対して付与された第1接着剤4を介して接着されている。目地処理材3と目地材5の空間は、第1接着剤4により満たされてもよいし、一部空隙があってもよい。空隙を設けた場合、目地処理材3と目地材5の空間を雨水の排水路として利用できる。
【0014】
一方の構造体6の上面から目地処理材3の上面を経て他方の構造体6の上面までわたって、等しい厚さの樹脂シート1が配置され、構造体6および目地処理材3の上面に対して付与された第2接着剤2を介して接着されている。
【0015】
本実施形態では、目地処理材3の外縁とコンクリートの構造体6との境界に第2接着剤2が付与され、すなわち目地処理材3に隣接して樹脂シート1の非接着領域は設けられていないため、構造体6から樹脂シート1の浮き上がり等は生じない。また、目地処理材3が薄いため、構造体6との段差が小さく、樹脂シート1に構造体6と目地処理材3の段差が浮き上がることが抑制されるとともに、目地処理材3がある部分とない部分との高低差がほとんどなく、それにより歩行性が確保される。
【0016】
本実施形態の目地処理構造によれば、構造体6間の隙間Sに配置された目地材5を目地処理材3で覆い、その上に樹脂シート1を施工することにより、美観を良好にするとともに、樹脂シート1施工後の目地材5の膨れや剥がれを抑制でき、目地処理材3の施工箇所が目立たない目地処理構造を提供することができる。なお、本実施形態の目地処理構造は、伸縮目地の他に、予め決められた位置にひび割れを起こす目的で設けられた誘発目地、意匠性を目的に目地材が設置された化粧目地など、下地に凹みのあるコンクリ―ト構造に適用できる。
【0017】
本発明で用いる目地処理材3の材質は、施工時に折れ曲がったり、破損しない程度の剛性と強度を有する腐食性の高い金属であることが好ましく、特に金属材料を用いることにより下地からの水分を遮断することができる。金属材料としては、例えば、ステンレスやメッキを施した鉄、ガルバリウム鋼板、アルミニウムなどがあげられる。施工時の切断性や腐食性の面から、ステンレスやアルミニウムを好適に使用できる。
【0018】
目地処理材3の厚さは、0.1mm以上から0.4mm以下で均一であると好ましい。目地処理材3が0.1mmより薄いと施工時のハンドリングが悪く、かつ施工後もコンクリートの構造体6に施工する際に目地処理材3が変形し、その後樹脂製シート1を施工しても樹脂製シート1の表面が凹凸になりやすい。また、目地処理材3が0.4mmより厚いと、その上に樹脂製シート1を敷設しても、経年で樹脂シート1の表面に目地処理材3の縁と構造体6との段差がくっきりと浮き出てきてしまう。施工性及び床材の仕上がりの面から、目地処理材3の厚みは0.2mm~0.4mmがより好ましい。目地処理材3が薄いことで、樹脂シート1の表面における目地処理材3の縁と構造体6との段差を目立たなくすることができる。
【0019】
目地処理材3の幅は、作業性の面から5~15cmで、施工時の変形のしにくさから短冊状または帯状が好ましい。長手方向の長さは、作業性の面から500~1500mmが好ましい。500mmよりも短いと、目地処理材同士のジョイント部分が多くなるため、ジョイント部分の継ぎ目が床材に目立ちやすくなり、作業性が悪くなる。また、1500mmより長いと、屋外で作業した場合、風で折れ曲がることがある。
【0020】
また、目地処理材3は、表裏面が平らな一枚の平板から形成してもよい。ただし、
図2に示すように、一方の構造体6に接着する第1面3aと、他方の構造体6に接着する第2面3bとのなす角度θが、175°以上、180°未満の範囲で山折りに屈曲しているとより好ましい。屈曲していることで目地材5の隙間Sの段差による影響を緩和させ、納まりがよくなるからである。目地処理材3を山折りとする場合、第1面3aと第2面3bの双方の裏面に接着剤を塗布する。ただし、例えば第1面3aに接着剤を塗布し、第2面3bに接着剤を塗布しないことで、構造体6の熱膨張等に応じて隙間Sが増減した場合に、構造体6との間の相対的な動きを許容できる。
【0021】
目地処理材3は、構造体6の隙間Sを遮蔽するのに1枚で足りるように施工すると好ましいが、複数の目地処理材3を継ぎ合わせて施工してもよい。かかる場合、目地処理材3の継ぎ目部分の施工は、突きつけもしくは重ね合せて施工することができる。目地材5は構造体6に対してへこんでいることが多く、目地処理材3と目地材5との間の空間を確実になくすためにも、重ね合わせて施工するのが好ましい。
【0022】
目地処理材3を固定する第1接着剤4は、例えばポリウレタン系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、クロロプレンゴム系接着剤、アクリル系樹脂などが挙げられる。目地材5の伸縮への追従性の面から弾性力のある接着剤が好適に使用でき、特にニトリルゴム系接着剤やクロロプレンゴム系接着剤が好ましい。第2接着剤2は、第1接着剤4と共通としてもよい。
【0023】
目地処理材3をコンクリートに固定する接着剤の塗布量は、0.1~0.4kg/m2が好ましく、くし目ごて等の施工工具で塗布する都合上、0.2~0.3kg/m2がより好ましい。その時の塗布厚みは0.1~0.2mm程度である。
【0024】
樹脂シート1は、既存のコンクリート床面に敷設されて意匠性や機能性を向上させるシート材である。樹脂シート1の平面視形状は、特に限定されるものではなく、長尺状に形成されていてもよいし、床タイルのように矩形状又は多角形状に形成されていてもよいが、止水性及び施工性の観点から、樹脂シート1は、目地のない1枚のシートからなることが好ましい。長尺状に形成された樹脂シート1は、通常、ロールに巻かれて保管・運搬に供される。
【0025】
樹脂シート1の表面形状は、特に限定されるものではないが、例えば防滑性を有する突部や傾斜面を有する凹凸形状などとすることができる。また、樹脂シート1の最も上側の表面層は、必要に応じて、耐侯剤、可塑剤、安定剤、充填剤、分散剤、染料、顔料などの着色剤、溶剤などを含んでいてもよい。
【0026】
樹脂シート1の表面は、光沢度を高くするよりも低くする方が、下地であるコンクリート床面の不陸や凹凸が樹脂シートの表面へ表出した際、人の目で視認し難くする効果があるので好ましい。樹脂シートの表面の凹凸や突部などは、通常はエンボス加工を行って形成するが、エンボス加工方法は特に限定されず、公知の枚葉式又は輪転式のエンボス機を用いることができる。凹凸形状としては、例えば、木目板導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面など)、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、微細網状、微細点状、ストライプ状などを挙げることができる。微細な凹凸は、エンボス加工以外に、サンドブラストや鑢がけなどによって表面を粗くしたり、フィラーなどの微粒子を表面に埋め込むなどの方法によっても形成することができる。このような微細な凹凸を加えることによって、不陸による凹凸や目地処理材3による凹凸をさらに隠蔽しやすくなる。
【0027】
樹脂シート1の素材は、既存のコンクリート床面に敷設可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂などの柔軟性を有する樹脂シートを用いることができる。これらの中でも、柔軟性を有する加工性、耐久性、コストに優れることから、主たる樹脂成分として塩化ビニル樹脂を用いることが好ましい。塩化ビニル系樹脂は、柔軟性に優れることにより、施工後に柔軟な床面を構成できるほか、ロールに巻き取って樹脂シート1を簡易に保管・運搬できる上、施工時に容易に搬入できるというメリットもある。また、リフォーム時に下地であるコンクリート床面との密着性に優れるという点においても、塩化ビニル系樹脂を用いることが好ましい。
【0028】
樹脂シート1の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば2.0mm以上、5.0mm以下であることが好ましく、2.5mm以上、4.0mm以下であることがより好ましい。厚みが2.0mm以上であると強度を確保しやすく、厚みが5mm以下であると柔軟性が高まるので、施工する際の作業性が向上する。また、既存のコンクリート床面に樹脂シート1を敷設したとしても、厚みを5mm以下とすることで、施工後の床面高さの変動が支障の出ない範囲に抑えられる上、リフォーム後の美観も保つことができる。
【0029】
樹脂シート1には、その剛性を高め、寸法安定性を付与するための補強層を単数又は複数設けることができる。補強層としては、例えば、ガラスマット、ガラスネット、樹脂マット、樹脂ネット、無機繊維又は有機繊維からなる不織布又はフェルト、及び、織布などが挙げられるが、強度に優れ、かつ、寸法変化が小さいという点から、特にガラス繊維を用いることが好ましい。また、ガラス繊維を使用することにより、下地であるコンクリート床面の不陸や凹凸が樹脂シートの表面に表出するのを抑制できる。
【0030】
以下、本発明者が行った試験結果について説明する。
【0031】
[実施例1]
目地処理材として厚さ0.2mm、幅90mm、長さ1000mm、幅方向に177°に山折りに屈曲したアルミニウム合金(製品名:A1050-H24, 日本軽金属株式会社製)を使用し、その裏面にくし目ごてを用いて、ウレタン系接着剤(田島ルーフィング株式会社製、セメントVG)を塗布し、塗布後ただちに、コンクリートおよび伸縮目地(伸縮目地の幅25mm)の上に貼り付けた。さらにその上に樹脂シートを施工した。施工の結果、一部接着剤のごくわずかに剥がれが確認されたが、実用化可能である。
【0032】
[実施例2]
接着剤をクロロプレンゴム系接着剤(田島ルーフィング株式会社製、セメントRV)に変更した点以外は、実施例1と同様である。施工の結果、目地部の伸縮への追従性は良好であった。また、仕上がりとしての外観は、目地処理材の段差が大きく目立つことはなかった。
【0033】
[比較例1]
接着剤をエポキシ系接着剤(田島ルーフィング株式会社製、セメントEP20)に変更した点以外は、実施例1と同様である。施工の結果、一部接着剤の剥がれがあり目地の収縮部への追従性が悪く、実用化困難である。
【0034】
[実施例3]
接着剤をニトリル系接着剤(田島ルーフィング株式会社製、VTボンド)に変更した点以外は、実施例1と同様である。施工の結果、目地部の伸縮への追従性は良好であった。
【0035】
[実施例4]
目地処理材の厚みを0.1mmに変更した点以外は、実施例3と同様である。施工の結果、目地処理材の剛性が低いため、施工時のハンドリングが若干悪くなり、また変形しやいため施工性にやや難があったが、実用化可能である。これ以上、目地処理材の厚みを減少させた場合、施工時のハンドリングが悪くなることが予想された。
【0036】
[実施例5]
目地処理材の厚みを0.3mmに変更した点以外は、実施例3と同様である。施工の結果、仕上がりとしての外観は、目地処理材の段差が若干目立つ程度であり、十分実用化可能である。
【0037】
[実施例6]
目地処理材の厚みを0.4mmに変更した点以外は、実施例3と同様である。施工の結果、仕上がりとしての外観は、目地処理材の段差が若干目立つ程度であり、十分実用化可能である。
【0038】
[比較例2]
目地処理材の厚みを0.5mmに変更した点以外は、実施例3と同様である。施工の結果、仕上がりとしての外観は、目地処理材の段差が目立つ状況であるため、実用化困難である。
【0039】
以上の実施例および比較例の試験結果を表1にまとめて示す。
【0040】
【0041】
(評価基準)
表1において、施工時のハンドリングや施工後3年後の外観、目地の伸縮への追従性について個別評価を行うとともに、各評価項目から総合的観点での総合評価を行った。各評価項目の判定基準は、以下の通りである。
【0042】
[外観]
○:目視で段差が確認できない、もしくはわずかに段差が確認されるが問題となるレベルではなく、合格とした。
△:目視で段差が確認できるが問題となるレベルではないため、合格とした。
×:目視で顕著に段差が確認でき、歩行、排水性など実用上問題となるレベルであるため、不合格とした。
【0043】
[目地の伸縮への追従性]
○:目視で浮きや剥がれが発生せず、問題がないため、合格とした。
△:目視で一部剥がれが見られるが実用上問題ないため、合格とした。
×:目視で剥がれや浮きが発生していることが確認でき、実用上問題となるレベルであるため、不合格とした。
【0044】
[施工時のハンドリング]
○:施工性が良好で問題はないため、合格とした。
△:目地処理板に折れや曲がりが生じる場合があり作業性が劣るが、問題になるレベルではないため、合格とした。
×:目地処理板に折れや曲がりがしやすく作業性が著しく劣り、剥がれや浮きの原因となり、問題となるレベルであるため、不合格とした。
【0045】
[総合評価]
○:評価が全て○のものとした。
△:各評価項目で△が1つ以上あり、×がないものとした。
×:評価で1つでも×があるものとした。
【0046】
以上の総合評価により、実施例1~6はいずれも合格水準に達し、比較例1、2は不合格となった。
【符号の説明】
【0047】
1 樹脂シート
2 第2接着剤
3 目地処理材
4 第1接着剤
5 目地材
6 コンクリートの構造体