IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社パロマの特許一覧

<>
  • 特開-給湯器 図1
  • 特開-給湯器 図2
  • 特開-給湯器 図3
  • 特開-給湯器 図4
  • 特開-給湯器 図5
  • 特開-給湯器 図6
  • 特開-給湯器 図7
  • 特開-給湯器 図8
  • 特開-給湯器 図9
  • 特開-給湯器 図10
  • 特開-給湯器 図11
  • 特開-給湯器 図12
  • 特開-給湯器 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178986
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/02 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
F24H9/02 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097449
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柿崎 友助
【テーマコード(参考)】
3L037
【Fターム(参考)】
3L037AA02
3L037AB01
3L037AB04
(57)【要約】
【課題】筐体内の容積を拡大する。
【解決手段】本開示の給湯暖房器1は、燃焼装置17が収納される筐体50を備えた給湯暖房器1であって、筐体50は、箱本体50Aと、フロントカバー60と、を備え、箱本体50Aは、底板51と、天井板54と、左側板52および右側板53と、背板55と、左上角部56と、右上角部57と、を備え、底板51は、箱本体50Aの外側に折り曲げられた下側フランジ部51Aを有し、天井板54は、箱本体50Aの外側に折り曲げられた上側フランジ部54Aを有し、左側板52は、箱本体50Aの内側に折り曲げられた左側フランジ部52Aを有し、右側板53は、箱本体50Aの内側に折り曲げられた右側フランジ部53Aを有し、左上角部56は、箱本体50Aの内側に折り曲げられた左上フランジ部56Aを有し、右上角部57は、箱本体50Aの内側に折り曲げられた右上フランジ部57Aを有し、各フランジ部51A~57Aのうちフロントカバー60と当接する面は、それぞれ同一平面上に配される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼装置が収納される筐体を備えた給湯器であって、
前記筐体は、前面が開口した箱本体と、前記箱本体の前面に形成される前面開口を閉塞するフロントカバーと、を備え、
前記箱本体は、底板と、前記底板の上方に対向して配される天井板と、前記底板と前記天井板との間で左右方向に対向して配される左側板および右側板と、前記左側板と前記右側板との間で前記前面開口とは反対側に配される背板と、前記左側板の上縁と前記天井板の左側縁との間に配される左上角部と、前記右側板の上縁と前記天井板の右側縁との間に配される右上角部と、を備え、
前記底板は、前記底板の前縁から前記箱本体の外側に折り曲げられた下側フランジ部を有し、
前記天井板は、前記天井板の前縁から前記箱本体の外側に折り曲げられた上側フランジ部を有し、
前記左側板は、前記左側板の前縁から前記箱本体の内側に折り曲げられた左側フランジ部を有し、
前記右側板は、前記右側板の前縁から前記箱本体の内側に折り曲げられた右側フランジ部を有し、
前記左上角部は、前記左上角部の前縁から前記箱本体の内側に折り曲げられた左上フランジ部を有し、
前記右上角部は、前記右上角部の前縁から前記箱本体の内側に折り曲げられた右上フランジ部を有し、
各フランジ部のうち前記フロントカバーと当接する面は、それぞれ同一平面上に配される、給湯器。
【請求項2】
前記各フランジ部において、前記箱本体の前縁に連結された端縁を基端とし、前記基端よりも前記箱本体の内側に位置する端縁を先端とし、前記基端から前記先端まで突出する長さを突出寸法とした場合に、
前記左上フランジ部の前記基端と前記先端は、いずれも円弧状に形成されており、
前記右上フランジ部の前記基端と前記先端は、いずれも円弧状に形成されており、
前記左上フランジ部と前記右上フランジ部の前記突出寸法は、前記左上フランジ部と前記右上フランジ部を除く他のフランジ部の前記突出寸法よりも小さくなっている、請求項1に記載の給湯器。
【請求項3】
前記フロントカバーと各フランジ部の間に挟持されるパッキンをさらに備え、
前記パッキンは、前記左上フランジ部に接触する左上パッキンと、前記右上フランジ部に接触する右上パッキンと、前記上側フランジ部に接触する上側パッキンと、を有し、
前記左上パッキンと前記右上パッキンと前記上側パッキンとは、一体に形成されている、請求項1または請求項2に記載の給湯器。
【請求項4】
前記左側板と前記左上角部と前記天井板と前記右上角部と前記右側板とは、これらが一体に形成された外カバーとして構成されており、
前記左側板と前記右側板には、それぞれ上下方向にのびる2本の溝部が形成され、前記溝部の内壁は、前記箱本体の内側に突出している、請求項1または請求項2に記載の給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な給湯器として、例えば特開2018-179435号公報(下記特許文献1)に記載の給湯器が知られている。この給湯器は、燃焼装置を収容して前面を開口する筐体と、その筐体の開口を閉塞するカバーと、を備えている。筐体は、天板と、底板と、左右一対の側板と、背板と、からなり、箱状に形成されている。天板の前縁と底板の前縁と左右一対の側板の前縁とには、外側に張り出すフランジ部がそれぞれ設けられている。フロントカバーは、正面視が筐体と略同形の矩形状で、筐体のフランジ部を含む前面に嵌合する外周部と、外周部の内側から全体的に前方へ膨出する正面視矩形状の膨出部と、を備えている。外周部は、膨出部の後縁から外周側に張り出した後、後方に向かうように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-179435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、給湯器の多機能化と小型化の需要が高まっており、これらの相反する課題を解決しなければならない。特に給湯器の水平方向の最大幅は制限があり、側板の前縁から筐体の外側に折り曲げられたフランジ部は、給湯器の最大幅部分を構成しているが、フランジ部の後方領域は有効利用されておらず、筐体内の容積を増やす余地が残されていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の給湯器は、燃焼装置が収納される筐体を備えた給湯器であって、前記筐体は、前面が開口した箱本体と、前記箱本体の前面に形成される前面開口を閉塞するフロントカバーと、を備え、前記箱本体は、底板と、前記底板の上方に対向して配される天井板と、前記底板と前記天井板との間で左右方向に対向して配される左側板および右側板と、前記左側板と前記右側板との間で前記前面開口とは反対側に配される背板と、前記左側板の上縁と前記天井板の左側縁との間に配される左上角部と、前記右側板の上縁と前記天井板の右側縁との間に配される右上角部と、を備え、前記底板は、前記底板の前縁から前記箱本体の外側に折り曲げられた下側フランジ部を有し、前記天井板は、前記天井板の前縁から前記箱本体の外側に折り曲げられた上側フランジ部を有し、前記左側板は、前記左側板の前縁から前記箱本体の内側に折り曲げられた左側フランジ部を有し、前記右側板は、前記右側板の前縁から前記箱本体の内側に折り曲げられた右側フランジ部を有し、前記左上角部は、前記左上角部の前縁から前記箱本体の内側に折り曲げられた左上フランジ部を有し、前記右上角部は、前記右上角部の前縁から前記箱本体の内側に折り曲げられた右上フランジ部を有し、各フランジ部のうち前記フロントカバーと当接する面は、それぞれ同一平面上に配される、給湯器である。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、筐体内の容積を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、フロントカバーを外した状態の給湯暖房機の正面図である。
図2図2は、給湯暖房機の概略構成図である。
図3図3は、筐体の分解斜視図である。
図4図4は、フロントカバーを外した状態の筐体の斜視図である。
図5図5は、図4の右上角部を拡大した斜視図である。
図6図6は、図4の左上角部を拡大した斜視図である。
図7図7は、図4の底板を拡大した斜視図である。
図8図8は、フロントカバーの正面図である。
図9図9は、フロントカバーの背面図である。
図10図10は、パッキンの正面図である。
図11図11は、第1ビスの軸心を通る断面図である。
図12図12は、第2ビスの軸心を通る断面図である。
図13図13は、取付ボルトの軸心を通る断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
[1]本開示の給湯器は、燃焼装置が収納される筐体を備えた給湯器であって、前記筐体は、前面が開口した箱本体と、前記箱本体の前面に形成される前面開口を閉塞するフロントカバーと、を備え、前記箱本体は、底板と、前記底板の上方に対向して配される天井板と、前記底板と前記天井板との間で左右方向に対向して配される左側板および右側板と、前記左側板と前記右側板との間で前記前面開口とは反対側に配される背板と、前記左側板の上縁と前記天井板の左側縁との間に配される左上角部と、前記右側板の上縁と前記天井板の右側縁との間に配される右上角部と、を備え、前記底板は、前記底板の前縁から前記箱本体の外側に折り曲げられた下側フランジ部を有し、前記天井板は、前記天井板の前縁から前記箱本体の外側に折り曲げられた上側フランジ部を有し、前記左側板は、前記左側板の前縁から前記箱本体の内側に折り曲げられた左側フランジ部を有し、前記右側板は、前記右側板の前縁から前記箱本体の内側に折り曲げられた右側フランジ部を有し、前記左上角部は、前記左上角部の前縁から前記箱本体の内側に折り曲げられた左上フランジ部を有し、前記右上角部は、前記右上角部の前縁から前記箱本体の内側に折り曲げられた右上フランジ部を有し、各フランジ部のうち前記フロントカバーと当接する面は、それぞれ同一平面上に配される、給湯器である。
【0009】
左側フランジ部と右側フランジ部と左上フランジ部と右上フランジ部とが箱本体の内側に折り曲げられることで、箱本体の水平方向の幅を制限いっぱいまで拡大することができ、筐体内の容積を拡大することができる。したがって、多機能化に対応すべく様々な機能部品を配置することができる。
【0010】
また、フランジ部が箱本体の内側に折り曲げられることで、組立時や修理時にフランジ部の端面での受傷を防ぐことができる。さらに、上側フランジ部と下側フランジ部とが箱本体の外側に折り曲げられることで、修理時に燃焼装置等を取り外す際、邪魔になることがない。なお、一般に上下方向の最大寸法は上側が取り付けブラケット、下側が接手類になるので、上側フランジ部と下側フランジ部を内側に曲げなくても筐体内の容積を十分に確保できているため、これらのフランジ部を内側に曲げる必要性は少ないと言える。
【0011】
[2]上記[1]において、前記各フランジ部において、前記箱本体の前縁に連結された端縁を基端とし、前記基端よりも前記箱本体の内側に位置する端縁を先端とし、前記基端から前記先端まで突出する長さを突出寸法とした場合に、前記左上フランジ部の前記基端と前記先端は、いずれも円弧状に形成されており、前記右上フランジ部の前記基端と前記先端は、いずれも円弧状に形成されており、前記左上フランジ部と前記右上フランジ部の前記突出寸法は、前記左上フランジ部と前記右上フランジ部を除く他のフランジ部の前記突出寸法よりも小さくなっていることが好ましい。
【0012】
筐体の製造時に、左上フランジ部と右上フランジ部に生じるシワの発生を抑制できる。
【0013】
[3]上記[1]または[2]において、前記フロントカバーと各フランジ部の間に挟持されるパッキンをさらに備え、前記パッキンは、前記左上フランジ部に接触する左上パッキンと、前記右上フランジ部に接触する右上パッキンと、前記上側フランジ部に接触する上側パッキンと、を有し、前記左上パッキンと前記右上パッキンと前記上側パッキンとは、一体に形成されていることが好ましい。
【0014】
折り曲げ方向の異なる各フランジ部に対して、一体となったパッキンを接触させることにより、雨水の浸入を効果的に防ぐことができる。また、左上パッキンと右上パッキンと上側パッキンとを一体のパッキンとして構成できるため、パッキンの数を少なくすることでコスト削減に寄与し得る。
【0015】
[4]上記[1]から[3]のいずれかにおいて、前記左側板と前記左上角部と前記天井板と前記右上角部と前記右側板とは、これらが一体に形成された外カバーとして構成されており、前記左側板と前記右側板には、それぞれ上下方向にのびる2本の溝部が形成され、前記溝部の内壁は、前記箱本体の内側に突出していることが好ましい。
【0016】
各側板と各角部を一体の外カバーとして構成できるため、美的外観を保ち、強度を向上できる。また、溝部によって各側板の強度を向上させるとともに、溝部の内壁を箱本体の内側に突出させることで箱本体の容積を大きく保つことができる。さらに、例えば給湯器を屋外に設置した場合、筐体に付着した雨水を流しやすくなり、長期間の使用でも汚れにくく外カバーが腐食しにくくなる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の給湯器の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0018】
<実施形態>
(給湯暖房機1の全体構成)
本実施形態では、本開示の給湯器として、給湯暖房機1を例示する。給湯暖房機1は、供給された水道水を加熱して外部に湯を供給する給湯機能と、湯を外部の室内や床下に設置された放熱器に供給し、室内や床を暖房する暖房機能と、を併せ持つ。図1に示すように、給湯暖房機1は、燃焼装置17が収納される箱形の筐体50を備えている。筐体50は、図3に示すように、正面視で下側に位置する底板51と、正面視で左側に位置する左側板52と、正面視で右側に位置する右側板53と、正面視で上側に位置する天井板54と、背面側に位置する背板55と、正面側に位置するフロントカバー60と、パッキン70と、を備えている。図1は、フロントカバー60を外した給湯暖房機1の正面図である。
【0019】
左側板52と左上角部56と天井板54と右上角部57と右側板53とは、これらが一体に形成された外カバー61として構成されている。外カバー61は、正面視で下方に開口した門形とされている。
【0020】
図2は、給湯暖房機1の概略図で、給湯暖房機1は、給湯バーナ3,3・・と給湯熱交換器7を備えて水道水を加熱して出湯させる給湯回路2と、暖房バーナ5,5と暖房熱交換器26および風呂熱交換器40とを備えて床暖房や風呂の追い焚き等に利用される風呂・暖房回路4と、からなる。
【0021】
給湯回路2において、6は水道管からの水を給湯熱交換器7へ供給する給水管、8は給湯熱交換器7で加熱された湯を出湯する出湯管、9は給湯バーナ3へのガスの供給を行うガス管で、給水管6には、給湯水量センサー10が、出湯管8には、給湯熱交換器サーミスタ11がそれぞれ設けられ、ガス管9には、上流側から元ガス電磁弁12、ガス比例弁13がそれぞれ設けられている。ガス管9から各給湯バーナ3へ分岐した各分岐管には給湯ガス電磁弁14,14・・がそれぞれ設けられている。
【0022】
給湯熱交換器7は、顕熱回収型熱交換器である給湯一次熱交換器7Aと、潜熱回収型熱交換器である給湯二次熱交換器7Bと、を備えて構成されている。給水管6からの水は、給湯二次熱交換器7B、給湯一次熱交換器7Aの順に通過して給湯バーナ3の燃焼排気と熱交換して加熱された後、出湯管8から出湯される。
【0023】
一方、風呂・暖房回路4において、ガス管9から暖房熱交換器26の各暖房バーナ5へ分岐した分岐管には暖房ガス電磁弁29,29がそれぞれ設けられている。暖房熱交換器26は、顕熱回収型熱交換器である暖房一次熱交換器26Aと、潜熱回収型熱交換器である暖房二次熱交換器26Bと、を備えて構成されている。
【0024】
暖房熱交換器26は、暖房膨張タンク33と、床暖房用の低温放熱器34および浴室暖房乾燥機やファンコンベクターなどに用いられる高温放熱器35とともに暖房水の循環路を形成しており、循環路には、暖房ポンプ36が設けられている。この循環路の一部の配管は、往き配管37と戻り配管38とによって浴槽39と接続された風呂熱交換器40を通過しており、暖房熱交換器26で加熱されて循環路を循環する暖房水により、風呂熱交換器40を通過する風呂水を加熱可能となっている。風呂水は、風呂ポンプ42の運転によって浴槽39から戻り配管38を介して風呂熱交換器40を通過し、風呂熱交換器40で暖房水と熱交換して加熱された後、往き配管37から浴槽39に戻る。
【0025】
41は風呂熱交換器40へ暖房水を送る追い焚き流量制御弁、42は浴槽39と風呂熱交換器40との間で風呂水を循環させる風呂ポンプ、43は暖房熱交換器26の出湯温度を検出する暖房高温サーミスタ、44は暖房膨張タンク33での暖房水の温度を検出する暖房低温サーミスタである。
【0026】
各給湯バーナ3と各暖房バーナ5は共用の燃焼室15に収容されている。燃焼室15の下方には、共用の燃焼ファン16が設けられて、燃焼用空気を各バーナ3,5へ供給可能となっている。この燃焼室15の上方には、各バーナ3,5の燃焼により生じた燃焼ガスを排気する共用の排気口18が設けられている。
【0027】
出湯管8には、浴槽39への戻り配管38に接続される落とし込み管19が分岐接続され、落とし込み管19に設けた落とし込み水電磁弁20を開弁させることで、給湯熱交換器7で加熱された湯を浴槽39へ供給可能となっている。
【0028】
21はコントローラ、22は台所リモコン、23は浴室リモコンで、出湯管8につながる蛇口の開栓による器具内の通水を給湯水量センサー10で検知すると、コントローラ21は、まず燃焼ファン16を所定時間回転させて、燃焼室15内に貯留している燃焼ガスを排出させる(プリパージ)。その後、ガス管9の元ガス電磁弁12、各給湯ガス電磁弁14を開弁させ、ガス比例弁13を所定開度で開弁させて、各給湯バーナ3へガスを供給するとともに、給湯点火プラグ25を連続放電させ、給湯バーナ3,3・・に点火する。
【0029】
次に、コントローラ21は、出湯管8に設けられた給湯熱交換器サーミスタ11によって出湯温度を監視し、出湯温度が台所リモコン22または浴室リモコン23によって指示された設定温度となるように、給湯ガス電磁弁14の開閉制御と、ガス比例弁13の開度調整と、を行うとともに、燃焼ファン16の回転数制御によって空気量を連続的に変化させる。
【0030】
暖房動作は以下のように行われる。まずコントローラ21が床暖房スイッチのON信号を得ると、暖房ポンプ36を回転させる。ここで、暖房高温サーミスタ43または暖房低温サーミスタ44から得られる暖房水の温度が規定値以下であると、コントローラ21は、燃焼ファン16をプリパージ回転させた後、ガス管9の元ガス電磁弁12、暖房ガス電磁弁29を開弁させ、ガス比例弁13を所定開度で開弁させて、暖房バーナ5へガスを供給するとともに、暖房点火プラグ27を連続放電させて暖房バーナ5に点火する。暖房ポンプ36によって加圧された暖房水は、低温放熱器34側と暖房熱交換器26側へ分岐し、循環路を循環することで暖房運転が行われる。コントローラ21は、暖房高温サーミスタ43または暖房低温サーミスタ44からの温度を監視し、ガス比例弁13の開度調整によって設定温度を維持する。
【0031】
また、風呂動作は以下のように行われる。台所リモコン22または浴室リモコン23の自動スイッチを押すと、落とし込み管19の落とし込み水電磁弁20が開弁して器具内を通水させるため、給湯バーナ3が燃焼して、給湯熱交換器7で加熱された湯が落とし込み管19および戻り配管38を介して浴槽39へ給湯される。落とし込み管19に設けた風呂水量センサー45で検出した湯量累計が設定湯量に達すると、落とし込み水電磁弁20が閉じ、給湯が停止される。
【0032】
一方、戻り配管38には、風呂の湯温を検出する風呂戻りサーミスタ46が設けられており、ここで検出した風呂戻り温度が設定温度以下となると、追い焚き流量制御弁41が開弁して暖房ポンプ36が回転し、暖房バーナ5が点火されるとともに、風呂ポンプ42も回転する。よって、風呂熱交換器40と浴槽39との間を循環する風呂水は、暖房熱交換器26で加熱された暖房水と風呂熱交換器40において熱交換され、設定温度まで加熱される。設定温度に達すると、暖房バーナ5の燃焼を停止させ、暖房ポンプ36と風呂ポンプ42を停止させて追い焚き流量制御弁41を閉弁させる。
【0033】
そして、この給湯暖房機1において、コントローラ21は、給湯バーナ3と暖房バーナ5とのいずれか一方でも燃焼動作した場合、上述のように燃焼ファン16を回転させ、燃焼停止後には、燃焼室15内の燃焼ガスを排出させるポストパージを行うようになっている。
【0034】
(筐体50の詳細構造)
筐体50は、前面が開口した箱本体50Aと、箱本体50Aの前面に形成された前面開口50Bを閉塞するフロントカバー60と、を備えている。箱本体50Aは、図4に示すように、底板51と、底板51の上方に対向して配される天井板54と、底板51と天井板54との間で左右方向に対向して配される左側板52および右側板53と、左側板52と右側板53との間で前面開口50Bとは反対側に配される背板55と、左側板52の上縁と天井板54の左側縁との間に配される左上角部56と、右側板53の上縁と天井板54の右側縁との間に配される右上角部57と、を備えている。
【0035】
底板51は、底板51の前縁から箱本体50Aの外側(下側)に折り曲げられた下側フランジ部51Aを有している。天井板54は、天井板54の前縁から箱本体50Aの外側(上側)に折り曲げられた上側フランジ部54Aを有している。左側板52は、左側板52の前縁から箱本体50Aの内側(右側)に折り曲げられた左側フランジ部52Aを有している。右側板53は、右側板53の前縁から箱本体50Aの内側(左側)に折り曲げられた右側フランジ部53Aを有している。左上角部56は、左上角部56の前縁から箱本体50Aの内側(右下側)に折り曲げられた左上フランジ部56Aを有している。右上角部57は、右上角部57の前縁から箱本体50Aの内側(左下側)に折り曲げられた右上フランジ部57Aを有している。
【0036】
以下においては、下側フランジ部51A、上側フランジ部54A、左側フランジ部52A、右側フランジ部53A、左上フランジ部56A、および右上フランジ部57Aをまとめて各フランジ部51A~57Aという場合がある。各フランジ部51A~57Aのうちフロントカバー60と当接する面は、それぞれ同一平面上に配されている。
【0037】
各フランジ部51A~57Aのうち、左側フランジ部52A、右側フランジ部53A、左上フランジ部56A、および右上フランジ部57Aにおいて、箱本体50Aの前縁に連結された端縁を基端52A1,53A1,56A1,57A1とし、基端52A1,53A1,56A1,57A1よりも箱本体50Aの内側に位置する端縁を先端52A2,53A2,56A2,57A2とし、基端52A1,53A1,56A1,57A1から先端52A2,53A2,56A2,57A2まで突出する長さを突出寸法とする。
【0038】
図5に示すように、右上フランジ部57Aの基端57A1と先端57A2は、いずれも円弧状に形成されている。右上フランジ部57Aの突出寸法は、右側フランジ部53Aの突出寸法よりも小さく、右側フランジ部53Aの突出寸法の半分程度とされている。右上フランジ部57Aと右側フランジ部53Aは、一体に連なって形成されている。図6に示すように、左上フランジ部56Aの基端56A1と先端56A2は、いずれも円弧状に形成されている。左上フランジ部56Aの突出寸法は、左側フランジ部52Aの突出寸法よりも小さく、左側フランジ部52Aの突出寸法の半分程度とされている。左上フランジ部56Aと左側フランジ部52Aは、一体に連なって形成されている。
【0039】
図7に示すように、底板51と左側板52は第2ビス59によって固定され、底板51と背板55は第2ビス59によって固定され、左側板52と背板55は第1ビス58によって固定されている。図示しないものの、底板51と右側板53は第2ビス59によって固定され、右側板53と背板55は第1ビス58によって固定されている。
【0040】
筐体50のパッキン70は、図10に示すように、左側フランジ部52Aに接触する左側パッキン72と、左上フランジ部56Aに接触する左上パッキン76と、上側フランジ部54Aに接触する上側パッキン74と、右上フランジ部57Aに接触する右上パッキン77と、右側フランジ部53Aに接触する右側パッキン73と、を有している。左上パッキン76と上側パッキン74と右上パッキン77とは、一体に連なって形成されている。これにより、パッキン70は3分割されている。パッキン70は、正面視で下方に開口する門形とされている。
【0041】
図3に示すように、左側板52の後端には、左側フランジ部52Aの後側に位置する後側取付部52Bが形成されている。図11は、第1ビス58による締結構造を示す断面図である。左側板52の後側取付部52Bには第1バーリング孔52Cが形成され、背板55には第1挿通孔55Cが形成されている。左側板52の後側取付部52Bの後面に背板55を重ね合わせて、第1挿通孔55Cに対して後方から第1ビス58を挿通し、第1ビス58を第1バーリング孔52Cにねじ込むことで左側板52と背板55が互いに固定される。
【0042】
図3に示すように、左側板52の下端には、左上角部56の下側に位置する下側取付部52Dが形成されている。底板51の左端には、下側取付部52Dに対向する左側取付部51Dが形成されている。図12は、第2ビス59による締結構造を示す断面図である。底板51の左側取付部51Dには第2バーリング孔51Eが形成され、左側板52の下側取付部52Dには第2挿通孔52Eが形成されている。左側板52の下側取付部52Dの上面に底板51の左側取付部51Dを重ね合わせて、第2挿通孔52Eに対して下方から第2ビス59を挿通し、第2バーリング孔51Eにねじ込むことで底板51と左側板52が互いに固定される。
【0043】
図8および図9に示すように、フロントカバー60の上端には、上側取付部62が形成されており、フロントカバー60の下端には、下側取付部63が形成されている。上側取付部62には左右一対の上側挿通孔62Aが形成され、下側取付部63には左右一対の下側挿通孔63Aが形成されている。図13は、取付ボルト64による締結構造を示す断面図である。図13では、フロントカバー60の上側取付部62と天井板54の上側フランジ部54Aとの締結構造を例示しているが、下側取付部63と下側フランジ部51Aとの締結構造も同様であるため、その説明を省略する。
【0044】
天井板54の上側フランジ部54Aには、筒状のスリーブ65が固着されている。天井板54の上側フランジ部54Aとフロントカバー60の上側取付部62との間には、パッキン70が挟持されている。パッキン70の上側パッキン74には、左右一対のボルト挿通孔71が形成されている。左側板52と右側板53には、それぞれ上下方向にのびる2本の溝部66が形成されている。溝部66の内壁(孔縁によって囲まれた部分)は、箱本体50Aの内側に突出している。
【0045】
上側フランジ部54Aの前面と上側取付部62の後面との間にパッキン70の上側パッキン74を配置して、上側挿通孔62Aとボルト挿通孔71に対して前方から取付ボルト64を挿通し、取付ボルト64をスリーブ65の内部にねじ込むことでフロントカバー60と外カバー61とが互いに固定されるとともに、これらの間に挟持されたパッキン70によって筐体50の内部がシールされる。
【0046】
(本実施形態の作用効果)
(1)本開示の給湯暖房器1は、燃焼装置17が収納される筐体50を備えた給湯暖房器1であって、筐体50は、前面が開口した箱本体50Aと、箱本体50Aの前面に形成される前面開口50Bを閉塞するフロントカバー60と、を備え、箱本体50Aは、底板51と、底板51の上方に対向して配される天井板54と、底板51と天井板54との間で左右方向に対向して配される左側板52および右側板53と、左側板52と右側板53との間で前面開口50Bとは反対側に配される背板55と、左側板52の上縁と天井板54の左側縁との間に配される左上角部56と、右側板53の上縁と天井板54の右側縁との間に配される右上角部57と、を備え、底板51は、底板51の前縁から箱本体50Aの外側に折り曲げられた下側フランジ部51Aを有し、天井板54は、天井板54の前縁から箱本体50Aの外側に折り曲げられた上側フランジ部54Aを有し、左側板52は、左側板52の前縁から箱本体50Aの内側に折り曲げられた左側フランジ部52Aを有し、右側板53は、右側板53の前縁から箱本体50Aの内側に折り曲げられた右側フランジ部53Aを有し、左上角部56は、左上角部56の前縁から箱本体50Aの内側に折り曲げられた左上フランジ部56Aを有し、右上角部57は、右上角部57の前縁から箱本体50Aの内側に折り曲げられた右上フランジ部57Aを有し、各フランジ部51A~57Aのうちフロントカバー60と当接する面は、それぞれ同一平面上に配される、給湯暖房器1である。
【0047】
左側フランジ部52Aと右側フランジ部53Aと左上フランジ部56Aと右上フランジ部57Aとが箱本体50Aの内側に折り曲げられることで、箱本体50Aの水平方向の幅を制限いっぱいまで拡大することができ、筐体50内の容積を拡大することができる。したがって、多機能化に対応すべく様々な機能部品を配置することができる。
【0048】
また、フランジ部52A,53A,56A,57Aが箱本体50Aの内側に折り曲げられることで、組立時や修理時にフランジ部52A,53A,56A,57Aの端面での受傷を防ぐことができる。さらに、上側フランジ部54Aと下側フランジ部51Aとが箱本体50Aの外側に折り曲げられることで、修理時に燃焼装置17等を取り外す際、邪魔になることがない。なお、図1に示すように、一般に給湯暖房機1の上下方向の最大寸法は上側が取り付けブラケット47、下側が接手類48になるので、上側フランジ部54Aと下側フランジ部51Aを内側に曲げなくても筐体50内の容積を十分に確保できているため、これらのフランジ部54A,51Aを内側に曲げる必要性は少ないと言える。
【0049】
(2)各フランジ部52A,53A,56A,57Aにおいて、箱本体50Aの前縁に連結された端縁を基端52A1,53A1,56A1,57A1とし、基端52A1,53A1,56A1,57A1よりも箱本体50Aの内側に位置する端縁を先端52A2,53A2,56A2,57A2とし、基端52A1,53A1,56A1,57A1から先端52A2,53A2,56A2,57A2まで突出する長さを突出寸法とした場合に、左上フランジ部56Aの基端56A1と先端56A2は、いずれも円弧状に形成されており、右上フランジ部57Aの基端57A1と先端57A2は、いずれも円弧状に形成されており、左上フランジ部56Aと右上フランジ部57Aの突出寸法は、左上フランジ部56Aと右上フランジ部57Aを除く他のフランジ部52A,53Aの突出寸法よりも小さくなっていることが好ましい。
【0050】
筐体50の製造時に、左上フランジ部56Aと右上フランジ部57Aに生じるシワの発生を抑制できる。
【0051】
(3)フロントカバー60と各フランジ部51A~57Aの間に挟持されるパッキン70をさらに備え、パッキン70は、左上フランジ部56Aに接触する左上パッキン76と、右上フランジ部57Aに接触する右上パッキン77と、上側フランジ部54Aに接触する上側パッキン74と、を有し、左上パッキン76と右上パッキン77と上側パッキン74とは、一体に形成されていることが好ましい。
【0052】
折り曲げ方向の異なる各フランジ部51A~57Aに対して、一体となったパッキン70を接触させることにより、雨水の浸入を効果的に防ぐことができる。また、左上パッキン76と右上パッキン77と上側パッキン74とを一体のパッキン70として構成できるため、パッキン70の数を少なくすることでコスト削減に寄与し得る。
【0053】
(4)左側板52と左上角部56と天井板54と右上角部57と右側板53とは、これらが一体に形成された外カバー61として構成されており、左側板52と右側板53には、それぞれ上下方向にのびる2本の溝部66が形成され、溝部66の内壁は、箱本体50Aの内側に突出していることが好ましい。
【0054】
各側板52,53と各角部56,57を一体の外カバー61として構成できるため、美的外観を保ち、強度を向上できる。また、溝部66によって各側板52,53の強度を向上させるとともに、溝部66の内壁を箱本体50Aの内側に突出させることで箱本体50Aの容積を大きく保つことができる。さらに、例えば給湯暖房器1を屋外に設置した場合、筐体50に付着した雨水を流しやすくなり、長期間の使用でも汚れにくく外カバー61が腐食しにくくなる。
【0055】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0056】
・上記実施形態では、左上フランジ部56Aの突出寸法が左側フランジ部52Aの突出寸法よりも小さくなっているが、これらの突出寸法は同じでもよい。同様に、右上フランジ部57Aの突出寸法が右側フランジ部53Aの突出寸法よりも小さくなっているが、これらの突出寸法は同じでもよい。
【0057】
・上記実施形態では、左上パッキン77と右上パッキン76と上側パッキン74とが一体に形成されているが、これらが別体に形成されているものでもよい。
【0058】
・上記実施形態では、左側板52と右側板53にそれぞれ溝部66が形成されているが、左側板52と右側板53には必ずしも溝部66を形成しなくてもよい。
【0059】
・上記実施形態では、給湯器を給湯暖房機に適用した場合を例示したが、給湯暖房機以外に風呂付給湯器、単機能給湯器、温水暖房専用機などに適用してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1:給湯暖房機(給湯器) 2:給湯回路 3:給湯バーナ 4:風呂・暖房回路 5:暖房バーナ 6:給水管 7:給湯熱交換器 7A:給湯一次熱交換器 7B:給湯二次熱交換器 8:出湯管 9:ガス管 10:給湯水量センサー 11:給湯熱交換器サーミスタ 12:元ガス電磁弁 13:ガス比例弁 14:給湯ガス電磁弁 15:燃焼室 16:燃焼ファン 17:燃焼装置 18:排気口 19:落とし込み管20:落とし込み水電磁弁 21:コントローラ 22:台所リモコン23:浴室リモコン 25:給湯点火プラグ 26:暖房熱交換器 26A:暖房一次熱交換器 26B:暖房二次熱交換器 29:暖房ガス電磁弁 33:暖房膨張タンク 34:低温放熱器 35:高温放熱器 36:暖房ポンプ 37:往き配管 38:戻り配管 39:浴槽 40:風呂熱交換器 41:追い焚き流量制御弁 42:風呂ポンプ 43:暖房高温サーミスタ 44:暖房低温サーミスタ 45:風呂水量センサー 46:風呂戻りサーミスタ 47:取り付けブラケット 48:接手類
50:筐体 50A:箱本体 50B:前面開口 51:底板 51A:下側フランジ部 51D:左側取付部 51E:第2バーリング孔 52:左側板 52A:左側フランジ部 52B:後側取付部 52C:第1バーリング孔 52D:下側取付部 52E:第2挿通孔 53:右側板 53A:右側フランジ部 54:天井板 54A:上側フランジ部 55:背板 55C:第1挿通孔 56:左上角部 56A:左上フランジ部 56A1:基端 56A2:先端 57:右上角部 57A:右上フランジ部 57A1:基端 57A2:先端 58:第1ビス 59:第2ビス
60:フロントカバー 61:外カバー 62:上側取付部 62A:上側挿通孔 63:下側取付部 63A:下側挿通孔 64:取付ボルト 65:スリーブ 66:溝部
70:パッキン 71:ボルト挿通孔 72:左側パッキン 73:右側パッキン 74:上側パッキン 76:左上パッキン 77:左上パッキン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13