(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017900
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】バッテリー測温装置
(51)【国際特許分類】
G01K 1/16 20060101AFI20240201BHJP
G01K 7/22 20060101ALI20240201BHJP
G01K 1/14 20210101ALI20240201BHJP
H01M 10/6554 20140101ALI20240201BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240201BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240201BHJP
【FI】
G01K1/16
G01K7/22
G01K1/14 L
H01M10/6554
H01M10/48 301
H01M10/613
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120846
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000230249
【氏名又は名称】日本メクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 真浩
(72)【発明者】
【氏名】冨田 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】金山 知樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 周三
【テーマコード(参考)】
2F056
5H030
5H031
【Fターム(参考)】
2F056CL07
2F056DA02
5H030AS06
5H030FF22
5H031AA09
5H031HH06
(57)【要約】
【課題】バッテリーの温度の測定精度が低下することを抑制できるバッテリー測温装置を提供する。
【解決手段】バッテリーの温度を測定するバッテリー測温装置であって、フレキシブルプリント基板にチップサーミスタを実装した温度センサと、温度センサとバッテリーとの間に設けられる集熱板と、チップサーミスタを囲む位置でフレキシブルプリント基板を付勢し、温度センサを集熱板に当接させる弾性部材と、集熱板のバッテリーに接する側の表面に設けられる凸部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーの温度を測定するバッテリー測温装置であって、
フレキシブルプリント基板にチップサーミスタを実装した温度センサと、
前記温度センサと前記バッテリーとの間に設けられる集熱板と、
前記チップサーミスタを囲む位置で前記フレキシブルプリント基板を付勢し、前記温度センサを前記集熱板に当接させる弾性部材と、
前記集熱板の前記バッテリーに接する側の表面に設けられる凸部と、を備える、
バッテリー測温装置。
【請求項2】
前記凸部は、前記集熱板の前記バッテリーに接する側の表面に、3箇所以下で設けられる、
請求項1に記載のバッテリー測温装置。
【請求項3】
前記凸部は、球冠を前記バッテリーに向けた球欠状である、
請求項2に記載のバッテリー測温装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッテリーの温度を測定するためのバッテリー測温装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、サーミスタ素子実装部を付勢部材でバッテリーに押し付けることによって、バッテリーの温度を測定する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1が開示する構造では、バッテリーと接する集熱板(熱収集板)の反り、集熱板やバッテリーの表面状態、及び集熱板とバッテリーとの間に挟まれた異物によって、集熱板がバッテリーに接触する面積が安定せず、バッテリーの温度の測定精度が低下するという課題がある。
【0005】
本開示は、上記課題を鑑みてなされたものであり、バッテリーの温度の測定精度が低下することを抑制できるバッテリー測温装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示技術の一態様は、バッテリーの温度を測定するバッテリー測温装置であって、フレキシブルプリント基板にチップサーミスタを実装した温度センサと、温度センサとバッテリーとの間に設けられる集熱板と、チップサーミスタを囲む位置でフレキシブルプリント基板を付勢し、温度センサを集熱板に当接させる弾性部材と、集熱板のバッテリーに接する側の表面に設けられる凸部と、を備える、バッテリー測温装置である。
【発明の効果】
【0007】
本開示のバッテリー測温装置によれば、集熱板がバッテリーに接触する面積が安定するため、バッテリーの温度の測定精度が低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係るバッテリー測温装置の構造を説明する概略図
【
図2】本実施形態に係るバッテリー測温装置の構造の変形例を説明する概略図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示に係るバッテリー測温装置は、温度センサとバッテリーとの間に設けられる集熱板のバッテリーと対向する表面に、球欠状の凸部を設ける。この凸部によって集熱板がバッテリーに接触する面積が安定するため、バッテリーの温度の測定精度が低下することを抑制できる。
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
<実施形態>
[構造]
図1は、本開示の一実施形態に係るバッテリー測温装置200を用いたバッテリー測温構造を説明する概略図である。
図1に例示するバッテリー測温構造は、バッテリー100、バッテリー測温装置200、及び押し付け板300を含んでいる。
【0011】
バッテリー測温装置200は、温度センサ210と、集熱板220と、弾性部材230と、を備える。このバッテリー測温装置200は、押し付け板300によって外部(
図1の矢印方向)から圧力が加えられて、所定の荷重(N)でバッテリー100に押し付けられている。
【0012】
温度センサ210は、バッテリー100の温度を測定するための構成である。この温度センサ210は、フレキシブルプリント基板(FPC)212に、バッテリー100の温度を測定するセンサとしてチップサーミスタ211が実装されている構成である。
【0013】
集熱板220は、熱伝導性の高い部材で形成された、例えば板状の構成である。この集熱板220は、温度センサ210とバッテリー100との間に挿入されるように設けられ、バッテリー100が発生させる熱を集めて温度センサ210(チップサーミスタ211)に伝達する役割を担う。また、集熱板220のバッテリー100に接する側の表面には、球冠をバッテリー100に向けた球欠状の凸部220aが、3箇所に設けられている。凸部220aを球欠状にすることにより、バッテリー100に対して集熱板220が傾いても、集熱板220がバッテリー100に接触する面積、つまり凸部220aがバッテリー100に接触する面積を、一定に保ちやすくなる。この凸部220aを設ける位置は、チップサーミスタ211の実装位置に近づくほど、熱伝達の応答性がよくなる。
【0014】
集熱板220のバッテリー100に接する側の表面に設ける凸部220aの数は、
図1に示した3つに限られるものではない。例えば、集熱板220に設ける凸部220aを、
図2に示す変形例のように1つだけ(例えば、チップサーミスタ211の直下)にしてもよいし、2つにしてもよい。なお、凸部220aを集熱板220のバッテリー100に接する側の表面に4箇所以上設けることも可能ではあるが、バッテリー100に対して集熱板220が傾いた場合に接触しない凸部220aが生じて、接触面積が安定しない(ばらつく)おそれがあるため、3箇所以下にすることが望ましい。
【0015】
弾性部材230は、高い弾性力を有する部材である。この弾性部材230は、チップサーミスタ211の一部又は全部を囲む位置(すなわち、チップサーミスタ211が実装されていない基板だけの位置)において、フレキシブルプリント基板212に接するように設けられる。弾性部材230としては、発泡ゴムや発泡樹脂などを例示できる。また、この弾性部材230を、高い断熱性能と高い弾性力とを兼ね備えた断熱性弾性部材とすることができる。断熱性部材は熱伝達しないため、バッテリー100から集熱板220を介して伝達した熱が温度センサ210以外の他の部分へ伝達することを抑えられる。これにより、バッテリー100の安全性を担保しつつ、バッテリー100の温度を高精度かつ高応答で測定することが可能となる。
【0016】
押し付け板300は、バッテリー100に接する集熱板220とは反対側となる弾性部材230の端部で、バッテリー測温装置200と接する構成である。押し付け板300には、所定の剛性を有する板状の部材を用いることができる。この押し付け板300は、外部から与えられる圧力で温度センサ210を集熱板220に当接させるために、弾性部材230を介してフレキシブルプリント基板212を付勢する。
【0017】
バッテリー100は、安全性を担保するために温度管理が必要なバッテリー(又はバッテリーセル)である。このバッテリー100としては、充放電可能に構成されたリチウムイオン電池などの二次電池を例示できる。
【0018】
<作用・効果>
以上のように、本開示の一実施形態に係るバッテリー測温装置200を用いたバッテリー測温構造によれば、フレキシブルプリント基板212にチップサーミスタ211を実装した温度センサ210を、チップサーミスタ211の周囲外となるフレキシブルプリント基板212の表面を弾性部材230によって付勢する。この弾性部材230による温度センサ210の押し付け構造により、温度センサ210が集熱板220に当接し、さらに集熱板220がバッテリー100に当接する。
【0019】
凸部220aを、集熱板220のバッテリー100に接する側の表面に設けることで、弾性部材230の弾性ばらつきや、押し付け板300による押し付け圧のばらつきなどによって、温度センサ210を当接させた集熱板220が、バッテリー100に片当たりしてしまうことを防ぐことができる。さらに、凸部220aを球欠状にすることで集熱板220がバッテリー100に接触する面積が安定するため、バッテリー100の温度の測定精度が低下することを抑制できる。
【0020】
弾性部材230を断熱性弾性部材とすることで、バッテリー100から集熱板220を介して伝達した熱が温度センサ210以外の他の部分へ伝達することを抑えられる。これにより、バッテリー100の安全性を担保しつつ、バッテリー100の温度を高精度かつ高応答で測定することが可能となる。また、本実施形態に係るバッテリー測温装置200を低コストで実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本開示のバッテリー測温装置は、防水構造のバッテリー(電池パック)の温度を測定する場合などに利用可能である。
【符号の説明】
【0022】
100 バッテリー
200 バッテリー測温装置
210 温度センサ
211 チップサーミスタ
212 フレキシブルプリント基板
220 集熱板
220a 凸部
230 弾性部材
300 押し付け板