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特開2024-179003環境制御システム、制御装置および制御方法
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  • 特開-環境制御システム、制御装置および制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179003
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】環境制御システム、制御装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 21/02 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A61M21/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097475
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100206405
【弁理士】
【氏名又は名称】岸 真太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100173598
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 桜子
(72)【発明者】
【氏名】竹下 剛司
(72)【発明者】
【氏名】三木 早苗
(72)【発明者】
【氏名】山田 望
(57)【要約】
【課題】対象者が入眠するタイミングに合わせて、対象者が存在する空間を入眠に適した環境とする。
【解決手段】環境制御システムは、入眠に適した空間を提供するシステムであって、対象者の入床と睡眠との間に発生する入眠準備動作を認識して入眠に対応した環境を提供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入眠に適した空間を提供するシステムであって、
対象者の入床と睡眠との間に発生する入眠準備動作を認識して入眠に対応した環境を提供する環境制御システム。
【請求項2】
対象者が入床した後に、対象者が予め定められた動作を行った場合に、当該動作を前記入眠準備動作として認識する請求項1に記載の環境制御システム。
【請求項3】
対象者が入床した後に、前記空間における環境に予め定められた変化があった場合に、当該変化を前記入眠準備動作として認識する請求項1に記載の環境制御システム。
【請求項4】
前記空間における予め定められた特定の箇所における環境に前記変化があった場合に、当該変化を入眠準備動作として認識する請求項3に記載の環境制御システム。
【請求項5】
対象者の前記入眠準備動作の履歴に基づいて、前記空間を入眠に対応した環境に制御する請求項1に記載の環境制御システム。
【請求項6】
前記入眠準備動作を認識した場合に、前記環境として、前記空間における芳香物質の濃度、温度、湿度、気流、換気量、明るさから選択される少なくとも1つを、入眠に適するように変化させる請求項1に記載の環境制御システム。
【請求項7】
前記入眠準備動作が行われる時刻に対し、前記芳香物質を前記空間に放出するタイミングを制御することで、当該空間における当該芳香物質の濃度を変化させる請求項6に記載の環境制御システム。
【請求項8】
対象者の前記入眠準備動作を認識した後、対象者が入眠するまでに要する平均時間に基づいて、前記芳香物質を前記空間に放出するタイミングを制御する請求項7に記載の環境制御システム。
【請求項9】
前記空間の体積に関する情報、当該空間における換気に関する情報、前記芳香物質の種類、および当該芳香物質に対する対象者の嗅覚順応パターンのいずれかに基づいて、当該芳香物質を当該空間に放出するタイミング、または当該芳香物質の放出量を制御する請求項8に記載の環境制御システム。
【請求項10】
空間の環境を調整する調整装置の制御装置であって、
対象者の入床と睡眠の間に発生する入眠準備動作を認識した場合に、前記空間が入眠に対応した環境となるように、前記調整装置による当該環境の調整を制御する制御装置。
【請求項11】
対象者の入床と睡眠の間に発生する入眠準備動作を認識した場合に、対象者が当該入眠準備動作を行った空間の環境を、入眠に対応した環境に制御する制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、環境制御システム、制御装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、香料の噴霧出力を制御する制御手段を備える香料噴霧システムが開示されている。この香料噴霧システムでは、制御手段が、ユーザが睡眠状態であるべきとして設定された第1の時間帯における最大噴霧出力を、ユーザが睡眠状態ではないとして設定された第2の時間帯における最大噴霧出力よりも小さくする制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-31711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
対象者を睡眠状態へ効果的に導入するためには、対象者が入眠するタイミングに合わせて、対象者がいる空間を入眠に適した環境とすることが好ましい。
本開示は、対象者が入眠するタイミングに合わせて、対象者が存在する空間を入眠に適した環境とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の観点の環境制御システムは、入眠に適した空間を提供するシステムであって、対象者の入床と睡眠との間に発生する入眠準備動作を認識して入眠に対応した環境を提供する。この場合、対象者が入眠するタイミングに合わせて、対象者が存在する空間を入眠に適した環境とすることができる。
ここで、第2の観点の環境制御システムは、第1の観点の環境制御システムであって、対象者が入床した後に、対象者が予め定められた動作を行った場合に、当該動作を前記入眠準備動作として認識する。この場合、入床した後に対象者が予め定められた動作を行った場合に、対象者が存在する空間を入眠に適した環境とすることができる。
また、第3の観点の環境制御システムは、第1の観点の環境制御システムであって、対象者が入床した後に、前記空間における環境に予め定められた変化があった場合に、当該変化を前記入眠準備動作として認識する。この場合、入床した後の対象者の動作に伴って環境が変化した場合に、対象者が存在する空間を入眠に適した環境とすることができる。
また、第4の観点の環境制御システムは、第3の観点の環境制御システムであって、前記空間における予め定められた特定の箇所における環境に前記変化があった場合に、当該変化を入眠準備動作として認識する。この場合、対象者が存在する空間全体における環境に変化を入眠準備動作として認識する場合と比較して、入眠しようとする対象者の動作に応じた環境の変化を認識しやすくなる。
また、第5の観点の環境制御システムは、第1の観点の環境制御システムであって、対象者の前記入眠準備動作の履歴に基づいて、前記空間を入眠に対応した環境に制御する。この場合、対象者の動作や環境の変化を認識しない場合であっても、対象者が入眠するタイミングに合わせて、対象者が存在する空間を入眠に適した環境とすることができる。
また、第6の観点の環境制御システムは、第1の観点の環境制御システムであって、前記入眠準備動作を認識した場合に、前記環境として、前記空間における芳香物質の濃度、温度、湿度、気流、換気量、明るさから選択される少なくとも1つを、入眠に適するように変化させる。この場合、芳香物質の濃度、温度、湿度、気流、換気量、明るさ以外の環境を変化させる場合と比べて、対象者の入眠をより促しやすくなる。
また、第7の観点の環境制御システムは、第6の観点の環境制御システムであって、前記入眠準備動作が行われる時刻に対し、前記芳香物質を前記空間に放出するタイミングを制御することで、当該空間における当該芳香物質の濃度を変化させる。この場合、入眠準備動作が行われる時刻に対し、芳香物質を空間に放出するタイミングを制御しない場合と比べて、対象者が入眠するタイミングに合わせて芳香物質の濃度を入眠に適した濃度にしやすくなる。
また、第8の観点の環境制御システムは、第7の観点の環境制御システムであって、対象者の前記入眠準備動作を認識した後、対象者が入眠するまでに要する平均時間に基づいて、前記芳香物質を前記空間に放出するタイミングを制御する。この場合、対象者が入眠するまでに要する平均時間に基づいて芳香物質を放出するタイミングを制御しない場合と比べて、対象者が入眠するタイミングに合わせて芳香物質の濃度を入眠に適した濃度にしやすくなる。
また、第9の観点の環境制御システムは、第8の観点の環境制御システムであって、前記空間の体積に関する情報、当該空間における換気に関する情報、前記芳香物質の種類、および当該芳香物質に対する対象者の嗅覚順応パターンのいずれかに基づいて、当該芳香物質を当該空間に放出するタイミング、または当該芳香物質の放出量を制御する。この場合、空間の体積に関する情報、空間における換気に関する情報、芳香物質の種類、および芳香物質に対する対象者の嗅覚順応パターンによらずに芳香物質を空間に放出するタイミング、または芳香物質の放出量を制御する場合と比べて、対象者が入眠するタイミングに合わせて芳香物質の濃度を入眠に適した濃度にしやすくなる。
【0006】
また、他の観点から捉えると、本開示の第10の観点の制御装置は、空間の環境を調整する調整装置の制御装置であって、対象者の入床と睡眠の間に発生する入眠準備動作を認識した場合に、前記空間が入眠に対応した環境となるように、前記調整装置による当該環境の調整を制御する。この場合、対象者が入眠するタイミングに合わせて、対象者が存在する空間を入眠に適した環境とすることができる。
【0007】
また、他の観点から捉えると、本開示の第11の観点の制御方法は、対象者の入床と睡眠の間に発生する入眠準備動作を認識した場合に、対象者が当該入眠準備動作を行った空間の環境を、入眠に対応した環境に制御する。この場合、対象者が入眠するタイミングに合わせて、対象者が存在する空間を入眠に適した環境とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態が適用される環境制御システムの構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態が適用される制御装置により実現される機能の一例を示すブロック図である。
図3】環境制御システムの制御装置による処理の一例を示したフローチャートである。
図4】対象空間における芳香物質の濃度の時間変化の一例を、放出部の動作とともに示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態が適用される環境制御システム1の構成の一例を示す図である。環境制御システム1は、空間内にいる人を睡眠状態へ促すために、空間の環境を入眠に適した環境に制御するシステムである。ここで、入眠とは、人が覚醒状態から睡眠状態へ移行する際の、睡眠状態の直前の状態を意味する。
環境制御システム1により環境を制御する空間としては、壁や床等で囲われ、人が睡眠をとることができる体積を有する空間であれば特に限定されない。このような空間としては、人が睡眠をとるベッドマットや布団等の寝具が置かれた室内等を例示することができる。なお、以下では、環境制御システム1により環境を制御する対象となる空間を、対象空間と表記する場合がある。また、以下では、環境制御システム1により環境が制御される対象空間に存在する人を対象者と表記する場合がある。
【0010】
本実施形態の環境制御システム1は、対象空間の環境を調整する環境調整装置10と、環境調整装置10の動作を制御する制御装置20とを備えている。また、環境制御システム1は、対象空間における対象者の存在を検知する人感センサ30を備えている。さらに、環境制御システム1は、対象空間の明るさ(輝度)を検知する輝度センサ40を備えている。さらにまた、環境制御システム1は、対象者が使用する端末装置50を備えている。
環境調整装置10は、対象空間にいる対象者の入眠のしやすさに影響し得る環境を調整する。本実施形態の環境制御システム1では、環境調整装置10として、対象空間における芳香物質の濃度を調整する芳香装置10A、対象空間の温度、湿度、気流、換気量等を調整する空気調和装置10B、対象空間の明るさを調整する照明装置10Cが設けられている。
【0011】
環境制御システム1は、環境調整装置10を用いて、対象空間にいる対象者の入眠のしやすさに影響し得る環境として、対象空間における芳香物質の濃度、対象空間の温度、湿度、気流、換気量、明るさ(輝度)の少なくとも1つを制御する。
以下では、環境制御システム1が、環境調整装置10の芳香装置10Aを用いて、対象空間の環境の一例である対象空間における芳香物質の濃度を制御する場合を例に挙げて説明する。
【0012】
芳香装置10Aは、芳香物質を収容する収容部11と、収容部11に収容されている芳香物質を空間に放出する放出部12とを備えている。
収容部11は、例えば液体状の芳香物質を収容する。収容部11は、1種類の芳香物質を収容してもよく、複数種類の芳香物質を収容してもよい。芳香物質とは、人が感じることができる香りを有する物質を意味する。
【0013】
放出部12は、制御装置20による制御に基づいて、液体状の芳香物質を微粒化して噴霧する微粒化噴霧方式により、対象空間に芳香物質を放出する。放出部12は、例えば、制御装置20により、芳香物質を放出するオン状態と、芳香物質を放出しないオフ状態とに切り替えられる。また、放出部12は、オン状態になると、単位時間当たりに放出される芳香物質の量(単位時間当たりの噴霧量)が一定となるように、芳香物質を放出する。放出部12は、例えば、収容部11に収容されている芳香物質を吸い上げ、吸い上げた芳香物質に圧縮空気を送って微粒化し噴霧するポンプ等を含む。
【0014】
人感センサ30は、対象空間における対象者の存在を検知する。より具体的には、人感センサ30は、対象者が対象空間に設置された寝具に入ったことを検知する。なお、本実施形態では、対象者が寝具に入ったことを「入床」と表記する場合がある。すなわち、人感センサ30は、対象者の入床を検知する。そして、人感センサ30は、対象空間における対象者の存在を検知した結果である対象者存在信号を、制御装置20に出力する。
【0015】
人感センサ30としては、対象空間に設置されたベッドマットや布団等の寝具の下に設置された圧力センサを例示することができる。圧力センサは、寝具にかかる圧力に応じた電気信号を制御装置20に出力する。
また、人感センサ30としては、対象空間の寝具の周囲に設置された赤外線センサを例示することができる。赤外線センサは、寝具の周囲から発せられる赤外線、例えば寝具に入った対象者から発せられる赤外線に応じた電気信号を制御装置20に出力する。
なお、人感センサ30としては、対象者の入床を検知することができれば、圧力センサや赤外線センサには限定されない。
【0016】
輝度センサ40は、対象空間の明るさ(輝度)を検知する。そして、輝度センサ40は、対象空間の輝度に応じた電気信号(以下、輝度信号と表記する。)を制御装置20に出力する。
本実施形態の輝度センサ40は、対象空間に設置された寝具の周囲に配置され、寝具の枕元や寝具に入った対象者の周囲等の、対象空間の予め定められた特定の箇所における輝度を検知する。
【0017】
端末装置50は、通信機能および表示機能を備える情報機器により構成される。端末装置50としては、例えば、スマートフォン、タブレット型端末、スマートウォッチ等のウェアラブル端末等が挙げられる。
端末装置50は、例えば、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi、インターネット等のネットワークを介して、制御装置20と通信可能に構成されている。
また、端末装置50は、端末装置50の傾きを検知する機能を備える。付言すると、端末装置50は、例えば、加速度センサ、ジャイロスコープ、磁気センサ等により、端末装置50の傾きを検知する。そして、端末装置50は、検知した端末装置50の傾きに関する情報である傾き情報を、制御装置20に出力する。
さらに、端末装置50は、対象者等により端末装置50に対して行われた操作に関する情報である操作情報を、制御装置20に出力する。
【0018】
制御装置20は、情報を処理する情報処理部21と、情報を記憶する記憶装置22と、通信を実現する通信部23とを備えている。また、制御装置20では、情報処理部21、記憶装置22および通信部23は、不図示のバスに接続されており、このバスを介してデータの授受を行う。
【0019】
情報処理部21は、CPU(Central Processing Unit)21A、ROM(Read Only Memory)21B、RAM(Random Access Memory)21Cを有するコンピュータ装置である。CPU21Aは、ROM21Bや不図示の記憶装置等に記憶された各種プログラムをRAM21Cにロードして実行することにより、制御装置20の後述する各機能を実現する。RAM21Cは、CPU21Aの作業用メモリ等として用いられるメモリであり、ROM21Bは、CPU21Aが実行する各種プログラム等を記憶するメモリである。
ここで、CPU21Aによって実現されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリ等のコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で提供しうる。また、CPU21Aによって実行されるプログラムは、インターネットなどの通信手段を用いて提供してもよい。
【0020】
記憶装置22は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)により構成され、各種のデータを記憶する。本実施形態の記憶装置22は、収容部11に収容され放出部12により放出される芳香物質に関する情報を記憶する。また、記憶装置22は、後述する対象者の入床が行われた時刻や、対象者の入眠準備動作が行われた時刻に関する情報を記憶する。さらに、記憶装置22は、対象者が入床してから入眠準備動作を行うまでに要した時間(後述する入眠準備時間)に関する情報を記憶する。
【0021】
また、記憶装置22は、対象者が入眠準備動作を行った後、入眠するまでに要する時間に関する情報を記憶する。なお、本実施形態の説明では、対象者が入眠準備動作を行った後、入眠するまでに要する時間を、「入眠所要時間」と表記する場合がある。
ここで、入眠所要時間は、対象者ごとに異なる場合がある。記憶装置22は、環境制御システム1を利用する対象者が複数存在する場合、対象者ごとに異なる入眠所要時間を、それぞれの対象者に対応付けて記憶してもよい。
また、入眠所要時間は、対象者が行う入眠準備動作ごとに異なる場合がある。記憶装置22は、入眠準備動作ごとに異なる入眠所要時間を、それぞれの入眠準備動作に対応付けて記憶してもよい。
なお、記憶装置22は、複数の対象者または複数種類の入眠準備動作に対し一律に設定された入眠所要時間を記憶してもよい。
【0022】
また、記憶装置22は、芳香物質に対する対象者の嗅覚順応パターンに関する情報を記憶してもよい。一般に、芳香物質が放出された空間にいる対象者は、時間の経過とともに芳香物質の香りに慣れて、芳香物質の香りを感じにくくなる嗅覚順応が起こる。嗅覚順応が起こるまでの期間は、対象者や芳香物質の種類ごとに異なる。記憶装置22は、対象者および芳香物質の種類ごとに異なる、嗅覚順応が起こるまでの期間を、嗅覚順応パターンとして、対象者および芳香物質の種類に対応付けて記憶する。
【0023】
通信部23は、上述した人感センサ30、輝度センサ40、端末装置50等と通信し、各種のデータの授受を行う。
【0024】
続いて、本実施形態の制御装置20の機能について説明する。制御装置20は、制御部の一例であって、対象空間における対象者の入床と睡眠との間に発生する入眠準備動作を認識し、芳香装置10Aを制御して、対象空間の環境を入眠に対応した環境にする。
具体的には、制御装置20は、対象空間における対象者の入床と睡眠との間に発生する入眠準備動作を認識する。そして、制御装置20は、対象者が入眠するタイミングで対象空間における芳香物質の濃度が入眠に適した濃度(以下、目標濃度と表記する。)となるように、芳香装置10Aの放出部12による芳香物質の放出を制御する。
図2は、本実施形態が適用される制御装置20により実現される機能の一例を示すブロック図である。図2の各機能は、制御装置20の主に情報処理部21によって実現される。
【0025】
制御装置20は、放出部12の制御に用いる情報を取得する取得部201と、対象空間における対象者の動作を判断する動作判断部203と、放出部12が芳香物質を放出する条件を決定する条件決定部205と、条件決定部205にて決定された条件に基づいて放出部12を駆動させる駆動部207とを備えている。なお、以下では、条件決定部205が決定する、放出部12が芳香物質を放出する条件を、放出部12による放出条件と表記する場合がある。
【0026】
取得部201は、人感センサ30、輝度センサ40および端末装置50から出力された各種の情報を取得する。具体的には、取得部201は、人感センサ30から出力された、対象空間における対象者の存在を検知した結果である対象者存在信号を取得する。また、取得部201は、輝度センサ40から出力された、対象空間における輝度を検知した結果である輝度信号を取得する。さらに、取得部201は、端末装置50から出力された、端末装置50の傾きを検知した結果である傾き情報、対象者が端末装置50に対して行った操作に関する操作情報等を取得する。
【0027】
さらにまた、取得部201は、芳香物質を放出する対象空間に関する情報である空間情報を取得してもよい。空間情報としては、対象空間における体積に関する情報、対象空間における換気に関する情報等が挙げられる。
取得部201は、例えば、空気調和装置10Bのリモートコントローラや端末装置50等を介して、ユーザによる空間情報の入力を受け付けることができる。
取得部201は、対象空間の体積に関する情報として、例えば、対象空間の体積の入力を直接、受け付けてもよい。また、取得部201は、対象空間の体積に関する情報として、対象空間の体積を類推可能な他の情報の入力を受け付け、これらの情報から対象空間の体積を取得してもよい。対象空間の体積を類推可能な他の情報としては、例えば、対象空間の床面積、畳数等の情報が挙げられる。
【0028】
取得部201は、対象空間の換気に関する情報として、対象空間の換気回数や換気1回当たりの換気量等の入力を直接受け付けてもよい。また、取得部201は、対象空間の換気に関する情報として、対象空間の換気回数や換気1回当たりの換気量を類推可能な他の情報の入力を受け付け、これらの情報から対象空間の換気回数や換気1回当たりの換気量等を取得してもよい。対象空間の換気回数等を類推可能な他の情報としては、例えば、空間の種別(住宅、ホテル、オフィスビル等)に関する情報、空間を構成する建物の工法(RC(Reinforced Concrete)造、S(Steel)造、SRC(Steel Reinforced Concrete)造、木造等)に関する情報、空間を構成する建物の建築年に関する情報、空間が位置する地域に関する情報等が挙げられる。
【0029】
また、取得部201は、芳香装置10Aで使用する芳香物質が複数種類存在する場合、放出部12に放出させる芳香物質の種類に関する情報を取得してもよい。付言すると、取得部201は、通信部23を介して制御装置20に接続される端末装置50等を介して、ユーザによる芳香物質の種類の入力を受け付けてもよい。
【0030】
動作判断部203は、取得部201にて取得した各種の情報、および記憶装置22に記憶されている情報に基づいて対象者の動作を判断する。そして、動作判断部203は、対象者の動作の判断結果から、対象者の入床と睡眠との間に発生する入眠準備動作を認識する。
ここで、入眠準備動作とは、対象者が寝具に入った後(すなわち、対象者が入床した後)、対象者が入眠するまでの間に対象者が行う動作であって、入眠しようとする対象者が、入眠に先立って行う動作を意味する。なお、入眠準備動作は、対象者が行う動作であって、例えば対象者の心拍や体温の変動等のような対象者の入眠前の生体情報の変動とは異なる。
【0031】
動作判断部203は、人感センサ30から出力された対象者存在信号に基づき、対象者の入床を認識する。
そして、動作判断部203は、対象者の入床を認識した後、輝度センサ40から出力された輝度信号、端末装置50から出力された傾き情報、および端末装置50から出力された操作情報等に基づき、対象者の入眠準備動作を認識する。動作判断部203は、例えば、輝度センサ40から出力された輝度信号、端末装置50から出力された傾き情報および操作情報等に基づき、対象者が予め定められた動作を行ったと判断した場合に、この動作を入眠準備動作として認識する。また、動作判断部203は、例えば、輝度センサ40から出力された輝度信号等に基づき、対象空間における環境に予め定められた変化があった場合に、この変化を入眠準備動作として認識する。
なお、動作判断部203が行う処理については、後段にて詳細に説明する。
【0032】
条件決定部205は、動作判断部203による対象者の判断に基づいて、放出部12による放出条件を決定する。
本実施形態では、条件決定部205は、動作判断部203が対象者の入眠準備動作を認識した場合に、対象者が入眠するタイミングで対象空間における芳香物質の濃度が入眠に適した目標濃度となるように放出部12による放出条件を決定する。
また、条件決定部205は、動作判断部203が対象者の入眠準備動作を認識しない場合には、対象者が入眠しようとしていないものとして、対象空間における芳香物質の濃度が予め定められた濃度となるように放出部12による放出条件を決定する。
なお、以下では、動作判断部203が対象者の入眠準備動作を認識した場合に、条件決定部205が決定する放出部12による放出条件を、入眠時の放出条件と表記し、動作判断部203が対象者の入眠準備動作を認識しない場合に、条件決定部205が決定する放出部12による放出条件を、通常時の放出条件と表記する場合がある。
【0033】
駆動部207は、条件決定部205により決定された放出部12による放出条件に基づいて、放出部12を駆動させる。付言すると、駆動部207は、条件決定部205により決定された放出部12による放出条件に基づいて、放出部12を、オン状態およびオフ状態に切り替える。オン状態とは、放出部12が芳香物質を放出する状態であり、オフ状態とは、放出部12が芳香物質の放出を停止している状態である。
なお、条件決定部205により決定される放出部12による放出条件(入眠時の放出条件)、および条件決定部205により決定された放出部12による放出条件により駆動部207が行う放出部12の駆動については、後段にて詳細に説明する。
【0034】
続いて、本実施形態の環境制御システム1の動作について、制御装置20が行う処理を中心として説明する。
図3は、環境制御システム1の制御装置20による処理の一例を示したフローチャートである。なお、以下で説明する制御装置20による処理は、制御装置20の情報処理部21に設けられたCPU21Aが行う。
【0035】
本実施形態の環境制御システム1では、人感センサ30が、寝具の上の対象者の存在を検知し、検知結果である対象者存在信号を制御装置20に出力する。また、環境制御システム1では、輝度センサ40が、対象空間の予め定められた特定の箇所における輝度を検知し、検知結果である輝度信号を制御装置20に出力する。また、環境制御システム1では、端末装置50が、端末装置50の傾きを検知し、検知結果である傾き情報を制御装置20に出力する。また、環境制御システム1では、端末装置50が、対象者が端末装置50に対して行った操作に関する操作情報を制御装置20に出力する。ここで、人感センサ30、輝度センサ40、端末装置50は、各種の情報を、予め定められたタイミングで制御装置20に出力してもよいし、制御装置20からの出力指示に応じて制御装置20に出力してもよい。
【0036】
制御装置20は、取得部201が、人感センサ30から出力された対象者存在信号を取得する(ステップ101)。付言すると、人感センサ30が圧力センサである場合、取得部201は、対象者存在信号として、寝具にかかる圧力に応じた電気信号を取得する。また、人感センサ30が赤外線センサである場合、取得部201は、寝具の周囲から発せられる赤外線に応じた電気信号を取得する。
【0037】
次いで、制御装置20は、動作判断部203が、人感センサ30から出力された対象者存在信号に基づき、対象者が対象空間に設置された寝具に入ったか否か、すなわち対象者が入床したか否かの判定を行う(ステップ102)。
例えば人感センサ30が圧力センサである場合、対象者が入床すると、対象者が入床する前と比べて寝具にかかる圧力が大きくなり、出力される電気信号が変化する。また、例えば人感センサ30が赤外センサである場合、対象者が入床すると、入床した対象者から発せられる赤外線が検知され、出力される電気信号が変化する。動作判断部203は、対象者存在信号の一例である電気信号の変化に基づいて、対象者が入床したか否かを判定する。
動作判断部203が、対象者存在信号に基づき対象者が入床していないと判定した場合場合(ステップ102でNO)、制御装置20は、ステップ101に戻り、処理を継続する。
【0038】
一方、動作判断部203が、対象者存在信号に基づき対象者が入床していると判定した場合(ステップ102でYES)、制御装置20は、取得部201が、輝度センサ40から出力された輝度信号、端末装置50から出力された傾き情報、および端末装置50から出力された操作情報を取得する(ステップ103)。なお、取得部201は、後述するステップ104において動作判断部203が行う処理に応じて、輝度信号、傾き情報および操作情報の全てを取得してもよく、輝度情報、傾き情報および操作情報の中から選択された少なくとも1つを取得してもよい。
【0039】
次いで、制御装置20は、動作判断部203が、輝度センサ40から出力された輝度信号、端末装置50から出力された傾き情報、および端末装置50から出力された操作情報に基づいて、予め定められた入眠準備動作が行われたか否かを判定する(ステップ104)。
なお、ステップ104において動作判断部203が行う処理については、入眠準備動作の具体例を挙げて後段にて詳細に説明する。
【0040】
動作判断部203が、入眠準備動作が行われていないと判定した場合(ステップ104でNO)、すなわち、動作判断部203が入眠準備動作を認識しない場合、制御装置20は、条件決定部205が、放出部12による放出条件として、通常時の放出条件を決定する(ステップ106)。ステップ106において、条件決定部205は、例えば、対象空間における芳香物資の濃度が予め定められた範囲内で変化するように、放出部12による通常時の放出条件を決定する。
【0041】
一方、動作判断部203が、入眠準備動作が行われていると判定した場合(ステップ104でYES)、すなわち、動作判断部203が入眠準備動作を認識した場合、制御装置20は、条件決定部205が、放出部12による放出条件として、入眠時の放出条件を決定する(ステップ105)。ステップ105において、条件決定部205は、対象者が入眠するタイミングで対象空間における芳香物質の濃度が入眠に適した目標濃度となるように、放出部12による入眠時の放出条件を決定する。
【0042】
次いで、制御装置20は、駆動部207が、ステップ105またはステップ106において決定した放出部12による放出条件により、芳香装置10Aの放出部12を駆動し、芳香物質を放出させる(ステップ107)。
これにより、対象空間における芳香物資の濃度が、予め定められた濃度に制御される。
以上により、環境制御システム1による一連の処理が終了する。
【0043】
続いて、入眠準備動作、および動作判断部203による入眠準備動作の認識について説明する。上述したように、入眠準備動作とは、対象者が入床した後、入眠しようとする対象者が、入眠に先立って行う動作である。
例えば、入床した後に寝具で入眠する前にスマートフォンやタブレット型端末等の端末装置50の操作を行う対象者は、入眠しようとする際に、端末装置50の表示を切り、端末装置50を寝具の枕元等に置く等の動作を行う場合がある。このように、対象者が入眠しようとする際に行う、端末装置50の表示を切る動作、端末装置50を置く動作が、入眠準備動作に当たる。
【0044】
動作判断部203は、例えば、端末装置50から出力された傾き情報に基づいて、入眠準備動作の一例である対象者が端末装置50を寝具の枕元等に置く動作を認識することができる。
具体的に説明すると、例えば、対象者が寝具に座って端末装置50の操作を行う場合、端末装置50は、対象者が表示画面を見ることができるように、表示画面が水平方向に対して傾斜した状態となることが多い。これに対し、対象者が入眠しようとする際に、端末装置50を寝具の枕元等に置くと、端末装置50は、表示画面が水平方向に沿った状態となる。
【0045】
動作判断部203は、端末装置50から出力された傾き情報に基づき、端末装置50が、表示画面が水平方向に対して傾斜した状態であるか、表示画面が水平方向に沿った状態であるかを判断する。そして、動作判断部203は、端末装置50が、表示画面が水平方向に対して傾斜した状態から水平方向に沿った状態へ変化した場合に、対象者により端末装置50を置く動作が行われたと判断する。さらに、動作判断部203は、対象者が入床した後に、端末装置50を置く動作が行われたと判断した場合、この対象者が端末装置50を置く動作を、入眠準備動作として認識する。
【0046】
また、動作判断部203は、例えば、端末装置50から出力された操作情報に基づいて、入眠準備動作の一例である対象者が端末装置50の表示を切る動作を認識することができる。そして、動作判断部203は、対象者が入床した後に、端末装置50の表示を切る動作が行われたと判断した場合、この対象者が端末装置50の表示を切る動作を、入眠準備動作として認識する。
なお、動作判断部203が端末装置50から出力された操作情報に基づいて入眠準備動作として認識する対象者の動作は、端末装置50の表示を切る動作に限られない。動作判断部203は、例えば、対象者が入床した後に行う、端末装置50の電源を切る動作、端末装置50に設けられたスピーカの音量を下げる動作、端末装置50の表示画面の明るさを下げる動作、端末装置50によりアラームを設定する動作、端末装置50において特定のアプリケーション(例えば睡眠導入用のアプリケーション)を起動する動作等を、入眠準備動作として認識してもよい。
【0047】
また、例えば、入床した後に寝具で読書を行う対象者は、読書が可能なように入床の前後に照明(例えば図1の照明装置10C)を点灯させる場合がある。そして、この対象者は、読書をした後、入眠しようとした際に、照明の電源を切ったり照明の明るさを低下させたりする等の動作を行う場合がある。このように、対象者が入眠しようとする際に行う、照明の電源を切る動作、照明の明るさを低下させる動作が、入眠準備動作に当たる。
【0048】
動作判断部203は、例えば、輝度センサ40から出力された輝度信号に基づいて、入眠準備動作の一例である対象者が照明の電源を切る動作、または照明の明るさを低下させる動作を認識することができる。
具体的に説明すると、例えば、対象者が照明の電源を切ったり明るさを低下させたりすると、対象空間の輝度が低下する。動作判断部203は、輝度センサ40から出力された輝度信号に基づいて、対象空間の輝度が低下した場合に、対象者により照明の電源を切る動作、または照明の明るさを低下させる動作が行われたと判断する。さらに、動作判断部203は、対象者が入床した後に、照明の電源を切る動作、または照明の明るさを低下させる動作が行われたと判断した場合、この対象者が照明の電源を切る動作、または照明の明るさを低下させる動作を、入眠準備動作として認識する。言い換えると、動作判断部203は、対象者が入床した後に、対象空間における環境の一例である対象空間の明るさ(輝度)が低下するという変化があった場合に、この変化を入眠準備動作として認識する。
【0049】
本実施形態の制御装置20は、動作判断部203が入眠準備動作を認識した場合、対象者が入床してから入眠準備動作を行うまでに要した時間を、記憶装置22に記憶する。なお、以下では、対象者が入床してから入眠準備動作を行うまでに要した時間を、入眠準備時間と表記する場合がある。
そして、動作判断部203は、対象者の入床を認識した場合に、記憶装置22に記憶されている過去の入眠準備時間に基づいて、入眠準備動作を認識してもよい。具体的に説明すると、動作判断部203は、対象者の入床を認識した後、過去の入眠準備時間の平均時間を経過した場合に、入眠準備動作が行われたと判断してもよい。本実施形態では、記憶装置22に記憶されている過去の入眠準備時間が、対象者の入眠準備動作の履歴の一例である。
【0050】
続いて、動作判断部203が入眠準備動作を認識した場合に、条件決定部205が決定する放出部12による放出条件(入眠時の放出条件)、条件決定部205が決定した放出条件による放出部12の動作、および対象空間における芳香物質の濃度の変化の一例について説明する。
図4は、対象空間における芳香物質の濃度の時間変化の一例を、放出部12の動作とともに示した図である。図4では、横軸が時間経過を表しており、縦軸が対象空間における芳香物質の濃度を示している。
【0051】
上述したように、条件決定部205は、対象者が入眠するタイミングで対象空間における芳香物質の濃度が入眠に適した目標濃度となるように、放出部12による入眠時の放出条件を決定する。付言すると、条件決定部205は、動作判断部203が対象者の入眠準備動作を認識した場合、入眠準備動作が行われた時刻(以下、準備動作時刻SAと表記する。)と、記憶装置22に記憶されている入眠所要時間とに基づいて、対象者が入眠すると予測される時刻(以下、入眠予測時刻SBと表記する。)を算出する。そして、条件決定部205は、この入眠予測時刻SBに、対象空間における芳香物質の濃度が予め定められた目標濃度(以下、目標濃度P2と表記する。)となるように、放出部12による入眠時の放出条件を決定する。
【0052】
付言すると、条件決定部205は、例えば、取得部201により取得された対象空間に関する空間情報、取得部201により取得された芳香物質の種類に関する情報、および記憶装置22に記憶されている芳香物質に対する対象者の嗅覚順応パターンに関する情報に基づいて、入眠予測時刻SBに対象空間における芳香物質の濃度が目標濃度P2となるように、放出部12による入眠時の放出条件を決定する。これにより、空間情報、芳香物質の種類に関する情報、および芳香物質に対する対象者の嗅覚順応パターンに関する情報によらずに放出部12による入眠時の放出条件を決定する場合と比べて、対象者が入眠するタイミングに合わせて芳香物質の濃度を目標濃度P2にしやすくなる。
【0053】
本実施形態の条件決定部205は、動作判断部203が入眠準備動作を認識した場合に、対象空間における芳香物質の濃度を予め定められた下限濃度P1まで上昇させる第1の期間(以下、第1の期間TAと表記する。)と、対象空間における芳香物質の濃度を下限濃度P1から目標濃度P2まで上昇させる第2の期間(以下、第2の期間TBと表記する。)とを含むように、放出部12による入眠時の放出条件を決定する。
第1の期間TAは、準備動作時刻SAの後、放出部12を継続してオン状態とすることで、対象空間における芳香物質の濃度を下限濃度P1まで上昇させる期間である。
【0054】
また、第2の期間TBは、第1の期間TAに続く期間であって、放出部12を予め定められた放出時間(以下、放出時間T1と表記する。)のオン状態と、予め定められた停止時間(以下、停止時間T2と表記する。)のオフ状態とに交互に切り替えることで、対象空間における芳香物質の濃度を下限濃度P1から目標濃度P2まで上昇させる期間である。第2の期間TBでは、対象空間における芳香物質の濃度が、予め定められた変動量で増加するように、放出部12による放出時間T1および停止時間T2が定められている。
また、第2の期間TBの長さは、入眠所要時間等によっても異なるが、例えば、5分以上60分以下とすることができ、10分以上20分以下であることが好ましい。
【0055】
上述したように、目標濃度P2は、入眠に適した、対象空間における芳香物質の濃度である。より具体的には、人が入眠に適した芳香物質の香りを感じることで、副交感神経が優位になり、呼吸が深くなったり、興奮を和らげたり、体の緊張が取れたりする等の入眠を促進する入眠導入効果が得られる。目標濃度P2は、対象空間にいる人に対する入眠導入効果が最も大きくなるような芳香物質の濃度である。
目標濃度P2は、芳香物質の種類ごとに異なる。芳香物質の目標濃度P2は、官能試験等により得ることができる。付言すると、目標濃度P2は、複数の人に対し、芳香物質の濃度を異ならせて入眠導入効果を測定する試験を行い、試験結果に基づいて得ることができる。また、目標濃度P2は、臭気判定士による三点比較式臭袋法等の公知の方法により取得してもよい。
本実施形態の環境制御システム1では、芳香装置10Aで使用する芳香物質ごとに目標濃度P2を予め取得し、芳香物質ごとの目標濃度P2を、芳香物質に関する情報として記憶装置22に記憶している。
なお、目標濃度P2は、芳香物質の種類や人による芳香物質の感受性の差等によっても変化するが、例えば、6段階臭気強度表示法により表される香りの強度で、2.5段階程度に相当する濃度とすることができる。
【0056】
また、下限濃度P1は、目標濃度P2との差が予め定められた大きさとなるように定められている。下限濃度P1と目標濃度P2との差は、例えば、6段階臭気強度表示法により表される香りの強度で、0.5段階程度に相当する濃度差とすることができる。
本実施形態では、下限濃度P1と目標濃度P2との差は、人による芳香物質の濃度弁別閾以下であることが好ましい。ここで、人による芳香物質の濃度弁別閾とは、人が芳香物質による香りの強度の違いを認識できる最少の濃度差を意味する。付言すると、芳香物質の濃度弁別閾の範囲内で芳香物質の濃度が変化した場合には、人が芳香物質により感じる香りの強度は変化しない。
本実施形態では、下限濃度P1と目標濃度P2との差を人による芳香物質の濃度弁別閾以下とすることで、対象空間における芳香物質の濃度が下限濃度P1から目標濃度P2まで上昇する第2の期間TBで、対象空間において芳香物質により対象者が感じる香りの強度が変動しにくくなる。
【0057】
条件決定部205は、放出部12による入眠時の放出条件として、第1の期間TAが開始される時刻であって、放出部12をオン状態にして放出部12により芳香物質の放出を開始する時刻(以下、放出開始時刻S1と表記する。)を決定する。また、条件決定部205は、放出部12による入眠時の放出条件として、第1の期間TAを終了し、第2の期間TBを開始する時刻であって、放出部12による動作を第1の期間TAにおける動作から、第2の期間TBにおける動作に切り替える時刻(以下、動作切替時刻S2と表記する。)を決定する。
【0058】
条件決定部205は、入眠予測時刻SBに対象空間における芳香物質の濃度が目標濃度P2となるように、放出開始時刻S1および動作切替時刻S2を決定する。
付言すると、条件決定部205は、例えば、取得部201により取得された対象空間に関する空間情報等に基づいて、入眠予測時刻SBに対象空間における芳香物質の濃度が目標濃度P2となるように、放出開始時刻S1および動作切替時刻S2を決定する。
より具体的には、条件決定部205は、空間情報から予測される対象空間における芳香物質の濃度推移に基づいて、放出開始時刻S1および動作切替時刻S2を決定する。なお、対象空間における芳香物質の濃度推移としては、対象空間の体積に関する情報、対象空間における換気に関する情報、および放出部12による芳香物質の放出量に関する情報等から得られる、放出部12により芳香物質を放出した場合の、対象空間における芳香物質の濃度の上昇速度が挙げられる。また、対象空間における芳香物質の濃度推移としては、対象空間の体積に関する情報、および対象空間における換気に関する情報等から得られる、放出部12による芳香物質の放出を停止した場合の、対象空間における芳香物質の濃度の下降速度が挙げられる。
【0059】
続いて、図4を用いて、放出部12の動作、および対象空間における芳香物質の濃度変化について説明する。
動作判断部203により準備動作時刻SAに入眠準備動作が認識された後、条件決定部205により決定された放出開始時刻S1になると、第1の期間TAが開始され、放出部12がオン状態に切り替えられる。これにより、放出部12により対象空間に芳香物質が放出される。上述したように、放出部12は、予め定められた一定の放出量で芳香物質を放出する。したがって、第1の期間TAにおいて放出部12がオン状態に切り替えられ、放出部12により芳香物質が放出されると、対象空間における芳香物質の濃度が、一定の速度で上昇する。
【0060】
次いで、条件決定部205により決定された動作切替時刻S2になり、対象空間における芳香物質の濃度が下限濃度P1に到達すると、第2の期間TBが開始される。第2の期間TBでは、放出部12は、予め定められた放出時間T1のオン状態と、予め定められた停止時間T2のオフ状態とに交互に切り替えられる。
具体的に説明すると、第2の期間TBにおいて、放出部12がオフ状態に切り替えられ、放出部12による芳香物質の放出が停止されると、停止時間T2の間、対象空間の換気に伴う芳香物質の排出等により、対象空間における芳香物質の濃度が一定の速度で下降する。その後、停止時間T2が経過すると、放出部12が再びオン状態に切り替えられ、放出部12による芳香物質の放出が再開される。これにより、放出時間T1の間、対象空間における芳香物質の濃度が、再び一定の速度で上昇する。
【0061】
本実施形態では、放出時間T1の間、放出部12により芳香物質が放出されることによる対象空間における芳香物質の濃度の上昇量が、停止時間T2の間、放出部12による芳香物質の放出が停止されることによる対象空間における芳香物質の濃度の下降量よりも大きくなるように、放出時間T1および停止時間T2が定められている。
そして、第2の期間TBの全体では、放出部12が放出時間T1のオン状態と停止時間T2のオフ状態とに交互に切り替えられることで、図4に示すように、対象空間における芳香物質の濃度が予め定められた変動量で増加する。
【0062】
ここで、第2の期間TBにおける芳香物質の濃度の変動量とは、第2の期間TBの開始時刻と終了時刻との対象空間における芳香物質の濃度の差分(この例では、下限濃度P1と目標濃度P2との差分)を、第2の期間TBの長さで除した量である。
第2の期間TBにおける芳香物質の濃度の変動量は、上述した6段階臭気強度表示法による臭気強度を用いて、0.5段階/60分以上0.5段階/10分以下であることが好ましく、0.5段階/15分程度であることがより好ましい。
【0063】
本実施形態では、入眠予測時刻SBに至るまでの第2の期間TBにおいて、対象空間における芳香物質の濃度が予め定められた変動量で増加することで、例えば第2の期間TBにおいて芳香物質の濃度が増加しない場合と比べて、対象者が芳香物質による香りを感じることによる入眠導入効果を得やすくなる。
具体的に説明すると、例えば、第2の期間TBにおいて対象空間における芳香物質の濃度が変動しない場合、対象者が芳香物質の香りに慣れて芳香物質の香りを感じにくくなる嗅覚順応が起こる場合がある。この場合、入眠予測時刻SBにおいて、対象者が芳香物質の香りを感じることによる入眠導入効果を得にくくなる。
これに対し、本実施形態では、第2の期間TBにおいて、対象空間における芳香物質の濃度が予め定められた変動量で増加することで、嗅覚順応が起こりにくくなり、入眠予測時刻SBにおいて入眠導入効果を得やすくなる。
【0064】
その後、入眠予測時刻SBになると、対象空間における芳香物質の濃度が、予め定められた目標濃度P2になる。上述したように、目標濃度P2は、対象空間にいる人に対する入眠導入効果が最も大きくなるような芳香物質の濃度である。本実施形態の環境制御システム1では、対象者が入眠すると予測される入眠予測時刻SBに、対象空間における芳香物質の濃度が目標濃度P2となることで、対象者が入眠するタイミングに合わせて、対象空間を入眠に適した環境とすることができる。
【0065】
入眠予測時刻SBを経過し、第2の期間TBが終了した後は、放出部12がオフ状態に切り替えられ、放出部12による芳香物質の放出が停止される。そして、対象空間における芳香物質の濃度が目標濃度P2から徐々に下降する。ここで、対象者が入眠した後は、対象者は芳香物質による香りを感じにくく、芳香物質による効果を得にくい。本実施形態では、入眠予測時刻SBの経過後に放出部12をオフ状態に切り替えることで、例えば、入眠予測時刻SBを経過し、対象者が入眠した後も放出部12を継続してオン状態とする場合に比べ、芳香物質の消費量を少なくすることができる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態の環境制御システム1は、対象者の入床と睡眠との間に発生する入眠準備動作を認識する。そして、環境制御システム1は、入眠準備動作を認識した場合に、対象者が入眠する対象空間を、入眠に対応した環境に制御する。より具体的には、環境制御システム1は、対象者が入眠すると予測される入眠予測時刻に、対象空間における芳香物資の濃度を入眠に適した目標濃度に制御する。
これにより、対象者が入眠するタイミングに合わせて、対象空間を入眠に適した環境とすることが可能になる。
【0067】
ここで、対象者が入床したタイミングで、対象空間の環境を入眠に対応した環境に制御する場合を考える。
一般に、人が入床した後、入眠するまでに要する時間には、ばらつきが生じやすい。例えば、入床した後にすぐに入眠しようとする場合と、入床した後に寝具等で端末装置50の操作や読書を行い、その後に入眠しようとする場合とでは、入床してから入眠するまでに要する時間に差が生じる。この場合、対象者が入床したタイミングで対象空間の環境を制御すると、対象者が入眠しようとしていないにも拘らず対象空間が入眠に適した環境に制御されてしまう等、対象者が入眠するタイミングに合わせて対象空間を入眠に適した環境とすることが難しい。
これに対し、本実施形態の環境制御システム1では、入眠準備動作を認識して対象空間の環境を制御することで、対象者が入眠するタイミングに合わせて、対象空間を入眠に適した環境とすることが可能になる。
【0068】
また、対象者の入眠準備動作を認識する前に、対象空間の環境を入眠に対応した環境に制御する場合を考える。この場合、入眠するタイミングまでの期間に対象者がこの環境に慣れてしまい、対象者が入眠するタイミングで入眠導入効果を得にくい。具体的には、対象者の入眠準備動作を認識する前に、対象空間における芳香物質の濃度を目標濃度に制御した場合、対象者が芳香物質の香りに慣れて嗅覚順応が起こり、対象者が入眠するタイミングで芳香物質の香りによる入眠導入効果を得にくい。
これに対し、本実施形態の環境制御システム1では、入眠準備動作を認識して対象空間を入眠に対応した環境に制御するので、入眠するタイミングまでの期間に対象者がこの環境に慣れにくくなり、入眠導入効果によって対象者の入眠をより睡眠状態へ促しやすくなる。
【0069】
また、本実施形態の環境制御システム1では、入眠しようとする対象者が行う入眠準備動作を認識し、これに基づいて対象空間の環境を制御する。これにより、例えば、対象者の心拍や体温等の対象者の生体情報を検出する手段を有しない場合であっても、対象者が入眠するタイミングに合わせて、対象空間を入眠に適した環境とすることができる。付言すると、本実施形態の環境制御システム1では、例えば、対象者の心拍や体温等の対象者の生体情報に基づいて対象空間の環境を制御する場合と比べて、簡易な構成で、対象者が入眠するタイミングに合わせて、対象空間を入眠に適した環境とすることができる。
【0070】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施形態には限定されない。
例えば、上記の実施形態では、第2の期間TBにおいて、放出部12を予め定められた放出時間T1のオン状態と、予め定められた停止時間T2のオフ状態とに交互に切り替えることで、対象空間における芳香物質の濃度を、予め定められた変動量で増加するように下限濃度P1から目標濃度P2まで上昇させている。これに対し、例えば、放出部12による単位時間当たりの放出量を制御可能な場合、放出部12による放出量を調整することで、対象空間における芳香物質の濃度を、予め定められた変動量で増加するように下限濃度P1から目標濃度P2まで上昇させてもよい。
【0071】
また、上記の実施形態では、対象者による入眠準備動作を認識した場合に、対象空間における芳香物質の濃度を下限濃度P1まで上昇させる第1の期間TAと、対象空間における芳香物質の濃度を下限濃度P1から目標濃度P2まで上昇させる第2の期間TBとを含むように、放出部12を制御しているが、これに限られない。入眠準備動作を認識した後、対象者が入眠すると予測される入眠予測時刻に、対象空間における芳香物資の濃度が目標濃度P2となるように放出部12の動作を制御すればよい。
【0072】
また、上記の実施形態では、放出部12が、微粒化噴霧方式により芳香物質を放出するが、これに限られない。放出部12は、例えば、液体状の芳香物質を気化させる気化式、超音波により液体状の芳香物質を霧状にして拡散させる超音波式、液体状の芳香物質を液滴状にして吐出するインクジェット方式等により、芳香物質を放出してもよい。
なお、微粒化噴霧方式は、例えば、気化式等と比べて、対象空間の温度や湿度等の環境条件の違いによる芳香物質の濃度への影響が少ない傾向がある。また、微粒化噴霧方式は、例えば、インクジェット方式等と比べて、単位時間当たりの芳香物質の放出量のばらつきが小さい傾向がある。このような観点からは、放出部12は、微粒化噴霧方式により芳香物質を放出することが好ましい。
【0073】
さらにまた、上記の実施形態では、環境制御システム1は、対象空間における環境として、芳香装置10Aを用いて対象空間における芳香物質の濃度を制御しているが、これに限られない。環境制御システム1により制御する対象空間における環境としては、例えば、芳香装置10Aにより対象空間に放出する芳香物質の種類、空気調和装置10Bにより調整される対象空間の温度、湿度、気流、換気量、照明装置10Cにより調整される対象空間の明るさ等が挙げられる。付言すると、環境制御システム1は、対象者による入眠準備動作を認識した場合に、対象者が入眠するタイミングに合わせて、対象空間に放出する芳香物質の種類、対象空間の温度、湿度、気流、換気量、明るさ等を、入眠に対応した状態に制御してもよい。
例えば、環境制御システム1は、対象者による入眠準備動作を認識した場合に、芳香装置10Aにより対象空間に放出する芳香物質を、入眠導入効果が大きい香りを有する芳香物質に切り替えてもよい。また、例えば、環境制御システム1は、対象者による入眠準備動作を認識した場合に、対象者が入眠すると予測される入眠予測時刻に対象空間の温度、湿度、気流、換気量、明るさ等が予め定められた目標値となるように、空気調和装置10Bまたは照明装置10Cによって、対象空間の温度、湿度、気流、換気量、明るさを徐々に変化させてもよい。
【0074】
ここで、上記にて説明した実施形態は、以下のように捉えることができる。本開示の環境制御システム1は、入眠に適した空間を提供するシステムであって、対象者の入床と睡眠との間に発生する入眠準備動作を認識して入眠に対応した環境を提供する。
この場合、対象者が入眠するタイミングに合わせて、対象者が存在する空間を入眠に適した環境とすることができる。
【0075】
ここで、環境制御システム1は、対象者が入床した後に、対象者が予め定められた動作を行った場合に、この動作を入眠準備動作として認識する。
この場合、入床した後に対象者が予め定められた動作を行った場合に、対象者が存在する空間を入眠に適した環境とすることができる。
【0076】
ここで、環境制御システム1は、対象者が入床した後に、空間における環境に予め定められた変化があった場合に、この変化を入眠準備動作として認識する。
この場合、入床した後の対象者の動作に伴って環境が変化した場合に、対象者が存在する空間を入眠に適した環境とすることができる。
【0077】
また、環境制御システム1は、空間における予め定められた特定の箇所における環境に変化があった場合に、この変化を入眠準備動作として認識する。
この場合、対象者が存在する空間全体における環境に変化を入眠準備動作として認識する場合と比較して、入眠しようとする対象者の動作に応じた環境の変化を認識しやすくなる。
【0078】
また、環境制御システム1は、対象者の前記入眠準備動作の履歴に基づいて、空間を入眠に対応した環境に制御する。
この場合、対象者の動作や環境の変化を認識しない場合であっても、対象者が入眠するタイミングに合わせて、対象者が存在する空間を入眠に適した環境とすることができる。
【0079】
また、環境制御システム1は、入眠準備動作を認識した場合に、環境として、空間における芳香物質の濃度、温度、湿度、気流、換気量、明るさから選択される少なくとも1つを、入眠に適するように変化させる。
この場合、芳香物質の濃度、温度、湿度、気流、換気量、明るさ以外の環境を変化させる場合と比べて、対象者の入眠をより促しやすくなる。
【0080】
また、環境制御システム1は、入眠準備動作が行われる時刻に対し、芳香物質を空間に放出するタイミングを制御することで、空間における芳香物質の濃度を変化させる。
この場合、入眠準備動作が行われる時刻に対し、芳香物質を空間に放出するタイミングを制御しない場合と比べて、対象者が入眠するタイミングに合わせて芳香物質の濃度を入眠に適した濃度にしやすくなる。
【0081】
また、環境制御システム1は、対象者の入眠準備動作を認識した後、対象者が入眠するまでに要する平均時間に基づいて、芳香物質を空間に放出するタイミングを制御する。
この場合、対象者が入眠するまでに要する平均時間に基づいて芳香物質を放出するタイミングを制御しない場合と比べて、対象者が入眠するタイミングに合わせて芳香物質の濃度を入眠に適した濃度にしやすくなる。
【0082】
また、環境制御システム1は、空間の体積に関する情報、空間における換気に関する情報、芳香物質の種類、および芳香物質に対する対象者の嗅覚順応パターンのいずれかに基づいて、芳香物質を空間に放出するタイミング、または芳香物質の放出量を制御する。
この場合、空間の体積に関する情報、空間における換気に関する情報、芳香物質の種類、および芳香物質に対する対象者の嗅覚順応パターンによらずに芳香物質を空間に放出するタイミング、または芳香物質の放出量を制御する場合と比べて、対象者が入眠するタイミングに合わせて芳香物質の濃度を入眠に適した濃度にしやすくなる。
【0083】
また、他の観点から捉えると、本開示の制御装置20は、空間の環境を調整する環境調整装置10の制御装置20であって、対象者の入床と睡眠の間に発生する入眠準備動作を認識した場合に、空間が入眠に対応した環境となるように、環境調整装置10による環境の調整を制御する。
この場合、対象者が入眠するタイミングに合わせて、対象者が存在する空間を入眠に適した環境とすることができる。
【0084】
また、他の観点から捉えると、本開示の制御方法は、対象者の入床と睡眠の間に発生する入眠準備動作を認識した場合に、対象者が入眠準備動作を行った空間の環境を、入眠に対応した環境に制御する。
この場合、対象者が入眠するタイミングに合わせて、対象者が存在する空間を入眠に適した環境とすることができる。
【0085】
以上、実施の形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の態様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0086】
1…環境制御システム、10A…芳香装置、11…収容部、12…放出部、20…制御装置、21…情報処理部、22…記憶装置、23…通信部、30…人感センサ、40…輝度センサ、50…端末装置、201…取得部、203…動作判断部、205…条件決定部、207…駆動部
図1
図2
図3
図4