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特開2024-179016情報処理方法、情報処理システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179016
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/04 20120101AFI20241219BHJP
   G06Q 20/00 20120101ALI20241219BHJP
【FI】
G06Q30/04
G06Q20/00
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097491
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】507384939
【氏名又は名称】Sansan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(72)【発明者】
【氏名】柴野 亮
【テーマコード(参考)】
5L020
5L030
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L020AA00
5L030BB11
5L049BB11
5L055AA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】請求書のデータ化が完了したことに基づきデータ化された請求書が適格請求書の要件を満たすか、適格請求書の要件に漏れ又は不正確さがある可能性があるのか又は免税事業者の請求書であるのかを判定し、判定の結果を担当者の端末装置に送信する情報処理方法、情報処理システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】サーバー装置100と、クライアント装置110とが、ネットワーク150を介して通信可能に接続され、且つ、情報処理システムが、ネットワークを介して他の情報処理システム1100と通信可能に接続されている情報処理システムであって、サーバ装置は、請求書のデータを処理し、記憶し、情報の取得を要求し、他の情報システムの大規模言語モデルに送信する。そして、大規模言語モデルから適格請求書の要件の情報を受信し、要件それぞれに該当する情報が抽出されているか否かを判定し、判定の結果を含むメッセージを生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムが実行する情報処理方法であって、
請求書のデータ化が完了したことに基づきデータ化された請求書が
適格請求書の要件を満たすか、
適格請求書の要件に漏れ又は不正確さがある可能性があるのか、
免税事業者の請求書であるのか、
を判定し、
判定の結果を担当者の端末装置に送信する、
情報処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理方法において、
データ化された請求書が適格請求書の要件に漏れ又は不正確さがある可能性がある請求書であると判定された場合、
前記判定の結果と、前記請求書の再確認を要することを示す情報と、を前記端末装置に送信する、
情報処理方法。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理方法において、
データ化された請求書が適格請求書の要件に漏れ又は不正確さがある可能性がある請求書であると判定された場合、
前記判定の結果と、前記請求書の再確認を要することを示す情報と、前記判定の結果の詳細を確認するためのアクセス情報と、を前記端末装置に送信する、
情報処理方法。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理方法において、
データ化された請求書の一覧の画面を表示するよう制御し、
前記一覧の画面に含まれるデータ化された請求書それぞれには、
適格請求書の要件を満たすか、
適格請求書の要件に漏れ又は不正確さがある可能性があるのか、
免税事業者の請求書であるのか、
の何れかであることを示す識別情報が付される、
情報処理方法。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理方法において、
請求書のデータと、適格請求書が満たすべき複数の要件のうち少なくとも1つ以上の要件に関する情報の取得指示と、を含む要求を生成し、
前記要求を大規模言語モデルに送信し、
前記大規模言語モデルから前記要件に関する情報を受け取り、
前記要件に関する情報に基づき前記複数の要件のうち少なくとも前記1つ以上の要件を満たしているか否かを判定する、
情報処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理方法において、
前記1つ以上の要件には、適格請求書が満たすべき要件の1つである、課税資産の譲渡等を行った年月日、が含まれる、
情報処理方法。
【請求項7】
請求項1に記載の情報処理方法において、
適格請求書が満たすべき複数の要件のうち少なくとも1つ以上の要件に関して複数の方法を用いてそれぞれの方法において前記少なくとも1つ以上の要件を満たすか否かを判定し、
前記複数の方法のうち1つの方法では、大規模言語モデルを用いて請求書から前記少なくとも1つ以上の要件に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、前記少なくとも1つ以上の要件を満たすか否かを判定する、
情報処理方法。
【請求項8】
請求項1に記載の情報処理方法において、
前記請求書の詳細画面の表示要件を受け取った場合に、前記請求書の詳細画面を表示するよう制御し、
前記詳細画面では、適格請求書の要件を満たすか、適格請求書の要件に漏れ又は不正確さがある可能性があるのか、免税事業者の請求書であるのか、の判定の結果に関する情報が含まれる、
情報処理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理方法において、
前記詳細画面では、前記請求書に関する、適格請求書が満たすべき複数の要件のうち少なくとも1つ以上の要件に関する情報が含まれる、
情報処理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の情報処理方法において、
前記適格請求書が満たすべき複数の要件のうち少なくとも1つ以上の要件に関する情報は、大規模言語モデルから受け取った情報である、
情報処理方法。
【請求項11】
請求項8に記載の情報処理方法において、
判定の結果が前記少なくとも1つ以上の要件を満たしていないことを示していた場合、前記請求書に関する取引先への前記請求書の再発行の依頼を要求するためのコントロールを前記詳細画面に表示するよう制御する、
情報処理方法。
【請求項12】
情報処理システムであって、
請求書のデータ化が完了したことに基づきデータ化された請求書が
適格請求書の要件を満たすか、
適格請求書の要件に漏れ又は不正確さがある可能性があるのか、
免税事業者の請求書であるのか、
を判定し、
判定の結果を担当者の端末装置に送信する、
情報処理システム。
【請求項13】
プログラムであって、
コンピュータに、
請求項1から請求項11までの何れか1項に記載の情報処理方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、情報処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には所定の事業者が発行した取引書類の適格性の判定の精度を向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7276951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
請求書に漏れや不正確さがある場合に請求書を発行した発行者に対して再発行等を要求しなければならない場合がある。従来技術では担当者はシステムにおいて電子化された請求書に漏れや不正確さがある可能性があることをすぐに把握することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、情報処理システムが実行する情報処理方法が提供される。この情報処理方法では、請求書のデータ化が完了したことに基づきデータ化された請求書が適格請求書の要件を満たすか、適格請求書の要件に漏れ又は不正確さがある可能性があるのか、免税事業者の請求書であるのか、を判定する。判定の結果を担当者の端末装置に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、情報処理システム1000のシステム構成の一例を示す図である。
図2図2は、サーバー装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図3は、クライアント装置110のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4図4は、情報処理システム1000における情報処理の一例を示すシーケンス図である。
図5図5は、メッセージを含む画面500の一例を示す図である。
図6図6は、詳細画面600の一例を示す図である。
図7図7は、請求書の一覧画面の一例を示す図である。
図8図8は、変形例1の情報処理システム1000における情報処理の一例を示すシーケンス図である。
図9図9は、変形例2の詳細画面900の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0008】
ところで、実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバーからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0009】
また、実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0010】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0011】
<実施形態1>
実施形態1は一実施形態である。
1.システム構成
図1は、情報処理システム1000のシステム構成の一例を示す図である。図1に示されるように、情報処理システム1000は、システム構成として、サーバー装置100と、クライアント装置110と、を含む。サーバー装置100と、クライアント装置110とは、ネットワーク150を介して通信可能に接続されている。また、情報処理システム1000は、ネットワーク150を介して他の情報処理システム1100と通信可能に接続されている。
【0012】
サーバー装置100は、以下に示す変形例も含めて実施形態1に係る主な処理を実行する。クライアント装置110は、担当者等が使用する装置であって、後述する情報等を表示する。クライアント装置110は、端末装置の一例である。他の情報処理システム1100は、大規模言語モデルの機能を提供する。大規模言語モデルの例としては、ChatGPT等がある。
【0013】
なお、図1では、説明の簡略化のため、情報処理システム1000において、クライアント装置110は1台しか図示していないが、情報処理システム1000には複数のクライアント装置110が含まれていてもよい。また、図1では、クライアント装置110の例としてPCを示しているが、PCに限定されるものではなく、タブレット型コンピュ-タ又はスマ-トフォン等であってもよい。すなわち、クライアント装置110は、後述する情報や画面を表示したり、画面を介した操作を受け付けたりすることができればどのような装置であってもよい。
【0014】
ここで、特許請求の範囲に記載の情報処理システムは、複数の装置で構成されてもよいし、一つの装置で構成されてもよい。特許請求の範囲に記載の情報処理システムが一つの装置で構成され場合、その装置の一例はサーバー装置100である。特許請求の範囲に記載の情報処理システムが複数の装置で構成される場合、複数の装置の一例は、サーバー装置100及びクライアント装置110、又はサーバー装置100の機能を提供する、複数の装置で構成されるクラウドシステムである。
【0015】
2.ハードウェア構成
(1)サーバー装置100のハードウェア構成
図2は、サーバー装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。サーバー装置100は、ハードウェア構成として、制御部210と、記憶部220と、通信部230と、を含む。制御部210は、CPU(Central Processing Unit)等であって、サーバー装置100の全体を制御する。記憶部220は、HDD(Hard Disk Drive)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの任意の組み合わせ等であって、プログラム及び制御部210がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。制御部210が、記憶部220に記憶されているプログラムに基づき、処理を実行することによって、サーバー装置100の機能等が実現される。通信部230は、NIC(Network Interface Card)等であって、サーバー装置100をネットワーク150に接続し、他の装置との通信を司る。記憶部220は、記憶媒体の一例である。
【0016】
ここで、特許請求の範囲に記載の情報処理システムが一つの装置、例えばサーバー装置100で構成され場合、少なくとも1つ以上の制御部の一例は、制御部210である。特許請求の範囲に記載の情報処理システムが複数の装置で構成される場合、少なくとも1つ以上の制御部の一例は、複数の装置それぞれの制御部である。
【0017】
(2)クライアント装置110のハードウェア構成
図3は、クライアント装置110のハードウェア構成の一例を示す図である。クライアント装置110は、ハードウェア構成として、制御部310と、記憶部320と、入力部330と、出力部340と、通信部350と、を含む。制御部310は、CPU等であって、クライアント装置110の全体を制御する。記憶部320は、ROM、RAM、SSD、又はこれらの任意の組み合わせ等であって、プログラム及び制御部310がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。制御部310が、記憶部320に記憶されているプログラムに基づき、処理を実行することによって、クライアント装置110の機能が実現される。入力部330は、キーボード及び/又はマウス等であって、ユーザー操作に応じて、情報を入力する。出力部340は、ディスプレイ等であって、制御部310の制御に基づき、画面等を表示する。通信部350は、クライアント装置110をネットワーク150に接続し、他の装置との通信を司る。記憶部320は、記憶媒体の一例である。
【0018】
3.情報処理
(処理の概要)
サーバー装置100の制御部210は、請求書のデータ化が完了したことに基づきデータ化された請求書が適格請求書の要件を満たすか、適格請求書の要件に漏れ又は不正確さがある可能性があるのか、免税事業者の請求書であるのか、を判定する。制御部210は、判定の結果を担当者のクライアント装置110に送信する。
このような処理を行うことによって、担当者は電子化された請求書に漏れや不正確さがある場合は、そのことをすぐに把握することができる。
【0019】
(処理の詳細)
図4は、情報処理システム1000における情報処理の一例を示すシーケンス図である。
シーケンスSQ401において、サーバー装置100の制御部210は、請求書のデータ化の処理を実行する。データ化の処理とは、紙の請求書をデジタルデータに変換し、請求書に対してユニークな番号及びURL(Uniform Resource Locator)を関連付けたり、電子メールに添付されていたり、所定の領域にアップロードされたりしたPDF等の請求書に対してユニークな番号及びURLを関連付けたりする処理である。
【0020】
シーケンスSQ402において、制御部210は、電子化した請求書データ及び請求書データに付されたユニークな番号、URL(以下、これらをまとめて単に請求書データともいう)を記憶部220等の所定の記憶領域に記憶する。
【0021】
シーケンスSQ403において、制御部210は、請求書データと、適格請求書が満たすべき複数の要件のうち少なくとも1つ以上の要件に関する情報の取得指示と、を含む要求を生成する。
適格請求書が満たすべき複数の要件としては以下のようなものがある。
(1)適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
(2)課税資産の譲渡等を行った年月日
(3)課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
(4)課税資産の譲渡等の税込評価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
(5)税率ごとに区分した消費税額等
(6)書類の交付を受け付ける事業者の氏名又は名称
実施形態1では、制御部210は、上述した(1)から(6)までの情報を請求書データから取得する指示を含む要求を生成するものとして説明を行う。
【0022】
シーケンスSQ404において、制御部210は、生成した要求を他の情報処理システム1100の大規模言語モデルに送信する。
シーケンスSQ405において、大規模言語モデルは、要求を入力データとして入力し、請求書データから抽出した上述した(1)から(6)までの適格請求書の要件の情報を出力データとして出力する。
シーケンスSQ406において、制御部210は、大規模言語モデルより適格請求書の要件の情報を受信する。
【0023】
シーケンスSQ407において、制御部210は、(1)から(6)までの要件それぞれに該当する情報が抽出されているか否かを判定する。また、制御部210は、大規模言語モデルより取得された登録番号に基づきAPIを介して国税庁システムより取引先名を取得し、取得した取引先名が大規模言語モデルより取得された適格請求書発行事業者の氏名又は名称と一致するか否かを判定する。また、制御部210は、大規模言語モデルより取得された税率ごとに区分した消費税額に関して、
税抜×税率=消費税額
税込-税込÷(1+税率)=消費税額
となっているか判定する。シーケンスSQ406の処理は、大規模言語モデルから受け取った要件に関する情報に基づき複数の要件のうち少なくとも1つ以上の要件を満たしているか否かを判定する処理の一例である。
【0024】
シーケンスSQ408において、制御部210は、判定の結果を含むメッセージを生成する。より具体的に説明すると、制御部210は、本文に判定の結果を含むメッセージを生成する。
シーケンスSQ409において、制御部210は、生成したメッセージをクライアント装置110に送信する。制御部210は、メッセージを、電子メールで送信してもよいし、ビジネスチャットツール等で送信してもよい。
【0025】
メッセージをサーバー装置100より受信すると、シーケンスSQ410において、クライアント装置110の制御部310は、メッセージを出力部340等に表示する。
図5は、メッセージを含む画面500の一例を示す図である。
図5に示されるように、画面500には、判定結果510、メッセージ内容520、確認ボタン530等が含まれる。判定結果510は、制御部210による適格請求書の判定結果を示す情報である。メッセージ内容520は、制御部210によって生成されたメッセージの内容である。図5の例ではメッセージ内容520として受領した請求書からインボイス制度の要件を満たしていない項目が検知された旨の情報が含まれている。すなわち、制御部210は、データ化された請求書が適格請求書の要件に漏れ又は不正確さがある可能性がある請求書であると判定した場合、判定の結果と、請求書の再確認を要することを示す情報と、をクライアント装置110に送信する。確認ボタン530は、該当する請求書データの適格請求書に係る判定結果の詳細を確認する際に選択されるボタンである。制御部210は、データ化された請求書が適格請求書の要件に漏れ又は不正確さがある可能性がある請求書であると判定された場合、判定の結果と、請求書の再確認を要することを示す情報と、判定の結果の詳細を確認するためのアクセス情報と、をクライアント装置110に送信する。確認ボタン530は、判定の結果の詳細を確認するためのアクセス情報を含むコントロールの一例である。なお、コントロールとは、画面を構成するGUI(Graphical User Interface)部品の総称である。図5の例ではコントロールの一例としてボタンを示しているが、ボタンに限定されるものではない。それを選択することによって判定の結果の詳細を確認することができるようなものであればどのようなものであってもよい。
【0026】
制御部210が、請求書が電子化される度に図5に示されるようなメッセージを担当者に送信する。このことによって、担当者は請求書に漏れや不正確さがあるか否かを確認することができる。そのため、担当者は請求書に漏れや不正確さがある場合は、例えばすぐに請求書を発行した発行者に対して確認したり、再発行を依頼したりすることができる。
【0027】
図5の確認ボタン530が選択されると、制御部210は、図6に示されるような画面がクライアント装置110の出力部340に表示されるよう制御する。すなわち、請求書の詳細画面の表示要件を受け取った場合に、制御部210は、請求書の詳細画面を表示するよう制御する。
図6は、詳細画面600の一例を示す図である。
詳細画面600は領域610と領域620とを含む。領域610には請求書データが表示される。領域620には請求書の詳細が表示される。請求書の詳細には適格請求書に関する判定の結果等が含まれる。判定結果630は、上述した制御部210が行った判定の結果を示す情報である。図6の例では、判定結果630は、要確認、すなわち、データ化された請求書が適格請求書の要件に漏れ又は不正確さがある可能性がある請求書であることを示している。詳細画面600では、適格請求書の要件を満たすか、適格請求書の要件に漏れ又は不正確さがある可能性があるのか、免税事業者の請求書であるのか、の判定の結果に関する情報が含まれる。また取引年月日の数値が記入されているはずの項目640に、「!」のマークが付されている。「!」のマークは適格請求書が満たすべき複数の要件の1つである課税資産の譲渡等を行った年月日が請求書に記載されていなかった、又は請求書から正しく抽出、取得できなかったことを示している。取引年月日は、適格請求書が満たすべき複数の要件の1つである、課税資産の譲渡等を行った年月日を示している。すなわち、詳細画面600では、請求書に関する、適格請求書が満たすべき複数の要件のうち少なくとも1つ以上の要件に関する情報(図6の例では登録番号のT123456789、取引先の株式会社コタロウ、請求金額の1280等)が含まれる。なお、上述したように適格請求書が満たすべき複数の要件のうち少なくとも1つ以上の要件に関する情報は、大規模言語モデルから受け取った情報である。
【0028】
請求書管理650が選択されると、制御部210は、図7に示されるような画面がクライアント装置110の出力部340に表示されるよう制御する。すなわち、制御部210は、データ化された請求書の一覧の画面を表示するよう制御する。図7は、請求書の一覧画面の一例を示す図である。一覧画面700には、請求書の情報の一覧が表示される。請求書の情報の項目としては、詳細、登録日、取引先、請求金額、適格請求書判定、コメント等がある。詳細には請求書を示すオブジェクトが表示される。オブジェクトが選択されると、制御部210は、該当する請求書データを一覧画面700の所定の領域に表示する。登録日にはデータ化され、情報処理システム1000に登録された日付が表示される。取引先には請求書の発行元の情報が表示される。請求金額には請求書で請求されている請求金額が表示される。適格請求書判定には、上述した適格請求書の判定の結果が表示される。判定の結果としては、要確認、適格、免税等が存在する。要確認は、適格請求書の複数の要件のうち少なくとも1つ以上の要件に漏れ又は不正確さがある可能性があることを示している。適格は、適格請求書の複数の要件のすべてを満たしていることを示している。免税は、請求書の発行元が免税事業者であることを示している。図7に示される適格のマークは、適格請求書の要件を満たすことを示す識別情報の一例である。要確認のマークは、適格請求書の要件に漏れ又は不正確さがある可能性があることを示す識別情報の一例である。免税のマークは、免税事業者の請求書であることを示す識別情報の一例である。すなわち、一覧画面に含まれるデータ化された請求書それぞれには、適格請求書の要件を満たすか、適格請求書の要件に漏れ又は不正確さがある可能性があるのか、免税事業者の請求書であるのか、の何れかであることを示す識別情報が付されている。コメントには該当する請求書に対するコメントの数が表示される。
【0029】
実施形態1によれば、制御部210は、請求書が電子化される度に図5に示されるようなメッセージを担当者に送信する。このことによって、担当者は請求書に適格請求書が満たすべき要件に係る漏れや不正確さがあるか否かを確認することができる。また、担当者はメッセージに含まれる確認ボタン等を選択することによって、適格請求書が満たすべき複数の要件のうちどの要件に関して漏れや不正確さがあるか否かを確認することができる。また、担当者は一覧画面を確認することによって、複数の請求書のうちどの請求書が適格請求書の要件を満たしており、どの請求書が漏れや不正確さがある可能性があり、どの請求書が免税事業者の請求書なのかを一目で確認することができる。
【0030】
(変形例1)
実施形態1の変形例を説明する。変形例においては実施形態1と異なる点を主に説明する。以下の変形例においても同様である。
【0031】
図8は、変形例1の情報処理システム1000における情報処理の一例を示すシーケンス図である。
シーケンスSQ801において、変形例1の制御部210は、サーバー装置100の学習モデル、又は予め定められた判定ロジックに基づき、請求書データが、適格請求書が満たすべき複数の要件を満たしているか否かを判定する。ここで、サーバー装置100の学習モデルは、例えば、請求書データを入力データ、請求書データに含まれる、適格請求書の複数の要件に該当する情報を出力データとして学習された学習済みモデルである。制御部210は、学習済みモデルから出力された情報に基づき、請求書が適格請求書の複数の要件を満たしているか否かを判定する。
【0032】
シーケンスSQ802において、制御部210は、シーケンスSQ407の判定結果とシーケンスSQ801の判定結果とに基づきメッセージを生成する。
例えば、制御部210は、シーケンスSQ407の判定結果とシーケンスSQ801の判定結果とで共に、請求書が適格請求書の満たすべき複数の要件のすべてを満たしていると判定した場合、請求書が適格請求書の要件を満たすとする。また、制御部210は、シーケンスSQ407の判定結果又はシーケンスSQ801の判定結果において複数の要件のうち1つの要件に関して適格請求書の要件に漏れ又は不正確さがある可能性があると判定した場合、請求書が適格請求書の要件に漏れ又は不正確さがある可能性があるとする。また、制御部210は、シーケンスSQ407の判定結果とシーケンスSQ801の判定結果とで共に、請求書が免税事業者の請求書である判定した場合、請求書が免税事業者の請求書であるとする。
【0033】
すなわち、制御部210は、適格請求書が満たすべき複数の要件のうち少なくとも1つ以上の要件に関して複数の方法を用いてそれぞれの方法において少なくとも1つ以上の要件を満たすか否かを判定する。複数の方法のうち1つの方法では、制御部210は、大規模言語モデルを用いて請求書から少なくとも1つ以上の要件に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、少なくとも1つ以上の要件を満たすか否かを判定する。
【0034】
シーケンスSQ803において、制御部210は、生成したメッセージをクライアント装置110に送信する。
メッセージをサーバー装置100より受信すると、シーケンスSQ804において、クライアント装置110の制御部310は、メッセージを出力部340等に表示する。
【0035】
変形例1によれば、複数の方法により請求書が適格請求書の要件を満たすか否かを判定するため、より精度のよい判定結果を提示することができる。
【0036】
(変形例2)
図9は、変形例2の詳細画面900の一例を示す図である。変形例2の詳細画面900では、実施形態1の詳細画面600と比べて、請求書の再発行を、請求書を発行した取引先に依頼する再発行依頼ボタン910が含まれている。すなわち、変形例2の制御部210は、判定の結果が少なくとも1つ以上の要件を満たしていないことを示していた場合、請求書に関する取引先への請求書の再発行の依頼を要求するための再発行依頼ボタン910を詳細画面に表示するよう制御する。再発行依頼ボタン910は、コントロールの一例である。
【0037】
再発行依頼ボタン910が選択された場合、制御部210は、少なくとも、該当する請求書の情報と、適格請求書の要件に漏れ又は不正確さがある可能性があると判定された原因の箇所と、含む請求書の再発行を依頼するメッセージを生成し、取引先に送信する。
【0038】
変形例2によれば、担当者は詳細画面において適格請求書の要件に漏れ又は不正確さがある可能性があると判定された原因の箇所はどこか確認し、取引先による請求書の記載等に問題があると判断した場合はすぐに取引祭に再発行を依頼することができる。
【0039】
<付記>
発明は、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0040】
(1)情報処理システムが実行する情報処理方法であって、請求書のデータ化が完了したことに基づきデータ化された請求書が適格請求書の要件を満たすか、適格請求書の要件に漏れ又は不正確さがある可能性があるのか、免税事業者の請求書であるのか、を判定し、判定の結果を担当者の端末装置に送信する、情報処理方法。
【0041】
(2)上記(1)に記載の情報処理方法において、データ化された請求書が適格請求書の要件に漏れ又は不正確さがある可能性がある請求書であると判定された場合、前記判定の結果と、前記請求書の再確認を要することを示す情報と、を前記端末装置に送信する、情報処理方法。
【0042】
(3)上記(1)又は(2)に記載の情報処理方法において、データ化された請求書が適格請求書の要件に漏れ又は不正確さがある可能性がある請求書であると判定された場合、前記判定の結果と、前記請求書の再確認を要することを示す情報と、前記判定の結果の詳細を確認するためのアクセス情報と、を前記端末装置に送信する、情報処理方法。
【0043】
(4)上記(1)から(3)までの何れか1つに記載の情報処理方法において、データ化された請求書の一覧の画面を表示するよう制御し、前記一覧の画面に含まれるデータ化された請求書それぞれには、適格請求書の要件を満たすか、適格請求書の要件に漏れ又は不正確さがある可能性があるのか、免税事業者の請求書であるのか、の何れかであることを示す識別情報が付される、情報処理方法。
【0044】
(5)上記(1)から(4)までの何れか1つに記載の情報処理方法において、請求書のデータと、適格請求書が満たすべき複数の要件のうち少なくとも1つ以上の要件に関する情報の取得指示と、を含む要求を生成し、前記要求を大規模言語モデルに送信し、前記大規模言語モデルから前記要件に関する情報を受け取り、前記要件に関する情報に基づき前記複数の要件のうち少なくとも前記1つ以上の要件を満たしているか否かを判定する、情報処理方法。
【0045】
(6)上記(5)に記載の情報処理方法において、前記1つ以上の要件には、適格請求書が満たすべき要件の1つである、課税資産の譲渡等を行った年月日、が含まれる、情報処理方法。
【0046】
(7)上記(1)から(6)までの何れか1つに記載の情報処理方法において、適格請求書が満たすべき複数の要件のうち少なくとも1つ以上の要件に関して複数の方法を用いてそれぞれの方法において前記少なくとも1つ以上の要件を満たすか否かを判定し、前記複数の方法のうち1つの方法では、大規模言語モデルを用いて請求書から前記少なくとも1つ以上の要件に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、前記少なくとも1つ以上の要件を満たすか否かを判定する、情報処理方法。
【0047】
(8)上記(1)から(7)までの何れか1つに記載の情報処理方法において、前記請求書の詳細画面の表示要件を受け取った場合に、前記請求書の詳細画面を表示するよう制御し、前記詳細画面では、適格請求書の要件を満たすか、適格請求書の要件に漏れ又は不正確さがある可能性があるのか、免税事業者の請求書であるのか、の判定の結果に関する情報が含まれる、情報処理方法。
【0048】
(9)上記(8)に記載の情報処理方法において、前記詳細画面では、前記請求書に関する、適格請求書が満たすべき複数の要件のうち少なくとも1つ以上の要件に関する情報が含まれる、情報処理方法。
【0049】
(10)上記(9)に記載の情報処理方法において、前記適格請求書が満たすべき複数の要件のうち少なくとも1つ以上の要件に関する情報は、大規模言語モデルから受け取った情報である、情報処理方法。
【0050】
(11)上記(8)から(10)までの何れか1つに記載の情報処理方法において、判定の結果が前記少なくとも1つ以上の要件を満たしていないことを示していた場合、前記請求書に関する取引先への前記請求書の再発行の依頼を要求するためのコントロールを前記詳細画面に表示するよう制御する、情報処理方法。
【0051】
(12)情報処理システムであって、請求書のデータ化が完了したことに基づきデータ化された請求書が適格請求書の要件を満たすか、適格請求書の要件に漏れ又は不正確さがある可能性があるのか、免税事業者の請求書であるのか、を判定し、判定の結果を担当者の端末装置に送信する、情報処理システム。
【0052】
(13)プログラムであって、コンピュータに、上記(1)から(11)までの何れか1つに記載の情報処理方法を実行させるためのプログラム。
もちろん、この限りではない。
【0053】
例えば、上述のプログラムを記憶させる、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体として提供してもよい。
また、上述した実施形態等ではサーバー装置100が画面を生成し、クライアント装置110等に送信するように説明した。しかし、サーバー装置100が画面を生成するためのデータをクライアント装置110等に送信する。クライアント装置110等は、サーバー装置100から受信したデータに基づき画面を生成し、表示するようにしてもよい。この様な場合、クライアント装置110が画面を生成するためのデータを生成し、クライアント装置110等に送信する処理は、画面を表示するよう制御する処理の一例である。
【0054】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0055】
100 :サーバー装置
110 :クライアント装置
150 :ネットワーク
210 :制御部
220 :記憶部
230 :通信部
310 :制御部
320 :記憶部
330 :入力部
340 :出力部
350 :通信部
500 :画面
510 :判定結果
520 :メッセージ内容
530 :確認ボタン
600 :詳細画面
610 :領域
620 :領域
630 :判定結果
640 :項目
650 :請求書管理
700 :一覧画面
900 :詳細画面
910 :再発行依頼ボタン
1000 :情報処理システム
1100 :他の情報処理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-12-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムが実行する情報処理方法であって、
請求書のデータ化が完了したことに基づきデータ化された請求書と、前記データ化された請求書から適格請求書が満たすべき要件に関する情報を取得する旨の指示情報と、を含む要求を生成し、
前記適格請求書が満たすべき要件に関する情報少なくとも適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号が含まれ、
生成した前記要求を大規模言語モデルに送信し、
前記大規模言語モデルから出力された、前記データ化された請求書から取得された適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号を取得し、
前記登録番号に基づき所定のシステムより前記請求書に関する取引先名を取得し、取得した取引先名が前記適格請求書発行事業者の氏名又は名称と一致するか否かを判定し、
判定の結果に基づきデータ化された請求書が適格請求書の要件を満たす請求書か否かを判定し、
請求書が適格請求書の要件を満たす請求書でないと判定された場合には、請求書のデータ化が完了したことを示す情報と、データ化が完了した項目と、適格請求書の要件を満たす請求書か否かの判定の結果と、請求書の適格請求書に係る判定結果の詳細を確認するためのアクセス情報と、を含むメッセージを担当者の端末装置に送信する、情報処理方法。
【請求項2】
情報処理システムであって、
請求書のデータ化が完了したことに基づきデータ化された請求書と、前記データ化された請求書から適格請求書が満たすべき要件に関する情報を取得する指示情報と、を含む要求を生成し、
前記適格請求書が満たすべき要件に関する情報少なくとも適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号が含まれ、
生成した前記要求を大規模言語モデルに送信し、
前記大規模言語モデルから出力された、前記データ化された請求書から取得された適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号を取得し、
前記登録番号に基づき所定のシステムより前記請求書に関する取引先名を取得し、取得した取引先名が前記適格請求書発行事業者の氏名又は名称と一致するか否かを判定し、
判定の結果に基づきデータ化された請求書が適格請求書の要件を満たす請求書か否かを判定し、
請求書が適格請求書の要件を満たす請求書でないと判定された場合には、請求書のデータ化が完了したことを示す情報と、データ化が完了した項目と、適格請求書の要件を満たす請求書か否かの判定の結果と、請求書の適格請求書に係る判定結果の詳細を確認するためのアクセス情報と、を含むメッセージを担当者の端末装置に送信する、情報処理システム。
【請求項3】
プログラムであって、
コンピュータに、
請求項1に記載の情報処理方法を実行させるためのプログラム。