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特開2024-179037翻訳方法、翻訳システム、翻訳サーバ及び翻訳プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179037
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】翻訳方法、翻訳システム、翻訳サーバ及び翻訳プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 40/51 20200101AFI20241219BHJP
   G06F 40/30 20200101ALI20241219BHJP
   G06F 40/58 20200101ALI20241219BHJP
【FI】
G06F40/51
G06F40/30
G06F40/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097528
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】501359238
【氏名又は名称】水素パワー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】菱田 伸二
(57)【要約】
【課題】迅速に誤訳のない適正な翻訳文を得ることができ、円滑にコミュニケーションを図ることが可能な翻訳方法等を提供する。
【解決手段】(a)第1言語による原文を該第1言語と異なる第2言語へ翻訳し、(b)第2言語への翻訳文又は該翻訳文の誤訳を修正した修正文を前記第1言語へ逆翻訳し、(c)逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じであるか否かを判断し、(d)意味が同じであると判断された場合には、前記翻訳文又は該翻訳文の修正文を適正翻訳文として翻訳処理を終了し、意味が同じでないと判断された場合には、前記逆翻訳文を修正して修正逆翻訳文を生成し、適正翻訳文が得られるまで前記(a)~(d)のステップを繰り返す(2回目以降の(a)~(d)のステップでは、「原文」が「修正逆翻訳文」に置き換わる)翻訳方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1言語による原文を該第1言語と異なる第2言語へ翻訳し、
(b)第2言語への翻訳文又は該翻訳文の誤訳を修正した修正文を前記第1言語へ逆翻訳し、
(c)逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じであるか否かを判断し、
(d)意味が同じであると判断された場合には、前記翻訳文又は該翻訳文の修正文を適正翻訳文として翻訳処理を終了し、
意味が同じでないと判断された場合には、前記逆翻訳文を修正して修正逆翻訳文を生成し、適正翻訳文が得られるまで前記(a)~(d)のステップを繰り返す(2回目以降の(a)~(d)のステップでは、「原文」が「修正逆翻訳文」に置き換わる)ことを特徴とする翻訳方法。
【請求項2】
入力装置と、該入力装置から入力された第1言語による原文を該第1言語と異なる第2言語へ翻訳するサーバとを備える翻訳システムであって、該サーバは、
前記第1言語による原文を前記第2言語へ機械翻訳する機械翻訳部と、
該機械翻訳部による翻訳文に誤訳があるか否かを判断する誤訳判断部と、
該誤訳判断部が誤訳があると判断した場合に前記翻訳文を修正する誤訳修正部と、
前記機械翻訳部による翻訳文又は前記誤訳修正部による修正文を前記第1言語へ逆翻訳する逆翻訳部と、
該逆翻訳部による逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じであるか否かを判断する逆翻訳文比較部と、
該逆翻訳文比較部によって前記逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じであると判断された場合には、前記翻訳文又は前記修正文を適正翻訳文として出力する適正翻訳文出力部と、
前記逆翻訳文比較部によって前記逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じでないと判断された場合には、前記逆翻訳文を修正する逆翻訳文修正部とを備え、
(a)入力された原文を前記機械翻訳部によって翻訳し、
(b)前記誤訳判断部からの翻訳文又は前記誤訳修正部からの修正翻訳文を前記逆翻訳部によって前記第1言語へ逆翻訳し、
(c)前記逆翻訳文比較部によって前記逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じであるか否かを判断し、
(d)意味が同じであると判断された場合には、前記翻訳文又は該翻訳文の修正文を適正翻訳文として前記適正翻訳文出力部から出力し、
意味が同じでないと判断された場合には、前記逆翻訳文修正部によって逆翻訳文を修正して修正逆翻訳文を生成し、適正翻訳文が得られるまで前記(a)~(d)のステップを繰り返す(2回目以降の(a)~(d)のステップでは、「原文」が「修正逆翻訳文」に置き換わる)ことを特徴とする翻訳システム。
【請求項3】
入力された第1言語による原文を該第1言語と異なる第2言語へ翻訳する翻訳サーバであって、
前記第1言語による原文を前記第2言語へ機械翻訳する機械翻訳部と、
該機械翻訳部による翻訳文に誤訳があるか否かを判断する誤訳判断部と、
該誤訳判断部が誤訳があると判断した場合に前記翻訳文を修正する誤訳修正部と、
前記機械翻訳部による翻訳文又は前記誤訳修正部による修正文を前記第1言語へ逆翻訳する逆翻訳部と、
該逆翻訳部による逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じであるか否かを判断する逆翻訳文比較部と、
該逆翻訳文比較部によって前記逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じであると判断された場合には、前記翻訳文又は前記修正文を適正翻訳文として出力する適正翻訳文出力部と、
前記逆翻訳文比較部によって前記逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じでないと判断された場合には、前記逆翻訳文を修正する逆翻訳文修正部とを備え、
(a)入力された原文を前記機械翻訳部によって翻訳し、
(b)前記誤訳判断部からの翻訳文又は前記誤訳修正部からの修正翻訳文を前記逆翻訳部によって前記第1言語へ逆翻訳し、
(c)前記逆翻訳文比較部によって前記逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じであるか否かを判断し、
(d)意味が同じであると判断された場合には、前記翻訳文又は該翻訳文の修正文を適正翻訳文として前記適正翻訳文出力部から出力し、
意味が同じでないと判断された場合には、前記逆翻訳文修正部によって逆翻訳文を修正して修正逆翻訳文を生成し、適正翻訳文が得られるまで前記(a)~(d)のステップを繰り返す(2回目以降の(a)~(d)のステップでは、「原文」が「修正逆翻訳文」に置き換わる)ことを特徴とする翻訳サーバ。
【請求項4】
第1言語と、前記第1言語とは異なる第2言語との間の翻訳処理を行うための翻訳プログラムであって、
前記第1言語による原文を前記第2言語へ機械翻訳する機械翻訳部と、
該機械翻訳部による翻訳文に誤訳があるか否かを判断する誤訳判断部と、
該誤訳判断部が誤訳があると判断した場合に前記翻訳文を修正する誤訳修正部と、
前記機械翻訳部による翻訳文又は前記誤訳修正部による修正文を前記第1言語へ逆翻訳する逆翻訳部と、
該逆翻訳部による逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じであるか否かを判断する逆翻訳文比較部と、
該逆翻訳文比較部によって前記逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じであると判断された場合には、前記翻訳文又は前記修正文を適正翻訳文として出力する適正翻訳文出力部と、
前記逆翻訳文比較部によって前記逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じでないと判断された場合には、前記逆翻訳文を修正する逆翻訳文修正部とを備える翻訳サーバを、
(a)入力された原文を前記機械翻訳部によって翻訳し、
(b)前記誤訳判断部からの翻訳文又は前記誤訳修正部からの修正翻訳文を前記逆翻訳部によって前記第1言語へ逆翻訳し、
(c)前記逆翻訳文比較部によって前記逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じであるか否かを判断し、
(d)意味が同じであると判断された場合には、前記翻訳文又は該翻訳文の修正文を適正翻訳文として前記適正翻訳文出力部から出力し、
意味が同じでないと判断された場合には、前記逆翻訳文修正部によって逆翻訳文を修正して修正逆翻訳文を生成し、適正翻訳文が得られるまで前記(a)~(d)のステップを繰り返す(2回目以降の(a)~(d)のステップでは、「原文」が「修正逆翻訳文」に置き換わる)ように機能させることを特徴とする翻訳プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1言語と、第1言語と異なる第2言語との間の翻訳処理を行う翻訳方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
翻訳技術は、異なる言語間で情報を伝達するための重要な手段であり、ビジネス、教育、科学、エンターテイメント等、様々な分野で広く利用されている。特に、グローバル化が進む現代社会において、翻訳技術の重要性はますます高まっている。
【0003】
近年、人工知能技術の発展により機械翻訳の精度は大幅に向上しており、特に、ニューラルネットワークを用いた機械翻訳(以下「NMT」という。)は、従来の統計的機械翻訳に比べてより自然で高品質な翻訳を実現している。
【0004】
しかし、NMTもまた、誤訳や不自然な翻訳を生じることがある。これらの誤訳や不自然な翻訳を解決するためには、翻訳結果を確認し、必要に応じて修正することが必要であるが、この作業は時間と労力を必要とする。また、翻訳結果の確認と修正を行うには、言語能力だけでなく、翻訳技術に関する知識も必要とする。
【0005】
特許文献1は、機械翻訳装置の誤訳問題を解決する方法を提案しており、この方法では、第1言語の原文を取得し、それを第2言語に翻訳した翻訳文を生成する。翻訳文が適正に翻訳されていない場合(つまり誤訳が生じた場合)、原文と誤訳文を含む対訳データを生成し、端末装置で誤訳文が適正に修正され、修正翻訳文が生成される。そして、原文と修正翻訳文を含む修正対訳データが機械翻訳装置に戻され、この修正対訳データは、機械翻訳装置の記憶部に登録される。
【0006】
上記方法により、原文と翻訳文とを対にした例文を多数収集することができ、機械翻訳装置の翻訳性能を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-20950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献に記載の技術では、機械翻訳装置の翻訳性能を向上させることはできるが、迅速に誤訳のない適正な翻訳文を得ることはできず、円滑にコミュニケーションをとるためには不充分である。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、迅速に誤訳のない適正な翻訳文を得ることができ、円滑にコミュニケーションを図ることが可能な翻訳方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、翻訳方法であって、(a)第1言語による原文を該第1言語と異なる第2言語へ翻訳し、(b)第2言語への翻訳文又は該翻訳文の誤訳を修正した修正文を前記第1言語へ逆翻訳し、(c)逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じであるか否かを判断し、(d)意味が同じであると判断された場合には、前記翻訳文又は該翻訳文の修正文を適正翻訳文として翻訳処理を終了し、意味が同じでないと判断された場合には、前記逆翻訳文を修正して修正逆翻訳文を生成し、適正翻訳文が得られるまで前記(a)~(d)のステップを繰り返す(2回目以降の(a)~(d)のステップでは、「原文」が「修正逆翻訳文」に置き換わる)ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、翻訳システムであって、入力装置と、該入力装置から入力された第1言語による原文を該第1言語と異なる第2言語へ翻訳するサーバとを備える翻訳システムであって、該サーバは、前記第1言語による原文を前記第2言語へ機械翻訳する機械翻訳部と、該機械翻訳部による翻訳文に誤訳があるか否かを判断する誤訳判断部と、該誤訳判断部が誤訳があると判断した場合に前記翻訳文を修正する誤訳修正部と、前記機械翻訳部による翻訳文又は前記誤訳修正部による修正文を前記第1言語へ逆翻訳する逆翻訳部と、該逆翻訳部による逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じであるか否かを判断する逆翻訳文比較部と、該逆翻訳文比較部によって前記逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じであると判断された場合には、前記翻訳文又は前記修正文を適正翻訳文として出力する適正翻訳文出力部と、前記逆翻訳文比較部によって前記逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じでないと判断された場合には、前記逆翻訳文を修正する逆翻訳文修正部とを備え、(a)入力された原文を前記機械翻訳部によって翻訳し、(b)前記誤訳判断部からの翻訳文又は前記誤訳修正部からの修正翻訳文を前記逆翻訳部によって前記第1言語へ逆翻訳し、(c)前記逆翻訳文比較部によって前記逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じであるか否かを判断し、(d)意味が同じであると判断された場合には、前記翻訳文又は該翻訳文の修正文を適正翻訳文として前記適正翻訳文出力部から出力し、意味が同じでないと判断された場合には、前記逆翻訳文修正部によって逆翻訳文を修正して修正逆翻訳文を生成し、適正翻訳文が得られるまで前記(a)~(d)のステップを繰り返す(2回目以降の(a)~(d)のステップでは、「原文」が「修正逆翻訳文」に置き換わる)ことを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明は、翻訳サーバであって、入力された第1言語による原文を該第1言語と異なる第2言語へ翻訳する翻訳サーバであって、前記第1言語による原文を前記第2言語へ機械翻訳する機械翻訳部と、該機械翻訳部による翻訳文に誤訳があるか否かを判断する誤訳判断部と、該誤訳判断部が誤訳があると判断した場合に前記翻訳文を修正する誤訳修正部と、前記機械翻訳部による翻訳文又は前記誤訳修正部による修正文を前記第1言語へ逆翻訳する逆翻訳部と、該逆翻訳部による逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じであるか否かを判断する逆翻訳文比較部と、該逆翻訳文比較部によって前記逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じであると判断された場合には、前記翻訳文又は前記修正文を適正翻訳文として出力する適正翻訳文出力部と、前記逆翻訳文比較部によって前記逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じでないと判断された場合には、前記逆翻訳文を修正する逆翻訳文修正部とを備え、(a)入力された原文を前記機械翻訳部によって翻訳し、(b)前記誤訳判断部からの翻訳文又は前記誤訳修正部からの修正翻訳文を前記逆翻訳部によって前記第1言語へ逆翻訳し、(c)前記逆翻訳文比較部によって前記逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じであるか否かを判断し、(d)意味が同じであると判断された場合には、前記翻訳文又は該翻訳文の修正文を適正翻訳文として前記適正翻訳文出力部から出力し、意味が同じでないと判断された場合には、前記逆翻訳文修正部によって逆翻訳文を修正して修正逆翻訳文を生成し、適正翻訳文が得られるまで前記(a)~(d)のステップを繰り返す(2回目以降の(a)~(d)のステップでは、「原文」が「修正逆翻訳文」に置き換わる)ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、翻訳プログラムであって、第1言語と、前記第1言語とは異なる第2言語との間の翻訳処理を行うための翻訳プログラムであって、前記第1言語による原文を前記第2言語へ機械翻訳する機械翻訳部と、該機械翻訳部による翻訳文に誤訳があるか否かを判断する誤訳判断部と、該誤訳判断部が誤訳があると判断した場合に前記翻訳文を修正する誤訳修正部と、前記機械翻訳部による翻訳文又は前記誤訳修正部による修正文を前記第1言語へ逆翻訳する逆翻訳部と、該逆翻訳部による逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じであるか否かを判断する逆翻訳文比較部と、該逆翻訳文比較部によって前記逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じであると判断された場合には、前記翻訳文又は前記修正文を適正翻訳文として出力する適正翻訳文出力部と、前記逆翻訳文比較部によって前記逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じでないと判断された場合には、前記逆翻訳文を修正する逆翻訳文修正部とを備える翻訳サーバを、(a)入力された原文を前記機械翻訳部によって翻訳し、(b)前記誤訳判断部からの翻訳文又は前記誤訳修正部からの修正翻訳文を前記逆翻訳部によって前記第1言語へ逆翻訳し、(c)前記逆翻訳文比較部によって前記逆翻訳文の意味と前記原文の意味が同じであるか否かを判断し、(d)意味が同じであると判断された場合には、前記翻訳文又は該翻訳文の修正文を適正翻訳文として前記適正翻訳文出力部から出力し、意味が同じでないと判断された場合には、前記逆翻訳文修正部によって逆翻訳文を修正して修正逆翻訳文を生成し、適正翻訳文が得られるまで前記(a)~(d)のステップを繰り返す(2回目以降の(a)~(d)のステップでは、「原文」が「修正逆翻訳文」に置き換わる)ように機能させることを特徴とする。
【0014】
上記本発明に係る翻訳方法等によれば、迅速に誤訳のない適正な翻訳文を得ることができ、円滑にコミュニケーションを図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る翻訳システムの一実施の形態を示す全体構成図である。
図2図1に示す翻訳システムに設置された翻訳サーバの構成図である。
図3図1に示す翻訳システムによる翻訳処理について説明するためのフローチャートである。
図4図1に示す翻訳システムによる翻訳処理について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る翻訳システムの一実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0017】
図1に示すように、この翻訳システム1は、翻訳サーバ(以下「サーバ」という。)2と、入力装置3とを備える。サーバ2は、インターネット等のネットワーク5を介して入力装置3及び複数の端末装置4と通信可能に接続される。
【0018】
入力装置3は、例えば、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、パーソナルコンピュータである。この入力装置3は、発信者による翻訳対象である第1言語(例えば、日本語)の原文の入力を受け付けるために備えられ、原文は、音声入力又はテキスト入力される。音声入力の場合、入力装置3は、発信者による翻訳対象である第1言語の原文の音声入力を受け付けるマイクと、マイクによって入力された音声をテキストデータに変換する音声変換部とを備える。テキスト入力の場合、入力装置3は、原文のテキスト入力を受け付ける入力部を備えてもよい。入力部は、例えば、キーボード、マウス又はタッチパネルである。入力装置3は、発信者によって入力された翻訳対象の原文データをサーバ2へ送信する。
【0019】
サーバ2は、第1言語と、第1言語とは異なる第2言語(例えば、英語)との間の翻訳処理を行うために設けられ、図2に示すように、原文取得部11、機械翻訳部12、誤訳判断部13、誤訳修正部14、翻訳文出力部15、逆翻訳部16、逆翻訳文比較部17、逆翻訳文修正部18及び適正翻訳文出力部19を備える。
【0020】
原文取得部11は、翻訳対象である第1言語の原文データを取得する。原文取得部11は、第1言語の原文データを入力装置3から受信し、機械翻訳部12へ出力する。
【0021】
機械翻訳部12は、原文取得部11によって取得された第1言語の原文データを、第1言語とは異なる第2言語に翻訳した翻訳文を生成する。機械翻訳部12は、統計的機械翻訳、ニューラルネットによる翻訳、又はルールベース型翻訳等を用いて機械翻訳し、機械翻訳部12が用いる機械翻訳方法については特に限定されない。機械翻訳部12は、翻訳した翻訳文データを誤訳判断部13へ出力する。
【0022】
誤訳判断部13は、機械翻訳部12が翻訳した翻訳文データが適正に翻訳されているか否かを判断し、翻訳文が適正に翻訳されていると判断した場合には、翻訳文出力部15に翻訳文を出力する。一方、翻訳文が適正に翻訳されていないと判断した場合には、誤訳修正部14に翻訳文データを出力する。誤訳判断部13における誤訳の判断は,CHATGPT等の人工知能を用いて行う。ここでの誤訳の判断は、翻訳文の文脈が適切か否か、欠落している表現や単語がないか、誤字がないかなど、第2言語としての文章が適切なものであるか否かを中心に行う。尚、当該翻訳文の誤訳の有無は、発信者が判断することもでき、その場合は端末装置4等を用いて誤訳の有無を入力し、翻訳文が適正に翻訳されているか判断する。
【0023】
誤訳修正部14は、誤訳判断部13により適正に翻訳されていないと判断された誤訳等を含む翻訳文を修正し、修正した翻訳文データを翻訳文出力部15へ出力する。誤訳修正部14における翻訳文の修正は、CHATGPT等の人工知能を用いて行う。尚、当該翻訳文の修正は、発信者により修正することもでき、その場合は端末装置4等を用いて翻訳文の修正データを入力する。
【0024】
逆翻訳部16は、翻訳文出力部15から入力された翻訳文を第1言語に翻訳した逆翻訳文を生成する。逆翻訳部16は、機械翻訳部12の機械翻訳モデルを翻訳文に適用することにより逆翻訳文を生成する。
【0025】
逆翻訳文比較部17は、逆翻訳部16から入力された逆翻訳文の意味と原文の意味が同じであるか否かを判断する。両者の意味が同じであると判断した場合には、前記翻訳文を適正翻訳文として適正翻訳文出力部19に出力する。一方、逆翻訳文比較部17は、意味が同じでないと判断した場合には、前記翻訳文を逆翻訳文修正部18に出力する。
【0026】
逆翻訳文修正部18は、逆翻訳文比較部17から入力された逆翻訳文を修正して機械翻訳部12に出力する。
【0027】
適正翻訳文出力部19は、逆翻訳文比較部17から入力された適正翻訳文を端末装置4に出力する。
【0028】
複数の端末装置4の各々は、例えば、スマートフォン、タブレット型コンピュータ又はパーソナルコンピュータである。尚、本実施の形態では、複数の端末装置4が配置されているが、少なくとも1つの端末装置4が配置されていればよい。また、端末装置4はマイク等の音声データを出力する音声出力部を備えてもよい。
【0029】
複数の端末装置4の各々は、適正翻訳文をサーバ2から受信する。また、端末装置4の各々は、逆翻訳文の修正を受け付けることもでき、逆翻訳文を正しく修正した修正逆翻訳文をサーバ2へ送信することもできる。
【0030】
次に、上記構成を有する翻訳システム1におけるサーバ2での翻訳処理について、図3及び図4を中心に参照しながら説明する。尚、図3及び図4のフローチャートのルートが分岐するステップにおいては、下方向がYes、横方向がNoに対応する。また、各ステップを行うサーバ2の各部の記載を省略する。
【0031】
まず、ステップS1において、入力装置3は、翻訳対象である第1言語の原文の発信者による入力を受け付ける。尚、原文の入力は、音声入力又はテキスト入力によって行われる。
【0032】
次に、ステップS2において、入力装置3は、発信者による原文の入力が完了したか否かを判断する。ここで、原文の入力が完了していないと判断された場合には(ステップS2;NO)、ステップS1の処理に戻る。
【0033】
一方、原文の入力が完了した場合には(ステップS2;YES)、ステップS3において、サーバ2は、発信者によって入力された原文を入力装置3から取得する。
【0034】
次に、ステップS4において、第1言語の原文を第2言語に翻訳して翻訳文を生成する。
【0035】
次に、ステップS5において、翻訳文の修正が必要か否かを判断する。ここで、翻訳文の修正が必要ない場合には(ステップS5;NO)、ステップS6において、翻訳文を逆翻訳し、逆翻訳文を生成する。
【0036】
ステップS7において、ステップS6で生成された逆翻訳文と原文を比較し、逆翻訳文と原文の意味が同じであると判断された場合には(ステップS7;YES)、ステップS8において翻訳文を適正翻訳文として処理を終了する。尚、ステップS7において逆翻訳文と原文の意味が同じではないと判断された場合(ステップS7;NO)の処理については後述する。
【0037】
一方、ステップS5において、翻訳文の修正が必要であると判断された場合には(ステップS5;YES)、ステップS9において翻訳文を修正して修正翻訳文を生成し、ステップS10において修正翻訳文を逆翻訳し、ステップS11において、ステップS10で生成された修正逆翻訳文と原文を比較し、修正逆翻訳文と原文の意味が同じであると判断された場合には(ステップS11;YES)、ステップS12において、修正翻訳文を適正翻訳文として処理を終了する。尚、ステップS11において修正逆翻訳文と原文の意味が同じではないと判断された場合(ステップS11;NO)の処理については後述する。
【0038】
次に、図3のステップS7において、逆翻訳文と原文の意味が同じでないと判断された場合(ステップS7;NO、※A以降の処理)について図4を参照しながら説明する。
【0039】
ステップS14において、逆翻訳文を修正して修正逆翻訳文を生成し、ステップS15において、修正逆翻訳文を翻訳して修正逆翻訳文の翻訳文(以下「翻訳文A」と略称する。)を生成する。
【0040】
それ以降は、上記ステップS5~S12と同様に、ステップS16において、翻訳文Aの修正が必要か否かを判断し、翻訳文Aの修正が必要ない場合には(ステップS16;NO)、ステップS17において、翻訳文Aを逆翻訳し、ステップS18において、ステップS17で生成された逆翻訳文と、ステップS14で生成された修正逆翻訳文を比較し、逆翻訳文と修正逆翻訳文の意味が同じであると判断された場合には(ステップS18;YES)、ステップS19において翻訳文Aを適正翻訳文として処理を終了する。
【0041】
一方、ステップS18において、逆翻訳文と修正逆翻訳文の意味が同じでないと判断された場合には(ステップS18;NO)、ステップS14以降と同様に処理する。
【0042】
また、ステップS16において、翻訳文Aの修正が必要であると判断された場合には(ステップS16;YES)、ステップS20において、翻訳文Aを修正して修正翻訳文を生成し、ステップS21において修正翻訳文を逆翻訳して修正逆翻訳文を生成し、ステップS22において、ステップS21で生成された修正逆翻訳文と修正翻訳文を比較し、修正逆翻訳文と修正翻訳文の意味が同じであると判断された場合には(ステップS22;YES)、ステップS23において、修正翻訳文を適正翻訳文として処理を終了する。
【0043】
一方、ステップS22において、修正逆翻訳文と修正逆翻訳文の意味が同じでないと判断された場合には(ステップS22;NO)、ステップS14以降と同様に処理する。
【0044】
また、図3のステップS11において修正逆翻訳文と原文の意味が同じではないと判断された場合(ステップS11;NO)の処理(※B以降の処理)も図4の※A以降の処理と同様に行う。
【0045】
尚、上記実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0046】
1 翻訳システム
2 サーバ
3 入力装置
4 端末装置
5 ネットワーク
11 原文取得部
12 機械翻訳部
13 誤訳判断部
14 誤訳修正部
15 翻訳文出力部
16 逆翻訳部
17 逆翻訳文比較部
18 逆翻訳文修正部
19 適正翻訳文出力部
図1
図2
図3
図4