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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179044
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】光変調器及び光変調器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/017 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
G02F1/017 503
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097537
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】田中 肇
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA17
2K102AA21
2K102BA03
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC04
2K102DA05
2K102DA08
2K102DA11
2K102DB05
2K102DC08
2K102DD03
2K102EA08
2K102EA17
2K102EA18
(57)【要約】
【課題】マッハツェンダ変調部の各導波路に入力される光の強度を低減できる光変調器及び光変調器の製造方法を提供する。
【解決手段】光変調器は、第1導波路及び第2導波路を有する第1マッハツェンダ変調部と、第3導波路及び第4導波路を有する第2マッハツェンダ変調部と、第1マッハツェンダ変調部及び第2マッハツェンダ変調部に光学的に結合された第3マッハツェンダ変調部と、を備える。第3マッハツェンダ変調部は、第1導波路の出力端に光学的に結合された入力端を有する第5導波路と、第2導波路の出力端に光学的に結合された入力端を有する第6導波路と、第3導波路の出力端に光学的に結合された入力端を有する第7導波路と、第4導波路の出力端に光学的に結合された入力端を有する第8導波路と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導波路及び第2導波路を有する第1マッハツェンダ変調部と、
第3導波路及び第4導波路を有する第2マッハツェンダ変調部と、
前記第1マッハツェンダ変調部及び前記第2マッハツェンダ変調部に光学的に結合された第3マッハツェンダ変調部と、
前記第3マッハツェンダ変調部に光学的に結合された光カプラと、
を備え、
前記第3マッハツェンダ変調部は、
前記第1導波路の出力端に光学的に結合された入力端を有する第5導波路と、
前記第2導波路の出力端に光学的に結合された入力端を有する第6導波路と、
前記第3導波路の出力端に光学的に結合された入力端を有する第7導波路と、
前記第4導波路の出力端に光学的に結合された入力端を有する第8導波路と、
前記第5導波路及び前記第6導波路に接続された第1電極と、
前記第7導波路及び前記第8導波路に接続された第2電極と、
を備え、
前記光カプラは、前記第5導波路の出力端、前記第6導波路の出力端、前記第7導波路の出力端及び前記第8導波路の出力端に光学的に結合されている、光変調器。
【請求項2】
前記第1導波路の前記出力端と前記第5導波路の前記入力端とを接続する第9導波路を更に備え、
前記第9導波路の上部クラッドは、第1導電型の半導体層を含み、
前記第1導波路及び前記第5導波路のそれぞれの上部クラッドは、第2導電型の半導体層を含む、請求項1に記載の光変調器。
【請求項3】
前記光カプラは、
前記第5導波路の前記出力端及び前記第6導波路の前記出力端に光学的に結合された第1光カプラと、
前記第7導波路の前記出力端及び前記第8導波路の前記出力端に光学的に結合された第2光カプラと、
前記第1光カプラ及び前記第2光カプラに光学的に結合された第3光カプラと、
を備える、請求項1または請求項2に記載の光変調器。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の光変調器を準備する工程であり、前記光変調器は、前記第1導波路に接続された第3電極と、前記第2導波路に接続された第4電極と、前記第3導波路に接続された第5電極と、前記第4導波路に接続された第6電極と、を更に備える、工程と、
前記第3電極及び前記第4電極に印加する電圧を調整する工程と、
前記第5電極及び前記第6電極に印加する電圧を調整する工程と、
前記第3電極、前記第4電極、前記第5電極、及び前記第6電極に印加する電圧の調整結果に基づいて、前記第1電極及び前記第2電極に印加する電圧を調整する工程と、
前記第1電極及び前記第2電極に印加する電圧の調整結果に基づいて、前記第3電極及び前記第4電極に印加する電圧又は前記第5電極及び前記第6電極に印加する電圧を再調整する工程と、
を含む、光変調器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光変調器及び光変調器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、光変調器を開示する。この光変調器は、第1マッハツェンダ変調部及び第2マッハツェンダ変調部を備える。第1マッハツェンダ変調部は、第1導波路及び第2導波路を備える。第2マッハツェンダ変調部は、第3導波路及び第4導波路を備える。第1導波路及び第2導波路の出力端は、光カプラを介して第5導波路に光学的に結合される。第3導波路及び第4導波路の出力端は、光カプラを介して第6導波路に光学的に結合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-33042号公報
【特許文献2】米国特許第9069223号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の光変調器では、入力導波路からの光が第1導波路及び第2導波路を伝搬し、各導波路を伝搬した光が光カプラによって合成される。同様に、入力導波路からの光が第3導波路及び第4導波路を伝搬し、各導波路を伝搬した光が光カプラによって合成される。そして、光カプラによって合成された光は、第5導波路及び第6導波路に導かれる。この場合、第5導波路を伝搬する光の強度は、第1導波路を伝搬する光の強度と第2導波路を伝搬する光の強度との合計値になる。第6導波路を伝搬する光の強度は、第3導波路を伝搬する光の強度と第4導波路を伝搬する光の強度との合計値になる。よって、第5導波路及び第6導波路を有するマッハツェンダ変調部を用いる場合、マッハツェンダ変調部の各導波路に入力される光の強度が、第1導波路から第4導波路の各導波路を伝搬する光の強度よりも高くなる。
【0005】
本開示は、マッハツェンダ変調部の各導波路に入力される光の強度を低減できる光変調器及び光変調器の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る光変調器は、第1導波路及び第2導波路を有する第1マッハツェンダ変調部と、第3導波路及び第4導波路を有する第2マッハツェンダ変調部と、前記第1マッハツェンダ変調部及び前記第2マッハツェンダ変調部に光学的に結合された第3マッハツェンダ変調部と、前記第3マッハツェンダ変調部に光学的に結合された光カプラと、を備え、前記第3マッハツェンダ変調部は、前記第1導波路の出力端に光学的に結合された入力端を有する第5導波路と、前記第2導波路の出力端に光学的に結合された入力端を有する第6導波路と、前記第3導波路の出力端に光学的に結合された入力端を有する第7導波路と、前記第4導波路の出力端に光学的に結合された入力端を有する第8導波路と、前記第5導波路及び前記第6導波路に接続された第1電極と、前記第7導波路及び前記第8導波路に接続された第2電極と、を備え、前記光カプラは、前記第5導波路の出力端、前記第6導波路の出力端、前記第7導波路の出力端及び前記第8導波路の出力端に光学的に結合されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、マッハツェンダ変調部の各導波路に入力される光の強度を低減できる光変調器及び光変調器の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る光変調器を模式的に示す平面図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。
図3図3は、図1のIII-III線に沿った断面図である。
図4図4は、導波路を伝搬する光の強度と当該導波路に接続された電極に印加可能な電圧との関係を示す図である。
図5図5は、本実施形態に係る光変調器の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0010】
(1)一実施形態に係る光変調器は、第1導波路及び第2導波路を有する第1マッハツェンダ変調部と、第3導波路及び第4導波路を有する第2マッハツェンダ変調部と、前記第1マッハツェンダ変調部及び前記第2マッハツェンダ変調部に光学的に結合された第3マッハツェンダ変調部と、前記第3マッハツェンダ変調部に光学的に結合された光カプラと、を備え、前記第3マッハツェンダ変調部は、前記第1導波路の出力端に光学的に結合された入力端を有する第5導波路と、前記第2導波路の出力端に光学的に結合された入力端を有する第6導波路と、前記第3導波路の出力端に光学的に結合された入力端を有する第7導波路と、前記第4導波路の出力端に光学的に結合された入力端を有する第8導波路と、前記第5導波路及び前記第6導波路に接続された第1電極と、前記第7導波路及び前記第8導波路に接続された第2電極と、を備え、前記光カプラは、前記第5導波路の出力端、前記第6導波路の出力端、前記第7導波路の出力端及び前記第8導波路の出力端に光学的に結合されている。
【0011】
本実施形態の光変調器によれば、第3マッハツェンダ変調部の各導波路(第5導波路から第8導波路のそれぞれ)に入力される光の強度を低減できる。
【0012】
(2)上記(1)において、前記光変調器は、前記第1導波路の前記出力端と前記第5導波路の前記入力端とを接続する第9導波路を更に備え、前記第9導波路の上部クラッドは、第1導電型の半導体層を含み、前記第1導波路及び前記第5導波路のそれぞれの上部クラッドは、第2導電型の半導体層を含んでもよい。
【0013】
(3)上記(1)又は(2)において、前記光カプラは、前記第5導波路の前記出力端及び前記第6導波路の前記出力端に光学的に結合された第1光カプラと、前記第7導波路の前記出力端及び前記第8導波路の前記出力端に光学的に結合された第2光カプラと、前記第1光カプラ及び前記第2光カプラに光学的に結合された第3光カプラと、を備えてもよい。
【0014】
(4)本実施形態に係る光変調器の製造方法は、上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の光変調器を準備する工程であり、前記光変調器は、前記第1導波路に接続された第3電極と、前記第2導波路に接続された第4電極と、前記第3導波路に接続された第5電極と、前記第4導波路に接続された第6電極と、を更に備える、工程と、前記第3電極及び前記第4電極に印加する電圧を調整する工程と、前記第5電極及び前記第6電極に印加する電圧を調整する工程と、前記第3電極及び前記第4電極に印加する電圧の調整結果に基づいて、前記第1電極に印加する電圧を調整する工程と、前記第5電極及び前記第6電極に印加する電圧の調整結果に基づいて、前記第2電極に印加する電圧を調整する工程と、前記第1電極に印加する電圧の調整結果に基づいて、前記第3電極及び前記第4電極に印加する電圧を再調整する工程と、前記第2電極に印加する電圧の調整結果に基づいて、前記第5電極及び前記第6電極に印加する電圧を再調整する工程と、を含む。
【0015】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、添付図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一または同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。図面には、互いに交差するX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向が必要に応じて示される。X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は例えば互いに直交している。
【0016】
図1は、本実施形態に係る光変調器を模式的に示す平面図である。光変調器1は、例えば光通信において光の強度又は光の位相を変調し、変調信号を生成することができる。光変調器1は、入力ポートP1と、基板11と、入力導波路W1と、導波路W2,W3,W4,W5,W6,W7,W8と、光フィルタC1と、光カプラC2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9と、第1光変調部M1と、第2光変調部M2と、第1出力導波路W9aと、第1出力ポートP2と、第2出力導波路W9bと、第2出力ポートP3と、を備えてもよい。光変調器1は、光カプラC4,C7,C8と、第2光変調部M2と、第2出力導波路W9bと、第2出力ポートP3と、を備えていなくてもよい。
【0017】
基板11は、X軸方向及びY軸方向に沿って延在している。基板11は、Z軸方向から見た場合に、略矩形状を呈してもよい。Z軸方向から見た場合に、X軸方向における基板11の第1端11aには、入力ポートP1が設けられている。入力ポートP1は、Y軸方向において基板11の第1端11aの中央に位置している。
【0018】
基板11上には、入力導波路W1が設けられている。入力導波路W1の入力端は、入力ポートP1に接続されている。例えば、入力導波路W1の入力端が入力ポートP1である。入力導波路W1の出力端は、光フィルタC1の入力端に光学的に結合されている。光フィルタC1の出力端は、導波路W2の入力端に光学的に結合されている。光フィルタC1は、例えば1入力1出力のカプラである。導波路W2の出力端は、光カプラC2の入力端に光学的に結合されている。光カプラC2の出力端は、導波路W3の入力端及び導波路W4の入力端に光学的に結合されている。光カプラC2は、例えば1入力2出力のMMI(Multi-Mode Interface)カプラである。
【0019】
導波路W3の出力端は、光カプラC3の入力端に光学的に結合されている。光カプラC3の2つの出力端は、導波路W5の入力端及び導波路W6の入力端にそれぞれ光学的に結合されている。導波路W4の出力端は、光カプラC4の入力端に光学的に結合されている。光カプラC4の2つの出力端は、導波路W7の入力端及び導波路W8の入力端にそれぞれ光学的に結合されている。光カプラC3及び光カプラC4は、例えば1入力2出力のMMIカプラである。
【0020】
導波路W5の出力端は、光カプラC5の入力端に光学的に結合されている。導波路W6の出力端は、光カプラC6の入力端に光学的に結合されている。導波路W7の出力端は、光カプラC7の入力端に光学的に結合されている。導波路W8の出力端は、光カプラC8の入力端に光学的に結合されている。
【0021】
第1光変調部M1及び第2光変調部M2は、基板11上に設けられている。第1光変調部M1及び第2光変調部M2は、Y軸方向において入力導波路W1を挟むように配置されている。第1光変調部M1及び第2光変調部M2は、例えばIQ光変調素子である。第1光変調部M1及び第2光変調部M2のそれぞれは、第1マッハツェンダ変調部MZ1と、第2マッハツェンダ変調部MZ2と、第3マッハツェンダ変調部MZ3と、を有している。
【0022】
第1マッハツェンダ変調部MZ1は、導波路W10(第1導波路)と、導波路W11(第2導波路)と、電極E1a(第3電極)と、電極E2a(第4電極)と、を有している。導波路W10及び導波路W11は、それぞれ、第1マッハツェンダ変調部MZ1の第1アーム導波路及び第2アーム導波路である。導波路W10及び導波路W11は、基板11上に設けられ、Z軸方向に高さを有している。導波路W10の入力端及び導波路W11の入力端は、光カプラC5の2つの出力端にそれぞれ光学的に結合されている。光カプラC5は、例えば1入力2出力のMMIカプラである。
【0023】
電極E1aは、導波路W10に接続されている。電極E1aは、導波路W10上に設けられている。電極E1aは、導波路W10に電圧を印可する。電極E1aは、配線E1bを介して電極パッドE1cに電気的に接続されている。電極パッドE1cには、電源(不図示)から電圧が印可される。
【0024】
電極E2aは、導波路W11に接続されている。電極E2aは、導波路W11上に設けられている。電極E2aは、導波路W11に電圧を印可する。電極E2aは、配線E2bを介して電極パッドE2cに電気的に接続されている。電極パッドE2cには、電源(不図示)から電圧が印可される。
【0025】
第2マッハツェンダ変調部MZ2は、導波路W12(第3導波路)と、導波路W13(第4導波路)と、電極E3a(第5電極)と、電極E4a(第6電極)と、を有している。導波路W12及び導波路W13は、それぞれ、第2マッハツェンダ変調部MZ2の第1アーム導波路及び第2アーム導波路である。導波路W12及び導波路W13は、基板11上に設けられ、Z軸方向に高さを有している。導波路W12の入力端及び導波路W13の入力端は、光カプラC6の2つの出力端にそれぞれ光学的に結合されている。光カプラC6は、例えば1入力2出力のMMIカプラである。
【0026】
電極E3aは、導波路W12に接続されている。電極E3aは、導波路W12上に設けられている。電極E3aは、導波路W12に電圧を印可する。電極E3aは、配線E3bを介して電極パッドE3cに電気的に接続されている。電極パッドE3cには、電源(不図示)から電圧が印可される。
【0027】
電極E4aは、導波路W13に接続されている。電極E4aは、導波路W13上に設けられている。電極E4aは、導波路W13に電圧を印可する。電極E4aは、配線E4bを介して電極パッドE4cに電気的に接続されている。電極パッドE4cには、電源(不図示)から電圧が印可される。
【0028】
第3マッハツェンダ変調部MZ3は、導波路W14(第5導波路)と、導波路W15(第6導波路)と、導波路W16(第7導波路)と、導波路W17(第8導波路)と、電極E5a(第1電極)と、電極E6a(第2電極)と、を有している。導波路W14及び導波路W15は、互いに離間して延在する。導波路W16及び導波路W17は、互いに離間して延在する。導波路W14及び導波路W15は、第3マッハツェンダ変調部MZ3の第1アーム導波路として機能する。導波路W16及び導波路W17は、第3マッハツェンダ変調部MZ3の第2アーム導波路として機能する。導波路W14、導波路W15、導波路W16、及び導波路W17は、基板11上に設けられ、Z軸方向に高さを有している。
【0029】
導波路W14の入力端は、導波路W10の出力端に光学的に結合されている。導波路W15の入力端は、導波路W11の出力端に光学的に結合されている。
【0030】
導波路W16の入力端は、導波路W12の出力端に光学的に結合されている。導波路W17の入力端は、導波路W13の出力端に光学的に結合されている。
【0031】
電極E5aは、導波路W14及び導波路W15に接続されている。電極E5aは、導波路W14上に設けられた第1部分E5a1と、導波路W15上に設けられた第2部分E5a2と、第1部分と第2部分とを接続する第3部分E5a3とを備える。電極E5aは、導波路W14及び導波路W15に電圧を印可する。電極E5aは、配線E5bを介して電極パッドE5cに電気的に接続されている。電極パッドE5cには、電源(不図示)から電圧が印可される。
【0032】
電極E6aは、導波路W16及び導波路W17に接続されている。電極E6aは、導波路W16上に設けられた第1部分E6a1と、導波路W17上に設けられた第2部分E6a2と、第1部分と第2部分とを接続する第3部分(不図示)とを備える。電極E6aは、導波路W16及び導波路W17に電圧を印可する。電極E6aは、配線E6bを介して電極パッドE6cに電気的に接続されている。電極パッドE6cには、電源(不図示)から電圧が印可される。
【0033】
図2を参照しつつ、導波路W14,W15,W16,W17の構成について、更に詳細に説明する。図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。図2には、導波路W14,W15,W16,W17の断面が示されている。
【0034】
図2に示されるように、導波路W14,W15,W16,W17のそれぞれは、基板11上に設けられたn型(第1導電型)の第1半導体層12と、第1半導体層12上に設けられたコア層13と、コア層13上に設けられたp型(第2導電型)の第2半導体層14と、第2半導体層14上に設けられた第3半導体層15と、を備えている。
【0035】
本実施形態では、第4半導体層16,17が、基板11の主面11c上において、Y軸方向において互いに離間して設けられている。第4半導体層16は、主面11cと、導波路W14の第1半導体層12及び導波路W15の第1半導体層12との間に設けられている。第4半導体層17は、主面11cと、導波路W16の第1半導体層12及び導波路W17の第1半導体層12との間に設けられている。第4半導体層16,17、第1半導体層12、コア層13、第2半導体層14、及び第3半導体層15は、基板11の主面11c上に、この順で設けられる。
【0036】
第1半導体層12は、導波路W14,W15,W16,W17それぞれの下部クラッドを構成する。第2半導体層14は、導波路W14,W15,W16,W17それぞれの上部クラッドを構成する。第3半導体層15は、導波路W14,W15,W16,W17それぞれの上部コンタクトを構成する。第4半導体層16,17は、導波路W14,W15,W16,W17それぞれの下部コンタクトを構成する。導波路W14のコア層13、導波路W15のコア層13、導波路W16のコア層13、及び導波路W17のコア層13は、Y軸方向において互いに離間して配置されている。
【0037】
基板11は、例えば半絶縁性半導体基板である。基板11は、絶縁性ドーパントがドープされたIII-V族化合物半導体を含む。基板11は、例えば鉄(Fe)がドープされたインジウムリン(InP)を含む。
【0038】
第1半導体層12は、n型ドーパントがドープされたIII-V族化合物半導体を含む。第1半導体層12は、例えばシリコン(Si)がドープされたInPを含む。第2半導体層14は、p型ドーパントがドープされたIII-V族化合物半導体を含む。第2半導体層14は、例えば亜鉛(Zn)がドープされたインジウムガリウムヒ素(InGaAs)又はInPを含む。第3半導体層15は、p型ドーパントがドープされたIII-V族化合物半導体を含む。第3半導体層15は、第2半導体層14のp型ドーパント濃度よりも高いp型ドーパント濃度を有する。第3半導体層15は、第2半導体層14の半導体材料とは異なる半導体材料を含んでもよい。第3半導体層15は、例えばシリコン(Si)がドープされたInGaAs又はInPを含む。第4半導体層16,17は、n型ドーパントがドープされたされたIII-V族化合物半導体を含む。第4半導体層16,17は、第1半導体層12のn型ドーパント濃度よりも高いn型ドーパント濃度を有する。第4半導体層16,17は、例えばシリコン(Si)がドープされたInPを含む。
【0039】
コア層13は、i型の半導体層、すなわちアンドープ半導体層である。コア層13は、多重量子井戸構造を有してもよい。コア層13は、例えばアルミニウムガリウムインジウムヒ素(AlGaInAs)系のIII-V族化合物半導体を含む。
【0040】
基板11の主面11c上には、樹脂層18,19及び絶縁膜20,21が更に設けられている。樹脂層18は、主面11c上に設けられている。樹脂層18は、導波路W14,W15,W16,W17及び第4半導体層16,17を埋め込むように設けられている。すなわち、導波路W14,W15,W16,W17及び第4半導体層16,17は、樹脂層18に覆われている。絶縁膜20は、樹脂層18上に設けられている。樹脂層19は、絶縁膜20上に設けられている。樹脂層19は、電極E5a及び電極E6aを埋め込むように設けられている。すなわち、電極E5a及び電極E6aは、樹脂層19に覆われている。絶縁膜21は、樹脂層19上に設けられている。
【0041】
樹脂層18,19は、例えばベンゾシクロブテン(BCB)を含む。絶縁膜20,21は、例えば無機材料を含む保護膜である。絶縁膜20,21は、例えばシリコン酸化物(SiO)を含む保護膜である。あるいは、絶縁膜20,21は、シリコン酸窒化物(SiON)を含む保護膜であってもよい。
【0042】
導波路W14の第3半導体層15及び第2半導体層14には、電極E5aが接続されている。同様に、導波路W15の第3半導体層15及び第2半導体層14には、電極E5aが接続されている。電極E5aは、対応する各第3半導体層15にオーミック接触している。電極E5aは、例えば白金(Pt)層、チタン層(Ti)層、及び金(Au)層を含んでいる。
【0043】
上述したように、配線E5bは、電極E5aに接続されている。具体的には、図2に示されるように、配線E5bは、樹脂層19及び絶縁膜21を貫通して、電極E5aに接続されている。配線E5bは、例えばチタンタングステン(TiW)層、Pt層、及びAu層を含んでいる。
【0044】
導波路W14,W15から離間した位置であって、第4半導体層16上には、グランド電極(不図示)が設けられている。上記グランド電極は、例えばAu、ゲルマニウム(Ge)、及びニッケル(Ni)の合金層、Ti層、Pt層、及びAu層を含む。上記グランド電極は、第4半導体層16に電気的に接続されている。
【0045】
導波路W16の第3半導体層15及び第2半導体層14には、電極E6aが接続されている。同様に、導波路W17の第3半導体層15及び第2半導体層14には、電極E6aが接続されている。電極E6aは、対応する各第3半導体層15にオーミック接触している。電極E6aは、例えば白金(Pt)層、チタン層(Ti)層、及び金(Au)層を含んでいる。
【0046】
上述したように、配線E6bは、電極E6aに接続されている。図示は省略するが、配線E6bは、配線E5bと同様に、樹脂層19及び絶縁膜21を貫通して、電極E6aに接続されている。配線E6bは、例えばチタンタングステン(TiW)層、Pt層、及びAu層を含んでいる。
【0047】
導波路W16,W17から離間した位置であって、第4半導体層17上には、グランド電極E7が設けられている。グランド電極E7は、例えばAu、ゲルマニウム(Ge)、及びニッケル(Ni)の合金層、Ti層、Pt層、及びAu層を含む。グランド電極E7は、第4半導体層17に電気的に接続されている。
【0048】
第3マッハツェンダ変調部MZ3では、電極E5aとグランド電極との間及び電極E6aとグランド電極E7との間に、電圧が印可される。電極E5aとグランド電極との間及び電極E6aとグランド電極E7との間には、例えば直流の逆バイアス電圧及び交流電圧が重畳して印可される。これによって、電極E5aとグランド電極との間及び電極E6aとグランド電極E7との間には、電気信号が流れる。当該電気信号によって、導波路W14,W15,W16,W17の屈折率が変化する。この結果、導波路W14,W15,W16,W17を伝搬する光の位相が変調される。
【0049】
本実施形態において、導波路W10及び導波路W11は、導波路W14及び導波路W15とそれぞれ同じ構造を有している。すなわち、導波路W10及び導波路W11のそれぞれは、基板11上に設けられたn型の第1半導体層12と、第1半導体層12上に設けられたコア層13と、コア層13上に設けられたp型の第2半導体層14と、第2半導体層14上に設けられた第3半導体層15と、を備えている。
【0050】
本実施形態において、導波路W12及び導波路W13は、導波路W16及び導波路W17とそれぞれ同じ構造を有している。すなわち、導波路W12及び導波路W13のそれぞれは、基板11上に設けられたn型の第1半導体層12と、第1半導体層12上に設けられたコア層13と、コア層13上に設けられたp型の第2半導体層14と、第2半導体層14上に設けられた第3半導体層15と、を備えている。
【0051】
図示は省略するが、導波路W10の第3半導体層15及び第2半導体層14には、電極E1aが接続されている。電極E1aは、導波路W10の第3半導体層15にオーミック接触している。同様に、導波路W11の第3半導体層15及び第2半導体層14には、電極E2aが接続されている。電極E2aは、導波路W11の第3半導体層15にオーミック接触している。電極E1a及び電極E2aは、例えば白金(Pt)層、チタン層(Ti)層、及び金(Au)層を含んでいる。
【0052】
導波路W10,W11のそれぞれから離間した位置であって、第4半導体層16上には、不図示の電極が設けられている。上記電極は、例えばAu、ゲルマニウム(Ge)、及びニッケル(Ni)の合金層、Ti層、Pt層、及びAu層を含む。上記電極は、第4半導体層16に電気的に接続されている。
【0053】
第1マッハツェンダ変調部MZ1では、電極E1a及び電極E2aと不図示の電極との間に、電圧が印可される。電極E1a及び電極E2aと不図示の電極との間には、例えば直流の逆バイアス電圧及び交流電圧が重畳して印可される。これによって、電極E1a及び電極E2aと不図示の電極との間には、電気信号が流れる。当該電気信号によって、導波路W10,W11の屈折率が変化する。この結果、導波路W10,W11を伝搬する光の位相が変調される。
【0054】
図示は省略するが、導波路W12の第3半導体層15及び第2半導体層14には、電極E3aが接続されている。電極E3aは、導波路W12の第3半導体層15にオーミック接触している。同様に、導波路W13の第3半導体層15及び第2半導体層14には、電極E4aが接続されている。電極E4aは、導波路W13の第3半導体層15にオーミック接触している。電極E3a及び電極E4aは、例えば白金(Pt)層、チタン層(Ti)層、及び金(Au)層を含んでいる。
【0055】
導波路W12,W13のそれぞれから離間した位置であって、第4半導体層17上には、不図示の電極が設けられている。上記電極は、例えばAu、ゲルマニウム(Ge)、及びニッケル(Ni)の合金層、Ti層、Pt層、及びAu層を含む。上記電極は、第4半導体層17に電気的に接続されている。
【0056】
第2マッハツェンダ変調部MZ2では、電極E3a及び電極E4aと不図示の電極との間に、電圧が印可される。電極E3a及び電極E4aと不図示の電極との間には、例えば直流の逆バイアス電圧及び交流電圧が重畳して印可される。これによって、電極E3a及び電極E4aと不図示の電極との間には、電気信号が流れる。当該電気信号によって、導波路W12,W13の屈折率が変化する。この結果、導波路W12,W13を伝搬する光の位相が変調される。
【0057】
再び図1を参照する。本実施形態では、光カプラC9は、光カプラC9a(第1光カプラ)と、光カプラC9b(第2光カプラ)と、光カプラC9c(第3光カプラ)と、を備えている。光カプラC9a,C9b,C9cは、X軸方向において、第3マッハツェンダ変調部MZ3よりも基板11の第1端11aの近くに配置されている。
【0058】
光カプラC9aは、導波路W14の出力端及び導波路W15の出力端に光学的に結合されている。具体的には、光カプラC9aの2つの入力端には、導波路W14の出力端及び導波路W15の出力端がそれぞれ光学的に結合されている。
【0059】
光カプラC9bは、導波路W16の出力端及び導波路W17の出力端に光学的に結合されている。具体的には、光カプラC9bの2つの入力端には、導波路W16の出力端及び導波路W17の出力端がそれぞれ光学的に結合されている。
【0060】
光カプラC9aの出力端及び光カプラC9bの出力端は、光カプラC9cの2つの入力端にそれぞれ光学的に結合されている。すなわち、光カプラC9cは、光カプラC9a及び光カプラC9bに光学的に結合されている。光カプラC9a及び光カプラC9bは、例えば2入力1出力のMMIカプラである。
【0061】
本実施形態では、第1光変調部M1において、光カプラC9cの2つの出力端に2つの第1出力導波路W9aがそれぞれ光学的に結合されている。第2光変調部M2において、光カプラC9cの2つの出力端に2つの第2出力導波路W9bがそれぞれ光学的に結合されている。光カプラC9cは、例えば2入力2出力のMMIカプラである。2つの第1出力導波路W9aは、2つの第1出力ポートP2にそれぞれ接続されている。例えば、第1出力導波路W9aの出力端のそれぞれが、第1出力ポートP2である。2つの第2出力導波路W9bは、2つの第2出力ポートP3にそれぞれ接続されている。例えば、第2出力導波路W9bの出力端のそれぞれが、第2出力ポートP3である。
【0062】
第1出力ポートP2及び第2出力ポートP3は、X軸方向における基板11の第1端11aに設けられている。第1出力ポートP2及び第2出力ポートP3は、入力ポートP1をY軸方向において挟むように設けられている。
【0063】
続いて、図3を参照しつつ、本実施形態における導波路W10,W11,W12,W13と対応する導波路W14,W15,W16,W17との接続の態様について、更に詳細に説明する。
【0064】
本実施形態では、第1光変調部M1及び第2光変調部M2は、導波路W10,W11,W12,W13と対応する導波路W14,W15,W16,W17とを接続する導波路W18(第9導波路),W19,W20,W21を更に有している。図3は、図2のIII-III線に沿った断面図である。図3には、導波路W10,W14,W18の断面が示されている。図3において、導波路W10,W14,W18上の構成(電極等)は省略されている。導波路W18、導波路W19、導波路W20、及び導波路W21は、基板11上に設けられ、Z軸方向に高さを有している。
【0065】
導波路W18は、導波路W10の出力端と導波路W14の入力端とを接続する。具体的には、導波路W18の入力端に導波路W10の出力端が接続され、導波路W18の出力端に導波路W14の入力端が接続される。これによって、導波路W10の出力端が、導波路W14の入力端に光学的に結合される。導波路W10の出力端は、導波路W18を介して、導波路W14の入力端に光学的に結合される。すなわち、導波路W10の出力端と導波路W14の入力端とは、光カプラを介さずに、光学的に結合されている。導波路W18の長さは、10μm以上であってもよいし、2000μm以下であってもよい。本実施形態では、導波路W18の長さは、X軸方向における長さによって規定される。
【0066】
図3に示されるように、導波路W18は、第4半導体層16上に設けられたn型の第6半導体層22と、第6半導体層22上に設けられたコア層23と、コア層23上に設けられたn型の第7半導体層24と、を備えている。導波路W18には電極が接続されていない。
【0067】
第6半導体層22は、導波路W18の下部クラッドを構成する。第7半導体層24は、導波路W18の上部クラッドを構成する。第6半導体層22及び第7半導体層24は、n型ドーパントがドープされたIII-V族化合物半導体を含む。第6半導体層22及び第7半導体層24は、例えばシリコン(Si)がドープされたInPを含む。
【0068】
上述したように、第7半導体層24はn型の半導体層であり、第3半導体層15はp型の半導体層である。すなわち、導波路W10の上部クラッド及び導波路W14の上部クラッドと、導波路W18の上部クラッドとは、互いに異なる導電型の半導体層によって構成されている。
【0069】
コア層23は、i型の半導体層、すなわちアンドープ半導体層である。コア層23は、多重量子井戸構造を有してもよい。コア層23は、例えばアルミニウムガリウムインジウムヒ素(AlGaInAs)系のIII-V族化合物半導体を含む。
【0070】
導波路W19は、導波路W11の出力端と導波路W15の入力端とを接続する。具体的には、導波路W19の入力端に導波路W11の出力端が接続され、導波路W19の出力端に導波路W15の入力端が接続される。これによって、導波路W11の出力端が、導波路W15の入力端に光学的に結合される。導波路W11の出力端は、導波路W19を介して、導波路W15の入力端に光学的に結合される。すなわち、導波路W11の出力端と導波路W15の入力端とは、光カプラを介さずに、光学的に結合されている。導波路W19の長さは、導波路W18の長さと同じであってもよい。本実施形態では、導波路W19の長さは、X軸方向における長さによって規定される。
【0071】
導波路W20は、導波路W12の出力端と導波路W16の入力端とを接続する。具体的には、導波路W20の入力端に導波路W12の出力端が接続され、導波路W20の出力端に導波路W16の入力端が接続される。これによって、導波路W12の出力端が、導波路W16の入力端に光学的に結合される。導波路W12の出力端は、導波路W20を介して、導波路W16の入力端に光学的に結合される。すなわち、導波路W12の出力端と導波路W16の入力端とは、光カプラを介さずに、光学的に結合されている。導波路W20の長さは、導波路W18の長さと同じであってもよい。本実施形態では、導波路W20の長さは、X軸方向における長さによって規定される。
【0072】
導波路W21は、導波路W13の出力端と導波路W17の入力端とを接続する。具体的には、導波路W21の入力端に導波路W13の出力端が接続され、導波路W21の出力端に導波路W17の入力端が接続される。これによって、導波路W13の出力端が、導波路W17の入力端に光学的に結合される。導波路W13の出力端は、導波路W21を介して、導波路W17の入力端に光学的に結合される。すなわち、導波路W13の出力端と導波路W17の入力端とは、光カプラを介さずに、光学的に結合されている。導波路W21の長さは、導波路W18の長さと同じであってもよい。本実施形態では、導波路W21の長さは、X軸方向における長さによって規定される。
【0073】
本実施形態では、導波路W19、導波路W20、及び導波路W21は、導波路W18と同じ構造を有している。すなわち、導波路W19は、第4半導体層16上に設けられたn型の第6半導体層22と、第6半導体層22上に設けられたコア層23と、コア層23上に設けられたn型の第7半導体層24と、を備えている。導波路W20及び導波路W21のそれぞれは、第4半導体層17上に設けられたn型の第6半導体層22と、第6半導体層22上に設けられたコア層23と、コア層23上に設けられたn型の第7半導体層24と、を備えている。
【0074】
したがって、導波路W11の上部クラッド及び導波路W15の上部クラッドと、導波路W19の上部クラッドとは、互いに異なる導電型の半導体層によって構成されている。導波路W12の上部クラッド及び導波路W16の上部クラッドと、導波路W20の上部クラッドとは、互いに異なる導電型の半導体層によって構成されている。導波路W13の上部クラッド及び導波路W17の上部クラッドと、導波路W21の上部クラッドとは、互いに異なる導電型の半導体層によって構成されている。
【0075】
本実施形態の光変調器1では、導波路W14は、導波路W10の出力端に光学的に結合された入力端を有する。導波路W15は、導波路W11の出力端に光学的に結合された入力端を有する。導波路W16は、導波路W12の出力端に光学的に結合された入力端を有する。導波路W17は、導波路W13の出力端に光学的に結合された入力端を有する。すなわち、導波路W10及び導波路W14が1対1の関係で互いに光学的に結合されている。導波路W11及び導波路W15が1対1の関係で互いに光学的に結合されている。導波路W12及び導波路W16が1対1の関係で互いに光学的に結合されている。導波路W13及び導波路W17が1対1の関係で互いに光学的に結合されている。よって、導波路W10,W11,W12,W13の各導波路を伝搬する光の強度と、導波路W14,W15,W16,W17の各導波路を伝搬する光の強度を同程度にできる。この結果、第3マッハツェンダ変調部MZ3の各導波路W14,W15,W16,W17に入力される光の強度を低減できる。
【0076】
導波路に印加可能な電圧の大きさは、当該導波路を伝搬する光の強度に依存する。具体的には、導波路を伝搬する光の強度が小さくなると、当該導波路に接続された電極に印加可能な電圧は大きくなる。ここで、導波路を伝搬する光の強度と当該導波路に接続された電極に印加可能な電圧との関係について、図4を参照して、更に詳細に説明する。図4は、導波路を伝搬する光の強度と当該導波路に接続された電極に印加可能な電圧との関係を示す図である。縦軸は、光の強度(dBm)である。横軸は、電圧(V)である。
【0077】
図4において、グラフG1は、波長1530nmの光の強度と、当該強度において光が導波路を伝搬した際に当該導波路に接続された電極に印加可能な最大電圧との関係を示している。
【0078】
グラフG1に示されるように、光の強度が低くなると、電極に印加可能な最大電圧は大きくなる。例えば、光の強度が3dBm低くなると、電極に印加可能な最大電圧は約1V大きくなる。したがって、導波路を伝搬する光の強度を低減することができれば、当該導波路に接続された電極に印加する電圧を大きくすることができるので、変調可能な位相範囲を拡げることができる。
【0079】
光変調器1では、上述したように、第3マッハツェンダ変調部MZ3の各導波路W14,W15,W16,W17に入力される光の強度を低減できる。したがって、光変調器1では、第3マッハツェンダ変調部が2本のアーム導波路を有する光変調器と比較して、第3マッハツェンダ変調部MZ3において、変調可能な位相を拡げることができる。あるいは、光変調器1では、変調可能な位相範囲を上記光変調器と同等に維持したまま、入力導波路W1に入射させる光の強度を高くすることができる。この結果、光変調器1では、出射光の強度を高くすることができる。
【0080】
続いて、図5を参照して、本実施形態に係る光変調器の製造方法について説明する。図5は、本実施形態に係る光変調器の製造方法を示すフローチャートである。光変調器1は、以下のようにして製造され得る。
【0081】
まず、光変調器1を準備する(工程S1)。光変調器1に含まれる各導波路は、フォトリソグラフィー及びエッチングにより半導体積層体を加工することによって形成され得る。光変調器1に含まれる各電極は、リフトオフにより形成され得る。
【0082】
次に、電極E1a及び電極E2aに印加する電圧を調整する(工程S2)。工程S2では、第1出力ポートP2及び第2出力ポートP3における出力光の強度が最大となるように、電極E1a及び電極E2aに印加する電圧を調整する。
【0083】
本製造方法では、例えば以下のようにして、電極E1a及び電極E2aに印加する電圧を調整する。まず、電極E1aに印加する電圧を調整する。この際、電極E2aに印加する電圧は固定される。電極E2aに印加する電圧は、例えば0Vに固定される。次に、予め定められた範囲内において電極E1aに印加する電圧の値を変化させながら、出力光の強度を測定する。上記範囲は、例えば-15V以上0V以下に設定される。次に、測定された出力光の強度のうち最大の強度に対応する電圧値を記録する。
【0084】
続いて、電極E1aに印加する電圧を調整した方法と同様に、電極E2aに印加する電圧を調整する。そして、電極E1aにおいて記録された電圧値の絶対値と電極E2aにおいて記録された電圧値の絶対値とを比較する。絶対値が小さい電圧値が、対応する電極に印加する電圧として設定され、他方の電極に印加する電圧が0Vに設定される。例えば、電極E1aにおいて記録された電圧値の絶対値が電極E2aにおいて記録された電圧値の絶対値よりも小さい場合には、電極E1aに印加する電圧が当該記録された電圧値に設定され、電極E2aに印加する電圧が0Vに設定される。
【0085】
なお、工程S2では、電極E3a、電極E4a、及び電極E6aに印加する電圧は、消光電圧に固定され、電極E5aに印加する電圧は固定される。消光電圧は、例えば-18Vに設定される。電極E5aに印加する電圧は、例えば0Vに固定される。
【0086】
次に、電極E3a及び電極E4aに印加する電圧を調整する(工程S3)。工程S3では、第1出力ポートP2及び第2出力ポートP3における出力光の強度が最大となるように、電極E3a及び電極E4aに印加する電圧を調整する。本製造方法では、例えば電極E1a及び電極E2aに印加する電圧を調整した工程S2と同様に、電極E3a及び電極E4aに印加する電圧を調整する。
【0087】
次に、電極E1a、電極E2a、電極E3a、及び電極E4aに印加する電圧の調整結果(工程S2及び工程S3の結果)に基づいて、電極E5a及び電極E6aに印加する電圧を調整する(工程S4)。工程S4では、電極E1a、電極E2a、電極E3a、及び電極E4aに印加する電圧の調整結果に基づいて、第1出力ポートP2及び第2出力ポートP3における出力光の強度が最大となるように、電極E5a及び電極E6aに印加する電圧を調整する。
【0088】
本製造方法では、例えば以下のようにして、電極E5a及び電極E6aに印加する電圧を調整する。まず、電極E5aに印加する電圧を調整する。この際、電極E6aに印加する電圧は固定される。電極E6aに印加する電圧は、例えば0Vに固定される。次に、予め定められた範囲内において電極E5aに印加する電圧の値を変化させながら、出力光の強度を測定する。上記範囲は、例えば-15V以上0V以下に設定される。次に、測定された出力光の強度のうち最大の強度に対応する電圧値を記録する。
【0089】
続いて、電極E5aに印加する電圧を調整した方法と同様に、電極E6aに印加する電圧を調整する。そして、電極E5aにおいて記録された電圧値の絶対値と電極E6aにおいて記録された電圧値の絶対値とを比較する。絶対値が小さい電圧値が、対応する電極に印加する電圧として設定され、他方の電極に印加する電圧が0Vに設定される。例えば、電極E5aにおいて記録された電圧値の絶対値が電極E6aにおいて記録された電圧値の絶対値よりも小さい場合には、電極E5aに印加する電圧が当該記録された電圧値に設定され、電極E6aに印加する電圧が0Vに設定される。なお、工程S4では、電極E1a、電極E2a、電極E3a及び電極E4aに印加される電圧は、工程S2及び工程S3における調整結果に基づいた電圧がそれぞれ設定される。
【0090】
次に、電極E5a及び電極E6aに印加する電圧の調整結果に基づいて、電極E1a及び電極E2aに印加する電圧又は電極E3a及び電極E4aに印加する電圧を再調整する(工程S5)。工程S5では、電極E5a及び電極E6aに印加する電圧の調整結果に基づいて、第1出力ポートP2及び第2出力ポートP3における出力光の強度が最大となるように、電極E1a及び電極E2aに印加する電圧又は電極E3a及び電極E4aに印加する電圧を再調整する。
【0091】
本製造方法では、例えば以下のようにして、電極E1a及び電極E2aに印加する電圧又は電極E3a及び電極E4aに印加する電圧を再調整する。電極E5aに印加する電圧が工程S4において記録された電圧値に設定され、電極E6aに印加する電圧が0Vに設定された場合には、電極E1a及び電極E2aに印加する電圧が再調整される。
【0092】
具体的には、電極E1a及び電極E2aのうち、工程S2において記録された電圧値が設定された電極が再調整される。例えば、工程S2において、電極E1aに印加する電圧が当該記録された電圧値に設定され、電極E2aに印加する電圧が0Vに設定された場合、電極E1aに印加する電圧が再調整される。この場合、まず、予め定められた範囲内において電極E1aに印加する電圧値を変化させながら、出力光の強度を再度測定する。この際、電極E2a、電極E3a及び電極E4aに印加される電圧は、工程S2及び工程S3において調整された電圧がそれぞれ設定される。上記範囲は、例えば工程S2と同様の範囲に設定される。次に、測定された出力光の強度のうち最大の強度に対応する電圧が、電極E1aに印加する電圧として設定される。
【0093】
一方で、電極E5aに印加する電圧が0Vに設定され、電極E6aに印加する電圧が工程S4において記録された電圧値に設定された場合には、電極E3a及び電極E4aに印加する電圧が、上述した方法と同様にして、再調整される。すなわち、工程S5では、電極E5a及び電極E6aのうち、工程S4において記録された電圧値が設定された電極に対応する電極に印加する電圧が再調整される。
【0094】
本製造方法によれば、第3マッハツェンダ変調部MZ3の各導波路W14,W15,W16,W17に入力される光の強度を低減できる光変調器1を提供できる。
【0095】
光変調器1では、電極E5aによって導波路W14及び導波路W15に電圧が印可され、電極E6aによって導波路W16及び導波路W17に電圧が印可される。この場合、上述した工程S5を経ずに光変調器1を製造すると、導波路W14及び導波路W15に同じ電圧を印可したとしても、導波路間の個体差によって、導波路W14及び導波路W15を伝搬する光の位相の変調量にばらつきが生じることがある。導波路W16及び導波路W17についても、同様である。
【0096】
本製造方法では、電極E5a及び電極E6aに印加する電圧が調整された後に、当該調整の結果に基づいて、電極E1a及び電極E2aに印加する電圧又は電極E3a及び電極E4aに印加する電圧を再調整される。このため、電極E1a及び電極E2aに印加する電圧の再調整によって、導波路W14と導波路W15との個体差による光の位相の変調量差が、解消される。同様に、電極E3a及び電極E4aに印加する電圧の再調整によって、導波路W16と導波路W17との個体差による光の位相の変調量差が、解消される。この結果、本製造方法によれば、導波路W14と導波路W15との間における光の位相の変調量及び導波路W16と導波路W17との間における光の位相の変調量にばらつきが生じることを抑制することができる。
【0097】
以上、本開示の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本開示は上記実施形態に限定されない。
【0098】
上述した実施形態では、第3半導体層15はp型の半導体層であり、第7半導体層24はn型の半導体層である。しかしながら、第3半導体層15の導電型と第7半導体層24の導電型との組合せは上述した組合せに限定されない。すなわち、第3半導体層15がn型の半導体層であってもよく、第7半導体層24がp型の半導体層であってもよい。
【0099】
上述した実施形態では、導波路W19、導波路W20、及び導波路W21は、導波路W18と同じ構造を有している。しかしながら、導波路W19、導波路W20、及び導波路W21の構造は、上述した構造に限定されない。すなわち、導波路W19、導波路W20、及び導波路W21は、導波路W18と異なる構造を有していてもよい。
【0100】
上述した実施形態では、導波路W10の出力端は、導波路W18を介して、導波路W14の入力端に光学的に結合される。導波路W11の出力端は、導波路W19を介して、導波路W15の入力端に光学的に結合される。導波路W12の出力端は、導波路W20を介して、導波路W16の入力端に光学的に結合される。導波路W13の出力端は、導波路W21を介して、導波路W17の入力端に光学的に結合される。
【0101】
しかしながら、導波路W10,W11,W12,W13と対応する導波路W14,W15,W16,W17との接続の態様は、上述した態様に限定されない。例えば、光変調器1は、導波路W18,W19,W20,W21のうち少なくとも一つの導波路を備えていなくてもよい。光変調器1が導波路W18を備えていない場合、導波路W10の出力端は、導波路W14の入力端に直接接続されていてもよい。同様に、導波路W11の出力端は、導波路W15の入力端に直接接続されていてもよいし、導波路W12の出力端は、導波路W16の入力端に直接接続されていてもよいし、導波路W13の出力端は、導波路W17の入力端に直接接続されていてもよい。
【0102】
上述した実施形態では、光カプラC9は、光カプラC9aと、光カプラC9bと、光カプラC9cと、を備えている。しかしながら、光カプラC9は、導波路W14の出力端、導波路W15の出力端、導波路W16の出力端、及び導波路W17の出力端に光学的に結合されていればよく、光カプラC9aと、光カプラC9bと、光カプラC9cとを備えていなくてもよい。この場合、光カプラC9の入力端には、導波路W14の出力端、導波路W15の出力端、導波路W16の出力端、及び導波路W17の出力端が光学的に結合されていてもよい。すなわち、光カプラC9は、4入力2出力のMMIカプラであってもよい。
【0103】
上述した製造方法では、第1出力ポートP2及び第2出力ポートP3における出力光の強度が最大となるように、電極E1a,E2a,E3a,E4a及び電極E5a,E6aの印加する電圧を調整した。しかしながら、電極E1a,E2a,E3a,E4a及び電極E5a,E6aの印加する電圧は、出射光の強度が最大となるように調整されなくてもよい。
【0104】
例えば、第1出力ポートP2及び第2出力ポートP3における出力光の強度が最小となるように、電極E1a,E2a,E3a,E4a及び電極E5a,E6aの印加する電圧を調整してもよい。あるいは、第1出力ポートP2及び第2出力ポートP3における出力光の強度が予め定められた値となるように、電極E1a,E2a,E3a,E4a及び電極E5a,E6aの印加する電圧を調整してもよい。
【0105】
これらの場合、工程S2では、第1出力ポートP2及び第2出力ポートP3における出力光の強度が最小又は予め定められた値となるように、電極E1a及び電極E2aに印加する調整してもよい。工程S3では、第1出力ポートP2及び第2出力ポートP3における出力光の強度が最小又は予め定められた値となるように、電極E3a及び電極E4aに印加する調整してもよい。工程S4では、電極E1a、電極E2a、電極E3a、及び電極E4aに印加する電圧の調整結果に基づいて、第1出力ポートP2及び第2出力ポートP3における出力光の強度が最小又は予め定められた値となるように、電極E5a及び電極E6aに印加する電圧を調整してもよい。工程S5では、電極E5a及び電極E6aに印加する電圧の調整結果に基づいて、第1出力ポートP2及び第2出力ポートP3における出力光の強度が最小又は予め定められた値となるように、電極E1a及び電極E2aに印加する電圧又は電極E3a及び電極E4aに印加する電圧を再調整してもよい。
【0106】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0107】
1…光変調器
11…基板
11a…第1端
11c…主面
12…第1半導体層
13…コア層
14…第2半導体層
15…第3半導体層
16…第4半導体層
17…第4半導体層
18…樹脂層
19…樹脂層
20…絶縁膜
21…絶縁膜
22…第6半導体層
23…コア層
24…第7半導体層
C1…光フィルタ
C2…光カプラ
C3…光カプラ
C4…光カプラ
C5…光カプラ
C6…光カプラ
C7…光カプラ
C8…光カプラ
C9…光カプラ
C9a…光カプラ(第1光カプラ)
C9b…光カプラ(第2光カプラ)
C9c…光カプラ(第3光カプラ)
E1a…電極(第3電極)
E1b…配線
E1c…電極パッド
E2a…電極(第4電極)
E2b…配線
E2c…電極パッド
E3a…電極(第5電極)
E3b…配線
E3c…電極パッド
E4a…電極(第6電極)
E4b…配線
E4c…電極パッド
E5a…電極(第1電極)
E5b…配線
E5c…電極パッド
E6a…電極(第2電極)
E6b…配線
E6c…電極パッド
E7…グランド電極
G1…グラフ
M1…第1光変調部
M2…第2光変調部
MZ1…第1マッハツェンダ変調部
MZ2…第2マッハツェンダ変調部
MZ3…第3マッハツェンダ変調部
P1…入力ポート
P2…第1出力ポート
P3…第2出力ポート
W1…入力導波路
W2…導波路
W3…導波路
W4…導波路
W5…導波路
W6…導波路
W7…導波路
W8…導波路
W9a…第1出力導波路
W9b…第2出力導波路
W10…導波路(第1導波路)
W11…導波路(第2導波路)
W12…導波路(第3導波路)
W13…導波路(第4導波路)
W14…導波路(第5導波路)
W15…導波路(第6導波路)
W16…導波路(第7導波路)
W17…導波路(第8導波路)
W18…導波路(第9導波路)
W19…導波路
W20…導波路
W21…導波路
図1
図2
図3
図4
図5