IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レンゴー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-紙製容器 図1
  • 特開-紙製容器 図2
  • 特開-紙製容器 図3
  • 特開-紙製容器 図4
  • 特開-紙製容器 図5
  • 特開-紙製容器 図6
  • 特開-紙製容器 図7
  • 特開-紙製容器 図8
  • 特開-紙製容器 図9
  • 特開-紙製容器 図10
  • 特開-紙製容器 図11
  • 特開-紙製容器 図12
  • 特開-紙製容器 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179045
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】紙製容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/52 20060101AFI20241219BHJP
   B65D 5/10 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B65D5/52 F
B65D5/52 K
B65D5/10 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097539
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】永長 朗
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA04
3E060AB05
3E060BA06
3E060BA08
3E060BC02
3E060BC04
3E060CB02
3E060CB16
3E060CC02
3E060CC18
3E060CC44
3E060CD03
3E060CD12
3E060CE04
3E060CE07
3E060CE12
3E060CE14
3E060CE15
3E060CE22
3E060CE28
3E060CF05
3E060CG03
3E060CG13
3E060DA04
3E060DA07
3E060DA12
3E060DA14
3E060DA17
3E060EA06
(57)【要約】
【課題】販売促進を図るためのポップ表示部を備える紙製容器の封緘強度を向上する。
【解決手段】紙製容器10は、筒状の外周壁12と、外周壁12の底を塞ぐ底壁20と、前壁13内に設けられた広告表示用のポップ表示部30とを備える。ポップ表示部30は、折曲線31と一対の破断線32によって区画され、折曲線33によって更に折返部34と表示本体部35に区画されている。折曲線31は、幅方向の中間部分に差込孔31aを含み、表示本体部35には差込孔31aに差込可能な差込片36が連設されている。ポップ表示部30と対向する後壁14の上端縁には蓋壁40が連設され、蓋壁40には前壁13の内側に差し込まれる蓋差込片42が連設され、蓋差込片42には差込片36を差込可能なロック孔44が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前壁、前記前壁の幅方向両側に連なる一対の側壁、及び前記一対の側壁に連なる後壁を有する筒状の外周壁と、
前記外周壁の底を塞ぐ底壁と、
前記前壁内に設けられた広告表示用のポップ表示部と
を備える紙製の容器であって、
前記ポップ表示部は、前記底壁に沿って延びる第1折曲線と、前記前壁の上端縁から下向きに延びて前記第1折曲線の両端にそれぞれ連なる一対の第1破断線とによって区画され、前記第1折曲線に沿って延びる第2折曲線によって更に、前記第1折曲線と前記第2折曲線の間に位置する折返部と、前記第2折曲線を介して前記折返部に連なる表示本体部とに区画されており、
前記第1折曲線は、前記幅方向の中間部分に差込孔を含み、
前記表示本体部には、前記第1折曲線及び第2折曲線に沿った前記折返部及び前記表示本体部の折り曲げによって前記差込孔に差込可能な差込片が連設されており、
前記ポップ表示部と対向する前記後壁の上端縁に、前記外周壁の上端開口を塞ぐ蓋壁が連設され、
前記蓋壁の前端には、前記前壁の内側に差し込まれる蓋差込片が連設され、
前記蓋差込片に、前記折返部及び前記表示本体部の非折曲状態で前記差込片を差込可能なロック孔が設けられている、紙製容器。
【請求項2】
前記蓋差込片には、前記一対の第1破断線にそれぞれ対応するように一対のスリットが設けられており、
前記スリットは、前記第1破断線の前記幅方向外側に位置する下端と、前記第1破断線の前記幅方向内側に位置する上端とを有し、前記第1破断線に対して交差している、請求項1に記載の紙製容器。
【請求項3】
前記外周壁には、前記前壁から前記一対の側壁をそれぞれ経由して前記後壁かけて延び、前記外周壁を前記底壁側と前記蓋壁側に分離するための第2破断線が設けられている、請求項1又は2に記載の紙製容器。
【請求項4】
前記前壁の下端から前記第1折曲線までの高さは、前記折返部の高さ及び前記表示本体部の高さよりも低く、
前記第2折曲線は、前記幅方向の中間部分に凹状の切断線を含み、
前記切断線によって前記表示本体部には、下向きに突出した脚部が形成されている、請求項1又は2に記載の紙製容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された紙製容器は、四角筒状の外周壁と、外周壁の底を塞ぐ底壁とを備え、外周壁を構成する前壁にポップ表示部が破断線によって区画して形成されている。また、特許文献1には、外周壁の上端開口を塞ぐ蓋壁を更に備える紙製容器も開示されている。前壁に対してポップ表示部を破断線に沿って破断し、ポップ表示部に連なる差込片を前壁の内面側に差し込む。これにより、ポップ表示部を前壁から前側に突出させた状態に配置できるため、収容した物品の販売促進効果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4202686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓋壁を備えていない前者の紙製容器は、物品を収容した状態で封緘できないため、使用性が悪いが、このような不都合は、蓋壁を備える後者の紙製容器であれば生じない。しかし、特許文献1の後者の紙製容器では、蓋壁が反発力によって浮き上がり、封緘状態を維持できない場合があり得る。よって、特許文献1の紙製容器には、封緘状態に維持する封緘強度について改善の余地がある。
【0005】
本発明は、販売促進を図るためのポップ表示部を備える紙製容器の封緘強度の向上を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、前壁、前記前壁の幅方向両側に連なる一対の側壁、及び前記一対の側壁に連なる後壁を有する筒状の外周壁と、前記外周壁の底を塞ぐ底壁と、前記前壁内に設けられた広告表示用のポップ表示部とを備える紙製の容器であって、前記ポップ表示部は、前記底壁に沿って延びる第1折曲線と、前記前壁の上端縁から下向きに延びて前記第1折曲線の両端にそれぞれ連なる一対の第1破断線とによって区画され、前記第1折曲線に沿って延びる第2折曲線によって更に、前記第1折曲線と前記第2折曲線の間に位置する折返部と、前記第2折曲線を介して前記折返部に連なる表示本体部とに区画されており、前記第1折曲線は、前記幅方向の中間部分に差込孔を含み、前記表示本体部には、前記第1折曲線及び第2折曲線に沿った前記折返部及び前記表示本体部の折り曲げによって前記差込孔に差込可能な差込片が連設されており、前記ポップ表示部と対向する前記後壁の上端縁に、前記外周壁の上端開口を塞ぐ蓋壁が連設され、前記蓋壁の前端には、前記前壁の内側に差し込まれる蓋差込片が連設され、前記蓋差込片に、前記折返部及び前記表示本体部の非折曲状態で前記差込片を差込可能なロック孔が設けられている、紙製容器を提供する。
【0007】
この紙製容器では、前壁に対してポップ表示部を第1破断線に沿って破断した後、第1折曲線及び第2折曲線に沿って折返部及び表示本体部をそれぞれ折り曲げる。続いて、第1折曲線に含まれる差込孔に、表示本体部に連設された差込片を差し込むことによって、ポップ表示部を表示状態にすることができる。一方で、差込片は、折返部及び表示本体部の非折曲状態で、蓋壁が備える蓋差込片に設けられたロック孔に差込可能である。これにより、封緘状態では蓋壁が容易に開放しないようにロックできるため、紙製容器の封緘強度を向上できる。このように、差込片は、ポップ表示部を表示状態に維持するための機能と、蓋壁を封緘状態に維持するロック機能とを兼ね備えている。よって、紙製容器の罫線及び破断線の構造を複雑にすることなく、ポップ表示部の表示と蓋壁のロックを行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、販売促進を図るためのポップ表示部を備える紙製容器の封緘強度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る紙製容器の使用状態の一例を示す斜視図。
図2】第1実施形態の紙製容器の封緘状態を示す上方斜視図。
図3】第1実施形態の紙製容器の封緘状態を示す下方斜視図。
図4】第1実施形態の紙製容器のブランクを示す平面図。
図5図4のV部分の拡大図。
図6】開封時の第1過程を示す斜視図。
図7】開封時の第2過程を示す斜視図。
図8】封緘時の過程を示す斜視図。
図9】第2実施形態の紙製容器のブランクを示す図5と同様の図。
図10】第3実施形態の紙製容器のブランクを示す平面図。
図11】第4実施形態の紙製容器の封緘状態を示す下方斜視図。
図12】第4実施形態の紙製容器のブランクを示す平面図。
図13】第5実施形態の紙製容器のブランクを示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1から図3を参照すると、本発明の第1実施形態に係る紙製容器10は、収容する物品の広告表示が印刷されたポップ表示部30を備え、物品を収容したまま陳列台に配置することによって、物品の販売促進を図る。この紙製容器10は、いわゆる中間箱であり、例えば図示しない段ボール箱(外箱)に複数個を収容して輸送される。
【0012】
添付図面におけるX方向は前後方向であり、矢印が示す向きが前側で、矢印とは逆向きが後側である。Y方向は幅方向(左右方向)であり、矢印が示す向きが左側で、矢印とは逆向きが右側である。Z方向は高さ方向(上下方向)であり、矢印が示す向きが上側で、矢印とは逆向きが下側である。
【0013】
紙製容器10は、図4に示す一枚のブランクを、所定部位で折り曲げて貼着することによって形成されている。図4に一点鎖線で記載した部分は、肉厚を圧縮するように表面(紙製容器10の外側に位置する面)の方から罫を入れて形成した汎用罫線である。図4に太い実線で記載した部分は、表面から裏面(紙製容器10の内側に位置する面)にかけて刃を入れて形成した切断線、及び打ち抜きによる形状線(辺)である。図4に細い実線で記載した部分は、原紙の厚みの半分を切断したハーフカット線である。
【0014】
紙製容器10のブランクは、周知の紙器打抜装置によって、単層の厚紙(コートボール)を打ち抜いて形成されている。但し、紙製容器10は、厚みが1.5mm以下であれば、表ライナと裏ライナの間に波状の中しんを配設した周知の紙製段ボールシートによって形成されてもよい。
【0015】
図2及び図3を参照すると、封緘状態の紙製容器10は、外周壁12と、外周壁12の底を塞ぐ底壁20とを備える。ポップ表示部30は、外周壁12を構成する前壁13内に設けられており、これらを破断線(第1破断線)32に沿って破断することによって、図1の下段の紙製容器10のように、前壁13の一部を開口させた第1開封状態にすることができる。紙製容器10は、外周壁12の上端開口を開放可能に塞ぐ蓋壁40を更に備えており、破断線(第2破断線)50に沿って外周壁12を破断することによって、図1の上段の紙製容器10のように、蓋壁40側を分離した第2開封状態にすることができる。
【0016】
本実施形態は、ポップ表示部30と蓋壁40を備える紙製容器10に関し、構造を複雑にすることなく、蓋壁40の封緘強度向上を図る。
【0017】
以下、外周壁12、底壁20、ポップ表示部30、蓋壁40、及び破断線50の構成を、この順で具体的に説明する。
【0018】
(外周壁の構成)
図2及び図3を参照すると、外周壁12は、四角筒状であり、前壁13、後壁14、及び一対の側壁15を備える。一対の側壁15は、高さ方向に延びる折曲部18を介して前壁13と後壁14にそれぞれ連なっている。但し、一対の側壁15は、面取壁を介して前壁13又は後壁14に連なっていてもよい。つまり、外周壁12は、六角筒状であってもよいし、八角筒状であってもよい。以下の説明では、一対の側壁15のうち、図1において左側に位置する方を左側壁15と言い、図1において右側に位置する方を右側壁15と言うことがある。
【0019】
前壁13と後壁14は、YZ平面に沿って延びる同一の四角形状であり、前後方向に間隔をあけて対向配置されている。一対の側壁15は、前後方向の寸法が前壁13及び後壁14の幅方向の寸法よりも小さく、XZ平面に沿って延びる同一の四角形状であり、幅方向に間隔をあけて対向配置されている。そのうち、図1及び図3を参照すると、右側壁15は、前壁13に連なる側壁本体16と後壁14に連なる付代17とによって構成され、接着剤(例えばホットメルト)によって貼着されている。
【0020】
図4を参照すると、付代17、後壁14、左側壁15、前壁13、及び側壁本体16は、この順で左側から右側へ、折曲部18を構成する汎用罫線からなる折曲線18aを介して連設されている。
【0021】
(底壁の構成)
図3及び図4を参照すると、底壁20は、前壁13、後壁14、及び一対の側壁15を筒状に開くことによって、外周壁12の底を塞ぐことが可能なワンタッチ式である。この底壁20は、XY平面に沿って延びる四角形状であり、それぞれ一対の長フラップ21と短フラップ22によって構成されている。一対の長フラップ21は、概ね台形状であり、折曲部23を介して前壁13と後壁14にそれぞれ連なっている。一対の短フラップ22は、概ね台形状であり、折曲部24を介して一対の側壁15にそれぞれ連なっている。
【0022】
図4を参照すると、一対の長フラップ21は、折曲部23を構成する汎用罫線からなる折曲線23aを介して前壁13と後壁14の下端縁にそれぞれ連設されている。これらの長フラップ21には、汎用罫線からなる折曲線21bを介して貼着部21aが連設されている。短フラップ22は、折曲部24を構成する汎用罫線からなる折曲線24aを介して左側壁15及び側壁本体16それぞれの下端縁にそれぞれ連設されている。
【0023】
前壁13と後壁14に対してそれぞれ長フラップ21を山折りして重ね合わせ、左側壁15と側壁本体16に対してそれぞれ短フラップ22を山折りして重ね合わせ、長フラップ21に対して貼着部21aをそれぞれ谷折りして重ね合わせる。続いて、左側壁15に対して後壁14を山折りし、前壁13に対して側壁本体16を山折りする。そして、重なり合った側壁本体16と付代17、及び貼着部21aと短フラップ22を、それぞれ接着剤(例えばホットメルト)によって貼着する。
【0024】
以上の折り曲げと貼着によって、前壁13、後壁14、及び一対の側壁15からなる連続した筒状の外周壁12が形成される。また、外周壁12を四角筒状に広げることによって、前壁13と後壁14に対して長フラップ21がそれぞれ回動し、一対の側壁15に対して短フラップ22がそれぞれ回動し、外周壁12の底が底壁20によってワンアクションで閉塞される。
【0025】
(ポップ表示部の構成)
図1及び図2を参照すると、ポップ表示部30は、収容する物品の販売促進を図るために設けられている。このポップ表示部30は、図1において下段に示す第1開封状態及び上段に示す第2開封状態のいずれでも、前壁13よりも前側に突出した状態で表示可能である。
【0026】
ポップ表示部30は、折曲線(第1折曲線)31と一対の破断線(第1破断線)32とによって、前壁13内の幅方向中央の上部に区画して設けられている。また、ポップ表示部30は、折曲線31に沿って平行に延びる折曲線(第2折曲線)33によって、折返部34と表示本体部35に更に区画されている。
【0027】
図2及び図5を参照すると、折曲線31は、前壁13の下端の上側に間隔をあけて設けられ、底壁20に沿って幅方向に延びている。より具体的には、折曲線31は、前壁13と底壁20の間の折曲部23(折曲線23a)に沿って平行に延びている。但し、折曲線31は、幅方向に延びていれば、底壁20に対して傾斜していてもよいし、ポップ表示部30の折り曲げが可能な範囲であれば、上向き又は下向きに湾曲していてもよい。
【0028】
折曲線31は、折曲性向上のために、主に汎用罫線上に切断線を設けたリード罫によって構成されている。この折曲線31は、幅方向の中間部分に、上向きに突出した凸状の切断線によって構成された差込孔31aを含む。この差込孔31aの形成軌道上には、未開封状態で切断されていない非切断部が確保されている。差込孔31aが形成された領域にはリード罫は形成されていない。つまり、前壁13の幅方向中央に凸状の切断線によって構成された差込孔31aを設け、この差込孔31aの両側にリード罫をそれぞれ設けることによって、折曲線31が構成されている。
【0029】
一対の破断線32は、前壁13の上端から下向きに延びて折曲線31の端部それぞれ連なっている。破断線32の上端にはV字状の切欠部が設けられている。一対の破断線32は、いずれも折曲部18(折曲線18a)に対して平行に位置するように高さ方向に延び、切断線によって構成された所定曲率の湾曲部を介して折曲線31の端部に連なっている。但し、破断線32は、折曲線31の端部に連なる構成であれば、折曲部18に対して傾斜していてもよいし、全体として湾曲した形状であってもよい。
【0030】
一対の破断線32は、いずれも片ジッパーによって構成されている。片ジッパーは、破断可能な間隔をあけて高さ方向の直線状に設けられた複数の第1切断線と、個々の第1切断線の上端に連なり、幅方向外側に向かうに従って上側へ傾斜した第2切断線とによって構成されている。破断可能な間隔とは、外力の付加による破断によって、隣り合う切断線が互いに繋がり易い距離を意味する。
【0031】
折曲線33は、折曲線31と一対の破断線32によって区画されたポップ表示部30を折返部34と表示本体部35に更に区画するために設けられている。この折曲線33は、主に汎用罫線によって構成されており、一対の破断線32間を幅方向に延びている。折曲線33の幅方向の中間部分には、凹状をなすように下向きに突出した切断線33aが含まれている。この切断線33aの形成軌道上には、未開封状態で切断されていない非切断部が確保されている。切断線33aが形成された領域には汎用罫線は形成されていない。つまり、ポップ表示部30の幅方向中央に凹状の切断線33aを設け、この切断線33aの両側に汎用罫線をそれぞれ設けることによって、折曲線33が構成されている。
【0032】
折返部34は、折曲線31を介して前壁13に連なっている。より具体的には、折返部34は、ポップ表示部30のうち、折曲線31,33間に位置する部分によって構成されている。この折返部34は、図1に示すポップ表示状態では表示本体部35の背面に位置して前側からは見えない。
【0033】
表示本体部35は、折曲線33を介して折返部34に連なっている。より具体的には、表示本体部35は、ポップ表示部30のうち、折曲線33とポップ表示部30の上端縁の間に位置する部分によって構成されている。この表示本体部35は、図1に示すポップ表示状態で前側から見える。表示本体部35には、折曲線33に含まれる切断線33aによって下向きに突出した脚部35aが形成されている。
【0034】
ここで、前壁13に形成する折曲線31,33の位置について説明すると、折曲線31は、前壁13の下端から上方に高さT1の位置に設けられ、折曲線33は、折曲線31から上方に高さT2の位置に設けられている。折曲線31の高さT1は、折曲線31を構成するリード罫の位置として定義され、折曲線33の高さT2は、折曲線33を構成する汎用罫線の位置として定義される。
【0035】
前壁13の下端から折曲線31までの高さT1は、前壁13に対するポップ表示部30の破断線32に沿った破断によって、前壁13として残留する部分の高さ寸法に相当する。折曲線31,33間の高さT2は、図2に示す封緘状態での折返部34の高さ寸法に相当する。折曲線33と前壁13の上端縁の間の高さT3は、図2に示す封緘状態での表示本体部35の高さ寸法に相当する。
【0036】
折曲線31の高さT1は、折返部34の高さT2及び表示本体部35の高さT3よりも低い位置に設定されている。より具体的には、折曲線31の高さT1は、前壁13の全高の1/3未満の位置に設定されており、本実施形態では前壁13の全高の1/4の位置に設定されている。これにより、図1に示すポップ表示状態で、表示本体部35の下端を陳列台上に当接させて傾斜させることができるようにしている。
【0037】
本実施形態では、折返部34の高さT2と表示本体部35の高さT3が概ね同一(T2≒T3)に設定され、図1に示すポップ表示状態でポップ表示部30は全体として平坦に折り重ねられている。但し、折返部34の高さT2と表示本体部35の高さT3は、定められた範囲内であれば異なるように設定されていてもよい。具体的には、表示本体部35の高さT3を折返部34の高さT2よりも高く設定すると、図1に示すポップ表示状態で、表示本体部35は前向きに湾曲する一方、折返部34は後向きに湾曲又は平坦に延びる。一方で、表示本体部35の高さT3を折返部34の高さT2よりも低く設定すると、図1に示すポップ表示状態で、表示本体部35は前向きに湾曲又は平坦に延びる一方、折返部34は後向きに湾曲する。表示本体部35を前向きに湾曲させるとデザイン性を向上でき、表示本体部35を平坦にすると印刷された広告表示を明確に視認できる。但し、表示本体部35の高さT3と折返部34の高さT2の差を過度に大きくした場合、表示本体部35の曲率が大きくなり過ぎ、広告表示の視認が困難になる。そのため、折返部34の高さT2と表示本体部35の高さTを加算した状態を100%とすると、表示本体部35の高さT3は、40%以上60%以下の範囲に設定することが好ましく、本実施形態では50%に設定している。
【0038】
図1図5、及び図7を参照すると、表示本体部35には、折曲線18aに含まれる差込孔31aへの差し込みによって、ポップ表示部30を表示状態に維持するための差込片36が連設されている。この差込片36は、差込孔31aへの差込作業性を確保するために、可動片37を介して表示本体部35に連設されている。
【0039】
差込片36は、折曲部38を介して可動片37の上端に連設されている。図5を参照すると、差込片36の横幅は、差込孔31aの横幅と概ね同一であり、表示本体部35の幅方向の寸法の概ね1/3の寸法に設定され、前壁13の幅方向の寸法の概ね1/4の寸法に設定されている。折曲部38を構成する折曲線38aは、表示本体部35の上端(先端)と同じ高さ位置に設けられており、幅方向中央に設けられた凸状の切断線と、この切断線の両側に設けられた一対の汎用罫線によって構成されている。
【0040】
可動片37は、差込片36の両側縁に沿って直線状に設けた一対の切断線からなる切れ目39aと、一対の切れ目39aの下端間に設けられた折曲線39bとによって、表示本体部35内に区画して設けられている。折曲線39bは汎用罫線によって構成されており、この折曲線39bを介して可動片37は表示本体部35に連設されている。
【0041】
図2に示す封緘状態の紙製容器10を、図1の下部に示す第1開封状態とする場合、まず、後に詳述するロック孔44から差込片36を引き抜く。続いて、ポップ表示部30を構成する表示本体部35を把持して前側下向きに引っ張り、図6に示すように、前壁13に対してポップ表示部30を破断線32に沿って破断するとともに、折曲線31に沿って折返部を谷折りする。
【0042】
続いて、図7に示すように、折返部34に対して表示本体部35を折曲線33に沿って山折りした後、可動片37を前側へ回動させることによって差込片36を差込孔31aに対応させて差し込む。これにより、図1の下部に示すように、前壁13の一部のみを開封した第1開封状態にすることができる。
【0043】
(蓋壁の構成)
図2及び図8を参照すると、蓋壁40は、外周壁12の上端開口を開放可能に塞ぐために設けられている。この蓋壁40は、図2に示す封緘状態で、底壁20と概ね同一寸法でXY平面に沿って延びる四角形状であり、底壁20の上方に間隔をあけて対向配置されている。蓋壁40は、ポップ表示部30と対向する後壁14の上端縁に折曲部41を介して連なっている。図4を参照すると、蓋壁40は、折曲部41を構成する汎用罫線からなる折曲線41aを介して後壁14の上端縁に連設されている。
【0044】
図2及び図8を参照すると、蓋壁40の前端縁には、折曲部43を介して蓋差込片42が連設されている。この蓋差込片42は、前壁13の内側に重なるように差し込まれ、蓋壁40が反発力によって外周壁12の上端開口が開放されることを防ぐために設けられている。蓋差込片42の高さである突出寸法は、可動片37の高さ寸法よりも大きく設定されている。つまり、図2に示す封緘状態で、蓋差込片42の下端縁は、可動片37の下端よりも下側に位置している。図4を参照すると、蓋差込片42は、折曲部43を構成する汎用罫線からなる折曲線43aを介して蓋壁40の上端縁に連設されている。
【0045】
図2図4、及び図8を参照すると、蓋差込片42には、図2に示す封緘状態、つまり折返部34及び表示本体部35の非折曲状態で、差込片36を差込可能なロック孔44が設けられている。このロック孔44の横幅は、差込片36の横幅と概ね同一である。
【0046】
ロック孔44は、本実施形態では折曲部43上に設けられている。ロック孔44は、蓋壁40から蓋差込片42側へ突出した凸状の切断線によって構成されている。ロック孔44が形成された領域には折曲部43は形成されていない。つまり、蓋壁40と蓋差込片36の間の幅方向中央に凸状のロック孔44を設け、このロック孔44の両側に汎用罫線をそれぞれ設けることによって、折曲部42(折曲線43a)が構成されている。また、ロック孔44の蓋壁40側には、図2に示すように、ロック孔44に差し込んだ差込片36を引き抜くために、半円状に打ち抜いた操作穴44aが設けられている。
【0047】
図6から図8を参照すると、蓋差込片42には、図1の下段及び図7に示す第1開封状態で、前壁13の両側上部を係止するために一対のスリット42aが設けられている。一対のスリット42aは、ポップ表示部30を区画する一対の破断線32に対応し、それぞれ交差するように傾斜している。より具体的には、蓋差込片42を前壁13の内側に差し込んだ状態で、スリット42aの下端42bは破断線32の幅方向外側に位置し、スリット42aの上端42cは破断線32の幅方向内側に位置する。これにより、図7に示す前壁13の第1開封状態で、スリット42aによる縁を破断線32による破断縁に係止可能としている。スリット42aの下端42bは、蓋差込片42の下端縁に対して破断可能な間隔をあけて配置され、スリット42aの上端42cは、折曲部43に対して間隔をあけて配置されている。
【0048】
図2及び図8を参照すると、一対の側壁15の上端縁には、図2に示す封緘状態で蓋壁40の下面を支持する内フラップ45が、折曲部46(折曲線46a)を介してそれぞれ連設されている。図4を参照すると、内フラップ45は、折曲部46を構成する汎用罫線からなる折曲線46aを介して、左側壁15と側壁本体16の上端縁にそれぞれ連設されている。
【0049】
図8に示す封緘前の状態で、側壁15に対して内フラップ45をそれぞれ山折りした後、後壁14に対して蓋壁40を山折りするとともに、蓋壁40に対して蓋差込片36を山折りする。続いて、図2に示すように、蓋差込片36を前壁13の内側に差し込んだ後、可動片37を前側へ回動させることによって差込片36をロック孔44に対応させて差し込む。これにより、前壁13の内側から引き抜かれるような力が蓋差込片36に作用しても、前壁13に対する蓋差込片36の相対移動が不可能になる。つまり、差込片36を意図してロック孔44から引き抜かなければ、蓋壁40を開放不可能なロック状態にすることができる。
【0050】
一方で、ロック孔44から差込片36を引き抜いて、図1の下段及び図7に示す第1開封状態にした場合、蓋差込片36の反発力によって前壁13の両側上部が前側に撓む。これに対して、蓋差込片36には破断線32に対応するスリット42aが設けられており、蓋差込片36の一対のスリット42a間を前側に引っ張ることによって、スリット42aの縁を破断線32による破断縁に係止できる。これにより、前壁13の両側上部の撓みを抑え、蓋壁40を閉塞状態に維持できる。
【0051】
(破断線の構成)
図1から図3を参照すると、破断線50は、外周壁12を底壁20側と蓋壁40側に分離するために設けられている。この破断線50は、前壁13から一対の側壁15をそれぞれ経由して後壁14かけて延びている。より具体的には、断線50は、前壁13に設けられた前方破断部51、一対の側壁15にそれぞれ設けられた一対の側方破断部52、及び後壁14に設けられた後方破断部53によって構成されている。
【0052】
図2及び図4を参照すると、前方破断部51は、前壁13に対して全高の半分よりも下側に設けられ、前壁13の下端に対して間隔をあけて幅方向に延びている。本実施形態では、前方破断部51は、一対の破断線32から幅方向外側へそれぞれ延びている。但し、前方破断部51は、折曲線31に対して直線上に位置するように設けられてもよく、その形成位置は必要に応じて変更可能である。
【0053】
個々の前方破断部51は、直線状に延びる切断線と、切断線に対して破断可能な間隔をあけて設けられた一片の片ジッパーとで構成されている。片ジッパーを構成する第2切断線は、ポップ表示部30側の端に連なり、下側に向かうに従って幅方向内側へ傾斜している。前方破断部51の幅方向の内端は、破断線32に対して破断可能な間隔をあけて配置されている。前方破断部51の幅方向の外端は、折曲部18(折曲線18a)に対して間隔をあけて配置されている。
【0054】
図2から図4を参照すると、側方破断部52は、一対の側壁15の前端から後端にかけてそれぞれ設けられ、全体として前方破断部51の近傍から後側に向かうに従って上側に傾斜している。この側方破断部52の前壁13側の前端は、前方破断部51の幅方向外側の外端に対して破断可能な間隔をあけて配置されている。側方破断部52の後壁14側の後端は、側壁15の半分よりも上側に配置されている。
【0055】
側方破断部52は、定められた破断軌道に沿って設けられた片ジッパーによって構成されている。片ジッパーを構成する第2切断線は、前壁13側の端に連なり、下側に向かうに従って前側へ傾斜している。一対の側壁15のうちの右側壁15は、前述のように、側壁本体16と付代17によって構成されているため、片ジッパーは右側壁15を構成する側壁本体16に設けられ、付代17には切欠部52aと直線状のハーフカット線52bとが設けられている。
【0056】
図3及び図4を参照すると、後方破断部53は、一対の側方破断部52の後端間に設けられている。後方破断部53の両端は、一対の側方破断部52の後端に対して破断可能な間隔をあけて配置されている。この後方破断部53は、後壁14に対して全高の半分よりも上側に配置され、幅方向に直線状に延びている。但し、後方破断部53は、一対の側方破断部52の後端に対して破断可能な間隔で配置されていれば、後壁14の上端(折曲部41)に対して傾斜していてもよいし、湾曲していてもよい。また、後方破断部53は、後壁14の上端(折曲部41)に形成されてもよい。
【0057】
後方破断部53は、一対の片ジッパー53a,53bによって構成されている。より具体的には、後壁14において、幅方向中央よりも左側に位置する第1の片ジッパー53aと、幅方向中央よりも右側に位置する第2の片ジッパー53bとによって構成されている。これらの片ジッパー53a,53bは、第1切断線に対して第2切断線が連なる位置が異なっており、第2切断線はいずれも、第1切断線の幅方向外側の端に連なり、下側に向かうに従って幅方向外側へ傾斜している。
【0058】
図1から図3を参照すると、一対の側壁15には、図1の上段の紙製容器10のように蓋壁40側を分離した第2開封状態で、内部の物品の前倒れを防ぐためのストッパ片55がそれぞれ設けられている。より具体的には、左側壁15には、前後方向の中央よりも後側に2個のストッパ片55が設けられ、右側壁15には、前後方向の中央よりも前側に2個のストッパ片55が設けられている。つまり、ストッパ片55を形成する前後方向の位置は、全て異なっている。本実施形態では、左右の側壁15で合計4枚のストッパ片55は、等間隔をあけて位置するように設けられている。
【0059】
図4を参照すると、ストッパ片55は、第1切断線56、合計で4本の第2切断線57、及び2本の折曲線58によって、側壁15内に区画して設けられている。第1切断線56は、高さ方向に延びている。第2切断線57は、第1切断線56の上下端から前後にそれぞれ延びている。これらの切断線57,58には、未開封状態で切断されていない非切断部が確保されている。折曲線58は、高さ方向に延びる汎用罫線からなり、第1切断線56から前側に延びる一対の第2切断線57の前端間と、第1切断線56から後側に延びる一対の第2切断線57の後端間とにそれぞれ設けられている。
【0060】
紙製容器10を図1の上段に示すようにトレイ状に開封する場合、図6又は図7に示す第1開封状態で、一対の破断線32による前壁13の破断縁を把持し、前方破断部51に沿って前壁13の残留部分を破断する。続いて、前壁13と側壁15の稜部のうち前方破断部51よりも上側を把持し、上方後向きに操作することによって、側方破断部52に沿って一対の側壁15をそれぞれ破断する。最後に、後方破断部53に沿って後壁14を破断する。これにより、図1の上段に示すように、外周壁12の蓋壁40側を取り除き、紙製容器10をトレイ状の第2開封状態にすることができる。
【0061】
この第2開封状態で一部の物品が取り出されると、ストッパ片55を内向きに押し込み、隣り合う物品の間に配置する。これにより、紙製容器10内に収容されている残りの物品がストッパ片55に当接することによって、これらの前倒れを防止できる。
【0062】
このように構成した紙製容器10は、以下の特徴を有する。
【0063】
前壁13に対してポップ表示部30を破断線32に沿って破断した後、折曲線31,33に沿って折返部34及び表示本体部35をそれぞれ折り曲げる。続いて、折曲線31に含まれる差込孔31aに、表示本体部35に連設された差込片36を差し込むことによって、ポップ表示部30を表示状態にすることができる。一方で、差込片36は、折返部34及び表示本体部35の非折曲状態で、蓋壁40が備える蓋差込片42に設けられたロック孔44に差込可能である。これにより、封緘状態では蓋壁40が容易に開放しないようにロックできるため、紙製容器10の封緘強度を向上できる。このように、差込片36は、ポップ表示部30を表示状態に維持するための機能と、蓋壁40を封緘状態に維持するロック機能とを兼ね備えている。よって、紙製容器10の罫線及び破断線の構造を複雑にすることなく、ポップ表示部30の表示と蓋壁40のロックを行うことができる。
【0064】
蓋差込片42には、一対の破断線32にそれぞれ交差する一対のスリット42aが設けられている。これにより、前壁13に対してポップ表示部30を破断線32に沿って破断した状態で、蓋差込片42のうち一対のスリット42a間に位置する部分を前側へ撓ませることによって、スリット42aによる縁を破断線32による破断縁に係止できる。そのため、ポップ表示部30を破断した前壁13の両側上部が撓むことによって、蓋差込片42との間の摩擦抵抗が少なくなり、蓋壁40が反発力によって浮き上がることを抑制できる。つまり、スリット42aによる前壁13の上部の係止によって、蓋壁40を閉塞状態に維持できる。よって、開封してポップ表示状態とした紙製容器10の取り扱いが容易になるうえ、外観が損なわれることを抑制できる。
【0065】
外周壁12には、外周壁12を底壁20側と蓋壁40側に分離するための破断線50が設けられている。これにより、紙製容器10は、前壁13の一部のみを開封した第1開封状態だけでなく、蓋壁40側を分離した第2開封状態とすることができる。よって、紙製容器10を用いた物品の陳列に関し、スペースに応じて最適な態様を実現できる。
【0066】
前壁13の下端から折曲線31までの高さT1は、折返部34の高さT2及び表示本体部35の高さT3よりも低い。これにより、開封した紙製容器10を陳列台上に載置すると、ポップ表示部30が陳列台に当接して傾斜したポップ表示状態になるため、消費者が上方から広告表示の内容を視認し易くなる。また、表示本体部35には、折曲線33に含まれる凹状の切断線33aによって下向きに突出した脚部35aが形成されている。これにより、ポップ表示部30の表示状態では、脚部35aの下端縁が陳列台に当接するため、安定性を向上できる。
【0067】
以下、本発明の他の実施形態並びに種々の変形例を説明するが、これらの説明において、特に言及しない点は第1実施形態と同様である。以下で言及する図面において、第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付している。
【0068】
(第2実施形態)
図9を参照すると、第2実施形態の紙製容器10は、連続部60を介して折返部34と表示本体部35を連設し、ポップ表示部30を三角柱状とした点で、第1実施形態の紙製容器10と相違している。連続部60は、凹状の切断線33aの両側に、高さ方向に間隔をあけて幅方向に延びる一対の折曲線33を設けることによって形成されている。このようにした第2実施形態の紙製容器10では、第1実施形態の紙製容器10と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0069】
(第3実施形態)
図10を参照すると、第3実施形態の紙製容器10は、ポップ表示部30を含む前壁13の横幅と、蓋壁40及び蓋差込片42を含む後壁14の横幅とを、1.5倍の寸法にし、差込孔31a、可動部37を含む差込片36、及びロック孔44をそれぞれ2個ずつ設けた点で、第1実施形態の紙製容器10と相違している。但し、ポップ表示部30を含む前壁13の横幅と、蓋壁40及び蓋差込片42を含む後壁14の横幅とは、1.5倍に限られず、必要に応じて変更可能である。また、差込孔31a、可動部37を含む差込片36、及びロック孔44それぞれの数は、ポップ表示部30を含む前壁13の横幅と蓋壁40及び蓋差込片42を含む後壁14の横幅に応じて変更可能である。このようにした第2実施形態の紙製容器10では、第1実施形態の紙製容器10と同様の作用及び効果を得ることができるうえ、ポップ表示部30の表示状態の安定性と蓋壁40を封緘状態に維持する封緘強度とをより向上できる。
【0070】
(第4実施形態)
図11及び図12を参照すると、第4実施形態の紙製容器10は、底壁20の構成を変更した点で、第1実施形態の紙製容器10と相違している。具体的には、第4実施形態の底壁20は、インターロック式であり、第1実施形態と同様に、それぞれ一対の長フラップ21と端フラップ22を備える。
【0071】
一対の長フラップ21は、互いの先端部分が重なり合う寸法で形成されている。前壁13に連なる第1の長フラップ21は長方形状に形成され、先端中央には切欠部21cが設けられている。後壁14に連なる第2の長フラップ21は、切欠部21cを通して差込可能な横幅の先端部を有する概ね台形状に形成されている。一対の短フラップ22には、第1の長フラップ21の切欠部21cを露出させるための切欠部22aが設けられている。
【0072】
前壁13に対して第1の長フラップ21を折り曲げた後、一対の側壁15に対して一対の短フラップ22をそれぞれ折り曲げる。その後、後壁14に対して第2の長フラップ21を折り曲げ、切欠部22aによって露出した第1の長フラップ21の切欠部21cを通して、第2の長フラップ21の先端部を第1の長フラップ21の内側に配置する。これにより、フラップ21,22の噛み合わせだけで、底壁20の閉塞状態が保持される。
【0073】
(第5実施形態)
図13を参照すると、第5実施形態の紙製容器10は、底壁20の構成を、それぞれ長方形状で一対の長フラップ21と短フラップ22によって構成した点で、第1実施形態と相違している。この紙製容器10では、一対の側壁15に対して一対の内フラップ22をそれぞれ折り曲げ、前壁13と後壁14に対して長フラップ21をそれぞれ折り曲げ、一対の長フラップ21の突き当たった先端部分をテープ等の固着手段で固着することによって、底壁20が形成され、外周壁12の底が閉塞される。
【0074】
第4実施形態及び第5実施形態の紙製容器10は、外周壁12を四角筒状に広げるだけでは底を自動閉塞できないが、ポップ表示部30によるポップ表示と、差込片36による蓋壁40のロックに関しては、第1実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0075】
なお、本発明は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0076】
例えば、第4実施形態及び第5実施形態の紙製容器10についても、第2実施形態のように連続部60を介して折返部34と表示本体部35を連設してもよいし、第3実施形態のように差込孔31a、可動部37を含む差込片36、及びロック孔44をそれぞれ2個ずつ設けてもよい。
【0077】
図1の下段に示す第1開封状態で前壁13の両側上部に係止する蓋差込片42のスリット42aは、設けられなくてもよい。
【0078】
外周壁12を底壁20側と蓋壁40側に分離するための破断線50は、設けられなくてもよい。
【0079】
前壁13の下端から折曲線31までの高さT1は、折返部34の高さT2及び表示本体部35の高さT3よりも高くてもよい。
【0080】
側壁15には、ストッパ片55を設けなくてもよい。
【0081】
折曲線31,33は、汎用罫線、リード罫、及びハーフカット線のいずれかで構成されてもよく、所定部位に沿って折曲可能な構成であれば必要に応じて変更可能である。破断線32,50は、複数の切断線を破断可能な間隔で設けたミシン目線、又は複数のY字状切断線によって構成されたYジッパーであってもよく、定められた破断軌道に沿って破断可能な構成であれば必要に応じて変更可能である。
【符号の説明】
【0082】
10 紙製容器
12 外周壁
13 前壁
14 後壁
15 側壁
16 側壁本体
17 付代
18 折曲部
18a 折曲線
20 底壁
21 長フラップ
21a 貼着部
21b 折曲線
21c 切欠部
22 短フラップ
22a 切欠部
23 折曲部
23a 折曲線
24 折曲部
24a 折曲線
30 ポップ表示部
31 折曲線(第1折曲線)
31a 差込孔
32 破断線(第1破断線)
33 折曲線(第2折曲線)
33a 切断線
34 折返部
35 表示本体部
35a 脚部
36 差込片
37 可動片
38 折曲部
38a 折曲線
39a 切れ目
39b 折曲線
40 蓋壁
41 折曲部
41a 折曲線
42 蓋差込片
42a スリット
42b 下端
42c 上端
43 折曲部
43a 折曲線
44 ロック孔
44a 操作穴
45 内フラップ
46 折曲部
46a 折曲線
50 破断線(第2破断線)
51 前方破断部
52 側方破断部
52a 切欠部
52b ハーフカット線
53 後方破断部
53a,53b 片ジッパー
55 ストッパ片
56 第1切断線
57 第2切断線
58 折曲線
60 連続部
T1 前壁の下端から第1折曲線までの高さ
T2 折返部の高さ
T3 表示本体部の高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13