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特開2024-179068無人飛行体および無人飛行体の飛行制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179068
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】無人飛行体および無人飛行体の飛行制御方法
(51)【国際特許分類】
   B64C 37/00 20060101AFI20241219BHJP
   B64U 10/13 20230101ALI20241219BHJP
   B64D 47/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B64C37/00
B64U10/13
B64D47/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097580
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304020292
【氏名又は名称】国立大学法人徳島大学
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】森本 貴景
(72)【発明者】
【氏名】越本 拓海
(72)【発明者】
【氏名】山口 智香
(72)【発明者】
【氏名】水野 大輔
(72)【発明者】
【氏名】三輪 昌史
(57)【要約】
【課題】対象要素への接近状態時においても、安定した飛行を行うことができる無人飛行体を提供する。
【解決手段】本開示に係る無人飛行体は、複数の回転翼と、複数の回転翼を制御する制御装置を少なくとも有した本体部と、複数の回転翼を搭載し、複数の回転翼を前記本体部に対して傾斜させる複数の傾斜機構と、を備え、複数の傾斜機構は、本体部を間に挟んで互いに反対側に位置する第1の傾斜機構および第2の傾斜機構を有し、複数の回転翼は、第1の傾斜機構および第2の傾斜機構にそれぞれ搭載される第1の回転翼および第2の回転翼を有し、制御装置は、距離測定センサによって無人飛行の周辺の対象要素までの距離を測定し、対象要素との距離に応じて、第1の回転翼の空気の排出方向が対象要素に向くように、第1の傾斜機構を制御すると共に、第2の回転翼の空気の排出方向が対象要素とは反対方向に向くように、第2の傾斜機構を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転翼を備えた無人飛行体であって、
前記無人飛行体は、
前記複数の回転翼を制御する制御装置を少なくとも有した本体部と、
前記複数の回転翼を搭載し、前記複数の回転翼を前記本体部に対して傾斜させる複数の傾斜機構と、を備え、
前記複数の傾斜機構は、
前記本体部を間に挟んで互いに反対側に位置する第1の傾斜機構および第2の傾斜機構を有し、
前記複数の回転翼は、
前記第1の傾斜機構および前記第2の傾斜機構にそれぞれ搭載される第1の回転翼および第2の回転翼を有し、
前記制御装置は、
距離測定センサによって前記無人飛行体の周辺の対象要素までの距離を測定し、前記対象要素との距離に応じて、前記第1の回転翼の空気の排出方向が前記対象要素に向くように、前記第1の傾斜機構を制御すると共に、前記第2の回転翼の空気の排出方向が前記対象要素とは反対方向に向くように、前記第2の傾斜機構を制御する、無人飛行体。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記第1の回転翼が前記対象要素に最も近い位置となり、
前記第2の回転翼が前記本体部を間に挟んで前記対象要素とは反対側に位置する場合に、前記第1の回転翼の空気の排出方向が前記対象要素に向き、前記第2の回転翼の空気の排出方向が前記対象要素とは前記反対方向に向くように前記第1および第2の傾斜機構を制御する、請求項1記載の無人飛行体。
【請求項3】
前記第1および第2の回転翼は、
前記本体部に対して傾斜するように、前記第1および第2の傾斜機構に取り付けられる、請求項1または請求項2記載の無人飛行体。
【請求項4】
前記第1および第2の傾斜機構は、円柱状の傾斜機構であって、
前記第1の回転翼は、
前記第1の傾斜機構の中心軸周りに回動するように取り付けられ、
前記第2の回転翼は、
前記第2の傾斜機構の中心軸周りに回動するように取り付けられる、請求項3記載の無人飛行体。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記対象要素との前記距離および前記対象要素と相対的な方向に基づいて、
前記第1の回転翼の空気の排出方向を前記対象要素に向ける場合の第1の傾斜角、
および前記第2の回転翼の空気の排出方向を前記対象要素とは反対方向に向ける場合の第2の傾斜角を設定する、請求項1または請求項2記載の無人飛行体。
【請求項6】
複数の回転翼を備えた無人飛行体であって、
前記無人飛行体は、
前記複数の回転翼を制御する制御装置を少なくとも有した本体部と、
前記複数の回転翼を搭載する複数の支柱と、を備え、
前記複数の支柱は、
前記本体部を間に挟んで互いに反対側に位置する第1の支柱および第2の支柱を有し、
前記複数の回転翼は、
前記第1の支柱および前記第2の支柱にそれぞれ搭載され、前記無人飛行体の位置姿勢の制御をする第1の回転翼および第2の回転翼と、
前記第1の支柱および前記第2の支柱の前記第1および第2の回転翼の搭載面とは異なる面にそれぞれ搭載され前記無人飛行体の位置を安定化させる第3の回転翼および第4の回転翼と、を有し、
前記制御装置は、
距離測定センサによって前記無人飛行体の周辺の対象要素までの距離を測定し、前記対象要素との距離に応じて、前記第3の回転翼または前記第4の回転翼の回転数を制御し、前記無人飛行体の位置を安定化させる、無人飛行体。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記無人飛行体の姿勢を前記対象要素に対して傾けるように、前記第1の回転翼の回転数および前記第2の回転翼の回転数を制御する、請求項6記載の無人飛行体。
【請求項8】
前記第1および第2の回転翼と、
前記第3および第4の回転翼とは独立して制御される、請求項6記載の無人飛行体。
【請求項9】
複数の回転翼を備えた無人飛行体の飛行制御方法であって、
前記無人飛行体は、
前記複数の回転翼を制御する制御装置を少なくとも有した本体部と、
前記複数の回転翼を搭載し、前記複数の回転翼を前記本体部に対して傾斜させる複数の傾斜機構と、を備え、
前記複数の傾斜機構は、
前記本体部を間に挟んで互いに反対側に位置する第1の傾斜機構および第2の傾斜機構を有し、
前記複数の回転翼は、
前記第1の傾斜機構および前記第2の傾斜機構にそれぞれ搭載される第1の回転翼および第2の回転翼を有し、
前記制御装置は、
距離測定センサによって前記無人飛行体の周辺の対象要素までの距離を測定し、前記対象要素との距離に応じて、水平方向の合力が釣り合うように前記第1および第2の傾斜機構を制御して、前記本体部に対して傾斜するように前記第1および第2の回転翼を傾ける、無人飛行体の飛行制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は無人飛行体に関し、特に、無人飛行体の周辺の対象要素との接触を回避できる無人飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数のプロペラの回転速度を制御することにより飛行を制御する無人飛行体は、トンネル、橋梁等のインフラ構造物の点検に広く利用されている。無人飛行体が点検のために構造物に接近すると、気流の変化により接触し、場合によっては墜落する可能性がある。
【0003】
そこで、特許文献1では、無人飛行体の回転翼による負圧で機体を構造物の面に吸い付かせ、複数の駆動源を有する回転体を駆動させることにより、構造物の面上で安定した走行を可能にした無人航空機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2017/183219号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された無人航空機では、構造物の面に回転体を物理的に接触させ、当該回転体を駆動させることにより、構造物の面上において安定した走行を可能にしている。従って、無人航空機は、構造物の接触面を傷つけてしまう可能性があり、構造物の面が接触を許さない面である場合には使用することができない。
【0006】
このように、従来の無人飛行体は、構造物等の対象要素への接近状態時において、安定した飛行が行えないという問題点があった。
【0007】
本開示は上記のような問題を解決するためになされたものであり、対象要素への接近状態時においても、安定した飛行を行うことができる無人飛行体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る無人飛行体は、複数の回転翼を備えた無人飛行体であって、前記複数の回転翼を制御する制御装置を少なくとも有した本体部と、前記複数の回転翼を搭載し、前記複数の回転翼を前記本体部に対して傾斜させる複数の傾斜機構と、を備え、前記複数の傾斜機構は、前記本体部を間に挟んで互いに反対側に位置する第1の傾斜機構および第2の傾斜機構を有し、前記複数の回転翼は、前記第1の傾斜機構および前記第2の傾斜機構にそれぞれ搭載される第1の回転翼および第2の回転翼を有し、前記制御装置は、距離測定センサによって前記無人飛行体の周辺の対象要素までの距離を測定し、前記対象要素との距離に応じて、前記第1の回転翼の空気の排出方向が前記対象要素に向くように、前記第1の傾斜機構を制御すると共に、前記第2の回転翼の空気の排出方向が前記対象要素とは反対方向に向くように、前記第2の傾斜機構を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る無人飛行体によれば、対象要素との距離に応じて、第1の回転翼の空気の排出方向が対象要素に向くように、第1の傾斜機構を制御すると共に、第2の回転翼の空気の排出方向が対象要素とは反対方向に向くように、第2の傾斜機構を制御するので、無人飛行体の水平方向位置のずれに対して、無人飛行体と対象要素との間に正剛性のばねを設けたように受動的に元の位置に戻そうとする動作をすることになり、対象要素に接近した場合でも安定した飛行が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る無人飛行体を上方から見た外観図である。
図2】実施の形態1に係る無人飛行体を側方から見た外観図である。
図3】実施の形態1に係る無人飛行体が側方の対象要素に接近した場合の力の関係を説明する図である。
図4】実施の形態1に係る無人飛行体の構成を示すブロック図である。
図5】実施の形態1に係る無人飛行の回転翼の傾斜角の制御例を示す図である。
図6】実施の形態1に係る無人飛行体が側方の対象要素に接近した場合の水平方向の力の関係を説明する図である。
図7】実施の形態1に係る無人飛行体が側方の対象要素に接近した場合の水平方向の力の関係を説明する図である。
図8】実施の形態1に係る無人飛行体が側方の対象要素に接近した場合の水平方向の力の関係を説明する図である。
図9】実施の形態1に係る無人飛行体の側方の対象要素への接近中の飛行制御の一例を示すフローチャートである。
図10】実施の形態1の変形例1に係る無人飛行体の構成を示す斜視図である。
図11】実施の形態1の変形例1に係る無人飛行体が側方の対象要素に接近した場合の傾斜機構の動作の一例を示す図である。
図12】実施の形態1の変形例1に係る無人飛行体が側方の対象要素に接近した場合の傾斜機構の動作の他の例を示す図である。
図13】実施の形態1の変形例2に係る無人飛行体を上方から見た外観図である。
図14】実施の形態1の変形例2に係る無人飛行体の構成を示すブロック図である。
図15】実施の形態1の変形例2に係る無人飛行体が側方の対象要素に接近した場合の傾斜機構の動作の一例を示す図である。
図16】実施の形態2に係る無人飛行体を上方から見た外観図である。
図17】実施の形態2に係る無人飛行体の側方の対象要素への接近中の飛行制御の一例を示すフローチャートである。
図18】実施の形態3に係る無人飛行体を上方から見た外観図である。
図19】実施の形態3に係る無人飛行体の構成を示すブロック図である。
図20】実施の形態3に係る無人飛行体が側方の対象要素に接近した場合の水平方向の力の関係を説明する図である。
図21】実施の形態3に係る無人飛行体が側方の対象要素に接近した場合の水平方向の力の関係を説明する図である。
図22】実施の形態3に係る無人飛行体が側方の対象要素に接近した場合の水平方向の力の関係を説明する図である。
図23】実施の形態3に係る無人飛行体が側方の対象要素に接近した場合の水平方向の力の関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施の形態1>
<無人飛行体の外観構造>
図1および図2は本開示に係る実施の形態1の無人飛行体1の外観構造を示す図である。図1は上方から見た無人飛行体1の構成を示し、図2は矢示A方向の側方から見た無人飛行体1の構成を示している。
【0012】
これらの図に示すように、無人飛行体1は、本体部2、アームA1~A4、モータM1~M4、回転翼P1~P4と、モータM1~M4および回転翼P1~P4を本体部2の中央に向けて傾斜させるための4つの傾斜機構I1~I4を主要構成要素として含んでいる。モータM1~M4が、それぞれ回転翼P1~P4を回転させる回転駆動処理を実行する複数の駆動機構となる。
【0013】
本体部2は平面視で矩形状をなし、本体部2の4つの角部から4つのアームA1~A4が放射状に延在するように設けられている。アームA1~A4の先端は、本体部2の側面と平行に配置された円柱状の4つの傾斜機構I1~I4に、2本のアームで1本の傾斜機構を挟むように接続され、傾斜機構I1~I4が回動自在に取り付けられている。例えば、アームA1~A4の先端の内部には、傾斜機構I1~I4を回動させるための回動機構がそれぞれ設けられており、傾斜機構I1~I4は回動機構に係合している。なお、回動機構は必ずしもアームの先端の内部に設けられるものではなく、アームの先端の外部に設けることもでき、傾斜機構側に回動するための機構を設けることもできる。例えば傾斜機構側に回動用のモータが設けられ、アームにモータの回転軸が固定され、その反力で傾斜機構側を回転させることもできる。
【0014】
傾斜機構I1~I4の長手方向の中央部には、それぞれモータM1~M4が取り付けられ、モータM1~M4のそれぞれの回転軸には回転翼P1~P4が取り付けられている。
【0015】
駆動機構であるモータM1~M4は、それぞれ回転翼P1~P4を回転させる回転駆動処理を実行する。
【0016】
モータM1~M4の回転駆動処理によって回転翼P1~P4はそれぞれ回転することにより、無人飛行体1を飛行させるための推力を発生することができる。
【0017】
傾斜機構I1~I4は、図1に矢印で示されるように、それぞれの中心軸周りに回動することができ、傾斜機構I1~I4が本体部2の中央に向けて回動することで、回転翼P1~P4は本体部2の中央に向けて傾くことになる。
【0018】
なお、図1および図2では、無人飛行体1は、4つの傾斜機構I1~I4、4つのモータM1~M4および4つの回転翼P1~P4を有する構成として説明したが、傾斜機構、モータおよび回転翼の個数はこれに限定されず、2つ以上であればよく、これらの配置も適宜変更可能である。
【0019】
<無人飛行体に生じる力>
図3は、無人飛行体1が側方の対象要素200に接近した場合の力の関係を説明する概略図である。図3の例では、対象要素200が垂直壁面である場合を示す。なお、本開示において、側方の対象要素200の近傍の領域とは、対象要素200の表面から、無人飛行体1の回転翼の直径の1.5倍の距離以内の領域を指すものとし、以下、明記しない限り、本領域内に無人飛行体1の少なくとも1枚以上の回転翼の回転範囲が侵入している状態のことを対象要素に接近した場合として説明する。
【0020】
無人飛行体1が側方の対象要素200に接近する場合、図3に矢印Bで示すように無人飛行体1が対象要素200に対して倒れこむようなモーメントが発生することが知られている。従来的には、その倒れこみを姿勢角度の変化から検知し、対象要素200に近い側の回転翼、図3では回転翼P4の回転数を増加させ、回転翼P2の回転数を減少させることで姿勢の水平化を試みる。それにより無人飛行体1の姿勢が水平化すると、ホバリングのために再度全ての回転翼の回転数を回転翼P1およびP3と同程度にする。しかし、無人飛行体1は側方の対象要素200近傍の領域に位置しているため、再度、対象要素200に向かって傾くので、再度の水平化を試みることになる。このように、無人飛行体1が倒れこみと水平化を繰り返す振動的な動作となり、場合によっては対象要素200に吸い付くなどして落下する可能性がある。
【0021】
無人飛行体1は、回転翼P1~P4の傾斜角度を制御することにより、側方の対象要素200の影響により無人飛行体1の飛行が不安定化しうるような領域に位置する場合でも、無人飛行体1の飛行制御を安定化させ、対象要素200への衝突および落下を防止することができる。
【0022】
<無人飛行体の構成>
図4は、無人飛行体1の構成を示すブロック図である。無人飛行体1は、モータM1~M4による回転翼P1~P4の回転駆動処理および傾斜機構I1~I4の回動駆動処理を主とした飛行制御を実現するために、距離測定センサ4、制御装置6、通信装置8および記憶装置10を主要構成要素として含んでいる。
【0023】
駆動装置5を構成するモータM1~M4、回転翼P1~P4および傾斜機構I1~I4は、本体部2の外部に設けられ、制御装置6、通信装置8および記憶装置10は本体部2の内部に設けられている。
【0024】
距離測定センサ4は、無人飛行体1の側方の対象要素200との距離を測定する。側方の対象要素200は、例えば図3に示したような垂直壁面である。
【0025】
距離測定センサ4としては、1方向の距離を測定する場合は、例えば、光学式または超音波式の距離センサを、無人飛行体1の本体部2の側面等に設ける。各方位の距離を測定する場合は、例えば無人飛行体1の進行方向に対して前後左右に距離センサを設けたり、360度に対して等間隔に複数の距離センサを設けたりする。無人飛行体1の移動方向が例えば前進のみに定まっている場合は、無人飛行体1の前方180度に対して等間隔に距離センサを設けることができる。
【0026】
また、1方向以上の距離を測定する手段としては、例えば、RGBカメラ、深度カメラなどのカメラ、およびLiDAR(Light Detection And Ranging)などを挙げることができる。それぞれある特定の視野角を持つので、全方位を測定するためにはその視野角を繋げる形で設置する。また、全方位を見ることのできるLiDAR、魚眼レンズを搭載したカメラなどの1つの機器で全方位を見ることが可能な装置もあるので、それを、全方位方向に視野を確保できる位置、例えば無人飛行体1の本体頭頂部または最下部などに設ける。
【0027】
制御装置6は、駆動装置5の動作を制御する。例えば、制御装置6は、回転翼P1~P4の回転数および傾斜機構I1~I4の回動角、すなわち回転翼P1~P4の傾斜角を制御する。制御装置6には、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサが適用され、記憶装置10に格納されるプログラムを実行することで駆動装置5の制御を実現する。
【0028】
通信装置8は、外部との各種データ信号の送受信を行い、例えば、外部から目標指令となるデータ信号を受信すると、制御装置6に入力されて無人飛行体1は目標指令に従った飛行を行う。
【0029】
なお、図示は省略するが、無人飛行体1には、図4に示す各構成要素に電力を供給する電源装置が搭載されている。電源装置は、リチウムポリマーバッテリおよびリチウムイオンバッテリ等のバッテリデバイスを含んでいる。
【0030】
記憶装置10は、種々の情報を記憶する。記憶する情報としては、例えば、飛行計画経路および飛行条件を示す飛行計画情報が挙げられる。飛行計画経路は、無人飛行体1の飛行の開始位置、目的位置、開始位置から出発して目的位置に到達するまでに経由すべきチェックポイント位置を含む情報の集合体である。このように、飛行計画経路には、飛行中に従うべき何らかの経路が含まれている。なお、飛行計画経路を示す各位置情報は、緯度、経度および高度によって表される。
【0031】
飛行条件は、無人飛行体1の速度制限、加速度制限、高度制限等、各種規則を含んでいる。なお、飛行計画情報は、例えば、無人飛行体1の操縦者等が外部インターフェースを用いて入力した条件および経路等に基づき、外部コンピュータが飛行計画情報生成プログラムを実行することにより、飛行前に予め生成された情報である。また、外部コンピュータから逐次、飛行計画情報が通信装置を介してリアルタイムに送信され、それに基づいて飛行することもできる。
【0032】
<無人飛行体の飛行制御>
図5は、無人飛行体1の回転翼P1~P4の傾斜角の制御例を示す概略図である。制御装置6は、例えば対向する回転翼P1、P3およびP2、P4を一組として傾斜角を制御する。図5では、例えば回転翼P2、P4を制御する場合について説明するが、回転翼P1、P3を制御する場合についても同様である。
【0033】
図5の例では、回転翼P2が対象要素200に最も接近しており、回転翼P2が対象要素200に対してその空気の排出方向を向けるように傾斜している。同時に、無人飛行体1をその場にホバリングさせるために、対向する回転翼P4も本体部2の中央に向かって傾斜するように制御されている。図5において、回転翼P2および回転翼P4の空気の排出方向は、矢印AR2および矢印AR4で表している。この場合、回転翼P2からの排出空気は対象要素200の面に対して垂直な方向にも速度成分を持つことにより、地面効果のような効果が発生し、回転翼P2の発生させる推力が増加する。すなわち、無人飛行体1の位置を対象要素200の近傍に維持し続けるためには、回転翼P4は、その回転数およびその傾斜角の何れかまたは両方が、回転翼P2の回転数または傾斜角よりも大きくなることが望ましい。
【0034】
次に、図6図8を用いて、無人飛行体1が側方の対象要素200に接近した場合の水平方向の力の関係について説明する。この対象要素200の近傍における回転翼P2の推力の増加量は、回転翼P2の回転数に対し、対象要素200との距離が近いほど大きくなる。一方で、対象要素200から離れている回転翼P4の推力はほぼ変化しない。そのため、傾斜させた回転翼P2と回転翼P4の発生させる水平方向の合力は、対象要素200の近傍位置を基準とし、これを水平方向の合力が釣り合っている状態と呼称する。そして、水平方向の合力が釣り合っている状態の傾斜角および回転数を固定し、これを基準値とする。なお、この場合、回転翼P4は、その回転数およびその傾斜角の何れかまたは両方が、回転翼P2の回転数または傾斜角よりも大きい。
【0035】
図6は、対象要素200のある近傍位置において水平方向の合力が釣り合っている状態を示しており、回転翼P2および回転翼P4の推力をそれぞれ矢印AR2および矢印AR4で表している。水平方向の合力が釣り合っているので、矢印AR2および矢印AR4の太さは同じとしている。また、図6では、傾斜機構I3に向かって左側の端部から対象要素200までの距離L1が、水平方向の合力が釣り合っている状態の無人飛行体1の位置を表している。
【0036】
この状態から、例えば、風等の外乱要素により無人飛行体1が対象要素200に近づくと、図7に示されるように水平方向の合力は、対象要素200から離れる方向に増加する。図7では、回転翼P2の推力を表す矢印AR2を太くすることで、水平方向の合力の変化を表している。これは、無人飛行体1が対象要素200に近づくことで、地面効果のような効果で回転翼P2の推力が増加するためである。また、図7では、水平方向の合力が釣り合っている状態の位置から距離L2だけ対象要素200に近づいた状態の無人飛行体1を表している。
【0037】
反対に対象要素200から無人飛行体1が離れると、図8に示されるように水平方向の合力は、対象要素200に向かう方向に増加する。図8では、回転翼P2の推力を表す矢印AR2を細くすることで、水平方向の合力の変化を表している。これは、無人飛行体1が対象要素200から離れることで、地面効果のような効果で増加していた回転翼P2の推力が減少するためである。また、図8では、水平方向の合力が釣り合っている状態の位置から距離L3だけ対象要素200から離れた状態の無人飛行体1を表している。
【0038】
このように、無人飛行体1は対象要素200の近傍では、無人飛行体1と対象要素200との間に、あたかも正剛性のばねが取り付けられたかのような挙動を示し、無人飛行体1は水平方向の位置のずれに対して、受動的に元の位置に戻そうとする効果を得ることができるので、側方の対象要素200に接近した位置においても飛行を安定化させることができる。
【0039】
図9は、無人飛行体1の側方の対象要素200への接近時の飛行制御の一例を示すフローチャートである。ここでは回転翼P2とP4の傾斜角は同一にしている。また、傾斜機構I1~I4の傾斜制御系は、モータM1~M4および回転翼P1~P4の回転数の回転制御系と独立しているものとし、以下の説明では、傾斜機構I1~I4の傾斜制御系の制御のみを説明する。なお、傾斜制御系と回転制御系とを独立させず、1つの制御系の中で組み合わせて制御することもできる。
【0040】
無人飛行体1の飛行制御が始まると、まず、制御装置6は、無人飛行体1と側方の対象要素200との距離情報を距離測定センサ4により取得する(ステップS1)。
【0041】
次に、制御装置6は、現在の無人飛行体1の姿勢に対する側方の対象要素200の相対的な方向ベクトルを取得する(ステップS2)。この相対的な方向ベクトルの求め方には様々な手段があり、例えば距離測定センサ4が複数の距離センサにより構成される場合は、それぞれ取得値からの演算により求めることができる。また、LiDARまたはカメラなどの異なるセンサ機器を用いて相対方向を求めることもできる、また、地図情報と自己位置情報とを比較して求めることもできる。これらの方法は公知の技術により実現できる。
【0042】
次に、制御装置6は、上述した距離情報と相対的な方向ベクトルの情報に基づいて、回転翼P1、P3および回転翼P2、P4の組ごとの傾斜角目標値を定める(ステップS3)。距離情報と相対的な方向ベクトルの情報に基づいて傾斜角目標値を定めることで、水平方向の位置のずれに対して、無人飛行体1を受動的に元の位置に戻そうとする効果を確実に得ることができる。
【0043】
傾斜角目標値は、無人飛行体1と側方の対象要素200との距離と方向の関数として設計して予め制御装置6に与えておき、当該関数を用いて制御装置6で演算する。また、距離と方向の組み合わせに対して段階的に閾値を決めておき、それぞれの閾値に達した場合に予め設定した傾斜角目標値を出力させることもできる。なお、対象要素200から無人飛行体1が十分に離れた位置で、傾斜機構I1~I4の傾斜角は0度とするが、任意の角度を設定することもできる。
【0044】
最後に、制御装置6は、定められた傾斜角度目標値に応じて、傾斜角指令を傾斜機構I1~I4のそれぞれに出力し、回転翼P1およびP3の第1の傾斜角、回転翼P2およびP4の第2の傾斜角を制御する(ステップS4)。
【0045】
この場合、制御装置6は、水平方向に移動するための傾斜角指令を重畳することもできる。その場合には、図9に示したステップS1~S4までのフローと並行して、ステップS5~S7の処理が実行される。
【0046】
まず、制御装置6は、目標速度指令を取得する(ステップS5)。目標速度指令は、予め制御装置6に与えられていた飛行制御ミッションから取得する場合もあり、通信装置8を介して外部から受け取った目標速度指令を使用する場合もある。
【0047】
次に、制御装置6は、取得した目標速度指令を実現できるような傾斜角目標値を演算する(ステップS6)。この場合は、傾斜角目標値は、無人飛行体1を所定の方向に移動させる際の速度指令に対し、現在の無人飛行体1にて測定および推測された同方向の実速度との差分情報を元に、傾斜機構I1~I4の傾斜角を制御装置6で演算する。
【0048】
最後に、制御装置6は、ステップS3で定めた傾斜角目標値との重畳を行う(ステップS7)。なお、ステップS3で定めた傾斜角目標値とステップS6で定めた傾斜角目標値とを単純に加算するのではなく、ステップS3で定めた傾斜角目標値による傾斜角により想定される水平方向の推進力を算出し、ステップS6で定めた傾斜角目標値による傾斜角により想定される水平方向の推進力を算出し、それらを加算した後に再度、傾斜角目標値に戻して、その値で傾斜機構I1~I4の傾斜角を制御するという手段がある。
【0049】
<変形例1>
<無人飛行体の外観構造>
次に、実施の形態1の変形例1の無人飛行体について説明する。図10は、実施の形態1の変形例1の無人飛行体1Aの外観構造を示す斜視図である。図10に示すように、無人飛行体1Aは、本体部2、モータM1~M4、回転翼P1~P4、モータM1~M4および回転翼P1~P4を本体部2に対して傾斜させるための4つの傾斜機構I1~I4を主要構成要素として含んでいる。モータM1~M4が回転翼P1~P4を回転させる回転駆動処理を実行する複数の駆動機構となる。
【0050】
本体部2は平面視で矩形状をなし、本体部2の4つの角部から4つの傾斜機構I1~I4が放射状に延在するように設けられており、傾斜機構I1~I4の先端にモータM1~M4が設けられ、モータM1~M4のそれぞれの回転軸には回転翼P1~P4が取り付けられている。傾斜機構I1~I4は、本体部2の4つの角部に回動自在に取り付けられている。例えば、本体部2の4つの角部の内部には、傾斜機構I1~I4を回動させるための回動機構がそれぞれ設けられており、傾斜機構I1~I4は回動機構に係合することで、図10に矢印で示されるように、それぞれの中心軸周りに回動することができる。傾斜機構I1~I4が回動することで、回転翼P1~P4の本体部2に対する傾斜角度を変えることができる。なお、回動機構は必ずしも角部の内部に設けられるものではなく、角部の外部に設けることもできる。
【0051】
なお、無人飛行体1Aの構成は図4に示した無人飛行体1のブロック図と同じであり、重複する説明は省略する。
【0052】
<無人飛行体の飛行制御>
図11は、無人飛行体1Aが側方の対象要素200に接近した場合の傾斜機構I1~I4の動作の一例を示す概略図である。図11に示す例では、無人飛行体1Aが回転翼P1およびP4が共に側方の対象要素200に近接するように側方の対象要素200に向かって移動した場合を想定している。
【0053】
この場合、対象要素200に近い回転翼P1およびP4を、その空気の排出方向に対象要素200が位置するような回動方向に傾斜させ、他方の回転翼P2およびP3を、無人飛行体1Aの水平方向の力成分が釣り合うような方向に傾斜させる。図11では、回転翼P1~P4の空気の排出方向を、それぞれ矢印AR11~AR14で表しており、矢印AR11およびAR14は、対象要素200に対して斜め方向に向かい、矢印AR12およびAR13は、対象要素200とは反対方向に対して斜め方向に向かっている。
【0054】
傾斜機構I1~I4による回転翼P1~P4の傾斜角は、無人飛行体1と側方の対象要素200との距離と方向の関数として設計して予め制御装置6(図4)に与えておき、当該関数を用いて制御装置6で演算する。また、距離と方向の組み合わせに対して段階的に閾値を決めておき、それぞれの閾値に達した場合に予め設定した傾斜角を出力させることもできる。
【0055】
図12は、無人飛行体1Aが側方の対象要素200に接近した場合の傾斜機構I1~I4の動作の他の例を示す概略図である。図12に示す例では、無人飛行体1Aが回転翼P4が側方の対象要素200に近接するように側方の対象要素200に向かって移動した場合を想定している。
【0056】
この場合、側方の対象要素200に近い回転翼P4は、傾斜機構I4の回動方向が、その長手方向の中心軸周りのため、その傾斜機構I4の回動動作では空気の排出方向を対象要素200に向けることができない。そこで、例えば回転翼P4の回転数を回転翼P2の回転数よりも相対的に大きくすることで、無人飛行体1A自体の姿勢を対象要素200に対して傾け、回転翼P1およびP3の向きを、無人飛行体1が対象要素200に向かわせるような方向に傾斜機構I1、I3によって傾ける。これによって、無人飛行体1は、図12に示されるように、対象要素200に対して傾いた状態で、対象要素200の近傍から離れずにホバリングさせつつ、回転翼P4の空気の排出方向を対象要素200に向けることが可能となる。
【0057】
図12では、回転翼P1~P4の空気の排出方向を、それぞれ矢印AR11~AR14で表しており、矢印AR14は、対象要素200に対して斜め方向に向かい、矢印AR12は、対象要素200とは反対側で矢印AR14と同じ方向で同じ角度をなし、AR11およびAR13は、矢印AR12およびAR14とは直交する方向で同じ角度をなしている。
【0058】
無人飛行体1Aの傾斜角および傾斜機構I1およびI3による回転翼P1およびP3の傾斜角は、無人飛行体1Aの進行方向に対する対象要素200の方向と対象要素200との距離に依存する関数として設計して予め制御装置6(図4)に与えておき、当該関数を用いて制御装置6で演算する。また、無人飛行体1Aの進行方向に対する対象要素200の方向と対象要素200との距離の組み合わせに対して段階的に閾値を決めておき、それぞれの閾値に達した場合に予め設定した傾斜角を出力させることもできる。
【0059】
<変形例2>
<無人飛行体の外観構造>
次に、実施の形態2の変形例2の無人飛行体について説明する。図13は、実施の形態1の変形例2の無人飛行体1Bの外観構造を示す上面図である。図13に示すように、無人飛行体1Bは、本体部2、円柱状のアームA1~A4、モータM1~M4および回転翼P1~P4と、モータM1~M4および回転翼P1~P4を傾斜させるための4つの傾斜機構I1~I4をそれぞれ有する回転枠F1~F4と、を主要構成要素として含んでいる。
【0060】
本体部2は平面視で矩形状をなし、本体部2の4つの角部から4つのアームA1~A4が放射状に延在するように設けられており、アームA1~A4の先端には、平面視形状がリング状の回転枠F1~F4がそれぞれ取り付けられている。回転枠F1~F4は、側面がアームA1~A4の端面に向かい合うように取り付けられている。
【0061】
アームA1~A4は、本体部2の4つの角部に回動自在に取り付けられている。具体的には、本体部2の4つの角部の内部には、アームA1~A4を回動させるための回動機構がそれぞれ設けられており、アームA1~A4は回動機構に係合することで、図13に矢印で示されるように、それぞれの中心軸周りに回動することができる。回動機構は必ずしも角部の内部に設けられるものではなく、角部の外部に設けることもできる。
【0062】
回転枠F1~F4は、平面視で円の中心線に対応する部分に、円柱状の傾斜機構I1~I4が回動自在に取り付けられている。例えば、回転枠F1~F4の傾斜機構I1~I4が取り付けられる部分の内部には、傾斜機構I1~I4を回動させるための回動機構がそれぞれ設けられており、傾斜機構I1~I4は回動機構に係合することで、図13に矢印で示されるように、それぞれの中心軸周りに回動することができる。なお、アームA1~A4の中心軸と、傾斜機構I1~I4の中心軸とは直交しており、モータM1~M4および回転翼P1~P4を2軸で回動させることができる。回動機構は必ずしも回転枠の内部に設けられるものではなく、回転枠の外部に設けることもできる。
【0063】
このように無人飛行体1Bは、2軸のジンバル機構でモータM1~M4および回転翼P1~P4を回動させることができ、回転翼P1~P4の傾斜の自由度を高めることができる。
【0064】
無人飛行体1Bの構成を図14に示す。基本的には図4に示した無人飛行体1のブロック図と同じであるが、制御装置6は、アームA1~A4の回動角を制御する点で図4とは異なっている。
【0065】
<無人飛行体の飛行制御>
図15は、無人飛行体1Bが側方の対象要素200に接近した場合の傾斜機構I1~I4およびアームA1~A4の動作の一例を示す概略図である。図15に示す例では、無人飛行体1Bが回転翼P1およびP4の位置する方向に向かって側方の対象要素200に近接した場合を想定している。
【0066】
この場合、回転翼P1~P4をそれぞれ自由な傾斜方向に傾斜させることができるため、図15に示されるように、側方の対象要素200に平行してホバリングするように回転翼P1~P4を傾斜させることができる。
【0067】
図15では、回転翼P1~P4の空気の排出方向を、それぞれ矢印AR11~AR14で表しており、矢印AR14およびAR11は、対象要素200に対向する方向に同じ角度をなし、矢印AR12およびAR13は、対象要素200とは反対側の方向に同じ角度をなしている。
【0068】
傾斜機構I1~I4およびアームA1~A4による回転翼P1~P4の傾斜角は、無人飛行体1Bに対する対象要素200の方向と対象要素200との距離に依存する関数として設計して予め制御装置6(図14)に与えておき、当該関数を用いて制御装置6で演算する。また、無人飛行体1Bに対する対象要素200の方向と対象要素200との距離の組み合わせに対して段階的に閾値を決めておき、それぞれの閾値に達した場合に予め設定した傾斜角を出力させることもできる。
【0069】
また、回転翼P1~P4をそれぞれ自由な傾斜方向に傾斜させることができるので、対象要素200に沿う方向に空気の排出方向を設定することもでき、また、例えば対象要素200に最も近い回転翼とその対角に位置する回転翼のみを傾斜させることもでき、その他の任意の回転翼の組を傾斜させることもできる。
【0070】
ただし、組をなす回転翼のうち、対象要素200に近い側の回転翼の空気の排出方向を対象要素200に対して向けることが望ましい。
【0071】
以上説明した実施の形態1の無人飛行体1、1Aおよび1Bとその制御方法によると、側方の対象要素200の近傍において、回転翼の空気の排出方向を対象要素200に対して向けることにより、無人飛行体1、1Aおよび1Bの水平方向位置のずれに対して、受動的に元の位置に戻そうとする効果を得ることができるので、側方の対象要素200に接近した位置においても飛行を安定化させることができる。
【0072】
<実施の形態2>
<無人飛行体の外観構造>
図16は本開示に係る実施の形態2の無人飛行体1Cの外観構造を示す図であり、上方から見た無人飛行体1Cの構成を示している。
【0073】
無人飛行体1Cは、本体部2、アームA1およびA2、モータM1~M4、回転翼P1~P4と、モータM1~M4および回転翼P1~P4を本体部2側に向けて傾斜させるための2の傾斜機構I1およびI2を主要構成要素として含んでいる。モータM1~M4が、それぞれ回転翼P1~P4を回転させる回転駆動処理を実行する複数の駆動機構となる。
【0074】
本体部2は平面視で矩形状をなし、本体部2の平行する2つの側面から、それぞれアームA1およびA2が延在するように設けられている。アームA1およびA2の先端は、本体部2の側面と平行に配置された円柱状の2つの傾斜機構I1およびI2に接続されている。傾斜機構I1およびI2は、それぞれの長手方向の中央部において、アームA1およびA2の端面に回動自在に取り付けられている。例えば、アームA1およびA2の先端の内部には、傾斜機構I1およびI2を回動させるための回動機構がそれぞれ設けられており、傾斜機構I1およびI4は回動機構に係合している。なお、回動機構は必ずしもアームの先端の内部に設けられるものではなく、アームの先端の外部に設けることもできる。
【0075】
傾斜機構I1およびI2の長手方向の両端部には、それぞれモータM1およびM4、モータM2およびM3が取り付けられ、モータM1~M4のそれぞれの回転軸には回転翼P1~P4が取り付けられている。
【0076】
傾斜機構I1およびI2は、図16に矢印で示されるように、それぞれの中心軸周りに回動することができ、傾斜機構I1およびI2が本体部2側に向けて回動することで、回転翼P1~P4は本体部2側に向けて傾くことになる。
【0077】
なお、無人飛行体1Cの構成は図4に示した無人飛行体1のブロック図と基本的には同じであり、傾斜機構の個数が異なるだけである。
【0078】
図16では、無人飛行体1Cは、平面視形状がH型をしているがこれに限定されるものではない。また、無人飛行体1Cは、4つの傾斜機構I1およびI2、4つのモータM1~M4および4つの回転翼P1~P4を有する構成として説明したが、傾斜機構、モータおよび回転翼の個数はこれに限定されず、これらの配置も適宜変更可能である。
【0079】
<無人飛行体の飛行制御>
図17は、無人飛行体1Cの側方の対象要素200への接近時の飛行制御の一例を示すフローチャートである。ここでは、無人飛行体1Cは、傾斜機構I1およびI2の長手方向の中心軸周りに回転翼を傾斜させるものとする。また、傾斜機構I1およびI2の傾斜制御系は、モータM1~M4および回転翼P1~P4の回転数の回転制御系と独立しているものとし、以下の説明では、傾斜機構I1およびI2の傾斜制御系の制御のみを説明する。なお、傾斜制御系と回転制御系とを独立させず、1つの制御系の中で組み合わせて制御することもできる。
【0080】
無人飛行体1Cに対して対象要素200の近傍領域に侵入する指令が与えられると、まず、制御装置6は、現在の無人飛行体1Cの姿勢に対する側方の対象要素200の相対的な方向ベクトルを取得する(ステップS11)。この相対的な方向ベクトルの求め方は、実施の形態1の図9に示したステップS2と同じである。
【0081】
次に、制御装置6は、無人飛行体1Cの傾斜機構の傾斜回転軸と、対象要素200の水平接線方向を揃えるように旋回目標値を生成し、位置姿勢制御系に送信する(ステップS12)。すなわち、図16に示されるように無人飛行体1Cの傾斜機構I1と対象要素200が平行している状態になるように旋回目標値を生成する。
【0082】
位置姿勢制御系は、制御装置6から送信された旋回目標値に基づいて、対象要素200に対して無人飛行体1Cが水平姿勢となるように、すなわち、図16に示されるような姿勢となるように無人飛行体1Cの姿勢を制御する。この姿勢が初期姿勢である。
【0083】
次に、制御装置6は、無人飛行体1と側方の対象要素200との距離を距離測定センサ4により取得する(ステップS13)。
【0084】
次に、制御装置6は、上述した距離情報と相対的な方向ベクトルの情報に基づいて、傾斜機構I1およびI2の傾斜角目標値を定める(ステップS14)。なお、斜角目標値の求め方は、実施の形態1の図9に示したステップS3と同じである。
【0085】
この際、水平方向は無人飛行体1Cの傾斜機構の傾斜回転軸と対象要素200の水平接線方向が揃っているため、ここで重要になるのは仰角方向の角度になる。
【0086】
すなわち、傾斜機構I1を右回りに回転させて回転翼P1およびP4を回転翼P2およびP3側に傾かせ、回転翼P1およびP4の空気の排出方向を対象要素200側にする。また、傾斜機構I2を左回りに回転させて回転翼P2およびP3を回転翼P1およびP4側に傾かせ、回転翼P2およびP3の空気の排出方向を対象要素200とは反対側にする。これによって、対象要素200から離れる方向の力の釣り合いを取るので、回転翼P1~P4の仰角方向の角度が重要になる。
【0087】
最後に、制御装置6は、定められた傾斜角度目標値に応じて、傾斜角指令を傾斜機構I1およびI2のそれぞれに出力し、傾斜角を制御する(ステップS15)。
【0088】
この状態で、例えば、風等の外乱要素により無人飛行体1Cが対象要素200に近づくと、図6図8を用いて説明したように、対象要素200に近づいた回転翼の対象要素200から離れる方向の力が増加し、対象要素200から無人飛行体1Cが離れると、対象要素200から離れた回転翼の対象要素200から離れる方向の力が減少する。これにより、無人飛行体1Cは水平方向の位置のずれに対して、受動的に元の位置に戻そうとする効果を得ることができる。
【0089】
以上説明したステップS11~S15の処理が、無人飛行体1Cが対象要素200の近傍領域に侵入している間、継続して繰り返し行われることになる。
【0090】
なお、上述した制御ループとは別に、位置姿勢制御系に通常の水平移動指令により無人飛行体1Cが対象要素200に対して傾斜して移動する制御ループが動作している場合には、その分の傾斜量も傾斜角度目標値に重畳される。
【0091】
以上説明した実施の形態2の無人飛行体1Cとその制御方法によると、側方の対象要素200の近傍において、回転翼の空気の排出方向を対象要素200に対して向けることにより、無人飛行体1Cの水平方向位置のずれに対して、受動的に元の位置に戻そうとする効果を得ることができるので、側方の対象要素200に接近した位置においても飛行を安定化させることができる。
【0092】
また、傾斜機構の個数を減らすことで、移動方向を制限する代わりに無人飛行体1Cを小型軽量化することができる。
【0093】
<実施の形態3>
<無人飛行体の外観構造>
図18は本開示に係る実施の形態3の無人飛行体1Dの外観構造を示す図であり、上方から見た無人飛行体1Dの構成を示している。
【0094】
無人飛行体1Dは、本体部2、アームA1およびA2、モータM1~M6、回転翼P1~P6と、モータM1~M6および回転翼P1~P6を搭載する支柱I10(第1の支柱)および支柱I20(第2の支柱)を主要構成要素として含んでいる。モータM1~M6が、それぞれ回転翼P1~P6を回転させる回転駆動処理を実行する複数の駆動機構となる。
【0095】
本体部2は平面視で矩形状をなし、本体部2の平行する2つの側面から、それぞれアームA1およびA2が延在するように設けられている。アームA1およびA2の先端は、本体部2の側面と平行に配置された2つの支柱I10およびI20に接続されている。支柱I10およびI20は、それぞれの長手方向の中央部において、アームA1およびA2の端面に取り付けられている。
【0096】
支柱I10およびI20の長手方向の両端部には、それぞれモータM1およびM4、モータM2およびM3が取り付けられ、モータM1~M4のそれぞれの回転軸には回転翼P1~P4が搭載されている。また、支柱I10およびI20のそれぞれの長手方向の中央部には、アームA1およびA2が取り付けられた側面とは反対側の側面にモータM5およびM6が搭載され、それぞれの回転軸には回転翼P5(第3の回転翼)および回転翼P6(第4の回転翼)が取り付けられている。このため、回転翼P5およびP6は、他の回転翼P1~P4とは回転軸の中心が90度異なっており、回転翼P5およびP6の空気の排出方向は、無人飛行体1Dの本体部2側から外側に向かう方向となっている。
【0097】
無人飛行体1Dの構成を図19に示す。基本的には図4に示した無人飛行体1のブロック図と同じであるが、制御装置6は、モータM5およびM6の制御をモータM1~M4とは独立して制御する点で図4とは異なっている。
【0098】
図18では、無人飛行体1Dは、平面視形状がH型をしているがこれに限定されるものではない。また、無人飛行体1Dは、6つのモータM1~M6および6つの回転翼P1~P6を有する構成として説明したが、傾斜機構、モータおよび回転翼の個数はこれに限定されず、これらの配置も適宜変更可能である。
【0099】
<無人飛行体の飛行制御>
次に、図20図23を用いて、無人飛行体1Dが側方の対象要素200に接近した場合の水平方向の力の関係と飛行制御について説明する。なお、対象要素200は垂直壁面であるものとする。
【0100】
図20図23は、無人飛行体1Dを図18の矢示C方向の側方から見た無人飛行体1の構成を示している。図20は、無人飛行体1Dが対象要素200から十分に離れている場合を示しており、この状態では回転翼P5およびP6が同じ任意の回転数で回転させている。なお、推力の合力として釣り合いがとれていればよく、側方の対象要素200から十分に離れている場合では回転翼P5およびP6は回転していなくともよい。
【0101】
対象要素200に対して特定の距離の位置までの移動指令を受けた場合、その距離に応じて回転翼P5およびP6の推力方向の力が釣り合うように回転させる。 図21は、対象要素200のある近傍位置において水平方向の合力が釣り合っている状態を示しており、回転翼P5および回転翼P6の推力をそれぞれ矢印AR5および矢印AR6で表している。水平方向の合力が釣り合っているので、矢印AR5および矢印AR6の太さは同じとしている。
【0102】
この場合、回転翼P5の方が対象要素200に近いため、地面効果で回転翼P2の推力が増加するので、回転翼P5およびP6の水平方向の合力が釣り合うようにするため、回転翼P5の回転数は回転翼P6の回転数より少なくなるように制御している。
【0103】
また、図21では、回転翼P5の上面から対象要素200までの距離L1が、水平方向の合力が釣り合っている状態の無人飛行体1Dの位置を表している。
【0104】
この状態から、例えば、風等の外乱要素により無人飛行体1が対象要素200に近づくと、図22に示すように、地面効果の影響により、回転翼P5で発生する推力は回転翼P6で発生する推力よりも大きくなり、無人飛行体1Dは対象要素200から離れる方向に動く。この場合、回転翼P5およびP6の回転数は変えない。図22では、回転翼P5の推力を表す矢印AR5を太くし、回転翼P6の推力を表す矢印AR6は変化させないことで、水平方向の合力の変化を表している。また、図22では、水平方向の合力が釣り合っている状態の位置から距離L2だけ対象要素200に近づいた状態の無人飛行体1Dを表している。
【0105】
同様に、意図しない理由で、無人飛行体1Dに対象要素200に対して離間する動きが発生すると、図23に示すように、地面効果の影響が弱まり、無人飛行体1Dは対象要素200に近づく方向に動く。図22では、回転翼P5の推力を表す矢印AR5を小さくすることで、水平方向の合力の変化を表している。また、図22では、水平方向の合力が釣り合っている状態の位置から距離L3だけ対象要素200から離れた状態の無人飛行体1Dを表している。
【0106】
このように、無人飛行体1Dは対象要素200の近傍では、無人飛行体1Dと対象要素200との間に、あたかも正剛性のばねが取り付けられたかのような挙動を示し、無人飛行体1Dは水平方向の位置のずれに対して、受動的に元の位置に戻そうとする効果を得ることができるので、側方の対象要素200に接近した位置においても飛行を安定化させることができる。
【0107】
以上説明した実施の形態3の無人飛行体1Dおよびその制御方法によると、側方の対象要素200の近傍において、回転翼P5およびP6を回転させることにより、無人飛行体1Dの水平方向位置のずれに対して、受動的に元の位置に戻そうとする効果を得ることができるので、側方の対象要素200に接近した位置においても飛行を安定化させることができる。
【0108】
また、無人飛行体1Dは、位置姿勢制御用の回転翼P1~P4およびモータM1~M4と、対象要素近傍での安定化制御用の回転翼P5、P6およびモータM5、M6との制御系および機構を完全に分離しているので、位置姿勢制御と安定化制御とを独立して実行でき、より複雑な飛行制御を簡略化したシステムで実行できる。
【0109】
なお、実施の形態3の無人飛行体1Dでは、一方向のみに対象要素200の近傍での安定化制御用の回転翼を備えていたが、複数の方向について安定化制御用の回転翼を備えた構成とすることもできる。また、回転翼P5およびP6の向きを変える回動機構を備えて向きを変えられるようにしてもよい。
【0110】
なお、図18では、回転翼P5およびP6のように対向する位置に対象要素近傍での安定化制御用の回転翼を設けたが、どちらか一方だけを設けた構成とすることもできる。その場合は対向する方向に推力を発生できるように別の回転翼を設けるか、実施の形態2で説明したように、位置姿勢制御用の回転翼による無人飛行体の傾斜制御と組み合わせることとなる。
【0111】
また、無人飛行体1D自体の姿勢を対象要素200に対して傾斜させたい場合は、回転翼P1およびP4の回転数を大きくするか、回転翼P2およびP3の回転数を小さくして、無人飛行体1D自体の姿勢を対象要素200に対して傾斜させ、回転翼P1およびP4の空気の排出方向を対象要素200側とする。これによって、無人飛行体1Dは、対象要素200に対して傾いた状態で、対象要素200の近傍から離れずにホバリングさせつつ、回転翼P1およびP4の空気の排出方向を対象要素200に向けることが可能となる。
【0112】
なお、本開示は、その開示の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【0113】
以上説明した本開示を付記としてまとめて記載する。
【0114】
(付記1)
複数の回転翼を備えた無人飛行体であって、
前記無人飛行体は、
前記複数の回転翼を制御する制御装置を少なくとも有した本体部と、
前記複数の回転翼を搭載し、前記複数の回転翼を前記本体部に対して傾斜させる複数の傾斜機構と、を備え、
前記複数の傾斜機構は、
前記本体部を間に挟んで互いに反対側に位置する第1の傾斜機構および第2の傾斜機構を有し、
前記複数の回転翼は、
前記第1の傾斜機構および前記第2の傾斜機構にそれぞれ搭載される第1の回転翼および第2の回転翼を有し、
前記制御装置は、
距離測定センサによって前記無人飛行体の周辺の対象要素までの距離を測定し、前記対象要素との距離に応じて、前記第1の回転翼の空気の排出方向が前記対象要素に向くように、前記第1の傾斜機構を制御すると共に、前記第2の回転翼の空気の排出方向が前記対象要素とは反対方向に向くように、前記第2の傾斜機構を制御する、無人飛行体。
【0115】
(付記2)
前記制御装置は、
前記第1の回転翼が前記対象要素に最も近い位置となり、
前記第2の回転翼が前記本体部を間に挟んで前記対象要素とは反対側に位置する場合に、前記第1の回転翼の空気の排出方向が前記対象要素に向き、前記第2の回転翼の空気の排出方向が前記対象要素とは前記反対方向に向くように前記第1および第2の傾斜機構を制御する、付記1記載の無人飛行体。
【0116】
(付記3)
前記第1および第2の回転翼は、
前記本体部に対して傾斜するように、前記第1および第2の傾斜機構に取り付けられる、付記1または付記2記載の無人飛行体。
【0117】
(付記4)
前記第1および第2の傾斜機構は、円柱状の傾斜機構であって、
前記第1の回転翼は、
前記第1の傾斜機構の中心軸周りに回動するように取り付けられ、
前記第2の回転翼は、
前記第2の傾斜機構の中心軸周りに回動するように取り付けられる、付記3記載の無人飛行体。
【0118】
(付記5)
前記制御装置は、
前記対象要素との前記距離および前記対象要素と相対的な方向に基づいて、
前記第1の回転翼の空気の排出方向を前記対象要素に向ける場合の第1の傾斜角、
および前記第2の回転翼の空気の排出方向を前記対象要素とは反対方向に向ける場合の第2の傾斜角を設定する、付記1または付記2記載の無人飛行体。
【0119】
(付記6)
複数の回転翼を備えた無人飛行体であって、
前記無人飛行体は、
前記複数の回転翼を制御する制御装置を少なくとも有した本体部と、
前記複数の回転翼を搭載する複数の支柱と、を備え、
前記複数の支柱は、
前記本体部を間に挟んで互いに反対側に位置する第1の支柱および第2の支柱を有し、
前記複数の回転翼は、
前記第1の支柱および前記第2の支柱にそれぞれ搭載され、前記無人飛行体の位置姿勢の制御をする第1の回転翼および第2の回転翼と、
前記第1の支柱および前記第2の支柱の前記第1および第2の回転翼の搭載面とは異なる面にそれぞれ搭載され前記無人飛行体の位置を安定化させる第3の回転翼および第4の回転翼と、を有し、
前記制御装置は、
距離測定センサによって前記無人飛行体の周辺の対象要素までの距離を測定し、前記対象要素との距離に応じて、前記第3の回転翼または前記第4の回転翼の回転数を制御し、前記無人飛行体の位置を安定化させる、無人飛行体。
【0120】
(付記7)
前記制御装置は、
前記無人飛行体の姿勢を前記対象要素に対して傾けるように、前記第1の回転翼の回転数および前記第2の回転翼の回転数を制御する、付記6記載の無人飛行体。
【0121】
(付記8)
前記第1および第2の回転翼と、
前記第3および第4の回転翼とは独立して制御される、付記6記載の無人飛行体。
【0122】
(付記9)
複数の回転翼を備えた無人飛行体の飛行制御方法であって、
前記無人飛行体は、
前記複数の回転翼を制御する制御装置を少なくとも有した本体部と、
前記複数の回転翼を搭載し、前記複数の回転翼を前記本体部に対して傾斜させる複数の傾斜機構と、を備え、
前記複数の傾斜機構は、
前記本体部を間に挟んで互いに反対側に位置する第1の傾斜機構および第2の傾斜機構を有し、
前記複数の回転翼は、
前記第1の傾斜機構および前記第2の傾斜機構にそれぞれ搭載される第1の回転翼および第2の回転翼を有し、
前記制御装置は、
距離測定センサによって前記無人飛行体の周辺の対象要素までの距離を測定し、前記対象要素との距離に応じて、水平方向の合力が釣り合うように前記第1および第2の傾斜機構を制御して、前記本体部に対して傾斜するように前記第1および第2の回転翼を傾ける、無人飛行体の飛行制御方法。
【符号の説明】
【0123】
1,1A,1B,1C,1D 無人飛行体、2 本体部、4 距離測定センサ、6 制御装置、200 対象要素、I1~I4 傾斜機構、I10,120 支柱、P1~P6 回転翼。
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