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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179069
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】操舵装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20241219BHJP
   B62D 101/00 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
B62D6/00
B62D101:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097584
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】應矢 敏明
(72)【発明者】
【氏名】冷水 由信
【テーマコード(参考)】
3D232
【Fターム(参考)】
3D232CC08
3D232DA03
3D232DA04
3D232DA23
3D232DA90
3D232DB11
3D232DC01
3D232DC02
3D232DC03
3D232DC08
3D232DC12
3D232DD01
3D232DD17
3D232DE02
3D232EB04
3D232EB11
3D232EC23
3D232EC37
3D232GG01
(57)【要約】
【課題】定速走行制御時の操舵感の改善。
【解決手段】車速および操舵機構110から出力される操舵角に基づき転舵機構120における転舵輪210の転舵角が制御される操舵装置100であって、車両の速度を一定に保つ定速走行制御が実行状態か停止状態かを示す定速走行情報を取得する情報取得部132と、情報取得部132により取得された定速走行情報に基づき操舵角に対する転舵角の関係を示す第一関係情報101、または第一関係情報101よりも操舵角に対する転舵角が大きい第二関係情報102を選定する関係情報選定部133と、関係情報選定部133により選定された関係情報と操舵角とにより導出される転舵角に基づき転舵機構120を制御する転舵制御部134と、を備え、関係情報選定部133は、実行状態を示す定速走行情報を取得した場合、第二関係情報102を選定する操舵装置100。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵機構と転舵機構とが機械的に分離し、車速および前記操舵機構から出力される操舵角に基づき前記転舵機構における転舵輪の転舵角が制御される操舵装置であって、
前記操舵装置を備える車両の速度を一定に保つ定速走行制御が実行状態か停止状態かを示す定速走行情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された定速走行情報に基づき前記操舵角に対する前記転舵角の関係を示す第一関係情報、または前記第一関係情報よりも前記操舵角に対する前記転舵角が大きい第二関係情報を選定する関係情報選定部と、
前記関係情報選定部により選定された関係情報と前記操舵角とにより導出される転舵角に基づき前記転舵機構を制御する転舵制御部と、を備え、
前記関係情報選定部は、
前記実行状態を示す定速走行情報を取得した場合、前記第二関係情報を選定する
操舵装置。
【請求項2】
前記関係情報選定部は、
前記関係情報選定部が異なる関係情報を選定した時に、導出される前記転舵角の時間変化を緩やかにするフィルタ部を備える
請求項1に記載の操舵装置。
【請求項3】
前記フィルタ部は、
前記情報取得部が取得する定速走行情報が実行状態から停止状態に切り替わる時に用いられる第一ローパスフィルタと、
定速走行情報が停止状態から実行状態に切り替わる時に用いられる第二ローパスフィルタと、を備え、
前記第二ローパスフィルタのカットオフ周波数は、前記第一ローパスフィルタのカットオフ周波数よりも低い
請求項2に記載の操舵装置。
【請求項4】
前記フィルタ部は、
運転者のブレーキ操作によって前記実行状態から前記停止状態となった情報を含む定速走行情報を前記情報取得部が取得した場合、第三ローパスフィルタを用いる
請求項3に記載の操舵装置。
【請求項5】
前記操舵機構は、反力装置を備え、
前記操舵装置は、
情報取得部が取得した定速走行情報に基づき、定速走行制御が実行状態の反力が停止状態の反力よりも小さな反力となるように反力装置を制御する反力制御部を備える
請求項1に記載の操舵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操舵機構から出力される信号に基づき転舵輪を転舵する操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操舵部材と転舵輪とを機械的に接続せずに電気信号に基づき転舵輪を転舵するステアバイワイヤ(Steer-by-Wire)と称される操舵装置において、車速に応じて操舵部材の操舵角に対する転舵輪の転舵角の比である舵角比を変更する処理を行う制御装置が存在している。
【0003】
例えば、特許文献1には、ステアバイワイヤにおいて、転舵角を一定にしてカーブなどを曲がっている場合に、車速が変化すると意図しない挙動とならないように舵角比を調整する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-53017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、定速走行制御(Adaptive Cruise Control)が実行されている間は、カーブを曲がっている状態でも車速を一定に維持する制御が働く。このため、運転者がスローイン、スローアウトなど任意に車速を変更できる場合と同じヨーレートを定速走行制御が実行中でも得たい場合、より大きい操舵量を要する可能性が高く、運転者の負担に繋がってしまう。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、定速走行制御の実行時において運転者の操舵に対する負担を抑制することができる操舵装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の1つである操舵装置は、操舵機構と転舵機構とが機械的に分離し、車速および前記操舵機構から出力される操舵角に基づき前記転舵機構における転舵輪の転舵角が制御される操舵装置であって、前記操舵装置を備える車両の速度を一定に保つ定速走行制御が実行状態か停止状態かを示す定速走行情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部により取得された定速走行情報に基づき前記操舵角に対する前記転舵角の関係を示す第一関係情報、または前記第一関係情報よりも前記操舵角に対する前記転舵角が大きい第二関係情報を選定する関係情報選定部と、前記関係情報選定部により選定された関係情報と前記操舵角とにより導出される転舵角に基づき前記転舵機構を制御する転舵制御部と、を備え、前記関係情報選定部は、前記実行状態を示す定速走行情報を取得した場合、前記第二関係情報を選定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によって、定速走行制御の実行時においてカーブを曲がる際の操舵に対する運転者の負担を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】転舵制御装置を備えた操舵装置を示す図である。
図2】操舵装置の各機能部を示すブロック図である。
図3】関係情報選定部を詳細に示すブロック図である。
図4】関係情報選定部が用いる二種類のマップの関係を示す図である。
図5】関係情報選定部の別例1を詳細に示すブロック図である。
図6】関係情報選定部の別例2を詳細に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る操舵装置100の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するために一例を挙示するものであり、本発明を限定する主旨ではない。例えば、以下の実施の形態において示される形状、構造、材料、構成要素、相対的位置関係、接続状態、数値、数式、方法における各段階の内容、各段階の順序などは、一例であり、以下に記載されていない内容を含む場合がある。また、平行、直交などの幾何学的な表現を用いる場合があるが、これらの表現は、数学的な厳密さを示すものではなく、実質的に許容される誤差、ずれなどが含まれる。また、同時、同一などの表現も、実質的に許容される範囲を含んでいる。
【0011】
また、図面は、本発明を説明するために適宜強調、省略、または比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状、位置関係、および比率とは異なる。また、図中に示す場合があるX軸、Y軸、Z軸は、図の説明のために任意に設定した直交座標を示している。つまりZ軸は、鉛直方向に沿う軸とは限らず、X軸、Y軸は、水平面内に存在するとは限らない。
【0012】
また、以下では複数の発明を一つの実施の形態として包括的に説明する場合がある。また、以下に記載する内容の一部は、本発明に関する任意の構成要素として説明している。
【0013】
図1は、操舵装置100を示す図である。図2は、操舵装置100の各機能部を示すブロック図である。操舵装置100は、操舵機構110と転舵機構120とが機械的に分離し、車速および操舵機構110から出力される操舵角に基づき転舵機構120における転舵輪210の転舵角を制御する装置であって、転舵制御装置130を備えている。本実施の形態の場合、操舵装置100は、運転者が車両を操向するために操作する操舵部材111を備え、操舵部材111と二つの転舵輪210とは機械的に接続されていない。操舵装置100は、操舵部材111が操作された際の操舵角が情報として処理され、操舵角に基づき二つの転舵輪210の転舵角が設定されるいわゆるSBW(Steer By Wire)システムが採用されている。なお、操舵装置100は、操舵機構110と転舵機構120とが機械的に接続され、SBW実行時に機械的な接続が分離するものでもかまわない。また、転舵制御装置130は、二つの転舵輪210の転舵角を独立して制御するものでもよく、機械的に接続された二つの転舵輪210を一体に制御するものでもかまわない。
【0014】
本実施の形態の場合、車両は、車体200の前後左右に四つの車輪が設けられており、前側の左右の車輪は、鉛直軸周りに旋回可能な転舵輪210となっている。なお、車両は、自動車、バス、トラック、建設機械、農業機械などを例示することができる。
【0015】
操舵機構110は、転舵輪210の旋回角である転舵角に関する情報である操舵角を出力する装置である。本実施の形態の場合、操舵機構110は、車体200に搭乗している運転者が操作するステアリングホイールなどの操舵部材111と、運転者が操舵部材111を操舵するマニュアル運転モードの際に操舵部材111の回転角を操舵角として出力する操舵角センサ112と、を備えている。また、操舵機構110は、運転者が操舵部材111を回転させる際に運転者に与える抵抗感や、車両がカーブを走行している際などにおいて路面から転舵輪210に加えられる逆トルクを運転者に感じさせる反力を発生させる反力装置113を備えている。
【0016】
転舵機構120は、車体200の左右に設けられる転舵輪210を転舵するいわゆるアクチュエータである。本実施の形態の場合、転舵機構120は、サーボモータ等の電動モータと減速機とを備えている。
【0017】
転舵制御装置130は、転舵機構120を制御するいわゆるコンピュータであって、プロセッサにプログラムを実行させることによって実現される処理部として、操舵角取得部131と、情報取得部132と、関係情報選定部133と、転舵制御部134と、を備えている。本実施の形態の場合、転舵制御装置130は、反力制御部135を備えている。
【0018】
操舵角取得部131は、操舵機構110の操舵角センサ112が出力した操舵角を取得する処理部である。例えば、操舵角取得部131は、車両が直進走行している際に操舵角センサ112が出力した操舵角を基準位置とし、基準位置からの角度を操舵角として取得する。
【0019】
情報取得部132は、操舵装置100を備える車両の速度を一定に保つ定速走行制御が実行状態か停止状態かを示す定速走行情報を取得する処理部である。本実施の形態の場合、情報取得部132は、定速走行情報をCAN(Controller Area Network)などを介して取得する。また、情報取得部132は、操舵装置100を備える車両の速度を取得する。本実施の形態の場合、情報取得部132は、定速走行制御が実行状態の車両の速度を取得する。速度は実際の車両の速度を取得してもよく、定速走行制御を実行するために設定される速度でもかまわない。
【0020】
図3は、関係情報選定部133を詳細に示すブロック図である。図4は、関係情報選定部133が用いる二種類のマップの関係を示す図である。関係情報選定部133は、情報取得部132により取得された定速走行情報に基づき操舵角取得部131が取得した操舵角に対する転舵角の関係を示す第一関係情報101、または第一関係情報101よりも操舵角に対する転舵角が大きい第二関係情報102を選定する処理部である。関係情報選定部133は、定速走行制御の実行状態を示す定速走行情報を取得した場合、第二関係情報102を選定する。また、関係情報選定部133は、定速走行制御の停止状態を示す定速走行情報を取得した場合、第一関係情報101を選定する。
【0021】
本実施の形態の場合、関係情報選定部133は、定速走行制御が停止中に用いる第一関係情報101と、実行中に用いる第二関係情報102とを記憶装置139から取得する。第一関係情報101、および第二関係情報102は、操舵角に対する転舵角の関係が規定されたマップである。第一関係情報101、および第二関係情報102は、車速を複数の段階(本実施の形態では3段階(高速、中速、低速)で説明している。)に区分し、それぞれの区分に応じた操舵角に対する転舵角の関係が規定された複数種類のマップを備えている。なお、対応する車速のマップがない場合は、線形補間などにより、操舵角に対する転舵角の関係を求めてもよい。具体的には、対応するマップを有さないある車速Vでの操舵角に対する転舵角の関係を求めたい場合、車速Vよりも高速側で最も近い車速VHのマップと、車速Vよりも低速側で最も近い車速VLのマップと、のそれぞれから得られる操舵角に対する転舵角の関係に基づいて、車速Vでの操舵角に対する転舵角の関係を線形補間によって求める。
【0022】
関係情報選定部133は、定速走行情報に基づき第一関係情報101を用いるか、第二関係情報102を用いるかを切り替えるスイッチ部136と、関係情報選定部133が異なる関係情報を選定するためにスイッチ部136が切り替わった際に、導出される転舵角の時間変化を緩やかにするフィルタ部137と、を備えている。本実施の形態の場合、フィルタ部137は、ローパスフィルタ(LPF)が用いられる。
【0023】
転舵制御部134は、車速と、関係情報選定部133により選定された関係情報と、操舵角取得部131により取得された操舵角と、により導出される転舵角に基づき転舵機構120を制御する。本実施の形態の場合、転舵制御部134は、二つの転舵機構120に対応して二つ設けられている。転舵機構120は、転舵角を検出する角度検出センサを備えており、それぞれの転舵制御部134は、取得した転舵角により導出される第一目標転舵角、第二目標転舵角の一方と角度検出センサからの情報に基づきフィードバック制御を行う。具体的には、転舵機構120がモータの場合、転舵制御部134は、インバータへの電流指令値などを転舵機構120に出力する。転舵制御部134におけるフィードバック制御は、例えばPID制御などを例示することができる。
【0024】
反力制御部135は、情報取得部132が取得した定速走行情報や車速、操舵角などに基づき、定速走行制御が実行状態の反力が停止状態の反力よりも小さな反力となるように反力装置113を制御する。
【0025】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本発明に含まれる。
【0026】
例えば、図5に示すように、関係情報選定部133が備えるフィルタ部137は、情報取得部132が取得する定速走行情報が実行状態から停止状態に切り替わる時(第二関係情報102から第一関係情報101に切り替わる時)に用いられる第一ローパスフィルタと、定速走行情報が停止状態から実行状態に切り替わる時(第一関係情報101から第二関係情報102に切り替わる時)に用いられる第二ローパスフィルタであって、カットオフ周波数が第一ローパスフィルタのカットオフ周波数よりも低い第二ローパスフィルタを備えてもかまわない。
【0027】
また、フィルタ部137は、図6に示すように、運転者のブレーキ操作によって定速走行制御の実行状態から停止状態となった情報を含む定速走行情報を情報取得部132が取得した場合にのみ用いられる第三ローパスフィルタを備えてもかまわない。なお、第三ローパスフィルタのカットオフ周波数は、第一ローパスフィルタ、および第二ローパスフィルタと異なってもよく、第二ローパスフィルタと同じでもかまわない。また、フィルタ部137は、第三ローパスフィルタを備えず、第二ローパスフィルタを第三ローパスフィルタとして機能させてもかまわない。
【0028】
また、関係情報選定部133は、第一関係情報101、および第二関係情報102として操舵角に対する転舵角の関係を示すマップを用いていたが、第一関係情報101、および第二関係情報102は、操舵角を入力すると転舵角が求められる関数であってもかまわない。この場合、第一関係情報101、および第二関係情報102は、同一の関数で定数が異なるものでもよく、関数自体が異なるものでもよい。
【0029】
また、反力制御部135が転舵制御装置130に備えられる場合を説明したが、反力制御部135は、転舵機構110が備えていてもかまわない。
【0030】
上記実施の形態で説明される第一態様の操舵装置100は、操舵機構110と転舵機構120とが機械的に分離し、車速および操舵機構110から出力される操舵角に基づき転舵機構120における転舵輪210の転舵角が制御される操舵装置100であって、操舵装置100を備える車両の速度を一定に保つ定速走行制御が実行状態か停止状態かを示す定速走行情報を取得する情報取得部132と、情報取得部132により取得された定速走行情報に基づき操舵角に対する転舵角の関係を示す第一関係情報101、または第一関係情報101よりも操舵角に対する転舵角が大きい第二関係情報102を選定する関係情報選定部133と、関係情報選定部133により選定された関係情報と操舵角とにより導出される転舵角に基づき転舵機構120を制御する転舵制御部134と、を備え、関係情報選定部133は、実行状態を示す定速走行情報を取得した場合、第二関係情報102を選定する。
【0031】
第一態様の操舵装置100によれば、定速走行制御が実行されている場合、実行されていない場合と比較して車両の旋回時に必要な操舵量が小さくなり、運転者の負担を軽減することができる。
【0032】
第二態様の操舵装置100は、第一態様を含み、関係情報選定部133は、関係情報選定部133が異なる関係情報を選定した時に、導出される転舵角の時間変化を緩やかにするフィルタ部137を備える。
【0033】
第二態様の操舵装置100によれば、定速走行制御の実施時、またはその解除時に操舵角と転舵角との関係が急激に変化することを抑制し、運転者に与える違和感を低減することができる。
【0034】
第三態様の操舵装置100は、第一態様、および第二態様のいずれかを含み、フィルタ部137は、情報取得部132が取得する定速走行情報が実行状態から停止状態に切り替わる時に用いられる第一ローパスフィルタと、定速走行情報が停止状態から実行状態に切り替わる時に用いられる第二ローパスフィルタと、を備え、第二ローパスフィルタのカットオフ周波数は、第一ローパスフィルタのカットオフ周波数よりも低い。
【0035】
第三態様の操舵装置100によれば、ローパスフィルタのカットオフ周波数が低いほど時間変化がより緩やかになる。従って、定速走行制御が実行から停止に切り替わった時よりも、停止から実行に切り替わった時の方が用いられる第二ローパスフィルタのカットオフ周波数が低く、操舵角に対する転舵角の関係が変化する時間をより緩やかにして安全性を高めることができる。
【0036】
第四態様の操舵装置100は、第三態様を含み、フィルタ部137は、運転者のブレーキ操作によって実行状態から停止状態となった情報を含む定速走行情報を情報取得部132が取得した場合、第三ローパスフィルタを用いる。
【0037】
第四態様の操舵装置100によれば、例えば定速走行制御実行時においてカーブを曲がっているときに車速が高すぎて車両がカーブの外側に膨れることを恐れた運転者が意識的にブレーキ操作を行った状況などの場合、操舵角に対する転舵角の関係を急激に変化させることなく緩やかに変化させることで、安全性を高めることができる。
【0038】
第五態様の操舵装置100は、第一態様から第四態様までのいずれかを含み、操舵機構110は、反力装置113を備え、操舵装置100は、情報取得部132が取得した定速走行情報に基づき、定速走行制御が実行状態の反力が停止状態の反力よりも小さな反力となるように反力装置を制御する反力制御部135を備える。
【0039】
定速走行制御が実行状態のときに操舵角に対する転舵角が大きくなるが、操舵部材111を介して運転者に伝える反力(重さ)を同じに維持すると、操舵部材111の操作が車両の旋回に追い付けていないように感じてしまうおそれがある。第五態様の操舵装置100によれば、定速走行制御が実行状態のときには、反力を小さくすることで、より良い操舵感覚を運転者に与えることができる。換言すると、定速走行制御が停止状態のときは操舵角に対する転舵角が小さくなるため、操舵部材111の操作に車両の旋回が追い付けていない感じを運転者に与えるため、定速走行制御が停止状態のときの方が反力を大きくすることで、車両の旋回と運転者の操舵感とを合致させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、自動車などの車両、建設機械、農業機械など車輪を転舵することにより操向する車両の制御に利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
100…操舵装置、101…第一関係情報、102…第二関係情報、110…操舵機構、111…操舵部材、112…操舵角センサ、113…反力装置、120…転舵機構、130…転舵制御装置、131…操舵角取得部、132…情報取得部、133…関係情報選定部、134…転舵制御部、135…反力制御部、136…スイッチ部、137…フィルタ部、139…記憶装置、200…車体、210…転舵輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6