(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179071
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/393 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
H04N1/393
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097586
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】山本 貴史
(57)【要約】
【課題】文字を含む画像データの縮小時に、文字が潰れたりして読み取れなくなることを極力回避可能な画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】画像処理装置100は、第1画像を基に、第1画像を所定の縮小倍率で縮小した少なくとも1つの第2画像を生成する第2画像生成部111aと、第1画像と第2画像に対して文字認識を行い、第1画像に対して文字認識が成功した文字数である第1画像文字認識成功数と、第2画像に対して文字認識が成功した文字数である第2画像文字認識成功数を、それぞれ判定する文字認識成功数判定部112と、第2画像に対して、第1画像文字認識成功数に対する第2画像文字認識成功数の比率又は差分が所定の判定条件を満たすか否かを判定する条件判定部113と、判定条件を満たすと判定された第2画像の縮小倍率を第1画像の限界縮小倍率として判定する限界縮小倍率判定部114とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画像を基に、前記第1画像を所定の縮小倍率で縮小した少なくとも1つの第2画像を生成する第2画像生成部と、
前記第1画像と前記第2画像に対して文字認識を行い、前記第1画像に対して前記文字認識が成功した文字の数である第1画像文字認識成功数と、前記第2画像に対して前記文字認識が成功した文字の数である第2画像文字認識成功数を、それぞれ判定する文字認識成功数判定部と、
前記第2画像に対して、前記第1画像文字認識成功数に対する前記第2画像文字認識成功数の比率又は差分が所定の判定条件を満たすか否かを判定する条件判定部と、
前記条件判定部が前記判定条件を満たすと判定した前記第2画像の前記縮小倍率を前記第1画像の限界縮小倍率として判定する限界縮小倍率判定部と
を備える、画像処理装置。
【請求項2】
前記条件判定部は、前記第1画像文字認識成功数に対する前記第2画像文字認識成功数の比率が所定の比率判定閾値以上、又は前記第1画像文字認識成功数に対する前記第2画像文字認識成功数の差分が所定の差分判定閾値以下である場合に、前記判定条件を満たすと判定する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第2画像生成部は、前記第1画像を複数の異なる縮小倍率でそれぞれ縮小した複数の前記第2画像を生成し、
前記文字認識成功数判定部は、複数の前記第2画像それぞれに対して前記第2画像文字認識成功数を判定し、
前記条件判定部は、複数の前記第2画像それぞれに対して、前記第1画像文字認識成功数に対する前記第2画像文字認識成功数の比率又は差分が前記判定条件を満たすか否かを判定し、
前記限界縮小倍率判定部は、前記条件判定部が前記判定条件を満たすと判定した前記第2画像のうち前記縮小倍率が最も小さい前記第2画像の前記縮小倍率を前記第1画像の前記限界縮小倍率として判定する、請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第2画像生成部は、前記縮小倍率を段階的に低下させながら前記第2画像を生成する処理を繰り返し実行することにより、複数の前記第2画像を生成し、
前記文字認識成功数判定部は、複数の前記第2画像それぞれに対して前記第2画像文字認識成功数を判定し、
前記条件判定部は、複数の前記第2画像それぞれに対して、前記第1画像文字認識成功数に対する前記第2画像文字認識成功数の比率又は差分が前記判定条件を満たすか否かを判定し、
前記限界縮小倍率判定部は、前記条件判定部が前記判定条件を満たさないと最初に判定した前記第2画像の一つ前に生成した前記第2画像の前記縮小倍率を前記第1画像の前記限界縮小倍率として判定する、請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1画像を前記限界縮小倍率よりも小さい縮小倍率で縮小する処理を制限する画像縮小処理制限部をさらに備える、請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第1画像の縮小を指示する操作を受け付ける操作部をさらに備え、
前記画像縮小処理制限部は、前記操作部が前記第1画像を前記限界縮小倍率よりも小さい縮小を指示する操作を受け付けないよう制限する、請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
第1画像を基に、前記第1画像を所定の縮小倍率で縮小した少なくとも1つの第2画像を生成する第2画像生成工程と、
前記第1画像と前記第2画像に対して文字認識を行い、前記第1画像に対して前記文字認識が成功した文字の数である第1画像文字認識成功数と、前記第2画像に対して前記文字認識が成功した文字の数である第2画像文字認識成功数を、それぞれ判定する文字認識成功数判定工程と、
前記第2画像に対して、前記第1画像文字認識成功数に対する前記第2画像文字認識成功数の比率又は差分が所定の判定条件を満たすか否かを判定する条件判定工程と、
前記条件判定工程において前記判定条件を満たすと判定した前記第2画像の前記縮小倍率を前記第1画像の限界縮小倍率として判定する限界縮小倍率判定工程と
を含む、画像処理方法。
【請求項8】
画像処理をコンピュータに実行させる画像処理プログラムであって、
前記画像処理は、
第1画像を基に、前記第1画像を所定の縮小倍率で縮小した少なくとも1つの第2画像を生成する第2画像生成工程と、
前記第1画像と前記第2画像に対して文字認識を行い、前記第1画像に対して前記文字認識が成功した文字の数である第1画像文字認識成功数と、前記第2画像に対して前記文字認識が成功した文字の数である第2画像文字認識成功数を、それぞれ判定する文字認識成功数判定工程と、
前記第2画像に対して、前記第1画像文字認識成功数に対する前記第2画像文字認識成功数の比率又は差分が所定の判定条件を満たすか否かを判定する条件判定工程と、
前記条件判定工程において前記判定条件を満たすと判定した前記第2画像の前記縮小倍率を前記第1画像の限界縮小倍率として判定する限界縮小倍率判定工程と
を含む、画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、文字などを含む画像データに対する画像処理を行う画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されている画像処理装置では、原稿画像を光学的に読み取り、原稿に含まれている文字の認識を行って、最も小さな文字のサイズを認識する。認識された最も小さな文字のサイズが、どの程度縮小プリントされるかを算出し、予め設定されたサイズより小さく縮小される場合にはコピー動作を停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大型ディスプレイを掲示板や案内板などの用途で、スキャンした複数の文書を表示する際、各文書を縮小して並べる場合があるが、縮小し過ぎると文字が潰れて読めなくなってしまう。文字が読めなくならないようにする指標として文字サイズを使用し、最小サイズを設定するという方法がある。しかし、文書をスキャンした画像データなどにおいては、文字が滲んだり掠れたりして、縮小したときに文字サイズが比較的大きくても読み取りにくくなる場合がある。つまり、文字サイズによる単純な制限では、文字を読み取れるサイズを適切に判断することが困難になり得る。
【0005】
本開示は、文字などを含む画像データの縮小時に、文字が潰れたりして読み取れなくなることを極力回避可能な画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の画像処理装置は、第1画像を基に、前記第1画像を所定の縮小倍率で縮小した少なくとも1つの第2画像を生成する第2画像生成部と、前記第1画像と前記第2画像に対して文字認識を行い、前記第1画像に対して前記文字認識が成功した文字の数である第1画像文字認識成功数と、前記第2画像に対して前記文字認識が成功した文字の数である第2画像文字認識成功数を、それぞれ判定する文字認識成功数判定部と、前記第2画像に対して、前記第1画像文字認識成功数に対する前記第2画像文字認識成功数の比率又は差分が所定の判定条件を満たすか否かを判定する条件判定部と、前記条件判定部が前記判定条件を満たすと判定した前記第2画像の前記縮小倍率を前記第1画像の限界縮小倍率として判定する限界縮小倍率判定部とを備える。
【0007】
本開示の画像処理方法は、第1画像を基に、前記第1画像を所定の縮小倍率で縮小した少なくとも1つの第2画像を生成する第2画像生成工程と、前記第1画像と前記第2画像に対して文字認識を行い、前記第1画像に対して前記文字認識が成功した文字の数である第1画像文字認識成功数と、前記第2画像に対して前記文字認識が成功した文字の数である第2画像文字認識成功数を、それぞれ判定する文字認識成功数判定工程と、前記第2画像に対して、前記第1画像文字認識成功数に対する前記第2画像文字認識成功数の比率又は差分が所定の判定条件を満たすか否かを判定する条件判定工程と、前記条件判定工程において前記判定条件を満たすと判定した前記第2画像の前記縮小倍率を前記第1画像の限界縮小倍率として判定する限界縮小倍率判定工程とを含む。
【0008】
本開示の画像処理プログラムは、画像処理をコンピュータに実行させる画像処理プログラムであって、前記画像処理は、第1画像を基に、前記第1画像を所定の縮小倍率で縮小した少なくとも1つの第2画像を生成する第2画像生成工程と、前記第1画像と前記第2画像に対して文字認識を行い、前記第1画像に対して前記文字認識が成功した文字の数である第1画像文字認識成功数と、前記第2画像に対して前記文字認識が成功した文字の数である第2画像文字認識成功数を、それぞれ判定する文字認識成功数判定工程と、前記第2画像に対して、前記第1画像文字認識成功数に対する前記第2画像文字認識成功数の比率又は差分が所定の判定条件を満たすか否かを判定する条件判定工程と、前記条件判定工程において前記判定条件を満たすと判定した前記第2画像の前記縮小倍率を前記第1画像の限界縮小倍率として判定する限界縮小倍率判定工程とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、文字などを含む画像データの縮小時に、文字が潰れたりして読み取れなくなることを極力回避可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係る画像処理装置100の概略構成を例示する説明図である。
【
図2】画像処理装置100の構成を示すブロック図である。
【
図3】画像処理装置100による画像データ20の段階的縮小時のOCRによる文字認識成功数の変化を例示する説明図である。
【
図4】画像処理装置100による画像データ20の縮小処理を示すフローチャートである。
【
図5】画像処理装置100による画像データ20の縮小処理の変形例1を示すフローチャートである。
【
図6】画像処理装置100による画像データ20の縮小処理の変形例2を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0012】
1 画像処理装置100の構成
図1は、本開示の一実施形態に係る画像処理装置100の概略構成を例示する説明図である。
図2は、画像処理装置100の構成を示すブロック図である。
【0013】
これらの
図1及び
図2に示すように、画像処理装置100は、画像処理装置本体101と、表示部130と、操作部140とを備えている。画像処理装置100は、表示画面210を有する表示装置200と相互通信可能に接続されている。これにより、画像処理装置100は、例えば作成した出力レイアウトを表示装置200に表示させることができる。
【0014】
ここでは、画像処理装置100は、ノートパソコンによって具現化されている。他にも、デスクトップパソコン、タブレット、スマートフォンなどによって画像処理装置100は具現化され得るが、これらに限るわけではない。表示装置200としては、例えば、デジタル掲示板、電子黒板、大型モニターなどが挙げられるが、これらに限らない。なお、表示装置200の構成は、一般的なディスプレイと同様なので、詳細な説明は省略する。
【0015】
ここで、表示部130は、例えば、作成中の出力レイアウトを表示する。表示部130としては、例えば、液晶や有機EL(organic electro-luminescence)などが挙げられるが、これらに限らない。また、操作部140は、例えば、出力レイアウトを作成中に、縮小や移動の対象とする画像を選択するためのマウスやキーボードが挙げられるが、これらに限らない。タッチ操作などを可能とするタッチパネルなどを用いて、表示部130と操作部140とが一体化されてもよい。
【0016】
図2に示すように、画像処理装置本体101は、各部を制御するCPU(Central Processing Unit)110と、記憶部120とを備える。なお、画像処理装置本体101のハードウェア構成は、一般的なコンピュータと同様なので、詳細な説明は省略する。
【0017】
CPU110は、第2画像生成部111aを有する画像処理部111と、文字認識成功数判定部112と、条件判定部113と、限界縮小倍率判定部114と、画像縮小処理制限部115とを備える。これらの各部は、例えば、それぞれに対応する機能のソフトウェアをCPU110が実行することで具現化される。
【0018】
画像処理部111は、記憶部120に記憶されている画像データ20を読み出し、元画像の縦横比を保持しつつ画像データ20を拡大・縮小する等倍処理を含む各種の画像処理などを行う。ここでは、これらの画像処理の入力画像を「第1画像」、出力画像を「第2画像」とそれぞれ称することにする。画像処理のために記憶部120から読み出したばかりの画像データ20は入力画像に該当するので、「第1画像」の一例である。
【0019】
第2画像生成部111aは、第1画像を基に、その第1画像を所定の縮小倍率で縮小した少なくとも1つの第2画像を生成する。つまり、第2画像生成部111aは、入力画像としての第1画像を所定の縮小倍率で縮小し、出力画像として少なくとも1つの第2画像を生成する。所定の縮小倍率としては、例えば、元のサイズを10%縮小するような縮小倍率が挙げられる。この場合、第1画像のサイズを基準(100%)とすると、第2画像のサイズは90%に相当する。ただし、このような縮小倍率に限らない。第2画像生成部111aが複数の第2画像を生成する場合には、第1画像を基にした縮小倍率を互いに異ならせる。
【0020】
文字認識成功数判定部112は、第1画像と第2画像に対して文字認識を行い、第1画像に対して文字認識が成功した文字の数である第1画像文字認識成功数と、第2画像に対して文字認識が成功した文字の数である第2画像文字認識成功数を、それぞれ判定する。文字認識は、例えばOCR(Optical Character Recognition:光学文字認識)によって行う。OCRは、例えば、スキャナ用ドライバに組み込まれていてもよいし、独立したアプリケーションを利用してもよいが、このような方法に限らない。ただし、文字認識はOCRに限らない。
【0021】
条件判定部113は、第2画像に対して、第1画像文字認識成功数に対する第2画像文字認識成功数の比率又は差分が所定の判定条件を満たすか否かを判定する。
【0022】
限界縮小倍率判定部114は、条件判定部113が判定条件を満たすと判定した第2画像の縮小倍率を第1画像の限界縮小倍率として判定する。
【0023】
このような構成の画像処理装置100によれば、条件判定部113が判定条件を満たすと判定した第2画像の縮小倍率が第1画像の限界縮小倍率として判定される。したがって、画像データ20を人が読み取る際にはあまり支障とならない限界の縮小倍率が判定できる。この結果、文字を含む画像データ20の縮小時に、文字が潰れたりして読み取れなくなることを極力回避することが可能となる。また、たとえ文字が綺麗であっても、滲んだり掠れたりしていても、例えばOCRなどで文字として認識されなくなった時点で第2画像文字認識成功数が変化する。この結果、画像処理装置100は、限界縮小倍率を的確に判定することができる。
【0024】
また、条件判定部113は、第1画像文字認識成功数に対する第2画像文字認識成功数の比率が所定の比率判定閾値以上、又は第1画像文字認識成功数に対する第2画像文字認識成功数の差分が所定の差分判定閾値以下である場合に、判定条件を満たすと判定してもよい。したがって、第1画像文字認識成功数を基準とする比率又は差分を用いることで、限界の縮小倍率の判定が容易且つ客観的に行われる。この結果、画像処理装置100は、限界縮小倍率をより正確に判断できる。
【0025】
例えば、
図3に示した元の画像データ20-0を第1画像とすると、第1画像文字認識成功数は250である。N回縮小後の画像データ20-Nを第2画像とすると、第2画像文字認識成功数は230なので、比率230/250=92%であり、差分は250-230=20文字である。(N+1)回縮小後の画像データ20-(N+1)を第2画像とすると、第2画像文字認識成功数は150なので、比率150/250=60%であり、差分は250-150=100文字である。そこで、所定の比率判定閾値を例えば75%としてもよいが、このような比率に限らない。例えば、書類10の各頁に含まれる標準的な文字数が既知であれば、差分を判定条件に用いてもよい。
【0026】
また、CPU110が備える各部を次のように構成してもよい。すなわち、第2画像生成部111aは、第1画像を複数の異なる縮小倍率でそれぞれ縮小した複数の第2画像を生成する。文字認識成功数判定部112は、複数の第2画像それぞれに対して第2画像文字認識成功数を判定する。条件判定部113は、複数の第2画像それぞれに対して、第1画像文字認識成功数に対する第2画像文字認識成功数の比率又は差分が判定条件を満たすか否かを判定する。限界縮小倍率判定部114は、条件判定部113が判定条件を満たすと判定した第2画像のうち縮小倍率が最も小さい第2画像の縮小倍率を第1画像の限界縮小倍率として判定するのである。
【0027】
このような構成の画像処理装置100によれば、第1画像を複数の異なる縮小倍率でそれぞれ縮小した複数の第2画像がまとめて生成される。この結果、第1画像の限界縮小倍率をすばやく算出することができる。
【0028】
また、CPU110が備える各部を次のように構成してもよい。すなわち、第2画像生成部111aは、縮小倍率を段階的に低下させながら第2画像を生成する処理を繰り返し実行することにより、複数の第2画像を生成する。文字認識成功数判定部112は、複数の第2画像それぞれに対して第2画像文字認識成功数を判定する。条件判定部113は、複数の第2画像それぞれに対して、第1画像文字認識成功数に対する第2画像文字認識成功数の比率又は差分が判定条件を満たすか否かを判定する。限界縮小倍率判定部114は、条件判定部113が判定条件を満たさないと最初に判定した一つ前の第2画像の縮小倍率を第1画像の限界縮小倍率として判定するのである。
【0029】
このような構成の画像処理装置100によれば、第2画像の生成が1つずつ段階的に行われる。この結果、1回の第2画像の生成処理の負担が軽減される。
【0030】
また、画像処理装置100は、第1画像を限界縮小倍率よりも小さい縮小倍率で縮小する処理を制限する画像縮小処理制限部115をさらに備えてもよい。したがって、人が読み取る際の支障となる可能性が高い縮小倍率で縮小する処理を制限できる。この結果、不適切且つ無用な縮小処理が回避される。
【0031】
また、第1画像の縮小を指示する操作を受け付ける操作部140をさらに備え、画像縮小処理制限部115は、操作部140が第1画像を限界縮小倍率よりも小さい縮小を指示する操作を受け付けないよう制限してもよい。したがって、人が読み取る際の支障となる可能性が高い縮小倍率での縮小を指示する操作を受け付けないようにできる。この結果、不適切且つ無用な縮小処理が回避される。
【0032】
2 画像処理装置100による画像データ20の段階的縮小例
図3は、画像処理装置100による画像データ20の段階的縮小時のOCRによる文字認識成功数の変化を例示する説明図である。
【0033】
出力レイアウトを作成する場合、ユーザーは書類10をスキャンした得られた画像データ20のサイズを調整するために画像処理装置100を用いる。この画像処理装置100は、人が読み取る際にはあまり支障とならない限界の縮小倍率を判定し、その縮小倍率で画像データ20を縮小する。このようにしてサイズが調整された画像データ20をユーザーが適宜配置する。このような手順を繰り返すことでユーザーは出力レイアウトを完成させることができる。
【0034】
図3に示すように、例えば、元の画像データ20-0では、文字認識成功数が250文字だったとする。なお、書類10の画像データ20の参照符号について、区別が必要な場合には縮小回数も併記することとする。例えば、1回縮小後なら画像データ20-1、2回縮小後なら画像データ20-2のように表記する。よって、縮小前は画像データ20-0となり、N回縮小後は画像データ20-Nとなる。
【0035】
元の画像データ20-0を10%縮小した画像データ20-1でも、文字認識成功数は250文字であった。その後、10%ずつの段階的縮小を繰り返し、N回縮小後の画像データ20-Nでは、文字認識成功数が230文字に減少した。つまり、文字認識成功数が最初の250文字から230文字に減少したことになる。その差分は250-230=20文字であり、比率としては230/250=92%である。この程度の文字認識成功数の減少であれば、表示装置200に表示された画像データ20を人が読み取る際にはあまり支障とならないと考えられる。
【0036】
しかし、さらにもう1回縮小した、すなわち(N+1)回縮小した画像データ20-(N+1)では、文字認識成功数が150文字まで急激に減少した。つまり、文字認識成功数が最初の250文字から150文字に急減したことになる。この場合の差分は250-150=100文字であり、比率は150/250=60%である。このように、文字認識成功数が大幅に減少すると、表示装置200に表示された画像データ20を読み取る際の支障となる可能性が高い。
【0037】
そこで、文字認識成功数の減少後の比率が所定の判定条件を満たすかどうか、具体的にはその比率が所定比率(例えば75%)以上であるか否かを判定する。つまり、比率が所定比率以上であれば、画像データ20を人が読み取る際にはあまり支障とならないと判定する。
図3に示した例では、N回縮小後の画像データ20-Nまでなら読み取る際にはあまり支障とならないが、(N+1)回縮小後の画像データ20-(N+1)では読み取る際の支障となる可能性が高い。よって、その直前(N回縮小後)の縮小サイズが実用的な縮小の下限サイズに相当する。元の画像データ20-0の縮小は10%ずつ段階的に行われていたので、N回縮小後の画像データ20-Nの縮小比率、すなわち、N×10%が限界縮小倍率に相当する。
【0038】
3 画像処理装置100による画像データ20の縮小処理
図4は、画像処理装置100による画像データ20の縮小処理を示すフローチャートである。
【0039】
この
図4に示すように、まず、ステップS1では、画像処理部111が、記憶部120に記憶されている画像データ20を読み出して第1画像とし、次のステップS2へ進む。
【0040】
ステップS2では、第2画像生成部111aが、第1画像を基に、第1画像をこれまでに生成した第2画像と異なる所定の縮小倍率で縮小した少なくとも1つの第2画像を生成する。なお、第2画像生成部111aは、初回の場合は第1画像を基に、初回の縮小倍率として予め設定された所定の縮小倍率で縮小した少なくとも1つの第2画像を生成する。その後、次のステップS3へ進む。複数の第2画像を生成する場合には、第2画像生成部111aは、第1画像を基にした縮小倍率を互いに異ならせる。なお、このステップS2は本開示の「第2画像生成工程」の一例である。
【0041】
ステップS3では、文字認識成功数判定部112が、第1画像に対して文字認識を行い、第1画像に対して文字認識が成功した文字数(第1画像文字認識成功数)を判定して、次のステップS4へ進む。なお、このステップS3を1回実行した後は、第1画像が変更されない限り、再び実行する必要はない。
【0042】
ステップS4では、文字認識成功数判定部112が、第2画像に対して文字認識を行い、第2画像に対して文字認識が成功した文字数(第2画像文字認識成功数)を判定して、次のステップS5へ進む。なお、ステップS3及びステップS4は、本開示の「文字認識成功数判定工程」の例であり、同時に実行してもよい。
【0043】
ステップS5では、条件判定部113が、第2画像に対して、第1画像文字認識成功数に対する第2画像文字認識成功数の比率又は差分を求めて、次のステップS6へ進む。
【0044】
ステップS6では、条件判定部113が、S2からS5までの処理を所定回数繰り替えし実行したか否かを判定する。S2からS5までの処理を所定回数繰り替えし実行していない場合は、条件判定部113はステップS2以降の処理を繰り返す。S2からS5までの処理を所定回数繰り替えし実行している場合は、次のステップS7へ進む。なお、このステップS6は本開示の「条件判定工程」の一例である。
【0045】
ステップS7では、限界縮小倍率判定部114が、これまでに生成した第2画像のそれぞれについて所定条件を満たすか否かを判定し、所定条件を満たす全ての第2画像の縮小倍率の中から最小の縮小倍率を第1画像の限界縮小倍率として判定してから、一連の処理を終了する。なお、このステップS7は本開示の「限界縮小倍率判定工程」の一例である。
【0046】
4 画像処理装置100による画像データ20の縮小処理の変形例1
図5は、画像処理装置100による画像データ20の縮小処理の変形例1を示すフローチャートである。この実施例1は、縮小倍率を段階的に低下させながら第2画像を生成する処理を繰り返し実行することにより、複数の第2画像を生成する。
【0047】
この
図5に示すように、まず、ステップS11では、ステップS1と同様に、画像処理部111が、記憶部120に記憶されている画像データ20を読み出して第1画像とし、次のステップS12へ進む。
【0048】
ステップS12では、第2画像生成部111aが、第1画像を基に、第1画像をこれまでに生成した第2画像よりも小さい所定の縮小倍率で縮小した少なくとも1つの第2画像を生成する。例えば、第2画像生成部111aが、前回作成した第2画像の縮小倍率よりも10%小さい縮小倍率で縮小した少なくとも1つの第2画像を生成する。なお、初回の場合は第1画像を基に、初回の縮小倍率として予め設定された所定の縮小倍率で縮小した少なくとも1つの第2画像を生成する。その後、次のステップS13へ進む。
【0049】
ステップS13からS15は、前述したS3からS5と共通であるため、説明を割愛する。
【0050】
ステップS16では、条件判定部113が、直前に生成した第2画像について所定条件を満たすか否かを判定する。直前に生成した第2画像について所定条件を満たす場合には、ステップS12以降の処理を繰り返す。直前に生成した第2画像について所定条件を満たさない場合には、ステップS12以降の処理を繰り返さず、次のステップS17へ進む。
【0051】
ステップS17では、限界縮小倍率判定部114が、最後に生成した第2画像(最初に所定条件を満たさないと判定した画像)の一つ前に生成した第2画像の縮小倍率を第1画像の限界縮小倍率として判定してから、一連の処理を終了する。
【0052】
5 画像処理装置100による画像データ20の縮小処理の変形例2
図6は、画像処理装置100による画像データ20の縮小処理の変形例2を示すフローチャートである。
【0053】
この
図6に示すように、まず、ステップS21ではステップS1と同様に、画像処理部111が、記憶部120に記憶されている画像データ20を読み出して第1画像とし、次のステップS22へ進む。
【0054】
ステップS22では、文字認識成功数判定部112が、第1画像に対して文字認識を行い、文字認識が成功した文字数(第1画像文字認識成功数)を基準値として、次のステップS23へ進む。
【0055】
ステップS23では、第2画像生成部111aが、第1画像を基に、第1画像をこれまでに生成した第2画像よりも小さい所定の縮小倍率で縮小した少なくとも1つの第2画像を生成する。例えば、第2画像生成部111aが、前回作成した第2画像の縮小倍率よりも10%小さい縮小倍率で縮小した少なくとも1つの第2画像を生成する。なお、初回の場合は第1画像を基に、初回の縮小倍率として予め設定された所定の縮小倍率で縮小した少なくとも1つの第2画像を生成する。その後、次のステップS24へ進む。
【0056】
ステップS24では、文字認識成功数判定部112が、第2画像に対して文字認識を行い、文字認識が成功した文字数(第2画像文字認識成功数)を取得して、次のステップS25へ進む。
【0057】
ステップS25では、条件判定部113が、第1画像文字認識成功数に対する第2画像文字認識成功数が一定割合以下か否かを判定し、満たしていれば次のステップS26へ進み、そうでなければステップS23へ戻る。
【0058】
ステップS26では、限界縮小倍率判定部114が、最後に生成した第2画像(最初に所定条件を満たさないと判定した画像)の一つ前に生成した第2画像の縮小倍率を第1画像の限界縮小倍率として判定してから、一連の処理を終了する。
【0059】
なお、ステップS24において、第2画像文字認識成功数が前回より極端に減少した場合は、1回の縮小幅が大きすぎた可能性がある。このような場合、例えば、ステップS23における縮小幅を小さくしてやり直すようにしてもよい。このようにすることで、第1画像のより正確な限界縮小倍率を求めることができる。
【0060】
本発明は、その主旨又は主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本開示は、画像処理を行う画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムなどに利用可能である。
【符号の説明】
【0062】
10 書類
20 画像データ
100 画像処理装置
101 画像処理装置本体
110 CPU
111 画像処理部
111a 第2画像生成部
112 文字認識成功数判定部
113 条件判定部
114 限界縮小倍率判定部
115 画像縮小処理制限部
120 記憶部
130 表示部
140 操作部
200 表示装置
210 表示画面