(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017908
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】絶縁ボビン、絶縁ボビンセット、およびステータ形成方法
(51)【国際特許分類】
H02K 3/46 20060101AFI20240201BHJP
H02K 15/06 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H02K3/46 B
H02K15/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120863
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119264
【弁理士】
【氏名又は名称】富沢 知成
(72)【発明者】
【氏名】郡川 佳丈
【テーマコード(参考)】
5H604
5H615
【Fターム(参考)】
5H604AA05
5H604AA08
5H604BB01
5H604BB08
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC16
5H604PB03
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB05
5H615BB14
5H615BB16
5H615PP01
5H615PP12
5H615QQ08
5H615QQ19
5H615SS09
(57)【要約】
【課題】 短絡・絶縁不良リスクをなくし、ティースの内径部にことさら絶縁処理を施すことなく、ボビンの形状を工夫することによる絶縁対策技術を提供すること。
【解決手段】 絶縁ボビン10は、マグネットワイヤが巻かれる巻回部12、巻回部12の内径側端部に設けられる脚部13、外径側端部に設けられる頭部11からなり、脚部13には張り出した羽部14が備えられ、羽部14は、ティースへの装着状態において隣接する絶縁ボビン20の脚部23との境界を越えて二のティース間をつなぐブリッジを被覆するよう形成されている。羽部14は、舌弁状に形成されたものとすることができる。
【選択図】
図1-2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機のステータのティースに装着して用いる絶縁ボビンであって、マグネットワイヤが巻かれる巻回部と、該巻回部の内径側端部に設けられる脚部と、外径側端部に設けられる頭部からなり、該脚部には張り出した羽部が備えられており、該羽部は、ティースへの装着状態において隣接する絶縁ボビンの脚部との境界を越えて二のティース間をつなぐブリッジを被覆するよう形成されていることを特徴とする、絶縁ボビン。
【請求項2】
前記羽部は、ティースへの装着状態において隣接する左右の絶縁ボビンに対応して二箇所に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の絶縁ボビン。
【請求項3】
請求項2に記載の絶縁ボビンである二枚羽絶縁ボビン、および前記羽部を有しない羽無し絶縁ボビンからなるセットであることを特徴とする、絶縁ボビンセット。
【請求項4】
前記羽無し絶縁ボビンの脚部には、ティースへの装着時において、隣接する前記二枚羽絶縁ボビンの羽部と嵌合する形態の凹構造が備えられていることを特徴とする、請求項3に記載の絶縁ボビンセット。
【請求項5】
請求項3、4のいずれかに記載の絶縁ボビンである二枚羽絶縁ボビンを一個おきにティースに装着し、次いで残りのティースに前記羽無し絶縁ボビンを装着することを特徴とする、ステータ形成方法。
【請求項6】
前記羽部は、ティースへの挿入状態において隣接する一方の絶縁ボビンに対応して一箇所に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の絶縁ボビン。
【請求項7】
前記羽部と嵌合する形態の凹構造が前記脚部の反対側に設けられていることを特徴とする、請求項6に記載の絶縁ボビン。
【請求項8】
請求項6、7のいずれかに記載の絶縁ボビンである一枚羽絶縁ボビン、および前記羽部を有しない羽無し絶縁ボビンからなるセットであることを特徴とする、絶縁ボビンセット。
【請求項9】
請求項6、7のいずれかに記載の絶縁ボビンである一枚羽絶縁ボビンをティースに装着し、該一枚羽絶縁ボビンの羽部の設けられている方向へ、間を措かずに順に該一枚羽絶縁ボビンをティースに装着していくことを特徴とする、ステータ形成方法。
【請求項10】
請求項8に記載の絶縁ボビンセットを用いるステータ形成方法であって、前記一枚羽絶縁ボビンの羽部の設けられている方向へ、間を措かずに順に該一枚羽絶縁ボビンをティースに装着していき、最後は前記羽無し絶縁ボビンを装着することを特徴とする、ステータ形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は絶縁ボビン、絶縁ボビンセット、およびステータ形成方法に係り、特に集中巻構造の電動機において、マグネットワイヤがステータに対して短絡することを防止するためのボビン形状等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9は、電動機のステータ形成過程における従来の絶縁ボビン装着方法を示す説明図である。図示するように従来は、ステータSのティースT、T、・・・に、マグネットワイヤ(コイル)MW巻回済みの絶縁ボビン90、90、・・・を挿入することで装着している。しかしこの方法には問題がある。
【0003】
図10は、
図9に示した従来技術における問題点を示す説明図である。図示するように従来の絶縁ボビン装着方法では、ティースT、T、・・・にマグネットワイヤMW巻回済みの絶縁ボビンを挿入、装着において、先に装着されているボビン90aのマグネットワイヤMWに飛び出し部分MXがあると、隣接するティースにボビン90bが後から挿入される時に(挿入方向A)、これが押し込まれてティースTやブリッヂBに接触し、それによって短絡するリスクが発生する。
【0004】
図11は、
図9に示した従来技術における問題点の別例を示す説明図である。
図10に示したようなマグネットワイヤMWの飛び出し部分MXの発生がなくても、ボビン90、90、・・・装着後の樹脂射出成型時において、軸中心方向の圧力Pにより、マグネットワイヤMGがボビン90-90間の隙間Cに押し付けられ、絶縁不良が発生するリスクがある。そこで、
図10、11で示したこれらのリスクを回避するため、ティースTの内径部に絶縁処理を施すことがなされている。
【0005】
電動機の絶縁ボビンについては従来、特許出願等もなされている。たとえば出願人も、後掲特許文献1に示すように、絶縁テープ貼り付け作業を不要とし、工数削減、部品点数削減できる電動機の絶縁ボビンとして、隣接する他の絶縁ボビンと当接する側端部に、隣接する絶縁ボビンとの間で凸-凹の噛み合いによる噛合い構造が設けられる構成をとることとし、これにより絶縁ボビン間からのコイル巻線のこぼれを防止する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-24280号公報「絶縁ボビンおよび電動機」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、
図10等により示した従来技術の短絡・絶縁不良リスクをなくし、ティースの内径部に絶縁処理を施す等の別途の短絡・絶縁不良防止策を講ずることなく、ボビンの形状を工夫することによって、絶縁対策とすることのできる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者は上記課題について検討した結果、絶縁ボビンの脚部に舌弁状のマグネットワイヤ受けを設けることによって解決できることを見出し、これに基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下の通りである。
【0009】
〔1〕 電動機のステータのティースに装着して用いる絶縁ボビンであって、マグネットワイヤが巻かれる巻回部と、該巻回部の内径側端部に設けられる脚部と、外径側端部に設けられる頭部からなり、該脚部には張り出した羽部が備えられており、該羽部は、ティースへの装着状態において隣接する絶縁ボビンの脚部との境界を越えて二のティース間をつなぐブリッジを被覆するよう形成されていることを特徴とする、絶縁ボビン。
〔2〕 前記羽部は、ティースへの装着状態において隣接する左右の絶縁ボビンに対応して二箇所に設けられていることを特徴とする、〔1〕に記載の絶縁ボビン。
〔3〕 〔2〕に記載の絶縁ボビンである二枚羽絶縁ボビン、および前記羽部を有しない羽無し絶縁ボビンからなるセットであることを特徴とする、絶縁ボビンセット。
〔4〕 前記羽無し絶縁ボビンの脚部には、ティースへの装着時において、隣接する前記二枚羽絶縁ボビンの羽部と嵌合する形態の凹構造が備えられていることを特徴とする、〔3〕に記載の絶縁ボビンセット。
【0010】
〔5〕 〔3〕、〔4〕のいずれかに記載の絶縁ボビンである二枚羽絶縁ボビンを一個おきにティースに装着し、次いで残りのティースに前記羽無し絶縁ボビンを装着することを特徴とする、ステータ形成方法。
〔6〕 前記羽部は、ティースへの挿入状態において隣接する一方の絶縁ボビンに対応して一箇所に設けられていることを特徴とする、〔1〕に記載の絶縁ボビン。
〔7〕 前記羽部と嵌合する形態の凹構造が前記脚部の反対側に設けられていることを特徴とする、〔6〕に記載の絶縁ボビン。
【0011】
〔8〕 〔6〕、〔7〕のいずれかに記載の絶縁ボビンである一枚羽絶縁ボビン、および前記羽部を有しない羽無し絶縁ボビンからなるセットであることを特徴とする、絶縁ボビンセット。
〔9〕 〔6〕、〔7〕のいずれかに記載の絶縁ボビンである一枚羽絶縁ボビンをティースに装着し、該一枚羽絶縁ボビンの羽部の設けられている方向へ、間を措かずに順に該一枚羽絶縁ボビンをティースに装着していくことを特徴とする、ステータ形成方法。
〔10〕 〔8〕に記載の絶縁ボビンセットを用いるステータ形成方法であって、前記一枚羽絶縁ボビンの羽部の設けられている方向へ、間を措かずに順に該一枚羽絶縁ボビンをティースに装着していき、最後は前記羽無し絶縁ボビンを装着することを特徴とする、ステータ形成方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の絶縁ボビン、絶縁ボビンセット、およびステータ形成方法は上述のように構成されるため、これらによれば、従来技術における短絡・絶縁不良リスクを、ティースの内径部に絶縁処理を施す等の別途の短絡・絶縁不良防止策を講ずることなく、回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の絶縁ボビンの構成を示す側面視説明図である。
【
図1-2】
図1に示した本発明の絶縁ボビンの使用形態を示す側面視説明図である。
【
図2】
図1に示す絶縁ボビンを要素に含む本発明絶縁ボビンセットの構成を示す説明図である。
【
図2-2】嵌合形態のある羽無し絶縁ボビンを具えた本発明絶縁ボビンセットの当該羽無し絶縁ボビンを構成を示す側面視説明図である。
【
図2-3】嵌合形態のある羽無し絶縁ボビンを具えた本発明絶縁ボビンセットの当該羽無し絶縁ボビンを構成を示す側面視説明図である。
【
図3】本発明ステータ形成方法を経時的に示す側面視説明図である(その1)。
【
図4】本発明ステータ形成方法を経時的に示す側面視説明図である(その2)。
【
図5】本発明ステータ形成方法を経時的に示す側面視説明図である(その3)。
【
図6】本発明絶縁ボビンの別の構成例を示す側面視説明図である。
【
図7】
図6に示す絶縁ボビンを要素に含む本発明絶縁ボビンセットの構成を示す説明図である。
【
図8】
図6に示す絶縁ボビンを用いた本発明ステータ形成方法を示す側面視説明図である。
【
図9】電動機のステータ形成過程における従来のボビン装着方法を示す説明図である。
【
図10】
図9に示した従来技術における問題点を示す説明図である。
【
図11】
図9に示した従来技術における問題点の別例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面により本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の絶縁ボビンの構成を示す側面視説明図である。また、
図1-2は
図1に示した本発明の絶縁ボビンの使用形態を示す側面視説明図である。これらに示すように電動機のステータのティースに装着して用いる本発明絶縁ボビン10は、マグネットワイヤが巻かれる巻回部12と、巻回部12の内径側端部に設けられる脚部13と、外径側端部に設けられる頭部11からなり、脚部13には張り出した羽部14が備えられており、羽部14は、ティースへの装着状態において隣接する絶縁ボビン20の脚部23との境界を越えて二のティース間をつなぐブリッジを被覆するよう形成されていることを特徴的な構成とする。図示するように羽部14は、舌弁状に形成されたものとすることができる。
【0015】
なお、
図1-2中の中括弧{ }は、隣接するボビン10-ボビン20間において、ティース装着状態で脚部13-23がオーバーラップすることを示すが、これについては追って
図2-2によりさらに説明する。また、
図1-2に示す隣接する絶縁ボビン20は、絶縁ボビン10とは構成が異なるが、これについても追って説明を加える。
【0016】
図1等に示すように本絶縁ボビン10は、二の羽部14、14を具えた構成とすることができ、以降はこれを二枚羽絶縁ボビン10とも言う。二の羽部14、14は、本絶縁ボビンのティースへの装着状態において隣接する左右の絶縁ボビン20、20に対応して、周方向上の両側に設けるものとすることができる。かかる構成によりティースへの本絶縁ボビン10装着状態では、羽部14、14はそれぞれの位置において、脚部23との境界を越え二のティース間をつなぐブリッジを被覆する。これにより、ボビン装着の際、巻回部12、22に巻回されているマグネットワイヤが押し込まれた場合であっても、これを羽部14がを受け、ブリッヂやティースへの接触を防止することができる。
【0017】
図2は、
図1に示す絶縁ボビンを要素に含む本発明絶縁ボビンセットの構成を示す説明図である。図示するように絶縁ボビンセット100は、上述の二枚羽絶縁ボビン10、および羽部を有しない羽無し絶縁ボビン20からなるセットである。セットを構成する各絶縁ボビン10、20の数は任意である。しかしながら、後述する
図3等によるステータ形成方法の説明のように両タイプの絶縁ボビンは、一個おきに装着される。適用対象のステータのティース数をtとすれば、各タイプの絶縁ボビンの数はいずれもt/2以上とすればよい。
【0018】
図2-2は、嵌合形態のある羽無し絶縁ボビンを具えた本発明絶縁ボビンセットの当該羽無し絶縁ボビンを構成を示す側面視説明図である。図示するように本羽無し絶縁ボビン30は、絶縁ボビンセットを構成する二枚羽絶縁ボビン10の羽部14と嵌合する形態の凹構造35を備えるものとすることができる。かかる構造とすることで、二枚羽絶縁ボビン10の脚部13と羽無し絶縁ボビン30の脚部33が浮き上がり等を生じずに嵌合し、境界部における良好なオーバーラップ状態を形成することができる。
【0019】
図2-3は、
図2-2に示した羽無し絶縁ボビンにより形成される嵌合状態を示す要部側面視説明図である。図示するように、二枚羽絶縁ボビン10の脚部13の羽部14は羽無し絶縁ボビン30の脚部33の凹構造35と良好に嵌合し、オーバーラップ部OLが形成されてブリッヂBを完全に被覆し、マグネットワイヤMWが押し込まれてきたりこぼれてきたりした場合でも、ブリッヂBやティースTへの接触を防止することができる。
【0020】
図3、4、5は、本発明ステータ形成方法を経時的に示す側面視説明図である(その1、2、3)。ここでは、凹構造35付きの羽無し絶縁ボビン30を用いてのステータ形成方法を示す。
図3は、ティースT、T、・・・への各絶縁ボビン挿入前の状態であり、二枚羽絶縁ボビン10と羽無し絶縁ボビン30順繰りに装着された形態となることを予定されていることを示す。
【0021】
図4に示すように、まず二枚羽絶縁ボビン10、10、・・・が一個おきにティースTに挿入、装着される。これにより、羽部14、14、・・・がブリッヂB上に載置された状態が形成される。次いで、残りのティースT、T、・・・に羽無し絶縁ボビン30、30、・・・が挿入、装着され、
図5に示すように、先にブリッヂB、B、・・・上に載置されている羽部14、14、・・・上に凹構造35、35、・・・が嵌合し、ブリッヂB、B、・・・は被覆された状態となる。
【0022】
図6は、本発明絶縁ボビンの別の構成例を示す側面視説明図である。図中(a)に示すように、羽部付きの本絶縁ボビン40は、その羽部44が、ティースへの挿入状態において隣接する一方の絶縁ボビンに対応して一箇所のみに設けられている構成とすることができる。この構造の絶縁ボビンを以降、一枚羽絶縁ボビンとも言う。追って
図8によっても説明する通りブリッヂの被覆状態は、一枚羽絶縁ボビン40を順にティースに装着していくことによっても形成することができ、挿入先のティースTを一個置きにする必要がない。
【0023】
また、本図中(b)に示すように、一箇所のみに設けた羽部54の反対側に、羽部54の形状と嵌合する形態の凹構造56を設けた構造の一枚羽絶縁ボビン50としてもよい。これによれば、先にティースに挿入、装着されてブリッヂ上に載置された絶縁ボビン50の羽部54の上に、次の絶縁ボビン50の凹構造56が嵌合し、良好なオーバーラップ状態が形成される。
【0024】
図7は、
図6に示す絶縁ボビンを要素に含む本発明絶縁ボビンセットの構成を示す説明図である。図示するように、以上説明した一枚羽絶縁ボビン(図では凹構造56のある絶縁ボビン50)と、羽無し絶縁ボビン(図では凹構造のない絶縁ボビン20)とにより、絶縁ボビンセット200を構成することができる。本セット200では、一枚羽絶縁ボビン50(または40)は適用対象ステータのティース数をtとすれば、t-1個、羽無し絶縁ボビン20(または30)は1個とすることでよい。
【0025】
図8は、
図6に示す絶縁ボビンを用いた本発明ステータ形成方法を示す側面視説明図である。ここでは、凹構造56を有する一枚羽絶縁ボビン50を用いる例を示す。一枚羽絶縁ボビン50をティースに装着し、その羽部54の設けられている方向へ、間を措かずに順に次々と周方向に一枚羽絶縁ボビン50をティースに装着していくことで、ステータを形成する。
【0026】
単一仕様の一枚羽絶縁ボビン50のみを用いて、ステータを形成することができるが、その場合、最後に挿入する一枚羽絶縁ボビン50の羽部54は、最初に挿入されて装着済みの一枚羽絶縁ボビン50の凹構造56に差し込むようにして設置すれば円滑かつ良好に形成できる。そのためには、凹構造56を備えたタイプの一枚羽絶縁ボビン50の使用が望ましい。あるいはまた、最後に挿入する一枚羽絶縁ボビン50の羽部54は上方に折り曲げた形態での装着としてもよい。この箇所だけには絶縁テープ等による別途絶縁処理を施すこととしてもよい。
【0027】
なお
図8に示す例は、
図7に示した絶縁ボビンセット200を用いた場合の例であり、最後に羽無し絶縁ボビン20を挿入して終了としている。かかるステータ形成方法も、本発明の範囲内である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の絶縁ボビン、絶縁ボビンセット、およびステータ形成方法によれば、従来技術における短絡・絶縁不良リスクを、ことさら別途の絶縁処理を用いることなく無くすることができる。したがって、ACサーボモータを初めとする電動機の製造、使用分野、および関連する全分野において、産業上利用性が高い発明である。
【符号の説明】
【0029】
10…絶縁ボビン(二枚羽絶縁ボビン)
11…頭部
12…巻回部
13…脚部
14…羽部
20、30…絶縁ボビン(羽無し絶縁ボビン)
21、31…頭部
22、32…巻回部
23、33…脚部
35…凹構造
40、50…絶縁ボビン(一枚羽絶縁ボビン)
41、51…頭部
42、52…巻回部
43、53…脚部
44、54…羽部
56…凹構造
100、200…絶縁ボビンセット
B…ブリッヂ
MW…マグネットワイヤ
OL…オーバーラップ部
S…ステータ
T…ティース
【0030】
90、90a、90b…絶縁ボビン
91…頭部
93…脚部
A…挿入方向
C…ボビン間の隙間
MX…マグネットワイヤの飛び出し部
P…射出成型時の圧力