(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179083
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20241219BHJP
G06V 40/18 20220101ALI20241219BHJP
【FI】
G06T7/00 510D
G06V40/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097609
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】藪 圭輔
【テーマコード(参考)】
5B043
【Fターム(参考)】
5B043AA09
5B043BA04
5B043DA05
5B043GA05
5B043HA20
(57)【要約】
【課題】対象者の虹彩を用いた認証処理を行うとともに、より正確な健康状態を判定することが可能な画像を取得する。
【解決手段】一態様に係る情報処理装置1は、取得部2、特定部3、認証部4、生成部5を含む。取得部2は、撮像装置から対象者の虹彩を用いた認証処理に適合する第1画像を取得する。特定部3は、第1画像から虹彩領域に対応する虹彩画像と、肌領域に対応する肌画像とを特定する。認証部4は、虹彩画像に基づいて、対象者の認証処理を行う。生成部5は、肌画像に基づいて、対象者の健康に関する情報を生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置から対象者の虹彩を用いた認証処理に適合する第1画像を取得する取得部と、
前記第1画像から虹彩領域に対応する虹彩画像と、肌領域に対応する肌画像とを特定する特定部と、
前記虹彩画像に基づいて、前記対象者の認証処理を行う認証部と、
前記肌画像に基づいて、前記対象者の健康に関する情報を生成する生成部と、
を含む、
情報処理装置。
【請求項2】
前記撮像装置が画像を取得する際に、当該画像における虹彩領域が占める割合と肌領域が占める割合とを変更するように、前記撮像装置の撮影設定条件を変更する条件変更部をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記条件変更部は、前記第1画像から特定された肌画像に基づいて健康に関する情報が生成できなかった場合、前記第1画像に含まれる肌領域の面積よりも大きい肌領域が含まれる第2画像を生成するように、前記撮像装置の向きを変更し、
前記生成部は、前記第2画像から特定される肌画像に基づいて、健康に関する情報を生成する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記条件変更部は、前記虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度に応じて、前記撮像装置の撮影設定条件を変更する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記条件変更部は、前記肌画像に基づく前記対象者の健康に関する情報の生成に関する許容度に応じて、前記撮像装置の撮影設定条件を変更する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1画像は、前記虹彩画像に基づく認証処理に適合する、前記撮像装置のズーム倍率に関する条件を満たす、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1画像は、前記虹彩画像に基づく認証処理に適合する、虹彩の面積に関する条件を満たす、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
撮像装置から対象者の虹彩を用いた認証処理に適合する第1画像を取得する取得部と、
前記第1画像から虹彩領域に対応する虹彩画像と、肌領域に対応する肌画像とを特定する特定部と、
前記虹彩画像に基づいて、前記対象者の認証処理を行う認証部と、
前記肌画像に基づいて、前記対象者の健康に関する情報を生成する生成部と、
を含む、
情報処理システム。
【請求項9】
コンピュータが、
撮像装置から対象者の虹彩を用いた認証処理に適合する第1画像を取得する処理と、
前記第1画像から虹彩領域に対応する虹彩画像と、肌領域に対応する肌画像とを特定する処理と、
前記虹彩画像に基づいて、前記対象者の認証処理を行う処理と、
前記肌画像に基づいて、前記対象者の健康に関する情報を生成する処理と、
を実行する、
情報処理方法。
【請求項10】
撮像装置から対象者の虹彩を用いた認証処理に適合する第1画像を取得する処理と、
前記第1画像から虹彩領域に対応する虹彩画像と、肌領域に対応する肌画像とを特定する処理と、
前記虹彩画像に基づいて、前記対象者の認証処理を行う処理と、
前記肌画像に基づいて、前記対象者の健康に関する情報を生成する処理と、
をコンピュータに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザ(対象者)両眼及び両眼の周囲の肌領域を含む顔画像から、ユーザの虹彩領域(虹彩画像)を抽出し、虹彩画像に基づくユーザの健康状態を判定する処理を実行する情報処理システムが開示されている。また、特許文献1に記載の情報処理システムは、顔画像からユーザ(被写体)の肌領域(肌画像)を抽出し、肌画像に基づくユーザの健康状態を判定する処理を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
健康状態を判定する装置には、毎日行うための手順の手軽さや利用する対象者を識別するための機能が求められる。しかし、それぞれの機能を実現するために複数のデバイスを用いると、金銭的なコストの増大や、作業の複雑さが増す可能性が高い。そのため、一つのデバイスで利用する対象者を識別し、健康状態の判定を行うことができる技術が求められている。
【0005】
特許文献1では、顔画像から虹彩領域を抽出することにより虹彩画像を取得しているが、この虹彩画像は健康状態を判定するためものであり、抽出した虹彩画像に基づく対象者の認証処理は適切に行えない可能性がある。また、健康状態の判定においても、より正確な判定ができるような画像が望まれている。
【0006】
本開示の目的は、上述した問題を鑑み、対象者の虹彩を用いた認証処理を行うとともに、より正確な健康状態を判定することが可能な、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様に係る情報処理装置は、取得部、特定部、認証部、生成部を含む。取得部は、撮像装置から対象者の虹彩を用いた認証処理に適合する第1画像を取得する。特定部は、前記第1画像から虹彩領域に対応する虹彩画像と、肌領域に対応する肌画像とを特定する。認証部は、前記虹彩画像に基づいて、前記対象者の認証処理を行う。生成部は、前記肌画像に基づいて、前記対象者の健康に関する情報を生成する。
【0008】
一態様に係る情報処理システムは、取得部、特定部、認証部、生成部を含む。取得部は、撮像装置から対象者の虹彩を用いた認証処理に適合する第1画像を取得する。特定部は、前記第1画像から虹彩領域に対応する虹彩画像と、肌領域に対応する肌画像とを特定する。認証部は、前記虹彩画像に基づいて、前記対象者の認証処理を行う。生成部は、前記肌画像に基づいて、前記対象者の健康に関する情報を生成する。
【0009】
一態様に係る情報処理方法は、
コンピュータが、
撮像装置から対象者の虹彩を用いた認証処理に適合する第1画像を取得する処理と、
前記第1画像から虹彩領域に対応する虹彩画像と、肌領域に対応する肌画像とを特定する処理と、
前記虹彩画像に基づいて、前記対象者の認証処理を行う処理と、
前記肌画像に基づいて、前記対象者の健康に関する情報を生成する処理と、
を実行する。
【0010】
一態様に係るプログラムは、
撮像装置から対象者の虹彩を用いた認証処理に適合する第1画像を取得する処理と、
前記第1画像から虹彩領域に対応する虹彩画像と、肌領域に対応する肌画像とを特定する処理と、
前記虹彩画像に基づいて、前記対象者の認証処理を行う処理と、
前記肌画像に基づいて、前記対象者の健康に関する情報を生成する処理と、
をコンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、対象者の虹彩を用いた認証処理を行うとともに、より正確な健康状態を判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態にかかる情報処理装置の構成を示す図である。
【
図2】実施形態にかかる情報処理方法を説明するフロー図である。
【
図3】実施形態にかかる情報処理システムを説明するフロー図である。
【
図4】実施例にかかる情報処理システムの構成を示す図である。
【
図8】実施例に係る情報処理システムの処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載および図面は、適宜、簡略化されている。各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付し、説明は適宜省略される。
【0014】
図1は、実施形態に係る情報処理装置1の構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、対象者の本人認証を行うとともに、当該対象者の健康に関する情報(以下、健康情報とする)を生成する。情報処理装置1は、対象者の虹彩(アイリス)を用いた虹彩認証を行うことで、本人認証を行う。虹彩認証には、対象者個人に固有の虹彩の特徴から計算される虹彩データ(特徴量)が用いられる。具体的には、情報処理装置1は、対象者の虹彩の放射状の模様を用いて虹彩認証を行う。
【0015】
図1に示すように、情報処理装置1は、取得部2、特定部3、認証部4、生成部5を備える。取得部2は、撮像装置から対象者の虹彩を用いた認証処理に適合する第1画像を取得する。第1画像は、対象者の目の領域を含む、人物の顔の一部を写した画像である。「虹彩を用いた認証処理に適合する」とは、第1画像が虹彩認証を行う際に用いる虹彩データの取得に適していることを指す。
【0016】
特定部3は、第1画像から虹彩領域に対応する虹彩画像と、肌領域に対応する肌画像とを特定する。虹彩データは、第1画像に含まれる虹彩画像の各画素値から生成され得る。虹彩認証に使用可能な虹彩データとして代表的なものに、虹彩コードと呼ばれるデータがある。虹彩コードは、虹彩画像を画像処理することで得られるデータである。虹彩コードは、個人に固有の生体情報(いわゆる、バイオメトリクス情報)であり、虹彩画像が適切な品質で撮影された場合に、認証に使用可能なデータとなる。
【0017】
虹彩コードは、例えば、以下ステップ(1)~(4)を含んで生成され得る。
(1)第1画像から、対象者の目の領域を検出するステップ
(2)検出した目の領域のうち、上まぶたの縁、下まぶたの縁、瞳孔と虹彩の境界(以下、虹彩内円とする)、虹彩と白目の境界(以下、虹彩外円とする)を検出するステップ
(3)虹彩が写っている領域(虹彩画像)における模様を帯状に展開するステップ
(4)展開された模様を符号化して特徴量を生成するステップ
【0018】
虹彩画像は、虹彩内円と虹彩外円との間のドーナツ状の範囲を指す。なお、このドーナツ状の範囲は、まぶたやまつげにより隠されていることがあり得る。虹彩データが認証に使用可能であるためには、虹彩データの品質が、虹彩データを利用した認証のための所定の基準を満たすことが必要である。取得された虹彩データに、個人に固有の特徴が十分に表れていない場合、その虹彩データは認証に使用可能であるとはいえない。
【0019】
このため、第1画像は、虹彩データの取得に支障をきたす要因に当てはまらないことが求められる。虹彩データの取得に支障をきたす要因には、以下の例が含まれる。
・虹彩の大部分がまぶたに隠れていること
・虹彩のまつげによって隠されている程度が許容できないレベルであること
・光の反射等によって虹彩が隠れていること
・撮像装置の振動や対象者の動きに起因した画像のブレがあること
・虹彩画像が必要な解像度を満たしていないこと
【0020】
したがって、虹彩画像を得るための第1画像を撮影する時の撮像装置は、上記の要因に当てはまらないように、所定の撮影設定条件を満たすことが求められる。虹彩画像の解像度に関しては、認証に使用可能な虹彩データを得るためには約500dipの解像度が理想であるといわれている。すなわち、第1画像は、虹彩画像に基づく認証処理に適合する、撮像装置のズーム倍率に関する条件を満たすことが求められる。
【0021】
また、認証に使用可能な虹彩データを得るためには、第1画像に、目全体(目頭から目尻まで)が含まれること、虹彩が所定面積(約70%)以上含まれること等が求められる。すなわち。第1画像は、虹彩画像に基づく認証処理に適合する、虹彩の面積に関する条件を満たすことが求められる。撮像装置の撮影設定条件には、このような解像度や面積に関する条件を満たすための、レンズ、絞り、ズーム倍率等に関する条件が含まれ得る。
【0022】
認証部4は、虹彩画像に基づいて、対象者の認証処理を行う。例えば、認証部4は、上述した虹彩データと照合データとの照合を行うことで、対象者の本人認証を行う。なお、照合データとは、認証用に予め記憶された対象者の虹彩データである。
【0023】
生成部5は、対象者の本人認証を行った後に、肌画像に基づいて、対象者の健康情報を生成する。ここで、健康情報とは、肌画像から測定可能な生体に関する情報であり、例えば、心拍数、血圧値、経皮的動脈血酸素飽和度(以下、酸素飽和度とする)等があげられる。また、生成された心拍数、血圧値、酸素飽和度の一つまたは複数に基づいて、ストレスの度合いや、感情などを更に推定するようにしてもよい。そして、推定されたストレスの度合いや、感情などを健康情報として扱うようにしてもよい。
【0024】
生成部5は、例えば、対象者の連続する肌画像(映像データ)から、体表の状態変化を示す情報に基づき、これらの情報を生成することができる。体表の状態変化を示す情報の一例として、例えば、対象者の血液の流れに基づく体表の色の変化がある。対象者を撮影した映像データの各フレームには、対象者の体表の色の変化が含まれ得る。
【0025】
また、酸素飽和度は、血中のヘモグロビンが酸素とどのくらい結合しているかをパーセントで表したものである。体表に光を当てたときの反射光強度は、血管内のヘモグロビン量の変動により時間的に変化する。生成部5は、一例として、対象者の映像データを解析して、反射光強度の時間変化を観察することで、酸素飽和度を推定することができる。
【0026】
次に、
図2を参照して情報処理装置1が行う処理について説明する。
図2は、実施形態に係る情報処理装置1が行う情報処理方法を示すフローチャートである。
【0027】
まず、情報処理装置1は、撮像装置から対象者の虹彩を用いた認証処理に適合する第1画像を取得する(S11)。上述の通り、第1画像は、虹彩認証を行う際に用いる虹彩データの取得に適しているものである。次に、情報処理装置1は、第1画像から虹彩領域に対応する虹彩画像と、肌領域に対応する肌画像とを特定する(S12)。
【0028】
そして、情報処理装置1は、虹彩画像に基づいて、前記対象者の認証処理を行う(S13)。また、情報処理装置1は、肌画像に基づいて、対象者の健康情報を生成する(S14)。このように、実施形態に係る情報処理装置1によれば、1台の撮像装置から、対象者の虹彩を用いた認証処理に適合する1つの画像のみを取得することで、対象者の認証処理と健康状態の観察とを行うことが可能となる。これにより、低コスト化を実現することができる。
【0029】
また、認証処理に適合する画像から特定される高画質な肌画像を用いて、対象者の健康情報を生成することで、より正確な健康状態を判定することが可能となる。また、対象者は、複雑な作業を行うことなく、撮像装置で目領域を含む顔の一部を撮影するだけで、手軽に本人認証と健康状態の観察の両方を行うことができる。
【0030】
なお、情報処理装置1は、図示しない構成としてプロセッサ、メモリ及び記憶装置を備える。当該記憶装置には、実施形態に係る情報処理方法の各処理をコンピュータに実行させるプログラムが記憶されている。当該プロセッサは、記憶装置からプログラムをメモリへ読み込ませ、当該プログラムを実行する。これにより、プロセッサは、取得部2、特定部3、認証部4、生成部5の各機能を実現する。
【0031】
情報処理装置1の各構成要素は、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。また、各装置の各構成要素の一部又は全部は、汎用又は専用の回路(circuitry)、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されてもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。また、プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、量子プロセッサ(量子コンピュータ制御チップ)等を用いてもよい。
【0032】
また、情報処理装置1の各構成要素の一部又は全部が複数の装置や回路等により実現される場合には、複数の装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。
図3は、実施形態に係る情報処理システム101の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、情報処理システム101は、取得部102、特定部103、認証部104、生成部105を備える。情報処理システム101の各構成の詳細な動作は、上述したように、情報処理装置1の各構成の動作に対応する。
図3の各構成要素を実現する装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。また、情報処理装置1の機能がSaaS(Software as a Service)形式で提供されてもよい。
【0033】
実施例.
実施例は、上述した実施形態の具体例である。
図4は、実施例に係る情報処理システムの全体構成を示すブロック図である。
図4に示すように、情報処理システム100は、サーバ10、端末20、認証装置30を含む。サーバ10、端末20、認証装置30は、それぞれネットワークNを介して接続される。ここで、ネットワークNは、有線又は無線の通信回線、例えばインターネットである。
【0034】
ここでは、情報処理システム100は、対象者の本人認証を行う機能(以下、認証機能と称する)、対象者の健康状態を管理する機能(以下、健康管理機能と称する)を含む。情報処理システム100は、対象者の虹彩を用いた虹彩認証を行うことで、本人認証を行う。後に詳述するが、認証用の対象者の照合データは、認証装置30に予め登録され得る。
【0035】
<端末20>
端末20は、対象者が操作し、無線通信によりネットワークNを介しサーバ10とデータの送受信を行う情報端末である。端末20は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等であり得る。
図5は、
図4の端末20の構成を示すブロック図である。
【0036】
端末20は、カメラ21、記憶部22、メモリ23、通信部24、入出力部25、処理部26を含む。カメラ21は、処理部26の制御に応じて撮影を行う撮像装置である。ここでは、カメラ21は、対象者の目の領域を含む、人物の顔の一部を写した第1画像を生成する。上述した通り、第1画像は、対象者の虹彩を用いた認証処理に適合するものである。すなわち、第1画像から抽出される虹彩データの品質は、認証処理のための所定の基準を満たす。
【0037】
具体的には、例えば、第1画像は、画像のブレがないこと、必要な解像度を満たすこと、第1画像における虹彩の面積に関する条件を満たすこと等の所定の基準を満たしている。このため、カメラ21は、上記の所定の基準を満たすため、撮影設定条件を変更する機能を備える。撮影設定条件には、例えば、レンズ、絞り、ズーム、被写体距離、感度、撮像モード等の各種の撮像条件及び設定条件が含まれ得る。
【0038】
なお、カメラ21は、第1画像を撮影する前に、対象者の顔全体を撮影してもよい。後に詳述するが、サーバ10は、対象者の顔全体の画像から目の領域を検出し得る。カメラ21は、サーバ10からの目の領域の検出情報に基づいて、対象者の虹彩位置にズームして第1画像を撮影してもよい。
【0039】
記憶部22は、フラッシュメモリやSSD(Solid State Drive)などの不揮発性メモリを含む記憶装置の一例である。記憶部22は、照合データの登録処理、上述した第1画像の送信処理を含む処理が実装されたプログラムを記憶する。
【0040】
メモリ23は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶装置であり、処理部26の動作時に一時的に情報を保持するための記憶領域である。通信部24は、ネットワークNとの通信インタフェースである。なお、通信部24は、近距離無線通信の接続を確立し、通信を行ってもよい。ここで、近距離無線通信は、Bluetooth(登録商標)、BLE(Bluetooth Low Energy)、UWB(Ultra-Wide Band)等の様々な規格を適用可能である。
【0041】
入出力部25は、画面等の表示装置(表示部)と入力装置(入力部)を含む、例えば、タッチパネルであり得る。処理部26は、端末20が有するハードウェアの制御を行うプロセッサである。処理部26は、記憶部22からプログラムをメモリ23へ読み込ませ、実行する。これにより、処理部26は、登録処理部261、送信処理部262の機能を実現する。
【0042】
登録処理部261は、対象者の照合データの事前の登録処理を行う。この照合データは、対象者の本人認証に用いられる。具体的には、登録処理部261は、対象者により撮影された、当該対象者の虹彩を含む画像の登録要求を、ネットワークNを介してサーバ10へ送信する。後述するが、登録用の画像から抽出される虹彩データは、照合データとして、認証装置30の照合情報DB31に登録され得る。
【0043】
送信処理部262は、照合データの登録のための対象者の虹彩を含む画像や、本人認証及び健康管理のための、対象者の目の領域を含む顔の一部を写した第1画像をサーバ10に送信する。なお、送信処理部262は、これらの情報とともに、端末20の端末IDや、対象者IDを送信してもよい。
【0044】
<認証装置30>
認証装置30は、対象者の照合データを管理し、虹彩認証を行って、本人認証機能を実現する情報処理装置である。認証装置30は、外部から受信した認証要求に応じて、当該要求に含まれる虹彩データについて、管理する照合データと照合を行い、照合結果を要求元へ返信する。
【0045】
図6は、
図4の認証装置30の構成を示すブロック図である。認証装置30は、認証情報DB(DataBase)31、虹彩データ生成部32、登録部33、認証部34を備える。認証情報DB31は、例えば、対象者の登録用の画像から抽出された虹彩の特徴量の集合である、照合データを記憶することができる。なお、
図6の例に示すように、認証情報DB31は、対象者IDと虹彩データとを対応付けて記憶し得る。
【0046】
虹彩データ生成部32は、対象者の虹彩を含む画像から虹彩データを生成する。虹彩データは、一例として、上述した(1)~(4)のステップを経て生成され得る。例えば、虹彩データの生成は、画像から対象者の目の領域を検出するステップ、検出した目の領域から虹彩の領域を特定するステップ、虹彩画像における模様を帯状に展開するステップ、展開された模様を符号化して特徴量を生成するステップを含む。登録部33は、照合データの登録に際して、対象者IDと登録用の画像から生成した照合データとを対応付けて、認証情報DB31に登録する。
【0047】
また、虹彩データ生成部32は、本人認証用の第1画像から、虹彩データを生成する。認証部34は、対象者の虹彩を用いた虹彩認証を行う。具体的には、認証部34は、認証用の第1画像から抽出された虹彩データと、認証情報DB31内に予め登録された照合データとの照合を行う。認証部34は、虹彩データと照合データの一致の有無を認証結果として要求元へ返信する。虹彩データの一致の有無は、認証の成否に対応する。このように、虹彩認証を行うことで、対象者と他者との取り違えを防止することができる。
【0048】
例えば、サーバ10から認証要求が送信された場合、認証部34は、該認証要求に含まれる第1画像から抽出される虹彩データを用いて認証を行い、認証結果をサーバ10へ返信する。サーバ10は、認証が成功した場合、照合された虹彩データに対応付けられた対象者を特定し、健康情報を生成する。また、サーバ10は、すでに記録されている健康情報がある場合は、最新のものに更新することができる。
【0049】
<サーバ10>
サーバ10は、健康管理機能を実現する情報処理装置である。なお、サーバ10は複数台のサーバで構成されていてもよく、各機能ブロックは複数台のコンピュータで実現されてもよい。
図7は、
図4のサーバ10の構成を示すブロック図である。サーバ10は、記憶部11、メモリ12、通信部13、処理部14を含む。記憶部11は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の記憶装置の一例である。記憶部11は、プログラム111及び健康管理DB112を記憶する。プログラム111は、健康管理機能等の一部が実装されたコンピュータプログラムである。
【0050】
健康管理DB112は、対象者の健康に関する情報を管理するデータベースである。健康管理DB112、対象者IDと、対象者の健康情報とを対応付けて管理する。すなわち、健康情報と、虹彩認証に用いられる照合データとは対象者IDに紐づけられ、サーバ10の健康管理DB112と認証装置30の認証情報DB31とで管理される。
【0051】
メモリ12は、RAM等の揮発性記憶装置であり、処理部14の動作時に一時的に情報を保持するための記憶領域である。通信部13は、ネットワークNとの通信インタフェースである。処理部14は、サーバ10の各構成を制御するプロセッサである。処理部14は、記憶部11からプログラム111をメモリ12へ読み込ませ、プログラム111を実行する。これにより、処理部14は、目検出部141、取得部142、特定部143、認証処理部144、生成部145、出力処理部146、条件変更部147の機能を実現する。
【0052】
目検出部141は、端末20から送信された、対象者の顔全体が撮影された顔画像から、目の領域を検出する。目の領域の検出には、例えば、既知のテンプレートマッチング技術を用いることができる。具体的には、目検出部141は、顔画像中の、予め記憶された一般的な人の目の画像に基づくテンプレートと一致する領域を検出した場合、検出した領域を目の領域に特定する。なお、目検出部141は、機械学習によって構築されたニューラルネットワークを用いて、顔画像から目の領域を検出してもよい。
【0053】
目検出部141は、顔画像における目の領域の位置を検出した検出情報を、端末20に送信する。端末20は、検出情報に基づいてカメラ21のズーム倍率の調整を行い、対象者の目にズームした第1画像を生成する。第1画像は、上述したように、対象者の虹彩を用いた認証処理に適合するものである。取得部142は、端末20から第1画像を取得する。上述したように、端末20のカメラ21により撮影された第1画像は、対象者IDとともに、サーバ10に送信される。
【0054】
特定部143は、例えば、第1画像から、対象者の目の領域や、顔の輪郭を検出し、目の領域及び顔の輪郭に基づいて、第1画像中の虹彩画像、肌画像を特定することができる。なお、上述したように、この実施例では、対象者の虹彩認証処理は、認証装置30にて実行される。したがって、認証装置30が、第1画像から対象者の虹彩領域に対応する虹彩画像を特定し、特定部143が、第1画像から対象者の肌領域に対応する肌画像を特定してもよい。
【0055】
認証処理部144は、第1に、端末20から登録用の画像を受信した場合、当該画像を含む照合データの登録要求を認証装置30へ送信する。そして、認証処理部144は、認証装置30から照合データの登録時に発行された対象者IDを受信する。第2に、認証処理部144は、端末20から対象者の目の領域を含む第1画像を受信した場合、当該画像を含む認証要求を認証装置30へ送信する。そして、認証処理部144は、認証装置30から虹彩認証の認証結果を受信する。認証処理部144は、認証が成功した場合、照合された対象者を特定することができる。
【0056】
なお、特定部143が虹彩画像と肌画像の両方を特定した場合、認証処理部144は、特定部143により特定された虹彩画像を認証装置30に送信してもよい。生成部145は、特定部143により特定された肌画像に基づいて対象者の健康情報を生成し、生成した健康情報を対象者IDに紐づけて健康管理DB112に格納する。
【0057】
なお、第1画像から、対象者の虹彩画像、肌画像を特定する処理は、例えば、既知のテンプレートマッチング技術を用いることができる。また、特定部143は、機械学習よって構築されたニューラルネットワークを用いて、第1画像から、虹彩画像、肌画像を特定してもよい。出力処理部146は、端末20に、対象者の健康情報を送信する。端末20は、表示や音声により、対象者に対して、自身の健康状態を報知することができる。
【0058】
図8は、実施例の情報処理システムの処理の流れを示す図である。
図8に示すように、まず、端末20は、カメラ21により対象者の顔を撮影する(S101)。そして、端末20は、顔画像をサーバ10に出力する(S102)。サーバ10は、顔画像から対象者の目の領域を検出し(S103)、検出情報を端末20に送信する(S104)。端末20は、検出情報に基づいて撮影設定条件を変更して第1画像を生成し(S105)、当該第1画像をサーバ10へ送信する(S106)。
【0059】
サーバ10は、認証要求送信処理を行い(S107)、認証装置30に第1画像を含めた認証要求が送信される(S108)。認証装置30は、認証要求を受信すると、第1画像から虹彩データを抽出して、虹彩データを用いた本人認証を行う(S109)。
【0060】
サーバ10は、認証装置30から認証結果を受信する(S110)。サーバ10は、虹彩認証が成功した場合、第1画像から特定された肌画像を用いて、対象者の健康情報を生成する(S111)。そして、サーバ10は、健康管理DB112において、認証結果に含まれる対象者IDに対応付けられた健康情報を記録することができる(S112)。
【0061】
以上説明したように、1台のカメラ21から、対象者の虹彩を用いた認証処理に適合する1つの画像のみを取得することで、対象者の認証処理と健康状態の観察とを行うことが可能となる。また、肌画像は、認証処理に適合する画像から特定されるため、高解像度、高画質であり得る。この肌画像に基づいて対象者の健康情報を生成することで、より正確な健康状態を判定することが可能となる。また、対象者は、複雑な作業を行うことなく、カメラ21で目領域を含む顔の一部を撮影するだけで、手軽に本人認証と健康状態の観察の両方を行うことができる。
【0062】
なお、サーバ10は、さらに条件変更部147を備えていてもよい。条件変更部147は、撮像装置が画像を取得する際に、その画像における虹彩領域が占める割合と肌領域が占める割合とを変更するように、撮像装置の撮影設定条件を変更することができる。撮影設定条件の変更処理は、どの時点においても実行可能である。一例として、条件変更部147は、S111において、肌画像に基づいて対象者の健康情報が生成できなかった場合に、撮影設定条件を変更し得る。この場合、条件変更部147は、例えば、第1画像に含まれる肌領域の面積よりも大きい肌領域が含まれる第2画像が生成できるように、カメラ21の向きを変える指示情報を生成することができる。この指示情報は、出力処理部146により端末20に送信される。
【0063】
カメラ21の撮影方向は、当該指示情報に従って自動で変更される。対象者は、撮影方向が変更されたカメラ21により、第2画像を撮影することができる。これにより、生成部145は、この第2画像の肌画像に基づいて、対象者の健康情報を生成することが可能となる。なお、指示情報に基づいて、端末20の入出力部25に、撮影方向を変える旨の情報を対象者に報知させてもよい。対象者は、報知された情報に従って、手動でカメラ21の撮影設定条件を変更してもよい。
【0064】
また、条件変更部147は、例えば、撮像装置の撮影設定条件を許容度に基づいて変更してもよい。許容度とは、例えば、虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度である。条件変更部147は、虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度に応じて、撮像装置の撮影設定条件を変更する指示情報を生成することが可能である。「虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度が高い」とは、本人認証の認証精度が低くてもよいことを指す。また、「虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度が低い」とは、本人認証の認証精度が高い方がよいことを指す。また、これに限らず、条件変更部147は、肌画像に基づく対象者の健康情報の生成に関する許容度に応じて、撮像装置の撮影設定条件を変更する指示情報を生成するようにしてもよい。
【0065】
一般に、生体認証アルゴリズムの評価指標として、他人受入率(FAR:False Acceptance Rate)や本人拒否率(FRR:False Rejection Rate)といった、本人認証のエラー率がある。他人受入率とは、異なる人物の生体情報を照合した場合に同一人物と誤認識される確率であり、本人拒否率とは、同一人物の生体情報を照合した場合に同一人物でないと誤認識される確率である。これらのエラー率は、互いにトレードオフの関係にある。虹彩画像に基づく認証処理の認証精度の許容度は、例えば、虹彩認証の照合スコアに関する閾値を調整することで変更することができる。
【0066】
次に、許容度の設定方法について説明を行う。なお、この説明は、虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度を設定する場合について説明を行うものであるが、肌画像に基づく対象者の健康情報の生成に関する許容度を設定する場合においても同様の基準・方法に従って、手動または自動で設定することができる。
【0067】
虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度は、例えば、対象者が様々な入力装置を介して設定してもよいし、使用する場所や使用する環境に応じて自動で設定されるようにしてもよい。処理部14は、図示しない許容度決定部を備え得る。許容度が使用する場所に応じて自動で設定される場合、例えば、許容度決定部は、カメラ21が設置された部屋や通路の位置情報に基づいて、虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度を自動で設定することができる。
【0068】
また、許容度決定部は、部屋ごとに設定されたセキュリティレベルに応じて、虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度を自動で設定するようにしてもよい。より具体的には、部屋ごとにセキュリティレベルが予め紐づけられて、記憶部11に記憶され得る。許容度決定部は、記憶部11からカメラ21が設置された部屋のセキュリティレベルを取得し、取得したセキュリティレベルに応じて虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度を設定するなどの処理を行うことができる。なお、許容度決定部の機能の一部又は全部は、端末20により実現されてもよい。
【0069】
また、その部屋にアクセスするための出入口にカメラ21が設けられている場合、許容度決定部は、アクセスする先の部屋のセキュリティレベルに基づいて虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度を設定するようにしてもよい。許容度決定部は、例えば、セキュリティレベルが高いほど虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度を低く設定するなどの処理を行うことができる。
【0070】
なお、1つの部屋に対して入口と出口が別々に設けられている場合、入口に設定されたカメラ21に対して設定される虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度と、出口に設定されたカメラ21に対して設定される虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度とが異なっていてもよい。例えば、許容度決定部は、部屋の入口側に設定されたカメラ21の虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度のほうが、出口側に設定されたカメラ21の虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度よりも低く設定することができる。
【0071】
また、部屋への進入時と退出時とで、カメラ21に設定される虹彩画像に基づく認証精度に関する許容度を変更してもよい。なお、セキュリティレベルとは、機密性の高さを表す度合いであり、ここでの説明では、セキュリティレベルが高いほど、機密性が高いことを表す。
【0072】
使用する環境に応じて自動で設定する場合、許容度決定部は、例えば、カメラ21が設置された場所や対象者が存在する場所の明るさに応じて虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度を設定することができる。より具体的には、許容度決定部は、明るさが所定の基準よりも明るい、もしくは暗い場合に、虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度を低くするなどの処理を行うことができる。
【0073】
なお、所定の基準とは、本人認証に適した明るさに基づいて定まる値であり、カメラの性能や認証のアルゴリズムに応じて定められる。ただし、所定の基準は、ユーザが任意に設定するものであってもよい。この他にも、許容度決定部は、天候に応じて虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度を自動で決定するようにしてもよい。例えば、許容度決定部は、雨の日や晴れの日は、虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度を低くすることができる。
【0074】
また、虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度は、要求される処理速度などに応じて設定されるようにしてもよい。例えば、対象者一人当たりの認証に要する時間を削減したい場合などには、許容度決定部は、虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度を高く設定するようにしてもよい。要求される処理速度は、例えば認証を行う必要がある対象者の人数に基づいて決定してもよい。例えば、所定の範囲における人の数や、人の密度などが閾値以上である場合、要求される処理速度が「早い」と判定される。そのような場合、許容度決定部は、認証処理にかかる時間を短くするように、虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度を高く(認証精度を低く)設定してもよい。
【0075】
この他にも、要求される処理速度は、時間帯に応じて変更されてもよい。例えば、オフィスなどのエントランスでの利用を想定すると、午前8時~午前10時の間は出社時間帯にあたるため、本人認証を行う人の数が一時的に増加することが予想される。そのため、特定の時間帯においては、虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度が高くなるように設定することで、本人認証にかかる時間を削減することができる。
【0076】
この許容度が高い場合、虹彩画像の解像度が低くなっても、肌画像が多く含まれるように、例えばカメラ21のズーム倍率を低くすることができる。この場合、本人認証の精度は低くなるものの、より多くの面積の肌画像を取得することができるため、肌画像に基づく対象者の健康情報の生成をより確実に行うことが可能となる。これにより、画像取得のやり直しを防ぐことができ、本人認証と健康情報の生成に係る時間を短縮することができる。
【0077】
また、許容度が低い場合、肌画像が含まれにくくなるものの、虹彩画像の解像度が高くなるように、例えばカメラ21のズーム倍率を高くすることができる。この場合、本人認証の精度が高くなり、対象者と他者との取り違えを確実に防止することができる。
【0078】
上述の例において、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、RAM、ROM(read-only memory)、フラッシュメモリ、SSD又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0079】
なお、本開示は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、それぞれの実施形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。上述の実施例では、認証装置30が虹彩認証を行い、サーバ10が第1画像に基づく健康情報の生成を行ったが、この例に限定されるものではない。例えば、サーバ10の処理部14が、虹彩認証プログラムを実行することで、虹彩認証機能を実現してもよい。
【0080】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記A1)
撮像装置から対象者の虹彩を用いた認証処理に適合する第1画像を取得する取得部と、
前記第1画像から虹彩領域に対応する虹彩画像と、肌領域に対応する肌画像とを特定する特定部と、
前記虹彩画像に基づいて、前記対象者の認証処理を行う認証部と、
前記肌画像に基づいて、前記対象者の健康に関する情報を生成する生成部と、
を含む、
情報処理装置。
(付記A2)
前記撮像装置が画像を取得する際に、当該画像における虹彩領域が占める割合と肌領域が占める割合とを変更するように、前記撮像装置の撮影設定条件を変更する条件変更部をさらに備える、
付記A1に記載の情報処理装置。
(付記A3)
前記条件変更部は、前記第1画像から特定された肌画像に基づいて健康に関する情報が生成できなかった場合、前記第1画像に含まれる肌領域の面積よりも大きい肌領域が含まれる第2画像を生成するように、前記撮像装置の向きを変更し、
前記生成部は、前記第2画像から特定される肌画像に基づいて、健康に関する情報を生成する、
付記A2に記載の情報処理装置。
(付記A4)
前記条件変更部は、前記虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度に応じて、前記撮像装置の撮影設定条件を変更する、
付記A2又はA3に記載の情報処理装置。
(付記A5)
前記条件変更部は、前記肌画像に基づく前記対象者の健康に関する情報の生成に関する許容度に応じて、前記撮像装置の撮影設定条件を変更する、
付記A2~A4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(付記A6)
前記第1画像は、前記虹彩画像に基づく認証処理に適合する、前記撮像装置のズーム倍率に関する条件を満たす、
付記A1~A5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(付記A7)
前記第1画像は、前記虹彩画像に基づく認証処理に適合する、虹彩の面積に関する条件を満たす、
付記A1~A5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(付記B1)
撮像装置から対象者の虹彩を用いた認証処理に適合する第1画像を取得する取得部と、
前記第1画像から虹彩領域に対応する虹彩画像と、肌領域に対応する肌画像とを特定する特定部と、
前記虹彩画像に基づいて、前記対象者の認証処理を行う認証部と、
前記肌画像に基づいて、前記対象者の健康に関する情報を生成する生成部と、
を含む、
情報処理システム。
(付記B2)
前記撮像装置が画像を取得する際に、当該画像における虹彩領域が占める割合と肌領域が占める割合とを変更するように、前記撮像装置の撮影設定条件を変更する条件変更部をさらに備える、
付記B1に記載の情報処理システム。
(付記B3)
前記条件変更部は、前記第1画像から特定された肌画像に基づいて健康に関する情報が生成できなかった場合、前記第1画像に含まれる肌領域の面積よりも大きい肌領域が含まれる第2画像を生成するように、前記撮像装置の向きを変更し、
前記生成部は、前記第2画像から特定される肌画像に基づいて、健康に関する情報を生成する、
付記B2に記載の情報処理システム。
(付記B4)
前記条件変更部は、前記虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度に応じて、前記撮像装置の撮影設定条件を変更する、
付記B2又はB3に記載の情報処理システム。
(付記B5)
前記条件変更部は、前記肌画像に基づく前記対象者の健康に関する情報の生成に関する許容度に応じて、前記撮像装置の撮影設定条件を変更する、
付記B2~B4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(付記B6)
前記第1画像は、前記虹彩画像に基づく認証処理に適合する、前記撮像装置のズーム倍率に関する条件を満たす、
付記B1~B5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(付記B7)
前記第1画像は、前記虹彩画像に基づく認証処理に適合する、虹彩の面積に関する条件を満たす、
付記B1~B5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(付記C1)
コンピュータが、
撮像装置から対象者の虹彩を用いた認証処理に適合する第1画像を取得する処理と、
前記第1画像から虹彩領域に対応する虹彩画像と、肌領域に対応する肌画像とを特定する処理と、
前記虹彩画像に基づいて、前記対象者の認証処理を行う処理と、
前記肌画像に基づいて、前記対象者の健康に関する情報を生成する処理と、
を実行する、
情報処理方法。
(付記C2)
前記撮像装置が画像を取得する際に、当該画像における虹彩領域が占める割合と肌領域が占める割合とを変更するように、前記撮像装置の撮影設定条件を変更する処理をさらに含む、
付記C1に記載の情報処理方法。
(付記C3)
前記第1画像から特定された肌画像に基づいて健康に関する情報が生成できなかった場合、前記第1画像に含まれる肌領域の面積よりも大きい肌領域が含まれる第2画像を生成するように、前記撮像装置の向きを変更し、
前記第2画像から特定される肌画像に基づいて、健康に関する情報を生成する処理をさらに含む、
付記C2に記載の情報処理方法。
(付記C4)
前記虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度に応じて、前記撮像装置の撮影設定条件を変更する処理をさらに含む、
付記C2又はC3に記載の情報処理方法。
(付記C5)
前記肌画像に基づく前記対象者の健康に関する情報の生成に関する許容度に応じて、前記撮像装置の撮影設定条件を変更する処理をさらに含む、
付記C2~C4のいずれか1項に記載の情報処理方法。
(付記C6)
前記第1画像は、前記虹彩画像に基づく認証処理に適合する、前記撮像装置のズーム倍率に関する条件を満たす、
付記C1~C5のいずれか1項に記載の情報処理方法。
(付記C7)
前記第1画像は、前記虹彩画像に基づく認証処理に適合する、虹彩の面積に関する条件を満たす、
付記C1~C5のいずれか1項に記載の情報処理方法。
(付記D1)
撮像装置から対象者の虹彩を用いた認証処理に適合する第1画像を取得する処理と、
前記第1画像から虹彩領域に対応する虹彩画像と、肌領域に対応する肌画像とを特定する処理と、
前記虹彩画像に基づいて、前記対象者の認証処理を行う処理と、
前記肌画像に基づいて、前記対象者の健康に関する情報を生成する処理と、
をコンピュータに実行させる、
プログラム。
(付記D2)
前記撮像装置が画像を取得する際に、当該画像における虹彩領域が占める割合と肌領域が占める割合とを変更するように、前記撮像装置の撮影設定条件を変更する処理をさらに含む、
付記D1に記載のプログラム。
(付記D3)
前記第1画像から特定された肌画像に基づいて健康に関する情報が生成できなかった場合、前記第1画像に含まれる肌領域の面積よりも大きい肌領域が含まれる第2画像を生成するように、前記撮像装置の向きを変更し、
前記第2画像から特定される肌画像に基づいて、健康に関する情報を生成する処理をさらに含む、
付記D2に記載のプログラム。
(付記D4)
前記虹彩画像に基づく認証処理の認証精度に関する許容度に応じて、前記撮像装置の撮影設定条件を変更する処理をさらに含む、
付記D2又はD3に記載のプログラム。
(付記D5)
前記肌画像に基づく前記対象者の健康に関する情報の生成に関する許容度に応じて、前記撮像装置の撮影設定条件を変更する処理をさらに含む、
付記D2~D4のいずれか1項に記載のプログラム。
(付記D6)
前記第1画像は、前記虹彩画像に基づく認証処理に適合する、前記撮像装置のズーム倍率に関する条件を満たす、
付記D1~D5のいずれか1項に記載のプログラム。
(付記D7)
前記第1画像は、前記虹彩画像に基づく認証処理に適合する、虹彩の面積に関する条件を満たす、
付記D1~D5のいずれか1項に記載のプログラム。
【符号の説明】
【0081】
1 情報処理装置
2 取得部
3 特定部
4 認証部
5 生成部
10 サーバ
11 記憶部
12 メモリ
13 通信部
14 処理部
111 プログラム
112 健康管理DB
141 目検出部
142 取得部
143 特定部
144 認証処理部
145 生成部
146 出力処理部
147 条件変更部
20 端末
21 カメラ
22 記憶部
23 メモリ
24 通信部
25 入出力部
26 処理部
261 登録処理部
262 送信処理部
30 認証装置
31 認証情報DB
32 虹彩データ生成部
33 登録部
34 認証部
100 情報処理システム
101 情報処理システム
102 取得部
103 特定部
104 認証部
105 生成部