(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179091
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】半導体記憶装置および半導体記憶装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H10B 43/50 20230101AFI20241219BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20241219BHJP
H10B 43/27 20230101ALI20241219BHJP
H10B 43/40 20230101ALI20241219BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H10B43/50
H01L29/78 371
H10B43/27
H10B43/40
H01L21/90 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097629
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】那波 恭介
【テーマコード(参考)】
5F033
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F033JJ19
5F033KK19
5F033KK20
5F033NN08
5F033NN29
5F033NN32
5F033QQ09
5F033QQ16
5F033QQ19
5F033QQ21
5F033QQ25
5F033QQ38
5F033RR04
5F033RR06
5F033TT02
5F033VV01
5F033VV16
5F033XX31
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP32
5F083EP76
5F083ER21
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA02
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA37
5F083JA39
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083PR05
5F083PR21
5F083PR40
5F101BA46
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH02
5F101BH15
(57)【要約】
【課題】コンタクトとダミーピラーとが接触した場合でもコンタクトにおけるショート不良を抑制すること。
【解決手段】実施形態の半導体記憶装置は、複数の第1の導電層と複数の第1の絶縁層とが1層ずつ交互に積層され、複数の第1の導電層が階段状に加工された階段部を有する積層体と、階段部に配置され、複数の第1の導電層のいずれかと接続されるコンタクトと、階段部から外れた積層体内を積層体の積層方向に延び、複数の第1の導電層の少なくとも一部との交差部にそれぞれメモリセルを形成する第1のピラーと、を備え、コンタクトは、複数の第1の導電層のうち、コンタクトの接続対象となる第1の導電層の上方に配置される第2の導電層を貫通して、接続対象の第1の導電層に到達している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の導電層と複数の第1の絶縁層とが1層ずつ交互に積層され、前記複数の第1の導電層が階段状に加工された階段部を有する積層体と、
前記階段部に配置され、前記複数の第1の導電層のいずれかと接続されるコンタクトと、
前記階段部から外れた前記積層体内を前記積層体の積層方向に延び、前記複数の第1の導電層の少なくとも一部との交差部にそれぞれメモリセルを形成する第1のピラーと、を備え、
前記コンタクトは、
前記複数の第1の導電層のうち、前記コンタクトの接続対象となる第1の導電層の上方に配置される第2の導電層を貫通して、前記接続対象の第1の導電層に到達している、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第2の導電層は、
前記複数の第1の導電層と同一材料を含む、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記階段部において前記積層体内を前記積層方向に延びる第2のピラーを更に備え、
前記第2の導電層は、
前記第2のピラーの周囲から前記第2のピラーへと向かって擂り鉢状に落ち込んでいる、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記コンタクトは、
前記第2の導電層の貫通部分を含む下端部において、擂り鉢状の前記第2の導電層の面に沿って広がっており、
前記下端部の少なくとも一部分で、前記接続対象の第1の導電層と接続されている、
請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記コンタクトの下端部は、
前記第2のピラーの上端部と接触している、
請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第2の導電層は、
第2の絶縁層を介して前記コンタクトの接続対象の第1の導電層の上方に配置されている、
請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第2の絶縁層は、
階段状に加工された前記複数の第1の導電層のステップ面にも配置されている、
請求項6に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
複数の第1の絶縁層と複数の第2の絶縁層とが1層ずつ交互に積層された第1の積層体を形成し、
前記第1の積層体内を前記第1の積層体の積層方向に延びる半導体層を有する第1のピラーを形成し、
前記第1のピラーとは異なる位置で、前記第1の積層体内を前記積層方向に延びる第2のピラーを形成し、
前記第2のピラーを形成した前記第1の積層体の領域において、前記複数の第1の絶縁層を階段状に加工して階段部を形成し、
前記階段部の階段形状に沿うように前記階段部を覆い、前記複数の第1の絶縁層と同一材料を含む第3の絶縁層を形成し、
前記第3の絶縁層をストッパ層として、前記階段部のテラス面と前記積層方向に重なる位置にコンタクトホールを形成する、
半導体記憶装置の製造方法。
【請求項9】
前記コンタクトホールの下端部に露出する前記第3の絶縁層を貫通させて、前記複数の第1の絶縁層のうち前記コンタクトホールと前記積層方向に重なる前記テラス面の下方の第1の絶縁層に前記コンタクトホールの下端部を到達させる、
請求項8に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項10】
前記コンタクトホールに金属層を充填してコンタクトを形成し、
少なくとも前記コンタクトホールを形成した後に、
前記複数の第1の絶縁層を複数の導電層に置き換えて、前記複数の導電層と前記複数の第2の絶縁層とが1層ずつ交互に積層された第2の積層体を形成し、
前記第1のピラーと前記複数の第1の導電層の少なくとも一部との交差部にそれぞれメモリセルを形成可能とし、
前記複数の導電層のうち、前記コンタクトと前記積層方向に重なる前記テラス面の下方の導電層と前記コンタクトとを接続させる、
請求項9に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項11】
前記第2の積層体を形成するときは、
前記積層方向と、前記積層方向に交差する第1の方向に前記第1の積層体内を延び、前記積層方向と前記第1の方向とに交差する第2の方向に前記第1の積層体を分割するとともに、前記第3の絶縁層をも貫通させてスリットを形成し、
前記スリットを介して、前記複数の第1の絶縁層とともに前記第3の絶縁層をも前記複数の導電層に置き換える、
請求項10に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項12】
前記第3の絶縁層を形成するときは、
前記テラス面を覆う前記第3の絶縁層を残しつつ、前記階段部のステップ面を覆う前記第3の絶縁層を除去する、
請求項10に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置および半導体記憶装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元不揮発性メモリ等の半導体記憶装置においては、複数の導電層が積層された積層体中に3次元にメモリセルを形成する。これらの導電層を引き出すため、複数の導電層が階段状に加工された部分にそれぞれ接続される複数のコンタクトが配置される。また、積層体には積層体を支持する複数のダミーのピラーが配置される。これらのコンタクトとダミーピラーとの間で接触が生じると、コンタクトにおいてショート不良が生じてしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-042874号公報
【特許文献2】特開2019-153693号公報
【特許文献3】特開2016-046439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つの実施形態は、コンタクトとダミーピラーとが接触した場合でもコンタクトにおけるショート不良を抑制することができる半導体記憶装置および半導体記憶装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、複数の第1の導電層と複数の第1の絶縁層とが1層ずつ交互に積層され、前記複数の第1の導電層が階段状に加工された階段部を有する積層体と、前記階段部に配置され、前記複数の第1の導電層のいずれかと接続されるコンタクトと、前記階段部から外れた前記積層体内を前記積層体の積層方向に延び、前記複数の第1の導電層の少なくとも一部との交差部にそれぞれメモリセルを形成する第1のピラーと、を備え、前記コンタクトは、前記複数の第1の導電層のうち、前記コンタクトの接続対象となる第1の導電層の上方に配置される第2の導電層を貫通して、前記接続対象の第1の導電層に到達している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態にかかる半導体記憶装置の概略の構成の一例を示す断面図。
【
図2】実施形態にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示す断面図。
【
図3】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図4】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図5】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図6】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図7】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図8】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図9】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図10】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図11】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図12】実施形態にかかる半導体記憶装置のコンタクトの形成処理の詳細を例示するX方向に沿う拡大断面図。
【
図13】実施形態にかかる半導体記憶装置のコンタクトの形成処理の詳細を例示するX方向に沿う拡大断面図。
【
図14】実施形態にかかる半導体記憶装置のコンタクトの形成処理の詳細を例示するX方向に沿う拡大断面図。
【
図15】比較例にかかる半導体記憶装置のコンタクトの形成処理を例示するX方向に沿う拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0008】
(半導体記憶装置の構成例)
図1は、実施形態にかかる半導体記憶装置1の概略の構成の一例を示す断面図である。ただし、
図1においては図面の見やすさを考慮してハッチングを省略する。
【0009】
図1に示すように、半導体記憶装置1は、紙面下側から順に、電極膜EL、ソース線SL、複数のワード線WL、及び周辺回路CBAが設けられた半導体基板SBを備える。
【0010】
電極膜EL上には、絶縁層60を介してソース線SLが配置されている。絶縁層60中には複数のプラグPGが配置され、プラグPGを介してソース線SLと電極膜ELとが電気的な導通を保っている。図示はしないが、電極膜ELと同層には、外部から半導体記憶装置1に電源および信号を供給するための電極パッドが設けられている。ソース線SL上には、複数のワード線WLが積層されている。
【0011】
複数のワード線WLの層方向に沿う中央部にはメモリ領域MRが配置され、複数のワード線WLの両端部には階段領域SRがそれぞれ配置されている。
【0012】
メモリ領域MRには、複数のワード線WLを積層方向に貫通する複数のピラーPLが配置されている。ピラーPLの下端は、ソース線SLに達している。ピラーPLとワード線WLとの交差部には複数のメモリセルが形成される。これにより、半導体記憶装置1は、例えばメモリ領域MRにメモリセルが3次元に配置された3次元不揮発性メモリとして構成される。
【0013】
階段領域SRでは、複数のワード線WLが階段状に加工されて終端している。このとき、メモリ領域MRから遠ざかるにつれて、テラス部分を構成する複数のワード線WLが上層側から下層側へと移っていくため、テラス部分の高さ位置がソース線SL側へと下がっていく。
【0014】
複数のワード線WLによって構成される各段のテラス部分には、各層のワード線WLに接続するコンタクトCCがそれぞれ配置される。これらのコンタクトCCにより、多層に積層されるワード線WL等が個々に引き出される。
【0015】
より具体的には、これらのコンタクトCCからは、複数のワード線WL中央部のメモリ領域MRに含まれるメモリセルに対し、そのメモリセルと同じ高さ位置のワード線WLを介して書き込み電圧および読み出し電圧等が印加される。
【0016】
複数のワード線WL、ピラーPL、及びコンタクトCCは絶縁層50に覆われている。絶縁層50は、これらの構成の周囲にも広がっている。
【0017】
絶縁層50上方の半導体基板SBは、例えばシリコン基板等である。半導体基板SBの表面にはトランジスタTR及び配線等を含む周辺回路CBAが配置されている。コンタクトCCからメモリセルに印加される各種電圧は、これらのコンタクトCCと電気的に接続される周辺回路CBAにより制御される。これにより、周辺回路CBAはメモリセルの電気的な動作を制御する。
【0018】
周辺回路CBAは絶縁層40で覆われており、この絶縁層40と、複数のワード線WL等を覆う絶縁層50とが接合されることにより、複数のワード線WL、ピラーPL、及びコンタクトCC等の構成と、周辺回路CBAとを備える半導体記憶装置1が構成される。
【0019】
次に、
図2を用いて、半導体記憶装置1の詳細の構成例について説明する。
図2は、実施形態にかかる半導体記憶装置1の構成の一例を示す断面図である。
【0020】
より詳細には、
図2(a)は、半導体記憶装置1のメモリ領域MRにおけるY方向に沿う断面図である。
図2(b)は、半導体記憶装置1の階段領域SRにおけるX方向に沿う断面図である。
図2(a)(b)においては、絶縁層60下方および後述する絶縁層53上方の構造が省略されている。
【0021】
図2(c)は、任意のワード線WLの高さ位置におけるピラーPLの拡大断面図である。
【0022】
なお、本明細書において、X方向およびY方向は共に、ワード線WLの面の向きに沿う方向であり、X方向とY方向とは互いに直交する。また、ワード線WLの電気的な引き出し方向を第1の方向と呼ぶことがあり、この第1の方向はX方向に沿う方向である。また、第1の方向と交差する方向を第2の方向と呼ぶことがあり、この第2の方向はY方向に沿う方向である。ただし、半導体記憶装置1は製造誤差を含みうるため、第1の方向と第2の方向とは必ずしも直交しない。
【0023】
また、本明細書においては、階段領域SRにおける各段のワード線WLのテラス面が向いた方向を半導体記憶装置1における上方向と規定する。
【0024】
図2(a)に示すように、ソース線SLは、絶縁層60上に、例えば下部ソース線DSLa、中間ソース線BSL、及び上部ソース線DSLbがこの順に積層された多層構造を有する。なお、中間ソース線BSLは、積層体LMのメモリ領域MR下方に配置される。
【0025】
下部ソース線DSLa、中間ソース線BSL、及び上部ソース線DSLbは、例えばポリシリコン層等である。そのうち、少なくとも中間ソース線BSLは、不純物が拡散された導電性のポリシリコン層等であってよい。
【0026】
なお、ソース線SLは、積層体LM外側の上述の絶縁層50を、電極膜ELから周辺回路CBAへと延びる図示しない貫通コンタクトによって、電極膜ELを介して周辺回路CBAに接続されている。
【0027】
ソース線SL上には積層体LMが配置される。積層体LMは、複数のワード線WLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LMa,LMbを備える。
【0028】
積層体LMaは、ソース線SLの上方に配置されている。積層体LMaの最下層のワード線WLより下層には1つ以上の選択ゲート線が配置されていてもよい。積層体LMbは、積層体LMa上に配置されている。積層体LMbの最上層のワード線WLより上層には1つ以上の選択ゲート線が配置されていてもよい。
【0029】
なお、積層体LMにおけるこれらのワード線WL及び選択ゲート線の積層数は任意である。第1の導電層としてのワード線WL及び選択ゲート線は、例えばタングステン層またはモリブデン層等である。第1の絶縁層としての絶縁層OLは例えば酸化シリコン層等である。
【0030】
積層体LMの上面は絶縁層52で覆われている。絶縁層52は絶縁層53で覆われている。絶縁層52,53は、後述する絶縁層51とともに、それぞれ
図1の絶縁層50の一部分を構成する。
【0031】
上述のように、積層体LMは、複数の板状コンタクトLIによってY方向に分割されている。すなわち、板状コンタクトLIのそれぞれは、互いにY方向に並んで、積層体LMの積層方向およびX方向に沿う方向に延びる。
【0032】
このように、板状コンタクトLIは、積層体LMのX方向一端部から他端部に亘って積層体LM内を連続的に延びている。また、板状コンタクトLIは、積層体LM及び上部ソース線DSLbを貫通し、メモリ領域MRでは中間ソース線BSLに到達している。
【0033】
板状コンタクトLIのそれぞれは、絶縁層54と導電層24とを含む。絶縁層54は例えば酸化シリコン層等である。導電層24は例えばタングステン層または導電性のポリシリコン層等である。
【0034】
絶縁層54は、板状コンタクトLIのY方向に向かい合う側壁を覆う。導電層24は絶縁層54の内側に充填され、中間ソース線BSLを含むソース線SLに電気的に接続されている。ただし、板状コンタクトLIに代えて、絶縁層が充填された板状部材が積層体LMを貫通するとともにX方向に沿う方向に延びることにより、積層体LMをY方向に分割していてもよい。
【0035】
メモリ領域MRには、積層体LM、上部ソース線DSLb、及び中間ソース線BSLを貫通して、下部ソース線DSLaに到達する複数のピラーPLが分散して配置されている。
【0036】
複数の第1のピラーとしてのピラーPLは、積層体LMの積層方向から見て例えば千鳥状の配置を取る。個々のピラーPLは、積層体LMの層方向に沿う方向、つまりXY平面に沿う方向の断面形状として、例えば円形、楕円形、または小判型(オーバル型)等の形状を有する。
【0037】
また、ピラーPLは、積層体LMaを貫通する部分と、積層体LMbを貫通する部分とにおいて、上層側から下層側に向かって径および断面積が小さくなるテーパ形状をそれぞれ有する。あるいは、ピラーPLは、積層体LMaを貫通する部分と、積層体LMbを貫通する部分とにおいて、例えば上層側と下層側との間の所定位置で径および断面積が最大となるボーイング形状をそれぞれ有する。
【0038】
複数のピラーPLのそれぞれは、積層体LM内を積層方向に延びるメモリ層ME、積層体LM内を貫通して中間ソース線BSLと接続するチャネル層CN、チャネル層CN上面を覆うキャップ層CP、及びピラーPLの芯材となるコア層CRを有する。
【0039】
図2(c)に示すように、メモリ層MEは、ピラーPLの外周側から、ブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TNがこの順に積層された多層構造を有する。より詳細には、メモリ層MEは、中間ソース線BSLの深さ位置を除くピラーPLの側面に配置されている。また、メモリ層MEは、下部ソース線DSLa深さまで到達するピラーPLの底面にも配置されている。
【0040】
チャネル層CNはメモリ層MEの内側で、積層体LM、上部ソース線DSLb、及び中間ソース線BSLを貫通して、下部ソース線DSLa深さに到達している。より詳細には、チャネル層CNは、メモリ層MEを介してピラーPLの側面および底面に配置されている。ただし、チャネル層CNの一部は、側面で中間ソース線BSLと接触しており、これにより、中間ソース線BSLを含むソース線SLに電気的に接続される。チャネル層CNの更に内側にはコア層CRが充填されている。
【0041】
また、複数のピラーPLのそれぞれは、上端部にキャップ層CPを有する。キャップ層CPは、少なくともチャネル層CNの上端部を覆うようにピラーPL上端部に配置され、チャネル層CNと接続されている。また、キャップ層CPは、絶縁層52中に配置されるプラグCHを介して、絶縁層53中に配置されるビット線BLと接続される。ビット線BLは、ワード線WLの引き出し方向と交差するように、Y方向に沿う方向に積層体LMの上方を延びる。
【0042】
なお、
図2(a)においては、6つのピラーPLのうち、1つのピラーPLにのみプラグCHが接続されている。それ以外のピラーPLは、
図2(a)に示す断面とは異なる位置で、
図2(a)に示すビット線BLと並行してY方向に沿う方向に延びる他のビット線BLに、
図2(a)には不図示のプラグCHを介して接続される。
【0043】
メモリ層MEのブロック絶縁層BK及びトンネル絶縁層TN、並びにコア層CRは例えば酸化シリコン層等である。メモリ層MEの電荷蓄積層CTは例えば窒化シリコン層等である。チャネル層CN及びキャップ層CPは、例えばポリシリコン層またはアモルファスシリコン層等の半導体層である。
【0044】
図2(c)に示すように、以上のような構成によって、ピラーPL側面の個々のワード線WLと対向する部分には、それぞれメモリセルMCが形成される。ワード線WLから所定の電圧が印加されることにより、メモリセルMCに対してデータの書き込み及び読み出しが行われる。
【0045】
また、積層体LMがワード線WLの上方および下方に選択ゲート線を有する場合、これらの選択ゲート線と対向する部分には、選択ゲートがそれぞれ形成される。選択ゲート線から所定の電圧がそれぞれ印加されることにより、選択ゲートがオンまたはオフして、その選択ゲートが属するピラーPLのメモリセルMCを選択状態または非選択状態とすることができる。
【0046】
図2(b)に示すように、階段領域SRは、複数のワード線WLが階段状に加工された階段部SCPを有する。
図2(b)には、階段状に加工された複数のワード線WLのうち一部を示す。
【0047】
階段部SCP上には、階段部SCPの階段形状に沿うように階段部SCPを覆う第2の絶縁層としてのストッパ層SPsが配置されている。また、階段部SCPの各段のテラス面上には、ストッパ層SPsを介して第2の導電層としてのストッパ層SPwが配置されている。
【0048】
このとき、階段部SCP各段のステップ面にはストッパ層SPsが配置され、ストッパ層SPwはステップ面には配置されない。このため、例えば階段状に加工された端部をステップ面に有するワード線WLと、その1つ下の段のテラス面上のストッパ層SPwとが接触し、これらが電気的に導通してしまうことが抑制される。
【0049】
階段部SCPはさらに、これらのストッパ層SPs,SPwを介して絶縁層51で覆われている。第3の絶縁層としての絶縁層51は、例えば積層体LMの最上層の高さ位置に到達し、絶縁層52,53は絶縁層51の上面をも覆っている。上述のように、絶縁層51もまた、
図1の絶縁層50の一部分を構成する。
【0050】
ここで、ストッパ層SPs及び絶縁層51は、例えば酸化シリコン層等である。また、ストッパ層SPwは、例えば上述のワード線WLと同様、タングステン層またはモリブデン層等である。
【0051】
また、階段領域SRにおいて、ソース線SLは、中間ソース線BSLに替えて、上部ソース線DSLbと下部ソース線DSLaとの間に介在される中間絶縁層SCOを備えている。中間絶縁層SCOは例えば酸化シリコン層等である。
【0052】
このため、板状コンタクトLIは、階段領域SRにおいては、絶縁層51、積層体LM、及び上部ソース線DSLbを貫通して、中間絶縁層SCOに到達している。
【0053】
また、階段領域SRには、複数のコンタクトCC及び複数の柱状部HRが配置されている。後述するように、これらの柱状部HRは、犠牲層と絶縁層とが積層された積層体から積層体LMを形成する際、これらの構成を支持する役割を持ち、半導体記憶装置1の機能には寄与しない。
【0054】
個々のコンタクトCCは、絶縁層51及びストッパ層SPw,SPsを貫通して、階段部SCPの各段のテラス面を構成する絶縁層OL直下のワード線WLに接続されている。
【0055】
また、個々のコンタクトCCは、絶縁層51中を延びる延伸部CCpと、ストッパ層SPw,SPsの貫通部分を含む下端部CCeとを備える。下端部CCeの外形は、延伸部CCpの外形よりも大きい。つまり、コンタクトCCは、下端部CCeにおいて拡径されている。コンタクトCCはタングステン層または銅層等の導電層25を有し、導電層25は延伸部CCpから下端部CCeに亘って連続的に延びている。
【0056】
このとき、コンタクトCCが貫通するストッパ層SPwは、コンタクトCCの下端部CCeを介して、コンタクトCCの接続対象のワード線WLと電気的に導通している。しかし、上述のように、そのストッパ層SPwが配置されるテラス面の1つ上段のステップ面に端部を有するワード線WLをはじめ、ストッパ層SPwは、コンタクトCCの接続対象のワード線WLを除く他のワード線WLとは接触していない。したがって、例えばストッパ層SPwを介して複数のワード線WL間で短絡が生じる等の電気特性上の不具合は生じない。
【0057】
個々のコンタクトCCの導電層25は、絶縁層52中に配置されるプラグV0を介して、絶縁層53中に配置される上層配線MXと接続される。この上層配線MXは、上述の周辺回路CBA(
図1参照)と電気的に接続されている。
【0058】
このような構成により、各層のワード線WLを、積層体LMのX方向両端部から電気的に引き出すことができる。すなわち、上記構成により、周辺回路CBAから、上層配線MX、コンタクトCC、及びワード線WL等を介してメモリセルMCに所定の電圧を印加して、メモリセルMCを記憶素子として動作させることができる。
【0059】
第2のピラーとしての柱状部HRは、階段状に加工された積層体LMb,LMa、上部ソース線DSLb、及び中間絶縁層SCOを貫通して、下部ソース線DSLaに到達する。
【0060】
より具体的には、個々の柱状部HRは、階段部SCPの個々のテラス面から、そのテラス面より下層のワード線WL及び絶縁層OLを貫通して積層体LM中を延びている。したがって、上層側のワード線WLが階段状に加工された部分から、下層側のワード線WLが階段状に加工された部分へと向かうにつれて、柱状部HRの延伸方向の寸法は縮まっていく。
【0061】
これらの柱状部HRは、階段部SCPの全体に亘って分散して配置され、積層体LMの積層方向から見て例えばグリッド状または千鳥状の配置を取る。個々の柱状部HRは、XY平面に沿う方向の断面形状として、例えば円形、楕円形、または小判型等の形状を有する。
【0062】
また、比較的上層側のワード線WLを貫通する柱状部HRを例にとると、柱状部HRは、積層体LMaを貫通する部分と、積層体LMbを貫通する部分とにおいて、上層側から下層側に向かって径および断面積が小さくなるテーパ形状をそれぞれ有する。あるいは、柱状部HRは、積層体LMaを貫通する部分と、積層体LMbを貫通する部分とにおいて、例えば上層側と下層側との間の所定位置で径および断面積が最大となるボーイング形状をそれぞれ有する。
【0063】
柱状部HRは全体が、酸化シリコン層等の絶縁層56の単体である。つまり、柱状部HRは、実質的に単一材料の絶縁層56から構成されている。ここで、実質的に単一材料であるとは、1つの柱状部HR内、あるいは、複数の柱状部HR間で、これらの柱状部HRの構成成分の元素比が異なる場合、並びに含有される不純物の種類および量が異なる場合を包含し得るほか、単一材料の柱状部HR中にボイドを含むことを許容する。
【0064】
柱状部HRは、このように絶縁層56の単体であるため、他の構成に対して電気的な影響を及ぼし得ず、隣接する板状コンタクトLI及びコンタクトCCとの干渉が許容されている。
【0065】
なお、積層体LMの同じ高さ位置において、柱状部HRのXY平面に沿う方向の断面積は、例えばピラーPLのXY平面に沿う方向の断面積よりも大きい。また、複数の柱状部HR間のピッチは、例えば複数のピラーPL間のピッチよりも大きく、積層体LMにおけるワード線WLの単位面積あたりの柱状部HRの配置密度は、ワード線WLの単位面積あたりのピラーPLの配置密度よりも低い。
【0066】
このように、例えば柱状部HRに比べて、ピラーPLの断面積を小さく構成し、狭ピッチとすることで、所定サイズの積層体LM内に高密度に多数のメモリセルMCを形成することができ、半導体記憶装置1の記憶容量を高めることができる。一方、柱状部HRは、専ら積層体LMを支持するために用いられるので、例えばピラーPLのように断面積が小さく狭ピッチの精密な構成としないことで、製造負荷を減らすことができる。
【0067】
(半導体記憶装置の製造方法)
次に、
図3~
図14を用いて、実施形態の半導体記憶装置1の製造方法について説明する。
図3~
図11は、実施形態にかかる半導体記憶装置1の製造方法の手順の一部を順に例示する図である。
【0068】
まずは、
図3及び
図4に、ワード線WLが形成される前の積層体LMである第1の積層体としての積層体LMsa,LMsb、及び積層体LMsa,LMsbに各種構成が形成される様子を示す。
図3及び
図4は、後にメモリ領域MR及び階段領域SRとなる領域のX方向に沿う断面図である。
【0069】
図3(a)に示すように、支持基板SS上に、下部ソース線DSLa、中間犠牲層SCNもしくは中間絶縁層SCO、及び上部ソース線DSLbをこの順に形成する。
【0070】
支持基板SSとしては、シリコン基板等の半導体基板、セラミック基板等の絶縁基板、または導電性基板等を使用することができる。支持基板SSの上面側には、上述の絶縁層60(
図2等参照)が形成されていてもよい。
【0071】
中間犠牲層SCNは、後にメモリ領域MRとなる支持基板SS上の領域に形成し、中間絶縁層SCOは、後に階段領域SRとなる支持基板SS上の領域に形成する。中間犠牲層SCNは、例えば窒化シリコン層等であり、後にポリシリコン層等に置き換えられて中間ソース線BSLとなる層である。中間絶縁層SCOは、上述の通り、例えば酸化シリコン層等である。
【0072】
また、上部ソース線DSLb上に、複数の第1の絶縁層としての絶縁層NLと複数の第2の絶縁層としての絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LMsaを形成する。絶縁層NLは、例えば窒化シリコン層等であり、後に導電材料に置き換えられてワード線WLとなる犠牲層として機能する。
【0073】
図3(b)に示すように、積層体LMsaを積層方向に延びる複数のメモリホールMHa及び複数のホールHLaを例えば一括形成する。メモリホールMHaは、後にピラーPLの下部構造となる部分である。ホールHLaは、後に柱状部HRの下部構造となる部分である。
【0074】
図3(c)に示すように、これらのメモリホールMHa及びホールHLa内をアモルファスシリコン層またはCVD-カーボン層等の犠牲層26で充填する。
【0075】
これにより、後にメモリ領域MRとなる領域には、複数のメモリホールMHaに犠牲層26が充填されたピラーPLcが形成される。また、後に階段領域SRとなる領域には、複数のホールHLaに犠牲層26が充填された柱状部HRcが形成される。
【0076】
図3(d)に示すように、積層体LMsa上と階段部分の絶縁層51上とを覆い、複数の第1の絶縁層としての絶縁層NLと複数の第2の絶縁層としての絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LMsbを形成する。積層体LMsbの絶縁層NLは、後に導電層に置き換えられてワード線WLとなる。
【0077】
図4(a)に示すように、積層体LMsbを積層方向に延びる複数のメモリホールMHb及び複数のホールHLbを例えば一括形成する。メモリホールMHbは、後にピラーPLの上部構造となる部分である。ホールHLbは、後に柱状部HRの上部構造となる部分である。
【0078】
複数のメモリホールMHbは、後にメモリ領域MRとなる領域に配置され、積層体LMsbを貫通して、積層体LMsaに形成されたピラーPLcの上端部にそれぞれ到達している。
【0079】
複数のホールHLbは、後に階段領域SRとなる領域に配置され、絶縁層51及び積層体LMsbを貫通して、積層体LMsaに形成された柱状部HRcの上端部にそれぞれ到達している。
【0080】
図4(b)に示すように、メモリホールMHb及びホールHLb底のピラーPLc及び柱状部HRcから犠牲層26を除去する。
【0081】
これにより、複数のメモリホールMHb底に、それぞれメモリホールMHaが開口し、積層体LMsb,LMsa、上部ソース線DSLb、及び中間犠牲層SCNを貫通して、下部ソース線DSLaに到達する複数のメモリホールMHが形成される。また、複数のホールHLb底に、それぞれホールHLaが開口し、絶縁層51、積層体LMsb,LMsa、上部ソース線DSLb、及び中間絶縁層SCOを貫通して、下部ソース線DSLaに到達する複数のホールHLが形成される。
【0082】
なお、ピラーPLc及び柱状部HRc内に充填した犠牲層26がCVD-カーボン層等である場合には、上述の
図4(a)の処理に用いたマスクパターン等を、酸素プラズマを用いたアッシング等により除去する際に、これらのピラーPLc及び柱状部HRcからも一括して犠牲層26が除去されうる。
【0083】
図4(c)に示すように、複数のメモリホールMHをフォトレジスト層等のマスク層で覆い、ホールHL内に酸化シリコン層等の絶縁層56を充填する。これにより、積層体LMsa,LMsbを貫通する柱状部HRが形成される。
【0084】
次に、
図5及び
図6を用いて、ピラーPLが形成される様子を示す。
【0085】
図5及び
図6は、後にメモリ領域MRとなる領域のY方向に沿う断面図であり、上述の
図2(a)に相当する断面を示している。
【0086】
図5(a)に示すように、後にメモリ領域MRとなる領域においては、積層体LMsa,LMsbを貫通する複数のメモリホールMHが形成済みである。
【0087】
図5(b)に示すようにメモリホールMH内に、多層絶縁層MEb、半導体層CNb、及び絶縁層CRbをこの順に形成する。これにより、メモリホールMHの側面、及び下部ソース線DSLaが露出する底面に、多層絶縁層MEb及び半導体層CNbが配置され、メモリホールMHの中心部に絶縁層CRbが充填される。
【0088】
多層絶縁層MEbは、後にメモリ層MEとなる多層構造の絶縁層である。半導体層CNbは、後にチャネル層CNとなる層である。絶縁層CRbは、後にコア層CRとなる酸化シリコン層等である。
【0089】
多層絶縁層MEb、半導体層CNb、及び絶縁層CRbは、積層体LMsbの上面にもこの順に形成される。
【0090】
図5(c)に示すように、絶縁層CRb、半導体層CNb、及び多層絶縁層MEbを順次エッチバックして、積層体LMsb上面から除去するとともに、メモリホールMH上端部に窪みDNを形成する。
【0091】
これにより、メモリホールMH内に、外周側から順に、メモリ層ME、チャネル層CN、及びコア層CRが形成される。
【0092】
図6(a)に示すように、メモリホールMH上端部の窪みDNに半導体層CPbを形成する。半導体層CPbは、後にキャップ層CPとなる層である。半導体層CPbは、積層体LMsbの上面にも形成される。
【0093】
図6(b)に示すように、CMP等によって、積層体LMsb上面の半導体層CPbを除去し、メモリホールMHの上端部にキャップ層CPを形成する。
【0094】
図6(c)に示すように、CMP等によって薄くなった積層体LMsb最上層の絶縁層OLを積み増す。これにより、キャップ層CPが最上層の絶縁層OLに埋没したピラーPLが形成される。
【0095】
ただし、この時点で、メモリ層MEはピラーPLの側壁全体を覆っており、チャネル層CNの側面の一部がメモリ層MEから露出した状態となっていない。
【0096】
なお、後に階段領域SRとなる領域には、既に複数の柱状部HRが形成済みであり、上記の
図5及び
図6の処理の影響を殆ど受けない。ただし、上記の
図6(b)(c)の処理により、柱状部HRの上端部もまた、最上層の絶縁層OLに埋没した状態となる。
【0097】
次に、
図7~
図9を用いて、後に階段領域SRとなる領域に、階段構造およびコンタクトCCが形成される様子を示す。
図7~
図9は、後に階段領域SRとなる領域のX方向に沿う断面図である。
【0098】
図7(a)に示すように、後に階段領域SRとなる領域において、絶縁層NLと絶縁層OLとを階段状に加工する。このような加工は、フォトレジスト層等のマスクパターン72のスリミングと、マスクパターン72から順次露出する絶縁層NL及び絶縁層OLのエッチングとを複数回繰り返すことで行うことができる。
【0099】
すなわち、積層体LMsbの上面にマスクパターンを形成し、例えば露出部分の絶縁層NLと絶縁層OLとを1層ずつエッチング除去する。また、酸素プラズマ等による処理で、マスクパターンの端部を後退させて積層体LMsbの上面を新たに露出させ、絶縁層NLと絶縁層OLとを更に1層ずつエッチング除去する。このような処理を複数回繰り返すことで、まず、積層体LMsbに上記階段状の形状が形成される。
【0100】
図7(b)に示すように、積層体LMsaに対しても、マスクパターン72のスリミングと、絶縁層NL及び絶縁層OLのエッチングとの繰り返し処理を継続する。これにより、積層体LMsaにも階段状の形状が形成される。
【0101】
なお、
図7(a)(b)の処理においては、積層体LMsa,LMsbの各層の加工と並行して、積層体LMsa,LMsbを貫通して形成された柱状部HRもエッチング除去されていく。これにより、積層体LMsa,LMsbに形成された階段形状の各テラス面から、これらのテラス面下層の絶縁層NL及び絶縁層OLを貫通して延びる複数の柱状部HRが形成される。
【0102】
図7(c)に示すように、積層体LMsa,LMsbの階段形状に沿うように、ストッパ層SPs,SPnをこの順に形成する。ストッパ層SPsは、上述の通り、例えば酸化シリコン層等である。第3の絶縁層としてのストッパ層SPnは、例えば窒化シリコン層等であり、後に、タングステン層等に置換されて、上述のストッパ層SPwとなる層である。
【0103】
図8(a)に示すように、積層体LMsa,LMsbの階段形状を覆うストッパ層SPnのうち、テラス面のストッパ層SPnを残して、ステップ面のストッパ層SPnを除去する。このような加工は、RIE(Reactive Ion Etching)等の異方性エッチングを用いた処理により行うことができる。
【0104】
以上のように、酸化シリコン層等であるストッパ層SPsを介在させて、窒化シリコン層等であるストッパ層SPnを形成し、更に、階段形状のステップ面からストッパ層SPnを除去することで、所定のテラス面上のストッパ層SPnが、そのテラス面の1つ上の段に含まれ、同じく窒化シリコン層等である絶縁層NLと接触することが抑制される。
【0105】
図8(b)に示すように、ストッパ層SPs,SPnを介して、積層体LMsa,LMsbの未加工部分の高さ位置まで積層体LMsa,LMsbの階段形状を覆う、酸化シリコン層等の第4の絶縁層としての絶縁層51を形成する。
【0106】
図8(c)に示すように、絶縁層51を貫通して、各段のテラス面を覆うストッパ層SPnに到達する複数のコンタクトホールCLを形成する。このような加工は、例えば異種材料を含む絶縁層51とストッパ層SPnとの間で選択性の高い条件を用いて、絶縁層51をエッチングすることで行うことができる。
【0107】
図9(a)に示すように、例えばウェットエッチング等を用いて、個々のコンタクトホールCLの底面に露出するストッパ層SPn,SPs及び絶縁層OLを順次除去する。より詳細には、窒化シリコン層等であるストッパ層SPnの除去液を用いて、コンタクトホールCLの底面を処理し、その後、酸化シリコン層等であるストッパ層SPs及び絶縁層OLの除去液を用いて、コンタクトホールCLの底面を処理する。
【0108】
これにより、各段のテラス面直下に位置する絶縁層NLにそれぞれ到達する複数のコンタクトホールCLが得られる。このとき、例えば上述のようにウェットエッチングを用いることで、ストッパ層SPn,SPs及び絶縁層OLの貫通部分を含む下端部の外形が、他の部分の外形よりも大きい形状を有するコンタクトホールCLが得られる。
【0109】
また、上述のように、ストッパ層SPsを介在させてストッパ層SPnを形成し、更に、階段形状のステップ面からストッパ層SPnを除去している。このため、上記のウェットエッチング処理の際、各段のステップ面に端部を有する絶縁層NLまでもが除去されてしまうことが抑制される。
【0110】
図9(b)に示すように、個々のコンタクトホールCL内にタングステン層等の金属層としての導電層25を充填する。これにより、絶縁層51中を延びる延伸部CCpと、延伸部CCpよりも径が大きい下端部CCeとを備える複数のコンタクトCCが得られる。
【0111】
次に、
図10及び
図11を用いて、ソース線SL及びワード線WLが形成される様子を示す。
図10及び
図11は、上述の
図5及び
図6と同様、後にメモリ領域MRとなる領域のY方向に沿う断面図である。
【0112】
図10(a)に示すように、積層体LMsb,LMsa、及び上部ソース線DSLbを貫通し、中間犠牲層SCNに到達するスリットSTを形成する。また、スリットSTのY方向に向かい合う側壁に絶縁層54sを形成する。
【0113】
スリットSTは、積層体LMsa,LMsb内をX方向に沿う方向にも延びている。したがって、後に階段領域SRとなる図示しない領域においては、スリットSTの下端部は中間絶縁層SCOに到達する。
【0114】
図10(b)に示すように、絶縁層54sで側壁を保護されたスリットSTを介して、例えば熱リン酸等の中間犠牲層SCNの除去液を流入させて、下部ソース線DSLa及び上部ソース線DSLbに挟まれた中間犠牲層SCNを除去する。
【0115】
これにより、下部ソース線DSLaと上部ソース線DSLbとの間にギャップ層GPsが形成される。また、ピラーPL外周部のメモリ層MEの一部がギャップ層GPs内に露出する。
【0116】
このとき、スリットSTの側壁は絶縁層54sで保護されているので、積層体LMsa,LMsb内の絶縁層NLまでもが除去されてしまうことが抑制される。また、後に階段領域SRとなる領域においては、下部ソース線DSLaと上部ソース線DSLbとの間には中間犠牲層SCNがなく、ギャップ層GPsは形成されない。
【0117】
図10(c)に示すように、スリットSTを介してギャップ層GPs内に適宜、薬液を流入させて、ギャップ層GPs内に露出したメモリ層MEのブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TN(
図2(c)参照)を順次、除去する。これにより、ピラーPLの一部側壁からメモリ層MEが除去され、内側のチャネル層CNの一部がギャップ層GPs内に露出する。
【0118】
図10(d)に示すように、絶縁層54sで側壁を保護されたスリットSTから、例えばアモルファスシリコン等の原料ガスを注入し、ギャップ層GPsをアモルファスシリコン等で充填する。また、支持基板SSを加熱処理して、ギャップ層GPs内に充填されたアモルファスシリコンを多結晶化してポリシリコン等を含む中間ソース線BSLを形成する。
【0119】
これにより、ピラーPLのチャネル層CNの一部が、中間ソース線BSLを介して側面でソース線SLと接続される。
【0120】
このとき、後に階段領域SRとなる領域においては、下部ソース線DSLaと上部ソース線DSLbとの間にはギャップ層GPsが形成されていない。このため、中間ソース線BSLの形成も行われない。
【0121】
図11(a)に示すように、スリットST側壁の絶縁層54sを一旦除去する。
【0122】
図11(b)に示すように、スリットSTから積層体LMsa,LMsb内部へと、例えば熱リン酸等の絶縁層NLの除去液を流入させて、積層体LMsa,LMsbの絶縁層NLを除去する。これにより、絶縁層OL間の絶縁層NLが除去された複数のギャップ層GPを有する積層体LMga,LMgbが形成される。
【0123】
複数のギャップ層GPを含む積層体LMga,LMgbは脆弱な構造となっている。後にメモリ領域MRとなる領域では、複数のピラーPLがこのような脆弱な積層体LMga,LMgbを支持する。一方、後に階段領域SRとなる領域においては、複数の柱状部HRがこれらの積層体LMga,LMgbを支持する。
【0124】
このようなピラーPL及び柱状部HRの支持構造によって、残った絶縁層OLが撓んだり、積層体LMga,LMgbが歪んだり倒壊したりすることが抑制される。
【0125】
なお、後に階段領域SRとなる領域において、スリットSTは、階段形状各段のテラス面に形成されたストッパ層SPnをも貫通している。したがって、上記の処理により、例えば窒化シリコン層等であるストッパ層SPnもまた除去されて、その部分にはギャップ層が形成される。
【0126】
図11(c)に示すように、スリットSTから積層体LMga,LMgb内部へと、例えばタングステンまたはモリブデン等の導電材の原料ガスを注入し、積層体LMga,LMgbのギャップ層GPを導電材で充填して複数のワード線WL等を形成する。これにより、複数のワード線WL等と複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LMa,LMbを含む第2の積層体としての積層体LMが形成される。
【0127】
以上のように、中間犠牲層SCNから中間ソース線BSLを形成する処理、及び絶縁層NLからワード線WLを形成する処理をリプレース処理とも呼ぶ。
【0128】
なお、後に階段領域SRとなる領域においては、ストッパ層SPnが除去されて生じたギャップ層にも、スリットSTを介して導電材が充填される。これにより、上述のストッパ層SPwが形成される。
【0129】
このとき、上述のように、ストッパ層SPnと各段の絶縁層NLとの接触が抑制されているので、リプレース後のストッパ層SPwがワード線WLと導通してしまうことが抑制される。また、ストッパ層SPnのリプレース前に、上述のように、少なくともコンタクトホールCLを形成しているので、例えば硬質なストッパ層SPwを貫通させてコンタクトCCを形成するよりも、コンタクトCCの形成処理が容易となる。
【0130】
その後、スリットSTの側壁に絶縁層54を形成し、絶縁層54内に導電層24を充填して、板状コンタクトLIを形成する。ただし、スリットST内に導電層24を形成することなく絶縁層54等を充填し、板状部材を形成してもよい。
【0131】
また、積層体LMの上面および階段領域SRを覆う絶縁層51の上面に絶縁層52を形成し、絶縁層52を貫通して、コンタクトCCに接続されるプラグV0を形成する。また、絶縁層52を貫通して、ピラーPLに接続されるプラグCHを形成する。更に、絶縁層52上に絶縁層53を形成し、プラグV0,CHに接続される上層配線MX及びビット線BL等を形成する。また、絶縁層53の上面には周辺回路CBAと電気的な導通を取るための電極パッド等が形成される。
【0132】
なお、例えばデュアルダマシン法等を用いることにより、プラグV0,CH、上層配線MX、及びビット線BL等を一括して形成してもよい。
【0133】
また、積層体LMが形成された支持基板SSとは別体の半導体基板SB上に、周辺回路CBAを形成し、絶縁層40で覆う。絶縁層40中には、周辺回路CBAを絶縁層40の表面に引き出すコンタクト、ビア、配線等を形成し、絶縁層40の上面に形成された電極パッド等と接続される。
【0134】
続いて、支持基板SSと半導体基板SBとを、それぞれが有する絶縁層50,40で貼り合わせ、絶縁層50,40中の電極パッドを接続する。その後、支持基板SSを除去してソース線SLを露出させ、プラグPGが形成された絶縁層60を介して、電極膜ELが接続される。
【0135】
以上により、実施形態の半導体記憶装置1が製造される。
【0136】
ここで、上述のコンタクトCCの形成処理について、より詳細に説明する。
図12~
図14は、実施形態にかかる半導体記憶装置1のコンタクトCCの形成処理の詳細を例示するX方向に沿う拡大断面図である。
【0137】
上述のように、後に階段領域SRとなる領域に階段形状を形成する際、既に形成済みの複数の柱状部HRも積層体LMsa,LMsbとともに加工される。このような加工により、柱状部HRの上端部の形状は様々に異なり得る。
図12に、柱状部HRが有し得る形状の幾つかの例を示す。
【0138】
図12(a)は、柱状部HRの加工レートが、例えば積層体LMsa,LMsbの加工レートと略等しい場合の例を示す。このような場合、積層体LMsa,LMsbに形成された階段形状各段のテラス面に露出する柱状部HRの上端部は略平坦な形状となる。
【0139】
図12(b)に示すように、上記の状態から、柱状部HRの上面を含め、全体が略平坦な階段形状のテラス面に、同じく略平坦なストッパ層SPs,SPnが順次形成される。また、
図12(b)の例では、その後に形成されるコンタクトCCは、位置ずれすることなく例えば複数の柱状部HR間のテラス面に到達している。このようなコンタクトCCにおいても、ストッパ層SPs,SPn等の貫通部分を含む下端部CCeは、ストッパ層SPs,SPn等の面に沿ってXY平面に沿う方向に拡径される。
【0140】
図12(c)は、柱状部HRの加工レートが、例えば積層体LMsa,LMsbの加工レートよりも高い場合の例を示す。このような場合、柱状部HRの上端部は、積層体LMsa,LMsbに形成された階段形状各段のテラス面から擂り鉢状に落ち込んだ形状となる。このとき、柱状部HRの周囲のテラス面も、柱状部HRへと向かって擂り鉢状に落ち込んだ形状となり得る。
【0141】
図12(d)に示すように、ストッパ層SPs,SPnは、柱柱状部HRへと向かって擂り鉢状に落ち込んだテラス面に沿って、同じく擂り鉢状にテラス面を覆うよう順次形成される。しかし、その後に形成されるコンタクトCCが位置ずれなく、柱状部HRとの干渉を回避しつつ形成された場合には、コンタクトCCは、擂り鉢形状となった部分を避けて、テラス面の略平坦な部分に到達する。したがって、ストッパ層SPs,SPn等の貫通部分を含むコンタクトCCの下端部CCeは、ストッパ層SPs,SPn等の平坦な部分の面に沿ってXY平面に沿う方向に拡径される。
【0142】
図12(e)は、柱状部HRの加工レートが、例えば積層体LMsa,LMsbの加工レートよりも低い場合の例を示す。このような場合、柱状部HRの上端部は、積層体LMsa,LMsbに形成された階段形状各段のテラス面から突出する円錐形の形状となる。
【0143】
図12(f)に示すように、ストッパ層SPs,SPnは、テラス面から突出する柱状部HRの上端部をも覆うよう順次形成される。しかし、その後に形成されるコンタクトCCが位置ずれなく、柱状部HRとの干渉を回避しつつ形成された場合には、コンタクトCCは、柱状部HR及びストッパ層SPs,SPnが突出した部分を避けて、テラス面の略平坦な部分に到達する。したがって、ストッパ層SPs,SPn等の貫通部分を含むコンタクトCCの下端部CCeは、ストッパ層SPs,SPn等の平坦な部分の面に沿ってXY平面に沿う方向に拡径される。
【0144】
次に、コンタクトCCに位置ずれが生じて、柱状部HRと接触した場合の例を
図13及び
図14に示す。
【0145】
図13は、柱状部HRとその周囲のテラス面が柱状部HRの中心に向かって擂り鉢状に落ち込んだ形状となり、かつ、コンタクトCCに位置ずれが生じた場合の例を示している。
【0146】
図13(a)は、上述の
図12(c)と同様、テラス面が擂り鉢形状となった階段形状の例である。
【0147】
図13(b)に示すように、ストッパ層SPs,SPnが、擂り鉢状のテラス面に沿うように順次形成される。また、これらのストッパ層SPs,SPnを介して、階段形状を覆う絶縁層51が形成される。
【0148】
図13(c)に示すように、絶縁層51を貫通し、テラス面を覆うストッパ層SPnに到達するコンタクトホールCLが形成される。このとき、
図13(c)の例では、コンタクトホールCLに位置ずれが生じ、コンタクトホールCLの下端部は、ストッパ層SPnの擂り鉢状となった部分に到達している。
【0149】
図13(d)に示すように、コンタクトホールCLの底面をウェットエッチング処理して、テラス面直下の絶縁層NLに到達するコンタクトホールCLが形成される。このとき、ストッパ層SPnの貫通部分を含むコンタクトホールCLの下端部は、ストッパ層SPnの面に沿って拡径される。
図13(d)の例では、コンタクトホールCLの下端部は、一端側においては擂り鉢状のストッパ層SPnの面に沿って、柱状部HR側へと広がっていき、もう一端側においては略平坦なストッパ層SPnの面に沿って、XY平面に沿う方向に広がっていく。
【0150】
図13(e)に示すように、拡径された下端部を有するコンタクトホールCL内に導電層25を充填し、コンタクトCCを形成する。
【0151】
図13(f)に示すように、その後、積層体LMsa,LMsbの絶縁層NLがリプレースされて、複数のワード線WLを有する積層体LMが形成される。このとき、ストッパ層SPnも同様に導電材に置き換えられて、ストッパ層SPwが形成される。
【0152】
これにより、コンタクトCCは、ワード線WLの上面と、擂り鉢状の斜面端部に露出するワード線WLの端面とに下端部CCeで接続される。また、これにより、ストッパ層SPwは、コンタクトCCの下端部CCeを介して、コンタクトCCの接続対象のワード線WLと電気的な導通を有することとなる。しかし、この場合においても、上述のように、ストッパ層SPwとそれ以外のワード線WLとの接触がないので、電気特性上の不具合は生じない。
【0153】
図14は、柱状部HRの上面を含むテラス面全体が略平坦な形状、または、柱状部HRがテラス面から円錐形状に突出した形状となり、かつ、コンタクトCCに位置ずれが生じた場合の例を示している。
【0154】
図14(a)は、上述の
図12(a)と同様、テラス面が略平坦な階段形状の例である。この場合、ストッパ層SPs,SPnは、略平坦なテラス面に沿うように順次形成される。また、これらのストッパ層SPs,SPnを介して、階段形状を覆う絶縁層51が形成される。
【0155】
また、絶縁層51を貫通し、テラス面を覆うストッパ層SPnに到達するコンタクトホールCLが形成される。このとき、コンタクトホールCLに位置ずれが生じ、コンタクトホールCLの下端部は、積層体LMsa,LMsbの積層方向に柱状部HRのひとつと一部が重なる位置に形成されている。
【0156】
図14(b)に示すように、コンタクトホールCLの底面をウェットエッチング処理して、テラス面直下の絶縁層NLに到達するコンタクトホールCLが形成される。このとき、柱状部HRの上端部を含むテラス面は略平坦である。したがって、ストッパ層SPnの貫通部分を含むコンタクトホールCLの下端部は、ストッパ層SPnの面に沿ってXY平面に沿う方向に拡径される。
【0157】
図14(c)に示すように、拡径された下端部を有するコンタクトホールCL内に導電層25を充填し、コンタクトCCを形成する。また、その後、積層体LMsa,LMsbの絶縁層NL及びストッパ層SPnがリプレースされて、複数のワード線WLを有する積層体LM及びストッパ層SPwが形成される。
【0158】
これにより、コンタクトCCは、ワード線WLの上面に下端部CCeの一部で接続される。
図14(c)の例では、コンタクトCCの下端部CCeのうち一端部は、柱状部HRの上端部上に広がっており、ワード線WLとの導通は得られない。しかし、コンタクトCCの下端部CCeのうち他端部は、ワード線WL上に広がっており、ワード線WLとの導通を得ることができる。
【0159】
また、これにより、ストッパ層SPwは、コンタクトCCの下端部CCeを介して、コンタクトCCの接続対象のワード線WLと電気的な導通を有することとなる。
【0160】
図14(d)は、上述の
図12(e)と同様、柱状部HRが円錐形状にテラス面から突出した場合の例である。この場合、ストッパ層SPs,SPnは、突出した柱状部HRをも覆ってテラス面上に順次形成される。また、これらのストッパ層SPs,SPnを介して、階段形状を覆う絶縁層51が形成される。
【0161】
また、絶縁層51を貫通し、テラス面を覆うストッパ層SPnに到達するコンタクトホールCLが形成される。このとき、コンタクトホールCLに位置ずれが生じ、コンタクトホールCLの下端部は、積層体LMsa,LMsbの積層方向に柱状部HRのひとつと一部が重なる位置に形成されている。
【0162】
図14(e)に示すように、コンタクトホールCLの底面をウェットエッチング処理して、テラス面直下の絶縁層NLに到達するコンタクトホールCLが形成される。このとき、柱状部HRの上端部はテラス面から突出している。したがって、
図14(e)の例では、コンタクトホールCLの下端部は、一端側においては突出した柱状部HRの上端部に沿って広がっていき、もう一端側においては略平坦なストッパ層SPnの面に沿って、XY平面に沿う方向に広がっていく。
【0163】
図14(f)に示すように、拡径された下端部を有するコンタクトホールCL内に導電層25を充填し、コンタクトCCを形成する。また、その後、積層体LMsa,LMsbの絶縁層NL及びストッパ層SPnがリプレースされて、複数のワード線WLを有する積層体LM及びストッパ層SPwが形成される。
【0164】
これにより、コンタクトCCは、専らワード線WLの上面に下端部CCeの一部で接続される。
図14(f)の例では、コンタクトCCの下端部CCeのうち一端部は、柱状部HRの突出部分を覆って広がっており、ワード線WLとの導通は得られない。しかし、コンタクトCCの下端部CCeのうち他端部は、ワード線WL上に広がっており、ワード線WLとの導通を得ることができる。
【0165】
また、これにより、ストッパ層SPwは、コンタクトCCの下端部CCeを介して、コンタクトCCの接続対象のワード線WLと電気的な導通を有することとなる。
【0166】
以上のように、実施形態の半導体記憶装置1によれば、階段形状を形成時に並行して加工される柱状部HRの形状に依らず、また、コンタクトCCに位置ずれが生じたか否かに依らず、コンタクトCCは、接続対象のワード線WLとより確実に接続される。
【0167】
(比較例)
3次元不揮発性メモリ等の半導体記憶装置は、例えば犠牲層を多層に積層した積層体をリプレースして、複数のワード線が積層された積層体を形成する工程を経て製造される。その後、複数のワード線を階段状に引き出したテラス部にコンタクトを形成する工程が行われる。
【0168】
コンタクトの形成時には、例えば階段部を覆う絶縁層を貫通させて、到達深さの異なる複数のコンタクトホールが一括形成される。このとき、深さの異なるコンタクトホールの一部が、接続対象のワード線を貫通してしまうことを抑制するため、予め階段部を覆うストッパ層を形成しておくことがある。
【0169】
また、リプレース時に積層体の構造を支持するため、半導体記憶装置の階段部には複数の柱状部が形成されることがある。コンタクトの形成時、柱状部の配置位置にコンタクトが位置ずれして形成されてしまった場合にも、上記のようなストッパ層を設けておくことで、コンタクトが柱状部を貫通して形成されてしまうことが抑制される。
【0170】
このようなストッパ層は、例えば犠牲層と同一材料を含んで形成される。したがって、犠牲層からワード線を形成する際、ストッパ層が一緒にリプレースされてしまわないよう、スリットが形成される位置のストッパ層が予め除去される。しかしながら、近年、ワード線の層数は増加傾向にあり、階段部の上層と下層との高さ位置の差もまた増大している。このため、ストッパ層の除去に用いるマスクパターンの露光による開口も極めて困難となっている。
【0171】
加えて、柱状部を形成した後に階段部を形成すると、積層体を構成する犠牲層等と柱状部を構成する絶縁層等との加工レートの差から、テラス面が柱状部に向かって擂り鉢状に加工されてしまうことがある。マスクパターンの露光難度の高まりにより、ストッパ層を用いることができない場合、接続対象のワード線貫通によるコンタクトの形成不良のリスクは更に高まる。
図15にその様子を示す。
【0172】
図15は、比較例にかかる半導体記憶装置のコンタクトCCxの形成処理を例示するX方向に沿う拡大断面図である。
【0173】
より詳細には、
図15は、柱状部HRxの上面を含むテラス面全体が略平坦な形状、または、テラス面が柱状部HRxへ向かって擂り鉢状となり、かつ、コンタクトCCxに位置ずれが生じた場合の例を示している。
図15に示すように、比較例においては絶縁層51が直接的に階段形状を覆う。
【0174】
図15(a)は、テラス面が略平坦な階段形状の例である。
【0175】
図15(b)に示すように、リプレース処理により、複数の絶縁層NLから複数のワード線WLを形成し、その後、絶縁層51及びテラス面を構成する絶縁層OLを貫通し、直下の絶縁層NLに到達するコンタクトホールCLxが形成される。
【0176】
このとき、コンタクトホールCLxには位置ずれが生じており、コンタクトホールCLxの下端部は、積層体LMsa,LMsbの積層方向に柱状部HRxのひとつと一部が重なる位置に形成されている。これにより、コンタクトホールCLxの下端部は一部、柱状部HRxを介して、到達目標とする絶縁層NLよりも下層に達してしまうことがある。
【0177】
図15(c)に示すように、一部が下層にまで到達したコンタクトホールCLxに導電層を充填して、コンタクトCCxが形成される。
図15(c)の例では、コンタクトCCxの下端部は、接続対象のワード線WL直下の絶縁層OLで止まっており、更に下層のワード線WLには接続されていない。
【0178】
このため、コンタクトCCxの接続対象のワード線WLと、その下層のワード線WLとの間でショートは発生していない。しかしながら、コンタクトCCxの下端部が、下層のワード線WLの直上にまで延びているため、ワード線WL間での耐圧が不足する恐れがある。また、コンタクトCCxの下端部が、更に下方にまで延びていた場合には、これらのワード線WL間でショートが発生することとなってしまう。
【0179】
図15(d)は、テラス面が柱状部HRへと向かって擂り鉢状となった階段形状の例である。この場合、コンタクトホールCLx下端部の到達深度が増し、ワード線WL間のショートのリスクがよりいっそう高まる。
【0180】
図15(e)に示すように、絶縁層51及び絶縁層OLを貫通し、直下の絶縁層NLに到達するコンタクトホールCLxの下端部は一部、柱状部HRxを介して更に下層に延び、接続対象のワード線WLの下層のワード線WLに到達している。
【0181】
図15(f)に示すように、一部が下層にまで到達したコンタクトホールCLxに導電層を充填して、コンタクトCCxが形成される。
図15(f)の例では、コンタクトCCxの下端部は、接続対象のワード線WL及びその下層のワード線WLの両方に接続され、これらのワード線WL間でショートが発生してしまっている。
【0182】
以上のように、半導体記憶装置の製造工程において、コンタクトホールを形成する際には位置ずれが生じる場合がある。位置ずれしたコンタクトホールが柱状部と干渉した場合、接続対象のワード線よりも深い位置にまで到達し、ワード線間の耐圧不足またはショートが発生してしまうことがある。
【0183】
このような不良は、階段形状を形成する際、柱状部の周囲のテラス面が擂り鉢状に落ち込んだ形状となった場合に、より顕著となる。
【0184】
実施形態の半導体記憶装置1によれば、コンタクトCCは、複数のワード線WLのうち、コンタクトCCの接続対象となるワード線WLの上方に配置されるストッパ層SPwを貫通して、接続対象のワード線WLに到達している。
【0185】
上述のように、ストッパ層SPwは、コンタクトホールCLを形成する際に用いるストッパ層SPnがリプレースされたものである。このように、ストッパ層SPnを用いてコンタクトホールCLを形成することで、コンタクトホールCLに位置ずれが生じた場合であっても、ワード線WL間の耐圧不足およびショート等を抑制することができる。
【0186】
実施形態の半導体記憶装置1によれば、コンタクトCCは、ストッパ層SPwの貫通部分を含む下端部CCeにおいて、擂り鉢状のストッパ層SPwの面に沿って広がっており、下端部CCeの少なくとも一部分で、接続対象のワード線WLと接続されている。
【0187】
上述のように、階段形状を形成する際に、テラス面が柱状部HRに向かって擂り鉢状に加工されてしまった場合、ワード線WL間のショート不良等のリスクが高まる。しかし、この場合であっても、コンタクトCCの下端部CCeが擂り鉢状のストッパ層SPwの面に沿って広がっていることで、ワード線WL間の耐圧不足およびショート等を抑制することができる。
【0188】
実施形態の半導体記憶装置1によれば、コンタクトCCの下端部は、柱状部HRの上端部と接触している。このように、コンタクトCCと柱状部HRとが干渉した場合であっても、ワード線WL間の耐圧不足およびショート等を抑制することができる。
【0189】
実施形態の半導体記憶装置1によれば、ストッパ層SPwは、コンタクトCCの接続対象のワード線WLを除く複数のワード線WLのいずれとも接続されない。これにより、積層体LMsa,LMsbをリプレースする際、ストッパ層SPnまでもがリプレースされることが許容される。よって、スリットST形成位置のストッパ層SPnを予め除去する必要もなく、階段部SCPへのストッパ層SPnの導入が容易となる。
【0190】
実施形態の半導体記憶装置1の製造方法によれば、少なくともコンタクトホールCLを形成した後に、複数の絶縁層NLを複数のワード線WLに置き換えて、複数のワード線WLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LMを形成する。
【0191】
このように、絶縁層NL及びストッパ層SPnがそれぞれ、ワード線WL及びストッパ層SPwにリプレースされる前にコンタクトホールCLを形成しておくことで、ストッパ層SPwを貫通させてコンタクトホールCLを形成する必要が無く、コンタクトCCの形成が容易となる。
【0192】
実施形態の半導体記憶装置1によれば、ストッパ層SPwは、ストッパ層SPsを介してコンタクトCCの接続対象のワード線WLの上方に配置されている。このように、ストッパ層SPsを介在させることで、例えばリプレース前のストッパ層SPnを様々に加工する際、積層体LMを保護することができる。
【0193】
実施形態の半導体記憶装置1によれば、ストッパ層SPsは、階段状に加工された複数のワード線WLのステップ面にも配置されている。これにより、コンタクトCCの接続対象のワード線WLの上層のワード線WLがステップ面に有する端面で、ストッパ層SPwと接続されてしまうことが抑制される。
【0194】
なお、上述の実施形態では、階段部SCPを含む階段領域SRは積層体LMのX方向の両端部に配置されることとした。しかし、例えば積層体の中央部を擂り鉢状に掘り下げて形成された階段部を含む階段領域が、積層体内に配置されていてもよい。
【0195】
また、上述の実施形態では、メモリセルMCの動作に寄与する周辺回路CBAが積層体LM上方に貼り合わされた半導体基板SB上に配置されることとした。しかし、半導体基板上にトランジスタを含んで配置される周辺回路の上方に積層体が積層されていてもよい。あるいは、積層体が、周辺回路と同じ半導体基板上に配置されていてもよい。
【0196】
また、上述の実施形態では、半導体記憶装置1が、積層体LMa,LMbを含む2Tierの積層体LMを備えることとした。しかし、半導体装置は、1Tier、あるいは、3Tier以上の積層体を備えていてもよい。なお、Multi-Tierタイプの半導体記憶装置においては、ワード線WLの積層数を更に増加させることが容易となる。
【0197】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0198】
1…半導体記憶装置、CC…コンタクト、CN…チャネル層、HR…柱状部、LI…板状コンタクト、LM,LMa,LMb,LMga,LMgb,LMsa,LMsb…積層体、MC…メモリセル、MR…メモリ領域、NL,OL…絶縁層、51…絶縁層、PL…ピラー、SCP…階段部、SPn,SPs,SPw…ストッパ層、SR…階段領域、ST…スリット、WL…ワード線。