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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179093
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20241219BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H05K7/20 B
H05K7/20 F
H05K9/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097632
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138771
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】大島 学
(72)【発明者】
【氏名】井本 智幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊理
【テーマコード(参考)】
5E321
5E322
【Fターム(参考)】
5E321AA02
5E321BB53
5E321CC03
5E321GG05
5E322AA01
5E322AA11
5E322EA11
5E322FA04
(57)【要約】
【課題】電子機器の構造を変更することなく、放熱と、電子機器における電磁ノイズの更なる低減を実現する。
【解決手段】電子機器は、プリント基板と、前記プリント基板に実装された電子部品と、前記電子部品に熱的に接続されたヒートシンクと、前記電子部品と前記ヒートシンクとの間に配置された熱伝導部材と、前記電子部品と前記熱伝導部材との間に配置されたシート形状の金属部材と、前記電子部品と前記金属部材との間に配置され、前記金属部材を前記プリント基板に接触させないように、前記電子部品を覆って前記プリント基板に取り付けられたシート形状の絶縁体と、を備え、前記金属部材は、前記電子部品からの電磁ノイズと、前記金属部材の端部で少なくとも一回反射した前記電磁ノイズとが前記金属部材内で重なり合うことにより、前記電子部品からの電磁ノイズを低減可能に寸法が規定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板と、
前記プリント基板に実装された電子部品と、
前記電子部品に熱的に接続されたヒートシンクと、
前記電子部品と前記ヒートシンクとの間に配置された熱伝導部材と、
前記電子部品と前記熱伝導部材との間に配置されたシート形状の金属部材と、
前記電子部品と前記金属部材との間に配置され、前記金属部材を前記プリント基板に接触させないように、前記電子部品を覆って前記プリント基板に取り付けられたシート形状の絶縁体と、を備え、
前記金属部材は、前記電子部品からの電磁ノイズと、前記金属部材の端部で少なくとも一回反射した前記電磁ノイズとが前記金属部材内で重なり合うことにより、前記電子部品からの電磁ノイズを低減可能に寸法が規定される、
電子機器。
【請求項2】
前記絶縁体は、前記金属部材と前記プリント基板との間に静電結合が生じるように構成される、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記絶縁体は、前記金属部材を伝搬した前記電磁ノイズが、前記金属部材から前記プリント基板へと誘導されるように構成される、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
プリント基板と、
前記プリント基板に実装された電子部品と、
前記電子部品に熱的に接続されたヒートシンクと、
前記電子部品と前記ヒートシンクとの間に配置された熱伝導部材と、
前記電子部品と前記熱伝導部材との間に配置されたシート形状の金属部材と、
前記電子部品と前記金属部材との間に配置され、前記金属部材を前記プリント基板に接触させないように、前記電子部品を覆って前記プリント基板に取り付けられたシート形状の絶縁体と、を備え、
前記金属部材は、前記電子部品と対向する位置から少なくとも一方向に延伸した形状を有し、前記電子部品と対向する位置から前記金属部材の端部までの長さが、前記電子部品からの電磁ノイズの波長の四分の一である、
電子機器。
【請求項5】
前記絶縁体は、前記金属部材と前記プリント基板との間に静電結合が生じるように構成される、
請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記絶縁体は、前記金属部材を伝搬した前記電磁ノイズが、前記金属部材から前記プリント基板へと誘導されるように構成される、
請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記金属部材は、前記絶縁体が設置された範囲内において、円形状を有する、
請求項4に記載の電子機器。
【請求項8】
前記金属部材は、前記絶縁体が設置された範囲内において、前記電子部品と対向する位置から少なくとも二方向に延伸した形状を有する、
請求項4に記載の電子機器。
【請求項9】
前記金属部材は、前記絶縁体が設置された範囲内において、前記電子部品と対向する位置から少なくとも四方向に延伸した形状を有する、
請求項4に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器に搭載される集積回路等の電子部品の発熱および電子部品が放射する電磁ノイズへの種々の対策が提案されている。電子部品の発熱の対策として、ヒートシンクに熱を伝導させて放熱させる構造が知られている。また、電子部品から放射される電磁ノイズの対策として、電子部品を金属部材で覆い、金属部材をプリント基板のグランド層に接続する構造が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、電子部品とヒートシンクとの間に、プリント基板のグランド層と接続された金属部材が配置されたヒートシンク接続体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-84599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
金属部材をプリント基板のグランド層に接続するためには、プリント基板上にグランド端子等を設ける必要があり、プリント基板の設計の制約となっていた。また、プリント基板の設計を完了した後に、電磁ノイズ対策のためにグランド層に接続する金属部材を新たに追加することは困難である。
【0006】
本開示は、上述した従来の状況に鑑みて案出され、電子機器の構造を変更することなく、放熱と、電子機器における電磁ノイズの更なる低減を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、プリント基板と、前記プリント基板に実装された電子部品と、前記電子部品に熱的に接続されたヒートシンクと、前記電子部品と前記ヒートシンクとの間に配置された熱伝導部材と、前記電子部品と前記熱伝導部材との間に配置されたシート形状の金属部材と、前記電子部品と前記金属部材との間に配置され、前記金属部材を前記プリント基板に接触させないように、前記電子部品を覆って前記プリント基板に取り付けられたシート形状の絶縁体と、を備え、前記金属部材は、前記電子部品からの電磁ノイズと、前記金属部材の端部で少なくとも一回反射した前記電磁ノイズとが前記金属部材内で重なり合うことにより、前記電子部品からの電磁ノイズを低減可能に寸法が規定される、電子機器を提供する。
【0008】
また、本開示は、プリント基板と、前記プリント基板に実装された電子部品と、前記電子部品に熱的に接続されたヒートシンクと、前記電子部品と前記ヒートシンクとの間に配置された熱伝導部材と、前記電子部品と前記熱伝導部材との間に配置されたシート形状の金属部材と、前記電子部品と前記金属部材との間に配置され、前記金属部材を前記プリント基板に接触させないように、前記電子部品を覆って前記プリント基板に取り付けられたシート形状の絶縁体と、を備え、前記金属部材は、前記電子部品と対向する位置から少なくとも一方向に延伸した形状を有し、前記電子部品と対向する位置から前記金属部材の端部までの長さが、前記電子部品からの電磁ノイズの波長の四分の一である、電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、電子機器の構造を変更することなく、電子機器における放熱および電磁ノイズの更なる低減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施の形態に係る電子機器の構成を説明するための断面図(YZ平面図)
図2】本開示の一実施の形態に係る金属部材と絶縁体との関係を説明するための概略図(XY平面図)
図3】本開示の一実施の形態に係る金属部材とプリント基板との関係を説明するための概略図(YZ平面図)
図4】従来の構成例としての金属部材を用いない電子機器の構成を説明するための断面図(YZ平面図)
図5】従来の構成例における電磁ノイズの強度と周波数との関係を示すグラフ図
図6】本開示の一実施の形態に係る電子機器が放射する電磁ノイズの強度と周波数との関係を示すグラフ図
図7】従来の構成例における電子部品から放射された電磁ノイズの強度を説明するための概略図
図8】本開示の実施の形態1に係る金属部材の形状の一例を示す上面図(XY平面図)
図9】本開示の実施の形態1に係る金属部材におけるノイズ強度を説明するための概略図
図10】本開示の実施の形態2に係る金属部材の形状の一例を示す上面図(XY平面図)
図11】本開示の実施の形態3に係る金属部材の形状の一例を示す上面図(XY平面図)
図12】本開示の実施の形態4に係る金属部材の形状の一例を示す上面図(XY平面図)
図13】本開示の実施の形態5に係る金属部材の形状の一例を示す上面図(XY平面図)
図14】本開示の実施の形態5に係る金属部材におけるノイズ強度を説明するための概略図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明および実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0012】
図1は、本開示の一実施の形態に係る電子機器1の構成を説明するための断面図(YZ平面図)である。電子機器1は、プリント基板2、電子部品3、絶縁体4、金属部材5、熱伝導部材6およびヒートシンク7を備える構成である。なお、本明細書において、X軸、Y軸、Z軸から構成される三次元座標系を用いて説明し、各図において三次元座標系の向きは対応しているものとする。各図において、図中に示した座標系の矢印の向きを正とし、矢印の反対方向を負とする。なお、各軸の構成の設定は一例であり、これに限定するものではない。図1に示すように、プリント基板2に平行な平面をXY平面とする。XY平面に垂直な軸をZ軸とする。また、説明の便宜上、Z軸の正方向を「上面」、Z軸の負方向を「下面」と称する場合がある。本実施の形態では、図1に示すように、電子機器1を構成する各部位がZ軸に沿って層構造をなしている。
【0013】
プリント基板2は、各種電子部品が実装可能に設計された基板であり、導体配線(不図示)が施され、グランド端子等の端子やビア等が設けられる。図1に示すように、プリント基板2には電子部品3が実装される。また、図1には示していないが、複数の電子部品3および、電子部品3以外の各種電子部品が実装されていてよい。
【0014】
電子部品3は、プリント基板2上に実装される。電子部品3の例として、集積回路(Integrated Circuit(以下、「IC」と称する))およびembedded Multi Media Card(以下、「eMMC」と称する)等が挙げられる。電子部品3は、自身の動作に伴い発熱し、また電磁ノイズを放射する。つまり、電子部品3は、発熱体であり、ノイズ源でもある。なお、電子部品3が発する熱あるいは電磁ノイズは、電子部品3の仕様あるいは動作状況などによって変動しうる。電子部品3から発せられた熱は、絶縁体4、金属部材5、熱伝導部材6、ヒートシンク7の順に伝導し、ヒートシンク7から放熱される。また、本開示の一実施の形態に係る電子機器1では、電子部品3から放射される電磁ノイズが、例えば、ヒートシンク7へ伝搬することを低減させることを目的として金属部材5を設けている。本実施の形態に係る構成に基づくノイズの低減の詳細については後述する。
【0015】
絶縁体4は、シート状またはフィルム状に構成され、電子部品3に接触するように電子部品3の上面に配置され、電子部品3を覆ってプリント基板2の上面に取り付けられる。絶縁体4の寸法は、金属部材5とプリント基板2とを絶縁するために、金属部材5とプリント基板2とが接触しない寸法に規定される。また、絶縁体4には低熱収縮処理が施されていてよい。これにより、電子部品3で発生する熱あるいは電子機器1の外部からの熱による絶縁体4の寸法変化等の影響を抑えられる。絶縁体4は、例えばポリエステルによって構成される。なお、絶縁体4、および後述の金属部材5、熱伝導部材6等については、位置固定の目的で粘着剤が用いられ得るが、ここでは省略して説明する。
【0016】
金属部材5は、絶縁体4に接触するように、絶縁体4の上面に配置される。絶縁体4によって、金属部材5はプリント基板2に接触しないように配置される。金属部材5は、例えばシート状に構成される。金属部材5は、シート状に構成される場合、例えば厚さ50μm程度に構成されてよい。本明細書において、金属部材5はシート状であるとして説明する。金属部材5は、電子部品3で発生した熱が効率的にヒートシンク7に伝導されるように、熱伝導性を有することが好ましい。金属部材5は、例えばアルミニウムによって構成される。また、金属部材5の寸法は、電子部品3からの電磁ノイズが、金属部材内での当該電磁ノイズの反射波により低減されるように規定される。金属部材5の形状の具体的な例は、図8図10図11図12および図13を用いて後述する。
【0017】
熱伝導部材6は、金属部材5に接触するように、金属部材5の上面に配置される。熱伝導部材6は、例えばシート状あるいはブロック状に構成される。熱伝導部材6は、電子部品3で発生した熱が効率的にヒートシンク7に伝導されるように、熱伝導性を有することが好ましい。また、熱伝導部材6は、電子部品3から放射された電磁ノイズがヒートシンク7に伝搬されないように、絶縁性あるいは電気抵抗を有することが好ましい。熱伝導部材6は、例えばシリコーンゴムによって構成される。
【0018】
ヒートシンク7は、熱伝導部材6に接触するように、熱伝導部材6の上面に配置される。ヒートシンク7は、電子部品3で発生した熱を放熱する。なお、ヒートシンク7の形状は図1に限定されず、例えば放熱効果を高めるためにフィンを有するように構成されてもよい。ヒートシンク7は、例えばアルミニウム等の金属によって構成される。
【0019】
図2は、本開示の一実施の形態に係る金属部材5と絶縁体4との関係を説明するための概略図(XY平面図)である。図2に示すように、プリント基板2の上面に絶縁体4が配置され、絶縁体4の上面に金属部材5が配置されている。なお、電子部品3がプリント基板2と絶縁体4との間に配置されている。また、金属部材5は絶縁体4によって電子部品3と接触しないが、絶縁体4越しに電子部品3を覆うように配置される。
【0020】
説明の便宜上、図2において、金属部材5および絶縁体4は矩形形状、より具体的には長方形であるとする。図2において、金属部材5のX軸方向の長さはL1、Y軸方向の長さはL2である。また、絶縁体4のX軸方向の長さはL3、Y軸方向の長さはL4である。図2の例では、L1<L3かつL2<L4である。金属部材5がプリント基板2と接触しないためには、L1<L3かつL2<L4である必要がある。すなわち、金属部材5の寸法は絶縁体4の寸法の範囲内で規定される。これは、金属部材5および絶縁体4の形状が、図2の例のような長方形とは異なる場合も同様である。なお、金属部材5は、プリント基板2上に実装された回路(不図示)とも接触しない。
【0021】
図3は、本開示の一実施の形態に係る金属部材5とプリント基板2との関係を説明するための概略図(YZ平面図)である。なお、説明の便宜上、図3では絶縁体4を省略している。金属部材5とプリント基板2とは、両者の間に電子部品3が存在する部分は、電子部品3によって互いに接触していない。また、図1に示したように、両者の間に電子部品3が存在しない、金属部材5の端の方も、金属部材5の下面に絶縁体4が存在するため、両者は互いに接触していない。したがって、図3に示すように、金属部材5とプリント基板2との間は、少なくとも距離L5だけ離れている。言い換えると、金属部材5とプリント基板2とは、少なくとも絶縁体4の厚さの分だけ離れている。これにより、金属部材5とプリント基板2との間の隔離空間が仮想的なコンデンサとなり、静電容量を発生させる。すなわち、金属部材5とプリント基板2とが静電結合する。このとき、電磁ノイズが金属部材5内を伝搬する際に発生する電界は、金属部材5とプリント基板2との間で閉じるため、電磁ノイズは金属部材5から電子機器1の外部に漏出するよりも、プリント基板2の方に誘導される。したがって、電磁ノイズが金属部材5から電子機器1の外部に漏出することを抑制できる。L5が小さいほど静電結合が強くなるため、金属部材5とプリント基板2とはできるだけ近接していることが好ましい。すなわち、絶縁体4の厚さは薄い方が好ましい。例えば、絶縁体4の厚さは50μm程度であってもよい。
【0022】
本実施の形態に係る電磁ノイズの低減対策を説明するに際し、まず、図4および図5を用いて、従来の構成例における金属部材5を用いない場合の電磁ノイズの強度について説明する。図4は、従来の構成例としての電子機器10の構成を説明するための断面図(YZ平面図)である。電子機器10は、プリント基板2、電子部品3、熱伝導部材6およびヒートシンク7を備える構成である。電子機器10は、図1に示した電子機器1とは異なり、絶縁体4および金属部材5を備えていない。したがって、電子部品3から放射された電磁ノイズを金属部材5により低減することができない。
【0023】
図5は、従来の構成例における電子機器10から放射される電磁ノイズの強度と周波数との関係を示すグラフ図である。図5において、縦軸は電磁ノイズの電界強度の値を示し、横軸は電磁ノイズの周波数の値を示す。グラフ21は、測定された電磁ノイズに対応する。グラフ22は周波数に関わらず所定の電界強度の値を示す。グラフ21が示す電界強度の値が、任意の周波数においてグラフ22が示す電界強度の値を超えない場合、電子機器10は、外部の電子機器等へ電磁的な影響を及ぼさないための性能(Electro Magnetic Interference(以下、「EMI」と称する)特性)を備えている。このような性能は、電子機器の実用に際して必要な性能である。グラフ22が示す電界強度の値は、電磁ノイズが許容可能か否かを判定するためのしきい値である。図5の例では、グラフ22は電界強度がA1dBμV/mであることを示す。グラフ21が示す電界強度の値は、周波数が例えば2465MHz~2485MHzの範囲でA1dBμV/m以上であるため、電子機器10は必要な性能を備えていないことが分かる。なお、図5に示した電界強度、周波数、周波数の範囲、グラフ21およびグラフ22は一例であり、これに限定する意図ではない。
【0024】
図6は、本開示の一実施の形態に係る電子機器1から放射される電磁ノイズの強度と周波数との関係を示すグラフ図である。図5と同様、図6において、縦軸は電磁ノイズの電界強度の値を示し、横軸は電磁ノイズの周波数の値を示す。また、グラフ31は測定された電磁ノイズに対応し、グラフ32は電界強度のしきい値を示す。図6の例では、グラフ32は電界強度がA1dBμV/mであることを示す。グラフ31が示す電界強度の値は、全周波数範囲でA1dBμV/m未満であるため、電子機器1から放射される電磁ノイズの強度は許容範囲内であることが分かる。また、図5図6とに示したグラフ図から、金属部材5を用いることにより、電磁ノイズが低減されていることが分かる。なお、図6に示した電界強度、周波数、周波数の範囲、グラフ31およびグラフ32は一例であり、これに限定する意図ではない。
【0025】
図7は、電子部品41から放射された電磁ノイズの強度を説明するための概略図である。図7では、Y軸方向の変位とX軸方向の変位をそれぞれ縦軸および横軸とし、電子部品41から放射された電磁ノイズの電界強度を網点のグラデーションで表している。ここでは、電子部品41を上面から見ているものとして説明する。また、凡例に示すように、網点のグラデーションを7段階に分けて説明する。ここで、凡例に示す電界強度E1およびE2の関係は、E1>E2である。すなわち、電界強度は網点のグラデーションが濃い方が強く、薄い方が弱い。なお、グラデーションの濃さが7段階のうち濃い方の3つの場合、電界強度は強く、中間の1つの場合電界強度は中程度であり、薄い方の3つの場合電界強度は弱いとして説明する。本明細書において、電磁ノイズは電子部品の中心部から放射されるものとして説明する。図7の例では、電磁ノイズは、電子部品41の中心部42から放射される。図7の例では、中心部42付近での網点のグラデーションが最も濃く、電磁ノイズの電界強度が中心部42付近で最も強いことが示されている。一方、電子部品41から離れるほど網点のグラデーションが薄くなり、電磁ノイズの電界強度が電子部品41から離れるほど弱くなることが示されている。電子部品41内において、網点のグラデーションが濃い部分と薄い部分とが交互に生じている箇所がある。これは、電磁ノイズが重なり合うことで、電界強度が強まっている、あるいは、弱まっていることを示す。なお、電磁ノイズの電界強度E1およびE2は、具体的な値を限定する意図ではない。同様に、電磁ノイズの周波数の具体的な値は限定されない。
【0026】
本明細書において、説明の便宜上、図7を用いて説明したように、電子部品の中心部がノイズ源として電磁ノイズを放射するものとする。しかしこれに限定する意図ではなく、電子部品全体がノイズ源となってよい。すなわち、電子部品の一部(例えば、中心部)をノイズ源とみなすのではなく、電子部品全体をノイズ源とみなしてもよい。図5および図6を用いて説明したように、金属部材を用いた電磁ノイズの低減を行わない場合、電磁ノイズが外部の電子機器等に悪影響を及ぼし得る。以下、図8から図14を用いて、金属部材による電磁ノイズの低減について説明する。
【0027】
(実施の形態1)
図8に、実施の形態1に係る金属部材50を示す。金属部材50の下面には、絶縁体(不図示)、電子部品51、プリント基板(不図示)が存在し、金属部材50の上面には、熱伝導部材(不図示)、ヒートシンク(不図示)が存在する。説明のため、電子部品51が存在する部分を網点で表している。金属部材50は、電子部品51と対向する位置からY軸の負方向に延伸する延伸部53とを有する。
【0028】
続いて、電磁ノイズの伝搬経路と、電磁ノイズが低減される場合について説明する。電子部品51の中心部から放射された電磁ノイズが金属部材50に伝搬する際、金属部材50の範囲内のうち、まず電子部品51の中心部と同一Z軸上の擬ノイズ源52に到達する。図3を用いて説明したように、金属部材と電子部品との間に存在する絶縁体は薄いことが好ましい。この場合、電子部品の中心部(ノイズ源)と金属部材とのZ軸方向の距離は小さいと考えられる。したがって、本明細書では、金属部材で電磁ノイズが初めに到達する部分を、金属部材のノイズ源として擬ノイズ源と称する。ここで、擬ノイズ源52に到達した電磁ノイズは、そのまま上面(言い換えると、ヒートシンクが存在する方向)に向かって伝搬するものと、金属部材50内の全方向に伝搬するものとに分かれる。金属部材50内を伝搬する電磁ノイズのうち経路54を辿る電磁ノイズは、延伸部53を伝搬して金属部材50の端部55に向かって伝搬する。端部55に到達した電磁ノイズは、端部55で反射して擬ノイズ源52に還る。電磁ノイズは連続的に電子部品51から放射されるため、端部55で反射して擬ノイズ源52に還った電磁ノイズと、当該電磁ノイズが放射された後に新たに放射された電磁ノイズとは、擬ノイズ源52で重なり合う。擬ノイズ源52で重なり合う両電磁ノイズの位相が互いに反転している場合、両電磁ノイズは打ち消し合う。このとき、金属部材50からヒートシンクに伝搬する電磁ノイズが減るため、ヒートシンクからの電磁ノイズを低減することができる。以下、金属部材の延伸部の端部で反射し、擬ノイズ源に還る電磁ノイズを第1電磁ノイズと称し、第1電磁ノイズが電子部品から放射された後に、新たに電子部品から放射される電磁ノイズを第2電磁ノイズと称することがある。
【0029】
経路54上を伝搬する第1電磁ノイズの位相と第2電磁ノイズの位相とを擬ノイズ源52において反転させるためには、擬ノイズ源52と端部55との間の長さL6が、電磁ノイズの波長の四分の一となればよい。これにより、擬ノイズ源52に還った当該第1電磁ノイズの位相は、電子部品51から擬ノイズ源52に到達した第2電磁ノイズの位相に対して半波長ずれることとなる。したがって、当該第1電磁ノイズの位相と第2電磁ノイズの位相とが反転した状態となり、共に打ち消し合う。このように、電磁ノイズが金属部材50内で打ち消し合うように金属部材50の寸法(形状)を決定することで、ヒートシンク側に伝搬する電磁ノイズを減らし、更にはヒートシンクからの電磁ノイズを低減することができる。なお、電磁ノイズの低減に関する説明の便宜上、電磁ノイズの金属部材50内での伝搬経路として経路54に着目した。しかし、電磁ノイズは金属部材50内において経路54以外の伝搬経路も辿り得る。
【0030】
図9は、実施の形態1に係る金属部材50内の電磁ノイズの強度を説明するための概略図である。図7と同様に、電磁ノイズの電界強度を網点のグラデーションで表している。電磁ノイズの電界強度とグラデーションの濃淡との関係もまた、図7と同様である。図9において、金属部材50を上面から見ているものとして説明する。図8を用いて説明したように、金属部材50の寸法は、擬ノイズ源52で重なり合う第1電磁ノイズと第2電磁ノイズとが、互いに打ち消し合うように規定されている。図9から、図7に示した電子部品41の中心部42付近の電界強度と比較して、擬ノイズ源52付近の電界強度が下がっていることが分かる。一方、図9には、延伸部53の特に端部に近づくにつれて、電磁ノイズの電界強度が大きくなっていることが示されている。図3を用いて説明したように、金属部材50とプリント基板2とが静電結合している場合、金属部材50から電子機器の外部に電磁ノイズが漏出する可能性は低い。しかしながら、電磁ノイズは金属部材50全体において低減できることが好ましい。
【0031】
以上、本実施の形態により、電子機器は、プリント基板と、プリント基板に実装された電子部品と、電子部品に熱的に接続されたヒートシンクと、電子部品とヒートシンクとの間に配置された熱伝導部材と、電子部品と熱伝導部材との間に配置されたシート形状の金属部材と、電子部品と金属部材との間に配置され、金属部材をプリント基板に接触させないように、電子部品を覆ってプリント基板に取り付けられたシート形状の絶縁体と、を備え、金属部材は、電子部品と対向する位置から少なくとも一方向に延伸した形状を有し、電子部品と対向する位置から金属部材の端部までの長さが、電子部品からの電磁ノイズの波長の四分の一である。
【0032】
これにより、金属部材内で電磁ノイズを低減できるため、電子機器の構造を変更することなく、電子機器における放熱および電磁ノイズの更なる低減を実現することが可能となる。
【0033】
また、絶縁体は、金属部材とプリント基板との間に静電結合が生じるように構成される。また、絶縁体は、金属部材を伝搬した電磁ノイズが、金属部材からプリント基板へと誘導されるように構成される。
【0034】
これにより、電子機器の外部に漏出する電磁ノイズの更なる低減を実現することが可能となる。
【0035】
(実施の形態2)
実施の形態1では、電子部品51と対向する位置から一方向に延伸した形状の金属部材50について説明した。一方、実施の形態2においては、電子部品61と対向する位置から二方向に延伸した形状の金属部材60について説明する。なお、実施の形態2に係る金属部材60の説明において、実施の形態1に係る金属部材50と同一の内容の説明は簡略化あるいは省略し、差分に着目して説明する。これは、後述する実施の形態3、実施の形態4および実施の形態5についても同様である。
【0036】
図10に、実施の形態2に係る金属部材60を示す。金属部材60は、電子部品61と対向する位置からY軸の正方向に延伸した延伸部63Aと、電子部品61と対向する位置からY軸の負方向に延伸した延伸部63Bとを有する。電子部品から放射され、擬ノイズ源62に到達した電磁ノイズのうち一部は、擬ノイズ源62から金属部材60内の全方向に伝搬する。ここで、擬ノイズ源62と端部65Aとの間の長さL7が電磁ノイズの波長の四分の一である場合、経路64Aを伝搬する第1電磁ノイズが擬ノイズ源62に還った際の位相は、第2電磁ノイズの位相と反転した状態となる。したがって、擬ノイズ源62で第2電磁ノイズと打ち消し合う。同様に、擬ノイズ源62と端部65Bとの間の長さL8が電磁ノイズの波長の四分の一である場合、経路64Bを伝搬する第1電磁ノイズは、擬ノイズ源62で第2電磁ノイズと打ち消し合う。このように、電子部品61と対向する位置から二方向に延伸した形状の金属部材60は、第2電磁ノイズと打ち消し合う第1電磁ノイズが伝搬する経路が二つ存在し得るため、電子部品51と対向する位置から一方向に延伸した形状の金属部材50と比較して、電磁ノイズの更なる低減効果が期待できる。
【0037】
以上、本実施の形態により、金属部材は、絶縁体が設置された範囲内において、電子部品と対向する位置から少なくとも二方向に延伸した形状を有する。
【0038】
これにより、金属部材内で電磁ノイズの更なる低減を実現することが可能となる。
【0039】
(実施の形態3)
実施の形態3では、電子部品71と対向する位置から四方向に延伸した形状の金属部材70について説明する。図11に、実施の形態3に係る金属部材70を示す。金属部材70は、電子部品71と対向する位置からY軸の正方向に延伸した延伸部73Aと、電子部品71と対向する位置からX軸の負方向に延伸した延伸部73Bと、電子部品71と対向する位置からY軸の負方向に延伸した延伸部73Cと、電子部品71と対向する位置からX軸の正方向に延伸した延伸部73Dとを有する。電子部品から放射された電磁ノイズは、擬ノイズ源72に到達した後、擬ノイズ源72から金属部材70内の全方向(ここでは、4つの方向)に伝搬する。ここで、擬ノイズ源72と端部75Aとの間の長さL9が電磁ノイズの波長の四分の一である場合、経路74Aを伝搬する第1電磁ノイズが擬ノイズ源72に還った際の位相は、第2電磁ノイズの位相と反転した状態となる。したがって、擬ノイズ源72で第2電磁ノイズと打ち消し合う。同様に、擬ノイズ源72と端部75Bとの間の長さL10が電磁ノイズの波長の四分の一である場合、経路74Bを伝搬する第1電磁ノイズは、擬ノイズ源72で第2電磁ノイズと打ち消し合う。同様に、擬ノイズ源72と端部75Cとの間の長さL11が電磁ノイズの波長の四分の一である場合、経路74Cを伝搬する第1電磁ノイズは、擬ノイズ源72で第2電磁ノイズと打ち消し合う。同様に、擬ノイズ源72と端部75Dとの間の長さL12が電磁ノイズの波長の四分の一である場合、経路74Dを伝搬する第1電磁ノイズは、擬ノイズ源72で第2電磁ノイズと打ち消し合う。このように、電子部品71と対向する位置から四方向に延伸した形状の金属部材70は、第2電磁ノイズと打ち消し合う第1電磁ノイズが伝搬する経路が四つ存在し得るため、電子部品61と対向する位置から二方向に延伸した形状の金属部材60と比較して、電磁ノイズの更なる低減効果が期待できる。
【0040】
以上、本実施の形態により、金属部材は、絶縁体が設置された範囲内において、電子部品と対向する位置から少なくとも四方向に延伸した形状を有する。
【0041】
これにより、金属部材内で電磁ノイズの更なる低減を実現することが可能となる。
【0042】
(実施の形態4)
実施の形態4では、電子部品81と対向する位置から全方向に延伸した形状の金属部材80について説明する。図12に、実施の形態4に係る金属部材80を示す。金属部材80は、擬ノイズ源82を中心とした、半径がL13の円状である。言い換えると、金属部材80は、擬ノイズ源82から全方向に一定の長さだけ延伸した延伸部を有する。電子部品から放射された電磁ノイズは、擬ノイズ源82に到達した後、擬ノイズ源82から金属部材80内の全方向に伝搬する。ここで、擬ノイズ源82と金属部材80の端部84との間の長さL13が電磁ノイズの波長の四分の一である場合、経路83を伝搬する第1電磁ノイズが擬ノイズ源82に還った際の位相は、第2電磁ノイズの位相と反転した状態となる。また、金属部材80は擬ノイズ源82を中心とした円状であるため、経路83を伝搬する第1電磁ノイズに限らず、金属部材80の端部で反射した全ての第1電磁ノイズの位相は、擬ノイズ源82において第2電磁ノイズの位相と反転する。したがって、全方向からの第1電磁ノイズが擬ノイズ源82で第2電磁ノイズと打ち消し合う。このように、電子部品81と対向する位置から全方向に延伸した形状の金属部材80において、擬ノイズ源82から金属部材80内の全方向に伝搬した全ての第1電磁ノイズは、擬ノイズ源82に還った際に第2電磁ノイズと打ち消し合う。そのため、電子部品71と対向する位置から四方向に延伸した形状の金属部材70と比較して、電磁ノイズの更なる低減効果が期待できる。
【0043】
以上、本実施の形態により、金属部材は、絶縁体が設置された範囲内において、円形状を有する。
【0044】
これにより、金属部材内で電磁ノイズの更なる低減を実現することが可能となる。
【0045】
(実施の形態5)
上記の実施の形態1~4では、金属部材の擬ノイズ源と延伸部の端部との間の長さが電磁ノイズの波長の四分の一となるように金属部材の寸法が規定された。すなわち、金属部材の擬ノイズ源と延伸部の端部との間の長さが一定となっていた。一方、実施の形態5においては、金属部材の寸法は、金属部材の擬ノイズ源と延伸部の端部との間の長さが一定でなくても、金属部材内で電磁ノイズが低減されるように決定される。すなわち、金属部材の擬ノイズ源を基準とした金属部材の端部までの長さは、方向に応じて異なっていてよい。そのような金属部材の寸法は、例えばコンピュータ等で電磁ノイズの軌道解析が行われることにより決定される。電磁ノイズの軌道解析は、例えばComputer Aided Engineering(以下、「CAE」と称する)等により行われる。
【0046】
図13は、実施の形態5に係る金属部材90を示す。金属部材90は、電子部品91と対向する位置からX軸の正方向および負方向、Y軸の正方向および負方向に所定の長さだけ延伸している。電子部品91から擬ノイズ源92に伝搬した後、擬ノイズ源92から金属部材90内を伝搬する第1電磁ノイズは、例えば経路93上を伝搬する。経路93上を伝搬する第1電磁ノイズは、金属部材90の端部94Aで反射した後、端部94Bで反射する。当該第1電磁ノイズは、その後1回または複数回の反射を繰り返して、擬ノイズ源92に還る。ここで、経路93を伝搬して擬ノイズ源92に還った当該第1電磁ノイズの位相と、第2電磁ノイズの位相とは、反転した状態となっていてもよいし、反転した状態となっていなくてもよい。経路93以外の経路を伝搬する第1電磁ノイズも含めた複数の第1電磁ノイズと、第2電磁ノイズとが打ち消し合えばよく、そのような効果を得られる金属部材90の寸法が、電磁ノイズの軌道解析によって決定されてよい。
【0047】
図14は、実施の形態5に係る金属部材90内の電磁ノイズの強度を説明するための概略図である。図7および図9と同様に、電磁ノイズの電界強度を網点のグラデーションで表しており、電磁ノイズの電界強度とグラデーションの濃淡との関係もまた、図7および図9と同様である。金属部材90内における電磁ノイズの電界強度は、電子部品91と重なる部分は弱く、それ以外の部分は主に中程度である。したがって、金属部材90内における電磁ノイズの電界強度は、図9に示した、電子部品51と対向する位置から一方向に延伸した形状の金属部材50の場合と比較して全体的に弱くなっている。特に、電子部品91と重なる部分の電界強度が弱くなっていることにより、ヒートシンクに伝搬する電磁ノイズの更なる低減効果が期待できる。また、金属部材50の場合は、延伸部53の端の方の電界強度が強くなっていた。しかし、金属部材90の場合は、電子部品91と重なる部分以外の電界強度は、主に中程度である。したがって、金属部材90から電子機器の外部に電磁ノイズが漏出する可能性も、より低くなっている。
【0048】
以上、本実施の形態により、電子機器は、プリント基板と、プリント基板に実装された電子部品と、電子部品に熱的に接続されたヒートシンクと、電子部品とヒートシンクとの間に配置された熱伝導部材と、電子部品と熱伝導部材との間に配置されたシート形状の金属部材と、電子部品と金属部材との間に配置され、金属部材をプリント基板に接触させないように、電子部品を覆ってプリント基板に取り付けられたシート形状の絶縁体と、を備え、金属部材は、電子部品からの電磁ノイズと、金属部材の端部で少なくとも一回反射した電磁ノイズとが金属部材内で重なり合うことにより、電子部品からの電磁ノイズを低減可能に寸法が規定される。
【0049】
これにより、金属部材内で電磁ノイズを低減できるため、電子機器の構造を変更することなく、電子機器における放熱および電磁ノイズの更なる低減を実現することが可能となる。特に、電磁ノイズの波長に関わらず、電磁ノイズ低減のための金属部材の寸法を規定することが可能となる。
【0050】
(本開示のまとめ)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
【0051】
<技術1>
電子機器は、プリント基板と、プリント基板に実装された電子部品と、電子部品に熱的に接続されたヒートシンクと、電子部品とヒートシンクとの間に配置された熱伝導部材と、電子部品と熱伝導部材との間に配置されたシート形状の金属部材と、電子部品と金属部材との間に配置され、金属部材をプリント基板に接触させないように、電子部品を覆ってプリント基板に取り付けられたシート形状の絶縁体と、を備え、金属部材は、電子部品からの電磁ノイズと、金属部材の端部で少なくとも一回反射した電磁ノイズとが金属部材内で重なり合うことにより、電子部品からの電磁ノイズを低減可能に寸法が規定される。
【0052】
これにより、金属部材内で電磁ノイズを低減できるため、電子機器の構造を変更することなく、電子機器における放熱および電磁ノイズの更なる低減を実現することが可能となる。特に、電磁ノイズの波長に関わらず、電磁ノイズ低減のための金属部材の寸法を規定することが可能となる。
【0053】
<技術2>
絶縁体は、技術1に記載の電子機器において、金属部材とプリント基板との間に静電結合が生じるように構成されてよい。
【0054】
これにより、電子機器の外部に漏出する電磁ノイズの更なる低減を実現することが可能となる。
【0055】
<技術3>
絶縁体は、技術2に記載の電子機器において、金属部材を伝搬した電磁ノイズが、金属部材からプリント基板へと誘導されるように構成されてよい。
【0056】
これにより、電子機器の外部に漏出する電磁ノイズの更なる低減を実現することが可能となる。
【0057】
<技術4>
電子機器は、プリント基板と、プリント基板に実装された電子部品と、電子部品に熱的に接続されたヒートシンクと、電子部品とヒートシンクとの間に配置された熱伝導部材と、電子部品と熱伝導部材との間に配置されたシート形状の金属部材と、電子部品と金属部材との間に配置され、金属部材をプリント基板に接触させないように、電子部品を覆ってプリント基板に取り付けられたシート形状の絶縁体と、を備え、金属部材は、電子部品と対向する位置から少なくとも一方向に延伸した形状を有し、電子部品と対向する位置から金属部材の端部までの長さが、電子部品からの電磁ノイズの波長の四分の一である。
【0058】
これにより、金属部材内で電磁ノイズを低減できるため、電子機器の構造を変更することなく、電子機器における放熱および電磁ノイズの更なる低減を実現することが可能となる。
【0059】
<技術5>
絶縁体は、技術4に記載の電子機器において、金属部材とプリント基板との間に静電結合が生じるように構成されてよい。
【0060】
これにより、電子機器の外部に漏出する電磁ノイズの更なる低減を実現することが可能となる。
【0061】
<技術6>
絶縁体は、技術5に記載の電子機器において、金属部材を伝搬した電磁ノイズが、金属部材からプリント基板へと誘導されるように構成されてよい。
【0062】
これにより、電子機器の外部に漏出する電磁ノイズの更なる低減を実現することが可能となる。
【0063】
<技術7>
金属部材は、技術4から6のうちいずれか1つに記載の電子機器において、絶縁体が設置された範囲内において、円形状を有してよい。
【0064】
これにより、金属部材内で電磁ノイズの更なる低減を実現することが可能となる。
【0065】
<技術8>
金属部材は、技術4から6のうちいずれか1つに記載の電子機器において、絶縁体が設置された範囲内において、電子部品と対向する位置から少なくとも二方向に延伸した形状を有してよい。
【0066】
これにより、金属部材内で電磁ノイズの更なる低減を実現することが可能となる。
【0067】
<技術9>
金属部材は、技術4から6および技術8のうちいずれか1つに記載の電子機器において、絶縁体が設置された範囲内において、電子部品と対向する位置から少なくとも四方向に延伸した形状を有してよい。
【0068】
これにより、金属部材内で電磁ノイズの更なる低減を実現することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本開示の技術は、電子機器として有用である。
【符号の説明】
【0070】
1、10 電子機器
2 プリント基板
3、41、51、61、71、81、91 電子部品
4 絶縁体
5、50、60、70、80、90 金属部材
6 熱伝導部材
7 ヒートシンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14