(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179104
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】電気的接続装置用プローブ
(51)【国際特許分類】
G01R 1/067 20060101AFI20241219BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20241219BHJP
【FI】
G01R1/067 C
G01R31/26 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097653
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(72)【発明者】
【氏名】竹谷 敏永
(72)【発明者】
【氏名】岸 康貴
【テーマコード(参考)】
2G003
2G011
【Fターム(参考)】
2G003AG03
2G003AG12
2G003AH08
2G011AA02
2G011AB01
2G011AC14
(57)【要約】
【課題】フット部11とアーム部13との連結強度を高め、且つレーザ照射時における放熱を抑制することが可能な電気的接続装置用プローブを提供する。
【解決手段】第1の方向に延在する長尺形状をなし、プローブ基板に接合する接合部11aを有するフット部11と、フット部11の一端部近傍において、第1の方向に対して交差する方向に延在する支持部材12a、及び、支持部材12aの任意の点から、フット部11の他端部ないし中心部の間の点とを連結する斜辺部材12bを備えたアーム支持部12を備える。更に、固定端と自由端を有し、自由端の先端に検査対象物に接触する接触部13cが形成され、固定端がアーム支持部12に連結されたカンチレバー構造のアーム部13を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的接続装置に用いられるプローブであって、
第1の方向に延在する長尺形状をなし、プローブ基板に接合する接合部を有するフット部と、
前記フット部の一端部近傍において、前記第1の方向に対して交差する方向に延在する支持部材、及び、前記支持部材の任意の点から、前記フット部の他端部ないし中心部の間の点とを連結する斜辺部材、を備えたアーム支持部と、
固定端と自由端を有し、前記自由端の先端に検査対象物に接触する接触部が形成され、前記固定端が前記アーム支持部に連結されたカンチレバー構造のアーム部と、
を備えた電気的接続装置用プローブ。
【請求項2】
前記斜辺部材は、前記フット部の中心部に連結されている
請求項1に記載の電気的接続装置用プローブ。
【請求項3】
前記斜辺部材は、前記フット部の他端部に連結されている
請求項1に記載の電気的接続装置用プローブ。
【請求項4】
前記斜辺部材は、中央部から前記フット部の接続点に向かうにつれて、幅が徐々に広がっている
請求項1~3のいずれか1項に記載の電気的接続装置用プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的接続装置に搭載されるプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路などの検査対象物を検査するため、検査対象物に接触させるプローブを備えた電気的接続装置が用いられている。電気的接続装置を用いた検査では、プローブの一方の端部に形成された接触部を検査対象物の電極端子に接触させる。プローブの他方の端部を、配線パターンを介してテスタなどの検査装置に接続する。検査装置による検査では、プローブを介して検査対象物と検査装置との間で電気信号を送受信することにより、検査対象物の良否を判定することができる。
【0003】
電気的接続装置の製造においては、複数のプローブを位置合わせするために、プローブ基板に設けられた複数の接合パッドに、各プローブのフット部に形成された接合部を押し当てて接合する。接合パッドとプローブとの接合には、レーザによる熱を利用する半田付けが採用される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
プローブは、長尺形状のフット部と、該フット部の一端側において弾性的に連結されたアーム部を有している。詳細には、アーム部はフット部の一端に直交する方向に延在する支持部材に連結されている。アーム部には、検査対象物の電極端子に接触する接触部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来におけるプローブは、フット部に対してアーム部が支持部材を介して弾性的に連結している。このため、接触部が端子に接するときの圧力によるモーメントが支持部材に作用し、支持部材が強度的に弱い場合にはアーム部が破損する可能性がある。従って、支持部材の断面積を大きくして強度を高めることが望まれる。
【0007】
また、近年は検査DUT(Device Under Test)数が多くなるにつれてプローブの高密度化が求められプローブ全体が小型化傾向でありアーム部が従来よりも短くなる場合がある。この場合において、接触部が端子に接するときの圧力によるモーメントが従来よりも大きくなり、支持部材の断面積を大きくして強度を高めることが望まれる場合が考えられる。
【0008】
一方、プローブを半田付けする際には、プローブの支持部材側から接合部に向けてレーザを照射する。支持部材の断面積を大きくすると、レーザ照射時に発生する熱の多くが支持部材を通って放熱されてしまい、レーザによる半田付けの効率が低下するという問題が生じる。即ち、支持部材の強度を高めることと、レーザ照射時における放熱を回避することは二律背反であり、双方を実現することが難しいという問題があった。
【0009】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、フット部とアーム部との連結強度を高め、且つレーザ照射時における放熱を抑制することが可能な電気的接続装置用プローブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る電気的接続装置用プローブは、電気的接続装置に用いられるプローブであって、第1の方向に延在する長尺形状をなし、プローブ基板に接合する接合部を有するフット部と、前記フット部の一端部近傍において、前記第1の方向に対して交差する方向に延在する支持部材、及び、前記支持部材の任意の点から、前記フット部の他端部ないし中心部の間の点とを連結する斜辺部材、を備えたアーム支持部と、固定端と自由端を有し、前記自由端の先端に検査対象物に接触する接触部が形成され、前記固定端が前記アーム支持部に連結されたカンチレバー構造のアーム部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フット部とアーム部との連結強度を高め、且つレーザ照射時における放熱を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1実施例に係るプローブの側面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したプローブの変形例を示す側面図である。
【
図3】
図3は、第2実施例に係るプローブの側面図である。
【
図4】
図4は、第3実施例に係るプローブの側面図である。
【
図5】
図5は、第1比較例に係るプローブの側面図である。
【
図6】
図6は、第2比較例に係るプローブの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置を例示するものであって、本発明の実施形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置などを下記のものに特定するものではない。
【0014】
[第1実施例]
図1は、第1実施例に係る電気的接続装置用プローブ1(以下、「プローブ1」と略す)の側面図である。
図1に示すように、プローブ1は、フット部11と、アーム支持部12と、アーム部13とを備えている。プローブ1は、紙面に直交する方向に所望の厚みを有する平板形状を有している。プローブ1は、電気的接続装置に搭載されるものであり導電性材料で形成されている。プローブ1は、後述するように接合部11aをプローブ基板に連結し、接触部13cを検査対象物の電極端子に接触させることにより、検査対象物の電極端子とプローブ基板とを電気的に接続する。
【0015】
フット部11は、長尺形状を成している。以下では、フット部11が延在する方向(図中、左右方向)を第1の方向とする。また、接触部13cの先端方向を下方、その反対側を上方とする。即ち、図面の上下方向をそれぞれプローブ1の上方、下方とする。
【0016】
フット部11には、一辺に沿って接合部11aが形成されている。接合部11aをプローブ基板(図示省略)に設けられた接合パッドに接合することにより、プローブ1とプローブ基板を電気的に接続することができる。
【0017】
接合部11aは、フット部11の上辺から上方向に突出する凸部形状に形成され、例えば、斜辺部材12bの上端部の上側に位置する。なお、接合部11aは斜辺部材12bの上端部の上側に位置するだけに限らない。また、接合部11aは複数形成されてもよい。
【0018】
フット部11と接合パッドとは、図中矢印Y1の方向からレーザを照射し、半田付けによりフット部11と接合パッドとを電気的に連結する。なお、レーザの照射方向はY1方向に限られない。
【0019】
アーム支持部12は、フット部11とアーム部13とを連結することでアームを支持する。アーム支持部12は、支持部材12aと、斜辺部材12bと、接続部材12cと、底辺部材12dを有している。
【0020】
支持部材12aは、長尺形状をなしており上端部がフット部11の一方の端部p1(一端部近傍)において、ほぼ直交する方向(第1の方向に交差する方向)に連結されている。支持部材12aの下端部は、支持部材12aに対して直交する方向(即ち、第1の方向に沿う方向)に向いて延在する底辺部材12dの一端に連結されている。
【0021】
斜辺部材12bは、支持部材12aの下方側の任意の点p2と、フット部11の中心点p3を連結する。即ち、斜辺部材12bの一端は支持部材12aの任意の点に連結され、他端はフット部11の中心部に連結されている。斜辺部材12bは、その中央部付近の点p4の付近が狭幅とされ、点p4からフット部11の接続点p3に向けて幅が徐々に広がるように変化している。更に、点p4から連結点p2に向けて徐々に幅が広がっている。点p4と、底辺部材12dの他端は、接続部材12cにより連結されている。
【0022】
アーム部13は、複数のアーム13a(図では、3本)と、各アーム13aの端部に連結された先端部材13bと、先端部材13bの下端に形成され下方に向けて突起する接触部13cを備えている。各アーム13aは、第1の方向に沿って延在する幅狭の長尺形状を有している。各アーム13aはそれぞれがほぼ平行に配置され、各アーム13aの右端部は、接続部材12cに連結されている。なお、各アーム13aは、平行に配置されることに限らない。
【0023】
各アーム13aの右端部は、アーム部13がアーム支持部12と連結される固定端である。アーム部13の左端部は、接触部13cが形成された自由端である。即ち、アーム部13は、固定端と自由端を有し、自由端の先端に検査対象物に接触する接触部13cが形成され、固定端がアーム支持部12に連結されたカンチレバー構造を有している。
【0024】
また、接触部13cから支持部材12aまでの第1の方向の長さ(以下、アーム長と示す場合がある)は、フット部11の第1の方向の長さ(以下、フット長と示す場合がある)とほぼ同一とされている。なお、アーム長はフット長とほぼ同一に限らず、フット長よりもアーム長の方が長い場合や、フット長よりもアーム長の方が短い場合が考えられる。
【0025】
上述した第1実施例に係るプローブ1は、支持部材12aの下方の点p2とフット部11の中心点p3との間を斜辺部材12bにて連結している。このため、アーム部13の接触部13cが上下方向に変位し、支持部材12aにモーメントが発生した場合でも、アーム部13はアーム支持部12により堅固に固定され、ひいては、フット部11とアーム部13との連結強度を高めることができる。
【0026】
また、支持部材12aの幅(断面積に相当)は従来のプローブとほぼ同等の幅とされている。従って、半田付けのため
図1の矢印Y1の方向からレーザを照射した際に、レーザ照射による熱が支持部材12aを経由して放熱されることを抑制でき、レーザによる半田付けの効率を向上させることが可能になる。即ち、フット部11とアーム部13との連結強度を高め、且つレーザ照射時における放熱を抑制することが可能になる。
【0027】
斜辺部材12bの両端部において斜辺部材12bの中央部(点p4)から両端側に向かうにつれて広幅になるように形成される。即ち、斜辺部材12bは、中央部から接続点p3に向かうにつれて、幅が徐々に広がっている。このため、プローブ1をDUTにコンタクトさせた際に生じる斜辺部材12bの両端部にかかる応力を分散させることができる。従って、プローブ1の破損を抑制させることができる。
【0028】
接合部11aを凸形状に形成することによって、接合領域をフット部11よりも少なくすることができるので、比較的少量の半田で接合させることができる。従って、レーザ照射の熱が放熱されたとしてもレーザ出力を高めることなく半田を十分に溶かすことができる。更に、接合部11aを斜辺部材12bの上側に位置させることによって、検査時における斜辺部材12bにかかる応力を効率よく接合部11aへ伝えることができる。
【0029】
なお、第1実施例に係るプローブ1では、アーム部13が3本のアーム13aを備える例について示したが、アーム13aの本数は3本に限定されない。例えば
図2に示すように、アーム13aを5本設ける構成としてもよい。
【0030】
[第2実施例]
次に、第2実施例ついて説明する。
図3は第2実施例に係るプローブ2の構成を示す側面図である。第2実施例に係るプローブ2は、前述した第1実施例に係るプローブ1と対比して、支持部材12aが、第1支持部材12a1と、第2支持部材12a2から構成されている点で相違している。
【0031】
第1支持部材12a1は、フット部11の右側の端部近傍(一端部近傍)において、斜め方向(第1の方向に交差する方向)に連結されており、第2支持部材12a2は、第1支持部材12a1に対して一定の角度を有して連結されている。それ以外は、前述した第1実施例に係るプローブ1と同様である。第2実施例に係るプローブ2においても、前述した第1実施例に係るプローブ1と同様に、フット部11とアーム部13との連結強度を高め、且つレーザ照射時における放熱を抑制することが可能になる。
【0032】
[第3実施例]
次に、第3実施例ついて説明する。
図4は第3実施例に係るプローブ3の構成を示す側面図である。第3実施例に係るプローブ3は、前述した第1実施例に係るプローブ1と対比して、斜辺部材12bの一方の端部がフット部11の左側端部の点p5に連結されている点で相違している。即ち、斜辺部材12bは、フット部11の他端部に連結されている。
【0033】
第3実施例に係るプローブ3においても、前述した第1実施例に係るプローブ1と同様に、フット部11とアーム部13との連結強度を高め、且つレーザ照射時における放熱を抑制することが可能になる。
【0034】
図5、
図6は、第1比較例、第2比較例に関するプローブの構成を示す側面図であり、以下上述した第1~第3実施形態と、比較例1、2を対比して説明する。
【0035】
図5に示すように、第1比較例に係るプローブ101は、アーム支持部12に設けられる接続部材12cの端部とフット部11とを連結する連結部材18を備えている。但し、連結部材18は、フット部11の左端部(他方の端部)ないし中心部の間の任意の点で連結していない。
【0036】
図6に示すように、第2比較例に係るプローブ102は、前述した第1実施例に係るプローブ1と対比して、アーム支持部12とフット部11とを連結する斜辺部材12bを備えていない点で相違する。
【0037】
レーザ照射による熱は、フット部11を介して支持部材12aから接合部11aまで移動する。即ち、レーザ照射による熱の放熱を抑制させるには連結部材18とフット部11との連結部分を支持部材12aから十分に離間させることが求められる。一方、連結部材18は上下方向に延在しているため、連結部材18を支持部材12aから離間させるにつれてアーム部13のアーム長が短くなる。近年プローブ小型化の要望がありプローブサイズに制限がある場合には、連結部材18を用いると十分な針圧を確保するためのアーム長を確保することが困難である。
【0038】
また、
図5、
図6に示す第1、第2比較例では、斜辺部材12bを備えていないので、フット部11とアーム部13との連結強度を高めることができず、接触部13cが端子に接するときの圧力によるモーメントが支持部材12aに作用し、支持部材12aとアーム部13との連結部分が破損するなどの問題が生じる。
【0039】
第1~第3実施例のプローブ1、2,3を用いることにより、連結部材18とフット部11との連結部分を支持部材12aから十分に離間させる点と、アーム長を十分に確保する点を両立させることが可能である。
【0040】
即ち、本願の第1~第3実施形態では、フット部11の一端部(
図1のp1)近傍において、第1の方向に対して交差する方向に延在する支持部材12a、及び、支持部材12aの任意の点(
図1のp2)から、フット部11の他端部ないし一端部の間の接続点(
図1のp3)とを連結する斜辺部材12bを備えたアーム支持部12を備えている。このため、フット部11とアーム部13との連結強度を高め、且つレーザ照射時における放熱を抑制することが可能になる。
【0041】
本発明は上記の実施の形態によって記載したが、この発明の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0042】
1、2、3 プローブ(電気的接続装置用プローブ)
11 フット部
11a 接合部
12 アーム支持部
12a 支持部材
12a1 第1支持部材
12a2 第2支持部材
12b 斜辺部材
12c 接続部材
12d 底辺部材
13 アーム部
13a アーム
13b 先端部材
13c 接触部