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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179105
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20241219BHJP
   H01H 9/02 20060101ALI20241219BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20241219BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H02G3/16
H01H9/02 F
H05K7/20 B
B60R16/02 610D
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097655
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】川下 一行
(72)【発明者】
【氏名】松浦 昌代
【テーマコード(参考)】
5E322
5G052
5G361
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA03
5E322EA10
5E322FA09
5G052AA03
5G052AA40
5G052BB06
5G052HA30
5G361BB01
5G361BC01
(57)【要約】
【課題】電気接続箱のケースに収容されたリレーからの放熱性に優れた電気接続箱を提供すること。
【解決手段】電気接続箱1は、隙間Sをあけて配置される一対のリレー20A,20Bと、一対のリレー20A,20Bを収容するケース10と、ケース10内に配置される伝熱部材70と、を備える。一対のリレー20A,20Bの各々は、リレーの内部回路60に繋がる複数の端子51~54と、複数の端子51~54のうちの少なくとも一つ51,52の近傍において隙間Sに向けて突出する形状を有する突出部23と、を有する。伝熱部材70は、少なくとも一つの端子51,52から放出される熱を吸熱して、少なくとも一つの端子51,52から離れる向きに伝熱する、ように構成される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隙間をあけて配置される一対のリレーと、
前記一対の前記リレーを収容するケースと、
前記ケース内に配置される伝熱部材と、
を備える電気接続箱であって、
前記一対の前記リレーの各々は、
当該リレーの内部回路に繋がる複数の端子と、前記複数の前記端子のうちの少なくとも一つの近傍において前記隙間に向けて突出する形状を有する突出部と、を有し、
前記伝熱部材は、
前記少なくとも一つの前記端子から放出される熱を吸熱して前記少なくとも一つの前記端子から離れる向きに伝熱する、ように構成される、
電気接続箱。
【請求項2】
請求項1に記載の電気接続箱において、
前記一対の前記リレーは、
一方の前記リレーが有する前記突出部と、他方の前記リレーが有する前記突出部と、が互いに接触しないように配置される、
電気接続箱。
【請求項3】
請求項1に記載の電気接続箱において、
一方の前記リレーが有する前記突出部は、他方の前記リレーに接触せず、
他方の前記リレーが有する前記突出部は、一方の前記リレーに接触しない、
電気接続箱。
【請求項4】
請求項1に記載の電気接続箱において、
前記突出部は、
前記複数の前記端子のうちの二つの前記端子の近傍に配置される、
電気接続箱。
【請求項5】
請求項1に記載の電気接続箱において、
一方の前記リレーが有する前記突出部の突出端のほうが、一方の前記リレーが有する前記少なくとも一つの前記端子よりも、他方の前記リレーに近く、
他方の前記リレーが有する前記突出部の突出端のほうが、他方の前記リレーが有する前記少なくとも一つの前記端子よりも、一方の前記リレーに近い、
電気接続箱。
【請求項6】
請求項1に記載の電気接続箱において、
前記突出部は、
前記少なくとも一つの前記端子の近傍として、前記一対の前記リレーの各々の前記隙間に面する側面に、設けられる、
電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースにリレーが収容された電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等に用いられる電気接続箱は、リレーやヒューズ等の電子部品を樹脂等で構成された所定形状のケースに取り付けるとともに、それら電子部品の入出力端子と、ケースに保持されたバスバや外部負荷に繋がる端子等と、を電気的に接続するように構成されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-158479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した種類の電気接続箱では、一般に、電子部品(特に、リレーやヒューズ)の作動時に、電子部品の入出力端子等の通電箇所において、通電に伴うジュール熱が生じる。特に、電子部品の入出力端子と、入出力端子に接続されるバスバ等と、の接点では、接触抵抗の大きさに起因して、他の箇所よりも大きなジュール熱が生じ得る。このような接点で生じた熱は入出力端子を介して電子部品の内部機構にも伝達されるため、電子部品を長期間にわたって適正に作動させる観点では、接点で生じた熱を電子部品の外部へ効率よく放熱させることが望ましい。
【0005】
本発明の目的の一つは、電気接続箱のケースに収容されたリレーからの放熱性に優れた電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る電気接続箱は、以下を特徴としている。
【0007】
隙間をあけて配置される一対のリレーと、
前記一対の前記リレーを収容するケースと、
前記ケース内に配置される伝熱部材と、
を備える電気接続箱であって、
前記一対の前記リレーの各々は、
当該リレーの内部回路に繋がる複数の端子と、前記複数の前記端子のうちの少なくとも一つの近傍において前記隙間に向けて突出する形状を有する突出部と、を有し、
前記伝熱部材は、
前記少なくとも一つの前記端子から放出される熱を吸熱して前記少なくとも一つの前記端子から離れる向きに伝熱する、ように構成される、
電気接続箱であること。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る電気接続箱によれば、ケースに収容される一対のリレーの各々が、それらリレーの間の隙間に向けて突出する突出部を有する。これら突出部により、一対のリレーが過度に近接配置されることがなく、一対のリレーの間に適度な隙間が存在することになる。更に、突出部は、リレーが有する少なくとも一つの端子の近傍に配置される。一対のリレーの間に隙間が存在する分、各々のリレーの端子で生じるジュール熱が、過度に狭い範囲に集中することがないし、隙間を通じた空気の流れによって放熱も促進される。更に、少なくとも一つの端子から放出される熱を吸熱してその端子から離れる向きに伝熱する伝熱部材により、ケースに収容されたリレーからの放熱性を更に向上させることができる。したがって、本構成の電気接続箱は、ケースに収容されたリレーからの放熱性に優れている。加えて、各々の端子で生じる熱を各々異なる箇所に放熱させる場合に比べ、上述した隙間に各々の端子から生じる熱を一纏めに放熱させる分、電気接続箱の小型化にも貢献できる。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係る電気接続箱の斜視図である。
図2図2は、図1に示す電気接続箱の上面図である。
図3図3は、図2のB部の拡大図である。
図4図4は、図1に示す電気接続箱の下面図である(ただし、バスバ及び電子部品(リレー及びヒューズ)のみを図示)。
図5図5は、図4に示すリレーの下面拡大図である。
図6図6は、図4に示す一対のリレーの内部回路を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る電気接続箱1について説明する。電気接続箱1は、典型的には、自動車等の車両に搭載されて、リレーやヒューズ等の電子部品を収容するリレーボックスである。電気接続箱1は、図1図6に示すように、ケース10と、ケース10に収容される複数の電子部品(具体的には、リレー20及びヒューズ30(図4参照))と、ケース10に保持される複数のバスバ40(図4参照)と、を備える。
【0012】
以下、説明の便宜上、図1等に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」を定義する。前後方向、左右方向及び上下方向は、互いに直交している。「上」側及び「下」側は、それぞれ、電気接続箱1が車両に搭載された状態における車両の「上」側及び「下」側と一致している。なお、これらの方向は、あくまで説明の便宜のために定めているに過ぎず、電気接続箱1が車両に搭載されたときの車両の前後方向、左右方向及び上下方向に必ずしも対応する必要はない。以下、電気接続箱1を構成する各部品について順に説明する。
【0013】
ケース10は、図1及び図2に示すように、前後方向、左右方向及び上下方向に延びる略直方体状の樹脂製の筐体である。ケース10は、単一の樹脂成形体で構成されても、複数の樹脂成形体を組み合わせて構成されてもよい。更に、ケース10は、電子部品やバスバ40を保持する部分のように絶縁性が求められる部分を樹脂で構成し、それ以外の部分(例えば、外装部分)を金属で構成してもよい。
【0014】
図1及び図2に示すように、ケース10の上部の前側領域には、複数のリレー20が収容されている。複数のリレー20の各々は、ケース10の上部の対応する収容箇所(キャビティ)に、上側から下側に向けてそれぞれ収容される。ケース10の上部の前側領域の後側に隣接する後側領域A(図2参照)は、ヒューズ30(図4参照)等の電子部品が収容される領域である。ヒューズ30等も、ケース10の上部の対応する収容箇所(キャビティ)に、上側から下側に向けてそれぞれ収容される。
【0015】
ケース10の前面の右下の端部には、電線挿通部11が設けられている(図1及び図2参照)。電線挿通部11からは、バスバ40に電気的に接続された電線2や、リレー20及びヒューズ30等の電子部品と電気的に接続された電線2が、ケース10の内部から外部に向けて前方へ延出している(図1及び図2参照)。
【0016】
図4に示すように、ケース10に保持される複数のバスバ40の各々は、上下方向からみて所定の形状を有する長尺状の金属板である。複数のバスバ40の各々は、板厚方向が上下方向に直交する方向と一致する向きで(板面が上下方向に直交する方向を向くように)、ケース10の下部の対応する所定箇所に、下側から上側に向けて装着されて保持されている。この結果、複数のバスバ40の各々が、対応する1つまたは複数の電子部品(リレー20又はヒューズ30等)の入力端子や出力端子と電気的に接続されることで、複数の電子部品(リレー20又はヒューズ30等)が、複数のバスバ40を介して電線2(図1及び図2参照)と電気的に接続される。
【0017】
以下、複数のリレー20のうち、一対のリレー20A,20B(図1図5参照)に着目する。一対のリレー20A、20Bは、本例では低電圧回路用のリレーであるが、実施形態によっては高電圧回路用のリレーであってもよい。一対のリレー20A,20Bの各々の樹脂製のリレー本体は、図1図5に示すように、前後方向、左右方向及び上下方向に延びる略直方体状の形状を有している。一対のリレー20A,20Bのリレー本体は、左右方向に隙間S(図2図4参照)をあけて左右方向に並ぶように配置されている。このため、一対のリレー20A,20Bの各々のリレー本体は、ケース10へのリレー20の収容方向(上下方向)から見たとき、隙間Sに面する一側面21と、一側面21とは反対側にある逆側面22と、を有する四角形状の形状を有している。一対のリレー20A,20Bの各々の一側面21には、隙間Sに向けて突出する突出部23が設けられている(図3図5参照)。本例では、一対のリレー20A,20Bの突出部23は、突出端同士が左右方向に隙間を開けて互いに対向配置されるように、配置されている。
【0018】
一対のリレー20A,20Bの各々は、リレー本体に内蔵されている内部回路60(図6参照)に繋がる複数の端子51~54を有している(図4図6参照)。複数の端子51~54の各々は、一対のリレー20A,20Bの各々のリレー本体の下端面から下方に突出するように設けられた金属製の平板状(タブ状)の端子である。本例では、図4及び図5に示すように、2つの端子51,52は、リレー本体の左右方向中央より突出部23が設けられた一側面21に近い側の領域にて左右方向に間隔をあけて対向配置されている。換言すれば、突出部23は、複数の端子51~54のうち2つの端子51,52の近傍に配置されている。2つの端子53,54は、リレー本体の左右方向中央より逆側面22に近い側の領域にて前後方向に間隔をあけて対向配置されている。
【0019】
リレー20A,20Bの端子51は、例えば、入力側の接点端子として機能する。具体的には、リレー20Aの端子51に、接続用端子41を介してバスバ40Aが接続され、リレー20Bの端子51に、接続用端子41を介してバスバ40Bが接続されている。バスバ40A,40Bには、図示しない外部電源に繋がる図示しない電線が接続されている。一方、リレー20A,20Bの端子52は、例えば、出力側の接点端子として機能する。具体的には、リレー20Aの端子52及びリレー20Bの端子52には、図示しない外部の負荷に繋がる図示しない電線が接続されている。バスバ40A、40Bの各々は、上下方向からみて、クランク状に屈曲した部分を一部に含むものの概ね前後方向に延びる形状を有している。
【0020】
一対のリレー20A,20Bの各々の内部回路60は、図6に示すように、スイッチ部61を有している。スイッチ部61は、固定接点62と可動接点63とを有しており、端子51,52に接続されている。スイッチ部61には、図示しないバネ等の付勢部材が設けられており、この付勢部材によって可動接点63が固定接点62から離れる方向へ付勢されている。
【0021】
内部回路60は、コイル及び図示しない鉄心等から構成されて電磁石として機能するコイル部64を有している。コイル部64は、端子53,54に接続されている。端子53,54は、コイル端子として機能する。コイル部64は、端子53,54を介して制御電流が給電されることで磁力を発生させ、その磁力によって可動接点63を付勢部材の付勢力に抗して引き寄せる。これにより、コイル部64への通電があるとき、スイッチ部61では、可動接点63が固定接点62に接触して、スイッチ部61が閉状態(ON)となる。逆に、コイル部64への通電がないとき、スイッチ部61では、可動接点63が固定接点62から離間されて、スイッチ部61が開状態(OFF)となる。
【0022】
一対のリレー20A,20Bの作動は、例えば、図示しないECU(Electronic Control Unit)によって制御される。リレー20Aのコイル部64に端子53,54を介してECUから制御電流が給電されてリレー20Aのスイッチ部61が閉状態となると、外部電源からの電力がリレー20Aを介して外部の負荷に供給される。た、リレー20Bのコイル部64に端子53,54を介して制御電流が給電されてリレー20Bのスイッチ部61が閉状態となると、外部電源からの電力がリレー20Bを介して外部の負荷に供給される。
【0023】
以上、説明した電気接続箱1では、ケース10に収容される一対のリレー20A,20Bの各々が、リレー20A,20Bの間の隙間Sに向けて突出する突出部23を有する。これら突出部23により、一対のリレー20A,20Bが過度に近接配置されることがなく、一対のリレー20A,20Bの間に適度な隙間Sが存在することになる。更に、突出部23は、一対のリレー20A,20Bの各々が有する2つの端子51,52の近傍に配置される。一対のリレー20A,20Bの間に隙間Sが存在する分、リレー20A,20Bの端子51,52の各々で生じるジュール熱が過度に狭い範囲に集中することがないし、隙間Sを通じた空気の流れによって放熱も促進される。よって、電気接続箱1は、ケース10に収容されたリレー20A,20Bからの放熱性に優れている。加えて、端子51,52の各々で生じる熱を各々異なる箇所に放熱させる場合に比べ、上述した隙間Sに端子51,52の各々から生じる熱を一纏めに放熱させる分、電気接続箱1の小型化にも貢献できる。
【0024】
更に、リレー20Aが有する突出部23と、リレー20Bが有する突出部23と、が互いに接触しないように、一対のリレー20A,20Bが配置されている。これにより、突出部23同士が接触する場合に比べ、一対のリレー20A,20Bの間の隙間を広くすることができる。
【0025】
更に、リレー20Aが有する突出部23はリレー20Bに接触せず、リレー20Bが有する突出部23はリレー20Aに接触していない。これにより、各々の突出部23が相手側のリレー20に接触する場合に比べ、一対のリレー20A,20Bの間の隙間Sを広くすることができる。
【0026】
更に、突出部23が、複数の端子51~54のうちの2つの端子51,52の近傍に配置される。これにより、リレー20A,20Bの各々の2つの端子51,52で生じるジュール熱を、適正に放熱させることができる。
【0027】
更に、リレー20Aが有する突出部23の突出端(右端)のほうが、リレー20Aが有する端子51よりも、リレー20Bに近く、リレー20Bが有する突出部23の突出端(左端)のほうが、リレー20Bが有する端子51よりも、リレー20Aに近い。これにより、リレー20Aの端子51をリレー20Bから離れた位置に確実に配置することができ、リレー20Bの端子51をリレー20Aから離れた位置に確実に配置することができる。よって、端子51で生じるジュール熱を適正に放熱させることができる。
【0028】
更に、隙間Sに面するリレー20A,20Bの各々のリレー本体の一側面21に、突出部23が設けられる。これにより、リレー本体の他の側面から隙間Sに向けて突出部23を突出させる場合に比べ、突出部23の形状をシンプル化できる。よって、リレー20の製造コストの低減を図ることができる。
【0029】
更に、図4に破線で示すように、一対のリレー20A,20Bの各々の端子51~54のうち少なくとも一つの端子(図4では、端子51,52)から放出される熱を吸熱してその端子から離れる向きに伝熱する伝熱部材70が、電気接続箱1に設けられてもよい。伝熱部材70は、例えば、金属板から構成され、端子51,52の近傍からケース10の外部に向けて延びるように構成される。伝熱部材70は、熱引き部品とも称呼される。これにより、ケース10に収容されたリレー20A,20Bからの放熱性を更に向上させることができる。
【0030】
ところで、上述した放熱性向上とは別の観点から、リレー20Aの端子51に接続されたバスバ40A、及び、リレー20Bの端子51に接続されたバスバ40Bの各々は、図4に示すように、ケース10へのリレー20の収容方向(上下方向)から見たとき、リレー20Aの逆側面22を仮想的に延長した前後方向に延びる直線L1と、リレー20Bの逆側面22を仮想的に延長した前後方向に延びる直線L2と、に挟まれる左右方向の範囲H1内に、バスバ40A,40Bの全体が位置する形状、を有している。換言すると、一対のリレー20A,20Bを収容するためにケース10に求められる左右方向の最小の幅(即ち、範囲H1の内側)に収まるように、バスバ40A,40Bが配置される。
【0031】
そして、上述した範囲H1の内側に収まるようなバスバ40A,40Bの配置に基づいて、リレー20とは異なる電子部品(例えば、ヒューズ30等)の配置が設計される。図4に示す例では、リレー20Aの端子51に接続されたバスバ40Aの配置に基づいて、2つのヒューズ30がバスバ40Aに接続されるように、2つのヒューズ30の配置が設計されている。その結果、バスバ40A,40Bをケース10の全体に広げる場合に比べ、電気接続箱1が全体的に小型化され易いと考えられる。
【0032】
更に、リレー20Aに接続されるバスバ40Aは、リレー20の収容方向(上下方向)から見たとき、リレー20Aの逆側面22を仮想的に延長した前後方向に延びる直線L1と、リレー20Bの一側面21を仮想的に延長した前後方向に延びる直線L3と、に挟まれる範囲H2内に、バスバ40Aの全体が位置する形状を有する。換言すると、上述した範囲H1よりも狭い範囲H2の内側に収まるように、バスバ40Aが配置される。
【0033】
同様に、リレー20Bに接続されるバスバ40Bは、リレー20の収容方向(上下方向)から見たとき、リレー20Bの逆側面22を仮想的に延長した前後方向に延びる直線L2と、リレー20Aの一側面21を仮想的に延長した前後方向に延びる直線L4と、に挟まれる範囲H3内に、バスバ40Bの全体が位置する形状を有する。換言すると、上述した範囲H1よりも狭い範囲H3の内側に収まるように、バスバ40Bが配置される。
【0034】
このように、上述した範囲H2及び範囲H3の内側に収まるように、バスバ40A,40Bの配置を更に特定することで、電気接続箱1の更なる小型化を図ることができると考えられる。
【0035】
更に、バスバ40A,40Bが、それぞれ、リレー20A,20Bの電力入力用の端子51に接続されている。これにより、それら端子51をリレー20A,20Bへの電力の入力に用いるべく、大型・肉厚のバスバ40A,40Bを用いる場合であっても、電気接続箱1の小型化を図ることができる。
【0036】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用できる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0037】
ここで、上述した本発明に係る電気接続箱1の実施形態の特徴を、それぞれ以下[1]~[6]に簡潔に纏めて列記する。
【0038】
[1]
隙間(S)をあけて配置される一対のリレー(20A,20B)と、
前記一対の前記リレー(20A,20B)を収容するケース(10)と、
前記ケース(10)内に配置される伝熱部材(70)と、
を備える電気接続箱(1)であって、
前記一対の前記リレー(20A,20B)の各々は、
当該リレーの内部回路(60)に繋がる複数の端子(51~54)と、前記複数の前記端子(51~54)のうちの少なくとも一つ(51,52)の近傍において前記隙間(S)に向けて突出する形状を有する突出部(23)と、を有し、
前記伝熱部材(70)は、
前記少なくとも一つの前記端子(51,52)から放出される熱を吸熱して前記少なくとも一つの前記端子(51,52)から離れる向きに伝熱する、ように構成される、
電気接続箱(1)。
【0039】
上記[1]の構成の電気接続箱によれば、ケースに収容される一対のリレーの各々が、それらリレーの間の隙間に向けて突出する突出部を有する。これら突出部により、一対のリレーが過度に近接配置されることがなく、一対のリレーの間に適度な隙間が存在することになる。更に、突出部は、リレーが有する少なくとも一つの端子の近傍に配置される。一対のリレーの間に隙間が存在する分、各々のリレーの端子で生じるジュール熱が、過度に狭い範囲に集中することがないし、隙間を通じた空気の流れによって放熱も促進される。更に、少なくとも一つの端子から放出される熱を吸熱してその端子から離れる向きに伝熱する伝熱部材により、ケースに収容されたリレーからの放熱性を更に向上させることができる。したがって、本構成の電気接続箱は、ケースに収容されたリレーからの放熱性に優れている。加えて、各々の端子で生じる熱を各々異なる箇所に放熱させる場合に比べ、上述した隙間に各々の端子から生じる熱を一纏めに放熱させる分、電気接続箱の小型化にも貢献できる。
【0040】
[2]
上記[1]に記載の電気接続箱(1)において、
前記一対の前記リレー(20A,20B)は、
一方の前記リレー(20A)が有する前記突出部(23)と、他方の前記リレー(20B)が有する前記突出部(23)と、が互いに接触しないように配置される、
電気接続箱(1)。
【0041】
上記[2]の構成の電気接続箱によれば、一方のリレーが有する突出部と、他方のリレーが有する突出部と、が互いに接触しないように、一対のリレーが配置される。これにより、突出部同士が接触する場合に比べ、一対のリレーの間の隙間を広くすることができる。
【0042】
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載の電気接続箱(1)において、
一方の前記リレー(20A)が有する前記突出部(23)は、他方の前記リレー(20B)に接触せず、
他方の前記リレー(20B)が有する前記突出部(23)は、一方の前記リレー(20A)に接触しない、
電気接続箱(1)。
【0043】
上記[3]の構成の電気接続箱によれば、一方のリレーが有する突出部は他方のリレーに接触せず、他方のリレーが有する突出部は一方のリレーに接触しない。これにより、各々の突出部が相手側のリレーに接触する場合に比べ、一対のリレーの間の隙間を広くすることができる。
【0044】
[4]
上記[1]~上記[3]の何れか一つに記載の電気接続箱(1)において、
前記突出部(23)は、
前記複数の前記端子(51~54)のうちの二つの前記端子(51,52)の近傍に配置される、
電気接続箱(1)。
【0045】
上記[4]の構成の電気接続箱によれば、突出部が、複数の端子のうちの二つの端子の近傍に配置される。これにより、リレーの二つの端子で生じるジュール熱を、適正に放熱させることができる。
【0046】
[5]
上記[1]~上記[4]の何れか一つに記載の電気接続箱(1)において、
一方の前記リレー(20A)が有する前記突出部(23)の突出端のほうが、一方の前記リレー(20A)が有する前記少なくとも一つの前記端子(51)よりも、他方の前記リレー(20B)に近く、
他方の前記リレー(20B)が有する前記突出部(23)の突出端のほうが、他方の前記リレー(20B)が有する前記少なくとも一つの前記端子(51)よりも、一方の前記リレー(20A)に近い、
電気接続箱(1)。
【0047】
上記[5]の構成の電気接続箱によれば、一方のリレーが有する突出部の突出端のほうが、一方のリレーが有する少なくとも一つの端子よりも、他方のリレーに近い。他方のリレーが有する突出部についても、同様である。これにより、一方のリレーの端子を他方のリレーから離れた位置に確実に配置することができ、他方のリレーの端子を一方のリレーから離れた位置に確実に配置することができる。よって、各々の端子で生じるジュール熱を適正に放熱させることができる。
【0048】
[6]
上記[1]~上記[5]の何れか一つに記載の電気接続箱(1)において、
前記突出部(23)は、
前記少なくとも一つの前記端子(51,52)の近傍として、前記一対の前記リレー(20A,20B)の各々の前記隙間(S)に面する側面(21)に、設けられる、
電気接続箱(1)。
【0049】
上記[6]の構成の電気接続箱によれば、一対のリレーの間の隙間に面する各々のリレーの側面に、突出部が設けられる。これにより、他の側面から隙間に向けて突出部を突出させる場合に比べ、突出部の形状をシンプル化できる。よって、リレーの製造コストの低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 電気接続箱
10 ケース
20A リレー
20B リレー
21 一側面(側面)
23 突出部
51~54 端子
60 内部回路
70 伝熱部材
S 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6