(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179107
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ティーバッティング装置
(51)【国際特許分類】
A63B 69/00 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A63B69/00 503D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097657
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】523226859
【氏名又は名称】有限会社佐々木鋼材
(74)【代理人】
【識別番号】110003823
【氏名又は名称】弁理士法人柳野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一智
(57)【要約】
【課題】本発明は、打撃時のバット角度の目安を示してバット角度を意識した打撃練習を実施することが容易なティーバッティング装置を提供する。
【解決手段】ティーバッティング装置1は、ベース2から立設したロッド3と、基端側がアーム調整機構40を介してロッド3に連結するアーム4と、アーム4の先端側に連結する標的5と、を備え、アーム調整機構40には、ロッド3の軸方向にアーム4を摺動させる第1摺動部401と、アーム4の基端側を起点にアーム4を上下方向に回動させる第1回動部402と、が含まれる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースから立設したロッドと、
基端側がアーム調整機構を介して前記ロッドに連結するアームと、
前記アームの先端側に連結する標的と、を備え、
前記アーム調整機構には、前記ロッドの軸方向に前記アームを摺動させる第1摺動部と、前記アームの基端側を起点に前記アームを上下方向に回動させる第1回動部とが含まれる、ティーバッティング装置。
【請求項2】
前記アーム調整機構には、前記アームの軸方向に前記アームを摺動させる第2摺動部がさらに含まれる、請求項1に記載のティーバッティング装置。
【請求項3】
前記アーム調整機構には、前記ロッドの周方向に前記アームを回動させる第2回動部がさらに含まれる、請求項1又は2に記載のティーバッティング装置。
【請求項4】
前記標的には、標的本体と、前記標的本体と前記アームとの間の距離を調整する距離調整機構とが含まれる、請求項3に記載のティーバッティング装置。
【請求項5】
前記標的本体には、所定の弾性回復力を備え、叩打されるボールを着脱自在に把持する球体把持部が含まれる、請求項4に記載のティーバッティング装置。
【請求項6】
前記標的本体には、所定の弾性回復力を備えた、叩打される叩打球体と、前記叩打球体を把持する球体把持部とが一体的に構成される、請求項4に記載のティーバッティング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打撃練習に用いられるティーバッティング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以前より、ボール又は叩打部材をどのように叩打するかを意識した打撃練習を行うためにティーバッティング装置が用いられていた。例えば、スライド部材を介してボールから上下方向に延びる一対の紐部材を左右方向に摺動する一対のスライドレールに連結し、スタンドに対して垂直に延びる支柱に設けられた一対のアーム部材によってこれら一対のスライドレールを支持するティーバッティング装置が提案されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のティーバッティング装置では、ボール又は叩打部材を叩打する際のバット角度を意識した打撃練習を実施することが困難であった。
【0005】
このことを鑑み、本発明は、打撃時のバット角度の目安を示してバット角度を意識した打撃練習を実施することが容易なティーバッティング装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るティーバッティング装置は、ベースから立設したロッドと、基端側がアーム調整機構を介して前記ロッドに連結するアームと、前記アームの先端側に連結する標的と、を備え、前記アーム調整機構には、前記ロッドの軸方向に前記アームを摺動させる第1摺動部と、前記アームの基端側を起点に前記アームを上下方向に回動させる第1回動部とが含まれる。
【0007】
本発明に係るティーバッティング装置によれば、第1摺動部でアームの高さ位置を打撃練習者の身長に合わせつつ、第1回動部でアームを回動させてバット角度を示すことで、打撃練習者がバット角度を意識した打撃練習を実施することができる。
【0008】
また、前記アーム調整機構には、前記アームの軸方向に前記アームを摺動させる第2摺動部がさらに含まれることが好ましい。
【0009】
このようなティーバッティング装置によれば、打撃練習者は立ち位置を変えることなく、標的を内角寄りや外角寄りに設定することができため、バット角度を意識した打撃練習において標的の位置を多彩に変化させることができる。
【0010】
また、前記アーム調整機構には、前記ロッドの周方向に前記アームを回動させる第2回動部がさらに含まれることが好ましい。
【0011】
このようなティーバッティング装置によれば、打撃練習者の立ち位置を変えることなく、標的の左右位置を変更することができるため、バット角度を意識した打撃練習において標的を平面的に捉えずに立体的に捉えることができる。
【0012】
また、前記標的には、標的本体と、前記標的本体と前記アームとの間の距離を調整する距離調整機構が含まれることが好ましい。
【0013】
このようなティーバッティング装置によれば、距離調整機構が標的本体とアームとの間の距離が調整されることにより、バット角度を意識した打撃練習の難易度を上げ下げすることができる。
【0014】
また、前記標的には、所定の弾性回復力を備え、叩打されるボールを着脱自在に把持する球体把持部が含まれることが好ましい。
【0015】
このようなティーバッティング装置によれば、叩打する実際のボールを標的とすることから、実際にバッティングした際のイメージが想到しやすい。
【0016】
また、前記標的には、叩打される叩打球体が含まれ、前記叩打球体と前記球体把持部とが一体的に構成されることが好ましい。
【0017】
このようなティーバッティング装置によれば、実際のボールが叩打されるものとは異なり、叩打される叩打球体が一体的に設けられたことから、球体把持部からぬけ落ちることがないため、効率よく繰り返し打撃練習が行える。
【発明の効果】
【0018】
このことから、本発明は、打撃時のバット角度の目安を示してバット角度を意識した打撃練習を実施することが容易なティーバッティング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係るティーバッティング装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1で示したティーバッティング装置を他方の視点から示す斜視図である。
【
図3】
図1で示したティーバッティング装置を示す下方からの斜視拡大図である。
【
図4】
図1で示したティーバッティング装置を示すその他の下方からの斜視拡大図である。
【
図5】
図1で示したティーバッティング装置に用いられる留め具の一例を示す模式図である。
【0020】
【
図6】
図1で示したティーバッティング装置によるアームをバット角度の目安とした打撃練習を示す第1の模式図である。
【
図7】
図1で示したティーバッティング装置によるアームをバット角度の目安とした打撃練習を示す第2の模式図である。
【
図8】
図1で示したティーバッティング装置によるアームをバット角度の目安とした打撃練習を示す第3の模式図である。
【
図9】第1回動部によるアームの上下方向の回動及び第4回動部による標的本体の上下方向の回動を示す模式図である。
【
図10】第2回動部によるアームの左右方向の回動及び第3回動部による標的本体の左右方向の回動を示す模式図である。
【
図11】第2摺動部によるアームの前後方向の摺動及び第3摺動部による標的本体の前後方向の摺動を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るティーバッティング装置を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。また、各図には、方向関係を明確にするために、x軸で前(+x)後(-x)方向を示し、y軸で左(-y)右(+y)方向を示し、z軸で上(+z)下(-z)方向を示すxyz直交座標軸が適宜表示されている。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係るティーバッティング装置1を示す斜視図である。
図2は、
図1で示したティーバッティング装置1を他方の視点から示す斜視図である。
図3は、
図1で示したティーバッティング装置1を示す下方からの斜視拡大図である。
図4は、
図1で示したティーバッティング装置1を示すその他の下方からの斜視拡大図である。
図1~
図4に示すティーバッティング装置1は、ベース2、ロッド3、アーム4及び標的5を備え、ベース2、ロッド3及びアーム4は、断面が略四角形形状で中空の金属角パイプで形成される。
【0023】
ベース2は、支持端部23を中央に有して左右方向に延びるセンターバー21と、接続端部24,24を中間に有して前後方向に延びるサイドバー22,22とにより略H字形状に構成される。接続端部24,24は、サイドバー22,22と直交する左右方向に延び、センターバー21の両端部からそれぞれ挿入されて伸縮自在に設けられる。センターバー21には、伸縮留め具25,25が備えられ、伸縮留め具25,25により伸縮自在に設けられたサイドバー22,22が所定の伸縮程度で固定される。
【0024】
ロッド3は、ベース2側に位置する下段部31と、下段部31の先端側に位置する上段部32とにより構成される。ロッド3は、上段部32の基端部が下段部31の先端部に挿入されて上段部32の外表面と下段部31の外表面とが段差なく連結される。ロッド3は、下段部31の基端部が支持端部23に挿入されることで、上下方向に延びてベース2に立設される。
【0025】
アーム4は、前後方向に延び、アーム調整機構40を介して基端側がロッド3に連結する。アーム調整機構40には、第1摺動部401と、第1回動部402と、第2回動部403と、第2摺動部404とが含まれる。
【0026】
第1摺動部401には、ロッド3に貫通される第1貫通管405と、第1貫通管405を貫通してロッド3に当接する第1摺動留め具406とが備えられる。第1貫通管405は、ロッド3に沿って摺動する。第1貫通管405の摺動に連動してアーム4が上下方向に摺動する。アーム4は、第1摺動留め具406により所定の高さ位置で固定される。
【0027】
第1回動部402には、プレート状の第1回動本体407と、第1回動本体407で左右方向に開口する第1回動スロット408と、第1回動スロット408を貫通する第1回動留め具409と、第1回動本体407を第1貫通管405に対して回動自在に固定する第1回動固定具410とが備えられる。第1回動スロット408は、第1回動固定具410と相対する第1回動本体407の一方に設けられる。第1回動スロット408は、第1回動固定具410を中心とした円周方向に延びる。第1回動留め具409は、第1回動スロット408に沿って摺動する。第1回動留め具409の摺動に連動し、アーム4が上下方向に回動する。アーム4は、第1回動留め具409により所定の上下方向の角度位置で固定される。
【0028】
第2摺動部404には、アーム4に貫通される第2貫通管415と、第2貫通管415を貫通してアーム4に当接する第2摺動留め具416とが備えられる。アーム4は、第2貫通管415に沿って前後方向に摺動する。アーム4は、第2摺動留め具416によりロッド3との所定の相対位置で固定される。
【0029】
第2回動部403には、プレート状の第2回動本体411と、第2回動本体411で上下方向に開口する第2回動スロット412と、第2回動スロット412を貫通する第2回動留め具413と、第2貫通管415を第2回動本体411に対して回動自在に固定する第2回動固定具414とが備えられる。第2回動スロット412は、第2回動固定具414と相対する第2回動本体411の一方に設けられる。第2回動スロット412は、第2回動固定具414を中心とした円周方向に延びる。第2回動留め具413は、第2回動スロット412に沿って摺動する。第2回動留め具413の摺動に連動し、第2貫通管415が左右方向に回動する。第2貫通管415の回動に伴い、第2貫通管415に貫通したアーム4も左右方向に回動する。アーム4は、第2回動留め具413により所定の左右方向の角度位置で固定される。
【0030】
第1回動本体407と第2回動本体411とは基端側で連なる一枚の金属プレートからなり、ロッド3に面する第1回動本体407の一面とアーム4に面する第2回動本体411の一面とが直角に屈曲される。
【0031】
従って、アーム調整機構40は、第1摺動部401によりアーム4の上下方向への摺動が行え、第1回動部402によりアーム4の基端側を起点にアーム4の上下方向への回動が行える。また、アーム調整機構40は、第2回動部403によりアーム4の基端側を起点にアーム4の左右方向への回動が行え、第2摺動部404によりアーム4の前後方向への摺動が行える。
【0032】
標的5には、標的本体51と、標的本体51とアーム4との間の距離を調整する距離調整機構50とが含まれる。距離調整機構50は、第3摺動部501と、第3回動部502と、第4回動部503とによって構成される。
【0033】
第3摺動部501には、アーム4に貫通される第3貫通管504と、第3貫通管504を貫通してアーム4に当接する第3摺動留め具505とが備えられる。第3貫通管504は、アーム4に沿って摺動する。第3貫通管504の摺動に連動して標的本体51が前後方向に摺動する。標的本体51は、第3摺動留め具505によりロッド3との所定の離間距離で固定される。
【0034】
第3回動部502には、プレート状の第3回動本体506と、第3回動本体506で上下方向に開口する第3回動スロット507と、第3回動スロット507を貫通する第3回動留め具508と、第3回動本体506を第3貫通管504に対して回動自在に固定する第3回動固定具509とが備えられる。第3回動固定具509は、第3回動本体506の略中心に設けられる。第3回動スロット507は、第3回動固定具509を中心とした円周方向に延び、第3回動本体506の外周側に設けられる。第3回動留め具508は、第3回動スロット507に沿って摺動する。第3回動留め具508の摺動に連動し、標的本体51が左右方向に回動する。標的本体51は、第3回動留め具508により所定の左右方向の角度位置で固定される。
【0035】
第4回動部503には、プレート状の第4回動本体510と、第4回動本体510で左右方向に開口する第4回動スロット511と、第4回動スロット511を貫通する第4回動留め具512と、標的本体51を第4回動本体510に対して回動自在に固定する513とが備えられる。第4回動固定具513は、第4回動本体510の略中心に設けられる。第4回動スロット511は、第4回動固定具513を中心とした円周方向に延び、第4回動本体510の外周側に設けられる。第4回動留め具512は、第4回動スロット511に沿って摺動する。第4回動留め具512の摺動に連動し、標的本体51が上下方向に回動する。標的本体51は、第4回動留め具512により所定の上下方向の角度位置で固定される。
【0036】
第3回動本体506と第4回動本体510とは基端側で連なる一枚の金属プレートからなり、アーム4に面する第3回動本体506の一面と標的本体51に面する第4回動本体510の一面とが直角に屈曲される。
【0037】
距離調整機構50は、アーム4に対するアーム調整機構40の調整に伴い、標的本体51とアーム4との間の距離や角度が調整されることにより、ストライクゾーンに入る様々な球種を想定して設定したボールに対し、バット角度を意識した打撃練習が行える。これにより、バット角度を意識した打撃練習の難易度を調整することができる。
【0038】
標的本体51は、距離調整機構50と連結する連結部52が基端側に備えられ、叩打されるボール9を着脱自在に把持する球体把持部53が先端側に備えられる。連結部52は、第4回動固定具513による固定を支持するとともに、所定の上下方向の角度位置で第4回動留め具512による固定を支持する。球体把持部53は、一対の把持爪531を有し、一対の把持爪531によってボール9が把持される。標的本体51は、バットで叩打されても元の位置に戻ることが可能な弾性回復力を有する材質で形成されることが好ましい。
【0039】
標的本体51の変化例としては、ボール9を把持させるのではなく、バットで叩打される叩打球体54が前記球体把持部53と一体的に構成されるものでもよく、このとき、叩打球体54は前記球体把持部53と同じ材質が好ましい。
【0040】
これにより、実際のボール9を球体把持部53に把持させた標的本体51を用いて打撃練習を行えば、実際にバッティングした際のイメージが想到しやすい。また、叩打球体54と前記球体把持部53と一体的に構成された標的本体51を用いて打撃練習を行えば、叩打される対象が球体把持部からぬけ落ちることがないため、効率よく繰り返し打撃練習が行える。
【0041】
また、伸縮留め具25、第1摺動留め具406、第2摺動留め具416及び第3摺動留め具505は、センターバー21、第1貫通管405、第2貫通管415、第3貫通管504のそれぞれに開口される雌ネジを有するボルト受部と、一端にボルト受部の雌ネジと螺合する雄ネジを有するボルト端部を備えて他端に指でつまむためのつまみ部を備えるつまみボルトとで構成されることが好ましい。つまみボルトを締め付けることにより、ボルト端部の先端が対象の部材に当接して対象の部材が所定の位置に固定される。
【0042】
図5は、
図1で示したティーバッティング装置1に用いられる留め具の一例を示す模式図である。
図5で示した第3摺動留め具505で説明すると、つまみ部A10をつまみ、つまみボルトA1を締め付けることにより、ボルト端部A12がボルト受付部A11ねじ込まれ、ボルト端部A12の先端が第3貫通管504内に貫通されたアーム4に当接する。ボルト端部A12の先端がアーム4に当接することにより、アーム4に沿って摺動していた第3貫通管504が固定され、打撃練習者に向かって延びるアーム4が所定の長さ距離で固定される。
【0043】
また、第1回動留め具409、第2回動留め具413、第3回動留め具508及び第4回動留め具512は、雄ネジを有して第1貫通管405、第2貫通管415、第3貫通管504及び連結部52のそれぞれから立設するボルト端部と、一方に雄ネジと螺合する雌ネジを有するボルト受部を備えて他方に指でつまむためのつまみ部を備えるつまみナットとで構成されることが好ましい。つまみナットを締め付けることにより、ボルト端部を立設した第1貫通管405、第2貫通管415、第3貫通管504及び連結部52のそれぞれと、つまみナットに備えたボルト受部とが、第1回動本体407、第2回動本体411、第3回動本体506及び第4回動本体510のそれぞれを挟み、対象の部材が所定の角度位置に固定される。
【0044】
図5で示した第2回動留め具413で説明すると、つまみ部A20をつまみ、つまみナットA2を締め付けることにより、ボルト受部A21にボルト端部A22がねじ込まれ、ボルト受部A21と、ボルト端部A22を立設した第2貫通管415の一側面とで第2回動本体411を挟める。第2回動本体411が挟まることにより、第2回動スロット412に沿って摺動するボルト端部A22に連動して回動していた第2貫通管415が固定され、第2貫通管415を貫通していたアーム4が所定の角度位置に固定される。
【0045】
なお、摺動に関する留め具の構成と、回動に関する留め具の構成とで異なる留め具の構成を用いているが、対象の部材を所定の位置や角度で固定することができれば、双方同じ構成でもよく、また上述した以外の構成でも良い。
【0046】
また、第1回動固定具410、第2回動固定具414、第3回動固定具509、及び第4回動固定具513は、回動自在に固定することができれば、リベット等で設けてもよく、つまみネジ等の取り外し可能な部材で設けてもよい。
【0047】
次に、バット角度を意識した打撃練習を行うため、本発明に係るティーバッティング装置1をどのようにして設定するかについて説明する。
図6~
図8は、
図1で示したティーバッティング装置1によるアーム4をバット角度の目安とした打撃練習を示す模式図である。アーム4は、ロッド3から打撃練習者Dに向かって延び、バットBをスイングしてボール9又は叩打球体54に叩打した際、バットを握った手元からバットの先端まで延びるバット角度の目安となる。なお、本明細書においては説明の便宜上、打撃練習者Dを左打ちの打者として記載しているが、本発明に係るティーバッティング装置1は打撃練習者Dが右打ち・左打ちに関わらず使用することが可能である。
【0048】
図6が示す第1の模式図は、ボール9又は叩打球体54がストライクゾーンの中程度の高さに位置し、バッド角度が水平な打撃練習を示している。上述した打撃練習を行う場合、ティーバッティング装置1は、第1回動部402によりアーム4を上下方向に回動させたのち、基端側から先端側まで水平な角度でアーム4が固定され、アーム4により水平なバット角度を示す。また、ティーバッティング装置1は、第1摺動部401により当該アーム4を上下方向に摺動させ、ボール9又は叩打球体54がストライクゾーンの中程度の高さに位置する箇所で固定される。
【0049】
図7が示す第2の模式図は、ボール9又は叩打球体54がストライクゾーンの高め部分に位置し、バッド角度が高めな打撃練習を示している。上述した打撃練習を行う場合、ティーバッティング装置1は、第1回動部402によりアーム4を上下方向に回動させたのち、基端側が先端側より高めな角度でアーム4が固定され、アーム4により高めなバット角度を示す。また、ティーバッティング装置1は、第1摺動部401により当該アーム4を上下方向に摺動させ、ボール9又は叩打球体54がストライクゾーンの高め部分に位置する箇所で固定される。
【0050】
図8が示す第3の模式図は、ボール9又は叩打球体54がストライクゾーンの低め部分に位置し、バッド角度が低めな打撃練習を示している。上述した打撃練習を行う場合、ティーバッティング装置1は、第1回動部402によりアーム4を上下方向に回動させたのち、基端側が先端側より低めな角度でアーム4が固定され、アーム4により低めなバット角度を示す。また、ティーバッティング装置1は、第1摺動部401により当該アーム4を上下方向に摺動させ、ボール9又は叩打球体54がストライクゾーンの低め部分に位置する箇所で固定される。
【0051】
このことから、第1回動部402によるアーム4の上下方向の回動によりアーム4の角度を調整しつつ、第1摺動部401によるアーム4の上下方向の摺動によりボール9又は叩打球体54を打撃練習者Dの身長に合わせることで、打撃練習者Dにバット角度を意識した打撃練習を実施することができる。
【0052】
また、ティーバッティング装置1は、第1回動部402によるアーム4の上下方向の回動に伴い、標的本体51を第4回動部503により上下方向に回動させることで、バット角度を意識した打撃練習の難易度を上げ下げすることができる。
図9は、第1回動部402によるアーム4の上下方向の回動及び第4回動部503による標的本体51の上下方向の回動を示す模式図である。
【0053】
ボール9又は叩打球体54は、
図9で示したとおり、標的本体51の中心軸Cがアーム4と直交する角度に位置する際が通常位置である。ティーバッティング装置1は、第1回動部402によるアーム4の上下方向の回動に伴い、標的本体51をロッド3に近接する側に回動させたり、ロッド3から離間する側に回動させたりして、バット角度を意識した打撃練習の難易度を調整することができる。
【0054】
また、ティーバッティング装置1は、第2回動部403によりアーム4を左右方向に回動させると、捕手側寄り、或いは投手側寄りにボール9又は叩打球体54を位置させることができる。
図10は、第2回動部403によるアーム4の左右方向の回動及び第3回動部502による標的本体51の左右方向の回動を示す模式図である。
【0055】
アーム4は、
図10で示したとおり、第2回動部403により左右方向に回動することで、ボール9又は叩打球体54が左寄り或いは右寄りに位置する。このとき、第2回動部403によるアーム4の左右方向の回動に伴い、第3回動部502も標的本体51を左右方向に回動させることが好ましい。これにより、打撃練習時にスイングした際に、標的本体51の球体把持部53を叩打せずに、叩打対象であるボール9又は叩打球体54を叩打することが容易となる。
【0056】
また、ティーバッティング装置1は、第2摺動部404によるアーム4の前後方向の摺動、及び第3摺動部501による標的本体51の前後方向の摺動の少なくとも一方を行うと、打撃練習者Dに近接する内角寄り、或いは打撃練習者Dから離間する外角寄りにボール9又は叩打球体54を位置させることができる。
図11は、第2摺動部404によるアーム4の前後方向の摺動及び第3摺動部501による標的本体51の前後方向の摺動を示す模式図である。
【0057】
アーム4は、
図11(a)で示したとおり、ボール9又は叩打球体54が同じストライクゾーンの高さ位置であっても、第2摺動部404によりボール9又は叩打球体54を内角寄りに位置させたり外角寄りに位置させたりすることができる。また、アーム4は、
図11(b)で示したとおり、第3摺動部501によりボール9又は叩打球体54を内角寄りに位置させたり外角寄りに位置させたりすることができる。
【0058】
また、アーム4は、
図11(a)で示したとおり、先端側に標的5を固定させた状態で第2摺動部404により前後方向に摺動すると、バット角度の目安として示していた部分が長くなったり短くなったりしてバット角度を意識した打撃練習を実施する際の難易度を調整することもできる。例えば、アーム4の基端側が第2摺動部404によってロッド3より前方向に突き出されると、バット角度の目安として示していた部分が少なくなり、難易度が上がる。このとき、第3摺動部501による標的本体51の前後方向への摺動を組合せれば、バット角度の目安として示す部分の調整と、ボール9又は叩打球体54の位置の調整とが行えるようになり、バット角度を意識した打撃練習を実施する際の難易度をさらに適宜調整することができる。
【0059】
よって、本発明に係るティーバッティング装置1は、打撃練習者Dが立ち位置を変えることなく、内角寄り或いは外角寄りに設定したり、右寄り或いは左寄りに設定したりしてボール9又は叩打球体54の位置を多彩に変化させることができる。また、本発明に係るティーバッティング装置1は、立体的なストライクゾーンを想定してボール9又は叩打球体54の位置を平面的に捉えず、立体的に捉えることから、様々な角度からストライクゾーンに進入する球種を想定した打撃練習を提供することができる。
【0060】
上述では、本発明に係るティーバッティング装置1におけるアーム調整機構40の動作及び距離調整機構50の動作を明瞭に説明するため、特定の複数の方向における組み合わせ動作で説明している。しかし、バット角度を意識した打撃練習を実施するためであれば、どの方向でどの部材を動作させるかは限定しない。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0062】
1 ティーバッティング装置
2 ベース
3 ロッド
4 アーム
5 標的
9 ボール
21 センターバー
22 サイドバー
23 支持端部
24 接続端部
25 伸縮留め具
31 下段部
32 上段部
40 アーム調整機構
50 距離調整機構
51 標的本体
52 連結部
53 球体把持部
54 叩打球体
401 第1摺動部
402 第1回動部
403 第2回動部
404 第2摺動部
405 第1貫通管
406 第1摺動留め具
407 第1回動本体
408 第1回動スロット
409 第1回動留め具
410 第1回動固定具
411 第2回動本体
412 第2回動スロット
413 第2回動留め具
414 第2回動固定具
415 第2貫通管
416 第2摺動留め具
501 第3摺動部
502 第3回動部
503 第4回動部
504 第3貫通管
505 第3摺動留め具
506 第3回動本体
507 第3回動スロット
508 第3回動留め具
509 第3回動固定具
510 第4回動本体
511 第4回動スロット
512 第4回動留め具
513 第4回動固定具
531 把持爪
A1 つまみボルト
A10 つまみ部
A11 ボルト受部
A12 ボルト端部
A2 つまみナット
A20 つまみ部
A21 ボルト受部
A21 ボルト端部
B バット
C 中心軸
D 打撃練習者