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  • 特開-リフト装置 図1
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  • 特開-リフト装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179108
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】リフト装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/44 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
B60P1/44 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097658
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】393011692
【氏名又は名称】和光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 哲也
(57)【要約】
【課題】 荷物の昇降用の駆動機構の回転の労力を軽減できるリフト装置を提供する。
【解決手段】 前後に離間して配置された第一固定軸及び第二固定軸を有するベースと、プラットホームを昇降させるための前記第一固定軸の周りで回転可能な駆動機構と、前記駆動機構の前記回転を補助するアシスト機構と、を有する車両に取付可能なリフト装置であって、前記アシスト機構は、前記第一固定軸の周りで前記駆動機構と一体に回転する可動軸と、一端が前記可動軸に対して回転可能に取り付けられ、他端に前方座部を有するロッドと、後方座部及び前記ロッドを通過させる通孔を有し、前記第二固定軸の周りで回転可能なブラケットと、両端を前記前方座部と前記後方座部に当接させて前記ロッドを軸挿するスプリングと、を有するリフト装置とした。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後に離間して配置された第一固定軸及び第二固定軸を有するベースと、
プラットホームを昇降させるための前記第一固定軸の周りで回転可能な駆動機構と、
前記駆動機構の前記回転を補助するアシスト機構と、
を有する車両に取付可能なリフト装置であって、
前記アシスト機構は、
前記第一固定軸の周りで前記駆動機構と一体に回転する可動軸と、
一端が前記可動軸に対して回転可能に取り付けられ、他端に前方座部を有するロッドと、
後方座部及び前記ロッドを通過させる通孔を有し、前記第二固定軸の周りで回転可能なブラケットと、
両端を前記前方座部と前記後方座部に当接させて前記ロッドを軸挿するスプリングと、
を有するリフト装置。
【請求項2】
前記駆動機構は、
2つの固定支軸と2つの可動支軸を有する四節リンク構造と、
前記第一固定軸の周りで前記駆動機構と一体に回転する支持部材と、
を有し、
前記支持部材の離間した位置に前記第一固定軸の軸孔及び一方の前記固定支軸の軸孔が形成され、その中間に前記可動軸の軸孔が形成されていることを特徴とする請求項1のリフト装置。
【請求項3】
前記前方座部及び前記後方座部に前記スプリングの内径と概略同径のスプリングガイドが固定されていることを特徴とする請求項1のリフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両に取り付けられるリフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両への荷物昇降用のリフト装置が知られている(特許文献1)。リフト装置は、4節リンク等の駆動機構を有し、駆動機構の動作により荷物を搭載可能なプラットホームを昇降させることができる。駆動機構は車両後部に積載される場合が多く、駆動機構の高さ寸法が大きい場合、後方視界が遮られる場合がある。
【0003】
このため、駆動機構を回転させて横倒し(収納姿勢)にできることが便宜であるが、駆動機構は堅牢な部材で構成する必要があり、油圧シリンダ等の構造物を含むことから重量が大きく、駆動機構を回転させる労力が過大となる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-169292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、駆動機構の回転の労力を軽減できるリフト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願には、
前後に離間して配置された第一固定軸及び第二固定軸を有するベースと、
プラットホームを昇降させるための前記第一固定軸の周りで回転可能な駆動機構と、
前記駆動機構の前記回転を補助するアシスト機構と、
を有する車両に取付可能なリフト装置であって、
前記アシスト機構は、
前記第一固定軸の周りで前記駆動機構と一体に回転する可動軸と、
一端が前記可動軸に対して回転可能に取り付けられ、他端に前方座部を有するロッドと、
後方座部及び前記ロッドを通過させる通孔を有し、前記第二固定軸の周りで回転可能なブラケットと、
両端を前記前方座部と前記後方座部に当接させて前記ロッドを軸挿するスプリングと、
を有することを特徴とするリフト装置が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】リフト装置1の回転動作を示す斜視図及び側面図。(a)は収納姿勢、(b)は回転途中の中間姿勢、(c)は展開姿勢
図2】リフト装置1によるプラットホーム23の昇降動作を示す。(a)は上昇状態、(b)は下降状態。
図3】アシスト機構30を示す。(a)は側面図。(b)はロッド32、ブラケット33、スプリング34の分解斜視図。(c)はブラケット33の拡大斜視図。
図4】アシスト機構30の動作の詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1,2は、リフト装置1及びその動作を示す。リフト装置1は、車両(好ましくは、車両の後部/荷台の床等)に取り付け可能なベース10と、プラットホーム23の昇降のための駆動機構20と、駆動機構20の回転を補助するアシスト機構30を有する。
【0009】
ベース10は、例えば、ボルト孔10a~10c(図3(a)参照)に通したボルト等で車両に取り付けられる。ベース10は、前後方向に離間した第一固定軸11a及び第二固定軸11bを有する。
【0010】
駆動機構20は、第一固定軸11aの周りで手動で回転可能である。すなわち、収納姿勢(図1(a))から中間姿勢(図1(b))を経て展開姿勢(図1(c))へ、又は、その逆方向に回転可能である。図1中、Hは駆動機構20の高さ寸法を示し、Gは駆動機構20の重心を示す。図1のように、本例の駆動機構20は、高さ寸法Hは収納姿勢(a)より展開姿勢(c)が高く、重心Gの高さ位置は収納姿勢(a)より展開姿勢(c)が低い。
【0011】
プラットホーム23は、メインプラットホーム23aと、メインプラットホーム23aに対して折畳式で開閉するサブプラットホーム23bを有する(図2(a))。開閉は手動でも機械駆動でもよい。
【0012】
図2に示すように、駆動機構20は、2つのリフト固定支軸21a,21bと2つのリフト可動支軸21c,21dに回転可能に支承された3つのアーム22a~22cを有する4節リンク構造を有し、アーム22bの先端には、プラットホーム23が取り付けられている。駆動機構20はさらに、4節リンク構造の対角位置の支軸21a,21cに両端を軸支された油圧シリンダ等の駆動装置24を有し、駆動装置24の駆動力で4節リンク構造を動作させることにより、プラットホーム23を昇降させることが可能である(図2(a)→図2(b)/図2(b)→図2(a))。
【0013】
プラットホーム23は重量の大きい荷物の積載が想定されるために堅牢な部材で構成する必要があること、駆動機構20には油圧シリンダ等が組み込まれていること等から、駆動機構20は相当程度の重量を有する。そのため、アシスト機構30が無ければ、駆動機構20の回転には駆動機構20の重量に応じた労力が必要である(収納姿勢への回転には駆動機構20を持ち上げることが必要である。展開姿勢への安静な回転には、回転中、駆動機構20の重量を支えている必要がある。)
【0014】
図3は、アシスト機構30を示す。アシスト機構30は、第一固定軸11aに対して回転可能に取り付けられた駆動機構20と一体に回転する可動軸31と、一端が可動軸31に対して回転可能に取り付けられ、他端に後方座部32cを有するロッド32と、第二固定軸11bに対して回転可能に取り付けられた、前方座部33c及び通孔33dを有するブラケット33と、後方座部32cと前方座部33cに両端を当接させてロッド32を嵌挿するスプリング34を有する。
【0015】
アシスト機構30は、さらに支持部材35を有するとよい。支持部材35は、3つの頂部を有する概略三角形状とし、各頂点付近において第一固定軸11a及び支軸21a,21bを軸支し、第一固定軸11aと支軸21aの軸孔の中間で可動軸31を軸支するとよい。第一固定軸11aに対する可動軸31の回転半径を、第一固定軸11aに対する支軸21aの回転半径より小さくするとよい。
【0016】
図3(b)に示すように、ロッド32の一端側に可動軸31を挿通する軸孔32aを形成するとよく、また、ロッド32の他端側の後方座部32c、及び、スプリング34を案内するスプリングガイド32bは、ナット32d,32e(とロッド32の中間の2つの段部の間)で固定するとよい。
【0017】
図3(c)のように、ブラケット33は、第二固定軸11bを挿通する軸孔33a、軸孔33aの周りで回移転可能なブラケットアーム33b、ブラケットアーム33bの一端に設けられた前方座部33c、前方座部33cに形成された第二固定軸11bの挿通用の通孔33d、スプリング34を案内するスプリングガイド33eを有するとよい。
【0018】
スプリングガイド32b,33eはスプリング34の外径よりわずかに小さい外径を有するとよい。スプリングガイド32b,33eの合計長さをスプリング34の圧縮長と概略同じにするとよい。この場合、スプリングガイド32b,33eの一方を長くし、他方を省略してもよい。
【0019】
図4は、アシスト機構30の動作の詳細を示す。駆動機構20の収納姿勢から展開姿勢への回転(図4(a)→(b)→(c))に伴い、可動軸31が後方に移動し、それに伴い、後方座部32cが前方に移動することで、スプリング34が圧縮される(L1→L2→L3)。このときのスプリング34の反発力が駆動機構20の回転の逆方向に作用するため、操作者は、駆動機構20をさほど強い力で支えなくても、安静に駆動機構20を回転させることができる。駆動機構20を展開姿勢から収納姿勢に回転させる(図4(c)→(b)→(a))際には、圧縮されたスプリング34の反発力が駆動機構20の回転方向に作用するので、駆動機構20の荷重が軽減され、操作者が回転のために駆動機構20に加える力は弱くて済む。
【0020】
第一固定軸11aに対する可動軸31の回転半径R1を第二固定軸11bに対する通孔33dの回転半径R2よりも大きくすることにより、及び/又は、支持部材35の離間した位置(好ましくは、2つの頂部)に第一固定軸11aの軸孔35a及び固定支軸21a,21bの一方の軸孔35bを形成し、その中間に可動軸31を形成することにより、駆動機構20の回転中のスプリング34の傾斜角度を小さく保つことができる。これにより、ロッド32やスプリング34が周囲の部材(例えば、ベース10を車両に固定するためのボルト)に接触を回避する設計が容易になる。
【0021】
スプリングガイド32b,33eでスプリング34を案内する構成とすることで、駆動機構20の回転中のスプリング34のタワミを抑制することができ、タワミによるスプリング34のバネ力の減少を防止できる。
【0022】
上記実施形態に記載したリフト装置やその要素の寸法、形状、配置、個数、材料等は例示であり、他の態様も可能である。例えば、上記実施形態では、手動で駆動機構20を回転させるリフト装置1を説明したが、動力で駆動機構20を回転させてもよい。この場合、アシスト機構30によって順回転(図4(a)→(b)→(c))と逆回転(図4(c)→(b)→(a))に要する動力の大きさが平準化されるので、動力化機構の設計が容易となる。回転半径R1とR2の関係がR1>R2である実施形態を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第一固定軸11a、第一固定軸11b、可動軸31の位置やブラケットアーム33bの長さ等は仕様に応じて変更可能であり、それに応じてR1>R2,R1=R2,R1<R2のいずれにもなり得る。
【符号の説明】
【0023】
1・・・リフト装置
10・・・ベース
11a・・・第一固定軸
11b・・・第二固定軸
20・・・駆動機構
21a,21b・・・リフト固定支軸
21c,21d・・・リフト可動支軸
22a~22c・・・アーム
23・・・プラットホーム
23a・・・メインプラットホーム
23b・・・サブプラットホーム
24・・・駆動装置
30・・・アシスト機構
31・・・可動軸
32・・・ロッド
32a・・・軸孔
32b・・・スプリングガイド
32c・・・後方座部
32d,32e・・・ナット
33・・・ブラケット
33a・・・軸孔
33b・・・ブラケットアーム
33c・・・前方座部
33d・・・通孔
33e・・・スプリングガイド
34・・・スプリング
35・・・支持部材
35a,35b・・・軸孔
図1
図2
図3
図4