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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017912
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/449 20210101AFI20240201BHJP
   H01M 50/46 20210101ALI20240201BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20240201BHJP
   H01G 11/52 20130101ALI20240201BHJP
   H01M 10/052 20100101ALN20240201BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALN20240201BHJP
【FI】
H01M50/449
H01M50/46
H01M10/04 W
H01G11/52
H01M10/052
H01M10/0587
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120871
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】伊勢田 泰助
(72)【発明者】
【氏名】西田 晶
【テーマコード(参考)】
5E078
5H021
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5E078AA14
5E078AB02
5E078AB13
5E078CA10
5E078CA11
5E078DA17
5H021BB11
5H021CC04
5H021EE32
5H021HH10
5H028AA06
5H028BB07
5H028CC02
5H028CC08
5H028CC13
5H028HH01
5H028HH05
5H029AJ14
5H029AK03
5H029AL07
5H029BJ04
5H029BJ14
5H029CJ05
5H029CJ07
5H029DJ04
5H029HJ01
5H029HJ04
5H029HJ12
(57)【要約】
【課題】巻回電極体の成形性と注液性が好適に両立された電池を提供すること。
【解決手段】ここに開示される電池は、正極活物質層を備える帯状の正極と、負極活物質層を備える帯状の負極とが、帯状のセパレータ70を介して巻回された巻回電極体を備えている。セパレータ70は、少なくとも一方の面に接着層を有している。接着層は、セパレータ70の長手方向LDにおいて、接着層の目付量が変化するように形成される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極活物質層を備える帯状の正極と、負極活物質層を備える帯状の負極とが、帯状のセパレータを介して巻回された巻回電極体を備え、
前記セパレータは、少なくとも一方の面に接着層を有しており、
前記接着層は、前記セパレータの長手方向において、前記接着層の目付量が変化するように形成された、電池。
【請求項2】
前記セパレータは、前記接着層が形成された第1形成領域および第2形成領域を有しており、
前記第1形成領域における接着層の目付量は、前記第2形成領域における接着層の目付量よりも小さく、
前記セパレータの長手方向において、前記第1形成領域と前記第2形成領域とが、繰り返し形成されている、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記巻回電極体は扁平状であって、平坦部と湾曲部とを含み、
前記第1形成領域は、前記平坦部に位置しており、
前記第2形成領域は、前記湾曲部に位置している、請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記セパレータの長手方向において、前記第1形成領域のそれぞれの長さ、および、前記第2形成領域のそれぞれの長さの少なくとも一方が変化する、請求項2に記載の電池。
【請求項5】
前記セパレータは、該セパレータの長手方向に直交する幅方向において、前記第1形成領域よりも該セパレータの一方の端部側に位置する第3形成領域を有しており、
前記第3形成領域は、前記セパレータの長手方向に沿って前記接着層が形成され、
前記第3形成領域における前記接着層の目付量は、前記第1形成領域の目付量よりも大きい、請求項2に記載の電池。
【請求項6】
前記巻回電極体は、前記接着層と前記正極活物質層とが当接するように巻回されており、
前記第3形成領域の少なくとも一部は、前記正極活物質層と当接する、請求項5に記載の電池。
【請求項7】
前記巻回電極体は、前記接着層と前記負極活物質層とが当接しないように巻回されており、
前記巻回電極体の積層方向において、前記第3形成領域の少なくとも一部は、前記負極活物質層が形成されている位置と重なる位置に形成されている、請求項5に記載の電池。
【請求項8】
前記セパレータは、該セパレータの幅方向において、前記第3形成領域が形成されていない方の端部側に位置する第4形成領域を有しており、
前記第4形成領域は、前記セパレータの長手方向に沿って前記接着層が形成され、
前記第4形成領域における前記接着層の目付量は、前記第1形成領域の目付量よりも大きい、請求項5に記載の電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、正極活物質層を備える帯状の正極と、負極活物質層を備える帯状の負極とが、帯状のセパレータを介して長手方向に巻回されてなる巻回電極体を備えた電池が知られている。例えば特許文献1には、セパレータの表面全体に接着剤を塗布し、セパレータを正極および負極の少なくとも一方と一体化させた巻回電極体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5328034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者らが検討した結果によれば、セパレータの表面全体に接着剤が塗布された場合には、巻回電極体に電解液が含侵し難くなり、巻回電極体の注液性が低下する虞がある。その一方で、セパレータに接着剤が塗布されていない場合には、巻回電極体の成形性が低下する虞がある。本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、巻回電極体の成形性と注液性とが好適に両立された電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここに開示される電池は、正極活物質層を備える帯状の正極と、負極活物質層を備える帯状の負極とが、帯状のセパレータを介して巻回された巻回電極体を備える。上記セパレータは、少なくとも一方の面に接着層を有している。上記接着層は、上記セパレータの長手方向において、上記接着層の目付量が変化するように形成される。
【0006】
セパレータにおいて所定の目付量で接着層を設けることにより、巻回電極体の形状を十分に保持することができ、巻回電極体の成形性を向上させることができる。また、上記構成においてはセパレータにおいて接着層が過度に形成されることが抑制され、巻回電極体の注液性が十分に確保される。したがって、巻回電極体の成形性と注液性とが好適に両立された電池が実現される。
なお、本明細書において「接着層の目付量(g/m)」とは、接着層が形成されている面積(m)に対する接着層の質量(g)である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係る電池を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿う模式的な縦断面図である。
図3図3は、図1のIII-III線に沿う模式的な横断面図である。
図4図4は、図2のIV-IV線に沿う模式的な縦断面図である。
図5図5は、第1実施形態に係る巻回電極体の構成を示す模式図である。
図6図6は、セパレータの構成を模式的に示す図である。
図7図7は、セパレータの表面の一例を模式的に示す平面図である。
図8図8は、巻回電極体における第1形成領域および第2形成領域の形成位置の一例を模式的に示す図である。
図9図9は、セパレータの表面の他の一例を模式的に示す平面図である。
図10図10は、セパレータの表面の他の一例を模式的に示す平面図である。
図11図11は、巻回電極体における第1形成領域および第2形成領域の形成位置の他の一例を模式的に示す図である。
図12図12は、セパレータの表面の他の一例を模式的に示す平面図である。
図13図13は、正極と負極とセパレータとの界面を模式的に示す拡大図である。
図14図14は、第2実施形態に係る電池の図2対応図である。
図15図15は、第2実施形態に係る巻回電極体における第1形成領域および第2形成領域の形成位置の一例を模式的に示す図8対応図である。
図16図16は、第1変形例に係るセパレータの図7対応図である。
図17図17は、第2変形例に係るセパレータの図7対応図である。
図18図18は、第3変形例に係るセパレータの図7対応図である。
図19図19は、第3変形例に係る第2形成領域の形成角度を説明するための図である。
図20図20は、第4変形例に係るセパレータの図7対応図である。
図21図21は、第4変形例に係る第2形成領域の形成角度を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、ここで開示される技術の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、ここで開示される技術の実施に必要な事柄(例えば、ここに開示される技術を特徴付けない電池の一般的な構成および製造プロセス等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。ここで開示される技術は、本明細書に開示されている内容と、当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、本明細書において範囲を示す「A~B」の表記は、「A以上B以下」の意と共に、「Aを超える」および「B未満」の意を包含するものとする。
【0009】
本明細書において「電池」とは、電気エネルギーを取り出し可能な蓄電デバイス全般を指す用語であって、一次電池と二次電池とを包含する概念である。また、本明細書において「二次電池」とは、電解質を介して正極と負極の間で電荷担体が移動することによって繰り返し充放電が可能な蓄電デバイス全般を指す用語であって、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池等のいわゆる蓄電池(化学電池)と、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(物理電池)と、を包含する概念である。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、電池100の斜視図である。電池100は、二次電池であることが好ましく、リチウムイオン二次電池であることがより好ましい。図2は、図1のII-II線に沿う模式的な縦断面図である。図3は、図1のIII-III線に沿う模式的な横断面図である。図4は、図2のIV-IV線に沿う模式的な縦断面図である。なお、以下の説明において、図面中の符号L、R、F、Rr、U、Dは、左、右、前、後、上、下を表す。また、図面中の符号Xは「電池の短辺方向」を示し、符号Yは「電池の長辺方向」を示し、符号Zは「電池の上下方向」を示す。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、電池100の設置形態を何ら限定するものではない。
【0011】
図1および図2に示すように、電池100は、電池ケース10と、複数の巻回電極体20と、正極端子30と、負極端子40と、正極集電部50と、負極集電部60と、を備えている。図示は省略するが、電池100は、ここではさらに電解液を備えている。電池100は、非水電解液二次電池である。以下、電池100の具体的な構成について説明する。
【0012】
電池ケース10は、巻回電極体20を収容する筐体である。電池ケース10は、ここでは有底の直方体形状(角形)の外形を有する。電池ケース10の材質は、従来から使用されているものと同じでよく、特に制限はない。電池ケース10は、金属製であることが好ましく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金等からなることがより好ましい。図2に示すように、電池ケース10は、開口12hを有する外装体12と、開口12hを塞ぐ封口板(蓋体)14と、を備えている。外装体12および封口板14は、巻回電極体20の収容数(1つまたは複数。ここでは、複数。)や、サイズ等に応じた大きさを有している。
【0013】
外装体12は、図1に示すように、底壁12aと、底壁12aから延び相互に対向する一対の長側壁12bと、底壁12aから延び相互に対向する一対の短側壁12cと、を備えている。底壁12aは、略矩形状である。底壁12aは、開口12h(図2参照)と対向している。封口板14は、外装体12の開口12hを塞ぐように外装体12に取り付けられている。封口板14は、外装体12の底壁12aと対向している。封口板14は、平面視において略矩形状である。電池ケース10は、外装体12の開口12hの周縁に封口板14が接合(例えば溶接接合)されることによって、一体化されている。電池ケース10は、気密に封止(密閉)されている。
【0014】
図2に示すように、封口板14には、注液孔15と、ガス排出弁17と、2つの端子引出孔18、19と、が設けられている。注液孔15は、外装体12に封口板14を組み付けた後、電池ケース10の内部に電解液を注液するための貫通孔である。注液孔15は、電解液の注液後に封止部材16により封止されている。ガス排出弁17は、電池ケース10内の圧力が所定値以上になったときに破断して、電池ケース10内のガスを外部に排出するように構成された薄肉部である。
【0015】
電池ケース10には、上記したように巻回電極体20と共に、電解液が収容され得る。電解液としては、従来公知の電池において使用されているものを特に制限なく使用できる。一例として、非水系溶媒に支持塩を溶解させた非水電解液を使用できる。非水系溶媒の一例として、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート系溶媒が挙げられる。支持塩の一例として、LiPF等のフッ素含有リチウム塩が挙げられる。
【0016】
正極端子30は、封口板14の長辺方向Yの一方の端部(図1図2の左端部)に取り付けられている。負極端子40は、封口板14の長辺方向Yの他方の端部(図1図2の右端部)に取り付けられている。正極端子30および負極端子40は、端子引出孔18、19に挿通され、封口板14の外側の表面に露出している。正極端子30は、電池ケース10の外側において、板状の正極外部導電部材32と電気的に接続されている。負極端子40は、電池ケース10の外側において、板状の負極外部導電部材42と電気的に接続されている。正極外部導電部材32および負極外部導電部材42は、バスバー等の外部接続部材を介して、他の二次電池や外部機器と接続される。正極外部導電部材32および負極外部導電部材42は、導電性に優れた金属から構成されていることが好ましく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等で構成されている。ただし、正極外部導電部材32および負極外部導電部材42は必須ではなく、他の実施形態において省略することもできる。
【0017】
図3および図4に示すように、電池100は、ここでは電池ケース10内に複数個(2個)の巻回電極体20が収容されている。巻回電極体20の詳しい構造については後述するが、それぞれの巻回電極体20には、正極タブ群25と負極タブ群27とが設けられている(図2参照)。これらの電極タブ群(正極タブ群25と負極タブ群27)は、電極集電部(正極集電部50および負極集電部60)と湾曲された状態で接続されている。
【0018】
正極集電部50は、巻回電極体20の正極タブ群25と正極端子30とを電気的に接続している。正極集電部50は、図2に示すように、封口板14の内面側に沿って長辺方向Yに延びる板状の導電部材である。正極集電部50の一方側(図2の左側)は、正極端子30の下端部30cと電気的に接続されている。また、正極集電部50の他方側(図2の右側)は、正極タブ群25と電気的に接続されている。なお、正極端子30および正極集電部50は、導電性に優れた金属から構成されていることが好ましい。正極端子30および正極集電部50は、例えばアルミニウムまたは、アルミニウム合金製であり得る。
【0019】
負極集電部60は、巻回電極体20の負極タブ群27と負極端子40とを電気的に接続している。負極集電部60は、図2に示すように、封口板14の内面側に沿って長辺方向Yに延びる板状の導電部材である。負極集電部60の一方側(図2の右側)は、負極端子40の下端部40cと電気的に接続されている。また、負極集電部60の他方側(図2の左側)は、負極タブ群27と電気的に接続されている。なお、負極端子40および負極集電部60は、導電性に優れた金属から構成されていることが好ましい。負極端子40および負極集電部60は、例えば銅または、銅合金製であり得る。
【0020】
電池100では、巻回電極体20と電池ケース10との導通を防止するために、種々の絶縁部材が取り付けられている。例えば、図1に示すように、正極外部導電部材32および負極外部導電部材42は、外部絶縁部材92によって封口板14と絶縁されている。また、図2に示すように、封口板14の端子引出孔18、19のそれぞれにはガスケット90が装着されている。これによって、端子引出孔18、19に挿通された正極端子30(又は負極端子40)が封口板14と導通することを防止できる。また、正極集電部50および負極集電部60と、封口板14の内面側との間には、内部絶縁部材94が配置されている。これにより、正極集電部50および負極集電部60が封口板14と導通することを抑制することができる。なお、後述する第2実施形態にも示す通り、内部絶縁部材94は、巻回電極体20に向かって突出する突出部を備えていてもよい。
【0021】
さらに、複数の巻回電極体20は、絶縁性の樹脂シートからなる電極体ホルダ29(図2参照)に覆われた状態で、外装体12の内部に配置されている。これによって、巻回電極体20と外装体12が直接接触することを防止できる。なお、上述した各々の絶縁部材の材質は、所定の絶縁性を有している限りにおいて特に限定されない。そのような材質の一例として、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系樹脂、パーフルオロアルコキシアルカン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂等の合成樹脂材料が挙げられる。
【0022】
外装体12には、ここでは2つの巻回電極体20が収容されている。ただし、1つの外装体12の内部に配置される巻回電極体の数は特に限定されず、3つ以上(複数)であってもよいし、1つであってもよい。また、巻回電極体20は、図3に示すように、外装体12の短側壁12cと対向する一対の湾曲部20rと、一対の湾曲部20rを連結し、外装体12の長側壁12bと対向する平坦部20fと、を有する。
【0023】
図5は、巻回電極体20の構成を示す模式図である。図5に示すように、巻回電極体20は、帯状の正極22と帯状の負極24とが2枚の帯状のセパレータ70、71を介して絶縁された状態で積層され、巻回軸WLを中心として長手方向に巻回されて構成されている。なお、図5等における符号LDは、帯状に製造される巻回電極体20およびセパレータ70の長手方向(すなわち、搬送方向)を示している。長手方向LDは、上記した電池100の長辺方向Yと一致する方向である。また、符号TDは、長手方向LDと直交する方向であり、巻回電極体20およびセパレータ70の幅方向を示している。幅方向TDは、上記した電池100の上下方向Zと一致する方向である。なお、以下の説明においては、図5等における長手方向LDの左側を巻回電極体20の巻き始め側、右側を巻回電極体20の巻き終わり側とする。
【0024】
巻回電極体20は、巻回軸WL(図5参照)が外装体12の上下方向Zと平行になる向きで、外装体12の内部に配置されている。言い換えれば、巻回電極体20は、巻回軸WLが短側壁12cと平行になり、底壁12aと直交する向きで、外装体12の内部に配置されている。巻回電極体20の端面(言い換えれば、正極22と負極24とが積層された積層面、図5の幅方向TDの端面)は、底壁12aおよび封口板14と対向している。
【0025】
正極22は、図5に示すように、帯状の部材である。正極22は、帯状の正極集電体22cと、正極集電体22cの少なくとも一方の表面上に固着された正極活物質層22aおよび正極保護層22pと、を有する。ただし、正極保護層22pは必須ではなく、他の実施形態において省略することもできる。正極22を構成する各部材には、一般的な電池(例えば、リチウムイオン二次電池)で使用され得る従来公知の材料を特に制限なく使用できる。例えば、正極集電体22cは、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなることが好ましい。正極集電体22cは、ここでは金属箔、具体的にはアルミニウム箔である。
【0026】
正極22では、図5に示すように、巻回電極体20の幅方向TDの一方の端辺から外側(図5の上側)に向かって複数の正極タブ22tが突出している。複数の正極タブ22tは、長手方向LDに沿って所定の間隔を空けて(間欠的に)設けられている。正極タブ22tは、正極22に接続されている。正極タブ22tは、ここでは正極集電体22cの一部であり、金属箔(具体的にはアルミ箔)から構成される。正極タブ22tは、正極活物質層22aが形成されておらず、正極集電体22cが露出した領域である。ただし、正極タブ22tは、一部に正極活物質層22aおよび/または正極保護層22pが設けられていてもよく、正極集電体22cと別の部材であってもよい。複数の正極タブ22tは、ここではそれぞれ台形状である。ただし、正極タブ22tの形状はこれに限定されない。また、複数の正極タブ22tのサイズも特に限定されない。正極タブ22tの形状やサイズは、例えば正極集電部50に接続される状態を考慮し、その形成位置等によって、適宜調整することができる。複数の正極タブ22tは、正極22の幅方向TDの一方の端部(図5の上端部)で積層され、正極タブ群25を構成している(図2参照)。
【0027】
正極活物質層22aは、図5に示すように、帯状の正極集電体22cの長手方向LDに沿って、帯状に設けられている。正極活物質層22aは、電荷担体を可逆的に吸蔵および放出可能な正極活物質(例えば、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物)を含んでいる。正極活物質層22aの固形分全体を100質量%としたときに、正極活物質は、概ね80質量%以上、典型的には90質量%以上、例えば95質量%以上を占めていてもよい。正極活物質層22aは、正極活物質以外の任意成分、例えば、導電材、バインダ、各種添加成分等を含んでいてもよい。導電材の一例として、アセチレンブラック(AB)等の炭素材料が挙げられる。バインダの一例として、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のフッ素系樹脂が挙げられる。
【0028】
正極保護層22pは、正極活物質層22aよりも電気伝導性が低くなるように構成された層である。正極保護層22pは、図5に示すように、帯状の正極集電体22cの長手方向LDに沿って、帯状に設けられている。正極保護層22pは、図5に示すように、幅方向TDにおいて正極集電体22cと正極活物質層22aとの境界部分に設けられている。正極保護層22pは、ここでは正極集電体22cの幅方向TDの一方の端部(図5の上端部)に設けられている。ただし、正極保護層22pは、幅方向TDの両端部に設けられていてもよい。正極保護層22pを備えることで、セパレータ70、71が破損した際に正極集電体22cと負極活物質層24aとが直接接触して電池100が内部短絡することを防止できる。
【0029】
正極保護層22pは、絶縁性の無機フィラー、例えば、アルミナ等のセラミック粒子を含んでいる。正極保護層22pの固形分全体を100質量%としたときに、無機フィラーは、概ね50質量%以上、典型的には70質量%以上、例えば80質量%以上を占めていてもよい。正極保護層22pは、無機フィラー以外の任意成分、例えば、導電材、バインダ、各種添加成分等を含んでいてもよい。導電材およびバインダは、正極活物質層22aに含み得るとして例示したものと同じであってもよい。
【0030】
負極24は、図5に示すように、帯状の部材である。負極24は、帯状の負極集電体24cと、負極集電体24cの少なくとも一方の表面上に固着された負極活物質層24aと、を有する。負極24を構成する各部材には、一般的な電池(例えば、リチウムイオン二次電池)で使用され得る従来公知の材料を特に制限なく使用できる。例えば、負極集電体24cは、銅、銅合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属から構成されることが好ましい。負極集電体24cは、ここでは金属箔、具体的には銅箔である。
【0031】
負極24では、図5に示すように、巻回電極体20の幅方向TDの一方の端辺から外側(図5の上側)に向かって負極タブ24tが突出している。複数の負極タブ24tは、長手方向LDに沿って所定の間隔を空けて(間欠的に)設けられている。負極タブ24tは、負極24に接続されている。負極タブ24tは、ここでは負極集電体24cの一部であり、金属箔(具体的には銅箔)から構成される。負極タブ24tは、ここでは負極活物質層24aが形成されておらず、負極集電体24cが露出した領域である。ただし、負極タブ24tは、一部に負極活物質層24aが形成されていてもよく、負極集電体24cとは別の部材であってもよい。複数の負極タブ24tは、ここではそれぞれ台形状である。ただし、複数の負極タブ24tの形状やサイズは、正極タブ22tと同様に適宜調整することができる。複数の負極タブ24tは、負極24の幅方向TDの一方の端部(図5の上端部)で積層され、負極タブ群27を構成している(図2参照)。
【0032】
負極活物質層24aは、帯状の負極集電体24cの長手方向LDに沿って、帯状に設けられている。負極活物質層24aは、電荷担体を可逆的に吸蔵および放出可能な負極活物質(例えば、黒鉛等の炭素材料)を含んでいる。負極活物質層24aの幅(幅方向TDの長さ。以下同じ)は、正極活物質層22aの幅よりも大きいことが好ましい。負極活物質層24aの固形分全体を100質量%としたときに、負極活物質は、概ね80質量%以上、典型的には90質量%以上、例えば95質量%以上を占めていてもよい。負極活物質層24aは、負極活物質以外の任意成分、例えば、導電材、バインダ、分散剤、各種添加成分等を含んでいてもよい。バインダの一例として、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム類が挙げられる。分散剤の一例として、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のセルロール類が挙げられる。
【0033】
セパレータ70、71は、帯状の部材である。セパレータ70、71は、電荷担体が通過し得る微細な貫通孔が複数形成された絶縁シートである。セパレータ70、71の幅は、負極活物質層24aの幅よりも大きい。正極22と負極24との間にセパレータ70、71を介在させることによって、正極22と負極24との接触を防止すると共に、正極22と負極24との間に電荷担体(例えばリチウムイオン)を移動させることができる。
【0034】
セパレータ70、71は、図6に示すように、少なくとも一方の表面に接着層74が形成されている。なお、セパレータ70、71のうち、少なくとも一方のセパレータにおいて、接着層74が形成されていればよい。好ましくは、セパレータ70、71において、ともに接着層74が形成されている。セパレータ70、71は、典型的には多孔質樹脂製の基材層72と、接着成分を有する接着層74と、を有している。図6に示すように、ここではさらに、基材層72と接着層74との間に耐熱層73を備えている。
【0035】
基材層72としては、従来公知の電池のセパレータに用いられる微多孔膜を特に制限なく使用できる。基材層72は、多孔質のシート状部材であることが好ましい。基材層72は、単層構造であってもよく、2層以上の構造、例えば3層構造であってもよい。基材層72は、ポリオレフィン樹脂からなることが好ましい。これによって、セパレータ70の柔軟性を充分に確保し、巻回電極体20の作製(巻回およびプレス成形)を容易に実施できる。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、またはこれらの混合物が好ましく、PEからなることがさらに好ましい。
【0036】
特に限定されるものではないが、基材層72の厚みt1は、3μm以上25μm以下であることが好ましく、3μm以上18μm以下であることがより好ましく、5μm以上14μm以下であることがさらに好ましい。基材層72の透気度は、特に限定されるものではないが、30sec/100cc以上500sec/100cc以下であることが好ましく、30sec/100cc以上300sec/100cc以下であることがより好ましく、50sec/100cc以上200sec/100cc以下であることがさらに好ましい。また、基材層72の空孔率は、特に限定するものではないが、例えば20%以上70%以下であってもよく、30%以上60%以下であってもよい。なお、基材層72の空孔率は、水銀圧入法によって測定することができる。
【0037】
耐熱層73は、基材層72の上に設けられている。耐熱層73は、基材層72の表面に直接設けられていてもよいし、他の層を介して基材層72の上に設けられていてもよい。ただし、耐熱層73は必須ではなく、他の実施形態において省略することもできる。耐熱層73の目付量は、ここではセパレータ70の長手方向LDおよび幅方向TDに均質である。特に限定されるものではないが、耐熱層73の厚みt2は、0.3μm以上6μm以下であることが好ましく、0.5μm以上6μm以下であることがより好ましく、1μm以上4μm以下であることがさらに好ましい。耐熱層73は、無機フィラーと耐熱層バインダとを含むことが好ましい。
【0038】
無機フィラーとしては、従来公知この種の用途で使用されているものを特に制限なく使用できる。無機フィラーは、絶縁性のセラミック粒子を含むことが好ましい。なかでも、耐熱性、入手容易性等を考慮すると、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニア等の無機酸化物や、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、ベーマイト等の粘土鉱物が好ましく、アルミナ、ベーマイトがより好ましい。また、セパレータ70の熱収縮を抑制する観点からは、特にアルミニウムを含む化合物が好ましい。耐熱層73の総質量に対する無機フィラーの割合は、85質量%以上が好ましく、90質量%以上、さらには95質量%以上がより好ましい。無機粒子の含有量を所定量以上にすることで、基材層72の熱収縮が抑えられる。
【0039】
耐熱層バインダとしては、従来公知この種の用途で使用されているものを特に制限なく使用できる。具体例として、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。なかでもアクリル系樹脂が好ましい。
【0040】
図6に示すように、接着層74は、ここではセパレータ70の一方の表面に形成されている。ただし、接着層74は、セパレータ70の両方の表面において形成されていてもよい。また、接着層74は、セパレータ70、71の最表面に設けられていればよい。接着層74は、例えば基材層72の表面に直接設けられていてもよい。または、基材層72の表面に耐熱層73が設けられその表面に接着層74が設けられていてもよい。あるいは、その他の任意の層を介して基材層72の上に設けられていてもよい。接着層74は、基材層72の片側あるいは両側に耐熱層73を設け、当該耐熱層73の表面に設けられていることが好ましい。
【0041】
接着層74の厚みt3は、後述する目付量によって変動し得るが、概ね0.3μm以上6μm以下であることが好ましく、0.5μm以上6μm以下であることがより好ましく、1μm以上4μm以下であることがさらに好ましい。
【0042】
接着層74は、例えば加熱や押圧(典型的にはプレス成形)等によって、電極(正極および/または負極)と接着されている。接着層74は、接着層バインダを含んでいる。接着層バインダとしては、正極22に対して一定の粘性を有する従来公知の樹脂材料を特に制限なく使用できる。具体例として、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。なかでも、高い柔軟性を有し、正極22に対する接着性をより好適に発揮できることから、フッ素系樹脂やアクリル系樹脂が好ましい。フッ素系樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が挙げられる。接着層バインダの種類は、耐熱層バインダと同じであってもよく、異なっていてもよい。接着層74の総質量に対する耐熱層バインダの割合は、20質量%以上が好ましく、50質量%以上、さらには70質量%以上がより好ましい。これにより、正極22に対して所定の接着性が的確に発揮されるとともに、プレス成形においてセパレータ70が変形しやすくなる
【0043】
接着層74は、接着層バインダに加えて、他の材料(例えば、耐熱層73の成分として挙げた無機フィラー等)を含んでいてもよい。接着層74が無機フィラーを含む場合、接着層74の総質量に対する無機フィラーの割合は、80質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。
【0044】
ここに開示される電池100のセパレータ70は、少なくとも一方の表面において接着層74を有しており、該セパレータ70の長手方向LDにおいて、接着層74の目付量(g/m)が変化するように形成されている。巻回電極体20においては、湾曲部20rに残留する弾性作用によって平坦部20fが膨張する現象(以下、「スプリングバック」という。)が生じやすい。セパレータ70の長手方向LDにおいて、接着層74の目付量が変化するように設けられていることにより、例えば上記したようなスプリングバックを好適に抑制することができる。これによって、巻回電極体20の成形性が向上する。その一方で、接着層74がセパレータ70の表面に過度に設けられている場合には、電解液が当該接着層74に吸収されて注液性が低下する虞がある。このため、電解液の注液性の観点からは、セパレータ70の表面において接着層74は過度に設けられていないことが好ましい。これらの観点から、セパレータ70、71の長手方向LDにおいて、接着層74を形成する位置を適宜調整することにより、巻回電極体20のスプリングバックを好適に抑制しつつ、電解液の注液性の低下を抑制することができる。
【0045】
以下においては、セパレータ70を例にしてここに開示されるセパレータの構成を説明するが、セパレータ71についても同様の構成とすることができる。また、上記したように、セパレータ70、71のうち少なくとも一方のセパレータにおいて後述する構成を有していればよい。
【0046】
ここに開示される電池100のセパレータ70は、少なくとも一方の面において接着層74が形成されている。本発明者らの知見によれば、正極22とセパレータ70とを接着させる場合、負極24とセパレータ70とを接着させる場合よりもやや剥離しやすい傾向にあることを見出した。したがって、かかる観点から接着層74は、少なくとも正極22と当接する側の表面に形成されていることが好ましい。これにより、巻回電極体20の正極22とセパレータ70との接着性が向上し、巻回電極体20の成形性が向上する。一方で、負極24とセパレータ70とは、比較的接着性が高く、負極24と当接する側において接着層74が形成されてない場合であっても十分に巻回電極体20の成形性を確保することができる。また、上記したように接着層74が過度に形成されている場合には、注液性が低下する虞がある。したがって、これらの観点からは、セパレータ70の基材層72と負極24とが当接することが好ましい。
【0047】
接着層74は、ベタ塗してもよく、あるいは所定のパターンで塗布されてもよい。例えば、接着層74は、平面視で、ドット状、ストライプ状、波状、帯状(筋状)、破線状、またはこれらの組み合わせ等に形成することができる。上記した接着層74の目付量は、例えば接着層74の塗布パターンを変更することによって、制御することができる。一例として、目付量が相対的に大きい領域は全面塗(ベタ塗)し、目付量が相対的に小さい領域は部分的に塗布するとよい。あるいは、接着層74の目付量は、同じ塗布パターンであってもその塗布量を変更することによって、制御することができる。一例として、目付量が相対的に大きい領域および目付量が相対的に小さい領域の接着層74がともにドット状に塗布され、目付量が相対的に小さい領域の接着層74が目付量の相対的に大きい領域の接着層74よりも塗布量が少なくなるように塗布するとよい。
【0048】
図7は、巻回電極体20を構成する前のセパレータ70の表面を表す平面図である。ここに開示される電池100のセパレータ70は、長手方向LDにおいて、接着層74の目付量(g/m)が変化するように形成されている。接着層74は、上記したようにスプリングバックを好適に抑制することができる位置に適宜配置されている。例えば、図7に示すように、セパレータ70はその表面において、接着層74が形成された第1形成領域81と、接着層74が形成された第2形成領域82と、を有しており、第1形成領域81における接着層74の目付量が第2形成領域82における接着層74の目付量よりも小さいことが好ましい。そして、該セパレータ70の長手方向LDにおいて、第1形成領域81と第2形成領域82とが、繰り返し形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、接着層74の目付量が相対的に大きい第2形成領域82によって、スプリングバックが好適に抑制されて巻回電極体20の成形性が向上する。また、接着層74の目付量が相対的に小さい第1形成領域81においては、電解液が浸透しやすく注液性が向上する。さらに、電池100の抵抗成分となり得る接着層74が従来に比して少量に抑えられることにより、電池100の電池性能が向上する。
【0049】
第1形成領域81における接着層74の目付量A(g/m)は、第2形成領域82における接着層74の目付量B(g/m)よりも小さくなるように調整されていればよい。例えば、第2形成領域82における接着層74の目付量B(g/m)に対する第1形成領域81における接着層74の目付量A(g/m)の比(A/B)は、0.1以上0.9以下であることが好ましく、0.2以上0.75以下であってもよく、0.3以上0.5以下であることがより好ましい。特に限定されないが、第1形成領域81および第2形成領域82の目付量は、それぞれ、0.005~1.0g/mが好ましく、0.02~0.04g/mがより好ましい。
【0050】
上記した第1形成領域81と第2形成領域82の目付量は、例えば接着層74の塗布パターンを変更することによって制御することができる。一例として、第1形成領域81が接着層74をドット状に塗布することによって形成され、第2形成領域82が接着層74を全面塗することによって形成されていてもよい。あるいは、第1形成領域81と第2形成領域82の目付量は、同じ塗布パターンであってもその塗布量を変更することによって、制御することができる。一例として、第1形成領域81および第2形成領域82の接着層74がともにドット状に塗布され、第1形成領域81の接着層74が第2形成領域82の接着層74よりも塗布量が少なくなるように塗布するとよい。
【0051】
図8および図11は、扁平状の巻回電極体20における第1形成領域81と第2形成領域82の形成位置の一例を模式的に示す図である。なお、図8等における符号MDは、巻回電極体20の積層方向を示し、上記した電池100の短辺方向Xと一致する方向である。巻回電極体20は扁平状であって、該巻回電極体20は平坦部20fと湾曲部20rとを含むことが好ましい。そして、第1形成領域81は平坦部20fに位置しており、第2形成領域82は湾曲部20rに位置していることが好ましい。これにより、平坦部20fにおける電解液の浸透性が向上する。また、湾曲部20rに相対的に目付量が大きい第2形成領域82が位置することにより、湾曲部20rにおける極間距離が安定し、電池抵抗を低減させることができる。
なお、扁平状の巻回電極体とは、断面視において略長円形であり、いわゆるレーストラック形状である巻回電極体(図3参照)のことをいう。かかる扁平状の巻回電極体20は、例えば筒状に巻回した電極体を扁平にプレス成形することによって形成し得る。
【0052】
第1形成領域81は平坦部20fの少なくとも一部に設けられていればよく、平坦部20fの全てに設けられていてもよい。第2形成領域82は、湾曲部20rの少なくとも一部に設けられていればよく、湾曲部20rの全てに設けられていてもよい。また、巻回電極体20の湾曲部20rと平坦部20fとの境界20bと、第1形成領域81と第2形成領域82との境界81bは、一致していなくてもよい。すなわち、図8に示すように、第2形成領域82の一部は平坦部20fに設けられていてもよい。あるいは、第1形成領域81の一部は湾曲部20rに設けられていてもよい。
【0053】
好ましい一態様においては、図8に示すように、第2形成領域82は、湾曲部20rと平坦部20fとの境界20bに設けられており、および、平坦部20fの端部の一部に当接するように設けられている。第2形成領域82の長手方向LDの長さL1は、巻回電極体20の湾曲部20rの長さLaよりもやや長いことが好ましい。例えば、第2形成領域82の長さL1は、湾曲部20rの長さLaよりも5%以上長いことが好ましく、10%以上長くてもよい。一方で、第2形成領域82の長さL1は、湾曲部20rの長さLaの150%以下の長さであることが好ましく、125%以下の長さであってもよい。
【0054】
一方で、スプリングバックを好適に抑制する観点からは、巻回電極体20において、第1形成領域81は湾曲部20rに位置しており、第2形成領域82は平坦部20fに位置しているとよい。上記したように、スプリングバックは、巻回電極体20の湾曲部20rに残留する弾性作用によって平坦部20fが膨張する現象である。したがって、平坦部20fに接着層74の目付量が相対的に大きい第2形成領域82を配置することにより、スプリングバックを好適に抑制することできる。また、湾曲部20rに接着層74の目付量が相対的に小さい第1形成領域81を配置することにより、湾曲部20rにおける注液性は十分に確保され得る。したがって、かかる構成によれば、巻回電極体20の成形性と注液性とが両立され得る。
この場合において、第1形成領域81は湾曲部20rの少なくとも一部に設けられていればよく、湾曲部20rの全てに設けられていてもよい。第2形成領域82は、平坦部20fの少なくとも一部に設けられていればよく、平坦部20fの全てに設けられていてもよい。また、上記したように、巻回電極体20の湾曲部20rと平坦部20fとの境界20bと、第1形成領域81と第2形成領域82との境界81bは、一致していなくてもよい。すなわち、第1形成領域81の一部は、平坦部20fに設けられていてもよい。あるいは、第2形成領域82の一部は湾曲部20rに設けられていてもよい。
【0055】
図9および図10は、巻回電極体20を構成する前のセパレータ70の表面の一例を表す平面図である。セパレータ70は、該セパレータ70の長手方向LDにおいて、第1形成領域81のそれぞれの長さが変化することが好ましい。あるいは、セパレータ70は、該セパレータ70の長手方向LDにおいて、第2形成領域82のそれぞれの長さが変化することが好ましい。第1形成領域81と第2形成領域82の長さは、少なくとも一方が変化するように形成されることが好ましい。第1形成領域81と第2形成領域82の長さは、その両方の長さが変化するように形成されていてもよい。例えば、図9に示すように、セパレータ70は長手方向LDにおいて、第1形成領域81と第2形成領域82とが繰り返し形成されており、巻回電極体20を構築した際の湾曲部20rの長さに合わせて、第2形成領域82の長さが長くなるように形成されていてもよい。また、図示は省略するが、セパレータ70は長手方向LDにおいて、第1形成領域81と第2形成領域82とが繰り返し形成されており、巻回電極体20を構築した際の湾曲部20rの長さに合わせて、第1形成領域81の長さが長くなるように形成されていてもよい。上記したように巻回電極体20を構築した際の湾曲部20rの長さに合わせて、第1形成領域81および/または第2形成領域82の長さを調節することにより、巻回電極体20の所望する位置に第1形成領域81および第2形成領域82を配置させることができる。特に限定されるものではないが、巻回電極体20の成形性の観点からは、巻回電極体20の湾曲部20rに第2形成領域82が位置するように、セパレータ70の長手方向LDにおいて第2形成領域82の長さが長くなるように形成されていることが好ましい。
【0056】
図11に示すように、好ましい一態様では、セパレータ70は長手方向LDにおいて、第1形成領域81と第2形成領域82とが繰り返し形成されており、第1形成領域81が平坦部20fの一部および湾曲部20rの一部に配置され、かつ、第2形成領域82が湾曲部20rと平坦部20fとの境界20bを含む境界近接領域に配置されている。ここで、境界近接領域とは、湾曲部20rと平坦部20fとの境界20bを含み、平坦部20fの一部と湾曲部20rの一部とを含む領域である。境界20bおよび境界近接領域においては、巻回電極体20を構築した際に特にストレスがかかりやすい。このため、相対的に目付量の大きい第2形成領域82をかかる位置に配置することにより、より好適に巻回電極体20の成形性を向上させることができる。また、湾曲部20rの全てに第2形成領域82を設けるよりも、さらに巻回電極体20の注液性が向上させることができる。
【0057】
図12は、巻回電極体20を構成する前のセパレータ70の表面の一例を表す平面図である。セパレータ70は、上述した第1形成領域81および第2形成領域82に加えて、第3形成領域83をさらに有していることが好ましい。第3形成領域83は、セパレータ70の幅方向TDにおいて第1形成領域81よりも端部側に形成されている。第3形成領域83は、セパレータ70の幅方向TDの上端側(図12のU方向)に形成されていてもよいし、下端側(図12のD方向)に形成されていてもよい。図12に示すように、第3形成領域83は、セパレータ70の長手方向LDに沿って接着層74が形成される。このようにセパレータ70の幅方向TDにおいて、第1形成領域81よりも端部側である第3形成領域83が設けられることにより、巻回電極体20の幅方向TDの端部において電極とセパレータ70とが好適に接着され、異物の混入等を防止することができる。また、セパレータ70がめくれることや、電池100の使用時における振動耐性等を向上させ得る。これにより、より高品質な電池100を提供することができる。
【0058】
また、セパレータ70は、セパレータ70の幅方向TDにおいて、第3形成領域83が形成されていない方の端部に、第4形成領域84をさらに有していることが好ましい。当該第4形成領域84は、セパレータ70の長手方向LDに沿って接着層74が形成される領域である。これにより、巻回電極体20の幅方向TDの端部において電極とセパレータ70とがより好適に接着され、例えばセパレータ70のめくれ等を防止することができる。
なお、図12においては、幅方向TDの上端側に配置されている領域を第3形成領域83とし、幅方向TDの下端側に配置されている領域を第4形成領域84としているが、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、ここに開示される電池100の形態を限定するものではない。例えば、セパレータ70の幅方向TDの下端側に第3形成領域83のみが形成されていてもよい。
【0059】
ここに開示される電池100のセパレータ70において、第3形成領域83および第4形成領域84における接着層74の目付量は、第1形成領域81における接着層74の目付量よりも大きい。例えば、第3形成領域83における接着層74の目付量C(g/m)に対する第1形成領域81における接着層74の目付量A(g/m)の比(A/C)は、0.1以上0.9以下であることが好ましく、0.2以上0.75以下であってもよく、0.3以上0.5以下であることがより好ましい。また、第3形成領域83における接着層74の目付量D(g/m)に対する第1形成領域81における接着層74の目付量A(g/m)の比(A/D)は、0.1以上0.9以下であることが好ましく、0.2以上0.75以下であってもよく、0.3以上0.5以下であることがより好ましい。特に限定されないが、第3形成領域83および第4形成領域84の目付量は、それぞれ、0.005~1.0g/mが好ましく、0.02~0.04g/mがより好ましい。
【0060】
第3形成領域83および第4形成領域84の目付量は、上述した第1形成領域81および第2形成領域と同様に、例えば接着層74の塗布パターンを変更することによって制御することができる。あるいは、第3形成領域83および第4形成領域84の目付量は、同じ塗布パターンであってもその塗布量を変更することによって、制御することができる。
【0061】
第3形成領域83および第4形成領域84は、セパレータ70の長手方向LDに沿って、間欠的に設けられていてもよい。ただし、第3形成領域83(第4形成領域84)が形成されている合計長さが、セパレータ70の長手方向LDの長さの60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。これにより、上述したような異物の混入等を防止する効果や、電池100の使用時における振動耐性等の効果がより好適に発揮される。
【0062】
図13は、巻回電極体20の正極22と負極24とセパレータ70と界面を模式的に示す拡大図である。上記したように、ここに開示される電池100のセパレータ70は、少なくとも正極22と当接する側の表面に接着層74が形成されていることが好ましい。この場合において、より好ましい一態様では、第3形成領域83の少なくとも一部が正極活物質層22aと当接する。これにより、正極22とセパレータ70との接着性が向上し、振動耐性、セパレータ70のめくれ抑制および異物混入の防止の少なくともいずれか一つの効果が好適に発揮される。
【0063】
セパレータ70において少なくとも正極22と当接する側の表面に接着層74が形成されている場合、第4形成領域84の少なくとも一部が正極活物質層22aと当接することが好ましい。これにより、例えばセパレータ70のめくれが抑制される。
【0064】
さらに好ましい一態様では、巻回電極体20は、セパレータ70の接着層74と正極活物質層22aとが当接するように巻回されており、第3形成領域83の少なくとも一部が正極活物質層22aと当接し、かつ、第4形成領域84の少なくとも一部が正極活物質層22aと当接する。これにより、巻回電極体20の幅方向TDの両端部において、より好適に正極22とセパレータ70とが接着され、セパレータ70のめくれや異物混入等が高いレベルで抑制され、高品質な電池100を実現することができる。
【0065】
上記したように、注液性の観点からは、セパレータ70は、負極24と当接する側において接着層74が設けられていないことが好ましい。この場合においては、巻回電極体20の積層方向MDにおける第3形成領域83の少なくとも一部は、負極活物質層24aが形成されている位置と重なる位置に形成されていることが好ましい。これにより、例えば負極24が折れ曲がりにくくなり、負極24から負極活物質層24aが脱落することを抑制し得る。また、この場合における別の好ましい一態様では、巻回電極体20の積層方向MDにおける第4形成領域84の少なくとも一部は、負極活物質層24aが形成されている位置と重なる位置に形成されているとよい。
【0066】
一方で、上述したようにセパレータ70は負極24と当接する側の表面に接着層74が形成されていてもよい。この場合には、巻回電極体20は、セパレータ70の接着層74と負極活物質層24aとが当接するように巻回されており、第3形成領域83の少なくとも一部が負極活物質層24aと当接してもよい。また、第4形成領域84の少なくとも一部が負極活物質層24aと当接してもよい。これにより、巻回電極体20の幅方向TDの端部において負極24とセパレータ70との接着性が向上し、振動耐性、セパレータ70のめくれ抑制および異物混入の防止の少なくともいずれか一つの効果が向上する。
【0067】
また、セパレータ70は、正極22と当接する側において接着層74が設けられていなくてもよい。この場合において、巻回電極体20の積層方向MDにおける第3形成領域83の少なくとも一部は、正極活物質層22aが形成されている位置と重なる位置に形成されていてもよい。また、この場合において、巻回電極体20の積層方向MDにおける第4形成領域84の少なくとも一部は、正極活物質層22aが形成されている位置と重なる位置に形成されていてもよい。
【0068】
セパレータ70は、接着層74が形成された第1形成領域81、第2形成領域82、第3形成領域83および第4形成領域84の他に、接着層74が形成されていない接着層未形成領域を有していてもよい。接着層未形成領域は、例えば、第1形成領域81と第2形成領域82との間に設けられていてもよいし、第1形成領域81および第2形成領域と第3形成領域83との間に設けられていてもよい。あるいは、第1形成領域81および第2形成領域と第4形成領域84との間に設けられていてもよい。
【0069】
また、セパレータ70の長手方向LDの両端部において接着層未形成領域が設けられていてもよいし、長手方向LDのいずれか一方の端部において接着層未形成領域が設けられていてもよい。あるいは、幅方向TDのいずれか一方の端部において接着層未形成領域が設けられていてもよいし、セパレータ70の幅方向TDの両端部において接着層未形成領域が設けられていてもよい。一例として、巻回電極体20を巻回する際に用いる巻き芯と、セパレータ70とが接触する領域においては、接着層未形成領域が設けられているとよい。言い換えれば、セパレータ70の長手方向LDの巻き始め側の端部において、接着層未形成領域が設けられているとよい。これにより、構築された巻回電極体20を、巻き芯から容易に取り外すことができる。また、巻回電極体20が構成された際の最外周面には接着層74が形成されていないことが好ましい。言い換えれば、セパレータ70の長手方向LDの巻き終わり側の端部において接着層未形成領域が設けられているとよい。これにより、例えば、巻回電極体20を好適に電極体ホルダ29に収容することができる。
【0070】
また、図13に示すように、セパレータ70の底壁側端部(図13の下側の端部)において、第4形成領域84よりも下方(外側)には、上述したように接着層74が形成されていない接着層未形成領域N1が設けられていてもよい。ここでは、接着層未形成領域N1は、接着層74が形成されずに耐熱層73が露出している領域である。第4形成領域84よりも下方に接着層未形成領域N1を設けることで、例えば電解液の含浸性を高めることができる。
【0071】
ここで、図13に示すように、負極活物質層24aの下端からセパレータ70の接着層未形成領域N1の下端までの幅、言い換えれば、セパレータ70のうち、対向する負極活物質層24aの下端よりも下側(底壁側端部の側)にはみ出した底壁側端部の出代をC1とする。出代C1は、セパレータ70の負極活物質層24aと対向していない領域である。出代C1は、ここでは接着層未形成領域N1の幅B1よりも大きい。このとき、接着層未形成領域N1の幅B1と出代C1は、0≦B1≦C1を満たすことが好ましい。
また、対向する正極活物質層22aの下端から接着層未形成領域N1の下端までの幅をD1とする。幅D1は、セパレータ70の正極活物質層22aと対向していない領域である。幅D1は、ここでは接着層未形成領域N1の幅B1よりも大きい。このとき、幅B1と幅D1は、0≦B1≦D1を満たすことが好ましい。
【0072】
<第2実施形態>
図14は、第2実施形態に係る電池200の図2対応図である。図14に示すように、電池200は、巻回電極体20にかえて巻回電極体120を備えている。電池200では、巻回電極体120の配置が第1実施形態とは異なっている。ゆえに、電池200は、正極タブ群25および負極タブ群27にかえて、正極タブ群125および負極タブ群127を備えている。電池200は、正極集電部50および負極集電部60にかえて、正極集電部150および負極集電部160を備えている。電池200は、内部絶縁部材94にかえて内部絶縁部材194を備えている。電池200は、これらのこと以外、上記した第1実施形態の電池100と同様であってよい。
【0073】
巻回電極体120は、ここでは巻回軸WLが長辺方向Yと略一致するように電池ケース10の内部に収容されている。一対の湾曲部120r(図15参照)は、外装体12の底壁12aおよび封口板14と対向している。平坦部120f(図15参照)は、外装体12の長側壁と対向している。巻回電極体120の端面(すなわち、正極22と負極24とが積層された積層面)は、一対の短側壁12cと対向している。なお、巻回電極体120を構成する各部の材質、構成等は、第1実施形態の巻回電極体20と同様であってよい。
【0074】
正極タブ群125は、巻回電極体120の長辺方向Yの一方の端部(図14の左端部)に設けられている。負極タブ群127は、巻回電極体120の長辺方向Yの他方の端部(図14の右端部)に設けられている。負極タブ群127は、長辺方向Yにおいて、正極タブ群125と反対側の端部に設けられている。正極タブ群125には正極集電部150が付設されている。正極タブ群125は、正極集電部150を介して正極端子30と電気的に接続されている。負極タブ群127には負極集電部160が付設されている。負極タブ群127は、負極集電部160を介して負極端子40と電気的に接続されている。
【0075】
内部絶縁部材194は、封口板14の内側面から巻回電極体120に向かって突出する突出部を備えている。これによって、上下方向Zにおける巻回電極体120の移動が規制される。そのため、振動や落下等の衝撃を受けても巻回電極体120が封口板14と干渉しにくくなり、巻回電極体120の損傷を抑制できる。
【0076】
図15は、巻回電極体120における第1形成領域181と第2形成領域182の形成位置の一例を模式的に示す図であり、図8対応図である。なお、図15における符号MDは、電池200の短辺方向Xと一致する方向であり、符号TDは、電池200の上下方向Zと一致する方向である。セパレータ170、171の構成は、上記した第1実施形態のセパレータ70、71と同様であってよい。ただし、第2実施形態では巻回電極体120が横向きに収容されているため、第1実施形態と区別するために異なる符号を付している。また、第2実施形態においても同様に、セパレータ170、171のうち少なくとも一方のセパレータにおいて後述する構成を有していればよい。
【0077】
セパレータ170は、少なくとも一方の面において接着層を備えている。そして、セパレータ170の長手方向において、接着層の目付量(g/m)が変化するように形成されている。セパレータ170はその表面において、接着層が形成された第1形成領域181と、接着層が形成された第2形成領域182と、を有しており、第1形成領域181における接着層の目付量が第2形成領域182における接着層の目付量よりも小さい。そして、該セパレータ170の長手方向において、第1形成領域181と第2形成領域182とが、繰り返し形成されている。巻回電極体120が横向きに収容されている場合には、図15に示すように、一対の湾曲部120rは、電池200の上下方向Zの両端側に形成されている。このとき、セパレータ170は、第1形成領域181は平坦部120fに位置しており、第2形成領域182は湾曲部120rに位置していることが好ましい。これにより、平坦部120fにおける電解液の浸透性が向上するとともに、湾曲部120rにおける極間距離が安定し、電池抵抗を低減させることができる。
【0078】
セパレータ170は、第1実施形態と同様に、第1形成領域181および第2形成領域182の他に、接着層が形成された第3形成領域および第4形成領域を備えていてもよい。また、セパレータ170は、接着層が形成されない接着層未形成領域を備えていてもよい。
【0079】
<電池の用途>
上述した電池は各種用途に利用可能であるが、例えば、乗用車、トラック等の車両に搭載されるモータ用の動力源(駆動用電源)として好適に用いることができる。車両の種類は特に限定されないが、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHEV;Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、ハイブリッド自動車(HEV;Hybrid Electric Vehicle)、電気自動車(BEV;Battery Electric Vehicle)等が挙げられる。電池は、電池反応のバラつきが低減されているため、組電池の構築に好適に用いることができる。
【0080】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、上記実施形態は一例に過ぎない。本発明は、他にも種々の形態にて実施することができる。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を他の変形態様に置き換えることも可能であり、上記した実施形態に他の変形態様を追加することも可能である。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
【0081】
<第1変形例>
例えば、上記した第1実施形態では、図7に示すように、セパレータ70の長手方向LDにおいて、相対的に目付量の小さい第1形成領域81と、相対的に目付量の大きい第2形成領域82とが、繰り返し形成されていた。しかしながら、セパレータ70における第1形成領域81と第2形成領域82は繰り返し形成されていなくてもよい。
【0082】
図16は、第1変形例に係るセパレータ270を模式的に示す平面図である。図16は、第1変形例に係る図7対応図である。巻回電極体20を構築した際には、セパレータ270の巻き始め側は巻回電極体20の中心側に位置し、巻き終わり側は巻回電極体20の外周側に位置する。ここで、巻回電極体20の中心側においては、外周側と比較して電解液が含侵し難く注液性が低い。このため、第1変形例に係るセパレータ270では、その表面において、接着層74が形成された第1形成領域281と、接着層74が形成された第2形成領域282と、を有しており、第1形成領域281における接着層74の目付量が第2形成領域282における接着層74の目付量よりも小さく、該セパレータ270の長手方向LDにおいて、巻き始め側に第1形成領域281が配置され、巻き終わり側に第2形成領域282が配置されている。すなわち、注液性が低い巻回電極体20の中心側において、相対的に目付量の小さい第1形成領域281が形成される。接着層74が過度に形成されないことによって、巻回電極体20の中心側に電解液が含侵しやすくなり、巻回電極体20全体の注液性が向上する。また、巻回電極体20の巻き終わり側において、相対的に目付量の大きい第2形成領域282を備えていることにより、十分にスプリングバックを抑制することができる。したがって、巻回電極体20の成形性と注液性とが両立される。
【0083】
セパレータ270において、第1形成領域281の長手方向LDの長さL2と、第2形成領域282の長手方向LDの長さL3は、巻回電極体の大きさ等に合わせて適宜変更され得るため特に限定されない。例えば、セパレータ270の長手方向LDの長さLbに対する第1形成領域281の長手方向LDの長さL2(L2/Lb)は、0.1以上0.9以下であることが好ましく、0.2以上0.8以下であることがより好ましい。また、セパレータ270の長手方向LDの長さLbに対する第2形成領域282の長手方向LDの長さL3(L3/Lb)は、0.1以上0.9以下であることが好ましく、0.2以上0.8以下であることがより好ましい。第1形成領域281の長手方向LDの長さL2と第2形成領域282の長手方向LDの長さL3との比(L2:L3)は、例えば10:90~90:10であることが好ましく、20:80~80:20であることがより好ましい。
【0084】
なお、第1変形例に係るセパレータ270では、巻き始め側の端部271sから長手方向LDの中央部までの領域を第1形成領域281とし、巻き終わり側の端部271eから長手方向LDの中央部までの領域を第2形成領域282としたときに、第1形成領域281の接着層74の目付量が、第2形成領域282の接着層74の目付量よりも小さくなるように調整されていればよい。言い換えれば、第1形成領域281および第2形成領域282の中で、それぞれ目付量が大きい領域と小さい領域とを有していたとしても、第1形成領域281の全体の目付量が、第2形成領域282の全体の目付量よりも小さくなるように調整されていればよい。例えば、セパレータ270の長手方向LDにおいて、巻き始め側の端部271sから巻き終わり側の端部271eにかけて徐々に接着層74の目付量が大きくなるように形成されていてもよい。
【0085】
セパレータ270は、第1実施形態と同様に、接着層74が形成された第1形成領域281および第2形成領域282の他に、接着層が形成された第3形成領域および第4形成領域を備えていてもよい。また、セパレータ270は、接着層74が形成されない接着層未形成領域を備えていてもよい。
【0086】
<第2変形例>
図17は、第2変形例に係るセパレータ370を模式的に示す平面図である。図17は、第2変形例に係る図7対応図である。本発明者らの知見によれば、巻回電極体20の中心側においてはセパレータと正極との間に隙間が生じやすく、正極とセパレータとが剥離しやすい傾向にある。このため、第2変形例に係るセパレータ370では、その表面において、接着層74が形成された第1形成領域381と、接着層74が形成された第2形成領域382と、を有しており、第1形成領域381における接着層74の目付量が第2形成領域382における接着層74の目付量よりも小さく、該セパレータ370の長手方向LDにおいて、巻き始め側に第2形成領域382が配置され、巻き終わり側に第1形成領域381が配置されている。すなわち、正極とセパレータとが剥離しやすい巻回電極体20の中心側において、相対的に目付量の大きい第2形成領域382が形成される。これにより、巻回電極体20の成形性を好適に向上させることができる。その一方で、巻回電極体20の巻き終わり側において、相対的に目付量の小さい第1形成領域381が形成される。これにより、注液性が低下することを抑制することができる。したがって、巻回電極体20の成形性と注液性とが両立される。
【0087】
セパレータ370において、第1形成領域381の長手方向LDの長さL4と、第2形成領域382の長手方向LDの長さL5は、巻回電極体の大きさ等に合わせて適宜変更され得るため特に限定されない。例えば、セパレータ370の長手方向LDの長さLcに対する第1形成領域381の長手方向LDの長さL4(L4/Lc)は、0.1以上0.9以下であることが好ましく、0.2以上0.8以下であることがより好ましい。また、セパレータ370の長手方向LDの長さLcに対する第2形成領域382の長手方向LDの長さL5(L5/Lc)は、0.1以上0.9以下であることが好ましく、0.2以上0.8以下であることがより好ましい。第1形成領域381の長手方向LDの長さL4と第2形成領域382の長手方向LDの長さL5との比(L4:L5)は、例えば10:90~90:10であることが好ましく、20:80~80:20であることがより好ましい。
【0088】
なお、変形例2に係るセパレータ370では、巻き終わり側の端部371eから長手方向LDの中央部までの領域を第1形成領域381とし、巻き始め側の端部371sから長手方向LDの中央部までの領域を第2形成領域382としたときに、第1形成領域381の接着層74の目付量が、第2形成領域382の接着層74の目付量よりも小さくなるように調整されていればよい。言い換えれば、第1形成領域381および第2形成領域382の中で、それぞれ目付量が大きい領域と小さい領域とを有していたとしても、第1形成領域381の全体の目付量が第2形成領域382の全体の目付量よりも小さくなるように調整されていればよい。例えば、セパレータ370の長手方向LDにおいて、巻き始め側の端部371sから巻き終わり側の端部371eにかけて徐々に接着層74の目付量が小さくなるように形成されていてもよい。
【0089】
セパレータ370は、第1実施形態と同様に、接着層74が形成された第1形成領域381および第2形成領域382の他に、接着層が形成された第3形成領域および第4形成領域を備えていてもよい。また、セパレータ370は、接着層74が形成されない接着層未形成領域を備えていてもよい。
【0090】
<第3変形例>
図18は、第3変形例に係るセパレータ470を模式的に示す平面図である。図18は、第3変形例に係る図7対応図である。また、図19は、第3変形例に係る第2形成領域の形成角度を説明するための図である。第3変形例に係るセパレータ470では、その表面において、接着層74が形成された第1形成領域481と、接着層74が形成された第2形成領域482と、を有しており、第1形成領域481における接着層74の目付量が第2形成領域482における接着層74の目付量よりも小さく、第2形成領域482は、該セパレータ470の長手方向LDに対して傾斜した複数のストライプ状に配置されている。これにより、相対的に目付量の大きい第2形成領域482形成する面積がより少ない状態でもスプリングバックを抑制することができる。このため、相対的に目付量の小さい第1形成領域481をより広範囲に備えることができ、注液性が向上する。したがって、巻回電極体20の成形性と注液性とが両立される。
【0091】
第2形成領域482は、セパレータ470の長手方向LDに対して同じ方向に傾斜した複数のストライプ状であってもよいし、異なる方向に傾斜した複数のストライプ状であってもよい。第2形成領域482は、例えば図18に示すように、セパレータ470の幅方向TDの上端側から下端側に向けて放射状となるように傾斜した複数のストライプ状に形成されていることが好ましい。これにより、短絡等が生じた場合に発生し得るガスを好適に上端側に放出させることができる。このため、電池100の安全性がより向上する。
【0092】
また、図19に示すように、巻回電極体20において、ガス排出弁17の長辺方向の両端部から底壁12aに向けて垂直に延ばした線分X1、X2で区切られる領域であって、ガス排出弁17直下に該当する領域を領域G1、ガス排出弁17の直下に該当しない領域を領域G2とする。そして、領域G1における線分X1に対する第2形成領域482の角度をθ1、領域G2における線分X1(または線分X2)に対する第2形成領域482の角度をθ2とする。このとき、領域G1および領域G2のそれぞれに位置する第2形成領域482の角度θ1およびθ2は、ガス排出弁17に向けてガスが好適に流動するように調整されることが好ましい。例えば、領域G1に位置する第2形成領域482の角度θ1は、領域G2に位置する第2形成領域482の角度θ2よりも小さい(θ2>θ1)ことが好ましい。さらに、特に限定されないが、角度θ1は、0°≦θ1<90°であることが好ましく、0°≦θ1<45°であることがより好ましく、θ1=0°であってもよい。また、特に限定されないが、角度θ2は、0°<θ2<90°であることが好ましく、0°<θ2<45°であることがより好ましい。
【0093】
接着層74は、全面塗(ベタ塗)していてもよく、あるいは所定のパターンで塗布されてもよい。例えば、ガス排出弁17直下に該当する領域G1において接着層74は、平面視でドット状または、幅方向TDに延びるストライプ状に形成されているとよい。また、ガス排出弁17の直下に該当しない領域G2において接着層74は、平面視で幅方向TDに延びるストライプ状に形成されているとよい。これにより、巻回電極体20の成形性を向上する効果、注液性の向上する効果、および電池100の安全性を向上する効果のうち、少なくとも1つを発揮させることができる。
【0094】
<第4変形例>
図20は、第4変形例に係るセパレータ570を模式的に示す平面図である。図20は、第4変形例に係る図7対応図である。また、図21は、第4変形例に係る第2形成領域の形成角度を説明するための図である。第4変形例に係るセパレータ570では、その表面において、接着層74が形成された第1形成領域581と、接着層74が形成された第2形成領域582と、を備えており、第1形成領域581における接着層74の目付量が第2形成領域582における接着層74の目付量よりも小さく、第2形成領域582は、該セパレータ570の長手方向LDに対して傾斜した複数のストライプ状に配置されている。そして、電池100のガス排出弁17の直下に該当しない領域G4において、セパレータ570の幅方向TDの下端側から上端側に向けて放射状となるように傾斜した複数のストライプ状に形成されている。これにより、巻回電極体20の注液性の向上させることができる。
【0095】
図21に示すように、巻回電極体20において、ガス排出弁17の長辺方向の両端部から底壁12aに向けて垂直に延ばした線分X3、X4で区切られる領域であって、ガス排出弁17直下に該当する領域を領域G3、ガス排出弁17の直下に該当しない領域を領域G4とする。また、巻回電極体20の平坦部の長辺方向における中心線を線分X5とする。そして、領域G3における線分X5に対する第2形成領域582の角度をθ3、領域G4における線分X3(または線分X4)に対する第2形成領域582の角度をθ4とする。このとき、領域G3に位置する第2形成領域582の角度θ3は、領域G4に位置する第2形成領域582の角度θ4よりも小さい(θ4>θ3)ことが好ましい。さらに、特に限定されないが、角度θ3は、0°≦θ3<90°であることが好ましく、0°≦θ3<45°であることがより好ましく、θ3=0°であってもよい。また、特に限定されないが、角度θ4は、0°<θ4<90°であることが好ましく、0°<θ4<45°であることがより好ましい。
【0096】
以上のとおり、ここに開示される技術の具体的な態様として、以下の各項に記載のものが挙げられる。
項1:正極活物質層を備える帯状の正極と、負極活物質層を備える帯状の負極とが、帯状のセパレータを介して巻回された巻回電極体を備え、上記セパレータは、少なくとも一方の面に接着層を有しており、上記接着層は、上記セパレータの長手方向において、上記接着層の目付量が変化するように形成された、電池。
項2:上記セパレータは、上記接着層が形成された第1形成領域および第2形成領域を有しており、上記第1形成領域における接着層の目付量は、上記第2形成領域における接着層の目付量よりも小さく、上記セパレータの長手方向において、上記第1形成領域と上記第2形成領域とが、繰り返し形成されている、項1に記載の電池。
項3:上記巻回電極体は扁平状であって、平坦部と湾曲部とを含み、上記第1形成領域は、上記平坦部に位置しており、上記第2形成領域は、上記湾曲部に位置している、項2に記載の電池。
項4:上記セパレータの長手方向において、上記第1形成領域のそれぞれの長さ、および、上記第2形成領域のそれぞれの長さの少なくとも一方が変化する、項2または項3に記載の電池。
項5:上記セパレータは、該セパレータの長手方向に直交する幅方向において、上記第1形成領域よりも該セパレータの一方の端部側に位置する第3形成領域を有しており、上記第3形成領域は、上記セパレータの長手方向に沿って上記接着層が形成され、上記第3形成領域における上記接着層の目付量は、上記第1形成領域の目付量よりも大きい、項2から項4のいずれか1つに記載の電池。
項6:上記巻回電極体は、上記接着層と上記正極活物質層とが当接するように巻回されており、上記第3形成領域の少なくとも一部は、上記正極活物質層と当接する、項5に記載の電池。
項7:上記巻回電極体は、上記接着層と上記負極活物質層とが当接しないように巻回されており、上記巻回電極体の積層方向において、上記第3形成領域の少なくとも一部は、上記負極活物質層が形成されている位置と重なる位置に形成されている、請求項5または項6に記載の電池。
項8:上記セパレータは、該セパレータの幅方向において、上記第3形成領域が形成されていない方の端部側に位置する第4形成領域を有しており、上記第4形成領域は、上記セパレータの長手方向に沿って上記接着層が形成され、上記第4形成領域における上記接着層の目付量は、上記第1形成領域の目付量よりも大きい、項5から項7のいずれか1つに記載の電池。
【符号の説明】
【0097】
10 電池ケース
20 巻回電極体
20f 平坦部
20r 湾曲部
22 正極
22a 正極活物質層
24 負極
24a 負極活物質層
30 正極端子
40 負極端子
50 正極集電部
60 負極集電部
70 セパレータ
71 セパレータ
72 基材層
73 耐熱層
74 接着層
81 第1形成領域
82 第2形成領域
83 第3形成領域
84 第4形成領域
100 電池
120 巻回電極体
120f 平坦部
120r 湾曲部
170 セパレータ
171 セパレータ
181 第1形成領域
182 第2形成領域
200 電池
270 セパレータ
281 第1形成領域
282 第2形成領域
370 セパレータ
381 第1形成領域
382 第2形成領域
470 セパレータ
481 第1形成領域
482 第2形成領域
570 セパレータ
581 第1形成領域
582 第2形成領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
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