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特開2024-179130計算機、寿命予測方法、寿命予測プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179130
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】計算機、寿命予測方法、寿命予測プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20241219BHJP
   G01R 31/40 20200101ALI20241219BHJP
   G06F 30/27 20200101ALN20241219BHJP
【FI】
G01R31/00
G01R31/40
G06F30/27
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097716
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永島 和治
(72)【発明者】
【氏名】西納 修一
(72)【発明者】
【氏名】西元 琢真
【テーマコード(参考)】
2G036
2G216
5B146
【Fターム(参考)】
2G036AA24
2G036BA37
2G036BA43
2G036BB12
2G216BA21
5B146AA21
5B146AA22
5B146DC03
(57)【要約】
【課題】電子部品の残存寿命を簡便に予測する。
【解決手段】1以上のプロセッサと、1以上のメモリリソースと、を有する計算機であって、前記1以上のプロセッサは、電子部品を備えた電子システムの電源電流の波形を取得するステップと、前記電子部品のパラメータが初期値のときの前記電源電流の初期波形からの前記波形の変化を示す波形変化を特定するステップと、前記パラメータの前記初期値からの変化量と前記波形変化との関係を学習したモデルに基づき、特定した前記波形変化から前記変化量を推定するステップと、推定した前記変化量に基づき、前記電子部品の残存寿命を予測するステップと、を実行する計算機。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のプロセッサと、1以上のメモリリソースと、を有する計算機であって、
前記1以上のプロセッサは、
電子部品を備えた電子システムの電源電流の波形を取得するステップと、
前記電子部品のパラメータが初期値のときの前記電源電流の初期波形からの前記波形の変化を示す波形変化を特定するステップと、
前記パラメータの前記初期値からの変化量と前記波形変化との関係を学習したモデルに基づき、特定した前記波形変化から前記変化量を推定するステップと、
推定した前記変化量に基づき、前記電子部品の残存寿命を予測するステップと、
を実行する計算機。
【請求項2】
請求項1に記載の計算機であって、
前記1以上のプロセッサは、
前記電子システムを模擬した回路シミュレータにおいて前記パラメータを前記変化量だけ変化させたときの前記電源電流のシミュレーション波形を取得するステップと、
前記シミュレーション波形の前記初期波形からの変化を示すシミュレーション波形変化を算出するステップと、
前記変化量と前記シミュレーション波形変化との関係を機械学習により学習した前記モデルを生成するステップと、
を実行する計算機。
【請求項3】
請求項2に記載の計算機であって、
前記1以上のプロセッサは、
前記シミュレーション波形を取得するステップにおいて、周期的に変化する入力信号を前記回路シミュレータ内の前記電子システムに入力することにより前記シミュレーション波形を取得し、
前記モデルを生成するステップにおいて、前記入力信号の複数の周期ごとの前記シミュレーション波形変化を学習データにして前記モデルを生成する、
計算機。
【請求項4】
請求項2に記載の計算機であって、
前記1以上のプロセッサは、
前記電子システムに含まれる前記電子部品ごとに前記パラメータの前記変化量の範囲を定めるステップを実行し、
前記モデルを生成するステップにおいて、前記範囲内の複数の前記変化量の各々を教師データにして前記モデルを生成する、
計算機。
【請求項5】
請求項1に記載の計算機であって、
前記電子システムは、
フィルタ回路と電源保護回路のいずれかを含み、前記電源電流を出力する電源回路と、
前記電子部品を含み、前記電源回路から出力された前記電源電流で駆動する電子回路とを備え、
前記1以上のプロセッサは、前記電源電流の前記波形を取得するステップにおいて、前記電源回路から出力される前記電源電流の波形を取得する、
計算機。
【請求項6】
請求項1に記載の計算機であって、
前記1以上のプロセッサは、
前記残存寿命を予測するステップにおいて、前記変化量から前記残存寿命を算出する関数に基づき、前記残存寿命を推定する、
計算機。
【請求項7】
1以上のプロセッサと、1以上のメモリリソースと、を有する計算機が実行する寿命予測方法であって、
電子部品を備えた電子システムの電源電流の波形を取得するステップと、
前記電子部品のパラメータが初期値のときの前記電源電流の初期波形からの前記波形の変化を示す波形変化を特定するステップと、
前記パラメータの前記初期値からの変化量と前記波形変化との関係を学習したモデルに基づき、特定した前記波形変化から前記変化量を推定するステップと、
推定した前記変化量に基づき、前記電子部品の残存寿命を予測するステップと、
を含む寿命予測方法。
【請求項8】
請求項7に記載の寿命予測方法であって、
前記電子システムを模擬した回路シミュレータにおいて前記パラメータを前記変化量だけ変化させたときの前記電源電流のシミュレーション波形を取得するステップと、
前記シミュレーション波形の前記初期波形からの変化を示すシミュレーション波形変化を算出するステップと、
前記変化量と前記シミュレーション波形変化との関係を機械学習により学習した前記モデルを生成するステップと、
を更に含む寿命予測方法。
【請求項9】
請求項8に記載の寿命予測方法であって、
前記シミュレーション波形を取得するステップにおいて、周期的に変化する入力信号を前記回路シミュレータ内の前記電子システムに入力することにより前記シミュレーション波形を取得し、
前記モデルを生成するステップにおいて、前記入力信号の複数の周期ごとの前記シミュレーション波形変化を学習データにして前記モデルを生成する、
寿命予測方法。
【請求項10】
請求項8に記載の寿命予測方法であって、
前記電子システムに含まれる前記電子部品ごとに前記パラメータの前記変化量の範囲を定めるステップを更に含み、
前記モデルを生成するステップにおいて、前記範囲内の複数の前記変化量の各々を教師データにして前記モデルを生成する、
寿命予測方法。
【請求項11】
請求項7に記載の寿命予測方法であって、
前記電子システムは、
フィルタ回路と電源保護回路のいずれかを含み、前記電源電流を出力する電源回路と、
前記電子部品を含み、前記電源回路から出力された前記電源電流で駆動する電子回路とを備え、
前記電源電流の前記波形を取得するステップにおいて、前記電源回路から出力される前記電源電流の波形を取得する、
寿命予測方法。
【請求項12】
請求項7に記載の寿命予測方法であって、
前記残存寿命を予測するステップにおいて、前記変化量から前記残存寿命を算出する関数に基づき、前記残存寿命を推定する、
寿命予測方法。
【請求項13】
請求項7乃至請求項12のいずれか1項に記載の寿命予測方法を計算機に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計算機、寿命予測方法、寿命予測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
環境負荷を低減する機運が高まるにつれ、電子機器の内部で使用されている電子部品を破棄せずに再利用する技術が求められている。その技術として、使用途中の電子部品の残存寿命を推定する技術がある。その技術によれば、推定した残存寿命に応じて電子部品のリサイクル市場での価値を判定でき、適切な価格で電子部品をリサイクル市場に流通させることができる。例えば、特許文献1では、コンデンサ等の電子部品の内部温度等を電子部品に与えるストレスとして定義し、そのストレスに基づいて電子部品の残存寿命を推定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許7090832号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、ストレスを取得するためのモニタ回路を電子部品ごとに設ける必要がある。一つの電子基板の上には極めて多数の電子部品が実装されているため、特許文献1のように各々の電子部品に対してモニタ回路を設けてそれらの残存寿命を推定するというのは現実的ではない。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、電子部品の残存寿命を簡便に予測することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る計算機は、1以上のプロセッサと、1以上のメモリリソースと、を有する計算機であって、前記1以上のプロセッサは、電子部品を備えた電子システムの電源電流の波形を取得するステップと、前記電子部品のパラメータが初期値のときの前記電源電流の初期波形からの前記波形の変化を示す波形変化を特定するステップと、前記パラメータの前記初期値からの変化量と前記波形変化との関係を学習したモデルに基づき、特定した前記波形変化から前記変化量を推定するステップと、推定した前記変化量に基づき、前記電子部品の残存寿命を予測するステップと、を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子部品の残存寿命を簡便に予測できる。
【0008】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る寿命予測システムのシステム構成の一例を示す模式図である。
図2図2は、本実施形態に係る計算機と電子システムの各々のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図3A図3Aは、電子回路の回路図の一例である。
図3B図3Bは、図3Aの電子回路に対応した劣化模擬パラメータ情報の一例を示す模式図である。
図4図4は、シミュレーション波形とノミナル波形の一例を示す模式図である。
図5図5は、学習時の部品劣化モデルの一例の模式図である。
図6図6は、劣化予測時の部品劣化モデルの一例の模式図である。
図7A図7Aは、寿命予測モデルの一例を示す模式図である。
図7B図7Bは、残存寿命情報の一例のデータ構造を示す模式図である。
図8図8は、部品劣化モデルを生成する場合に計算機が行う処理の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、実際の電子回路における電子部品の電子寿命を予測する場合に電子システムが行う処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、実際の電子回路における電子部品の電子寿命を予測する場合に計算機が行う処理の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、その他の実施形態に係る電子システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は適宜省略する。また、以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合及び原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含む。
【0011】
<本実施形態>
図1は、本実施形態に係る寿命予測システムのシステム構成の一例を示す模式図である。寿命予測システムは、電子部品の寿命を予測するシステムであって、計算機1と電子システム3とを備える。
【0012】
計算機1は、寿命を予測するコンピュータであって、寿命の予測結果をGUI(Graphical User Interface)等を通じてユーザに提示する。電子システム3は、寿命予測の対象となる電子部品を備えたシステムである。計算機1と電子システム3は、インターネットやLAN(Local Area Network)等のネットワーク2を介して相互に接続される。
【0013】
図2は、本実施形態に係る計算機1と電子システム3の各々のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【0014】
電子システム3は、電源回路31、電子回路32、及び制御回路33を備えたシステムである。
【0015】
電源回路31は、電子回路32に電源電流Iinを供給する回路である。例えば、ノイズをカットする電源フィルタや、出力電圧や出力電流を制御する回路が電源回路31に含まれる。
【0016】
電子回路32は、寿命予測の対象となる電子部品が含まれる回路であって、電源電流Iinによって駆動する。一例として、電子回路32は、その回路構成に応じた処理を入力信号Sinに対して行い、その処理結果である出力信号Soutを出力する。
【0017】
制御回路33は、電子システム3の各回路を制御するためのCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む回路である。例えば、制御回路33は、寿命予測に必要な電源電流Iinの波形を計算機1に通知する。なお、電流計等のモニタ回路を後付けで設置して、そのモニタ回路が電源電流Iinの波形を計測して計算機1に通知してもよい。
【0018】
計算機1は、データの生成、送信、受信及びこれら以外の各種処理を行うため、メモリリソースに格納された処理プログラムを、プロセッサが読み込むことで、プロセッサが処理プログラムに応じた処理を実行する。なお、計算機1は、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末(コンピュータ)、スマートフォン、サーバ計算機、ブレードサーバ、及びクラウドサーバ等のコンピュータであり、少なくともこれらコンピュータを1つ以上含むシステムでもよい。すなわち、計算機1は、例えばクラウドサーバと、表示用の計算機(例えば、タブレット端末またはスマートフォン)と、を含むシステムも包含する。また、プロセッサとメモリリソースを含む、何かしらの装置を制御又は管理するコントローラも計算機1の一例である。
【0019】
具体的には、計算機1は、図2に示すように、1以上のプロセッサ10と、1以上のUI(User Interface)デバイス11と、1以上のNI(Network Interface)デバイス12と、1以上のメモリリソース13とを有している。なお、計算機1は、これら以外の構成物を含んでもよい。また、プロセッサ10、UIデバイス11、NIデバイス12、及びメモリリソース13はバス28を介して相互に接続される。
【0020】
プロセッサ10は、メモリリソース13に格納されている寿命予測プログラム14を読み込んで、本実施形態に係る寿命予測方法の各処理を実行する演算装置である。なお、プロセッサ10は、マイクロプロセッサ、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、量子プロセッサ、あるいはその他の演算できる半導体デバイスが例である。
【0021】
UIデバイス11は、ユーザ(オペレーターでもよい)の指示を計算機1に入力する入力デバイス、及び計算機1で生成した情報等を出力する出力デバイスである。入力デバイスには、例えばキーボード、タッチパネル、マウスなどのポインティングデバイスやマイクロフォンのような音声入力デバイスなどがある。また、出力デバイスには、例えばディスプレイ、プリンタ、及び音声合成装置等がある。なお、以下で特に言及しない場合は、計算機1とユーザとの間の情報の入出力は、UIデバイス11を介して実行されているものとする。なお、UIデバイス11は、入力デバイスのみでもよく、出力デバイスのみでもよい。
【0022】
NIデバイス12は、外部装置との間で情報通信を行う通信装置である。NIデバイス12は、ネットワーク2を介して電子システム3等の外部装置との情報通信を行う。なお、以下で特に言及しない場合は、計算機1(又はプロセッサ10)と外部装置との情報通信は、NIデバイス12を介して実行されているものとする。
【0023】
メモリリソース13は、例えば不揮発メモリ又は/及び揮発メモリである。揮発メモリの例は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)である。不揮発メモリの例は、フラッシュメモリ、ハードディスクあるいはSSD(Solid State Drive)等の書き換え可能な記憶媒体であっても良く、USB(Universal Serial Bus)メモリ、メモリカードおよびハードディスクなどであっても良い。また、MRAM(Magnetoresistive RAM)、PRAM(Phase change RAM)、ReRAM(Resistive RAMといったRAMを不揮発メモリと見なしてもよい。なお、プロセッサ10は、メモリリソース13に格納されている寿命予測プログラム14を他のコンピュータに配信するサービスを行ってもよい。
【0024】
メモリリソース13は、寿命予測プログラム14、回路情報15、入力信号情報16、部品リスト情報17、ノミナル波形18、劣化模擬パラメータ情報19、シミュレーション波形20、部品劣化モデル21、シミュレーション波形変化22、実波形変化23、パラメータ変化情報24、稼働時間情報25、寿命予測モデル26、及び残存寿命情報27を記憶する。
【0025】
寿命予測プログラム14は、本実施形態に係る寿命予測方法を計算機1が実行するためのプログラムである。
【0026】
回路情報15は、電子回路32に含まれる電子部品と、各電子部品同士の接続関係とを示す情報であって、ユーザによって予めメモリリソース13に格納される。電子部品は、例えば抵抗、コンデンサ、及びコイル等の部品である。また、回路情報15には、これらの電子部品のパラメータも含まれる。電子部品が抵抗の場合、パラメータは抵抗値である。電子部品がコンデンサの場合は静電容量値がパラメータであり、電子部品がコイルの場合はインダクタンスがパラメータである。
【0027】
入力信号情報16は、入力信号Sinの波形を示す情報であって、ユーザによって予めメモリリソース13に格納される。入力信号Sinの波形は任意であるが、この例ではインパルス波形を入力信号情報16に予め格納する。プロセッサ10は、電子回路32を模擬した回路シミュレータに入力信号情報16が示す入力信号Sinを入力し、シミュレーションを行う。本実施形態で使用する回路シミュレータとしては、例えば、アナログ・デバイセズ社製のLTSpiceがある。
【0028】
部品リスト情報17は、電子回路32に含まれる電子部品をリスト化した情報であり、ユーザによって予めメモリリソース13に格納される。例えば、部品リスト情報17は、R1、C1等の電子部品を一意に識別する記号、抵抗やコンデンサ等の電子部品の種別、電子部品のメーカ、電子部品のシリーズ、及び電子部品のパラメータの初期値を関連付けた情報である。
【0029】
ノミナル波形18は、初期波形の一例であって、電子回路32の各電子部品が劣化しておらず、各電子部品のパラメータが工場出荷時の初期値の状態の電源電流Iinの波形である。各電子部品が劣化してそのパラメータが初期値から変化すると電源電流Iinの波形も変わる。これを利用して、プロセッサ10は後述のように各電子部品の寿命を推定する。
【0030】
ノミナル波形18は、プロセッサ10が電子システム3から取得してメモリリソース13に格納してもよい。また、プロセッサ10は、回路シミュレータにおける各電子部品のパラメータを初期値に設定し、その回路シミュレータのシミュレーション結果として得られる電源電流Iinの波形をノミナル波形18としてメモリリソース13に格納してもよい。
【0031】
劣化模擬パラメータ情報19は、電子部品の劣化を模擬するパラメータを含む情報である。劣化模擬パラメータ情報19について図3A及び図3Bを参照して説明する。
【0032】
図3Aは、電子回路32の回路図の一例である。また、図3Bは、図3Aの電子回路32に対応した劣化模擬パラメータ情報19の一例を示す模式図である。
【0033】
図3Aの電子回路32は、入力信号Sinから高周波成分を除去した出力信号Soutを出力するSallen key型ローパスフィルタであって、電源電流Iinで駆動する増幅器AMPを有する。また、電子回路32は、電子部品として抵抗R1~R5とコンデンサC1、C2とを有する。
【0034】
図3Bに示すように、劣化模擬パラメータ情報19は、電子部品とそのパラメータの変化量とを関連付けた情報である。ここでは、パラメータの初期値からの変化量を百分率で表している。また、パラメータの変化量には範囲が定められる。この例では、各電子部品の変化量の範囲の下限は「-5%」であり、上限は「5%」である。なお、電子部品ごとに上限と下限を異ならせてもよい。また、この例では1%刻みで変化量を変化させているが、刻み幅はこれに限定されず、1%よりも小さい刻み幅でもよいし、1%よりも大きい刻み幅でもよい。
【0035】
プロセッサ10は、部品リスト情報17に基づいて劣化模擬パラメータ情報19を生成し、劣化模擬パラメータ情報19をメモリリソース13に格納する。例えば、プロセッサ10は、ユーザが予め設定した範囲と刻み幅でパラメータの変化量を電子部品ごとに決定し、劣化模擬パラメータ情報19を生成する。
【0036】
再び図2を参照する。シミュレーション波形20は、プロセッサ10が回路シミュレータにおける各電子部品のパラメータの変化量を劣化模擬パラメータ情報19における値に設定したときに、その回路シミュレータのシミュレーション結果として得られる電源電流Iinの波形である。
【0037】
図4は、このシミュレーション波形20と前述のノミナル波形18の一例を示す模式図である。図4の例では、プロセッサ10は、回路シミュレータ内の電子回路32に周期Tで周期的に変化する入力信号Sinを供給した場合のノミナル波形18とシミュレーション波形20とを取得する。プロセッサ10は、各波形18、20の差分をシミュレーション波形変化22として算出する。シミュレーション波形変化22は、各波形18、20の差分を時間と関連付けた時系列データである。シミュレーション波形変化22は、これに限定されず、各波形18、20の差分の絶対値等のように差分を正規化した時系列データでもよい。更に、FFT(Fast Fourier Transform)等により各波形18、20の周波数成分を抽出し、各波形18、20の周波数成分同士の差分をシミュレーション波形変化22としてもよい。
【0038】
再び図2を参照する。部品劣化モデル21は、電子部品のパラメータの変化量とシミュレーション波形変化22との関係を機械学習等により学習したニューラルネットワーク等のモデルである。
【0039】
図5は、学習時の部品劣化モデル21の一例の模式図である。図5に示すように、部品劣化モデル21は、シミュレーション波形変化22を入力したときにパラメータ変化量の正解値を出力するように、シミュレーション波形変化22とパラメータ変化量との関係を学習したモデルである。その部品劣化モデル21の入力層の個数は、学習に使用するシミュレーション波形変化の個数である。また、部品劣化モデル21の出力層の個数は電子部品の個数である。
【0040】
図5の例では、プロセッサ10は、図3Aの電子回路32の複数の電子部品のうち、コンデンサC1のパラメータ(静電容量)のみを劣化模擬パラメータ情報から選択した変化量(-5%)で変化させ、回路シミュレーションを行う。そして、プロセッサ10は、回路シミュレーションで使用したパラメータの変化量を教師データに使用しつつ、回路シミュレーションで得られたシミュレーション波形変化22を部品劣化モデル21の学習データとして使用する。
【0041】
なお、プロセッサ10は、このように一つの電子部品のパラメータのみを変化させるのではなく、複数の電子部品のパラメータを劣化模擬パラメータ情報19の変化量だけ変化させ、各々の変化量を教師データとして使用してもよい。
【0042】
ここでは一つの周期Tにおけるシミュレーション波形変化22を学習データとして使用する例を示しているが、複数の周期Tにわたるシミュレーション波形変化22を学習データとして使用してもよい。
【0043】
更に、プロセッサ10は、複数の周期Tごとの複数のシミュレーション波形変化22を学習データとして使用してもよい。N個のシミュレーション波形変化22に含まれるノイズ成分の大きさは、1個のシミュレーション波形変化22に含まれるノイズ成分の大きさのN-1/2に比例して小さくなる。そのため、複数のシミュレーション波形変化22を学習データとして使用することで学習精度が向上する。
【0044】
図6は、劣化予測時の部品劣化モデル21の一例の模式図である。劣化予測時の部品劣化モデル21の入力は、電子システム3の実波形変化23である。実波形変化23は、ノミナル波形18と、実際の電子システム3における電源電流Iinの波形との差分の時系列データである。実波形変化23は、これに限定されず、各波形の差分の絶対値等のように差分を正規化した時系列データでもよい。更に、実際の電子システム3における電源電流Iinの波形とノミナル波形18の各々の周波数成分をFFT等により抽出し、これらの周波数成分同士の差分を実波形変化23としてもよい。
【0045】
部品劣化モデル21は、実波形変化23が入力されると、その実波形変化23から推定されるパラメータの変化量を電子部品ごとに出力する。入力される実波形変化23は1周期T分でもよいし、複数の周期Tにわたる実波形変化23を部品劣化モデル21に入力してもよい。
【0046】
再び図2を参照する。パラメータ変化情報24は、部品劣化モデル21によって推定された電子部品ごとのパラメータの変化量を示す情報である。例えば、プロセッサ10は、実波形変化23を部品劣化モデル21に入力し、これに対して部品劣化モデル21が出力した電子部品ごとのパラメータの変化量をパラメータ変化情報24としてメモリリソース13に格納する。
【0047】
稼働時間情報25は、電子回路32の累積の稼働時間を示す情報である。例えば、電子回路32に電源電流Iinが供給された累積の時間が稼働時間である。累積時間は、制御回路33によって監視される。プロセッサ10は、制御回路33から累積時間情報を取得し、それをメモリリソース13に格納する。
【0048】
寿命予測モデル26は、パラメータ変化情報24に基づいて各電子部品の残存寿命を予測するモデルであって、ユーザによって予めメモリリソース13に格納される。
【0049】
図7Aは、寿命予測モデル26の一例を示す模式図である。例えば、寿命予測モデル26は、電子部品の種別、メーカ、シリーズ、及び残存寿命を関連付けた情報である。残存寿命は、電子部品ごとに定められた関数f1、f2、f3、…で算出される。各関数f1、f2、f3、…の引数は、抵抗変化量ΔRや静電容量変化量ΔC等のパラメータの変化量と稼働時間Tuである。残存寿命の長さは、電子部品の種別、メーカ、及びシリーズによって異なるため、各関数f1、f2、f3、…の形も一般には異なる。
【0050】
プロセッサ10は、部品リスト情報17を参照して電子部品の種別、メーカ、及びシリーズに関連付けられた残存寿命の関数を特定する。そして、プロセッサ10は、その関数にパラメータの変化量と稼働時間とを与えることで、当該関数が返す残存寿命TLを電子部品ごとに算出する。このように関数に基づいて残存寿命TLを算出することで、残存寿命TLを算出するための複雑なシミュレーションをする必要がなく、プロセッサ10が簡単に残存寿命TLを算出することができる。
【0051】
再び図2を参照する。残存寿命情報27は、寿命予測モデル26に基づいてプロセッサ10が電子部品ごとに算出した残存寿命を示す情報である。
【0052】
図7Bは、残存寿命情報27の一例のデータ構造を示す模式図である。この例では、図3Aの電子回路32に含まれる各電子部品と残存寿命とが関連付けられて残存寿命情報27に格納される。
【0053】
次に、本実施形態に係る計算機1が行う処理について説明する。
【0054】
図8は、部品劣化モデル21を生成する場合に計算機1が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【0055】
まず、プロセッサ10は、回路シミュレータにおける各電子部品のパラメータを初期値に設定し、その回路シミュレータ内でシミュレーションを実行する(ステップS1)。例えば、プロセッサ10は、回路情報15に従って回路シミュレータ内の各電子部品を接続することで電子回路32の模擬回路を生成する。そして、プロセッサ10は、入力信号情報16が示す入力信号Sinを模擬回路に入力することで、電源電流Iinの時間変動をシミュレーションする。
【0056】
次に、プロセッサ10は、シミュレーションにより得られた電源電流Iinの時間変動をノミナル波形18として取得し、それをメモリリソース13に格納する(ステップS2)。
【0057】
続いて、プロセッサ10は、劣化模擬パラメータ情報19を生成してそれをメモリリソース13に格納する(ステップS3)。例えば、プロセッサ10は、部品リスト情報17に存在する電子部品の各々に対し、ユーザが予め設定した範囲と刻み幅でパラメータの変化量を決定し、その変化量を劣化模擬パラメータ情報19に格納する。
【0058】
次いで、プロセッサ10は、電子回路32の模擬回路の各電子部品が劣化した状態でのシミュレーションが終了したかを判定する(ステップS4)。例えば、プロセッサ10は、劣化模擬パラメータ情報19内の全てのパラメータの変化量を適用してシミュレーションを実行した場合には終了した(YES)と判定し、そうでない場合には終了していない(NO)と判定する。
【0059】
ここで、終了していない(NO)と判定された場合にはステップS5に移る。ステップS5においては、プロセッサ10は、劣化模擬パラメータ情報19内においてシミュレーションにまだ適用していない変化量を特定し、その変化量をそれに関連付けられた電子部品に適用することで、当該電子部品が劣化した状態でのシミュレーションを実行する。そのシミュレーションでは、ステップS1と同様に、プロセッサ10が、回路情報15に従って回路シミュレータ内の各電子部品を接続することで電子回路32の模擬回路を生成する。そして、プロセッサ10は、入力信号情報16が示す入力信号Sinを模擬回路に入力することで、電源電流Iinの時間変動をシミュレーションする。
【0060】
次に、プロセッサ10は、ステップS5のシミュレーションにより得られた電源電流Iinの時間変動をシミュレーション波形20として取得し、それをメモリリソース13に格納する(ステップS6)。
【0061】
続いて、プロセッサ10は、ノミナル波形18からのシミュレーション波形20の波形変化を特定し、それをシミュレーション波形変化22としてメモリリソース13に格納する(ステップS7)。一例として、プロセッサ10は、各波形18、20の差分をシミュレーション波形変化22として特定し、メモリリソース13に格納する。その後、再びステップS4に戻る。
【0062】
この例では劣化模擬パラメータ情報19が定めるパラメータの変化量の範囲内の複数の変化量の各々についてのシミュレーションが終了するまでステップS7が実行される。そのため、相異なる複数の変化量の各々に対応したシミュレーション波形変化22が得られ、シミュレーション波形変化22を学習データとする部品劣化モデル21の学習精度を向上させることができる。
【0063】
ステップS4でYESと判定された場合にはステップS8に移る。ステップS8では、プロセッサ10は、機械学習により部品劣化モデル21を生成する。その機械学習における学習データは各シミュレーション波形変化22である。また、教師データは、シミュレーション波形変化22を得たシミュレーションで使用したパラメータの変化量である。
【0064】
なお、ステップS5において周期Tで変化する入力信号Sinを模擬回路に入力し、ステップS6で複数の周期Tごとのシミュレーション波形変化22を複数取得してもよい。これらのシミュレーション波形変化22を学習データとして使用することで、前述のように部品劣化モデル21の学習精度を向上させることができる。
【0065】
以上により、部品劣化モデル21を生成するときの基本的な処理を終える。上記した処理によれば、実際の電子システム3の電源電流Iinの波形変化を学習データとせずに、シミュレーションに基づくシミュレーション波形変化22を学習データとして部品劣化モデル21を生成する。そのため、実際の電子システム3から学習データを取得するような手間が不要となり、簡便に部品劣化モデル21を生成できる。
【0066】
次に、実際の電子回路32における電子部品の残存寿命を予測する処理について説明する。まず、電子システム3が行う処理について説明する。
【0067】
図9は、実際の電子回路32における電子部品の電子寿命を予測する場合に電子システム3が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【0068】
まず、制御回路33は、電子システム3の不図示の電源ボタンが押下されたことを契機として電源回路31を起動し、電源回路31から電子回路32に電源電流Iinを供給する(ステップS11)。
【0069】
次に、制御回路33は、電子回路32の累積の稼働時間の計測を開始する(ステップS12)。
【0070】
次いで、制御回路33は、電子回路32の電子部品が劣化しているかを判定するタイミングかを判定する(ステップS13)。そのタイミングは、例えば、電子システム3の不図示の電源ボタンが押下されたタイミングや、電源ボタンが押下されてから所定時間が経過したタイミングである。ここでNOと判定された場合はステップS13を繰り返す。
【0071】
一方、ステップS13でYESと判定された場合はステップS14に移る。ステップS14では、制御回路33は、電子回路32に任意の波形の入力信号Sinを入力する。入力信号Sinの波形としては、例えばインパルス波形がある。
【0072】
次に、制御回路33は、入力信号Sinが入力されている状態での電源電流Iinの波形をプロセッサ10に通知する(ステップS15)。
【0073】
次に、制御回路33は、ステップS15での電源電流Iinの波形を通知した時点における電子回路32の累積の稼働時間を算出し、その稼働時間を示す稼働時間情報25をプロセッサ10に通知する。その後、再びステップS13に戻る。以上により、電子システム3が行う基本的な処理を終える。
【0074】
次に、計算機1が行う処理について説明する。図10は、実際の電子回路32における電子部品の電子寿命を予測する場合に計算機1が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【0075】
まず、プロセッサ10は、電子システム3から電源電流Iinの波形を取得する(ステップS21)。
【0076】
次に、プロセッサ10は、ノミナル波形18からの電源電流Iinの波形の波形変化を特定し、それを実波形変化23としてメモリリソース13に格納する(ステップS22)。例えば、プロセッサ10は、電源電流Iinの波形とノミナル波形18との差分を実波形変化23として特定する。
【0077】
次いで、プロセッサ10は、部品劣化モデル21に実波形変化23を入力することにより、パラメータの初期値からの変化量を電子回路32の電子部品ごとに推定する(ステップS23)。また、プロセッサ10は、推定した変化量を各電子部品に関連付けたパラメータ変化情報24を生成し、それをメモリリソース13に格納する。
【0078】
次に、プロセッサ10は、電子システム3から稼働時間情報25を取得する(ステップS24)。
【0079】
続いて、プロセッサ10は、寿命予測モデル26に基づき、電子回路32の各々の電子部品の残存寿命を予測する(ステップS25)。一例として、プロセッサ10は、パラメータ変化情報24が示すパラメータの変化量と、稼働時間情報25が示す稼働時間とを、寿命予測モデル26の関数f1、f2、f3、…の引数に与えることで、電子部品ごとに残存寿命TLを予測する。そして、プロセッサは、予測した残存寿命TLを電子部品に関連付けた残存寿命情報27を生成し、メモリリソース13に残存寿命情報27を格納する。
【0080】
次に、プロセッサ10は、予測した各電子部品の残存寿命をユーザに提示する(ステップS26)。例えば、プロセッサ10は、残存寿命情報27を可視化したGUIをUIデバイス11に表示することで、残存寿命をユーザに提示する。これにより、ユーザは、残存寿命が長い部品を再利用可能な電子部品と判断できる。更に、残存寿命に応じた価格を電子部品に付けることで、電子部品をリサイクル市場に流通させることもできる。以上により、計算機1が行う基本的な処理を終える。
【0081】
上記した本実施形態によれば、電源電流Iinの波形とノミナル波形18との差分である実波形変化23を部品劣化モデル21に入力することで各電子部品のパラメータの初期値からの変化量を推定し、更にその変化量に基づいて各電子部品の残存寿命を推定する。そのため、残存寿命を推定するためのモニタ回路を電子部品の各々に設ける必要がなく、簡便に残存寿命を予測することができる。
【0082】
<その他の実施形態>
図11は、その他の実施形態に係る電子システム3の構成例を示す図である。この例では、電子システム3の電源回路31は、電源フィルタ42、44と電力変換回路43とを備える。
【0083】
電源フィルタ42は、例えば交流100Vの電源電流を供給する外部電源41に接続されており、その電源電流に含まれる高周波ノイズを除去するローパスフィルタである。
【0084】
電力変換回路43は、外部電源41の電力を電子回路32に適した電力に変換する変換回路である。
【0085】
電源フィルタ44は、電力変換回路43から出力された電源電流から高周波ノイズを除去するローパスフィルタである。
【0086】
このような構成によれば、電源フィルタ44から出力される電流が、電子部品の劣化を推定するための電源電流Iinとなる。その電源電流Iinが更に別のフィルタ回路に供給されると、電子部品の劣化に伴う周波数特性の変化が当該フィルタ回路で低減されてしまう。よって、このように電源回路31の最終段の電源フィルタ44から出力される電流を電源電流Iinとすることで、電子部品の劣化に伴う電源電流Iinの波形変化が顕著に表れ、電子部品の残存寿命を高い精度で予測することができる。
【0087】
同様に、電源回路31に電源保護回路が含まれている場合は、電源保護回路によって電源電流の周波数特性が変化する。よって、この場合も電源回路31の最終段の電源保護回路から出力される電流を電源電流Iinとするのが好ましい。
【0088】
本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【0089】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した各実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明が、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を、他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に、他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0090】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現されてもよい。各機能を実現するプログラム、判定テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、HDD、SSD等の記憶装置、または、IC(Integrated Circuit)カード、SD(Secure Digital)カード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に置くことができる。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0091】
計算機1は、寿命予測プログラム14により実現される機能や処理の一部または全部をユーザ(オペレータ)が実施することで実現してもよい。
【0092】
なお、計算機1がUIデバイス11を持たず、代わりにシステム外部のスマートフォンやタブレット端末等のプロセッサシステム(外部プロセッサシステムと呼ぶ)に、ユーザへの出力処理や、ユーザからの入力処理の一部を任せる場合がある。このような場合、計算機1(又はプロセッサ10、寿命予測プログラム14)は、以上に説明の通りの処理やプログラムの他の部分を実行するために、以下を行ってもよい。
【0093】
*以上に説明のUIデバイス11を用いたユーザへの出力の代わりとして、NIデバイス12を介して外部プロセッサシステムに、ユーザへの出力に必要なデータの送信をする。当該データの例としては、出力するデータそのもの、出力データを別プロセッサシステムで生成するためのデータが考えられるが、外部プロセッサシステムでユーザ出力を行う処理が記述されたプログラムやWebデータであってもよい。
【0094】
*以上に説明のUIデバイス11を用いたユーザからの入力又は操作受信の代わりとして、NIデバイス12を介して外部プロセッサシステムから、ユーザ入力又は操作を示すデータを受信する。別な視点では、ユーザへのデータ出力の意味は、計算機1自身が行うことも含む以外に、計算機1以外の別の存在に当該データ出力をさせる(使役)ことを含めてもよい。また、ユーザからの入力又は操作受信の意味は、計算機1のUIデバイス11でユーザへ直接出力や受信をする以外に、計算機1が間接的に当該受信をすることを含めてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1…計算機、2…ネットワーク、3…電子システム、10…プロセッサ、11…UIデバイス、12…NIデバイス、13…メモリリソース、14…寿命予測プログラム、15…回路情報、16…入力信号情報、17…部品リスト情報、18…ノミナル波形、19…劣化模擬パラメータ情報、20…シミュレーション波形、21…部品劣化モデル、22…シミュレーション波形変化、23…実波形変化、24…パラメータ変化情報、25…稼働時間情報、26…寿命予測モデル、27…残存寿命情報、28…バス、31…電源回路、32……電子回路、33…制御回路、41…外部電源、42…電源フィルタ、43…電力変換回路、44…電源フィルタ。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11