(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179133
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】資産管理システムおよび資産管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20241219BHJP
B25J 5/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
G06Q10/06
B25J5/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097721
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 浩之
【テーマコード(参考)】
3C707
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
3C707AS15
3C707CS08
3C707HS27
3C707KS36
3C707KT01
3C707KT04
3C707WA16
5L010AA06
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】施設内の資産を管理する労力を極力低減することができる資産管理システムおよびその制御方法を提供する。
【解決手段】ロボット10は、タグ9から識別情報を読み取る読取装置としてのRFIDスキャナ19を含む。ロボット10は、施設内の移動中にRFIDスキャナ19を用いてタグ9から識別情報を読み取る。サーバ50は、資産に関する資産情報を記憶する。サーバ50は、RFIDスキャナ19によって読み取られた識別情報と、資産情報とに基づき、施設内で資産が保管されているか否かを判定する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内の資産を管理する資産管理システムであって、
前記施設内を自律移動するロボットと、
前記ロボットと通信可能であって、前記資産を管理するサーバとを備え、
前記資産には、前記資産を識別可能な識別情報を有する識別部が付されており、
前記ロボットは、
前記識別部から前記識別情報を読み取る読取装置を含み、
前記施設内の移動中に前記読取装置を用いて前記識別部から前記識別情報を読み取り、
前記サーバは、
前記資産に関する資産情報を記憶し、
前記読取装置によって読み取られた前記識別情報と、前記資産情報とに基づき、前記施設内に前記資産が保管されているか否かを判定する、資産管理システム。
【請求項2】
前記資産情報には、前記資産が保管されている保管場所が記録されており、
前記サーバは、前記読取装置が前記識別情報を読み取った場所と前記保管場所とが一致する場合に、前記施設内で前記資産が保管されていると判定する、請求項1に記載の資産管理システム。
【請求項3】
前記サーバは、前記保管場所において前記読取装置が前記識別情報を検出できなかった場合に、前記保管場所において前記資産が保管されていないと判定する、請求項2に記載の資産管理システム。
【請求項4】
前記サーバは、前記保管場所以外の場所で前記読取装置が前記識別情報を読み取った場合に、前記保管場所以外の場所で前記資産が保管されていると判定する、請求項3に記載の資産管理システム。
【請求項5】
前記資産情報を表示する表示装置をさらに備え、
前記表示装置は、前記保管場所において前記資産が保管されていないと判断された場合に、前記保管場所において前記資産が保管されていない旨を表示する、請求項3に記載の資産管理システム。
【請求項6】
前記資産情報を表示する表示装置をさらに備え、
前記表示装置は、前記保管場所以外の場所で前記資産が保管されていると判定された場合に、前記資産を前記保管場所で保管するように促す表示を行う、請求項4に記載の資産管理システム。
【請求項7】
前記ロボットは、
前記施設内を自律移動して前記資産の管理とは無関係な作業を実行可能であり、
前記保管場所において前記資産の管理とは無関係な作業の実行中に、前記読取装置による前記識別情報の読み取りを行う、請求項2~請求項6のいずれか1項に記載の資産管理システム。
【請求項8】
施設内の資産を管理する資産管理方法であって、
前記施設内を自律移動するロボットと通信するステップを備え、
前記資産には、前記資産を識別可能な識別情報を有する識別部が付されており、
前記ロボットは、
前記識別部から前記識別情報を読み取る読取装置を含み、
前記施設内の移動中に前記読取装置を用いて前記識別部から前記識別情報を読み取り、
前記資産に関する資産情報を記憶するステップと、
前記読取装置によって読み取られた前記識別情報と、前記資産情報とに基づき、前記施設内に前記資産が保管されているか否かを判定するステップとをさらに備える、資産管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、施設内の資産を管理する資産管理システムおよび資産管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
資産を保有する企業等の組織は、施設内で保管されている資産を適切に管理する必要がある。こうした資産を管理するものとして、たとえば、特開2021-128608号公報(特許文献1)には、RFIDタグを用いて資産を管理する技術が開示されている。
【0003】
税法に定められた各種資産は、年に一度以上の棚卸作業を行って、これらが施設内において管理されているか否かを確認する必要がある。企業等の担当者は、棚卸作業において、保管場所での資産の設置または保管状況、および資産の員数の確認を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
棚卸作業を行う際、まず、前回の棚卸から使用されていない資産が定められた保管場所に正しく保管されているか確認する作業から始める。このとき、前回の棚卸から1年が経過したときに、保管場所に保管されておらず所在がわからなくなってしまうことに対する担当者の不安と、実際に所在がわからなくなってしまった場合に、その資産を探すための担当者の労力は大きい。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、施設内の資産を管理する労力を極力低減することができる資産管理システムおよび資産管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る資産管理システムは、施設内の資産を管理するシステムである。資産管理システムは、ロボットと、サーバとを備える。ロボットは、施設内を自律移動する。サーバは、ロボットと通信可能であって、資産を管理する。資産には、資産を識別可能な識別情報を有する識別部が付されている。ロボットは、識別部から識別情報を読み取る読取装置を含む。ロボットは、施設内の移動中に読取装置を用いて識別部から識別情報を読み取る。サーバは、資産に関する資産情報を記憶する。サーバは、読取装置によって読み取られた識別情報と、資産情報とに基づき、施設内で資産が保管されているか否かを判定する。
【0008】
本開示に係る資産管理方法は、施設内の資産を管理する方法である。資産管理方法は、施設内を自律移動するロボットと通信するステップを備える。資産には、資産を識別可能な識別情報を有する識別部が付されている。ロボットは、識別部から識別情報を読み取る読取装置を含む。ロボットは、施設内の移動中に読取装置を用いて識別部から識別情報を読み取る。資産管理方法は、資産に関する資産情報を記憶するステップと、読取装置によって読み取られた識別情報と、資産情報とに基づき、施設内に資産が保管されているか否かを判定するステップとをさらに備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、施設内の資産を管理する労力を極力低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態に係る資産管理システムの構成を示す図である。
【
図3】ロボットのハードウェア構成を示す図である。
【
図4】ロボットによる棚卸作業を説明するための図である。
【
図5】ロボットによる棚卸作業の例を説明するための図である。
【
図8】保管すべき場所に備品が存在する場合の例を説明するための図である。
【
図9】保管すべき場所に備品が存在しない場合の例を説明するための図である。
【
図10】保管すべきでない場所に備品が存在する場合の例を説明するための図である。
【
図11】資産管理システムが実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図12】棚卸結果判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図13】メッセージ生成処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る資産管理システム100の構成を示す図である。資産管理システム100は、施設内の資産を管理するシステムである。資産管理システム100は、施設内を自律移動するロボット10と、複数の無線通信機30と、機器管理装置40と、資産を管理するサーバ50と、端末60とを備える。サーバ50は、機器管理装置40を介してロボット10と通信可能に構成されている。
【0013】
本実施の形態において、この施設は、A社のオフィスビルである。A社内には、各従業員が居室内で使用する端末、倉庫に保管される備品等の資産が保管されている。
【0014】
ロボット10は、自律移動型のロボットである。本実施の形態におけるロボット10は、施設内を清掃する清掃ロボットである。ロボット10は、施設内を自律移動しながら施設内の床36の清掃作業を行う。さらに、ロボット10は、施設内の清掃作業を実行しながら、施設内の資産を管理するための棚卸作業を実行可能である。
【0015】
このように構成した場合、清掃ロボットが施設内の全てのエリアの清掃を完了したとき、同時に全ての棚卸作業を完了させることも可能となる。この場合、年に1度の棚卸作業を行うよりも、高頻度で棚卸作業を繰り返すことができる。その結果、施設内の資産が紛失したか否か(あるいは、保管すべき場所に正しく保管されているか否か)を早期に発見することができ、より精度の高い資産管理を行うことができる。
【0016】
ロボット10には、RFID(radio frequency identification)スキャナ19が設けられている。本実施の形態において、施設内で保管されている資産には、RFIDスキャナ19で読み取り可能なRFタグが付されている。各RFタグには、個別の識別情報(ID)が付与されている。サーバ50には、資産に関する資産情報として棚卸管理DB71が保存されている。
【0017】
棚卸管理DB71は、端末60を用いて入力および編集可能である。棚卸管理DB71には、IDと各資産の情報を対応付けたデータが予め入力されている。このため、ロボット10がRFタグのIDをRFIDスキャナ19で読み取り、これを棚卸管理DB71に記録されたデータと照合することで、IDに対応する資産が何であるかを特定することができる。以下、本実施の形態における「棚卸作業」は、RFIDスキャナ19によりIDを検出する作業、あるいは、さらに検出したIDに基づき資産を特定する作業を意味する。
【0018】
ロボット10には、無線通信機11が設けられている。無線通信機11は、例えば、BLE(Bluetooth Low Energy、「Bluetooth」は登録商標)通信規格に従う通信方式を用いて、ロボット10の位置を検出するための信号を出力する。BLE通信規格に代えて、UWB(Ultra Wide Band)通信規格に従う通信方式を用いてもよい。また、無線通信機11は、例えばLTE(Long Term Evolution)などの無線通信規格に従う通信方式を用いて、ロボット10を識別するためのIDを示す信号などを機器管理装置40へ送信する。
【0019】
複数の無線通信機30は、たとえば、天井35に適当な距離を置いて設置され、ロボット10の無線通信機11と同じ通信規格に従う通信方式を用いて、ロボット10から発信される信号を受信するとともにその受信強度を検知する。各無線通信機30における受信強度から、施設内におけるロボット10の位置を検出することができる。無線通信機30は、ロボット10から受信した信号の受信強度を機器管理装置40へ出力する。無線通信機30は壁に設置されてもよい。
【0020】
機器管理装置40は、施設内に設置された無線通信機30等の機器を制御する。機器管理装置40は、サーバ50からの指令に基づき、ロボット10に対する清掃作業および棚卸作業の指令を行う。なお、機器管理装置40が直接ロボット10に対する清掃作業の指令を行うようにしてもよい。機器管理装置40は、無線通信機30において受信される信号の受信強度を無線通信機30から受信し、各無線通信機30における受信強度から施設内におけるロボット10の位置を検出する。
【0021】
機器管理装置40は、通信網NWに接続されている。通信網NWには、機器管理装置40、サーバ50、および通信端末である端末60が接続されている。
【0022】
サーバ50は、機器管理装置40を介して、ロボット10に対する清掃作業および棚卸作業の指令等を出力可能であるとともに、ロボット10の位置情報およびロボット10による清掃作業および棚卸作業の結果を取得可能である。
【0023】
端末60は、たとえば、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末、パーソナルコンピュータなどである。端末60は、各種情報を表示する表示部61を備える。表示部61は、たとえば、モバイル端末の液晶表示部、ディスプレイ等である。端末60の使用者は、ロボット10が行った棚卸作業の結果等を表示部61で確認することができる。
【0024】
図2は、サーバ50のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように、サーバ50は、CPU(Central Processing Unit)41と、RAM(Random Access Memory)42と、ROM(Read Only Memory)43と、I/F(Interface)装置44と、記憶装置45とを含んで構成される。CPU41、RAM42、ROM43、I/F装置44、および記憶装置45は、通信バス46を通じて各種データをやり取りする。
【0025】
CPU41は、ROM43に格納されているプログラムをRAM42に展開して実行する。ROM43に格納されているプログラムには、サーバ50によって実行される処理が記述されている。
【0026】
I/F装置44は、機器管理装置40および端末60と信号やデータをやり取りするための入出力装置である。サーバ50は、I/F装置44を介して、機器管理装置40が検出したロボット10の位置、ロボット10が出力するロボット10を識別するためのIDおよびロボット10が出力する信号等を受信する。
【0027】
記憶装置45は、各種情報を記憶するストレージである。記憶装置45は、後述する資産を管理するための棚卸管理DB71、施設の情報、ロボット10の情報等が記憶されている。
【0028】
なお、図示しないが、機器管理装置40および端末60も、サーバ50と同様に、CPU、RAM、ROM、I/F装置および記憶装置を含んで構成される。なお、ロボット10の管理および制御は、サーバ50が行ってもよいし、機器管理装置40が行ってもよいし、その他のサーバが行ってもよい。
【0029】
上述のように、本実施の形態において、ロボット10は、施設内を清掃する清掃ロボットである。そして、この清掃ロボットを利用して、施設内の棚卸作業を行わせるように構成している。しかし、これに限らず、ロボット10は、施設内を警備する警備ロボットであってもよいし、施設内を案内する案内ロボットであってもよいし、施設内で荷物を配送する配送ロボットであってもよいし、施設内においてなんらかの作業を行うロボットであってもよい。この場合、施設内の警備、案内、配送等をする際に、施設内の棚卸作業を行うようにロボット10が構成される。なお、ロボット10は、棚卸作業を専用で実施するロボットであってもよい。
【0030】
図3は、ロボット10のハードウェア構成を示す図である。
図3に示すように、ロボット10は、無線通信機11と、駆動部13と、カメラ14と、記憶部15と、バッテリ16と、制御部18と、RFIDスキャナ19とを含む。なお、図示しないが、ロボット10は、床の清掃を行うための清掃装置も備えるものとする。
【0031】
無線通信機11は、
図1で説明したように、例えばBLE通信規格に従う通信方式を用いて、ロボット10の位置を検出するための信号を発信する。また、無線通信機11は、例えばLTEなどの無線通信規格に従う通信方式を用いて、ロボット10を識別するためのID、ロボット10が出力する各種情報を機器管理装置40へ送信する。
【0032】
カメラ14は、ロボット10の周囲を撮像し、撮像画像を制御部18へ出力する。カメラ14に代えて、ロボット10の周辺に存在する物体とロボット10との距離を測定するレーザ距離計などが設けられてもよい。
【0033】
駆動部13は、ロボット10が移動するための駆動力を発生する。駆動部13は、例えば、ロボット10が移動するための車輪と、車輪を駆動するためのモータとを含む。駆動部13(モータ)は、バッテリ16から電力の供給を受けて作動することができる。
【0034】
制御部18は、ロボット10全体を制御する。制御部18は、図示は省略するが、主な構成要素として、CPU、ROM、RAM、およびI/F装置を有している。これらの各部は通信バスを通じて各種データをやり取りする。CPUは、ROMに格納されているプログラムをRAMに展開して実行する。ROMに格納されているプログラムには、ロボット10によって実行される処理が記述されている。なお、処理については、ソフトウェアによるものに限られず、専用のハードウェア(電子回路)で実行することも可能である。
【0035】
制御部18は、カメラ14からの撮像画像に基づいて、ロボット10が自律的に移動するように駆動部13を制御する。バッテリ16は、駆動部13その他ロボット10の各機器が作動するための電力を供給する。
【0036】
記憶部15は、後述する検出結果DB72を記憶するとともに、サーバ50から取得した棚卸管理DB71の情報を一時的に記憶する。
【0037】
RFIDスキャナ19は、資産に付されたRFタグ9の情報を読み取る。これにより、棚卸作業が行われる。以下、
図4を用いて詳細に説明する。
【0038】
図4は、ロボット10による棚卸作業を説明するための図である。
図4に示すように、机6の上には備品8が置かれている。備品8は、施設内で管理される資産であって、棚卸対象となる備品である。ロボット10は、RFIDを用いて棚卸作業を行う。
【0039】
資産である備品8には、識別部としてのRFタグ(以下、単に「タグ」とも称する)9が付されている。タグ9は、資産を識別可能な識別情報(ID等)を有する。ロボット10は、タグ9から識別情報を読み取る読取装置としてのRFIDスキャナ19を備えている。ロボット10は、施設内の移動中にRFIDスキャナ19を用いてタグ9から識別情報を読み取る。
【0040】
タグ9には、識別情報として、各備品に対応するIDが付されている。ロボット10は、RFIDスキャナ19を用いてタグ9に付されたID情報を取得することで、備品が何であるかを識別することができる。
【0041】
たとえば、備品8の名称は「備品X1」であり、備品8に付されたタグ9のIDが「1001」であるとする。RFIDスキャナ19が取得したタグ9のIDが「1001」である場合、棚卸管理DB71に記録された情報と照合することで、当該タグ9が付された備品8が「備品X1」であることが特定できる。
【0042】
図4において、ロボット10は、自立走行し、机6の前に来ている。ロボット10が備えるRFIDスキャナ19が、タグ9を検出可能な位置まで近づいたとき、タグ9のIDが検出される。RFIDスキャナ19は、電波が届く範囲内であれば、複数のタグ9の情報を同時に読み取ることできる。
【0043】
ロボット10は、施設内を自律移動して資産の管理(棚卸作業)とは無関係な作業を実行可能である。「資産の管理とは無関係な作業」とは、上述のような、施設内の清掃を行う作業、施設内を警備する作業、施設内で荷物を配送する作業、施設内を案内する作業等である。ロボット10は、資産が保管されている保管場所において、資産の管理とは無関係な作業の実行中に、RFIDスキャナ19による識別情報の読み取りを行う。つまり、ロボット10が、施設内で清掃、警備、配送、案内等している間、そのついでに棚卸作業を行うように構成されている。
【0044】
また、RFタグ以外にも、備品には、二次元コード(たとえば、QRコード(登録商標))が付されていてもよい。この場合、ロボット10は、RFIDスキャナ19に代えて、二次元コード(QRコード)を読み取るスキャナ(カメラ等)を備える。当該スキャナにより読み取った二次元コード(QRコード)により、備品を特定することが可能である。
【0045】
以下、施設内における棚卸作業の例を説明する。
図5は、ロボット10による棚卸作業の例を説明するための図である。本施設は、A社のオフィスビルであり、ビル内にはフロア1が設けられている。
【0046】
フロア1は、複数のエリアに区画されている。フロア1には、複数のエリアとして、居室A、居室B、倉庫Aおよび倉庫Bが設けられている。ロボット10は、フロア1内の居室A、居室B、倉庫Aおよび倉庫B内を走行して清掃作業を行う。そして、清掃作業を行う際に、同時に棚卸作業を行う。
【0047】
居室A,Bは、従業員が働くスペースであり、居室A,Bには従業員に割当てられた机6が複数設置されている。各机には各従業員が使用する端末(図示なし)が備品として設置されている。以下、タグ9a~9fを含むタグを総称して「タグ9」と称する。各端末には、タグ9が付されており、ロボット10が端末に付されたタグ9を読み取ることで、各端末の棚卸作業を行うことができる。
【0048】
居室Aには、タグ9cが付された備品X2(端末)、タグ9dが付された備品X3(端末)、タグ9eが付された備品X4(端末)を含む備品が備えられている。居室Bには、タグ9fが付された備品X5(端末)、タグ9gが付された備品X6(端末)を含む備品が備えられている。
【0049】
倉庫A,Bには、各種備品を格納する棚7が設置されている。棚7に格納された各種備品には、タグ9が付されている。倉庫Aには、タグ9aが付された備品X1(試験装置)を含む備品が備えられている。倉庫Bには、タグ9bが付された備品を含む備品が備えられている。
【0050】
以下、資産管理システム100が実行する棚卸作業について具体的に説明する。サーバ50は、資産に関する資産情報として棚卸管理DB71を記憶している。ロボット10は、RFIDスキャナ19を用いてタグ9から読み取った識別情報(ID)等の情報を、検出結果DB72に蓄積する。
【0051】
そして、資産管理システム100は、RFIDスキャナ19によって読み取られた識別情報(ID等)と、資産情報(棚卸管理DB71)とに基づき、施設内で資産が保管されているか否かを判定する。この判定処理は、ロボット10が実行してもよいし、サーバ50が実行してもよい。
【0052】
図6は、棚卸管理DB71の一例である。棚卸管理DB71には、資産管理システム100において管理されているA社の資産(備品)の情報が記録されている。各備品には、IDにより識別可能なタグ9(
図5におけるタグ9a~9g等)が付されている。棚卸管理DB71には、備品のIDと、備品の名称と、備品の種別と、備品の保管場所が記録されている。そして、棚卸作業が行われた場合には、備品ごとに、検出場所、検出日時、棚卸結果が記録される。
【0053】
たとえば、ID「1001」のタグ9aが付された備品の名称は「備品X1」(
図5参照)である。本備品の種別は「試験装置」であり、本備品は「倉庫A」に保管されている。ID「1002」のタグ9cが付された備品の名称は「備品X2」である。本備品の種別は「端末」であり、本備品は「居室A」に保管されている。
【0054】
ID「1003」のタグ9dが付された備品の名称は「備品X3」である。本備品の種別は「端末」であり、本備品は「居室A」に保管されている。ID「1004」のタグ9eが付された備品の名称は「備品X4」である。本備品の種別は「端末」であり、本備品は「居室A」に保管されている。
【0055】
ID「1005」のタグ9fが付された備品の名称は「備品X5」である。本備品の種別は「端末」であり、本備品は「居室B」に保管されている。ID「1006」のタグ9gが付された備品の名称は「備品X6」である。本備品の種別は「端末」であり、本備品は「居室B」に保管されている。棚卸管理DB71に記録される検出結果、検出日時、棚卸結果については、後述する。
【0056】
図7は、検出結果DB72の一例である。検出結果DB72には、ロボット10のRFIDスキャナ19により検出された結果が記録されている。
【0057】
検出結果DB72には、RFIDスキャナ19によりタグ9が検出された日時(検出日時)と、検出されたタグ9のIDと、検出場所が記録されている。「検出場所」には、ロボット10のRFIDスキャナ19がタグ9を検出したエリアが記録されている。
【0058】
検出場所は、機器管理装置40が特定したロボット10の位置に基づき決定される。たとえば、機器管理装置40は、ロボット10からの信号を居室Aに設置された無線通信機30から受信した場合、ロボットの位置が居室Aにあることを特定する。ロボット10は、この情報を機器管理装置40から受信し、検出場所が「居室A」であることを決定する。
【0059】
本例では、検出結果DB72には、2022年12月5日の15時05分05秒(検出日時)において、ID「1002」のタグ9が、居室A(検出場所)において検出されたことが記録されている。
【0060】
同様に、2022年12月5日の15時05分11秒において、ID「1003」のタグ9が、居室Aにおいて検出されている。2022年12月5日の15時06分01秒において、ID「1004」のタグ9が、居室Aにおいて検出されている。2022年12月6日の9時20分00秒において、ID「1006」のタグ9が、居室Bにおいて検出されている。2022年12月6日の9時21分00秒において、ID「1001」のタグ9が、居室Bにおいて検出されている。
【0061】
検出結果DB72に記録された結果は、棚卸管理DB71に反映される。
図7において、記録されたID「1001」~「1004」、「1006」のデータは、棚卸管理DB71に記録される。
【0062】
図6に戻り、検出結果DB72に記録されたID「1001」~「1004」、「1006」に対応する「検出場所」および「検出日時」のデータは、棚卸管理DB71に転記される。
【0063】
次に、資産管理システム100は、棚卸結果判定処理(後述の
図12)を行い、その結果を棚卸管理DB71の「棚卸結果」の欄に記録する。たとえば、ID「1002」~「1004」、「1006」において、これらの備品が検出され、かつ、備品を保管する場所「保管場所」と実際に備品が保管されていた場所「検出場所」が一致している。この場合、棚卸結果として「OK」が記録される。ここで、「OK」の文字は、備品が検出されたことを意味する。
【0064】
一方、ID「1001」の備品X1が検出されたが、保管場所(倉庫A)と検出場所(居室B)が一致しないため、棚卸結果として「OK(保管場所が違う)」と記録されている。備品X1自体は存在していたため、棚卸結果としてはOKが記録されるものの、本来管理すべき場所と異なる場所に備品X1が持ち出されている旨も記録される。この棚卸結果により、本来の管理場所に備品X1を戻すべきであることが示唆される。
【0065】
ID「1005」の備品X5は、保管場所(居室B)での棚卸作業において検出されていない。保管場所(居室B)で棚卸作業を行った結果、保管場所で管理されるべき資産が検出されなかった場合、検出されなかった資産の棚卸結果には「NG」が記録される。なお、全てのエリアにおいて棚卸作業が行われた結果、備品X5がいずれのエリアにも存在しなかった場合、棚卸結果として「NG(紛失)」が記録される。この場合、備品X5が紛失したことが示される。「NG」の文字は、備品が検出されていないことを意味する。
【0066】
以下、
図8~
図10を用いて、具体例を説明する。
図8~
図10においては、
図5と同じくロボット10が棚卸作業を行うフロア1が示されている。
図8は、保管すべき場所に備品が存在する場合の例を説明するための図である。
【0067】
ロボット10は、現在、倉庫Aで清掃作業を行うとともに棚卸作業を行っている。そして、ロボット10は、備品X1(ID「1001」)に付されたタグ9aを倉庫Aで検出している。備品X1は、
図6の棚卸管理DB71に示したように、倉庫Aが保管場所である。倉庫Aでのタグ9aの検出により、検出結果DB72に、検出日時とともに、ID「1001」および検出場所「倉庫A」が記録される。
【0068】
さらに、棚卸管理DB71にも、検出場所「倉庫A」が記録される。この場合、保管場所(倉庫A)と検出場所(倉庫A)が一致するため、棚卸結果は「OK」と記録される。棚卸管理DB71の情報は、端末60にて確認可能である。
【0069】
端末60の表示部61(
図8)には、各備品の検出場所等が表示される。たとえば、表示部61には、ロボット10は、棚卸作業を行った結果、備品X1を倉庫Aで検出し、備品X2を居室Aで検出していることが表示されている。
【0070】
備品X1の保管場所は倉庫Aであり、備品X2の保管場所は居室Aであるため、棚卸結果にはいずれも「OK」が記録されている。なお、
図8においては、簡単のため備品X1のタグ9aのみが示されているが、その他の備品(タグ)も各居室および各倉庫の保管場所で保管されているものとする。
【0071】
図9は、保管すべき場所に備品が存在しない場合の例を説明するための図である。本例では、備品X1は倉庫Aで保管されていない。このため、ロボット10は、備品X1を倉庫Aで検出しない。
【0072】
ロボット10は、倉庫Aの棚卸作業を完了したとする。このとき、棚卸管理DB71において保管場所が「倉庫A」であるにも関わらず、倉庫Aの棚卸作業において検出されていない備品があった場合は、当該備品の検出場所に「-」を設定する。倉庫Aの棚卸作業において、備品X1に付されたタグ9aを検出しなかったため、棚卸管理DB71の備品X1(ID:1001)の検出結果には「-」が記録されるとともに、棚卸結果として「NG」が記録される。
【0073】
この場合、端末60の表示部61(
図9)には、備品X1の検出場所として「-」が表示される。そして、倉庫Aに備品X1が存在しないことを示すアラート「倉庫Aに備品X1がありません」が表示部61に表示される。
【0074】
図10は、保管すべきでない場所に備品が存在する場合の例を説明するための図である。
図10の例では、
図9の例の後に、居室Bの棚卸作業を行った状況を説明している。本例では、備品X1は居室Bで使用されていたものとする。
【0075】
ロボット10は、居室Bでの清掃作業および棚卸作業において、備品X1に付されたタグ9aを検出する。居室Bでのタグ9aの検出により、検出結果DB72に、検出日時とともに、ID「1001」および検出場所「居室B」が記録される。さらに、棚卸管理DB71の備品X1(ID:1001)の検出場所「居室B」が記録される。保管場所(倉庫A)と検出場所(居室B)が異なるため、棚卸結果「OK(保管場所が異なる)」が記録される。
【0076】
この場合、端末60の表示部61(
図10)には、備品X1の検出場所として「居室B」が表示される。そして、アラート「備品X1の保管場所は倉庫Aです」が表示部61に表示される。これにより、表示画面に表示されている備品X1は、現在置かれている「居室B」ではなく「倉庫A」で保管すべきことが示される。
【0077】
全てのエリア(居室A,B、倉庫A,B)の棚卸作業が完了した時点でいずれのエリアにおいても備品X1が検出されなかった場合は、棚卸管理DB71に棚卸結果「NG(紛失)」が記録される。この場合、備品X1が紛失したことを示すアラート「備品X1は紛失しています」が表示部61に表示される。
【0078】
以下、資産管理システム100が実行する処理をフローチャートを用いて説明する。
図11は、資産管理システム100が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0079】
本処理は、たとえば、ロボット10が清掃作業を開始したタイミングで起動すればよい。本処理は、1回の清掃作業(たとえば、居室Aの清掃作業)が開始してから、当該清掃作業が終了するまで実行される。居室Aの清掃作業が行われる場合、居室Aの清掃作業中に居室Aの棚卸作業が実行されることになる。
【0080】
以下、「ステップ」を単に「S」とも称する。以下の処理は、ロボット10が実行する処理として記載するが、サーバ50が実行してもよいし、ロボット10とサーバ50とで実行してもよい。
【0081】
本処理が開始すると、資産管理システム100は、S100において、棚卸管理DB71を読み出す。次に、資産管理システム100は、S101において、ロボット10の位置情報を取得する。上述のように、無線通信機30における受信強度から、施設内におけるロボット10の位置が検出され、ロボット10は、この位置情報を取得する。
【0082】
資産管理システム100は、S102において、RFIDスキャナ19によるタグ9(ID)のスキャン処理を行う。タグ9が付された備品が、RFIDスキャナ19の検出範囲内にある場合は、タグ9が検出される。これにより、タグ9のIDを検出することができる。ロボット10は、RFIDスキャナ19がスキャンした結果を取得する。
【0083】
資産管理システム100は、S103において、検出結果DB72を更新する。RFIDスキャナ19がスキャンした結果、
図7を用いて説明したように、検出結果DB72が更新される。
【0084】
資産管理システム100は、S104において、棚卸結果判定処理(
図12)を実行する。棚卸結果判定処理を実行した結果、
図6を用いて説明したように、棚卸結果が決定される。たとえば、備品の保管場所と検出場所が一致した場合、棚卸結果として「OK」の判定結果が得られる。
【0085】
資産管理システム100は、S105において、棚卸管理DB71を更新する。
図6を用いて説明したように、棚卸管理DB71の「検出場所」、「検出日時」、「棚卸結果」の項目が更新される。
【0086】
資産管理システム100は、S106において、ロボット10の作業(たとえば、居室Aの清掃作業)が完了したか否かを判定する。資産管理システム100は、ロボット10の作業が完了したと判定した場合(S106でYES)、本処理を終了する。
【0087】
一方、資産管理システム100は、ロボット10の作業が完了したと判定しなかった場合(S106でNO)、処理をS101に戻す。これにより、ロボット10が清掃作業により走行している間、棚卸作業が実施される。
【0088】
本処理をロボット10が実行する場合は、本処理を開始する際に棚卸管理DB71のデータをサーバ50から取得し、取得した棚卸管理DB71のデータをS105において更新し、本処理を終了する際に棚卸管理DB71のデータをサーバ50に送信すればよい。サーバ50は、ロボット10から受信したデータを棚卸管理DB71に上書きする。本処理をサーバ50が実行する場合は、S102において、ロボット10にタグ9のスキャン指令を送信して、その結果(取得したID等)をサーバ50が受信すればよい。そして、検出結果DB72および棚卸管理DB71は、サーバ50側で保持し、サーバ50側で更新するようにすればよい。
【0089】
図12は、棚卸結果判定処理の処理手順を示すフローチャートである。棚卸結果判定処理が開始すると、資産管理システム100は、保管場所とタグ9の検出場所が一致したと判定した場合(S201でYES)、棚卸結果「OK」と判定し(S202)、棚卸結果判定処理を終了する。たとえば、
図8で示した例において、備品X1の棚卸結果が「OK」と判定されている。
【0090】
このように、資産管理システム100は、RFIDスキャナ19が識別情報(ID)を読み取った場所と保管場所とが一致する場合に、施設内で資産が保管されている(棚卸結果「OK」)と判定する。
【0091】
S201でNOの判定がされた場合において、資産管理システム100は、保管場所でタグ9が検出できなかったと判定した場合(S203でYES)、棚卸結果「NG」と判定し(S204)、棚卸結果判定処理を終了する。たとえば、
図9で示した例において、備品X1の棚卸結果が「NG」と判定されている。
【0092】
このように、資産管理システム100は、保管場所においてRFIDスキャナ19が識別情報(ID)を検出できなかった場合に、保管場所において資産が保管されていない(棚卸結果「NG」)と判定する。
【0093】
S203でNOの判定がされた場合において、資産管理システム100は、保管場所以外の場所でタグを検出したと判定した場合(S205でYES)、棚卸結果「OK(保管場所が違う)」と判定し(S206)、棚卸結果判定処理を終了する。たとえば、
図10で示した例において、備品X1の棚卸結果が「OK(保管場所が違う)」と判定されている。
【0094】
このように、資産管理システム100は、保管場所以外の場所でRFIDスキャナ19が識別情報(ID)を読み取った場合に、保管場所以外の場所で資産が保管されている(棚卸結果「OK(保管場所が違う))と判定する。
【0095】
S205でNOの判定がされた場合において、資産管理システム100は、全ての場所でタグが検出できなかったと判定した場合(S207でYES)、棚卸結果「NG(紛失)」と判定し(S208)、棚卸結果判定処理を終了する。資産管理システム100は、S207でNOの判定がされた場合も、棚卸結果判定処理を終了する。
【0096】
このように、本実施の形態においては、資産が保管すべき場所(保管場所)に保管されているか否かを検出することができる。さらに、資産が保管すべきでない場所に保管されていることも検出することができる。
【0097】
資産管理システム100は、表示装置としての端末60を備えている。端末60は、各種資産情報を表示可能である。端末60は、資産情報として棚卸管理DB71の内容を表示可能であるとともに、
図9,
図10を用いて説明したような、棚卸結果に基づくアラート(メッセージ)を表示する。
【0098】
以下、フローチャートを用いて説明する。
図13は、メッセージ生成処理の処理手順を示すフローチャートである。たとえば、本処理は、サーバ50に対して端末60からの棚卸結果の表示リクエストがあった場合に起動すればよい。端末60に棚卸結果を表示させる場合、端末60からサーバ50に表示リクエストが送信される。サーバ50は、端末60に表示させる表示情報を生成するとともに、本処理を起動して端末60に表示させるアラートを生成する。端末60は、サーバ50が生成した表示情報とともにアラートを表示する。
【0099】
メッセージ生成処理が開始すると、資産管理システム100は、棚卸結果が「NG」と判定した場合(S301でYES)、保管場所で保管されていない旨のメッセージを生成し(S302)、メッセージ生成処理を終了する。たとえば、
図9の例においては、メッセージ「倉庫Aに備品X1がありません」が生成され、これが端末60に表示される。
【0100】
このように、端末60は、保管場所において資産が保管されていないと判断された場合に、保管場所において資産が保管されていない旨を表示する。
【0101】
資産管理システム100は、S301でNOの判定がされた場合において、棚卸結果が「OK(保管場所が違う)」と判定した場合(S303でYES)、保管場所で保管するように促す旨のメッセージを生成し(S304)、メッセージ生成処理を終了する。たとえば、
図10の例においては、メッセージ「備品X1の保管場所は倉庫Aです」が生成され、これが端末60に表示される。
【0102】
このように、端末60は、保管場所以外の場所で資産が保管されていると判定された場合に、資産を保管場所で保管するように促す表示を行う。
【0103】
資産管理システム100は、S303でNOの判定がされた場合において、棚卸結果が「NG(紛失)」と判定した場合(S305でYES)、資産が紛失した旨のメッセージを生成し(S306)、メッセージ生成処理を終了する。たとえば、端末60には「備品X1は紛失しています」が表示される。資産管理システム100は、S305でNOの判定がされた場合も、メッセージ生成処理を終了する。
【0104】
なお、ロボット10は、保管場所(居室A,B、倉庫A,B)を1つずつ巡回するようにしてもよい。ロボット10は、保管場所に入ると資産のスキャンを行い、当該各保管場所で保管すべき資産があるか否かを確認する。あるいは、ロボット10は、施設内を巡回しながら常にスキャン動作を行い、付近に資産がないか確認するようにしてもよい。
【0105】
以上、本実施の形態によれば、資産管理システム100は、施設内の資産を管理するシステムである。資産管理システム100は、ロボット10と、サーバ50とを備える。ロボット10は、施設内を自律移動する。サーバ50は、ロボット10と通信可能であって、資産を管理する。資産には、識別部としてのRFタグ(タグ)9が付されている。タグ9は、資産を識別可能な識別情報(ID等)を有する。ロボット10は、タグ9から識別情報を読み取る読取装置としてのRFIDスキャナ19を含む。ロボット10は、施設内の移動中にRFIDスキャナ19を用いてタグ9から識別情報を読み取る。サーバ50は、資産に関する資産情報(棚卸管理DB71)を記憶する。サーバ50は、RFIDスキャナ19によって読み取られた識別情報と、資産情報とに基づき、施設内で資産が保管されているか否かを判定する。
【0106】
このように、自律移動するロボット10に施設内を巡回させながら棚卸作業を行うことができるため、施設内の資産を管理する労力を極力低減することができる。
【0107】
資産情報(棚卸管理DB71)には、資産が保管されている保管場所が記録されている。サーバ50は、RFIDスキャナ19が識別情報(ID等)を読み取った場所と保管場所とが一致する場合に、施設内で資産が保管されていると判定する。このようにすることで、単に施設内に資産が存在することが把握できるのみならず、指定された保管場所に確実に資産が保管されていることを把握することができる。
【0108】
サーバ50は、保管場所においてRFIDスキャナ19が識別情報(ID等)を検出できなかった場合に、保管場所において資産が保管されていないと判定する。このようにすることで、保管場所以外の場所に資産がある可能性、または資産が紛失している可能性があることが把握できるため、これに対して早急に対策を取ることが可能となる。
【0109】
サーバ50は、保管場所以外の場所でRFIDスキャナ19が識別情報を読み取った場合に、保管場所以外の場所で資産が保管されていると判定する。このようにすることで、保管場所以外の場所に資産があり、少なくとも、資産が紛失していないことを把握することができる。
【0110】
資産管理システム100は、表示装置としての端末60を備える。端末60は、資産情報を表示する。端末60は、保管場所において資産が保管されていないと判断された場合に、保管場所において資産が保管されていない旨を表示する。このようにすることで、保管場所以外の場所に資産がある可能性、または資産が紛失している可能性があることが把握しやすくなるため、これに対して早急に対策を取ることが可能となる。
【0111】
端末60は、保管場所以外の場所で資産が保管されていると判定された場合に、資産を保管場所で保管するように促す表示を行う。このようにすることで、資産の紛失リスクを低減できるとともに、資産を適切な場所で適切に管理することができる。特に、重要な資産をセキュリティの高い場所で保管しているような場合に有用である。
【0112】
ロボット10は、施設内を自律移動して資産の管理とは無関係な作業を実行可能である。ロボット10は、保管場所において前記資産の管理とは無関係な作業の実行中に、RFIDスキャナ19による識別情報の読み取りを行う。
【0113】
たとえば、清掃ロボットの清掃作業中、警備ロボットの警備中、案内ロボットの案内中、配送ロボットの配送中等、他の作業のついでに棚卸作業を行うことができるため、高頻度で棚卸作業を行うことができる。これにより、年1回の棚卸作業の実施と比較して、高精度で資産管理を行うことができる。さらには、棚卸作業のための専用のロボットを設置する必要がないため、設備コストを大幅に削減することができる。
【0114】
[付記]
上述した実施形態は、以下の付記の具体例である。
【0115】
(付記1)
施設内の資産を管理する資産管理システムであって、
前記施設内を自律移動するロボットと、
前記ロボットと通信可能であって、前記資産を管理するサーバとを備え、
前記資産には、前記資産を識別可能な識別情報を有する識別部が付されており、
前記ロボットは、
前記識別部から前記識別情報を読み取る読取装置を含み、
前記施設内の移動中に前記読取装置を用いて前記識別部から前記識別情報を読み取り、
前記サーバは、
前記資産に関する資産情報を記憶し、
前記読取装置によって読み取られた前記識別情報と、前記資産情報とに基づき、前記施設内に前記資産が保管されているか否かを判定する、資産管理システム。
【0116】
(付記2)
前記資産情報には、前記資産が保管されている保管場所が記録されており、
前記サーバは、前記読取装置が前記識別情報を読み取った場所と前記保管場所とが一致する場合に、前記施設内で前記資産が保管されていると判定する、付記1に記載の資産管理システム。
【0117】
(付記3)
前記サーバは、前記保管場所において前記読取装置が前記識別情報を検出できなかった場合に、前記保管場所において前記資産が保管されていないと判定する、付記2に記載の資産管理システム。
【0118】
(付記4)
前記サーバは、前記保管場所以外の場所で前記読取装置が前記識別情報を読み取った場合に、前記保管場所以外の場所で前記資産が保管されていると判定する、付記2または付記3に記載の資産管理システム。
【0119】
(付記5)
前記資産情報を表示する表示装置をさらに備え、
前記表示装置は、前記保管場所において前記資産が保管されていないと判断された場合に、前記保管場所において前記資産が保管されていない旨を表示する、付記2~付記4のいずれかに記載の資産管理システム。
【0120】
(付記6)
前記資産情報を表示する表示装置をさらに備え、
前記表示装置は、前記保管場所以外の場所で前記資産が保管されていると判定された場合に、前記資産を前記保管場所で保管するように促す表示を行う、付記2~付記5のいずれかに記載の資産管理システム。
【0121】
(付記7)
前記ロボットは、
前記施設内を自律移動して前記資産の管理とは無関係な作業を実行可能であり、
前記保管場所において前記資産の管理とは無関係な作業の実行中に、前記読取装置による前記識別情報の読み取りを行う、付記2~付記6のいずれかに記載の資産管理システム。
【0122】
(付記8)
施設内の資産を管理する資産管理方法であって、
前記施設内を自律移動するロボットと通信するステップを備え、
前記資産には、前記資産を識別可能な識別情報を有する識別部が付されており、
前記ロボットは、
前記識別部から前記識別情報を読み取る読取装置を含み、
前記施設内の移動中に前記読取装置を用いて前記識別部から前記識別情報を読み取り、
前記資産に関する資産情報を記憶するステップと、
前記読取装置によって読み取られた前記識別情報と、前記資産情報とに基づき、前記施設内に前記資産が保管されているか否かを判定するステップとをさらに備える、資産管理方法。
【0123】
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0124】
1 フロア、6 机、7 棚、8 備品、9,9a~9f RFタグ、10 ロボット、11,30 無線通信機、13 駆動部、14 カメラ、15 記憶部、16 バッテリ、18 制御部、19 RFIDスキャナ、35 天井、36 床、40 機器管理装置、41 CPU、42 RAM、43 ROM、44 I/F装置、45 記憶装置、46 通信バス、50 サーバ、60 端末、61 表示部、71 棚卸管理DB、72 検出結果DB、100 資産管理システム、NW 通信網。