(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179136
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】中継要否決定装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/083 20240101AFI20241219BHJP
【FI】
G06Q10/083
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097725
(22)【出願日】2023-06-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 貴廣
(72)【発明者】
【氏名】金川 信康
(72)【発明者】
【氏名】板東 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】松尾 一毅
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】中継地域候補の中からコストメリットのある中継地域を容易に選出できる中継要否決定装置を提供すること。
【解決手段】地上配送装置1の荷物の補充地点となる中継地点候補53を設定する中継地点候補設定部41aと、中継地点候補53を基準とした所定範囲の地域を中継地域候補54として抽出する中継地域候補抽出部41bと、地上配送装置1が中継地域候補54内から配送拠点50に荷物を取りに戻るために要するコストを含む地上輸送コストYと、飛行体2が配送拠点50から中継地点候補53に荷物を配送するために要するコストを含む上空輸送コストXとを算出するコスト算出部41dと、上空輸送コストXが地上輸送コストYを下回った場合、その中継地域候補を中継要地域としてモニタ30に出力し、上空輸送コストXが地上輸送コストYを上回った場合、その中継地域候補を中継否地域としてモニタに出力する出力部41eとを中継要否決定装置に備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上配送装置の荷物の補充地点となる中継地点候補を地図上に設定する中継地点候補設定部と、
前記中継地点候補を基準とした所定範囲の地域を中継地域候補として抽出する中継地域候補抽出部と、
前記地上配送装置が前記中継地域候補内から配送拠点に荷物を取りに戻るために要するコストを含む地上輸送コストと、飛行体が前記配送拠点から前記中継地点候補に荷物を配送するために要するコストを含む上空輸送コストとを少なくとも地図情報を用いて算出するコスト算出部と、
前記上空輸送コストが前記地上輸送コストを下回った場合、前記中継地域候補を中継要地域として提示部に出力し、前記上空輸送コストが前記地上輸送コストを上回った場合、前記中継地域候補を中継否地域として提示部に出力する出力部とを備えることを特徴とする、中継要否決定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の中継要否決定装置において、
前記出力部は、前記上空輸送コストが前記地上輸送コストを下回った場合、かつ、前記中継地域候補における所定期間の配送量の予測指標値が所定の閾値を超える場合、前記中継地域候補を前記中継要地域として前記提示部に出力することを特徴とする、中継要否決定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の中継要否決定装置において、
前記配送量の予測指標値は、前記中継地域候補において所定期間に配送される荷物数の予測値であることを特徴とする、中継要否決定装置。
【請求項4】
請求項2に記載の中継要否決定装置において、
前記配送量の予測指標値は、前記中継地域候補における居住者数であることを特徴とする、中継要否決定装置。
【請求項5】
請求項2に記載の中継要否決定装置において、
前記配送量の予測指標値は、前記中継地域候補における建物数であることを特徴とする、中継要否決定装置。
【請求項6】
請求項2に記載の中継要否決定装置において、
前記配送量の予測指標値は、前記中継地域候補の将来における、所定期間に配送される荷物数、居住者数、及び建物数のいずれか1つであることを特徴とする、中継要否決定装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の中継要否決定装置において、
前記所定範囲は、地形、自治体境界、及び設定済みの中継地域の境界のいずれか1つに基づいて決定されていることを特徴とする、中継要否決定装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の中継要否決定装置において、
前記所定範囲は、前記地上配送装置を用いて前記中継地点候補から予め設定した時間内に到達できる範囲であることを特徴とする、中継要否決定装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の中継要否決定装置において、
前記所定範囲は、前記地上配送装置を用いて前記中継地点候補から予め設定した移動費用内で到達できる範囲であることを特徴とする、中継要否決定装置。
【請求項10】
請求項1に記載の中継要否決定装置において、
前記地上輸送コストには、荷物の配送に掛かる人件費が含まれていることを特徴とする、中継要否決定装置。
【請求項11】
請求項1に記載の中継要否決定装置において、
前記上空輸送コストまたは前記地上輸送コストには、配送に利用される装置の導入コスト、維持コスト、運用コストの少なくとも1つが含まれていることを特徴とする、中継要否決定装置。
【請求項12】
請求項1に記載の中継要否決定装置において、
前記上空輸送コストには、上空輸送ができないときに代替となる輸送手段を用意するために必要な代替輸送手段コストが含まれていることを特徴とする、中継要否決定装置。
【請求項13】
地上配送装置の荷物の補充地点となる中継地点候補を地図上に設定し、
前記中継地点候補を基準とした所定範囲の地域を中継地域候補として抽出し、
前記地上配送装置が前記中継地域候補内から配送拠点に荷物を取りに戻るために要するコストを含む地上輸送コストと、飛行体が前記配送拠点から前記中継地点候補に荷物を配送するために要するコストを含む上空輸送コストとを少なくとも地図情報を用いて算出し、
前記上空輸送コストが前記地上輸送コストを下回った場合、前記中継地域候補を中継要地域として提示部に出力し、
前記上空輸送コストが前記地上輸送コストを上回った場合、前記中継地域候補を中継否地域として提示部に出力することを特徴とする、中継要否決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上配送装置と飛行体を利用する配送方式の中継地域を決定する中継要否決定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車、自動二輪及び電車等の地上配送装置(地上配送手段)と、ドローンやeVTOL(電動垂直離着陸機)等の飛行体(上空配送手段)とを組合わせた配送形式が注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、地上配送手段だけを利用した第1配送経路と、地上配送手段による配送経路の一部を他用途で予約されたeVTOLに相乗りして配送する第2配送経路とを生成し、第2配送経路の方が第1配送経路よりも配送時間が短縮される場合には、第2配送経路を配送経路の選択肢の1つとしてユーザに提示する配送管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
地上配送装置(地上配送手段)と飛行体(上空配送手段)による配送を組合わせた配送方式としては、特許文献1のものの他に、配送エリア内の荷物が集積される配送拠点よりも実際の配送先に近い地域(中継地域)に中継地点を設置し、配送拠点から当該中継地点に飛行体による荷物の配送を行い、地上配送装置が配送途中に当該中継地点に立ち寄って荷物を補充することで配送拠点に戻ることなく荷物の配送を継続できるようにした配送形式が提案されている。この配送形式は、地上配送装置を運転する配達員の負担を軽減するものであり、また、配送拠点から中継地域(又は中継地点)までの地上配送装置による移動時間が長くなる傾向が顕著な過疎地でコストメリットが出やすい。
【0006】
しかし、この配送形式では、中継地点を含む中継地域の場所の選定が難しく、その位置によっては、地上配送装置だけで配送する方式(つまり、地上配送装置が配送拠点に少なくとも1回戻りながら配送する方式)よりもコストが高くなるおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、中継地域候補の中からコストメリットのある中継地域を容易に選出できる中継要否決定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、地上配送装置の荷物の補充地点となる中継地点候補を地図上に設定する中継地点候補設定部と、前記中継地点候補を基準とした所定範囲の地域を中継地域候補として抽出する中継地域候補抽出部と、前記地上配送装置が前記中継地域候補内から配送拠点に荷物を取りに戻るために要するコストを含む地上輸送コストと、飛行体が前記配送拠点から前記中継地点候補に荷物を配送するために要するコストを含む上空輸送コストとを少なくとも地図情報を用いて算出するコスト算出部と、前記上空輸送コストが前記地上輸送コストを下回った場合、前記中継地域候補を中継要地域として提示部に出力し、前記上空輸送コストが前記地上輸送コストを上回った場合、前記中継地域候補を中継否地域として前記提示部に出力する出力部とを中継要否決定装置に備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、中継地域候補の中からコストメリットのある中継地域を容易に選出できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態に係る中継要否決定装置100の概略構成図である。
【
図2】地上配送装置単独による従前の配送方式の説明図である。
【
図3】地上配送装置(自動二輪)と飛行体(ドローン)を組合わせて荷物の配送を行う本実施形態に係る配送方式の説明図である。
【
図4】制御装置40のメモリ42に格納されたプログラムに基づいてプロセッサ41が実行する処理(機能)をブロック毎に示したブロック図の一例を示す図である。
【
図5】少なくとも1つのプロセッサ41(制御装置40)によって実行される中継地域提示処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】中継地点候補53から配送エリア内の各地点までの地上配送装置の移動時間が所定時間以内となる領域を中継地域候補54として設定した場合の一例を示す図である。
【
図7】中継地域候補54Aが含まれる航空写真データ70の一例を示す図。
【
図8】地上配送装置と飛行体のそれぞれで中継地点候補53Aと配送拠点50とを往復することを想定して1日当たりの地上輸送コストと上空輸送コストを算出する場合の説明図。
【
図9】地上配送装置1が中継地域候補54Aと配送拠点50の往復に掛かる時間Tの算出に際し、地上配送装置1が取り得る経路パターンの説明図である。
【
図10】上空輸送コストXと地上輸送コストYの大小関係のイメージ図である。
【
図11】モニタ30に中継地域を表示する際のGUIの一例を示す図である。
【
図12】モニタ30に中継地域を表示する際のGUIの他の一例を示す図である。
【
図13】第2実施形態に係るプロセッサ41が実行する処理をブロック毎に示したブロック図の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る中継要否決定装置(中継要否決定システム)100の概略構成図である。中継要否決定装置100は、制御装置40と、入力装置20と、モニタ30とを備えている。
【0012】
制御装置40は、例えばコンピュータであり、少なくとも1つのプロセッサ41と、プロセッサ41によって実行されるプログラムやデータが格納されるメモリ(記憶装置)42を備えている。制御装置40には、制御装置40によって選出された中継地域がユーザに対して提示(表示)されるモニタ(例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネルなど)30と、ユーザが制御装置40に命令や文字などを入力するための装置である入力装置(例えば、タッチパネル、マウス、キーボードなど)20が接続されている。
【0013】
制御装置40には中継地域の決定に必要なデータ(例えば、配送エリアデータ、地図データ、地域データ、輸送データ)が入力可能になっている。当該データが格納された記憶装置10が制御装置40と通信可能に接続又は制御装置40に内蔵されていても良い。記憶装置10には、例えば、配送エリアデータ、地図データ、地域データ、輸送データが格納されている。
【0014】
次に
図2及び
図3を用いて本実施形態に関する配送方式について説明する。
図2,3に示した例では、配送拠点50に集積された荷物の配送先として9つの配送先(住宅、オフィスなど)51a-51iが存在している。また、本実施形態の配送に利用される地上配送装置としては、例えば、自転車、自動二輪、自動車等の利用が可能(異なる種類の地上配送装置の組み合わせも可能)であるが、以下では自動二輪を例に挙げて説明するものとする。また、同様に本実施形態の配送に利用される飛行体としては、ドローン、eVTOL、空飛ぶ車等の利用が可能(異なる種類の飛行体の組み合わせも可能)であるが、以下では無人のドローン(無人航空機:UAV)を例に挙げて説明するものとする。
【0015】
まず、
図2に用いて、飛行体(ドローン)による配送拠点から中継地点への荷物の配送を行わない従前の配送方式(地上配送装置(自動二輪)単独による配送方式)について説明する。
図2は地上配送装置単独による従前の配送方式の説明図である。図中の矢印52a-52kは地上配送装置の経路を模式的に示したものであるが、実際の経路は地図上の道路に沿って描かれる。
【0016】
配達員の乗る自動二輪(地上配送装置)が配送エリア55内の配送拠点50を出発したら、まず、5つの配送先51a,51b,51c,51d,51eに矢印52a-52eが示す順番に荷物を配送する。配送先51eへの配送が完了したら当該自動二輪は経路(往路)52fで配送拠点50に戻り、その後に回る配送先51f-51iの荷物を補充する。荷物の補充後に再び配送拠点50から出発した配達員(自動二輪)は、経路(復路)52gで次の配送先51fに向かう。そして、残りの3つの配送先51g,51h,51iに矢印52h-52kが示す順番に荷物を配送して配送拠点50に戻り、配送作業を終了する。このように従前の配送方式では、配達員の担当するエリアが広く、エリア全ての荷物を当該配達員の運転する自動二輪に搭載できない場合には、配送拠点に戻って荷物を補充する必要が生じる。つまり、荷物を補充するために配送拠点50に戻る経路51f,52gが必要となり、自動二輪を運転する配達員の負荷が増加しやすい傾向がある。
【0017】
図3は地上配送装置(自動二輪)と飛行体(ドローン)を組合わせて荷物の配送を行う本実施形態に係る配送方式の説明図である。図中の矢印52a-52k,52m-52qは自動二輪(地上配送装置)の経路を模式的に示したものであるが、実際の経路は地図上の道路に沿って描かれる。破線の矢印56A,56Bはドローン(上空配送装置)の経路を模式的に示したものであるが、例えばドローンが迂回すべき障害物(山や構造物)が経路上に存在する場合には当該障害物を避けた経路(例えば曲線状の経路)となる。
【0018】
この図の例では、自動二輪の荷物の補充地点となる2つの中継地点候補53A,53Bが配送エリア55内に設定されており、各中継地点候補53A,53Bにはドローンが経路56A,56Bにより配送拠点50から荷物を配送(空輸)する。各中継地点候補53A,53Bには配送中の自動二輪(配達員)が立ち寄ることになっており、当該自動二輪がその後に配送すべき荷物を配送拠点50に戻ることなく補充できる。これにより
図2の場合のような配送拠点50に戻る経路51f,52gが不要になるため、自動二輪の乗る配達員の負担減が見込める。
【0019】
各中継地点候補53A,53Bは、飛行体の離着陸するために必要な充分な広さのある平坦な場所に設定することが好ましい。中継地点候補53は地上の空きスペースである必要はなく、建物の屋上でも構わない。また、中継地点候補53は常設である必要はなく、仮設でも構わない。各中継地点候補53(53A,53B)の周囲には、中継地点候補53(53A,53B)を基準とした所定範囲の地域として中継地域候補54(54A,54B)が設定される。各中継地域候補54には、重複した領域が存在していても良いし、1つの配送先51が複数の中継地域候補54に渡っていても良い。本実施形態に係る中継要否決定装置100は、配送エリア55内に存在する中継地域候補54の中から後述する所定の条件を満たすものを中継地域として選出し、モニタ30などを介してユーザに提示する。
【0020】
各中継地域候補54A,54B内において、自動二輪(地上配送装置)が中継地点候補53A,53Bに立ち寄るタイミングに特に決まりはなく、配送プラン(中継地点候補53A,53B内の各配送先52a-52e,52f-52iを回る順番)によって異なって良い。
図3の例では各中継地域候補54A,54B内の配送先51への配送の途中で中継地点候補53A,53Bに立ち寄っているが、これは一例に過ぎず、例えば各中継地域候補54A,54B内で配送を開始する前や配送を完了した後などに中継地点候補53A,53Bに立ち寄っても構わない。
【0021】
図4は制御装置40のメモリ42に格納されたプログラムに基づいてプロセッサ41が実行する処理(機能)をブロック毎に示したブロック図の一例を示す図である。この図に示すように制御装置40(プロセッサ41)は、地上配送装置の荷物の補充地点となる中継地点候補を地図上に設定する中継地点候補設定部41aと、中継地点候補41aで設定された中継地点候補を基準とした所定範囲の地域を中継地域候補として抽出する中継地域候補抽出部41bと、中継地域候補抽出部41bで抽出された中継地域候補における所定期間の配送量(荷物量)の予測指標値を算出する予測指標値算出部41c、地上配送装置が当該中継地域候補(中継地域候補抽出部41bで抽出された中継地域候補。以下、この段落において同じ)内から配送拠点に荷物を取りに戻るために要するコストを含む地上輸送コストと、飛行体が当該配送拠点から当該中継地点候補に荷物を配送するために要するコストを含む上空輸送コストとを少なくとも地図データを用いて算出するコスト算出部41dと、上空輸送コストが地上輸送コストを下回った場合、かつ、当該中継地域候補における所定期間の配送量の予測指標値が所定の閾値を超える場合、当該中継地域候補を中継地域として提示部(モニタ30)に出力する出力部41eとして機能する。
【0022】
なお、予測指標値算出部41cは省略可能である。予測指標値算出部41cを省略した場合、出力部41eはコスト算出部41dの算出結果に基づいて選出した中継地域をモニタ30に出力する。すなわち出力部41eは、上空輸送コストが地上輸送コストを下回った場合に、当該中継地域候補(中継地域候補抽出部41bで抽出された中継地域候補)を中継地域又は中継地域が必要な地域(中継要地域)として提示部(モニタ30)に出力する。また、出力部41eは、上空輸送コストが地上輸送コストを上回った場合に、当該中継地域候補を中継地域が必要ない地域(中継否地域)として提示部(モニタ30)に出力しても良い。
【0023】
図5は本実施形態に係る少なくとも1つのプロセッサ41(制御装置40)によって実行される中継地域提示処理の一例を示すフローチャートである。
【0024】
<中継地点候補の設定>
例えばユーザによる入力装置20の操作によってフローが開始されると、プロセッサ41は、ユーザに中継地域の提示を希望する配送エリア55の選択を要求し、入力装置20等を介してユーザに選択された配送エリア55のデータ(配送エリアデータ10a)を記憶装置10等から入力する(S201)。ここでは
図3の配送エリア55が選択されたものとして以下の説明をする。配送エリアデータ10aには、各配送エリアにおける配送拠点の位置データや、各配送エリアにおける1以上の中継地点候補53の位置データが含まれている。プロセッサ41(中継地点候補設定部41a)は、S201で選択された配送エリア55の配送エリアデータ10aを入力することで、当該配送エリア55内の中継地点候補53A,53Bの位置データを取得して、選択された配送エリア55の地図データ上に1以上の中継地点候補53A,53Bを設定する(S202)。
【0025】
<中継地域候補の抽出>
S203,S204では、プロセッサ41(中継地域候補抽出部41b)は、S202で設定された1以上の中継地点候補53の中から1つの中継地点候補53(ここでは53Aが選択されたとする)を選択し、当該選択した1つの中継地点候補53Aを基準とした所定範囲の地域を中継地域候補54Aとして抽出する(中継地域候補の抽出処理)。中継地点候補53を基準とした所定範囲の決め方、すなわち中継地域候補54の抽出方法は複数存在する。
【0026】
例えば、
図5のフローチャートの例では、配送エリア55の道路データが含まれる地図データ10bと、配達に使用する地上配送装置(例えば自動二輪)の平均走行速度データを含む輸送データ10dとに基づいて、プロセッサ41(中継地域候補抽出部41b)は選択した1つの中継地点候補53Aから配送エリア55内の各地点までの当該地上配送装置(例えば自動二輪)の移動時間を算出し(S203)、S203で算出した移動時間が所定時間以内となる地点を繋いだ線によって囲まれる領域を中継地域候補54Aとして抽出している(S204)。すなわち、地上配送装置を用いて中継地点候補53から予め設定した時間内に到達できる範囲を中継地域候補54として設定している。
【0027】
図6は、中継地点候補53から配送エリア内の各地点までの地上配送装置の移動時間が所定時間以内となる領域を中継地域候補54として設定した場合の一例を示す図である。この図の配送エリア55Aには、2つの中継地点候補53C,53Dから地上配送装置(例えば自動二輪)の移動時間が所定時間以内になる領域に2つの中継地域候補54C,54Dが設定されている。特に中継地域候補54Dの形状は、地上配送装置の移動が制限される山61と河川62の影響により、円形ではなく、山61や河川62を回り込むような形状になっている。
【0028】
その他の所定範囲の決め方としては、地上配送装置を用いて中継地点候補53から予め設定した移動費用内で到達できる範囲を中継地域候補54として設定するものがある。この範囲は、例えば、配送エリア55の道路データが含まれる地図データ10bと、配達に使用する地上配送装置(例えば自動二輪)の所定距離当たりの平均移動費用データ(例えば、1キロ当たりの平均燃料代)を含む輸送データ10dとに基づいて、設定することができる。
【0029】
さらに他の所定範囲の決め方としては、地形、自治体境界、及び設定済みの中継地域の境界のいずれか1つに基づいて中継地域候補54を設定するものがある。なお、地形に基づく方法としては、河川や山林の境界線を地図データ10bに登録しておき、その境界線を中継地域候補54の境界線とするものがある。また、自治体境界は地図データ10bに登録されており、適宜利用できる。
【0030】
<中継地域候補の絞り込み1>
S205,206では、プロセッサ41(予測指標値算出部41c)は、S204で抽出された中継地域候補54Aにおける所定期間(例えば1日)の配送量(荷物量)の予測指標値を算出し(S205)、算出した予測指標値が所定の閾値を超えているか否かを判定する(S206)。当該閾値にも拠るが、予測指標値が当該閾値を越えた場合、その中継地域候補54に当該閾値以上の配送量を見込むことができ、本実施形態に係る配送方式を導入することによるコストメリットが得られやすくなる。閾値は任意の値を設定可能であるが、例えば1日につき2件を設定できる。荷物の容積(大きさ)の平均値も勘案しても良い。
【0031】
例えば、
図5のフローチャートのS205では、プロセッサ41(予測指標値算出部41c)は、
図7に示す中継地域候補54Aが含まれる航空写真データ70を地域データ10cから読み出し、当該航空写真データ70上で中継地域候補54Aに対応する領域を特定し、当該航空写真データ70上で当該領域に含まれる建物71の数を例えば画像認識技術を利用して計数し、当該建物数から中継地域候補54A内の推定居住者数(予測指標値)を算出する。推定居住者数が算出できれば、地域データ10cに含まれる当該地域における所定期間の1人当たりの平均配送量のデータから中継地域候補54Aの配送量を算出できる。なお、推定居住者数の算出に際しては、航空写真データ70に代えて地図データ10bに含まれる住宅地図データや、地域データ10cに含まれる人口密度データや人口データを利用しても良い。また、地域データ10cに含まれる電力、水道、ガス等のインフラ設備の使用状況や、携帯電話の利用状況、インターネットの通信量等から推定住居者数及び配送量を算出しても良い。さらに、現在の数値だけでなく、将来における所定期間に配送される荷物数、居住者数、及び建物数のいずれか1つを予測指標値として利用してもよい。これらの将来の情報については、都市計画図や生来推計人口などからデータを取得できる。
【0032】
S206で算出した予測指標値(推定住居者数)が閾値を越えているとプロセッサ41(予測指標値算出部41c)が判定した場合にはS207に進む。このとき
図4の予測指標値算出部41cから出力部41eに対して中継地域候補54Aが第1の条件(コストメリットが得られるだけの配送量が当該中継地域候補に存在するか)を満たすことを出力しても良い。一方、予測指標値(推定住居者数)が閾値以下であると判定した場合には、S204で抽出した中継地域候補54Aを中継地域の候補から削除し(S211)、後述するS212に進む。この場合には、
図4の予測指標値算出部41cから出力部41eに対して中継地域候補54Aが第1の条件を満たさないことを出力しても良い。
【0033】
<中継地域候補の絞り込み2>
S207,S208,S209では、プロセッサ41(コスト算出部41d)は、自動二輪(地上配送装置)がS204で抽出された中継地域候補54A内から配送拠点50に荷物を取りに戻るために要するコストを含む地上輸送コストと、ドローン(飛行体)が配送拠点50からS203で選択された中継地点候補53Aに荷物を配送するために要するコストを含む上空輸送コストとを少なくとも地図データ10bを用いて算出し(S207,S208)、上空輸送コストが地上輸送コストを下回るかどうかを判定する(S209)。
【0034】
S207,S208,S209で行われる具体的な処理の一例について
図8を用いて説明する。ここでは地上配送装置1と飛行体2のそれぞれで中継地点候補53Aと配送拠点50とを往復することを想定し、1日当たりの地上輸送コストと上空輸送コストを算出することにする。
図8はその想定に基づく概念図である。この図では、地上配送装置1が経路57Aで中継地点候補53Aと配送拠点50の間を移動し、飛行体2が経路56Aで中継地点候補53Aと配送拠点50の間を移動している。
【0035】
S207では、プロセッサ41(コスト算出部41d)は、下記式(1)に基づいて地上輸送コストYを算出する。地上輸送コストYの算出に必要なデータは輸送データ10dに格納されている。
地上輸送コストY=Cg1+Cg2+Cg3+Cg4 …式(1)
【0036】
但し、上記式(1)におけCg1,Cg2,Cg3,Cg4が示す内容は以下の通りである。
【0037】
Cg1:配達に使用する地上配送装置1(
図8参照)の1日当たりの導入コスト(例えば、地上配送装置1の導入コストIg(車両価格、登録料など)を地上配送装置1の予測使用日数Dg(例えば耐久年数を日数に換算したもの)で除することで得られる。すなわち、Cg1=Ig/Dg)
【0038】
Cg2:配送拠点50への往復に掛かる地上配送装置1の配達員の人件費(例えば、配達員の時間給Fhに、地上配送装置1が中継地域候補54A(中継地点候補53A)と配送拠点50の往復(1往復)に掛かる時間Tと、過去の配送実績データから推定される1日当たりの地上配送装置1の平均往復回数Nとを乗ずることで得られる。すなわち、Cg2=Fh×T×N)
【0039】
Cg3:地上配送装置1の1日当たりの維持コスト(具体的には、保険や税金等や修理代・部品代、消耗品代等を含み、地上配送装置1の維持・保守に必要な1日当たりの平均費用)
【0040】
Cg4:地上配送装置1の1日当たりの運用コスト(具体的には、例えば、地上配送装置1の1日当たりの平均燃料代(ガソリン代、電気代等)や1日に利用する有料道路等の通行料の平均値等が含まれる)
【0041】
なお、上記式(1)は、地上輸送コストYの式の一例に過ぎず、例えば上記式(1)からCg1,Cg3,Cg4の少なくとも1つを削除したものを地上輸送コストYとしても良い。
【0042】
輸送データ10dには、各地上配送装置の導入コスト、耐久年数、時間T及び往復回数Nの実績データ、各地上配送装置の保険料・税金額、修理代・部品代・消耗品代等の実績データ、各地上配送装置の燃料代・通行料の実績データが格納されており、各項目についての所定期間における平均値を適宜算出することができる。
【0043】
ところで、上記式(1)及び
図8では、地上配送装置1が中継地域候補54Aと配送拠点50の往復に掛かる時間Tを中継地点候補53Aと配送拠点50を結ぶ経路57Aを基準に算出したがこれは一例に過ぎない。つまり、時間Tの算出に際しては、当該経路の起点を中継地点候補53Aに代えて、中継地域候補54A内の任意の点に変更した経路(例えば
図9の経路57a1,57a2)を用いても良い。また、中継地域候補54A内における始点と終点を異なる位置に設定した任意の経路(例えば
図9の経路(往路)57b1と経路(復路)57b2)を用いても良い。さらに、中継地域候補54A内の点から配送拠点50までの距離を複数算出し、それらの平均距離を用いて時間Tを算出しても良い。さらに、配送拠点50に戻るときに地上配送装置1が中継地域候補54A内の各点に存在する確率を求め、各点から配送拠点50までの距離に当該確率を掛けたものを足し合わせた値(期待値)を利用して時間Tを算出しても良い。
【0044】
S208では、プロセッサ41(コスト算出部41d)は、下記式(2)に基づいて上空輸送コストXを算出する。上空輸送コストXの算出に必要なデータは輸送データ10dに格納されている。
上空輸送コストX=Ca1+Ca3+Ca4+Cp1+Cp3+Cp4+Cx…式(2)
【0045】
但し、上記式(2)におけCa1,Ca3,Ca4,Cp1,Cp3,Cp4が示す内容は以下の通りである。なお、飛行体2は無人を想定しているので運転手の人件費は考慮しない。
【0046】
Ca1:配達に使用する飛行体2(
図8参照)の1日当たりの導入コスト(例えば、飛行体2の導入コストIa(車両価格など)を飛行体2の予測使用日数Da(例えば耐久年数を日数に換算したもの)で除することで得られる。すなわち、Ca1=Ia/Da)
【0047】
Ca3:飛行体2の1日当たりの維持コスト(具体的には、保険や税金等や修理代・部品代、消耗品代等を含み、飛行体2の維持・保守に必要な1日当たりの平均費用)
【0048】
Ca4:飛行体2の1日当たりの運用コスト(具体的には、例えば、飛行体2の1日当たりの平均燃料代(ガソリン代、電気代等)等が含まれる)
【0049】
Cp1:中継地点53Aの1日当たりの導入コスト(例えば、中継地点53Aの設置コストIpを中継地点53Aの予測使用日数Dp(例えば耐久年数を日数に換算したもの)で除することで得られる。すなわち、Cp1=Ip/Dp)
【0050】
Cp3:中継地点53Aの1日当たりの維持コスト(具体的には、消耗品代等を含み、中継地点53Aの維持・保守に必要な1日当たりの平均費用)
【0051】
Cp4:中継地点53Aの1日当たりの運用コスト(具体的には、例えば、中継地点53Aの1日当たりの電気・ガス・水道代等が含まれる)
【0052】
Cx:飛行体2が使用不可のときの代替輸送手段の準備コスト(代替輸送手段として地上配送装置1の予備や配達員を確保しておくためのコストや、非常時に同種の他社のサービスを借りるためのコスト等が含まれる。)
【0053】
なお、上記式(2)は、上空輸送コストXの式の一例に過ぎず、例えば上記式(2)からCxを削除したものを上空輸送コストXとしても良い。
【0054】
輸送データ10dには、各飛行体の導入コスト、耐久年数、各飛行体の保険料・税金額、修理代・部品代・消耗品代等の実績データ、各飛行体の燃料代等の実績データが格納されており、各項目についての所定期間における平均値を適宜算出することができる。
【0055】
S209では、プロセッサ41(コスト算出部41d)は、S208で演算した上空輸送コストXがS207で演算した地上輸送コストYより小さいか否かを判定する。ここで上空輸送コストXが地上輸送コストYより小さいとプロセッサ41(コスト算出部41d)が判定した場合にはS210に進む。このとき
図4のコスト算出部41dから出力部41eに対して中継地域候補54Aが第2の条件(上空輸送コストXが地上輸送コストYより安い)を満たすことを出力しても良い。
図10は上空輸送コストXと地上輸送コストYの大小関係のイメージ図である。この図に示すように、地上配送装置1が中継地点候補53と配送拠点50の往復に要する時間T(
図8参照)は、中継地点候補53と配送拠点50の距離に比例し、時間Tが増加するほど上空輸送コストが地上輸送コストを下回る量が増加する傾向がある。つまり、地上配送装置1が往復に掛かる時間Tが多いほど、飛行体2を用いた本実施形態に係る配送方式(
図3参照)を採用した方がコスト的に優位になることが分かる。
【0056】
一方、S209でプロセッサ41(コスト算出部41d)が、上空輸送コストXが地上輸送コストY以上であると判定した場合には、S204で抽出した中継地域候補54Aを中継地域の候補から削除し(S211)、後述するS212に進む。この場合には、
図4のコスト算出部41dから出力部41eに対して中継地域候補54Aが第2の条件を満たさないことを出力しても良い。
【0057】
S210では、プロセッサ41(コスト算出部41d)は、上記第1の条件及び第2の条件を満たした中継地域候補54Aを中継地域(中継要地域)として選定し、配送エリア55内の全ての中継地点候補53を選択したかどうかの判定を行う(S212)。未選択の中継地点候補53が存在する場合には、当該未選択の中継地点候補を1つ選択してS203以降の処理を繰り返す。一方、配送エリア55内の全ての中継地点候補53の選択が完了している場合にはS213に進む。S213では、S210で選定された中継地域が存在する場合、プロセッサ41(出力部41e)は当該中継地域をモニタ(提示部)30に表示する。つまり、出力部41eがモニタ30に中継地域を表示する条件は、抽出された中継地域候補54が上記第1の条件及び第2の条件を満たしていることとなる。
【0058】
図11は、モニタ30に中継地域を表示する際のGUIの一例を示す図である。
図11の例では5つの中継地域が選出され、各中継地域の中継地点座標91、面積92、居住人数93、地上輸送コストY94、上空輸送コストX95が表形式で表示されている。この画面によりユーザは選出された中継地域とその情報を容易に把握することができる。また、
図12は、モニタ30に中継地域を表示する際のGUIの他の一例を示す図である。
図12の例では、建物71の位置がプロットされている地図(航空写真等でも良い)の上に特定の中継地域54Eの境界と中継地点53Eとが表示されており、地図内で中継地点53Eを示すシンボル(図中の白抜きの円)からは中継地点53Eの識別子と地上輸送コストY及び上空輸送コストXが吹き出し表示されている。この画面によりユーザは中継地域の境界位置と、中継地点の位置と、中継地域に係るコストを容易に把握できる。なお、
図11のリスト内の所望の中継地域を選択すると、
図12の画面に切り替わり当該選択した中継地域の情報が
図12のように表示されるようにGUIを構成しても良い。
【0059】
<本実施形態の特徴>
(1)以上のように構成した本実施形態の中継要否決定装置100によれば、地図上に設定された中継地点候補53を基準とした所定範囲の地域が中継地域候補54として抽出され、地上配送装置1が当該中継地域候補54内から配送拠点50に荷物を取りに戻るために要するコストを含む地上輸送コストYと、飛行体2が配送拠点50から当該中継地点候補53に荷物を配送するために要するコストを含む上空輸送コストXとが算出され、算出した上空輸送コストXが地上輸送コストYを下回った場合、抽出した中継地域候補54が中継地域としてモニタ30に表示される。すなわち、本実施形態の中継要否決定装置100によれば、配送エリアに中継地点候補53を設定するだけで、当該中継地点候補53に対応する中継地域候補54が抽出され、その中継地域候補54の中からコストメリットのあるものを中継地域として選出できる。つまり、本実施形態によれば、中継地域候補54の中からコストメリットのある中継地域を容易に選出できる。
【0060】
(2)本実施形態の中継要否決定装置100では、上空輸送コストXが地上輸送コストYを下回った場合、かつ、中継地域候補54における所定期間の配送量の予測指標値が所定の閾値を超える場合に、当該中継地域候補54を中継地域としてモニタ30に出力することとした。このように、中継地域の選出に、中継地域候補54における所定期間の配送量の予測指標値を考慮すると、ある程度の配送量が存在する地域のみが中継地域として選出されるので、コストメリットの低い中継地域及び中継地点の設置を回避することができる。
【0061】
(3)上記(2)における「配送量の予測指標値」としては、抽出された中継地域候補54において所定期間に配送される荷物数の予測値を利用できる。
【0062】
(4)上記(2)における「配送量の予測指標値」としては、抽出された中継地域候補54における居住者数を利用できる。
【0063】
(5)上記(2)における「配送量の予測指標値」としては、抽出された中継地域候補54における建物数を利用できる。
【0064】
(6)上記(2)における「配送量の予測指標値」としては、抽出された中継地域候補54の将来における、所定期間に配送される荷物数、居住者数、及び建物数のいずれか1つを利用できる。
【0065】
(7)上記(1)-(6)のいずれかにおける「所定範囲」は、地形、自治体境界、及び設定済みの中継地域の境界のいずれか1つに基づいて設定することができる。
【0066】
(8)上記(1)-(6)のいずれかにおける「所定範囲」は、地上配送装置を用いて中継地点候補53から予め設定した時間内に到達できる範囲に設定できる。
【0067】
(9)上記(1)-(6)のいずれかにおける「所定範囲」は、地上配送装置を用いて中継地点候補53から予め設定した移動費用内で到達できる範囲に設定できる。
【0068】
(10)上記(1)-(9)のいずれかにおける「地上輸送コスト」には、荷物の配送に掛かる人件費(つまり、配達員の人件費)を含めることができる。
【0069】
(11)上記(1)-(9)のいずれかにおける「上空輸送コスト」または「地上輸送コスト」には、配送に利用される装置(地上配送装置または飛行体)の導入コスト、維持コスト、運用コストの少なくとも1つを含めることができる。
【0070】
(12)上記(1)-(9)のいずれかにおける「上空輸送コスト」には、飛行体が使用不可のときの代替輸送手段の準備コスト(代替輸送手段コスト)を含めることができる。
【0071】
<第2実施形態>
図13は第2実施形態に係るプロセッサ41が実行する処理をブロック毎に示したブロック図の一例を示す図である。本実施形態に係る中継要否決定装置のハードウェア構成は
図1に示した第1実施形態のものと同じである。本実施形態の特徴はユーザ自身が中継地点候補53を設定する点にある。ユーザによる中継地点候補53の設定は、例えばタブレット端末で配送エリアの地図を表示させ、当該地図上の任意の位置に中継地点候補53を設定するものがある。中継地点候補53の設定に使用する入力装置は、タブレット端末に限定されず、コンピュータやスマートフォン等でも可能である。この場合の中継地域提示処理のフローは、中継地点候補53の設定後に
図5のフローにおけるS203以降の処理を実行するものとする。ユーザにより設定される中継地点候補53の数は1つ以上であれば良く、特に制限は無い。なお、中継地点候補53の設定は、ユーザが任意に設定する方法の他にも、配送エリアデータ10aに予め格納されている中継地点候補53の位置データを使用しても良いし、制御装置40が所定の条件に従って中継地点候補53を設定する方法を利用しても良い。
【0072】
<その他>
なお、上記の
図5のフローチャートでは、中継地域候補の絞り込み1の処理としてS205,206を実行したが、これらの処理は省略することが可能である。この場合、中継地域として選定される中継地域候補は、上記第2の条件のみを満たしたものとなる。また、
図5のフローチャートでは、中継地域候補の絞り込み1の処理(つまり、S205,206)の後に中継地域候補の絞り込み2の処理(つまり、S207,208,209)を実行したが、当該2つの処理の順番を入れ替えて、絞り込み2の後に絞り込み1の処理を実行するようにフローチャートを変更しても良い。
【0073】
図5のフローチャートのS211では、S206で予測指標値(推定住居者数)が閾値以下であると判定された場合、または、S209で上空輸送コストXが地上輸送コストY以上であると判定された場合に、S204で抽出した中継地域候補54Aを中継地域の候補から削除したが、中継地域候補54Aの「候補からの削除」に代えて、S204で抽出した中継地域候補54Aを中継地域の不要な地域(中継否地域)と選定し、S213で中継否地域として中継要地域とともにモニタ30(提示部)に出力しても良い。なお、
図5のフローチャートで中継地域候補の絞り込み1の処理(S205,206)を省略した場合には、中継地域候補の絞り込み2の処理(S207,208,209)の結果のみに応じて中継地域候補54Aを中継否地域と選定しても良い。このように中継要否決定装置を構成すると、中継地域候補54の中からコストメリットのあるものを中継要地域として選出できるだけでなく、コストメリットの無いものも中継否地域として選出できる。つまり、抽出した中継地域候補54を中継要地域と中継否地域の2つに容易に選別できる。
【0074】
上記の例では、制御装置40によって選定された中継地域をモニタ30に表示したが、モニタ30以外の表示装置(例えば、タッチパネル等)に表示しても良いことは言うまでもない。また、モニタ30等の表示装置に表示する以外にも、選定された中継地域に関するデータを他の端末に出力するように構成しても良い。
【0075】
図5のフローを実行するタイミングは中継地域の設計時だけに限られない。例えば、動的に中継地域を設定する場合には、1日に1回または1週間に1回程度の高頻度でフローを実行し、その都度最適な中継地域を設定しても良い。
【0076】
また、上記の制御装置40に係る各構成や当該各構成の機能及び実行処理等は、それらの一部又は全部をハードウェア(例えば各機能を実行するロジックを集積回路で設計する等)で実現しても良い。また、上記の制御装置40に係る構成は、プロセッサ(例えばCPU)によって読み出し・実行されることで当該制御装置40の構成に係る各機能が実現されるプログラム(ソフトウェア)としてもよい。当該プログラムに係る情報は、例えば、半導体メモリ(フラッシュメモリ、SSD等)、磁気記憶装置(ハードディスクドライブ等)及び記録媒体(磁気ディスク、光ディスク等)等に記憶することができる。
【0077】
また、上記の各実施形態の説明では、制御線や情報線は、当該実施形態の説明に必要であると解されるものを示したが、必ずしも製品に係る全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えて良い。
【符号の説明】
【0078】
1…地上配送装置,2…飛行体,10…記憶装置,10a…配送エリアデータ,10b…地図データ,10c…地域データ,10d…輸送データ,20…入力装置,30…モニタ(提示部),40…制御装置,41…プロセッサ,41a…中継地点候補設定部,41b…中継地域候補抽出部,41c…予測指標値算出部,41d…コスト算出部,41e…出力部,42…メモリ,50…配送拠点,51…配送先,52…配送経路,53…中継地点候補,54…中継地域候補,55…配送エリア,56…配送経路,57…配送経路,61…山,62…河川,70…航空写真データ,71…建物,100…中継要否決定装置(中継要否決定システム)
【手続補正書】
【提出日】2024-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上配送装置の荷物の補充地点となる中継地点候補を地図上に設定する中継地点候補設定部と、
前記中継地点候補を基準とした所定範囲の地域を中継地域候補として抽出する中継地域候補抽出部と、
前記地上配送装置が前記中継地域候補内から配送拠点に荷物を取りに戻るために要するコストを含む地上輸送コストと、飛行体が前記配送拠点から前記中継地点候補に荷物を配送するために要するコストを含む上空輸送コストとを少なくとも地図情報を用いて算出するコスト算出部と、
前記上空輸送コストが前記地上輸送コストを下回った場合、前記中継地域候補を中継要地域として提示部に出力し、前記上空輸送コストが前記地上輸送コストを上回った場合、前記中継地域候補を中継否地域として提示部に出力する出力部とを備えることを特徴とする、中継要否決定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の中継要否決定装置において、
前記出力部は、前記上空輸送コストが前記地上輸送コストを下回った場合、かつ、前記中継地域候補における所定期間の配送量の予測指標値が所定の閾値を超える場合、前記中継地域候補を前記中継要地域として前記提示部に出力することを特徴とする、中継要否決定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の中継要否決定装置において、
前記配送量の予測指標値は、前記中継地域候補において所定期間に配送される荷物数の予測値であることを特徴とする、中継要否決定装置。
【請求項4】
請求項2に記載の中継要否決定装置において、
前記配送量の予測指標値は、前記中継地域候補における居住者数であることを特徴とする、中継要否決定装置。
【請求項5】
請求項2に記載の中継要否決定装置において、
前記配送量の予測指標値は、前記中継地域候補における建物数であることを特徴とする、中継要否決定装置。
【請求項6】
請求項2に記載の中継要否決定装置において、
前記配送量の予測指標値は、前記中継地域候補の将来における、所定期間に配送される荷物数、居住者数、及び建物数のいずれか1つであることを特徴とする、中継要否決定装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の中継要否決定装置において、
前記所定範囲は、地形、自治体境界、及び設定済みの中継地域の境界のいずれか1つに基づいて決定されていることを特徴とする、中継要否決定装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の中継要否決定装置において、
前記所定範囲は、前記地上配送装置を用いて前記中継地点候補から予め設定した時間内に到達できる範囲であることを特徴とする、中継要否決定装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の中継要否決定装置において、
前記所定範囲は、前記地上配送装置を用いて前記中継地点候補から予め設定した移動費用内で到達できる範囲であることを特徴とする、中継要否決定装置。
【請求項10】
請求項1に記載の中継要否決定装置において、
前記地上輸送コストには、荷物の配送に掛かる人件費が含まれていることを特徴とする、中継要否決定装置。
【請求項11】
請求項1に記載の中継要否決定装置において、
前記上空輸送コストまたは前記地上輸送コストには、配送に利用される装置の導入コスト、維持コスト、運用コストの少なくとも1つが含まれていることを特徴とする、中継要否決定装置。
【請求項12】
請求項1に記載の中継要否決定装置において、
前記上空輸送コストには、上空輸送ができないときに代替となる輸送手段を用意するために必要な代替輸送手段コストが含まれていることを特徴とする、中継要否決定装置。
【請求項13】
プロセッサにより、
地上配送装置の荷物の補充地点となる中継地点候補を地図上に設定し、
前記中継地点候補を基準とした所定範囲の地域を中継地域候補として抽出し、
前記地上配送装置が前記中継地域候補内から配送拠点に荷物を取りに戻るために要するコストを含む地上輸送コストと、飛行体が前記配送拠点から前記中継地点候補に荷物を配送するために要するコストを含む上空輸送コストとを少なくとも地図情報を用いて算出し、
前記上空輸送コストが前記地上輸送コストを下回った場合、前記中継地域候補を中継要地域として提示部に出力し、
前記上空輸送コストが前記地上輸送コストを上回った場合、前記中継地域候補を中継否地域として提示部に出力することを特徴とする、中継要否決定方法。