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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179137
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】運搬用台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/02 20060101AFI20241219BHJP
   B65D 19/10 20060101ALI20241219BHJP
   B62B 3/16 20060101ALI20241219BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B62B3/02 F
B65D19/10
B62B3/16
B62B5/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097726
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 友伸
【テーマコード(参考)】
3D050
3E063
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB03
3D050BB11
3D050BB21
3D050CC01
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3E063AA07
3E063AA31
3E063BA01
3E063BA05
3E063BB01
3E063BB04
3E063CA03
3E063CA13
3E063CB04
3E063CD09
3E063DA05
3E063EE03
(57)【要約】
【課題】収容対象物を収容する枠体を容易に段積み可能な運搬用台車を提供する。
【解決手段】運搬用台車は、キャスター付きの第1枠体に対して段積される複数の第2枠体を備える。第2枠体は、各々が上向きに延びた、第1支柱部と複数の第2支柱部とを含む。第1枠体は、上段の第2枠体の第2支柱部を下方から支持する複数の第1受台部と、第1支柱部に対応する位置にて、各第1受台部よりも上向きに突出した第1棒状突起部とを含む。第2枠体は、第2支柱部の上部に設けられ、かつ、上段の第2枠体の第2支柱部を下方から支持する複数の第2受台部と、第1支柱部の上方にて各第2受台部よりも上向きに突出した第2棒状突起部とを含む。第1支柱部には、第1棒状突起部および第2棒状突起部を個別に下方から差込可能な内部空間が形成されている。第1枠体は第1棒状突起部を1つだけ含み、各第2枠体は第2棒状突起部を1つだけ含む。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャスター付きの第1の枠体と、
各々が、収容対象物を収容し、かつ、前記第1の枠体に対して鉛直上向きに段積される複数の第2の枠体とを備え、
各前記第2の枠体は、各々が前記鉛直上向きに延びた、第1の支柱部と複数の第2の支柱部とを含み、
前記第1の枠体は、
各々が、上段の前記第2の枠体の前記第2の支柱部を下方から支持する複数の第1の受台部と、
前記第1の支柱部に対応する位置にて、各前記第1の受台部よりも前記鉛直上向きに突出した第1の棒状突起部とを含み、
各前記第2の枠体は、
各々が、前記第2の支柱部の上部に設けられ、かつ、上段の前記第2の枠体の前記第2の支柱部を下方から支持する複数の第2の受台部と、
前記第1の支柱部の上方にて各前記第2の受台部よりも前記鉛直上向きに突出した第2の棒状突起部とをさらに含み、
各前記第1の支柱部には、前記第1の棒状突起部および前記第2の棒状突起部を個別に下方から差込可能な内部空間が形成されており、
前記第1の枠体は、前記第1の棒状突起部を1つだけ含み、
各前記第2の枠体は、前記第2の棒状突起部を1つだけ含む、運搬用台車。
【請求項2】
前記第1の棒状突起部は、第1の基端部と、前記第1の基端部とは反対側の第1の先端部とを有し、
前記第2の棒状突起部は、第2の基端部と、前記第2の基端部とは反対側の第2の先端部とを有し、
前記第1の先端部と前記第2の先端部とは、半球状またはテーパ状である、請求項1に記載の運搬用台車。
【請求項3】
前記内部空間の横断面は、鉛直下向きに向かうほど広くなっている、請求項1または2に記載の運搬用台車。
【請求項4】
各前記第1の受台部は、上段の前記第2の枠体の前記第2の支柱部が水平方向に移動することを規制する第1の壁部をさらに有し、
各前記第2の受台部は、上段の前記第2の枠体の前記第2の支柱部が水平方向に移動することを規制する第2の壁部をさらに有する、請求項1に記載の運搬用台車。
【請求項5】
各前記第2の枠体は、前記第1の支柱部と前記複数の第2の支柱部とによって下部から支持される上部組立体をさらに含み、
前記上部組立体に取り付けられるアタッチメントをさらに備え、
前記アタッチメントは、
空気を内部に供給することにより膨らみ、かつ、供給された前記空気を前記内部に保持可能な袋と、
前記袋に対して前記収容対象物とは反対側に設けられ、かつ、前記袋の位置を固定する固定部材とを含む、請求項1に記載の運搬用台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運搬用台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場等の施設において部品等を搬送するためのパレットが知られている。パレットを床に並べると場所をとるため、省スペース化を可能とする構造体が開発されている。たとえば特開2020-125129号公報(特許文献1)には、このような構造体として、パレットを段積みするための治具が開示されている。
【0003】
特許文献1の治具は、平面視四角形状のフレームで形成されるかご部と、かご部の4隅で上方へ向けて起立する4本の支柱からなる。かご部は、上方から運搬用パレットを収容する収容部と、かご部各側面に、搬送機械のフォークの差し込みを許容する差込部とを備える。当該治具は、かご部の4隅の上部のそれぞれに、着脱自在な板状のブラケットを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-125129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の治具では、治具の4つの支柱の先端部を、上方に積む別の治具の脚部に設けられた各開口部へ嵌合させる必用がある。このように、特許文献1の治具では、4箇所において同時に正確な位置合わせが必要となる。このため、治具の段積みに時間を要する。特に、治具が経年劣化等で歪むと、位置合わせが困難となる。この場合には、段積み作業が困難となる。
【0006】
本開示は、上記に問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、収容対象物を収容する枠体を容易に段積み可能な運搬用台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある局面に従うと、運搬用台車は、キャスター付きの第1の枠体と、各々が、収容対象物を収容し、かつ、第1の枠体に対して鉛直上向きに段積される複数の第2の枠体とを備える。各第2の枠体は、各々が鉛直上向きに延びた、第1の支柱部と複数の第2の支柱部とを含む。第1の枠体は、各々が、上段の第2の枠体の第2の支柱部を下方から支持する複数の第1の受台部と、第1の支柱部に対応する位置にて、各第1の受台部よりも鉛直上向きに突出した第1の棒状突起部とを含む。各第2の枠体は、各々が、第2の支柱部の上部に設けられ、かつ、上段の第2の枠体の第2の支柱部を下方から支持する複数の第2の受台部と、第1の支柱部の上方にて各第2の受台部よりも鉛直上向きに突出した第2の棒状突起部とをさらに含む。各第1の支柱部には、第1の棒状突起部および第2の棒状突起部を個別に下方から差込可能な内部空間が形成されている。第1の枠体は、第1の棒状突起部を1つだけ含む。各第2の枠体は、第2の棒状突起部を1つだけ含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、収容対象物を収容する枠体を容易に段積み可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】運搬用台車の斜視図である。
図2】枠体の構成を説明するための斜視図である。
図3】枠体の構成を説明するための斜視図である。
図4】ジョイントの斜視図である。
図5】ジョイントの斜視図である。
図6】ジョイントの斜視図である。
図7】ジョイントの斜視図である。
図8】枠体の棒状部材の側面図である。
図9】パイプのジョイントへの固定状態と、棒状部材のへの固定状態とを説明するための要部断面図である。
図10】パイプのジョイントへの固定状態を説明するための要部断面図である。
図11】枠体上に他の枠体を積むときの枠体に対する他の枠体の姿勢を説明するための図である。
図12】枠体における棒状部材の棒状突起部と、枠体のパイプとの係合を説明するための図である。
図13】枠体のジョイントと、枠体のジョイントとの係合を説明するための図である。
図14】枠体の変形例を説明するための図である。
図15】棒状部材の変形例を示した図である。
図16】パイプの変形例を説明するための図である。
図17】アタッチメントが取り付けられた枠体の側面図である。
図18】アタッチメントが取り付けられた枠体の上面図である。
図19】袋に空気を入れた状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る運搬用台車について説明する。詳しくは、ユーザが手で移動させることが可能な運搬用台車を例に挙げて説明する。なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
また、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合があるが、本開示の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。さらに、図面においては、実際の寸法の比率に従って図示しておらず、構造の理解を容易にするために、構造が明確となるように比率を変更して図示している箇所がある。
【0012】
<A.全体構成>
図1は、本実施の形態に係る運搬用台車の斜視図である。図1に示されるように、運搬用台車1は、枠体2(第1の枠体)と、複数の枠体3(第2の枠体)とを備える。
【0013】
複数の枠体3の各々は、収容対象物を内部に収容する。各枠体3は、枠体2に対して鉛直上向き(Z軸正方向)に段積される。枠体2の上に、枠体3が段積される。枠体3の上には、さらに枠体3が段積される。このように、枠体2が最下段の枠体となり、その上に、順次、枠体3が段積される。
【0014】
各枠体3には、収容対象物を載置するための棚板4が設置される。詳しくは、各枠体3の底部側に棚板4が敷かれる。棚板4は、たとえば、木材または金属板の基板にゴム板が張り合わされた構成を有する。収容対象物は、ゴム板の上に載置される。棚板4は、矩形状である。棚板4の4隅には、枠体3と係合するための切り欠きが設けられている。
【0015】
収容対象物としては、たとえば、板金部品、電気機器部品等の各種のワーク(部品、仕掛品)が挙げられる。ただし、収容対象物は、ワークに限られるものではない。枠体3は、様々な種類の収容対象物を収容可能である。
【0016】
<B.枠体>
図2は、枠体2の構成を説明するための斜視図である。図2に示すように、枠体2は、上面視において略矩形状の上部組立体2Uと、上面視において略矩形状の下部組立体2Dと、1本のパイプ60Aと、3本のパイプ60Bと、4個のキャスター70と、1個の棒状部材100Aとを備える。
【0017】
上部組立体2Uと下部組立体2Dとは、1本のパイプ60Aと3本のパイプ60Bとによって接続される。詳しくは、上部組立体2Uは、各々が鉛直方向に延びた1本のパイプ60Aと3本のパイプ60Bとによって、下部組立体2D上に支持される。下部組立体2Dには、4個のキャスター70が取り付けられる。上部組立体2Uには、棒状部材100Aが取り付けられる。
【0018】
上部組立体2Uは、1個のジョイント10Uと、3個のジョイント20(第1の受台部)と、4本のパイプ40Uと、4つのジョイント30と、2本のパイプ50とを含む。下部組立体2Dは、4個のジョイント10Dと、4本のパイプ40Dとを含む。なお、本例では、ジョイント10Uとジョイント10Dとの形状は、同じである。ジョイント10Uとジョイント10Dとは、取り付け姿勢が異なる。パイプ40Uと、パイプ40Dと、パイプ50とは、同一形状である。なお、「ジョイント」は、パイプ同士を接続するためのもの(継手)である。
【0019】
上部組立体2Uにおいては、ジョイント10Uに対して、2本のパイプ40Uと、1本のパイプ60Aとが接続される。これらの3本のパイプ40U,60Aは、互いに直交している。3個のジョイント20の各々に対して、2本のパイプ40Uと、1本のパイプ60Bとが接続される。これらの3本のパイプ40U,60Bも、互いに直交している。
【0020】
本例では、Y軸方向に平行に延びた互いに対向する2本のパイプ40Uの各々は、4つのジョイント30を介して、X軸方向に平行に延びた2本のパイプ50に接続されている。なお、当該2本のパイプ40Uの各々は、ジョイント30の内部を貫通してしる。2本のパイプ50は、補強部材として機能している。
【0021】
下部組立体2Dにおいては、図中において最も左側のジョイント10Dに対して、2本のパイプ40Dと、1本のパイプ60Aとが接続される。これらの3本のパイプ40D,60Aは、互いに直交している。残りの3個のジョイント10Dの各々に対して、2本のパイプ40Dと、1本のパイプ60Bとが接続される。これらの3本のパイプ40D,60Bも、互いに直交している。
【0022】
下部組立体2Dの各ジョイント10D内において、パイプ60Aと3本のパイプ60Bとの各下端部に、キャスター70が取り付けられている。詳細については後述するが、上部組立体2Uの図中の最も左側のジョイント10D内において、パイプ60Aの上端部に棒状部材100Aが取り付けられている。
【0023】
図3は、枠体3の構成を説明するための斜視図である。図3に示すように、枠体3は、上面視において略矩形状の上部組立体3Uと、上面視において略矩形状の下部組立体3Dと、1本のパイプ90A(第1の支柱部)と、3本のパイプ90B(第2の支柱部)と、1個の棒状部材100Bとを備える。
【0024】
上部組立体3Uと下部組立体3Dとは、1本のパイプ90Aと3本のパイプ90Bとによって接続される。詳しくは、上部組立体3Uは、各々が鉛直方向に延びた1本のパイプ90Aと3本のパイプ90Bとによって、下部組立体3D上に支持される。上部組立体3Uには、棒状部材100Bが取り付けられる。
【0025】
上部組立体3Uは、1個のジョイント10Uと、3個のジョイント20(第2の受台部)と、4本のパイプ40Uとを含む。下部組立体3Dは、1個のジョイント10Dと、3個のジョイント80と、4本のパイプ40Dと、4つのジョイント30と、2本のパイプ50とを含む。
【0026】
上部組立体3Uにおいては、ジョイント10Uに対して、2本のパイプ40Uと、1本のパイプ90Aとが接続される。これらの3本のパイプ40U,90Aは、互いに直交している。3個のジョイント20の各々に対して、2本のパイプ40Uと、1本のパイプ90Bとが接続される。これらの3本のパイプ40U,90Bも、互いに直交している。
【0027】
下部組立体2Dにおいては、ジョイント10Dに対して、2本のパイプ40Dと、1本のパイプ90Aとが接続される。これらの3本のパイプ40D,90Aは、互いに直交している。3個のジョイント80の各々に対して、2本のパイプ40Dと、1本のパイプ90Bとが接続される。これらの3本のパイプ40D,90Bも、互いに直交している。
【0028】
本例では、Y軸方向に平行に延びた互いに対向する2本のパイプ40Dの各々は、4つのジョイント30を介して、X軸方向に平行に延びた2本のパイプ50に接続されている。なお、当該2本のパイプ40Dの各々は、ジョイント30の内部を貫通してしる。2本のパイプ50は、補強部材としてのみならず、棚板4の載置用部材としても機能している。
【0029】
詳細については後述するが、上部組立体3Uのジョイント10D内において、パイプ90Aの上端部に棒状部材100Bが取り付けられている。
【0030】
なお、上述した各パイプ40U,40D,50,60,90は、金属製である。各ジョイント10U,10D,20,30,80は、本例では、樹脂製である。ただし、パイプおよびジョイントの材質は、上記のものに限定されるものではない。各パイプ40U,40D,50,60,90は、フレーム材の一例である。フレーム材はパイプに限定されるものではなく、強度が十分であれば、角材、L形、T形、またはH形の断面形状のものであってもよい。
【0031】
本例においては、各枠体2または枠体3のうちのジョイントとパイプとの固定は、専用の接着剤を用いて行う。具体的には、パイプとジョイントの穴との隙間に器具を用いて接着剤を流し込むことにより、パイプとジョイントを接着する。あるいは各枠体2または枠体3のうちのジョイントとパイプとは、ボルト等により固定してもよい。あるいは各枠体2または枠体3のうちのジョイントとパイプとをすべて金属材料として、ジョイントとパイプとを溶接により固定してもよい。
【0032】
<C.ジョイント>
次に、上述した各種のジョイントのうち、枠体2,3の角部に位置するジョイントの形状について、より詳しく説明する。
【0033】
図4は、ジョイント20の斜視図である。図4に示すように、ジョイント20には、パイプを差し込むための3個の穴21が形成されている。3個の穴21にそれぞれパイプが差し込まれた状態において、差し込まれた各パイプ(3本のパイプ)は、互いに直交する。
【0034】
ジョイント20は、他のジョイントを載置する載置面22と、壁部23とを有する。壁部23は、載置面22から立設した壁面231,232を有する。壁面231と壁面232とは、直交している。
【0035】
枠体2の各ジョイント20は、上段(1つ上の段)の枠体3のパイプ90Bをジョイント80とともに下方から支持する。枠体3の各ジョイント20も、上段の枠体3のパイプ90Bをジョイント80とともに下方から支持する。
【0036】
詳細については後述するが、枠体2の各ジョイント20の壁部23(第1の壁部)は、上段(1つ上の段)の枠体3のパイプ90Bを固定したジョイント80が水平方向(図1のZ軸に垂直な方向)に移動することを規制する。枠体3の各ジョイント20の壁部23(第2の壁部)も、上段の枠体3のパイプ90Bを固定したジョイント80が水平方向に移動することを規制する。各壁部23は、枠体2または枠体3から上段に積まれた枠体3がずれることを防止する役割を果たす。
【0037】
図5は、ジョイント80の斜視図である。図5に示すように、ジョイント80には、パイプを差し込むための3個の穴81が形成されている。3個の穴81にそれぞれパイプが差し込まれた状態において、差し込まれた各パイプ(3本のパイプ)は、互いに直交する。ジョイント80では、3個の穴81は貫通していない。
【0038】
図6は、ジョイント10Uの斜視図である。図6に示すように、パイプを差し込むための3個の穴11,12が形成されている。穴11は、貫通している。穴12は、2個形成されている。
【0039】
枠体2のジョイント10Uの穴11にパイプ60Aが差し込まれる(図2)。枠体2のジョイント10Uの各穴12に、パイプ40Uが差し込まれる。同様に、枠体3のジョイント10Uの穴11に90Aが差し込まれる(図3)。枠体3のジョイント10Uの各穴12に、パイプ40Uが差し込まれる。
【0040】
図7は、ジョイント10Dの斜視図である。図7に示すように、パイプを差し込むための3個の穴13,14が形成されている。穴13は、貫通している。穴14は、2個形成されている。
【0041】
枠体2のジョイント10Dの穴13にパイプ60Aまたはパイプ60Bが差し込まれる(図2)。枠体2のジョイント10Dの各穴14に、パイプ40Dが差し込まれる。枠体2のジョイント10Dの穴13に差し込まれたパイプ60A,60Bに対して、下端側から、キャスター70(詳しくは、キャスター70の棒状差込部)が差し込まれる。枠体3のジョイント10Dの穴13に90Aが差し込まれる(図3)。枠体3のジョイント10Dの各穴14に、パイプ40Dが差し込まれる。
【0042】
<D.棒状部材>
次に、枠体2の棒状部材100Aと、枠体3の棒状部材100Bとについて説明する。
【0043】
図8は、枠体2の棒状部材100Aの側面図である。図8に示されるように、棒状部材100Aは、金属製のパイプ部110と、樹脂製のガイド部材120とを有する。パイプ部110は、第1部位111と、第1部位111に連続した第2部位112とを有する。パイプ部110は、典型的には、1本のパイプから作成される。
【0044】
第1部位111の外径は、パイプ60A,90Aの内径よりも小さい。第2部位112の外径は、第1部位111の外径よりも小さい。本例では、第1部位111の内径と第2部位112の内径とは、同じである。
【0045】
棒状部材100Aは、パイプ60A,90Aに差し込まれる側の基端部101と、基端部101とは反対側の先端部102とを有する。先端部102は、ガイド部材120の一部である。先端部102は、半球状をしている。
【0046】
詳しくは後述するが、本例では、第2部位112とガイド部材120とが、上部組立体2Uから上方に突出する。詳しくは、第2部位112とガイド部材120とが、受台としてのジョイント20よりも鉛直上向きに突出する。ガイド部材120の高さ方向(Z軸正方向)の位置は、枠体2のジョイント20の壁部23の位置よりも高い。
【0047】
枠体3の棒状部材100Bは、棒状部材100Aと同一の形状および機能を有する。枠体3では、第2部位112とガイド部材120とが、上部組立体3Uから上方に突出する。詳しくは、第2部位112とガイド部材120とが、受台としてのジョイント20よりも鉛直上向きに突出する。ガイド部材120の高さ方向(Z軸正方向)の位置は、枠体3のジョイント20の壁部23の位置よりも高い。
【0048】
以下では、第2部位112とガイド部材120とを合わせたものを、「棒状突起部150」と称する。第2部位112の下端部103が、棒状突起部150の基端部に該当する。先端部102は、棒状突起部150の先端部に該当する。
【0049】
なお、枠体2の棒状突起部150が「第1の棒状突起部」に対応し、枠体3の棒状突起部150が「第2の棒状突起部」に対応する。枠体2の棒状突起部150の下端部103と先端部102とが、それぞれ、「第1の基端部」、「第1の先端部」に対応する。枠体3の棒状突起部150の下端部103と先端部102とが、それぞれ、「第2の基端部」、「第2の先端部」に対応する。
【0050】
<E.パイプと棒状部材との固定>
次に、パイプ60A,90Aと、棒状部材100A,100Bとの固定状態について説明する。
【0051】
図9は、パイプ60A,40Uのジョイント10Uへの固定状態と、棒状部材100Aのパイプ60Aへの固定状態とを説明するための要部断面図である。図9に示すように、パイプ60Aは、穴11に差し込まれる。穴11と、パイプ60Aの外周面62の一部とが当接する。この状態で、穴11と外周面62との隙間(図示せず)に接着剤が流し込まれる。
【0052】
本例では、パイプ60Aは、パイプ60Aの上端がジョイント10Uからはみ出ないように位置決めされている。詳しくは、パイプ60Aの上端とジョイント10Uの穴11の端面との位置が一致するように、パイプ60Aは位置決めされている。
【0053】
棒状部材100Aは、パイプ60Aの端部に嵌め込まれる。棒状部材100Aは、ハンマー等を用いて、パイプ60Aの内部に嵌め込まれる。棒状部材100Aの第1部位111の外周面全体がパイプ60Aの内周面61に接触するまで、棒状部材100Aは、パイプ60Aの内部に嵌め込まれる。これにより、金属製のパイプ部110の第1部位111と第2部位112とのうち、第2部位112のみがジョイント10Uからはみ出すことになる。
【0054】
樹脂製のガイド部材120は、パイプ部110の内部に嵌め込まれる。ガイド部材120は、パイプ部110の内部に圧入される。これにより、ガイド部材120の外周面の一部と、パイプ部110の内周面119とが係合状態となる。ガイド部材120は、所定の位置までしかパイプ部110に嵌まり込まないように、段差が設けられている。
【0055】
なお、パイプ40Uは、穴12に差し込まれる。穴12と、パイプ40Uの外周面42の一部とが当接する。この状態で、穴12と外周面42との隙間(図示せず)に接着剤が流し込まれる。
【0056】
パイプ90Aのジョイント10Uへの固定状態は、パイプ60Aのジョイント10Uへの固定状態と同じである。棒状部材100Bのパイプ90Aへの固定状態は、棒状部材100Aのパイプ60Aへの固定状態と同じである。それゆえ、パイプ90Aのジョイント10Uへの固定状態と、棒状部材100Bのパイプ90Aへの固定状態とについては、繰り返し説明をしない。
【0057】
図10は、パイプ90A,40Dのジョイント10Dへの固定状態を説明するための要部断面図である。図10に示すように、パイプ90Aには、円柱状の内部空間99が形成されている。
【0058】
パイプ90Aは、穴13に差し込まれる。穴13と、パイプ90Aの外周面92の一部とが当接する。この状態で、穴13と外周面92との隙間(図示せず)に接着剤が流し込まれる。本例では、パイプ90Aは、パイプ90Aの下端がジョイント10Dからはみ出ないように位置決めされている。詳しくは、パイプ9Aの上端とジョイント10Dの穴13の端面との位置が一致するように、パイプ90Aは位置決めされている。
【0059】
なお、パイプ40Dは、穴14に差し込まれる。穴14と、パイプ40Dの外周面42の一部とが当接する。この状態で、穴14と外周面42との隙間(図示せず)に接着剤が流し込まれる。
【0060】
<F.段積の仕方>
次に、枠体2への枠体3の積み方を説明する。なお、枠体3への別の枠体3への積み方も、枠体2への枠体3の積み方と同じであるため、ここでは、繰り返して説明しない。
【0061】
図11は、枠体2上に枠体3を積むときの枠体2に対する枠体3の姿勢を説明するための図である。なお、図11においては、便宜上、棚板4と収容対象物とを図示していない。図11に示されるように、作業者は、枠体2の棒状部材100Aの棒状突起部150の上方に枠体3のパイプ90Aが位置し、かつ、枠体2の各ジョイント20の上方に枠体3のパイプ90Bおよびジョイント80が位置するように、枠体3のおおよその位置決めを行う。その後、作業者は、枠体3を枠体2の方向へ降下させることにより、枠体3を枠体2上に積む。以下、詳細について説明する。
【0062】
図12は、枠体2における棒状部材100Aの棒状突起部150と、枠体3のパイプ90Aとの係合を説明するための図である。図12に示すように、1または複数の作業者が、枠体2のジョイント10Uと枠体3のジョイント10Dとを対向させる。詳しくは、棒状突起部150とパイプ90Aとを対向させる。
【0063】
その後、作業者が、枠体3を枠体2の上方から下方へと移動させる。詳しくは、作業者が、手で、枠体3を矢印901の方向(Z軸負方向)に移動させる。これにより、棒状突起部150がパイプ90Aに差し込まれる。棒状突起部150が、内壁91に沿って、内部空間99に差し込まれる。
【0064】
棒状突起部150は、先端部102側が半球状である。それゆえ、棒状突起部150の先端部102側のXY平面に平行な断面は、先端部102側以外のXY平面に平行な断面に比べて小さくなる。また、当該断面は、棒状突起部150の第2部位112から遠ざかる程、小さくなる。
【0065】
したがって、枠体3の下降時において、パイプ90AのZ軸方向の中心軸が棒状突起部150のZ軸方向の中心軸に対して多少ずれた場合であっても、棒状突起部150の先端部102が位置合わせのガイドとして機能する。すなわち、パイプ90Aの開口端95が先端部102に接触した場合、枠体3は、先端部102の表面に沿ってXY平面の方向に移動する。
【0066】
そのため、棒状突起部150によれば、第2部位112が棒状突起部の先端まで延びたような構成に比べて、枠体3を枠体2に結合しやくなる。すなわち、棒状突起部150をパイプ90Aの内部空間99に挿入し易くなる。
【0067】
枠体3を直接床に置いたときに、枠体3が安定するように、枠体3を以下のような構成とすることが好ましい。枠体3の姿勢をパイプ90Aおよびパイプ90BがZ軸方向(鉛直方向)にのみ伸びた状態とした場合に、ジョイント10Dの最下端部またはパイプ90Aの最下端部のうちの低い方を含み、かつXY平面に平行な第1仮想面と、ジョイント80の最下端部を含み、かつXY平面に平行な第2仮想面とのZ軸方向の高さが同じとなることが好ましい。
【0068】
図13は、枠体2のジョイント20と、枠体3のジョイント80との係合を説明するための図である。上述した枠体3の上方から下方への移動に伴い、枠体3の3箇所のジョイント80が、枠体2の対応するジョイント20上に載置される。典型的には、棒状突起部150のパイプ90A(詳しくは、内部空間99)への挿入完了のタイミングと同時に、ジョイント80がジョイント20上に載置される。
【0069】
詳しくは、作業者は、棒状突起部150の一部が内部空間99に挿入された状態で、棒状突起部150を中心軸として枠体3を回転させることにより、枠体3のXY平面の位置を調整する。ジョイント80がジョイント20の直上に位置したことに基づき、枠体3をさらに真下に移動させる。これにより、棒状突起部150が内部空間99に完全に差し込まれるとともに、ジョイント20の載置面22にジョイント80が載置される。以上により、枠体2と枠体3との結合が完了する。
【0070】
なお、棒状突起部150の一部が内部空間99に挿入された状態で、棒状突起部150を中心軸として枠体3を回転させることを容易にするため、棒状突起部150の外面のXY平面における断面は円形であることが望ましく、内部空間99のXY平面における断面は円形であることが望ましい。
【0071】
枠体2と枠体3とが結合したのち、枠体3のジョイント20の壁部23によって、枠体3の枠体2に対する相対移動が規制される。詳しくは、壁部23の壁面231,232によって、枠体3の枠体2に対する、棒状突起部150を回転中心としたXY平面に平行な面内移動が規制される。それゆえ、ジョイント20によって、枠体3が枠体2からズレ落ちることを防止できる。
【0072】
なお、枠体3を1つ下の段の枠体3に対して上方に移動させるだけで、枠体3(移動させた枠体3)を下段の枠体3から取り外すことができる。同様に、枠体2の1つ上の段の枠体3を枠体2に対して上方に移動させるだけで、枠体3を枠体2から取り外すことができる。このように、運搬用台車1によれば、枠体2,3の構造により、収容対象物を収容する枠体3を容易に順次取り外すことが可能となる。
【0073】
<G.小括>
(1)以上のように、運搬用台車1は、図1図3に示すように、キャスター70付きの枠体2(第1の枠体)と、各々が、収容対象物を収容し、かつ、枠体2に対して鉛直上向きに段積される複数の枠体3(第2の枠体)とを備える。
【0074】
各枠体3は、図3に示すように、各々が鉛直上向き(Z軸正方向)に延びた、パイプ90A(第1の支柱)と複数のパイプ90B(第2の支柱)とを含む。枠体2は、図2に示すように、各々が、上段の枠体3のパイプ90Bを下方から支持する複数のジョイント20(第1の受台部)を含む。枠体2は、図8および図9に示すように、パイプ90Aに対応する位置にて、各ジョイント20よりも鉛直上向きに突出した棒状突起部150(第1の棒状突起部)をさらに含む。
【0075】
各枠体3は、図3および図13に示すように、各々が、パイプ90Bの上部に設けられ、かつ、上段の枠体3のパイプ90Bを下方から支持する複数のジョイント20(第2の受台部)をさらに含む。各枠体3は、図9に示すように、パイプ90Aの上方にて各ジョイント20よりも鉛直上向きに突出した棒状突起部と150(第2の棒状突起部)をさらに含む。
【0076】
各パイプ90Aには、図10および図12に示すように、枠体2の棒状突起部150および枠体3の棒状突起部150を個別に(いずれか一方を択一的に)下方から差込可能な内部空間が形成されている。枠体2は、図2に示すように、棒状突起部150を1つだけ含む。各枠体3も、図3に示すように、棒状突起部150を1つだけ含む。
【0077】
このような構成によれば、作業者は、枠体2の棒状突起部150を、上段の枠体3のパイプ90Aの内部空間に差し込み、かつ、枠体2の複数のジョイント20に上段のパイプ90Bを支持させれば、枠体3をキャスター70の付いた枠体2の上に積むことができる。同様に、枠体3の棒状突起部150を、上段の枠体3のパイプ90Aの内部空間に差し込み、かつ、枠体3の複数のジョイント20に上段のパイプ90Bを支持させれば、枠体3を枠体3の上に積むことができる。
【0078】
複数の枠体3が段積された後、作業者は、枠体3を1つ下の段の枠体3に対して上方に移動させるだけで、当該枠体3を下段の枠体3から取り外すことができる。同様に、枠体2の1つ上の段の枠体3を枠体2に対して上方に移動させるだけで、枠体3を枠体2から取り外すことができる。
【0079】
このように、運搬用台車1によれば、枠体2および枠体3の各々が棒状突起部150を1つしか有していないため、収容対象物を収容する枠体3を容易に段積みすることができる。さらに、段積された枠体3を容易に取り外すことができる。
【0080】
(2)枠体2の棒状突起部150は、図9に示すとおり、下端部103(第1の基端部)と、下端部130とは反対側の先端部102(第2の先端部)とを有する。同様に、枠体3の棒状突起部150も、下端部103(第2の基端部)と、下端部103とは反対側の先端部102(第2の先端部)とを有する。枠体2の棒状突起部150の先端部102と、枠体3の棒状突起部150の先端部102とは、半球状である。
【0081】
このような構成によれば、枠体2の棒状突起部150を1つ上の段の枠体3の内部空間に挿入し易くなる。また、枠体3の棒状突起部150を1つ上の段の枠体3の内部空間に挿入し易くなる。
【0082】
(3)枠体2の各ジョイント20は、図4および図13に示すように、上段の枠体3のパイプ90Bおよびジョイント80が水平方向に移動することを規制する壁部23(第1の壁部)を有する。同様に、枠体3の各ジョイント20も、上段の枠体3のパイプ90Bおよびジョイント80が水平方向に移動することを規制する壁部23(第2の壁部)を有する。
【0083】
このような構成によれば、枠体2の1つ上の段の枠体3が枠体2からズレることを防止できる。同様に、枠体3が、1つ下の段の枠体3からズレることを防止できる。
【0084】
<H.変形例>
(第1の変形例)
図14は、枠体2と枠体3との変形例を説明するための図である。詳しくは、図14は、図12と同様に、枠体2における棒状突起部150と、枠体3のパイプとの係合を説明するための断面図である。
【0085】
図14に示されるように、本変形例では、枠体3は、パイプ90Aの代わりに、パイプ90A’を有する。枠体3は、ジョイント10Dの代わりに、ジョイント10D’を有する。枠体2は、パイプ60Aの代わりに、パイプ60A’を有する。枠体2および枠体3は、ジョイント10Uの代わりに、ジョイント10U’を有する。
【0086】
パイプ90A’は、パイプ90Aよりも長さが短い。パイプ90A’の内径および外径は、それぞれ、パイプ90Aと同じである。同様に、パイプ60A’は、パイプ60Aよりも長さが短い。パイプ60A’の内径および外径は、それぞれ、パイプ60Aと同じである。
【0087】
ジョイント10D’には、穴13の代わりに、穴13Aが形成されている。ジョイント10D’は、上端側から下端側に向かって、第1部位181と第2部位182とを有する。第2部位182は、第1部位181よりも厚肉である。第1部位181の内壁と第2部位182の内壁とによって、穴13Aが形成される。
【0088】
第2部位182の内周の径は、第1部位181の内周の径よりも小さい。第1部位181の内周の径は、穴13(図7図10)の内周の径と同じである。第2部位182は、棒状突起部150が挿入可能な穴を有する。第2部位182の内周の径は、棒状突起部150の外周の径より大きい。好ましくは、第2部位182の内周の径は、パイプ90A’の内周の径と略同じである。
【0089】
第1部位181においては、パイプ90A’を挿入可能である。第2部位182においては、パイプ90A’を挿入できない。このため、パイプ90A’がジョイント10D’に第1部位181側から差し込まれると、パイプ90A’は、第2部位182によって位置決めされる。詳しくは、パイプ90A’は、第2部位182のリング状の上端面によって位置決めされる。このように、第2部位182は、パイプ90A’の下方への移動を規制するストッパとして機能する。それゆえ、本変形例によれば、ジョイント10D’に対するパイプ90A’の下端部側を容易に位置決め可能となる。
【0090】
本変形例では、枠体2は、棒状部材100Aの代わりに、棒状部材100A’を有する。枠体3は、棒状部材100Bの代わりに、棒状部材100B’を有する。棒状部材100A’,100B’は、パイプ部110’と、ガイド部材120とを有する。パイプ部110’は、第1部位111’と、第1部位111’に連続した第2部位112とを有する。このように、本変形例では、枠体2,3は、第1部位111の代わりに第1部位111’を備える。
【0091】
第1部位111’は、第2部位112との境界位置にフランジ部111Pを有する。フランジ部111Pの外周の径を穴11(図6図9)の内周の径よりもわずかに小さくすることにより、嵌め合いを可能としてもよい。なお、ジョイント10D’の底面が接触するフランジ部111Pとジョイント10U’の上面部分とは、応力分散のためXY平面上で同一であることが望ましい。あるいは、フランジ部111Pの上面全てでジョイント10D’の下端面の全てを受け止めるようにしてもよい。
【0092】
ジョイント10U’は、上端側から下端側に向かって、第1部位191と第2部位192と第3部位193とを有する。第2部位192は、第1部位191および第3部位193よりも厚肉である。第1部位191の内壁と第2部位192の内壁と第3部位193の内壁とによって、穴11Aが形成される。
【0093】
ジョイント10U’は、第2部位192によって、棒状部材100A’,100Bのフランジ部111Pを受けるリング状の凸部192Pが形成される。凸部192Pの上端面にフランジ部111Pが当接する。当該凸部の下端面に、パイプ60A’またはパイプ90A’の上端部が当接する。
【0094】
このように、棒状部材100A’,100B’の下方への移動を規制するとともに、第2部位192は、パイプ60A’,90A’の上方への移動を規制するストッパとして機能する。それゆえ、第2部位192の一部である凸部192Pによって、棒状部材150の位置決めが容易になるとともに、パイプ60A’,90A’の上端部側を容易に位置決め可能となる。
【0095】
なお、本変形例においても、枠体3の姿勢をパイプ90A’およびパイプ90BがZ軸方向(鉛直方向)にのみ伸びた状態とした場合に、ジョイント10D’の最下端部を含み、かつXY平面に平行な第3仮想面と、ジョイント80の最下端部を含み、かつXY平面に平行な第2仮想面とのZ軸方向の高さが同じとなることが好ましい。
【0096】
(第2の変形例)
図15は、棒状部材100A,100Bの変形例を示した図である。図15に示されるように、棒状部材100Cは、第1部位111と、第2部位112と、第3部位113とを備える。このように、棒状部材100Cは、ガイド部材120(図8参照)の代わりに第3部位113を備える点において、棒状部材100A,100Bとは異なる。棒状部材100Cは、金属製である。
【0097】
棒状部材100Cは、パイプ60A,90Aに差し込まれる側の基端部101と、基端部101とは反対側の先端部102Cとを有する。先端部102Cは、第3部位113の一部である。なお、本変形例では、第2部位112と第3部位113とを合わせたものを、「棒状突起部150C」と称する。
【0098】
枠体2の棒状突起部150Cは、枠体2の棒状突起部150と同様に、上部組立体2Uから上方に突出する。枠体3の棒状突起部150Cは、枠体3の棒状突起部150と同様に、上部組立体3Uから上方に突出する。枠体2の棒状突起部150Cの第3部位113の高さ方向(Z軸正方向)の位置は、枠体2のジョイント20の壁部23の位置よりも高い。同様に、枠体3の棒状突起部150Cの第3部位113の高さ方向(Z軸正方向)の位置は、枠体3のジョイント20の壁部23の位置よりも高い。
【0099】
枠体2の棒状突起部150Cおよび枠体3の棒状突起部150Cは、1つ上の段の枠体3のパイプ90Aに差し込まれる。詳しくは、棒状突起部150Cが、図12と同様、パイプ90Aの内壁91に沿って内部空間99に差し込まれる。
【0100】
棒状突起部150Cは、先端部102側がテーパ状である。第3部位113がテーパ状である。それゆえ、棒状突起部150Cの先端部102側のXY平面に平行な断面は、先端部102側以外のXY平面に平行な断面に比べて小さくなる。また、当該断面は、棒状突起部150Cの第2部位112から遠ざかる程、小さくなる。
【0101】
したがって、枠体3の下降時において、パイプ90AのZ軸方向の中心軸が棒状突起部150CのZ軸方向の中心軸に対して多少ずれた場合であっても、棒状突起部150Cの第3部位113が位置合わせのガイドとして機能する。すなわち、パイプ90Aの開口端95が第3部位113に接触した場合、枠体3は、第3部位113の表面に沿ってXY平面の方向に移動する。
【0102】
そのため、棒状突起部150Cによれば、第2部位112が棒状突起部の先端まで延びたような構成に比べて、枠体3を枠体2に結合しやくなる。すなわち、棒状突起部150Cをパイプ90Aの内部空間99に挿入し易くなる。
【0103】
以上より、棒状突起部150と同様、枠体2の棒状突起部150Cを1つ上の段の枠体3の内部空間に挿入し易くなる。また、枠体3の棒状突起部150Cを1つ上の段の枠体3の内部空間に挿入し易くなる。
【0104】
(第3の変形例)
図16は、パイプ90Aの変形例を説明するための図である。図16に示されるように、パイプ90Eは、内壁91Eを備える点で、内壁91を備えるパイプ90Aとは異なる。パイプ90Eでは、内壁91Eにより、内部空間99Eが形成されている。
【0105】
内壁91Eは、内壁911と内壁912とを含む。内壁912は、パイプ90Eの下方側で、内壁911に連続している。内壁911部分におけるパイプ90Eの内径は、上述した内壁91におけるパイプ90Aの内径と同じである。内壁912部分におけるパイプ90Eの内径は、内壁911から遠ざかるに連れて大きくなる。このため、パイプ90Eの下方側の開口端95E部分おけるパイプ90Eの内径が最も大きくなっている。
【0106】
このような構成によれば、棒状突起部150および棒状突起部150Cを上方に位置するパイプの内部空間に差し込む際に、パイプ90Aを用いるよりもパイプ90Eを用いた方が差し込みやすくなる。
【0107】
(第4の変形例)
収容対象物が枠体3内に収容された後に、枠体3内で収容対象物が移動しないように規制する構成について説明する。
【0108】
図17は、アタッチメント500が取り付けられた枠体3の側面図である。図18は、アタッチメント500が取り付けられた枠体3の上面図である。図17に示すように、複数の収容対象物Wは、枠体3内において、棚板4の上に載置されている。図17および図18に示すように、アタッチメント500は、固定部材501と、袋502と、クッション部材503とを備える。アタッチメント500は、枠体3の上部組立体3Uに固定されている。アタッチメント500は、枠体3の上部組立体3Uに紐、ベルト、あるいはその他の治具で着脱可能に固定されてもよい。
【0109】
袋502は、空気を内部に供給することにより膨らみ、かつ、供給された空気を内部に保持可能である。本例では、袋502は、図示されないコック付きエアバルブを有する。当該バルブにより、外部からエアポンプ等(図示されない)により袋502内に送り込んだ空気を袋502内で蓄え、袋502は膨張することができる。
【0110】
エアバルブのコックを閉じることによって、袋502は膨らんだ状態を維持することができる。また、エアバルブを開放して、エアポンプ等により袋502内の空気を抜くことにより、袋502は収縮する。さらにエアバルブを閉めることにより、袋502は収縮した状態を維持することができる。
【0111】
なお、コック付きエアバルブの替わりに、逆止弁の解除機能の付いた逆止弁付きエアバルブ、あるいはエア抜き用に別のバルブを設けてもよい。図17は、袋502が収縮した状態である。エアポンプ等は、袋502を所定の大きさまで膨張させた後に取り外される。
【0112】
固定部材501は、図18に示されるように、袋502に対して収容対象物Wとは反対側に設けられ、かつ、袋502の位置を固定する。固定部材501は、本例では、枠体3の上部組立体3Uに固定される。固定部材501は、たとえば、板状部材である。固定部材501は、網状の物体(金網や繊維でできた網)あるいはキャンパス布などの強度のある材質で、かつ、袋502が膨張した際に上部への膨張を抑制可能な物であれば、特に限定されない。
【0113】
クッション部材503は、袋502に対して、固定部材501とは反対側において、袋502に取り付けられている。クッション部材503は、たとえば、スポンジである。
【0114】
予めアタッチメント500が枠体3の上部組立体3Uに固定されている場合には、袋502の内部の空気を抜いて、棚板4とクッション部材503の間の空間を広くしておく。この状態で、枠体3の側面の開口部から棚板4の上に収容対象物Wを収容する。その後、袋502の内部に空気を入れて袋502を所定の大きさまで膨張させる。
【0115】
なお、以下の手順としてもよい。アタッチメント500を枠体3の上部組立体3Uに固定する前に、枠体3の側面の開口部から棚板4の上に収容対象物Wを収容する。その後、袋502の内部の空気を抜いたアタッチメント500を枠体3の上部組立体3Uに固定する。その後、袋502の内部に空気を入れて袋502を所定の大きさまで膨張させる。
【0116】
図19は、袋502に空気を入れた状態を示した図である。図19に示すように、袋502に空気が入れられると袋502が膨らむ。袋502は固定部材501に固定されており、かつ、固定部材501は上部組立体3Uに固定されているため、袋502は、収容対象物W側に膨らむ。これにより、クッション部材503が上方から収容対象物Wに接触する。
【0117】
したがって、アタッチメント500によれば、収容対象物Wを位置固定することができる。それゆえ、運搬用台車1を移動中に振動が加わっても、収容対象物Wが枠体3内で移動することを抑制できる。その結果、アタッチメント500を用いることにより、安定した輸送が可能となるとともに、搬送中の収容対象物Wの損傷を抑制することができる。
【0118】
なお、図17および図19ではクッション部材503が袋502のみに取り付けられているが、棚板4の上面にもクッション部材を取り付け、かつ、クッション部材で上方および下方から収容対象物Wを押えることが可能としてもよい。
【0119】
(第5の変形例)
枠体2の1つ上の段の枠体3を、治具(図示せず)を用いて枠体2に固定してもよい。たとえば、枠体2の上部組立体2Uと、枠体2の1つ上の段の枠体3の下部組立体3Dとを、留め具(図示せず)で連結すればよい。同様に、枠体3に1つ上の段の枠体3を治具によって固定してもよい。たとえば、枠体3の上部組立体3Uと、当該枠体3の1つ上の段の枠体3の下部組立体3Dとを、留め具(図示せず)で連結すればよい。
【0120】
留め具は、紐状あるいはベルト状のものでもよい。たとえばジョイント20の壁面231と壁面232とに穴あるいはスリットを設け、穴あるいはスリットに紐あるいはベルトを通して、上段の枠体3の下部組立体3Dとを紐あるいはベルトにて固定するようにしてもよい。
【0121】
このような構成によれば、枠体3が下の段の枠体2,3からズレることを一層防止することができる。
【0122】
(第6の変形例)
棚板4の代わりにパレットを用いてもよい。このような構成によれば、フォークリフトを用いて収容対象物Wをパレットごと枠体3の側面の空間から枠体3内に収容することができる。
【0123】
(第7の変形例)
上記においては、枠体2の各ジョイント20(第1の受台部)は、図11に示すように、上段の枠体3のパイプ90Bを下方からジョイント80を介して間接的に支持する構成を例に挙げて説明した。しかしながら、これに限定されるものではない。枠体2の各ジョイント20は、上段の枠体3のパイプ90Bを下方から直接支持する構成であってもよい。同様に、枠体3の各ジョイント20(第2の受台部)は、上段の枠体3のパイプ90Bを下方から直接支持する構成であってもよい。
【0124】
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0125】
1 運搬用台車、2,3 枠体、2D,3D 下部組立体、2U,3U 上部組立体、4 棚板、9A,40D,40U,50,60,60’,60A,60B,90,90’,90A,90B,90E パイプ、10D,10D’,10U,10U’,20,30,80 ジョイント、11,12,13,14,21,81 穴、22 載置面、23 壁部、42,62,92 外周面、61,119 内周面、70 キャスター、91,91E,911,912 内壁、95,95E 開口端、99,99E 内部空間、100A,100A’,100B,100B’,100C 棒状部材、101 基端部、102,102C 先端部、103,130 下端部、110,110’ パイプ部、111,111’,181,191 第1部位、112,182,192 第2部位、113,193 第3部位、120 ガイド部材、150,150C 棒状突起部、231,232 壁面、500 アタッチメント、501 固定部材、502 袋、503 クッション部材、W 収容対象物。
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