(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179139
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】熱拡散デバイス及び電子機器
(51)【国際特許分類】
F28D 15/04 20060101AFI20241219BHJP
F28D 15/02 20060101ALI20241219BHJP
H01L 23/427 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
F28D15/04 H
F28D15/02 101H
F28D15/02 L
H01L23/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097730
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】森上 誠士
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136CC14
5F136CC17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数のウィック層が積層された構成において最大熱輸送量を向上可能な熱拡散デバイスを提供する。
【解決手段】内部空間が設けられた筐体10と、作動媒体20と、ウィック30と、を備え、ウィック30は、厚み方向Tにおいて、第1ウィック層31と、第1ウィック層と第2ウィック層32と、を含み、第1ウィック層31には、厚み方向Tにおいて第1貫通孔41が設けられ、第2ウィック層32には、厚み方向Tにおいて第1内面10aに近づく突出部52が周縁に位置する第2貫通孔42が設けられ、厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔42は、第1貫通孔41に重なり、厚み方向Tにおいて、第2貫通孔42の周縁に位置する突出部52の第1内面10a側の端部52aと第2内面10bとの間の距離をA1、第1貫通孔41の第2内面10b側の端部P1と第2内面10bとの間の距離をB1としたとき、A1≧B1の関係を満たす、熱拡散デバイス1。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向に対向する第1内面及び第2内面を有し、かつ、内部空間が設けられた筐体と、
前記筐体の前記内部空間に封入された作動媒体と、
前記筐体の前記内部空間に設けられたウィックと、を備え、
前記ウィックは、前記厚み方向において、第1ウィック層と、前記第1ウィック層の前記第2内面側に隣り合う第2ウィック層と、を含み、
前記第1ウィック層には、前記厚み方向において第1貫通孔が設けられ、
前記第2ウィック層には、前記厚み方向において前記第1内面に近づく突出部が周縁に位置する第2貫通孔が設けられ、
前記厚み方向から見たとき、前記第2貫通孔は、前記第1貫通孔に重なり、
前記厚み方向において、前記第2貫通孔の周縁に位置する前記突出部の前記第1内面側の端部と前記第2内面との間の距離をA1、前記第1貫通孔の前記第2内面側の端部と前記第2内面との間の距離をB1としたとき、A1≧B1の関係を満たす、ことを特徴とする熱拡散デバイス。
【請求項2】
前記第1ウィック層には、前記第1貫通孔に加えて、前記厚み方向から見たときに前記第2貫通孔に重ならない貫通孔が更に設けられ、
前記厚み方向において、前記第1ウィック層の前記第1貫通孔以外の前記貫通孔の前記第1内面側の端部と前記第2内面との間の距離をC1としたとき、A1≧C1の関係を満たす、請求項1に記載の熱拡散デバイス。
【請求項3】
前記厚み方向において、前記第1貫通孔の前記第1内面側の端部と前記第2内面との間の距離をD1としたとき、A1≧D1の関係を満たす、請求項1に記載の熱拡散デバイス。
【請求項4】
前記第1貫通孔の周縁には、前記厚み方向において前記第1内面に近づく突出部が位置している、請求項1~3のいずれか1つに記載の熱拡散デバイス。
【請求項5】
前記第1貫通孔の周縁に位置する前記突出部の内面の少なくとも一部は、前記第2貫通孔の周縁に位置する前記突出部の外面の少なくとも一部に接している、請求項4に記載の熱拡散デバイス。
【請求項6】
前記第1貫通孔の周縁に位置する前記突出部の内面の全体は、前記第2貫通孔の周縁に位置する前記突出部の外面の少なくとも一部に接している、請求項5に記載の熱拡散デバイス。
【請求項7】
前記第1ウィック層は、前記ウィックのうちで、前記厚み方向において最も前記第1内面側に位置し、
前記第2ウィック層は、前記ウィックのうちで、前記厚み方向において最も前記第2内面側に位置している、請求項1~3のいずれか1つに記載の熱拡散デバイス。
【請求項8】
前記ウィックは、前記厚み方向において前記第2ウィック層の前記第2内面側に隣り合う第3ウィック層を更に含んでいる、請求項1~3のいずれか1つに記載の熱拡散デバイス。
【請求項9】
前記第3ウィック層には、前記厚み方向において前記第1内面に近づく突出部が周縁に位置する第3貫通孔が設けられ、
前記厚み方向から見たとき、前記第3貫通孔は、前記第2貫通孔に重なり、
前記厚み方向において、前記第3貫通孔の周縁に位置する前記突出部の前記第1内面側の端部と前記第2内面との間の距離をA2、前記第2貫通孔の前記第2内面側の端部と前記第2内面との間の距離をB2としたとき、A2≧B2の関係を満たす、請求項8に記載の熱拡散デバイス。
【請求項10】
前記第2ウィック層には、前記第2貫通孔に加えて、前記厚み方向から見たときに前記第3貫通孔に重ならない貫通孔が更に設けられ、
前記厚み方向において、前記第2ウィック層の前記第2貫通孔以外の前記貫通孔の前記第1内面側の端部と前記第2内面との間の距離をC2としたとき、A2≧C2の関係を満たす、請求項9に記載の熱拡散デバイス。
【請求項11】
前記厚み方向において、前記第2貫通孔の前記第1内面側の端部と前記第2内面との間の距離をD2としたとき、A2≧D2の関係を満たす、請求項9に記載の熱拡散デバイス。
【請求項12】
A2≧B1の関係を満たす、請求項9に記載の熱拡散デバイス。
【請求項13】
前記第1ウィック層には、前記第1貫通孔に加えて、前記厚み方向から見たときに前記第2貫通孔に重ならない貫通孔が更に設けられ、
前記厚み方向において、前記第1ウィック層の前記第1貫通孔以外の前記貫通孔の前記第1内面側の端部と前記第2内面との間の距離をC1としたとき、A2≧C1の関係を満たす、請求項12に記載の熱拡散デバイス。
【請求項14】
前記厚み方向において、前記第1貫通孔の前記第1内面側の端部と前記第2内面との間の距離をD1としたとき、A2≧D1の関係を満たす、請求項12に記載の熱拡散デバイス。
【請求項15】
前記第1ウィック層は、前記ウィックのうちで、前記厚み方向において最も前記第1内面側に位置し、
前記第3ウィック層は、前記ウィックのうちで、前記厚み方向において最も前記第2内面側に位置している、請求項8に記載の熱拡散デバイス。
【請求項16】
前記厚み方向において、前記ウィックと前記第1内面との間の距離は、前記ウィックと前記第2内面との間の距離よりも大きい、請求項1~3のいずれか1つに記載の熱拡散デバイス。
【請求項17】
請求項1~3のいずれか1つに記載の熱拡散デバイスを備える、ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱拡散デバイス及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、素子の高集積化及び高性能化により、発熱量が増加している。また、製品の小型化により、発熱密度が増加している。このような状況は、スマートフォン、タブレット等のモバイル端末の分野において特に顕著である。このような事情から、放熱対策を行うことが重要となっている。
【0003】
放熱対策用の部材としては、グラファイトシート等が用いられることが多いが、その熱輸送量は充分ではないため、熱を拡散させることが可能である様々な熱拡散デバイスの使用が検討されている。
【0004】
このような熱拡散デバイスの一例として、特許文献1には、筐体の内部空間においてウィックが3つ以上積層されたベーパーチャンバーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ベーパーチャンバーにおいては、より多くの熱を拡散させるために最大熱輸送量を向上させることが求められている。ベーパーチャンバーの最大熱輸送量を向上させるための方法としては、例えば、液相の作動媒体が通る液体流路のウィックに占める体積を大きくする、具体的には、液体流路がウィックを透過する領域の断面積を大きくすることが考えられる。
【0007】
これに対して、特許文献1に記載のベーパーチャンバーでは、ウィックを積層することにより、液体流路がウィック全体を透過する領域の断面積を大きくしている。しかしながら、特許文献1に記載のベーパーチャンバーでは、隣り合うウィックの界面が、気相の作動媒体が通る蒸気流路に接していない。そのため、特許文献1に記載のベーパーチャンバーでは、蒸気流路に接していないウィックの界面において、液相の作動媒体が蒸発して気相の作動媒体に変化しにくい。よって、特許文献1に記載のベーパーチャンバーでは、ウィック全体において、液相の作動媒体が気相の作動媒体に変化することで生じる、液相の作動媒体を駆動する駆動力が弱くなりやすいため、液相の作動媒体が移動しにくくなるおそれがある。
【0008】
以上のことから、特許文献1に記載のベーパーチャンバーでは、ウィックを積層することで、液体流路がウィックを透過する領域の断面積を大きくしても、かえって液相の作動媒体が移動しにくくなることで、最大熱輸送量が向上しにくくなるおそれがある。
【0009】
なお、上記の問題は、ベーパーチャンバーに限らず、ベーパーチャンバーと同様の構成によって熱を拡散させることが可能な熱拡散デバイスに共通する問題である。
【0010】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、複数のウィック層が積層された構成において最大熱輸送量を向上可能な熱拡散デバイスを提供することを目的とするものである。また、本発明は、上記熱拡散デバイスを有する電子機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の熱拡散デバイスは、厚み方向に対向する第1内面及び第2内面を有し、かつ、内部空間が設けられた筐体と、上記筐体の上記内部空間に封入された作動媒体と、上記筐体の上記内部空間に設けられたウィックと、を備え、上記ウィックは、上記厚み方向において、第1ウィック層と、上記第1ウィック層の上記第2内面側に隣り合う第2ウィック層と、を含み、上記第1ウィック層には、上記厚み方向において第1貫通孔が設けられ、上記第2ウィック層には、上記厚み方向において上記第1内面に近づく突出部が周縁に位置する第2貫通孔が設けられ、上記厚み方向から見たとき、上記第2貫通孔は、上記第1貫通孔に重なり、上記厚み方向において、上記第2貫通孔の周縁に位置する上記突出部の上記第1内面側の端部と上記第2内面との間の距離をA1、上記第1貫通孔の上記第2内面側の端部と上記第2内面との間の距離をB1としたとき、A1≧B1の関係を満たす、ことを特徴とする。
【0012】
本発明の電子機器は、本発明の熱拡散デバイスを備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数のウィック層が積層された構成において最大熱輸送量を向上可能な熱拡散デバイスを提供できる。また、本発明によれば、上記熱拡散デバイスを有する電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1の熱拡散デバイスの一例を示す斜視模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態1の熱拡散デバイスの内部構造の一例を示す平面模式図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す熱拡散デバイスの線分a1-a2に沿う断面の一例を示す断面模式図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す熱拡散デバイスの一部を拡大して示す断面模式図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態2の熱拡散デバイスにおける断面の一例を示す断面模式図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す熱拡散デバイスの一部を拡大して示す断面模式図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態3の熱拡散デバイスの内部構造の一例を示す平面模式図である。
【
図8】
図8は、
図7に示す熱拡散デバイスの線分b1-b2に沿う断面の一例を示す断面模式図である。
【
図9】
図9は、
図8に示す熱拡散デバイスの一部を拡大して示す断面模式図である。
【
図10】
図10は、
図7に示す熱拡散デバイスの線分b3-b4に沿う断面の一例を示す断面模式図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態4の熱拡散デバイスにおける断面の一例を示す断面模式図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態4の熱拡散デバイスにおける別の断面の一例を示す断面模式図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施形態5の熱拡散デバイスにおける断面の一例を示す断面模式図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施形態6の熱拡散デバイスにおける断面の一例を示す断面模式図である。
【
図18】
図18は、本発明の電子機器の一例を示す斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の熱拡散デバイスと、本発明の電子機器とについて説明する。なお、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更されてもよい。また、以下において記載する個々の好ましい構成を複数組み合わせたものもまた本発明である。
【0016】
以下に示す各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示す構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。実施形態2以降では、実施形態1と共通の事項についての記載は省略し、異なる点を主に説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態毎に逐次言及しない。
【0017】
以下の説明において、各実施形態を特に区別しない場合、単に「本発明の熱拡散デバイス」及び「本発明の電子機器」と言う。
【0018】
以下の各実施形態では、本発明の熱拡散デバイスの一例として、ベーパーチャンバーを示す。本発明の熱拡散デバイスは、ヒートパイプ等の熱拡散デバイスにも適用可能である。
【0019】
以下に示す図面は模式図であり、その寸法、縦横比の縮尺等は実際の製品と異なる場合がある。
【0020】
本明細書中、特に断らない限り、要素間の関係性を示す用語(例えば、「平行」、「垂直」等)及び要素の形状を示す用語は、文字通りの厳密な態様のみを意味するだけではなく、実質的に同等な範囲、例えば、数%程度の差異を含む範囲も意味する。
【0021】
[熱拡散デバイス]
本発明の熱拡散デバイスは、厚み方向に対向する第1内面及び第2内面を有し、かつ、内部空間が設けられた筐体と、上記筐体の上記内部空間に封入された作動媒体と、上記筐体の上記内部空間に設けられたウィックと、を備え、上記ウィックは、上記厚み方向において、第1ウィック層と、上記第1ウィック層の上記第2内面側に隣り合う第2ウィック層と、を含み、上記第1ウィック層には、上記厚み方向において第1貫通孔が設けられ、上記第2ウィック層には、上記厚み方向において上記第1内面に近づく突出部が周縁に位置する第2貫通孔が設けられ、上記厚み方向から見たとき、上記第2貫通孔は、上記第1貫通孔に重なり、上記厚み方向において、上記第2貫通孔の周縁に位置する上記突出部の上記第1内面側の端部と上記第2内面との間の距離をA1、上記第1貫通孔の上記第2内面側の端部と上記第2内面との間の距離をB1としたとき、A1≧B1の関係を満たす、ことを特徴とする。
【0022】
<実施形態1>
本発明の実施形態1の熱拡散デバイスにおいて、第1ウィック層は、ウィックのうちで、厚み方向において最も第1内面側に位置し、第2ウィック層は、ウィックのうちで、厚み方向において最も第2内面側に位置している。
【0023】
図1は、本発明の実施形態1の熱拡散デバイスの一例を示す斜視模式図である。
【0024】
図1に示すベーパーチャンバー(熱拡散デバイス)1は、筐体10を有している。
【0025】
筐体10は、気密状態に密閉されており、中空構造を有している。
【0026】
筐体10の外面には、発熱素子である熱源HSが設けられている。
【0027】
熱源HSとしては、例えば、電子部品等が挙げられる。
【0028】
本明細書中、長さ方向、厚み方向、及び、幅方向を、
図1等に示すように、各々、L、T、及び、Wで定められる方向とする。長さ方向Lと厚み方向Tと幅方向Wとは、互いに垂直の関係にある。また、厚み方向Tに垂直な方向であって、長さ方向L及び幅方向Wを包含する方向を、面方向とする。
【0029】
ベーパーチャンバー1は、全体として面状であることが好ましい。すなわち、筐体10は、全体として面状であることが好ましい。
【0030】
本明細書中、面状とは、板状及びシート状を包含する形状であり、長さ方向の寸法及び幅方向の寸法が、厚み方向の寸法に対して相当に大きい形状、例えば、長さ方向の寸法及び幅方向の寸法が、厚み方向の寸法の10倍以上、好ましくは100倍以上である形状を意味する。
【0031】
ベーパーチャンバー1の大きさは、特に限定されない。
【0032】
ベーパーチャンバー1の長さ方向Lの寸法及び幅方向Wの寸法は、各々、好ましくは5mm以上、500mm以下、より好ましくは20mm以上、300mm以下、更に好ましくは50mm以上、200mm以下である。
【0033】
ベーパーチャンバー1の長さ方向Lの寸法及び幅方向Wの寸法は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0034】
ベーパーチャンバー1の厚み方向Tの寸法は、好ましくは50μm以上、500μm以下である。
【0035】
ベーパーチャンバー1の長さ方向Lの寸法、厚み方向Tの寸法、及び、幅方向Wの寸法は、各々、長さ方向L、厚み方向T、及び、幅方向Wの最大寸法として定められる。
【0036】
筐体10は、外縁部同士が接合された第1シート11及び第2シート12で構成されることが好ましい。この場合、第1シート11と第2シート12とは、端部同士が一致するように重なっていてもよいし、端部同士がずれて重なっていてもよい。
【0037】
第1シート11及び第2シート12の外縁部同士の接合方法としては、例えば、レーザー溶接、抵抗溶接、拡散接合、ロウ接、TIG溶接(タングステン-不活性ガス溶接)、超音波接合、樹脂封止等が挙げられる。中でも、レーザー溶接、抵抗溶接、又は、ロウ接が好ましい。
【0038】
第1シート11及び第2シート12の構成材料は、ベーパーチャンバーに適した特性、例えば、熱伝導性、強度、柔軟性、可撓性等を有するものであれば、特に限定されない。第1シート11及び第2シート12の構成材料は、好ましくは金属、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、チタン、鉄、これらの金属の少なくとも1種を主成分とする合金等であり、特に好ましくは銅又はアルミニウムである。
【0039】
第1シート11及び第2シート12の構成材料は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0040】
第1シート11及び第2シート12の構成材料が互いに異なる場合、第1シート11及び第2シート12で異なる機能を発揮させることができる。このような機能としては、特に限定されないが、例えば、熱伝導機能、電磁波シールド機能等が挙げられる。
【0041】
第1シート11及び第2シート12の形状は、特に限定されない。例えば、第1シート11は、厚み方向Tの寸法が一定の平板状であり、第2シート12は、外縁部が外縁部以外の部分よりも厚み方向Tの寸法が大きい形状であってもよい。あるいは、第1シート11は、厚み方向Tの寸法が一定の平板状であり、第2シート12は、厚み方向Tの寸法が一定で、かつ、外縁部に対して外縁部以外の部分が外側に凸の形状であってもよい。この場合、筐体10の外縁部に凹みが設けられることになる。このような筐体10の外縁部の凹みは、ベーパーチャンバー1を搭載する際に利用可能である。また、筐体10の外縁部の凹みには、他の部品を配置できる。
【0042】
第1シート11及び第2シート12の厚み方向Tの寸法は、各々、好ましくは10μm以上、200μm以下、より好ましくは30μm以上、100μm以下、更に好ましくは40μm以上、60μm以下である。
【0043】
第1シート11及び第2シート12の厚み方向Tの寸法は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0044】
第1シート11及び第2シート12の厚み方向Tの寸法は、各々、全体にわたって同じであってもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0045】
第1シート11及び第2シート12の厚み方向Tの寸法は、各々、厚み方向Tの最大寸法として定められる。
【0046】
厚み方向Tから見たときの筐体10の平面形状としては、例えば、三角形、矩形等の多角形、円形、楕円形、これらを組み合わせた形状等が挙げられる。また、筐体10の平面形状は、L字型、C字型(コの字型)、階段型等であってもよい。また、筐体10には、厚み方向Tに貫通口が設けられていてもよい。筐体10の平面形状は、ベーパーチャンバー1の用途に応じた形状であってもよいし、ベーパーチャンバー1の搭載箇所に応じた形状であってもよいし、近傍に存在する他の部品に応じた形状であってもよい。
【0047】
筐体10の大きさは、特に限定されない。
【0048】
筐体10の長さ方向Lの寸法及び幅方向Wの寸法は、各々、好ましくは5mm以上、500mm以下、より好ましくは20mm以上、300mm以下、更に好ましくは50mm以上、200mm以下である。
【0049】
筐体10の長さ方向Lの寸法及び幅方向Wの寸法は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0050】
筐体10の厚み方向Tの寸法は、好ましくは50μm以上、500μm以下である。
【0051】
筐体10の長さ方向Lの寸法、厚み方向Tの寸法、及び、幅方向Wの寸法は、各々、長さ方向L、厚み方向T、及び、幅方向Wの最大寸法として定められる。
【0052】
図1では、筐体10が第1シート11及び第2シート12の2つのシートで構成される態様を例示したが、筐体10は、1つのシートで構成されてもよいし、3つ以上のシートで構成されてもよい。
【0053】
図2は、本発明の実施形態1の熱拡散デバイスの内部構造の一例を示す平面模式図である。
図3は、
図2に示す熱拡散デバイスの線分a1-a2に沿う断面の一例を示す断面模式図である。
図4は、
図3に示す熱拡散デバイスの一部を拡大して示す断面模式図である。
【0054】
図2及び
図3に示すベーパーチャンバー1は、筐体10と、作動媒体20と、ウィック30と、を有している。
【0055】
図3に示すように、筐体10は、厚み方向Tに対向する第1内面10a及び第2内面10bを有している。
【0056】
図3に示す例では、筐体10が第1シート11及び第2シート12で構成されており、第1シート11の内面が筐体10の第1内面10aに該当し、第2シート12の内面が筐体10の第2内面10bに該当する。
【0057】
筐体10には、内部空間が設けられている。より具体的には、筐体10には、第1内面10a及び第2内面10bで囲まれた内部空間が設けられている。
【0058】
図2に示すように、筐体10は、蒸発部EPを内部空間に有していることが好ましい。
【0059】
蒸発部EPは、後述する液相の作動媒体20を蒸発させて、気相の作動媒体20に変化させる部分である。より具体的には、蒸発部EPは、筐体10の内部空間のうち、
図1に示す熱源HSの近傍部分であって、熱源HSによって加熱される部分に該当する。
【0060】
蒸発部EPの数は、熱源HSの数に応じて、
図2に示すように1つのみであってもよいし、複数であってもよい。つまり、筐体10の外面には、熱源HSが、1つのみ設けられていてもよいし、複数設けられていてもよい。
【0061】
熱源HSは、筐体10の第1内面10aと反対側の外面、ここでは、第1シート11の外面に設けられていてもよいし、筐体10の第2内面10bと反対側の外面、ここでは、第2シート12の外面に設けられていてもよい。
【0062】
図2及び
図3に示すように、作動媒体20は、筐体10の内部空間に封入されている。
【0063】
作動媒体20は、筐体10内の環境下において気-液の相変化を生じ得るものであれば、特に限定されない。作動媒体20としては、例えば、水、アルコール類、代替フロン等が挙げられる。作動媒体20は、水性化合物であることが好ましく、中でも、水であることが特に好ましい。
【0064】
図2及び
図3に示すように、ウィック30は、筐体10の内部空間に設けられている。
【0065】
ウィック30は、毛細管力により液相の作動媒体20を移動させることができる毛細管構造を有している。
【0066】
ウィック30の毛細管構造としては、従来の熱拡散デバイス(ベーパーチャンバー等)で用いられる公知の構造であってもよい。このような毛細管構造としては、細孔、溝、突起等の凹凸を有する微細構造、例えば、多孔構造、繊維構造、溝構造、網目構造等が挙げられる。
【0067】
ウィック30は、液相の作動媒体20を毛細管力により吸い上げて輸送する液輸送部として機能する。
【0068】
厚み方向Tから見たとき、ウィック30は、筐体10の内部空間において連続して設けられていることが好ましい。例えば、厚み方向Tから見たとき、ウィック30は、筐体10の内部空間の全体に設けられていてもよいし、筐体10の内部空間の一部に設けられていてもよい。
【0069】
ウィック30は、多孔質体で構成されることが好ましい。
【0070】
多孔質体としては、例えば、焼結体、不織布、メッシュ、エッチング多孔板、繊維束等が挙げられる。
【0071】
焼結体としては、例えば、金属多孔質焼結体、セラミックス多孔質焼結体等が挙げられる。中でも、金属多孔質焼結体が好ましく、銅又はニッケルの多孔質焼結体がより好ましい。
【0072】
不織布としては、例えば、金属不織布等が挙げられる。ウィック30は、不織布で構成される場合、安価に作製可能である。
【0073】
メッシュとしては、例えば、金属メッシュ、樹脂メッシュ、表面コートされたこれらのメッシュ等が挙げられる。中でも、銅メッシュ、ステンレス(SUS)メッシュ、又は、ポリエステルメッシュが好ましい。ウィック30は、メッシュで構成される場合、安価に作製可能である。
【0074】
エッチング多孔板は、例えば、平板状の金属板をエッチング加工することにより作製される。ウィック30は、このように作製されたエッチング多孔板で構成される場合、平坦性に優れたものとなる。
【0075】
繊維束は、例えば、複数の繊維を線状に束ねることにより作製される。繊維束は、液相の作動媒体20を毛細管力により吸い上げて保持する液保持部として機能しつつ、吸い上げた液相の作動媒体20を輸送する液輸送部としても機能する。
【0076】
ウィック30は、繊維束で構成される場合、編み込み状の繊維束で構成されることが好ましい。複数の繊維が編み込まれた編み込み状の繊維束では、表面に凹凸が存在しやすくなるため、ウィック30が編み込み状の繊維束で構成される場合、液相の作動媒体20が輸送されやすくなる。
【0077】
繊維束を構成する繊維としては、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス等の金属線、カーボン繊維、ガラス繊維等の非金属線等が挙げられる。中でも、金属線は、熱伝導率が高いことから好ましい。例えば、直径が0.03mm程度の銅線を200本程度束ねることにより、繊維束とすることができる。
【0078】
ウィック30の厚み方向Tの寸法は、好ましくは2μm以上、200μm以下、より好ましくは5μm以上、100μm以下、更に好ましくは10μm以上、40μm以下である。
【0079】
ウィック30の厚み方向Tの寸法は、全体にわたって同じであってもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0080】
図3に示すように、ウィック30は、厚み方向Tにおいて、第1ウィック層31と、第1ウィック層31の第2内面10b側に隣り合う第2ウィック層32と、を含んでいる。このように、ウィック30は、第1ウィック層31及び第2ウィック層32を含む複数のウィック層が厚み方向Tに積層された構成を有している。
【0081】
図3に示すように、第1ウィック層31は、ウィック30のうちで、厚み方向Tにおいて最も第1内面10a側に位置している。更に、
図3に示すように、第2ウィック層32は、ウィック30のうちで、厚み方向Tにおいて最も第2内面10b側に位置している。つまり、ベーパーチャンバー1において、ウィック30は、第1ウィック層31及び第2ウィック層32の2つのウィック層が厚み方向Tに積層された構成を有している。
【0082】
図3に示すように、第1ウィック層31と第2内面10bとの間の領域は、液相の作動媒体20を主として含む液体流路を構成している。
【0083】
液体流路は、液相の作動媒体20が主として存在すると言える領域であれば、気相の作動媒体20を含んでいてもよい。
【0084】
以上のように、ベーパーチャンバー1では、ウィック30で、液相の作動媒体20に対する毛細管力を発現しつつ、液相の作動媒体20の液体流路を構成することにより、液相の作動媒体20の輸送を制御できる。
【0085】
筐体10の内部空間において、液体流路以外の領域は、気相の作動媒体20を主として含む蒸気流路を構成している。
図3に示す例では、ウィック30と第1内面10aとの間の領域、具体的には、第1ウィック層31と第1内面10aとの間の領域が、気相の作動媒体20を主として含む蒸気流路を構成している。
【0086】
蒸気流路は、気相の作動媒体20が主として存在すると言える領域であれば、液相の作動媒体20を含んでいてもよい。
【0087】
図3に示すように、厚み方向Tにおいて、ウィック30と第1内面10aとの間の距離は、ウィック30と第2内面10bとの間の距離よりも大きいことが好ましい。つまり、厚み方向Tにおいて、ウィック30のうちで最も第1内面10a側に位置するウィック層と第1内面10aとの間の距離は、ウィック30のうちで最も第2内面10b側に位置するウィック層と第2内面10bとの間の距離よりも大きいことが好ましい。
図3に示す例では、厚み方向Tにおいて、第1ウィック層31と第1内面10aとの間の距離が、第2ウィック層32と第2内面10bとの間の距離よりも大きい。このように、厚み方向Tにおいて、ウィック30と第1内面10aとの間の距離が、ウィック30と第2内面10bとの間の距離よりも大きいと、ウィック30と第1内面10aとの間の領域が蒸気流路として機能しやすくなる。
【0088】
以下では、ウィック30を構成する各ウィック層の詳細について説明する。
【0089】
図3及び
図4に示すように、第1ウィック層31には、厚み方向Tにおいて第1貫通孔41が設けられている。
【0090】
第1貫通孔41は、作動媒体20に対する毛細管力を発現する。つまり、作動媒体20は、第1貫通孔41の内部において、毛細管力により移動する。
【0091】
厚み方向Tに垂直な断面を見たときの第1貫通孔41の断面形状としては、特に限定されず、例えば、三角形、矩形等の多角形、円形、楕円形、これらを組み合わせた形状等が挙げられる。
【0092】
図3に示す例では、第1貫通孔41が複数設けられているが、厚み方向Tに垂直な断面を見たとき、複数の第1貫通孔41の断面形状は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0093】
厚み方向Tに沿う断面を見たときの第1貫通孔41の断面形状は、特に限定されず、例えば、第1内面10aに向かうにつれて、
図3及び
図4に示すように第1貫通孔41の径(
図3及び
図4では、幅方向Wの寸法)が小さくなる形状であってもよいし、第1貫通孔41の径が大きくなる形状であってもよい。また、厚み方向Tに沿う断面を見たときの第1貫通孔41の断面形状は、第1内面10aに向かって、第1貫通孔41の径が一定である形状であってもよい。
【0094】
図3に示す例では、第1貫通孔41が複数設けられているが、厚み方向Tに沿う断面を見たとき、複数の第1貫通孔41の断面形状は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0095】
第1貫通孔41の大きさは、特に限定されない。例えば、第1貫通孔41の面方向(例えば、長さ方向L又は幅方向W)の寸法は、特に限定されない。
【0096】
図3に示す例では、第1貫通孔41が複数設けられているが、複数の第1貫通孔41の大きさは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。例えば、複数の第1貫通孔41の面方向(例えば、長さ方向L又は幅方向W)の寸法は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0097】
第1貫通孔41の寸法、形状、個数、配置等は、実際の製品において、
図3に示す例と異なっていてもよい。
【0098】
図3及び
図4に示すように、第1貫通孔41の周縁には、厚み方向Tにおいて第1内面10aに近づく突出部51が位置していることが好ましい。
【0099】
突出部51は、第1貫通孔41の周縁の全体に位置していることが好ましい。
【0100】
なお、突出部51は、第1貫通孔41の周縁の一部に位置していてもよい。
【0101】
図3に示す例では、第1貫通孔41が複数設けられていることに伴って、突出部51が複数存在しているが、複数の突出部51のうち、すべての突出部51が、第1貫通孔41の周縁の全体に位置していることが好ましい。複数の突出部51のうち、一部の突出部51が、第1貫通孔41の周縁の全体に位置していてもよい。このように、複数の突出部51のうち、少なくとも一部の突出部51が、第1貫通孔41の周縁の全体に位置していてもよい。
【0102】
図3に示すように、突出部51は、第1内面10aに厚み方向Tで接していないことが好ましい。つまり、突出部51は、第1内面10aから厚み方向Tに離れていることが好ましい。
【0103】
なお、突出部51は、第1内面10aに厚み方向Tで接していてもよい。
【0104】
図3に示す例では、突出部51が複数存在しているが、複数の突出部51のうち、すべての突出部51が、第1内面10aから厚み方向Tに離れていることが好ましい。複数の突出部51のうち、一部の突出部51が、第1内面10aから厚み方向Tに離れていてもよい。このように、複数の突出部51のうち、少なくとも1つの突出部51が、第1内面10aから厚み方向Tに離れていてもよい。
【0105】
厚み方向Tに沿う断面を見たときの突出部51の断面形状は、特に限定されず、第1内面10aに向かうにつれて、
図3及び
図4に示すように突出部51の内面間の距離(
図3及び
図4では、幅方向Wの距離)が小さくなる形状であってもよいし、突出部51の内面間の距離が大きくなる形状であってもよい。また、突出部51の断面形状は、第1内面10aに向かって、突出部51の内面間の距離が一定である形状であってもよい。
【0106】
突出部51は、第1内面10a側の端部において、第1貫通孔41側(内側)に屈曲していてもよいし、第1貫通孔41と反対側(外側)に屈曲していてもよい。
【0107】
図3に示す例では、突出部51が複数存在しているが、厚み方向Tに沿う断面を見たとき、複数の突出部51の断面形状は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0108】
突出部51の大きさは、特に限定されない。例えば、突出部51の厚み方向Tの寸法は、第1貫通孔41の面方向(例えば、長さ方向L又は幅方向W)の寸法よりも大きくてもよいし、第1貫通孔41の面方向の寸法よりも小さくてもよいし、第1貫通孔41の面方向の寸法と同じでもよい。
【0109】
図3に示す例では、突出部51が複数存在しているが、複数の突出部51の大きさは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。例えば、複数の突出部51の厚み方向Tの寸法は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0110】
突出部51の寸法、形状、配置等は、実際の製品において、
図3に示す例と異なっていてもよい。
【0111】
なお、第1貫通孔41の周縁には、突出部が位置していなくてもよい。具体的には、第1貫通孔41の周縁には、厚み方向Tにおいて第1内面10a又は第2内面10bに近づく突出部が位置していなくてもよい。
【0112】
図3及び
図4に示すように、第1ウィック層31には、第1貫通孔41に加えて、厚み方向Tから見たときに後述する第2貫通孔42に重ならない貫通孔41Aが更に設けられていてもよい。
【0113】
図3及び
図4に示すように、貫通孔41Aの周縁には、厚み方向Tにおいて第2内面10bに近づく突出部51Aが位置していてもよい。
【0114】
突出部51Aは、貫通孔41Aの周縁の全体に位置していることが好ましい。
【0115】
なお、突出部51Aは、貫通孔41Aの周縁の一部に位置していてもよい。
【0116】
図3に示す例では、貫通孔41Aが複数設けられていることに伴って、突出部51Aが複数存在しているが、複数の突出部51Aのうち、すべての突出部51Aが、貫通孔41Aの周縁の全体に位置していることが好ましい。複数の突出部51Aのうち、一部の突出部51Aが、貫通孔41Aの周縁の全体に位置していてもよい。このように、複数の突出部51Aのうち、少なくとも一部の突出部51Aが、貫通孔41Aの周縁の全体に位置していてもよい。
【0117】
厚み方向Tに沿う断面を見たときの突出部51Aの断面形状は、特に限定されず、第2内面10bに向かうにつれて、
図3及び
図4に示すように突出部51Aの内面間の距離(
図3及び
図4では、幅方向Wの距離)が小さくなる形状であってもよいし、突出部51Aの内面間の距離が大きくなる形状であってもよい。また、突出部51Aの断面形状は、第2内面10bに向かって、突出部51Aの内面間の距離が一定である形状であってもよい。
【0118】
突出部51Aは、第2内面10b側の端部において、貫通孔41A側(内側)に屈曲していてもよいし、貫通孔41Aと反対側(外側)に屈曲していてもよい。
【0119】
図3に示す例では、突出部51Aが複数存在しているが、厚み方向Tに沿う断面を見たとき、複数の突出部51Aの断面形状は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0120】
突出部51Aの大きさは、特に限定されない。例えば、突出部51Aの厚み方向Tの寸法は、貫通孔41Aの面方向(例えば、長さ方向L又は幅方向W)の寸法よりも大きくてもよいし、貫通孔41Aの面方向の寸法よりも小さくてもよいし、貫通孔41Aの面方向の寸法と同じでもよい。
【0121】
図3に示す例では、突出部51Aが複数存在しているが、複数の突出部51Aの大きさは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。例えば、複数の突出部51Aの厚み方向Tの寸法は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0122】
突出部51Aの寸法、形状、配置等は、実際の製品において、
図3に示す例と異なっていてもよい。
【0123】
図3及び
図4に示すように、第1ウィック層31には、第1貫通孔41に加えて、厚み方向Tから見たときに後述する第2貫通孔42に重ならない貫通孔41Bが更に設けられていてもよい。
【0124】
図3及び
図4に示すように、貫通孔41Bの周縁には、突出部が位置していなくてもよい。具体的には、貫通孔41Bの周縁には、厚み方向Tにおいて第1内面10a又は第2内面10bに近づく突出部が位置していなくてもよい。
【0125】
図3及び
図4に示すように、第2ウィック層32には、厚み方向Tにおいて第2貫通孔42が設けられている。
【0126】
第2貫通孔42は、作動媒体20に対する毛細管力を発現する。つまり、作動媒体20は、第2貫通孔42の内部において、毛細管力により移動する。
【0127】
第2貫通孔42の他の特徴は、第1貫通孔41と同様である。
【0128】
図3及び
図4に示すように、第2貫通孔42の周縁には、厚み方向Tにおいて第1内面10aに近づく突出部52が位置している。
【0129】
突出部52は、第2貫通孔42の周縁の全体に位置していることが好ましい。
【0130】
なお、突出部52は、第2貫通孔42の周縁の一部に位置していてもよい。
【0131】
図3に示す例では、第2貫通孔42が複数設けられていることに伴って、突出部52が複数存在しているが、複数の突出部52のうち、すべての突出部52が、第2貫通孔42の周縁の全体に位置していることが好ましい。複数の突出部52のうち、一部の突出部52が、第2貫通孔42の周縁の全体に位置していてもよい。このように、複数の突出部52のうち、少なくとも一部の突出部52が、第2貫通孔42の周縁の全体に位置していてもよい。
【0132】
図3に示すように、突出部52は、第1内面10aに厚み方向Tで接していないことが好ましい。つまり、突出部52は、第1内面10aから厚み方向Tに離れていることが好ましい。
【0133】
なお、突出部52は、第1内面10aに厚み方向Tで接していてもよい。
【0134】
図3に示す例では、突出部52が複数存在しているが、複数の突出部52のうち、すべての突出部52が、第1内面10aから厚み方向Tに離れていることが好ましい。複数の突出部52のうち、一部の突出部52が、第1内面10aから厚み方向Tに離れていてもよい。このように、複数の突出部52のうち、少なくとも1つの突出部52が、第1内面10aから厚み方向Tに離れていてもよい。
【0135】
厚み方向Tに沿う断面を見たときの突出部52の断面形状は、特に限定されず、第1内面10aに向かうにつれて、
図3及び
図4に示すように突出部52の内面間の距離(
図3及び
図4では、幅方向Wの距離)が小さくなる形状であってもよいし、突出部52の内面間の距離が大きくなる形状であってもよい。また、突出部52の断面形状は、第1内面10aに向かって、突出部52の内面間の距離が一定である形状であってもよい。
【0136】
突出部52は、第1内面10a側の端部において、第2貫通孔42側(内側)に屈曲していてもよいし、第2貫通孔42と反対側(外側)に屈曲していてもよい。
【0137】
図3に示す例では、突出部52が複数存在しているが、厚み方向Tに沿う断面を見たとき、複数の突出部52の断面形状は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0138】
突出部52の大きさは、特に限定されない。例えば、突出部52の厚み方向Tの寸法は、第2貫通孔42の面方向(例えば、長さ方向L又は幅方向W)の寸法よりも大きくてもよいし、第2貫通孔42の面方向の寸法よりも小さくてもよいし、第2貫通孔42の面方向の寸法と同じでもよい。
【0139】
図3に示す例では、突出部52が複数存在しているが、複数の突出部52の大きさは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。例えば、複数の突出部52の厚み方向Tの寸法は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0140】
突出部52の寸法、形状、配置等は、実際の製品において、
図3に示す例と異なっていてもよい。
【0141】
図3及び
図4に示すように、第2ウィック層32には、第2貫通孔42に加えて、厚み方向Tから見たときに第1貫通孔41に重ならない貫通孔42Aが更に設けられていてもよい。
【0142】
図3及び
図4に示すように、貫通孔42Aの周縁には、厚み方向Tにおいて第2内面10bに近づく突出部52Aが位置していてもよい。
【0143】
図3に示すように、突出部52Aは、第2内面10bに厚み方向Tで接していることが好ましい。この場合、ウィック30は、突出部52Aで支持される。
【0144】
突出部52Aが第2内面10bに厚み方向Tで接している場合、突出部52Aは、第2内面10bに固定されていてもよいし、固定されていなくてもよい。例えば、突出部52Aは、第2内面10bに接合されていてもよいし、接合されていなくてもよい。突出部52Aと第2内面10bとの接合方法としては、例えば、拡散接合、超音波接合、スポット溶接等が挙げられる。
【0145】
図3に示す例では、突出部52Aが複数存在しているが、複数の突出部52Aのうち、すべての突出部52Aが、第2内面10bに厚み方向Tで接していることが好ましい。複数の突出部52Aのうち、一部の突出部52Aが、第2内面10bに厚み方向Tで接していてもよい。このように、複数の突出部52Aのうち、少なくとも1つの突出部52Aが、第2内面10bに厚み方向Tで接していてもよい。
【0146】
複数の突出部52Aが第2内面10bに厚み方向Tで接している場合、複数の突出部52Aのうち、少なくとも1つの突出部52Aが、第2内面10bに固定されていてもよい。例えば、複数の突出部52Aのうち、少なくとも1つの突出部52Aが、第2内面10bに接合されていてもよい。より具体的には、複数の突出部52Aのうち、すべての突出部52Aが第2内面10bに接合されていてもよいし、一部の突出部52Aが第2内面10bに接合されていてもよい。
【0147】
なお、突出部52Aは、第2内面10bに厚み方向Tで接していなくてもよい。つまり、突出部52Aは、第2内面10bから厚み方向Tに離れていてもよい。
【0148】
突出部52Aの他の特徴は、突出部51Aと同様である。
【0149】
厚み方向Tから見たとき、貫通孔42Aは、貫通孔41Aに重なっていてもよい。
【0150】
なお、厚み方向Tから見たとき、貫通孔42Aは、貫通孔41Aに重なっていなくてもよい。
【0151】
貫通孔42Aの他の特徴は、貫通孔41Aと同様である。
【0152】
図3及び
図4に示すように、第2ウィック層32には、第2貫通孔42に加えて、厚み方向Tから見たときに第1貫通孔41に重ならない貫通孔42Bが更に設けられていてもよい。
【0153】
図3及び
図4に示すように、貫通孔42Bの周縁には、突出部が位置していなくてもよい。具体的には、貫通孔42Bの周縁には、厚み方向Tにおいて第1内面10a又は第2内面10bに近づく突出部が位置していなくてもよい。
【0154】
厚み方向Tから見たとき、貫通孔42Bは、貫通孔41Bに重なっていてもよい。
【0155】
なお、厚み方向Tから見たとき、貫通孔42Bは、貫通孔41Bに重なっていなくてもよい。
【0156】
貫通孔42Bの他の特徴は、貫通孔41Bと同様である。
【0157】
図3及び
図4に示すように、各ウィック層において、貫通孔(第1貫通孔41、第2貫通孔42等を含む)の間には、平坦部が存在している。
【0158】
厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔42は、第1貫通孔41に重なっている。
【0159】
図3及び
図4に示すように、厚み方向Tにおいて、第2貫通孔42の周縁に位置する突出部52の第1内面10a側の端部52aと第2内面10bとの間の距離をA1、第1貫通孔41の第2内面10b側の端部P1と第2内面10bとの間の距離をB1としたとき、A1≧B1の関係を満たしている。
図3及び
図4に示す例では、A1>B1の関係を満たしている。
【0160】
言い換えれば、厚み方向Tで第2内面10bを基準とする高さを定義したとき、
図3及び
図4に示すように、厚み方向Tにおいて、第2貫通孔42の周縁に位置する突出部52の第1内面10a側の端部52aは、第1貫通孔41の第2内面10b側の端部P1と同じ高さに位置しているか、第1貫通孔41の第2内面10b側の端部P1よりも第1内面10a側の高さに位置している。
図3及び
図4に示す例では、厚み方向Tにおいて、突出部52の第1内面10a側の端部52aが、第1貫通孔41の第2内面10b側の端部P1よりも第1内面10a側の高さに位置している。
【0161】
ベーパーチャンバー1では、第1ウィック層31が、第1ウィック層31と第1内面10aとの間の領域で構成される蒸気流路に接しているため、第1ウィック層31に含まれる液相の作動媒体20、好ましくは、第1ウィック層31と第2ウィック層32との間の領域に含まれる液相の作動媒体20が、蒸発(揮発蒸散とも言う)して気相の作動媒体20に変化しつつ蒸気流路に移動できる。
【0162】
一方、ベーパーチャンバー1では、第1ウィック層31に対して、第1ウィック層31の第2内面10b側に隣り合う第2ウィック層32が更に積層されている。ここで、複数のウィック層が単に積層されただけの従来のベーパーチャンバーでは、蒸気流路から遠いウィック層が、隣り合うウィック層との界面において蒸気流路に接しない構成となる。そのため、複数のウィック層が積層された従来のベーパーチャンバーでは、蒸気流路から遠いウィック層に含まれる液相の作動媒体が、蒸発して気相の作動媒体に変化しにくい。よって、複数のウィック層が積層された従来のベーパーチャンバーでは、蒸気流路から遠いウィック層において、液相の作動媒体が気相の作動媒体に変化することで生じる、液相の作動媒体を駆動する駆動力が弱くなりやすいため、液相の作動媒体が移動しにくくなるおそれがある。
【0163】
これに対して、ベーパーチャンバー1では、蒸気流路から遠い第2ウィック層32に設けられた第2貫通孔42が、蒸気流路に接する第1ウィック層31に設けられた第1貫通孔41に対して、上述した距離(高さ)の関係を満たすように重なっていることにより、第2貫通孔42が第1貫通孔41に接続される。そのため、ベーパーチャンバー1では、第2ウィック層32に含まれる液相の作動媒体20、好ましくは、第2ウィック層32と第2内面10bとの間の領域に含まれる液相の作動媒体20が、第2貫通孔42、更には、第2貫通孔42に接続される第1貫通孔41を通じて、蒸発して気相の作動媒体20に変化しつつ蒸気流路に移動しやすくなる。
【0164】
以上により、ベーパーチャンバー1では、第1ウィック層31だけではなく、第2ウィック層32においても、液相の作動媒体20が気相の作動媒体20に変化することで生じる、液相の作動媒体20を駆動する駆動力が確保される。よって、ベーパーチャンバー1では、第1ウィック層31及び第2ウィック層32が積層されていても、毛細管力により液相の作動媒体20を移動させるという機能が、第1ウィック層31ではもちろんのこと、第2ウィック層32でも損なわれにくい。そのため、ベーパーチャンバー1では、第1ウィック層31及び第2ウィック層32が積層されたことで液体流路がウィック30を透過する領域の断面積が大きくなる分、最大熱輸送量が向上しやすくなる。
【0165】
以上のことから、ベーパーチャンバー1によれば、複数のウィック層が積層された構成において最大熱輸送量を向上可能な熱拡散デバイスを実現できる。
【0166】
ベーパーチャンバー1において、第1貫通孔41及び第2貫通孔42が上述した距離(高さ)の関係を満たすように重なる構成は、例えば、第1ウィック層31及び第2ウィック層32が厚み方向Tに積層された構成を有するウィック30に対して、第1貫通孔41及び第2貫通孔42が重なるように第1ウィック層31及び第2ウィック層32の位置関係を調整した後、第1ウィック層31側及び第2ウィック層32側の両側から同時にプレス加工を行うことにより実現される。第1貫通孔41及び第2貫通孔42が上述した距離(高さ)の関係を満たすように重なる構成を実現する方法は、上述したプレス加工を行う方法に限定されない。
【0167】
図3及び
図4に示すように、第1ウィック層31に、第1貫通孔41に加えて、厚み方向Tから見たときに第2貫通孔42に重ならない貫通孔41A又は貫通孔41Bが更に設けられている場合、厚み方向Tにおいて、第1ウィック層31の第1貫通孔41以外の貫通孔41A又は貫通孔41Bの第1内面10a側の端部Q1と第2内面10bとの間の距離をC1としたとき、A1≧C1の関係を満たしていることが好ましい。
図3及び
図4に示す例では、A1>C1の関係を満たしている。
【0168】
言い換えれば、
図3及び
図4に示すように、第1ウィック層31に、第1貫通孔41に加えて、厚み方向Tから見たときに第2貫通孔42に重ならない貫通孔41A又は貫通孔41Bが更に設けられている場合、厚み方向Tにおいて、第2貫通孔42の周縁に位置する突出部52の第1内面10a側の端部52aは、第1ウィック層31の貫通孔41A又は貫通孔41Bの第1内面10a側の端部Q1と同じ高さに位置しているか、第1ウィック層31の貫通孔41A又は貫通孔41Bの第1内面10a側の端部Q1よりも第1内面10a側の高さに位置していることが好ましい。
図3及び
図4に示す例では、厚み方向Tにおいて、突出部52の第1内面10a側の端部52aが、貫通孔41A又は貫通孔41Bの第1内面10a側の端部Q1よりも第1内面10a側の高さに位置している。
【0169】
ベーパーチャンバー1では、第2貫通孔42が、上述した距離(高さ)の関係を満たすように第1貫通孔41に重なっていることにより、第2ウィック層32に含まれる液相の作動媒体20、好ましくは、第2ウィック層32と第2内面10bとの間の領域に含まれる液相の作動媒体20が、第2貫通孔42、更には、第1貫通孔41を通じて、蒸発して気相の作動媒体20に変化しつつ蒸気流路に更に移動しやすくなる。よって、ベーパーチャンバー1では、毛細管力により液相の作動媒体20を移動させるという機能が、第2ウィック層32で更に損なわれにくくなり、結果的に、最大熱輸送量が更に向上しやすくなる。
【0170】
図3及び
図4に示す例において、貫通孔41Aの第1内面10a側の端部と第2内面10bとの間の距離、及び、貫通孔41Bの第1内面10a側の端部と第2内面10bとの間の距離は、距離C1として、互いに同じである。言い換えれば、
図3及び
図4に示す例において、貫通孔41A及び貫通孔41Bの第1内面10a側の端部は、端部Q1として、互いに同じ高さに位置している。
【0171】
なお、貫通孔41Aの第1内面10a側の端部と第2内面10bとの間の距離、及び、貫通孔41Bの第1内面10a側の端部と第2内面10bとの間の距離は、互いに異なっていてもよい。言い換えれば、貫通孔41A及び貫通孔41Bの第1内面10a側の端部は、互いに異なる高さに位置していてもよい。この場合、貫通孔41Aの第1内面10a側の端部は、貫通孔41Bの第1内面10a側の端部よりも第1内面10a側の高さに位置していてもよいし、貫通孔41Bの第1内面10a側の端部よりも第2内面10b側の高さに位置していてもよい。
【0172】
貫通孔41A及び貫通孔41Bの第1内面10a側の端部が、互いに異なる高さに位置している場合、厚み方向Tにおいて、突出部52の第1内面10a側の端部52aは、貫通孔41Aの第1内面10a側の端部と同じ高さに位置しているか、貫通孔41Aの第1内面10a側の端部よりも第1内面10a側の高さに位置していてもよい。あるいは、厚み方向Tにおいて、突出部52の第1内面10a側の端部52aは、貫通孔41Bの第1内面10a側の端部と同じ高さに位置しているか、貫通孔41Bの第1内面10a側の端部よりも第1内面10a側の高さに位置していてもよい。
【0173】
図3及び
図4に示すように、第1貫通孔41の周縁に位置する突出部51の内面の少なくとも一部は、第2貫通孔42の周縁に位置する突出部52の外面の少なくとも一部に接していることが好ましい。
図3及び
図4に示す例では、突出部51の内面の一部が、突出部52の外面の一部に接している。
【0174】
突出部51の内面の少なくとも一部が突出部52の外面の少なくとも一部に接していると、第1ウィック層31及び第2ウィック層32は、例えば、突出部51及び突出部52でかしめられて互いに接合される。これにより、第1ウィック層31及び第2ウィック層32は、互いの位置関係がずれにくくなる。
【0175】
なお、突出部51の内面は、突出部52の外面に接していなくてもよい。
【0176】
ベーパーチャンバー1は、例えば、以下のようにして作動する。
【0177】
ベーパーチャンバー1において、液相の作動媒体20は、蒸発部EP近傍の領域に存在するウィック30及び液体流路において、熱源HSからの熱を吸収することで蒸発し、気相の作動媒体20に変化する。そして、蒸発部EPで発生した気相の作動媒体20は、蒸気流路を通って、蒸発部EPから離れた領域、例えば、蒸気流路の長さ方向Lにおける蒸発部EPと反対側の端部周辺に移動し、そこで冷却されて液相の作動媒体20に変化する。以下では、気相の作動媒体20が凝縮して液相の作動媒体20に変化する部分を、凝縮部と言う。凝縮部は、蒸発部EPから離れた領域、例えば、筐体10の内部空間の長さ方向Lにおける蒸発部EPと反対側の端部周辺に位置しやすい。そして、凝縮部で発生した液相の作動媒体20は、ウィック30及び液体流路に回収された後、蒸発部EPに輸送される。
【0178】
ベーパーチャンバー1では、以上の過程が繰り返されることにより、作動媒体20が気-液の相変化を生じつつ循環する。この際、熱源HSからの熱は、蒸発部EPにおいて液相の作動媒体20を気相の作動媒体20に変化させる蒸発潜熱として吸収された後、凝縮部(例えば、蒸発部EPから長さ方向Lに離れた領域)において気相の作動媒体20を液相の作動媒体20に変化させる凝縮潜熱として放出される。このようにして、ベーパーチャンバー1は、外部動力を必要とすることなく自立的に作動し、更には、作動媒体20の蒸発潜熱及び凝縮潜熱を利用することにより、熱源HSからの熱を二次元的に高速で拡散できる。
【0179】
<実施形態2>
本発明の実施形態2の熱拡散デバイスにおいて、ウィックは、厚み方向において第2ウィック層の第2内面側に隣り合う第3ウィック層を更に含んでいる。
【0180】
本発明の実施形態2の熱拡散デバイスにおいて、第1ウィック層は、ウィックのうちで、厚み方向において最も第1内面側に位置し、第3ウィック層は、ウィックのうちで、厚み方向において最も第2内面側に位置している。
【0181】
本発明の実施形態2の熱拡散デバイスは、上記の点以外、本発明の実施形態1の熱拡散デバイスと同様である。
【0182】
図5は、本発明の実施形態2の熱拡散デバイスにおける断面の一例を示す断面模式図である。
図6は、
図5に示す熱拡散デバイスの一部を拡大して示す断面模式図である。
【0183】
なお、
図5は、
図3に相当する位置における断面を示す。
【0184】
図5に示すベーパーチャンバー2において、ウィック30は、厚み方向Tにおいて第2ウィック層32の第2内面10b側に隣り合う第3ウィック層33を更に含んでいる。
【0185】
図5に示すように、第1ウィック層31は、ウィック30のうちで、厚み方向Tにおいて最も第1内面10a側に位置している。更に、
図5に示すように、第3ウィック層33は、ウィック30のうちで、厚み方向Tにおいて最も第2内面10b側に位置している。つまり、ベーパーチャンバー2において、ウィック30は、第1ウィック層31、第2ウィック層32、及び、第3ウィック層33の3つのウィック層が厚み方向Tに積層された構成を有している。
【0186】
図5及び
図6に示すように、第3ウィック層33には、厚み方向Tにおいて第3貫通孔43が設けられていることが好ましい。
【0187】
第3貫通孔43は、作動媒体20に対する毛細管力を発現する。つまり、作動媒体20は、第3貫通孔43の内部において、毛細管力により移動する。
【0188】
第3貫通孔43の他の特徴は、第1貫通孔41及び第2貫通孔42と同様である。
【0189】
図5及び
図6に示すように、第3貫通孔43の周縁には、厚み方向Tにおいて第1内面10aに近づく突出部53が位置していることが好ましい。
【0190】
突出部53は、第3貫通孔43の周縁の全体に位置していることが好ましい。
【0191】
なお、突出部53は、第3貫通孔43の周縁の一部に位置していてもよい。
【0192】
第3貫通孔43が複数設けられていることに伴って、突出部53が複数存在している場合、複数の突出部53のうち、すべての突出部53が、第3貫通孔43の周縁の全体に位置していることが好ましい。複数の突出部53のうち、一部の突出部53が、第3貫通孔43の周縁の全体に位置していてもよい。このように、複数の突出部53のうち、少なくとも一部の突出部53が、第3貫通孔43の周縁の全体に位置していてもよい。
【0193】
図5に示すように、突出部53は、第1内面10aに厚み方向Tで接していないことが好ましい。つまり、突出部53は、第1内面10aから厚み方向Tに離れていることが好ましい。
【0194】
なお、突出部53は、第1内面10aに厚み方向Tで接していてもよい。
【0195】
突出部53が複数存在している場合、複数の突出部53のうち、すべての突出部53が、第1内面10aから厚み方向Tに離れていることが好ましい。複数の突出部53のうち、一部の突出部53が、第1内面10aから厚み方向Tに離れていてもよい。このように、複数の突出部53のうち、少なくとも1つの突出部53が、第1内面10aから厚み方向Tに離れていてもよい。
【0196】
厚み方向Tに沿う断面を見たときの突出部53の断面形状は、特に限定されず、第1内面10aに向かうにつれて、
図5及び
図6に示すように突出部53の内面間の距離(
図5及び
図6では、幅方向Wの距離)が小さくなる形状であってもよいし、突出部53の内面間の距離が大きくなる形状であってもよい。また、突出部53の断面形状は、第1内面10aに向かって、突出部53の内面間の距離が一定である形状であってもよい。
【0197】
突出部53は、第1内面10a側の端部において、第3貫通孔43側(内側)に屈曲していてもよいし、第3貫通孔43と反対側(外側)に屈曲していてもよい。
【0198】
突出部53が複数存在している場合、厚み方向Tに沿う断面を見たとき、複数の突出部53の断面形状は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0199】
突出部53の大きさは、特に限定されない。例えば、突出部53の厚み方向Tの寸法は、第3貫通孔43の面方向(例えば、長さ方向L又は幅方向W)の寸法よりも大きくてもよいし、第3貫通孔43の面方向の寸法よりも小さくてもよいし、第3貫通孔43の面方向の寸法と同じでもよい。
【0200】
突出部53が複数存在している場合、複数の突出部53の大きさは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。例えば、複数の突出部53の厚み方向Tの寸法は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0201】
突出部53の寸法、形状、配置等は、実際の製品において、
図5に示す例と異なっていてもよい。
【0202】
図5及び
図6に示すように、第3ウィック層33には、第3貫通孔43に加えて、厚み方向Tにおいて貫通孔43Aが更に設けられていてもよい。
【0203】
図5及び
図6に示すように、貫通孔43Aの周縁には、厚み方向Tにおいて第2内面10bに近づく突出部53Aが位置していてもよい。
【0204】
図5に示すように、突出部53Aは、第2内面10bに厚み方向Tで接していることが好ましい。この場合、ウィック30は、突出部53Aで支持される。
【0205】
なお、突出部53Aは、第2内面10bに厚み方向Tで接していなくてもよい。つまり、突出部53Aは、第2内面10bから厚み方向Tに離れていてもよい。
【0206】
突出部53Aの他の特徴は、突出部51A及び突出部52Aと同様である。
【0207】
厚み方向Tから見たとき、貫通孔43Aは、第1貫通孔41に重なっていてもよいし、第2貫通孔42に重なっていてもよいし、貫通孔41Aに重なっていてもよいし、貫通孔42Aに重なっていてもよい。
【0208】
なお、厚み方向Tから見たとき、貫通孔43Aは、第1貫通孔41、第2貫通孔42、貫通孔41A、及び、貫通孔42Aに重なっていなくてもよい。
【0209】
貫通孔43Aの他の特徴は、貫通孔41A及び貫通孔42Aと同様である。
【0210】
図5及び
図6に示すように、第3ウィック層33には、第3貫通孔43に加えて、厚み方向Tにおいて貫通孔43Bが更に設けられていてもよい。
【0211】
図5及び
図6に示すように、貫通孔43Bの周縁には、突出部が位置していなくてもよい。具体的には、貫通孔43Bの周縁には、厚み方向Tにおいて第1内面10a又は第2内面10bに近づく突出部が位置していなくてもよい。
【0212】
厚み方向Tから見たとき、貫通孔43Bは、貫通孔41Bに重なっていてもよいし、貫通孔42Bに重なっていてもよい。
【0213】
なお、厚み方向Tから見たとき、貫通孔43Bは、貫通孔41B及び貫通孔42Bに重なっていなくてもよい。
【0214】
貫通孔43Bの他の特徴は、貫通孔41B及び貫通孔42Bと同様である。
【0215】
厚み方向Tから見たとき、第3貫通孔43は、第2貫通孔42に重なっていることが好ましい。
【0216】
図5及び
図6に示すように、厚み方向Tにおいて、第3貫通孔43の周縁に位置する突出部53の第1内面10a側の端部53aと第2内面10bとの間の距離をA2、第2貫通孔42の第2内面10b側の端部P2と第2内面10bとの間の距離をB2としたとき、A2≧B2の関係を満たしていることが好ましい。
図5及び
図6に示す例では、A2>B2の関係を満たしている。
【0217】
言い換えれば、
図5及び
図6に示すように、厚み方向Tにおいて、第3貫通孔43の周縁に位置する突出部53の第1内面10a側の端部53aは、第2貫通孔42の第2内面10b側の端部P2と同じ高さに位置しているか、第2貫通孔42の第2内面10b側の端部P2よりも第1内面10a側の高さに位置していることが好ましい。
図5及び
図6に示す例では、厚み方向Tにおいて、突出部53の第1内面10a側の端部53aが、第2貫通孔42の第2内面10b側の端部P2よりも第1内面10a側の高さに位置している。
【0218】
ベーパーチャンバー2では、第3ウィック層33に設けられた第3貫通孔43が、第3ウィック層33よりも蒸気流路に近い第2ウィック層32に設けられた第2貫通孔42に対して、上述した距離(高さ)の関係を満たすように重なっていることにより、第3貫通孔43が第2貫通孔42に接続される。更に、ベーパーチャンバー2では、ベーパーチャンバー1と同様に、第2ウィック層32に設けられた第2貫通孔42が、蒸気流路に接する第1ウィック層31に設けられた第1貫通孔41に重なっていることにより、第2貫通孔42が第1貫通孔41に接続される。つまり、ベーパーチャンバー2では、第3貫通孔43が、第2貫通孔42を通じて、第1貫通孔41に接続される。そのため、ベーパーチャンバー2では、第3ウィック層33に含まれる液相の作動媒体20、好ましくは、第3ウィック層33と第2内面10bとの間の領域に含まれる液相の作動媒体20が、第3貫通孔43、第3貫通孔43に接続される第2貫通孔42、更には、第2貫通孔42に接続される第1貫通孔41を通じて、蒸発して気相の作動媒体20に変化しつつ蒸気流路に移動しやすくなる。
【0219】
以上により、ベーパーチャンバー2では、第1ウィック層31及び第2ウィック層32だけではなく、第3ウィック層33においても、液相の作動媒体20が気相の作動媒体20に変化することで生じる、液相の作動媒体20を駆動する駆動力が確保される。よって、ベーパーチャンバー2では、第1ウィック層31、第2ウィック層32、及び、第3ウィック層33が積層されていても、毛細管力により液相の作動媒体20を移動させるという機能が、第1ウィック層31及び第2ウィック層32ではもちろんのこと、第3ウィック層33でも損なわれにくい。そのため、ベーパーチャンバー2では、第1ウィック層31、第2ウィック層32、及び、第3ウィック層33が積層されたことで液体流路がウィック30を透過する領域の断面積が大きくなる分、最大熱輸送量が向上しやすくなる。
【0220】
図5及び
図6に示すように、第2ウィック層32には、第2貫通孔42に加えて、厚み方向Tから見たときに第3貫通孔43に重ならない貫通孔42Aが更に設けられていてもよい。
【0221】
図5及び
図6に示すように、貫通孔42Aの周縁には、厚み方向Tにおいて第2内面10bに近づく突出部52Aが位置していてもよい。
【0222】
図5及び
図6に示す貫通孔42A及び突出部52Aの他の特徴は、各々、
図3及び
図4に示す貫通孔42A及び突出部52Aと同様である。
【0223】
図5及び
図6に示すように、第2ウィック層32には、第2貫通孔42に加えて、厚み方向Tから見たときに第3貫通孔43に重ならない貫通孔42Bが更に設けられていてもよい。
【0224】
図5及び
図6に示すように、貫通孔42Bの周縁には、突出部が位置していなくてもよい。具体的には、貫通孔42Bの周縁には、厚み方向Tにおいて第1内面10a又は第2内面10bに近づく突出部が位置していなくてもよい。
【0225】
図5及び
図6に示す貫通孔42Bの他の特徴は、
図3及び
図4に示す貫通孔42Bと同様である。
【0226】
図5及び
図6に示すように、第2ウィック層32に、第2貫通孔42に加えて、厚み方向Tから見たときに第3貫通孔43に重ならない貫通孔42A又は貫通孔42Bが更に設けられている場合、厚み方向Tにおいて、第2ウィック層32の第2貫通孔42以外の貫通孔42A又は貫通孔42Bの第1内面10a側の端部Q2と第2内面10bとの間の距離をC2としたとき、A2≧C2の関係を満たしていることが好ましい。
図5及び
図6に示す例では、A2>C2の関係を満たしている。
【0227】
言い換えれば、
図5及び
図6に示すように、第2ウィック層32に、第2貫通孔42に加えて、厚み方向Tから見たときに第3貫通孔43に重ならない貫通孔42A又は貫通孔42Bが更に設けられている場合、厚み方向Tにおいて、第3貫通孔43の周縁に位置する突出部53の第1内面10a側の端部53aは、第2ウィック層32の貫通孔42A又は貫通孔42Bの第1内面10a側の端部Q2と同じ高さに位置しているか、第2ウィック層32の貫通孔42A又は貫通孔42Bの第1内面10a側の端部Q2よりも第1内面10a側の高さに位置していることが好ましい。
図5及び
図6に示す例では、厚み方向Tにおいて、突出部53の第1内面10a側の端部53aが、貫通孔42A又は貫通孔42Bの第1内面10a側の端部Q2よりも第1内面10a側の高さに位置している。
【0228】
ベーパーチャンバー2では、第3貫通孔43が、上述した距離(高さ)の関係を満たすように第2貫通孔42に重なっていることにより、第3ウィック層33に含まれる液相の作動媒体20、好ましくは、第3ウィック層33と第2内面10bとの間の領域に含まれる液相の作動媒体20が、第3貫通孔43、第2貫通孔42、更には、第1貫通孔41を通じて、蒸発して気相の作動媒体20に変化しつつ蒸気流路に更に移動しやすくなる。よって、ベーパーチャンバー2では、毛細管力により液相の作動媒体20を移動させるという機能が、第3ウィック層33で更に損なわれにくくなり、結果的に、最大熱輸送量が更に向上しやすくなる。
【0229】
図5及び
図6に示す例において、貫通孔42Aの第1内面10a側の端部と第2内面10bとの間の距離、及び、貫通孔42Bの第1内面10a側の端部と第2内面10bとの間の距離は、距離C2として、互いに同じである。言い換えれば、
図5及び
図6に示す例において、貫通孔42A及び貫通孔42Bの第1内面10a側の端部は、端部Q2として、互いに同じ高さに位置している。
【0230】
なお、貫通孔42Aの第1内面10a側の端部と第2内面10bとの間の距離、及び、貫通孔42Bの第1内面10a側の端部と第2内面10bとの間の距離は、互いに異なっていてもよい。言い換えれば、貫通孔42A及び貫通孔42Bの第1内面10a側の端部は、互いに異なる高さに位置していてもよい。この場合、貫通孔42Aの第1内面10a側の端部は、貫通孔42Bの第1内面10a側の端部よりも第1内面10a側の高さに位置していてもよいし、貫通孔42Bの第1内面10a側の端部よりも第2内面10b側の高さに位置していてもよい。
【0231】
貫通孔42A及び貫通孔42Bの第1内面10a側の端部が、互いに異なる高さに位置している場合、厚み方向Tにおいて、突出部53の第1内面10a側の端部53aは、貫通孔42Aの第1内面10a側の端部と同じ高さに位置しているか、貫通孔42Aの第1内面10a側の端部よりも第1内面10a側の高さに位置していてもよい。あるいは、厚み方向Tにおいて、突出部53の第1内面10a側の端部53aは、貫通孔42Bの第1内面10a側の端部と同じ高さに位置しているか、貫通孔42Bの第1内面10a側の端部よりも第1内面10a側の高さに位置していてもよい。
【0232】
図5及び
図6に示すように、A2≧B1の関係を満たしていることが好ましい。
図5及び
図6に示す例では、A2>B1の関係を満たしている。
【0233】
言い換えれば、
図5及び
図6に示すように、厚み方向Tにおいて、第3貫通孔43の周縁に位置する突出部53の第1内面10a側の端部53aは、第1貫通孔41の第2内面10b側の端部P1と同じ高さに位置しているか、第1貫通孔41の第2内面10b側の端部P1よりも第1内面10a側の高さに位置していることが好ましい。
図5及び
図6に示す例では、厚み方向Tにおいて、突出部53の第1内面10a側の端部53aが、第1貫通孔41の第2内面10b側の端部P1よりも第1内面10a側の高さに位置している。
【0234】
ベーパーチャンバー2では、第3貫通孔43が、上述した距離(高さ)の関係を満たすように、第2貫通孔42、更には、第1貫通孔41に重なっていることにより、第3ウィック層33に含まれる液相の作動媒体20、好ましくは、第3ウィック層33と第2内面10bとの間の領域に含まれる液相の作動媒体20が、第3貫通孔43、第2貫通孔42、更には、第1貫通孔41を通じて、蒸発して気相の作動媒体20に変化しつつ蒸気流路に更に移動しやすくなる。その結果、ベーパーチャンバー2では、最大熱輸送量が更に向上しやすくなる。
【0235】
図5及び
図6に示すように、第1ウィック層31に、第1貫通孔41に加えて、厚み方向Tから見たときに第2貫通孔42に重ならない貫通孔41A又は貫通孔41Bが更に設けられている場合、厚み方向Tにおいて、第1ウィック層31の第1貫通孔41以外の貫通孔41A又は貫通孔41Bの第1内面10a側の端部Q1と第2内面10bとの間の距離をC1としたとき、A2≧C1の関係を満たしていることが好ましい。
図5及び
図6に示す例では、A2>C1の関係を満たしている。
【0236】
言い換えれば、
図5及び
図6に示すように、第1ウィック層31に、第1貫通孔41に加えて、厚み方向Tから見たときに第2貫通孔42に重ならない貫通孔41A又は貫通孔41Bが更に設けられている場合、厚み方向Tにおいて、第3貫通孔43の周縁に位置する突出部53の第1内面10a側の端部53aは、第1ウィック層31の貫通孔41A又は貫通孔41Bの第1内面10a側の端部Q1と同じ高さに位置しているか、第1ウィック層31の貫通孔41A又は貫通孔41Bの第1内面10a側の端部Q1よりも第1内面10a側の高さに位置していることが好ましい。
図5及び
図6に示す例では、厚み方向Tにおいて、突出部53の第1内面10a側の端部53aが、貫通孔41A又は貫通孔41Bの第1内面10a側の端部Q1よりも第1内面10a側の高さに位置している。
【0237】
ベーパーチャンバー2では、第3貫通孔43が、上述した距離(高さ)の関係を満たすように、第2貫通孔42、更には、第1貫通孔41に重なっていることにより、第3ウィック層33に含まれる液相の作動媒体20、好ましくは、第3ウィック層33と第2内面10bとの間の領域に含まれる液相の作動媒体20が、第3貫通孔43、第2貫通孔42、更には、第1貫通孔41を通じて、蒸発して気相の作動媒体20に変化しつつ蒸気流路に更に移動しやすくなる。その結果、ベーパーチャンバー2では、最大熱輸送量が更に向上しやすくなる。
【0238】
図5及び
図6に示すように、第2貫通孔42の周縁に位置する突出部52の内面の少なくとも一部は、第3貫通孔43の周縁に位置する突出部53の外面の少なくとも一部に接していることが好ましい。
図5及び
図6に示す例では、突出部52の内面の一部が、突出部53の外面の一部に接している。
【0239】
突出部52の内面の少なくとも一部が突出部53の外面の少なくとも一部に接していると、第2ウィック層32及び第3ウィック層33は、例えば、突出部52及び突出部53でかしめられて互いに接合される。これにより、第2ウィック層32及び第3ウィック層33は、互いの位置関係がずれにくくなる。
【0240】
なお、突出部52の内面は、突出部53の外面に接していなくてもよい。
【0241】
<実施形態3>
本発明の実施形態1、2の熱拡散デバイスでは、ウィックにおいて、貫通孔(第1貫通孔、第2貫通孔、及び、第3貫通孔等を含む)の間に平坦部が存在している態様を示したが、貫通孔の間には平坦部が存在していなくてもよく、例えば、貫通孔の間には湾曲部が存在していてもよい。
【0242】
本発明の実施形態3の熱拡散デバイスでは、本発明の実施形態1の熱拡散デバイスと同様に、ウィックが、第1ウィック層及び第2ウィック層の2つのウィック層が厚み方向に積層された構成を有している。
【0243】
本発明の実施形態3の熱拡散デバイスでは、本発明の実施形態1の熱拡散デバイスと異なり、貫通孔の間に湾曲部が存在している。
【0244】
図7は、本発明の実施形態3の熱拡散デバイスの内部構造の一例を示す平面模式図である。
図8は、
図7に示す熱拡散デバイスの線分b1-b2に沿う断面の一例を示す断面模式図である。
図9は、
図8に示す熱拡散デバイスの一部を拡大して示す断面模式図である。
図10は、
図7に示す熱拡散デバイスの線分b3-b4に沿う断面の一例を示す断面模式図である。
【0245】
図7、
図8、及び、
図10に示すベーパーチャンバー3において、ウィック30は、第1ウィック層31及び第2ウィック層32の2つのウィック層が厚み方向Tに積層された構成を有している。
【0246】
図8及び
図9に示すように、第1ウィック層31には、厚み方向Tにおいて第1貫通孔41が設けられている。
【0247】
図8及び
図9に示すように、第1貫通孔41の周縁には、厚み方向Tにおいて第1内面10aに近づく突出部51が位置していることが好ましい。
【0248】
図8及び
図9に示す第1貫通孔41及び突出部51の他の特徴は、各々、
図3及び
図4に示す第1貫通孔41及び突出部51と同様である。
【0249】
図8及び
図9に示すように、第1ウィック層31には、第1貫通孔41に加えて、厚み方向Tから見たときに後述する第2貫通孔42に重ならない貫通孔41Cが更に設けられていてもよい。
【0250】
図8及び
図9に示すように、貫通孔41Cの周縁には、厚み方向Tにおいて第1内面10aに近づく突出部51Cが位置していてもよい。
【0251】
突出部51Cは、貫通孔41Cの周縁の全体に位置していることが好ましい。
【0252】
なお、突出部51Cは、貫通孔41Cの周縁の一部に位置していてもよい。
【0253】
図8に示す例では、貫通孔41Cが複数設けられていることに伴って、突出部51Cが複数存在しているが、複数の突出部51Cのうち、すべての突出部51Cが、貫通孔41Cの周縁の全体に位置していることが好ましい。複数の突出部51Cのうち、一部の突出部51Cが、貫通孔41Cの周縁の全体に位置していてもよい。このように、複数の突出部51Cのうち、少なくとも一部の突出部51Cが、貫通孔41Cの周縁の全体に位置していてもよい。
【0254】
厚み方向Tに沿う断面を見たときの突出部51Cの断面形状は、特に限定されず、第1内面10aに向かうにつれて、
図8及び
図9に示すように突出部51Cの内面間の距離(
図8及び
図9では、幅方向Wの距離)が小さくなる形状であってもよいし、突出部51Cの内面間の距離が大きくなる形状であってもよい。また、突出部51Cの断面形状は、第1内面10aに向かって、突出部51Cの内面間の距離が一定である形状であってもよい。
【0255】
突出部51Cは、第1内面10a側の端部において、貫通孔41C側(内側)に屈曲していてもよいし、貫通孔41Cと反対側(外側)に屈曲していてもよい。
【0256】
図8に示す例では、突出部51Cが複数存在しているが、厚み方向Tに沿う断面を見たとき、複数の突出部51Cの断面形状は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0257】
突出部51Cの大きさは、特に限定されない。例えば、突出部51Cの厚み方向Tの寸法は、貫通孔41Cの面方向(例えば、長さ方向L又は幅方向W)の寸法よりも大きくてもよいし、貫通孔41Cの面方向の寸法よりも小さくてもよいし、貫通孔41Cの面方向の寸法と同じでもよい。
【0258】
図8に示す例では、突出部51Cが複数存在しているが、複数の突出部51Cの大きさは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。例えば、複数の突出部51Cの厚み方向Tの寸法は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0259】
突出部51Cの寸法、形状、配置等は、実際の製品において、
図8に示す例と異なっていてもよい。
【0260】
図10に示すように、第1ウィック層31には、第1貫通孔41に加えて、厚み方向Tから見たときに後述する第2貫通孔42に重ならない貫通孔41Dが更に設けられていてもよい。
【0261】
図10に示すように、貫通孔41Dの周縁には、厚み方向Tにおいて第2内面10bに近づく突出部51Dが位置していてもよい。
【0262】
突出部51Dは、貫通孔41Dの周縁の全体に位置していることが好ましい。
【0263】
なお、突出部51Dは、貫通孔41Dの周縁の一部に位置していてもよい。
【0264】
図10に示す例では、貫通孔41Dが複数設けられていることに伴って、突出部51Dが複数存在しているが、複数の突出部51Dのうち、すべての突出部51Dが、貫通孔41Dの周縁の全体に位置していることが好ましい。複数の突出部51Dのうち、一部の突出部51Dが、貫通孔41Dの周縁の全体に位置していてもよい。このように、複数の突出部51Dのうち、少なくとも一部の突出部51Dが、貫通孔41Dの周縁の全体に位置していてもよい。
【0265】
厚み方向Tに沿う断面を見たときの突出部51Dの断面形状は、特に限定されず、第2内面10bに向かうにつれて、
図10に示すように突出部51Dの内面間の距離(
図10では、幅方向Wの距離)が小さくなる形状であってもよいし、突出部51Dの内面間の距離が大きくなる形状であってもよい。また、突出部51Dの断面形状は、第2内面10bに向かって、突出部51Dの内面間の距離が一定である形状であってもよい。
【0266】
突出部51Dは、第2内面10b側の端部において、貫通孔41D側(内側)に屈曲していてもよいし、貫通孔41Dと反対側(外側)に屈曲していてもよい。
【0267】
図10に示す例では、突出部51Dが複数存在しているが、厚み方向Tに沿う断面を見たとき、複数の突出部51Dの断面形状は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0268】
突出部51Dの大きさは、特に限定されない。例えば、突出部51Dの厚み方向Tの寸法は、貫通孔41Dの面方向(例えば、長さ方向L又は幅方向W)の寸法よりも大きくてもよいし、貫通孔41Dの面方向の寸法よりも小さくてもよいし、貫通孔41Dの面方向の寸法と同じでもよい。
【0269】
図10に示す例では、突出部51Dが複数存在しているが、複数の突出部51Dの大きさは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。例えば、複数の突出部51Dの厚み方向Tの寸法は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0270】
突出部51Dの寸法、形状、配置等は、実際の製品において、
図10に示す例と異なっていてもよい。
【0271】
図8及び
図9に示すように、第2ウィック層32には、厚み方向Tにおいて第2貫通孔42が設けられている。
【0272】
図8及び
図9に示すように、第2貫通孔42の周縁には、厚み方向Tにおいて第1内面10aに近づく突出部52が位置している。
【0273】
図8及び
図9に示す第2貫通孔42及び突出部52の他の特徴は、
図3及び
図4に示す第2貫通孔42及び突出部52と同様である。
【0274】
図8及び
図9に示すように、第2ウィック層32には、第2貫通孔42に加えて、厚み方向Tから見たときに第1貫通孔41に重ならない貫通孔42Cが更に設けられていてもよい。
【0275】
図8及び
図9に示すように、貫通孔42Cの周縁には、厚み方向Tにおいて第1内面10aに近づく突出部52Cが位置していてもよい。
【0276】
突出部52Cの他の特徴は、突出部51Cと同様である。
【0277】
厚み方向Tから見たとき、貫通孔42Cは、貫通孔41Cに重なっていてもよい。
【0278】
なお、厚み方向Tから見たとき、貫通孔42Cは、貫通孔41Cに重なっていなくてもよい。
【0279】
貫通孔42Cの他の特徴は、貫通孔41Cと同様である。
【0280】
図10に示すように、第2ウィック層32には、第2貫通孔42に加えて、厚み方向Tから見たときに第1貫通孔41に重ならない貫通孔42Dが更に設けられていてもよい。
【0281】
図10に示すように、貫通孔42Dの周縁には、厚み方向Tにおいて第2内面10bに近づく突出部52Dが位置していてもよい。
【0282】
図10に示すように、突出部52Dは、第2内面10bに厚み方向Tで接していることが好ましい。この場合、ウィック30は、突出部52Dで支持される。
【0283】
なお、突出部52Dは、第2内面10bに厚み方向Tで接していなくてもよい。つまり、突出部52Dは、第2内面10bから厚み方向Tに離れていてもよい。
【0284】
突出部52Dの他の特徴は、突出部51Dと同様である。
【0285】
厚み方向Tから見たとき、貫通孔42Dは、貫通孔41Dに重なっていてもよい。
【0286】
なお、厚み方向Tから見たとき、貫通孔42Dは、貫通孔41Dに重なっていなくてもよい。
【0287】
貫通孔42Dの他の特徴は、貫通孔41Dと同様である。
【0288】
図8、
図9、及び、
図10に示すように、各ウィック層において、貫通孔(第1貫通孔41、第2貫通孔42等を含む)の間には、湾曲部が存在している。
【0289】
図8及び
図9に示すように、厚み方向Tにおいて、第1貫通孔41の第1内面10a側の端部R1と第2内面10bとの間の距離をD1としたとき、A1≧D1の関係を満たしていることが好ましい。
図8及び
図9に示す例では、A1>D1の関係を満たしている。
【0290】
言い換えれば、
図8及び
図9に示すように、厚み方向Tにおいて、第2貫通孔42の周縁に位置する突出部52の第1内面10a側の端部52aは、第1貫通孔41の第1内面10a側の端部R1と同じ高さに位置しているか、第1貫通孔41の第1内面10a側の端部R1よりも第1内面10a側の高さに位置していることが好ましい。
図8及び
図9に示す例では、厚み方向Tにおいて、突出部52の第1内面10a側の端部52aが、第1貫通孔41の第1内面10a側の端部R1よりも第1内面10a側の高さに位置している。
【0291】
ベーパーチャンバー3では、第2貫通孔42が、上述した距離(高さ)の関係を満たすように第1貫通孔41に重なっていることにより、第2ウィック層32に含まれる液相の作動媒体20、好ましくは、第2ウィック層32と第2内面10bとの間の領域に含まれる液相の作動媒体20が、第2貫通孔42、更には、第1貫通孔41を通じて、蒸発して気相の作動媒体20に変化しつつ蒸気流路に充分に移動しやすくなる。その結果、ベーパーチャンバー3では、最大熱輸送量が充分に向上しやすくなる。
【0292】
<実施形態4>
本発明の実施形態4の熱拡散デバイスでは、本発明の実施形態2の熱拡散デバイスと同様に、ウィックが、第1ウィック層、第2ウィック層、及び、第3ウィック層の3つのウィック層が厚み方向に積層された構成を有している。
【0293】
本発明の実施形態4の熱拡散デバイスでは、本発明の実施形態2の熱拡散デバイスと異なり、貫通孔の間に湾曲部が存在している。
【0294】
図11は、本発明の実施形態4の熱拡散デバイスにおける断面の一例を示す断面模式図である。
図12は、
図11に示す熱拡散デバイスの一部を拡大して示す断面模式図である。
図13は、本発明の実施形態4の熱拡散デバイスにおける別の断面の一例を示す断面模式図である。
【0295】
【0296】
図11及び
図13に示すベーパーチャンバー4において、ウィック30は、第1ウィック層31、第2ウィック層32、及び、第3ウィック層33の3つのウィック層が厚み方向Tに積層された構成を有している。
【0297】
図11及び
図12に示すように、第3ウィック層33には、厚み方向Tにおいて第3貫通孔43が設けられていることが好ましい。
【0298】
図11及び
図12に示すように、第3貫通孔43の周縁には、厚み方向Tにおいて第1内面10aに近づく突出部53が位置していることが好ましい。
【0299】
図11及び
図12に示す第3貫通孔43及び突出部53の他の特徴は、各々、
図5及び
図6に示す第3貫通孔43及び突出部53と同様である。
【0300】
図11及び
図12に示すように、第3ウィック層33には、第3貫通孔43に加えて、厚み方向Tにおいて貫通孔43Cが更に設けられていてもよい。
【0301】
図11及び
図12に示すように、貫通孔43Cの周縁には、厚み方向Tにおいて第1内面10aに近づく突出部53Cが位置していてもよい。
【0302】
突出部53Cの他の特徴は、突出部51C及び突出部52Cと同様である。
【0303】
厚み方向Tから見たとき、貫通孔43Cは、貫通孔41Cに重なっていてもよいし、貫通孔42Cに重なっていてもよい。
【0304】
なお、厚み方向Tから見たとき、貫通孔43Cは、貫通孔41C及び貫通孔42Cに重なっていなくてもよい。
【0305】
貫通孔43Cの他の特徴は、貫通孔41C及び貫通孔42Cと同様である。
【0306】
図13に示すように、第3ウィック層33には、第3貫通孔43に加えて、厚み方向Tにおいて貫通孔43Dが更に設けられていてもよい。
【0307】
図13に示すように、貫通孔43Dの周縁には、厚み方向Tにおいて第2内面10bに近づく突出部53Dが位置していてもよい。
【0308】
図13に示すように、突出部53Dは、第2内面10bに厚み方向Tで接していることが好ましい。この場合、ウィック30は、突出部53Dで支持される。
【0309】
なお、突出部53Dは、第2内面10bに厚み方向Tで接していなくてもよい。つまり、突出部53Dは、第2内面10bから厚み方向Tに離れていてもよい。
【0310】
突出部53Dの他の特徴は、突出部51D及び突出部52Dと同様である。
【0311】
厚み方向Tから見たとき、貫通孔43Dは、貫通孔41Dに重なっていてもよいし、貫通孔42Dに重なっていてもよい。
【0312】
なお、厚み方向Tから見たとき、貫通孔43Dは、貫通孔41D及び貫通孔42Dに重なっていなくてもよい。
【0313】
貫通孔43Dの他の特徴は、貫通孔41D及び貫通孔42Dと同様である。
【0314】
図11、
図12、及び、
図13に示すように、各ウィック層において、貫通孔(第1貫通孔41、第2貫通孔42、第3貫通孔43等を含む)の間には、湾曲部が存在している。
【0315】
図11及び
図12に示すように、厚み方向Tにおいて、第2貫通孔42の第1内面10a側の端部R2と第2内面10bとの間の距離をD2としたとき、A2≧D2の関係を満たしていることが好ましい。
図11及び
図12に示す例では、A2>D2の関係を満たしている。
【0316】
言い換えれば、
図11及び
図12に示すように、厚み方向Tにおいて、第3貫通孔43の周縁に位置する突出部53の第1内面10a側の端部53aは、第2貫通孔42の第1内面10a側の端部R2と同じ高さに位置しているか、第2貫通孔42の第1内面10a側の端部R2よりも第1内面10a側の高さに位置していることが好ましい。
図11及び
図12に示す例では、厚み方向Tにおいて、突出部53の第1内面10a側の端部53aが、第2貫通孔42の第1内面10a側の端部R2よりも第1内面10a側の高さに位置している。
【0317】
ベーパーチャンバー4では、第3貫通孔43が、上述した距離(高さ)の関係を満たすように第2貫通孔42に重なっていることにより、第3ウィック層33に含まれる液相の作動媒体20、好ましくは、第3ウィック層33と第2内面10bとの間の領域に含まれる液相の作動媒体20が、第3貫通孔43、第2貫通孔42、更には、第1貫通孔41を通じて、蒸発して気相の作動媒体20に変化しつつ蒸気流路に充分に移動しやすくなる。その結果、ベーパーチャンバー4では、最大熱輸送量が充分に向上しやすくなる。
【0318】
図11及び
図12に示すように、厚み方向Tにおいて、第1貫通孔41の第1内面10a側の端部R1と第2内面10bとの間の距離をD1としたとき、A2≧D1の関係を満たしていることが好ましい。
図11及び
図12に示す例では、A2>D1の関係を満たしている。
【0319】
言い換えれば、
図11及び
図12に示すように、厚み方向Tにおいて、第3貫通孔43の周縁に位置する突出部53の第1内面10a側の端部53aは、第1貫通孔41の第1内面10a側の端部R1と同じ高さに位置しているか、第1貫通孔41の第1内面10a側の端部R1よりも第1内面10a側の高さに位置していることが好ましい。
図11及び
図12に示す例では、厚み方向Tにおいて、突出部53の第1内面10a側の端部53aが、第1貫通孔41の第1内面10a側の端部R1よりも第1内面10a側の高さに位置している。
【0320】
ベーパーチャンバー4では、第3貫通孔43が、上述した距離(高さ)の関係を満たすように、第2貫通孔42、更には、第1貫通孔41に重なっていることにより、第3ウィック層33に含まれる液相の作動媒体20、好ましくは、第3ウィック層33と第2内面10bとの間の領域に含まれる液相の作動媒体20が、第3貫通孔43、第2貫通孔42、更には、第1貫通孔41を通じて、蒸発して気相の作動媒体20に変化しつつ蒸気流路に充分に移動しやすくなる。その結果、ベーパーチャンバー4では、最大熱輸送量が充分に向上しやすくなる。
【0321】
図11及び
図12に示す例では、D1<D2の関係を満たしているが、D1=D2の関係を満たしていてもよいし、D1>D2の関係を満たしていてもよい。言い換えれば、
図11及び
図12に示す例では、第1貫通孔41の第1内面10a側の端部R1が、第2貫通孔42の第1内面10a側の端部R2よりも第2内面10b側の高さに位置しているが、第1貫通孔41の第1内面10a側の端部R1は、第2貫通孔42の第1内面10a側の端部R2と同じ高さに位置していてもよいし、第2貫通孔42の第1内面10a側の端部R2よりも第1内面10a側の高さに位置していてもよい。
【0322】
<実施形態5>
本発明の実施形態1~4の熱拡散デバイスでは、第1貫通孔の周縁に位置する突出部の内面の一部が、第2貫通孔の周縁に位置する突出部の外面の一部に接している態様を示したが、第1貫通孔の周縁に位置する突出部の内面の全体が、第2貫通孔の周縁に位置する突出部の外面の少なくとも一部に接していてもよい。
【0323】
本発明の実施形態5の熱拡散デバイスでは、本発明の実施形態1の熱拡散デバイスに対して、第1貫通孔の周縁に位置する突出部の内面の全体が、第2貫通孔の周縁に位置する突出部の外面の少なくとも一部に接している構成とした態様を示す。
【0324】
図14は、本発明の実施形態5の熱拡散デバイスにおける断面の一例を示す断面模式図である。
図15は、
図14に示す熱拡散デバイスの一部を拡大して示す断面模式図である。
【0325】
なお、
図14は、
図3に相当する位置における断面を示す。
【0326】
図14に示すベーパーチャンバー5において、第1貫通孔41の周縁に位置する突出部51の内面の全体は、第2貫通孔42の周縁に位置する突出部52の外面の少なくとも一部に接している。
図14及び
図15に示す例では、突出部51の内面の全体が、突出部52の外面の全体に接している。
【0327】
ベーパーチャンバー5では、突出部51の内面の全体が突出部52の外面の少なくとも一部に接していることにより、第1ウィック層31及び第2ウィック層32が、突出部51及び突出部52で更に強固にかしめられるため、両者の接合強度が更に高まる。
【0328】
更に、ベーパーチャンバー5では、突出部51の内面の全体が突出部52の外面の少なくとも一部に接していることにより、
図14及び
図15に示すような、突出部51が第2ウィック層32側に埋め込まれた構成とすることができる。よって、ベーパーチャンバー5では、突出部51が第2ウィック層32側に埋め込まれた分だけ、ベーパーチャンバー1と比較して、第1ウィック層31と第1内面10aとの間の蒸気流路が広がるため、熱拡散性が向上しやすくなり、結果的に、最大熱輸送量が向上しやすくなる。
【0329】
更に、ベーパーチャンバー5では、突出部51が第2ウィック層32側に埋め込まれた分だけ、ベーパーチャンバー1と比較して、ウィック30の厚み方向Tの寸法が小さくなるため、ベーパーチャンバーの薄型化が可能となる。
【0330】
<実施形態6>
本発明の実施形態6の熱拡散デバイスでは、本発明の実施形態3の熱拡散デバイスに対して、第1貫通孔の周縁に位置する突出部の内面の全体が、第2貫通孔の周縁に位置する突出部の外面の少なくとも一部に接している構成とした態様を示す。
【0331】
図16は、本発明の実施形態6の熱拡散デバイスにおける断面の一例を示す断面模式図である。
図17は、
図16に示す熱拡散デバイスの一部を拡大して示す断面模式図である。
【0332】
なお、
図16は、
図8に相当する位置における断面を示す。
【0333】
図16に示すベーパーチャンバー6において、第1貫通孔41の周縁に位置する突出部51の内面の全体は、第2貫通孔42の周縁に位置する突出部52の外面の少なくとも一部に接している。
図16及び
図17に示す例では、突出部51の内面の全体が、突出部52の外面の一部に接している。
【0334】
ベーパーチャンバー6では、突出部51の内面の全体が突出部52の外面の少なくとも一部に接していることにより、第1ウィック層31及び第2ウィック層32が、突出部51及び突出部52で更に強固にかしめられるため、両者の接合強度が更に高まる。
【0335】
更に、ベーパーチャンバー6では、突出部51の内面の全体が突出部52の外面の少なくとも一部に接していることにより、
図16及び
図17に示すような、突出部51が第2ウィック層32側に埋め込まれた構成とすることができる。よって、ベーパーチャンバー6では、突出部51が第2ウィック層32側に埋め込まれた分だけ、ベーパーチャンバー3と比較して、第1ウィック層31と第1内面10aとの間の蒸気流路が広がるため、熱拡散性が向上しやすくなり、結果的に、最大熱輸送量が向上しやすくなる。
【0336】
更に、ベーパーチャンバー6では、突出部51が第2ウィック層32側に埋め込まれた分だけ、ベーパーチャンバー3と比較して、ウィック30の厚み方向Tの寸法が小さくなるため、ベーパーチャンバーの薄型化が可能となる。
【0337】
<その他の実施形態>
本発明の熱拡散デバイスについて、実施形態1~6以外の実施形態として、以下の態様が挙げられる。
【0338】
本発明の実施形態2、4の熱拡散デバイスに対して、第1貫通孔の周縁に位置する突出部の内面の全体が、第2貫通孔の周縁に位置する突出部の外面の少なくとも一部に接している構成としてもよい。
【0339】
本発明の実施形態2、4の熱拡散デバイスに対して、第2貫通孔の周縁に位置する突出部の内面の全体が、第3貫通孔の周縁に位置する突出部の外面の少なくとも一部に接している構成としてもよい。
【0340】
本発明の実施形態1~6の熱拡散デバイス(ウィック層の積層数が2層又は3層である態様)に対して、ウィック層の積層数を4層以上としてもよい。つまり、本発明の熱拡散デバイスにおいて、ウィック層の積層数は、特に限定されない。
【0341】
上述したように、複数のウィック層が積層された従来のベーパーチャンバーでは、特に、蒸気流路から遠いウィック層において、液相の作動媒体を駆動する駆動力が弱くなりやすいため、液相の作動媒体が移動しにくくなるおそれがある。このような問題は、ウィック層の積層数が多くなるほど顕著になりやすく、例えば、蒸気流路からより遠いウィック層において顕著になりやすい。
【0342】
これに対して、本発明の熱拡散デバイスによれば、ウィック層の積層数を、2層、3層、4層、5層、6層等と、筐体の内部空間の厚み方向の寸法の範囲内で増やしても、本発明の実施形態1~6の熱拡散デバイスと同様のメカニズムで、蒸気流路から遠いウィック層においても、液相の作動媒体を駆動する駆動力が確保される。そのため、本発明の熱拡散デバイスによれば、ウィック層の積層数を増やすことで、液体流路がウィックを透過する領域の断面積を大きくする分、最大熱輸送量を大幅に向上できる。
【0343】
なお、本発明の実施形態1~6の熱拡散デバイスでは、第1ウィック層が、ウィックのうちで、厚み方向において最も第1内面側に位置している態様を示したが、第1ウィック層は、ウィックのうちで、厚み方向において最も第1内面側に位置していなくてもよい。例えば、第1ウィック層の第1内面側には、少なくとも1つのウィック層が更に積層されていてもよい。
【0344】
また、本発明の実施形態1~6の熱拡散デバイスでは、第2ウィック層又は第3ウィック層が、ウィックのうちで、厚み方向において最も第2内面側に位置している態様を示したが、第2ウィック層又は第3ウィック層は、ウィックのうちで、厚み方向において最も第2内面側に位置していなくてもよい。例えば、第2ウィック層又は第3ウィック層の第2内面側には、少なくとも1つのウィック層が更に積層されていてもよい。
【0345】
[電子機器]
本発明の電子機器は、本発明の熱拡散デバイスを備える、ことを特徴とする。
【0346】
以下では、本発明の電子機器の一例として、本発明の実施形態1の熱拡散デバイスを有する電子機器について説明する。本発明の他の実施形態の熱拡散デバイスを有する電子機器についても同様である。
【0347】
図18は、本発明の電子機器の一例を示す斜視模式図である。
【0348】
図18に示す電子機器100は、ベーパーチャンバー1を有している。
【0349】
図18に示すように、電子機器100は、電子部品110を更に有していることが好ましい。
【0350】
図18に示すように、電子部品110は、ベーパーチャンバー1の筐体10の外面に設けられていることが好ましい。この場合、電子部品110を
図1に示す熱源HSとして、ベーパーチャンバー1が機能できる。
【0351】
電子部品110は、
図3に示すベーパーチャンバー1の筐体10に対して、筐体10の第1内面10aと反対側の外面、ここでは、第1シート11の外面に設けられていてもよいし、筐体10の第2内面10bと反対側の外面、ここでは、第2シート12の外面に設けられていてもよい。
【0352】
電子部品110は、筐体10の外面に直に設けられていてもよいし、熱伝導性の高い粘着剤、シート、テープ等の他の部材を介して設けられていてもよい。
【0353】
電子部品110は、筐体10の外面に設けられたときに、厚み方向Tから見て蒸発部EPに重なっていることが好ましい。
【0354】
電子部品110としては、例えば、中央処理装置(CPU)、発光ダイオード(LED)、パワー半導体等の発熱素子が挙げられる。
【0355】
図18に示すように、電子機器100は、機器筐体120を更に有していることが好ましい。
【0356】
図18に示す例において、ベーパーチャンバー1及び電子部品110は、機器筐体120の内部空間に設けられている。
【0357】
筐体10と機器筐体120とは、接合部材を介して接合されていることが好ましい。より具体的には、筐体10の外面と機器筐体120の内面とは、接合部材を介して接合されていることが好ましい。この場合、筐体10と機器筐体120との密着性が向上する。
【0358】
筐体10と機器筐体120とを接合する接合部材は、熱伝導性部材であることが好ましい。この場合、熱源HSからの熱、ここでは、電子部品110からの熱が、筐体10から機器筐体120へ伝導しやすくなる。つまり、筐体10から機器筐体120への経路によっても、熱源HSからの熱、ここでは、電子部品110からの熱が拡散しやすくなる。
【0359】
熱伝導性部材としては、例えば、熱伝導性テープ、熱伝導性粘着剤等が挙げられる。
【0360】
上述したように、ベーパーチャンバー1は、外部動力を必要とすることなく自立的に作動し、更には、作動媒体20の蒸発潜熱及び凝縮潜熱を利用することにより、熱源HSからの熱、ここでは、電子部品110からの熱を二次元的に高速で拡散できる。以上のことから、ベーパーチャンバー1を有する電子機器100により、電子機器100の内部の限られたスペースにおいて、放熱を効果的に実現できる。
【0361】
本明細書には、以下の内容が開示されている。
【0362】
<1>
厚み方向に対向する第1内面及び第2内面を有し、かつ、内部空間が設けられた筐体と、
上記筐体の上記内部空間に封入された作動媒体と、
上記筐体の上記内部空間に設けられたウィックと、を備え、
上記ウィックは、上記厚み方向において、第1ウィック層と、上記第1ウィック層の上記第2内面側に隣り合う第2ウィック層と、を含み、
上記第1ウィック層には、上記厚み方向において第1貫通孔が設けられ、
上記第2ウィック層には、上記厚み方向において上記第1内面に近づく突出部が周縁に位置する第2貫通孔が設けられ、
上記厚み方向から見たとき、上記第2貫通孔は、上記第1貫通孔に重なり、
上記厚み方向において、上記第2貫通孔の周縁に位置する上記突出部の上記第1内面側の端部と上記第2内面との間の距離をA1、上記第1貫通孔の上記第2内面側の端部と上記第2内面との間の距離をB1としたとき、A1≧B1の関係を満たす、ことを特徴とする熱拡散デバイス。
【0363】
<2>
上記第1ウィック層には、上記第1貫通孔に加えて、上記厚み方向から見たときに上記第2貫通孔に重ならない貫通孔が更に設けられ、
上記厚み方向において、上記第1ウィック層の上記第1貫通孔以外の上記貫通孔の上記第1内面側の端部と上記第2内面との間の距離をC1としたとき、A1≧C1の関係を満たす、<1>に記載の熱拡散デバイス。
【0364】
<3>
上記厚み方向において、上記第1貫通孔の上記第1内面側の端部と上記第2内面との間の距離をD1としたとき、A1≧D1の関係を満たす、<1>又は<2>に記載の熱拡散デバイス。
【0365】
<4>
上記第1貫通孔の周縁には、上記厚み方向において上記第1内面に近づく突出部が位置している、<1>~<3>のいずれか1つに記載の熱拡散デバイス。
【0366】
<5>
上記第1貫通孔の周縁に位置する上記突出部の内面の少なくとも一部は、上記第2貫通孔の周縁に位置する上記突出部の外面の少なくとも一部に接している、<4>に記載の熱拡散デバイス。
【0367】
<6>
上記第1貫通孔の周縁に位置する上記突出部の内面の全体は、上記第2貫通孔の周縁に位置する上記突出部の外面の少なくとも一部に接している、<5>に記載の熱拡散デバイス。
【0368】
<7>
上記第1ウィック層は、上記ウィックのうちで、上記厚み方向において最も上記第1内面側に位置し、
上記第2ウィック層は、上記ウィックのうちで、上記厚み方向において最も上記第2内面側に位置している、<1>~<6>のいずれか1つに記載の熱拡散デバイス。
【0369】
<8>
上記ウィックは、上記厚み方向において上記第2ウィック層の上記第2内面側に隣り合う第3ウィック層を更に含んでいる、<1>~<6>のいずれか1つに記載の熱拡散デバイス。
【0370】
<9>
上記第3ウィック層には、上記厚み方向において上記第1内面に近づく突出部が周縁に位置する第3貫通孔が設けられ、
上記厚み方向から見たとき、上記第3貫通孔は、上記第2貫通孔に重なり、
上記厚み方向において、上記第3貫通孔の周縁に位置する上記突出部の上記第1内面側の端部と上記第2内面との間の距離をA2、上記第2貫通孔の上記第2内面側の端部と上記第2内面との間の距離をB2としたとき、A2≧B2の関係を満たす、<8>に記載の熱拡散デバイス。
【0371】
<10>
上記第2ウィック層には、上記第2貫通孔に加えて、上記厚み方向から見たときに上記第3貫通孔に重ならない貫通孔が更に設けられ、
上記厚み方向において、上記第2ウィック層の上記第2貫通孔以外の上記貫通孔の上記第1内面側の端部と上記第2内面との間の距離をC2としたとき、A2≧C2の関係を満たす、<9>に記載の熱拡散デバイス。
【0372】
<11>
上記厚み方向において、上記第2貫通孔の上記第1内面側の端部と上記第2内面との間の距離をD2としたとき、A2≧D2の関係を満たす、<9>又は<10>に記載の熱拡散デバイス。
【0373】
<12>
A2≧B1の関係を満たす、<9>~<11>のいずれか1つに記載の熱拡散デバイス。
【0374】
<13>
上記第1ウィック層には、上記第1貫通孔に加えて、上記厚み方向から見たときに上記第2貫通孔に重ならない貫通孔が更に設けられ、
上記厚み方向において、上記第1ウィック層の上記第1貫通孔以外の上記貫通孔の上記第1内面側の端部と上記第2内面との間の距離をC1としたとき、A2≧C1の関係を満たす、<12>に記載の熱拡散デバイス。
【0375】
<14>
上記厚み方向において、上記第1貫通孔の上記第1内面側の端部と上記第2内面との間の距離をD1としたとき、A2≧D1の関係を満たす、<12>又は<13>に記載の熱拡散デバイス。
【0376】
<15>
上記第1ウィック層は、上記ウィックのうちで、上記厚み方向において最も上記第1内面側に位置し、
上記第3ウィック層は、上記ウィックのうちで、上記厚み方向において最も上記第2内面側に位置している、<8>~<14>のいずれか1つに記載の熱拡散デバイス。
【0377】
<16>
上記厚み方向において、上記ウィックと上記第1内面との間の距離は、上記ウィックと上記第2内面との間の距離よりも大きい、<1>~<15>のいずれか1つに記載の熱拡散デバイス。
【0378】
<17>
<1>~<16>のいずれか1つに記載の熱拡散デバイスを備える、ことを特徴とする電子機器。
【産業上の利用可能性】
【0379】
本発明の熱拡散デバイスは、携帯情報端末等の分野において、広範な用途に使用可能である。本発明の熱拡散デバイスは、例えば、中央処理装置等の熱源の温度を下げ、電子機器の使用時間を延ばすために使用可能であり、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン、ゲーム機器、ウェアラブルデバイス等の電子機器に使用可能である。
【符号の説明】
【0380】
1、2、3、4、5、6 ベーパーチャンバー(熱拡散デバイス)
10 筐体
10a 第1内面
10b 第2内面
11 第1シート
12 第2シート
20 作動媒体
30 ウィック
31 第1ウィック層
32 第2ウィック層
33 第3ウィック層
41 第1貫通孔
42 第2貫通孔
43 第3貫通孔
41A、41B、41C、41D、42A、42B、42C、42D、43A、43B、43C、43D 貫通孔
51、51A、51C、51D、52、52A、52C、52D、53、53A、53C、53D 突出部
52a 第2ウィック層の第2貫通孔の周縁に位置する突出部の第1内面側の端部
53a 第3ウィック層の第3貫通孔の周縁に位置する突出部の第1内面側の端部
100 電子機器
110 電子部品
120 機器筐体
A1 第2ウィック層の第2貫通孔の周縁に位置する突出部の第1内面側の端部と第2内面との間の距離
A2 第3ウィック層の第3貫通孔の周縁に位置する突出部の第1内面側の端部と第2内面との間の距離
B1 第1ウィック層の第1貫通孔の第2内面側の端部と第2内面との間の距離
B2 第2ウィック層の第2貫通孔の第2内面側の端部と第2内面との間の距離
C1 第1ウィック層の第1貫通孔以外の貫通孔の第1内面側の端部と第2内面との間の距離
C2 第2ウィック層の第2貫通孔以外の貫通孔の第1内面側の端部と第2内面との間の距離
D1 第1ウィック層の第1貫通孔の第1内面側の端部と第2内面との間の距離
D2 第2ウィック層の第2貫通孔の第1内面側の端部と第2内面との間の距離
EP 蒸発部
HS 熱源
L 長さ方向
P1 第1ウィック層の第1貫通孔の第2内面側の端部
P2 第2ウィック層の第2貫通孔の第2内面側の端部
Q1 第1ウィック層の第1貫通孔以外の貫通孔の第1内面側の端部
Q2 第2ウィック層の第2貫通孔以外の貫通孔の第1内面側の端部
R1 第1ウィック層の第1貫通孔の第1内面側の端部
R2 第2ウィック層の第2貫通孔の第1内面側の端部
T 厚み方向
W 幅方向