(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179149
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】面格子の取り付け構造
(51)【国際特許分類】
E06B 9/01 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
E06B9/01 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097748
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】390006530
【氏名又は名称】松本金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】西元 健太
【テーマコード(参考)】
2E020
【Fターム(参考)】
2E020AA02
2E020BA04
2E020BB02
2E020BC01
2E020CA04
(57)【要約】
【課題】面格子の縦枠材に対して各ブラケットの固定部を一点止めすることによる面格子の着脱性を低下させることなく、面格子に対してその面内方向からの過大な荷重が加えられた場合に、面格子取り付け用の各ブラケットが座屈する虞を回避できるようにする。
【解決手段】面格子10の縦枠材11Aに止具1による一点止めで固定される固定部32A,40Bを有する複数のブラケット30,40を介して、面格子10をサッシ枠21に取り付ける面格子の取り付け構造において、縦枠材11Aに備えられた面格子側当接部51と固定部32A,40Bに備えられたブラケット側当接部52との当接で、縦枠材11Aに対する固定部32A,40Bの止具1を支軸にした回転を阻止する回り止め部50が備えられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面格子の縦枠材に止具による一点止めで固定される固定部を有する複数のブラケットを介して、前記面格子をサッシ枠に取り付ける面格子の取り付け構造であって、
前記縦枠材に備えられた面格子側当接部と前記固定部に備えられたブラケット側当接部との当接で、前記縦枠材に対する前記固定部の前記止具を支軸にした回転を阻止する回り止め部が備えられている面格子の取り付け構造。
【請求項2】
前記面格子側当接部が前記縦枠材と別部材で構成されている請求項1に記載の面格子の取り付け構造。
【請求項3】
前記回り止め部には、複数の前記面格子側当接部と複数の前記ブラケット側当接部とが備えられている請求項1又は2に記載の面格子の取り付け構造。
【請求項4】
前記固定部には、前記止具による一点止め用の貫通孔として前記面格子の左右幅方向に延びる長孔が備えられるとともに、前記ブラケット側当接部が上下の端縁部に備えられ、
前記面格子側当接部は、前記固定部の上下に位置する状態で前記縦枠材に備えられている請求項3に記載の面格子の取り付け構造。
【請求項5】
前記面格子側当接部には、前記ブラケット側当接部の乗り上がりを防止する乗上防止部が備えられている請求項1又は2に記載の面格子の取り付け構造。
【請求項6】
前記面格子側当接部は、その端縁部が前記乗上防止部となるように、前記ブラケット側当接部における前記縦枠材からの突出長さよりも大きい厚みを有する板材で構成されている請求項5に記載の面格子の取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面格子の縦枠材に止具による一点止めで固定される固定部を有する複数のブラケットを介して、前記面格子をサッシ枠に取り付ける面格子の取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景技術としては、例えば、面格子の縦枠材(たて枠)にボルトなどの止具による一点止めで固定される固定部を有する複数のブラケット(固定金具)を介して、面格子をサッシ枠に取り付ける面格子の取り付け構造がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に記載された面格子の取り付け構造においては、ボルトなどの止具を使用した面格子の縦枠材に対する各ブラケットの固定箇所を少なくすることで、面格子を複数のブラケットを介してサッシ枠に取り付ける場合の作業時間の短縮を図れるようにしている。又、面格子の取り付け後に、例えば、窓ガラスの室外側に対する拭き掃除や、ガラス窓の室外側に備えられた網戸の掃除などを行う場合には、面格子の縦枠材と各ブラケットの固定部との、それらの一点止め箇所での止具による固定を解除することで、面格子を短時間で容易に取り外せるようにして、室外側からの窓ガラスの拭き掃除や網戸の掃除などを行い易くしている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された面格子の取り付け構造においては、面格子の縦枠材と各ブラケットの固定部とが、ボルトなどの止具による一点止めで固定されていることにより、面格子に対してその上下方向などの面内方向からの過大な荷重が加えられた場合に、面格子の縦枠材に対して各ブラケットの固定部側が、それらの1点止め箇所の止具を支軸にして回転し、この回転に起因して各ブラケットが座屈する不都合を招く虞がある。
【0006】
上記のような各ブラケットの座屈を回避するために、各ブラケットの固定部を、ボルトなどの止具による二点止めで面格子の縦枠材に固定することが考えられるが、この場合には、前述した面格子の着脱性を低下させることになり、これにより、室外側からの窓ガラスの拭き掃除や網戸の掃除などが行い難くなる。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、面格子の縦枠材に対して各ブラケットの固定部を一点止めすることによる面格子の着脱性を低下させることなく、面格子に対してその面内方向からの過大な荷重が加えられた場合に、面格子取り付け用の各ブラケットが座屈する虞を回避できるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1特徴構成は、面格子の縦枠材に止具による一点止めで固定される固定部を有する複数のブラケットを介して、前記面格子をサッシ枠に取り付ける面格子の取り付け構造であって、
前記縦枠材に備えられた面格子側当接部と前記固定部に備えられたブラケット側当接部との当接で、前記縦枠材に対する前記固定部の前記止具を支軸にした回転を阻止する回り止め部が備えられている点にある。
【0009】
本構成によると、面格子に対してその上下方向などの面内方向からの過大な荷重が加えられた場合には、その荷重に起因した面格子の縦枠材に対する各ブラケットの固定部側の、それらの1点止め箇所のボルトなどの止具を支軸にした回転が、縦枠材の面格子側当接部と固定部のブラケット側当接部との当接で阻止されることから、その回転に起因した各ブラケットの座屈を回避することができる。
その結果、面格子の縦枠材に対して各ブラケットの固定部をボルトなどの止具で一点止めすることによる面格子の着脱性を低下させることなく、面格子に対してその面内方向からの過大な荷重が加えられた場合に、面格子取り付け用の各ブラケットが座屈する虞を回避することができる。
【0010】
本発明の第2特徴構成は、前記面格子側当接部が前記縦枠材と別部材で構成されている点にある。
【0011】
本構成によると、縦枠材における面格子側当接部の位置を、固定部のブラケット側当接部との当接をより好適に行えるより適切な位置に微調整することが可能になる。これにより、面格子側当接部とブラケット側当接部との当接にて、面格子の縦枠材に対する各ブラケットの固定部側の、それらの1点止め箇所のボルトなどの止具を支軸にした回転をより好適に阻止することができる。
その結果、面格子に対してその面内方向からの過大な荷重が加えられた場合に、面格子取り付け用の各ブラケットが座屈する虞をより確実に回避することができる。
【0012】
本発明の第3特徴構成は、前記回り止め部には、複数の前記面格子側当接部と複数の前記ブラケット側当接部とが備えられている点にある。
【0013】
本構成によると、面格子の縦枠材に対する各ブラケットの固定部側の、それらの1点止め箇所のボルトなどの止具を支軸にした回転が、縦枠材の複数の面格子側当接部と固定部の複数のブラケット側当接部との当接で阻止されることで、その回転を阻止する際に各当接部にかかる荷重を小さくすることができる。これにより、その荷重で面格子側当接部又はブラケット側当接部が損傷して、面格子の縦枠材に対する各ブラケットの固定部側の回転を阻止することができなくなる虞を回避することができる。
その結果、面格子に対してその面内方向からの過大な荷重が加えられた場合に、面格子取り付け用の各ブラケットが座屈する虞をより確実に回避することができる。
【0014】
本発明の第4特徴構成は、前記固定部には、前記止具による一点止め用の貫通孔として前記面格子の左右幅方向に延びる長孔が備えられるとともに、前記ブラケット側当接部が上下の端縁部に備えられ、
前記面格子側当接部は、前記固定部の上下に位置する状態で前記縦枠材に備えられている点にある。
【0015】
本構成によると、サッシ枠や面格子の製造誤差などに起因した面格子の縦枠材に対する各ブラケットの左右方向での位置ずれを吸収できるようにしながら、面格子の縦枠材に対する各ブラケットの固定部側の、それらの1点止め箇所のボルトなどの止具を支軸にした回転を、縦枠材の上下の面格子側当接部と固定部の上下のブラケット側当接部との当接で、各当接部にかかる荷重を小さくした状態で阻止することができる。
その結果、サッシ枠に対する各ブラケットを介した面格子の組付け性を向上させながら、面格子に対してその面内方向からの過大な荷重が加えられた場合に、面格子取り付け用の各ブラケットが座屈する虞をより確実に回避することができる。
【0016】
本発明の第5特徴構成は、前記面格子側当接部には、前記ブラケット側当接部の乗り上がりを防止する乗上防止部が備えられている点にある。
【0017】
本構成によると、面格子に対してその面内方向から過大な荷重が加えられて、面格子の縦枠材に備えられた面格子側当接部と各ブラケットの固定部に備えられたブラケット側当接部とが当接する際には、面格子側当接部の乗上防止部にて、面格子側当接部に対するブラケット側当接部の乗り上がりが防止される。これにより、ブラケット側当接部の乗り上がりで、面格子の縦枠材に対する各ブラケットの固定部側の、それらの1点止め箇所のボルトなどの止具を支軸にした回転が阻止されなくなる虞を回避することができる。
その結果、面格子に対してその面内方向からの過大な荷重が加えられた場合に、面格子取り付け用の各ブラケットが座屈する虞をより確実に回避することができる。
【0018】
本発明の第6特徴構成は、前記面格子側当接部は、その端縁部が前記乗上防止部となるように、前記ブラケット側当接部における前記縦枠材からの突出長さよりも大きい厚みを有する板材で構成されている点にある。
【0019】
本構成によると、面格子側当接部として、前述した大きい厚みを有する板材を面格子の縦枠材に備えるだけの比較的簡単な構成で、面格子に対してその面内方向から過大な荷重が加えられて、面格子の縦枠材に備えられた面格子側当接部と各ブラケットの固定部に備えられたブラケット側当接部とが当接する際には、面格子側当接部の端縁部にて、面格子側当接部に対するブラケット側当接部の乗り上がりを防止することができる。これにより、面格子側当接部に対するブラケット側当接部の乗り上がりで、面格子の縦枠材に対する各ブラケットの固定部側の、それらの1点止め箇所のボルトなどの止具を支軸にした回転が阻止されなくなる虞を回避することができる。
その結果、構成の簡素化を図りながら、面格子に対してその面内方向からの過大な荷重が加えられた場合に、面格子取り付け用の各ブラケットが座屈する虞をより確実に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】(a)は面格子を所定の取り付け位置に取り付けた状態を示す側面図、(b)は面格子をメンテナンス位置に揺動変位させた状態を示す側面図
【
図3】ブラケットを介して面格子をサッシ枠に取り付けた状態を示す垂直断面図
【
図4】ブラケットを介して面格子をサッシ枠に取り付けた状態を示す水平断面図
【
図5】(a)はブラケットや回り止め部などの構成を示す要部の正面図、(b)は回り止め部の構成を示す要部の垂直断面図
【
図6】上側ブラケットや回り止め部などの構成を示す要部の分解斜視図
【
図7】下側ブラケットや回り止め部などの構成を示す要部の分解斜視図
【
図8】別実施形態でのブラケットや回り止め部などの構成を示す要部の分解斜視図
【
図9】別実施形態でのブラケットや回り止め部などの構成を示す要部の分解斜視図
【
図10】別実施形態でのブラケットや回り止め部などの構成を示す要部の分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る面格子の取り付け構造の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1~4に示すように、本実施形態で例示する面格子10は、素材としてアルミニウム合金やステンレスなどが使用された金属製で、例えば、戸建て住宅や、マンションなどの集合住宅に備えられる建具であるガラス窓20(
図1参照)の室外側に設置されるものであり、この設置により、ガラス窓20からの採光性や換気性などを損なうことなく、防犯性などを高めることができる。
尚、本実施形態においては、ガラス窓20の室外側に設置された面格子10における室内側の面を面格子10の正面としている。
【0023】
図1~4に示すように、面格子10は、ガラス窓20の室外側に固定される固定枠11と、固定枠11の枠内に縦向きに備えられる複数の縦格子材12とを有する縦面格子である。固定枠11は、左右の縦枠材11Aと上下の横枠材11Bとを有する四方枠である。
尚、本実施形態では、面格子10として縦面格子を例示しているが、これに限らず、面格子10は、例えば、横面格子、井桁面格子、ヒシクロス面格子、可動ルーバー面格子などであってもよい。
【0024】
図1~4、
図5の(a)に示すように、ガラス窓20は、矩形に形成されたサッシ枠21の枠内に、室内側の内障子22と室外側の外障子23とが左右方向にスライド自在に備えられた引き違い窓である。ガラス窓20には、サッシ枠21における外障子23よりも室外側の位置に左右方向にスライド自在に備えられる網戸(図示せず)が含まれている。サッシ枠21は、左右の枠用縦材21Aと上下の枠用横材21B,21Cとを有する四方枠である。左右の枠用縦材21Aには、サッシ枠21に対する面格子10の取り付けを可能にする取付片21aが備えられている。取付片21aは、各枠用縦材21Aの室外側端部において、それらの端部からサッシ枠21の面内方向枠内側に延出している。内障子22と外障子23は、矩形に形成された障子枠22A,23Aと、それらの枠内に嵌め込まれる窓ガラス(複層ガラス)22B,23Bとを有している。
【0025】
図1~7に示すように、面格子10は、その左右の縦枠材11Aの上部が、左右の上側ブラケット30を介してサッシ枠21に取り付けられている。面格子10は、その左右の縦枠材11Aの下部が、左右の下側ブラケット40を介してサッシ枠21に取り付けられている。左右の縦枠材11Aは、それらの上部と下部のそれぞれに、それらの正面部に対する上側ブラケット30又は下側ブラケット40のボルト(止具の一例)1による一点止めを可能にする単一の雌ネジ部11a(
図6~7参照)が備えられている。
尚、本実施形態では、止具1としてボルトを例示しているが、これに限らず、例えば止具1としてビスなどを採用するようにしてもよい。
【0026】
図2~6に示すように、各上側ブラケット30は、サッシ枠21の枠用縦材21Aに取り付けられる鋼板製の第1部材31と、第1部材31に上下揺動自在にピン連結される鋼板製の第2部材32と有している。第1部材31の一端部には、枠用縦材21Aの取付片21aを強固に挟持する挟持部31Aが形成されている。第2部材32は、面格子10における縦枠材11Aの正面部に固定される固定部32Aを有するL字状に屈曲形成されている。固定部32Aには、縦枠材11Aに対する固定部32Aのボルト1による一点止めを可能にする一点止め用の貫通孔32aとして、面格子10の左右幅方向に延びる長孔が備えられている。
【0027】
図2~5、
図7に示すように、各下側ブラケット40は、鋼板製で、それらの一端部には、枠用縦材21Aの取付片21aを強固に挟持する挟持部40Aが形成されている。各下側ブラケット40は、それらの他端部に、面格子10における縦枠材11Aの正面部に固定される固定部40Bを有している。固定部40Bには、縦枠材11Aに対する固定部40Bのボルト1による一点止めを可能にする一点止め用の貫通孔40aとして、面格子10の左右幅方向に延びる長孔が備えられている。
【0028】
つまり、本実施形態で例示する面格子10の取り付け構造においては、サッシ枠21の左右いずれかの取付片21aを挟持することでサッシ枠21に固定される挟持部31A,40Aと、面格子10の左右いずれかの縦枠材11Aにボルト1による一点止めで固定される固定部32A,40Bと、を有する4つのブラケット30,40を介して、面格子10がサッシ枠21に取り付けられている。
【0029】
このような取り付け構造を採用することにより、4つのブラケット30,40を介したサッシ枠21に対する面格子10の取り付けを、面格子10やサッシ枠21に対する各ブラケット30,40のボルト1による固定箇所を少なくした簡便な状態で行うことができる。これにより、ブラケット30,40を介したサッシ枠21に対する面格子10の取り付けに要する作業時間の短縮を図ることができる。又、面格子10の取り付け後に、例えば、窓ガラス22B,23Bの室外側に対する拭き掃除や、ガラス窓20の室外側に備えられた網戸の掃除などを行う場合には、
図2に示すように、面格子10の左右の縦枠材11Aと左右の下側ブラケット40の固定部40Bとの、それらの一点止め箇所でのボルト1による固定を解除して、面格子10の下部側を左右の下側ブラケット40から取り外すことで、左右の上側ブラケット30における第1部材31と第2部材32とのピン連結箇所を支点にして、面格子10を所定の取り付け位置(
図2の(a)参照)から室外側上方のメンテナンス位置(
図2の(b)参照)に揺動変位させることができる。これにより、面格子10とガラス窓20との間に作業空間を容易に確保することができ、室外側からの窓ガラス22B,23Bの拭き掃除や網戸の掃除などのメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0030】
ところで、上記のような取り付け構造を採用すると、面格子10に対してその上下方向などの面内方向からの過大な荷重が加えられた場合に、面格子10の左右の縦枠材11Aに対して各ブラケット30,40の固定部32A,40B側が、それらの1点止め箇所のボルト1を支軸にして回転し、この回転に起因して各ブラケット30,40が座屈する不都合を招く虞がある。
【0031】
そこで、本実施形態で例示する面格子10の取り付け構造においては、
図1~7に示すように、面格子10の左右の縦枠材11Aに対する各ブラケット30,40の、それらの1点止め箇所のボルト1を支軸にした回転を阻止する回り止め部50が、左右の縦枠材11Aと各ブラケット30,40との接合箇所のそれぞれに備えられている。回り止め部50は、面格子10の左右の縦枠材11Aに備えられた面格子側当接部51と、各ブラケット30,40の固定部32A,40Bに備えられたブラケット側当接部52との当接で、左右の縦枠材11Aに対する各ブラケット30,40の固定部32A,40Bの、それらの1点止め箇所のボルト1を支軸にした回転を阻止するように構成されている。
【0032】
この構成により、面格子10に対してその上下方向などの面内方向からの過大な荷重が加えられた場合には、その荷重に起因した面格子10の左右の縦枠材11Aに対する各ブラケット30,40の固定部32A,40B側の、それらの1点止め箇所のボルト1を支軸にした回転が、左右の縦枠材11Aの面格子側当接部51と各固定部32A,40Bのブラケット側当接部52との当接で阻止されることから、その回転に起因した各ブラケット30,40の座屈を回避することができる。
【0033】
その結果、面格子10の左右の縦枠材11Aに対して各ブラケット30,40の固定部32A,40Bをボルト1で一点止めすることによる面格子10の着脱性を低下させることなく、面格子10に対してその面内方向からの過大な荷重が加えられた場合に、面格子取り付け用の各ブラケット30,40が座屈する虞を回避することができる。
【0034】
各回り止め部50において、左右の縦枠材11Aに備えられる面格子側当接部51は、左右の縦枠材11Aとは別部材となる鋼板製の当て板2で構成されている。当て板2は、左右の縦枠材11Aに固定された各ブラケット30,40の固定部32A,40Bに対する上下の隣接箇所のそれぞれに、固定部32A,40Bを上下方向から挟み込む配置で縦枠材11Aに取り付けられる。つまり、各回り止め部50には、上下の当て板2にて構成される上下2つの面格子側当接部51が備えられている。各当て板2には、左右の縦枠材11Aに対する上下一対のボルト3(
図6~7参照)による取り付けを可能にする貫通孔2aが備えられている。左右の縦枠材11Aは、それらの上部と下部のそれぞれに、それらの正面部に対する上下一対ずつの当て板2のボルト3による二点止めを可能にする4つの雌ネジ部11b(
図6~7参照)が備えられている。これにより、各当て板2は、上下一対のボルト3にて、縦枠材11Aに対する回転が阻止された状態で縦枠材11Aに取り付けられる。各当て板2は、縦枠材11Aの左右幅と同じか、それよりも少し短い左右幅を有しており、左右の縦枠材11Aに対する取り付け状態では、当て板2が縦枠材11Aの左右幅内に収まるようになっている。
尚、本実施形態では、左右の縦枠材11Aに対する各当て板2の取り付けを、左右の縦枠材11Aに備えた雌ネジ部11bとボルト3とで行うようにしたが、これに限らず、例えば、左右の縦枠材11Aに備えた取付孔とリベットとで行うようにしてもよく、又、ビスなどで行うようにしてもよい。
【0035】
一方、各ブラケット30,40の固定部32A,40Bに備えられるブラケット側当接部52には、
図3、
図5~7に示すように、上側の当て板2に隣接する固定部32A,40Bの上側端縁部32b,40bにて構成されるものと、下側の当て板2に隣接する固定部32A,40Bの下側端縁部32c,40cにて構成されるものとがある。つまり、各回り止め部50には、各ブラケット30,40の固定部32A,40Bにおける上下の端縁部32b,32c,40b,40cにて構成される上下2つのブラケット側当接部52が備えられている。
【0036】
つまり、本実施形態で例示する面格子10の取り付け構造においては、各面格子側当接部51が左右の縦枠材11Aと別部材の当て板2で構成されることにより、左右の縦枠材11Aにおける各面格子側当接部51の位置を、各ブラケット30,40の固定部32A,40Bに備えられたブラケット側当接部52との当接をより好適に行えるより適切な位置に微調整することが可能になる。これにより、各面格子側当接部51と各ブラケット側当接部52との当接にて、面格子10の左右の縦枠材11Aに対する各ブラケット30,40の固定部32A,40B側の、それらの1点止め箇所のボルト1を支軸にした回転をより好適に阻止することができる。
【0037】
又、各回り止め部50には、面格子側当接部51とブラケット側当接部52とが上下2つずつ備えられていることにより、面格子10の左右の縦枠材11Aに対する各ブラケット30,40の固定部32A,40B側の、それらの1点止め箇所のボルト1を支軸にした回転を阻止する際に、各当接部51,52にかかる荷重を小さくすることができる。これにより、その荷重で面格子側当接部51又はブラケット側当接部52が損傷して、面格子10の左右の縦枠材11Aに対する各ブラケット30,40の固定部32A,40B側の回転を阻止することができなくなる虞を回避することができる。
【0038】
更に、本実施形態で例示する面格子10の取り付け構造においては、各ブラケット30,40の固定部32A,40Bには、ボルト1による一点止め用の貫通孔32a,40aとして面格子10の左右幅方向に延びる長孔が備えられるとともに、各ブラケット側当接部52が固定部32A,40Bにおける上下の端縁部32b,32c,40b,40cにて構成され、又、各面格子側当接部51が、各固定部32A,40Bの上下の端縁部32b,32c,40b,40cに隣接する状態で左右の縦枠材11Aに備えられている。これにより、サッシ枠21や面格子10の製造誤差などに起因した面格子10の左右の縦枠材11Aに対する各ブラケット30,40の左右方向での位置ずれを吸収できるようにしながら、面格子10の左右の縦枠材11Aに対する各ブラケット30,40の固定部32A,40B側の、それらの1点止め箇所のボルト1を支軸にした回転を、上下に隣接する面格子側当接部51とブラケット側当接部52との当接で阻止することができる。
【0039】
その結果、サッシ枠21に対する各ブラケット30,40を介した面格子10の組付け性を向上させながら、面格子10に対してその面内方向からの過大な荷重が加えられた場合に、面格子取り付け用の各ブラケット30,40が座屈する虞をより確実に回避することができる。
【0040】
図3、
図5~7に示すように、各回り止め部50の面格子側当接部51には、ブラケット側当接部52の乗り上がりを防止する乗上防止部51Aが備えられている。各面格子側当接部51は、それらの上下の端縁部51a,51bである当て板2の上下いずれかの端縁部2b,2cが乗上防止部51Aとなるように、左右の縦枠材11Aに面接触する状態で固定されている各ブラケット30,40の固定部32A,40Bの板厚(ブラケット側当接部52における左右の縦枠材11Aからの突出長さ)よりも大きい厚みを有する鋼板材で構成されている。
【0041】
つまり、面格子側当接部51として、前述した大きい厚みを有する鋼板製の当て板2を面格子10の左右の縦枠材11Aに備えるだけの比較的簡単な構成で、面格子10に対してその面内方向から過大な荷重が加えられて、面格子側当接部51とブラケット側当接部52とが当接する際には、当て板2の端縁部2b,2cにて構成された面格子側当接部51の乗上防止部51Aにて、面格子側当接部51に対するブラケット側当接部52の乗り上がりを防止することができる。これにより、各面格子側当接部51に対するブラケット側当接部52の乗り上がりで、面格子10の左右の縦枠材11Aに対する各ブラケット30,40の固定部32A,40B側の、それらの1点止め箇所のボルト1を支軸にした回転が阻止されなくなる虞を回避することができる。
【0042】
その結果、構成の簡素化を図りながら、面格子10に対してその面内方向からの過大な荷重が加えられた場合に、面格子取り付け用の各ブラケット30,40が座屈する虞をより確実に回避することができる。
【0043】
〔別実施形態〕
本発明の別実施形態について説明する。
尚、以下に説明する各別実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、上記の実施形態や他の別実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0044】
(1)上記の実施形態においては、左右の縦枠材11Aに備えられる上下のブラケット30,40のうち、上側のブラケット30として、第1部材31と第2部材32とがピン連結されたものを例示したが、これに限らず、例えば、上側のブラケット30として下側のブラケット40と同じ構成のものを採用してもよい。
又、左右の縦枠材11Aに備えられる上下のブラケット30,40のうち、左右いずれか一方の縦枠材11Aに備えられる上下のブラケット30,40として、サッシ枠21に取り付けられる第1部材と、第1部材に左右揺動自在にピン連結された状態で縦枠材11Aに固定される第2部材と有するものを採用して、面格子10を、第1部材と第2部材とのピン連結箇所を支点にして、所定の取り付け位置から室外側の左右いずれか一方に揺動変位させることが可能となるように構成してもよい。
【0045】
(2)上記の実施形態においては、回り止め部50として、上下2つの面格子側当接部51が左右の縦枠材11Aと別部材の当て板2で構成されたものを例示したが、これに限らず、例えば、
図8に示すように、上下2つの面格子側当接部51は、左右の縦枠材11Aの正面部において、その左右幅方向に延びる切断線を入れて外向きに突出させることで、その左右幅方向に延びる切断端面aが、各ブラケット30,40の固定部32A,40Bにおける上下の端縁部32b,32c,40b,40cにて構成されたブラケット側当接部52に当接する形態で、外向きに突出するように一体形成された上下の突出部11cにて構成されるものであってもよい。
【0046】
(3)上記の実施形態においては、回り止め部50として、上下2つの面格子側当接部51が左右の縦枠材11Aと別部材の当て板2で構成され、上下2つのブラケット側当接部52が各ブラケット30,40の固定部32A,40Bにおける上下の端縁部32b,32c,40b,40cにて構成されたものを例示したが、これに限らず、例えば、
図9に示すように、上下2つの面格子側当接部51が、左右の縦枠材11Aの正面部において、その左右幅方向に延びるスリット11dを形成する上下の周縁部11eにて構成され、上下2つのブラケット側当接部52が、各ブラケット30,40の固定部32A,40Bにおける上下の端縁部32b,32c,40b,40cから、左右の縦枠材11Aのスリット11dに挿入可能な形態で延出するように、各ブラケット30,40の固定部32A,40Bに屈曲形成された上下の延出部32d,32e,40d,40eにて構成されるものであってもよい。
尚、この構成では、サッシ枠21や面格子10の製造誤差などに起因した面格子10の左右の縦枠材11Aに対する各ブラケット30,40の左右方向での位置ずれを吸収できるようにするために、各延出部32d,32e,40d,40eは、それらの左右幅が各スリット11dの左右幅よりも短くなるように形成されている。
又、この構成では、ブラケット側当接部52となる各延出部32d,32e,40d,40eが、面格子側当接部51に対するブラケット側当接部52の乗り上がりを防止する乗上防止部となる。
【0047】
(4)上記の実施形態においては、回り止め部50として、上下2つの面格子側当接部51と上下2つのブラケット側当接部52とが備えられたものを例示したが、これに限らず、例えば、単一の面格子側当接部51と単一のブラケット側当接部52とが備えられるものであってもよい。
この場合、例えば、回り止め部50として、前述した上下2つずつの面格子側当接部51とブラケット側当接部52のうち、上側の面格子側当接部51とブラケット側当接部52、又は、下側の面格子側当接部51とブラケット側当接部52のみが備えられるものであってもよい。
又、例えば、
図10に示すように、単一の面格子側当接部51が、面格子10における固定枠11の内周面を形成する左右の縦枠材11Aにおける左右いずれかの側面部11fにて形成され、単一のブラケット側当接部52が、各ブラケット30,40の固定部32A,40Bから、縦枠材11Aの側面部11fに当接可能な形態で延出するように、各ブラケット30,40の固定部32A,40Bに屈曲形成された延出部32f,40fにて構成されるものであってもよい。
尚、この構成では、ブラケット側当接部52となる各延出部32f,40fが、面格子側当接部51に対するブラケット側当接部52の乗り上がりを防止する乗上防止部となる。
【0048】
(5)上記の実施形態においては、固定部32A,40Bに備えられる一点止め用の貫通孔32a,40aとして、面格子10の左右幅方向に延びる長孔を例示したが、これに限らず、例えば、一点止めに使用するボルト1のネジ径よりの大径のルーズ孔であってもよい。
【0049】
(6)上記の実施形態においては、面格子側当接部51を、ブラケット側当接部52における縦枠材11Aからの突出長さよりも大きい厚みを有する鋼板製の当て板2で構成することで、当て板2における上下いずれかの端縁部2b,2cが乗上防止部51Aとなるものを例示したが、これに限らず、例えば、当て板2における上下いずれかの端縁部2b,2cを、その縦枠材11Aからの突出長さがブラケット側当接部52における縦枠材11Aからの突出長さよりも長くなるように屈曲させることで、当て板2における上下いずれかの端縁部2b,2cが乗上防止部51Aとなるように構成されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 ボルト(止具)
10 面格子
11A 縦枠材
21 サッシ枠
30 上側ブラケット
32A 固定部
32a 貫通孔
32b 上側端縁部
32c 下側端縁部
40 下側ブラケット
40B 固定部
40a 貫通孔
40b 上側端縁部
40c 下側端縁部
50 回り止め部
51 面格子側当接部
51A 乗上防止部
51a 上側端縁部
51b 下側端縁部
52 ブラケット側当接部