(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179162
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/48 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
B65H3/48 320A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097772
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】関口 肇
(72)【発明者】
【氏名】岩見 真語
(72)【発明者】
【氏名】古賀 寛人
(72)【発明者】
【氏名】中川 弘之
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA02
3F343FB02
3F343FC28
3F343GA02
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343JD28
3F343KB07
3F343LC04
3F343LD07
3F343MA05
3F343MA19
3F343MA47
3F343MB19
3F343MC13
(57)【要約】
【課題】 ファンは画像形成装置の外部に露出された状態で、突然にファンの稼働による音がするため、ユーザに不快感を与える虞がある。
【解決手段】 シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部を含む装置本体の側面に回動可能に設けられ、シートが載置されるトレイと、前記トレイに載置されるシートを前記画像形成部に向けて給送する給送部と、前記トレイに載置されたシートの端部に送風する送風部と、前記トレイに載置されるシートに対しての前記送風部による送風を開始する前に、前記送風部の稼働音に関する情報を画面に表示する表示部と、を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部を含む装置本体の側面に回動可能に設けられ、シートが載置されるトレイと、
前記トレイに載置されるシートを前記画像形成部に向けて給送する給送部と、
前記トレイに載置されたシートの端部に送風する送風部と、
前記トレイに載置されるシートに対しての前記送風部による送風を開始する前に、前記送風部の稼働音に関する情報を画面に表示する表示部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記表示部が前記送風部の稼働音に関する情報を画面に表示した後に受けた所定の指示に基づいて、前記トレイに載置されるシートに対しての前記送風部による送風を開始させる制御部を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記送風部によって前記トレイに載置されるシートに送風を開始する前に、前記表示部に前記送風部の稼働音に関する情報を表示し、かつ、ユーザによる前記送風部の稼働の選択を受け付け、前記選択に基づいて、前記送風部の稼働を制御する制御部を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記トレイに載置されるシートに関する情報を入力する入力部を備え、
前記入力部によって入力された前記シートに関する情報に基づいて、前記送風部の稼働音に関する情報を前記表示部に表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記シートに関する情報は、シートの種類の情報に基づく、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記トレイの近傍の騒音を検出する騒音センサと、
前記トレイの近傍の温湿度を検出する温湿度センサと、
前記騒音センサによって検出された第1検出値と、前記温湿度センサによって検出された第2検出値と基づいて、前記表示部に前記送風部の稼働音に関する情報を表示するのを制御する制御部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置において、画像形成装置の側面に手差し給送部が取付けられている。これは、画像形成装置内のカセット給送部ではセットできないサイズのシート(例えば、長尺紙、不定形サイズ、および小サイズ紙等)に対応するものである。また、シートを搬送する際に、ガイドから受ける搬送抵抗が大きくなり搬送できない高剛度の厚紙等にも対応するものである。つまり、多種多様なメディアに対応するものである。
【0003】
多種多様なメディアのうちコート紙は、表面が滑らかなため写真や色の再現性に優れている等で高品質の成果物を生成することが可能である。そして、近年では装置の生産性を向上させるため、そのコート紙を連続して給送することが求められている。しかし、コート紙は表面が滑らかであるためにシート同士の吸着力が高く、容易にシート同士を分離することが困難であった。
【0004】
そこで、特許文献1には、手差しトレイにエア吹き付け手段であるファンを設け、給送を開始する前に複数のコート紙にエアを吹き付けて、シートを捌いてシート間の吸着力を低減する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の手差し給送部は、画像形成装置の外部に露出されたトレイに用紙をセットした状態で、ファンを稼働することによってエアを吹き付けていた。つまり、ファンは画像形成装置の外部に露出された状態で、突然にファンの稼働による音がするため、ユーザに不快感を与える虞がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ファンの稼働音によるユーザの不快感を低減させる画像形成装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための本発明の一態様は、シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部を含む装置本体の側面に回動可能に設けられ、シートが載置されるトレイと、前記トレイに載置されるシートを前記画像形成部に向けて給送する給送部と、前記トレイに載置されたシートの端部に送風する送風部と、前記トレイに載置されるシートに対しての前記送風部による送風を開始する前に、前記送風部の稼働音に関する情報を画面に表示する表示部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、エア捌きの動作を稼働させる前にユーザに報知させることによって、ユーザの不快感を低減させることが可能となる。これにより、突然の音に驚くようなことを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】(a)第1実施形態に係る手差し給送部の上面図、(b)第1実施形態に係る手差し給送部のA―A断面図
【
図4】第1実施形態に係る手差し給送部の給送フローチャート
【
図5】第1実施形態に係る操作画面に表示される表示図
【
図6】第2に係る手差し給送部を備えた画像形成装置
【
図11】第3実施形態の操作画面に表示される表示図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための例示的な形態について図面を参照して説明する。
【0012】
[実施形態1]
<画像形成装置>
図1は本発明の実施形態に係る画像形成装置201の概略構成を示す断面図であり、
図2は画像形成装置201係る制御ブロック図である。
【0013】
画像形成装置201は、電子写真プロセスを利用したタンデム方式の中間転写式レーザービームプリンタである。画像形成装置201は、制御部100に接続されたホスト装置900から出力される印刷画像データに対応したフルカラー、または単色の画像を記録媒体であるシートSに形成して出力することができる。
【0014】
図2に示す制御部100は、画像形成装置201の動作を統括して制御する制御手段であり、ホスト装置900や操作部730との情報の授受を行う。また、制御部100は後述する各種プロセス機器への信号処理、シーケンス制御等を行う。ここで、ホスト装置900は、例えば、パソコンやイメージスキャナー、ファクシミリなどである。
【0015】
図1において、201は画像形成装置、201Aは画像形成装置本体である筐体、201Bはシートに画像を形成する画像形成部である。202は画像形成装置本体201Aの上方に略水平に設置された画像読取装置であり、この画像読取装置202と画像形成装置本体201Aとの間に、シート排出用の排出空間Vが形成されている。
【0016】
230は、シートSを収納する給送カセット1からシートSを給送するカセット給送部である。
図1に示すように、給送カセット1は高さ方向に並列して4段設けられている。カセット給送部230は、ピックアップローラ2と、ピックアップローラ2から送り出されたシートSを分離するためのフィードローラ3とリタードローラ4とを備えている。
【0017】
画像形成手段である画像形成部201Bは、4ドラムフルカラー方式のものであり、レーザースキャナ210と、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー画像を形成する4個のプロセスカートリッジ211を備えている。ここで、各プロセスカートリッジ211は、感光体ドラム212、帯電手段である帯電器213、現像手段である現像器214を備えている。また、画像形成部201Bは、プロセスカートリッジ211の上方に配された2次転写部201Dと、定着部201Eを備えている。なお、215は現像器214にトナーを供給するためのトナーカートリッジである。
【0018】
2次転写部201Dは、駆動ローラ216a及びテンションローラ216bに巻き掛けられた転写ベルト216を備えている。なお、転写ベルト216の内側には感光体ドラム212に対向した位置で転写ベルト216に当接する1次転写ローラ219が設けられている。
【0019】
ここで、転写ベルト216は、不図示の駆動部により駆動される駆動ローラ216aにより矢印方向に回転する。2次転写部201Dの駆動ローラ216aと対向する位置には、転写ベルト216上に形成されたカラー画像をシートSに転写する2次転写ローラ217が設けられている。さらに、この2次転写ローラ217の上部に定着部201Eが配置され、この定着部201Eの左上部には第1排出ローラ対225a、第2排出ローラ対225b及び両面反転部201Fが配置されている。この両面反転部201Fは、正逆転可能な反転ローラ対222及び一面に画像が形成されたシートSを再度、画像形成部201Bに搬送する再搬送通路Rが設けられている。
【0020】
画像形成装置201の上部には、ユーザからの操作を受け付ける操作部である操作パネル730が設けられている。操作パネルは、ユーザからの入力も兼ね備えたタッチパネル方式の入力部となっており、装置の正常状態あるいは異常状態等をメッセージにより表示して、ユーザに知らせるための表示部を兼ねている。
【0021】
次に、画像形成装置201の画像形成動作について説明する。まず、画像形成装置201が印刷する原稿の画像データを受け取ると、その画像情報は画像処理された後、電気信号に変換されて画像形成部201Bのレーザースキャナ210に伝送される。画像形成部201Bでは、レーザーにより、帯電器213によって表面が所定の極性・電位に一様に帯電されている感光体ドラム212の表面が順次露光される。これにより、各プロセスカートリッジ211の感光体ドラム上に、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの静電潜像が順次形成される。
【0022】
この後、この静電潜像を各色トナーにより現像して可視化すると共に、1次転写ローラ219に印加した1次転写バイアスにより、各感光体ドラム上の各色トナー像を転写ベルト216に順次重ね合わせて転写する。これにより、転写ベルト216上にトナー画像が形成される。
【0023】
また、このトナー画像形成動作に並行して、シートSは、カセット給送部230または手差し給送部235によって1枚ずつに分離され給送される。その後、分離されたシートは、レジストレーションローラ対240に搬送され、レジストレーションローラ対240により斜行が補正される。シートの斜行が補正された後、シートSはレジストレーションローラ対240により2次転写部201Dまで搬送され、2次転写部201Dにおいて、2次転写ローラ217に印加した2次転写バイアスにより、トナー像がシートS上に一括して転写される。次に、トナー像が転写されたシートSは、定着部201Eに搬送され、加圧ローラ220aと加熱ローラ220bにより形成されたローラニップ部において、熱及び圧力を受けて各色のトナーが溶融混色し、シートSにカラーの画像として定着される。画像が定着されたシートSは、定着部201Eの下流に設けられた第1排出ローラ対225a及び第2排出ローラ対225bによって排出空間Vに排出され、排出空間Vの底面に配置された排出トレイ223に積載される。なお、シートSの両面に画像を形成する場合は、画像が定着されたシートSは反転ローラ対222によりシートの先端と後端を入れ替えることによって反転され、再搬送通路Rに搬送され、再度画像形成部201Bに搬送される。そして、シートの裏面に画像が形成される。シートの両面に画像が形成されたシートは、定着部201Eによりシートに画像が定着され、第1排出ローラ対225aおよび第2排出ローラ対225bによって排出空間Vに排出され、一連の画像形成が終了する。
【0024】
<手差し給送部>
次に、本実施形態に係る手差し給送部235について
図1および
図3を用いて説明する。手差し給送部235は、
図1に示すように画像形成装置本体201Aの側面部に設けられている。手差し給送部235は、トレイである手差しトレイ5、および給送部であるピックアップローラ502と、ピックアップローラ502から送り出されたシートSを分離するためのフィードローラ503と、リタードローラ504とを備えている。なお、手差しトレイ5は画像形成装置本体201Aに対して回動可能であって、手差し給送部235を使用する場合には
図1のように手差しトレイ5を開いた位置と、手差し給送部235を使用しない場合には手差しトレイ5を閉じた位置とに、移動可能である。
【0025】
図3は、手差し給送部235の特に手差しトレイ5を示した図であり、(a)は手差しトレイ5の上面図、(b)は(a)のA―A断面における手差しトレイの断面図を示す。
図3(a)と(b)に示すように、手差しトレイ5には、シート搬送方向の矢印Yと直交する方向(シート幅方向)の位置を規制するための側端規制板(14a、14b)が備えられている。側端規制板(14a、14b)はシート幅方向に移動可能になっており、手差しトレイ5に載置されるシートのサイズに合わせてシートの側端の位置を規制する。シート側端規制板(14a、14b)には、送風部であるファンモータ(15a、15b)がそれぞれ配置され、吹き付けノズル(16a、16a’、16b、16b’)を介してシートの側端部からエアが吹き付け可能に設けられている。ファンモータ(15a、15b)からのエアを流線(A1,A2)のように吹き付けることで、シート束の上方のシートが浮上し、シート間の密着力が低減される。なお、
図3(b)に示すように手差しトレイ5は、シートが載置される上トレイ5bと下トレイ5cとで構成されており、ファンモータ(15a、15b)は上トレイ5bと下トレイ5cの間に設けられている。ファンモータ(15a、15b)は、下トレイ5cに設けられた開口部を介してエアを吸引し、矢印に示すような経路を通ってシート側端部に送風される。また、側端規制板(14a、14b)は、上トレイ5bの上方に設けられている。なお、
図3(b)は、
図3(a)における一方の側端規制板14aとファンモータ15aの断面を示したものであるが、他方の側端規制板14bとファンモータ15bの断面も同様の構成である。
【0026】
そして、給送を開始する際に、載置されるシートがコート紙である場合、ファンモータ(15a、15b)が稼働して吹き付けノズル(16a、16b)を介してシート幅方向の側端部にエアが吹き付けられる。所定時間後、シート同士の吸着力が低減された状態のシートSをピックアップローラ502が回転してフィードローラ503とリタードローラ504からなる分離部に送られる。1枚に分離されたシートSは先端が用紙検知センサ505で検知される。さらに、シートSは搬送ローラ対506によりレジストレーションローラ対240まで送られる。その後のシートの動作については、給送カセット1と同様である。
【0027】
<手差し給送部の給送制御>
以下、本発明の手差し給送部の給送制御について、
図4の給送フローチャート、および
図5の操作パネルの表示図を用いて説明する。
【0028】
本発明の実施形態1について、
図4の給送フローチャートに沿って説明する。シートが手差しトレイ5に載置されると、手差しトレイ5に設けられたシート有無センサ17がシートを検知する。そして、側端規制板(14a、14b)をシート端部に揃えるように移動してシートの手差しトレイ5へのセットが完了する。次に、操作パネルからシート設定(種類、坪量、サイズ等)を入力することで給送可能状態(スタンバイ状態)になる。
図4の給送フローチャートの動作は、制御部100が操作部730、ファンモータ15、手差し給送部235などの各部を制御することによって行われる。
【0029】
(S101)において、給送可能状態で給送を実際に開始するためにスタートボタンが押下されると、手差し給送部235に制御部100から給送開始の動作の信号が送信される。
【0030】
(S102)において、操作パネルで設定したシート設定(種類、坪量、サイズ等)に基づいて、設定されたシートの種類がコート紙であるかを判断する。これは、ファンモータによるエアの吹き付け動作が必要なシートであるかを判断するためである。
【0031】
つまり、設定されたシートの種類がコート紙であれば、エアの吹き付け動作をする必要がありyesに進む。一方、設定されたシートの種類がコート紙以外のシート(例えば、普通紙)であれば、エアの吹き付け動作をする必要がなくNoに進む。
【0032】
上記の(S102)でYesの場合、(S103)において、制御部100は、
図5に示す操作パネル730に、ユーザにファンが稼働することを報知させる表示Aを表示させる。表示Aには、例えば、次の項目を表示する。まず、ユーザにファンが稼働することを報知させる事項751である「手差し給送部にて、コート紙を選択すると、シート捌き動作を行うため、一時的にファンによる風切り音が発生します」を表示する。加えて、ユーザにファンの稼働の有無を選択させる事項761である「ファンを稼働させてもよろしいでしょうか」を表示する。さらに、選択ボタン771「はい」、選択ボタン781「いいえ」を表示する。つまり、本実施形態において、実際にファンを稼働させる前に、ユーザにファンがこれから稼働することを報知することと、ユーザにファンの稼働の有無を選択させる。また、ユーザの判断で、ファンの稼働の報知および選択画面(表示A)を表示させないようにしてもよい。この場合、
図5の操作パネル730(表示A)の「次回からは表示しない」792で、四角部にチェックをすることで次回からは選択画面(表示A)を表示しないようにもできる。
【0033】
(S104)において、ユーザは、ファンを稼働させる意思表示の「はい」ボタン771、または、ファンを稼働させない意思表示の「いいえ」ボタン781を押下して(タッチして)選択する。
【0034】
(S105)において、(S104)で「はい」(yes)が選択された場合は、ファンが稼働してシートへのエアの吹き付けが開始される。
【0035】
(S106)において、シートへのエアの吹き付けの所定時間を計測される。所定時間に関しては、シートのサイズや坪量等に基づいて異なり、10秒程度である。
【0036】
(S107)において、(S106)による所定時間が経過後に、ファンを停止させる。手差し給送部235が稼働してシートSが給送される。
【0037】
(S108)において、指定された枚数に到達したかを判断する。指定した枚数に到達するまで手差し給送部が動作して給送が継続される。(S109)において、指定枚数に到達したら、JOBが終了になる。
【0038】
次に、(S104)で、ユーザがファンを稼働させない意思表示の「いいえ」ボタン781を選択した場合を説明する。
【0039】
(S104)において、「いいえ」(No)が選択された場合は、(S109)に移行してJOBを終了させる。これは、ファンによるエアの吹き付けがされない状態でシートを給送させた場合に、シート同士の吸着状態によってはシートの給送不良等の発生する虞が高いためである。但し、シート同士の吸着力が低く給送可能な場合もあるため、JOBを終了させることをしないで、(S107)の動作に移行させても良い。この場合、(S107)に移行した後は、上述したように(S107)(S108)および(S109)が実行される。
【0040】
以上のように、ファンを稼働させる前に
図5のような操作パネルに確認画面を表示させる。これにより、ユーザに事前にファンがこれから稼働することを報知させ、そのうえでファンの稼働を選択させることが可能となる。これにより、ユーザはファンによる稼働音が発生することを事前に認識するため、突然のファンの稼働音に驚くような事態を低減できる。また、ファンによる稼働音がふさわしくない状況の場合(たとえば装置の近くで会議中のために静かにすることが求められる場合など)において、ユーザが適宜、ファンを稼働させないように選択できる構成なので、ユーザにあたえる不快感の防止に繋がる。
【0041】
なお、変形例として、
図5の表示ではなく、
図12の示す画面を操作パネル730に表示させる形態であってもよい。この場合、所定の指示としての確認ボタン7711の押下に基づいて制御部100はファンの稼働を開始させる。
図12の表示をした場合も、ユーザはファンによる稼働音が発生することを事前に認識するため、突然のファンの稼働音に驚くような事態を低減できる。
【0042】
[実施形態2]
実施形態2は、実施形態1の画像形成装置に環境センサを配置し、環境センサの検知結果に基づいてユーザにファンの稼働を報知する実施形態である。環境センサとして、騒音センサ60と温湿度センサ70とを使用し、画像形成装置201に配置した。
【0043】
騒音センサ60は、手差しトレイ5の近傍で、画像形成装置201の周囲の騒音を検出しやすいように画像形成装置201の上方位置に配置した。一方、温湿度センサ70は、手差しトレイの近傍で、画像形成装置201の吸排気の影響が少ないように下方位置に配置した。また、
図7のブロック図は、実施形態1のブロック図に加えて騒音センサ60と温湿度センサ70を追加したものである。
図6および
図7において、騒音センサ60と温湿度センサ70の以外の構成ついては、実施形態1の画像形成装置と同様である。
【0044】
次に、騒音センサ60と温湿度センサ70を同時に用いた第2実施形態について、
図8の給送フローチャートを用いて説明する。なお、実施形態1と同様の処理については、説明を省略する。
図8のフローチャートの動作は、制御部100が操作部730、ファン15、手差し給送部235などの各部を制御することによって行われる。
【0045】
(S201)および(S202)は、実施形態1と同様の処理である。
【0046】
(S203)において、実施形態2では、画像形成装置の周囲の騒音状態を騒音センサで、検出する。第1検出値である周囲の騒音レベルが、ファンによる稼働音の程度が許容できるレベルかを判断する。たとえば、一般的に、70dB(デシベル)程度だと騒々しい事務所レベルとされているので、初期設定の騒音閾値70dBとして説明する。装置の周囲の騒音を騒音センサ60で測定したとき75dB(デシベル)と測定された場合、測定値>閾値(75dB>70dB)となる。装置の周囲の騒音レベルが高いと判断できるので、ファンの稼働音がユーザに不快感を与えることが少ないと判断できる。よって、この場合(S209)に移行し、ファンを稼働する。(S209)後のフローは、実施形態1と同様である。
【0047】
(S203)において、装置周囲の騒音の測定値が65dB(デシベル)の場合は、測定値<閾値(65dB<70dB)となるので、装置周囲の騒音よりも大きな音が発生する可能性がある。この場合、(S204)に移行し操作パネル730に表示Aを表示して、ユーザにファンがこれから稼働することを報知し、ファンの稼働の有無を選択させる。なお、初期設定の騒音閾値については、ユーザに合わせて再設定可能である。
【0048】
(S205)において、ユーザは、ファンを稼働させる意思表示の「はい」ボタン771を選択させ、あるいは、ファンを稼働させない意思表示の「いいえ」ボタン772を選択させる。(S205)において、「はい」ボタン771を選択した場合、(S209)に移行し、ファンを稼働する。(S209)後のフローは、実施形態1と同様である。
【0049】
(S205)において、「いいえ」ボタン772を選択した場合、(S206)に移行する。
【0050】
(S206)において、温湿度センサ70によって検出された温湿度の測定値を、あらかじめシートごとに設定された温湿度閾値と比較をする。たとえば、第2検出値である温湿度センサ70の測定値が30℃80%、温湿度閾値を27℃60%とした場合、測定値の環境は温湿度閾値の環境よりシート同士が水分吸着しやすいことが分かっている。この場合、ファンによるエアの吹き付けをしないと、給送不良などを発生する可能性が高くなる。
【0051】
(S207)において、(S206)でYesの場合、
図9の操作パネル730に表示Bのように再度ユーザに注意喚起とファンの稼働の有無を選択させる。操作パネル730には、
図9のように次の項目を表示する。表示Bには、ユーザに認識してもらいたい事項752として「手差し給送にて、シート捌き動作OFFの場合、現在の環境では給送不良が起こりやすいです。シート束を手でよく捌くか、1枚セット給送をお勧めします。」を表示する。ユーザに選択してもらう内容762は、「ファンを稼働させてもよろしいでしょうか」、選択ボタン「はい」772は「はい」を表示、選択ボタン「いいえ」782は「いいえ」を表示する。
【0052】
(S208)において、ユーザは、ファンを稼働させる意思表示の「はい」ボタン772、または、ファンを稼働させない意思表示の「いいえ」ボタン782を押して(タッチして)選択する。(S209)において、(S208)で「はい」を選択するとファンが稼働してシートへのエア吹き付けが開始される。この後のフローは実施形態1と同様である。
【0053】
(S208)において、再確認でファンを稼働させない「いいえ」を選択した場合(No)、(S213)に移行してJOBを終了させる。
【0054】
以上、実施形態2において、騒音センサを設けることで、ユーザがファンの稼働について実施形態1に比べて選択工程を省略できるので作業の効率化が図れる。また、温湿度センサを設けることで、実際のシート同士の吸着程度を予測できるので、ファンによるエアの吹き付けの必要性を再確認してもらうことができる。
【0055】
[実施形態3]
実施形態3は、給送を開始するスタートボタンを押下する前のシート情報の設定を入力したときにファンを稼働させるかを判断するものである。実施形態1および実施形態2においては、給送を開始するスタートボタンを押下した後に、設定されたシートの種類がコート紙かどうかを判断しており、実施形態3と異なる。
【0056】
シートを手差しトレイ5にセットしてシート設定をするフローを
図10で説明する。
図10のフローチャートの動作は、制御部100が操作部730、ファン15、手差し給送部235などの各部を制御することによって行われる。
【0057】
(S301)において、シートを手差しトレイ5にセットする。このとき、シートを手差しトレイ5に載置するとシート有無センサ17がシートを検知し、サイド規制板(14a、14b)をシート端部に揃えるように移動してシートのセットが完了する。
【0058】
(S302)において、
図11のように操作パネル730に、表示Cのようなシート設定の入力画面を表示する。
図11の操作パネル730には、次の項目を表示する。シート設定画面の表示Cには、サイズ入力部802、坪量の入力部803、種類の入力部804が表示される。たとえば、
図11において、サイズ入力部802にA3サイズが選択され、坪量の入力部803に180(g/m2)が入力され、種類の入力部804にコート紙が選択されている状態である。上記のシート設定が終了したら確定ボタン795を押下する。
【0059】
(S303)において、設定されたシート設定の入力画面で、種類にコート紙が選択されたかを判断する。
【0060】
(S304)において、上記のS303でコート紙が選択されている場合に、
図5と同様の表示Aを操作パネルに表示する。
【0061】
(S305)において、実施形態1と同様にファンによるエアの吹き付けの可否の判断をする。ユーザは、ファンを稼働させる意思表示の「はい」ボタン771、または、ファンを稼働させない意思表示の「いいえ」ボタン781を押下して(タッチして)選択する。
【0062】
(S307)において、(S305)で「はい」ボタン771が押下された場合であって、スタートボタンを押下したときにファンによるエアの吹き付け動作をする。(S306)において、(S305)で「いいえ」ボタン781が押下された場合であって、スタートボタン押下したときにファンによるエアの吹き付け動作をしない。これらを制御部が記憶してスタンバイ状態となる。
【0063】
なお、実施形態3の変形例として、コート紙が選択されている場合に、
図12に示した表示画面を操作パネルに表示させてもよい。この場合、
図12で確認7711が押された後に
図5の画面に戻るようにしてもよい。
【0064】
また、実施形態3の変形例として、
図11に示したようなシートの種類の選択画面においてコート紙が選択されたことに基づいて、
図11の画面に例えば以下の文字列を含ませるようにしてもよい。「コート紙の場合、シート捌き動作を行うため一時的にファンによる風切り音が発生します。」という文字列を
図11の画面に含ませるようにしてもよい。
【0065】
以上、実施形態3では、シート設定の入力と同時に、ユーザがファンの稼働の選択をする。これにより、給送を開始するスタート時の作業性が改善できる。また、プリンタ信号を遠隔操作でスタートする場合、画像装置本体でのファンの稼働の選択をしなくてよくなる。もちろん、遠隔端末でファン稼働の選択画面を設けても本発明の効果は変わらない。
【0066】
以上、実施形態1から実施形態3について、上述したように、コート紙に対してそれぞれ実施形態を説明したが、シート同士が吸着しやすい他のシート種類に対しても本発明を適用できる。たとえば、他のシート種類としては、OHPフィルム、ベラム紙、厚紙、エンボス紙、再生紙なども銘柄や環境によってはシート同士が吸着して給送不良を発生させることがある。さらに、ファンによる稼働が必要なシートとして、追加でシートの種類を画像形成装置に登録できるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0067】
5 手差しトレイ
14a、14b 側端規制板
15a、15 ファンモータ
16a、16b 吹き付けノズル
60 騒音センサ
70 温湿度センサ
201 画像形成装置
201A 画像形成装置本体
235 手差し給送部
730 操作パネル