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特開2024-179177情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179177
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 40/32 20090101AFI20241219BHJP
   H04W 4/08 20090101ALI20241219BHJP
【FI】
H04W40/32
H04W4/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097815
(22)【出願日】2023-06-14
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人情報通信研究機構「高度通信・放送研究開発委託研究/欧州との連携による300GHzテラヘルツネットワークの研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】598163064
【氏名又は名称】学校法人千葉工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】白神 澄弥
(72)【発明者】
【氏名】枚田 明彦
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA13
5K067CC13
5K067EE02
5K067EE06
5K067EE25
(57)【要約】
【課題】多数設置されたノード装置から、ベースノード装置を決定できる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】情報処理装置は、メッシュ型トポロジーに従って配置された複数のノード装置の各々の位置情報に基づいて、複数のノード装置をクラスタリングアルゴリズムによって複数のクラスタにクラスタリングを行うクラスタリング部と、複数のノード装置の各々の媒介中心性を導出する中心性指標導出部と、複数のクラスタの各々に含まれるノード装置の数に基づいて、複数のクラスタを選択する選択部と、選択部によって選択された複数のクラスタの各々に含まれる複数のノード装置から、媒介中心性の最も高いノード装置を、ベースノード装置として決定する決定部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッシュ型トポロジーに従って配置された複数のノード装置の各々の位置情報に基づいて、複数の前記ノード装置をクラスタリングアルゴリズムによって複数のクラスタにクラスタリングを行うクラスタリング部と、
複数のノード装置の各々の媒介中心性を導出する中心性指標導出部と、
複数の前記クラスタの各々に含まれるノード装置の数に基づいて、複数のクラスタを選択する選択部と、
前記選択部によって選択された複数の前記クラスタの各々に含まれる複数のノード装置から、媒介中心性の最も高いノード装置を、ベースノード装置として決定する決定部と
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記決定部は、複数の前記クラスタの各々に含まれる複数のノード装置から、切断点となる一又は複数のノード装置を選択し、選択した一又は複数の前記ノード装置から、媒介中心性の最も高いノード装置を、ベースノード装置として決定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記クラスタリング部は、DBSCANアルゴリズムによって複数のクラスタにクラスタリングを行う、請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記選択部は、ノード装置の数が一番目に多いクラスタおよび二番目に多いクラスタ又はノード装置の数が二番目に多いクラスタおよび三番目に多いクラスタを選択する、請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
複数のベースノード装置同士の距離を導出する距離導出部と、
複数のベースノード装置同士の前記距離が閾値以上であるか否かを判定する判定部と
をさらに備え、
前記選択部は、前記距離が閾値以上でない場合に、選択した複数の前記クラスタのうちいずれかのクラスタを、選択していないクラスタに変更し、
前記決定部は、前記選択部によって変更された前記クラスタに含まれる複数のノード装置から、媒介中心性の最も高いノード装置を、ベースノード装置として決定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記閾値は、突発的な局地的大雨のエリアに基づいて決定される、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記選択部は、複数の前記クラスタの各々に含まれるノード装置の数の全てのノード装置に対する割合に基づいて、複数のクラスタを選択し、
前記決定部は、前記選択部が選択した複数の前記クラスタの各々に含まれる複数のノード装置から、媒介中心性の最も高いノード装置を取得し、取得した複数のノード装置のうち最も距離が離れた2つのノード装置を、ベースノード装置として決定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記決定部は、複数の前記クラスタの各々に含まれる複数のノード装置から、切断点となる一又は複数のノード装置を選択し、選択した一又は複数の前記ノード装置から、媒介中心性の最も高いノード装置を取得し、取得した複数のノード装置のうち最も距離が離れた2つのノード装置を、ベースノード装置として決定する、請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
メッシュ型トポロジーに従って配置された複数のノード装置の各々の位置情報に基づいて、複数の前記ノード装置をクラスタリングアルゴリズムによって複数のクラスタにクラスタリングを行うステップと、
複数のノード装置の各々の媒介中心性を導出するステップと、
複数の前記クラスタの各々に含まれるノード装置の数に基づいて、複数のクラスタを選択するステップと、
選択された複数の前記クラスタの各々に含まれる複数のノード装置から、媒介中心性の最も高いノード装置を、ベースノード装置として決定するステップと
を有する、コンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
メッシュ型トポロジーに従って配置された複数のノード装置の各々の位置情報に基づいて、複数の前記ノード装置をクラスタリングアルゴリズムによって複数のクラスタにクラスタリングを行うステップと、
複数のノード装置の各々の媒介中心性を導出するステップと、
複数の前記クラスタの各々に含まれるノード装置の数に基づいて、複数のクラスタを選択するステップと、
選択された複数の前記クラスタの各々に含まれる複数のノード装置から、媒介中心性の最も高いノード装置を、ベースノード装置として決定するステップと
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動体通信の高速化に伴い、移動体端末と基地局との間の距離を短くするため、マイクロセル、ナノセルの使用が検討されている。次世代の移動体通信である第6世代移動通信システム(6th Generation Mobile Communication System)では、50mから100mごとに基地局を設置する必要がある。しかし、このような高密度に配置された基地局とベース局とを全て光ファイバで接続するのは経済的および立地的に困難である。
【0003】
そこで、高密度に配置されたリモート局とベース局とをマルチホップ無線でメッシュ状に接続するネットワーク方式が検討されている。このリモート局間を接続する回線の容量は100Gbpsから1Tbspに達すると予想されるため、この伝送速度を実現する手法として、周波数30GHz~1THzまでの電磁波であるミリ波・テラヘルツ波を利用した無線システムの活用が期待されている。
【0004】
しかし、ミリ波・テラヘルツ波は降雨による減衰が大きい。近年日本では、瞬時豪雨強度が局地的に90mm/hrを超えるゲリラ豪雨が多発しているが、このようなゲリラ豪雨時では、伝送距離が数百m程度のミリ波・テラヘルツ波無線回線でも降雨減衰により回線断となるおそれがある。この結果、センター局がカバーするエリア一帯の移動体通信が不通になってしまうおそれがある。
【0005】
このような無線通信システムの課題を解決する手段として、特許文献1には降雨状況に応じて無線機の出力を制御する技術が開示されている。特許文献1に開示されている無線通信システムでは、降雨や霧等による減衰によって受信電力が減少した場合、伝送周波数の切換えを行った上で適応変調を用いることにより、回線を維持する。しかし、この手法では無線回線の伝送速度が大幅に減少するため、移動体通信ネットワークに輻輳が生じるおそれがある。
【0006】
また、特許文献2には、ネットワーク構成技術によりゲリラ豪雨時の回線稼働率を向上させる方法が開示されている。特許文献2に開示されている無線通信システムでは、複数のノード装置とこれらノード装置との間で情報の授受を行うベースノード装置とを、ノード装置毎に設けられる無線装置を介してリング状に接続する。無線通信システムでは、伝搬距離および降雨減衰を加味して算出された回線マージンを参照し、ベースノード装置に近いノード装置間ほどベースノード装置から遠いノード装置間に比べて回線マージンが大きくなるようにリング内に各ノード装置を配置している。
しかし、90mm/hrを超えるゲリラ豪雨時も回線マージンを維持するためには、ノード装置を接続する無線回線の距離を数十m程度にする必要があるが、ゲリラ豪雨時に降雨強度が90mm/hr以上になるエリアの半径は1km程度になるため、このエリアを全て数十m程度のマルチホップ無線で接続するのは、経済的及び立地の観点からも困難である。
【0007】
また、特許文献3には、メッシュトポロジーにノード装置を配置し、無線で各ノード装置を接続するネットワークで、降雨減衰や電波干渉など無線通信環境の品質劣化の空間相関が低い複数の経路を無線通信経路として選択する手法が開示されている。
しかし、この手法においても、ベースノード装置を配置したエリアを中心に降雨強度が90mm/hrを超えるゲリラ豪雨が発生した場合、ベースノード装置と周囲に配置されたノード装置を結ぶ無線回線がすべて断となるおそれがあるため、全てのリモート局がベース局とつながらないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007-37029号公報
【特許文献2】特許第3538044号公報
【特許文献3】特許第3693164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述した無線通信システムでは、ベースノード装置がカバーするエリアにベースノード装置が1台しか配置されていない。このため、ベースノード装置を配置したエリアを中心にゲリラ豪雨が発生した場合、ベースノード装置と周囲に配置されたノード装置を結ぶ無線回線が全て断となるおそれがあるため、全てのノード装置がベースノード装置とつながらなくなるおそれがある。ゲリラ豪雨とは、集中豪雨の一種であり、突発的で天気予報による正確な予測が困難な局地的大雨をいう。
また、ベースノード装置を配置したエリアを中心にゲリラ豪雨が発生した場合、ベースノード装置と周囲に配置されたノード装置とを結ぶ無線回線の伝送速度が大幅に低下するおそれがあるため、輻輳が発生するおそれがある。
【0010】
カバーするエリアにベースノード装置を複数設置すれば、一つのベースノード装置と周囲に配置されたノード装置とを結ぶ無線回線が全て断となっても、他のベースノード装置と周囲に配置されたノード装置との回線は維持される可能性があるため、回線稼働率の向上が見込まれる。
しかし、多数設置されたノード装置の中で、どのノード装置をベースノード装置として設定すれば回線稼働率を向上できるかについては、明らかでない。
本発明の目的は、多数設置されたノード装置から、ベースノード装置を決定できる情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明の一態様は、メッシュ型トポロジーに従って配置された複数のノード装置の各々の位置情報に基づいて、複数の前記ノード装置をクラスタリングアルゴリズムによって複数のクラスタにクラスタリングを行うクラスタリング部と、複数のノード装置の各々の媒介中心性を導出する中心性指標導出部と、複数の前記クラスタの各々に含まれるノード装置の数に基づいて、複数のクラスタを選択する選択部と、前記選択部によって選択された複数の前記クラスタの各々に含まれる複数のノード装置から、媒介中心性の最も高いノード装置を、ベースノード装置として決定する決定部とを備える、情報処理装置である。
(2)本発明の一態様は、上記(1)に記載の情報処理装置において、前記決定部は、複数の前記クラスタの各々に含まれる複数のノード装置から、切断点となる一又は複数のノード装置を選択し、選択した一又は複数の前記ノード装置から、媒介中心性の最も高いノード装置を、ベースノード装置として決定する、情報処理装置である。
(3)本発明の一態様は、上記(1)又は上記(2)に記載の情報処理装置において、前記クラスタリング部は、DBSCANアルゴリズムによって複数のクラスタにクラスタリングを行う、情報処理装置である。
(4)本発明の一態様は、上記(1)又は上記(2)に記載の情報処理装置において、前記選択部は、ノード装置の数が一番目に多いクラスタおよび二番目に多いクラスタ又はノード装置の数が二番目に多いクラスタおよび三番目に多いクラスタを選択する、情報処理装置である。
(5)本発明の一態様は、上記(1)に記載の情報処理装置において、複数のベースノード装置同士の距離を導出する距離導出部と、複数のベースノード装置同士の前記距離が閾値以上であるか否かを判定する判定部とをさらに備え、前記選択部は、前記距離が閾値未満である場合に、選択した複数の前記クラスタのうちいずれかのクラスタを、選択していないクラスタに変更し、前記決定部は、前記選択部によって変更された前記クラスタに含まれる複数のノード装置から、媒介中心性の最も高いノード装置を、ベースノード装置として決定する、情報処理装置である。
(6)本発明の一態様は、上記(5)に記載の情報処理装置において、前記閾値は、突発的な局地的大雨のエリアに基づいて決定される、情報処理装置である。
(7)本発明の一態様は、上記(1)に記載の情報処理装置において、前記選択部は、複数の前記クラスタの各々に含まれるノード装置の数の全てのノード装置の数に対する割合に基づいて、複数のクラスタを選択し、前記決定部は、前記選択部が選択した複数の前記クラスタの各々に含まれる複数のノード装置から、媒介中心性の最も高いノード装置を取得し、取得した複数のノード装置のうち最も距離が離れた2つのノード装置を、ベースノード装置として決定する、情報処理装置である。
(8)本発明の一態様は、上記(7)に記載の情報処理装置において、前記決定部は、複数の前記クラスタの各々に含まれる複数のノード装置から、切断点となる一又は複数のノード装置を選択し、選択した一又は複数の前記ノード装置から、媒介中心性の最も高いノード装置を取得し、取得した複数のノード装置のうち最も距離が離れた2つのノード装置を、ベースノード装置として決定する、情報処理装置である。
(9)本発明の一態様は、メッシュ型トポロジーに従って配置された複数のノード装置の各々の位置情報に基づいて、複数の前記ノード装置をクラスタリングアルゴリズムによって複数のクラスタにクラスタリングを行うステップと、複数のノード装置の各々の媒介中心性を導出するステップと、複数の前記クラスタの各々に含まれるノード装置の数に基づいて、複数のクラスタを選択するステップと、選択された複数の前記クラスタの各々に含まれる複数のノード装置から、媒介中心性の最も高いノード装置を、ベースノード装置として決定するステップとを有する、コンピュータが実行する情報処理方法である。
(10)本発明の一態様は、コンピュータに、メッシュ型トポロジーに従って配置された複数のノード装置の各々の位置情報に基づいて、複数の前記ノード装置をクラスタリングアルゴリズムによって複数のクラスタにクラスタリングを行うステップと、複数のノード装置の各々の媒介中心性を導出するステップと、複数の前記クラスタの各々に含まれるノード装置の数に基づいて、複数のクラスタを選択するステップと、選択された複数の前記クラスタの各々に含まれる複数のノード装置から、媒介中心性の最も高いノード装置を、ベースノード装置として決定するステップとを実行させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、多数設置されたノード装置から、ベースノード装置を決定できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る情報処理装置によって作成される無線通信システム1の構成図の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係る情報処理装置10の一例を示す図である。
図3】本実施形態に係る情報処理装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
図4】実施形態の変形例1に係る情報処理装置によって作成される無線通信システム1aの構成図の一例を示す図である。
図5】実施形態の変形例1に係る情報処理装置10aの一例を示す図である。
図6】実施形態の変形例1に係る情報処理装置10aの動作の一例を示すフローチャートである。
図7】実施形態の変形例1に係る情報処理装置10aによって作成される無線通信システム1aaの構成図の一例を示す図である。
図8】実施形態の変形例2に係る情報処理装置によって作成される無線通信システム1bの構成図の一例を示す図である。
図9】実施形態の変形例2に係る情報処理装置10bの一例を示す図である。
図10】実施形態の変形例2に係る情報処理装置10bの動作の一例を示すフローチャートである。
図11】実施形態の変形例3に係る情報処理装置によって作成される無線通信システム1cの構成図の一例を示す図である。
図12】実施形態の変形例3に係る情報処理装置10cの一例を示す図である。
図13】実施形態の変形例3に係る情報処理装置10cの動作の一例を示すフローチャートである。
図14】本実施形態および実施形態の変形例1から3の効果の一例を説明するための図である。
図15】本実施形態および実施形態の変形例1から3の効果の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本実施形態の情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
また、本願でいう「XXに基づいて」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づいて」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0015】
(実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理装置によって作成される無線通信システム1の構成図の一例を示す図である。無線通信システム1は、監視制御局100と、センター局200と、ベース局300-1と、ベース局300-2と、複数のリモート局とを含む。監視制御局100、センター局200、ベース局300-1、ベース局300-2および複数のリモート局の配置の一例は、メッシュ型トポロジーである。
【0016】
監視制御局100は、無線通信システム1全体の監視・制御を行う。センター局200は、監視制御局100と、監視制御局100によって監視・制御されるネットワークとの間を接続する。ベース局300-1およびベース局300-2は、複数のリモート局とセンター局との間で情報の送受信を行う。複数のリモート局は、ネットワーク内にメッシュ状に配置されている。ベース局300-1およびベース局300-2と、複数のリモート局の各々とは、マルチホップ無線回線によって接続される。
【0017】
ベース局300-1、ベース局300-2および複数のリモート局の各々は、無線装置(図示なし)を備える。ベース局300-1、ベース局300-2および複数のリモート局の各々は、無線装置によって、ベース局300-1、ベース局300-2および複数のリモート局の各々のうち、対向するものとの間で双方向の無線回線を確立することが可能である。図1では、双方向の無線回線を確立することが可能であるもの同士は線で接続されている。以下の図においても同様である。例えば、ベース局300-1、ベース局300-2および複数のリモート局の各々は、ミリ波・テラヘルツ波を使用して無線通信を行う。このように構成することによって、ベース局300-1、ベース局300-2および複数のリモート局の各々は、メッシュ状のネットワークによって接続することが可能である。
【0018】
無線通信システム1に含まれるベース局300-1およびベース局300-2は、情報処理装置10によって決定される。情報処理装置10には、監視制御局100、センター局200および複数のリモート局の各々について、識別情報と位置情報とを関連付けた情報である局位置情報が入力される。例えば、ユーザーは、監視制御局100、センター局200および複数のリモート局の位置を決定する。位置情報の一例は、経度および緯度、無線通信システム1を表示している表示部(図示なし)上の座標で表されている。
情報処理装置10は、複数のリモート局の位置情報に基づいて、複数のリモート局の各々を、クラスタリングアルゴリズムによって複数のクラスタにクラスタリングする。クラスタリングアルゴリズムの一例は、DBSCAN(Density-based spatial clustering of applications with noise)である。DBSCANは、密度準拠クラスタリングのアルゴリズムであり、半径以内に含まれる点の数に基づいてその領域をクラスタとするか否かが判断される。
本実施形態では、DBSCANアルゴリズムによって複数のクラスタにクラスタリングした結果、図1に示すように、複数のリモート局が、第1クラスタ、第2クラスタ、第3クラスタ、第4クラスタおよび第5クラスタにクラスタリングされる。各クラスタに含まれるリモート局の数は、多い方から、第1クラスタ、第2クラスタ、第3クラスタ、第4クラスタ、第5クラスタである。
【0019】
情報処理装置10は、第1クラスタ、第2クラスタ、第3クラスタ、第4クラスタおよび第5クラスタの各々について、クラスタに含まれる複数のリモート局の各々の中心性指標を導出する。中心性指標の一例は、媒介中心性である。以下、中心性指標が、媒介中心性である場合について説明を続ける。
情報処理装置10は、第1クラスタ、第2クラスタ、第3クラスタ、第4クラスタおよび第5クラスタから、閾値以上の数のリモート局を含むものを選択する。情報処理装置10は、選択したクラスタに含まれる複数のリモート局のうち媒介中心性が最も高いリモート局をベース局として決定する。
以下、本実施形態に係る情報処理装置10について詳細に説明する。
【0020】
(情報処理装置10)
図2は、本実施形態に係る情報処理装置10の一例を示す図である。情報処理装置10は、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。情報処理装置10は、入力部12と、クラスタリング部14と、中心性指標導出部16と、選択部18と、決定部20と、記憶部22とを備えている。
記憶部22は、ハードディスクや、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体などで構成される。記憶部22には、情報処理装置10によって実行されるプログラムが記憶されている。
【0021】
入力部12は、情報を入力する。一例として、入力部12は、キーボードおよびマウスなどの操作部を有してもよい。この場合、入力部12は、ユーザーによって当該操作部に対して行われる操作に応じた情報を入力する。他の例として、入力部12は、外部の装置から情報を入力してもよい。当該外部の装置は、例えば、可搬な記憶媒体であってもよい。入力部12には、局位置情報が入力される。入力部12は、入力された局位置情報を、記憶部22に記憶させる。
【0022】
クラスタリング部14は、記憶部22に記憶された局位置情報を取得する。クラスタリング部14は、取得した局位置情報に含まれる複数のリモート局の位置情報に基づいて、複数のリモート局の各々を、クラスタリングアルゴリズムによって複数のクラスタにクラスタリングする。クラスタリング部14は、複数のクラスタの各々の識別情報と、複数のクラスタの各々に含まれる一又は複数のリモート局の識別情報とを関連付けたクラスタ情報を作成する。例えば、クラスタリング部14は、DBSCANアルゴリズムによって複数のクラスタにクラスタリングする。
【0023】
中心性指標導出部16は、クラスタリング部14からクラスタ情報を取得する。中心性指標導出部16は、取得したクラスタ情報に基づいて、クラスタ情報に含まれる複数のクラスタの識別情報の各々について、クラスタに含まれる複数のリモート局の識別情報を特定する。中心性指標導出部16は、特定した複数のリモート局の識別情報に基づいて、複数のリモート局の位置情報を、記憶部22の局位置情報から取得する。中心性指標導出部16は、取得した複数のリモート局の位置情報に基づいて、複数のリモート局の各々の中心性指標を導出する。中心性指標導出部16は、複数のリモート局の各々について、リモート局の識別情報と中心性指標とを関連付ける。
例えば、中心性指標導出部16は、複数のクラスタの各々について、クラスタに含まれる複数のリモート局の各々の媒介中心性を導出する。媒介中心性は,注目しているノード装置がそれ以外の2つのノード装置間の最短経路にどのくらいの割合で入っているかを数値化したものであり、値が高ければ高いほど常に情報流通の中にいることを表す。
【0024】
選択部18は、クラスタリング部14からクラスタ情報を取得する。選択部18は、取得したクラスタ情報に含まれる複数のクラスタの識別情報から、閾値以上の数のリモート局を含むクラスタの識別情報を選択する。選択部18によって選択されたクラスタの識別情報に該当するクラスタを選択クラスタという。以下、選択部18が複数の選択クラスタを選択した場合について説明を続ける。
【0025】
決定部20は、選択部18から複数の選択クラスタの識別情報を取得する。決定部20は、取得した複数の選択クラスタの識別情報に基づいて複数の選択クラスタの各々に関連付けられる複数のリモート局の識別情報を特定し、中心性指標導出部16から、特定した複数のリモート局の識別情報の各々に関連付けられている媒介中心性を取得する。決定部20は、複数の選択クラスタの各々について、選択クラスタの識別情報に関連付けられている複数のリモート局の識別情報のうち、関連付けられている媒介中心性が最も高いリモート局の識別情報に該当するリモート局をベース局として決定する。
例えば、決定部20は、複数の選択クラスタの各々について、選択クラスタに関連付けられている複数のリモート局の識別情報を、関連付けられている媒介中心性が高い順に順位付けを行うことによって媒介中心性が最も高いリモート局の識別情報に該当するリモート局をベース局として決定する。
【0026】
入力部12、クラスタリング部14、中心性指標導出部16、選択部18および決定部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサが記憶部22に格納されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。
【0027】
また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
コンピュータプログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVD(Digital Versatile Disc)やCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0028】
(情報処理装置10の動作)
図3は、本実施形態に係る情報処理装置10の動作の一例を示すフローチャートである。図3を参照して、無線通信システム1のネットワーク構成図を作成する処理、具体的には、複数のリモート局からベース局を決定する処理について説明する。
(ステップS1-1)
入力部12に、監視制御局100、センター局200および複数のリモート局の各々の識別情報と位置情報とを関連付けた局位置情報が入力される。入力部12は、入力された局位置情報を、記憶部22に記憶させる。
【0029】
(ステップS2-1)
クラスタリング部14は、記憶部22に記憶された局位置情報を取得する。クラスタリング部14は、取得した局位置情報に基づいて、複数のリモート局の各々を、DBSCANアルゴリズムによって複数のクラスタにクラスタリングする。クラスタリング部14は、複数のクラスタの各々の識別情報と、複数のクラスタの各々に含まれる一又は複数のリモート局の識別情報とを関連付けたクラスタ情報を作成する。
【0030】
(ステップS3-1)
中心性指標導出部16は、クラスタリング部14からクラスタ情報を取得する。中心性指標導出部16は、取得したクラスタ情報に基づいて、複数のクラスタの各々について、クラスタに含まれる複数のリモート局の各々の媒介中心性を導出する。中心性指標導出部16は、複数のリモート局の各々について、リモート局の識別情報と中心性指標とを関連付ける。
【0031】
(ステップS4-1)
選択部18は、クラスタリング部14からクラスタ情報を取得する。選択部18は、取得したクラスタ情報に含まれる複数のクラスタの識別情報から、閾値以上の数のリモート局を含む選択クラスタの識別情報を選択する。例えば、選択部18は、含まれるリモート局の数が一番目に多い第1クラスタと、二番目に多い第2クラスタとを、選択クラスタとして選択する。
【0032】
(ステップS5-1)
決定部20は、選択部18から複数の選択クラスタの識別情報を取得する。例えば、決定部20は、選択部18から、第1クラスタの識別情報および第2クラスタの識別情報を取得する。
決定部20は、取得した複数の選択クラスタの識別情報に基づいて、中心性指標導出部16から複数の選択クラスタの各々の識別情報に関連付けられる複数のリモート局の識別情報を特定し、特定した複数のリモート局の識別情報に関連付けられている媒介中心性を取得する。
例えば、決定部20は、中心性指標導出部16から、第1クラスタの識別情報に関連付けられる複数のリモート局の識別情報を特定し、特定した複数のリモート局の識別情報の各々に関連付けられる媒介中心性および第2クラスタの識別情報に関連付けられる複数のリモート局の識別情報を特定し、特定した複数のリモート局の識別情報の各々に関連付けられる媒介中心性を取得する。
決定部20は、複数の選択クラスタの各々について、選択クラスタに含まれる複数のリモート局のうち、媒介中心性が最も高いリモート局をベース局として決定する。例えば、決定部20は、第1クラスタの識別情報に関連付けられる複数のリモート局の識別情報のうち、関連付けられる媒介中心性が最も高いリモート局の識別情報に該当するリモート局をベース局として決定し、第2クラスタの識別情報に関連付けられる複数のリモート局の識別情報のうち、関連付けられる媒介中心性が最も高いリモート局の識別情報に該当するリモート局をベース局として決定する。
【0033】
図3に示すフローチャートでは、ステップS4-1において、選択部18は、含まれるリモート局の数が一番目に多い第1クラスタと、二番目に多い第2クラスタとを選択する場合について説明したが、この例に限られない。例えば、選択部18は、含まれるリモート局の数が二番目に多い第2クラスタと、三番目に多い第3クラスタとを選択するようにしてもよいし、それ以外のクラスタを選択するようにしてもよい。
【0034】
前述した実施形態では、入力部12に、監視制御局100、センター局200および複数のリモート局の各々の識別情報と位置情報とを関連付けた局位置情報が入力される場合について説明したが、この例に限られない。例えば、複数のリモート局から、ベース局を選択する場合であれば、入力部12に、複数のリモート局の位置情報が入力されるように構成してもよい。
【0035】
本実施形態に係る情報処理装置10によれば、情報処理装置10は、メッシュ型トポロジーに従って配置された複数のノード装置(実施形態では、リモート局)の各々の位置情報に基づいて、複数のノード装置をクラスタリングアルゴリズムによって複数のクラスタにクラスタリングを行うクラスタリング部14と、複数のノード装置の各々の媒介中心性を導出する中心性指標導出部16と、複数のクラスタの各々に含まれるノード装置の数に基づいて、複数のクラスタを選択する選択部18と、選択部18によって選択された複数のクラスタの各々に含まれる複数のノード装置から、媒介中心性の最も高いノード装置を、ベースノード装置(実施形態では、ベース局)として決定する決定部20とを備える。
情報処理装置10において、選択部18は、ノード装置の数が一番目に多いクラスタおよび二番目に多いクラスタを選択する。
【0036】
このように構成することによって、選択した複数のクラスタ内で、媒介中心性の最も高いリモート局をベース局として決定することができるため、ベース局はクラスタに含まれる各ノードとできるだけ短いホップ数で接続することが可能になる。この結果、媒介中心性の最も高いリモート局以外をベース局として決定する場合と比較して、ゲリラ豪雨によってベース局との接続が切断されてしまうリモート局の数を低減できる。
【0037】
情報処理装置10において、クラスタリング部14は、DBSCANアルゴリズムによって複数のクラスタにクラスタリングを行う。
このように構成することによって、複数のノード装置を、密度準拠クラスタリングのアルゴリズムによって、半径以内に含まれる点によってその領域をクラスタとして判断できる。
【0038】
(実施形態の変形例1)
図4は、実施形態の変形例1に係る情報処理装置によって作成される無線通信システム1aの構成図の一例を示す図である。無線通信システム1aは、監視制御局100と、センター局200と、ベース局300-1と、ベース局300-2と、複数のリモート局とを含む。監視制御局100、センター局200、ベース局300-1、ベース局300-2および複数のリモート局の配置の一例は、メッシュ型トポロジーである。
【0039】
無線通信システム1のベース局300-1およびベース局300-2は、情報処理装置10aによって決定される。情報処理装置10aには、局位置情報が入力される。情報処理装置10aは、局位置情報に含まれる複数のリモート局の位置情報に基づいて、複数のリモート局の各々を、クラスタリングアルゴリズムによって複数のクラスタにクラスタリングする。クラスタリングアルゴリズムの一例は、DBSCANである。
【0040】
図4に示すように、複数のリモート局が、第1クラスタ、第2クラスタ、第3クラスタ、第4クラスタおよび第5クラスタにクラスタリングされる。各クラスタに含まれるリモート局の数は、多い方から、第1クラスタ、第2クラスタ、第3クラスタ、第4クラスタ、第5クラスタである。
【0041】
情報処理装置10aは、第1クラスタ、第2クラスタ、第3クラスタ、第4クラスタおよび第5クラスタの各々について、クラスタに含まれる複数のリモート局の各々の中心性指標を導出する。中心性指標の一例は、媒介中心性である。
情報処理装置10aは、第1クラスタ、第2クラスタ、第3クラスタ、第4クラスタおよび第5クラスタから、閾値以上の数のリモート局を含むものを選択する。情報処理装置10aは、選択したクラスタに含まれる複数のリモート局から、切断点となる一又は複数のリモート局を選択し、選択した一又は複数のリモート局から、媒介中心性の最も高いリモート局を、ベース局として決定する。切断点とは、それを削除すると連結グラフが二分割されてしまうノード装置のことを示す。以下、本実施形態に係る情報処理装置10aについて詳細に説明する。
【0042】
(情報処理装置10a)
図5は、実施形態の変形例1に係る情報処理装置10aの一例を示す図である。情報処理装置10aは、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。情報処理装置10aは、入力部12と、クラスタリング部14と、中心性指標導出部16と、選択部18と、決定部20aと、記憶部22とを備えている。
【0043】
決定部20aは、選択部18から複数の選択クラスタの識別情報を取得する。決定部20aは、取得した複数の選択クラスタの識別情報に基づいて複数の選択クラスタの各々に関連付けられる複数のリモート局の識別情報を特定し、中心性指標導出部16から、特定した複数のリモート局の識別情報の各々に関連付けられている媒介中心性を取得する。決定部20aは、複数の選択クラスタの各々について、選択クラスタの識別情報に関連付けられている複数のリモート局の識別情報のうち、取得した複数のリモート局の識別情報の各々の位置情報に基づいて、切断点となる一又は複数のリモート局に該当する識別情報を選択する。決定部20aは、選択した一又は複数のリモート局の識別情報から、関連付けられている媒介中心性が最も高いリモート局の識別情報に該当するリモート局をベース局として決定する。
例えば、決定部20aは、選択クラスタの識別情報に関連付けられている複数のリモート局の識別情報に関連付けられている位置情報を局位置情報から取得し、取得した複数のリモート局の識別情報に関連付けられている位置情報に基づいて、切断点となる一又は複数のリモート局に該当する識別情報を選択する。決定部20aは、複数の選択クラスタの各々について、選択クラスタに関連付けられている複数のリモート局の識別情報を、関連付けられている媒介中心性が高い順に順位付けを行うことによって媒介中心性が最も高いリモート局の識別情報に該当するリモート局をベース局として決定する。
【0044】
決定部20aは、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサが記憶部22に格納されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。
また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
コンピュータプログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0045】
(情報処理装置10aの動作)
図6は、実施形態の変形例1に係る情報処理装置10aの動作の一例を示すフローチャートである。図6を参照して、無線通信システム1aのネットワーク構成図を作成する処理、具体的には、複数のリモート局からベース局を決定する処理について説明する。ステップS1-2からS4-2は、図3を参照して説明したステップS1-1からS4-1を適用できるため、説明を省略する。
【0046】
(ステップS5-2)
決定部20aは、選択部18から複数の選択クラスタの識別情報を取得する。例えば、決定部20aは、選択部18から、第1クラスタおよび第2クラスタの識別情報を取得する。
決定部20aは、取得した複数の選択クラスタの識別情報に基づいて、中心性指標導出部16から複数の選択クラスタの各々の識別情報に関連づけられている媒介中心性を取得する。
例えば、決定部20aは、中心性指標導出部16から、第1クラスタの識別情報に関連付けられる複数のリモート局の識別情報を特定し、特定した複数のリモート局の識別情報の各々に関連付けられる媒介中心性および第2クラスタの識別情報に関連付けられる複数のリモート局の識別情報を特定し、特定した複数のリモート局の識別情報の各々に関連付けられる媒介中心性を取得する。
【0047】
決定部20aは、複数の選択クラスタの各々について、選択クラスタの識別情報に関連付けられている複数のリモート局の識別情報のうち、切断点となる一又は複数のリモート局に該当する識別情報を選択し、選択した一又は複数のリモート局の識別情報から、関連付けられている媒介中心性の最も高いリモート局の識別情報に該当するリモート局を、ベース局として決定する。
【0048】
例えば、決定部20aは、第1クラスタの識別情報に関連付けられる複数のリモート局の識別情報から、切断点となる一又は複数のリモート局の識別情報を選択し、選択した一又は複数のリモート局の識別情報から、媒介中心性が最も高いリモート局の識別情報に該当するリモート局をベース局として決定する。例えば、決定部20aは、第2クラスタの識別情報に関連付けられる複数のリモート局の識別情報から、切断点となる一又は複数のリモート局の識別情報を選択し、選択した一又は複数のリモート局の識別情報から、媒介中心性が最も高いリモート局の識別情報に該当するリモート局をベース局として決定する。
【0049】
図6に示すフローチャートでは、ステップS4-2において、選択部18は、含まれるリモート局の数が一番目に多い第1クラスタと、二番目に多い第2クラスタとを選択する場合について説明したが、この例に限られない。例えば、選択部18は、含まれるリモート局の数が二番目に多い第2クラスタと、三番目に多い第3クラスタとを選択するようにしてもよいし、それ以外のクラスタを選択するようにしてもよい。
【0050】
図7は、実施形態の変形例1に係る情報処理装置10aによって作成される無線通信システム1aaの構成図の一例を示す図である。無線通信システム1aaは、監視制御局100と、センター局200と、ベース局300-1と、ベース局300-2と、複数のリモート局とを含む。監視制御局100、センター局200、ベース局300-1、ベース局300-2および複数のリモート局の配置の一例は、メッシュ型トポロジーである。
【0051】
第1クラスタおよび第2クラスタに、それぞれ第1ベース局および第2のベース局を設置した場合、第1クラスタと第2クラスタとの境界付近に第1ベース局および第2ベース局が設置される可能性が高い。第1クラスタと第2クラスタとの境界付近に第1ベース局および第2ベース局が設置されるこの場合、第1ベース局と第2ベース局との間の距離が短くなり、ゲリラ豪雨で局所的に90mm/hrを超えるような豪雨エリアに第1ベース局と第2ベース局とが同時に含まれる可能性が高くなる。豪雨エリアに第1ベース局と第2ベース局とが同時に含まれる場合は、全てのリモート局からセンター局への回線が遮断されるおそれがある。
【0052】
一方、第2クラスタおよび第3クラスタに、それぞれ第1ベース局および第2ベース局を設置した場合、第1ベース局は第1クラスタと第2クラスタとの境界付近に、第2ベース局は第1クラスタと第3クラスタの境界付近に設置される。第2クラスタおよび第3クラスタにそれぞれ第1ベース局および第2ベース局を設置した場合の方が、第1クラスタおよび第2クラスタにそれぞれ第1ベース局および第2ベース局を設置した場合よりも、第1ベース局と第2ベース局との間の距離が長くなる。このため、第2クラスタおよび第3クラスタにそれぞれ第1ベース局および第2ベース局を設置した場合に、局所的に90mm/hrを超えるような豪雨が発生しても、2つのベース局のうち、どちらか一方のベース局が豪雨のエリアから外れる可能性が高くなる。このため、センター局との接続を維持するリモート局の割合を増加することが可能になる。
【0053】
実施形態の変形例1に係る情報処理装置10aによれば、情報処理装置10aは、情報処理装置10において、決定部20aは、複数のクラスタの各々に含まれる複数のノード装置(実施形態の変形例1ではリモート局)から、切断点となる一又は複数のノード装置を選択し、選択した一又は複数のノード装置から、媒介中心性の最も高いノード装置を、ベースノード装置(実施形態の変形例1ではベース局)として決定する。
情報処理装置10aは、情報処理装置10において、選択部18は、ノード装置の数が二番目に多いクラスタおよび三番目に多いクラスタを選択する。
このように構成することによって、選択した複数のクラスタ内で、切断点となり、且つ媒介中心性の最も高いリモート局をベース局とすることができるため、ベース局は、連結グラフが二分割される可能性を低減できるとともに、クラスタに含まれる各リモート局とできるだけ短いホップ数で接続することが可能になる。この結果、ゲリラ豪雨によってベース局との接続が切れてしまうリモート局の数を低減できる。
【0054】
(実施形態の変形例2)
図8は、実施形態の変形例2に係る情報処理装置によって作成される無線通信システム1bの構成図の一例を示す図である。無線通信システム1bは、監視制御局100と、センター局200と、ベース局300-1と、ベース局300-2と、複数のリモート局とを含む。監視制御局100、センター局200、ベース局300-1、ベース局300-2および複数のリモート局の配置の一例は、メッシュ型トポロジーである。
【0055】
無線通信システム1bのベース局300-1およびベース局300-2は、情報処理装置10bによって決定される。情報処理装置10bには、局位置情報が入力される。情報処理装置10bは、局位置情報に含まれる複数のリモート局の位置情報に基づいて、複数のリモート局の各々を、クラスタリングアルゴリズムによって複数のクラスタにクラスタリングする。クラスタリングアルゴリズムの一例は、DBSCANである。
【0056】
図8に示すように、複数のリモート局が、第1クラスタ、第2クラスタ、第3クラスタ、第4クラスタおよび第5クラスタにクラスタリングされる。各クラスタに含まれるリモート局の数は、多い方から、第1クラスタ、第2クラスタ、第3クラスタ、第4クラスタ、第5クラスタである。
【0057】
情報処理装置10bは、第1クラスタ、第2クラスタ、第3クラスタ、第4クラスタおよび第5クラスタの各々について、クラスタに含まれる複数のリモート局の各々の中心性指標を導出する。中心性指標の一例は、媒介中心性である。
情報処理装置10bは、第1クラスタ、第2クラスタ、第3クラスタ、第4クラスタおよび第5クラスタから、閾値以上の数のリモート局を含むものを選択する。情報処理装置10bは、選択したクラスタに含まれる複数のリモート局から、切断点となる一又は複数のリモート局を選択し、選択した一又は複数のリモート局から、媒介中心性の最も高いリモート局を、ベース局として仮決定する。
【0058】
情報処理装置10bは、複数のベース局同士の距離を導出する。情報処理装置10bは、複数のベース局同士の距離が閾値以下であるか否かを判定する。情報処理装置10bは、複数のベース局同士の距離が閾値以下である場合に、選択した複数のクラスタのうちいずれかのクラスタを、選択していないクラスタに変更する。情報処理装置10bは、変更したクラスタに含まれる複数のリモート局から、媒介中心性の最も高いリモート局を、ベース局として決定する。情報処理装置10bは、複数のベース局同士の距離が閾値より長い場合にはベース局として仮決定したリモート局をベース局として決定する。以下、実施形態の変形例2に係る情報処理装置10bについて詳細に説明する。
【0059】
(情報処理装置10b)
図9は、実施形態の変形例2に係る情報処理装置10bの一例を示す図である。情報処理装置10bは、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。情報処理装置10bは、入力部12と、クラスタリング部14と、中心性指標導出部16と、選択部18bと、決定部20bと、記憶部22と、距離導出部24bと、判定部26bとを備えている。
【0060】
選択部18bは、クラスタリング部14からクラスタ情報を取得する。選択部18bは、取得したクラスタ情報に含まれる複数のクラスタの識別情報から、閾値以上の数のリモート局を含む複数の選択クラスタの識別情報を選択する。
【0061】
決定部20bは、選択部18bから複数の選択クラスタの識別情報を取得する。決定部20bは、取得した複数の選択クラスタの識別情報に基づいて、中心性指標導出部16から複数の選択クラスタの各々に関連付けられる複数のリモート局の識別情報を特定し、特定した複数のリモート局の識別情報の各々に関連付けられている媒介中心性を取得する。
決定部20bは、複数の選択クラスタの各々について、選択クラスタの識別情報に関連付けられている複数のリモート局の識別情報のうち、切断点となる一又は複数のリモート局に該当する識別情報を選択し、選択した一又は複数のリモート局の識別情報から、関連付けられている媒介中心性が最も高いリモート局の識別情報に該当するリモート局をベース局として仮決定する。
【0062】
距離導出部24bは、決定部20bが仮決定した複数のベース局の識別情報を取得する。距離導出部24bは、取得した複数のベース局の識別情報に基づいて、記憶部22の局位置情報から複数のベース局の各々の位置情報を取得する。距離導出部24bは、取得した複数のベース局の各々の位置情報に基づいて、複数のベース局同士の距離を導出する。
判定部26bは、距離導出部24bから複数のベース局同士の距離の導出結果を取得する。判定部26bは、取得した複数のベース局同士の距離の導出結果に基づいて、距離が閾値以上であるか否かを判定する。
【0063】
決定部20bは、判定部26bによって複数のベース局同士の距離が閾値以上であると判定された場合、仮決定された複数のベース局を、ベース局に決定する。
選択部18bは、判定部26bによって距離が閾値以上でないと判定した場合に、選択した複数の選択クラスタのうちいずれかのクラスタを、選択していないクラスタに変更する。決定部20bは、判定部26bによって複数のベース局同士の距離が閾値以上でないと判定された場合、選択部18bから変更されたクラスタの識別情報を取得する。決定部20bは、取得したクラスタの識別情報に基づいて、中心性指標導出部16からそのクラスタに関連付けられる複数のリモート局の識別情報を特定し、特定した複数のリモート局の識別情報の各々に関連付けられている媒介中心性を取得する。決定部20bは、そのクラスタの識別情報に関連付けられている複数のリモート局の識別情報のうち、関連付けられている媒介中心性が最も高いリモート局の識別情報に該当するリモート局をベース局として仮決定する。
【0064】
選択部18b、決定部20b、距離導出部24bおよび判定部26bは、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサが記憶部22に格納されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。
また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
コンピュータプログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0065】
(情報処理装置10bの動作)
図10は、実施形態の変形例2に係る情報処理装置10bの動作の一例を示すフローチャートである。図10を参照して、無線通信システム1bのネットワーク構成図を作成する処理、具体的には、複数のリモート局からベース局を決定する処理について説明する。
ステップS1-3からS3-3は、図3を参照して説明したステップS1-1からS3-1を適用できるため、説明を省略する。
(ステップS4-3)
選択部18bは、クラスタリング部14からクラスタ情報を取得する。選択部18bは、取得したクラスタ情報に含まれる複数のクラスタの識別情報から、閾値以上の数のリモート局を含む選択クラスタの識別情報を選択する。例えば、選択部18bは、含まれるリモート局の数が二番目に多い第2クラスタと、三番目に多い第3クラスタとを選択する。
【0066】
(ステップS5-3)
決定部20bは、選択部18bから複数の選択クラスタの識別情報を取得する。例えば、決定部20bは、選択部18bから、第2クラスタおよび第3クラスタの識別情報を取得する。決定部20bは、取得した複数の選択クラスタの識別情報に基づいて、中心性指標導出部16から複数の選択クラスタの各々の識別情報に関連づけられている媒介中心性を取得する。
例えば、決定部20bは、中心性指標導出部16から、第2クラスタの識別情報に関連付けられる複数のリモート局の識別情報を特定し、特定した複数のリモート局の識別情報の各々に関連付けられる媒介中心性を取得する。決定部20bは、中心性指標導出部16から、第3クラスタの識別情報に関連付けられる複数のリモート局の識別情報を特定し、特定した複数のリモート局の識別情報の各々に関連付けられる媒介中心性を取得する。
【0067】
決定部20bは、複数の選択クラスタの各々について、選択クラスタの識別情報に関連付けられている複数のリモート局の識別情報のうち、切断点となる一又は複数のリモート局に該当する識別情報を選択し、選択した一又は複数のリモート局の識別情報から、関連付けられている媒介中心性の最も高いリモート局の識別情報に該当するリモート局を、ベース局として仮決定する。
【0068】
例えば、決定部20bは、第2クラスタに含まれる複数のリモート局から、切断点となる一又は複数のリモート局を選択し、選択した一又は複数のリモート局から、媒介中心性が最も高いリモート局をベース局として決定する。例えば、決定部20bは、第3クラスタに含まれる複数のリモート局から、切断点となる一又は複数のリモート局を選択し、選択した一又は複数のリモート局から、媒介中心性が最も高いリモート局をベース局として決定する。
【0069】
(ステップS6-3)
距離導出部24bは、決定部20bが仮決定した複数のベース局の識別情報を取得する。距離導出部24bは、取得した複数のベース局の識別情報に基づいて、記憶部22から複数のベース局の各々の位置情報を取得する。距離導出部24bは、取得した複数のベース局の各々の位置情報に基づいて、複数のベース局同士の距離を導出する。
例えば、距離導出部24bは、第2クラスタに含まれる複数のリモート局から仮決定されたベース局および第3クラスタに含まれる複数のリモート局から仮決定されたベース局の識別情報を取得する。距離導出部24bは、取得した2つのベース局の識別情報に基づいて、記憶部22から2つのベース局の各々の位置情報を取得する。距離導出部24bは、取得した2つのベース局の各々の位置情報に基づいて、2つのベース局同士の距離を導出する。
判定部26bは、距離導出部24bから複数のベース局同士の距離の導出結果を取得する。判定部26bは、取得した複数のベース局同士の距離の導出結果に基づいて、距離が閾値以上であるか否かを判定する。
例えば、判定部26bは、距離導出部24bから2つのベース局同士の距離の導出結果を取得する。判定部26bは、取得した2つのベース局同士の距離の導出結果に基づいて、距離が閾値以上であるか否かを判定する。
【0070】
(ステップS7-3)
決定部20bは、判定部26bによって複数のベース局同士の距離が閾値以上であると判定された場合、仮決定した複数のベース局をベース局として決定する。
(ステップS8-3)
選択部18bは、判定部26bによって複数のベース局同士の距離が閾値未満のものがあると判定した場合に、選択した複数の選択クラスタのうちいずれかのクラスタを、選択していないクラスタに変更する。
例えば、選択部18bは、判定部26bによって2つのベース局同士の距離が閾値未満であると判定した場合に、選択した2つのクラスタのうち、クラスタに属するリモート局数が少ないクラスタを、選択していないクラスタのうち、次にクラスタ数の多い第4クラスタに変更する。その後、ステップS5-3へ移行する。
【0071】
ステップS5-3では、決定部20bは、選択部18bから第4クラスタを示す情報を取得する。決定部20bは、取得した第4クラスタを示す情報に基づいて、中心性指標導出部16から第4クラスタに含まれる複数のリモート局の媒介中心性を取得する。
決定部20bは、第4クラスタについて、第4クラスタに含まれる複数のリモート局から、切断点となる一又は複数のリモート局を選択し、選択した一又は複数のリモート局から、媒介中心性の最も高いリモート局を、ベース局として仮決定する。
【0072】
実施形態の変形例2では、複数のベース局同士の距離が閾値以上でない場合に、決定部20bは、選択部18bから取得したクラスタの識別情報に基づいて、クラスタの識別情報に関連付けられている複数のリモート局の識別情報のうち、関連付けられている媒介中心性が最も高いリモート局の識別情報に該当するリモート局をベース局として仮決定する場合について説明したが、この例に限られない。例えば、決定部20bは、再度仮決定することなく決定するようにしてもよいし、仮決定される回数の閾値が設定されてもよい。このように構成することによって、ベース局が仮決定される処理が繰り返されることを防止できる。
【0073】
実施形態の変形例2に係る情報処理装置10bによれば、情報処理装置10bは、情報処理装置10において、複数のベースノード装置(実施形態の変形例ではベース局)同士の距離を導出する距離導出部24bと、複数のベースノード装置同士の距離が閾値以上であるか否かを判定する判定部26bとをさらに備える。選択部18bは、距離が閾値以上でない場合に、選択した複数のクラスタのうちいずれかのクラスタを、選択していないクラスタに変更する。決定部20bは、選択部18bによって変更されたクラスタに含まれる複数のリモート局から、媒介中心性の最も高いリモート局を、ベース局として決定する。
情報処理装置10bにおいて、閾値は、突発的な局地的大雨のエリアに基づいて決定される。
【0074】
このように構成することによって、仮に複数のベース局同士の距離が閾値未満になった場合でも、新たにベース局を選択できるため、ベース局同士の距離を閾値以上にできる。このため、複数のベース局の全てが、ゲリラ豪雨の強雨エリアに含まれる確率が大幅に低減できる。仮に、局所的に90mm/hrを超えるような豪雨が発生しても、センター局との接続を維持するリモート局の割合を増加することができる。
【0075】
例えば、複数のベース局同士の距離がゲリラ豪雨における強雨エリア半径を反映して設定した離隔距離未満となった場合に、新たにベース局を決定できるため、ベース局同士の距離を離隔距離以上にできる。離隔距離の一例は、リモート局間を結ぶ無線回線のうち、平均的な長さを有する無線回線の受信電力マージンを上回る瞬時降雨強度が発生するエリアの直径である。
例えば、2020年8月13日に東京で発生したゲリラ豪雨において1分間瞬時降雨強度が90mm/hrを超えるエリアの直径は約1kmであった。この離隔距離は、無線ネットワークを設置するエリアにおける瞬時降雨強度の気象データベースを基に設定可能である。瞬時降雨強度の気象データベースとしては、データ統合・解析システムDIAS(Data Integration and Analysis System)などが提供している。
【0076】
(実施形態の変形例3)
図11は、実施形態の変形例3に係る情報処理装置によって作成される無線通信システム1cの構成図の一例を示す図である。無線通信システム1cは、監視制御局100と、センター局200と、ベース局300-1と、ベース局300-2と、複数のリモート局とを含む。監視制御局100、センター局200、ベース局300-1、ベース局300-2および複数のリモート局の配置の一例は、メッシュ型トポロジーである。
【0077】
無線通信システム1cのベース局300-1およびベース局300-2は、情報処理装置10cによって決定される。情報処理装置10cには、局位置情報が入力される。情報処理装置10cは、局位置情報に含まれる複数のリモート局の位置情報に基づいて、複数のリモート局の各々を、クラスタリングアルゴリズムによって複数のクラスタにクラスタリングする。クラスタリングアルゴリズムの一例は、DBSCANである。
【0078】
図11に示すように、複数のリモート局が、第1クラスタ、第2クラスタ、第3クラスタ、第4クラスタおよび第5クラスタにクラスタリングされる。各クラスタに含まれるリモート局の数は、多い方から、第1クラスタ、第2クラスタ、第3クラスタ、第4クラスタ、第5クラスタである。
【0079】
情報処理装置10cは、第1クラスタ、第2クラスタ、第3クラスタ、第4クラスタおよび第5クラスタの各々について、クラスタに含まれる複数のリモート局の各々の中心性指標を導出する。中心性指標の一例は、媒介中心性である。
情報処理装置10cは、第1クラスタ、第2クラスタ、第3クラスタ、第4クラスタおよび第5クラスタから、全リモート局数に対して閾値以上の割合のリモート局数を含むクラスタを全て選択する。閾値の一例は10%である、閾値は、無線通信システム1cに含まれるリモート局の数およびDBSCANアルゴリズムによってクラスタリングされたクラスタの数の少なくとも一方に基づいて適宜変更可能である。例えば、閾値は、5%から20%であってもよいし、7.5%から15%であってもよい。
【0080】
情報処理装置10cは、選択した複数のクラスタの各々について、クラスタに含まれる複数のリモート局から、切断点となる一又は複数のリモート局を選択し、選択した一又は複数のリモート局から、媒介中心性が最も高いリモート局を選択し、選択したリモート局を仮のベース局とする。
情報処理装置10cは、選択した複数の仮のベース局の中で、距離が最も離れている2つの仮のベース局をベース局として決定する。情報処理装置10cは、ベース局として決定した仮のベース局以外の仮のベース局を、リモート局に戻す。
以下、実施形態の変形例3に係る情報処理装置10cについて詳細に説明する。
【0081】
(情報処理装置10c)
図12は、実施形態の変形例3に係る情報処理装置10cの一例を示す図である。情報処理装置10cは、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。情報処理装置10cは、入力部12と、クラスタリング部14と、中心性指標導出部16と、選択部18cと、決定部20cと、記憶部22と、距離導出部24cとを備えている。
【0082】
選択部18cは、クラスタリング部14からクラスタ情報を取得する。選択部18bは、取得したクラスタ情報に含まれる複数のクラスタの識別情報から、全リモート局数に対して閾値以上の割合のリモート局数を含むクラスタの識別情報を全て選択する。
【0083】
決定部20cは、選択部18cから複数の選択クラスタの識別情報を取得する。決定部20cは、取得した複数の選択クラスタの識別情報に基づいて、中心性指標導出部16から複数の選択クラスタの各々に関連付けられる複数のリモート局の識別情報を特定し、特定した複数のリモート局の識別情報の各々に関連付けられている媒介中心性を取得する。
決定部20cは、複数の選択クラスタの各々について、選択クラスタの識別情報に関連付けられている複数のリモート局の識別情報のうち、関連付けられている媒介中心性が最も高いリモート局の識別情報に該当するリモート局を仮のベース局として選択する。
【0084】
距離導出部24bは、決定部20bが選択した複数の仮のベース局の識別情報を取得する。距離導出部24bは、取得した複数の仮のベース局の識別情報に基づいて、記憶部22の局位置情報から複数の仮のベース局の各々の位置情報を取得する。距離導出部24bは、取得した複数の仮のベース局の各々の位置情報に基づいて、複数の仮のベース局同士の距離を導出する。
決定部20cは、距離導出部24bから複数の仮のベース局同士の距離の導出結果を取得する。決定部20cは、取得した複数の仮のベース局同士の距離の導出結果に基づいて、距離が最も離れている2つの仮のベース局をベース局として決定する。決定部20cは、ベース局として決定した仮のベース局以外の仮のベース局を、リモート局に戻す。
【0085】
選択部18c、決定部20cおよび距離導出部24cは、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサが記憶部22に格納されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。
また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
コンピュータプログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0086】
(情報処理装置10cの動作)
図13は、実施形態の変形例3に係る情報処理装置10cの動作の一例を示すフローチャートである。図13を参照して、無線通信システム1cのネットワーク構成図を作成する処理、具体的には、複数のリモート局からベース局を決定する処理について説明する。
ステップS1-4からS3-4は、図3を参照して説明したステップS1-1からS3-1を適用できるため、説明を省略する。
(ステップS4-4)
選択部18cは、クラスタリング部14からクラスタ情報を取得する。選択部18bは、取得したクラスタ情報に含まれる複数のクラスタの識別情報から、全リモート局数に対して閾値以上の割合のリモート局数を含むクラスタの識別情報を全て選択する。
【0087】
(ステップS5-4)
決定部20cは、選択部18cから複数の選択クラスタの識別情報を取得する。決定部20cは、取得した複数の選択クラスタの識別情報に基づいて、中心性指標導出部16から複数の選択クラスタの各々に関連付けられる複数のリモート局の識別情報を特定し、特定した複数のリモート局の識別情報の各々に関連付けられている媒介中心性を取得する。
決定部20cは、複数の選択クラスタの各々について、選択クラスタの識別情報に関連付けられている複数のリモート局の識別情報のうち、関連付けられている媒介中心性が最も高いリモート局の識別情報に該当するリモート局を仮のベース局として選択する。
距離導出部24bは、決定部20bが選択した複数の仮のベース局の識別情報を取得する。距離導出部24bは、取得した複数の仮のベース局の識別情報に基づいて、記憶部22の局位置情報からから複数の仮のベース局の各々の位置情報を取得する。距離導出部24bは、取得した複数の仮のベース局の各々の位置情報に基づいて、複数の仮のベース局同士の距離を導出する。
決定部20cは、距離導出部24bから複数の仮のベース局同士の距離の導出結果を取得する。決定部20cは、取得した複数の仮のベース局同士の距離の導出結果に基づいて、距離が最も離れている2つの仮のベース局をベース局として決定する。決定部20cは、ベース局として決定した仮のベース局以外の仮のベース局を、リモート局に戻す。
【0088】
情報処理装置10cにおいて、決定部20cは、複数のクラスタの各々に含まれる複数のリモート局から、切断点となる一又は複数のリモート局を選択し、選択した一又は複数のリモート局から、媒介中心性の最も高いリモート局を取得し、取得した複数のリモート局のうち最も距離が離れた2つのリモート局を、ベース局として決定するようにしてもよい。
【0089】
実施形態の変形例3に係る情報処理装置10cによれば、情報処理装置10cは、情報処理装置10において、選択部18cは、複数のクラスタの各々に含まれるノード装置(実施形態ではリモート局)の数の全てのノード装置に対する割合に基づいて、複数のクラスタを選択する。決定部20cは、選択部18cが選択した複数のクラスタの各々に含まれる複数のノード装置から、媒介中心性の最も高いノード装置を取得し、取得した複数のノード装置のうち最も距離が離れた2つのノード装置を、ベースノード装置(実施形態ではベース局)として決定する。
情報処理装置10cにおいて、決定部20cは、複数のクラスタの各々に含まれる複数のノード装置から、切断点となる一又は複数のノード装置を選択し、選択した一又は複数のノード装置から、媒介中心性の最も高いノード装置を取得し、取得した複数のノード装置のうち最も距離が離れた2つのノード装置を、ベースノード装置として決定する。
【0090】
このように構成することによって、複数のリモート局のうち最も距離が離れた2つのリモート局を、ベース局として決定できるため、2つのベース局の両方が、ゲリラ豪雨で想定される強雨エリアに含まれる確率を大幅に低減できる。局所的に90mm/hrを超えるような豪雨が発生しても、センター局との接続を維持するリモート局の割合を増加させることができる。
【0091】
図14図15は、本実施形態および実施形態の変形例1から3の効果の一例を説明するための図である。図14は、東京都中心部における300GHz帯無線により接続されたメッシュネットワークにおいて、ゲリラ豪雨時にセンター局に接続されるリモート局の割合を示す。図15は、メッシュネットワークの一例を示す図である。ゲリラ豪雨時の瞬時降雨強度のデータは、2020年8月13日16時30分~16時59分のデータを使用した。
【0092】
1つのリモート局をベース局として選択した場合にはリモート局がセンター局に接続される割合は40.0%であった(1)。任意の2つのリモート局をベース局として選択した場合にはリモート局がセンター局に接続される割合は72.0%であった。任意の2つのリモート局をベース局として選択した場合は、1つのリモート局をベース局として選択した場合と比較して大幅に上昇する(2)。第2クラスタ、第3クラスタに含まれるリモート局から最も媒介中心性が高いが切断点ではない2つのリモート局を選択した場合にはリモート局がセンター局に接続される割合は75.7%であった(3)。
【0093】
第2クラスタ、第3クラスタに含まれるリモート局から、任意の切断点であるリモート局を選択した場合にはリモート局がセンター局に接続される割合は73.6%であった(4)。第1クラスタ、第2クラスタに含まれるリモート局から、切断点であり、且つ最も媒介中心性が高い2つのリモート局を選択した場合にはリモート局がセンター局に接続される割合は73.5%であった(5)。第2クラスタ、第3クラスタに含まれるリモート局から、切断点であり、且つ最も媒介中心性が高い2つのリモート局を選択した場合にはリモート局がセンター局に接続される割合は77.2%であった(6)。第2クラスタ、第3クラスタに含まれるリモート局から、切断点であり、且つ最も媒介中心性が高く、間隔が閾値以上の2つのリモート局を選択した場合にはリモート局がセンター局に接続される割合は77.6%であった(7)。
【0094】
第2クラスタ、第3クラスタに含まれるリモート局から、切断点であり、且つ最も媒介中心性が高い2つのリモート局を選択した場合は、第2クラスタ、第3クラスタに含まれるリモート局から、最も媒介中心性が高いが切断点ではない2つのリモート局を選択した場合あるいは第2クラスタ、第3クラスタに含まれるリモート局から、任意の切断点であるリモート局を選択した場合と比較して、リモート局がセンター局に接続される割合が高くなっている。
クラスタに含まれるリモート局の数が1番目に多いクラスタと2番目に多いクラスタとを選択した場合より、2番目に多いクラスタと3番目に多いクラスタとを選択した場合の方が、リモート局がセンター局に接続される割合が高くなっていることが分かる。
【0095】
以上、本発明の実施形態及び変形例について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
【0096】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0097】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0098】
1、1a、1aa、1b、1c…無線通信システム、10、10a、10c…情報処理装置、12…入力部、14…クラスタリング部、16…中心性指標導出部、18、18b、18c…選択部、20、20a、20b、20c…決定部、22…記憶部、24b、24c…距離導出部、26b…判定部、100…監視制御局、200…センター局、300-1、300-2…ベース局
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15