(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179189
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】撮像装置、制御方法、並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/667 20230101AFI20241219BHJP
H04N 23/63 20230101ALI20241219BHJP
H04N 23/73 20230101ALI20241219BHJP
G03B 7/093 20210101ALI20241219BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20241219BHJP
G03B 17/18 20210101ALI20241219BHJP
【FI】
H04N23/667
H04N23/63
H04N23/73
G03B7/093
G03B15/00 Q
G03B17/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097838
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】吉村 英将
【テーマコード(参考)】
2H002
2H102
5C122
【Fターム(参考)】
2H002CC01
2H002GA16
2H002GA35
2H102AA41
2H102CA06
5C122DA04
5C122EA63
5C122EA69
5C122FA06
5C122FA07
5C122FA08
5C122FA12
5C122FF09
5C122FH10
5C122FH12
5C122FH14
5C122FK09
5C122FK12
5C122FK24
5C122FL06
5C122HA13
5C122HA35
5C122HA87
5C122HA88
5C122HA90
5C122HB01
5C122HB05
(57)【要約】
【課題】撮影者の撮影指示により移動体から撮影する際、所望の撮影タイミングを逃さずに撮影することができる撮像装置、制御方法、並びにプログラムを提供する。
【解決手段】プリキャプチャ機能を有する撮像装置101は、撮像装置101のシステム全体を制御する制御部106と、GPSを用いて撮像装置101の位置情報を取得する位置情報取得部102とを備え、制御部106は、位置情報取得部102で取得した位置情報から撮像装置101の移動速度を算出し、算出された移動速度が所定速度以上である場合、プリキャプチャ機能をONに切り替える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリキャプチャ機能を有する撮像装置であって、
前記撮像装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報から前記撮像装置の移動速度を算出する移動速度算出手段と、
前記移動速度が所定速度以上である場合、前記プリキャプチャ機能をONに切り替える切替手段と
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記切替手段は、主被写体が前記撮像装置から見て移動していないと判定した場合、前記プリキャプチャ機能をOFFにすることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
ライブビュー撮影により所定の撮影間隔で撮影された複数のフレーム画像を取得するライブビュー撮影手段を更に備え、
前記切替手段は、
前記撮像装置の画角内に映る前記主被写体の時間当たり移動量を、前記所定の撮影間隔及び前記複数のフレーム画像に映る前記主被写体の前記画角内の移動量に基づいて算出し、
前記時間当たり移動量が第1の所定値未満である場合、前記主被写体が前記撮像装置から見て移動していないと判定することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記時間当たり移動量と、前記第1の所定値より大きい第2の所定値とを比較し、その比較結果に応じて、前記プリキャプチャ機能の設定を行う設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記設定手段は、プリキャプチャ撮影時の前記撮像装置のシャッタースピードを設定することを特徴とする請求項4記載の撮像装置。
【請求項6】
ライブビュー撮影により所定の撮影間隔で撮影された複数のフレーム画像を取得するライブビュー撮影手段を更に備え、
前記切替手段は、
前記複数のフレーム画像に基づいて、前記撮像装置の画角内に映る前記主被写体の動きベクトルを算出し、
前記動きベクトルの量が第1の所定量未満である場合、前記主被写体が前記撮像装置から見て移動していないと判定することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記動きベクトルの量と、前記第1の所定量より大きい第2の所定量とを比較し、その比較結果に応じて、前記プリキャプチャ機能の設定を行う設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記設定手段は、プリキャプチャ撮影時の前記撮像装置のシャッタースピードを設定することを特徴とする請求項7記載の撮像装置。
【請求項9】
プリキャプチャ機能を有する撮像装置であって、
ライブビュー撮影により所定の撮影間隔で撮影された複数のフレーム画像を取得するライブビュー撮影手段と、
前記複数のフレーム画像に基づいて、前記撮像装置の画角内に映る複数の被写体の夫々の動きベクトルを算出するベクトル算出手段と、
前記算出された動きベクトルのうち、所定数以上の動きベクトルが、その大きさが所定値以上であり、かつその向きが同一方向である場合、前記プリキャプチャ機能をONに切り替える切替手段と
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
前記切替手段は、主被写体が前記撮像装置から見て移動していないと判定した場合、前記プリキャプチャ機能をOFFにすることを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記切替手段は、
前記所定の撮影間隔と、前記複数のフレーム画像に映る前記主被写体の画角内の移動量に基づいて、前記撮像装置の画角内に映る前記主被写体の時間当たり移動量を算出し、
前記時間当たり移動量が第1の所定値未満である場合、前記主被写体が前記撮像装置から見て移動していないと判定することを特徴とする請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記時間当たり移動量と、前記第1の所定値より大きい第2の所定値とを比較し、その比較結果に応じて、前記プリキャプチャ機能の設定を行う設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記設定手段は、プリキャプチャ撮影時の前記撮像装置のシャッタースピードを設定することを特徴とする請求項12記載の撮像装置。
【請求項14】
前記切替手段は、
前記複数のフレーム画像に基づいて、前記撮像装置の画角内に映る前記主被写体の動きベクトルを算出し、
前記動きベクトルの量が第1の所定量未満である場合、前記主被写体が前記撮像装置から見て移動していないと判定することを特徴とする請求項10に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記動きベクトルの量と、前記第1の所定量より大きい第2の所定量とを比較し、その比較結果に応じて、前記プリキャプチャ機能の設定を行う設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記設定手段は、プリキャプチャ撮影時の前記撮像装置のシャッタースピードを設定することを特徴とする請求項15に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記プリキャプチャ機能がONの場合にプリキャプチャ撮影指示及び本撮影指示の夫々のユーザ操作を受け付ける受付手段を更に備えることを特徴とする請求項1又は9に記載の撮像装置。
【請求項18】
移動体に据え付けられ、外部の撮影指示装置と無線接続する撮像装置であって、
前記撮影指示装置はプリキャプチャ開始指示及び本撮影指示の夫々のユーザ操作を受け付ける受付手段を更に備え、
前記プリキャプチャ機能がONの場合、
前記撮影指示装置から前記ユーザ操作に基づく前記プリキャプチャ開始指示を受信すると、プリキャプチャ撮影を開始し、
前記撮影指示装置から前記ユーザ操作に基づく前記本撮影指示を受信すると、本撮影を行うことを特徴とする請求項1又は9に記載の撮像装置。
【請求項19】
前記撮影指示装置は、前記撮像装置から受信したライブビュー画像を表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする請求項18に記載の撮像装置。
【請求項20】
前記撮像装置の画角内から特定の被写体を検知する被写体検知手段を更に備え、
前記切替手段は、前記被写体検知手段での検知結果を用いて、前記画角内に映る前記主被写体を検知することを特徴とする請求項2又は10に記載の撮像装置。
【請求項21】
プリキャプチャ機能を有する撮像装置の制御方法であって、
前記撮像装置の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報から前記撮像装置の移動速度を算出する移動速度算出ステップと、
前記移動速度が所定速度以上である場合、前記プリキャプチャ機能をONに切り替える切替ステップと
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項22】
プリキャプチャ機能を有する撮像装置の制御方法であって、
ライブビュー撮影により所定の撮影間隔で撮影された複数のフレーム画像を取得するライブビュー撮影ステップと、
前記複数のフレーム画像に基づいて、前記撮像装置の画角内に映る複数の被写体の夫々の動きベクトルを算出するベクトル算出ステップと、
前記算出された動きベクトルのうち、所定数以上の動きベクトルが、その大きさが所定値以上であり、かつその向きが同一方向である場合、前記プリキャプチャ機能をONに切り替える切替ステップと
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項23】
コンピュータを、請求項1に記載の撮像装置の各手段として機能させる、コンピュータにより実行可能なプログラム。
【請求項24】
コンピュータを、請求項9に記載の撮像装置の各手段として機能させる、コンピュータにより実行可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、制御方法、並びにプログラムに関し、特にプリキャプチャ機能を有する撮像装置、制御方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動中の乗り物から気になる建物や景色を撮影者がカメラで撮影する場合、カメラの移動速度が速いためにレリーズスイッチの押下による撮影指示のタイミングが遅れ、撮影タイミングを逃してしまうことがある。また、移動中のドローン等に搭載されたカメラを撮影者が遠隔制御により撮影する場合も、カメラの移動速度が速いために撮影指示のタイミングが遅れ、撮影タイミングを逃してしまうことがある。このように、カメラが移動している場合、撮影タイミングを逃しやすい。
【0003】
このようにカメラが移動体上にあって移動している場合の撮影に有効な技術として以下の従来技術が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1では、撮影開始時に撮像領域を撮影条件の異なる2つの領域に分割し、2つの撮影パラメータで撮影した写真を領域ごとに合成することで、それぞれの領域に適した撮影パラメータで撮影した撮影画像を生成できる技術が開示されている。この技術を用いれば、移動中の乗り物において車内風景、車窓風景の両方に好適な画像を記録できる。
【0005】
また特許文献2では、撮影装置が撮影を行うタイミングを規定するための撮影条件と撮像装置の移動速度に基づいて、撮影装置の撮影タイミングを制御する技術が開示されている。この技術を用いれば、移動体に設置された撮影装置による撮影を移動速度に応じて適切に制御できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-129474号公報
【特許文献2】特開2022-59858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献1,2に開示された従来技術では、撮影者が撮影指示を行う際に所望の撮影タイミングを逃してしまうという課題を解決できない。
【0008】
特許文献1では、移動中の乗り物において車内風景、車窓風景の両方に好適な画像を記録できるものの、撮影タイミングを補正することはできない。
【0009】
特許文献2では、撮影装置が撮影を行うタイミングを規定するための撮影条件を取得する取得手段を持ち、撮影条件と移動体の移動速度に基づいて、撮影装置の撮影タイミングを制御することができる。しかし、撮影条件や移動体の移動速度により撮影タイミングが決定されてしまうため、撮影者が撮影指示をしたタイミングで撮影を行うことはできない。
【0010】
そこで、本発明の目的は、撮影者の撮影指示により移動体から撮影する際、所望の撮影タイミングを逃さずに撮影することができる撮像装置、制御方法、並びにプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る撮像装置は、プリキャプチャ機能を有する撮像装置であって、前記撮像装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記位置情報から前記撮像装置の移動速度を算出する移動速度算出手段と、前記移動速度が所定速度以上である場合、前記プリキャプチャ機能をONに切り替える切替手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の請求項9に係る撮像装置は、プリキャプチャ機能を有する撮像装置であって、ライブビュー撮影により所定の撮影間隔で撮影された複数のフレーム画像を取得するライブビュー撮影手段と、前記複数のフレーム画像に基づいて、前記撮像装置の画角内に映る複数の被写体の夫々の動きベクトルを算出するベクトル算出手段と、前記算出された動きベクトルのうち、所定数以上の動きベクトルが、その大きさが所定値以上であり、かつその向きが同一方向である場合、前記プリキャプチャ機能をONに切り替える切替手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、撮影者の撮影指示により移動体から撮影する際、所望の撮影タイミングを逃さずに撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1の撮像装置を背面から見た外観図である。
【
図3】
図1の撮像装置の第一のユースケースを示す図である。
【
図4】
図1の撮像装置の第二のユースケースを示す図である。
【
図5】
図1の撮像装置の撮影処理のフローチャートである。
【
図6】
図1の撮像装置の画角内で主被写体が移動している状態を示す図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係る撮像装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図8】
図7の撮像装置の撮影処理のフローチャートである。
【
図9】
図7の撮像装置の画角内で複数の被写体が移動している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
<撮像装置101の構成>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る撮像装置101のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0017】
撮像装置101は、位置情報取得部102、レリーズスイッチ103、第一シャッタースイッチ104、第二シャッタースイッチ105、制御部106、撮像部107、及び電源部108を備える。撮像装置101はさらに、第一記録部109、第二記録部110、第一表示部111、及び第二表示部112を備える。
【0018】
位置情報取得部102(位置情報取得手段)は、撮像装置101の位置情報を検出でき、検出した位置情報を位置情報信号として制御部106に出力する。位置情報取得部102としては例えばGPS(Global Positioning System、全地球測位システム)が用いられるが、それに限定されるものではない。位置情報取得部102は制御部106に接続される。位置情報取得部102は制御部106から位置情報計測開始信号を受信した際に位置情報検出を開始するよう構成されており、同信号を受信するまでは位置情報を検出しない。尚、位置情報取得部102を、撮像装置101内部でなく、撮像装置101に接続された電子機器など、撮像装置101外部に設置するようにしてもよい。
【0019】
レリーズスイッチ103は、撮影者(ユーザ)が撮影を指示する際に押下するスイッチである。レリーズスイッチ103は、後述する
図2のように撮像装置101の上面にあっても良いし、後述する
図3のように撮像装置101の外部にあっても良い。レリーズスイッチ103への撮影者による操作情報は、後述する第一シャッタースイッチ信号SW1及び第二シャッタースイッチ信号SW2として、有線又は無線で制御部106に送信される。
【0020】
第一シャッタースイッチ104は、レリーズスイッチ103の途中操作、いわゆる半押し(プリキャプチャ開始指示)でONとなり第一シャッタースイッチ信号SW1を発生する。制御部106は第一シャッタースイッチ信号SW1を受信すると、オートフォーカス処理、自動露出処理、オートホワイトバランス処理、フラッシュプリ発光処理等の動作を開始する。
【0021】
第二シャッタースイッチ105は、レリーズスイッチ103の完了操作、いわゆる全押し(本撮影指示)でONとなり、第二シャッタースイッチ信号SW2を発生する。制御部106は第二シャッタースイッチ信号SW2を受信すると、撮像部107からの信号読み出しから第二記録部110への画像データの書き込みまでの一連の撮影処理の動作を開始する。
【0022】
制御部106は、撮像装置101のシステム全体を制御する制御部であり、例えばシステムLSI及びDRAMによって構成される。
【0023】
また、制御部106は、位置情報取得部102、撮像部107、電源部108、第一記録部109、第二記録部110、第一表示部111、第二表示部112に対して、制御を行っている。
【0024】
制御部106は、位置情報取得部102からの位置情報信号とレリーズスイッチ103から第一シャッタースイッチ信号SW1や第二シャッタースイッチ信号SW2を受信すると、撮像部107に制御信号を出力する。この制御信号により、制御部106は例えば撮像部107に対して撮影指示を行う。また、プリキャプチャ機能がONとなっている場合、レリーズスイッチ103の半押し操作に応じてプリキャプチャ撮影を開始し、レリーズスイッチ103の全押し操作に応じて本撮影を行い、本撮影画像とプリキャプチャ画像を取得する。プリキャプチャ自体は公知の技術であるので、本実施形態と関わる記載を除き、詳細の説明は省略する。
【0025】
撮像部107は、CMOSやCCDなどの撮像素子であり、制御部106に接続される。
【0026】
撮像部107は、制御部106からの制御信号に応じてフォーカスを合わせたり、撮影動作を行うなどを行い、被写体像を撮像する。撮像部107は取得した映像を制御部106へ送信する。
【0027】
電源部108は、例えば、不図示の電池やACアダプタなどの供給源から受けた電圧を撮像装置101で使用している各電子部品に対して、所望の電圧に変換し供給する。
【0028】
第一記録部109は、電源を供給しないと情報を保持できない揮発性メモリであり、制御部106の動作用の定数、変数等を展開する。また、プリキャプチャ機能がONとなった時点から所定時間が経過するまでにレリーズスイッチ103の半押し操作がされると、プリキャプチャ撮影が開始し、得られたフレーム画像がプリキャプチャ画像として第一記録部109に一時的に保存される。
【0029】
第二記録部110は、電源を供給しなくても情報を保持可能な不揮発性メモリであり、撮像装置101の各種動作を制御するプログラムや設定などを格納している。またプリキャプチャ撮影中の場合、プリキャプチャ撮影の開始から所定時間が経過するまでにレリーズスイッチ103が更に押し込まれ全押し操作がされると本撮影を行い、本撮影画像と第一記録部109内のプリキャプチャ画像が第二記録部110に保存される。
【0030】
第一表示部111は、例えば液晶ディスプレイで構成され、GUI(Graphical User Interface)の表示や、制御部106による各種処理結果の表示などを行う。第一表示部111は、後述する
図2のように撮像装置101の側面にあっても良いし、後述する
図3のように撮像装置101の外部にあっても良い。
【0031】
第二表示部112は、例えば電子式ファインダーで構成され、GUI(Graphical User Interface)の表示や、撮像部107が映す景色の表示などを行う。尚、後述する
図3のように、撮影者が撮像装置101を遠隔操作するような場合は第二表示部112を設けなくてもよい。
【0032】
図2は、撮像装置101を背面から見た外観図である。上面にレリーズスイッチ103、背面に第一表示部111、第二表示部112がある。上述の通り、レリーズスイッチ103は、
図2に示すように、撮像装置101の上面に設けられるが、この態様に限定されず、例えば、撮像装置101の外部に設けられていてもよい。第一表示部111は、
図2に示すように、撮像装置101の側面に設けられるが、この態様に限定されず、例えば、撮像装置101の外部に設けられていてもよい。
【0033】
<撮像装置101のユースケース>
図3は、撮像装置101の第1のユースケースを示す図であり、
図4は、撮像装置101の第2のユースケースを示す図である。尚、これらのユースケースはあくまで一例であり、これらに限られるものではない。尚、以下の説明において、各ユースケースで例示される移動体300a,300bを総称する場合については移動体300とする。
【0034】
図3に示すように、第1のユースケースでは、移動速度301で移動する移動体300aに乗った撮影者302が撮像装置101を用いて外部の主被写体303を撮影する。
【0035】
移動体300aは例えば電車やバスなどであるが、それに限定されるものではない。撮影者302は撮像装置101を用いて、移動体300aの内部(例えば、電車の車内)もしくは表面(例えば、バスの上部に設けられたオープンデッキ等)から主被写体303を撮影する。この際の撮影方向は撮影方向304となる。
【0036】
図4に示すように、第2のユースケースでは、移動速度301で移動する移動体300bに据え付けられた撮像装置101と無線接続する撮影指示装置400を用いて撮影者302が主被写体303を撮影する。移動体300bは例えばドローンであるが、それに限定されるものではない。撮影者302は移動体300bを外部の撮影指示装置400から遠隔制御する。
図4に示すように、撮影指示装置400には、第一表示部111、レリーズスイッチ103、移動体300bの飛行を操縦するためのプロポーショナルシステム(プロポ:不図示)が設けられている。撮影者は、撮像装置101からのライブビュー画像を第一表示部111に表示させ、撮像装置101が所望の画角となった際、レリーズスイッチ103を全押しすると、撮影指示装置400は撮像装置101に本撮影指示を無線通信で行う。これにより、撮像装置101は主被写体303を撮影する。この際の撮影方向は撮影方向304となる。また、撮像装置101においてプリキャプチャ機能がONの場合、撮影者がレリーズスイッチ103を半押しすると、撮影指示装置400は撮像装置101にプリキャプチャ開始指示を無線通信で行う。これにより、撮像装置101はプリキャプチャ撮影を開始する。
【0037】
<撮像装置101の撮影処理>
以下、
図5のフローチャートを参照して、撮像装置101の撮影処理について説明する。
【0038】
本処理は、制御部106が、第二記録部110からプログラムを読み込み、制御部106内部のDRAMに展開することで実行される。
【0039】
ステップS100では、撮影者が撮像装置101の電源スイッチ(不図示)を押下したことを検知すると、制御部106は撮像装置101を起動し、撮像部107(ライブビュー撮影手段)でのライブビュー撮影を開始すると、ステップS101に進む。
【0040】
ステップS101では、制御部106が位置情報取得部102に位置情報計測開始信号を送信する。これにより、位置情報取得部102は位置情報を取得し始める。以降、電源スイッチがOFFとなるまで、常に位置情報取得部102は制御部106に位置情報信号を送信し続ける。
【0041】
ステップS102では、制御部106(移動速度算出手段・切替手段)が位置情報取得部102から送信された位置情報信号に基づき撮像装置101の移動速度を計算し、移動速度が所定速度より大きいか否かを判定する。移動速度が所定速度より大きい場合(ステップS102でYES)、ステップS103に進み、移動速度が所定速度以下である場合(ステップS102でNO)、ステップS112に進む。ここで、所定速度の大きさは、撮像装置101の移動が、移動体300の移動に伴う移動であるのか、人が撮像装置101を持ち歩いていることに伴う移動であるのかが判定できる値であればよく、例えば人が早足で歩く速度(例えば秒速1.3m)に設定される。
【0042】
ステップS103では、画角内に映る主被写体303の時間当たり移動量(以下、画角内被写体移動量という)を制御部106が算出する。次に画角内被写体移動量が所定値603(
図6:第1の所定値)以上か否かを判定する。画角内被写体移動量が所定値603以上である場合(ステップS103でYES)、ステップS104に進み、画角内被写体移動量が所定値603未満である場合(ステップS103でNO)、ステップS112に進む。
【0043】
ここで、所定値603の大きさは、主被写体が撮像装置101から見て移動しているかどうかを判断できる値であればよく、ユースケースに応じた値に設定される。
【0044】
例えば、第1のユースケースの場合、所定値603は撮像装置101の手振れが相殺できる程度の値に設定する。これにより、移動体300a(例えば電車)の車内にいる友人が主被写体303の場合、ステップS103で画角内被写体移動量が所定値603未満であると判定され、ステップS112に進む。
【0045】
また、第2のユースケースの場合、移動体300b(例えばドローン)がホバリングにより静止している際の撮像装置101の位置ブレが相殺できる程度の値に設定する。これにより、移動体300bからかなり離れた山が主被写体303の場合、ステップS103で画角内被写体移動量が所定値603未満であると判定され、ステップS112に進む。
【0046】
ステップS104では、制御部106(切替手段)はプリキャプチャ機能をONに設定し、プリキャプチャ機能の自動設定を行うステップS105に進む。
【0047】
ステップS105では、制御部106(設定手段)は画角内に映る主被写体303の時間当たり移動量に応じてプリキャプチャ機能を自動で設定する。すなわち、撮像装置101から見た主被写体303の見かけ上の動きの速さに応じて制御部106はプリキャプチャ機能を自動で設定する。
【0048】
ステップS103,S105の夫々の処理の詳細は、後述する。
【0049】
ステップS106では、制御部106が第一シャッタースイッチ信号SW1を受信したか(第1の撮影指示があったか)否かを判定する。第一シャッタースイッチ信号SW1を受信した場合(ステップS106でYES)、ステップS107に進み、第一シャッタースイッチ信号SW1を受信していない場合(ステップS106でNO)、ステップS118に進む。
【0050】
ステップS118では、ステップS104でプリキャプチャ機能がONとなった時点から所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過した場合(ステップS118でYES)、ステップS102に戻り、まだ所定時間が経過していない場合(ステップS118でNO)、ステップS106に戻る。
【0051】
ステップS107では、制御部106が撮像部107にオートフォーカス開始指示の制御信号を送る。これにより、撮像部107はオートフォーカスを開始し、主被写体303にフォーカスを合わせる。
【0052】
ステップS108では、制御部106は、ステップS105で設定されたプリキャプチャ機能に基づいて、撮像制御を繰り返し実行するプリキャプチャ撮影開始指示の制御信号を撮像部107に送る。これにより、撮像部107はプリキャプチャ撮影を開始する。また、プリキャプチャ撮影が継続されている間、撮影されたプリキャプチャ画像は第一記録部109に一時的に保存されていく。
【0053】
ステップS109では、制御部106が第二シャッタースイッチ信号SW2を受信したか(第2の撮影指示があったか)否かを判定する。第二シャッタースイッチ信号SW2を受信した場合(ステップS109でYES)、ステップS110に進み、第二シャッタースイッチ信号SW2を受信していない場合(ステップS109でNO)、ステップS119に進む。
【0054】
ステップS119では、ステップS108でプリキャプチャ撮影の開始から所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過した場合(ステップS119でYES)、ステップS120に進み、まだ所定時間が経過していない場合(ステップS119でNO)、ステップS109に戻る。
【0055】
ステップS120では、制御部106が撮像部107にプリキャプチャ撮影終了指示の制御信号を送る。これにより、撮像部107はプリキャプチャ撮影を終了する。
【0056】
ステップS121では、制御部106が第一記録部109内のプリキャプチャ画像を削除する。その後ステップS102に戻る。
【0057】
ステップS110では、制御部106が撮像部107に本撮影実行指示の制御信号を送る。これにより撮像部107は本撮影を実行する。
【0058】
ステップS111では、制御部106が本撮影画像と第一記録部109内のプリキャプチャ画像を第二記録部110に保存する。第一記録部109内のプリキャプチャ画像については、全て第二記録部110に保存しても良いし、一部抜粋して第二記録部110に保存しても良い。ステップS111の処理が完了すると、制御部106は、
図5の撮影処理を完了する。
【0059】
ステップS112では、制御部106(切替手段)はプリキャプチャ機能をOFFに設定し、ステップS113に進む。
【0060】
ステップS113では、制御部106が第一シャッタースイッチ信号SW1を受信したか(第1の撮影指示があったか)否かを判定する。第一シャッタースイッチ信号SW1を受信した場合(ステップS113でYES)、ステップS114に進み、第一シャッタースイッチ信号SW1を受信していない場合(ステップS113でNO)、ステップS122に進む。
【0061】
ステップS122では、ステップS112でプリキャプチャ機能がOFFとなった時点から所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過した場合(ステップS122でYES)、ステップS102に戻り、まだ所定時間が経過していない場合(ステップS122でNO)、ステップS113に戻る。
【0062】
ステップS114では、制御部106が撮像部107にオートフォーカス開始指示の制御信号を送る。これにより、撮像部107はオートフォーカスを開始し、主被写体303にフォーカスを合わせる。
【0063】
ステップS115では、制御部106が第二シャッタースイッチ信号SW2を受信したか(第2の撮影指示があったか)否かを判定する。第二シャッタースイッチ信号SW2を受信した場合(ステップS115でYES)、ステップS116に進み、第二シャッタースイッチ信号SW2を受信していない場合(ステップS115でNO)、ステップS123に進む。
【0064】
ステップS123では、ステップS114でオートフォーカス開始指示の制御信号を撮像部107に送信した時点から所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過した場合(ステップS123でYES)、ステップS102に戻り、まだ所定時間が経過していない場合(ステップS123でNO)、ステップS115に戻る。
【0065】
ステップS116では、制御部106が撮像部107に本撮影実行指示の制御信号を送る。これにより撮像部107は本撮影を実行する。
【0066】
ステップS117では、制御部106が本撮影画像を第二記録部110に保存する。ステップS117の処理が完了すると、制御部106は、
図5の撮影処理を完了する。
【0067】
ここで
図6を用いて、画角内に映る主被写体303の時間当たり移動量を用いた、
図5のステップS103におけるプリキャプチャ機能のON・OFFの切替制御の方法、及び
図5のステップS105におけるプリキャプチャ設定の自動設定方法を説明する。
【0068】
図6は、撮像装置101の画角600内で主被写体601が移動している状態を示す図である。
【0069】
ステップS103に移行すると、制御部106は、ステップS100で開始したライブビュー撮影により撮像部107から出力された、所定の撮影間隔で撮影されたフレーム画像を順次取得する。第1のユースケースの場合、このとき撮影者は、第二表示部112に表示されるライブビュー画像を確認しながら、撮影したい主被写体303が撮像装置101の画角内に入るよう撮像装置101の向きを調整する。一方、第2のユースケースの場合、撮影者は、撮影指示装置400の第一表示部111に表示されるライブビュー画像を確認しながら、撮影したい主被写体303が撮像装置101の画角内に入るようプロポで移動体300bを操縦する。
【0070】
画角600の中に映る主被写体303を画角内の主被写体601とする。また、画角内の主被写体601は画角600内を画角内被写体移動量602で動いている。
【0071】
画角内の主被写体601の画角内被写体移動量602は、ライブビュー撮影での所定の撮影間隔とライブビュー撮影で取得した複数のフレーム画像に映る主被写体601の画角600内の移動量に基づいて計算される。また、画角内の主被写体601の画角内移動量は、撮像装置101の実移動距離、主被写体303の実移動距離、撮像装置101と主被写体303の距離、ズーム倍率などに依存する。画角内被写体移動量602は、移動体300と共に移動速度301で移動する撮像装置101から見た主被写体303の見かけ上の速さを表している。
【0072】
図5のステップS103では、制御部106が画角内の主被写体601の画角内被写体移動量602を計算する。画角内被写体移動量602が所定値603以上なら
図5に示したステップS104に進み、所定値603未満なら
図5に示したステップS112に進む。画角内被写体移動量602が所定値603以上かどうかで、主被写体303が撮像装置101から見て移動しているかどうかを判定し、その結果でプリキャプチャの可否を決定している。しかし、主被写体303が撮像装置101から見て移動しているかどうかの判定方法は、これに限定されるものではない。画角内の主被写体303の動きベクトルを判定材料として用いても良い。その場合においては、制御部106が、ライブビュー撮影で撮像部107により取得された複数のフレーム画像に基づいて画角内の主被写体303の動きベクトルを算出する。
図6に示す画角600内の主被写体601の動きベクトルの量が第1の所定量以上の場合に
図5のステップS104に進み、第1の所定量未満の場合に
図5のステップS112に進む。これにより、主被写体303が撮像装置101から見て移動しているかどうかを判定することができる。この場合、ステップS105では、画角内の主被写体601の動きベクトルの量に応じてプリキャプチャ機能の設定を制御部106が自動で行う。具体的には第1の所定量より大きい閾値(第2の所定量)を予め設定し、主被写体601の動きベクトルの量とその閾値との比較結果に応じてプリキャプチャ撮影時のシャッタースピードを設定する。尚、本実施形態では自動で行うプリキャプチャ機能の設定の一例としてシャッタースピードを挙げたが、これに限定されるものではない。
【0073】
尚、
図5の撮影処理では、制御部106が第一シャッタースイッチ信号SW1を受信する前、すなわち撮影者によるレリーズスイッチ103の半押し操作がある前に、主被写体303を検知し、ステップS103で画角内被写体移動量を算出する必要がある。よって、撮像装置101に人物検知機能、動物検知機能、及び乗り物検知機能等の、撮像装置101の画角から特定の被写体(人物・動物・乗り物等)を検知する被写体検知部(不図示:被写体検知手段)を設けてもよい。この場合、ステップS103の直前に主被写体303を被写体検知部での検知結果を用いて、速やかに検知するステップを設けることが好ましい。しかし、主被写体303が速やかに検知できる方法であれば、他の方法でもよく、本実施形態の方法に限定されるものではない。
【0074】
図5のステップS105では、画角内の主被写体601の画角内被写体移動量602に応じてプリキャプチャ機能の設定を制御部106が自動で行う。具体的には所定値603より大きい閾値(第2の所定値)を予め設定し、画角内被写体移動量602がその閾値より大きければプリキャプチャ撮影時のシャッタースピードを短くする。一方、画角内被写体移動量602がその閾値以下であればプリキャプチャ撮影時のシャッタースピードを長くする。自動で行うプリキャプチャ機能の設定の一例としてシャッタースピードを挙げたが、これに限定されるものではない。例えば、自動で行うプリキャプチャ機能の設定に、絞り値やISO感度等を含めてもよい。
【0075】
以上説明したように、第1の実施形態では撮像装置101において
図5の撮影処理が実行される。
【0076】
第1の実施形態による効果を説明する。
【0077】
図5のステップS102では、撮像装置101の移動速度が所定速度より大きければプリキャプチャ機能をON、所定速度より小さければプリキャプチャ機能をOFFとしている。移動体300の移動に伴って撮像装置101が移動しているときにプリキャプチャ撮影を行うことで、撮影者302が所望する撮影タイミングを逃さずに撮影を行うことが可能になる。
【0078】
図5に示したステップS103では、主被写体303が撮像装置101から見て移動していない場合はプリキャプチャ機能をOFFにする。そのため撮像装置101が所定速度以上で移動していても、例えば乗り物内の同乗者の撮影などといったプリキャプチャ撮影する必要のない場合においてはプリキャプチャせずに撮影できる。
【0079】
図5のステップS102,S103では、自動でプリキャプチャ機能のON/OFFの切替が実行される。このため、移動中の乗り物内及びドローン操作中などにプリキャプチャ機能をメニュー画面上で手動で切り替えるという、撮影者302にとって煩雑な作業が削減できる。
【0080】
移動速度301が常に変動する乗り物内やドローン上などの移動体300に撮像装置101がある場合においては、撮影者302が適切なプリキャプチャ設定を判断して都度プリキャプチャ設定を変更していくのは難しい。
図5に示したステップS105では、主被写体303の見かけ上の動きの速さに応じてプリキャプチャ設定を制御部106が自動で設定するため、移動速度301が常に変動する場合においても適切なプリキャプチャ設定を設定し続けることができる。
【0081】
なお、動作の是非について言及しなかったが、設定画面などで撮影者が動作の是非を選択できるような構成にしてもよい。
【0082】
なお、第1の実施形態の構成は撮像装置に限定されるものではなく、例えばスマートフォンにも適用することができる。
【0083】
(第2の実施形態)
<撮像装置701の構成>
第2の実施形態に係る撮像装置701は、第1の実施形態に係る撮像装置101の位置情報取得部102に対応するユニットが存在しない点を除き、撮像装置101と同様の構成を有する。よって、本実施形態では、第1の実施形態と同一の名称を有するユニットについて、第1の実施形態と共通する部分については、説明は省略し、本実施形態特有の部分を中心に説明する。
【0084】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る撮像装置701のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0085】
撮像装置701は、レリーズスイッチ703、第一シャッタースイッチ704、第二シャッタースイッチ705、制御部706、撮像部707、電源部708、第一記録部709、第二記録部710、第一表示部711、第二表示部712を備える。
【0086】
レリーズスイッチ703、第一シャッタースイッチ704、第二シャッタースイッチ705、撮像部707、電源部708、第一記録部709、第二記録部710、第一表示部711、第二表示部712は
図1の同一の名称を有するユニットと同様である。このため、これらのユニットについての説明を割愛する。
【0087】
制御部706は、撮像装置701のシステム全体を制御する制御部であり、例えばシステムLSI及びDRAMによって構成される。
【0088】
また、制御部706は、レリーズスイッチ703、撮像部707、電源部708、第一記録部709、第二記録部710、第一表示部711、第二表示部712に対して、制御を行っている。第1の実施形態の制御部106と異なり、位置情報取得部102に対応するユニットはないので、制御部706は、外部からの位置情報信号の受信や、その受信した信号に対する処理等を行わない。
【0089】
制御部706は、レリーズスイッチ703から第一シャッタースイッチ信号SW1や第二シャッタースイッチ信号SW2を受信すると、撮像部707に制御信号を出力する。この制御信号により、制御部706は例えば撮像部707に対して撮影指示を行う。第1の実施形態の制御部106と異なり、制御部706は位置情報取得部102からの位置情報信号を受信しない。
【0090】
撮像装置701の外観構成については、第1の実施形態と同様であり、
図2に示した通りのため、説明を割愛する。
【0091】
ユースケースについても、第1の実施形態と同様であり、
図3や
図4に示した通りのため、説明を割愛する。
【0092】
<撮像装置701の撮影処理>
以下、
図8のフローチャートを参照して、撮像装置701の撮影処理について説明する。
【0093】
本処理は、制御部706が、第二記録部710からプログラムを読み込み、制御部706内部のDRAMに展開することで実行される。
【0094】
ステップS200では、撮影者が撮像装置101の電源スイッチ(不図示)を押下したことを検知すると、制御部106は撮像装置701を起動し、撮像部707(ライブビュー撮影手段)でのライブビュー撮影を開始すると、ステップS202に進む。すなわち、本撮影処理では、第1の実施形態に係る撮影処理と異なり、
図5のステップS101に対応する処理は存在しない。
【0095】
ステップS202では、まず制御部706が、ステップS200で開始したライブビュー撮影により撮像部707から出力された、所定の撮影間隔で撮影されたフレーム画像を順次取得する。次に、制御部706(ベクトル算出手段)は、取得した複数のフレーム画像に基づいて画角内の各被写体の動きベクトルを算出し、算出された動きベクトルが同一方向か否かを判定する。具体的には、動きベクトルの大きさが所定値以上であり、かつ動きベクトルの向きが同じである被写体が画角内に所定数以上ある場合、算出された動きベクトルが同一方向であると判定する。算出された動きベクトルが同一方向である場合(ステップS202でYES)、制御部706(切替手段)は撮像装置701が移動体300の移動に伴い移動していると判断し、ステップS203に進む。一方、算出された動きベクトルが同一方向でない場合(ステップS202でNO)、制御部706は撮像装置701が移動体300の移動に伴う移動をしていないと判断し、ステップS212に進む。
【0096】
ステップS202の処理の詳細は、後述する。
【0097】
図8の残りのステップS203~S223では、
図5のステップS103~S123と同様の処理が実行される。
【0098】
ここで
図9を用いて、
図8のステップS202における、撮像装置701が移動体300の移動に伴い移動しているかどうか判定し、その判定結果に基づきプリキャプチャの実施可否を決定する方法を説明する。
【0099】
図9は、撮像装置701の画角900内で複数の被写体901,903,905が移動している状態を示す図である。
【0100】
画角900内に映る被写体901は、撮像装置701から見て動きベクトル902で動いている。
【0101】
画角900内に映る被写体903は、撮像装置701から見て動きベクトル904で動いている。
【0102】
画角900内に映る被写体905は、撮像装置701から見て動きベクトル906で動いている。
【0103】
図8のステップS202において、制御部706が、ライブビュー撮影で撮像部707から出力された複数のフレーム画像に基づいて画角内のn個の被写体の夫々の動きベクトルを算出する。この算出に使用されるフレーム画像は、連続するフレーム画像でもよいし、数フレーム毎に抽出されたフレーム画像でもよい。算出された動きベクトルのうち、大きさが所定値以上であり、かつ向きが同じであるものが所定数以上であれば
図8に示したステップS203に進み、所定数未満であれば
図8に示したステップS212に進む。
【0104】
撮像装置701が移動体300の移動に伴い移動速度301で移動しているとき、撮像装置701から見ると、外部の静止した被写体は撮像装置701と逆方向に移動速度301で移動しているように見える。よって、動きベクトルの大きさが所定値以上であり、かつ動きベクトルの向きも同じである被写体が画角900内に所定数以上ある場合、制御部706は、撮像装置701が動きベクトルの向きと反対方向に移動体300の移動に伴い移動していると判断する。
【0105】
以上説明したように、第2の実施形態では撮像装置701において
図8の撮影処理が実行される。
【0106】
第2の実施形態による効果を説明する。
【0107】
図8のステップS202では、画角900内に映る各被写体の動きベクトルの向き・大きさから撮像装置701が移動体300の移動に伴い移動していると判断される場合にプリキャプチャ撮影を行う。これにより、撮影者302が所望する撮影タイミングを逃さずに撮影を行うことが可能になる。また、ステップS202での上記判断には、位置情報取得部102による位置情報信号を必要としない。これにより、位置情報取得部102を搭載していない撮像装置701でも
図8の撮影処理を行うことができ、第1の実施形態より幅広い撮像装置に第2の実施形態を適用することができる。
【0108】
図8のステップS202,S203では、自動でプリキャプチャ機能のON/OFFの切替が実行される。このため、移動中の乗り物内及びドローン操作中などにプリキャプチャ機能をメニュー画面上で手動で切り替えるという、撮影者302にとって煩雑な作業が削減できる。
【0109】
また、第2の実施形態の
図8のステップS203~S223は、第1の実施形態のステップS103~S123と同様の処理であるので、ステップS103~S123による効果は全て第2の実施形態でも得ることができる。
【0110】
なお、動作の是非について言及しなかったが、設定画面などでユーザが動作の是非を選択できるような構成にしてもよい。
【0111】
なお、第2の実施形態の構成は撮像装置に限定されるものではなく、例えばスマートフォンにも適用することができる。
【0112】
以上、本発明の好ましい実施形態として第1の実施形態及び第2の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0113】
(その他の実施形態)
尚、本実施形態では、1つ以上の機能を実現するプログラムを、ネットワークまたは記憶媒体を介してシステムまたは装置のコンピュータに供給し、そのシステムまたは装置のシステム制御部がプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。システム制御部は、1つまたは複数のプロセッサーまたは回路を有し、実行可能命令を読み出し実行するために、分離した複数のシステム制御部または分離した複数のプロセッサーまたは回路のネットワークを含みうる。
【0114】
プロセッサーまたは回路は、中央演算処理装置(CPU)、マイクロプロセッシングユニット(MPU)、グラフィクスプロセッシングユニット(GPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含みうる。また、プロセッサーまたは回路は、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、データフロープロセッサ(DFP)、またはニューラルプロセッシングユニット(NPU)を含みうる。
【0115】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0116】
本実施形態の開示は、以下の構成、方法、並びにプログラムを含む。
(構成1)プリキャプチャ機能を有する撮像装置であって、前記撮像装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記位置情報から前記撮像装置の移動速度を算出する移動速度算出手段と、前記移動速度が所定速度以上である場合、前記プリキャプチャ機能をONに切り替える切替手段とを備えることを特徴とする撮像装置。
(構成2)前記切替手段は、主被写体が前記撮像装置から見て移動していないと判定した場合、前記プリキャプチャ機能をOFFにすることを特徴とする構成1に記載の撮像装置。
(構成3)ライブビュー撮影により所定の撮影間隔で撮影された複数のフレーム画像を取得するライブビュー撮影手段を更に備え、前記切替手段は、前記撮像装置の画角内に映る前記主被写体の時間当たり移動量を、前記所定の撮影間隔及び前記複数のフレーム画像に映る前記主被写体の前記画角内の移動量に基づいて算出し、前記時間当たり移動量が第1の所定値未満である場合、前記主被写体が前記撮像装置から見て移動していないと判定することを特徴とする構成2に記載の撮像装置。
(構成4)前記時間当たり移動量と、前記第1の所定値より大きい第2の所定値とを比較し、その比較結果に応じて、前記プリキャプチャ機能の設定を行う設定手段をさらに備えることを特徴とする構成3に記載の撮像装置。
(構成5)前記設定手段は、プリキャプチャ撮影時の前記撮像装置のシャッタースピードを設定することを特徴とする構成4記載の撮像装置。
(構成6)ライブビュー撮影により所定の撮影間隔で撮影された複数のフレーム画像を取得するライブビュー撮影手段を更に備え、前記切替手段は、前記複数のフレーム画像に基づいて、前記撮像装置の画角内に映る前記主被写体の動きベクトルを算出し、前記動きベクトルの量が第1の所定量未満である場合、前記主被写体が前記撮像装置から見て移動していないと判定することを特徴とする構成2に記載の撮像装置。
(構成7)前記動きベクトルの量と、前記第1の所定量より大きい第2の所定量とを比較し、その比較結果に応じて、前記プリキャプチャ機能の設定を行う設定手段をさらに備えることを特徴とする構成6に記載の撮像装置。
(構成8)前記設定手段は、プリキャプチャ撮影時の前記撮像装置のシャッタースピードを設定することを特徴とする構成7記載の撮像装置。
(構成9)プリキャプチャ機能を有する撮像装置であって、ライブビュー撮影により所定の撮影間隔で撮影された複数のフレーム画像を取得するライブビュー撮影手段と、前記複数のフレーム画像に基づいて、前記撮像装置の画角内に映る複数の被写体の夫々の動きベクトルを算出するベクトル算出手段と、前記算出された動きベクトルのうち、所定数以上の動きベクトルが、その大きさが所定値以上であり、かつその向きが同一方向である場合、前記プリキャプチャ機能をONに切り替える切替手段とを備えることを特徴とする撮像装置。
(構成10)前記切替手段は、主被写体が前記撮像装置から見て移動していないと判定した場合、前記プリキャプチャ機能をOFFにすることを特徴とする構成9に記載の撮像装置。
(構成11)前記切替手段は、前記所定の撮影間隔と、前記複数のフレーム画像に映る前記主被写体の画角内の移動量に基づいて、前記撮像装置の画角内に映る前記主被写体の時間当たり移動量を算出し、前記時間当たり移動量が第1の所定値未満である場合、前記主被写体が前記撮像装置から見て移動していないと判定することを特徴とする構成10に記載の撮像装置。
(構成12)前記時間当たり移動量と、前記第1の所定値より大きい第2の所定値とを比較し、その比較結果に応じて、前記プリキャプチャ機能の設定を行う設定手段をさらに備えることを特徴とする構成11に記載の撮像装置。
(構成13)前記設定手段は、プリキャプチャ撮影時の前記撮像装置のシャッタースピードを設定することを特徴とする構成12記載の撮像装置。
(構成14)前記切替手段は、前記複数のフレーム画像に基づいて、前記撮像装置の画角内に映る前記主被写体の動きベクトルを算出し、前記動きベクトルの量が第1の所定量未満である場合、前記主被写体が前記撮像装置から見て移動していないと判定することを特徴とする構成10に記載の撮像装置。
(構成15)前記動きベクトルの量と、前記第1の所定量より大きい第2の所定量とを比較し、その比較結果に応じて、前記プリキャプチャ機能の設定を行う設定手段をさらに備えることを特徴とする構成14に記載の撮像装置。
(構成16)前記設定手段は、プリキャプチャ撮影時の前記撮像装置のシャッタースピードを設定することを特徴とする構成15に記載の撮像装置。
(構成17)前記プリキャプチャ機能がONの場合にプリキャプチャ撮影指示及び本撮影指示の夫々のユーザ操作を受け付ける受付手段を更に備えることを特徴とする構成1乃至16のいずれか1つに記載の撮像装置。
(構成18)移動体に据え付けられ、外部の撮影指示装置と無線接続する撮像装置であって、前記撮影指示装置はプリキャプチャ開始指示及び本撮影指示の夫々のユーザ操作を受け付ける受付手段を更に備え、前記プリキャプチャ機能がONの場合、前記撮影指示装置から前記ユーザ操作に基づく前記プリキャプチャ開始指示を受信すると、プリキャプチャ撮影を開始し、前記撮影指示装置から前記ユーザ操作に基づく前記本撮影指示を受信すると、本撮影を行うことを特徴とする構成1乃至16のいずれか1つに記載の撮像装置。
(構成19)前記撮影指示装置は、前記撮像装置から受信したライブビュー画像を表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする構成18に記載の撮像装置。
(構成20)前記撮像装置の画角内から特定の被写体を検知する被写体検知手段を更に備え、前記切替手段は、前記被写体検知手段での検知結果を用いて、前記画角内に映る前記主被写体を検知することを特徴とする構成2又は10に記載の撮像装置。
(方法1)プリキャプチャ機能を有する撮像装置の制御方法であって、前記撮像装置の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、前記位置情報から前記撮像装置の移動速度を算出する移動速度算出ステップと、前記移動速度が所定速度以上である場合、前記プリキャプチャ機能をONに切り替える切替ステップとを有することを特徴とする制御方法。
(方法2)プリキャプチャ機能を有する撮像装置の制御方法であって、ライブビュー撮影により所定の撮影間隔で撮影された複数のフレーム画像を取得するライブビュー撮影ステップと、前記複数のフレーム画像に基づいて、前記撮像装置の画角内に映る複数の被写体の夫々の動きベクトルを算出するベクトル算出ステップと、前記算出された動きベクトルのうち、所定数以上の動きベクトルが、その大きさが所定値以上であり、かつその向きが同一方向である場合、前記プリキャプチャ機能をONに切り替える切替ステップとを有することを特徴とする制御方法。
(プログラム1)コンピュータを、構成1乃至20のいずれか1つに記載の撮像装置の各手段として機能させる、コンピュータにより実行可能なプログラム。
【符号の説明】
【0117】
101,701 撮像装置
102 位置情報取得部
103,703 レリーズスイッチ
104,704 第一シャッタースイッチ
105,705 第二シャッタースイッチ
106,706 制御部
107,707 撮像部
108,708 電源部
109,709 第一記録部
110,710 第二記録部
111,711 第一表示部
112,712 第二表示部
300a,300b 移動体
302 撮影者
303 主被写体
400 撮影指示装置